JP2020187688A - 触覚提示装置、キャリブレーション方法及びプログラム - Google Patents

触覚提示装置、キャリブレーション方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】より正確に目的の振動波形を再現する。【解決手段】実施形態に係る触覚提示装置は、振動を提示する振動部と、前記振動部による前記振動をユーザへ伝える接触部と、前記接触部を変位可能に支持する設置部と、前記接触部に設けられた加速度センサとを備える。【選択図】図17

Description

本開示は、触覚提示装置、キャリブレーション方法及びプログラムに関する。
近年、内視鏡外科手術を施す際に用いられる外科手術システムとして、患者の体を大きく切開することなく患部へのアプローチを可能とするマスター・スレーブ方式のシステムが知られている。かかるシステムでは、医師等の術者(ユーザ)が入力インタフェースを備えたマスター装置を操作すると、マスター装置に設けられた力センサが計測する術者の入力操作の力に応じて、鉗子又は攝子等の医療用術具を備えたスレーブ装置が遠隔操作される。スレーブ装置は、例えば、先端に術具が保持されるアーム装置として構成され、腹腔内において術具の位置又は姿勢を変化させることができる。
かかるシステムでは、術具が患者に接触した時の触覚が術者に伝達されない場合、術者は、術具が患者に接触していることに気付かず、患者の生体組織に損傷を与える恐れがある。そのため、術具が患者に接触した時の触覚が術者に伝達されることが望ましい。術具が患者に接触した時の触覚を術者に伝達する手法には、例えば、スレーブ装置に触覚を計測するセンサを設け、当該センサが計測した触覚に関する情報をマスター装置側に送信し、振動等により術者へ触覚を伝達する手法がある。
国際公開第2017/043610号
しかしながら、単にマスター装置に圧覚・触覚提示装置を搭載した場合、マスター装置の力センサに振動アクチュエータの振動が伝達されるおそれがある。かかる振動アクチュエータの振動は、マスター・スレーブシステムの制御においてはノイズとなり、目的の振動波形を再現することが困難になる可能性が存在する。
そこで本開示では、より正確に目的の振動波形を再現することを可能にする触覚提示装置、キャリブレーション方法及びプログラムを提案する。
上記の課題を解決するために、本開示に係る一形態の触覚提示装置は、振動を提示する振動部と、前記振動部による前記振動をユーザへ伝える接触部と、前記接触部を変位可能に支持する設置部と、前記接触部に設けられた加速度センサとを備える。
第1の実施形態に係る触覚提示装置を含む触覚提示システムの概要を説明するための模式図である。 第1の実施形態に係るマスター装置の外部構成例を示す説明図である。 第1の実施形態に係るマスター装置の内部構成例を示すブロック図である。 第1の実施形態に係る信号処理部の構成例を示すブロック図である(その1)。 第1の実施形態に係る信号処理部の構成例を示すブロック図である(その2)。 第1の実施形態に係る信号処理部の構成例を示すブロック図である(その3)。 第1の実施形態に係る触覚提示装置の概略構成例を示す斜視図である。 第1の実施形態に係る触覚提示装置の操作例を示す説明図である。 第1の実施形態に係る触覚提示装置の部分構成例を示す説明図である。 図9における設置部の表側から見た第1の実施形態に係る触覚提示装置の組み立て例を示す説明図である。 図9における設置部の裏側から見た第1の実施形態に係る触覚提示装置の組み立て例を示す説明図である。 第1の実施形態に係る触覚提示装置のI−I断面におけるフローティング構造部の構造例を示す断面図である。 第1の実施形態に係る触覚提示装置を示す簡略図である。 第1の実施形態に係る第1の接触面の初期位置の例を示す説明図である(その1)。 第1の実施形態に係る第1の接触面の初期位置の例を示す説明図である(その2)。 第1の実施形態に係る信号処理部の動作例を示すフローチャートである。 図13に示された触覚提示装置の構成に対してゲイン調整を実行するための構成を追加で記載した構成例を示す模式断面図である。 第1の実施形態に係る指令値の波形例を示す波形図である。 図18に示す指令値に対して第1の実施形態に係る調整をせずに振動部に入力した場合に加速度センサで検出される振動波形の例を示す波形図である。 図18に示す指令値に対して第1の実施形態に係る調整をして振動部に入力した場合に加速度センサで検出される振動波形の例を示す波形図である。 振動部から人の指までの振動伝達経路における機械共振の振幅の周波数依存性の一例を示す図である。 振動部から人の指までの振動伝達経路における機械共振の位相の周波数依存性の一例を示す図である。 入力波形に対する出力波形の歪みを説明するための図である。 出力波形に含まれる高調波を説明するための図である。 人の皮膚の機械インピーダンスと出力波形のゲインとの関係を説明するための図である。 第1の実施形態に係る記憶部に記憶されるユーザごとの補正量を説明するための図である。 第1の実施形態に係るテスト信号の一例を示す波形図である。 第1の実施形態に係るテスト信号の他の一例を示す波形図である。 第1の実施形態に係るキャリブレーションの動作フロー例を示すフローチャートである。 設置部の裏側から見た第1の実施形態に係る第1の変形例を示す説明図である。 設置部の側面から見た第1の実施形態に係る第1の変形例を示す説明図である。 第1の実施形態に係る第1の変形例のII−II断面における構造例を示す説明図である。 第1の実施形態に係る第2の変形例を示す説明図である。 第1の実施形態に係る第3の変形例を示す説明図である。 第1の実施形態に係る第4の変形例を示す説明図である。 第2の実施形態に係る振動デバイスの外観を示す図である。 第2の実施形態に係る振動デバイスの断面を示す図である。 本開示の実施形態に係るマスター装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
以下に、本開示の一実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
また、以下に示す項目順序に従って本開示を説明する。
1.第1の実施形態
1.1 触覚提示システムの概要
1.1.1 マスター装置の概要
1.1.2 スレーブ装置の概要
1.2 マスター装置の詳細
1.2.1 マスター装置の外部構成例
1.2.2 マスター装置の内部構成例
1.3 操作装置の具体例
1.3.1 操作装置の外部構成例
1.3.1.1全体構成例
1.3.1.2 フローティング構造部の構成例
1.3.1.3 第1の接触面の初期位置
1.4 動作例
1.5 ゲイン調整
1.6 キャリブレーション用のテスト信号例
1.7 キャリブレーションの動作フロー例
1.8 変形例
2.第2の実施形態
2.1 振動デバイスの構造
3.ハードウェア構成
1.第1の実施形態
まず、本開示の第1の実施形態に係る触覚提示装置、キャリブレーション方法及びプログラムについて、以下に図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、マスター・スレーブ方式の医療ロボットシステムを例に、本開示の実施形態に係る触覚提示装置、キャリブレーション方法及びプログラムを説明する。
1.1 触覚提示システムの概要
図1は、第1の実施形態に係る触覚提示装置を含む触覚提示システムの概要を説明するための模式図である。図1に示すように、触覚提示システム1は、マスター装置10(10R及び10L)と、スレーブ装置50とを備える。マスター装置10は、医師等の術者(以下では、ユーザとも称される)が操作する入力インタフェースを備えた装置である。スレーブ装置50は、マスター装置10におけるユーザの操作に応じて遠隔操作される鉗子又は攝子等の医療用術具を備えた装置である。
触覚提示システム1には、一例としてバイラテラル制御が採用されている。バイラテラル制御とは、マスター装置10とスレーブ装置50との間で、入力インタフェースと術具の位置、及び力の状態を一致させるフィードバック制御である。例えば、ユーザが入力インタフェースを操作すると、当該操作に応じて術具は移動する。術具が移動して患者に接触すると、接触した時の力が入力インタフェースにフィードバックされる。
なお、マスター装置10とスレーブ装置50とは、任意の通信方式で接続されている。例えば、マスター装置10とスレーブ装置50とは、有線通信または無線通信によって接続されている。また、例えば、マスター装置10とスレーブ装置50とは、直接的に通信を行う構成であってもよいし、ネットワーク(または他の装置)を介して通信を行う構成であってもよい。
1.1.1 マスター装置の概要
マスター装置10は、スレーブ装置50の駆動制御や、スレーブ装置50のセンサが計測した振動信号(第1の信号)等をユーザへ提示する機能を有する触覚提示装置である。マスター装置10は、例えば、受動関節を含む1または2以上の関節と、関節に接続されるリンクとを有する装置(受動関節を含むリンク機構を有する装置)である。なお、受動関節は、モータやアクチュエータなどにより駆動しない関節である。
図1に示すように、マスター装置10は、ユーザが把持して操作する操作装置100(100R及び100L)を備えている。この操作装置100は、スレーブ装置50の術具(後述する先端部分に相当)が患者の患部等に接触した際の感触をユーザへ伝える触覚提示装置に相当する。また、マスター装置10には、術野が表示されるモニタ30が接続され、ユーザが両腕又は両肘を載せる支持台32が設けられている。なお、マスター装置10は、右手用のマスター装置10R、及び左手用のマスター装置10Lで構成されている。さらに、右手用のマスター装置10Rには右手用の操作装置100Rが備えられ、左手用のマスター装置10Lには左手用の操作装置100Lが備えられている。
ユーザは、両腕又は両肘を支持台32上に載せ、右手及び左手でそれぞれ操作装置100R、100Lを把持する。この状態で、ユーザは、術野が表示されるモニタ30を見ながら操作装置100R、100Lを操作する。ユーザは、それぞれの操作装置100R、100Lの位置及び向きを変位させることにより、スレーブ装置50に取り付けられた術具の位置又は向きを遠隔操作し、あるいは、それぞれの術具による把持動作を行ってもよい。
1.1.2 スレーブ装置の概要
スレーブ装置50は、手術における患者の患部(以下では、対象物とも称される)と、対象物と接触するスレーブ装置50の部位が接触した際の力及び振動をマスター装置10へ提示する。スレーブ装置50は、例えば、マスター装置10の動きに対応して動くための、1または2以上の能動関節と、能動関節に接続されるリンクとを有する装置(能動関節を含むリンク機構を有する装置)である。なお、能動関節は、モータやアクチュエータなどにより駆動する関節である。
スレーブ装置50では、図1に示すアームの先端部分(図1に示すA)に、各種センサ(例えば、原点センサや、Limitセンサ、エンコーダ、マイクロフォン、加速度センサなど)が設けられる。また、スレーブ装置50のアームの先端部分には、力センサ(図1に示すB)が設けられる。力センサBは、アームの先端部分が患者と接触した際に、アームの先端部分に印加される力を計測する。なお、上述した各種センサが備えられる場所は特に限定されず、各種センサは、アームの先端部分の任意の場所に備えられてもよい。
