JP2020166428A - 滑り情報出力システムおよび滑り情報出力方法 - Google Patents

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朋明 阿部
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征生 鹿谷
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Abstract

【課題】滑り情報が収集された走行区間を通過する車両に滑り情報を効率的に報知する。【解決手段】滑り情報出力システムは、車両とサーバとが互いに通信可能な滑り情報出力システムであって、車両は、複数の人工衛星からの衛星測位信号の受信に基づいて、車両の走行位置および衛星測位速度を導出し、車両の車速パルスに基づく車両の車速パルス速度を導出し、走行位置が示す車両の位置情報と、衛星測位速度と車速パルス速度とに基づく車両の滑り状態に関する情報とをサーバに送信し、サーバは、滑り状態が閾値を上回ると判定した場合には、滑り状態が検出された走行位置を含む区間を滑り注意区間と判定し、走行区間の滑り状態の判定結果に基づく報知情報を生成して報知装置から出力させる。【選択図】図1

Description

本開示は、滑り情報出力システムおよび滑り情報出力方法に関する。
従来、車両をセンサとして位置付けて、車両の滑り情報を収集、登録し、ABS(Antilock Brake System)作動情報および凍結情報を含む滑り情報を近辺走行中の車両に送信する滑り情報収集・提供システムが知られている。
例えば、特許文献1には各車両から送られるABS作動情報、温度・湿度情報および位置情報を含む道路の滑り情報生成用情報を、ネットワークを介したサーバに収集して登録し、車両から滑り情報が収集されたタイミングで、サーバが車両から一定距離内の位置に登録された滑り情報を抽出して各車両に送信する滑り情報収集・提供システムが知られている。このシステムによれば、一般の車両をセンサとして位置付けているため各車両に対する滑り情報提供のサービスが向上し、また、ABS作動情報も滑り情報として提供するため、凍結情報以外の滑り情報を提供することができる。
特開2003−187371号公報
しかしながら、特許文献1の構成では、例えば適正な速度で余裕をもったブレーキ操作を行う、または加速時、巡航時等のブレーキ操作を行わない、即ちABSが作動しない条件が満たされた場合には、滑り情報を収集できなかった。このため、ABSが作動しない場合には滑り情報を十分に収集することができず、近辺走行中の車両に対して十分な情報の報知ができない可能性があった。また、例えば自動運転車両が今後普及して道路を走行する車両のうち自動運転車両の割合が増加する可能性が高くなることを考慮すると、不適正な速度でのブレーキ操作等のヒューマンエラーが除去されることでABSが作動しなくなり、同様に十分な情報の報知ができなくなる可能性が高くなることが予測される。
本開示は、上述した従来の事情に鑑みて案出され、滑り情報が収集された走行区間を通過する車両に滑り情報を効率的に報知する滑り情報出力システムおよび滑り情報出力方法を提供することを目的とする。
本開示は、車両とサーバとが互いに通信可能な滑り情報出力システムであって、前記車両は、複数の人工衛星のそれぞれからの衛星測位信号の受信に基づいて、前記車両の走行位置および衛星測位速度を導出し、前記車両の車速パルスに基づく前記車両の車速パルス速度を導出し、前記走行位置が示す前記車両の位置情報と、前記衛星測位速度と前記車速パルス速度とに基づく前記車両の滑り状態に関する情報とを前記サーバに送信し、前記サーバは、前記滑り状態が閾値を上回ると判定した場合には、前記滑り状態が検出された前記走行位置を含む走行区間を滑り注意区間と判定し、前記走行区間の滑り状態の判定結果に基づく報知情報を生成して報知装置から出力させる、滑り情報出力システムを提供する。
また、本開示は、車両とサーバとが互いに通信可能な滑り情報出力システムにおける滑り情報出力方法であって、複数の人工衛星のそれぞれからの衛星測位信号の受信に基づいて、前記車両の走行位置および衛星測位速度を導出し、前記車両の車速パルスに基づく前記車両の車速パルス速度を導出し、前記衛星測位速度と前記車速パルス速度とを用いて前記車両の滑り状態を算出し、前記滑り状態が閾値を上回ると判定した場合には、前記滑り状態が検出された前記走行位置を含む走行区間を滑り注意区間と判定し、前記走行区間の滑り状態の判定結果に基づく報知情報を生成して報知装置から出力させる、滑り情報出力方法を提供する。
