JP2020179759A - 船形洋上浮体構造物 - Google Patents

船形洋上浮体構造物 Download PDF

Info

Publication number
JP2020179759A
JP2020179759A JP2019083605A JP2019083605A JP2020179759A JP 2020179759 A JP2020179759 A JP 2020179759A JP 2019083605 A JP2019083605 A JP 2019083605A JP 2019083605 A JP2019083605 A JP 2019083605A JP 2020179759 A JP2020179759 A JP 2020179759A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hull
stern
offshore floating
floating structure
shaped offshore
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019083605A
Other languages
English (en)
Inventor
靖弘 十川
Yasuhiro Togawa
靖弘 十川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
Mitsui E&S Shipbuilding Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
Mitsui E&S Shipbuilding Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd, Mitsui E&S Shipbuilding Co Ltd filed Critical Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
Priority to JP2019083605A priority Critical patent/JP2020179759A/ja
Publication of JP2020179759A publication Critical patent/JP2020179759A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Wind Motors (AREA)

Abstract

【課題】石油・ガスなどを生産及び貯蔵するFPSO、または、石油・ガスなどを一時的に貯蔵するFSO等の船形洋上浮体構造物において、船尾側の船底にアジマス・スラスターを設置するためのスペースを確保しつつ、船首部および船尾部における船底スラミングを回避できる船形洋上浮体構造物を提供する。【課題手段】満載喫水Waにおける船体11の長さを船体長Lとし、船体長Lの中央を船体前後中心Xcとし、船体前後中心Xcにおける横断面の満載喫水Waの下の面積を最大横断面積Amaxとし、船体前後中心Xcより後方の排水容積を後方排水容積Vaとし、Cpa=Va/(Amax×L/2)で計算されるCpaを船尾側柱形係数としたときに、船尾側柱状係数Cpaを0.87以上で0.95以下とする。【選択図】図2

Description

本発明は、船尾部を肥大化した船形洋上浮体構造物に関する。
洋上で石油やガス等を生産し、生産した石油やガス等を設備内のタンクに貯蔵して、輸送タンカーへの積出を行うFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)や、洋上での貯蔵と積出の専用の設備であって石油やガス等の生産を行なう設備を持たないFSO(浮体式海洋石油・ガス貯蔵積出設備)などの洋上浮体構造物では、大型タンカーの設計を基にして製造することが多く、大型タンカーに類似の船体形状を採用している場合が多い(例えば、特許文献1参照)。この洋上浮体構造物で踏襲している大型タンカーの船形船型は、推進性能確保のために船尾側が痩せている形状をしている。そのため、船尾部のバラストタンクの容量は少なくなっている。
