JP2020188737A - 抗体依存性細胞傷害活性が向上した抗体の製造方法 - Google Patents

抗体依存性細胞傷害活性が向上した抗体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】抗体依存性細胞傷害活性が向上した抗体を製造する方法の提供。【解決手段】抗体を発現可能な哺乳動物細胞を培養する工程と、得られた培養物中に含まれる前記哺乳動物細胞が発現した抗体を回収する工程とを含む、抗体の製造方法において、前記培養工程を0.2mMから4mMのL‐グルタミンを添加した培地で行なうことで、抗体依存性細胞傷害活性が向上した抗体を製造する方法。【選択図】図2

Description

本発明は、高い抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を有した抗体を製造する方法に関する。より詳しくは、抗体を発現可能な宿主を培養する工程を最適化することで、当該宿主が発現する抗体が有するADCC作用を向上させる方法に関する。
現在、組換えタンパク質は幅広い分野で使用されている。近年の抗体医薬品に代表されるバイオ医薬品の成長によりその重要性はさらに高まっている。組換えタンパク質は主に大腸菌、酵母、昆虫細胞、哺乳細胞を宿主として製造されているが、発現させた組換えタンパク質の立体構造や、糖鎖付加といった翻訳後修飾等の理由から哺乳動物細胞を宿主として用いた組換えタンパク質発現系が多く使用されている。哺乳動物細胞の中でも特にチャイニーズハムスター卵巣細胞(以下、CHO細胞)は多くの組換えタンパク質発現の宿主として用いられている。また組換えCHO細胞由来の組換えタンパク質は、医薬品として使用できる安全性が確認されていることから、CHO細胞は抗体医薬品を製造する際の宿主として最もよく使用される哺乳動物細胞である。
抗体医薬品はモノクローナル抗体を主成分とした医薬品であり、その治療効果として信号伝達阻害、細胞死(Apoptosis)の誘導、抗体依存性細胞傷害(ADCC)作用や補体依存性細胞傷害(CDC)作用などがある。このうちADCC活性やCDC活性はエフェクター機能と呼ばれており免疫メカニズムを誘導することで癌等の目的細胞を傷害するため重要である。特にADCC活性は抗体医薬品の細胞傷害作用には重要な活性である。
抗体が有するADCC活性を向上させる方法として、抗体のFc領域にある特定のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換する方法や、抗体のFc領域に付加する糖鎖を改変する方法がある。抗体のFc領域に付加する糖鎖には、特定のアミノ酸配列(例えば、Asn−X−Ser/Thr)(Xは任意のアミノ酸残基を示す)のアスパラギン(Asn)基の側鎖に付加するN型糖鎖と、セリン(Ser)またはスレオニン(Thr)残基の側鎖に結合するO型糖鎖がある。このうちN型糖鎖のコアフコースを欠損させることでADCC活性が向上する報告がされている(非特許文献1)。
抗体を発現可能な哺乳動物細胞を培養し、得られた培養物中に含まれる前記哺乳動物細
胞が発現した抗体を回収することで、前記抗体を製造する際、前記哺乳動物細胞の培養条
件を変化させると、前記抗体のFc領域に付加するN型糖鎖の構造が変化することが知ら
れている(特許文献1)。しかしながら、実際に抗体のFc領域へ付加する糖鎖は不均一
であり、前記糖鎖の構造とADCC活性との関係を完全に結び付けることは難しい。従っ
て、糖鎖構造を制御してADCC活性の高い抗体を製造する条件、特に前記抗体を発現可
能な哺乳動物細胞を培養する条件の構築は困難であった。
特開2017−506515号公報
Mori.K, et al.,Cytotechnology,55,109−114(2007)
本発明の課題は、抗体を発現可能な哺乳動物細胞を培養する工程と、得られた培養物中に含まれる前記哺乳動物細胞が発現した抗体を回収する工程とを含む、抗体の製造方法において、高い抗体依存性細胞傷害活性を有する抗体を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、抗体を発現可能な哺乳動物細胞を培養する工程において、前記哺乳動物細胞の栄養源であるグルタミン(Gln)を制限した培地で培養することで、得られた培養物中に含まれる前記哺乳動物細胞が発現した抗体の抗体依存性細胞傷害が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下に記載の態様を包含する。
(1)抗体を発現可能な哺乳動物細胞を培養する工程と、得られた培養物中に含まれる前記哺乳動物細胞が発現した抗体を回収する工程とを含む、抗体の製造方法において、
前記培養工程を0.2mMから4mMのグルタミンを含有する培地で行なうことで、抗体依存性細胞傷害活性が向上した抗体を製造する方法。
(2)抗体を発現可能な哺乳動物細胞を培養する工程を、0.2mMから4mMのグルタミンおよび0.3μMから7μMのマンガンイオンを含有する培地で行なう、(1)に記載の製造方法。
(3)抗体がヒトFc領域を含む抗体である、(1)または(2)に記載の製造方法。
(4)(3)に記載の製造方法で得られた抗体とヒトFcγRIIIaとの親和性を評価することで、(3)に記載の製造方法における培養工程をモニタリングする方法。
(5)(3)に記載の製造方法で得られた抗体とヒトFcγRIIIaとの親和性を評価することで、(3)に記載の製造方法における培地成分を評価する方法。
(6)(3)に記載の製造方法で得られた抗体とヒトFcγRIIIaとの親和性評価を、(3)に記載の製造方法で得られた抗体とヒトFcγRIIIa固定化分離剤との結合力に基づき行なう、(4)または(5)に記載の方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法は、抗体を発現可能な哺乳動物細胞を培養する際、培地に添加するL‐グルタミンの濃度を、0.2mMから4mMの範囲に制限して培養することを特徴としている。培地中のL‐グルタミンが前述した濃度範囲であれば、細胞の増殖性や抗体の生産性が著しく阻害されることはない。L‐グルタミンの培地への添加は、例えば、高濃度のL−グルタミン溶液をフィルター滅菌し、前述した濃度範囲となるよう培地に添加すればよい。またL−グルタミンより安定性の高いL−アラニル−L−グルタミンを、本発明において培地に添加するL‐グルタミンとして用いてもよい。L‐グルタミンの培地への添加量は終濃度として前述した濃度範囲となるよう添加すればよく、終濃度0.5mMから3mMとなるよう添加すると好ましく、終濃度0.5mMから2mMとなるよう添加するとより好ましく、終濃度0.5mMから1mMとなるよう添加するとさらにより好ましい。
