JP2020169211A - シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用点眼剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ装用中に点眼された場合に、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズへのビタミンB12類の透過性が向上しており、ビタミンB12類の角膜到達量を増加できるシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用点眼剤を提供することである。【解決手段】(A)ビタミンB12類と、(B)界面活性剤を併用して、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用点眼剤を調製する。【選択図】なし

Description

本発明は、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズへのビタミンB12類の透過性を向上させることができる、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用点眼剤に関する。また、本発明は、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズへのビタミンB12類の透過性を向上させる方法、並びに、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズへのビタミンB12類の透過性を向上させる作用を点眼剤に付与する方法に関する。また、本発明は、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズへのビタミンB12類の透過性を向上させるための剤に関する。更に、本発明は、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズに対するビタミンB12類の透過性を向上させる透過性向上物質をスクリーニングする方法に関する。更に本発明は、イオン性シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズへの花粉タンパク質の蓄積を抑制する方法等に関する。
近年、コンタクトレンズ(CL)の装用者が増えており、中でもソフトコンタクトレンズ(SCL)の装用者が増えている。一般的に、SCLを装用した場合には、大気からの酸素供給量が低下し、その結果として角膜上皮細胞の分裂抑制や角膜肥厚につながる場合があることが指摘されている。そのため、より高い酸素透過性を有するSCLの開発が進められてきた。
シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、そのような背景の下、高酸素透過性を有するSCLとして近年開発されてきたものである。シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、ハイドロゲルにシリコーンを配合することにより、従来のハイドロゲルコンタクトレンズの数倍の酸素透過性を実現する。従って、SCLの弱点である酸素供給不足を改善することができ、酸素不足に伴う角膜に対する悪影響を大幅に抑制できるものとして、大きく期待されている。
また、SCLは一般にハードコンタクトレンズに比べて大きく、その装用中には角膜表面がほぼ全面的に覆われた状態となる。そして、SCL装用中には、SCLと角膜表面の間から涙液の流入及び流出(即ち、ポンプ作用による涙液交換)は殆ど行われず、SCL下の涙液交換はSCLを介した涙液の透過に依存していることが分かっている(非特許文献1−2参照)。このようにSCL下の涙液交換の殆どは、SCLを介した涙液の透過により行われるため、SCL装用者の眼に対して適用される点眼剤は、配合される薬理成分のSCLへの透過性を十分に高めておくことが求められる。
そのため、SCL装用者の眼に対して適用される点眼剤については、SCLの種類に応じて、安全性等の影響のみならず、薬理活性成分のSCLへの透過性をも十分に考慮して設計することが不可欠である。特に、SCLは素材によってイオン性の有無や含水率の高低等が種々異なるため、SCL装用者の眼に適用される点眼剤は、適用されるSCLの性質に応じて製剤設計を行うことが肝要である。
ところで、花粉症は、花粉に含まれる花粉タンパク質が抗原となって粘膜等と接触することにより引き起こされるアレルギー症状である。近年、花粉症の患者が増加しており、大きな社会問題になりつつある。眼科分野でも、花粉症の予防や悪化抑制に有用な点眼剤の開発が強く求められている。
一方、ビタミンB12類は、瞳のピント調節機能を改善する効果を付与することを目的として点眼剤に使用されている(特許文献1参照)。そして、このようなビタミンB12類の作用は、ビタミンB12類が角膜を通過して角膜の奥に存在する毛様体筋に直接働きかけることにより発揮されることが知られている。しかしながら、これまでに、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを装用中の眼に対して、ビタミンB12類を適用した場合の影響については明らかにはされていない。ましてや、ビタミンB12類と界面活性剤とを併用してシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズに適用した場合の影響については、推認すらできないのが現状である。
特開2003−128553号公報
日本コンタクトレンズ学会誌、第39巻、111〜115、1997 日本コンタクトレンズ学会誌、第44巻、34-37、2002
本発明者等は、各種SCLに対してビタミンB12類を適用した場合の影響について種々の検討を行っていたところ、全く予想していなかったことに、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ(以下、SHCLと略記することもある)では、他のSCLと比較してビタミンB12類のレンズ透過量が著しく少ないという全く新しい知見を得た。ビタミンB12類は、その作用発揮のためには角膜の奥にある毛様体筋への働きかけが不可欠であるが、このようにレンズ透過量が極めて少ないと、SHCL装用中の眼に対してビタミンB12類を含有する点眼剤を適用しても十分な量が角膜に供給されず、満足な効果が得られない恐れがある。
そこで、SHCL装用中に点眼された場合に、SHCLへのビタミンB12類の透過性が向上しており、ビタミンB12類の角膜到達量を増加できるSHCL用点眼剤の開発が求められている。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、ビタミンB12類に加えて界面活性剤を組み合わせて用いると、ビタミンB12類のSHCLに対する透過量を著しく増加できることを見出した。更に本発明者等は検討を進め、ビタミンB12類と界面活性剤とを併用することにより、イオン性SHCLへの花粉タンパク質の蓄積をも顕著に抑制できることを見出した。更に、本発明者らは、このイオン性SHCLに対する花粉タンパク質蓄積抑制効果は、ビタミンB12類と界面活性剤に、更にテルペノイドを組み合わせて用いることにより一層向上させることができることをも見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に改良を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は下記に掲げるSHCL用点眼剤を提供する。
項1. (A)ビタミンB12類と(B)界面活性剤とを含有する、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用点眼剤。
