以下、発明の実施の形態に係る室内機及び空気調和機について図面等を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、各図において同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。更に、明細書全文に表れている構成要素の形態は、あくまで例示であってこれらの記載に限定されるものではない。また、温度、圧力等の高低については、特に絶対的な値との関係で高低等が定まっているものではなく、システム、装置等における状態、動作等において相対的に定まるものとする。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室内機の全体の斜視図である。図2は、図1のA−A概略縦断面図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室内機の分解斜視図である。なお、以下の説明で用いる「上」「下」「左」「右」「前」「後」は、特に断らない限り、室内機を正面側から見た場合の方向を意味している。
この室内機100は、冷媒を循環させる冷凍サイクルを利用することで、室内等の空調対象域に空調空気(後述の室内熱交換器で熱交換された空気)を供給するものである。室内機100の筐体100aは、室内壁面に固定される基台1と、基台1の前面に取り付けられた意匠パネル2とを有している。意匠パネル2の上面には、室内空気を内部に吸い込むための吸込口3が形成されている。また、意匠パネル2の下面には、室内へ空気を吹き出す吹出口4が形成されており、吹出口4は意匠パネル2の開閉パネル21によって運転時に開放、運転停止時に閉塞されるようになっている。
吹出口近傍には、吹出口4から室内に向けて吹き出す空気の吹出方向を調整する風向調整装置が配置されている。風向調整装置は吹き出し空気の上下風向を制御する上下風向板2a、2bと吹き出し空気の左右風向を制御する左右風向板1a、1bとを有する。上下風向板2a及び左右風向板1aは吹出口4の右側に配置され、上下風向板2b及び左右風向板1bは吹出口4の左側に配置され、吹出口4内の右側と左側とで独立して風向調整を行えるようになっている。
筐体100a内には、左右に隣接して配置された室内熱交換器10a、10bと、各室内熱交換器10a、10bのそれぞれに対応して設けられた室内ファン20a、20bとを備えている。筐体100a内には更に、各室内ファン20a、20bをそれぞれ駆動するファンモータ30a、30b(30bは図示せず)を備えている。
室内熱交換器10a、10bは、間隔を空けて配置された複数のフィン11と、複数のフィン11を貫通し、内部を冷媒が通過する複数の伝熱管12とを備えたフィンアンドチューブ型熱交換器で構成されている。なお、ここでは室内熱交換器10a、10bが右側方又は左側方から見てW字形状をしているが、この形状はあくまでも一例であって、この形状に限られたものではない。
室内ファン20a、20bは、吸込口3の下流側で且つ室内熱交換器10a、10bの上流側に配置されており、例えばプロペラファン又はラインフローファン等で構成されている。
筐体100a内において、吸込口3から吹出口4までの風路は大まかに右側風路5aと左側風路5bとに分けられている。そして、右側風路5aには室内熱交換器10a及び室内ファン20aが配置され、左側風路5bには室内熱交換器10b及び室内ファン20bが配置されている。また、吹出口4は、右側風路5aに連通する右側吹出口4aと、左側風路5bに連通する左側吹出口4bとを有する。そして、各室内ファン20a、20bからの空気が、それぞれ対応の室内熱交換器10a、10bを通過し、各風向調整装置によってそれぞれ独立して風向制御されて、右側吹出口4a及び左側吹出口4bから室内に供給される構成となっている。なお、右側風路5aと左側風路5bとの間には仕切板が設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。
以上のように構成された室内機100では、室内熱交換器と室内ファンとの組を左右に2組備えた構成となっている。このため、室内ファン20a、20bの回転数を左右で変えることで、右側吹出口4aと左側吹出口4bとで温度の異なる吹き出し空気を吹き出すことが可能である。また、本実施の形態1では、室内ファン20a、20bの回転数を同じとしたままでも、右側吹出口4aと左側吹出口4bとで温度の異なる吹き出し空気を吹き出すことを可能とした点を特徴とする。以下、これを可能とした冷媒回路構成について説明する。
図4は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機の冷媒回路を示す図である。
空気調和機は、室内機100と室外機200とを備えている。室内機100は、上述の室内熱交換器10a、10bと、室内ファン20a、20bとの他、切替装置40を備えている。そして、室内熱交換器10a、室内熱交換器10b及び切替装置40が配管で接続されて室内側冷媒回路が構成されている。更に具体的には、室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとが並列に接続されて並列回路を構成しており、その並列回路の一端に切替装置40が接続されて室内側冷媒回路が構成されている。
切替装置40は、室内側冷媒回路における冷媒の流れを切り替える装置であって、具体的には、室内機100に流入した冷媒を室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとに振り分ける流量調整弁で構成されている。以下に詳述するが、実施の形態1では室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとに流れる冷媒流量を流量調整弁により異ならせることで、室内熱交換器10a、10bにおける熱交換能力を互いに異ならせるようにしている。本発明の冷媒交換能力変更装置は少なくとも室内側冷媒回路における冷媒の流れを切り替える切替装置を有しており、切替装置40がその切替装置に相当する。
室外機200は、圧縮機201と、四方弁202と、室外熱交換器203と、室外ファン204と、減圧装置205とを備えている。そして、圧縮機201と、四方弁202と、室外熱交換器203と、減圧装置205とが配管で接続されて室外側冷媒回路が構成されている。
圧縮機201は、冷媒を吸入し、その冷媒を圧縮して高温且つ高圧の状態にするものである。圧縮機201は、運転容量(周波数)を可変させることが可能なものでも良いし、一定容量のものでもよい。四方弁202は、冷房運転と暖房運転とで冷媒の循環方向を切り替えるものである。室外熱交換器203はフィンアンドチューブ型熱交換器で構成されている。
減圧装置205は、開度調整可能な膨張弁で構成されている。膨張弁としては、ステッピングモータ(図示せず)により絞りの開度を可変に調整することが可能な電子膨張弁で構成するとよい。なお、電子膨張弁以外にも、受圧部にダイアフラムを採用した機械式膨張弁、又は温度式膨張弁としてもよい。また、減圧装置205は、膨張弁以外にも、キャピラリーチューブ等、同様な役割を成すものであれば、他の形式のものを用いてもよい。
そして、室外側冷媒回路と室内側冷媒回路とが配管で接続されて冷媒回路が構成されている。
このように構成された冷媒回路には封入されている。冷媒としては、本実施の形態1ではHFC−R32が封入されているが、その他の冷媒でも構わない。例えばHFC−R410A、HFO−1234yf、HFO−1234ze、CO2等、冷凍サイクルに用いられる冷媒であればどんな冷媒を用いても構わない。
空気調和機には更に、空気調和機全体を制御する制御装置300が設けられている。なお、図4には室外機200のみに制御装置300を設けた構成を図示しているが、室内機100に制御装置300の機能の一部を持つ室内制御装置を設け、制御装置300と室内制御装置との間でデータ通信を行うことにより連携処理を行う構成にしてもよい。制御装置300は、その機能を実現する回路デバイスのようなハードウェアで構成することもできるし、マイコン又はCPUのような演算装置と、その上で実行されるソフトウェアとにより構成することもできる。
制御装置300は、四方弁202の切り替えにより冷房運転と暖房運転とを切り替えて運転を行う。また、制御装置300は、四方弁202を暖房運転側に切り替えた状態において、室内機100の切替装置40の切り替えにより、通常暖房運転、二凝縮運転、片方暖房運転に切り替える。また、制御装置300は、四方弁202を冷房運転側に切り替えた状態において、室内機の切替装置40の切り替えにより、通常冷房運転、二蒸発運転、片方冷房運転に切り替える。二凝縮運転及び二蒸発運転は二温度吹き出し運転に相当する。