これらの船形船型をした船形洋上浮体構造物は、北海やノルウェー海等の厳しい海象条件下で使用される場合がある。この厳しい海象下でも安定的に操業するために、係留設備はターレットを用いたシングルポイントムアリングシステム(一点係留システム)を採用し、回転構造を持つ巨大なベアリング(Bearing)を介して船体に接続される。このベアリングによって、FPSOは風見鳥のように波、風、潮流からの外力が最も小さくなるようにターレットを中心として自由に回転しながら、海底に固定された係留索で一定位置に保持される。そして、船尾部にはターレットによる回転機能を補助するための水平方向に360度旋回可能なアジマス・スラスターを設置することが多い。
一方、厳しい海象下では、船形洋上浮体構造物の縦揺れ(ピッチング)と上下揺れ(ヒーブ)が大きくなり、船首側あるいは船尾側の船底が水面から上に飛び出して、その後船底が水面に叩き付けられる船底スラミングという現象が発生する。その時に船底に加わるスラミング衝撃圧は大きな圧力となるので、この船底スラミングの発生頻度が増えると予想される場合は船体強度を増加させるなどの対策が必要となる。
特に、船尾が痩せている船形洋上浮体構造物では、船尾側の浮力が小さいので、船尾側が沈み船首側が浮く船尾トリムとなり、船首側の喫水が浅くなるので、船首側の船底が水面から飛び出し易く、船底スラミングが発生し易くなる。
これに対する対策として、船首側の喫水を深くして船首側の船底が水面上に出ることを抑制する方法が有効である。この方法として、船体全体の喫水を深くする方法と、船尾トリムの程度を小さくして船首側の喫水を深くする方法が有る。
船体全体の喫水を深くする方法においては、一般的に、軽荷状態(バラスト状態)などの比較的喫水が浅い状態でさらに喫水を深めるために、長手方向の船体中心(ミッドシップ)付近のバラストタンクだけでなく、船首尾端近辺のバラストタンクにもバラスト水を搭載する。この場合に、船首尾方向の縦強度に関して局部的にみると、船首尾端近辺では浮力よりも船体重量および積載重量の方が大きく、船体中央付近では船体重量および積載重量よりも浮力の方が大きくなるので、ホギング(中央部が上方向に曲がる曲げモーメント)が増大する。そのため、船体全体を沈下させて船首側の喫水を深くする方法では、ホギング対策のために縦強度増加対策が必要になり、構造重量が増加してコスト増になるという問題が発生する。この傾向は船尾が痩せていて船首尾部の浮力が小さい船形船型の船体において特に顕著になる。
一方、船尾側を浮かせて船首側を沈ませる方法においては、大型タンカーの船形船型では、推進性能を考慮して船尾を痩せた形状にしているため、船尾側を浮上させるための船尾部の排水容積を十分に確保できないという問題がある。さらに、単純に船尾を肥大化させて船尾側の浮力を増加させると、貯蔵タンクが充填された載荷状態の場合に、船首尾端近辺では船体重量および積載重量よりも浮力の方が大きく、船体中央付近では浮力よりも船体重量および積載重量の方が大きくなるので、サギング(中央部が下方向に曲がる曲げモーメント)が大きくなるという問題がある。
そのため、このホギングのみならず、サギングを小さくするためには、船尾側では、軽荷状態では浮力を大きくし、載荷状態では下向きの力、つまり船体重量および積載重量を大きくする必要があり、船尾側の排水容積を大きくすると共に、下向きの力となるバラスト重量を付与するためにバラストタンクの容積を大きく確保する必要が生じる。
また、大型タンカーの船尾部が痩せていることに関して、従来技術のタンカー船の船形船型の例示として、例えば、方形係数Cb{=V(排水容積)/[d(喫水)×B(水線部分の船体幅)×L(船体長さ)]}が、0.80〜0.95で、船速がフルード数換算で0.12以上、0.18以下のタンカー等の低速肥大船で、肥大化させつつ、輸送効率指標(船速×載荷重量)が大きい船舶とするために、船首側の柱形係数(Cpf)を0.85以上、0.93以下とし、船尾側の柱形係数(Cpa)を0.80以上、0.90以下とする船型がある(例えば、特許文献2参照)。なお、柱形係数Cpは、排水容積Vと水面下の最大横面積(通常:中央断面積))Amaxを船体長さLで乗じた直柱体との体積比であり、Cp=V/(Amax×L)で定義される。
また、一般的な船型のCp(柱形係数)とlcb(浮心位置:船全体として浮力の前後方向の中心位置/船体長さ)を示す図8(非特許文献1の図177)に示されているように、油槽船(△印)では柱形係数Cpが0.80〜0.86で、浮心位置lcbは船央(ミッドシップ)から船首側に1.5%L〜3.5%Lの範囲(クロスハッチング部分)となっている。この浮心位置lcbが船首側になっていることにより、船首側の浮力(排水容積)が船尾側の浮力(排水容積)よりも大きくなっていることが分かり、船尾側の柱形係数Cpaは船首側の柱形係数Cpfよりも、また、船全体の柱形係数Cpよりも、小さくなっていることが分かる。
