JP2020185370A - スイング解析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】打具のスイングに含まれる個々の挙動に基づいて、新たな挙動を推定する。【解決手段】スイング解析装置は、プレイヤーによる打具のスイング時の複数の注目点の挙動を時系列に表す時系列挙動データを取得するデータ取得部と、前記時系列挙動データを特異値分解することにより、前記挙動を分解するモード展開部とを備える。前記モード展開部は、前記時系列挙動データを特異値分解することにより、前記挙動から複数のモードにそれぞれ対応する複数の特徴的な挙動を抽出し、前記複数のモードのうち、少なくとも1つの注目モードに対応する前記特徴的な挙動を構成する、前記複数の注目点の挙動の励起パターンを表す基底である第1基底を修正し、前記修正後の第1基底に基づいて、前記注目モードに対応する前記特徴的な挙動を再構成する。【選択図】図3

Description

本発明は、ゴルフスイング等の打具のスイングを解析するスイング解析装置、方法及びプログラムに関する。
プレイヤーによる打具のスイングは、様々な挙動が含まれる複合動作である。例えば、ゴルフスイングは、腕の振り上げ及び振り下げ、腰の回転、身体の平行移動等の様々な挙動を組み合わせた動作である。非特許文献1及び2は、ゴルフスイングを計測した計測データから得られる観測行列を特異値分解することにより、ゴルフスイングを複数の挙動(モード)に分解する手法を開示している。
松本賢太,他5名,「クラブ設計を目的とした特異値分解によるゴルフスイングの動作分析」,設計工学,Vol.53,No.6,pp.447−462,2018年6月 畑中崚志,他4名,「ゴルフスイングの動作分解に基づくクラブ特性影響評価」,No.18−15 日本機械学会 シンポジウム:スポーツ工学・ヒューマンダイナミクス2018講演論文集,B−10,2018年11月
非特許文献1及び2の手法によれば、ゴルフスイングを構成する様々な挙動を個別に評価することができる。しかしながら、このような試みは始まったばかりであり、解析手法のさらなる改良が望まれる。なお、ゴルフクラブ以外の打具、例えば、テニスラケットやベースボールバット等のスイングの解析にも、同様のことが言える。
本発明は、打具のスイングに含まれる個々の挙動に基づいて、新たな挙動を推定することができるスイング解析装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
第1観点に係るスイング解析装置は、プレイヤーによる打具のスイング時の複数の注目点の挙動を時系列に表す時系列挙動データを取得するデータ取得部と、前記時系列挙動データを特異値分解することにより、前記挙動を分解するモード展開部とを備える。前記モード展開部は、前記時系列挙動データを特異値分解することにより、前記挙動から複数のモードにそれぞれ対応する複数の特徴的な挙動を抽出し、前記複数のモードのうち、少なくとも1つの注目モードに対応する前記特徴的な挙動を構成する、前記複数の注目点の挙動の励起パターンを表す基底である第1基底を修正し、前記修正後の第1基底に基づいて、前記注目モードに対応する前記特徴的な挙動を再構成する。
第2観点に係るスイング解析装置は、第1観点に係るスイング解析装置であって、前記モード展開部は、前記第1基底に含まれる前記複数の注目点の挙動にそれぞれ対応する複数の成分のうち、少なくとも1つの成分の値を修正する。
第3観点に係るスイング解析装置は、第2観点に係るスイング解析装置であって、前記モード展開部は、ユーザからの入力に従って、前記複数のモードのうち修正の対象となる少なくとも1つの前記注目モード、前記複数の成分のうち値を修正する少なくとも1つの注目成分、及び、前記注目成分の修正量の少なくとも1つを決定する。
第4観点に係るスイング解析装置は、第1観点に係るスイング解析装置であって、前記モード展開部は、前記注目モードの前記第1基底を、前記複数のモードのうち前記注目モードとは別のペアモードの前記第1基底とともに、前記注目モードの前記第1基底及び前記ペアモードの前記第1基底に直交する軸周りで回転させることにより修正する。
第5観点に係るスイング解析装置は、第4観点に係るスイング解析装置であって、前記モード展開部は、前記複数のモードのうち、前記注目モードとは別の複数の候補モードの各々に対し、前記注目モードの前記第1基底を、前記注目モードの前記第1基底が目標値に近づくように、前記注目モードの前記第1基底及び前記候補モードの前記第1基底に直交する軸周りで回転させ、前記回転後の注目モードの前記第1基底と前記目標値との相関係数が最大となる回転を与える前記候補モードを前記ペアモードとして選択する。
第6観点に係るスイング解析装置は、第4観点に係るスイング解析装置であって、前記モード展開部は、回転後の前記注目モードの前記第1基底とその目標値との誤差を表す項を含む誤差関数を最小化する回転角度を算出し、前記注目モードの前記第1基底を、前記ペアモードの前記第1基底とともに、前記軸周りで前記回転角度だけ回転させることにより修正する。
第7観点に係るスイング解析装置は、第6観点に係るスイング解析装置であって、前記誤差関数は、回転後の前記ペアモードの前記第1基底とその目標値との誤差を表す項をさらに含む。
第8観点に係るスイング解析装置は、第1観点から第7観点のいずれかに係るスイング解析装置であって、前記時系列挙動データは、前記複数の注目点の位置、姿勢、速度、加速度、角速度、角加速度、力及びトルクの少なくとも1つを時系列に表すデータである。
第9観点に係るスイング解析装置は、第1観点から第8観点のいずれかに係るスイング解析装置であって、前記打具は、ゴルフクラブである。
第10観点に係るスイング解析方法は、以下のことを含む。また、第11観点に係るスイング解析プログラムは、以下のことをコンピュータに実行させる。
・プレイヤーによる打具のスイング時の複数の注目点の挙動を時系列に表す時系列挙動データを取得すること
・前記時系列挙動データを特異値分解することにより、前記挙動を分解すること
前記挙動を分解することは、以下のことを含む。
・前記時系列挙動データを特異値分解することにより、前記挙動から複数のモードにそれぞれ対応する複数の特徴的な挙動を抽出すること
・前記複数のモードのうち、少なくとも1つの注目モードに対応する前記特徴的な挙動を構成する、前記複数の注目点の挙動の励起パターンを表す基底である第1基底を修正すること
・前記修正後の第1基底に基づいて、前記注目モードに対応する前記特徴的な挙動を再構成すること
以上の観点によれば、打具のスイングに含まれる個々の挙動に基づいて、新たな挙動を推定することができる。
本発明の第1実施形態に係るスイング解析装置を含むスイング解析システムの全体構成を示す機能ブロック図。 ゴルファーの身体に取り付けられたマーカーの位置を示す図。 第1実施形態に係るスイング解析方法の流れを示すフローチャート。 (A)時系列挙動データの時間平均を表すスティック線図。(B)疑似拡張データの時間平均を表すスティック線図。 時系列挙動データと疑似拡張データとの関係を表す概念図。 25個の観測点の第1モードのスティック線図。 同じゴルファーによる異なるゴルフスイング間でインパクトのタイミングにおける各モードのスティック線図を比較した比較図。 異なるゴルファーによるゴルフスイング間でインパクトのタイミングにおける各モードのスティック線図を比較した比較図。 第1実施形態に係る図3のフローチャートに含まれる新たな挙動を推定するステップS8のサブステップを示すフローチャート。 右特異ベクトル(第1基底)の成分のグラフ。 左特異ベクトル(第2基底)の成分のグラフ。 第1実施形態に係る右特異ベクトルの修正後の挙動を示すスティック線図。 第1実施形態に係る右特異ベクトルの修正後の挙動を示す別のスティック線図。 本発明の第2実施形態に係る図3のフローチャートに含まれる新たな挙動を推定するステップS8のサブステップを示すフローチャート。 第1実施形態に係る右特異ベクトルの変換を示すイメージ図。 第2実施形態に係る右特異ベクトルの変換を示すイメージ図。 第2実施形態に係る右特異ベクトルの修正後の挙動を示すスティック線図。 図6と同じ計測データから作成された、53点の観測点の第1モードのスティック線図(参考図)。 変形例に係る時系列挙動データと疑似拡張データとの関係を表す概念図。 別の変形例に係る平均挙動をインパクト時の挙動に近付ける場合の時系列挙動データと疑似拡張データとの関係を表す概念図。 本発明の第3実施形態に係る図3のフローチャートに含まれる新たな挙動を推定するステップS8のサブステップを示すフローチャート。