本実施の形態1は、上述したように、室内ファン20a、20bの回転数を同じとしたまま、温度の異なる吹き出し空気を吹き出すことを可能とした点を特徴としており、この動作は、二凝縮運転及び二蒸発運転で行われる。以下、これらの運転を含め、空気調和機で行う各運転毎の空気調和機の動作について説明する。
[暖房運転]
以下、(1)通常暖房運転、(2)二凝縮運転、(3)片方運転について順に説明する。なお、暖房運転時は、四方弁202を図4の実線で示される状態に切り替えられる。これは、(1)〜(3)の全ての運転において共通である。
(1)通常暖房運転
通常暖房運転は、各室内熱交換器10a、10bにおける凝縮温度が同じで、右側吹出口4a及び左側吹出口4bのそれぞれにおける温風の吹き出し温度が同じとなる運転である。
図5は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機における通常暖房運転時のP−h線図である。横軸はエンタルピー[kJ/kg]、縦軸は圧力[MPa]を示しており、以下の各P−h線図においても同様である。図5では、凝縮過程及び蒸発過程を示す線に近接して、その過程にある熱交換器を併せて図示している。すなわち、ドット付きの熱交換器が室内熱交換器10a、10b、ドット無しの熱交換器が室外熱交換器203を示しており、以下の各P−h線図においても同様である。また、図5において点線は等温線を示しており、暖房運転時の標準温度条件を示している。上側の点線は標準室内温度(例えば20℃)、下側の点線は標準外気温度(例えば7℃)である。この点線は、以下の暖房運転の各P−h線図においても同様である。
通常暖房運転では、室内機100に流入した冷媒が室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとで均等に分配されるように切替装置40が切り替えられる。そして、圧縮機201から吐出された冷媒(状態A)は、四方弁202を通過した後、均等に2つに分割され、各冷媒はそれぞれ、室内熱交換器10a、10bに流入する。各室内熱交換器10a、10bに流入した冷媒は、室内ファン20a、20bからの空気と熱交換して凝縮液化し(状態B)、切替装置40で合流する。
切替装置40で合流した冷媒は、減圧装置205にて減圧される(状態C)。減圧装置205にて減圧された冷媒は室外熱交換器203に流入し、室外ファン204からの空気と熱交換して蒸発した後(状態D)、四方弁202を介して圧縮機201に戻り、1サイクルを終了する。以上のサイクルを連続的に繰り返すことにより室内を暖房する。
ここで、室内機100に流入した冷媒は、切替装置40により室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとに均等に分配されるため、それぞれにおける凝縮温度は同じである。このため、室内ファン20a、20bが同一回転数で動作している状態において、右側吹出口4a及び左側吹出口4bのそれぞれから同じ温度の温風が吹き出される。
(2)二凝縮運転
二凝縮運転は、暖房運転時に、室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとのそれぞれに振り分ける冷媒流量を異ならせることで、同一風量時に温度の異なる温風を形成する運転である。
図6は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機における二凝縮運転時のP−h線図である。なお、図6には、切替装置40によって室内熱交換器10aに室内熱交換器10bよりも少なく冷媒が流れるように冷媒を振り分けた場合を示している。図6において△が室内熱交換器10aにおける冷媒状態、□が室内熱交換器10bにおける冷媒状態を示している。
二凝縮運転において圧縮機201から吐出された冷媒(状態A)は、四方弁202を通過した後、室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとに振り分けられる。そして、各冷媒は、凝縮器として機能する室内熱交換器10a、10bに流入し、室内ファン20a、20bからの空気と熱交換して凝縮し、高圧液冷媒(状態B1)、高圧二相冷媒(状態B2)となる。各冷媒は切替装置40で合流後、減圧装置205にて減圧され、低圧二相冷媒となる(状態C)。低圧二相冷媒は室外熱交換器203に流入し、室外ファン204からの空気と熱交換して蒸発した後(状態D)、四方弁202を介して圧縮機201に戻り、1サイクルを終了する。以上のサイクルを連続的に繰り返すことにより室内を暖房する。
ここで、室内機100に流入した冷媒は、上述したように室内熱交換器10aに室内熱交換器10bよりも少なく振り分けられている。このため、室内熱交換器10aにおける熱交換量は室内熱交換器10bよりも少ない。よって、室内ファン20a、20bが同一回転数で動作している状態において、室内熱交換器10aを通過後の空気は室内熱交換器10bを通過後の空気よりも温度が低くなる。したがって、右側吹出口4aから左側吹出口4bよりも温度の低い温風が吹き出される。
このように、切替装置40により室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとで冷媒流量を異ならせることで、室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとのそれぞれの熱交換能力を変えることができる。その結果、同一風量時に温度の異なる温風を形成することが可能となる。
なお、ここでは、切替装置40によって室内熱交換器10aに室内熱交換器10bよりも少なく冷媒が流れるように冷媒を振り分けた例を示したが、逆にしてももちろんよい。この場合、左側吹出口4bから吹き出される温風が右側吹出口4aから吹き出される温風よりも温度が低くなる。
(3)片方暖房運転
片方暖房運転は、室内熱交換器10a及び室内熱交換器10bのどちらか一方のみを暖房運転する運転である。片方暖房運転では、室内熱交換器10a及び室内熱交換器10bの一方のみに冷媒が通過するように切替装置40が切り替えられる。また、冷媒が通過しない室内熱交換器に対応する室内ファンの運転は停止される。
図7は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機における片方暖房運転時のP−h線図である。なお、図7には、室内熱交換器10aのみに冷媒が流れるように切替装置40が切り替えられた場合を示している。
片方暖房運転において、圧縮機201から吐出された冷媒(状態A)は、四方弁202を通過した後、室内熱交換器10aに流入する。室内熱交換器10aに流入した冷媒は、室内ファン20aからの空気と熱交換して凝縮液化し(状態B)、その後、切替装置40を通過する。切替装置40を通過した冷媒は、減圧装置205にて減圧される(状態C)。減圧装置205にて減圧された冷媒は室外熱交換器203に流入し、室外ファン204からの空気と熱交換して蒸発した後(状態D)、四方弁202を介して圧縮機201に戻り、1サイクルを終了する。以上のサイクルを連続的に繰り返すことにより室内を暖房する。
ここで、冷媒は室内熱交換器10aを通過し、室内熱交換器10bは通過しないため、右側吹出口4aからのみ、温風が吹き出される。
このような片方運転は、近年のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の住宅において有効である。ZEHとは、住宅の高断熱化と高効率設備により、快適な室内環境と大幅な省エネルギーを同時に実現した上で、太陽光発電等によってエネルギーを創り、年間に消費する正味のエネルギー量が概ねゼロとする住宅である。
近年ではZEHを目指して住宅の高気密化が進んでおり、空調負荷は安定時は1kW程度かそれ以下となる。従来の空気調和機で能力を低下させる場合には、圧縮機のインバータ制御を利用し、運転周波数を最低周波数にすることで低能力運転を実現している。しかし、下限周波数等の問題もあり、せいぜい定格能力の半分程度までしか能力を落とすことができない。一方で、定格能力を落とすようにすれば、安定時の必要能力に見合った低能力を実現できる。しかし、そうすると、例えば真夏の帰宅時、風呂上がり、極低温時の寝起き等、高能力の運転が求められる際の起動負荷を賄う能力の供給ができなくなる。