スレーブ装置50は、例えば、能動関節の動きを計測するための動きセンサを、能動関節それぞれに対応する位置に備える。上記動きセンサとしては、例えば、ポテンショメータやエンコーダなどが挙げられる。また、スレーブ装置50は、例えば、能動関節を駆動させるための駆動機構を、能動関節それぞれに対応する位置に備える。上記駆動機構としては、例えば、モータ及びそのドライバ等が挙げられる。
なお、このような触覚提示システム1は、バーチャルリアリティな環境に適用されてもよい。例えば、マスター装置10を操作した際に、モニタ30に仮想的なスレーブ装置50側の環境を示す映像を映し、ユーザは、当該映像に基づき、マスター装置10を操作してもよい。
1.2 マスター装置の詳細
以下では、図2〜図6を参照しながら、本実施形態に係るマスター装置10について、より詳細に説明する。
1.2.1 マスター装置の外部構成例
まず、図2を参照しながら、マスター装置10の外部構成例について説明する。図2は、第1の実施形態に係るマスター装置の外部構成例を示す説明図である。
図2に示すマスター装置10は、支持アーム部40と、本体部20と、ベース部34と、操作装置100とを備える。ベース部34は、マスター装置10の基台部分であり、例えばアルミニウム製のフレーム材が組み合わされることで構成されてもよい。ただし、ベース部34の構成はかかる例に限定されない。ベース部34には、支持台32が取り付けられている。ユーザは、支持台32に肘又は腕を載せた状態で操作装置100を操作することで、操作の安定性を得ることができる。なお、支持台32は、ベース部34に取り付けられていなくてもよく、マスター装置10の構成要素に含まれていなくてもよい。
支持アーム部40は、基端側で本体部20に支持される。支持アーム部40の先端側には、操作装置100が取り付けられている。支持アーム部40は、第1のアーム部40aと、第2のアーム部40bと、第3のアーム部40cと、第4のアーム部40dとを有する。第1のアーム部40a、第2のアーム部40b、及び第3のアーム部40cのそれぞれの先端側は第4のアーム部40dに連結され、基端側は本体部20に連結される。本体部20には、第1のアーム部40a、第2のアーム部40b、及び第3のアーム部40cと本体部20との連結部分の回転を制御する3つのモータ36(1つは不図示)が備えられる。
第1のアーム部40a、第2のアーム部40b、及び第3のアーム部40cは、それぞれ複数のリンク部が互いに回動可能に直列に連結されることで構成される。また、第1のアーム部40a、第2のアーム部40b、及び第3のアーム部40cと、第4のアーム部40dとの連結部分も互いに回動可能に連結されている。さらに、第1のアーム部40a、第2のアーム部40b、及び第3のアーム部40cと、本体部20との連結部分も互いに回動可能に連結されている。
これらの複数のリンク部あるいはアーム部の連結部分が関節部となって、当該関節部を中心に、それぞれのリンク部あるいはアーム部の角度が自由に変化し得る。これにより、支持アーム部40の先端側に取り付けられた操作装置100の空間上の位置が自由に変化し得る。また、第4のアーム部40dは、複数のアームが連結されることで構成され、それぞれのアームは、軸回転可能になっている。これにより、支持アーム部40の先端側に取り付けられた操作装置100の向きが自由に変化し得る。
第1のアーム部40a、第2のアーム部40b、及び第3のアーム部40cと、本体部20とのそれぞれの連結部分には、各アーム部の回転角度を検出するためのエンコーダが設けられている。また、第4のアーム部40dには、各アームの軸回転角度を検出する複数のエンコーダが設けられている。エンコーダは回転角度を検出するセンサの一例であり、他のセンサに置き換えられてもよい。これらのエンコーダによって検出された回転角度を示す信号は、マスター装置10が備え、後述される制御部160に送信される。
操作装置100は、スレーブ装置50に支持された術具を動作させるための把持インタフェースとして機能する。ユーザが、操作装置100の位置や向きを変化させることにより、支持アーム部40の姿勢が変化し、関節部の回転角度やアームの軸回転角度が変化する。操作装置100と第4のアーム部40dとの接続部分には力センサ152が設けられている。かかる力センサ152によって、ユーザにより操作装置100に対して入力される力が検出される。
なお、関節部の回転角度及びアームの軸回転角度を検出する回転角度センサを含む支持アーム部40は、従来公知の支持アーム装置を用いて構成し得るものであり、支持アーム部40の構成についての詳細な説明は省略する。
1.2.2 マスター装置の内部構成例
次に、図3〜図6を参照しながら、第1の実施形態に係るマスター装置10の内部構成例について説明する。図3は、第1の実施形態に係るマスター装置の内部構成例を示すブロック図である。図3に示すように、マスター装置10は、振動部120、センサ部150、制御部160で構成される。
(1)振動部120
振動部120は、操作装置100の操作対象の振動を提示するための振動装置であり、操作装置100に備え付けられる。例えば、振動部120は、操作対象がオブジェクトに触れることで発生する振動に基づく信号処理部170からの入力に応じて振動する。なお、第1の実施形態では、振動部120としてボイスコイルモータ(VCM:Voice Coil Motor)式の振動アクチュエータが用いられているが、他の振動装置であってもよい。例えば、振動装置として、LRA(Linear Resonant Actuator)や圧電素子等が用いられてもよい。
(2)センサ部150
センサ部150は、スレーブ装置50の駆動制御及び力覚提示を行うための情報を計測する機能を有する。例えば、センサ部150は、力センサ152(トルクセンサ)、回転角度センサを備える。図2を参照して上記説明したように、力センサ152は、例えば、支持アーム部40と、支持アーム部40の先端に取り付けられた操作装置100との接続部分に設けられる。この力センサ152は、互いに直交する3軸方向に作用する力と、この3軸それぞれを中心軸とした回転方向のトルクとを計測する6軸センサであってよい。つまり、力センサ152は、ユーザによって操作装置100に入力される力及びトルク(以下、力及びトルクをまとめて、単に力ともいう)を計測する。また、回転角度センサは、支持アーム部40の複数の関節部に設けられ、各関節部の回転角度を計測する。回転角度センサは、例えば、エンコーダであってもよい。
なお、力センサ152は、ユーザが操作装置100を操作した際に印加されるユーザの力の計測を試みる。しかし、力センサ152が計測する力は、ユーザの力以外に、操作装置100の自重により生じる重力と操作装置100が動くことにより生じる慣性力が含まれる。また、力センサ152が計測する力には、振動部120が発生させる振動がノイズとして含まれる場合もある。上述のように、ユーザの力以外に、重力、慣性力、またはノイズの少なくともいずれかを含む、力センサ152が計測した力は、以下では外力とも称される。また、以下の説明では、外力にはユーザの力、重力、慣性力、及びノイズが含まれるものとする。
上述のようにしてセンサ部150が計測した情報は、制御部160に出力される。
(3)制御部160
制御部160は、スレーブ装置50の動作を制御する機能を有する。例えば、制御部160は、マスター装置10に備えられたエンコーダにより検出される回転角度の情報に基づき、スレーブ装置50のアームの姿勢を制御して、スレーブ装置50に支持された術具の位置や向きを変化させる。このとき、制御部160は、スレーブ装置50の術具に対して作用する外力を検出し、当該外力に基づいて3つのモータ36(1つは不図示)を駆動制御することにより、ユーザによって操作される操作装置100の動きに対して反力を付与する。それにより、ユーザに対して、操作装置100の移動動作に対する力覚が提示される。
また、制御部160は、ユーザが操作装置100の把持動作を行うことにより、操作装置100から把持動作の操作量を示す信号を取得し、当該信号に基づいて、スレーブ装置50に取り付けられた術具に把持動作を行わせる。このとき、制御部160は、スレーブ装置50に取り付けられた術具の把持動作時に対する反力を検出し、当該反力に基づいて操作装置100に備えられた図示しないモータを駆動制御することによって、ユーザに対して、操作装置100の把持動作に対する力覚を提示してもよい。
また、制御部160は、スレーブ装置50で計測された振動をユーザへ伝達する処理を制御する機能を有する。当該処理を実現するために、制御部160は、図3に示すように、信号処理部170、記憶部180、上位制御部190を備える。
(信号処理部170)
信号処理部170は、スレーブ装置50から受信した信号に基づき振動部120の振動を制御する機能を有する。例えば、信号処理部170は、スレーブ装置50のセンサが計測した振動信号を後述する上位制御部190を介して受信し、当該振動信号からノイズを除去する信号処理を行い、処理後の振動信号に基づき振動部120を振動させる制御を行う。
また、信号処理部170は、センサ部150が計測した力に対応する力を上位制御部190へ出力する処理を制御する機能を有する。例えば、信号処理部170は力センサ152が計測する外力から、振動部120により提示される振動の成分を除去する。
ここで、図4〜図6を参照しながら、信号処理部170の構成例について説明する。図4〜図6は、第1の実施形態に係る信号処理部の構成例を示すブロック図である。上述の機能を実現するために、第1の実施形態に係る信号処理部170は、図4に示すように、帯域制限部171、DRI(DRIVER)172、A/D173、逆動力学演算部174、ノイズ推定部175、加算器178、加算器179を備える信号処理回路として構成される。
・帯域制限部171
帯域制限部171は、入力信号から特定の帯域を除去する機能を有する。例えば帯域制限部171は、フィルタを用いて、マスター装置10の力センサ152に振動ノイズとして影響するおそれのある低周波成分の除去や、ユーザが触覚として感知しない音などの振動に対応する周波数成分、またはあらかじめ記憶している所定の周波数成分を振動信号から除去する。より具体的には、帯域制限部171は、入力信号をフィルタに通すことで、所定の周波数帯域成分を除去する。より具体的には、例えば、帯域制限部171は、低域の信号を遮断して高域の信号のみを通すハイパスフィルタ(HPF:High−Pass Filter)を用いて、所定の周波数以下の振動信号を遮断することで、入力信号から特定の帯域を除去する。ここでの所定の周波数とは、マスター装置10の力センサ152に振動ノイズとして影響するおそれのある低周波成分の下限値である。例えば、所定の周波数は、30Hz程度であってもよい。なお、上記の所定の周波数は、記憶部180にあらかじめ登録されてもよい。