本発明の製造方法で使用する哺乳動物細胞は、製造対象抗体を発現可能な細胞であれば特に制限はない。一例を示すと、CHO細胞(CHO−K1、CHO−S、CHO−DG44およびCHO−DXB11)、マウス骨髄腫由来細胞(SP2/0、NS0)、ヒト胎児腎臓由来細胞(HEK細胞)、ヒト白血病細胞由来細胞(HL−60細胞)、ヒト子宮頸癌由来細胞(HeLa細胞)およびアフリカミドリザルの腎細胞由来細胞(COS細胞)があげられる。中でも組換え抗体製造に汎用されるCHO細胞の使用が好ましい。
本発明の製造方法で使用する培地は、0.2mMから4mMのL‐グルタミンを含み、かつ宿主である哺乳動物細胞が生育し抗体を発現可能な培地であれば、特に限定はない。一例を示すと、動物由来の血清が必要な培地(RPMI1640、D−MEM等)や化学的に成分が決定されている培地(BalanCD CHO Growth A[Irvine Scientific社製]、FreeStyle CHO Expression MediumCD[Thermo Fisher社製]、OptiCHO[Thermo Fisher社製]、EX−CELL CD CHO Fusion、EX−CELL Advanced CHO Fed−batch Medium[Merck社製]およびCHOgro[Mirus社製])に前述した濃度のL‐グルタミンを添加した培地があげられる。さらに前述した培地に、栄養素、ホルモン、成長因子、特定イオン(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等)、ビタミン、ヌクレオシド、ヌクレオチド、L‐グルタミン以外のアミノ酸、無機塩(銅、亜鉛、コバルト、ニッケル等)、脂質、グルコースをはじめとする培地構成成分が含まれていてもよい。またG418、ピューロマイシン、ブラストサイジン、ゼオシン、ハイグロマイシン、フレオマイシン、カナマイシン、アンピシリンといった、汚染防止や遺伝子組換え細胞の選択に用いる抗生物質をさらに添加してもよい。
本発明の製造方法における培養工程は、宿主として用いる哺乳動物細胞や前記細胞で発現させる抗体に応じて適宜行なえばよい。一例として、
前述した濃度のL‐グルタミンを添加した培地を入れたフラスコに、抗体を発現可能な哺乳動物細胞を接種後、当該フラスコを振盪させて培養してもよく、
バイオリアクターで、前述した濃度範囲になるようL‐グルタミン濃度を制御しながら、回分培養、半回分培養(流加培養ともいう)、潅流培養またはそれらの組合せにより培養してもよい。
哺乳動物細胞がCHO細胞の場合、5%から8%のCO存在下、温度30℃から37℃、pH6.8から7.4で培養すると好ましい。
なお本発明の製造方法において、前述した濃度範囲のL‐グルタミンに加え、0.3μMから7μMのマンガンイオンをさらに添加した培地を用いて抗体を発現可能な哺乳動物細胞を培養すると、前記抗体が有するADCC活性がさらに向上するため、好ましい。なお培地中のマンガンイオンが前述した濃度範囲であれば、細胞の増殖性や抗体の生産性が著しく阻害されることはない。マンガンイオンの培地への添加は、水溶液中でマンガンイオンとして存在可能なマンガン化合物を添加すればよい。前記マンガン化合物の例として、塩化マンガン(MnCl)や硫酸マンガン(MnSO)が例示できる。マンガン化合物の添加量は、培地中のマンガンイオンが終濃度として前述した濃度範囲となるよう添加すればよい。
本発明の方法で製造する抗体の一例として、ヒトFc領域を含む抗体があげられる。具体的には、ヒト抗体、ヒト化抗体、ヒトと他の動物(マウスなど)とのキメラ抗体、ヒトFc融合タンパク質などがあげられる。ヒトFc領域を含む抗体がイムノグロブリンG(IgG)の場合、4つのサブクラス(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)が知られているが、このうちIgG1とIgG3は抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性が高い点で、本発明の方法で製造する抗体の好ましい態様といえる。さらにIgG1はADCC活性が高く、分子の安定性も高いことから本発明の方法で製造する抗体の特に好ましい態様といえる。
本発明の製造方法で使用する、抗体を発現可能な哺乳動物細胞は、前記抗体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターで、前記哺乳動物細胞を形質転換し作製すればよい。前記発現ベクターには、プロモーターおよび前記抗体をコードするポリヌクレオチドの他に、ポリAや、組換え抗体の分泌発現に必要な分泌シグナルや、遺伝子増幅マーカー遺伝子や、宿主選択に用いる抗生物質耐性遺伝子や、遺伝子組換えのために用いる哺乳動物細胞以外の宿主での複製開始点等をさらに含んでもよい。
前記ポリAはターミネーションシグナルを含んでいれば特に制限はなく、一例として、発現させる抗体由来のポリA、SV40ウイルスゲノム由来のポリA、ヘルペスウイルスチミジンキナーゼのポリA、ウシ成長ホルモン由来のポリA、ウサギのβ−グロビン遺伝子由来のポリAがあげられる。
前記分泌シグナルは発現抗体を分泌すれば特に制限はなく、その一例としては、発現させる組換え抗体由来の分泌シグナル、ヒトインターロイキン2(IL−2)の分泌シグナル、アズロシジン前駆体の分泌シグナル、ヒト血清アルブミンの分泌シグナルがあげられる。
前記遺伝子増幅マーカー遺伝子は、遺伝子増幅させる方法に適した遺伝子を用いればよい。例えばジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhfr)/メトトレキサート(MTX)法を用いる場合はdhfr遺伝子を、グルタミン合成酵素(GS)/メチオニンスルホキシミン(MSX)法を用いる場合はGS遺伝子を、それぞれ用いればよい。
前記抗生物質耐性遺伝子は、宿主選択に用いる抗生物質に対応した耐性遺伝子を選択すればよく、一例として、G418耐性遺伝子、ピューロマイシン耐性遺伝子、ブラストサイジン耐性遺伝子、ゼオシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、フレオマイシン耐性遺伝子があげられる。
前記複製開始点は、哺乳動物細胞以外の宿主が大腸菌である場合、大腸菌内でのコピー数が高くプラスミドDNAの収量が多い、ColE1が例示できる。