項2. (A)成分として、シアノコバラミン、メコバラミン、ヒドロキソコバラミン、アデノシルコバラミン、アクアコバラミン、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を含む、項1に記載のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用点眼剤。
項3. (A)成分として、シアノコバラミンを含む、項1又は2に記載のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用点眼剤。
項4. (B)成分として、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種を含む、項1乃至3のいずれかに記載のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用点眼剤。
項5. 更に(C)テルペノイドを含有する、項1乃至4のいずれかに記載のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ点眼剤。
項6. 更に(D)緩衝剤を含有する、項1乃至5のいずれかに記載のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用点眼剤。
項7. (A)成分の配合割合が0.0001〜0.1w/v%である、項1乃至6のいずれかに記載のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用点眼剤。
項8. (B)成分の配合割合が0.001〜1.0w/v%である、項1乃至7のいずれかに記載のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用点眼剤。
項9. シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが非イオン性である、項1乃至8のいずれかに記載のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用点眼剤。
項10. シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズがイオン性である、項1乃至8のいずれかに記載のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用点眼剤。
また、本発明は、下記に掲げるSHCLへのビタミンB12類の透過性向上方法、並びにSHCLへのビタミンB12類の透過性を向上させる作用を点眼剤に付与する方法を提供する。
項11.(A)ビタミンB12類と(B)界面活性剤とを併用することを特徴とする、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズへの該(A)成分の透過性を向上させる方法。
項12.(A)ビタミンB12類を含有するシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用点眼剤に、(B)界面活性剤を配合することを特徴とする、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズへの該(A)成分の透過性を向上させる作用を該点眼剤に付与する方法。
また、本発明は、下記に掲げるSHCLへのビタミンB12類の透過性向上剤を提供する。
項13. (B)界面活性剤を含有する、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズへの(A)ビタミンB12類の透過性を向上させるための剤。
更に、本発明は、下記に掲げる透過性向上物質のスクリーニング方法を提供する。
項14. シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズに対する、ビタミンB12類の透過性を向上させる透過性向上物質のスクリーニング方法であって、
(a)ビタミンB12類を含むコントロール溶液、並びにビタミンB12類と被験物質とを含む被験溶液を、試験溶液として各々調製する工程、
(b)上記試験溶液を各々、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの片側面のみに所定時間接触させ、該レンズの上記試験溶液を接触させていない他方の片側面から滲出したビタミンB12類の量を測定することにより、各試験溶液のビタミンB12類の透過量を求める工程、並びに
(c)上記工程(b)において測定されたビタミンB12類の透過量が、コントロール溶液よりも多い被験溶液を選び、該被験溶液に含まれる被験物質を上記透過性向上物質として選択する工程、を含むスクリーニング方法。
また、本発明は、下記に掲げるイオン性SHCLへの花粉タンパク質の蓄積を抑制する方法、並びにイオン性SHCLへの花粉タンパク質の蓄積を抑制する作用を点眼剤に付与する方法を提供する。
項15.(A)ビタミンB12類と(B)界面活性剤とを含有するシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用点眼剤を、イオン性シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズと接触させることを特徴とする、イオン性シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズへの花粉タンパク質の蓄積を抑制する方法。
項16.シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用点眼剤に、(A)ビタミンB12類と(B)界面活性剤とを配合することを特徴とする、イオン性シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズへの花粉タンパク質の蓄積を抑制する作用を該点眼剤に付与する方法。
本発明のSHCL用点眼剤によれば、SHCLへのビタミンB12類の透過性を顕著に向上させることができるので、SHCL装用中に点眼しても、ビタミンB12類の角膜への到達量を増加させ、ひいては目のピント調節機能を有効に改善することが可能になる。
更に、本発明のスクリーニング方法は、SHCLへのビタミンB12類の透過性を向上させ得る透過性向上物質の取得を可能にするので、SHCLへのビタミンB12類の透過性が向上されており、SHCL装用中に使用してもピント調節機能を有効に改善できるSHCL用の点眼剤の開発に有用である。
また、イオン性SHCLには花粉タンパク質が著しく吸着し易いという特有の課題があることも本発明者等の研究により明らかとなっている。一般に、タンパク質は、SHCLに対しては吸着し難いと考えられており、かかる知見は全く意外なものである。そして一般的に、コンタクトレンズ装用時には、眼が乾き易くなり、その結果、涙液による洗浄作用が低下して、花粉等の異物が眼に滞留し易くなるため、花粉症の発症リスクが高くなると考えられている。そのうえ、コンタクトレンズに花粉タンパク質が多量に吸着し蓄積していくとすれば、花粉症の発症リスクを著しく高めることになり、アレルギー症状を誘発する一因にもなりかねない。更に、コンタクトレンズに吸着した花粉タンパク質の除去が不十分になれば、コンタクトレンズの装用感が損なわれて不快感を誘発し、使用期間が短縮化されることにもなる。然るに、本発明のSHCL用点眼剤によれば、イオン性SHCLの装用中に花粉タンパク質とイオン性SHCLが接触しても、イオン性SHCLからの花粉タンパク質の除去を促進し、再付着も防止することで、イオン性SHCLへの花粉タンパク質の蓄積を抑制できる。従って、本発明のSHCL用点眼剤によれば、花粉症又は花粉症予備軍の使用者にとってアレルギー症状の発症リスクを低減させることができ、またイオン性SHCLを清潔に保持することもできる。