本実施の形態1の空気調和機では、2つの室内熱交換器10a、10bを備えており、見方を変えれば、従来、室内機の筐体内で一つとしていた室内熱交換器をいわば2つに分割した構成としている。このため、片方暖房運転を行い、2つの室内熱交換器10a、10bのうちの一方のみに冷媒を流すようにすることで、理論的には圧縮機周波数が最下限の周波数で運転している時に能力を更に半分まで落とすことが可能である。つまり、空調負荷が小さい場合に、その空調負荷に見合った能力まで空気調和機の能力を落とすことが可能となり、消費電力の低減に寄与できる。そして、室内熱交換器10a、10bの両方に冷媒を流すことで、高能力の運転が求められる際の起動負荷を賄う能力もまた、供給することが可能である。この点は、後述の片方冷房運転においても同様である。
[冷房運転]
次に、(1)通常冷房運転、(2)二蒸発運転、(3)片方冷房運転について順に説明する。なお、冷房運転時は、四方弁202を図4の点線で示される状態に切り替えられる。これは、(1)〜(3)の全ての運転において共通である。
(1)通常冷房運転
通常冷房運転は、各室内熱交換器10a、10bにおける蒸発温度が同じで、右側吹出口4a及び左側吹出口4bのそれぞれにおける冷風の吹き出し温度が同じとなる運転である。
図8は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機における通常冷房運転時のP−h線図である。図8において点線は等温線を示しており、冷房運転時の標準温度条件を示している。上側の点線は標準外気温度(例えば25℃)、下側の点線は標準室内温度(例えば27℃)である。この点線は、以下の冷房運転の各P−h線図においても同様である。
通常冷房運転では、室内機100に流入した冷媒が室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとで均等に分配されるように切替装置40が切り替えられる。そして、圧縮機201から吐出された冷媒(状態A)は、四方弁202を通過した後、凝縮器として機能する室外熱交換器203に流入する。室外熱交換器203に流入した冷媒は、室外ファン204からの空気と熱交換して凝縮液化する(状態B)。凝縮液化した冷媒は、減圧装置205にて減圧される(状態C)。減圧装置205にて減圧された冷媒は、切替装置40で均等に2つに分割され、各冷媒はそれぞれ、蒸発器として機能する室内熱交換器10a、10bに流入する。
各室内熱交換器10a、10bに流入した冷媒は、室内ファン20a、20bからの空気と熱交換して蒸発した後(状態D)、合流する。そして、合流後の冷媒は、四方弁202を通過して再び圧縮機201に吸入され、1サイクルを終了する。以上のサイクルを連続的に繰り返すことにより室内を冷房する。
ここで、室内機100に流入した冷媒は、切替装置40により室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとに均等に分配されるため、それぞれにおける蒸発温度は同じである。このため、室内ファン20a、20bが同一回転数で動作している状態において、右側吹出口4a及び左側吹出口4bのそれぞれから同じ温度の冷風が吹き出される。
(2)二蒸発運転
二蒸発運転は、冷房運転時に、室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとのそれぞれにおける蒸発温度を異ならせることで、同一風量時に温度の異なる冷風を形成する運転である。
図9は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機における二蒸発運転時の冷媒の流れを示す図である。なお、図9には、切替装置40によって室内熱交換器10aに室内熱交換器10bよりも少ない冷媒が流れるように冷媒を振り分けた場合を示している。図9において△が室内熱交換器10aにおける冷媒状態、□が室内熱交換器10bにおける冷媒状態を示している。
圧縮機201から吐出された冷媒(状態A)は、四方弁202を通過した後、室外熱交換器203に流入し、室外ファン204からの空気と熱交換して凝縮する(状態B)。凝縮した冷媒は、減圧装置205にて減圧され、その後、室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとに切替装置40bで振り分けられて流入する。室内熱交換器10a側に振り分けられた状態C1の冷媒と、室内熱交換器10b側に振り分けられた状態C2の冷媒とは、室内ファン20a、20bからの空気と熱交換して蒸発した後、合流する(状態D)。合流後の冷媒は、四方弁202を介して圧縮機201に戻り、1サイクルを終了する。以上のサイクルを連続的に繰り返すことにより室内を冷房する。
ここで、室内機100に流入した冷媒は、切替装置40により室内熱交換器10aの冷媒流量が室内熱交換器10bよりも少なく振り分けられている。このため、室内熱交換器10aにおける熱交換量は室内熱交換器10bよりも少ない。よって、室内熱交換器10aを有する右側風路5aの右側吹出口4aから吹き出される冷風は、室内熱交換器10bを有する左側風路5bの左側吹出口4bから吹き出される冷風よりも温度が高くなる。
このように、切替装置40により室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとで冷媒流量を異ならせることで、室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとのそれぞれの熱交換能力を変えることができる。その結果、同一風量時に温度の異なる冷風を形成することが可能となる。
なお、ここでは、切替装置40によって室内熱交換器10aに室内熱交換器10bよりも少なく冷媒が流れるように冷媒を振り分けた例を示したが、逆にしてももちろんよい。この場合、左側吹出口4bから吹き出される冷風が右側吹出口4aから吹き出される温風よりも温度が高くなる。
(3)片方冷房運転
片方冷房運転は、室内熱交換器10a及び室内熱交換器10bのどちらか一方のみを冷房運転する運転である。片方冷房運転では、室内熱交換器10a及び室内熱交換器10bの一方のみに冷媒が流れるように切替装置40が切り替えられる。また、冷媒が通過しない室内熱交換器に対応する室内ファンの運転は停止される。
図10は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機における片方冷房運転時のP−h線図である。ここでは、室内熱交換器10aのみに冷媒が流れるように切替装置40が切り替えられる。
圧縮機201から吐出された冷媒(状態A)は、四方弁202を通過した後、室外熱交換器203に流入する。室内熱交換器10aに流入した冷媒は、室内ファン20aからの空気と熱交換して凝縮する(状態B)。凝縮した冷媒は、減圧装置205にて減圧され(状態C)、その後、切替装置40を通過して室内熱交換器10aに流入する。室内熱交換器10aに流入した冷媒は、室内ファン20aからの空気と熱交換して蒸発した後(状態D)、四方弁202を通過して再び圧縮機201に吸入され、1サイクルを終了する。以上のサイクルを連続的に繰り返すことにより室内を冷房する。
ここで、冷媒は室内熱交換器10aを通過し、室内熱交換器10bには通過しないため、右側吹出口4aからのみ冷風が吹き出される。
以上説明したように、本実施の形態1によれば、切替装置40により室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとで冷媒流量を異ならせることで、室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとのそれぞれの熱交換能力を変えることができる。その結果、同一風量時に温度の異なる吹き出し空気を形成することが可能となる。
また、室内側冷媒回路は、室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとが並列に接続されて並列回路を構成している。そして、並列回路の一端に接続した切替装置40を流量調整弁としたので、室内機100に流入した冷媒を室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとに振り分けることができる。
また、切替装置40を流量調整弁とし、流量調整弁を制御して室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとに振り分ける冷媒の流量を互いに異ならせることで、室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとのそれぞれの熱交換能力を変えることができる。
