JP2020180104A - 分散体 - Google Patents

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悟史 ▲高▼木
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展嵩 上田
健太郎 木村
Kentaro Kimura
健太郎 木村
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Abstract

【課題】マイクロカプセルを含有する液状の分散体であって、人の肌への使用時に、カスの発生が抑制される分散体の提供。【解決手段】マイクロカプセル、水、及び変性ポリエチレングリコールを含有し、前記変性ポリエチレングリコールのHLB値が4〜9である、分散体。【選択図】なし

Description

本発明は分散体に関する。
昆虫忌避剤、殺虫剤、防虫剤、香料、化粧材等の各成分は、壁材に内包されたマイクロカプセルとして用いることにより、期待される効果を長期に渡って持続させることが可能となる。そのため、このようなマイクロカプセルが種々検討されている(特許文献1参照)。
これらマイクロカプセルを用いる場合には、例えば、これを含有する液状の分散体を調製し、この分散体を人の肌に付着させて、さらに必要に応じて塗り込み等により、マイクロカプセルの肌への定着を促すことが想定される。
特開平3−90682号公報
しかし、これらマイクロカプセル化された成分を含有する分散体は、マイクロカプセル化されていない成分を含有する分散体よりも、肌への使用時にカスが発生し易く、肌へのなじみが悪いという問題点があった。
本発明は、マイクロカプセルを含有する液状の分散体であって、人の肌への使用時に、カスの発生が抑制される分散体を提供することを課題とする。
本発明は、マイクロカプセル、水、及び変性ポリエチレングリコールを含有し、前記変性ポリエチレングリコールのHLB値が4〜9である、分散体を提供する。
本発明の分散体においては、前記変性ポリエチレングリコールがポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーであることが好ましい。
本発明によれば、マイクロカプセルを含有する液状の分散体であって、人の肌への使用時に、カスの発生が抑制される分散体が提供される。
比較例1で発生した、分散体由来のカスの、走査電子顕微鏡による撮像データである。 試験例1で発生した、分散体由来のカスの、走査電子顕微鏡による撮像データである。 試験例2で発生した、分散体由来のカスの、走査電子顕微鏡による撮像データである。
<<分散体>>
本発明の一実施形態に係る分散体は、マイクロカプセル、水、及び変性ポリエチレングリコールを含有し、前記変性ポリエチレングリコールのHLB値が4〜9である。
本実施形態の分散体が、HLB値が4〜9である変性ポリエチレングリコールを含有していることにより、前記分散体の人の肌への使用時に、カスの発生が抑制される。
本実施形態の分散体は、人の肌に対して使用する薬剤(液剤)として好適である。この場合のマイクロカプセル化されている成分としては、例えば、昆虫忌避剤、殺虫剤、防虫剤、香料、化粧材等が挙げられる。
<水>
前記分散体が含有する水は、例えば、分散体の製造時において、単独で配合されたものであってもよいし、他の成分との混合物として配合されたものであってもよい。
例えば、前記分散体が含有する水は、前記マイクロカプセルの製造時に用い、その後に取り除かれることなく、そのまま前記分散体に持ち込まれたものであってもよい。
前記分散体の水の含有量は、分散体の用途に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。
例えば、前記分散体が人の肌に対して使用する薬剤である場合には、前記分散体において、分散体の総質量に対する、水の含有量の割合([分散体中の水の量(質量部)]/[分散体の総質量(質量部)]×100)は、10〜80質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることがより好ましい。
<変性ポリエチレングリコール>
前記変性ポリエチレングリコールは、ポリオキシエチレン骨格とそれ以外の構造をともに主鎖中に有するポリマーである。
本実施形態においては、変性ポリエチレングリコールを、後述する乳化剤及びアルコールとしては取り扱わない。
変性ポリエチレングリコールは、ポリオキシエチレン骨格とそれ以外の繰り返し構造をともに主鎖中に有するポリマーであることが好ましく、ポリオキシエチレン骨格とそれ以外の繰り返し構造をともに主鎖中に有するブロックポリマー(ブロック共重合体)であることがより好ましい。
変性ポリエチレングリコール中の、前記ポリオキシエチレン骨格以外の構造は、酸化オレフィンから誘導された構造であることが好ましく、前記ポリオキシエチレン骨格以外の繰り返し構造は、ポリオキシオレフィン骨格であることが好ましく、前記ポリオキシオレフィン骨格は、ポリオキシプロピレン骨格であることが好ましい。
本明細書において、ポリオキシエチレン骨格とは、下記一般式(G1)
−(CHCHO)m1− (G1)
(一般式(G1)中、m1は2以上の整数である。)で表されるものを意味する。同様に、ポリオキシプロピレン骨格とは、下記一般式(G2)
−(CHCH(CH)O)n1− (G2)
(一般式(G2)中、n1は2以上の整数である。)で表されるものを意味する。
変性ポリエチレングリコールは、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーであることが好ましい。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーとしては、例えば、下記一般式(G3)
HO−(CHCHO)m2−(CHCH(CH)O)n2−(CHCHO)l2−H (G3)
(一般式(G3)中、m2、n2及びl2は、それぞれ独立に2以上の整数である。)で表されるものが挙げられる。
変性ポリエチレングリコールのHLB(Hydrophilic−Lipophilic Blance)値は、4〜9である。前記HLB値がこのような範囲であることで、前記分散体の人の肌への使用時に、カスの発生が抑制される。その理由は定かではないが、前記分散体中のマイクロカプセル、特にそのうちの壁材が、人の肌に対して高い親和性を有していないのに対し、このような特定範囲のHLB値を示す変性ポリエチレングリコールが、このような不具合の影響を解消するためであると推測される。より具体的には、以下のとおりである。
すなわち、人の肌の表面には皮脂が存在し、通常の分散体中のマイクロカプセルは、人の肌に付着したときに、この皮脂の影響を受け、肌に定着し難くなっている。これは、マイクロカプセルの壁材が親水性を有する場合に、特に顕著である。したがって、肌上のマイクロカプセルは、互いに結び付き易く、凝集し易くなっている。なかでも、分散体中の水等の溶媒成分が乾燥によって除去されたとき、さらには、この乾燥後の肌を擦ったときには、マイクロカプセルが特に凝集し易くなっている。このマイクロカプセルの凝集物が、カスの主成分となる。実際に、実施例で後述するように、走査電子顕微鏡(SEM)等を用いて、発生したカスを分析すると、このカスがマイクロカプセルの凝集物を含んでいることを確認できる。このように、カスが発生すると、マイクロカプセルの効果が限定的となり、また、肌の前記分散体の使用部位は、見栄えも悪くなる。
これに対して、前記変性ポリエチレングリコールは、そのHLB値が特定範囲であることにより、皮脂が存在する人の肌に対する、本実施形態の分散体中のマイクロカプセルの親和性を向上させ、その結果、カスの発生が抑制されると推測される。本実施形態の分散体を用いることにより、このようにカスの発生が抑制され、マイクロカプセルがより安定して肌に定着し、マイクロカプセルの効果がより長期間維持され、また、肌の前記分散体の使用部位は、見栄えもよくなる。
変性ポリエチレングリコールのHLB値は、4〜9の範囲内で、例えば、5以上、6以上、7以上、及び8以上のいずれかであってもよいし、8以下、7以下、6以下、及び5以下のいずれかであってもよい。
変性ポリエチレングリコールのHLB値は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、前記HLB値は、5〜9、6〜9、7〜9、及び8〜9のいずれかであってもよいし、4〜8、4〜7、4〜6、及び4〜5のいずれかであってもよいし、5〜8、及び6〜7のいずれかであってもよい。ただし、これらは、前記HLB値の一例である。
本明細書において、「HLB値」とは、特に断りのない限り、グリフィン(Griffin)法で算出されたものである。
前記分散体が含有する変性ポリエチレングリコールは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記分散体において、マイクロカプセルの含有量に対する、変性ポリエチレングリコールの含有量の割合([分散体の変性ポリエチレングリコールの含有量(質量部)]/[分散体のマイクロカプセルの含有量(質量部)]×100)は、特に限定されないが、5質量%以上であることが好ましく、例えば、10質量%以上、15質量%以上、及び20質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記分散体においてカスの発生を抑制する効果がより高くなる。
前記分散体において、マイクロカプセルの含有量に対する、変性ポリエチレングリコールの含有量の割合の上限値は、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
例えば、前記割合は、38質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、及び10質量%以下のいずれかであってもよい。前記割合が小さいほど、前記分散体の粘度が小さくなる傾向にあり、38質量%以下であれば、粘度の点で前記分散体は実用的な取り扱い性を有する。