参考試験例1において、シアノコバラミンのSCLへの透過性を評価した結果を示す図である。 試験例1において、点眼剤(実施例1−3及び比較例1)のシアノコバラミンのSHCLへの透過性を評価した結果を示す図である。 参考試験例2において、点眼剤(参考例1−2)の塩酸ピリドキシンのSHCLへの透過性を評価した結果を示す図である。 参考試験例3において、各種ソフトコンタクトレンズへの花粉タンパク質の吸着性を評価した結果を示す図である。 試験例2において、試験液(実施例4及び比較例2−3)がイオン性SHCLに吸着した花粉タンパク質を除去する効果を評価した結果を示す図である。
(I) SHCL用点眼剤
本発明のSHCL用点眼剤は、ビタミンB12類(以下、(A)成分と表記することもある)を含有する。ビタミンB12類は、目のピント調節機能改善効果を有する公知の化合物であり、公知の方法により合成してもよく市販品として入手することもできる。
本発明で使用される上記(A)成分としては、シアノコバラミン、その類縁体、及びそれらの塩が例示される。
シアノコバラミンの類縁体としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されないが、例えば、シアノコバラミン中のコバルト上の配位子が置換されてなる化合物、シアノコバラミン中の官能基が置換されてなる化合物等が例示される。より具体的には、シアノコバラミンの類縁体として、メコバラミン(メチルコバラミン)、ヒドロキソコバラミン、アデノシルコバラミン、アクアコバラミン等が挙げられる。これらのシアノコバラミンの類縁体は、1種のものを選択して単独で使用してもよく、2種以上のものを任意に組み合わせて使用してもよい。
シアノコバラミン及びその類縁体の塩としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されないが、具体的には、有機酸塩[例えば、モノカルボン酸塩(酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酪酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩等)、多価カルボン酸塩(フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩等)、オキシカルボン酸塩(乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等)、有機スルホン酸塩(メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩等)]、無機酸塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩等)、有機塩基との塩(例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、トリピリジン、ピコリン等の有機アミンとの塩等)、無機塩基との塩[例えば、アンモニウム塩;アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)、アルミニウム等の金属との塩等]が挙げられる。これらの塩の中でも、好ましくは有機酸塩、無機酸塩、更に好ましくは酢酸塩、塩酸塩が挙げられる。これらの塩は、1種のものを選択して単独で使用してもよく、2種以上のものを任意に組み合わせて使用してもよい。
本発明のSHCL用点眼剤には、(A)成分として、シアノコバラミン、その類縁体、及びそれらの塩の中から、1種のものを選択して単独で使用してもよく、2種以上のものを任意に組み合わせて使用してもよい。界面活性剤によるSHCL透過性向上効果をより一層有効に奏させるという観点から、本発明に使用される(A)成分として、好ましくは、シアノコバラミン、メコバラミン、ヒドロキソコバラミン、及びこれらの塩;より好ましくは、シアノコバラミン、メコバラミン、ヒドロキソコバラミン、並びにこれらの酢酸塩及び塩酸塩;更に好ましくは、シアノコバラミン、メコバラミン、ヒドロキソコバラミン、酢酸ヒドロキソコバラミン、及び塩酸ヒドロキソコバラミン;特に好ましくはシアノコバラミンが挙げられる。ここで例示する(A)成分は、イオン性SHCLに対する花粉タンパク質蓄積抑制効果をより一層有効に奏させるという観点からも好適である。
本発明のSHCL用点眼剤において、上記(A)成分の配合割合は、該(A)成分の種類、他の配合成分の種類等に応じて適宜設定されるが、一例として、該点眼剤の総量に対して、該(A)成分が総量で0.0001〜0.1w/v%、好ましくは0.001〜0.05w/v%、より好ましくは0.004〜0.02w/v%、更に好ましくは0.01〜0.02w/v%が例示される。
更に、本発明のSHCL用点眼剤は、上記(A)成分に加えて、界面活性剤(以下、(B)成分と表記することもある)を含有する。このように界面活性剤を配合することによって、SHCLへのビタミンB12類の透過性を向上させることが可能になり、またイオン性SHCLへの花粉タンパク質の蓄積を格段顕著に抑制することが可能になる。
上記(B)成分として使用される界面活性剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されることを限度として特に制限されず、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤等が例示される。
上記(B)成分として配合可能な非イオン性界面活性剤としては、具体的には、モノラウリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート40)、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、トリステアリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート65)、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類;ポロクサマー407、ポロクサマー235、ポロクサマー188、ポロクサマー403、ポロクサマー237、ポロクサマー124等のPOE・POPブロックコポリマー類;POE(60)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60)等のPOE硬化ヒマシ油類;POE(9)ラウリルエーテル等のPOEアルキルエーテル類;POE(20)POP(4)セチルエーテル等のPOE-POPアルキルエーテル類;POE(10)ノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類等が挙げられる。なお、上記で例示する化合物において、POEはポリオキシエチレン、POPはポリオキシプロピレン、及び括弧内の数字は付加モル数を示す。
また、上記(B)成分として配合可能な両性界面活性剤(即ち、分子内に陽イオン性部位と陰イオン性部位の両方の性質を有する界面活性剤)としては、具体的には、アルキルジアミノエチルグリシン及びその塩(塩酸アルキルジアミノエチルグリシン)等が例示される。
また、上記(B)成分として配合可能な陽イオン性界面活性剤としては、具体的には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等の第4級アンモニウム塩型の陽イオン性界面活性剤;クロルヘキシジン塩(グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジンなど)、ポリヘキサメチレンビグアニド塩(塩酸ポリヘキサメチレンビグアニドなど)等のアミン塩型の陽イオン性界面活性剤等が例示される。