本開示によれば、滑り情報が収集された走行区間を通過する車両に滑り情報を効率的に報知できる。
実施の形態1に係る滑り情報出力システムのユースケース例の説明図 実施の形態1に係る滑り情報出力システムの内部構成例を示すブロック図 実施の形態1に係る衛星測位速度および車速パルス速度の説明図および速度比較グラフ 滑り状態の判定方法および報知手順を説明するフローチャート 滑り状態の判定結果および出力メッセージの一例を示す図 後続車両が備える車載器による報知情報の出力例を示す図 後続車両が備える車載器による報知情報の出力例を示す図 表示装置による報知情報の出力例を示す図 実施の形態2に係る滑り情報制御システムのユースケース例の説明図 実施の形態2に係る滑り情報制御システムの内部構成例を示すブロック図 滑り情報の判定方法、報知手順および制御手順を説明するフローチャート 滑り状態の判定結果および出力メッセージの一例を示す図 他車両に送信する制御信号の制御処理の一例を示す図 車両と他車両との間のV2V通信例の説明図 他車両に対する制御処理(車間距離)例を示す図 車両と対向車両との間のV2V通信例の説明図 対向車両に対する制御処理(回避)例を示す図 対向車両に対する制御処理(車線変更)例を示す図 車両と並走車両との間のV2V通信例の説明図 並列車両に対する制御処理(回避)例を示す図 並列車両に対する制御処理(減速)例を示す図 並列車両に対する制御処理(車線変更)例を示す図 並列車両に対する制御処理(追い越し)例を示す図 他車両が備える車載器による報知情報の出力例を示す図
(実施の形態1の内容に至る経緯)
昨今、車両の走行中の滑り情報を収集し、他車両等に報知する滑り情報出力システムがある。従来の滑り情報出力システムでは、各車両から送られるABS作動情報、温度・湿度情報および位置情報を含む滑り情報を収集していたが、この収集方法ではABSが作動しない場合、または不適正な速度でのブレーキ操作等のヒューマンエラーが除去された自動運転車両が普及した場合には、十分な情報の報知ができなくなる可能性が高くなることが予測される。しかし、上述した特許文献1では、ABSが作動しない場合の滑り情報の収集方法については想定されていない。
また、車両は人工衛星による衛星測位サービス(例えばGPS)を利用して車両の現在位置を測定することができる。以下、衛星測位サービスおよび衛星測位サービスを提供可能な人工衛星について説明する。
例えば、世界規模の衛星測位サービスを提供可能な人工衛星には、例えば米国のGPS(Global Positioning System)、ロシアのGLONASS(Global Navigation Satellite System)、または欧州のGalileo等の人工衛星がある。衛星測位サービスは、海上を航行する船舶および地上を走行する車両等の位置情報および速度情報を測定可能なシステムである。例えば車両を対象とするサービスには、経路案内サービスおよび災害・危機管理通報サービス等の応用例がある。
このような衛星測位サービスでは、複数の人工衛星が送信する衛星測位信号を使用して、衛星測位信号を受信した受信機の位置を測定することができる。衛星測位信号は、人工衛星が信号を送信した送信時刻情報とその時刻における人工衛星の位置情報とを含んでいる。これにより、受信機は、受信した複数の衛星測位信号に基づいて各衛星測位信号に含まれる送信時間情報と受信するまでに要した受信時間情報とを計測して、各人工衛星から受信機までの距離を測定することができる。例えば、GPSによる衛星測位サービスでは、車両に設置された受信機が3機以上のGPS衛星から衛星測位信号を受信し、受信した衛星測位信号に含まれる位置情報からGPS衛星それぞれの位置とそれぞれGPS衛星から受信機までの距離とを測定する。これにより、受信機は、各GPS衛星の位置を中心として、各GPS衛星と受信機との距離を半径とした球面の重複範囲より、受信機の現在位置を測定することができる。但し、受信機は、GPS衛星それぞれの配置の間隔が狭い場合には球面の重複範囲が大きくなってしまうため、正確な受信機の位置を特定しきれずに測位精度が低下する。したがって、受信機は、衛星測位信号を送信するGPS衛星が受信機から見てそれぞれ広い間隔で配置されていることが望ましい。