さらに、図9(非特許文献1の図193)で、このCpとlcbの範囲(図8のクロスハッチングの部分)のSR98(肥大タンカー船型)の船型をベースとしたとき、船全体の柱形係数Cpは0.80〜0.86程度で、船首側の柱形係数Cpfは0.83〜0.94程度に対して、船尾側の柱形係数Cpaは0.70〜0.80程度となっている。なお、「SR98」は、日本船舶技術研究協会の部会番号SR98で用いている肥大タンカー船型を示す番号である。
つまり、一般的な船型の船尾側の柱形係数Cpaは、非特許文献1の従来技術の肥大タンカー船では、0.70〜0.80程度であり、特許文献2の船尾を肥大化した油槽船でも、0.80以上、0.90以下となっている。
特開2015−116974号公報 特開2013−209029号公報
「造船設計便覧(第4版)」(461頁の図177、469頁の図193)、編纂者:関西造船協会、発行者:岡田吉弘、発行所:海文堂出版株式会社、平成8年6月28日第3刷発行
本発明の目的は、石油・ガスなどを生産及び貯蔵するFPSO、または、石油・ガスなどを一時的に貯蔵するFSO等の船形洋上浮体構造物において、船尾側の船底にアジマス・スラスターを設置するためのスペースを確保しつつ、船首部および船尾部における船底スラミングを回避できる船形洋上浮体構造物を提供することにある。
上記のような目的を達成するための本発明の船形洋上浮体構造物は、船体に貯蔵用タンクを有し、かつ、船尾部に自航用の推進装置を装備しない船形洋上浮体構造物において、満載喫水における船体の長さを船体長Lとし、前記船体長Lの中央を船体前後中心とし、前記船体前後中心における横断面の満載喫水の下の面積を最大横断面積Amaxとし、前記船体前後中心より後方の排水容積を後方排水容積Vaとし、Cpa=Va/(Amax×L/2)で計算されるCpaを船尾側柱形係数としたときに、前記船尾側柱状係数Cpaを0.87以上で0.95以下とすることを特徴とする。
なお、この船体長Lは、満載喫水の水面における、船体長手方向に関しての水線面の先端の位置と水線面の後端の位置との距離である。また、船体前後中心は、水線面の先端の位置と水線面の後端の位置との中間位置となる。
本発明の船形洋上浮体構造物によれば、石油・ガスなどを生産及び貯蔵するFPSO、または、石油・ガスなどを一時的に貯蔵するFSO等の船形洋上浮体構造物において、船尾側の船底にアジマス・スラスターを設置するためのスペースを確保しつつ、船首部および船尾部における船底スラミングを回避できる。
本発明の実施の形態の船形洋上浮体構造物の船体部分の構成を模式的に示す船体中央線における側断面図である。 図1の船形洋上浮体構造物の船体部分の構成を模式的に示す上甲板位置における平面図である。 図1の船尾部分を拡大した船体中央線における部分側断面図である。 図1の船尾部分における機関室と船尾バラストタンクを示す上甲板位置における部分平面図である。 船尾部分における船底の横断面の形状を示す図である。 比較例として大型タンカーの船体部分の構成を模式的に示す船体中央線における側断面図である。 図6の大型タンカーの船体部分の構成を模式的に示す上甲板位置における平面図である。 一般的な船型の油槽船(△印)のCp(柱形係数)とLcb(浮心位置)の関係を示す図である。 SR98(肥大タンカー船型)の船型における、Cpf(船首側の柱形係数)、Cpa(船尾側の柱形係数)と、Cp(柱形係数)とlcb(浮心位置)の関係を示す図である。
以下、図面を参照して本発明に係る船形洋上浮体構造物の実施の形態について説明する。この船形洋上浮体構造物は、石油・ガスなどを生産及び貯蔵するFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)、または、石油・ガスなどを一時的に貯蔵するFSO(浮体式海洋石油・ガス貯蔵積出設備)等の船形洋上浮体構造物である。
なお、本発明は、船体形状に関するものであり、トップサイド(生産設備)や居住区やターレットに関するものではないので、上甲板より上のトップサイドや居住設備等は図示を省略し、また、ターレットの構造についても詳細な図示は省略し、説明も簡略化している。