また、上記(B)成分として配合可能な陰イオン性界面活性剤としては、具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、脂肪族α−スルホメチルエステル、αオレフィンスルホン酸等が例示される。
本発明のSHCL用点眼剤において、上記界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記(B)成分の中でも、SHCLへのビタミンB12類の透過性を向上させる作用が格段高められるという観点から、好ましくは非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤;より好ましくは非イオン性界面活性剤;更に好ましくは、POEソルビタン脂肪酸エステル類、POE硬化ヒマシ油類、POE・POPブロックコポリマー類;更に好ましくはPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POE硬化ヒマシ油類;特に好ましくはポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60が例示される。ここで例示する(B)成分は、イオン性SHCLに対する花粉タンパク質蓄積抑制効果を格段顕著に高めるという観点からも好適である。
本発明のSHCL用点眼剤において、上記(B)成分の配合割合は、該(B)成分の種類、他の配合成分の種類等に応じて適宜設定されるが、一例として、該点眼剤の総量に対して、該(B)成分が総量で0.001〜1w/v%、好ましくは0.01〜0.5w/v%、更に好ましくは0.05〜0.3w/v%が例示される。
本発明のSHCL用点眼剤において、上記(A)成分に対する上記(B)成分の比率については、前述する配合割合を満たす限り特に制限されるものではないが、SHCLへのビタミンB12類の透過性をより効果的に向上させるという観点から、上記(A)成分の総量100重量部当たり、上記(B)成分の総量が5〜10000重量部、好ましくは20〜5000重量部、更に好ましくは250〜3000重量部となる比率を充足することが望ましい。また、上記比率を充足することによって、イオン性SHCLへの花粉タンパク質の蓄積をより一層有効に抑制することも可能となる。
本発明のSHCL用点眼剤は、上記(A)及び(B)成分に加えて、テルペノイド(以下、(C)成分と表記することもある)を含有することが好ましい。このように更に(C)成分を含むことによって、イオン性SHCLへの花粉タンパク質の蓄積を抑制する作用を一層増強させることができる。
本発明のSHCL用点眼剤に使用されるテルペノイドについては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される限り、特に制限されない。かかるテルペノイドとして、具体的には、メントール、メントン、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、シトロネロール、カルボン、アネトール、オイゲノール、リモネン、リナロール、酢酸リナリル、これらの誘導体等が挙げられる。これらの化合物はd体、l体又はdl体のいずれでもよい。また、本発明において、テルペノイドとして、上記化合物を含有する精油を使用してもよい。このような精油としては、例えば、ユーカリ油、ベルガモット油、ペパーミント油、クールミント油、スペアミント油、ハッカ油、ウイキョウ油、ケイヒ油、ローズ油、樟脳油等が挙げられる。これらのテルペノイドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
これらのテルペノイドの内、イオン性SHCLへの花粉タンパク質蓄積抑制作用を一層高めるという観点から、好ましくはメントール、メントン、カンフル、ボルネオール、ゲラニオールが挙げられ、これらを含有する精油としてクールミント油、ペパーミント油、ハッカ油、樟脳油、ローズ油等が例示される。更に好ましくは、メントール及びカンフル、特に好ましくはl-メントール、dl-メントール、d-カンフル及びdl-カンフルが挙げられ、これらを含有する精油としてクールミント油、ペパーミント油、ハッカ油、樟脳油等が例示される。
本発明のSHCL用点眼剤に上記(C)成分を配合する場合、該(C)成分の配合割合については、特に制限されないが、イオン性SHCLへの花粉タンパク質の蓄積を抑制する効果を一層高めるという観点から、SHCL用点眼剤の総量に対して、テルペノイドが総量で0.0001〜0.2w/v%、好ましくは0.0005〜0.1w/v%、更に好ましくは0.001〜0.07w/v%が挙げられる。なお、テルペノイドを含む精油を使用する場合は、配合される精油中のテルペノイド含有量が上記配合割合を満たすように設定される。
また、本発明のSHCL用点眼剤において、上記(A)成分に対する上記(C)成分の比率については、前述する配合割合を満たす限り特に制限されるものではないが、イオン性SHCLへの花粉タンパク質の蓄積を抑制する効果をより一層向上させるという観点から、上記(A)成分の総量100重量部当たり、上記(C)成分の総量が0.01〜1000重量部、好ましくは0.08〜400重量部、更に好ましくは0.1〜280重量部となる比率を充足することが望ましい。なお、テルペノイドを含む精油を使用する場合は、配合される精油中のテルペノイド含有量が上記比率を満たすように設定される。
本発明のSHCL用点眼剤は、更に上記(A)及び(B)成分に加えて、緩衝剤を含有してもよい。本発明のSHCL用点眼剤に配合できる緩衝剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。かかる緩衝剤の一例として、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、トリス緩衝剤、イプシロン−アミノカプロン酸、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩等が挙げられる。これらの緩衝剤は組み合わせて使用しても良い。好ましい緩衝剤は、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、及びクエン酸緩衝剤であり、更に好ましい緩衝剤は、ホウ酸緩衝剤、及びリン酸緩衝剤であり、特に好ましい緩衝剤は、ホウ酸緩衝剤である。ホウ酸緩衝剤としては、ホウ酸、又はホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸アルカリ土類金属塩等のホウ酸塩が挙げられる。リン酸緩衝剤としては、リン酸、又はリン酸アルカリ金属塩、リン酸アルカリ土類金属塩等のリン酸塩が挙げられる。炭酸緩衝剤としては、炭酸、又は炭酸アルカリ金属塩、炭酸アルカリ土類金属塩等の炭酸塩が挙げられる。クエン酸緩衝剤としては、クエン酸、又はクエン酸アルカリ金属塩、クエン酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。また、ホウ酸緩衝剤又はリン酸緩衝剤として、ホウ酸塩又はリン酸塩の水和物を用いてもよい。より具体的な例として、ホウ酸緩衝剤として、ホウ酸又はその塩(ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ砂等);リン酸緩衝剤として、リン酸又はその塩(リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム等);炭酸緩衝剤として、炭酸又はその塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム等);クエン酸緩衝剤として、クエン酸又はその塩(クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウム等);酢酸緩衝剤として、酢酸又はその塩(酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸ナトリウム等);トリス緩衝剤として、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン又はその塩(塩酸塩、酢酸塩、スルホン酸塩等);アスパラギン酸又はその塩(アスパラギン酸ナトリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸カリウム等)等が例示できる。これらの緩衝剤は1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
