JP2020169776A - 化学蓄熱材複合体及びその製造方法 - Google Patents

化学蓄熱材複合体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 蓄熱材が均質に分布していると共に、高い反応性が得られ、さらに工程が比較的簡素であり製造コストの低減が可能な化学蓄熱材複合体及びその製造方法を提供すること。【解決手段】 内部に複数の空洞3aを有していると共に空洞と連通する複数の孔部2aを有した金属膜で構成された金属骨格3と、空洞内に収納された化学蓄熱材粉4とを備え、化学蓄熱材粉の体積が、化学蓄熱反応前後のいずれにおいても、空洞よりも小さい。この製法は、凝集体に金属皮膜を形成して皮膜付き凝集体とし、皮膜付き凝集体を解砕して皮膜付き粉体とし、皮膜付き粉体を圧粉成形して成形体とし、成形体を還元雰囲気中で焼結させ複合焼結体を作製し、複合焼結体中の原料粉を化学反応させて化学蓄熱材粉とする。【選択図】図1

Description

本発明は、例えばケミカルヒートポンプ等に用いられる化学蓄熱材複合体及びその製造方法に関する。
従来、廃熱を化学エネルギーとして蓄積し、必要な時に放熱や冷熱を行う装置としてケミカルヒートポンプが知られている。このケミカルヒートポンプは、例えばエンジン(内燃機関)を有する自動車で走行中に蓄積したエネルギーをエンジン始動時のコールドスタート解消に利用したり、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)で走行用バッテリーを消費せずに、冷暖房用に利用したりすることができ、サブバッテリーの省略、バッテリーの軽量化、燃費や航続距離の向上等が可能になる。
ケミカルヒートポンプには、反応剤であるHO等との反応により吸熱(蓄熱)と発熱(放熱)とを繰り返すことが可能なCaO等の蓄熱材を用いた化学蓄熱材が使用されている。
従来、例えば非特許文献1には、固体卑金属化合物を多孔体空孔内に担持した金属多孔体担持化学蓄熱材が記載されている。この化学蓄熱材は、金属多孔体として発泡金属のNi多孔体を使用し、このNi多孔体にCa(OH)スラリーを真空加圧含浸法により担持させて作製されている。
この金属多孔体担持化学蓄熱材は、任意形状で成形可能であると共に発泡金属によって形状が安定しており、水蒸気の通気孔が確保されることで、反応性が低下せず、反応速度も向上する。また、金属による高い熱伝導性も得られる利点がある。なお、発泡金属であるNi多孔体は、いわゆるオープンセル型(貫通気孔型)の焼結多孔金属体である。
鈴木智久、外5名、「金属多孔体Ca(OH)2担持化学蓄熱材の性能評価」、化学工学会年会研究発表講演要旨集(2015)、YD326
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
上記非特許文献1の化学蓄熱材は、真空加圧含浸法でCa(OH)スラリーを表面から含浸させるので、発泡体であるNi多孔体内部におけるCa(OH)の分布にムラが生じてしまう問題があった。また、発泡体のNi多孔体を作製してから含浸させるため、発泡工程と含浸工程との2段階の工程が必要であり、製造コストが増大してしまう不都合があった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、蓄熱材が均質に分布していると共に、高い反応性が得られ、さらに工程が比較的簡素であり製造コストの低減が可能な化学蓄熱材複合体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係る化学蓄熱材複合体は、内部に複数の空洞を有していると共に前記空洞と連通する複数の孔部を有した金属膜で構成された金属骨格と、前記空洞内に収納された化学蓄熱材粉とを備え、前記化学蓄熱材粉の体積が、化学蓄熱反応前後のいずれにおいても、前記空洞よりも小さいことを特徴とする。
