本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、台板に対して支持体をスライド可能とするとともに、支持体を制止させることができ、かつ支持体の転倒を防止するオブジェクトエンド、及び当該オブジェクトエンドに用いられる案内溝部材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様によるものは、オブジェクトエンドであって、1列以上の案内溝が上面に延在する台板と、前記1列以上の案内溝に沿ってスライド可能に前記台板に支持され、前記台板の上に載置されるオブジェクトを倒れないように横から支える支持体と、を備えている。前記1列以上の案内溝は、幅方向の2箇所以上の端部において、これらの端部が属する案内溝の内側に向かって張り出す2以上の張り出し部を有している。前記支持体は、倒れようとする前記オブジェクトに当接して前記オブジェクトを支える当接部分を有する支持体本体部と、当該支持体本体部の下部に連結され、前記1列以上の案内溝にそれぞれ挿入される1以上の溝挿入部とを有し、それにより、前記1以上の溝に案内されつつスライド可能である。前記支持体は、前記1以上の溝挿入部が前記1列以上の案内溝の前記2以上の張り出し部に係止されることにより、前記1列以上の案内溝から外れることなく、かつ傾倒しないように前記台板に支持される。前記支持体は、弾性部材又は磁石を有し、前記1以上の溝挿入部を、前記1列以上の案内溝の内面との摩擦力を強めるように、前記弾性部材の弾性復元力又は前記磁石の磁気的吸引力により、前記1列以上の案内溝の前記内面に押圧する。
この構成によれば、台板の上に載置されるオブジェクトを、倒れないように横から支える支持体が、台板の上面に延在する1列以上の案内溝に沿ってスライド可能に、台板に支持される。また、支持体は、支持体本体部の下部に連結される1以上の溝挿入部が、1列以上の案内溝の2以上の張り出し部に係止されることにより、1列以上の案内溝から外れることなく、かつ傾倒しないように台板に支持される。さらに、支持体は、弾性部材又は磁石を有し、1以上の溝挿入部を、1列以上の案内溝の内面との摩擦力を強めるように、弾性部材の弾性復元力又は磁石の磁気的吸引力により、1列以上の案内溝の内面に押圧する。以上のように、本構成によれば、台板に対して支持体をスライド可能とするとともに、支持体を摩擦力により制止させることができ、かつ支持体の転倒を防止するオブジェクトエンドが実現する。なお、この構成は、後述の図1〜図16に例示される。
本発明のうち第2の態様によるものは、第1の態様によるオブジェクトエンドであって、前記1列以上の案内溝は、単一列の案内溝であり、前記2以上の張り出し部は、前記単一列の案内溝の幅方向両端部において前記単一列の案内溝の内側に向かって張り出す2つの張り出し部であり、前記支持体の前記1以上の溝挿入部は、単一の溝挿入部である。そして、前記支持体は、前記弾性部材として、前記単一の溝挿入部に連結し、前記単一列の案内溝の底面を前記弾性復元力により押圧し、その反力により、前記単一の溝挿入部を、前記単一列の案内溝の前記2つの張り出し部に押圧する弾性部材を有している。前記支持体の前記単一の溝挿入部は、前記弾性部材を受け入れることにより、前記単一の溝挿入部に対する前記底面に沿った前記弾性部材の動きを規制する後退部を、底面に有している。前記支持体本体部を下方に押すことにより、前記弾性復元力に抗して前記単一の溝挿入部を押し下げることができ、それにより、前記単一の溝挿入部を前記2つの張り出し部から下方に離すことができる。
この構成によれば、1列以上の案内溝が単一列の案内溝であり、1以上の溝挿入部が単一の溝挿入部であるので、構造が簡素である。溝挿入部が、案内溝の幅方向両端部において案内溝の内側に向かって張り出す2つの張り出し部に係止されることにより、支持体は、案内溝から外れることなく、かつ傾倒しないように台板に支持される。また、支持体は、弾性部材を有しており、この弾性部材は、溝挿入部に連結し、案内溝の底面を弾性復元力により押圧し、その反力により、溝挿入部を2つの張り出し部に押圧する。それにより、溝挿入部と2つの張り出し部との間の摩擦力が強められる。この摩擦力が、支持体を台板に対して制止させる。また、支持体本体部を下方に押すことにより、溝挿入部と2つの張り出し部との間の押圧力を解除し、摩擦力を弱めることができる。その状態を保つことにより、支持体を案内溝に沿って、比較的軽い力でスライドさせることができる。溝挿入部は、弾性部材を受け入れることにより、溝挿入部に対する底面に沿った弾性部材の動きを規制する後退部を、底面に有するので、支持体を案内溝に沿ってスライドさせるときに、弾性部材が後退部に規制されることにより、溝挿入部に追随する。なお、この構成は、後述の図1〜図5、図15(a)に例示される。
本発明のうち第3の態様によるものは、第2の態様によるオブジェクトエンドであって、前記支持体は、前記弾性部材と前記単一列の案内溝の底面との間に介在するように前記弾性部材に連結され、前記底面に対して摺動可能な摺動部材をさらに有している。前記支持体の前記単一の溝挿入部は、前記後退部として、前記弾性部材とともに前記摺動部材をも受け入れることにより、前記単一の溝挿入部に対する前記底面に沿った前記弾性部材及び前記摺動部材の動きを規制する後退部を、底面に有している。
この構成によれば、弾性部材と単一列の案内溝の底面との間に摺動部材が介在するので、支持体を案内溝に沿ってスライドさせるときに、弾性部材及び底面の損耗又は損傷を防ぐことができる。また、摺動部材が弾性部材とともに、溝挿入部の後退部に受け入れられ、後退部によって動きが規制されるので、支持体を案内溝に沿ってスライドさせるときに、弾性部材及び摺動部材が溝挿入部に追随する。なお本構成において、後退部が弾性部材を規制することは、摺動部材の規制を通じて間接的に規制すること、をも含む趣旨である。なお、本構成は、後述の図2〜図4に例示される。