また、帯域制限部171は、例えば、高域の信号を遮断して低域の信号のみを通すローパスフィルタ(LPF:Low−Pass Filter)を用いて、所定の周波数以上の振動信号を遮断することで、入力信号から特定の帯域を除去してもよい。ここでの所定の周波数とは、ユーザが触覚として感知可能な周波数の上限値である。例えば、所定の周波数は、700Hz程度であってもよい。また、所定の周波数は、ユーザの年齢、性別、皮膚の状態、及び手袋を装着しているか否か等に応じて制御されてもよい。なお、上記の所定の周波数は、記憶部180にあらかじめ登録されてもよい。
また、帯域制限部171は、例えば、あらかじめ記憶している所定の周波数成分を振動信号から除去する。より具体的に、記憶部180があらかじめ所定の周波数成分に対応する周波数を記憶しておき、帯域制限部171は、当該周波数に対応する周波数成分が入力された場合、入力信号から当該周波数成分を除去する。そして、帯域制限部171は、特定の帯域を除去した入力信号をDRI172、及びノイズ推定部175に出力する。
このように、帯域制限部171が特定の帯域を除去することで、触覚に対応しない周波数領域の振動やあらかじめ周波数がわかっている振動を、マスター装置10に設けられた振動部120から出力されることが防止される。
なお、帯域制限部171が用いるフィルタは、HPF又はLPFに限定されず、任意のフィルタであってもよい。また、帯域制限部171が特定の帯域を除去する方法は、フィルタを用いる方法に限定されず、任意の方法であってもよい。
・DRI172
DRI172は、駆動回路であり、入力された信号に基づいてマスター装置10の振動部120を駆動させる機能を有する。例えば、DRI172は、帯域制限部171から入力された特定の帯域除去後の振動信号に基づき、振動部120を振動させる。これにより、スレーブ装置50で検出された触覚に対応する振動が振動部120により生成され、術具に生じた触覚振動がユーザに対して伝達される。
・A/D173
A/D173は、アナログ−デジタル変換回路(A/D変換回路)であり、アナログ信号をデジタル信号に変換する機能を有する。例えば、A/D173は、センサ部150の力センサ152から入力信号を受信し、アナログ信号からデジタル信号に変換し、変換後の振動信号を加算器178へ出力する。なお、A/D173は、力センサ152からユーザの力、重力、慣性力、ノイズを含む外力(以下では、力+重力+慣性力+ノイズとも表現される)を入力信号として受信する。
・逆動力学演算部174
逆動力学演算部174は、マスター装置10の動作情報に対して逆動力学演算を行う機能を有する。ここで、動作情報とは、マスター装置10が備える動きセンサの計測結果のことである。例えば、逆動力学演算部174は、力センサ152が計測した力を逆動力学演算により補正する。上述したように、力センサ152が計測した力は、ユーザの力以外に重力、慣性力、またはノイズの少なくともいずれかが含まれる外力である。したがって、力センサ152が計測した力は、正確なユーザの力を示すとは言い難い。そこで、逆動力学演算部174は、逆動力学演算により、当該重力、及び当該慣性力を求めることができるため、力センサ152が計測した力から、より正確なユーザの力を算出することができる。
ここで、逆動力学演算について説明する。逆動力学演算部174は、マスター装置10に備えられた動きセンサの計測結果(即ち、動作情報)である(θ,θ’,θ’’)に対して、逆動力学演算を行う。ここで、(θ,θ’,θ’’)は、(関節の角度,関節の角速度,関節の角加速度)を示している。一般的に、マスター装置10のようなロボットの動力学は、下記の数式1で示される。
Figure 2020187688
ここで、上記数式1の左辺は、ロボットにおける各関節のトルク値を示している。また、上記数式1の右辺の第一項、第二項、および第三項は、慣性項、遠心力・コリオリ力項及び重力項をそれぞれ示している。
逆動力学演算部174は、逆動力学演算を利用した手法により、力センサ部に仮想関節を設けることで力センサ部にかかる重力・慣性力を計算し、外力から減算することで、より正確なユーザの力を算出する。
なお、本実施形態では、逆動力学演算部174は、逆動力学演算により操作装置100の自重により生じる重力を計算し、当該重力を加算器178へマイナス値として出力する。また、逆動力学演算部174は、操作装置100が動くことにより生じる慣性力を計算し、当該慣性力を加算器178へマイナス値として出力する。
・ノイズ推定部175
ノイズ推定部175は、入力された信号に基づきノイズを推定する機能を有する。例えば、ノイズ推定部175は、帯域制限部171から入力された特定の帯域除去後の振動信号に基づき、力センサ152が計測した外力に含まれる、振動部120の振動によるノイズを推定する。
ノイズ推定部175は、予め推定した伝達関数H(ω)に基づき、ノイズを推定してもよい。例えば、図5に示すノイズ推定部175−1は、予め操作装置100の伝達関数H(ω)をシステム同定によって求めておく。そして、ノイズ推定部175−1は、当該伝達関数H(ω)と帯域制限部171から入力された振動信号に基づき、力センサ152が計測した外力に含まれる振動部120の振動によるノイズを推定する。ここで、伝達関数(H)は、入力と出力の関係を示す関数である。
また、ノイズ推定部175は、帯域制限部171から入力された振動信号に対して適応フィルタを用いることで、外力に含まれるノイズを推定してもよい。ここで、図6を参照しながら、ノイズ推定部175が適応フィルタを用いる場合のノイズ推定について説明する。図6は、信号処理部170がノイズ推定部175としてADF(Adaptive Digital Filter:適応フィルタ)を用いたノイズ推定部175−2の例を示している。また、図6に示す信号処理部170は、ノイズ推定部175−2のADFとしてフィードバック回路であるFIR(Finite Impulse Response)フィルタを用いているとする。ここで、適応フィルタは、伝達関数(H)を自己適応させるフィルタである。
ノイズ推定部175−2は、帯域制限部171から入力された振動信号に基づき推定したノイズを加算器179に出力する。当該ノイズを入力された加算器179は、加算器178の加算結果と当該ノイズを用いて加算を行い、加算結果を出力する。そして、当該加算結果に応じたエラー信号がフィードバック回路によりノイズ推定部175−2にフィードバックされ、ノイズ推定部175−2のADFは、当該フィードバックに基づき、エラーが小さくなるように伝達関数(H)を調整することができる。
そして、ノイズ推定部175は、上述のいずれかの方法で推定したノイズを加算器179へマイナス値として出力する。
・加算器178、加算器179
加算器178、及び加算器179は、加算を行う演算器である。例えば、加算器178、及び加算器179は、入力された複数の値に基づき、加算を行う。具体的に、加算器178は、A/D173から入力された外力(力+重力+慣性力+ノイズ)に、逆動力学演算部174からマイナス値として入力された重力と慣性力を加算する。そして、加算器178は、加算により算出された外力(力+ノイズ)を加算器179へ出力する。
また、加算器179は、加算器178から入力された外力(力+ノイズ)に、ノイズ推定部175からマイナス値として入力されたノイズを加算する。そして、加算器179が加算により算出した外力(力)を、制御部160は、信号(第2の信号)として上位制御部190へ出力する。
(記憶部180)
記憶部180は、マスター装置10に関する情報を記憶するための装置である。例えば、記憶部180は、信号処理部170の処理において出力されるデータや、各種アプリケーション等のデータを記憶する。
(上位制御部190)
上位制御部190は、スレーブ装置50の動作の制御に関する機能を有する。例えば、上位制御部190は、スレーブ装置50のセンサが計測した振動信号をスレーブ装置50から受信し、当該駆動信号を信号処理部170の帯域制限部171へ出力する。また、上位制御部190は、信号処理部170が駆動信号に基づき算出した信号を信号処理部170の加算器179から入力され、当該信号に応じてスレーブ装置50を駆動させる。
以上、図3〜図6を参照しながら、本開示の実施形態に係るマスター装置10の内部構成例について説明した。
以上、図2〜図6を参照しながら、本開示の実施形態のマスター装置10について説明した。続いて、第1の実施形態について説明する。
1.3 操作装置の具体例
つづいて、第1の実施形態に係る操作装置100の構成について、具体例を挙げて説明する。第1の実施形態では、触覚提示装置である操作装置100として、スタイラス型の把持インタフェースを例に挙げる。
1.3.1 操作装置の外部構成例
以下では、図7〜図15を参照しながら、第1の実施形態に係る操作装置100の外部構成例について説明する。
1.3.1.1全体構成例
まず、図7、図8を参照しながら、第1の実施形態に係る操作装置100の全体構成例について説明する。図7は、第1の実施形態に係る触覚提示装置の概略構成例を示す斜視図である。図8は、第1の実施形態に係る触覚提示装置の操作例を示す説明図である。
図7に示す操作装置100は、内部にモータ及びエンコーダを収容する筐体101を有する。筐体101は、ユーザが把持しやすいように、全体として長尺の棒状の外形を有する。すなわち、操作装置100は、いわゆるスタイラス型の把持インタフェースとなっている。かかる操作装置100は、先端側において、マスター装置10の第4のアーム部40dに取り付けられる。操作装置100の先端側と第4のアーム部40dとの接続部分には、力センサ152が設けられている。
筐体101の後端側には回転軸部材151が設けられている。回転軸部材151の両端は、軸受部155及び筐体101により支持されている。回転軸部材151には、フレーム部としてのマスタフレーム108が回転軸部材151を中心に回動自在に連結されている。
マスタフレーム108は、操作装置100の一側面側に、操作装置100の長手方向に沿って配置された長尺の部材であり、回転軸部材151の軸方向に対して交差する方向に沿って延在する。マスタフレーム108の先端側の適宜の位置には、マスタフレーム108の回転方向に対して交差し、かつ、操作装置100の長手方向に沿って延在する面を有する設置部140が設けられている。設置部140は、孔114(孔114a、孔114b及び孔114c)を介して、ネジ、またはボルト等の固定手段を用いてマスタフレーム108に取り付けられている。
設置部140の表側の面は、ユーザの指が接触する第2の接触面105である。第2の接触面105は、ユーザの指の形に適合しやすいように、アーチ状に凹んだ形状を有する。ユーザは、図8に示すように、筆記用のペンを握るようにして操作装置100を把持し、その際に、例えば人差し指を第2の接触面105に当てて押し込むことで、マスタフレーム108を回動させることができる。なお、第2の接触面105が設けられる面は、設置部140のうち押し込み方向と逆方向の面とも捉えられる。