前記分散体において、マイクロカプセルの含有量に対する、変性ポリエチレングリコールの含有量の割合は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、前記割合は、5〜38質量%、10〜38質量%、15〜38質量%、及び20〜38質量%のいずれかであってもよいし、5〜30質量%、5〜25質量%、5〜20質量%、5〜15質量%、及び5〜10質量%のいずれかであってもよいし、10〜30質量%、及び15〜25質量%のいずれかであってもよい。ただし、これらは前記割合の一例である。
本明細書において、前記分散体におけるマイクロカプセルの含有量(質量部)とは、前記分散体における、マイクロカプセルを構成している壁材と、マイクロカプセルを構成している芯物質と、の合計含有量(質量部)を意味する。例えば、前記分散体中に、マイクロカプセルの製造に用いた原料で、かつマイクロカプセルを構成していない成分、又は、マイクロカプセルを構成し得る成分で、かつマイクロカプセルを構成していない成分、が存在する場合には、これら成分は、マイクロカプセルの含有量の算出対象ではない。ここで、「マイクロカプセルの製造に用いた原料で、かつマイクロカプセルを構成していない成分」としては、マイクロカプセルの芯物質となり得る成分と、壁材の製造原料(例えば、壁材の構成成分が後述するポリウレアである場合には、イソシアネート化合物とアミン化合物が該当する)と、が挙げられる。「マイクロカプセルを構成し得る成分で、かつマイクロカプセルを構成していない成分」としては、壁材の構成成分が挙げられる。マイクロカプセルの芯物質となり得る成分は、「マイクロカプセルを構成し得る成分で、かつマイクロカプセルを構成していない成分」であるともいえるが、本明細書においては、重複を避けるため、「マイクロカプセルの製造に用いた原料で、かつマイクロカプセルを構成していない成分」に分類する。
マイクロカプセルの構成については、後ほど詳細に説明する。
前記分散体の製造時に、マイクロカプセルとして、他の成分から分離して、取り出したものを使用した場合には、このときの使用量(質量部)が、前記分散体におけるマイクロカプセルの含有量(質量部)となる。
一方、前記分散体の製造時に、マイクロカプセルとして、他の成分から分離して、取り出したものを使用しなかった場合には、前記分散体におけるマイクロカプセルの含有量(質量部)は、計算によって求められる。例えば、後述する界面重縮合法でマイクロカプセルを製造したとき等、マイクロカプセルの水分散体(水の共存下で分散した状態)が得られ、この水分散体をそのままさらに、前記分散体の製造に用いた場合には、前記水分散体において、上述の「マイクロカプセルの製造に用いた原料で、かつマイクロカプセルを構成していない成分」と、「マイクロカプセルを構成し得る成分で、かつマイクロカプセルを構成していない成分」と、の合計量(2)(質量部)を求め、この合計量(2)(質量部)を、マイクロカプセルの製造に用いた原料(すなわち、マイクロカプセルの芯物質となり得る成分、及び壁材の製造原料)の合計量(1)(質量部)から差し引くことにより、前記分散体におけるマイクロカプセルの含有量(質量部)が求められる。
<マイクロカプセル>
本実施形態で用いるマイクロカプセルは、壁材によって芯物質が内包されて構成されている。
前記マイクロカプセルにおいて、壁材の構成成分(本明細書においては、「壁材成分」と略記することがある)と、芯物質とは、いずれも特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
[芯物質]
前記芯物質は、例えば、有機化合物及び無機化合物のいずれであってもよいが、有機化合物であることが好ましい。
芯物質としては、例えば、昆虫忌避剤、殺虫剤、防虫剤、香料、化粧材、消臭剤、医薬、殺菌剤、その他の化学反応剤等が挙げられる。前記化学反応剤とは、特定の化学物質と反応することにより、この化学物質の作用を阻害し、かつ、昆虫忌避剤、殺虫剤、防虫剤、香料、化粧材、消臭剤、医薬及び殺菌剤、のいずれにも該当しない成分である。
芯物質は、前記分散体を人の肌に対して使用するのに適した成分であることが好ましく、例えば、昆虫忌避剤、殺虫剤、防虫剤、香料又は化粧材であることがより好ましい。
(昆虫忌避剤)
前記昆虫忌避剤は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。
昆虫忌避剤の、15〜25℃のいずれかの温度の1Lの水に対する溶解量は、例えば、15g以下であることが好ましい。
昆虫忌避剤は、常温で液状であることが好ましい。
本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜25℃の温度等が挙げられる。
昆虫忌避剤としては、例えば、N,N−ジエチル−3−メチルベンズアミド(別名:N,N−ジエチル−m−トルアミド、DEET)、1−(1−メチルプロポキシカルボニル)−2−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン(別名:イカリジン)等が挙げられる。
前記マイクロカプセルにおいて、前記壁材に内包されている芯物質は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
[壁材、壁材成分]
前記壁材成分(壁材の構成成分)は、膜形成能を有していれば、特に限定されないが、重縮合物であることが好ましく、オリゴマー又はポリマーであることがより好ましい。
好ましい前記壁材成分としては、例えば、ポリウレア、ポリウレタン、ポリアミド等が挙げられる。これらはいずれも、公知の方法で形成でき、後述する界面重縮合法で形成するのに好適である。
本明細書において、「ポリウレア」とは、式「−NH−C(=O)−NH−」で表される結合(ウレア結合)を有するオリゴマー又はポリマーを意味し、例えば、原料化合物として、2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物と、2個以上のアミノ基を有するアミン化合物と、を重縮合反応させることにより得られる。
「ポリウレタン」とは、式「−NH−C(=O)−O−」で表される結合(ウレタン結合)を有するオリゴマー又はポリマーを意味し、例えば、原料化合物として、2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物と、2個以上の水酸基(−OH)を有するヒドロキシ化合物と、を重縮合反応させることにより得られる。
「ポリアミド」とは、式「−NH−C(=O)−」で表される結合(アミド結合)を有するオリゴマー又はポリマーを意味し、例えば、原料化合物として、2個以上のカルボキシ基(−C(=O)−OH)を有するカルボン酸、又はその1個又は2個以上のカルボキシ基がクロロカルボニル基(−C(=O)−Cl)で置換されてなるカルボン酸クロライドと、2個以上のアミノ基を有するアミン化合物と、を重縮合反応させることにより得られる。
前記マイクロカプセルの壁材成分は、ポリウレアであることが好ましい。このようなマイクロカプセルを用いることで、前記分散体においてカスの発生を抑制する効果がより高くなる。
<他の成分>
前記分散体は、本発明の効果を損なわない範囲で、マイクロカプセルと、水と、前記変性ポリエチレングリコールと、のいずれにも該当しない他の成分を含有していてもよい。
前記他の成分は、特に限定されず、前記分散体の製造方法や使用目的に応じて、任意に選択できる。
前記他の成分は、前記マイクロカプセルの製造時に用い、その後に取り除かれることなく、そのまま前記分散体に持ち込まれたものであってもよい。
前記分散体が含有する前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記他の成分としては、例えば、水以外の溶媒;乳化剤等が挙げられる。
前記他の成分のうち、溶媒としては、例えば、有機溶媒等が挙げられる。
前記有機溶媒は、親水性溶媒及び疎水性溶媒のいずれであってもよい。
前記有機溶媒としては、例えば、アルコール(例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等)、アミド、ニトリル、ケトン、エステル、エーテル、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、フェノール類(フェノール性水酸基を有する化合物)、硫化炭素、カルボン酸等が挙げられる。
前記他の成分のうち、乳化剤としては、公知のものが挙げられる。
前記乳化剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、アラビアゴム、ゼラチン、ロート油、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレン硫酸塩、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を包含する概念とする。
前記分散体の、マイクロカプセルと、水と、前記変性ポリエチレングリコールと、の合計含有量は、分散体の用途に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。
例えば、前記他の成分としてエタノール等のアルコールを含有し、水の含有量を通常よりも低減した前記分散体は、乾燥し易いため、噴霧剤として好適である。
このような目的で、前記他の成分としてエタノール等のアルコールを含有する前記分散体において、分散体の総質量に対する、マイクロカプセルと、水と、前記変性ポリエチレングリコールと、の合計含有量の割合([分散体中のマイクロカプセルと、水と、前記変性ポリエチレングリコールと、の合計量(質量部)]/[分散体の総質量(質量部)]×100)は、60質量%以上であることが好ましく、例えば、70質量%以上、及び75質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記分散体においてカスの発生を抑制する効果がより高くなる。
換言すると、前記分散体において、分散体の総質量に対する、前記他の成分の含有量の割合([分散体中の前記他の成分の量(質量部)]/[分散体の総質量(質量部)]×100)は、40質量%以下であることが好ましく、例えば、30質量%以下、及び25質量%以下のいずれかであってもよい。
上記の目的で、前記他の成分としてエタノール等のアルコールを含有する前記分散体において、分散体の総質量に対する、マイクロカプセルと、水と、前記変性ポリエチレングリコールと、の合計含有量の割合は、85質量%以下であることが好ましく、例えば、75質量%以下であってもよい。