本発明のうち第4の態様によるものは、第1の態様によるオブジェクトエンドであって、前記1列以上の案内溝は、単一列の案内溝であり、前記2以上の張り出し部は、前記単一列の案内溝の幅方向両端部において前記単一列の案内溝の内側に向かって張り出す2つの張り出し部であり、前記支持体の前記1以上の溝挿入部は、単一の溝挿入部である。そして、前記支持体は、前記磁石を、前記単一の溝挿入部の一部として有している。前記台板は、上面が前記単一列の案内溝の底面の少なくとも一部を成すように、前記単一列の案内溝に沿って配置され、前記磁石を吸引する強磁性体を含むシート状ないし板状の吸引体を有している。前記支持体は、前記磁石の吸引力により、前記単一の溝挿入部を、前記吸引体の前記上面に押圧する。さらに、前記単一の溝挿入部と前記2つの張り出し部との間に、隙間が存する。
この構成によれば、1列以上の案内溝が単一列の案内溝であり、1以上の溝挿入部が単一の溝挿入部であるので、構造が簡素である。溝挿入部が、案内溝の幅方向両端部において案内溝の内側に向かって張り出す2つの張り出し部に係止されることにより、支持体は、案内溝から外れることなく、かつ傾倒しないように台板に支持される。また、支持体は、磁石を有しており、台板は、上面が案内溝の底面の少なくとも一部を成すように、案内溝に沿って配置され、強磁性体を含むシート状ないし板状の吸引体を有しており、互いの吸引力により、溝挿入部が吸引体の上面に押圧される。それにより、溝挿入部と吸引体の上面との間の摩擦力が強められる。この摩擦力が、支持体を台板に対して制止させる。溝挿入部と2つの張り出し部との間に隙間があるので、支持体本体部を上方に持ち上げることにより、溝挿入部と吸引体の上面との間の押圧力を解除し、摩擦力を解消することができる。その状態を保つことにより、支持体を案内溝に沿って、比較的軽い力でスライドさせることが可能となる。なお、この構成は、後述の図12〜図14に例示される。
本発明のうち第5の態様によるものは、第2から第4のいずれかの態様によるオブジェクトエンドであって、前記支持体は、前記支持体本体部と前記単一の溝挿入部とが互いに固定されている。前記単一の溝挿入部は、前記単一列の案内溝により、鉛直軸周りの回転が規制される平面輪郭形状を有している。
この構成によれば、支持体の鉛直軸周りの回転が規制される。なお、この構成は、後述の図4、図5に例示される。
本発明のうち第6の態様によるものは、第2から第4のいずれかの態様によるオブジェクトエンドであって、前記支持体は、前記支持体本体部と前記単一の溝挿入部とが互いに固定されており、前記単一の溝挿入部は、円形の平面輪郭形状を有している。
この構成によれば、支持体を鉛直軸周りに回転させることができる。なお、この構成は、後述の図1〜図3に例示される。
本発明のうち第7の態様によるものは、第1の態様によるオブジェクトエンドであって、前記1列以上の案内溝は、単一列または2列の案内溝であり、前記2以上の張り出し部として、全幅の両端部において、前記単一列または2列の案内溝の内側に向かって張り出す2つの張り出し部を有している。そして、前記支持体の前記1以上の溝挿入部は、前記単一列または2列の案内溝の前記全幅の両端部にそれぞれ沿う2つの線状部と、前記2つの線状部から、互いに接近するように前記単一列または2列の案内溝の内側に、それぞれ延びる2つの内向部と、を有している。前記支持体の前記支持体本体部は、前記2つの内向部を連結し、かつ前記台板の上方に延びる連結部を有している。前記連結部は、前記全幅の両端部にそれぞれ沿う前記2つの線状部を、前記弾性部材の弾性復元力により、互いに拡幅する方向に付勢し、それにより前記2つの線状部を、前記単一列または2列の案内溝の前記全幅の両端部の内壁面に押圧する。前記支持体は、前記2つの線状部が前記2つの張り出し部にそれぞれ係止されることにより、前記単一列または2列の案内溝から外れることなく、かつ傾倒しないように前記台板に支持される。前記単一列または2列の案内溝は、各々の幅が、前記2つの線状部を前記全幅の両端部から離れるように縮幅可能な大きさに、設定されている。
この構成によれば、支持体は、2つの線状部と、これらの線状部から延びる2つの内向部と、これらの内向部を連結する連結部と、弾性部材とを有している。2つの線状部は、単一列または2列の案内溝の全幅の両端部にそれぞれ沿っており、連結部は弾性部材の弾性復元力により、2つの線状部を案内溝の全幅の両端部の内壁面に押圧する。それにより、2つの線状部と案内溝の全幅の両端部の内壁面との間の摩擦力が強められる。また、2つの線状部が、案内溝の全幅の両端部において案内溝の内側に向かって張り出す2つの張り出し部に係止されることにより、支持体は、案内溝から外れることなく、かつ傾倒しないように台板に支持される。さらに、2つの線状部と案内溝の全幅の両端部の内壁面との間の摩擦力が、支持体を台板に対して制止させる。単一列または2列の案内溝の各々の幅は、2つの線状部を全幅の両端部から離れるように縮幅可能な大きさに、設定されており、しかも、連結部は台板の上方に延びるので、台板の上方にある連結部の部分に、2つの線状部が縮幅するように力を加えることにより、2つの線状部と案内溝の全幅の両端部の内壁面との間の押圧力を解除し、摩擦力を弱めることができる。その状態を保つことにより、支持体を案内溝に沿って、比較的軽い力でスライドさせることができる。なお、2つの内向部に連結する2つの線状部は、それぞれ2つの内向部の端縁部であってもよい。また、連結部について、台板の上方に延びるとは、傾斜したり屈曲・湾曲したりしていても、全体として上方に延びておれば足り、鉛直に延びる形態に限定されない。なお、本構成は、後述の図6〜図11、図16に例示される。
本発明のうち第8の態様によるものは、第7の態様によるオブジェクトエンドであって、前記単一列または2列の案内溝は、各々の開口幅が、前記2つの線状部を、前記弾性復元力に抗して互いに縮幅させることにより、前記2つの線状部を前記単一列または2列の案内溝に着脱させることが可能な大きさに設定されている。