また、吹出口4が左右に分けられて右側吹出口4aと左側吹出口4bとを構成しているため、室内の各ユーザに対して個別に吹き出し空気を送風することができ、各ユーザの快適性を向上できる。
以下、本実施の形態1の変形例について説明する。
(変形例1)
図11は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機の変形例1の冷媒回路を示す図である。
図4では、切替装置40が暖房運転の流れで室内熱交換器10a、10bの下流に備えた構成であったが、図11に示す変形例1では、室内熱交換器10a、10bの上流に備えた構成としている。
変形例1の冷媒回路における冷媒の状態変化を、二凝縮運転及び二蒸発運転のそれぞれについて説明する。通常暖房運転、通常冷房運転及び片方運転については図4に示した冷媒回路と同じである。
図12は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機の変形例1における二凝縮運転時のP−h線図である。図12において△が室内熱交換器10aにおける冷媒状態、□が室内熱交換器10bにおける冷媒状態を示している。
二凝縮運転において圧縮機201から吐出された冷媒(状態A)は、四方弁202を通過した後、切替装置40によって室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとに振り分けられる。そして、各冷媒は、凝縮器として機能する室内熱交換器10a、10bに流入し、室内ファン20a、20bからの空気と熱交換して凝縮し、高圧液冷媒(状態B1)、高圧二相冷媒(状態B2)となる。各冷媒は合流後、減圧装置205にて減圧され、低圧二相冷媒となる(状態C)。低圧二相冷媒は室外熱交換器203に流入し、室外ファン204からの空気と熱交換して蒸発した後(状態D)、四方弁202を介して圧縮機201に戻り、1サイクルを終了する。以上のサイクルを連続的に繰り返すことにより室内を暖房する。
ここで、室内機100に流入した冷媒は、上述したように室内熱交換器10aに室内熱交換器10bよりも少なく振り分けられている。このため、室内熱交換器10aにおける熱交換量は室内熱交換器10bよりも少ない。よって、室内ファン20a、20bが同一回転数で動作している状態において、室内熱交換器10aを通過後の空気は室内熱交換器10bを通過後の空気よりも温度が低くなる。したがって、右側吹出口4aから左側吹出口4bよりも温度の低い温風が吹き出される。
このように、切替装置40により室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとで冷媒流量を異ならせることで、室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとのそれぞれの能力を変えることができる。その結果、同一風量時に温度の異なる温風を形成することが可能となる。
なお、ここでは、切替装置40によって室内熱交換器10aに室内熱交換器10bよりも少なく冷媒が流れるように冷媒を振り分けた例を示したが、逆にしてももちろんよい。この場合、左側吹出口4bから吹き出される温風が右側吹出口4aから吹き出される温風よりも温度が低くなる。
図13は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機の変形例1における二蒸発運転時の冷媒の流れを示す図である。なお、図13には、切替装置40によって室内熱交換器10aに室内熱交換器10bよりも少ない冷媒が流れるように冷媒を振り分けた場合を示している。図13において△が室内熱交換器10aにおける冷媒状態、□が室内熱交換器10bにおける冷媒状態を示している。
圧縮機201から吐出された冷媒(状態A)は、四方弁202を通過した後、室外熱交換器203に流入し、室外ファン204からの空気と熱交換して凝縮する(状態B)。凝縮した冷媒は、減圧装置205にて減圧される(状態C)。減圧された冷媒は、室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとに振り分けられて流入する。室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとに振り分けられた冷媒は、室外ファン204からの空気と熱交換して蒸発(状態D1、状態D2)した後、切替装置40で合流する。合流後の冷媒は、四方弁202を介して圧縮機201に戻り、1サイクルを終了する。以上のサイクルを連続的に繰り返すことにより室内を冷房する。
ここで、室内機100に流入した冷媒は、切替装置40により室内熱交換器10aの冷媒流量が室内熱交換器10bよりも少なく振り分けられている。このため、室内熱交換器10aにおける熱交換量は室内熱交換器10bよりも少ない。よって、室内熱交換器10aを有する右側風路5aの右側吹出口4aから吹き出される冷風は、室内熱交換器10bを有する左側風路5bの左側吹出口4bから吹き出される冷風よりも温度が高くなる。
このように、切替装置40により室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとで冷媒流量を異ならせることで、室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとのそれぞれの熱交換能力を変えることができる。その結果、同一風量時に温度の異なる冷風を形成することが可能となる。
なお、ここでは、切替装置40によって室内熱交換器10aに室内熱交換器10bよりも少なく冷媒が流れるように冷媒を振り分けた例を示したが、逆にしてももちろんよい。この場合、左側吹出口4bから吹き出される冷風が右側吹出口4aから吹き出される温風よりも温度が高くなる。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、同一風量時に温度の異なる吹き出し空気を形成する二温度吹き出し運転として、二凝縮運転及び二蒸発運転を行っている。実施の形態2ではこれらの運転に加えて更に、室内機100から冷風と温風とを同時に吹き出す冷暖同時運転を可能としたものである。
図14は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機の冷媒回路を示す図である。以下、実施の形態2が実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
室内側冷媒回路は、室内熱交換器10aと、室内熱交換器10bと、減圧装置50と、が並列に接続されて並列回路を構成しており、その並列回路の両端に切替装置40a、40bが接続された構成を有している。切替装置40a、40bと減圧装置50とにより本発明の冷媒交換能力変更装置を構成している。
減圧装置50は、開度調整可能な膨張弁で構成されている。膨張弁としては、ステッピングモータ(図示せず)により絞りの開度を可変に調整することが可能な電子膨張弁で構成するとよい。なお、電子膨張弁以外にも、受圧部にダイアフラムを採用した機械式膨張弁、又は温度式膨張弁としてもよい。また、減圧装置205は、膨張弁以外にも、キャピラリーチューブ等、同様な役割を成すものであれば、他の形式のものを用いてもよい。なお、以下の説明では電子膨張弁を用いているものとする。
切替装置40a、40bは、四方向に流路を切り替え可能な四方切替弁で構成されている。切替装置40a、40bは、室内機100の室外機200との接続口101a、101bと室内側冷媒回路を構成する各機器との接続を切り替える。
切替装置40aは、具体的には、接続口101aを第1〜第3状態に切り替える。第1状態は、室内熱交換器10aの一端及び室内熱交換器10bの一端に接続する状態である(図15、図22参照)。第2状態は、接続口101aを、室内熱交換器10aの一端に接続すると共に、減圧装置50の一端を室内熱交換器10bの一端に接続する状態である(図17、図21参照)。第3状態は、接続口101aを、室内熱交換器10bの一端に接続すると共に、減圧装置50の一端を室内熱交換器10aの一端に接続する状態である。