一方、上述のような乾燥し易い噴霧剤以外として前記分散体を用いる場合、前記分散体において、分散体の総質量に対する、マイクロカプセルと、水と、前記変性ポリエチレングリコールと、の合計含有量の割合([分散体中のマイクロカプセルと、水と、前記変性ポリエチレングリコールと、の合計量(質量部)]/[分散体の総質量(質量部)]×100)は、例えば、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、97質量%以上、及び99質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記分散体においてカスの発生を抑制する効果がより高くなる。
換言すると、前記分散体において、分散体の総質量に対する、前記他の成分の含有量の割合([分散体中の前記他の成分の量(質量部)]/[分散体の総質量(質量部)]×100)は、例えば、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、及び1質量%以下のいずれかであってもよい。
上述のような乾燥し易い噴霧剤以外として前記分散体を用いる場合、前記分散体において、分散体の総質量に対する、マイクロカプセルと、水と、前記変性ポリエチレングリコールと、の合計含有量の割合は、100質量%以下であればよい。
前記壁材の膜又は層の厚さは、特に限定されず、例えば、50〜1000nmであってもよい。
前記マイクロカプセルの平均粒子径は、特に限定されない。例えば、前記平均粒子径は、0.5〜20μm、0.5〜16μm、0.5〜13μm、0.5〜10μm、1〜7μm及び1.5〜4μmのいずれかであってもよい。
本明細書において「平均粒子径」とは、特に断りのない限り、粒子について、粒度分布計を用いて測定された、体積粒度分布の中位径を意味する。
前記マイクロカプセルは、経時と共に、内包された芯物質を徐々に外部に放出する徐放性を有するものとすることが可能である。このようなマイクロカプセルは、芯物質の作用を長期に渡って持続させることができる。
以下、ポリウレアを壁材の構成成分とし、芯物質として昆虫忌避剤が内包されて構成されたマイクロカプセルの一例(以下、「マイクロカプセル(A)」と称する)について、詳細に説明する。
○マイクロカプセル(A)
前記マイクロカプセル(A)は、イソシアネート化合物とアミン化合物との重縮合物(すなわちポリウレア)を壁材の構成成分とし、前記壁材に昆虫忌避剤が内包されており、前記イソシアネート化合物が、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(本明細書においては、「ポリメリックMDI」と称することがある)と、イソシアネート基の含有量が20質量%以上であるジイソシアネート変性体と、を含む。
マイクロカプセル(A)は、ホルムアルデヒドの使用が必要なメラミン樹脂を壁材の主要構成成分とはしないため、安全性が高い。また、マイクロカプセル(A)は、壁材成分として特定範囲のポリウレアを選択することで、昆虫忌避剤の内包量が多くなっている。
本明細書においては、後述するジイソシアネート変性体中の、変性されているイソシアネート基は、イソシアネート基には含めない。
本明細書において、「イソシアネート化合物のイソシアネート基の含有量」とは、イソシアネート化合物が、その1分子中に有するイソシアネート基の量を意味しており、下記式により算出される。
[イソシアネート化合物のイソシアネート基の含有量(質量%)]=[1モルのイソシアネート化合物中のイソシアネート基の量(質量部)]/[イソシアネート化合物の分子量]×100
本明細書においては、特に断りのない限り、単なる「ジイソシアネート変性体」との記載は、上記の、NCO含有量が20質量%以上であるジイソシアネート変性体を意味する。
マイクロカプセル(A)においては、壁材の構成成分(壁材成分)が、アミン化合物と、上記の特定範囲のイソシアネート化合物と、の重縮合物、すなわち特定範囲のポリウレアのみであるか、又はこのようなポリウレアを主要成分とする。このように、マイクロカプセル(A)は、ホルムアルデヒドの使用が必要なメラミン樹脂を壁材の主要構成成分とはしないため、安全性が高い。
また、マイクロカプセル(A)は、上記のような特定範囲のポリウレアを選択することで、昆虫忌避剤の内包量が多くなっている。
[壁材]
前記壁材の膜又は層の厚さは、特に限定されず、例えば、50〜1000nmであってもよい。
[イソシアネート化合物]
マイクロカプセル(A)の製造原料である前記イソシアネート化合物は、ポリメリックMDI及び前記ジイソシアネート変性体を含む。
前記イソシアネート化合物は、ポリメリックMDI及び前記ジイソシアネート変性体を主要成分とし、ポリメリックMDI及び前記ジイソシアネート変性体のみを含んでいてもよいし、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリメリックMDIと、前記ジイソシアネート変性体と、これらのいずれにも該当せず、かつ、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する、他のイソシアネート(本明細書においては、「他のイソシアネート」と略記することがある)と、を含んでいてもよい。
前記イソシアネート化合物として、ポリメリックMDI及び前記ジイソシアネート変性体のみを用いた場合には、壁材成分は、そのイソシアネート化合物由来の構成単位として、ポリメリックMDI由来の構成単位と、前記ジイソシアネート変性体由来の構成単位と、のみを有する。一方、前記イソシアネート化合物として、ポリメリックMDI、前記ジイソシアネート変性体、及び前記他のイソシアネートを用いた場合には、壁材成分は、そのイソシアネート化合物由来の構成単位として、ポリメリックMDI由来の構成単位と、前記ジイソシアネート変性体由来の構成単位と、前記他のイソシアネート由来の構成単位と、を有する。
ポリメリックMDI及び前記ジイソシアネート変性体は、前記アミン化合物との重縮合反応によって、マイクロカプセル(A)を構成する前記壁材成分を形成する。
すなわち、前記壁材成分は、より具体的には、ポリメリックMDIとアミン化合物との重縮合構造と、ジイソシアネート変性体とアミン化合物との重縮合構造と、をともに有する。
前記他のイソシアネートを用いた場合には、他のイソシアネートは、アミン化合物との重縮合反応によって、前記壁材成分を形成する可能性があるため、壁材成分は、上記の2種の重縮合構造に加え、前記他のイソシアネートとアミン化合物との重縮合構造も有する可能性がある。しかし、この場合にも、壁材成分は、ポリメリックMDIとアミン化合物との重縮合構造と、ジイソシアネート変性体とアミン化合物との重縮合構造と、を主要構造とする。
(ポリメリックMDI)
ポリメリックMDIは、下記一般式(P1)で表される。
(式中、pは0以上の整数である。)
一般式(P1)中、pは0以上の整数であればよく、例えば、0〜100であってもよい。
ポリメリックMDIのNCO含有量は、適宜調節できるが、30〜32質量%であることが好ましく、30.5〜32質量%であることがより好ましい。
ポリメリックMDIは、常温で液状あり、その25℃での粘度は、特に限定されないが、150〜250mPa・sであることが好ましい。
ポリメリックMDIは、pの数に応じて複数種が存在する。
壁材成分の形成時に用いるポリメリックMDI(換言すると、壁材成分が有する、ポリメリックMDI由来の構成単位)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
(ジイソシアネート変性体)
前記ジイソシアネート変性体のNCO含有量は、20質量%以上である。
昆虫忌避剤の内包量が多いマイクロカプセル(A)をより安定して製造できる点では、前記ジイソシアネート変性体のNCO含有量は、例えば、22質量%以上、及び24質量%以上のいずれかであってもよい。
前記ジイソシアネート変性体のNCO含有量の上限値は、特に限定されない。例えば、マイクロカプセル(A)をより安定して製造できる点では、前記ジイソシアネート変性体のNCO含有量は、28質量%以下であってもよい。
前記ジイソシアネート変性体のNCO含有量は、上述のいずれかの下限値と、上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、前記NCO含有量は、20〜28質量%、22〜28質量%、及び24〜28質量%のいずれかであってもよい。
前記ジイソシアネート変性体は、そのNCO含有量が20質量%以上であれば、特に限定されない。
前記ジイソシアネート変性体は、脂肪族ジイソシアネートの変性体と、芳香族ジイソシアネートの変性体と、のいずれであってもよい。
本明細書において、「脂肪族ジイソシアネート」とは、脂肪族基を有し、かつ芳香族基を有しないジイソシアネートを意味する。また、「芳香族ジイソシアネート」とは、芳香族基を有し、かつ脂肪族基を有しないジイソシアネート、又は、芳香族基と脂肪族基をともに有するジイソシアネート、すなわち、少なくとも芳香族基を有するジイソシアネート、を意味する。
前記脂肪族ジイソシアネート中の脂肪族基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよい。
本明細書においては、環状の脂肪族基を「脂肪族環式基」と称することがある。環状の脂肪族基(脂肪族環式基)は、環状構造を有し、かつ鎖状(すなわち、直鎖状又は分岐鎖状)構造を有していなくてもよいし、環状構造及び鎖状構造をともに有していてもよく、すなわち、少なくとも環状構造を有する。脂肪族環式基は、単環状及び多環状のいずれであってもよい。
前記芳香族ジイソシアネート中の芳香族基は、単環状及び多環状のいずれであってもよい。
前記ジイソシアネート変性体は、脂肪族ジイソシアネート変性体であることが好ましく、脂肪族基が直鎖状である脂肪族ジイソシアネート変性体であることがより好ましい。
このような前記ジイソシアネート変性体としては、例えば、ペンタメチレンジイソシアネート(本明細書においては、「PDI」と略記することがある)変性体、ヘキサメチレンジイソシアネート(本明細書においては、「HDI」と略記することがある)変性体等が挙げられる。
前記ジイソシアネート変性体としては、例えば、ジイソシアネートのビウレット変性体、イソシアヌレート変性体、トリメチロールプロパンアダクト変性体(本明細書においては、「TMPアダクト変性体」又は「TMPアダクト体」と称することがある)、及びアロファネート変性体等が挙げられる。