本発明のSHCL用点眼剤に緩衝剤を配合する場合、該緩衝剤の配合割合については、使用する緩衝剤の種類、他の配合成分の種類や量、該点眼剤の用途等に応じて異なり、一律に規定することはできないが、例えば、該点眼剤の総量に対して、該緩衝剤が総量で0.01〜10w/v%、好ましくは0.1〜5w/v%、更に好ましくは0.5〜2w/v%となる割合が例示される。
本発明のSHCL用点眼剤のpHについては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される範囲内であれば特に限定されるものではない。本発明のSHCL用点眼剤のpHの一例として、4.0〜9.5、好ましくは5.0〜8.5、より好ましくは、5.5〜8.0、更に好ましくは6.0〜8.0となる範囲が挙げられる。
また、本発明のSHCL用点眼剤の浸透圧については、生体に許容される範囲内であれば、特に制限されない。本発明のSHCL用点眼剤の浸透圧比の一例として、好ましくは0.7〜5.0、更に好ましくは0.9〜3.0、特に好ましくは1.0〜2.0となる範囲が挙げられる。浸透圧の調整は無機塩、多価アルコール、糖アルコール、糖類等を用いて、当該技術分野で既知の方法で行うことができる。浸透圧比は、第十五改正日本薬局方に基づき0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液の浸透圧に対する試料の浸透圧の比とし、浸透圧は日本薬局方記載の浸透圧測定法(氷点降下法)を参考にして測定する。浸透圧比測定用標準液は、塩化ナトリウム(日本薬局方標準試薬)を500〜650℃で40〜50分間乾燥した後、デシケーター(シリカゲル)中で放冷し、その0.900gを正確に量り、精製水に溶かし正確に100mLとして調製するか、市販の浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)を用いる。
本発明のSHCL用点眼剤は、本発明の効果を妨げない限り、上記成分の他に、種々の薬理活性成分や生理活性成分を組み合わせて適当量含有してもよい。かかる成分は特に制限されず、例えば、一般用医薬品製造(輸入)承認基準2000年版(薬事審査研究会監修)に記載された眼科用薬における有効成分が例示できる。具体的には、本発明のSHCL用点眼剤において用いられる成分としては、次のような成分が挙げられる。
抗ヒスタミン剤:例えば、イプロヘプチン、ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン等。
充血除去剤:テトラヒドロゾリン、ナファゾリン、エピネフリン、エフェドリン、メチルエフェドリン等。
殺菌剤:例えば、アクリノール、セチルピリジニウム等。
ビタミン類:フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、パンテノール、パントテン酸カルシウム、酢酸トコフェロール等。
アミノ酸類:アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アミノエチルスルホン酸等。
消炎剤:例えば、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸、プラノプロフェン、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、アラントイン、アズレン、アズレンスルホン酸、グアイアズレン、トラネキサム酸、ε−アミノカプロン酸、ベルベリン、リゾチーム、甘草等。
収斂剤:例えば、亜鉛華、乳酸亜鉛、硫酸亜鉛等。
その他:例えば、メチル硫酸ネオスチグミン、フマル酸ケトチフェン、クロモグリク酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、スルファメトキサゾール、インドメタシン、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ブフェキサマク、フルフェナム酸ブチル、ベンダザック、ピロキシカム、ケトプロフェン、フェルビナク、紫根、セイヨウトチノキ、及びこれらの塩等。
また、本発明のSHCL用点眼剤には、発明の効果を損なわない範囲であれば、その用途や形態に応じて、常法に従い、様々な添加物を適宜選択し、1種又はそれ以上を併用して適当量含有させてもよい。それらの添加物として、例えば、医薬品添加物事典2005(日本医薬品添加剤協会編集)に記載された各種添加物が例示できる。代表的な成分として次の添加物が挙げられる。
担体:例えば、水、含水エタノール等の水性担体。
増粘剤:例えば、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸、ポリビニルアルコール(完全、又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム等。
糖類:例えば、グルコース、シクロデキストリン等。
糖アルコール類:例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトールなど。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤:例えば、安息香酸ナトリウム、エタノール、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、ビグアニド化合物、グローキル(ローディア社製商品名)等。
pH調節剤:例えば、塩酸、ホウ酸、アミノエチルスルホン酸、イプシロン−アミノカプロン酸、クエン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ砂、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、硫酸、リン酸、ポリリン酸、プロピオン酸、シュウ酸、グルコン酸、フマル酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、グルコノラクトン、酢酸アンモニウム等。
等張化剤:例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、グリセリン、プロピレングリコール等。
安定化剤:ジブチルヒドロキシトルエン、トロメタモール、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、トコフェロール、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノエタノールアミン、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン等。
香料又は清涼化剤:メントール、アネトール、オイゲノール、カンフル、ゲラニオール、シネオール、ボルネオール、リモネン、リュウノウ等。これらは、d体、l体又はdl体のいずれでもよく、また精油(ハッカ油、クールミント油、スペアミント油、ペパーミント油、ウイキョウ油、ケイヒ油、ベルガモット油、ユーカリ油、ローズ油等)として配合してもよい。