切替装置40bは、具体的には、接続口101bを第4〜第6状態に切り替える。第4状態は、室内熱交換器10aの他端及び室内熱交換器10bの他端に接続する状態である(図15、図22参照)。第5状態は、接続口101bを、室内熱交換器10aの他端に接続すると共に、減圧装置50の他端を室内熱交換器10bの他端に接続する状態である(図21、図24、図27参照)。第6状態は、接続口101bを、室内熱交換器10bの他端に接続すると共に、減圧装置50の他端を室内熱交換器10aの他端に接続する第6状態である(図17参照)。
室内側冷媒回路は、切替装置40a、40bの切り替えにより、並列流路(図15、図22参照)、直列流路(図17、図24参照)、片方流路(図21、図27参照)に切り替えられる。並列流路は、室内熱交換器10a、10bに並列に冷媒が流れる流路である。直列流路は、室内熱交換器10a、10bの一方に冷媒が流れた後、他方に冷媒が流れる流路である。片方流路は、室内熱交換器10a、10bのどちらか一方のみに冷媒が流れる流路である。
以上のように構成された空気調和機において、四方弁202の切り替えにより冷房運転と暖房運転とを切り替えて運転を行う。また、制御装置300は、切替装置40a、40bの切り替えにより、暖房運転時に、通常暖房運転、二凝縮運転、冷暖同時運転、片方暖房運転に切り替える。また、冷房運転時に、通常冷房運転、二凝縮運転、冷暖同時運転、片方冷房運転に切り替える。二凝縮運転、冷暖同時運転(暖房時)、二蒸発運転、冷暖同時運転(冷房時)は二温度吹き出し運転に相当する。
暖房運転時の二温度吹き出し運転は、室内熱交換器10a、10bの両方を凝縮器として機能させる二凝縮運転と、室内熱交換器の10a、10b一方を凝縮器、他方を蒸発器として機能させる冷暖同時運転とを有し、これらを減圧装置50の制御で切り変える。また、冷房運転時の二温度吹き出し運転は、室内熱交換器10a、10bの両方を蒸発器として機能させる二蒸発運転と、室内熱交換器10a、10bの一方を凝縮器、他方を蒸発器として機能させる冷暖同時運転とを有し、これらを減圧装置50の制御で切り変える。減圧装置50の制御は制御装置300によって行われる。
以下、各運転毎の空気調和機の動作について説明する。
[暖房運転]
以下、(1)通常暖房運転、(2)二凝縮運転、(3)冷暖同時運転、(4)片方暖房運転について順に説明する。なお、暖房運転時は、四方弁202を図14の実線で示される状態に切り替えられる。これは、(1)〜(4)の全ての運転において共通である。
(1)通常暖房運転
図15は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機における通常暖房運転時の冷媒の流れを示す図である。図15において矢印は冷媒の流れを示している。図16は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機における通常暖房運転時のP−h線図である。図16におけるA〜Dは、図15のA〜Dに示す各配管位置における冷媒状態を示している。
通常暖房運転では、切替装置40aが第1状態、切替装置40aが第4状態に切り替えられ、並列流路が構成される。そして、圧縮機201から吐出された冷媒(状態A)は、四方弁202を通過した後、切替装置40aで均等に2つに分割され、各冷媒はそれぞれ、室内熱交換器10a、10bに流入する。各室内熱交換器10a、10bに流入した冷媒は、室内ファン20a、20bからの空気と熱交換して凝縮液化した後(状態B)、切替装置40bで合流する。そして、切替装置40bを通過した冷媒は、減圧装置205にて減圧される(状態C)。減圧装置205で減圧された冷媒は、室外熱交換器203で室外ファン204からの空気と熱交換して蒸発した後(状態D)、四方弁202を通過して再び圧縮機201に吸入され、1サイクルを終了する。以上のサイクルを連続的に繰り返すことにより室内を暖房する。
(2)二凝縮運転
図17は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機における二凝縮運転時の冷媒の流れを示す図である。図17において矢印は冷媒の流れを示している。図18は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機における二凝縮運転時のP−h線図である。図18におけるA〜Dは、図17のA〜Dに示す各配管位置における冷媒状態を示している。
二凝縮運転では、切替装置40a、40bにより室内側冷媒回路を直列流路にして行われる。直列流路は2通りある。すなわち、一つは、図17に示すように切替装置40aを第2状態に切り替えると共に切替装置40bを第6状態に切り替え、接続口101aから流入した冷媒が室内熱交換器10a、減圧装置50、室内熱交換器10bの順に通る第1順路である。もう一つは、図24に示すように切替装置40aを第3状態に切り替えると共に切替装置40bを第5状態に切り替え、接続口101aから流入した冷媒が室内熱交換器10b、減圧装置50、室内熱交換器10aの順に通る第2順路である。ここでは、第1順路に設定された例で、二凝縮運転について説明する。
圧縮機201から吐出された冷媒(状態A)は、四方弁202を通過した後、切替装置40aを通過する。切替装置40aを通過した冷媒は、凝縮器として機能する室内熱交換器10aに流入し、室内ファン20aからの空気と熱交換して凝縮し、高圧二相冷媒(状態B1)となる。高圧二相冷媒は、切替装置40bを通過後、減圧装置50で減圧される(状態B2)。減圧装置50で減圧された冷媒は、切替装置40aを通過後、室内熱交換器10bに流入し、室内ファン20bからの空気と熱交換して更に凝縮する(状態B3)。ここで、減圧装置50では、室内熱交換器10bが凝縮器として機能するように、「標準室内温度に対応する圧力P1」以下とならない範囲で減圧を行う。
そして、室内熱交換器10bで凝縮された冷媒は、切替装置40bを通過後、減圧装置205にて減圧される(状態C)。ここでは、室外熱交換器203が蒸発器として機能するように、「標準外気温度に対応する圧力P2」よりも低い圧力に減圧される。そして、減圧装置205で減圧された冷媒は、室外熱交換器203で室外ファン204からの空気と熱交換して蒸発した後(状態D)、四方弁202を介して圧縮機201に戻り、1サイクルを終了する。以上のサイクルを連続的に繰り返すことにより室内を暖房する。
このように室内熱交換器10aから流出した冷媒を減圧装置50で減圧して室内熱交換器10bに流入させるため、下流側の室内熱交換器10bの凝縮温度は、上流側の室内熱交換器10aの凝縮温度よりも低くなる。このため、室内ファン20a、20bが同一回転数で動作している状態において、室内熱交換器10bを通過後の空気は室内熱交換器10aを通過後の空気よりも温度が低くなる。したがって、左側吹出口4bから吹き出される温風は、右側吹出口4aから吹き出される温風よりも温度が低くなる。つまり、二凝縮運転では、直列流路の室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとの間に設けた減圧装置50で減圧することで、室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとのそれぞれの凝縮温度を変えることができる。その結果、同一風量時に温度の異なる温風を形成することが可能となる。
なお、ここでは、切替装置40a、40bによって室内側冷媒回路が直列流路の第1順路に切り替えられ、冷媒が室内熱交換器10a、減圧装置50、室内熱交換器10bの順に流れるようにしたが、第2順路に切り替えてももちろんよい。第2順路とした場合、右側吹出口4aから左側吹出口4bよりも温度の低い温風が吹き出されることになる。
(3)冷暖同時運転
上記二凝縮運転では、減圧装置50にて冷媒圧力を「標準室内温度に対応する圧力P1」以下とならない範囲で減圧し、室内熱交換器10a、10bの両方を凝縮器として機能させる運転であった。これに対し、冷暖同時運転は、減圧装置50にて冷媒圧力を「標準室内温度に対応する圧力P1」よりも減圧し、室内熱交換器10a、10bのうち上流側を凝縮器として機能させ、下流側を蒸発器として機能させる運転である。そして、右側吹出口4a及び左側吹出口4bの一方から温風を吹き出し、他方から冷風を吹き出すようにする。以下では、室内側冷媒回路が室内熱交換器10a、減圧装置50、室内熱交換器10bの順に冷媒が流れる第1順路に設定された例で、冷暖同時運転について説明する。
ここで、冷暖同時運転の説明に先立ち、冷暖同時運転を用いて好適な室内環境について次の図19を参照して説明する。
図19は、冷暖同時運転を用いて好適な室内環境を示す平面図である。