さらに前記発現ベクターには、プロモーターの働きを強めるためのエンハンサーをさらに含んでもよい。使用するエンハンサーに特に制限はなく、発現させる抗体や哺乳動物細胞を考慮し、適宜選択すればよい。一例としてサイトメガロウイルス(CMV)由来のエンハンサーがあげられる。
また哺乳動物に導入した遺伝子(抗体をコードするポリヌクレオチド)が発現しやすくするために、宿主細胞ゲノムの特定領域に選択的に遺伝子導入してもよい。一例として、前記発現ベクターにLoxP遺伝子をさらに含ませて、Creリコンビナーゼによる相同組換えを行なうことで、部位特異的に宿主細胞ゲノム中のLoxP遺伝子へ組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチドを導入できる。また、宿主細胞のゲノムへ部位特異的に組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチドを導入する方法としてCRISPER/Cas9などを用いることもできる。
前記発現ベクターで哺乳動物細胞を形質転換するには、エレクトロポレーションやカチオニックリポソームを用いたリポフェクションなど、当業者が通常用いる形質転換法の中から、宿主として使用する哺乳動物細胞に合わせて適宜選択すればよい。
前述した方法で抗体を発現可能な哺乳動物細胞を培養後、得られた培養物中に含まれる前記哺乳動物細胞が発現した抗体を回収することで、ADCC活性が向上した抗体を製造する。抗体の回収方法の一例として、前記得られた培養物から、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーによる精製操作を単独または組み合わせて抗体を回収する方法があげられる。前記方法は抗体を高効率かつ高純度に回収できる点で好ましい。
本発明で製造する抗体が、ヒトFc領域を含む抗体である場合、前記抗体とヒトFcγRIIIaとの親和性を評価することで、抗体を発現可能な哺乳動物細胞の培養状態(培養工程)をモニタリングできる。ヒトFc領域を含む抗体に付加するN型糖鎖を欠損させると前記抗体とヒトFcγRIIIaとの親和性が著しく低下する。またヒトFc領域を含む抗体が有するADCC活性は、当該Fc領域と免疫細胞表面上のヒトFcγRIIIaとの親和性(結合性)と関連することが知られている(Nordstrom.J,L, et al.,Breast Cancer Res.,13,6,(2011))。従って、ヒトFc領域を含む抗体とヒトFcγRIIIaとの親和性を評価することで、製造する抗体が有するADCC活性をモニタリングでき、抗体を発現可能な哺乳細胞の培養工程をモニタリングできる。一例として、ヒトFc領域を含む抗体とヒトFcγRIIIaとの親和性が低下した場合、当該抗体が有するADCC活性が低下しているため、当該抗体が有するADCC活性を向上すべく、L‐グルタミン濃度などの培地成分や培養条件(二酸化炭素濃度、温度、pH、時間など)を適宜調整する。
ヒトFc領域を含む抗体とヒトFcγRIIIaとの親和性評価の好ましい態様として、ヒトFc領域を含む抗体とヒトFcγRIIIa固定化分離剤との結合力に基づく評価があげられる。ヒトFcγRIIIaを担体に固定化して得られるヒトFcγRIIIa固定化分離剤を充填したカラムに、ヒトFc領域を含む抗体をアプライすると、前記抗体が付加した糖鎖構造の違いに基づき分離され(特開2015−086216号公報、WO2018/150973号)、かつ前記抗体が有するADCC活性の違いに基づき分離される(特開2016−023152号公報、WO2018/150973号)。従って、前記分離パターンの形状に基づき、本発明における、抗体を発現可能な哺乳動物細胞の培養状態(培養工程)のモニタリングができる。具体的には、ヒトFcγRIIIa固定化分離剤を充填したカラムを用いてヒトFc領域を含む抗体を分離すると、ADCC活性の高い抗体がADCC活性の低い抗体よりも遅れて溶出される(すなわちADCC活性の高い抗体はヒトFcγRIIIa固定化分離剤との結合力が強い)。従って、前記分離により得られた溶出パターンのピーク面積またはピーク高さから、ADCC活性が高い抗体が溶出されるピーク(画分)の量および/または割合を算出し、当該量および/または割合が低下した場合、当該抗体が有するADCC活性が低下しているため、当該抗体が有するADCC活性を向上すべく、L‐グルタミン濃度などの培地成分や培養条件(二酸化炭素濃度、溶存酸素濃度、温度、pH、時間など)を適宜調整する。
また、培養条件や細胞株を同条件とし培地成分のみを変えて培養して得られたヒトFc領域を含む抗体と、ヒトFcγRIIIaとの親和性を評価することで、よりADCC活性が高くなる培地成分の評価も行なえる。一例として、培地成分の異なる培地で培養して得られた抗体を、前述したヒトFcγRIIIa固定化分離剤を充填したカラムにアプライし、得られた分離パターンの形状やピーク(画分)の量および/または割合に基づき、前記抗体が有するADCC活性を評価し、前記培地成分の違いによるADCC活性を比較することで、培地成分を評価できる。
なお本明細書においてヒトFcγRIIIaとは、
(A)ヒトFcγRIIIa(UniProt No.P08637)のアミノ酸配列のうち17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を少なくとも含む、Fc結合性タンパク質、または
(B)ヒトFcγRIIIa(UniProt No.P08637)のアミノ酸配列のうち17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において、1以上のアミノ酸残基が欠失、他のアミノ酸残基に置換、または付加されたポリペプチドを含む、Fc結合性タンパク質、のことを意味する。また前記(B)の好ましい態様として、
特開2015−086216号公報で開示のFc結合性タンパク質、
特開2016−169197号公報で開示のFc結合性タンパク質、
特開2017−118871号公報で開示のFc結合性タンパク質、
WO2018/150973号で開示のFc結合性タンパク質、
があげられる。
また本発明において、ADCC活性が向上した抗体とは、例えば、ヒトFcγRIIIa固定化分離剤を充填したカラムを用いた分離により得られた結果(溶出パターン)のうち、ADCC活性の高い抗体が位置するピーク面積またはピーク高さの割合が、L‐グルタミン濃度を制限しなかったとき(例えば、L‐グルタミン濃度10mMの培地)の前記割合と比較し、1%以上、好ましくは2%以上、より好ましくは4%以上向上した抗体のことを意味する。