以下、図面を参照しつつ、本発明の幾つかの実施形態に係るスイング解析装置、方法及びプログラムについて説明する。
<1.第1実施形態>
<1−1.スイング解析システムの概要>
図1に、第1実施形態に係るスイング解析装置1を含むスイング解析システム100の全体構成図を示す。スイング解析システム100は、ゴルフスイングを解析するためのシステムである。ゴルフスイングは、様々な挙動が含まれる複合動作であり、例えば、腕の振り上げ及び振り下げ、腰の回転、身体の平行移動等の様々な挙動を組み合わせることにより構成される。スイング解析システム100は、ゴルフスイングの特性をより正確に捉えることができるよう、ゴルフスイングに含まれるこのような特徴的な挙動を個別に評価する。より具体的には、ゴルファーがゴルフクラブをスイングする時の挙動を時系列に表す時系列挙動データを特異値分解によりモード展開することにより、ゴルフスイングを特徴的な挙動に分解する。ユーザは、以上の特異値分解の結果に基づいて、ゴルフスイングに含まれる特徴的な挙動を理解し、ひいてはゴルファーの特性やゴルフクラブの特性等を理解することができる。なお、ここでいうユーザとは、ゴルファー自身又はそのインストラクター、ゴルファーに適したゴルフクラブのフィッティングを行うフィッター、或いはゴルフクラブの開発者等、ゴルフスイングの解析の結果を必要とする者の総称である。
特異値分解の対象となる時系列挙動データは、計測機器2により計測される計測データに基づいて取得される。計測機器2は、スイング解析装置1とともに、スイング解析システム100を構成する。以下、スイング解析システム100の各部の構成を説明した後、スイング解析システム100によるスイング解析方法について説明する。
<1−2.各部の詳細>
<1−2−1.計測機器>
本実施形態に係る計測機器2は、複数台のカメラ21,21,・・・を備えるモーションキャプチャシステムである。モーションキャプチャシステムとしては、例えば、VICON社製の三次元動作分析システムを好ましく使用することができる。複数台のカメラ21,21,・・・は、ゴルファーの身体動作の三次元計測が可能なように、ゴルファーがゴルフクラブをスイングする様子を様々な方向から撮影することができる位置に配置される。
本実施形態では、カメラ21,21,・・・によりゴルファーの身体の挙動を捉え易いように、身体における観測点の位置にマーカーが取り付けられる。より具体的には、図2に示すように、ゴルファー7の頭、手首、手の指先、肘、肩、腰、膝、踝、脚の指先等のI0個(本実施形態では、I0≧3であり、特にI0=53)の観測点の位置に、光反射性の球体のマーカー20,20,・・・が取り付けられる。この例では、マーカー20,20,・・・は、ゴルファー7が着用するボディスーツに取り付けられる。
カメラ21,21,・・・は、ゴルファー7がゴルフクラブを使用してゴルフスイングを行う間、その様子を所定のサンプリング周波数で連続撮影する。サンプリング周波数は、例えば、500Hzとすることができる。本実施形態では、少なくともアドレスから、バック9時、トップ、ダウン9時、インパクト、フォロー3時を順に経て、フィニッシュまでの期間において、ゴルフスイングが計測される。なお、バック9時とは、ゴルファー7を正面から見て、バックスイング中にゴルフクラブが時計の9時の方向を指すタイミングであり、ダウン9時とは、同方向から見て、ダウンスイング中にゴルフクラブが時計の9時の方向を指すタイミングであり、フォロー3時とは、同方向から見て、インパクト後のフォロースイング中にゴルフクラブが時計の3時の方向を指すタイミングである。本実施形態では、計測機器2による計測データとして、少なくともアドレスからフィニッシュまでの時系列の画像データが撮影される。カメラ21,21,・・・による撮影は、同期が取られており、同じ時刻に様々な方向から見たゴルフスイングが撮影される。
特に図示されないが、計測機器2には、カメラ21,21,・・・の他、カメラ21,21,・・・により撮影された画像データを、通信線17を介して外部のデバイスであるスイング解析装置1に送信するための通信装置も搭載されている。通信装置は、スイング動作の妨げにならないように無線式とすることもできるし、ケーブルを介して有線式にスイング解析装置1に接続することもできる。本実施形態では、カメラ21,21,・・・により撮影された画像データは、通信装置を介してリアルタイムにスイング解析装置1に送信される。しかしながら、例えば、カメラ21,21,・・・内の記憶装置に画像データを格納しておき、ゴルフスイングの終了後に当該記憶装置から画像データを取り出して、スイング解析装置1に受け渡すようにしてもよい。
<1−2−2.スイング解析装置>
スイング解析装置1は、ハードウェアとしては汎用のコンピュータであり、例えば、デスクトップ型コンピュータ、ノート型コンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンとして実現される。図1に示すとおり、スイング解析装置1は、コンピュータで読み取り可能なCD−ROM等の記録媒体30から、或いはインターネット等の通信回線を介して、スイング解析プログラム6を汎用のコンピュータにインストールすることにより製造される。スイング解析プログラム6は、計測機器2から送られてくる計測データに基づいて、ゴルフスイングを解析するソフトウェアであり、スイング解析装置1に後述する動作を実行させる。
スイング解析装置1は、表示部11、入力部12、記憶部13、制御部14及び通信部15を備える。これらの部11〜15は、互いにバス線16を介して接続されており、相互に通信可能である。表示部11は、液晶ディスプレイ等で構成することができ、ゴルフスイングの解析結果等をユーザに対し表示する。入力部12は、マウス、キーボード、タッチパネル等で構成することができ、スイング解析装置1に対するユーザからの操作を受け付ける。
記憶部13は、ハードディスク等で構成することができる。記憶部13内には、スイング解析プログラム6が格納されている他、計測機器2から送られてくる計測データが保存される。制御部14は、CPU、ROMおよびRAM等から構成することができる。制御部14は、記憶部13内のスイング解析プログラム6を読み出して実行することにより、仮想的にデータ取得部14a、モード展開部14b及び画面作成部14cとして動作する。各部14a〜14cの動作の詳細については、後述する。通信部15は、計測機器2等の外部のデバイスとの間でデータを送受信する通信インターフェースとして機能する。
<1−3.スイング解析方法>
以下、スイング解析システム100によるスイング解析方法について説明する。本方法では、ゴルファー7によるゴルフスイングが計測され、これが特異値分解され、様々な特徴的な挙動に分解される。本方法は、ゴルフのレッスンや、ゴルファーに対するゴルフクラブのフィッティング、ゴルフクラブの開発等の場面において、ゴルフスイングの特性を理解するのに利用される。以下、詳細に説明する。
図3は、本実施形態に係るスイング解析方法の流れを示すフローチャートである。同図に示すように、最初のステップS1では、ゴルフクラブが用意され、ゴルファー7によりゴルフクラブがスイングされる。このとき、計測機器2による計測が行われ、ゴルファー7がゴルフクラブをスイングする様子を表す計測データが収集される。本実施形態に係る計測データとは、上記のとおり、ゴルファー7がゴルフクラブをスイングする時のI0個(I0=53)の観測点の挙動を時系列に計測したデータである。また、本実施形態に係る計測データとは、少なくともアドレスからフィニッシュまでの期間において、カメラ21,21,・・・により撮影される時系列の画像データである。なお、ここでの計測データには、複数台のカメラ21,21,・・・の撮影方向にそれぞれ対応する複数の系統の時系列の画像データが含まれる。計測機器2により計測された計測データは、通信装置からスイング解析装置1に送信される。スイング解析装置1側では、データ取得部14aが通信部15を介してこの計測データを取得し、記憶部13内に格納する。