なお、本明細書においては、例えば、「ジイソシアネートのビウレット変性体」を「ジイソシアネート−ビウレット変性体」と記載することがある。他の前記ジイソシアネート変性体も同様である。
前記ジイソシアネート変性体として、より具体的には、例えば、PDIのイソシアヌレート変性体、HDIのビウレット変性体、HDIのイソシアヌレート変性体等が挙げられる。
壁材成分の形成時に用いる前記ジイソシアネート変性体(換言すると、壁材成分が有する、前記ジイソシアネート変性体由来の構成単位)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
壁材成分の形成時に用いる前記ジイソシアネート変性体は、PDI変性体及びHDI変性体からなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましく、PDIのイソシアヌレート変性体、HDIのビウレット変性体、及びHDIのイソシアヌレート変性体からなる群から選択される1種又は2種以上であることがより好ましい。
換言すると、壁材成分は、その前記ジイソシアネート変性体由来の構成単位として、PDI変性体由来の構成単位と、HDI変性体由来の構成単位と、からなる群から選択される1種又は2種以上を有することが好ましく、PDIのイソシアヌレート変性体由来の構成単位と、HDIのビウレット変性体由来の構成単位と、HDIのイソシアヌレート変性体由来の構成単位と、からなる群から選択される1種又は2種以上を有することがより好ましい。
(他のイソシアネート)
前記他のイソシアネートは、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有し、かつ、ポリメリックMDIと、前記ジイソシアネート変性体と、のいずれにも該当しないものでれば、特に限定されない。
前記壁材成分において、ポリメリックMDI由来の構成単位と、前記ジイソシアネート変性体由来の構成単位と、前記他のイソシアネート由来の構成単位と、の総数に対する、前記他のイソシアネート由来の構成単位の数の割合([壁材成分中の前記他のイソシアネート由来の構成単位の数]/([壁材成分中のポリメリックMDI由来の構成単位の数]+[壁材成分中の前記ジイソシアネート変性体由来の構成単位の数]+[壁材成分中の前記他のイソシアネート由来の構成単位の数]×100)は、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが特に好ましい。前記割合が前記上限値以下であることで、昆虫忌避剤の内包量がより多いマイクロカプセル(A)が得られる。
[アミン化合物]
前記アミン化合物は、その1分子中に2個以上のアミノ基を有していれば、特に限定されない。
本明細書においては、特に断りのない限り、単なる「アミン化合物」との記載は、このような、2個以上のアミノ基を有する化合物を意味する。
前記アミン化合物がその1分子中に有するアミノ基の数は、2個以上であれば特に限定されないが、2〜6個であることが好ましく、2〜5個であることがより好ましく、2〜4個であることがさらに好ましく、2又は3個であることが特に好ましい。
前記アミン化合物は、イソシアネート基又は水酸基を有しないものが好ましく、イソシアネート基及び水酸基をともに有しないものがより好ましい。
前記アミン化合物は、有機多価アミン化合物であることが好ましい。
前記有機多価アミン化合物は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
前記有機多価アミン化合物で好ましいものとしては、例えば、脂肪族炭化水素の2個以上の水素原子(−H)がアミノ基(−NH)で置換された構造を有する脂肪族多価アミン化合物;前記脂肪族多価アミン化合物の1個又は2個以上のメチレン基(−CH−)が、式「−NH−」で表される基で置換された構造を有するNH置換脂肪族多価アミン化合物等が挙げられる。
前記脂肪族多価アミン化合物において、アミノ基の結合位置は特に限定されず、例えば、主鎖又は側鎖の末端部の炭素原子に結合していてもよいし、主鎖又は側鎖の非末端部の炭素原子に結合していてもよい。
前記脂肪族多価アミン化合物において、2個以上のアミノ基は、同一の炭素原子に結合していないことが好ましい。
本明細書において、「主鎖」とは、分子中に存在するひと繋がりの鎖状骨格のうち、この鎖状骨格を形成している原子数が最大であるものを意味する。「側鎖」とは、分子中に存在するひと繋がりの鎖状骨格のうち、主鎖に該当しないものを意味する。
前記脂肪族多価アミン化合物は、少なくとも主鎖の一方又は両方の末端部の炭素原子にアミノ基が結合しているものが好ましく、少なくとも主鎖の両方の末端部の炭素原子にアミノ基が結合しているものがより好ましく、このようなものとしては、例えば、主鎖の両方の末端部の炭素原子にアミノ基が結合している脂肪族ジアミン化合物が挙げられる。
前記脂肪族多価アミン化合物で好ましいものとしては、例えば、1,3−ジアミノプロパン(NH−CHCHCH−NH)等が挙げられる。
前記NH置換脂肪族多価アミン化合物において、式「−NH−」で表される基で置換されているメチレン基の位置は、特に限定されないが、アミノ基が結合している炭素原子に隣接していないメチレン基であることが好ましい。
前記NH置換脂肪族多価アミン化合物において、式「−NH−」で表される基で置換されているメチレン基の数は、このアミン化合物の炭素数に応じて異なり、例えば、1〜4個、1〜3個、又は1〜2個のいずれであってもよい。
前記NH置換脂肪族多価アミン化合物で好ましいものとしては、例えば、ジエチレントリアミン(NH−CHCH−NH−CHCH−NH)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン(NH−CHCHCH−NH−CHCH−NH−CHCHCH−NH)等が挙げられる。
壁材成分の形成時に用いる前記アミン化合物(換言すると、壁材成分が有する、前記アミン化合物由来の構成単位)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記壁材成分は、前記イソシアネート化合物とアミン化合物との重縮合物(ポリウレア)のみを含んでいてもよいし、本発明の効果を損なわない範囲で、前記重縮合物と、それ以外の他のオリゴマー及びポリマーのいずれか一方又は両方と、を含んでいてもよい。
前記壁材成分が含む前記他のオリゴマー及びポリマーは、いずれも、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記マイクロカプセル(A)において、壁材成分の総質量に対する、壁材成分中の前記他のオリゴマー及びポリマーの総含有量の割合([マイクロカプセル(A)における、壁材成分中の前記他のオリゴマー及びポリマーの総含有量(質量部)]/[マイクロカプセル(A)における、壁材成分の総質量(質量部)]×100)は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
換言すると、前記マイクロカプセル(A)において、壁材成分の総質量に対する、壁材成分中の前記重縮合物の含有量の割合([マイクロカプセル(A)における、壁材成分中の前記重縮合物の含有量(質量部)]/[マイクロカプセル(A)における、壁材成分の総質量(質量部)]×100)は、95質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることが特に好ましい。
これらの割合がこのような範囲であることで、昆虫忌避剤の内包量がより多いマイクロカプセル(A)が得られる。
<昆虫忌避剤>
マイクロカプセル(A)における昆虫忌避剤は、先に説明したものと同じである。
マイクロカプセル(A)の平均粒子径は、特に限定されないが、3μm以上であることが好ましく、4μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることがさらに好ましく、例えば、8μm以上、及び10μm以上のいずれかであってもよい。前記平均粒子径が前記下限値以上であるマイクロカプセル(A)は、昆虫忌避剤の内包量がより多い点で有利である。
マイクロカプセル(A)の平均粒子径の上限値は、特に限定されない。例えば、前記平均粒子径が16μm以下であるマイクロカプセル(A)は、より容易に製造できる。
マイクロカプセル(A)の平均粒子径は、上述のいずれかの下限値と、上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、マイクロカプセル(A)の平均粒子径は、3〜16μmであることが好ましく、4〜16μmであることがより好ましく、5〜16μmであることがさらに好ましく、例えば、8〜16μm、及び10〜16μmのいずれかであってもよい。
マイクロカプセル(A)の昆虫忌避剤の内包量の程度は、例えば、下記式で算出されるマイクロカプセルの昆虫忌避剤の内包率によって判断できる。
[マイクロカプセルの昆虫忌避剤の内包率(質量%)]=[マイクロカプセルの昆虫忌避剤の含有量(質量部)]/[マイクロカプセル製造時の昆虫忌避剤の使用量(質量部)]×100
マイクロカプセル(A)以外のマイクロカプセルの昆虫忌避剤の内包率も、同様に算出できる。
マイクロカプセル(A)の昆虫忌避剤の内包率は、75質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、例えば、82.5質量%以上、及び85質量%以上のいずれかであってもよい。
前記内包率の上限値は100質量%である。例えば、前記内包率が93質量%以下であるマイクロカプセルは、より容易に製造できる。
通常、芯物質の内包量が多いマイクロカプセルにおいては、その形状が真球状に近く、その粒子径(平均粒子径)が大きめとなっている。マイクロカプセル(A)は、このような特徴を備えており、芯物質である昆虫忌避剤の内包量が多い。
例えば、マイクロカプセルの形状は、走査電子顕微鏡(SEM)を用いることで観測できる。
<<マイクロカプセル(A)の製造方法>>
マイクロカプセル(A)は、昆虫忌避剤の共存下において、前記イソシアネート化合物と前記アミン化合物とを重縮合反応させることにより、製造できる。