この化学蓄熱材複合体では、内部に複数の空洞を有していると共に空洞と連通する複数の孔部を有した金属膜で構成された金属骨格と、空洞内に収納された化学蓄熱材粉とを備え、化学蓄熱材粉の体積が、化学蓄熱反応前後のいずれにおいても、空洞よりも小さいので、金属骨格によって高い強度及び熱伝導性が得られると共に、通気孔となる孔部を介して内部まで水蒸気(HO)や二酸化炭素(CO)等の反応剤が入って反応剤の高い拡散性も得られる。特に、空洞内では、収納されている複数の化学蓄熱材粉の間や金属骨格と化学蓄熱材粉との間に化学蓄熱反応前後で空隙が形成されるため、反応剤のより高い通気性が得られて、反応性が向上し、蓄熱と放熱とによる膨張収縮を繰り返しても微粉化し難い。
第2の発明に係る化学蓄熱材複合体は、第1の発明において、前記化学蓄熱材粉が、アルカリ金属の酸化物粉またはアルカリ土類金属の酸化物粉であり、表面に複数の微細孔を有していることを特徴とする。
すなわち、この化学蓄熱材複合体では、空洞内に収納された化学蓄熱材粉が、アルカリ金属の酸化物粉またはアルカリ土類金属の酸化物粉であり、表面に複数の微細孔を有しているので、化学蓄熱材粉が大きな比表面積を有して高い反応性を得ることができる。
第3の発明に係る化学蓄熱材複合体は、第1又は第2の発明において、前記化学蓄熱材粉が、酸化カルシウム粉または酸化マグネシウム粉であることを特徴とする。
第4の発明に係る化学蓄熱材複合体は、第1から第3の発明のいずれかにおいて、前記金属膜が、ニッケル膜又はニッケル合金膜であり、前記金属骨格が、ニッケル又はニッケル合金で形成されていることを特徴とする。
第5の発明に係る化学蓄熱材複合体は、第1から第4の発明のいずれかの化学蓄熱材複合体の製造方法であって、原料粉の凝集体の表面に金属皮膜を形成して皮膜付き凝集体とする皮膜形成工程と、前記皮膜付き凝集体を解砕して皮膜付き粉体とする解砕工程と、前記皮膜付き粉体を圧粉成形して成形体とする圧粉工程と、前記成形体を焼結させ隣接する前記皮膜付き粉体の互いに接触した前記金属皮膜同士を結合させた複合焼結体を作製する焼結工程と、前記複合焼結体中の前記原料粉を化学反応させて前記化学反応前の前記原料粉よりも体積の小さい化学蓄熱材粉とし、結合された前記金属皮膜で構成され内部に複数の空洞を有すると共に前記空洞と連通する複数の孔部を有した金属骨格と前記空洞内に収納された前記化学蓄熱材粉とで構成された化学蓄熱材複合体とする反応工程とを有していることを特徴とする。
この化学蓄熱材複合体の製造方法では、上記複合焼結体を化学反応させ原料粉を化学反応前の原料粉よりも体積の小さい化学蓄熱材粉とし、結合された金属皮膜で構成され内部に複数の空洞を有すると共に空洞と連通する複数の孔部を有した金属骨格と、空洞に収納された化学蓄熱材粉とで構成された化学蓄熱材複合体とする反応工程を有しているので、内部まで均質に化学蓄熱材粉を分布させることができる。また、発泡工程と含浸工程との2工程に比べて工程を簡素化できるため、製造コストを低減することができる。すなわち、皮膜付き凝集体において金属皮膜が形成されていない部分が解砕工程で解砕された際に孔部となるため、圧粉工程及び焼結工程により多数の孔部を有した金属骨格を形成することができる。なお、圧粉工程によって任意の形状に成形することができる。
第6の発明に係る化学蓄熱材複合体は、第5の発明において、前記原料粉が、炭酸カルシウム粉又は炭酸マグネシウム粉であり、前記焼結工程が、還元雰囲気中で焼結され、前記化学反応が、熱分解反応であって、前記炭酸カルシウム粉又は前記炭酸マグネシウム粉を熱分解して酸化カルシウム粉又は酸化マグネシウム粉の化学蓄熱材粉とすることを特徴とする。