続くステップS2〜S4では、データ取得部14aは、計測機器2からの計測データに基づいて、ゴルファー7がゴルフクラブをスイングする時の挙動を時系列に表す時系列挙動データを取得する。まず、ステップS2では、データ取得部14aは、I0個(本実施形態では、I0=53)の観測点を、I0個よりも少ないI1個(本実施形態では、I0>I1≧2であり、特にI1=25)のグループに分ける。本実施形態では、グループの分け方は予め設定されており、物理的に近傍にある観測点どうしが同じグループに分けられる。本実施形態では、同じ観測点が重複して複数のグループに分けられることはない。また、ここでのグループは、複数個の観測点を要素とする少なくとも1つの複数要素グループを含む。本実施形態では、I1個のグループは、全て複数要素グループであり、2つ以上の複数要素グループを含む。
続くステップS3では、データ取得部14aは、計測データに含まれる画像データを画像処理することにより、画像データに写るマーカー20,20,・・・の像を検出し、その位置を特定する。マーカー20,20,・・・の像は、複数の撮影方向から検出され、その位置は三次元座標として特定される。マーカー20,20,・・・の三次元座標、すなわち、ゴルファー7の身体のI0個の観測点の三次元座標は、アドレスからフィニッシュまでの期間におけるサンプリング周波数に対応する時間間隔刻みの各時刻に対して導出される。
言い換えると、ステップS3では、n=1,2,・・・,N(Nは、2以上の整数)、かつ、i=1,2,・・・,I0(I0=53)に対し、第n時刻における第i観測点の三次元座標ri(n)が導出される。なお、第1時刻がアドレスであり、第N時刻がフィニッシュである。
上式のxi(n)、yi(n)及びzi(n)は、それぞれri(n)のX、Y及びZ方向成分である。X、Y及びZ方向は、図2に示す通り定義される。すなわち、X方向は、ゴルファー7の背から腹に向かう方向であり、Y方向は、飛球線方向であり、Z軸は、鉛直下から上に向かう方向である。ri(n)は、第n時刻における第i観測点の位置ベクトルである。
今、第i観測点に対し、以下の行列[ri]を定義する。行列[ri]は、N行3列の行列であり、第1行から第N行に、時系列に沿って順に、第i観測点の三次元座標ri(1),ri(2),・・・,ri(N)を並べた行列である。ステップS3では、I0個の観測点の各々について、その三次元位置を時系列に表すデータ[ri]が導出される。
続くステップS4では、データ取得部14aは、I1個(I1=25)のグループに含まれる各グループについて、観測点データを導出する。第iグループについての観測点データとは、第iグループに属する複数個の観測点を代表する代表点である第i代表点の挙動を時系列に表すデータである(i=1,2,・・・,I1)。すなわち、ステップS4では、i=1,2,・・・,I1、かつ、n=1,2,・・・,N(Nは、2以上の整数)に対し、第n時刻における第i代表点の挙動を表すsi(n)が導出される。本実施形態では、si(n)は、第n時刻における第i代表点の三次元座標を表す1行3列の行列である。第n時刻における第i代表点の挙動(三次元座標)は、第i代表点が代表する複数個の観測点の第n時刻における挙動(三次元座標)を平均化することにより導出される。本実施形態では、単純平均により、代表点の挙動が算出される。しかし、これに限らず、相乗平均や重み付け平均等により、代表点の挙動を算出してもよい。
第iグループについての観測点データは、以下の行列[si]により表される。行列[si]は、N行3列の行列であり、第1行から第N行に、時系列に沿って順に、第i代表点の三次元座標si(1),si(2),・・・,si(N)を並べた行列である。ステップS4では、I1個の代表点の各々について、その三次元位置を時系列に表すデータ[si]が導出される。
さらに、全ての代表点に対するI1個(I1=25)の行列[s1],[s2],・・・,[s25]を、この順に列方向(横方向)に並べた行列[R]を定義する。行列[R]は、N行75(=3×25)列の行列である。
行列[R]は、第1時刻から第N時刻までの25個の代表点の挙動(位置)を時系列に表す時系列挙動データである。行列[R]には、I1個のグループについての観測点データ[s1],[s2],・・・,[s25]が含まれる。ステップS4では、このような時系列挙動データである行列[R]が導出される。なお、[R]の第n行には、第n時刻でのゴルファー7の身体における25個の代表点の三次元座標が含まれるため、[R]の第n行は、第n時刻のゴルファー7の姿勢を表している。
続くステップS5及びS6では、ステップS4の時系列挙動データ[R]を特異値分解することにより、時系列挙動データ[R]により表されるゴルフスイングの挙動が特徴的な挙動に分解される。より正確には、時系列挙動データ[R]を疑似的に拡張した疑似拡張データ[Ra]が作成され、これが特異値分解される。ゴルフスイングは、非周期的な運動である。そのため、本実施形態では、ゴルフスイングを複製及び合成した疑似拡張データ[Ra]を特異値分解することにより、ゴルフスイングを疑似的に周期的な運動とみなして解析が実行される。
ステップS5では、データ取得部14aが、時系列挙動データ[R]に基づいて、その時間平均が基準挙動に近付くように、疑似拡張データ[Ra]を作成する。疑似拡張データ[Ra]は、特異値分解の基準点を基準挙動に近付けるために作成される。基準挙動とは、本実施形態では、アドレス時の挙動である。なお、図4(A)は、実際にあるゴルファーにゴルフスイングを行わせた時の、時系列挙動データ[R]に含まれる25個の代表点の位置の時間平均を結んでできたスティック線図であり、図4(B)は、同ゴルフスイングに基づく疑似拡張データ[Ra]に含まれる25個の代表点の位置の時間平均を結んでできたスティック線図である。同図から分かるとおり、前者の時間平均は、アドレスの姿勢にはなっておらず、少し腕をテイクバックした姿勢になっている。よって、時系列挙動データ[R]をそのまま特異値分解すると、第1モードをはじめとする各モードの意味を、アドレスを基準として理解できない虞がある。そこで、本実施形態では、疑似拡張データ[Ra]が作成される。
より具体的には、データ取得部14aは、時系列挙動データ[R]に基づいて、以下の追加データ[R(1)]及び[Rt]を作成する。今、アドレス時の第i代表点の三次元座標を表す1行3列の行列si(1)を、行方向(縦方向)に2N個並べた2N行3列の行列[si(1)]を定義する。このとき、[R(1)]は、全ての代表点に対する25個の行列[s1(1)],[s2(1)],・・・,[s25(1)]を、この順に列方向(横方向)に並べた2N行75(=3×25)列の行列として導出される。
一方、追加データ[Rt]は、下式のとおり導出される。すなわち、追加データ[Rt]は、時系列挙動データ[R]を時系列方向に反転した行列である。
続いて、データ取得部14aは、時系列挙動データ[R]に下式のとおり追加データ[R(1)]及び[Rt]を結合することにより、疑似拡張データ[Ra]を作成する。
図5は、本実施形態に係る時系列挙動データ[R]と疑似拡張データ[Ra]との関係を表す概念図である。すなわち、アドレス時の挙動を時間長2Nだけ繰り返し複製した追加データ[R(1)]を、時系列挙動データ[R]のアドレスの時刻n=1の前に結合する。さらに、時系列挙動データ[R]を時系列方向に反転した時間長Nの追加データ[Rt]を、時系列挙動データ[R]のフィニッシュの時刻n=Nの後に結合し、さらにその後に、追加データ[R(1)]を追加する。このように、追加データ[R(1)]及び[Rt]は、時系列挙動データ[R]に連続するように結合され、こうして作成される疑似拡張データ[Ra]は、連続的に値が変化するデータとなる。疑似拡張データ[Ra]は、6N行75(=3×25)列の行列である。以上のとおり作成される疑似拡張データ[Ra]も、ゴルファー7がゴルフクラブをスイングする時の挙動を時系列に表す時系列挙動データである。