また、設置部140の近傍には振動部120が設けられている。具体的に、振動部120は、接触部130を介して設置部140の裏側に設けられている。また、接触部130は、ユーザの指が接触する第1の接触面111を有している。よって、ユーザの指が第1の接触面に接している時に振動部120が振動すると、振動部120の振動は、第1の接触面111を介してユーザの指に伝達される。なお、第1の接触面111は、第2の接触面105に接触しているユーザの指のうち、第2の接触面105に接触していない部位に接触する。典型的には、第1の接触面111には人差し指の腹が接触し、第2の接触面105には人差し指の腹以外の部位が接触する。よって、接触部130は、第1の接触面111と部分的に接触しているユーザの指の部位に対して、振動部120が発生させた振動を伝達する。
上述のようにして、スレーブ装置50の術具に作用する触覚振動に対応する振動を振動部120が発生させ、当該振動は、接触部130の第1の接触面111を介してユーザに対して提示される。
また、マスタフレーム108の先端側には、マスタフレーム108の回転方向に向かって延在するレール部123が設けられている。レール部123は、略円弧状の外形を有し、マスタフレーム108の回動に伴って、レール部123の延在方向に沿って回動する。すなわち、レール部123は、回転軸部材151を中心に回転する。
また、レール部123上に配設されるワイヤ135は、動力を伝達する部材として機能し、モータにより生成される駆動トルクが、ワイヤ135を介して、レール部123に伝達される。一方、レール部123の回動に伴って、レール部123の回転トルクが、ワイヤ135を介して、モータにも伝達され得る。
また、ワイヤ135の端部は、レール部123に設けられた孔を介して、レール部123に固定されたスプリング124の一端に固定される。これにより、スプリング124の弾性力を利用してワイヤ135に張力が付与され、レール部123上でのワイヤ135の弛みを抑制することができる。スプリング124は、ワイヤ135に張力を付与するための構成の一例であって、他の張力発生部が採用されてもよい。
上述のように、操作装置100と支持アーム部40の第4のアーム部40dとの接続部分には、力センサ152が設けられている。力センサ152は、ユーザによって操作される操作装置100に対して入力される3方向6軸成分の力及び捻じれを検出する6軸力センサであってもよい。力センサ152は、操作装置100に対して並進力あるいは捻じり方向の力が付与されたときに、当該力のモーメントに対応する出力を生成する。スレーブ装置50の術具の位置及び向きを力制御する場合、上述の制御部160は、力センサ152によって操作装置100に入力された力モーメントを検出し、当該力モーメントに基づいてスレーブ装置50のアームの姿勢を制御する。これにより、スレーブ装置50に取り付けられた術具の位置及び向きをスムーズに制御することができる。
かかる操作装置100において、モータ及びエンコーダは、それぞれ図示しないケーブル等により、上述の制御部160に電気的に接続される。操作装置100に入力される力を検出する力センサ152も、制御部160に電気的に接続される。また、振動部120も、制御部160に電気的に接続される。これにより、エンコーダ及び力センサ152の検出信号が制御部160に出力されるとともに、制御部160からモータに対して駆動信号が入力される。また、制御部160の駆動回路から振動部120に対して駆動信号が入力される。
なお、上述のケーブル等は、操作装置100の内部を通るように配線されもよいし、操作装置100の外部を通るように配線されてもよい。
1.3.1.2 フローティング構造部の構成例
以下では、図9〜図13を参照しながら、第1の実施形態に係る触覚提示装置のフローティング構造部の構成例について説明する。図9は、第1の実施形態に係る触覚提示装置の部分構成例を示す説明図である。図10は、図9における設置部の表側から見た第1の実施形態に係る触覚提示装置の組み立て例を示す説明図である。図11は、図9における設置部の裏側から見た第1の実施形態に係る触覚提示装置の組み立て例を示す説明図である。図12は、第1の実施形態に係る触覚提示装置のI−I断面におけるフローティング構造部の構造例を示す断面図である。なお、図9〜図13の説明において、表側とは、マスタフレーム108の押し込み方向と逆方向の側である。また、裏側とは、マスタフレーム108の押し込み方向の側である。
第1の実施形態に係る操作装置100は、図9に示すように、大きく4つの部で構成されている。具体的に、操作装置100は、操作部110、振動部120、接触部130、設置部140で構成されている。第1の実施形態に係るフローティング構造部は、振動部120、接触部130、及び設置部140で構成される。第1の実施形態に係るフローティング構造は、振動部120が発生した振動が力センサ152に伝達することを抑制するための構造である。
操作部110は、操作装置100におけるユーザが操作する部である。なお、上述した筐体101と、回転軸部材151を中心に回動するマスタフレーム108とが、第1の実施形態における操作部に相当する。また、図7に示したように、操作部110の筐体101の先端側には力センサ152が接続される。ユーザが操作部110を把持して操作することで、力センサ152は、操作部110に入力されるユーザの力を計測する。
設置部140は、ユーザの指が接触する部である。設置部140は、図10に示す孔114(孔114a、孔114b及び孔114c)の各々の孔を介して、ボルト115(ボルト115a、ボルト115b及びボルト115c)によりマスタフレーム108に取り付けられている。設置部140は、上述したように、ユーザの指が接触する第2の接触面105を有する。また、設置部140は、図9に示すように、ユーザの指が接触する第2の接触面105、及び、第2の接触面105側と第2の接触面の裏側とを貫通する開口部107を有する。
なお、開口部107の形状は、図9に示す円形に限定されない。例えば、開口部107の形状は、四角形等の多角形であってもよい。また、開口部107は、図9に示すように設置部140の中央付近だけではなく、設置部140の中央付近から外周に達するまでが開口部107となっていてもよい。
接触部130は、振動部120により発生した振動をユーザに伝達する部である。接触部130は、ユーザの指に接触する第1の接触面111を有する。接触部130は、第1の接触面111により、ユーザの指に直接的に振動を伝達することができる。図12に示すように、設置部140に設けられた開口部107には、接触部130の凸部が第2の接触面105の裏側から挿通される。かかる凸部のうち、設置部140の表側(即ち、第2の接触面105が設けられた側)でユーザの指と接触する部分の表面が、第1の接触面111である。このような構成により、第1の接触面111と第2の接触面105とが共にユーザの同一の指に接触することとなる。従って、ユーザが、第2の接触面105を指で押し込んでマスタフレーム108を回動させる動作を行った際に、第2の接触面105を押し込んだ指に、振動部120により発生した振動が伝達される。これにより、例えば鉗子で物をつかむ際に触覚が鉗子を操作する指に伝達されることと、同等のフィードバックを実現することができる。
接触部130は、設置部140の裏側に、滑動可能に配置される。具体的に、接触部130は、接触部130に設けられた孔122(孔122a、孔122b、及び孔122c)に、孔122より小さい断面形状を有する柱状の固定具118(固定具118a、固定具118b、及び固定具118c)が挿通されて、固定具118に沿って滑動可能に配置される。固定具118は、図10に示す設置部140の表側の孔116(孔116a、孔116b、及び孔116c)から挿通されたネジ117(ネジ117a、ネジ117b、及びネジ117c)により、設置部140に固定される。このような構成により、接触部130は、振動部120と共に振動する際に、固定具118に沿って滑動することが可能となる。
ここで、接触部130は、設置部140と直接接触しないように、弾性体を介して設置部140に取り付けられる。例えば、図12に示すように、接触部130は、孔122cに関して、弾性体である2つのばね119(ばね119a、及び119b)により挟持された状態で、設置部140に取り付けられる。より具体的に、ばね119aは、接触部130の第1の接触面111がある表側と設置部140の裏側(第2の接触面105とは反対側の面)との間に取り付けられる。また、ばね119bは、接触部130の裏側(第1の接触面111とは反対側の面)と固定具118cの頭部との間に取り付けられる。図示しない孔122a及び孔122bについても同様である。このような構成により、接触部130と振動部120とが共に振動する際に、振動の少なくとも一部が弾性体により吸収される。よって、接触部130から設置部140に伝達される振動を抑制することが可能となり、その結果、設置部140が取り付けられた操作部110を介して力センサ152に伝達される振動をも抑制することが可能となる。
なお、接触部130には、アルミやマグネシウム等の軽量部品が用いられることが望ましい。接触部130に軽量部品が用いられることで、接触部130の自重が力センサ152の計測値に与える影響が軽減され、さらに振動部120が振動させる質量が小さくなることにより、振動部120として用いるアクチュエータの小型化が可能である。
ばね119の内側の空間に固定具118が挿通されている。これにより、ばね119が伸縮する方向と接触部130の滑動方向とが一致することとなり、接触部130の滑動方向を1軸に固定することができる。また、接触部130は、ユーザの指が第1の接触面111に触れた際に、滑動することでユーザの指になじむように位置を変更することが可能となる。
なお、弾性体の数は、上述の例で用いた数に限定されず、任意の数の弾性体が用いられてもよい。例えば、上述の孔122cでは2つのばね119が用いられているが、設置部140と接触部130を直接ばねで接続することで、1つのばね119だけが用いられてもよい。図示しない孔122a及び孔122bについても同様にした場合、全体で3つのばね119が用いられることとなる。また、孔122ごとに1つのばねでなく、接触部130、及び設置部140の全体で1つのばね119が用いられてもよい。また、弾性体は、接触部130と接触するように、接触部130の凸部の周辺にバランスよく配置されていることが好ましい。例えば、2つの弾性体が接触部130の凸部を挟んで対向する位置に1つずつ配置されるとよい。弾性体がバランスよく配置されていることで、接触部130が傾かずに安定して設置される。そして、ユーザが接触部130の凸部を設置部140の裏側方向に押し込んだ際に、接触部130は、傾かずに並進することができる。
また、弾性体は上述のばねに限定されず、任意の弾性体が用いられてもよい。例えば、弾性体として、ゴム、または柔軟素材等が用いられてもよい。
なお、接触部130の取り付けに用いられる孔122は、孔122dを含めた4つの孔122が存在するが、当該4つの孔122のうちの少なくとも2つが用いられればよい。例えば、接触部130の凸部を挟んで対向する2つの孔122が用いられればよい。具体的に、孔122aと孔122cの組み合わせ、または孔122bと孔122dの組み合わせの2つの孔122が用いられればよい。このように、4つの孔122の内、接触部130の凸部を挟んで対向する2つの孔122が用いられることで、接触部130は安定して設置される。