また、GPSによる衛星測位サービスでは、受信機は4機以上のGPS衛星から衛星測位信号を受信することが望ましい。受信機は、原子時計よりも精度が劣る水晶時計を利用しており、原子時計による正確な時刻情報を一日に数回受信して、時間を補正しなければならない。したがって、受信機は、人工衛星のそれぞれから受信する衛星測位信号が有する時間の誤差を測定するために、4機以上のGPS衛星から衛星測位信号を受信することが望ましい。なお、GPSによる衛星測位サービスでは、水晶時計に起因する位置の誤差が常に数メートル〜最大100メートルになることが知られている。
また、衛星測位サービスで使用される信号は、人工衛星および利用するサービスの目的によって異なり、例えばGPSではL1帯(1575.42MHz)の信号(例えば、L1C/A信号、L1C信号、L1S信号)等が使用される。なお、使用される信号は、人工衛星の寿命とともに変更されることがあり、例えばGPSで使用されるL1C信号は将来的にL1C/A信号に置き換えとなる予定であることが発表されている。
ここで、世界規模の衛星測位サービスを提供可能とする人工衛星がある一方で、ある地域に対する準天頂を軌道として、限定された地域のみを対象とした地域限定型の衛星測位サービスを提供可能な準天頂衛星がある。
準天頂衛星が提供する衛星測位サービスは、従来の世界規模の衛星測位サービスを補強して高い測位精度を可能とするサービスである。例えば日本の準天頂衛星は、日本および日本とほぼ同経度の地域の上空を衛星軌道とする人工衛星である。準天頂衛星は複数機存在し、ほぼ同経度の地域の上空を衛星軌道とするため、常に1機が仰角70度以上に配置しているという特徴がある。また、準天頂衛星は仰角80度以上の配置に位置する時間が長いという特徴がある。よって、都市部のような周囲に遮蔽物が多い環境であっても、受信機は準天頂衛星が生成する衛星測位情報を直接受信することが可能となる。これにより、受信機は、受信する衛星測位信号が信号伝達経路上に存在する山や建物等の遮蔽物によって反射するマルチパスの影響を受けにくくなり、現在の位置情報をより正確に測定することができるため、安定的な測位と高い測位精度とを得ることができる。
また、準天頂衛星は、GPS衛星と同じ衛星測位信号(例えば、L1帯、L2帯(1227.60MHz)およびL5帯(1176.45MHz)の信号等)を複数の周波数で送信して複数の電離層誤差を解消することができ、さらにGPS衛星が有する水晶発振時計と準天頂衛星が有する時計を同期することができる。
以上により、準天頂衛星は常に1機が仰角70度以上に配置し、かつ仰角80度以上に配置する時間が長いGPS衛星として機能することができる。これにより、準天頂衛星が提供よる衛星測位サービスは、人工衛星数が少ない、あるいは各人工衛星の配置間隔が狭い場合であっても、補助的に準天頂衛星をGPS衛星として活用することができ、安定的な測位と高い測位精度とを有する衛星測位サービスを提供可能とする。
また、準天頂衛星は将来的にセンチメータ級測位補強サービスの提供が期待されている。センチメータ級測位補強サービスとは、従来から提供されている衛星測位の精度がサブメータ級(例えば、精度が数メートル程度)であるのに対して、センチメータ級(例えば、精度が数センチ〜数十センチ程度)という高い測位精度を有する可能とするサービスである。但し、センチメータ級測位補強サービスでは、使用する衛星測位信号がL6帯(1278.75MHz)であり、GPS衛星から配信する信号ではないため、専用の受信機が必要になる。
さらに、準天頂衛星は、受信する信号の種類によって測位精度の向上効果が異なる。例えば、L1C/A信号およびL1C信号を受信する場合には、速度情報の誤差要因となる垂直方向の誤差を低減することができる。また、例えばL1S信号を受信する場合には、サブメータ級測位によって位置を差分して得られる速度情報の測位精度を向上させることができる。また、例えばL6信号を受信する場合には、センチメータ級測位によって位置情報および速度情報の測位精度を向上させることができる。これにより、衛星測位サービスにおける位置情報および速度情報の測位精度は、準天頂衛星による補強を行う場合には、従来観測されていた1〜数km/hの誤差から0.01〜0.1km/hの誤差にまで改善される可能性がある。