近年の大型化するリビングルームに対応し、リビングダイニングキッチンでは、1つの空気調和機でキッチン110とリビング120との両方を空調することが求められる。そして、秋口などの中間期では、リビング120では寒さ対策で温風供給が求められ、調理機器の使用等で暑くなるキッチン110では冷風供給が求められる。このような室内環境において、室内機100から見てキッチン110とリビング120とが左右に位置するように室内機100を設置して冷暖同時運転を行うことで、キッチン110とリビング120に温風、冷風の吹き分けを行うことができる。その結果、空間快適性を向上することが可能となる。
図20は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機における冷暖同時運転時のP−h線図である。冷暖同時運転時における冷媒の流れは、図17に示した二凝縮運転時と同様である。図20におけるA〜Dは、図17のA〜Dに示す各配管位置における冷媒状態を示している。
圧縮機201から吐出された冷媒(状態A)は、四方弁202を通過した後、切替装置40aを通過する。切替装置40aを通過した冷媒は、凝縮器として機能する室内熱交換器10aに流入し、室内ファン20aからの空気と熱交換して凝縮し、高圧二相冷媒(状態B1)となる。高圧二相冷媒は、切替装置40bを通過後、減圧装置50で減圧される(状態B2)。減圧装置50で減圧された冷媒は、切替装置40aを通過後、室内熱交換器10bに流入し、室内ファン20bからの空気と熱交換して蒸発する(状態B3)。ここで、減圧装置50では、室内熱交換器10bが蒸発器として機能するように、「標準室内温度に対応する圧力P1」よりも低い圧力に減圧する。
そして、室内熱交換器10bで蒸発した冷媒は、切替装置40bを通過後、減圧装置205にて減圧される(状態C)。ここでは、室外熱交換器203が蒸発器として機能するように、「標準外気温度に対応する圧力P2」よりも低い圧力に減圧される。そして、減圧装置205で減圧された冷媒は、室外熱交換器203で室外ファン204からの空気と熱交換して蒸発した後(状態D)、四方弁202を介して圧縮機201に戻り、1サイクルを終了する。
このように冷暖同時運転では、室内熱交換器10aから流出した冷媒を減圧装置50で「標準室内温度に対応する圧力P1」よりも低い圧力に減圧する。このため、上流側の室内熱交換器10aは凝縮器として機能し、下流側の室内熱交換器10bは蒸発器として機能する。よって、同一風量時に温度の異なる風を形成することが可能となり、右側吹出口4aからは温風が吹き出され、左側吹出口4bからは冷風が吹き出される。
なお、ここでは、切替装置40a、40bによって室内側冷媒回路が直列流路の第1順路に切り替えられ、冷媒が室内熱交換器10a、減圧装置50、室内熱交換器10bの順に流れるようにしたが、第2順路に切り替えてももちろんよい。第2順路とした場合、右側吹出口4aから冷風が吹き出され、左側吹出口4bからは温風が吹き出されることになる。
また、暖房運転時の冷暖同時運転では、室内熱交換器10a、10bの一方を凝縮器、他方を蒸発器として用いるため、加熱除湿も行える。具体的には、右側吹出口4a及び左側吹出口4bのそれぞれから吹き出される風を、左右風向板1a、1bで混合することで、除湿乾燥した温風を形成できる。よって、除湿乾燥した温風を、例えば部屋干しされた衣類に向かって送風することで、衣類乾燥の促進に効果的である。
(4)片方暖房運転
片方暖房運転では、室内熱交換器10a、10bの一方のみに冷媒が流れる片方流路となるように切替装置40a、40bが切り替えられる。また、冷媒が通過しない室内熱交換器に対応する室内ファンの運転は停止される。
図21は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機における片方暖房運転時の冷媒の流れを示す図である。図21において矢印は冷媒の流れを示している。片方暖房運転時のP−h線図は、図7に示した実施の形態の片方暖房運転と同様である。図21の各配管位置A〜Dにおける冷媒の状態は、図7のA〜Dに示すものである。ここでは、室内熱交換器10aのみに冷媒が流れるように切替装置40aが第2状態、切替装置40bが第5状態に切り替えられる例を示しており、冷媒の流れ及び状態変化は実施の形態1と同様である。また、ここでは、室内熱交換器10aに冷媒が流れる例を示したが、切替装置40aを第3状態、切替装置40bを第6状態に切り替え、室内熱交換器10bに流れるようにしてももちろんよい。
[冷房運転]
以下、(1)通常冷房運転、(2)二蒸発運転、(3)冷暖同時運転、(4)片方冷房運転について順に説明する。なお、冷房運転時は、四方弁202を図14の点線で示される状態に切り替えられる。これは、(1)〜(4)の全ての運転において共通である。
(1)通常冷房運転
図22は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機における通常冷房運転時の冷媒の流れを示す図である。図22において矢印は冷媒の流れを示している。図23は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機における通常冷房運転時のP−h線図である。図23におけるA〜Dは、図22のA〜Dに示す各配管位置における冷媒状態を示している。
通常冷房運転では、切替装置40aが第1状態、切替装置40aが第4状態に切り替えられ、並列流路が構成される。そして、圧縮機201から吐出された冷媒(状態A)は、四方弁202を通過した後、室外熱交換器203に流入する。室外熱交換器203に流入した冷媒は、室外ファン204からの空気と熱交換して凝縮液化した後(状態B)、減圧装置205にて減圧される。
減圧装置205で減圧された冷媒は、切替装置40bで均等に2つに分割され、各冷媒はそれぞれ、室内熱交換器10a、10bに流入する(状態C)。各室内熱交換器10a、10bに流入した冷媒は、室内ファン20a、20bからの空気と熱交換して蒸発した後、切替装置40aで合流し、四方弁202を通過して再び圧縮機201に吸入され(状態D)、1サイクルを終了する。以上のサイクルを連続的に繰り返すことにより室内を冷房する。
(2)二蒸発運転
図24は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機における二蒸発運転時の冷媒の流れを示す図である。図25は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機における二蒸発運転時のP−h線図である。図25におけるA〜Dは、図24のA〜Dに示す各配管位置における冷媒状態を示している。
二蒸発運転では、切替装置40a、40bにより室内側冷媒回路を直列流路にして行われる。直列流路は2通りある。すなわち、一つは、図24に示すように切替装置40aを第3状態に切り替えると共に切替装置40bを第5状態に切り替え、接続口101bから流入した冷媒が室内熱交換器10a、減圧装置50、室内熱交換器10bの順に通る第1順路である。もう一つは、図17に示すように切替装置40aを第2状態に切り替えると共に切替装置40bを第6状態に切り替え、接続口101bから流入した冷媒が室内熱交換器10b、減圧装置50、室内熱交換器10aの順に通る第2順路である。ここでは、第1順路に設定された例で、二蒸発運転について説明する。
圧縮機201から吐出された冷媒(状態A)は、四方弁202を通過した後、室外熱交換器203に流入し、室外ファン204からの空気と熱交換して凝縮液化する(状態B)。凝縮液化した冷媒は、減圧装置205にて減圧される。減圧装置205では、室内熱交換器10aが蒸発器として機能するように、「標準室内温度に対応する圧力P1」よりも低い圧力に減圧される。そして、減圧装置205で減圧された冷媒は、切替装置40bを通過して、蒸発器として機能する室内熱交換器10aに流入する(状態C1)。
室内熱交換器10aに流入した冷媒は、室内ファン20aからの空気と熱交換して蒸発した後、切替装置40aを通過して減圧装置50に流入する(状態C2)。そして、減圧装置50に流入した冷媒は減圧装置50にて更に減圧され、切替装置40bを通過後、蒸発器として機能する室内熱交換器10bに流入する(状態C3)。室内熱交換器10bに流入した冷媒は、室内ファン20bからの空気と熱交換して蒸発した後(状態D)、切替装置40aを通過する。切替装置40aを通過した冷媒は、四方弁202を介して圧縮機201に戻り、1サイクルを終了する。以上のサイクルを連続的に繰り返すことにより室内を冷房する。