上述のように、接触部130が弾性体を介して設置部140に取り付けられ、接触部130と設置部140が非接触である構造は、フローティング構造と称される。なお、接触部130が弾性体を介して設置部140に取り付けられることにより、接触部130と操作部110は非接触であるため、接触部130と操作部110とは分離している。
振動部120は、接触部130の第1の接触面の裏側に設けられる。具体的に、図11に示すネジ112(ネジ112a、ネジ112b、及びネジ112c)が、図9に示す振動部120の孔125(孔125a、孔125b、及び孔125c)に裏側から貫通される。そして、ネジ112は、接触部130のネジ穴126(ネジ穴126a、ネジ穴126b、及びネジ穴126c)に固定される。このようにして、振動部120は、接触部130の裏側に固定して取り付けられる。
また、振動部120は、弾性体が伸縮する方向と対応する方向に振動する。例えば、振動部120は、弾性体が伸縮する方向と一致又は略一致する方向に振動する。具体的に、振動部120は、図12に示す振動方向121の方向に振動する。振動方向121は、図12に示す弾性体であるばね119a、及びばね119bが伸縮する方向と一致する。典型的には、弾性体による振動吸収能力は、弾性体に加えられる力の方向が伸縮方向と一致するほど高く発揮される。そのため、振動部120が、弾性体が伸縮する方向と一致又は略一致する方向に振動することにより、弾性体は、振動部120による振動を、効率的に吸収することが可能となる。
ここで、図13を参照しながら上記説明したフローティング構造についてまとめる。図13は、第1の実施形態に係る触覚提示装置を示す簡略図である。なお、図13では、操作部110と設置部140は、1つにまとめて図示されている。接触部130には振動部120が設けられる。設置部140には、接触部130が弾性体(ばね119a〜119d)を介して設けられる。そして、設置部140は、操作部110に設けられる。これにより、振動部120が振動すると、振動部120から生じる振動が接触部130に伝達し、接触部130も共に振動する。さらに、接触部130の第1の接触面111にユーザの指131が接触している場合、接触部130から生じる振動は、第1の接触面111を介して、ユーザの指に伝達される。
また、接触部130は、固定具118(固定具118a、及び固定具118b)により、設置部140に固定具118に沿って滑動可能に配置される。また、接触部130は、固定具118aに関しては、弾性体(ばね119a、及びばね119b)により挟持された状態で、設置部140に取り付けられる。また、接触部130は、固定具118bに関しては、弾性体(ばね119c、及びばね119d)により挟持された状態で、設置部140に取り付けられる。したがって、接触部130と振動部120とが共に振動する際に、振動の少なくとも一部が弾性体により吸収される。よって、接触部130から設置部140に伝達される振動を抑制することが可能となり、その結果、設置部140が取り付けられた操作部110を介して力センサ152に伝達される振動をも抑制することが可能となる。
なお、図9〜図13には、振動部120に入力する電圧波形のキャリブレーションに用いられる加速度センサ401も示されている。この加速度センサ401は、上述したセンサ部150に含まれる構成であってよい。また、加速度センサ401を用いたキャリブレーションについては、後述において詳細に説明する。
1.3.1.3 第1の接触面の初期位置
以下では、図14、図15を参照しながら、第1の実施形態に係る第1の接触面の初期位置について説明する。図14、及び図15は、第1の実施形態に係る第1の接触面の初期位置の例を示す説明図である。
上述の構成では、例えば、図12に示す振動方向121の方向に振動部120が振動する場合、接触部130も振動方向121の方向に振動する。この時、振動部120の振幅の大きさ、及び接触部130の取り付け位置によって、接触部130の第1の接触面111がユーザの指に接触しない可能性がある。よって、上述の構成を実現するにあたり、振動部120の振幅を考慮した上で、接触部130の第1の接触面の初期位置が設定されるとよい。初期位置とは、振動部120が停止(即ち、静止)した状態における、第1の接触面111の位置である。換言すると、初期位置は、接触部130を設置部140に取り付けた際の第1の接触面111の位置である。
例えば、第1の接触面111は、振動部120が停止した状態で、振動部120の振動方向における第1の接触面111と第2の接触面105とは一致又は略一致する位置にあるとよい。第2の接触面105と一致する位置は、例えば、設置部140の表側(第2の接触面側)にある開口部107の縁と、振動方向121に対して一致する位置である。開口部107の縁は、開口部107を形成する第2の接触面105の端部である。より具体的に、図14に示す例の場合、第2の接触面105と一致する位置は、第2の接触面105aの端部127a、または第2の接触面105bの端部127bと、振動方向121に対して一致する位置のことである。ユーザの指131が第2の接触面105に接触すると、典型的には、ユーザの指131の腹の位置は、振動方向121に対して端部127の少なくともいずれかと一致する位置となる。したがって、第1の接触面111の初期位置が端部127の少なくともいずれかと一致する位置であれば、振動部120が振動した際に、第1の接触面111は、ユーザの指131と接触することができる。
また、第2の接触面105と略一致する位置は、第1の接触面111と端部127との振動方向の最短距離が振動部120の振幅に対応する値の範囲内にある位置である。振動部120が振動した際の1周期あたりの第1の接触面111の動きを考えると、まず、第1の接触面111は初期値から振動部120の振幅だけ設置部140の表側方向に移動する。次に、第1の接触面111は、振動部120の振幅の2倍だけ設置部140の裏側方向に移動する。最後に、第1の接触面111は、振動部120の振幅だけ設置部140の表側方向に移動して初期値に戻る。したがって、第1の接触面111の初期位置が端部127から設置部140の裏側方向に振動部120の振幅の距離129内の位置にあれば、振動部120が振動した際に、第1の接触面111は、ユーザの指と接触することができる。
また、図14には、端部127aと端部127bが振動方向121に対して一致する位置である例を示しているが、開口部107の位置によって、図15に示す端部127cと端部127dのように、振動方向121に対して端部127の位置が一致しない場合もある。その場合、第1の接触面111からの距離が最短となる端部127cと一致する位置、または端部127cから設置部140の裏側方向に振動部120の振幅の距離129内の位置に第1の接触面111の初期位置を設定すればよい。
1.4 動作例
以下では、図16を参照しながら、第1の実施形態に係る信号処理部170の処理における動作例について説明する。図16は、第1の実施形態に係る信号処理部の動作例を示すフローチャートである。
信号処理部170は、入力された信号に対して、特定の帯域除去処理を行う。まず、信号処理部170は、上位制御部190がスレーブ装置50から受信した信号から特定の帯域を除去する処理を行う。信号処理部170は、上位制御部190からから信号を入力されると、信号処理部170の帯域制限部171は、例えばHPFを用いて、当該信号から低域の帯域を除去する(ステップS1000)。帯域制限部171は、低域の帯域除去後の信号をノイズ推定部175へ出力する(ステップS1004)。
また、信号処理部170は、力センサ152から入力された信号に対してノイズ低減処理を行う。まず、信号処理部170は、力センサ152から信号を入力されると、A/D173で変換し、外力(力+重力+慣性力+ノイズ)に関するデジタル信号を取得し、加算器178へ出力する(ステップS1008)。また、逆動力学演算部174は、逆動力学演算により、操作装置100の自重による重力と操作装置100が動くことにより生じる慣性力を算出し、マイナス値として加算器178へ出力する(ステップS1012)。加算器178は、外力(力+重力+慣性力+ノイズ)にマイナス値の重力と慣性力を加算することで、外力(力+ノイズ)を算出し、加算器179へ出力する(ステップS1016)。
また、上述のステップS1008、S1012、S1016の処理と並列して、ノイズ推定部175は、帯域制限部171から入力された低域の帯域除去後の信号に基づき、ノイズ推定によりノイズを取得し、当該ノイズをマイナス値として加算器179へ出力する(ステップS1020)。
加算器179は、加算器178に入力された外力(力+ノイズ)に、ノイズ推定部175に入力されたマイナス値としてのノイズを加算し、外力(力)を算出する(ステップS1024)。そして、制御部160は、当該外力(力)に関する信号をスレーブ装置50へ送信する(ステップS1028)。
1.5 ゲイン調整
つづいて、第1の実施形態に係る触覚提示装置のゲイン調整について、図面を参照して詳細に説明する。
図17は、図13に示された触覚提示装置の構成に対してゲイン調整を実行するための構成を追加で記載した構成例を示す模式断面図である。また、図18は、第1の実施形態に係る指令値の波形例を示す波形図であり、図19は、図18に示す指令値に対して第1の実施形態に係る調整をせずに振動部に入力した場合に加速度センサで検出される振動波形の例を示す波形図であり、図20は、図18に示す指令値に対して第1の実施形態に係る調整をして振動部に入力した場合に加速度センサで検出される振動波形の例を示す波形図である。
図17に示すように、本実施形態では、操作部110及び設置部140から機械的に分離した接触部130に対して、振動を検出するための加速度センサ401が設けられている。加速度センサ401で検出された振動波形は、例えば、制御部160における信号処理部170に入力される。
信号処理部170は、上位制御部190等の外部から入力された指令値に基づいて、振動部120に与えるデジタルの電圧波形を生成する。なお、指令値は、例えば、振幅及び/又は周波数が一定又は直線若しくは段階的に変化する正弦波等の波形であってよい。
ドライバ402は、例えば、D/A(Digital-to Analog)コンバータとパワーアンプとから構成され、信号処理部170から入力されたデジタルの電圧波形をD/A変換することで、振動部120に与えるアナログの電圧波形(以下、入力波形という)を生成し、当該電圧波形を振動部120に入力する。
また、信号処理部170は、入力波形に対して加速度センサ401で検出された振動波形(以下、出力波形という)に基づいて、振動部120に与える電圧波形をフィードバック制御することで、加速度センサ401で検出された振動波形を指令値の波形に近づける。