続くステップS6では、モード展開部14bは、下式に従って、ゴルフスイングの挙動を表す疑似拡張データ[Ra]を特異値分解する。より具体的には、モード展開部14bは、疑似拡張データ[Ra]に基づき、初期挙動[R0]を導出する。そして、モード展開部14bは、疑似拡張データ[Ra]を初期挙動[R0]を基準として特異値分解することにより、疑似拡張データ[Ra]により表されるゴルフスイングの挙動から、特徴的な挙動λjjj Tを抽出する。なお、j=1,2,・・・,J(Jは、75以下の整数)である。
上式中の初期挙動[R0]は、[Ra]の時間平均である。[R0]は、[Ra]を時間方向(行方向)に平均化した平均行列を作成し、その平均行列を6N個行方向に並べた6N行75(=3×25)列の行列である。すなわち、[R0]の第l列は、[Ra]の第l列の6N個の成分の平均値を、行方向に6N個並べた値列である。ところで、疑似拡張データ[Ra]には、上記のとおり、時間長4N分のアドレス時の挙動(本実施形態では、ゴルファー7の姿勢)を表すデータが追加されている。そのため、疑似拡張データ[Ra]の時間平均[R0]により表される挙動は、時系列挙動データ[R]の同様の時間平均により表される挙動よりも、アドレス時の挙動に近付いている。なお、本実施形態では、単純平均により平均行列が算出されるが、これに限らず、相乗平均や重み付け平均等により、平均行列を算出してもよい。また、初期挙動[R0]は、[Ra]の全体の時間平均ではなく、[Ra]に含まれるアドレスの前後の期間の行列を時間方向(行方向)に平均化した平均行列を作成し、その平均行列を6N個行方向に並べたものとしてもよい。また、初期挙動[R0]は、[Ra]に含まれるアドレスの時刻に対応する行を、6N個行方向に並べたものとしてもよい。
以上のとおり、本実施形態では、疑似拡張データ[Ra]とその時間平均[R0]との差分である[Ra]−[R0]が特異値分解され、j=1,2,・・・,J(Jは、75以下の整数)に対し、λj,zj及びvjが導出される。つまり、疑似拡張データ[Ra]が、その時間平均[R0]を基準として特異値分解される。λjは、第jモードの特異値であり、[Ra]−[R0]に対する第jモードの割合を表す。vjは、[Ra]−[R0]の第jモードの左特異ベクトルであり、N次元である。zjは、[Ra]−[R0]の第jモードの右特異ベクトルであり、75次元である。zjは、第jモードでのゴルファー7の身体における各代表点の挙動の励起パターンを表す基底であり、vjは、第jモードでのzjの時間に対する励起パターンを表す基底である。
また、モード展開部14bは、j=1,2,・・・,Jに対し、特異値λjに基づいて、[Ra]に対する第jモードの貢献度である寄与率Cjを下式に従って導出する。
以上の特異値分解により、時系列挙動データ[R]と同じくゴルフスイングの挙動を時系列に表す疑似拡張データ[Ra]から、ゴルフスイングに含まれる第1モードから第Jモードの各モードに対応する特徴的な挙動λjjj Tが抽出される。この結果を利用し、モード展開部14bは、j=1,2,・・・,Jに対し、下式に従って、第jモードの特徴的な挙動λjjj Tに初期挙動[R0]を合成した第jモードの挙動を表す[Rj]を導出する。[Rj]は、ゴルフスイングの挙動から分解された第jモードの特徴的な挙動λjjj Tに基づくため、以下、[Rj]の表す挙動を、分解挙動ということがある。
なお、Jは、最大で75であるが、何次モードまでの挙動を導出するかは、解析の目的等に応じて適宜選択され得る。なお、本発明者らの検討によると、一般に、第1モードの寄与率だけで90%程度であり、第1モードから第2モードまでの累積寄与率は97%程度であり、第1モードから第3モードまでの累積寄与率は99%を超え、第1モードから第5モードまでの累積寄与率は約99.8%に達する。よって、第5モードまでの挙動を導出することにより、ゴルフスイングを概ね評価し得る。
また、モード展開部14bは、k=1,2,・・・,Jに対し、第1モードから第kモードまでの挙動を累積した挙動(以下、累積挙動ということがある)を表す[R1k]を下式に従って導出する。[R1k]は、ゴルフスイングの挙動から分解された第1モードから第kモードまでの特徴的な挙動λjjj Tに基づくため、以下、[R1k]の表す挙動についても、分解挙動ということがある。
[R1k]は、各代表点の各時刻における第1モードから第kモードまでの累積挙動(三次元座標)を成分として含む。よって、k=1,2,・・・,Jに対し、[R1k]を導出することは、各モードの各時刻におけるゴルファーの姿勢を導出することを意味する。
以上に説明したステップS1〜S6は、同じ又は異なるゴルファーが同じ又は異なるゴルフクラブを用いて行う複数回のゴルフスイングに対し繰り返し実行することができる。
続くステップS7では、画面作成部14cが、以上の特異値分解の結果を表示する画面(以下、結果画面という)を作成し、表示部11上に表示させる。例えば、結果画面には、図6に示すようなスティック線図を表示することができる。図6は、あるゴルファーがゴルフスイングを行った時の第1モードの挙動を表す[R1](=[R11])を算出し、これに含まれる25個の代表点の三次元座標を結んでできたスティック線図である。同図には、アドレスからフィニッシュまでの7つの時刻におけるスティック線図が示されている。なお、[R1]に代えて又は加えて、k≧2に対しても、[R1k]を算出し、これに基づく第kモードの様々な時刻におけるスティック線図を結果画面に表示してもよい。このようなスティック線図を見たユーザは、ゴルフスイングに含まれる個々の挙動を適切に評価し、ゴルフスイングの特性を理解することができる。
また、結果画面には、同じ又は異なるゴルファーが同じ又は異なるゴルフクラブをスイングした時のスティック線図の比較図を表示することもできる。比較図とは、例えば、複数のスティック線図を重ねて又は並べて表示する図である。このとき、比較される複数のスティック線図としては、典型的には、ステップS1〜S6の繰り返しにより導出された異なるゴルフスイングについてのスティック線図が想定される。しかしながら、ステップS1〜S6により導出されたスティック線図の比較の対象として、予め記憶部13内に格納されていた、又は通信部15を介して外部から取得された挙動[R1-k]に基づくスティック線図が選択されてもよい。例えば、上級者の理想的なゴルフスイングに関する挙動[R1-k]に基づくスティック線図が、比較の対象とされてもよい。
一例として、図7は、同じゴルファーが同じゴルフクラブを用いてドロースイングとフェードスイングを行った時の、インパクトのタイミングにおける様々なモードのスティック線図を重ねた図である。また、別の例を挙げると、図8は、異なるゴルファーG1及びG2がそれぞれのゴルフクラブを用いてスイングを行った時の、インパクトのタイミングにおける様々なモードのスティック線図を重ねた図である。このような図を見たユーザは、異なるゴルフスイングをゴルフスイングに含まれる個々の挙動のレベルで比較することができ、ゴルフスイング間の特性の違いを適切に理解することができる。
なお、非特許文献1及び2にも示されるとおり、第1〜第5モードの挙動は、以下のような挙動であることが知られている。このような知見と合わせて、スティック線図に表れるゴルフスイングの特性についての理解をより深めることもできる。
結果画面には、j=1,2,・・・,Jに対し、特異値λj及び寄与率Cjを表示することもできる。また、k=1,2,・・・,Jに対し、累積寄与率C1+C2+・・・+Ckを表示することもできる。
また、モード展開部14bは、スティック線図のようにモード別の挙動を図として再現するだけでなく、j=1,2,・・・,J、k=1,2,・・・,Jに対し、モード別の挙動[Rj]、[Rj]−[R0]、[R1k]及び[R1k]−[R0]を様々に分析することができる。例えば、モード展開部14bは、第2モードがスイング全体における肩の回転を表すことに鑑みて(表1参照)、[R2]、[R2]−[R0]、[R12]及び[R12]−[R0]に基づき、肩の回転量を定性的又は定量的に評価することができる。また、モード展開部14bは、比較されるゴルフスイングについて、挙動の差が顕著な部分を検出するようにしてもよい。画面作成部14cは、このようなさらなる分析の結果についても結果画面に表示することができる。