図1〜図4に示すように、この本発明に係る実施の形態の船形洋上浮体構造物10では、船体11が船側12と船底13と船尾斜面13bと船尾端14とを有して構成される。そして、船体長手方向Xに関して、船首側の位置X1と船尾側の位置X2における2つの水密構造の横隔壁16により、船首部区画Raと貯蔵区画Rbと船尾部区画Rcの3つの区画に区分されている。なお、図1、図3、図5、図6には、満載喫水Waと軽荷喫水Wbも図示している。
船首部区画Raにおいては、フォアピークタンクと呼ばれる船首バラストタンク22とターレット31が設けられている。このターレット31は、回転構造を持つ巨大なベアリングを介して船体11に接続され、船体11がこのターレット31を中心として風見鶏のように自由に回転するように構成されている。このターレット31は、インターナルタレットシステムでは船首側の船体11の内部に設けられている。そして、厳しい海象下では、波、風、潮流からの外力が最も小さくなるように、船体11がターレット31を中心として回転する。
なお、この実施の形態の船形洋上浮体構造物10では、ターレット31が船首側の船体11の内部に設けられているインターナルタレットシステムを用いたシングルポイントムアリングシステム(一点係留システム)を採用して、海底に固定された係留索で、船体11を一定位置に保持しているが、ターレットが船首外部に突出して設けられているエクスターナルシステムであってもよい。
また、貯蔵区画Rbにおいては、プロジェクトによって、図に例示するような船底13と内底13aとからなる二重底構造、または単底構造が採用されており、横隔壁17により、複数(図1、2では5個)の貯蔵タンク21とスロップタンク24と燃料タンク25が形成されている。この貯蔵タンク21とスロップタンク24と燃料タンク25の船側側には船側バラストタンク23が設けられている。また、貯蔵タンク21の天井となる上甲板15には、油処理設備、ガス処理設備、水処理設備、発電設備、コントロール・システムなどを主要な機器とする、トップサイドと呼ばれる生産設備(図示しない)が設けられている。
そして、船尾部区画Rcにおいては、上甲板15の下に、電力を供給するための発電装置やボイラーなどが配設されている機関室26が設けられている。さらに、この機関室26の下の船尾斜面13bに、アジマス・スラスター32を駆動するための装置が設けられている。この機関室26の両船側側に船尾バラストタンク27aが配置され、また、機関室26の後方に船尾バラストタンク27bが配置されている。
一方、図6と図7に比較例として示すような大型タンカーの船型をしたFPSO10Xでは、船尾部区画Rcの形状は、船尾端14の幅が狭い痩せた船型となっている。また、FPSO10Xは、自航しないので、推進用の推進器、主機、舵、舵取機などは不要となる。この点が、タンカーなどの自航する船舶と大きく異なる。
なお、貯蔵区画Rbと船尾部区画Rcの上甲板15の上には、本発明の船形洋上構造物10と同様に、図示していないが、油処理設備、ガス処理設備、水処理設備、発電設備、コントロール・システムを主要な機器とする機器類などから構成されるトップサイド、クルーの居住設備、救命艇、ヘリコプターデッキ、クレーン、積出設備等が設けられている。
つまり、この船形洋上浮体構造物10は、船体11に貯蔵タンク21を有すると共に、船尾部に船首方向調整用のアジマス・スラスター32を装備し、かつ、船尾部に自航用の推進装置を装備しない船形洋上浮体構造物である。
そして、この船形洋上浮体構造物10において、満載喫水Waにおける船体11の長さを船体長Lとし、船体長Lの中央を船体前後中心Xcとし、船体前後中心Xcにおける横断面の満載喫水Waの下の面積を最大横断面積Amaxとし、船体前後中心Xcより後方の排水容積を後方排水容積Vaとし、Cpa=Va/(Amax×L/2)で計算されるCpaを船尾側柱形係数としたときに、船尾側柱状係数Cpaを0.87以上、より好ましくは0.90を超え、かつ、0.95以下、より好ましくは0.94以下とする。
なお、船形洋上浮体構造物10では、舵を備えていないので船尾垂線(A.P.)の位置が決まらないので、この船体長Lは、満載喫水Waの水面における、船体長手方向Xに関しての水線面の先端の位置Xfと水線面の後端の位置Xaとの距離である。また、船体前後中心Xcは、水線面の先端の位置Xfと水線面の後端の位置Xaとの中間位置となる。なお、図1では、船尾端14の形状が垂直平面であるため、水線面の後端の位置Xaが船尾端14の後端の下端P1の位置Xa’と船体長手方向Xに関して一致しているが、必ずしも両者が一致している必要は無い。