この構成によれば、2つの線状部を縮幅させることにより、支持体を案内溝に着脱させることができる。なお、この構成は、後述の図6〜図11、図16に例示される。
本発明のうち第9の態様によるものは、第7又は第8の態様によるオブジェクトエンドであって、前記連結部は、帯板状または棒状の部材を有しており、当該帯板状または棒状の部材は、前記2つの内向部を連結し、かつ前記台板の上方において屈曲又は湾曲した部分を含み、それにより前記弾性部材を構成して弾性変形可能である。
この構成によれば、連結部が弾性部材を兼ねるので、構成がより簡素となる。なお、この構成は、後述の図6〜図9、図16に例示される。
本発明のうち第10の態様によるものは、第9の態様によるオブジェクトエンドであって、前記連結部は、前記棒状の部材を有しており、前記2つの線状部及び前記2つの内向部は、当該棒状の部材とともに、連続した1本の棒状体を成している。
この構成によれば、直線状に延びる1本の棒状体を、屈曲又は湾曲させることにより、2つの線状部、2つの内向部、及び連結部を製造することができる。なお、この構成は、後述の図6〜図9、図16に例示される。
本発明のうち第11の態様によるものは、第10の態様によるオブジェクトエンドであって、前記2つの内向部は、前記単一列または2列の案内溝が延在する一方向に関し、前記2つの線状部の前記一方向の端部からそれぞれ屈曲又は湾曲して、前記単一列または2列の案内溝の内側に延びている。そして、前記連結部の前記棒状の部材は、前記台板に対し起立した起立部と、当該起立部の下端から延び前記2つの内向部に連結する脚部と、を有している。前記起立部は、前記2つの内向部から、前記一方向の反対方向にずれた位置にある。さらに、前記脚部は、前記単一列または2列の案内溝の上方に露出し、かつ前記起立部から前記一方向に離れた部分を有している。
この構成によれば、台板の上に載置されるオブジェクトが、図書のような板状のものであって、起立部をオブジェクトに密着させた場合であっても、脚部が、オブジェクトから離れかつ案内溝の上方に露出する部分を有するので、この部分を容易に手指で挟むことができる。この部分に手指で、2つの線状部が縮幅するように力を加えることにより、2つの線状部と案内溝の全幅の両端部の内壁面との間の押圧力を解除し、摩擦力を弱めることができる。その状態を保つことにより、支持体を案内溝に沿って、比較的軽い力でスライドさせることができる。また、2つの内向部から見て、起立部が一方向の反対方向に離れており、2つの線状部も同じ反対方向に延びているので、支持体がより安定して台板に支持される。なお、この構成は、後述の図6〜図8、図16に例示される。
本発明のうち第12の態様によるものは、第7又は第8の態様によるオブジェクトエンドであって、前記連結部は、帯板状の部材を有しており、前記2つの線状部及び前記2つの内向部は、前記帯板状の部材とともに、連続した1本の帯板状体を成している。前記連結部の前記帯板状の部材は、前記2つの内向部に連結し、かつ前記台板の上方において屈曲又は湾曲した部分を含み、それにより前記2つの線状部を互いに拡縮するように、弾性変形可能である。そして、前記弾性部材は、両端が前記連結部の前記帯板状の部材に連結されており、それにより、前記連結部の前記帯板状の部材は、前記2つの線状部を、前記弾性部材の弾性復元力により、互いに拡幅する方向に付勢する。
この構成によれば、2つの線状部、2つの内向部、及び連結部を、容易に製造することができる。なお、この構成は、後述の図10に例示される。
本発明のうち第13の態様によるものは、第7又は第8の態様によるオブジェクトエンドであって、前記連結部は、前記台板の上方に位置する回動軸の周りに、一方が他方に対して回動することにより、開閉可能な2つの回動片を有している。そして、前記2つの内向部は、前記2つの回動片の下端部に、それぞれ連結されている。前記弾性部材は、両端が前記2つの回動片の前記一方と前記他方とに、それぞれ連結されており、それにより、前記2つの回動片は、前記2つの線状部を、前記弾性部材の弾性復元力により、互いに拡幅する方向に付勢する。
この構成によれば、連結部を簡素に構成することができる。なお、この構成は、後述の図11に例示される。
本発明のうち第14の態様によるものは、第7から第13のいずれかの態様によるオブジェクトエンドであって、前記支持体本体部は、前記連結部に装着され、前記当接部分を含み、前記台板に対して起立する板状体を、さらに有している。前記連結部は、前記オブジェクトに面する、前記板状体の主面から後退し、かつ前記板状体から露出し、しかも前記単一列または2列の案内溝の上方に露出する部分を有する。
この構成によれば、台板の上に載置されるオブジェクトが、図書のような板状のものであって、板状体の主面をオブジェクトに密着させた場合であっても、連結部が、オブジェクトから離れ、かつ板状体から露出し、しかも案内溝の上方に露出する部分を有するので、この部分を容易に手指で挟むことができる。この部分に手指で、2つの線状部が縮幅するように力を加えることにより、2つの線状部と案内溝の全幅の両端部の内壁面との間の押圧力を解除し、摩擦力を弱めることができる。その状態を保つことにより、支持体を案内溝に沿って、比較的軽い力でスライドさせることができる。なお、この構成は、後述の図9、図11に例示される。
本発明のうち第15の態様によるものは、第1から第14のいずれかの態様によるオブジェクトエンドであって、前記台板は、前記1列以上の案内溝に連通し、前記支持体の前記1以上の溝挿入部を前記1列以上の案内溝に出し入れするための開口部を、前記上面にさらに有している。
この構成によれば、支持体の溝挿入部を、開口部を通じて案内溝に出し入れすることができる。なお、この構成は、後述の図1、図6、図9、図12に例示される。
本発明のうち第16の態様によるものは、第1から第15のいずれかの態様によるオブジェクトエンドであって、前記台板は、各々が前記1列以上の案内溝のうち対応する案内溝の内面に沿うように屈曲しており、前記1列以上の案内溝にそれぞれ配置されたシート状ないし板状の1以上の案内溝部材を有している。