本発明は、抗体を発現可能な哺乳動物細胞を培養する工程と得られた培養物中に含まれる前記哺乳動物細胞が発現した抗体を回収する工程とを含む抗体の製造方法において、前記培養工程を0.2mMから4mMのL‐グルタミンを添加した培地で行なうことを特徴としている。本発明により、抗癌剤など抗体依存性細胞障害活性を必要とする抗体やFc融合タンパク質を効率的に製造できる。
また本発明で製造する抗体がヒトFc領域を含む抗体の場合、前記抗体とヒトFcγRIIIaとの親和性を評価することで、本発明の製造方法における培養工程のモニタリングや培地成分の評価が行なえる。
哺乳動物用発現プラスミドpEFdのプラスミドマップを示している。 0.1mMから10mMのL‐グルタミンを添加したBalanCD CHO Growth A mediumで抗IL−6R抗体発現細胞をフラスコ培養し得られた抗IL−6R抗体のFcR9_Fカラム分析の結果を示している。 0.1mMから10mMのL‐グルタミンを添加したBalanCD CHO Growth A mediumで抗ヒトgp130R抗体発現細胞をフラスコ培養し得られた抗ヒトgp130R抗体のFcR9_Fカラム分析の結果を示している。 0.5mMから10mMのL‐グルタミンを添加したCD Opti CHO Mediumで抗IL−6R抗体発現細胞をフラスコ培養し得られた抗IL−6R抗体のFcR9_Fカラム分析の結果を示している。 1mMのL‐グルタミンを添加したBalanCD CHO Growth A mediumで抗IL−6R抗体発現細胞をジャーファーメンターでバッチ培養し得られた抗IL−6R抗体のFcR9_Fカラム分析の結果を示している。 10mMのL‐グルタミンを添加したBalanCD CHO Growth A mediumで抗IL−6R抗体発現細胞をジャーファーメンターでバッチ培養し得られた抗IL−6R抗体のFcR9_Fカラム分析の結果を示している。 1mMまたは10mMのL‐グルタミンを添加したBalanCD CHO Growth A mediumで抗IL−6R抗体発現細胞をジャーファーメンターでバッチ培養したときの抗体生産性の推移を示している。図中、ひし形が1mMのL‐グルタミン添加時の、正方形が10mMのL‐グルタミン添加時の、それぞれ結果である。 1mMまたは10mMのグルタミンを添加したBalanCD CHO Growth A mediumで抗IL−6R抗体発現細胞をジャーファーメンターでバッチ培養したときの生細胞数の推移を示している。図中、ひし形が1mMのL‐グルタミン添加時の、正方形が10mMのL‐グルタミン添加時の、それぞれ結果である。 硫酸マンガン(マンガンイオン)未添加(A)、または硫酸マンガン(マンガンイオン)を1μM(B)、5μM(C)もしくは10μM(D)添加した培地において、0.5mM、2mMまたは8mMのL‐グルタミンをさらに添加したBalanCD CHO Growth A mediumで抗IL−6R抗体発現細胞をフラスコ培養し得られた抗IL−6R抗体のFcR9_Fカラム分析の結果を示している。
以下、実施例を用いて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら例に限定されるものではない。
実施例1 抗インターロイキン6レセプター(IL−6R)抗体発現細胞の構築
(1)以下の方法で抗IL−6R抗体を哺乳動物細胞で発現可能なベクターを構築した。
(1−1)配列番号1に記載のジヒドロ葉酸レダクターゼ(dihydrofolate reductase、dhfr)およびSV40のPolyAをコードする遺伝子に制限酵素SacII認識配列(CCGCGG)を5’末端および3’末端の両方に付加した遺伝子を全合成し(Integrated DNA Technologies社に委託)プラスミドにクローニングした。
(1−2)(1−1)で作製したプラスミドで大腸菌JM109株を形質転換した。得られた形質転換体を培養し、プラスミドを抽出したのち、制限酵素SacIIで消化することで、dhfr−SV40PolyAをコードする遺伝子を調製しdhfr−P1と命名した。
(1−3)pIRESベクター(Clontech社製)を鋳型として、配列番号2(5’−TCC[CCGCGG]GCGGGACTCTGGGGTTCGAAATGACCG−3’)および配列番号3(5’−TCC[CCGCGG]GGTGGCTCTAGCCTTAAGTTCGAGACTG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドプライマー(配列番号2および3中の角かっこは制限酵素SacII認識配列を示している)を用いてPCRを行なった。具体的には、表1に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で30秒間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で5分間の第3ステップを1サイクルとする反応を25サイクル繰り返すことで実施した。このPCRにより、pIRESベクターのうちネオマイシン耐性遺伝子を除いた領域を増幅した。
(1−4)(1−3)で作製したPCR産物を精製後、制限酵素SacIIで消化し、(1−2)で調製したdhfr−P1とライゲーションした。当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換体からプラスミドを抽出することでdhfr遺伝子を含んだ発現ベクターpIRES−dhfrを得た。
(2)(1)で作製したpIRES−dhfrを鋳型として配列番号4(5’−TTTAAATCA[GCGGCCGC]GCAGCACCATGGCCTGAAATAACCTCTG−3’)および配列番号5(5’−GCAAGTAAAACCTCTACAAATGTGGTAAA[CGATCG]CTCCGGTGCCCGT−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドプライマー(配列番号4中の角かっこは制限酵素NotI認識配列を、配列番号5中の角かっこは制限酵素PvuI認識配列を、それぞれ示している)を用いてPCRを行なった。具体的には、表2に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で1分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。このPCRにより増幅したPCR産物(SV40プロモーター、dhfr、SV40のPolyAまでの領域を)をdhfr−P2と命名した。