この構成により、船形洋上浮体構造物10で、満載喫水Waにおける船尾側柱状係数Cpaを0.87以上、より好ましくは0.90を超える構成としているので、満載喫水Waで浮かんでいる状態で、船体11の船体前後中心Xcよりも船尾側の後半部が肥大化することになる。これにより、船尾側の浮力を大きくすることができると共に、船尾側に比較的大きな船尾バラストタンク27a、27bを設けることができるようになる。
そして、軽荷状態においては、船尾部を肥大化しているので、船尾部の浮力を大きくでき、船首側の喫水を深めることができ、船首部における船底スラミングを回避できる。また、載荷状態においては、船尾バラストタンク27a、27bに注水することで、船尾部の喫水増加に基づく船尾部の浮力の増加に対して、船尾部の重量を大きくして、船尾部の浮力の一部を相殺して、船体11のサギングが大きくなるのを抑制することができる。
その上、満載喫水Waにおける船尾側柱状係数Cpaを0.95以下、より好ましくは0.94以下とする構成としているので、船尾側に船尾斜面13bを設けてアジマス・スラスター32を設置するスペースを確保できる。言い換えれば、この構造の船形洋上浮体構造物10によれば、船尾側の船底にアジマス・スラスター32を設置するためのスペースを確保しつつ、船首部における船底スラミングを回避できる。なお、図では、アジマス・スラスター32を3個設けているが、プロジェクトによってその個数は変化し、1個の場合も、2個の場合も、3個以上の場合もある。
なお、船首側柱状係数Cpfは0.70以上0.95以下、より好ましくは0.75以上0.93以下とすることが好ましい。また、船首形状の水線面形状は流線型が好ましい。一般的に、船首形状が肥大化していると、厳しい海象では、係留力が大きくなり、係留システムのコスト増となるという問題と、船首への波衝撃荷重が大きくなり、構造補強のためのコスト増となるという問題がある。一方、船首形状が細すぎると、カーゴ容積が小さくなるという問題と、上甲板のエリアが少なくなり、トップサイド機器などの搭載エリアが小さくなるという問題がある。これに対して、船首側柱状係数Cpfを前記の範囲とすることにより、これらの問題を解決できるという効果がある。なお、タンカーでは、船首側柱状係数Cpfは0.83〜0.94程度である。
つまり、タンカーなどでは、一番の性能指数である貨物容積を最大限取ることが求められるために、船体11の平行部の貨物区画を大きく確保すると、軽荷状態(バラスト状態)での喫水確保が難しくなる。そのため、この喫水確保のために、貨物区画のバラスト容積をできる限り確保しようとすると、逆に貨物容積が少なくなるという問題が生じる。これは、FPSO等の洋上浮体構造物でも同様であるが、上記のように、船尾部で上向き力の浮力(排水容積)とバラスト水による下向き力(バラストタンク容積)の両方を確保することで対処する。
また、図3に示すように、船体上下方向Zに関して、船体中央線(センターライン)CLにおける船尾端14の下端P1とキールラインKLとの間の下端高さHaを5m以上で20m以下となるように構成する。この下端高さHaを5m以上とすることにより、アジマス・スラスター32を設置するスペースの確保が容易となり、下端高さHaを20m以下とすることにより、通常のタンカー船型に比べて下端高さHaを低くすることで、排水容積を大きくできるので大きな浮力を確保でき、それと共に、船尾バラストタンク27a、27bを設けるスペースを大きくできるので、サギング対策用のためのバラストタンクの容量を確保することができる。また、下端高さHaを低くすることで、船尾船底部分の飛び出し量や飛び出し頻度が小さくなり、船尾船底スラミングに対しても効果がある。このアジマス・スラスター32を設置するスペースを確保する必要があるため、下端高さHaに対しての一定の高さ5m以上が必要になり、船尾側柱状係数Cpaが0.95以上となる箱型船型では対応できない。
更に、図3に示すように、船体長手方向Xに関して、船体中央線CLにおける船尾端14の下端P1の位置Xa’と船体11とキールラインKLとの交点P2の位置Xbとの間の距離Lbを30m以上で50m以下とする。これにより、船尾端14からの距離Lbを小さくすることで、船尾斜面13bにおける船体長手方向Xの傾斜が急になり、スラミング衝撃荷重を小さくすることができる。なお、アジマス・スラスター32を設置するスペースを確保する必要があるため、船尾端14からの距離Lbに対しての一定の距離30m以上が必要になる。