この構成によれば、台板の案内溝の内面の寸法精度が、案内溝部材の寸法精度によって定まる。従って、シート状ないし板状の部材を屈曲させることにより形成可能な案内溝部材の寸法精度を高めるだけで、台板の案内溝の内面の寸法精度を高めることができる。なお、この構成は、後述の図17に例示される。
本発明のうち第17の態様によるものは、第1から第14のいずれかの態様によるオブジェクトエンドの前記1列以上の案内溝に、それぞれ配置して使用するための1以上の案内溝部材であって、各々が前記台板の前記1列以上の案内溝のうち対応する案内溝の内面に沿うように屈曲している。
この構成によれば、台板の案内溝の内面の寸法精度が、案内溝部材の寸法精度によって定まる。従って、シート状ないし板状の部材を屈曲させることにより形成可能な案内溝部材の寸法精度を高めるだけで、台板の案内溝の内面の寸法精度を高めることができる。なお、この構成は、後述の図17に例示される。
以上のように本発明によれば、台板に対して支持体をスライド可能とするとともに、支持体を制止させることができ、かつ支持体の転倒を防止するオブジェクトエンド、及び当該オブジェクトエンドに用いられる案内溝部材が実現する。
図1は、本発明の一実施の形態によるオブジェクトエンドの構成を例示する斜視図である。このオブジェクトエンド101は、台板1及び支持体3を有している。台板1は、平板状であり、例えば木製である。台板1の上面には、図書、花瓶などのオブジェクト(支持対象物;図示略)が載置される。支持体3は、オブジェクトが倒れないように横から支える役割を果たす。台板1の上面には、台板1の長手方向に案内溝5が形成されている。支持体3は、案内溝5に係合することにより、案内溝5から外れることなく、かつ傾倒しないように台板1に支持されるとともに、案内溝5に案内されつつ、台板1に対してスライド可能である。図示の例では、台板1の長手方向の端部には、起立する端板7が固定されている。端板7も、支持体3とともに、オブジェクトを横から支える役割を果たす。オブジェクトエンド101は、端板7の無い形態とすることも可能である。オブジェクトエンド101は、書棚の各段を構成するものとして実施することも可能であり、この場合には、書棚の左右の端部の柱板が、端板7の役割を果たす。書棚の柱板は、台板1を固定していなくてもよく、台板1が落下しないように支持しておれば足りる。
支持体3は、台板1の上方に延びている支持体本体部9と、支持体本体部9の下部に連結され、案内溝5に挿入される溝挿入部11と、を有している。図示の例では、支持体本体部9は、台板1の上に直立した板状体である。支持体本体部9は、図示の例に限られるものではなく、一般に、倒れようとするオブジェクトに当接してオブジェクトを支える当接部分を有するものであれば足りる。例えば、支持体本体部9は、筆立てなどの文具、人形などの装飾体であってもよい。図示の例では、板状の支持体本体部9の主面、あるいは主面の上端縁が、当接部分に相当する。
図2は、溝挿入部11を例示する斜視図である。図示の例では溝挿入部11は、直径が異なる2段の円板状部材が一体に連結した形状をなしている。溝挿入部11の底部には、弾性部材13が連結されている。図示の例では、弾性部材13は圧縮コイルばねである。弾性部材13の下端には、案内溝5の底面上を摺動する摺動部材15が連結されている。図示の例では、摺動部材15は円板状であり、上面中央に突起17を有している。弾性部材13は、摺動部材15に対する下端の水平方向の動きが、突起17によって拘束されている。
図3は、オブジェクトエンド101の断面構造を例示する側面断面図である。案内溝5は、幅方向両端部かつ上端部において、案内溝5の内側に向かって張り出す張り出し部19を有している。図示の例では、張り出し部19は、基端から先端まで同一の厚さであり、それにより、案内溝5は「T溝」の形状をなしている。
溝挿入部11の底部には、円形の溝21が形成されており、この円形の溝21に、弾性部材13の上端部が挿入されている。それにより、弾性部材13の上端部は、溝挿入部11に拘束されている。弾性部材13は、弾性復元力により、摺動部材15を案内溝5の底面に押圧し、その反力により、溝挿入部11を2つの張り出し部19に押圧する。溝挿入部11の下段の円板状部材は、2つの張り出し部19に阻まれて、案内溝5から抜け出ないように、その直径が設定されている。一方、溝挿入部11の上段の円板状部材は、2つの張り出し部19の隙間に、遊びを持って、あるいは遊び無しで挟まれるように、その直径が設定されている。
溝挿入部11の上段の円板状部材の上面には、支持体本体部9の下端が固定されている。図示の例では、溝挿入部11の上段の円板状部材の上面は、台板1の上面よりも僅かに上方に位置し、板状体である支持体本体部9の下端面が、円板状部材の上面に、例えば接着剤により固着されている。その結果、支持体本体部9と台板1との間に、隙間が形成される。また、溝挿入部11と案内溝5の底面との間にも、隙間が形成されている。このため、支持体本体部9を下方に押すことにより、弾性部材13の弾性復元力に抗して溝挿入部11を押し下げることができる。それにより、溝挿入部11を2つの張り出し部19から離し、溝挿入部11と張り出し部19との間の押圧力を解除することができる。
溝挿入部11の底面には、弾性部材13とともに、摺動部材15を受け入れる後退部23が、さらに形成されている。上述の円形の溝21は、後退部23の天井面に形成されている。後退部23は、弾性部材13及び摺動部材15を受け入れることにより、弾性部材13及び摺動部材15の水平方向の動きを規制する機能を果たす。直接には摺動部材15の動きが、後退部23により規制され、その結果、摺動部材15に拘束される弾性部材13の動きが、間接的に規制される。それにより、支持体3を案内溝5に沿ってスライドさせるときに、弾性部材13及び摺動部材15が、溝挿入部11に追随する。