このように室内熱交換器10aから流出した冷媒を減圧装置50で減圧して室内熱交換器10bに流入させるため、下流側の室内熱交換器10bの蒸発温度は、上流側の室内熱交換器10aの蒸発温度よりも低くなる。このため、室内ファン20a、20bが同一回転数で動作している状態において、室内熱交換器10bを通過後の空気は室内熱交換器10aを通過後の空気よりも温度が低くなる。したがって、左側吹出口4bから吹き出される冷風は、右側吹出口4aから吹き出される冷風よりも温度が低くなる。つまり、二蒸発運転では、直列流路の室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとの間に設けた減圧装置50で減圧することで、室内熱交換器10aと室内熱交換器10bとのそれぞれの蒸発温度を変えることができる。その結果、同一風量時に温度の異なる冷風を形成することが可能となる。
なお、ここでは、切替装置40a、40bによって室内側冷媒回路が直列流路の第1順路に切り替えられ、冷媒が室内熱交換器10a、減圧装置50、室内熱交換器10bの順に流れるようにしたが、第2順路に切り替えてももちろんよい。第2順路とした場合、右側吹出口4aから左側吹出口4bよりも温度の低い冷風が吹き出されることになる。
(3)冷暖同時運転
上記二蒸発運転では、減圧装置205にて冷媒圧力を「標準室内温度に対応する圧力P1」よりも低い圧力に減圧し、室内熱交換器10a、10bの両方を蒸発器として機能させる運転であった。これに対し、冷暖同時運転は、減圧装置205にて冷媒圧力を「標準室内温度に対応する圧力P1」以下とならない範囲で減圧する。これにより、室内熱交換器10a、10bのうち上流側を凝縮器として機能させる。また、減圧装置50にて冷媒圧力を「標準室内温度に対応する圧力P1」よりも低く減圧する。これにより、室内熱交換器10a、10bのうち下流側を蒸発器として機能させる。そして、上流側の室内熱交換器に対応する吹出口から温風を吹き出し、下流の室内熱交換器に対応する吹出口から冷風を吹き出すようにする。以下では、室内側冷媒回路が室内熱交換器10a、減圧装置50、室内熱交換器10bの順に冷媒が流れる第1順路に設定された例で、冷暖同時運転について説明する。
図26は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機における冷暖同時運転時のP−h線図である。冷暖同時運転時における冷媒の流れは、図24と同様である。図26におけるA〜Dは、図24のA〜Dに示す各配管位置における冷媒状態を示している。
圧縮機201から吐出された冷媒(状態A)は、四方弁202を通過した後、室外熱交換器203に流入し、室外ファン204からの空気と熱交換して凝縮する(状態B)。凝縮した冷媒は、減圧装置205にて減圧される。減圧装置205で減圧された冷媒は、切替装置40bを通過して室内熱交換器10aに流入する(状態C1)。減圧装置205では、室内熱交換器10aが凝縮器として機能するように、「標準室内温度に対応する圧力P1」以下とならない範囲内で冷媒圧力を減圧する。
そして、室内熱交換器10aに流入した冷媒は、室内ファン20aからの空気と熱交換して凝縮した後、切替装置40aを通過して減圧装置50に流入する(状態C2)。減圧装置50に流入した冷媒は減圧され、切替装置40bを通過後、室内熱交換器10bに流入する(状態C3)。減圧装置50では、室内熱交換器10bが蒸発器として機能するように、「標準室内温度に対応する圧力P1」よりも低い圧力に減圧する。
そして、室内熱交換器10bに流入した冷媒は、室内ファン20bからの空気と熱交換して蒸発した後(状態D)、切替装置40aを通過する。切替装置40aを通過した冷媒は、四方弁202を介して圧縮機201に戻り、1サイクルを終了する。
このように冷暖同時運転では、室内熱交換器10aから流出した冷媒を減圧装置50で「標準室内温度に対応する圧力P1」よりも低い圧力に減圧して室内熱交換器10bに流入させる。このため、上流側の室内熱交換器10aは凝縮器として機能し、下流側の室内熱交換器10bは蒸発器として機能する。よって、同一風量時に温度の異なる風を形成することが可能となり、右側吹出口4aからは温風が吹き出され、左側吹出口4bからは冷風が吹き出される。
なお、ここでは、切替装置40a、40bによって室内側冷媒回路が直列流路の第1順路に切り替えられ、冷媒が室内熱交換器10a、減圧装置50、室内熱交換器10bの順に流れるようにしたが、第2順路に切り替えてももちろんよい。第2順路とした場合、右側吹出口4aから冷風が吹き出され、左側吹出口4bからは温風が吹き出されることになる。
また、冷房運転時の冷暖同時運転では、一方を凝縮器、他方を蒸発器として用いるため、再熱除湿も行える。具体的には、右側吹出口4a及び左側吹出口4bのそれぞれから吹き出される風を、左右風向板1a、1bで混合することで、除湿乾燥した冷風を形成できる。よって、除湿乾燥した冷風を室内に供給することで、室内の除湿を行うことができる。
(4)片方冷房運転
片方冷房運転では、室内熱交換器10a、10bの一方のみに冷媒が流れる片方流路となるように切替装置40a、40bが切り替えられる。また、冷媒が通過しない室内熱交換器に対応する室内ファンの運転は停止される。
図27は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機における片方冷房運転時の冷媒の流れを示す図である。図27において矢印は冷媒の流れを示している。片方冷房運転時のP−h線図は、図10に示した実施の形態1と同様である。図27の各配管位置A〜Dにおける冷媒の状態は、図10のA〜Dに示すものである。ここでは、室内熱交換器10aのみに冷媒が流れるように切替装置40aが第2状態、切替装置40bが第5状態に切り替えられる例を示しており、冷媒の流れ及び状態変化は実施の形態1と同様である。また、ここでは、室内熱交換器10aに冷媒が流れる例を示したが、切替装置40aを第3状態、切替装置40bを第6状態に切り替え、室内熱交換器10bに流れるようにしてももちろんよい。
以上説明したように、本実施の形態2では、実施の形態1と同様の効果が得られると共に、更に、冷暖同時運転が可能となり、右側吹出口4a及び左側吹出口4bの一方から温風、他方から冷風を吹き出すことが可能である。
また、本実施の形態2では、冷媒交換能力変更装置として切替装置40a、40bと減圧装置50とを備え、切替装置40a、40bとして四方向に流路を切り替え可能な四方切替弁を用いた。そして、室内側冷媒回路を、室内熱交換器10aと減圧装置50と室内熱交換器10bとが並列に接続され、その並列回路の両端の合流部分に四方切替弁で構成された切替装置40aと切替装置40bとを分けて接続した構成とした。そして、切替装置40aは、上記第1状態〜第3状態に切り替えられ、また、切替装置40bは、上記第4状態〜第6状態に切り替えられる構成とした。
よって、室内側冷媒回路を並列流路、直列流路、片方流路に切り替えることができ、暖房運転時に、通常暖房運転、二凝縮運転、冷暖同時運転、片方暖房運転に切り替えることができる。また、冷房運転時に、通常冷房運転、二蒸発運転、冷暖同時運転、片方冷房運転に切り替えることができる。
直列流路は、具体的には、切替装置40aを第2状態且つ切替装置40bを第6状態に切り替えるか、又は切替装置40aを第3状態且つ切替装置40bを第5状態に切り替えることで構成できる。そして、制御装置300により減圧装置50を制御して二温度吹き出し運転を行うことができる。
また、減圧装置50における減圧量に応じて、室内熱交換器10a、10bの両方を凝縮器又は蒸発器として機能させる二凝縮運転又は二蒸発運転と、室内熱交換器10a、10bの一方を凝縮器、他方を蒸発器として機能させる冷暖同時運転とを行うことができる。
なお、上記実施の形態1、2では、減圧装置50としてここでは開度調整可能な電子膨張弁を用いている。このため、暖房運転の例で説明すると、二凝縮運転と冷暖同時運転との両方が可能となっている。しかし、二凝縮運転又は冷暖同時運転のどちらか一方の運転でよければ、減圧量が固定の減圧装置を用いてもよい。
本実施の形態2の空気調和機は、室内側冷媒回路が、室内熱交換器10a、10b、減圧装置50、切替装置40a、40bを備えた構成であるが、以下の変形例1、2のようにしてもよい。変形例1、2は、回路接続構成を変更すると共に、切替装置40a、40bを四方切替弁から三方弁に代えたものであり、以下、順に説明する。
(変形例1)
図28は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機の変形例1の冷媒回路を示す図である。