また、船尾側の後半部が肥大化するので、図1〜図4に示すように、船尾に設けた機関室26の両船側側に船尾バラストタンク27aを、機関室26の船尾側に船尾バラストタンク27bを配置する。更に、図4に示すように、機関室26の船側側に設けた船尾バラストタンク27aの幅Bbmを、貯蔵タンク21の船側側の船側バラストタンク23の幅Bbsよりも大きく形成する。なお、石油・ガス等を貯蔵するタンク容積を大きくするために、この船側バラストタンク23の幅Bbsはできる限り小さくすることが好ましい。
この構成では、貯蔵区画Rbと船尾区画Rcの境において、縦通隔壁の船体左右方向Yに関しての位置が一致しない。このため、強度上の観点より、この不連続の箇所から縦通隔壁を船体長手方向Xに伸長して船体左右方向Yに関して縦通構造を重複させる構造とする。または、この不連続の箇所において裏当てとなる補強部材を用いる構造とする。または、その両方を付加する構造とすることが好ましい。また、これらの補強部材の工作上の観点から、船尾バラストタンク27aの幅Bbmと貯蔵タンク21の船側側の船側バラストタンク23の幅Bbsとの差は1m以上とすることが好ましい。
これらの構造により、船尾部の排水容積に加えて、船尾バラストタンク27a、27bの容量を確保できる。これにより、軽荷状態のときに、船尾部の浮力が大きくなるので船首側の喫水を深めることができ、船底スラミングの発生を抑制して、スラミング衝撃圧を小さくすることができる。また、軽荷状態のときに、船尾バラストタンク27a、27bからバラスト水を排水することで、船尾部の下向き力を小さくして、船体11のホギングが大きくなるのを抑制することができる。また、載荷状態においては、船尾バラストタンク27a、27bに注水することで、船尾部の下向き力を大きくして、船尾部の浮力の一部を相殺して、船体11のサギングが大きくなるのを抑制することができる。
機関室26の周囲を船尾バラストタンク27a、27bで囲うことにより、シャトルタンカーやサプライボート等がこの船形洋上浮体構造物10に衝突した際の機関室26内への浸水のリスクを小さくすることができる。なお、船尾バラストタンク27a、27bの一部または全部をバラストタンクではなく清水タンクとすることでもよい。また、この機関室26の周囲の船尾バラストタンク27a、27bの縦通隔壁の上に居住区の幅方向の外壁が合うように居住区を載せてもよい。
ただし、船尾端については、シャトルタンカーが衝突する確率が高く、衝突した際にバラスト水が流出すると船体11の縦強度への影響が大きいので、衝突時のことを最優先に考える場合は、ボイド(空間部分)とする方が好ましい。
更に、図5に示すように、船体長手方向Xに関して、貯蔵タンク21を備える貯蔵区画Rbと機関室26を有する船尾部区画Rcとの間の船尾側の横隔壁16よりも後方の範囲の少なくとも10%の範囲において、船体横断面における満載喫水Waよりも下の船尾外板(船側12と船底13の外板)の形状を、水平面に対する傾斜角α(y)が船体左右方向Yに関して船体中央線CLから船側側に行くに従って連続的又は段階的に大きくなるように形成する。これにより、没水度が浅い船側12側の傾斜を急にすることができ、これにより、船尾スラミング衝撃圧を小さくすることができる。
また、船体長手方向Xに関して、貯蔵タンク21を備える貯蔵区画Rbと機関室26を有する船尾部区画Rcとの間の船尾側の横隔壁16よりも後方において、船尾部の船尾端14を除いた船尾外板の満載喫水Waよりも下の表面積の少なくとも10%を2次元曲げの曲面又は3次元曲げの曲面で形成する。これにより、船尾外板の多くの部分を平面ではなく、曲率が徐々に変化する曲面で形成することができる。そのため、角度を持たずに水面に当たる面の割合を小さくすることができる。
これらの傾斜角α(y)の増加や船尾外板の曲面化の結果、船体運動等により、船体11が没水する際に、没水度が浅い船側側に行く程、船尾外板の傾斜が急になったり、船尾外板が曲面形状をしたりしているので、船尾外板と水面との衝突時に水を外板の曲面に沿って船側側に円滑に流出させることができる。つまり、水面に船尾外板が当たったときに、水面に対して角度を持たずに当たる船尾外板の面の割合を小さくできる。そのため、水面との衝突時における船体11側の衝撃圧を平面の外板に比べて著しく小さくすることができる。
上記の構成の船形洋上浮体構造物10によれば、石油・ガスなどを生産及び貯蔵するFPSO、または、石油・ガスなどを一時的に貯蔵するFSO等の船形洋上浮体構造物10において、船尾側の船底にアジマス・スラスター32を設置するためのスペースを確保しつつ、船首部および船尾部における船底スラミングを回避できる。