本実施形態においては、前記アミン化合物の反応対象物、すなわちイソシアネート化合物として、ポリメリックMDIと、前記ジイソシアネート変性体と、の組み合わせを選択することにより、昆虫忌避剤の内包量が多いマイクロカプセル(A)が得られる。
ポリメリックMDIは、アミン化合物との反応性が比較的高く、壁材成分の形成に使用可能であるが、目的外の成分とも反応し易く、例えば、水酸基(−OH)等を有する化合物とも反応し易い。このような化合物としては、例えば、乳化剤が挙げられる。したがって、イソシアネート化合物の大部分をポリメリックMDIとしたり、イソシアネート化合物をポリメリックMDIのみとした場合には、重縮合反応時の副反応が抑制されず、目的とするマイクロカプセル(A)がほとんど又は全く得られない。
これに対して、本実施形態においては、ポリメリックMDIに加えて、ポリメリックMDIよりも反応性が低い前記ジイソシアネート変性体を用いることにより、イソシアネート化合物とアミン化合物との反応性が調節され、その結果、目的とするマイクロカプセル(A)が高収率で得られると推測される。
重縮合反応時には、前記イソシアネート化合物(ポリメリックMDI、前記ジイソシアネート変性体、前記他のイソシアネート)と、前記アミン化合物と、のいずれにも該当しない他の成分を用いてもよい。
前記他の成分としては、例えば、溶媒、乳化剤等が挙げられる。
例えば、水と疎水性成分の共存下で、重縮合反応を行うことにより、重縮合を界面重縮合として行うことができる。
前記他の成分のうち、溶媒としては、例えば、水、有機溶媒等が挙げられる。
前記有機溶媒は、親水性溶媒及び疎水性溶媒のいずれであってもよいが、疎水性溶媒であることが好ましい。
前記疎水性溶媒としては、例えば、アルコール、アミド、ニトリル、ケトン、エステル、エーテル、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、フェノール類(フェノール性水酸基を有する化合物)、硫化炭素、カルボン酸等が挙げられる。
前記他の成分のうち、乳化剤としては、公知のものが挙げられる。
前記乳化剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、アラビアゴム、ゼラチン、ロート油、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレン硫酸塩、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
重縮合反応時の反応液の乳化状態がより良好で、マイクロカプセル(A)をより容易に製造できる点では、前記乳化剤は、ポリビニルアルコールであることが好ましい。
重縮合反応時に用いる昆虫忌避剤、ポリメリックMDI、前記ジイソシアネート変性体、前記他のイソシアネート、前記アミン化合物、及び前記他の成分は、いずれも、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
重縮合反応時においては、ポリメリックMDI及び前記ジイソシアネート変性体の総使用量は、昆虫忌避剤の使用量100質量部対して、20〜55質量部であることが好ましく、25〜50質量部であることがより好ましく、30〜45質量部であることがさらに好ましい。前記総使用量が前記下限値以上であることで、昆虫忌避剤の内包量が多いマイクロカプセル(A)をより安定して製造できる。前記総使用量が前記上限値以下であることで、ポリメリックMDI又は前記ジイソシアネート変性体の過剰使用が抑制される。
重縮合反応時においては、ポリメリックMDIの使用量に対する、前記ジイソシアネート変性体の使用量の割合は、100〜450質量%であることが好ましく、140〜400質量%であることがより好ましく、180〜350質量%であることがさらに好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、昆虫忌避剤の内包量が多いマイクロカプセル(A)をより安定して製造できる。
重縮合反応時においては、ポリメリックMDI及び前記ジイソシアネート変性体の総使用量と、前記アミン化合物の使用量は、[アミン化合物中のアミノ基のモル数]:[ポリメリックMDI及び前記ジイソシアネート変性体中のイソシアネート基の総モル数]のモル比が、10:90〜60:40となる量であることが好ましく、20:80〜40:60となる量であることがより好ましい。前記アミン化合物中のアミノ基のモル数が、ポリメリックMDI及び前記ジイソシアネート変性体中のイソシアネート基の総モル数よりも少なくなる様に設定すると、より高品質なマイクロカプセル(A)が得られる。
重縮合反応時における、前記他の成分の使用量は、その種類に応じて適宜調節できる。
例えば、前記他の成分が溶媒である場合には、他の成分(溶媒)の使用量は、昆虫忌避剤、ポリメリックMDI、前記ジイソシアネート変性体、前記他のイソシアネート、及び前記アミン化合物の総使用量100質量部に対して、100〜250質量部であることが好ましく、例えば、100〜210質量部、及び100〜170質量部のいずれかであってもよい。
例えば、前記他の成分が乳化剤である場合には、乳化剤の使用量は、ポリメリックMDI、前記ジイソシアネート変性体、前記他のイソシアネート、及び前記アミン化合物の総使用量100質量部に対して、4〜25質量部であることが好ましく、7〜20質量部であることがより好ましく、10〜15質量部であることが特に好ましい。前記使用量が前記下限値以上であることで、重縮合反応時の反応液の乳化状態がより良好となる。前記使用量が前記上限値以下であることで、乳化剤の過剰使用が抑制される。
例えば、前記他の成分が、溶媒と、乳化剤と、のいずれにも該当しない成分である場合には、他の成分の使用量は、昆虫忌避剤、ポリメリックMDI、前記ジイソシアネート変性体、前記他のイソシアネート、及び前記アミン化合物の総使用量100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、例えば、5質量部以下、及び1質量部以下のいずれかであってもよい。
重縮合反応を行うときの温度(すなわち反応温度)は、特に限定されないが、60〜110℃であることが好ましく、65〜100℃であることがより好ましく、70〜90℃であることが特に好ましい。
重縮合反応を行う時間(すなわち反応時間)は、0.5〜5時間であることが好ましく、1〜4時間であることがより好ましく、1.5〜3時間であることが特に好ましい。
重縮合反応後は、例えば、前記マイクロカプセル(A)が水分散体等の分散体として得られる。
得られたマイクロカプセル(A)は、そのまま目的とする用途で用いてもよいし、必要に応じて公知の方法で後処理、精製等を行ってから、目的とする用途で用いてもよく、分散媒(溶媒)を除去してから目的とする用途で用いてもよい。
重縮合反応時に、水以外の前記溶媒を用いた場合には、得られたマイクロカプセル(A)において、前記壁材は、昆虫忌避剤以外にこの溶媒も内包し得る。また、重縮合反応の条件によっては、前記壁材は、昆虫忌避剤及び前記溶媒以外に、さらに他の成分も内包し得る。
前記壁材が内包する前記溶媒及び他の成分は、いずれも、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
マイクロカプセル(A)における、昆虫忌避剤、前記溶媒及び他の成分の内包量は、マイクロカプセル(A)の製造条件によって調節できる。
重縮合反応時の撹拌手段の回転速度(換言すると、反応液の撹拌速度)は、例えば、300〜900rpm、及び400〜700rpmのいずれかであってもよい。
例えば、重縮合反応時における昆虫忌避剤の使用量が、50〜200gである場合、このような撹拌速度は、特に好適である。ただし、昆虫忌避剤の使用量は、これらに限定されない。
より具体的なマイクロカプセル(A)の製造方法の一例としては、例えば、水及び乳化剤を含有する第1溶液に、ポリメリックMDIと、前記ジイソシアネート変性体と、昆虫忌避剤と、を含有する第2溶液を加えて、乳化液を得る工程(本明細書においては、「乳化工程」と略記することがある)と、前記乳化液に、水及びアミン化合物を含有する第3溶液を加えて、重縮合反応を行う工程(本明細書においては、「重縮合工程」と略記することがある)と、を有する製造方法(本明細書においては、「製造方法(I)」と称することがある)が挙げられる。ただし、マイクロカプセル(A)の製造方法は、この製造方法(I)に限定されない。
以下、製造方法(I)について説明する。
<乳化工程>
製造方法(I)の前記乳化工程においては、前記第1溶液に前記第2溶液を加えて、乳化液を得る。
[第1溶液]
前記第1溶液は、水及び乳化剤を含有しており、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、水と、乳化剤と、のいずれにも該当しない前記他の成分を含有していてもよい。
第1溶液の調製時に用いる前記乳化剤及び他の成分は、それぞれ、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
第1溶液において、その総質量に対する、乳化剤の含有量の割合(すなわち、第1溶液の乳化剤の濃度)は、特に限定されないが、1〜15質量%であることが好ましく、2〜8質量%であることがより好ましい。
第1溶液が前記他の成分を含有する場合、他の成分の含有量は、目的に応じて適宜調節できる。
第1溶液は、水と、乳化剤と、必要に応じて前記他の成分と、を配合することにより得られる。
第1溶液は、水に乳化剤を加えることにより、調製することが好ましい。前記他の成分を用いる場合には、その加えるタイミングと、加える対象は、他の成分の種類に応じて、適宜調節できる。
第1溶液の調製時には、例えば、すべての成分を配合した後、好ましくは80〜100℃で、好ましくは0.5〜3時間、加熱撹拌した後、27℃以下等の常温になるまで冷却することにより、第1溶液を調製してもよい。
[第2溶液]
前記第2溶液は、ポリメリックMDIと、前記ジイソシアネート変性体と、昆虫忌避剤と、必要に応じて前記他のイソシアネートと、を含有しており、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに、これら成分(ポリメリックMDI、前記ジイソシアネート変性体、昆虫忌避剤、前記他のイソシアネート)のいずれにも該当しない前記他の成分と、を含有していてもよい。