続くステップS8では、モード展開部14bは、ステップS1〜S6により導出されたあるゴルフスイングについての右特異ベクトルzjを修正し、ゴルファー7の新たな挙動を推定する。本実施形態では、ステップS8は、ユーザが望む場合に実行され、詳細には、図9のとおりに実行される。
まず、ステップS8のサブステップS11及びS12として、モード展開部14bは、第1〜第Jモードのうち、少なくとも1つのモードjに対応する特徴的な挙動λjjj Tを構成する右特異ベクトルzjを修正する。以下、修正の対象となる右特異ベクトルzjに対応するモードを、注目モードと呼ぶことがある。ここで、右特異ベクトルzjとは、上記のとおり、第jモードでのゴルファー7の身体における各代表点の挙動の励起パターンを表す基底である。
図10は、図7の例に対応する第4モードの右特異ベクトルz4に含まれる75個の成分の値を示している。既に述べたことから明らかなとおり、右特異ベクトルzjに含まれる75個の成分は、25個の代表点のX、Y及びZ方向の挙動(位置)の励起の大きさをそれぞれ表す。図10では、横軸に沿って75個の成分が並べられており、縦軸は各成分の値(励起の大きさ)を示している。一方、図11は、図7の例に対応する第4モードの左特異ベクトルv4に含まれる多数の成分の値を示している。既に述べたとおり、左特異ベクトルvjは、第jモードでのzjの時間に対する励起パターンを表す基底である。図11では、横軸が時間軸を、縦軸が各時刻の成分の値(励起の大きさ)を示している。
サブステップS11では、モード展開部14bは、ユーザからの入力に従って、第1〜第Jモードのうち、修正の対象となる1又は複数の注目モードを決定する。また、モード展開部14bは、ユーザからの入力に従って、各注目モードの右特異ベクトルzjに含まれる複数の成分のうち、値を修正する1又は複数の成分(以下、注目成分ということがある)と、各注目成分の修正量とを決定する。
ユーザが、注目モード、注目成分及びその修正量を設定する際には、ステップS7での結果画面を参照することができる。例えば、ユーザが、インパクト時におけるドロースイングの姿勢をフェードスイングの姿勢に近づけるような修正をしようとする場合を考える。この場合、図7のインパクト時のスティック線図を参照すると、第4モードから両ゴルフスイングの違いが顕著になり、特に右肘の動きに差が見られる。よって、図7のスティック線図から(特に点線の囲みを参照)、注目モードとして第4モードを、注目成分として右肘の挙動(三次元位置)に対応する3つの成分を選択することができる。また、ユーザは、図7のスティック線図を参照しながら、図10の右肘のX、Y及びZ方向の挙動にそれぞれ対応する3つの成分の値に対し、それぞれ任意の修正量を設定する。なお、ユーザによる修正量の設定を補助するために、結果画面には、j=1,2,・・・Jに対し、図10及び図11のような右特異ベクトルzj及び左特異ベクトルvjの成分のグラフを表示してもよい。このとき、ユーザは、図11の左特異ベクトルvjのグラフから、現在注目しているインパクト時の励起の大きさを読み取り、図7のスティック線図から第4モードでの目標とのずれを読み取り、さらに図10の右特異ベクトルzjのグラフから、第4モードでの注目成分の値を読み取り、これらを総合して修正量を判断することができる。なお、修正量の設定のために、1.1倍、0.98倍といった修正倍率を入力してもよい。
ユーザが、入力部12を介して注目モード、注目成分及びその修正量を設定すると、モード展開部14bは、これらの情報に基づいて、注目モードの右特異ベクトルzjの修正を行う(サブステップS12)。より具体的には、モード展開部14bは、各注目モードの右特異ベクトルzjに含まれる各注目成分の値を、それぞれの修正量に従って修正する。以下では、注目成分の修正後の右特異ベクトルzjを、zj'と表す。
続くサブステップS13では、モード展開部14bは、修正後の右特異ベクトルzj'に基づいて、注目モードに対応する特徴的な挙動λjjj Tを再構成し、特徴的な挙動λjjj'Tを導出する。また、モード展開部14bは、注目モード以降の各モードに対し、修正後の特徴的な挙動λjjj'Tに基づいて、分解挙動[Rj]及び[R1k]を再構成する。このとき、数10及び11の計算式において、注目モードのλjjj Tをλjjj' Tに置換することにより、修正後の分解挙動[Rj]'及び[R1k]'が導出される。
注目モードから第Jモードまでの挙動[Rj]'及び[R1k]'は、元の挙動[Rj]及び[R1k]を修正した新たな挙動である。図12は、図7のドロースイングをフェードスイングに近づけるように、第4モードでの右肘のX、Y及びZ方向の挙動(位置)を修正したときの、[R18]'に基づくインパクト時のスティック線図である。なお、図12では、右肘より先端側の右手等の部位の挙動(位置)については、右肘の修正に伴って平行移動されている。このように、現実の挙動の変化をイメージし易いように、修正される部位より先端側の拘束されていない部位の挙動については、修正される部位と同様に修正してもよい。また、図13は、上体が前に進みすぎとの指摘を受けていた初級者の[R18]'に基づくインパクト時のスティック線図を、ステップS11〜S13の方法で修正した図である。図13の例では、第8モードの右特異ベクトルzjに含まれる上体に対応する注目成分について、上体が後ろに下がるような修正が加えられた。図13でも、図12と同様に、上体の挙動の修正に伴って、上体より先端側の拘束されていない頭、右腕及び左腕等の部位の挙動が平行移動されている。
画面作成部14cは、結果画面上に、ステップS8の分析結果を表示する。ここでいうステップS8の分析結果には、図12及び図13に示すようなスティック線図が含まれる。なお、図12及び図13は、修正後の挙動と、修正前の挙動及び/又は修正の目標となる挙動との比較図が示されているが、比較図ではなく、修正後の挙動のみを示すスティック線図を表示してもよい。また、モード展開部14bは、修正後の挙動をスティック線図のような図として再現するだけでなく、j=1,2,・・・,J、k=1,2,・・・,Jに対し、修正前の挙動の分析と同様に、モード別の修正後の挙動[Rj]'、[Rj]'−[R0]、[R1k]'及び[R1k]'−[R0]を様々に分析することができる。画面作成部14cは、このようなさらなる分析の結果についても結果画面に表示することができる。
<2.第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態と比較して、図3に示すスイング解析方法のステップS8の内容のみが異なる。よって、以下では、第2実施形態に係るステップ8の内容についてのみ説明する。第2実施形態に係るステップS8でも、モード展開部14bは、ステップS1〜S6により導出されたあるゴルフスイングについての右特異ベクトルzjを修正し、ゴルファー7の新たな挙動を推定する。
第2実施形態に係るステップS8は、図14のとおりに実行される。まず、ステップS8のサブステップS21〜S23として、モード展開部14bは、第1〜第Jモードのうち、少なくとも1つのモードjに対応する特徴的な挙動λjjj Tを構成する右特異ベクトルzjを修正する。第2実施形態でも、修正の対象となる右特異ベクトルzjに対応するモードを、注目モードと呼ぶことがある。第2実施形態では、あるゴルフスイングをある別のゴルフスイング(以下、目標スイングという)に近づける修正が行われ、注目モードの右特異ベクトルzjが、目標スイングの挙動を構成する目標基底wjに近づくように修正される。