特に、船尾部を太らせ、船尾側に十分な浮力を持たせることで、軽荷状態においてホギングモーメントが大きくなることを妨げる。また、船尾を肥大化させることで、石油・ガス等を積んだ載荷状態(満載状態)時にサギングモーメントが大きくなることが懸念されるが、載荷状態時に船尾部にバラスト水を搭載することで、サギングモーメントを小さいままにすることができ、構造重量の増加を防ぐことができる。さらに、船尾部を太らせることで、排水量が増えるため、慣性力が増し、ピッチングを小さくすることができ、スラミング衝撃圧を小さくすることができる。
10 船形洋上浮体構造物
11 船体
12 船側
13 船底
13a 内底
13b 船尾斜面
14 船尾端
15 上甲板
16、17 横隔壁
21 貯蔵タンク
22 船首バラストタンク
23 船側バラストタンク
24 スロップタンク
25 燃料タンク
26 機関室
27a、27b 船尾バラストタンク
31 ターレット
32 アジマス・スラスター
Bbm 船尾バラストタンクの幅
Bbs 船側バラストタンクの幅
CL 船体中央線(センターライン)
Ha 下端高さ
KL キールライン
L 船体長
P1 船尾端の下端
P2 船体とキールラインとの交点
Ra 船首部区画
Rb 貯蔵区画
Rc 船尾部区画
X 船体長手方向
Xa 水線面の後端の位置
Xa’ 船尾端の下端の位置
Xc 船体前後中心
Xf 水線面の先端の位置
Y 船体左右方向
Z 船体上下方向
Wa 満載喫水
Wb 軽荷喫水
α(y) 傾斜角

Claims (8)

  1. 船体に貯蔵用タンクを有し、かつ、船尾部に自航用の推進装置を装備しない船形洋上浮体構造物において、
    満載喫水における船体の長さを船体長Lとし、前記船体長Lの中央を船体前後中心とし、前記船体前後中心における横断面の満載喫水の下の面積を最大横断面積Amaxとし、前記船体前後中心より後方の排水容積を後方排水容積Vaとし、Cpa=Va/(Amax×L/2)で計算されるCpaを船尾側柱形係数としたときに、前記船尾側柱状係数Cpaを0.87以上で0.95以下とすることを特徴とする船形洋上浮体構造物。
  2. 船体上下方向に関して、船体中央線における船尾端の下端とキールラインとの間の下端高さを5m以上で20m以下とすることを特徴とする請求項1に記載の船形洋上浮体構造物。
  3. 船体長手方向に関して、船体中央線における船尾端の下端の位置と船体とキールラインとの交点の位置との間の距離を30m以上で50m以下とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の船形洋上浮体構造物。
  4. 船体長手方向に関して、前記貯蔵用タンクを備える貯蔵区画と機関室を有する船尾部区画との間の船尾側の横隔壁よりも後方の範囲の少なくとも10%の範囲において、船体横断面における満載喫水よりも下の船尾外板の形状を、水平面に対する傾斜角αが船体左右方向に関して船体中央線から船側側に行くに従って連続的又は段階的に大きくなるように形成していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の船形洋上浮体構造物。
  5. 船体長手方向に関して、前記貯蔵用タンクを備える貯蔵区画と機関室を有する船尾部区画との間の船尾側の横隔壁よりも後方において、船尾部の船尾端を除いた船尾外板の満載喫水よりも下の表面積の少なくとも10%を2次元曲げの曲面又は3次元曲げの曲面で形成していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の船形洋上浮体構造物。
  6. 船尾部に船首方向調整用のアジマス・スラスターを装備していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の船形洋上浮体構造物。
  7. 船尾に設けた機関室の船側側に船尾バラストタンクを設けるとともに、前記船尾バラストタンクの幅を、前記貯蔵用タンクの船側側の船側バラストタンクの幅よりも大きく形成していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の船形洋上浮体構造物。
  8. 前記機関室の船尾側に船尾バラストタンクを配置していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の船形洋上浮体構造物。