以上のように、衛星測位サービスでは、世界規模の衛星測位サービスと世界規模の衛星測位サービスを地域限定型の衛星測位サービスによって補強した衛星測位サービスとが提供されている。そこで、以下の実施の形態1においては、車両において、人工衛星による衛星測位サービスを利用して滑り情報を収集し、滑り情報が収集された走行区間を通過する車両に滑り情報を効率的に報知する滑り情報出力システムおよび滑り情報出力方法の例を説明する。
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る滑り情報出力システムおよび滑り情報出力方法の構成および作用を具体的に開示した実施の形態1を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る滑り情報出力システムのユースケース例の説明図である。実施の形態1に係る滑り情報出力システムは、複数の人工衛星Q1,Q2,Q3,Q4と、車両C1と、サーバ2と、他車両C2と、表示装置4とを含む構成である。なお、図1では説明を簡単にするために、他車両C2および表示装置4が1台のみ示されているが、それぞれ複数台が存在してもよい。
人工衛星Q1〜Q4のそれぞれは、地上に向けて衛星測位信号を発信する人工衛星である。人工衛星Q1〜Q4のそれぞれは、例えば米国のGPS、ロシアのGLONASS、または欧州のGalileo等の世界規模の衛星測位サービス、あるいは日本の準天頂衛星システム等の地域限定型の衛星測位サービスを提供可能な人工衛星である。
車両C1は、人工衛星Q1〜Q4のそれぞれが発信する衛星測位信号を受信可能な受信機(以下、車載器と表記)を備えている。車両C1は、車載器を用いて人工衛星Q1〜Q4のそれぞれから衛星測位信号を受信する。車両C1は、受信した衛星測位信号に含まれる信号の発信時刻情報および受信時刻情報に基づいて、複数の人工衛星Q1〜Q4のそれぞれから車両C1の位置までの距離を測定する。車両C1は、これら複数の衛星測位信号に基づく衛星測位情報を用いて車両C1の走行位置と車両C1の衛星測位速度とを算出(導出の一例)する。
なお、人工衛星Q1〜Q4のそれぞれは、例えば3機がGPS衛星であって他の1機が準天頂衛星システムであるように、複数の種類の人工衛星で構成されていてもよい。また、使用する人工衛星の数は、車両C1が走行位置を特定するために必要な数であればよく、例えばGPS衛星が3機であってもよい。なお、車載器(不図示)が衛星測位信号を受信する人工衛星の数は4機以上となる場合においては、車載器は高度を含む測位が可能となり、かつ、前述のように受信する衛星測位信号のそれぞれが有する時間の誤差を補正することができるため、車両C1の走行位置が示す車両C1の位置情報の測位精度を向上することができる。その結果、車両C1の速度情報の計測精度も向上することができる。
また、車両C1は、車両内部に配備された駆動軸の回転数によって発生する車速パルスに基づいて、車両C1の走行速度(以下、車速パルス速度Vと表記)を導出することができる。
ここでいう車速パルス速度Vは、四輪自動車を例示すると、駆動軸の回転が637rpmのときに車速パルス速度Vが60km/hを示す割合で定義される。したがって、車速パルス速度Vが60km/hの場合には、駆動軸の回転速度Nと車速パルス数nの関係(駆動軸の1回転あたりの車速パルス数)が導出できる。(数式1)では、車両C1の速度メータに表示する速度を指示するための入力信号周波数Hを導出することができる。なお、駆動軸の1回転あたりの車速パルス数nは、車両C1が有するタイヤの外径によって異なるが、入力信号周波数Hを車速パルス速度Vが60km/hの時のタイヤの回転数で除算することで導出できる。
Figure 2020166428
さらに、車両C1は、衛星測位信号に基づく車両C1の位置情報と、衛星測位信号に基づく衛星測位速度と車両C1の車速パルスに基づく車速パルス速度とに基づく車両C1の滑り状態に関する情報とを無線通信N/W(Network)を通じて基地局R1に送信し、さらに基地局R1の接続先であるサーバ2に送信する。
基地局R1は、既存のキャリアが提供するセルラーネットワークにおいて利用される基地局である。基地局R1は、無線通信N/Wを通じて車両C1および他車両C2との間で通信可能に接続され、基幹ネットワークNW1を通じてサーバ2との間で通信可能に接続される。無線通信N/Wは、例えば無線LAN(Local Area NetWork)、無線WAN(Wide Area NetWork)、4G(第4世代移動通信システム)、5G(第5世代移動通信システム)、またはWi−fi(登録商標)等の無線通信規格に準じて提供されるネットワークである。