(3)ヒト抗体の重鎖定常領域を含んだpFUSEss−CHIg−hG1(InvivoGen社製)、ヒト抗体の軽鎖定常領域を含んだpFUSE2ss−CLIg−hk(InvivoGen社製)および(2)で作製したdhfr−P2をそれぞれ制限酵素NotIおよびPvuIで消化した後、精製しライゲーションした。当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換体からプラスミドを抽出することでSV40プロモーター、dhfr、SV40のPolyAを含んだpFUSEss−CHIg−hG1およびpFUSE2ss−CLIg−hkを得た。pFUSEss−CHIg−hG1にSV40プロモーター、dhfrおよびSV40のPolyAを組込んだプラスミドをpFU−CHIg−dhfrと命名し、pFUSE2ss−CLIg−hkにSV40プロモーター、dhfrおよびSV40のPolyAを組込んだプラスミドをpFU−CLIg−dhfrと命名した。
(4)配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる抗インターロイキン6レセプター(以下、IL−6R)抗体の重鎖可変領域をコードする配列番号7に記載のポリヌクレオチドの5’末端に制限酵素EcoRI認識配列(GAATTC)とフレームシフト抑制のためのグアニン(G)を付加し、3’末端に制限酵素NheI認識配列(GCTAGC)を付加した遺伝子を全合成しプラスミドにクローニングした(FASMAC社に委託)。作製したプラスミドをpUC−VH6Rと命名した。また、配列番号8に記載のアミノ酸配列からなる抗IL−6R抗体の軽鎖可変領域をコードする配列番号9に記載のポリヌクレオチドの5’末端に制限酵素EcoRI認識配列(GAATTC)とフレームシフト抑制のためのグアニン(G)を付加し、3’末端に制限酵素BsiWI認識配列(CGTACG)を付加した遺伝子を全合成しプラスミドにクローニングした(FASMAC社に委託)。作製したプラスミドをpUC−VL6Rと命名した。
(5)(4)で作製したpUC−VH6Rおよび(3)で作製したpFU−CHIg−dhfrをそれぞれ制限酵素EcoRI、NheIで消化後、精製し、ライゲーションした。当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換体からプラスミドを抽出することで、抗IL−6R抗体の重鎖(H鎖)を発現するプラスミドpFU−6RH−dhfrを得た。また(4)で作製したpUC−VL6Rおよび(3)で作製したpFU−CLIg−dhfrをそれぞれ制限酵素EcoRI、BsiWIで消化後、精製し、ライゲーションした。当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換体からプラスミドを抽出することで、抗IL−6R抗体の軽鎖(L鎖)を発現するプラスミドpFU−6RL−dhfrを得た。
実施例2 抗IL−6R抗体高発現細胞の構築
(1)実施例1で作製したpFU−6RH−dhfrおよびpFU−6RL−dhfrを、CHO細胞(DG44株)にNeon Transfection System(Thermo Fisher Scientific社製)を用いて遺伝子導入した。その後、50μg/mLのカナマイシン、40mL/LのGlutaMAX(Thermo Fisher Scientific社製)を含んだCD OptiCHO Medium(Thermo Fisher Scientific社製)で形質転換細胞を培養し抗IL−6R抗体発現細胞を得た。その後、培地に50ng/mLのメトトレキサート(MTX)を添加することで遺伝子増幅を行なった。
(2)(1)でMTX処理をした細胞を限外希釈法により単クローン化し、下記に記載のELISA(Enzyme−Linked ImmunoSorbent Assay)を用いて、抗IL−6R抗体を安定的に高生産可能な細胞を選択した。
(2−1)抗ヒトFab抗体(Bethyl社製)を、96穴マイクロプレートのウェルに1μg/wellで固定化した(4℃で一晩)。固定化終了後、2%(w/v)のSKIM MILK(Becton Dickinson社製)および150mM塩化ナトリウムを含んだ20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)によりブロッキングした。
(2−2)洗浄緩衝液(0.05%[w/v]のTween 20(商品名)と150mMのNaClとを含む20mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0))で洗浄後、抗体を含んだ培養上清を添加し、抗体と固定化タンパク質とを反応させた(30℃で1時間)。
(2−3)反応終了後、前記洗浄緩衝液で洗浄し、100ng/mLに希釈したペルオキシターゼで標識された抗ヒトFc抗体(Bethyl社製)を100μL/wellで添加した。
(2−4)30℃で1時間反応し、前記洗浄緩衝液で洗浄した後、TMB Peroxidase Substrate(KPL社製)を50μL/wellで添加した。その後、1Mのリン酸を50μL/wellで添加することで発色を止め、マイクロプレートリーダー(テカン社製)を用いて450nmの吸光度を測定し、測定値の高い抗IL−6R抗体高生産細胞株を選択した。
(3)MTX濃度を段階的(50nM、500nM、1μM、2μM、4μM、8μM、16μM、32μM、64μM)に上昇させながら、限外希釈を行ない(2)に記載のELISAでクローン選択を行なうことを繰り返した。その結果、抗IL−6R抗体高生産細胞株を得た。
実施例3 抗ヒトgp130受容体(gp130R)抗体高発現細胞の構築
(1)配列番号10に記載のアミノ酸配列からなる抗ヒトgp130受容体(gp130R)抗体の重鎖可変領域をコードする配列番号11に記載のポリヌクレオチドの5’末端に制限酵素EcoRI認識配列(GAATTC)とフレームシフト抑制のためのグアニン(G)を付加し、3’末端に制限酵素NheI認識配列(GCTAGC)を付加した遺伝子を全合成しプラスミドにクローニングした(FASMAC社に委託)。作製したプラスミドをpUC−VHgp130と命名した。また、配列番号12に記載のアミノ酸配列からなる抗ヒトgp130R抗体の軽鎖可変領域をコードする配列番号13に記載のポリヌクレオチドの5’末端に制限酵素EcoRI認識配列(GAATTC)とフレームシフト抑制のためのグアニン(G)を付加し、3’末端に制限酵素BsiWI認識配列(CGTACG)を付加した遺伝子を全合成しプラスミドにクローニングした(FASMAC社に委託)。作製したプラスミドをpUC−VLgp130と命名した。