以上の通り、溝挿入部11が、2つの張り出し部19に係止されることにより、支持体3は、案内溝5から外れることなく、かつ傾倒しないように台板1に支持される。また、弾性部材13により溝挿入部11が張り出し部19に押圧されるので、溝挿入部11と張り出し部19との間の摩擦力が強められる。この摩擦力が、支持体3を台板1に対して制止させる。支持体本体部9を手指等により下方に押すことにより、溝挿入部11と張り出し部19との間の押圧力を解除し、摩擦力を弱めることができる。その状態を保つことにより、支持体3を案内溝5に沿って、比較的軽い力でスライドさせることができる。
図示の例では、溝挿入部11は、円形の平面輪郭形状を有するので、案内溝5に挿入された状態において、鉛直軸周りに回転可能である。このため、図示の例のように、支持体本体部9と溝挿入部11とが、互いに固定されている場合であっても、支持体本体部9を鉛直軸周りに回転させることが可能である。
図1に戻って、台板1の上面には、溝挿入部11を案内溝5に出し入れするための開口部25が形成されている。開口部25は、案内溝5に連通している。図示の例では、開口部25は、案内溝5の延長をなし、かつ、2つの張り出し部19を除去した形状をなしている。また、図示の例では、開口部25は、台板1の長手方向の端部に形成されている。これに対して、開口部25を、案内溝5の中途に形成することも可能である。
図4は、溝挿入部の別の例を示す斜視図である。例示する溝挿入部27は、平面輪郭形状が矩形をなしている。このため溝挿入部27は、挿入される案内溝5により鉛直軸周りの回転が規制される。溝挿入部27と支持体本体部9とが固定されておれば、支持体本体部9も鉛直軸周りの回転が規制されることとなる。
図5は、弾性部材の別の例を示す斜視図である。例示される弾性部材29は、下端に至るほど径が広がる圧縮コイルバネである。図4の摺動部材15は除去されている。摺動部材15が無くても、弾性部材29は、溝挿入部27の後退部23(図3参照)に受け入れられることにより、水平方向の動きが後退部23によって規制される。このため、支持体3を案内溝5に沿ってスライドさせるときに、弾性部材29が溝挿入部11に追随する。図示の例では、弾性部材29が案内溝5の底面を擦りながら移動するときに、底面との摩擦をより小さくするように、弾性部材29の下端部は、上方に屈曲している。
図6は、本発明の別の実施の形態によるオブジェクトエンドの構成を例示する斜視図である。図7は、図6のオブジェクトエンドの支持体を例示する図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。また、図8は、図6のオブジェクトエンドの断面構造を例示する側面断面図である。このオブジェクトエンド102は、支持体31が、屈曲又は湾曲し、かつ連続した1本の棒状体を成している。このため、支持体31は、直線状に延びる1本の棒状体を、屈曲又は湾曲させることにより、容易に形成することができる。
1本の棒状体を成す支持体31は、案内溝5の幅方向両端部に沿う2つの線状部33と、これらの線状部33から互いに接近するように案内溝5の内側に、それぞれ延びる2つの内向部35と、これらの内向部35を連結し、かつ台板1の上方に延びる連結部37とを有している。線状部33及び内向部35は、溝挿入部39を構成し、連結部37は支持体本体部41を構成している。支持体31の材料は、例えば金属であり、一例として表面が錆びないようにメッキされた鋼である。
連結部37は、台板1の上方において円を描くように湾曲した部分を含んでおり、それにより開閉するように弾性変形可能である。連結部37は、自身の弾性復元力により、2つの線状部33を互いに拡幅する方向に付勢し、それにより2つの線状部33を、案内溝5の幅方向両端部の内壁面に押圧する。このため、2つの線状部33が、2つの張り出し部19にそれぞれ係止される。その結果、支持体31が案内溝5から外れることなく、かつ傾倒しないように台板1に支持される。また、押圧力により、2つの線状部33と案内溝5の幅方向両端部の内壁面との間の摩擦力が強められるので、支持体31が台板1に対して制止させられる。
案内溝5は、その幅が、2つの線状部33を案内溝5の幅方向両端部から離れるように縮幅可能な大きさに、設定されている。また、連結部37は台板1の上方に延びるので、台板1の上方にある連結部37の部分に、2つの線状部33が縮幅するように、閉方向に力を加えることにより、2つの線状部33と案内溝5の幅方向両端部の内壁面との間の押圧力を解除し、摩擦力を弱めることができる。その状態を保つことにより、支持体31を案内溝5に沿って、比較的軽い力でスライドさせることができる。
より具体的には、2つの内向部35は、案内溝5が延在する一方向Xに関し、2つの線状部33の一方向Xの端部からそれぞれ屈曲して、案内溝5の内側に延びている。また、連結部37は、台板1に対し起立した起立部43と、起立部43の下端から延び2つの内向部35に連結する脚部45と、を有している。起立部43は、2つの内向部35から、一方向Xの反対方向にずれた位置にある。脚部45は、案内溝5の上方に露出し、かつ起立部43から一方向Xに離れた部分を有している。図6において、脚部45のうち、例えば起立している部分が、当該部分に該当する。このため、台板1の上に載置されるオブジェクトが、図書のような板状のものであって、起立部43をオブジェクトに密着させた場合であっても、脚部45が、オブジェクトから離れかつ案内溝5の上方に露出する部分を有するので、この部分を容易に手指で挟むことができる。この部分に手指で、2つの線状部33が縮幅するように力を加えることにより、2つの線状部33と案内溝5の幅方向両端部の内壁面との間の押圧力を解除し、摩擦力を弱めることができる。また、2つの内向部35から見て、起立部43が一方向Xの反対方向に離れており、2つの線状部33も同じ反対方向に延びているので、支持体31がより安定して台板1に支持される。