第2溶液の調製時に用いるポリメリックMDI、前記ジイソシアネート変性体、昆虫忌避剤、前記他のイソシアネート、及び他の成分は、それぞれ、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
製造方法(I)においては、第2溶液において、ポリメリックMDI及び前記ジイソシアネート変性体の総含有量が、昆虫忌避剤の含有量100質量部対して、20〜55質量部であることが好ましく、25〜50質量部であることがより好ましく、30〜45質量部であることがさらに好ましい。
製造方法(I)においては、第2溶液において、ポリメリックMDIの含有量に対する、前記ジイソシアネート変性体の含有量の割合が、100〜450質量%であることが好ましく、140〜400質量%であることがより好ましく、180〜350質量%であることがさらに好ましい。
第2溶液における前記他の成分としては、例えば、溶媒が挙げられる。
前記溶媒を用いることで、第2溶液において、その含有成分の溶解性を調節できる。
第2溶液における前記溶媒としては、水、有機溶媒等が挙げられ、前記有機溶媒は、先に説明したものと同じである。
第2溶液が前記他のイソシアネート又は前記他の成分を含有する場合、これら成分の含有量は、目的に応じて適宜調節できる。
第2溶液は、ポリメリックMDIと、前記ジイソシアネート変性体と、昆虫忌避剤と、必要に応じて前記他のイソシアネートと、必要に応じて前記他の成分と、を配合することにより得られる。
昆虫忌避剤が常温で液状である場合、第2溶液は、昆虫忌避剤に、ポリメリックMDIと、前記ジイソシアネート変性体と、必要に応じて前記他のイソシアネートと、必要に応じて他の成分と、を加えることにより、調製することが好ましい。
第2溶液の調製時には、例えば、原料(ポリメリックMDI、前記ジイソシアネート変性体、昆虫忌避剤、他のイソシアネート、他の成分)の配合から、すべての成分を配合した後の撹拌までを、好ましくは15〜28℃で行うことができる。すべての成分を配合した後の撹拌時間は、例えば、1〜60分であってもよい。
前記乳化工程において、前記第1溶液に前記第2溶液を加えるときには、第2溶液を一括添加してもよいし、滴下してもよい。
前記乳化工程においては、例えば、前記第1溶液に前記第2溶液を加える初期段階から、加えた後の撹拌までを、好ましくは15〜28℃で行うことができる。第1溶液に第2溶液を加えた後の撹拌時間は、例えば、1〜60分であってもよい。
前記乳化工程においては、前記第1溶液に前記第2溶液を加えて、得られた混合液を撹拌することにより、乳化液を得るときに、前記混合液の撹拌速度を調節することにより、マイクロカプセル(A)の粒子径(平均粒子径)を調節できる。より具体的には、上述の撹拌速度が遅いほど、マイクロカプセル(A)の粒子径は大きくなり、上述の撹拌速度が速いほど、マイクロカプセル(A)の粒子径は小さくなる傾向がある。
前記乳化液を得るときの前記混合液の撹拌速度(換言すると、撹拌手段の回転速度)は、例えば、300〜1000rpm、及び400〜800rpmのいずれかであってもよい。
例えば、乳化時における昆虫忌避剤の使用量が、50〜200gである場合、このような撹拌速度は、特に好適である。ただし、昆虫忌避剤の使用量は、これらに限定されない。
<重縮合工程>
前記重縮合工程においては、前記乳化工程で得られた前記乳化液に、前記第3溶液を加えて、重縮合反応を行う。
[第3溶液]
前記第3溶液は、水及びアミン化合物を含有しており、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、水以外の前記他の成分を含有していてもよい。
第3溶液の調製時に用いる前記アミン化合物及び他の成分は、それぞれ、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
第3溶液において、その総質量に対する、アミン化合物の含有量の割合(すなわち、第3溶液のアミン化合物の濃度)は、特に限定されないが、5〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。
製造方法(I)においては、第1溶液中の乳化剤の量と、第2溶液中のポリメリックMDI及び前記ジイソシアネート変性体の量と、第3溶液中のアミン化合物の量と、が先に説明した関係となるように、第1溶液と、第2溶液と、第3溶液と、の使用量を調節すればよい。
第3溶液が前記他の成分を含有する場合、他の成分の含有量は、目的に応じて適宜調節できる。
第3溶液は、水と、アミン化合物と、必要に応じて前記他の成分と、を配合することにより得られる。
第3溶液は、例えば、アミン化合物に水を加えることにより、調製してもよいし、水にアミン化合物を加えることにより、調製してもよい。前記他の成分を用いる場合には、その加えるタイミングと、加える対象は、他の成分の種類に応じて、適宜調節できる。
第3溶液の調製時には、例えば、すべての成分を配合した後、好ましくは15〜28℃で、好ましくは1〜60分、撹拌することにより、第3溶液を調製してもよい。
前記重縮合工程において、前記乳化液に前記第3溶液を加えるときには、第3溶液を一括添加してもよいし、滴下してもよい。
製造方法(I)においては、前記重縮合工程において、反応温度、反応時間、及び反応液の撹拌速度を、先に説明した、重縮合反応を行うときの反応温度、反応時間、及び反応液の撹拌速度に設定することが好ましい。
製造方法(I)においては、前記重縮合工程を行うことにより、前記マイクロカプセル(A)が水分散体として得られる。
マイクロカプセル(A)は、その製造方法によらず、経時と共に、内包された昆虫忌避剤を徐々に外部に放出する徐放性を有する。したがって、マイクロカプセル(A)は、昆虫忌避剤の作用を長期に渡って持続させることができる。
マイクロカプセル(A)は、例えば、人の肌に対して使用する前記分散体の構成成分として好適である。
本実施形態の分散体は、人の肌に対して使用する各薬剤として好適である。
本実施形態の分散体は、例えば、さらに乾燥させることにより、水と、必要に応じて水以外の溶媒成分と、を除去し、粉体又は層状(例えばフィルム状)として用いることもできる。
本実施形態の分散体は、例えば、さらに樹脂を含有する樹脂組成物とするのに好適であり、この樹脂組成物を成形することにより、成形品として用いることもできる。
<<分散体の製造方法>>
前記分散体は、マイクロカプセルと、水と、前記変性ポリエチレングリコールと、必要に応じて前記他の成分と、を配合し、配合物を分散させることにより、製造できる。
マイクロカプセル、水、前記変性ポリエチレングリコール、及び前記他の成分の配合時において、これらの配合成分は、各成分ごとに単独で、全量を一括添加してもよいし、一部若しくは全量を少量ずつ又は分割して添加してもよい。また、前記配合成分は、その2種以上が混合した状態の混合物として、その全量を一括添加してもよいし、一部若しくは全量を少量ずつ又は分割して添加してもよい。
配合成分の混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を使用して混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
前記分散体を得るまでの各工程における温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、例えば、5〜50℃であってもよい。
配合物を分散させるときの時間は、特に限定されず、例えば、5分〜2時間であってもよい。
前記マイクロカプセルは、例えば、界面重縮合法で形成したとき等、水分散体(水の共存下で分散した状態)として得られることがある。その場合には、この水分散体を、マイクロカプセルと、水と、必要に応じて前記他の成分と、が混合した状態の混合物として用い、前記分散体を製造してもよい。マイクロカプセルの形成方法として界面重縮合法を採用した場合、好ましい前記他の成分としては、例えば、前記溶媒、乳化剤等が挙げられる。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
[実施例1]
<<分散体の製造>>
<マイクロカプセルの製造>
蒸留水(174.4g)にポリビニルアルコール(クラレ社製「PVA420」)(5.6g)を添加し、90℃で1時間撹拌して溶液とし、これを25℃まで冷却することにより、ポリビニルアルコール水溶液(前記第1溶液に相当)を得た。
別途、DEET(昆虫忌避剤)(100g)に、ポリメリックMDI(東ソー社製「ミリオネートMR−200」、NCO含有量31.3質量%)(10g)と、HDI−ビウレット変性体(三井化学社製「タケネートD−165N」、NCO含有量23.3質量%)(25g)を添加し、25℃で撹拌することにより、これらの成分がすべて溶解している混合溶液(前記第2溶液に相当)を得た。
別途、ジエチレントリアミン(7.5g)に蒸留水(30g)を添加し、25℃で撹拌することにより、ジエチレントリアミン水溶液(前記第3溶液に相当)を得た。
前記ポリビニルアルコール水溶液の全量に、前記混合溶液の全量を添加し、25℃で3分撹拌することにより、乳化液を得た(前記乳化工程に相当)。
得られた乳化液の全量に、前記ジエチレントリアミン水溶液の全量を添加し、80℃で2時間、反応液を撹拌することにより、界面重縮合を行った(前記重縮合工程に相当)。
以上により、ジエチレントリアミンと、ポリメリックMDI及びHDI−ビウレット変性体と、の重縮合物を壁材成分とし、芯物質(昆虫忌避剤)としてDEETを壁材が内包したマイクロカプセルを、水分散体として得た。
<分散体の製造>
上記で得られたマイクロカプセルの水分散体(10g)を、容器中に加えた。
次いで、この容器中にさらに、蒸留水(10g)及びエタノール(10g)を加えた。
次いで、この容器中にさらに、添加剤として、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(第一工業製薬社製「エパンU−103」、HLB値4.9)を添加した。そして、添加後の容器中の液状物を、25℃で10分撹拌することにより、目的とする分散体を得た。
得られた分散体において、マイクロカプセルの含有量に対する、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの含有量の割合は、7.4質量%であった。