例えば、図18に示すように、指令値の波形が周波数及び振幅が一定の正弦波であったとすると、この波形をそのまま電圧波形に変換して振動部120に入力した場合、図19に例示するように、加速度センサ401では、歪んだ波形の出力波形が検出される。
そこで本実施形態では、触覚提示装置のキャリブレーションにおいて、入力波形に対して得られた出力波形から伝達関数や周波数特性や歪率等の特性値を算出し、算出した特性値に基づいて、出力波形を指令値の波形に近づけるための補正量を算出する。そして、算出した補正量に基づいて指令値から入力波形を生成することで、図20に示すように、加速度センサ401で検出される出力波形を指令値の波形に近づける(フィードバック制御)。
ここで、入力波形に対して出力波形が歪む原因としては、振動部120から人の指131までの振動伝達経路における機械共振や、振動部120の不適切な駆動ゲインなどが考えられる。図21及び図22は、振動部から人の指までの振動伝達経路における機械共振の例を示す図である。図21は、機械共振の振幅の周波数依存性を示し、図22は、機械共振の位相の周波数依存性を示している。図21及び図22に示すように、機械共振が発生すると、振幅の増減や位相のずれが発生する。
このように、機械共振が発生したり振動デバイスの駆動ゲインが高すぎたりすると、接触部130の固定具118a及び118bの軸方向に沿ったストローク(可動範囲)不足によって、固定具118a及び118bの係止部分と接触部130との接触が発生する。
その結果、図23に例示するように、正弦波の入力信号C1を振動部120に入力した場合に、加速度センサ401で検出される出力信号F1の波形が、入力信号C1の波形に対して歪んだり、図24に例示するように、基本波H0の他に、高調波H1、H2、H3、…が加速度センサ401に入力したりしてしまう。
そこで本実施形態では、振動部120が発生する振動の振幅が高調波を発生させない程度の振幅に収まるように、指令値から入力波形を生成する際のゲインの補正量を算出する。これにより、振動部120と接触部130とユーザの指131の皮膚とが形成する系で固有振動数に基づいた共振が発生することによるビビリ振動等が防止されるため、ユーザにより正確な触覚情報を提示することが可能となる。その結果、スレーブ装置をより正確に遠隔操作することが可能となる。
また、入力波形に対する出力波形の周波数特性は、入力波形の周波数、すなわち、指令値の周波数の他に、ユーザの指131の皮膚の機械インピーダンス等によっても変化する。
例えば、図25に示すように、指131の皮膚が薄いユーザU1と、厚いユーザU3と、その中間のユーザU2とがいる場合、指131の皮膚が厚いユーザU2、U3ほど、指131の皮膚が薄いユーザU1と比較して、入力波形に対する出力波形のゲインが低くなる。これは、指131の皮膚が厚いほど、機械インピーダンスが高く、そして、機械インピーダンスが高いほど、振動部120から接触部130に与えた振動が減衰するためと考えられる。
そこで本実施形態では、図26に例示するように、キャリブレーションにおいて、ユーザごとに指令値に対するゲインの補正量を特定し、特定した補正量をユーザごとのパラメータとして、例えば、記憶部180内に保存しておく。これにより、ユーザごとのゲイン補正が可能となるため、ユーザにより正確な触覚情報を提示することが可能となる。その結果、スレーブ装置をより正確に遠隔操作することが可能となる。
なお、同じユーザであっても、触覚提示装置を使用する環境(温度や湿度や季節等)によって、指131の皮膚の硬さは変化する。そこで、図26に示すように、温度や湿度や日時等のそれぞれの条件における補正量を、ユーザごとに記憶部180内に保存しておいてもよい。
1.6 キャリブレーション用のテスト信号例
図27は、第1の実施形態に係るキャリブレーションにおいて指令値として使用されるテスト信号の一例を示す波形図である。図27に示すように、第1の実施形態では、周波数が段階的に大きくなる波形のテスト信号を使用してキャリブレーションが実行される。すなわち、第1の実施形態に係るキャリブレーションでは、テスト信号の周波数をスイープすることで、各波長帯域でフィードバック制御によるゲイン補正が行なわれる。
テスト信号において周波数をスイープする範囲は、例えば、30Hz(ヘルツ)から700Hz程度の範囲とすることができる。ただし、この範囲は、振動部120がカバーする振動の周波数帯域によって適宜変更されてよい。また、周波数をスイープする際のステップ幅は、例えば、数10Hzから数100Hzなど、適宜設定されてよい。
各周波数帯でのテスト信号の振幅は、図27に例示するように、例えば、段階的に大きくなるように変化してもよい。ただし、これに限定されず、図28に示すテスト信号の変形例のように、各周波数帯でのテスト信号の振幅を直線的に変化させてもよい。
各周波数帯でテスト信号の振幅を変化させる幅は、例えば、振動部120に発生する振動の振幅が1μm(マイクロメートル)〜3mm(ミリメートル)程度の範囲となる幅など、振動部120に発生させ得る振幅の範囲内であって、ユーザが指131で刺激を知覚し得る範囲内の幅であってよい。
1.7 キャリブレーションの動作フロー例
図29は、第1の実施形態に係るキャリブレーションの動作フロー例を示すフローチャートである。なお、図29に示す動作は、例えば、触覚提示装置又は触覚提示システム1の毎起動時のイニシエーション処理において実行されてもよいし、定期的又は前回実行時からの経過時間に基づいて実行されてもよいし、ユーザがマニュアル操作でキャリブレーションの実行を要求した際に実行されてもよい。また、図29では、信号処理部170の動作に着目して説明する。
図29に示すように、キャリブレーションでは、まず、触覚提示装置の信号処理部170は、当該触覚提示装置を現在使用するユーザを特定するためのユーザIDを入力する(ステップS101)。ユーザIDの入力は、ステップS101においてユーザに対して求められてもよいし、触覚提示装置を起動した際にキャリブレーション処理とは別の処理で入力されたものを入力してもよい。
次に、信号処理部170は、変数iを‘1’に設定する(ステップS102)。つづいて、信号処理部170は、テスト信号fi(ここでは、テスト信号f1)の電圧波形をドライバ402へ入力する(ステップS103)。これにより、ドライバ402から振動部120へは、テスト信号fiの入力波形が入力される。そして、信号処理部170は、テスト信号f1の入力に対して検出された振動波形(出力波形に相当)を加速度センサ401から入力する(ステップS104)。
次に、信号処理部170は、テスト信号f1の波形と、加速度センサ401から入力された出力波形との差から、テスト信号f1に対する出力波形の歪率d1を算出する(ステップS105)。
次に、信号処理部170は、算出した歪率d1が予め設定しておいた閾値D以下であるか否かを判定する(ステップS106)。なお、閾値Dは、テスト信号の波形と出力波形とが十分に近似していると判断できる程度の値に設定されてよい。
歪率d1が閾値Dより大きい場合(ステップS106のNO)、信号処理部170は、信号処理部170における指令値(ここではテスト信号fi)に対するゲインの補正値を変更し(ステップS107)、ステップS103へリターンする。これにより、新たなステップS103では、ゲイン補正後の入力波形が振動部120に入力される。
一方、歪率d1が閾値D以下である場合(ステップS106のYES)、信号処理部170は、記憶部180内のユーザごとのゲインの補正量を現在の補正量で更新する(ステップS108)。
次に、信号処理部170は、変数iを1インクリメントし(ステップS109)、インクリメント後の変数iが、最大値である‘n’より大きいか否かを判定する(ステップS110)。変数iがn以下である場合(ステップS110のNO)、信号処理部170は、ステップS103へリターンし、以降の処理を実行する。これにより、テスト信号f1〜fnに対するキャリブレーションが実行される。一方、変数iがnより大きい場合(ステップS110のYES)、信号処理部170は、本動作を終了する。
以上のように、本実施形態によれば、加速度センサ401を振動部120に搭載してユーザの指131が触れた状態での振動波形が制御部160にフィードバックされ、ユーザの指131の皮膚の硬さを考慮したゲインで自動的にキャリブレーションが実行される。このようなキャリブレーションにより、共振によるビビリ振動が防止されるため、不要な信号帯域を制限して、ユーザにより正確な触覚情報を提示することが可能となる。その結果、スレーブ装置をより正確に遠隔操作することが可能となる。
なお、モータ36等(図2参照)で触覚提示する帯域と振動部120で触覚提示する帯域との一部が重複している場合、信号処理部170は、上記したキャリブレーションに加え、モータ36等(図2参照)で触覚提示する帯域と振動部120で触覚提示する帯域との間の位相調整を実行してもよい。
また、接触部130の加速度を検出する加速度センサ401には、操作部110の姿勢や変位(以下、姿勢等という)によって重力やコリオリ力や遠心力などが働く。そこで、上述のキャリブレーションにおいて、操作部110の姿勢等を考慮して、出力波形が計測されてもよい。なお、操作部110の姿勢検出には、例えば、力センサ152を用いることが可能である。
1.8 変形例
以下では、図30〜図33を参照しながら、第1の実施形態に係る変形例を説明する。なお、以下に説明する変形例は、単独で第1の実施形態に適用されてもよいし、組み合わせで第1の実施形態に適用されてもよい。また、変形例は、第1の実施形態で説明した構成に代えて適用されてもよいし、第1の実施形態で説明した構成に対して追加的に適用されてもよい。
(1)第1の変形例
以下では、図30〜図32を参照しながら、第1の実施形態に係る第1の変形例について説明する。図30は、設置部の裏側から見た第1の実施形態に係る第1の変形例を示す説明図である。図31は、設置部の側面から見た第1の実施形態に係る第1の変形例を示す説明図である。図32は、第1の実施形態に係る第1の変形例のII−II断面における構造例を示す説明図である。上述の第1の実施形態では、振動部120としてVCMが用いられる例について説明したが、振動部120としてLRAが用いられてもよい。以下では、振動部120としてLRAが用いられた場合の触覚提示装置の組み立て例について説明する。
上述した第1の実施形態によれば、図12に示したように、VCM(振動部120)は、第1の接触面111に対して垂直な方向(振動方向121)に振動する。一方で、本変形例によれば、図30〜図32に示すように、LRA(振動部220)は、第1の接触面111に対して水平な方向に振動する。具体的に、LRAは、図30に示す振動方向221の方向に振動する。
このような振動方向の相違に起因して、図30〜図32に示すように、本変形例における接触部230の形状、及び接触部230の設置部140への取り付け方は、上述した第1の実施形態とは異なる。例えば、振動部220が振動方向221に振動した際に、接触部230も振動方向221に振動するように、接触部230が設置部140に取り付けられる。