案内溝5の開口幅、すなわち図示の例では、2つの張り出し部19の間に形成される開口の幅が、2つの線状部33を、連結部37の弾性復元力に抗して互いに縮幅させることにより、2つの線状部33を案内溝5に着脱させることが可能な大きさに設定されるのが望ましい。それにより、2つの線状部33を縮幅させることにより、支持体31を案内溝5に着脱させることができる。すなわち、開口部25が無くても、支持体31を案内溝5に着脱させることができる。
図9は、本発明のさらに別の実施の形態によるオブジェクトエンドの構成を例示する斜視図である。このオブジェクトエンド103では、支持体47は、支持体31(図6参照)と同様の、屈曲ないし湾曲した棒状体49に加えて、棒状体49のうちの連結部51に装着される板状体53を有している。板状体53は、連結部51とともに、支持体本体部を構成する。図示の例では、連結部51は、2つの内向部35から上方へ起立する逆「U」字状を成している。板状体53には、底部に開口する装着孔55が形成されており、この装着孔55に連結部51を挿入することにより、板状体53が連結部51に装着される。板状体53の主面またはその上端部が、オブジェクトに当接する当接部分として機能する。このため、棒状体49は、単に板状体53を支持するのみで足りるので、図示例のように、簡素な構成を採ることができる。
また、図示例では、板状体53の下端から連結部51が露出するように、装着孔55の深さが設定されている。それにより、台板1の上に載置されるオブジェクトが、図書のような板状のものであって、板状体53をオブジェクトに密着させた場合であっても、棒状体49が、オブジェクトから幾分か離れ、かつ案内溝5の上方に露出する部分を有するので、この部分を容易に手指で挟むことができる。この部分に手指で、2つの線状部33が縮幅するように力を加えることにより、2つの線状部33と案内溝5の幅方向両端部の内壁面との間の押圧力を解除し、摩擦力を弱めることができる。
図10は、本発明のさらに別の実施の形態によるオブジェクトエンドの支持体を例示する斜視図である。この支持体57は、屈曲又は湾曲し、かつ連続した1本の帯板状体59と、弾性部材61とを有している。このように、支持体57の構成は簡素である。帯板状体59は、案内溝5(図9等参照)の幅方向両端部に沿う2つの線状部63と、これらの線状部63から互いに接近するように案内溝5の内側に、それぞれ延びる2つの内向部65と、これらの内向部65を連結し、かつ台板1の上方に延びる連結部67とを有している。線状部63及び内向部65は、溝挿入部69を構成する。連結部67と弾性部材61は、支持体本体部71を構成する。帯板状体59は、例えば合成樹脂を成型加工することにより、製造可能である。図示の例では、線状部63は、帯板状体59の他の部分の厚さよりも直径の大きい棒状をなしているが、他の部分と同じ厚さであってもよい。
連結部67は、台板1の上方において、逆「U」字を描くように湾曲した部分を含んでおり、それにより開閉するように弾性変形可能である。起立して互いに向き合う、連結部67の2つの内側壁面には、弾性部材61の両端が連結されている。図示の例では、弾性部材61は圧縮コイルバネである。弾性部材61は、自身の弾性復元力により、連結部67を開く方向に、すなわち、2つの線状部63を互いに拡幅する方向に付勢し、それにより2つの線状部63を、案内溝5の幅方向両端部の内壁面に押圧する。このため、2つの線状部63が、2つの張り出し部19(図9参照)にそれぞれ係止される。その結果、支持体57が案内溝5から外れることなく、かつ傾倒しないように台板1に支持される。また、押圧力により、2つの線状部63と案内溝5の幅方向両端部の内壁面との間の摩擦力が強められるので、支持体57が台板1に対して制止させられる。
連結部67は台板1の上方に延びるので、台板1の上方にある連結部67の部分に、2つの線状部63が縮幅するように、閉方向に力を加えることにより、2つの線状部63と案内溝5の幅方向両端部の内壁面との間の押圧力を解除し、摩擦力を弱めることができる。その状態を保つことにより、支持体57を案内溝5に沿って、比較的軽い力でスライドさせることができる。
図11は、本発明のさらに別の実施の形態によるオブジェクトエンドの支持体を例示する斜視図である。この支持体73は、一対の帯板状体75,77を有している。帯板状体75,77は、双方合わせて、図10の帯板状体59の湾曲した頂部を平坦にしたような形状を成している。すなわち、帯板状体75,77は、案内溝5(図9等参照)の幅方向両端部に沿う2つの線状部63と、これらの線状部63から互いに接近するように案内溝5の内側に、それぞれ延びる2つの内向部65と、これらの内向部65の互いに向き合う端部から台板1の上方に延び、かつ頭部において互いに当接し合うように屈曲した起立部79,81とを有している。線状部63及び内向部65は、溝挿入部69を構成する。
支持体73は、さらに、起立部79,81の胴部の略中央部から互いに向き合う方向に延びる一組の接続部材83,85と、一組の接続部材83,85を互いに回動自在に連結する回動軸87と、を有している。これらの起立部79,81、接続部材83,85、及び回動軸87は、2つの内向部65を連結し、かつ台板1の上方に延びる連結部89を構成する。同時に、起立部79,81及び接続部材83,85は、台板1の上方に位置する回動軸87の周りに、一方が他方に対して回動することにより、開閉可能な2つの回動片93,95を構成する。起立部79,81の頂部が互いに当接し合うことにより、回動片93,95の過度な開きが規制される。接続部材83,85が連結された帯板状体75,77は、例えば合成樹脂を成型加工することにより、製造可能である。図示の例では、線状部63は、帯板状体75,77の他の部分の厚さよりも直径の大きい棒状をなしているが、他の部分と同じ厚さであってもよい。