すなわち、この化学蓄熱材複合体の製造方法では、炭酸カルシウム粉又は炭酸マグネシウム粉を熱分解して酸化カルシウム粉又は酸化マグネシウム粉の化学蓄熱材粉とするので、熱分解で生成された酸化カルシウム粉又は酸化マグネシウム粉の化学蓄熱材粉が、微細孔を有し比表面積が大きな化学蓄熱材粉となることで、化学蓄熱材としての高い反応性を得ることができる。
第7の発明に係る化学蓄熱材複合体の製造方法は、第5又は第6の発明において、前記金属皮膜が、前記原料粉の還元雰囲気中の熱分解温度よりタンマン温度が低い金属で形成されていることを特徴とする。
すなわち、この化学蓄熱材複合体の製造方法では、金属皮膜が、原料粉の還元雰囲気中の熱分解温度よりタンマン温度(固体界面での原子拡散が開始する温度)が低い金属で形成されているので、原料粉が熱分解しないままで金属皮膜同士の結合・焼結が可能になり、安定して金属骨格を得ることができる。
第8の発明に係る化学蓄熱材複合体の製造方法は、第7の発明において、前記金属皮膜が、ニッケル膜又はニッケル合金膜であることを特徴とする。
すなわち、この化学蓄熱材複合体の製造方法では、金属皮膜が、ニッケル膜又はニッケル合金膜であるので、ニッケル膜又はニッケル合金膜の金属皮膜同士が結合して安定した金属骨格を形成することができる。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る化学蓄熱材複合体によれば、内部に複数の空洞を有していると共に空洞と連通する複数の孔部を有した金属膜で構成された金属骨格と、空洞内に収納された化学蓄熱材粉とを備え、化学蓄熱材粉の体積が、化学蓄熱反応前後のいずれにおいても、空洞よりも小さいので、金属骨格によって高い強度及び熱伝導性が得られると共に、通気孔となる孔部を介して内部まで反応剤が入って反応剤の高い拡散性も得られる。特に、化学蓄熱材粉が、熱分解で得られたアルカリ金属の酸化物粉またはアルカリ土類金属の酸化物粉であって、表面に複数の微細孔を有していることで、高い反応性が得られる。
また、本発明に係る化学蓄熱材複合体の製造方法によれば、上記複合焼結体を化学反応させ原料粉を化学反応前の原料粉よりも体積の小さい化学蓄熱材粉とし、結合された金属皮膜で構成され内部に複数の空洞を有すると共に空洞と連通する複数の孔部を有した金属骨格と、空洞に収納された化学蓄熱材粉とで構成された化学蓄熱材複合体とする反応工程を有しているので、内部まで均質に化学蓄熱材粉を分布させることができると共に製造コストを低減することができる。特に、化学蓄熱材粉が、熱分解で生成されたアルカリ金属の酸化物粉またはアルカリ土類金属の酸化物粉であれば、微細孔を有し比表面積が大きな化学蓄熱材粉となる。
したがって、本発明の製造方法で作製された化学蓄熱材複合体は、ケミカルヒートポンプの化学蓄熱材として好適であり、これを用いることで、エンジン(内燃機関)を有する自動車、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)等において、燃費や航続距離の向上、バッテリーの軽量化等が可能になる。
本発明に係る化学蓄熱材複合体及びその製造方法の一実施形態において、化学蓄熱材複合体を示す概念図である。 本実施形態において、皮膜付き凝集体を示す概念図である。 本実施形態において、皮膜付き粉体を示す概念図である。 本実施形態において、複合焼結体を示す概念図である。
以下、本発明に係る化学蓄熱材複合体及びその製造方法の一実施形態を、図1から図4を参照しながら説明する。
本実施形態の化学蓄熱材複合体1は、図1に示すように、内部に複数の空洞3aを有していると共に空洞3aと連通する複数の孔部2aを有した金属膜(金属皮膜2)で構成された金属骨格3と、空洞3a内に収納された化学蓄熱材粉4とを備えている。