<<マイクロカプセルの評価>>
<平均粒子径>
上記で得られた分散体を、上質紙上に塗工し、105℃で90秒乾燥させた。次いで、走査電子顕微鏡(日本電子社製)を用いて、2000倍の倍率で塗工及び乾燥部位を観察し、目的とするマイクロカプセルが得られたことを確認した。
さらに、電気的検知帯方式の粒度分布計(ベックマン・コールター社製「Multisizer 3」)を用いて、得られたマイクロカプセルの平均粒子径を測定した結果、7.5μmであった。なお、後述する実施例2〜6、及び比較例1〜11においても、マイクロカプセルの平均粒子径は同様であった。
<昆虫忌避剤の内包率>
上記で得られた分散体(1g)に蒸留水を添加し、合計量を100gとして、希釈液を得た。
孔径0.2μmのメンブランフィルタを用いて、得られた希釈液をろ過し、マイクロカプセルをろ別した。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、得られたろ液を分析し、昆虫忌避剤(DEET)に相当するピークを検出した。
別途、同じ測定装置を用いて、濃度が既知で複数とおりの昆虫忌避剤溶液をHPLCにより分析し、昆虫忌避剤の濃度と、昆虫忌避剤に相当するピークの強度と、のデータを取得して、これらデータから、昆虫忌避剤の検量線を作成した。
上記のろ液の分析データと、この検量線と、を用いて、ろ液中の昆虫忌避剤の量を算出し、さらに、この昆虫忌避剤の量から、上記で得られたマイクロカプセル水分散体中の、カプセル化されなかった昆虫忌避剤の全量を算出し、その値と、界面重縮合時の昆虫忌避剤の使用量と、から、マイクロカプセルの昆虫忌避剤の内包量を算出した。さらにこの内包量から、前記式を用いて、マイクロカプセルの昆虫忌避剤の内包率を算出した。その結果、前記内包率は86質量%であった。なお、後述する実施例2〜6、及び比較例1〜11においても、マイクロカプセルの昆虫忌避剤の内包率は同様であった。
<<分散体の評価>>
<カスの発生抑制効果の評価>
上記で得られ、分散状態が均一となっている分散体(10μL)を、常温下で、人の手の甲に滴下し、手でこの分散体を塗り広げた。
次いで、手の甲の、この分散体を塗り広げた部分をさらに手で擦った後、カスの発生の有無を目視で確認し、下記基準に従って、カスの発生抑制効果を評価した。結果を表1に示す。
[評価基準]
A:分散体が乾燥するまで擦っても、カスが全く発生しなかった。
B:分散体が乾燥する前の段階では、擦ってもカスが全く発生しなかったが、分散体が乾燥するまで擦ったら、カスが発生した。
C:分散体が乾燥する前の段階でも、擦ったら、カスが発生した。
<<分散体の製造及び評価>>
[実施例2]
上述のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(HLB値4.9)の添加量を増大させた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、分散体を製造した。
得られた分散体において、マイクロカプセルの含有量に対する、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの含有量の割合は、12.4質量%であった。
得られた分散体について、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
上述のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(HLB値4.9)の添加量を増大させた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、分散体を製造した。
得られた分散体において、マイクロカプセルの含有量に対する、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの含有量の割合は、18.6質量%であった。
得られた分散体について、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[実施例4]
上述のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(HLB値4.9)の添加量を増大させた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、分散体を製造した。
得られた分散体において、マイクロカプセルの含有量に対する、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの含有量の割合は、24.7質量%であった。
得られた分散体について、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[実施例5]
上述のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(第一工業製薬社製「エパンU−103」、HLB値4.9)に代えて、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(日油社製「プロノン#204」、HLB値6.7)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、分散体を製造した。
得られた分散体において、マイクロカプセルの含有量に対する、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの含有量の割合は、12.4質量%であった。
得られた分散体について、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[実施例6]
上述のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(第一工業製薬社製「エパンU−103」、HLB値4.9)に代えて、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(第一工業製薬社製「エパンU−105」、HLB値8.6)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、分散体を製造した。
得られた分散体において、マイクロカプセルの含有量に対する、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの含有量の割合は、12.4質量%であった。
得られた分散体について、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
上述のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(第一工業製薬社製「エパンU−103」、HLB値4.9)を用いなかった点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、分散体を製造した。
得られた分散体において、マイクロカプセルの含有量に対する、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの含有量の割合は、0質量%であった。
得られた分散体について、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
上述のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(第一工業製薬社製「エパンU−103」、HLB値4.9)に代えて、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(第一工業製薬社製「エパン710」、HLB値1.6)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、分散体を製造した。
得られた分散体において、マイクロカプセルの含有量に対する、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの含有量の割合は、12.4質量%であった。
得られた分散体について、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[比較例3]
上述のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(第一工業製薬社製「エパンU−103」、HLB値4.9)に代えて、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(第一工業製薬社製「エパン720」、HLB値3.2)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、分散体を製造した。
得られた分散体において、マイクロカプセルの含有量に対する、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの含有量の割合は、12.4質量%であった。
得られた分散体について、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[比較例4]
上述のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(第一工業製薬社製「エパンU−103」、HLB値4.9)に代えて、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(日油社製「ユニルーブ70DP−600B」、HLB値12.8)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、分散体を製造した。
得られた分散体において、マイクロカプセルの含有量に対する、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの含有量の割合は、12.4質量%であった。
得られた分散体について、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[比較例5]
上述のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(HLB値12.8)の添加量を増大させた点以外は、比較例4の場合と同じ方法で、分散体を製造した。