基幹ネットワークNW1は、基地局R1、サーバ2および表示装置4のそれぞれとの間で無線通信N/W(Network)または有線通信N/W(NetWork)によって通信可能に接続される。
サーバ2は、車両C1から受信した車両C1の位置情報および滑り状態に関する情報を記録する。また、サーバ2は、受信した車両C1の位置情報および滑り状態に関する情報に基づいて滑り状態を判定する。滑り状態は、例えば急ブレーキ操作あるいは路面の凍結等の低摩擦路面におけるブレーキ操作が行われた場合等に、タイヤがスリップ状態となって車両C1が路面を滑る状態である。
サーバ2は、車両C1が滑り状態にあったと判定する場合には、判定結果および滑り状態が発生した時点の車両C1の位置情報を含む走行区間の報知情報を生成する。サーバ2は、滑り状態が発生した位置を含む走行区間の道路を走行あるいは接近している他車両C2もしくは表示装置4(例えば、路側に設置された電子看板等)に無線通信N/W(Network)または有線通信N/W(NetWork)を通じて報知情報を送信する。
他車両C2は、サーバ2によって生成された報知情報を受信可能な車載器を備えており、他車両C2に受信した報知情報を出力させて報知する。
表示装置4は、サーバ2から受信する報知情報を受信可能であり、付近を走行する車両に受信した報知情報を表示させて報知する。
図2は、実施の形態1に係る滑り情報出力システムの内部構成例を示すブロック図である。実施の形態1に係る滑り情報出力システムの内部構成例について、図2を参照して説明する。
まず、人工衛星Q1〜Q4のそれぞれに共通する構成について説明する。人工衛星Q1〜Q4のそれぞれは、信号生成部50と信号送信部51とを含む構成である。
信号生成部50は、所定の周期タイミングで衛星測位信号を生成する。信号生成部50は、衛星測位信号を送信する送信時刻情報と人工衛星の衛星位置情報とを含む衛星測位信号を生成する。
信号送信部51は、アンテナAnt4を有しており、信号生成部50によって生成された衛星測位信号を所定の周期タイミングに応じて、衛星測位信号を光の速度で車両C1に送信する。信号送信部51は、例えば車載器およびスマートフォン等が受信可能な民間用信号のL1帯の信号(例えば、L1C/A信号)を用いて衛星測位信号を送信する。また、信号送信部51は、衛星測位信号を準天頂衛星によるセンチメータ級測位補強サービスに用いられるL6帯の信号を用いて送信してもよい。
車両C1は、通信部10と、制御部11と、出力部12と、メモリ13とを含む構成である。
通信部10は、アンテナAnt1を有し、基地局R1との間のデータもしくは情報の送受信を行うための通信インターフェース回路を用いて構成される。通信部10は、車両C1の位置情報と衛星測位速度と車速パルス速度とに基づく車両C1の滑り状態に関する情報とを、基地局R1を介してサーバ2に送信する。
制御部11は、メモリ13と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、制御部11はメモリ13に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。各部は、位置取得部111、衛星測位速度算出部112、車速パルス速度算出部113および滑り状態算出部114を含む。
出力部12は、制御部11の制御に基づいたデータもしくは情報を出力する。出力部12は、画像、映像または音声を出力可能に構成される。
記憶部の一例としてのメモリ13は、例えば制御部11の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)と、制御部11の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROM(Read Only Memory)とを有する。RAMには、制御部11により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、制御部11の動作(例えば、位置取得部111が受信した衛星測位情報から車両C1の位置情報および滑り状態に関する情報を算出する方法)を規定するプログラムが書き込まれている。また、メモリ13は、人工衛星Q1〜Q4のそれぞれから受信した衛星測位信号と、衛星測位信号から算出した車両C1の位置情報および衛星測位速度と車両C1の車速パルス速度とを記録する。