上記化学蓄熱材粉4は、その体積が化学蓄熱反応前後のいずれにおいても空洞3aよりも小さいものである。
また、化学蓄熱材粉4は、アルカリ金属の酸化物粉またはアルカリ土類金属の酸化物粉であり、表面に複数の微細孔を有している。
この化学蓄熱材粉4は、例えば酸化カルシウム粉または酸化マグネシウム粉である。なお、化学蓄熱材粉4は、他のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物粉でもよい。
なお、化学蓄熱粉4の上記化学蓄熱反応前後とは、化学蓄熱粉4が酸化カルシウムの場合、水和反応前後のCa(OH)とCaOとであり、以下の蓄熱反応及び放熱反応で生じる。
蓄熱(吸熱)反応:Ca(OH)+104kJ/mol→CaO+HO(g)
放熱(発熱)反応:CaO+HO(g)→Ca(OH)+104kJ/mol
金属膜(金属皮膜2)は、後述する原料粉の還元雰囲気中の熱分解温度よりタンマン温度が低い金属で形成されている。
上記金属骨格3は、複数の曲面膜で構成された、いわゆるクローズドセル型(独立気孔型)の焼結多孔金属体であり、複数の曲面膜で囲まれた空洞3a内に、空隙を有した状態で、複数の化学蓄熱材粉4が収納されている。
本実施形態では、例えば金属膜(金属皮膜2)が無電解メッキで形成したニッケル膜又はニッケル合金膜(無電解ニッケル等)であり、金属骨格3が、ニッケル又はニッケル合金で形成されている。
なお、無電解ニッケルの膜は、通常、ニッケルの他にP(リン)やB(ホウ素)やN(窒素)等が含有されている合金である。
本実施形態の化学蓄熱材複合体1の製造方法は、図2に示すように、化学蓄熱材となる原料粉5の凝集体の表面に金属皮膜2を形成して皮膜付き凝集体21とする皮膜形成工程と、図3に示すように、皮膜付き凝集体21を解砕して皮膜付き粉体22とする解砕工程と、皮膜付き粉体22を圧粉成形して成形体とする圧粉工程と、図4に示すように、成形体を焼結させ隣接する皮膜付き粉体22の互いに接触した金属皮膜2同士を結合させた複合焼結体23を作製する焼結工程と、図1に示すように、複合焼結体23を化学反応させ原料粉5を化学反応前の原料粉5よりも体積の小さい化学蓄熱材粉4とし、結合された金属皮膜2で構成され内部に複数の空洞3aを有すると共に空洞3aと連通する複数の孔部2aを有した金属骨格3と空洞3aに収納された化学蓄熱材粉4とで構成された化学蓄熱材複合体1とする反応工程とを有している。
上記原料粉5は、例えば炭酸カルシウム粉又は炭酸マグネシウム粉(塩基性炭酸マグネシウム粉)である。
上記焼結工程は、還元雰囲気中で焼結される。また、上記化学反応は、熱分解反応であって、上記炭酸カルシウム粉又は炭酸マグネシウム粉を熱分解して酸化カルシウム粉又は酸化マグネシウム粉の化学蓄熱材粉4とする。
上記金属皮膜2は、原料粉5の還元雰囲気中の熱分解温度よりタンマン温度が低い金属で形成されている。
本実施形態では金属皮膜2が、ニッケル膜又はニッケル合金膜であり、焼結工程で、例えば原料粉5が炭酸カルシウム粉の場合は400〜500℃の範囲内で焼結を行い、反応工程で、真空中において熱分解反応を500〜600℃の範囲内で行う。また、例えば原料粉5が炭酸マグネシウム粉の場合は250〜350℃の範囲内で焼結を行い、反応工程で、真空中において熱分解反応を350〜600℃の範囲内で行う。
すなわち、還元雰囲気中で原料粉5が熱分解しない温度で加熱して、金属皮膜2間で焼結させて金属骨格3を形成し、その後、真空中で原料粉5が熱分解する温度で加熱して化学蓄熱材粉とする。
なお、熱分解時の雰囲気は、ニッケルが酸化しない程度の低酸素濃度であれば、真空でなくてもよい。