(2)(1)で作製したpUC−VHgp130および実施例1(3)で作製したpFU−CHIg−dhfrをそれぞれ制限酵素EcoRI、NheIで消化後、精製し、ライゲーションした。当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換体からプラスミドを抽出することで、抗ヒトgp130R抗体の重鎖(H鎖)を発現するプラスミドpFU−gp130H−dhfrを得た。また(1)で作製したpUC−VLgp130および実施例1(3)で作製したpFU−CLIg−dhfrをそれぞれ制限酵素EcoRI、BsiWIで消化後、精製し、ライゲーションした。当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換体からプラスミドを抽出することで、抗ヒトgp130R抗体の軽鎖(L鎖)を発現するプラスミドpFU−gp130L−dhfrを得た。
(3)(2)で得られたpFU−gp130L−dhfrを鋳型として、配列番号14(5’−GCCTCTTCCCGGGCCGAGCTGGTGCTGACTC−3’)および配列番号15(5’−AAT[GCGGCCGC]TACTAACACTCTCCCCTGTTGAAGC−3’)(配列番号15中の角かっこは制限酵素NotI認識配列を示している)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを行なった。具体的には、表3に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1.5分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。このPCRにより抗ヒトgp130R抗体のL鎖全長をコードする遺伝子を増幅し、精製後に得られたPCR産物をhgp130−L1と命名した。
(4)(3)で得られたhgp130−L1を鋳型として、配列番号16(5’−CTA[GAATTC]GCCACCATGACCCGGCTGACC−3’)および配列番号15(配列番号16中の角かっこは制限酵素EcoRI認識配列を示している)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、配列番号17に記載のアミノ酸配列からなるシグナル配列(MTRLTVLALLAGLLASSRA)を付加するため、配列番号17に記載のアミノ酸配列をコードする配列番号18(5’−ATGACCCGGCTGACCGTGCTGGCCCTGCTGGCTGGCCTGCTCGCCTCTTCCCGGGCC−3’)に記載のポリヌクレオチドを添加してPCRを行なった。具体的には、表4に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1.5分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。このPCRにより、抗ヒトgp130R抗体のL鎖全長をコードする遺伝子に配列番号17に記載のシグナル配列をコードする遺伝子を付加した遺伝子を増幅し、精製後に得られたPCR産物をhgp130−L2と命名した。
(5)(4)で得られたhgp130−L2および図1に記載の発現ベクターpEFdをそれぞれ制限酵素EcoRIおよびNotIで消化し、精製後ライゲーションした。当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換体からプラスミドを抽出することで哺乳動物細胞において抗ヒトgp130R抗体のL鎖を発現可能なプラスミドpEFd−gp130Lを得た。なお、図1に記載のpEFdベクターは配列番号19に記載のEF1αプロモーターのうち621番目のグアニンから798番目のグアニンまでのヌクレオチドが欠損しているプロモーター(EFd pro)を有しており、SV40のpolyAおよびdhfr遺伝子も有している。
(6)(2)で得られたpFU−gp130H−dhfrを鋳型として、配列番号20(5’−GCCTCTTCCCGGGCCCAGGTTCAACTCCAG−3’)および配列番号21(5’−AAT[GCGGCCGC]TATCATTTACCCGGAGACAGGGAGAG−3’)(配列番号21中の角かっこは制限酵素NotI認識配列を示している)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを行なった。具体的には、表3に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1.5分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。このPCRにより、抗ヒトgp130R抗体のH鎖全長をコードする遺伝子を増幅し精製後に得られたPCR産物をhgp130−H1と命名した。
(7)(6)で得られたhgp130−H1を鋳型として、配列番号16および配列番号21に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、配列番号17に記載のアミノ酸配列からなるシグナル配列を付加するため、配列番号18に記載のポリヌクレオチドを添加してPCRを行なった。具体的には、表4に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1.5分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。このPCRにより、抗ヒトgp130R抗体のH鎖全長をコードする遺伝子に配列番号17に記載のシグナル配列をコードする遺伝子を付加した遺伝子を増幅し、精製後に得られたPCR産物をhgp130−H2と命名した。
(8)(7)で得られたhgp130−H2および図1に記載の発現ベクターpEFdをそれぞれ制限酵素EcoRIおよびNotIで消化し、精製後ライゲーションした。当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換体からプラスミドを抽出することで哺乳動物細胞において抗ヒトgp130R抗体のH鎖を発現可能なプラスミドpEFd−gp130Hを得た。
(9)(5)で得られたpEFd−gp130L、(8)で得られたpEFd−gp130Hを用いた以外は実施例2と同様の方法で高発現細胞の構築を行ない、MTX濃度を50nM、250nM、1μM、2μMと段階的にあげることで抗ヒトgp130R抗体高発現細胞を構築した。
実施例4 フラスコ培養におけるL‐グルタミン(Gln)の効果(その1)