本発明のSHCL用点眼剤は、例えば、精製水、生理食塩水等の水性担体等に、上記(A)及び(B)成分、必要に応じて他の配合成分を所望の濃度となるように添加し、常法に準じて調製される。
本発明のSHCL用点眼剤において、適用対象となるSHCLの種類については特に制限されず、現在市販されている、或いは将来市販される全てのSHCLを適用対象にできる。中でも非イオン性SHCLは、イオン性SHCLに比べて、ビタミンB12類の透過性が低い傾向がある。本発明のSHCL用点眼剤によれば、このように透過性が低いSHCLに対しても、ビタミンB12類の透過性を有効に改善することができる。かかる本発明の効果に鑑みれば、本発明のSHCL用点眼剤の好適な適用対象の一例として、非イオン性SHCLが挙げられる。また、イオン性SHCLは花粉タンパク質を非常に吸着し易いという特有の課題が明らかとなっており、本発明のSHCL用点眼剤によれば、このイオン性SHCLへの花粉タンパク質の蓄積を有効に抑制することができる。かかる本発明の効果に鑑みれば、本発明のSHCL用点眼剤の好適な適用対象の一例として、イオン性SHCLを挙げることもできる。ここで非イオン性とは、当業者が通常理解するように、米国FDA(米国食品医薬品局)基準に則り、コンタクトレンズ素材中のイオン性成分含有率が1mol%未満であることをいい、イオン性とは、米国FDA基準に則り、コンタクトレンズ素材中のイオン性成分含有率が1mol%以上であることをいう。また、適用対象となるSHCLの含水率についても特に制限されず、例えば、90%以下、好ましくは60%以下、更に好ましくは50%以下が挙げられる。なお、SHCLはハイドロゲル素材を含むものであるため、少なくとも0%より多い水分を含む。
また、非イオン性SHCLでは、含水率が低くなるにつれて、ビタミンB12類の透過性が低くなる傾向がある。本発明のSHCL用点眼剤によれば、このように透過性が低いSHCLに対しても、ビタミンB12類の透過性を有効に改善することができる。かかる本発明のレンズ透過性向上効果に鑑みれば、本発明のSHCL用点眼剤の好適な適用対象の一例として、含水率が低く50%以下の非イオン性SHCLが挙げられる。
ここでSHCLの含水率とは、SHCL中の水の割合を示し、具体的には以下の計算式により求められる。
含水率(%)=(含水した水の重量/含水状態のSHCLの重量)×100
かかる含水率は、ISO18369-4:2006の記載に従って重量測定方法により測定され得る。
また、一般に材質が柔らかい非シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズに比べ、材質が硬いSHCLは、異物の吸着によるレンズの変形や濡れ性低下により、使用感の悪化を感じさせ易く、眼粘膜障害を引き起こし易い傾向にある。本発明のSHCL用点眼剤によれば、このように使用感悪化や眼粘膜障害を引き起こし易い硬い材質のイオン性SHCLへの花粉タンパク質の吸着を有効に抑制することができ、それによりレンズの変形や変質を防いで、使用感の悪化や眼粘膜障害を効果的に防止することもできる。かかる本発明の花粉タンパク質蓄積抑制効果に鑑みれば、本発明のSHCL用点眼剤の好適な適用対象として、硬度が比較的高いイオン性SHCLが挙げられる。好ましくは、適用対象となるイオン性SHCLの硬度は、下記のテクスチャーアナライザーによる測定方法により測定した場合の硬度が、3g以上、好ましくは4g以上、より好ましくは6g以上、更に好ましくは8g以上である。また、適用対象となるSHCLの硬度の上限値については、特に制限されないが、好ましくは15g以下、更に好ましくは12g以下である。
コンタクトレンズの硬度は、テクスチャーアナライザー(製品名:TA.XT.plus TEXTURE ANALYSER(Stable Micro Systems Limited製))を用いて、具体的に以下のようにして測定され得る。
まず、測定対象となるコンタクトレンズをパッケージから取り出し、余分な水分をふき取って、生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム溶液)で濯いだ後、生理食塩水を満たしたプラスチックシャーレの底に凸面が上方になるように配置する。次いで、測定器のプローブの真下に該コンタクトレンズが来るように調節し、以下の測定条件下で測定を行う。
[測定条件]
測定器の設定:
テストモード 圧縮測定
プローブタイプ φ10mmシリンダープローブ
Target Mode Distance
Distance 2.5mm
Triger Type Auto
Triger Force 0.1g
Test Speed 1.0mm/sec
プローブがレンズ頂点を押し下げ始めてから2.5mm(2.5秒)レンズを押しつぶす際の応力を測定し、その最大値を硬度として記録する。
本発明のSHCL用点眼剤は、SHCLを装着中の眼に直接点すことができる。
本発明のSHCL用点眼剤は、ビタミンB12類の角膜への到達量を増加できるので、目のピント調節機能の改善に有効であり、目の疲れ(疲れ目)の改善剤として、とりわけ、コンタクトレンズ装用により誘発される目の疲れの改善剤(例えば、過矯正度数のコンタクトレンズを使用した場合や、コンタクトレンズを装用したまま長時間にわたりパソコンなどの近見作業をした場合などに生じる目の疲れ等の改善剤)として有用である。また、本発明のSHCL用点眼剤は、イオン性SHCL装用中に手軽に使用できるので、イオン性SHCL装用中に花粉タンパク質が吸着し蓄積していくのを効果的に抑制できるため、イオン性SHCL装用中の不快感を防止して快適にイオン性SHCLを装用することを可能にする。よって、コンタクトレンズ上に吸着された花粉タンパク質が、長時間眼に接触し続けるのを防ぎ、花粉によるアレルギーの予防や悪化の防止にも有効である。従って、花粉症又は花粉症予備軍のイオン性SHCL使用者への適用に好適である。
(II)SHCLへのビタミンB 12 類の透過性の向上方法、並びにSHCLへのビタミンB 12 類の透過性を向上させる作用を点眼剤に付与する方法
前述するように、SHCLへの上記(A)成分の透過性を上記(B)成分によって向上させることができる。
従って、本発明は、更に別の観点から、(A)ビタミンB12類と(B)界面活性剤とを併用することを特徴とする、SHCLへの該(A)成分の透過性を向上させる方法を提供する。また、本発明は、(A)ビタミンB12類を含有するSHCL用点眼剤に、(B)界面活性剤を配合することを特徴とする、SHCLへの該(A)成分の透過性を向上させる作用を該点眼剤に付与する方法をも提供する。
当該方法において、使用する(A)及び(B)成分の種類や配合割合、その他に配合される成分の種類や配合割合、SHCL用点眼剤の適用対象となるSHCLの種類等については、前記「(I)SHCL用点眼剤」と同様である。
(III) SHCLへのビタミンB 12 類の透過性を向上させるための剤
前述するように、SHCLへの上記(A)成分の透過性を上記(B)成分によって向上せることができる。
従って、本発明は、更に別の観点から、(B)界面活性剤を有効成分として含有する、SHCLへの(A)ビタミンB12類の透過性を向上させるための剤を提供する。
該剤において、有効成分である(B)成分の種類、適用対象となるSHCL、SHCLへの透過性の対象となる(A)成分の種類等については、前記「(I)SHCL用点眼剤」と同様である。
(IV)SHCLに対するビタミンB 12 類の透過性を向上させる物質のスクリーニング方法
また、前述するように、本発明者によって、上記(A)成分がSHCLへの透過性が著しく低いという新たな知見が得られている。そこで、更に、本発明は、SHCLに対する、ビタミンB12類の透過性を向上させる透過性向上物質をスクリーニングする方法をも提供する。具体的には、本スクリーニング方法は、下記(a)〜(c)工程を包含する方法である。