具体的に、接触部230は、図30〜図32に示す設置部140の固定部218(固定部218a、固定部218b、及び固定部218c)に、ばね219(ばね219a、ばね219b、ばね219c、及びばね219d)を介して滑動可能に取り付けられる。なお、図30〜図32に示す例では、固定部218cに対して、2つのばね219(ばね219c、及びばね219d)により接触部230が取り付けられている。これに対し、設置部140は、固定部218cを分割して固定部218dをさらに設け、ばね219cは固定部218cに、ばね219dは固定部218dに対して用いられてもよい。
なお、接触部230は、上述のようにして弾性体であるばね219を介して設置部140に取り付けられることにより、上述の実施形態と同様に、接触部230は、設置部140と直接接触しない。
また、接触部230が振動方向221の方向に振動しても、接触部230と固定部218とが接触しないように、固定部218の内部には所定の空間222(空間222a、空間222b、空間222c、及び空間222d)が確保されている。なお、空間222は、固定部218内部の接触部230の端部から、少なくとも振動部220の振幅を超える距離まで確保されていれば、接触部230と固定部218が接触することは防止される。
上述のように、第1の接触面111に対して水平な方向に振動する振動装置が用いられる場合でも、接触部230の形状、及び接触部230を設置部140に取り付ける構造を、振動装置の振動方向に応じた構造とすることで、フローティング構造を実現することは可能である。
また、以上のような構成において、キャリブレーション用の加速度センサ401は、例えば、図30及び図32に示すように、接触部230に取り付けられる。信号処理部170は、上述した第1の実施形態と同様に、キャリブレーション時に、加速度センサ401で検出された出力波形に基づいて、指令値に対するゲインの補正量を算出し、これを記憶部180にユーザ毎に格納する。
(2)第2の変形例
以下では、図33を参照しながら、第1の実施形態に係る第2の変形例について説明する。図33は、第1の実施形態に係る第2の変形例を示す説明図である。上述の第1の実施形態では、第1の接触面111が平らである例について説明したが、第1の接触面111は、凹凸を有してもよい。例えば、図33に示すように、第1の接触面111は、スリットを有してもよい。第1の接触面111がスリットを有することで、振動した際にスリットの角がユーザの指に接触するため、第1の接触面111が平らな場合と比較し、ユーザは、第1の接触面111から指に伝達される振動をより感度よく感じることができる。
なお、第2の変形例においても、キャリブレーション用の加速度センサ401は、接触部130に設けられてよい。
(3)第3の変形例
以下では、図34を参照しながら、第1の実施形態に係る第3の変形例について説明する。図34は、第1の実施形態に係る第3の変形例を示す説明図である。上述の第1の実施形態では、触覚を再現するための振動源となる振動部120にVCM等が用いられた場合を例示した。これに対し、第3の変形例では、VCM等の振動部120に代えて、空気圧アクチュエータ420を振動源として用いる場合について例示する。
図34に示すように、振動源としての空気圧アクチュエータ420は、内部に空気が充填された中空構造421を有しており、内部の空気圧を変化させることで、振動を発生させる。
このような空気圧アクチュエータ420は、ユーザと直接接触する位置に設けられる。したがって、図34に例示する構成では、空気圧アクチュエータ420は、接触部130における第1の接触面111に配置される。
以上のような構成においても、キャリブレーション用の加速度センサ401は、空気圧アクチュエータ420が設けられる接触部130に設けられてよい。
(4)第4の変形例
以下では、図35を参照しながら、第1の実施形態に係る第4の変形例について説明する。図35は、第1の実施形態に係る第4の変形例を示す説明図である。第4の変形例では、図35に例示するように、触覚を再現するための振動源として、VCM等の振動部120に加え、第3の変形例で例示した空気圧アクチュエータ420が設けられている。
VCMなどの振動部120で触覚提示する帯域と、空気圧アクチュエータ420で触覚提示する帯域とは、異なっている。例えば、VCMなどの振動部120で触覚提示する帯域が30〜700Hz程度の帯域であるのに対し、空気圧アクチュエータ420で触覚提示する帯域は0〜30Hz程度の帯域である。
そこで、VCMなどの振動部120と空気圧アクチュエータ420とを組み合わせて使用することで、より広範囲の帯域の触覚をユーザに提示することが可能となる。
なお、以上のような構成においても、キャリブレーション用の加速度センサ401は、空気圧アクチュエータ420と振動部120とが設けられる接触部130に設けられてよい。
また、空気圧アクチュエータ420で触覚提示する帯域と振動部120で触覚提示する帯域との一部が重複している場合には、信号処理部170は、上記したキャリブレーションに加え、空気圧アクチュエータ420で触覚提示する帯域と振動部120で触覚提示する帯域との間の位相調整を実行してもよい。
2.第2の実施形態
次に、本開示の第2の実施形態に係る触覚提示装置、キャリブレーション方法及びプログラムについて、以下に図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、上述した第1の実施形態又はその変形例と同様の構成及び動作については、それを引用することで、その重複する説明を省略する。また、本実施形態では、触覚提示装置として、ユーザの体に密着させて使用するタイプの振動デバイスを例に挙げる。
2.1 振動デバイスの構造
図36は、第2の実施形態に係る振動デバイスの外観を示す図であり、図37は、第2の実施形態に係る振動デバイスの断面を示す図である。図36および図37に示されるように、振動デバイス500は、断面が楕円形状の外部筐体501を有する。このように外部筐体501の断面が楕円であることによって、振動デバイス500がユーザの体に接する角度が変化しても、同様の圧力でユーザの体に接するようになる。
外部筐体501の上部(ユーザに当接する側)には、開口502が設けられている。開口502からは、例えば、上述した第1の実施形態における接触部130の第1の接触面111が突出している。
図37に示すように、外部筐体501の内部は、中空の構造となっている。外部筐体501の内部には、例えば、第1の実施形態で例示した振動発生構造と同様の構造が収容されている。具体的には、図37に示すように、ユーザに接触する接触部130と、振動を発生させる振動部120と、接触部130を振動可能に指示するばね119a〜119dとが設けられている。
接触部130に設けられた孔122(第1の実施形態参照)は、外部筐体501の内部に設けられた柱状の軸部材519A、519B(第1の実施形態における固定具118に相当)に滑動可能に挿通される。接触部130は、軸部材518A、518Bに挿通されたばね119(ばね119a及び119b、119c及び119d)により挟持された状態で、軸部材518A、518Bに挿通される。
ばね119a〜119dの一方の端は、外部筐体501の内部に設けられた係止部518a〜518dにそれぞれ当接している。すなわち、本実施形態では、係止部518a〜518dを備える外部筐体501が、第1の実施形態における設置部140に相当する。これにより、接触部130がばね119a〜119dによって変位可能に支持される。
このような構成において、キャリブレーション用の加速度センサ401は、第1の実施形態と同様に、接触部130に取り付けられる。信号処理部170は、上述した第1の実施形態と同様に、キャリブレーション時に、加速度センサ401で検出された出力波形に基づいて、指令値に対するゲインの補正量を算出し、これを記憶部180にユーザ毎に格納する。
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態又はその変形例と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
3.ハードウェア構成
次に、図38を参照して、上述した実施形態又はその変形例に係るマスター装置のハードウェア構成について説明する。図38は、本開示の実施形態に係るマスター装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。マスター装置10による情報処理は、ソフトウェアと、以下に説明するハードウェアとの協働により実現されてもよい。
マスター装置10は、CPU(Central Processing Unit)901と、ROM(Read Only Memory)903と、RAM(Random Access Memory)905を備える。また、マスター装置10は、入力装置907と、ストレージ装置909と、通信装置911とを備える。
CPU901は、演算処理装置及び制御装置として機能し、各種プログラムに従ってマスター装置10内の動作全般を制御する。また、CPU901は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバスにより相互に接続されている。CPU901、ROM903及びRAM905は、例えば、図3を参照して説明した信号処理部170の機能を実現し得る。
入力装置907は、タッチパネル、ボタン、カメラ、マイクロフォン、センサ、スイッチ及びレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。ユーザは、例えば、マスター装置10を操作してスレーブ装置50を動作させることで、該入力装置907がデータを取得することにより、スレーブ装置50に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりする。入力装置907は、例えば、図3を参照して説明したセンサ部150の機能を実現し得る。
ストレージ装置909は、データ格納用の装置である。ストレージ装置909は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置及び記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置909は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid Strage Drive)、あるいは同等の機能を有するメモリ等で構成される。このストレージ装置909は、ストレージを駆動し、CPU901が実行するプログラムや各種データを格納する。ストレージ装置909は、例えば、図3を参照して説明した記憶部180の機能を実現し得る。
通信装置911は、例えば、マスター装置10とスレーブ装置50を接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。かかる通信インタフェースは、例えば、Bluetooth(登録商標)またはZigBee(登録商標)等の近距離無線通信インタフェースや、無線LAN(Local Area Network)、Wi−Fi(登録商標)、または携帯通信網(LTE、3G)等の通信インタフェースである。また、通信装置911は、有線による通信を行う有線通信装置であってもよい。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