(1)実施例2で得られた抗IL−6R抗体高発現細胞または実施例3で得られた抗ヒトgp130R抗体高発現細胞を、50μg/mLのカナマイシンおよび40mL/LのGlutaMAX(Thermo Fisher Scientific社製)を含むBalanCD CHO Growth A medium(Irvine Scientific社製)を入れた125mLの三角フラスコ(Corning社製)に接種し、130rpm、37℃、8%COの条件下で振盪培養した。
(2)細胞数が1×10cells/mL以上になったところで、50μg/mLのカナマイシンを含むBalanCD CHO Growth A mediumで培地交換することで培地に含まれるGlutaMaxを除き、生細胞数をCountess(Thermo Fisher Scientific社製)を使用して測定した。
(3)50μg/mLのカナマイシンを含んだBalanCD CHO Growth A mediumに、生細胞数0.2×10cells/mLとなるよう接種し液量を20mLとして125mLの三角フラスコに加えた。
(4)フィルター滅菌したL−グルタミンを終濃度で0.1mM、0.5mM、1mM、2mM、4mM、8mMまたは10mMとなるように添加し、130rpm、37℃、8%COの条件下で9日間、振盪培養した。培養途中で培養液をサンプリングし、生細胞数をCountess(Thermo Fisher Scientific社製)を使用して測定し、抗体生産性はヒトIgG1(シグマ社製)を標準品とした検量線に基づき、実施例2(2)に記載のELISA法にて測定した。
(5)培養終了後の培養液を遠心分離によって細胞および不純物を除去し、上清を得た。
(6)オープンカラムに1.0mLのMabSelect SuRe LX(GEヘルスケア社製)を詰めて分離カラムを作製し、150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMのTris−HCl(pH7.4)で平衡化した後、(5)で得られた上清をアプライした。
(7)(6)で平衡化に用いた緩衝液10mLで(6)で作製した分離カラムを洗浄後、0.1Mのグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)4mLで前記分離カラムに吸着した抗体を溶出した。溶出液に1mLの1M Tris−HCl(pH8.0)を加えることでpHを中性領域に戻したのち、限外ろ過膜で濃縮しながら50mMのクエン酸緩衝液(pH6.5)に緩衝液交換することで、添加したL‐グルタミン濃度が異なる条件で培養した、高純度な抗IL−6R抗体および抗ヒトgp130R抗体を得た。
(8)ヒトFcγRIIIaを固定化した担体(分離剤)を詰めたカラム(FcR9_Fカラム、WO2018/150973号の実施例5に記載)を用いて、下記の方法により(7)で得られた抗IL−6R抗体および抗ヒトgp130R抗体を分析した。
(8−1)FcR9_Fカラムを高速液体クロマトグラフィー装置(島津製作所社製)に接続し、カラムオーブンで前記カラムを25℃の恒温状態に維持した状態で、50mMのクエン酸緩衝液(pH6.5)を流速1.0mL/minで10分間流すことにより前記カラムを平衡化した。
(8−2)(7)で得た抗IL−6R抗体および抗ヒトgp130R抗体を(8−1)で用いた緩衝液で1.0mg/mLに希釈し、当該希釈抗体溶液を流速1.0mL/minにて10μL添加した。
(8−3)(8−1)で用いた緩衝液を流速1.0mL/minで2分間流した後、50mMのクエン酸緩衝液(pH4.5)によるpHグラジエント(18分間で50mMのクエン酸緩衝液(pH4.5)が100%となるグラジエント)でFcR9_Fカラムに吸着した抗体を溶出した。
培地中に添加したL‐グルタミン濃度の違いによる、抗IL−6R抗体のFcR9_Fカラムによる分析結果を図2に、抗ヒトgp130R抗体のFcR9_Fカラムによる分析結果を図3に、それぞれ示した。また、図2に記載の分析結果にある各ピーク(ピーク1、ピーク2およびピーク3)の面積割合ならびに9日間培養時の抗体生産性および生細胞数を表5に、図3に記載の分析結果にある各ピーク(ピーク1、ピーク2およびピーク3)の面積割合ならびに9日間培養時の抗体生産性および生細胞数を表6に、それぞれ示した。
図2および図3ならびに表5および表6より、培地中に含まれるL‐グルタミンの濃度が低いほどFcR9_Fカラムとの結合力が強い(乖離が遅い)ピーク(図表中のピーク3)の割合が増加していることがわかる。FcR9_Fカラムに固定化されているFcγRIIIaとの結合性が高いほど抗体のADCC活性は高くなる(特開2016−023152号公報、WO2018/150973号)。すなわち培地中に含まれるL‐グルタミン濃度が低い(L‐グルタミン量を制限した)条件で培養すると、図2および図3ならびに表5および表6におけるピーク3の示す割合が高くなり、抗体の示すADCC活性が高くなることがわかる。一方、培地中に添加するL‐グルタミン量を制限しすぎる(例えば、L‐グルタミン濃度0.1mM)と、細胞増殖性が悪化する(表5および表6)。以上の結果より、抗体を発現可能な哺乳動物細胞を培養する際、培地に添加するL‐グルタミンを終濃度0.2mMから4mM(好ましくは終濃度0.5mMから2mM)に制限することで、細胞増殖性を損なうことなくADCC活性が向上した抗体を得られることがわかる。
実施例5 フラスコ培養におけるL‐グルタミン(Gln)の効果(その2)
細胞を実施例2で得られた抗IL−6R抗体高発現細胞とし、培養に用いた培地をCD Opti CHO Medium(Thermo Fisher Scientific社製)とし、添加するL‐グルタミンを終濃度0.5mM、1mM、2mM、4mM、8mMまたは10mMとし、培養期間を10日間にした以外は、実施例4と同様の方法で培養および分析を行なった。
培地中に添加したL‐グルタミン濃度の違いによる、抗IL−6R抗体のFcR9_Fカラムによる分析結果を図4に示した。また、図4に記載の分析結果にある各ピーク(ピーク1、ピーク2およびピーク3)の面積割合ならびに10日間培養時の抗体生産性および生細胞数を表7に示した。使用培地をCD Opti CHO Mediumに変えたことで、実施例4(図2および図3)では確認できなかった、FcR9_Fカラムとの結合がより弱い(乖離が速い、すなわちADCC活性が低い)ピーク(ピーク0)が確認された(図4)。
図4および表7より、培地中に含まれるL‐グルタミンの濃度が低いほどFcR9_Fカラムとの結合力が強い(乖離が遅い)ピーク(図表中のピーク3)の割合が増加していることがわかる。図4および表7におけるピーク3の示す割合が高いほうが抗体の示すADCC活性が高くなることから、培地中に含まれるL‐グルタミンの濃度を制限(具体的には、終濃度で0.5mMから4mM、好ましくは終濃度0.5mMから2mM)することで、細胞増殖性を損なうことなく、ADCC活性が向上した抗体が得られることがわかる。