(a) ビタミンB12類を含むコントロール溶液、並びにビタミンB12類と被験物質とを含む被験溶液を、試験溶液として各々調製する工程、
(b)上記試験溶液を各々、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの片側面のみに所定時間接触させ、該レンズの上記試験溶液を接触させていない他方の片側面から滲出したビタミンB12類の量を測定することにより、各試験溶液のビタミンB12類の透過量を求める工程、並びに
(c)上記工程(b)において測定されたビタミンB12類の透過量が、コントロール溶液よりも多い被験溶液を選び、該被験溶液に含まれる被験物質を上記透過性向上物質として選択する工程。
本スクリーニング方法において、被験物質とは、スクリーニングに供される上記透過性向上物質の候補物質である。また、候補物質は、SHCL用点眼剤に配合できるように、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであることが望ましい。
上記(a)工程において、被験溶液は、水や緩衝液等の水性担体にビタミンB12類を例えば0.01〜0.03w/v%となるように添加し、更に被験物質を適当量添加することにより調製される。ここで、被験物質は段階的に希釈しておき、複数の濃度の被験物質を含む被験溶液を調製しておくことが望ましい。また、ビタミンB12類を含有するコントロール溶液は、被験物質を添加しないこと以外は、被験溶液と同組成とすることが望ましい。斯くして調製した被験溶液及びコントロール溶液を試験溶液として用いて、次の(b)工程に供する。
上記(b)工程は、溶液を収容可能な2つの区画(セル)を有し且つこれらの2つの区画はSHCLを介して隔てられている装置等を用いて実施することができる。このような装置としては、例えばビードレックス社製の膜透過実験装置が使用できる。具体的には、上記装置の一方の区画に上記試験溶液(コントロール溶液又は被験溶液)を充填し、更に他方の区画には何も充填しないか、或いは好ましくはビタミンB12類を含まない溶液(以下、ブランク溶液と表記する)等を充填して、所定時間(例えば4〜24時間程度)の経過後に、SHCLを介して上記他方の区画(ブランク溶液を充填した場合には、該ブランク溶液)側に移行したビタミンB12類の量を定量する。斯くして定量されるビタミンB12類の量が、上記(b)工程で求められるビタミンB12類の透過量である。なお、上記ブランク溶液は、充填される試験溶液(コントロール溶液又は被験溶液)と浸透圧が同等であることが望ましい。
また、上記透過性向上物質の選択に関する工程(c)において、SHCLへのビタミンB12類の透過性を向上させる作用が強い透過性向上物質を選択するには、(b)工程において求められたビタミンB12類の透過量がコントロール溶液よりも多い被験溶液を選べばよい。
本スクリーニング方法により得られる透過性向上物質は、SHCLへのビタミンB12類の透過性を向上させることを目的として、ビタミンB12類を含むSHCL用点眼剤に配合することができる。
(V)イオン性SHCLへの花粉タンパク質の蓄積を抑制する方法、並びにイオン性SHCLへの花粉タンパク質の蓄積を抑制する作用を点眼剤に付与する方法
前述するように、上記(A)及び(B)成分を併用することによって、イオン性SHCL装用眼が花粉に晒されても、イオン性SHCLからの花粉タンパク質の除去を促進して再付着を防止できるので、イオン性SHCLへの花粉タンパク質の蓄積を抑制することが可能になる。
従って、本発明は、更に別の観点から、(A) ビタミンB12と(B)界面活性剤とを含有するSHCL用点眼剤を、イオン性SHCLと接触させることを特徴とする、イオン性SHCLへの花粉タンパク質の蓄積を抑制する方法を提供する。更には、SHCL用点眼剤に、(A)ビタミンB12と(B)界面活性剤とを配合することを特徴とする、イオン性SHCLへの花粉タンパク質の蓄積を抑制する作用を該点眼剤に付与する方法を提供する。
当該方法において、使用する(A)及び(B)成分の種類や配合割合、その他に配合される成分の種類や配合割合、適用対象となるイオン性SHCLの種類等については、前記「(I)SHCL用点眼剤」と同様である。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
参考試験例1:シアノコバラミンのSCL透過性の比較評価
表1で示されるSCLを用いて、シアノコバラミンのレンズ透過性について評価した。
Figure 2020169211
シアノコバラミンのSCL透過性評価の測定は、膜透過実験装置(ビードレックス社製)を用いて以下の方法に従い実施した。表1に示す各ソフトコンタクトレンズを膜透過実験装置にセットし、一方のセルIには生理食塩水(0.9w/v%塩化ナトリウム)を5ml、他方のセルIIには0.02w/v%シアノコバラミン含有溶液(ホウ酸0.5w/v%、ホウ砂適量、塩化ナトリウム0.7w/v%;pH7.5)を5ml充填した。次いで、24時間後に生理食塩水側の液を1ml採取し、常法に従いHPLC法にてシアノコバラミンの濃度を測定し、セルIに移行したシアノコバラミンの量を算出した。斯くして算出されたセルIに移行したシアノコバラミンの量から、シアノコバラミンのレンズ透過率を下式に従って算出した。
Figure 2020169211
結果を図1に示す。図1から明らかなように、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズであるレンズA及びBでは、ハイドロゲルコンタクトレンズであるレンズCと比較して、著しくシアノコバラミンのレンズ透過性が悪いことが判明した。
試験例1:シアノコバラミンのレンズ透過試験1:
表2に示す点眼剤(実施例1−3、及び比較例1)を用いて、シアノコバラミンのSHCL透過性について評価した。
Figure 2020169211
シアノコバラミンのSHCL透過性評価の測定は、膜透過実験装置(ビードレックス社製)を用いて以下の方法に従い実施した。表1に示すレンズB(SHCL)を膜透過実験装置にセットし、一方のセルIには生理食塩水(0.9w/v%塩化ナトリウム)を5mL、他方のセルIIには表2に示す各点眼剤を5mL正確に充填した。尚、各点眼剤の浸透圧はほぼ同じとなるように揃えた。次いで、24時間後に生理食塩水側の液を1mL採取し、常法に従いHPLC法によりシアノコバラミンの濃度を測定し、セルIに移行したシアノコバラミンの量を算出した。斯くして算出されたセルIに移行したシアノコバラミンの量から、参考試験例1と同様の方法でシアノコバラミンのレンズ透過率(%)を算出した。各実施例及び比較例で算出されたレンズ透過率を基に、比較例1のレンズ透過率を100とした場合のレンズ透過率の相対比を求めた。
結果を図2に示す。図2から明らかなように、実施例1−3の点眼剤ではシアノコバラミンのレンズ透過率が比較例1の点眼剤と比較して著しく増加していることが判明した。即ち、シアノコバラミンと界面活性剤(ポリソルベート80又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60)を併用することによって、SHCLへのシアノコバラミンの透過性が向上することが明らかとなった。中でも、界面活性剤としてポリソルベート80を使用した場合には、著しく高いSHCL透過性が認められた。また、本結果から、ポリソルベート80を使用する場合には、その濃度が0.1w/v%以上であれば、シアノコバラミンのレンズ透過率が顕著に増加することも確認された。
参考試験例2:塩酸ピリドキシンのレンズ透過性試験
塩酸ピリドキシンは、角膜細胞の新陳代謝を促進し、目の疲れを緩和させる作用を発揮することが知られている。そのため、SHCL用点眼剤に塩酸ピリドキシンを配合するにも、ビタミンB12類を配合する場合と同様に、塩酸ピリドキシンがSHCLを透過して角膜に到達できるように製剤設計することが求められる。そこで、SHCLへの塩酸ピリドキシンの透過性を評価するために、以下の試験を実施した。