上記皮膜形成工程では、例えば原料粉5として粒径5〜500μmの炭酸カルシウム粉を用い、その表面に無電解メッキによりニッケルの金属皮膜2を厚み1〜100μm形成する。この際、凝集体の表面にメッキされるため、原料粉5同士が接触している部分には金属皮膜2が形成されない。このため、上記解砕工程では、乾式ボールミル等で皮膜付き凝集体21を解砕することで、粉砕後の皮膜付き粉体22には表面に金属皮膜2が欠損している部分(孔部2a)が生じる。
上記焼結工程では、例えばAr:H=4:1の還元雰囲気中において400〜500℃で焼結を行う。このとき、炭酸カルシウムは熱分解せず、酸化カルシウムにはならない。すなわち、炭酸カルシウムは、還元雰囲気中では500℃以下であれば加熱しても熱分解せず、酸化カルシウムにはならない。
なお、上記還元雰囲気の組成は一例であって、100%水素やAr:H=100:1等の還元雰囲気中で焼結を行っても構わない。
すなわち、上記焼結工程では、還元雰囲気中で金属皮膜の焼結(=固体界面での原子拡散)が開始する温度(タンマン温度)Ttより、還元雰囲気中で原料粉5の熱分解が開始する温度Tdが高くなっている。したがって本実施形態では、Td>Ttとなる温度条件が必要である。なお、金属皮膜2の融点Tmとタンマン温度Ttとの関係は、通常はTt=0.330Tmであるが、金属皮膜2の最表面に酸化物層が形成されている場合は、原子拡散がし難くなり、Tt=0.757Tm(K)となる。
上記の原料粉5が、例えば炭酸カルシウムであり、金属皮膜2が無電解ニッケルであるとき、金属皮膜2において界面での原子拡散が開始するタンマン温度Ttを推算すると、無電解ニッケルの融点はTm=1163K(890℃)であり、タンマン温度Tt=383K(110℃)となる。すなわち、金属皮膜2が無電解ニッケルであるときは400〜500℃で十分焼結できる。なお、金属皮膜2の最表面に酸化物層が形成されている場合は、タンマン温度Tt=880K(607℃)となるが、還元雰囲気中で加熱するため、金属皮膜2の最表面の酸化物層は直ちに還元されて除去されるため問題とならない。
上記金属皮膜2の金属として無電解ニッケル(融点Tm:890℃)のほかに、例えば通常のニッケル(融点Tm:1455℃)、鉄(融点Tm:1535℃)、チタン(融点Tm:1660℃)、銅(融点Tm:1085℃)、ジルコニウム(融点Tm:1822℃)又はこれら金属の合金(ニッケル基合金(ハステロイ(登録商標)、アロイ20,モネル等)や鋳鉄(FC200等)等が適用可能である。これらの金属のタンマン温度Ttは、何れも炭酸カルシウム粉の熱分解温度(Td:500℃)より低く、チタンとジルコニウム以外は炭酸マグネシウム粉(塩基性炭酸マグネシウム粉)の熱分解温度(Td:350℃)より低い。
また、上記反応工程では、真空中で熱分解温度Td:500〜600℃で加熱して炭酸カルシウム(原料粉5)の熱分解を行い、酸化カルシウム(化学蓄熱材粉4)とする。この際、酸化カルシウムは、炭酸カルシウムの体積に対して55%程度減少し、金属骨格3の空洞3a内には体積減少分の空隙が生じる。すなわち、原料粉5は、熱分解後に、より微細な複数の粒状の化学蓄熱材粉4となる。なお、600℃で加熱しても酸化カルシウムが更に還元されることはない。すなわち、酸素分圧が10−70atm以上の真空であれば、600℃で加熱してもカルシウムまで更に還元されることはない。
原料粉5の体積をVrとし、熱分解後(=脱水した化学蓄熱材粉4)の体積Vdとし、水和反応後(=水和した化学蓄熱材粉4)の体積をVwとしたとき、Vd<Vrであって、かつVw<Vrとなるような原料粉5が採用される。