サブステップS21では、モード展開部14bは、ユーザからの入力に従って、第1〜第Jモードのうち、修正の対象となる1又は複数の注目モードを決定する。また、モード展開部14bは、ユーザからの入力に従って、各注目モードに対し、目標基底wjを決定する。ユーザが注目モードを設定する方法は、第1実施形態と同様である。一方、目標基底wjの設定のためには、ユーザは、目標スイングを指定する。モード展開部14bは、ユーザにより指定された目標スイングの挙動を構成する注目モードの右特異ベクトルzjを取得し、これを目標基底wjとして決定する。なお、目標基底wjは、ステップS1〜S6の繰り返しにより取得されてもよいし、予め記憶部13内に格納されていてもよいし、通信部15を介して外部から取得されてもよい。目標スイングは、例えば、上級者の理想的なゴルフスイングとすることができる。
第2実施形態では、注目モードの右特異ベクトルzjが目標基底wjに近づくように修正されるが、このとき、注目モードの右特異ベクトルzjだけでなく、注目モードとは別のモード(以下、ペアモードという)の右特異ベクトルzjも修正される。これは、注目モードの右特異ベクトルzjの修正後も、全てのモードに対応する右特異ベクトルz1,z2,・・・,zJ間の直交性を確保するためである。すなわち、第1実施形態では、注目モードの右特異ベクトルzjの修正により、注目モードの右特異ベクトルzjと、他のモードの右特異ベクトルzjとの間で直交性が損なわれる可能性が高い(図15A参照)。直交性が損なわれたとしても、ゴルフスイングのモデル化は可能であるが、直交性の損なわれる程度が大きくなると、モデルとして不適切となり得る。第2実施形態の修正のアルゴリズムは、この問題を解消することができる。
続くサブステップS22では、モード展開部14bは、第1〜第Jモードの中から、各注目モードとペアリングするペアモードを選択する。本実施形態では、第1〜第Jモードのうち、注目モード以外のモード(以下、候補モードという)は全て、ペアモードとしての候補となる。モード展開部14bは、全ての候補モードに対し、順次、注目モードとの仮のペアリングを行う。そして、各仮のペアリングに対し、注目モードの右特異ベクトルzjを、目標基底wjに近づくように、仮のペアリングに対応する軸周りで回転させる(図15B参照)。仮のペアリングに対応する軸とは、注目モードの右特異ベクトルzjと、これと仮のペアリングがされている候補モードの右特異ベクトルzjとの両方に直交する軸である。
このとき、本実施形態では、注目モードの右特異ベクトルzjは、目標基底wjに最も近づくように回転させられる。注目モードの右特異ベクトルzjと目標基底wjとの距離dは、両ベクトルの残差二乗和(zj−wj2により表すことができる。なお、zj 2=wj 2=1であるため、残差二乗和(zj−wj2=zj 2+wj 2−2zj・wj=2−2zj・wjである。一方で、注目モードの右特異ベクトルzjと目標基底wjとの相関係数cは、下式で表され、その分母はモードのノルムであるため1である。よって、注目モードの右特異ベクトルzjが目標基底wjに最も近づくときは、距離dが最小となる、すなわち、相関係数cが最大となる場合として判断される。
モード展開部14bは、注目モードの右特異ベクトルzjを、一定の範囲内で小刻みに回転させながら、回転後の注目モードの右特異ベクトルzjと目標基底wjとの相関係数cを算出し、相関係数cが最大となるときの回転角度θ及び当該最大の相関係数cmaxを特定する。このとき、例えば、−π/2からπ/2の範囲内で、π/1000刻みで回転させることができる。なお、距離d=(zj−wj2は、回転後の注目モードの右特異ベクトルzjと目標基底wjとの誤差を表す誤差関数であり、ここでは、このような誤差関数を最小化する回転角度θが導出される。そして、各候補ベクトルに対し、以上のとおりに相関係数cmaxを導出した後、全ての候補ベクトルの中から、それぞれに対応する相関係数cmaxが最大となる回転を与える候補モードをペアモードとして選択する。
続くサブステップS23では、モード展開部14bは、注目モードの右特異ベクトルzjを、ペアモードの右特異ベクトルzjとともに、これらの両ベクトルに直交する軸周りで回転させる(図15B参照)。このときの回転角度は、注目モードの右特異ベクトルzjに最大の相関係数cmaxを与えた(すなわち、誤差関数を最小化する)回転角度θであり、既にサブステップS22で特定されている。以上により、注目モードの右特異ベクトルzj及びペアモードの右特異ベクトルzjが、同じ方向に同じ量だけ回転させられることにより修正される。第2実施形態でも、修正後の右特異ベクトルzjを、zj'と表す。このような回転後の注目モードの右特異ベクトルzj'及びペアモードの右特異ベクトルzj'は、残りのモードの右特異ベクトルzjと直交性を維持する。
サブステップS23の後は、第1実施形態と同様のサブステップS13が実行される。図16は、あるゴルフスイングを目標スイングに近づけるように、サブステップS21〜S23により右特異ベクトルzjを修正したときの[R18]'に基づくスティック線図である。この例では、第1モード及び第3モードが注目モードとして選択され、それぞれのペアモードとして第2モード及び第4モードが選択された。同図に示すとおり、第2実施形態によっても、元のゴルフスイングを目標スイングに近づけることができる。
<3.第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1及び第2実施形態と比較して、図3に示すスイング解析方法のステップS8の内容のみが異なる。よって、以下では、第3実施形態に係るステップS8の内容についてのみ説明する。第3実施形態に係るステップS8でも、モード展開部14bは、ステップS1〜S6により導出されたあるゴルフスイングについての右特異ベクトルzjを修正し、ゴルファー7の新たな挙動を推定する。
第3実施形態に係るステップS8は、図20のとおりに実行される。まず、ステップS8のサブステップS31〜S34として、モード展開部14bは、第1〜第Jモードのうち、少なくとも1つのモードjに対応する特徴的な挙動λjjj Tを構成する右特異ベクトルzjを修正する。第3実施形態でも、修正の対象となる右特異ベクトルzjに対応するモードを、注目モードと呼ぶことがある。
サブステップS31では、モード展開部14bは、ユーザからの入力に従って、第1〜第Jモードのうち、修正の対象となる1又は複数の注目モードを決定する。ユーザが注目モードを設定する方法は、第1及び第2実施形態と同様である。また、モード展開部14bは、ユーザからの入力に従って、各注目モードに対し、目標基底wjを決定する。ユーザが目標基底wjを設定する方法は、第2実施形態と同様であり、目標スイングを指定する。
第3実施形態でも、第2実施形態と同様に、注目モードの右特異ベクトルzjが、目標スイングの挙動を構成する目標基底wjに近づくように修正されるとともに、注目モードとペアリングされるペアモードの右特異ベクトルzjも修正される。これは、注目モードの右特異ベクトルzjの修正後も、全てのモードに対応する右特異ベクトルz1,z2,・・・,zJ間の直交性を確保するためである。以下、区別のために、修正の対象となる注目モードの右特異ベクトルzjをztjと呼び、修正の対象となるペアモードの右特異ベクトルzjをzpjと呼ぶことがある。なお、第3実施形態では、注目モードの右特異ベクトルztjが目標基底wjに近づくように修正されるだけでなく、ペアモードの右特異ベクトルzpjも、所定の目標基底wpjに近づくように修正される。
続くサブステップS32では、モード展開部14bは、第1〜第Jモードの中から、各注目モードとペアリングするペアモードを選択する。また、モード展開部14bは、各ペアモードに対し、目標基底wpjを決定する。本実施形態では、ペアモードは、予め定められているルールに従って、注目モードがどのモードであるかに応じて選択される。例えば、注目モードが第1モードであれば、第2モードをペアモードとし、注目モードが第2モードであれば、第1モードをペアモードとし、注目モードが第3モードであれば、第4モードをペアモードとする、といったルールが予め定められている。また、モード展開部14bは、ステップS31においてユーザにより指定された目標スイングの挙動を構成するペアモードの右特異ベクトルzjを取得し、これを目標基底wpjとして決定する。
続くサブステップS33では、モード展開部14bは、注目モードの右特異ベクトルztj及びペアモードの右特異ベクトルzpjを回転させる回転角度θrを算出する。θrは、以下のとおりに算出することができる。