具体的には、表3に示す点眼剤(参考例1−2)を用いて、上記試験例1と同様の方法で試験を行い、塩酸ピリドキシンのSHCL透過性について評価した。
Figure 2020169211
結果を図3に示す。この結果から、塩酸ピリドキシンもSHCL透過性が低いものの、界面活性剤(ポリソルベート80)を併用してもSHCL透過性は向上しないことが確認された。
レンズ透過性試験に関する総合考察
以上の結果から、ビタミンB12類と界面活性剤を併用した点眼剤は、SHCL装用中の眼に適用しても有効量のビタミンB12類が角膜に到達でき、ビタミンB12類に基づく薬理効果を有効に奏し得ることが確認された。また、このような界面活性剤との併用による有効成分のSHCL透過性の向上は、有効成分としてビタミンB12類を選択することによって認められる特有の効果であることも確認された。
参考試験例3:SCLに対する花粉タンパク質吸着特性の評価
表4に示す4種のソフトコンタクトレンズを試験に用いて、ソフトコンタクトレンズに対する花粉タンパク質の吸着特性を評価した。
まず、試験に使用するレンズを、生理食塩液4mLに1枚ずつ浸漬させ、室温にて一晩保存した(レンズの前処理)。
花粉タンパク質抗原((株)エル・エス・エル社製 Cedar Pollen Extract-Ja、性状:凍結乾燥粉末(Cedar Pollen粗抽出物 Mountain ceder、Juniperus Asheiiの花粉から抽出))を、生理食塩液に溶解し、5mg/30mL花粉タンパク質液を調製した。24穴プレートの各穴に、花粉タンパク質液1.0mLを入れ、前処理済みのレンズの余分な水分をふき取った後に浸漬し、34℃120rpmにて18時間振とうを行った。次いで、レンズを取り出し、生理食塩液100mLに素早く(約1秒)浸漬させて余分な液をすすいだ後、ビーカーのふちを使って軽く水分を切り、24穴プレートの各穴に入れた花粉タンパク質分離用液(1%炭酸ナトリウム及び1%SDS含有水溶液)1mLに浸漬させた。34℃120rpmで3時間振とうし、レンズに吸着した花粉タンパク質を花粉タンパク質分離用液中に分離させた。
マイクロBCAアッセイキット(Thermo SCIENTIFIC,Pierce #23235)を用いて、花粉タンパク質分離用液中の花粉タンパク質量を、アルブミン換算値として定量し、レンズに対する花粉タンパク質吸着量を求めた。
Figure 2020169211
なお、各ソフトコンタクトレンズの硬度は、上述のようにテクスチャーアナライザー(製品名:TA.XT.plus TEXTURE ANALYSER(Stable Micro Systems Limited製))を用いて測定した値である。
結果を図4に示す。図4に示されるように、イオン性SHCLであるレンズ1を用いた場合には、非シリコンソフトコンタクトレンズであるレンズ3及びレンズ4や、非イオン性SHCLであるレンズ2と比較すると、顕著に高い花粉タンパク質の吸着が認められた。この結果から、花粉タンパク質は、ソフトコンタクトレンズの中でもイオン性SHCLに対して極めて多量に吸着する傾向があり、イオン性SHCLには、花粉タンパク質を非常に吸着し易いという特有の課題が存在することが確認された。
試験例2:イオン性SHCLに対する花粉タンパク質の蓄積抑制の評価(1)
上記参考試験例3にて花粉タンパク質の顕著な吸着が確認されたレンズ1(イオン性SHCL)を用いて、下記の試験を実施した。
先ず、レンズ1を、5mLの生理食塩液に1枚ずつ浸漬させ、5時間室温にて保存した(レンズの前処理)。花粉タンパク質抗原((株)エル・エス・エル社製 Cedar Pollen Extract-Ja、性状:凍結乾燥粉末(Cedar Pollen粗抽出物 Mountain ceder、Juniperus Asheiiの花粉から抽出))を生理食塩液に溶解し、5mg/50mL花粉タンパク質液を調製した。24穴プレートの各穴に、1.0mLの花粉タンパク質液を入れ、前処理したレンズの余分な水分をふき取った後に浸漬させ、34℃、400rpmで24時間振とうを行った。
花粉タンパク質液に浸漬させたレンズ1を取り出し、生理食塩水100mLに素早く(約1秒)浸漬させて余分な液をすすいだ後、水分をふき取り、24穴プレートに入れた表5に記載の各試験液(実施例4、比較例2−3、及びコントロール)1.0mLに浸漬して34℃、400rpmで18時間振とうを行った。その後、レンズ1を取り出し、生理食塩水100mLに素早く(約1秒)浸漬させて余分な液をすすいだ後、ビーカーのふちを使って、軽く水分を切り、24穴プレートに入れた花粉タンパク質分離用液(1%炭酸ナトリウム及び1%SDS含有水溶液)0.5mLに浸漬させた。34℃、400rpmで3時間振とうし、レンズに吸着した花粉タンパク質を花粉タンパク質分離用液中に分離させた。
また、各試験液の影響を差し引くことによって、より正確に花粉タンパク質吸着量を算出するために、ブランク群として、花粉タンパク質液で処理する工程を生理食塩水での処理に変更した以外は、上記と同様に各試験液での処理と花粉タンパク質分離用液での処理を行ったものを用意した。
マイクロBCAアッセイキット(Thermo SCIENTIFIC,Pierce #23235)を用いて、花粉タンパク質分離用液中に存在する花粉タンパク質の量を、アルブミン換算値として定量し、レンズ1から脱離した花粉タンパク質の量(花粉タンパク質吸着量)を求めた。なお、花粉タンパク質吸着量の算出に際して、各サンプルの吸光度から、上記ブランク群の吸光度を差し引いて、アルブミン換算値として算出することにより、花粉タンパク質吸着量を求めた。次いで、次式に従い、コントロール試験液を用いた場合の花粉タンパク質吸着量に対する、比較例及び実施例の試験液を用いた場合の花粉タンパク質吸着量の割合から、花粉タンパク質吸着改善率(%)を算出した。
Figure 2020169211
Figure 2020169211
結果を図5に示す。その結果、シアノコバラミンと界面活性剤とを組み合わせて用いた場合には、それらを単独で用いた場合に比して、花粉タンパク質吸着改善率が相乗的に著しく高められ、イオン性SHCLに対する花粉タンパク質の吸着量を効果的に低減でき、蓄積を抑制することができることが明らかとなった(実施例4)。
試験例3:イオン性SHCLに対する花粉タンパク質の吸着抑制の評価(2)
上記試験例2と同様の方法により、表4のレンズ1(イオン性SHCL)を用いて、表6に示す各試験液(実施例5及び6)を適用した場合における、イオン性SHCLに対する花粉タンパク質吸着量を求めた。次いで、次式に従い、実施例5の試験液を用いた場合の花粉タンパク質吸着量に対する、実施例6の試験液を用いた場合の花粉タンパク質吸着量の割合から、花粉タンパク質吸着改善増強率(%)を算出した。
Figure 2020169211
Figure 2020169211
結果を表6に併せて示す。表6に示されるように、シアノコバラミンと界面活性剤に加えて、テルペノイド(l−メントール、d−カンフル)を組み合わせて用いた場合(実施例6)には、シアノコバラミンと界面活性剤を用いた場合(実施例5)に比して、花粉タンパク質吸着改善作用が更に増強されることが明らかとなった。
製剤例
表7に記載の処方で、SHCL用点眼剤(実施例7−25)が調製される。
Figure 2020169211

Claims (1)

  1. (A)ビタミンB12類と、(B)界面活性剤とを含有する、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用点眼剤。
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