また、熱分解温度Td(K)にて、熱分解が100%完了するのに必要な時間t(s)で加熱したときに、化学蓄熱材粉4と金属皮膜2との界面で生成する固溶体や異相の体積が、化学蓄熱材粉4(熱分解後)の体積の0%以上50%以下である原料粉5が好ましい。なお、50%以下としたのは、50%を越えると化学蓄熱材粉4の有効重量が減るためである。また、0%は、固溶体や異相が生成されない場合である。
炭酸カルシウム(CaCO)粉を真空中で熱処理すると、比表面積の大きい酸化カルシウム(CaO)粉が得られる。この酸化カルシウム粉は、ナノ粒子から構成されて微細孔があり、しかも細孔容積が大きい。例えば、1〜10μmのCaCO粉を減圧下510℃で加熱脱気して得られたCaO粉には、4〜10nmの微細孔が存在し、細孔容積が41.5%となることが知られている。
このように本実施形態の化学蓄熱材複合体1では、内部に複数の空洞3aを有していると共に空洞3aと連通する複数の孔部2aを有した金属膜で構成された金属骨格3と、空洞3a内に収納された化学蓄熱材粉4とを備え、化学蓄熱材粉4の体積が、化学蓄熱反応前後のいずれにおいても、空洞3aよりも小さいので、金属骨格3によって高い強度及び熱伝導性が得られると共に、通気孔となる孔部2aを介して内部まで水蒸気(HO)や二酸化炭素(CO)等の反応剤が入って反応剤の高い拡散性も得られる。特に、空洞3a内では、収納されている複数の化学蓄熱材粉4の間や金属骨格3と化学蓄熱材粉4との間に化学蓄熱反応前後で空隙が形成されるため、反応剤のより高い通気性が得られて、反応性が向上し、蓄熱と放熱とによる膨張収縮を繰り返しても微粉化し難い。
また、本実施形態の化学蓄熱材複合体1の製造方法では、上記複合焼結体23中の原料粉5を化学反応させ原料粉5を化学反応前の原料粉5よりも体積の小さい化学蓄熱材粉4とし、結合された金属皮膜2で構成され内部に複数の空洞3aを有すると共に空洞3aと連通する複数の孔部2aを有した金属骨格3と、空洞3aに収納された化学蓄熱材粉4とで構成された化学蓄熱材複合体1とする反応工程を有しているので、内部まで均質に化学蓄熱材粉4を分布させることができる。
さらに、発泡工程と含浸工程との2工程に比べて工程を簡素化できるため、製造コストを低減することができる。すなわち、皮膜付き凝集体21において金属皮膜2が形成されていない部分が解砕工程で解砕された際に孔部2aとなるため、圧粉工程及び焼結工程により多数の孔部2aを有した金属骨格3を形成することができる。なお、圧粉工程によって任意の形状に成形することができる。
また、金属皮膜2が、原料粉5の還元雰囲気中の熱分解温度Tdよりタンマン温度Ttが低い金属で形成されているので、焼結(固体界面での原子拡散)が開始する温度(タンマン温度Tt)より熱分解温度Tdが高いことで、原料粉5が熱分解しないままで金属皮膜2同士の結合・焼結が可能になり、安定して金属骨格を得ることができる。
また、空洞3a内に収納された化学蓄熱材粉4が、アルカリ金属の酸化物粉またはアルカリ土類金属の酸化物粉であり、表面に複数の微細孔を有しているので、化学蓄熱材粉4が大きな比表面積を有して高い反応性を得ることができる。
特に、原料粉5の炭酸カルシウム粉又は炭酸マグネシウム粉を熱分解して酸化カルシウム粉又は酸化マグネシウム粉の化学蓄熱材粉4とするので、熱分解で生成された酸化カルシウム粉又は酸化マグネシウム粉の化学蓄熱材粉4が、微細孔を有し比表面積が大きな化学蓄熱材粉4となることで、化学蓄熱材としての高い反応性を得ることができる。