まず、注目モードの右特異ベクトルztj及びペアモードの右特異ベクトルzpjを、これらのベクトルztj及びzpjに直交する軸周りで角度θだけ回転させることを考える。このとき、この回転は、下式のとおり表すことができる。なお、ztj'及びzpj'は、それぞれ、回転後の右特異ベクトルztj及びzpjである。
また、下式のとおり、誤差関数Eを定義する。第1項は、回転後の注目モードの右特異ベクトルztj'と、これを近づける目標値である目標基底wjとの誤差を表している。第2項は、回転後のペアモードの右特異ベクトルzpj'と、これを近づける目標値である目標基底wpjとの誤差を表している。
上式は、以下のとおり展開される。なお、[I]は、単位行列である。
さらに、数15の式に数13の式を代入すると、下式のとおりとなる。誤差関数Eは、θの関数である。
右特異ベクトルztj及びzpjをそれぞれの目標基底wj及びwpjに近づけるということは、誤差関数Eを最小化することである。また、誤差関数Eが最小化されるとき、誤差関数Eは極値をとる。よって、下式のとおり、数16の誤差関数Eを微分し、これがゼロになるθを算出する。
上式は、下式のとおり変形される。モード展開部14bは、下式に従って、誤差関数Eを最小化するθを算出し、これを回転角度θrとする。
続くステップS34では、モード展開部14bは、注目モードの右特異ベクトルztjを、ペアモードの右特異ベクトルzpjとともに、これらの両ベクトルztj及びzpjに直交する軸周りで回転角度θrだけ回転させる。以上により、注目モードの右特異ベクトルztj及びペアモードの右特異ベクトルzpjが、同じ方向に同じ量だけ回転させられ、修正される。
続くステップS35では、上述したステップS13と同様に、モード展開部14bは、修正後の右特異ベクトルztj'に基づいて、注目モードに対応する特徴的な挙動λjjtj'Tを再構成する。また、モード展開部14bは、修正後の右特異ベクトルzpj'に基づいて、ペアモードに対応する特徴的な挙動λjjpj'Tを再構成する。さらに、モード展開部14bは、上述したステップS13と同様に、修正後の特徴的な挙動λjjtj'T及びλjjpj'T基づいて、分解挙動[Rj]及び[R1k]を再構成する。このとき、数10及び11の計算式において、注目モード及びペアモードのλjjj Tを、それぞれλjjtj'T及びλjjpj'Tに置換することにより、修正後の分解挙動[Rj]'及び[R1k]'が導出される。ステップS8の分析結果は、第1及び第2実施形態と同様に、適宜、結果画面上に表示される。
<4.特徴>
<4−1>
第1〜第3実施形態のステップS8によれば、計測された元の挙動に対し、これに含まれる一部のモードの挙動のみを修正することができる。よって、修正後の新たな挙動には、元の挙動の特性が残る。例えば、初級者は、理想的なゴルフスイングを示されても、自身のゴルフスイングとの違いが大きすぎると、多くの場合、どのように自身の動作を修正すればよいのか分からない。しかしながら、自分らしさの残る動作例を示されると、どのように修正すればよいかをイメージし易い。例えば、k=10等、高次のkに対する[R1k]'から再現される姿勢は、ゴルファーにゴルフスイングの改善のための有用な指針を与えることができる。以上のようなステップS8による修正は、新たなゴルフスイングのシミュレーションを可能にする。また、修正後の挙動は、ゴルフのレッスンの場面の他、ゴルフクラブのフィッティングの場面、ゴルフクラブの開発の場面等で様々な知見をもたらし得る。
<4−2>
以上の実施形態によれば、I0個の観測点を、これよりも少ないI1個の代表点にまとめることにより、その後の特異値分解によるモード数(次元数)が削減される。すなわち、特異値分解の対象となる注目点(観測点又は代表点)の数が多いと、スイングの自由度は高くなるが、その分、モード数が増えるため、1つのモードが有する情報が少なくなる。この場合、特異値分解の結果から、ゴルフスイングに含まれる個々の挙動を適切に評価することがむしろ困難になる場合もある。かといって、モード数を減らすべく、やみくもに観測点の数を減らしてしまうと、スイングの解析の精度が低下し得る。この点、以上の実施形態では、複数の観測点をグループ化し、複数の観測点の情報を1つの代表点の情報に圧縮することが行われる。よって、スイングの解析の精度を維持したまま、各モードの情報量を維持することができる。よって、ゴルフスイングに含まれる個々の挙動(各モードの挙動)をより適切に評価することができる。
既に説明した図6は、25個の代表点の第1モードのスティック線図である。これに対し、図17は、図6と同じ計測データに基づき、代表点を作成せずに、第1モードでの53個の観測点の三次元座標を結んでできたスティック線図である。図6及び図17を比較すれば分かるが、注目点を減らしても、スイングの挙動全体を表現することに成功している。一方で、注目点の多い図17のスティック線図からは、上体の伸縮が見える。これに対し、注目点が少なく、シンプルな図6のスティック線図では、上体の伸縮というよりはむしろ、回転運動が見える。このように、注目点を圧縮し、挙動をよりシンプルに表現することにより、新たな情報を得ることができる。
また、以上のモード数の削減によりシンプルに挙動が表現される場合、異なるスイングどうしの比較がより容易になる。すなわち、特異値分解の対象となる注目点が多すぎると、ゴルファーの体格や姿勢等が正確に再現されすぎるため、むしろ比較が難しくなり得る。このような場合、シンプルな挙動でスイングを表現することにより、問題を解消することができる。
また、複数の観測点の挙動を1つの代表点の挙動に平均化することにより、回転の情報をカットすることもできる。例えば、飛球線方向周りの腰の回転は、ゴルフスイングを分析する上で、余り必要とされないことがある。このような場合に、腰の近傍の観測点を1つの代表点にまとめることにより、不要な情報を減らし、より必要な情報に注目することができる。
<5.変形例>
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
<5−1>
上述した計測機器2の構成は例示であり、例えば、計測機器2は、慣性センサ、距離画像センサ等であってもよいし、慣性センサ、距離画像センサ及びモーションキャプチャシステムからなる群から選択される2つ以上の機器を任意に組み合わせたものであってもよい。
<5−2>
上記実施形態では、ゴルフスイングが解析されたが、ゴルフクラブ以外の打具、例えば、テニスラケットやベースボールバット等のスイングを解析の対象とすることもできる。
<5−3>
上記実施形態では、基準挙動は、アドレス時の挙動とされた。しかしながら、基準挙動は、他の時刻の挙動、例えば、インパクト又はトップの挙動とすることもできる。例えば、トップ時の挙動を基準挙動とする場合には、図18に示すように疑似拡張データを作成することができ、インパクト時の挙動を基準挙動とする場合には、図19に示すように疑似拡張データを作成することができる。この場合、初期挙動[R0]は、インパクト又はトップ時の挙動に近づく。
<5−4>
上記実施形態では、特異値分解の対象となる観測点データは、代表点の位置を時系列に表すデータとされたが、代表点の姿勢、速度、加速度、角速度、角加速度、力又はトルク等を時系列に表すデータであってもよいし、これらと位置とからなる群から選択される2以上の要素を時系列に表すデータを組み合わせたものであってもよい。なお、ここでいう姿勢とは、クォータニオンのような角度情報を有するパラメータである。
<5−5>
上記実施形態では、ゴルファーの身体においてのみ観測点が設定されたが、観測点は、ゴルフクラブ上に設定してもよい。
<5−6>
0個の観測点を分けるI1個のグループには、1個の観測点を要素とする単一要素グループが含まれてもよい。この場合、単一要素グループに対応する観測点データは、当該単一要素グループに属する1個の観測点の挙動を時系列に表すデータとすることができる。
<5−7>
上記実施形態では、同じ観測点が重複して複数のグループに分けられることがないように、観測点がグループ化された。しかしながら、1又は複数の観測点を複数のグループに重複して分けることも可能である。
<5−8>