支持体73は、さらに、自身の弾性復元力により、連結部89を開く方向に、すなわち、2つの線状部63を互いに拡幅する方向に付勢する弾性部材91を有している。連結部89及び弾性部材91は、支持体本体部97を構成する。図示の例では、弾性部材91はトーションばねであり、らせん状部に回動軸87が挿通されることにより、回動軸87に拘束され、両端部が起立部79,81の下部の内側面に当接することにより、連結部89を開く方向に付勢する。2つの線状部63は、互いに拡幅する方向に付勢されることにより、案内溝5の幅方向両端部の内壁面に押圧される。このため、2つの線状部63が、2つの張り出し部19(図8参照)にそれぞれ係止される。その結果、支持体73が案内溝5から外れることなく、かつ傾倒しないように台板1に支持される。また、押圧力により、2つの線状部63と案内溝5の幅方向両端部の内壁面との間の摩擦力が強められるので、支持体73が台板1に対して制止させられる。
連結部89あるいは起立部79,81は、台板1の上方に延びるので、台板1の上方にある連結部89の部分に、2つの線状部63が縮幅するように、閉方向に力を加えることにより、2つの線状部63と案内溝5の幅方向両端部の内壁面との間の押圧力を解除し、摩擦力を弱めることができる。その状態を保つことにより、支持体73を案内溝5に沿って、比較的軽い力でスライドさせることができる。
支持体本体部97は、連結部89及び弾性部材91に加えて、図示の例のように、連結部89に装着される板状体99を有してもよい。図示の例では、板状体99には、底部に開口する切れ込み201が形成されており、この切れ込み201の内壁面が、連結部89を構成する起立部79,81の一方の外壁面に、例えば接着剤あるいは木ネジにより固定されている。切れ込み201は、連結部89の開閉を妨げない大きさに設定される。板状体99は、帯板状体75,77の幅方向、すなわち案内溝5の長手方向の一方側に寄せて、連結部89に固定され、板状体99の厚さは、好ましくは図示例のように、帯板状体75,77の幅よりも小さく設定される。それにより、板状体99の主面またはその上端部が、オブジェクトに当接する当接部分として機能するとともに、板状体99に妨げられることなく、手指で連結部89を閉じることが可能となる。
図12は、本発明のさらに別の実施の形態によるオブジェクトエンドの構成を例示する斜視図である。また、図13は、図12のオブジェクトエンドの断面構造を例示する側面断面図である。このオブジェクトエンド104は、台板203が、鉄板などの強磁性体の底板207を有し、支持体209の溝挿入部211が、弾性部材13及び摺動部材15に代えて、底板207を吸引する磁石214を有する点において、図1〜図3に例示したオブジェクトエンド101とは異なっている。磁石214と底板207との間の磁気的吸引力により、溝挿入部211が底板207の上面に押圧され、それにより互いの間の摩擦力が強められる。
より詳細には、台板203は、台板本体部205と底板207とを有している。台板本体部205は、台板203の上部を成す平板状であり、台板1(図1、図2参照)と同様に、案内溝5が形成されているが、案内溝5の底は開放されている。台板本体部205は、例えば木製である。底板207は、案内溝5の底を塞ぐように、台板本体部205の底面を覆っている。すなわち底板207は、上面が案内溝5の底面を成すように、案内溝5に沿って配置された部分を含んでいる。この部分は、本発明の「吸引体」の一具体例に相当する。底板207は、例えば木ネジにより、台板本体部205の底面に固着される。
支持体209は、支持体本体部9と溝挿入部211とを有している。支持体本体部9は、図1に例示している。溝挿入部211は、溝挿入部本体213と磁石214とを有している。溝挿入部本体213は、一例として、溝挿入部11(図2,図3参照)と同様に、直径が異なる2段の円板状部材が一体に連結した形状をなしている。溝挿入部本体213の底部には、円形の溝215が形成されており、この円形の溝215に、磁石214が挿入されている。磁石214は、図示例では円板状である。好ましくは、図示例のように、磁石214の底面は、溝挿入部本体213の底面よりも、僅かながら下方に突出している。それにより、磁石214は、溝挿入部本体213に妨げられることなく、磁性体の底板207に直接に吸着し、強い吸着力を発揮することができる。これに対して、磁石214が溝挿入部本体213の底面に露出しないように、磁石214が溝挿入部本体213の中に埋め込まれていてもよい。
また、溝挿入部211と2つの張り出し部19との間には、僅かながら隙間が形成されている。このため、支持体本体部9を上方に持ち上げることにより、溝挿入部211と底板207との間の押圧力を解除し、摩擦力を解消することができる。その状態を保つことにより、支持体209を案内溝5に沿って、比較的軽い力でスライドさせることが可能となる。
底板207は、板状の強磁性体を、例えばプラスチック製の保護膜で覆ったものであってもよい。この場合においても、磁石214と底板207との間の磁気的吸引力により、溝挿入部211が底板207の上面に押圧され、それにより互いの間の摩擦力が強められることに、変わりはない。
図示の例では、溝挿入部211は、図2に例示した溝挿入部11と同様に、円形の平面輪郭形状を有するので、案内溝5に挿入された状態において、鉛直軸周りに回転可能である。このため、支持体本体部9と溝挿入部211とが、互いに固定されている場合であっても、支持体本体部9を鉛直軸周りに回転させることが可能である。これに対し、図4及び図5に例示した溝挿入部27と同様に、溝挿入部211の平面輪郭形状を、溝挿入部211の鉛直軸周りの回転が規制される形状とすることも可能である。
図14は、本発明のさらに別の実施の形態によるオブジェクトエンドの構成を例示する側面断面図である。このオブジェクトエンド105は、底板207に代えて、鉄シートなどの強磁性体シート221が、その上面が案内溝5の底面を成すように、案内溝5に沿って配置されている点において、オブジェクトエンド104(図12、図13参照)とは異なっている。強磁性体シート221は、本発明の「吸引体」の一具体例に相当する。