さらに、金属皮膜2が、ニッケル膜又はニッケル合金膜であり、焼結工程で、還元雰囲気中400〜500℃の範囲内で焼結を行い、反応工程で、熱分解反応を500〜600℃の範囲内で加熱するので、焼結工程で、ニッケル膜又はニッケル合金膜の金属皮膜2同士が結合して金属骨格3を形成するが、炭酸カルシウムは熱分解されない温度であり、この段階では酸化カルシウムにはならない。また、反応工程で、真空中500〜600℃の範囲内で加熱するので、炭酸カルシウムが熱分解され、酸化カルシウムとなると共に体積が例えば55%減少し、金属骨格3の空洞3a内が酸化カルシウム粉と空隙とで構成される。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
1…化学蓄熱材複合体、2…金属皮膜(金属膜)、2a…孔部、3…金属骨格、3a…空洞、4…化学蓄熱材粉、5…原料粉、21…皮膜付き凝集体、22…皮膜付き粉体、23…複合焼結体

Claims (8)

  1. 内部に複数の空洞を有していると共に前記空洞と連通する複数の孔部を有した金属膜で構成された金属骨格と、
    前記空洞内に収納された化学蓄熱材粉とを備え、
    前記化学蓄熱材粉の体積が、化学蓄熱反応前後のいずれにおいても、前記空洞よりも小さいことを特徴とする化学蓄熱材複合体。
  2. 請求項1に記載の化学蓄熱材複合体において、
    前記化学蓄熱材粉が、アルカリ金属の酸化物粉またはアルカリ土類金属の酸化物粉であり、表面に複数の微細孔を有していることを特徴とする化学蓄熱材複合体。
  3. 請求項1又は2に記載の化学蓄熱材複合体において、
    前記化学蓄熱材粉が、酸化カルシウム粉または酸化マグネシウム粉であることを特徴とする化学蓄熱材複合体。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の化学蓄熱材複合体において、
    前記金属膜が、ニッケル膜又はニッケル合金膜であり、
    前記金属骨格が、ニッケル又はニッケル合金で形成されていることを特徴とする化学蓄熱材複合体。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の化学蓄熱材複合体の製造方法であって、
    化学蓄熱材となる原料粉の凝集体の表面に金属皮膜を形成して皮膜付き凝集体とする皮膜形成工程と、
    前記皮膜付き凝集体を解砕して皮膜付き粉体とする解砕工程と、
    前記皮膜付き粉体を圧粉成形して成形体とする圧粉工程と、
    前記成形体を焼結させ隣接する前記皮膜付き粉体の互いに接触した前記金属皮膜同士を結合させた複合焼結体を作製する焼結工程と、
    前記複合焼結体中の前記原料粉を化学反応させて前記化学反応前の前記原料粉よりも体積の小さい化学蓄熱材粉とし、結合された前記金属皮膜で構成され内部に複数の空洞を有すると共に前記空洞と連通する複数の孔部を有した金属骨格と前記空洞内に収納された前記化学蓄熱材粉とで構成された化学蓄熱材複合体とする反応工程とを有していることを特徴とする化学蓄熱材複合体の製造方法。
  6. 請求項5に記載の化学蓄熱材複合体の製造方法において、
    前記原料粉が、炭酸カルシウム粉又は炭酸マグネシウム粉であり、
    前記焼結工程が、還元雰囲気中で焼結され、
    前記化学反応が、熱分解反応であって、前記炭酸カルシウム粉又は前記炭酸マグネシウム粉を熱分解して酸化カルシウム粉又は酸化マグネシウム粉の化学蓄熱材粉とすることを特徴とする化学蓄熱材複合体の製造方法。
  7. 請求項5又は6に記載の化学蓄熱材複合体の製造方法において、
    前記金属皮膜が、前記原料粉の還元雰囲気中の熱分解温度よりタンマン温度が低い金属で形成されていることを特徴とする化学蓄熱材複合体の製造方法。
  8. 請求項7に記載の化学蓄熱材複合体の製造方法において、
    前記金属皮膜が、ニッケル膜又はニッケル合金膜であることを特徴とする化学蓄熱材複合体の製造方法。
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