JP2019083605A 2019-04-25 2019-04-25 船形洋上浮体構造物 Pending JP2020179759A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019083605A JP2020179759A (ja) 2019-04-25 2019-04-25 船形洋上浮体構造物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019083605A JP2020179759A (ja) 2019-04-25 2019-04-25 船形洋上浮体構造物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020179759A true JP2020179759A (ja) 2020-11-05

Family

ID=73024136

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019083605A Pending JP2020179759A (ja) 2019-04-25 2019-04-25 船形洋上浮体構造物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2020179759A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6378450B1 (en) Dynamically positioned semi-submersible drilling vessel with slender horizontal braces
JP5214808B2 (ja) ムーンプール及びこれを備えた掘削船
US8752496B2 (en) Semi-submersible vessel, method for operating a semi-submersible vessel and method for manufacturing a semi-submersible vessel
CN103171743B (zh) 对接八棱台式浮式生产储油系统
US9446825B1 (en) Self-propelled, catamaran-type, dual-application, semisubmersible ship with hydrodynamic hulls and columns
WO2017081996A1 (ja) 船舶
KR101144712B1 (ko) 액화천연가스 생산용 부유식 해양 구조물
CN102145742B (zh) 具有方位角推进装置的船舶结构
GB2498652A (en) Multi-hulled vessel with position control system
ES2698627T3 (es) Embarcación que tiene una forma de casco mejorada
CN113320655A (zh) 一种半潜式平台底部的浮箱及其设计方法
JP5638215B2 (ja) 風圧抵抗の少ない船舶及びその設計方法
WO1999057011A1 (en) Dynamically positioned semi-submersible drilling vessel
KR101170388B1 (ko) 문풀의 조파저항 저감 및 쇄파 장치
JP4401346B2 (ja) 船舶機関室のダブルハル構造
JP2020179759A (ja) 船形洋上浮体構造物
KR20120091430A (ko) 물에서 선박을 움직이는 방법 및 그 방법에 따라 움직이는 선박
JP2008149819A (ja) 船舶
KR102393443B1 (ko) 해상 부체 구조물
KR101444152B1 (ko) 선박용 추진장치
JP6399323B2 (ja) 洋上浮体構造物
JP3182855B2 (ja) 海洋作業船
NO310550B1 (no) Stabiliseringsanordning for flytende produksjons-, lagrings- og lossefartöy
KR20100048482A (ko) 횡동요 감소를 위한 활주형선 선형을 갖는 고속보트
JP2023067299A (ja) 船舶用の干渉波発生システム、船舶、及び、船舶の曳波低減方法等