より詳細には、台板217は、台板本体部219と強磁性体シート221とを有している。台板本体部219は、台板217の主要部を成す平板状であり、台板1(図1、図2参照)と同様に、案内溝5が形成されている。台板本体部219は、例えば木製である。強磁性体シート221は、例えば接着剤により、案内溝5の底面に固着される。磁石214と強磁性体シート221との間の磁気的吸引力により、溝挿入部211が強磁性体シート221の上面に押圧され、それにより互いの間の摩擦力が強められる。強磁性体シート221に代えて、シート状又は板状の強磁性体を、例えばプラスチックの保護膜で覆ったシート状体又は板状体を、案内溝5の底面に沿って配置してもよい。この場合においても、磁石214とシート状体又は板状体との間の磁気的吸引力により、溝挿入部211がシート状体又は板状体に押圧され、それにより互いの間の摩擦力が強められる。これらのシート状体又は板状体は、本発明の「吸引体」の一具体例に相当する。
図15は、本発明のさらに別の実施の形態によるオブジェクトエンドの構成を例示する側面断面図である。以上に例示したオブジェクトエンド101〜105では、案内溝5は一列であり、しかも「T溝」の形態であった。これに対し図15は、案内溝5について他の様々な形態を例示している。
図15(a)に例示するオブジェクトエンド106では、台板223が有する案内溝225は、「蟻溝」の形態を成している。すなわち、案内溝225の幅方向両端部において、案内溝225の内側に向かって張り出す張り出し部227は、三角形の断面形状を有している。溝挿入部229は、張り出し部19(図3参照)と同様に、2つの張り出し部227に係止されることにより、支持体231は、案内溝225から外れることなく、かつ傾倒しないように台板223に支持される。なお図において、溝挿入部229の断面形状は、概略形状を表している。以下の図15(b)〜(d)においても同様である。
図15(b)に例示するオブジェクトエンド107では、台板233には2列の案内溝235,237が形成されている。案内溝235,237の各々の幅方向両端部のうち、互いに最も遠い部位に、張り出し部239,241が形成されている。支持体240は、支持体本体部9の下部に連結された2個の溝挿入部243,245を有し、これらの溝挿入部243,245は、案内溝235,237に個別に挿入されている。溝挿入部243,245は、張り出し部239,241に個別に係止される。溝挿入部243,245は、支持体本体部9によって互いに連結されているので、支持体240は、案内溝235,237から外れることなく、かつ傾倒しないように台板233に支持される。
図15(c)に例示するオブジェクトエンド108では、台板247には2列の案内溝249,251が形成されている。案内溝249,251の各々の幅方向両端部のうち、互いに最も近い部位に、張り出し部253,255が形成されている。支持体257は、支持体本体部9の下部に連結された2個の溝挿入部259,261を有し、これらの溝挿入部259,261は、案内溝249,251に個別に挿入されている。溝挿入部259,261は、張り出し部253,255に個別に係止される。溝挿入部259,261は、支持体本体部9によって互いに連結されているので、支持体257は、案内溝249,251から外れることなく、かつ傾倒しないように台板247に支持される。なお、溝挿入部259,261を、溝挿入部11(図1)、27(図4,図5)、211(図12)と同様の形状とし、張り出し部253,255とともに、図15(b)の張り出し部239,241を形成してもよい。
図15(d)に例示するオブジェクトエンド109では、台板263には2列の案内溝265,267が形成されている。案内溝265,267の各々の幅方向両端部のうち、互いに同一方向端部に、張り出し部269,271が形成されている。支持体273は、支持体本体部9の下部に連結された2個の溝挿入部275,277を有し、これらの溝挿入部275,277は、案内溝265,267に個別に挿入されている。溝挿入部275,277は、張り出し部269,271に個別に係止される。溝挿入部275,277は、支持体本体部9によって互いに連結されているので、支持体273は、案内溝265,267から外れることなく、かつ傾倒しないように台板263に支持される。
図16は、本発明のさらに別の実施の形態によるオブジェクトエンドの構成を例示する側面断面図である。このオブジェクトエンド110は、案内溝5が2列の案内溝279,281に分割されている点において、図8に例示したオブジェクトエンド102とは異なっている。より詳細には、オブジェクトエンド110では、台板283の上面に、2列の案内溝279,281が形成されており、2つの張り出し部19は、2列の案内溝279,281の全幅の両端部に形成されている。図8に例示したオブジェクトエンド102と同様に、支持体31の2つの線状部33が、2つの張り出し部19にそれぞれ係止されることにより、支持体31は、案内溝279,281から外れることなく、かつ傾倒しないように台板283に支持される。案内溝279,281の各々の開口幅を適度に広く設定することにより、2つの線状部33を、支持体31の弾性復元力に抗して互いに縮幅させることができ、それにより、案内溝279,281に着脱させることが可能である。
図17は、本発明のさらに別の実施の形態によるオブジェクトエンドに用いられる溝挿入部材の構成を例示する斜視図である。図17に例示される溝挿入部材285は、シート状又は板状であり、図1等に例示した案内溝5の内面に沿うように屈曲した形状を成す。溝挿入部材285は、例えば、金属製又はプラスチック製である。溝挿入部材285を案内溝5に装着することにより、案内溝5の寸法誤差を吸収することができる。溝挿入部材285は、例えば接着剤により、案内溝5の内面に固着される。溝挿入部材285が、鋼などの強磁性体製である場合には、図14に例示した強磁性体シート221の代用とすることも可能である。