実施例6 バイオリアクターを用いたバッチ培養におけるL‐グルタミンの効果
(1)50μg/mLのカナマイシン、40mL/LのGlutaMAX(Thermo Fisher Scientific社製)を含む100mLのBalanCD CHO Growth A mediumを入れた500mLの三角フラスコ(Corning社製)に、実施例2で作製した抗IL−6R抗体高発現細胞を接種し、130rpm、37℃、8%COの条件下で振盪培養した。
(2)校正したpH計、溶存酸素(DO)計をセットした2Lの滅菌済ジャーファーメンター(バイオット社製)に、50μg/mLのカナマイシンを含む900mLのBalanCD CHO Growth A mediumを入れ、通気しながら37℃、100rpmで攪拌し一晩放置した。
(3)一晩放置後、溶存酸素の上限を6.86とセットし、あらかじめ50μg/mLのカナマイシンを含んだBalanCD CHO Growth A mediumで洗浄することでGlutaMAXを除いた、(1)で培養した抗IL−6R抗体高発現細胞を0.2×10cells/mLとなるよう接種後、終濃度で1mMまたは10mMとなるようL−グルタミンを添加し、全量が1Lとなるよう(2)に記載の培地を追加した。
(4)培地および細胞を入れたジャーファーメンターを制御装置(BCP:バイオット社製)にセットし、8%COを100mL/分で流しながら、37℃、100rpmで9日間バッチ培養した。なお培養中、pHはCOと0.5Mの炭酸水素ナトリウム水溶液を添加することで制御し、DOは37℃での飽和溶存酸素量の50%量を保つよう制御した。培養途中で培養液をサンプリングし、生細胞数をCountess(Thermo Fisher Scientific社製)を使用して測定し、抗体生産性を実施例2(2)に記載のELISA法(検量線作成のための標準品としてヒトIgG1(シグマ社製)を使用)にて測定した。また前記サンプリングした培養液から、実施例4(5)から(7)に記載の精製方法を用いて得られた培養液から抗体を精製し、実施例4(8)に記載の方法でFcR9_Fカラムによる抗体分析を行なった。
1mMのL‐グルタミンを添加した培養を9日間行ない得られた抗IL−6R抗体のFcR9_Fカラムによる分析結果を図5に示した。同様に10mMのL‐グルタミンを添加した培養を9日間行ない得られた抗IL−6R抗体のFcR9_Fカラムによる分析結果を図6に示した。また図5および図6に記載の分析結果にある各ピーク(ピーク1、ピーク2およびピーク3)の面積割合を表8に示した。さらにL‐グルタミン濃度の異なる培養における抗体生産性の推移を図7に、生細胞数の推移を図8に、それぞれ示した。
図5と図6および表8の結果からL‐グルタミンを10mM添加したときと比較して1mM添加したときはFcR9_Fカラムとの結合力が弱いピーク(ピーク1)の割合が低下(10mML−グルタミン添加:42.3%、1mML‐グルタミン添加:25.0%)する一方、結合力が強いピーク(ピーク3)の割合は増加した(10mML‐グルタミン添加:22.1%、1mML‐グルタミン添加:36.0%)。以上の結果から、ジャーファーメンターでのバッチ培養においても、フラスコ培養のときと同様、培地に添加するL‐グルタミンを制限することで、抗体を発現可能な哺乳動物細胞が発現した抗体が有するADCC活性が向上することがわかる。さらに表8から、培養終了時の抗体の生産を比較すると10mML‐グルタミン添加時の37.0mg/Lに対して1mML‐グルタミン添加時は52.0mg/Lと抗体生産性も向上していることがわかる。
実施例7 フラスコ培養におけるL‐グルタミンとマンガンの効果
細胞を実施例2で得られた抗IL−6R抗体高発現細胞とし、添加するL‐グルタミンを終濃度で0.5mM、2mMまたは8mMとし、硫酸マンガンを未添加または終濃度で1μM、5μMもしくは10μMとなるよう添加し、培養期間を10日間にした以外は実施例4と同様の方法で培養および分析を行なった。
培地中に添加したL‐グルタミン濃度およびマンガン濃度の違いによる、培養から得られた抗IL−6R抗体のFcR9_Fカラムによる分析結果を図9に示した。また図9に記載の分析結果にある各ピーク(ピーク1、ピーク2およびピーク3)の面積割合および培養10日目の抗体生産性、生細胞数を表9に示した。
図9および表9の結果より、培地に1μMまたは5μMのマンガンイオンを添加したときに抗体生産性を大きく低下させることなく、FcR9_Fカラムとの結合力が弱いピーク(ピーク1)の割合が低下し、結合力が強いピーク(ピーク3)の割合が増大している。さらに前記濃度のマンガン存在下で、L‐グルタミンの濃度を0.5mMまたは2mMとすると、さらにピーク1の割合が低下し、ピーク3の割合が増大している。
以上の結果から、培地に0.5mMから4mMのL‐グルタミンに加え0.3μMから7μMのマンガンイオンも添加することで、FcR9_Fカラムとの結合が強い、すなわちADCC活性が向上した抗体が得られることがわかる。

Claims (6)

  1. 抗体を発現可能な哺乳動物細胞を培養する工程と、得られた培養物中に含まれる前記哺乳動物細胞が発現した抗体を回収する工程とを含む、抗体の製造方法において、
    前記培養工程を0.2mMから4mMのL‐グルタミンを含有する培地で行なうことで、抗体依存性細胞傷害活性が向上した抗体を製造する方法。
  2. 抗体を発現可能な哺乳動物細胞を培養する工程を、0.2mMから4mMのL‐グルタミンおよび0.3μMから7μMのマンガンイオンを含有する培地で行なう、請求項1に記載の製造方法。
  3. 抗体がヒトFc領域を含む抗体である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 請求項3に記載の製造方法で得られた抗体とヒトFcγRIIIaとの親和性を評価することで、請求項3に記載の製造方法における培養工程をモニタリングする方法。
  5. 請求項3に記載の製造方法で得られた抗体とヒトFcγRIIIaとの親和性を評価することで、請求項3に記載の製造方法における培地成分を評価する方法。
  6. 請求項3に記載の製造方法で得られた抗体とヒトFcγRIIIaとの親和性評価を、請求項3に記載の製造方法で得られた抗体とヒトFcγRIIIa固定化分離剤との結合力に基づき行なう、請求項4または5に記載の方法。
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