上記実施形態において、I0個の観測点を、I0個よりも少ないI1個のグループに分ける処理を省略してもよい。この場合、ステップS4において、全ての観測点に対するI0個の行列[r1],[r2],・・・,[r25]をこの順に列方向(横方向)に並べた行列を、時系列挙動データ[R]として導出するようにすれば、その後の処理は、上記実施形態と同様に実行することができる。
<5−9>
上記実施形態では、疑似拡張データ[Ra]が特異値分解されたが、時系列挙動データ[R]を特異値分解してもよい。
<5−10>
代表点の挙動は、代表点が代表する複数個の観測点の挙動を平均化することにより導出するのではなく、その他の方法で導出してもよい。代表点の挙動として、例えば、代表点が代表する複数個の観測点の挙動のうち最も大きいものを選択してもよいし、最も大きいものと最も小さいものを平均化する等してもよい。
<5−11>
第1実施形態のサブステップS11では、ユーザからの入力に従って、注目モード、注目成分及び修正量が決定された。しかしながら、これらの少なくとも1つは、修正後の挙動が目標となる挙動に近づくように最適化により自動的に決定されてもよい。同様に、第2実施形態のサブステップS21及び第3実施形態のサブステップS31でも、ユーザからの入力に従って、注目モードが決定されたが、これも、修正後の挙動が目標となる挙動に近づくように最適化により自動的に決定されてもよい。
<5−12>
第2実施形態において、ペアモードとしては、相関係数cmaxを最大にするモードが選択されたが、これに限らず、注目モード以外のモードの中から任意に選択することができる。
<5−13>
第2実施形態のサブステップS23において、注目モードの右特異ベクトルzj及びペアモードの右特異ベクトルzjを回転させるとき、前者が目標基底wjに近づくように回転させる必要はない。例えば、ユーザにより指定される任意の回転量だけ回転させてもよい。第3実施形態についても同様に、注目モードの右特異ベクトルzj及びペアモードの右特異ベクトルzjを、任意の回転量だけ回転させることができる。
<5−14>
第3実施形態のステップS32では、ペアモードは、予め定められているルールに従って、注目モードがどのモードであるかに応じて選択された。しかしながら、第2実施形態と同様に、第1〜第Jモードのうち、注目モード以外の全てのモードを、ペアモードの候補となる候補モードとしてもよい。この場合、モード展開部14bは、全ての候補モードに対し、順次、注目モードとの仮のペアリングを行う。そして、各仮のペアリングに対し、誤差関数Eを最小にする回転角度θrを算出し、このθrを数16の式に代入し、誤差関数Eの値を算出する。そして、全ての候補モードのうち、最小の誤差関数Eの値を与える候補モードを、最終的にペアモードとして決定してもよい。
<5−15>
誤差関数Eの定義式は、数14に示すものに限られず、例えば、下式のように、回転後の注目モードの右特異ベクトルztj'と目標基底wjとの誤差を表す項のみで構成してもよい。
なお、この場合、誤差関数Eを最小化するθは、下式により算出される。
1 スイング解析装置(コンピュータ)
100 スイング解析システム
14a データ取得部
14b モード展開部
14c 画面作成部
2 計測装置
6 スイング解析プログラム
7 ゴルファー

Claims (11)

  1. プレイヤーによる打具のスイング時の複数の注目点の挙動を時系列に表す時系列挙動データを取得するデータ取得部と、
    前記時系列挙動データを特異値分解することにより、前記挙動を分解するモード展開部と
    を備え、
    前記モード展開部は、
    前記時系列挙動データを特異値分解することにより、前記挙動から複数のモードにそれぞれ対応する複数の特徴的な挙動を抽出し、
    前記複数のモードのうち、少なくとも1つの注目モードに対応する前記特徴的な挙動を構成する、前記複数の注目点の挙動の励起パターンを表す基底である第1基底を修正し、
    前記修正後の第1基底に基づいて、前記注目モードに対応する前記特徴的な挙動を再構成する、
    スイング解析装置。
  2. 前記モード展開部は、前記第1基底に含まれる前記複数の注目点の挙動にそれぞれ対応する複数の成分のうち、少なくとも1つの成分の値を修正する、
    請求項1に記載のスイング解析装置。
  3. 前記モード展開部は、ユーザからの入力に従って、前記複数のモードのうち修正の対象となる少なくとも1つの前記注目モード、前記複数の成分のうち値を修正する少なくとも1つの注目成分、及び、前記注目成分の修正量の少なくとも1つを決定する、
    請求項2に記載のスイング解析装置。
  4. 前記モード展開部は、
    前記注目モードの前記第1基底を、前記複数のモードのうち前記注目モードとは別のペアモードの前記第1基底とともに、前記注目モードの前記第1基底及び前記ペアモードの前記第1基底に直交する軸周りで回転させることにより修正する、
    請求項1に記載のスイング解析装置。
  5. 前記モード展開部は、
    前記複数のモードのうち、前記注目モードとは別の複数の候補モードの各々に対し、前記注目モードの前記第1基底を、前記注目モードの前記第1基底が目標値に近づくように、前記注目モードの前記第1基底及び前記候補モードの前記第1基底に直交する軸周りで回転させ、
    前記回転後の注目モードの前記第1基底と前記目標値との相関係数が最大となる回転を与える前記候補モードを前記ペアモードとして選択する、
    請求項4に記載のスイング解析装置。
  6. 前記モード展開部は、
    回転後の前記注目モードの前記第1基底とその目標値との誤差を表す項を含む誤差関数を最小化する回転角度を算出し、
    前記注目モードの前記第1基底を、前記ペアモードの前記第1基底とともに、前記軸周りで前記回転角度だけ回転させることにより修正する、
    請求項4に記載のスイング解析装置。
  7. 前記誤差関数は、回転後の前記ペアモードの前記第1基底とその目標値との誤差を表す項をさらに含む、
    請求項6に記載のスイング解析装置。
  8. 前記時系列挙動データは、前記複数の注目点の位置、姿勢、速度、加速度、角速度、角加速度、力及びトルクの少なくとも1つを時系列に表すデータである、
    請求項1から7のいずれかに記載のスイング解析装置。
  9. 前記打具は、ゴルフクラブである、
    請求項1から8のいずれかに記載のスイング解析装置。
  10. プレイヤーによる打具のスイング時の複数の注目点の挙動を時系列に表す時系列挙動データを取得することと、
    前記時系列挙動データを特異値分解することにより、前記挙動を分解することと
    を含み、
    前記挙動を分解することは、
    前記時系列挙動データを特異値分解することにより、前記挙動から複数のモードにそれぞれ対応する複数の特徴的な挙動を抽出することと、
    前記複数のモードのうち、少なくとも1つの注目モードに対応する前記特徴的な挙動を構成する、前記複数の注目点の挙動の励起パターンを表す基底である第1基底を修正することと、
    前記修正後の第1基底に基づいて、前記注目モードに対応する前記特徴的な挙動を再構成することと
    を含む、
    スイング解析方法。
  11. プレイヤーによる打具のスイング時の複数の注目点の挙動を時系列に表す時系列挙動データを取得することと、
    前記時系列挙動データを特異値分解することにより、前記挙動を分解することと
    をコンピュータに実行させ、
    前記挙動を分解することは、
    前記時系列挙動データを特異値分解することにより、前記挙動から複数のモードにそれぞれ対応する複数の特徴的な挙動を抽出することと、
    前記複数のモードのうち、少なくとも1つの注目モードに対応する前記特徴的な挙動を構成する、前記複数の注目点の挙動の励起パターンを表す基底である第1基底を修正することと、
    前記修正後の第1基底に基づいて、前記注目モードに対応する前記特徴的な挙動を再構成することと
    を含む、
    スイング解析プログラム。
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