この変形例1では、室内側冷媒回路において、室内熱交換器10aと冷媒配管60aとを並列に接続した並列回路と、室内熱交換器10bと冷媒配管60bとを並列に接続した並列回路とを減圧装置50を介して直列接続されている。そして、各並列回路それぞれにおいて減圧装置50とは反対側の合流部分に切替装置40a、40bを設けた構成を有する。切替装置40a、40bは、三方弁で構成されている。切替装置40aは接続口101aを室内熱交換器10a又は冷媒配管60aに接続する。切替装置40bは接続口101bを室内熱交換器10b又は冷媒配管60bに接続する。切替装置40a、40bと減圧装置50とにより本発明の冷媒交換能力変更装置を構成している。
室内側冷媒回路では、切替装置40aを室内熱交換器10a側、切替装置40bを室内熱交換器10a側に切り替えることで室内熱交換器10a、10bの両方に順に冷媒が流れる直列流路が構成される。また、切替装置40aを室内熱交換器10a側、切替装置40bを冷媒配管60b側に切り替えることで室内熱交換器10aのみに冷媒が流れる片方流路が構成される。また、切替装置40aを冷媒配管60a側、切替装置40bを室内熱交換器10b側に切り替えることで室内熱交換器10bのみに冷媒が流れる片方流路が構成される。
このように構成された変形例1の空気調和機は、図14に示した実施の形態2の空気調和機と基本的に同様の運転が可能である。すなわち、四方弁202を図14の実線側に切り替えた状態で、通常暖房運転、二凝縮運転、冷暖同時運転、片方暖房運転が可能であり、四方弁202を図14の点線側に切り替えた状態で、通常冷房運転、二蒸発運転、冷暖同時運転、片方冷房運転が可能である。
なお、変形例1の空気調和機が実施の形態2の空気調和機と運転に関して異なる点は以下の通りである。すなわち、実施の形態2の空気調和機では、冷媒の流れを2つに分割して室内熱交換器10a、10bに並列に流す並列流路にして通常暖房運転及び通常冷房運転を行っていた。しかし、この変形例1では並列流路は実現できない。このため、この変形例1で通常暖房運転及び通常冷房運転を行う場合は、冷媒流路を室内熱交換器10a、10bに順に冷媒を流す直列流路にして行うことになる。
また、図14に示した実施の形態2の空気調和機では、切替装置40a、40bにより冷媒の流れ順を室内熱交換器10aから室内熱交換器10bの順と、その逆順とに切り替えることができる。つまり、上流と下流とを入れ替えることができる。このため、例えば冷暖混在運転で説明すると、室内熱交換器10aを凝縮器、室内熱交換器10bを蒸発器とすることもできるし、室内熱交換器10aを蒸発器、室内熱交換器10bを凝縮器とすることもできる。
しかし、図28に示した変形例1の空気調和機では、上流と下流を入れ替えることはできない。このため、例えば、四方弁202を図28の実線側に切り替えた暖房運転時の冷暖同時運転で説明すると、冷媒の流れは、室内熱交換器10aから室内熱交換器10bの順のみとなる。よって、暖房運転時の冷暖同時運転では、必ず室内熱交換器10aから温風、室内熱交換器10bから冷風が吹き出されることになる。
また、切替装置40a、40bの切り替えにより室内熱交換器10a、10bの何れか一方に選択的に冷媒を流す片方流路を構成できるため、片方暖房運転及び片方冷房運転については、上記実施の形態1、2と同様に行える。
(変形例2)
図29は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機の変形例2の冷媒回路を示す図である。
この変形例2は、変形例1において切替装置40a、40bの配置位置を変えたものである。変形例1では、各並列回路それぞれにおいて減圧装置50とは反対側の合流部分に切替装置40a、40bを設けていたが、変形例2では、減圧装置50側の合流部分に設けた構成としたものである。切替装置40a、40bを三方弁で構成する点は変形例1と同じである。切替装置40aは減圧装置50を室内熱交換器10a又は冷媒配管60aに接続する。切替装置40bは減圧装置50を室内熱交換器10b又は冷媒配管60bに接続する。その他の構成は変形例1と同様である。
このように変形例2の構成としても、上記変形例1と同様の効果を得ることができる。
なお、変形例1、2では、各並列回路それぞれにおいて減圧装置50とは反対側の合流部分又は減圧装置50側の合流部分に切替装置40a、40bを分けて接続した構成としたが、これに限定されない。すなわち、各並列回路それぞれの合流部分に切替装置40aと切替装置40bとを分けて接続した構成とすればよく、切替装置40aが減圧装置50とは反対側の合流部分、切替装置40bが減圧装置50側の合流部分に接続した構成としてもよい。
また、本発明の室内機は、上記の構造に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で例えば以下のように種々変形実施可能である。例えば、上記実施の形態1、2では、室内ファンとしてプロペラファンを用い、またプロペラファンの台数を複数台とした例を示したが、次の図30に示す構成としてもよい。
(ラインフローファンを用いた変形例1)
図30は、本発明の実施の形態1、2に係る空気調和機においてラインフローファンを用いた変形例1を示す図である。
この変形例1では、筐体100b内に空気を送風する室内ファンとしてラインフローファン20cを用いている。そして、上記実施の形態では、室内ファンを2つの室内熱交換器のそれぞれに対応して設けていたが、ここでは共通に一台設けた構成としている。また、筐体100b内において室内熱交換器10c、10d(10dは図示せず)が左右に配置されている。上記実施の形態では室内熱交換器が右側方又は左側方から見てW字形状をしていたが、この変形例では逆V字形状をしている。そして、上下風向板2c及び上下風向板2dで風路を上下に分け、更に図示しない左右風向板が設けられ、左右に吹き分けることが可能となっている。
このように構成された空気調和機において、吸込口3bから吸い込まれた空気は、室内熱交換器10c、10d(図示せず)及びラインフローファン20cを通過した後、上下風向板2c、2d及び左右風向板(図示せず)によって風向が制御されて吹出口4から室内に吹き出される。このようにラインフローファン20cが一台の場合でも、上記実施の形態1、2の二凝縮運転又は二蒸発運転を行うことで、温度の異なる空気を左右に吹き分けることができる。
(ラインフローファンを用いた変形例2)
図31は、本発明の実施の形態1、2に係る空気調和機においてラインフローファンを用いた変形例2を示す図である。
上記図30に示した変形例1では、室内熱交換器が左右に配置された構成であったが、図31に示した変形例2では、前後に配置された構成を有している。すなわち、筐体100b内の前方側に室内熱交換器10eが配置され、後方側に室内熱交換器10fが配置されている。なお、ラインフローファン20cを2つの室内熱交換器10e、10fに共通に一台設けた点は変形例1と同様である。
図31中に実線で示した矢印はラインフローファン20cの回転方向を示している。また、図31中に点線で示した矢印A、Bは、吸込口3bから吸込まれた空気が室内熱交換器10e及びラインフローファン20cを通過後、吹出口4から吹出されるまでの流れを示している。図31中に点線で示した矢印Cは、吸込口3bから吸込まれた空気が室内熱交換器10f及びラインフローファン20cを通過後、吹出口4から吹き出されるまでの流れを示している。
この構成において、室内熱交換器10fに室内熱交換器10eよりも多く冷媒が振り分けられると、室内熱交換器10fの熱交換能力が室内熱交換器10eよりも高くなる。よって、二凝縮運転の場合、ラインフローファン20cが一台の場合でも、室内熱交換器10fを通過後の空気の流れCは室内熱交換器10eを通過後の空気の流れA、Bよりも温度が高くなる。このようにして形成された温度の異なる空気を上下風向板2c及び上下風向板2dで風路を分けると共に、更に図示しない左右風向板で左右に風向制御することで、温度の高い空気の流れCと、温度の低い空気の流れA及びBと、を左右に吹き分けることができる。
なお、室内熱交換器10fに室内熱交換器10eよりも多くの冷媒が流れるように冷媒を振り分けた例を示したが、逆にしてもよいし、空気の流れB及びCが空気の流れAよりも温度が高くなるように室内熱交換器10f及び室内熱交換器10eを構成してもよい。また、ここでは二凝縮運転の場合について説明したが、図31の構成で二蒸発運転を行ってももちろん良い。