得られた分散体において、マイクロカプセルの含有量に対する、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの含有量の割合は、24.7質量%であった。
得られた分散体について、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[比較例6]
上述のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(HLB値12.8)の添加量を増大させた点以外は、比較例4の場合と同じ方法で、分散体を製造した。
得られた分散体において、マイクロカプセルの含有量に対する、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの含有量の割合は、37.1質量%であった。
得られた分散体について、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[比較例7]
上述のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(第一工業製薬社製「エパンU−103」、HLB値4.9)に代えて、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(第一工業製薬社製「エパン785」、HLB値16.2)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、分散体を製造した。
得られた分散体において、マイクロカプセルの含有量に対する、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの含有量の割合は、12.4質量%であった。
得られた分散体について、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[比較例8]
上述のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(第一工業製薬社製「エパンU−103」、HLB値4.9)に代えて、ソルビタンモノステアレート(花王ケミカル社製「レオドールSP−S10V」、HLB値4.7)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、分散体を製造した。
得られた分散体において、マイクロカプセルの含有量に対する、ソルビタンモノステアレートの含有量の割合は、12.4質量%であった。
得られた分散体について、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[比較例9]
上述のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(第一工業製薬社製「エパンU−103」、HLB値4.9)に代えて、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル(第一工業製薬社製「DKS NL−DASH 403」、HLB値6.5)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、分散体を製造した。
得られた分散体において、マイクロカプセルの含有量に対する、ポリオキシアルキレンラウリルエーテルの含有量の割合は、12.4質量%であった。
得られた分散体について、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[比較例10]
上述のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(第一工業製薬社製「エパンU−103」、HLB値4.9)に代えて、ソルビタンモノパルミテート(花王ケミカル社製「レオドールSP−P10」、HLB値6.7)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、分散体を製造した。
得られた分散体において、マイクロカプセルの含有量に対する、ソルビタンモノパルミテートの含有量の割合は、12.4質量%であった。
得られた分散体について、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[比較例11]
上述のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(第一工業製薬社製「エパンU−103」、HLB値4.9)に代えて、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王ケミカル社製「エマルゲン103」、HLB値8.1)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、分散体を製造した。
得られた分散体において、マイクロカプセルの含有量に対する、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの含有量の割合は、12.4質量%であった。
得られた分散体について、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
上記結果から明らかなように、実施例1〜6においては、いずれもカスの発生が抑制されており、分散体の肌へのなじみが良好であった。
実施例1〜6の分散体においては、変性ポリエチレングリコールのHLB値が4.9〜8.6であり、マイクロカプセルの含有量に対する、変性ポリエチレングリコールの含有量の割合は、7.4〜24.7質量%であった。
これに対して、比較例1においては、カスの発生が全く抑制されておらず、分散体の肌へのなじみが不良であった。これは、比較例1の分散体が、HLB値が特定範囲の変性ポリエチレングリコールを含有していないからであった。
比較例2においては、比較例1の場合と同様に、カスの発生が全く抑制されておらず、分散体の肌へのなじみが不良であった。これは、比較例2の分散体が、変性ポリエチレングリコールを含有していたものの、そのHLB値が小さ過ぎるからであった。
比較例3においては、比較例1の場合よりも、カスは発生し難かったが、発生自体は抑制されておらず、分散体の肌へのなじみが不十分であった。これは、比較例3の分散体が、変性ポリエチレングリコールを含有しているものの、そのHLB値が依然小さいからであった。
比較例4及び7においては、比較例1の場合よりも、カスは発生し難かったが、発生自体は抑制されておらず、分散体の肌へのなじみが不十分であった。これは、比較例4及び7の分散体が、変性ポリエチレングリコールを含有しているものの、そのHLB値が大き過ぎるからであった。
比較例5〜6においても、比較例4の場合と同様に、カスの発生は抑制されておらず、分散体の肌へのなじみが不十分であった。比較例5〜6の分散体は、比較例4の分散体と同じ種類の変性ポリエチレングリコールを含有し、その含有量が多いものであるが、変性ポリエチレングリコールのHLB値が大き過ぎるため、比較例4の場合と同様の結果となった。
比較例8〜11においては、いずれも、比較例1の場合よりも、カスは発生し難かったが、発生自体は抑制されておらず、分散体の肌へのなじみが不十分であった。これは、比較例8〜11の分散体が、変性ポリエチレングリコールではなく、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル、ソルビタンモノパルミテート又はポリオキシエチレンラウリルエーテルを含有しているからであった。
<カスの解析>
比較例1での評価時に発生したカスを回収し、走査電子顕微鏡(日本電子社製)を用いて、このカスを観察した。このとき取得した、倍率500倍でのカスの撮像データを図1に示す。
図1から明らかなように、撮像データ中には、無数のカプセル状物質が認められた。これは、発生したカスが、DEETを内包したマイクロカプセルの凝集物であることを示していた。
<樹脂フィルムに対して分散体を使用した場合のカスの解析>
[試験例1]
実施例1で得られた分散体を、ポリエチレンテレフタレート製フィルム(パナック社製「ルミラー100S10」)の表面に滴下し、分散体を塗り広げた。次いで、上記の評価時の場合と同じ方法で、前記フィルムの、この分散体を塗り広げた部分をさらに手で擦った。
その結果、分散体が乾燥するまで擦ったところ、カスが発生した。このカスを回収し、走査電子顕微鏡(日本電子社製)を用いて、このカスを観察した。このとき取得した、倍率250倍でのカスの撮像データを図2に示す。
[試験例2]
試験例1の場合と同じ方法で、比較例1で得られた分散体を、ポリエチレンテレフタレート製フィルム(パナック社製「ルミラー100S10」)の表面に滴下し、塗り広げ、次いで、前記フィルムの、この分散体を塗り広げた部分をさらに手で擦った。
その結果、試験例1の場合と同様に、分散体が乾燥するまで擦ったところ、カスが発生した。このカスを回収し、走査電子顕微鏡(日本電子社製)を用いて、このカスを観察した。このとき取得した、倍率250倍でのカスの撮像データを図3に示す。
図2〜図3から明らかなように、試験例1と試験例2のいずれにおいても、撮像データ中には、無数のカプセル状物質が認められた。これは、発生したカスが、DEETを内包したマイクロカプセルの凝集物であることを示していた。すなわち、試験例1〜2では、比較例1の場合と同様のカスが発生していた。
人の肌に対して分散体を使用した実施例1においては、先の説明のとおり、カスの発生が抑制されていたが、樹脂フィルムに対して同じ種類の分散体を使用した試験例1においては、カスが発生した。その理由は、樹脂フィルムの表面環境が、人の肌の表面環境とは、大きく異なるためであった。
本発明は、人の肌に対して使用する薬剤として利用可能である。

Claims (2)

  1. マイクロカプセル、水、及び変性ポリエチレングリコールを含有し、
    前記変性ポリエチレングリコールのHLB値が4〜9である、分散体。
  2. 前記変性ポリエチレングリコールがポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーである、請求項1に記載の分散体。
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