また、本明細書においてフローチャート及びシーケンス図を用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示の技術的範囲は、上述の実施形態そのままに限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、異なる実施形態及び変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
また、本明細書に記載された各実施形態における効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
振動を提示する振動部と、
前記振動部による前記振動をユーザへ伝える接触部と、
前記接触部を変位可能に支持する設置部と、
前記接触部に設けられた加速度センサと、
を備える、触覚提示装置。
(2)
外部から入力された指令値に基づいて前記振動部へ入力する電圧波形を生成する信号処理部をさらに備え、
前記信号処理部は、前記指令値が示す波形と、前記加速度センサによって検出された振動波形との差に基づいて、前記指令値から前記電圧波形を生成する際のゲインを補正する、
前記(1)に記載の触覚提示装置。
(3)
前記信号処理部は、前記接触部に前記ユーザが触れた状態で前記加速度センサによって検出された前記振動波形と、前記指令値が示す波形とに基づいて、前記指令値から前記電圧波形を生成する際の前記ゲインを補正する、
前記(2)に記載の触覚提示装置。
(4)
前記指令値が示す波形は、周波数及び振幅のうちの少なくとも1つが変化する波形である前記(2)又は(3)に記載の触覚提示装置。
(5)
前記指令値が示す波形の周波数は、第1周波数から当該第1周波数よりも高い第2周波数にかけて段階的又は直線的に変化する、前記(4)に記載の触覚提示装置。
(6)
前記指令値が示す波形の振幅は、第1振幅から当該第1振幅よりも大きい第2振幅にかけて段階的又は直線的に変化する、前記(4)又は(5)に記載の触覚提示装置。
(7)
前記ゲインを補正した際の補正量をユーザごとに記憶する記憶部をさらに備え、
前記信号処理部は、前記ユーザごとに記憶された前記補正量を用いて、前記指令値に基づいて前記電圧波形を生成する、
前記(2)〜(6)の何れか1項に記載の触覚提示装置。
(8)
前記記憶部は、前記ユーザごとであって、温度、湿度及び日時のうちの少なくとも1つを含む環境条件ごとに、前記ゲインを補正した際の前記補正量を記憶し、
前記信号処理部は、前記指令値に基づいて前記電圧波形を生成する際に、前記記憶部に記憶された前記補正量のうち、現在の環境条件に対応する補正量を用いる、
前記(7)に記載の触覚提示装置。
(9)
前記信号処理部に前記指令値を入力することで、前記加速度センサによって検出された前記振動波形を前記指令値が示す前記波形に近づけるキャリブレーションを実行する制御部をさらに備える、前記(2)〜(8)の何れか1項に記載の触覚提示装置。
(10)
前記制御部は、前記触覚提示装置が起動された際に、前記キャリブレーションを実行する、前記(9)に記載の触覚提示装置。
(11)
前記制御部は、前回の前記キャリブレーションの実行から所定時間経過後に、再度、前記キャリブレーションを実行する、前記(9)に記載の触覚提示装置。
(12)
前記制御部は、前記ユーザから入力された指示に基づいて、前記キャリブレーションを実行する、前記(9)に記載の触覚提示装置。
(13)
前記接触部は、前記ユーザに接触する第1の接触面を有し、
前記振動部は、前記第1の接触面を介して前記ユーザに前記振動を伝える、
前記(1)〜(12)の何れか1項に記載の触覚提示装置。
(14)
前記第1の接触面は、凹凸を有する、前記(13)に記載の触覚提示装置。
(15)
前記振動部は、ボイスコイルモータ及び空気圧アクチュエータのうちの少なくとも1つを含む、前記(1)〜(14)の何れか1項に記載の触覚提示装置。
(16)
前記設置部に固定され、前記ユーザが操作する操作部と、
前記接触部を前記設置部に対して変位可能に支持する弾性体と、
をさらに備える、前記(1)〜(15)の何れか1項に記載の触覚提示装置。
(17)
前記設置部は、前記振動部と、前記接触部と、前記加速度センサとを収容する筐体である、前記(1)〜(15)の何れか1項に記載の触覚提示装置。
(18)
振動を提示する振動部と、前記振動部による前記振動をユーザへ伝える接触部と、前記接触部を変位可能に支持する設置部と、前記接触部に設けられた加速度センサと、指令値に基づいて前記振動部へ入力する電圧波形を生成する信号処理部とを備える触覚提示装置のキャリブレーション方法であって、
前記信号処理部が、前記指令値が示す波形と、前記加速度センサによって検出された振動波形との差に基づいて、前記指令値から前記電圧波形を生成する際のゲインを補正する、
キャリブレーション方法。
(19)
振動を提示する振動部と、前記振動部による前記振動をユーザへ伝える接触部と、前記接触部を変位可能に支持する設置部と、前記接触部に設けられた加速度センサと、指令値に基づいて前記振動部へ入力する電圧波形を生成する信号処理部とを備える触覚提示装置を機能させるためのプログラムであって、
前記信号処理部に、前記指令値が示す波形と、前記加速度センサによって検出された振動波形との差に基づいて、前記指令値から前記電圧波形を生成する際のゲインを補正する処理を実行させるためのプログラム。
10 マスター装置
50 スレーブ装置
100 操作装置
110 操作部
120 振動部
130 接触部
140 設置部
150 センサ部
152 力センサ
170 信号処理部
171 帯域制限部
172 DRI
173 A/D
174 逆動力学演算部
175 ノイズ推定部
178 加算器
179 加算器
180 記憶部
190 上位制御部
401 加速度センサ
402 ドライバ
420 空気圧アクチュエータ
500 振動デバイス
501 外部筐体

Claims (19)

  1. 振動を提示する振動部と、
    前記振動部による前記振動をユーザへ伝える接触部と、
    前記接触部を変位可能に支持する設置部と、
    前記接触部に設けられた加速度センサと、
    を備える、触覚提示装置。
  2. 外部から入力された指令値に基づいて前記振動部へ入力する電圧波形を生成する信号処理部をさらに備え、
    前記信号処理部は、前記指令値が示す波形と、前記加速度センサによって検出された振動波形との差に基づいて、前記指令値から前記電圧波形を生成する際のゲインを補正する、
    請求項1に記載の触覚提示装置。
  3. 前記信号処理部は、前記接触部に前記ユーザが触れた状態で前記加速度センサによって検出された前記振動波形と、前記指令値が示す波形とに基づいて、前記指令値から前記電圧波形を生成する際の前記ゲインを補正する、
    請求項2に記載の触覚提示装置。
  4. 前記指令値が示す波形は、周波数及び振幅のうちの少なくとも1つが変化する波形である請求項2に記載の触覚提示装置。
  5. 前記指令値が示す波形の周波数は、第1周波数から当該第1周波数よりも高い第2周波数にかけて段階的又は直線的に変化する、請求項4に記載の触覚提示装置。
  6. 前記指令値が示す波形の振幅は、第1振幅から当該第1振幅よりも大きい第2振幅にかけて段階的又は直線的に変化する、請求項4に記載の触覚提示装置。
  7. 前記ゲインを補正した際の補正量をユーザごとに記憶する記憶部をさらに備え、
    前記信号処理部は、前記ユーザごとに記憶された前記補正量を用いて、前記指令値に基づいて前記電圧波形を生成する、
    請求項2に記載の触覚提示装置。
  8. 前記記憶部は、前記ユーザごとであって、温度、湿度及び日時のうちの少なくとも1つを含む環境条件ごとに、前記ゲインを補正した際の前記補正量を記憶し、
    前記信号処理部は、前記指令値に基づいて前記電圧波形を生成する際に、前記記憶部に記憶された前記補正量のうち、現在の環境条件に対応する補正量を用いる、
    請求項7に記載の触覚提示装置。
  9. 前記信号処理部に前記指令値を入力することで、前記加速度センサによって検出された前記振動波形を前記指令値が示す前記波形に近づけるキャリブレーションを実行する制御部をさらに備える、請求項2に記載の触覚提示装置。
  10. 前記制御部は、前記触覚提示装置が起動された際に、前記キャリブレーションを実行する、請求項9に記載の触覚提示装置。
  11. 前記制御部は、前回の前記キャリブレーションの実行から所定時間経過後に、再度、前記キャリブレーションを実行する、請求項9に記載の触覚提示装置。
  12. 前記制御部は、前記ユーザから入力された指示に基づいて、前記キャリブレーションを実行する、請求項9に記載の触覚提示装置。
  13. 前記接触部は、前記ユーザに接触する第1の接触面を有し、
    前記振動部は、前記第1の接触面を介して前記ユーザに前記振動を伝える、
    請求項1に記載の触覚提示装置。
  14. 前記第1の接触面は、凹凸を有する、請求項13に記載の触覚提示装置。
  15. 前記振動部は、ボイスコイルモータ及び空気圧アクチュエータのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の触覚提示装置。
  16. 前記設置部に固定され、前記ユーザが操作する操作部と、
    前記接触部を前記設置部に対して変位可能に支持する弾性体と、
    をさらに備える、請求項1に記載の触覚提示装置。
  17. 前記設置部は、前記振動部と、前記接触部と、前記加速度センサとを収容する筐体である、請求項1に記載の触覚提示装置。
  18. 振動を提示する振動部と、前記振動部による前記振動をユーザへ伝える接触部と、前記接触部を変位可能に支持する設置部と、前記接触部に設けられた加速度センサと、指令値に基づいて前記振動部へ入力する電圧波形を生成する信号処理部とを備える触覚提示装置のキャリブレーション方法であって、
    前記信号処理部が、前記指令値が示す波形と、前記加速度センサによって検出された振動波形との差に基づいて、前記指令値から前記電圧波形を生成する際のゲインを補正する、
    キャリブレーション方法。
  19. 振動を提示する振動部と、前記振動部による前記振動をユーザへ伝える接触部と、前記接触部を変位可能に支持する設置部と、前記接触部に設けられた加速度センサと、指令値に基づいて前記振動部へ入力する電圧波形を生成する信号処理部とを備える触覚提示装置を機能させるためのプログラムであって、
    前記信号処理部に、前記指令値が示す波形と、前記加速度センサによって検出された振動波形との差に基づいて、前記指令値から前記電圧波形を生成する際のゲインを補正する処理を実行させるためのプログラム。
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