位置取得部111は、アンテナAnt2を有し、人工衛星Q1〜Q4のそれぞれから衛星測位信号を受信し、受信した衛星測位信号のうち車両C1の位置情報を測定する。位置取得部111は、例えばL1帯の信号およびL6帯の信号を受信可能である。L1帯の信号は、例えば従来のGPSと互換性があるL1C/A信号,L1C信号、サブメータ級測位補強サービスおよび災害・危機管理通報サービスで使用されるL1S信号等を使用する。位置取得部111は、衛星測位信号を衛星測位速度算出部112に出力する。また、位置取得部111は測定した車両C1の位置情報をメモリ13に記録し、通信部10からサーバ2に向けて車両C1の位置情報を送信させる。なお、使用される信号は、人工衛星の寿命とともに変更されることがあり、例えばGPSで使用されるL1C信号は将来的にL1C/A信号に置き換えとなる予定であることが発表されている。よって、位置取得部111は、これらの信号に限らず、衛星測位サービスを提供可能な信号を受信可能であってもよい。
衛星測位速度算出部112は、位置取得部111から入力された衛星測位信号に基づいて車両C1の衛星測位速度を算出する。衛星測位速度算出部112は、算出する車両C1の衛星測位速度を滑り状態算出部114に出力し、またこの衛星測位速度をメモリ13に記録する。
車速パルス速度算出部113は、上述した(数式1)を参照して、車速パルスに基づいて車両C1の車速パルス速度を算出する。車速パルス速度算出部113は、算出する車速パルス速度を滑り状態算出部114に出力し、またこの車速パルス速度をメモリ13に記録する。
滑り状態算出部114は、衛星測位速度算出部112と車速パルス速度算出部113とによって入力された衛星測位速度と車速パルス速度とに基づく車両C1の滑り状態に関する情報を、通信部10からサーバ2に向けて送信させる。なお、滑り状態算出部114は、入力された衛星測位速度と車速パルス速度とを用いて、車両C1が滑り状態であるか否かを算出し、その算出結果を通信部10からサーバ2に向けて送信してもよい。また、滑り状態算出部114が車両C1の滑り状態に関する情報あるいは車両C1の滑り状態の算出結果を送信するタイミングは、常時送信してもよいし、あるいは車両C1が滑り状態にあると算出した場合のみ送信してもよい。
サーバ2は、通信部20と、制御部21と、報知情報生成部22と、メモリ23とを含む構成である。
通信部20は、基地局R1または基幹ネットワークNW1を介して車両C1、他車両C2および表示装置4との間のデータもしくは情報の送受信を行うための通信インターフェース回路を用いて構成される。通信部20は、位置情報と、車両C1の滑り状態に関する情報とを車両C1から受信し、報知情報生成部22で生成した報知情報を他車両C2の通信部30および表示装置4の通信部40のうちいずれかあるいはその両方に送信する。
制御部21は、メモリ23と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、制御部21はメモリ23に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、滑り状態判定部211の機能を実現する。
報知情報生成部22は、滑り状態判定部211の判定結果に基づいて滑り情報を報知するための報知情報を生成する。報知情報生成部22が生成する報知情報は、画像情報、映像情報または音声情報を含んで構成されてもよい。
記憶部の一例としてのメモリ23は、例えば制御部21の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAMと、制御部21の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROMとを有する。RAMには、制御部21により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、制御部21の動作(例えば、受信した車両C1の位置情報および車両C1の滑り状態に関する情報から、車両C1の走行位置を含む走行区間の滑り状態を判定する方法)を規定するプログラムが書き込まれている。また、メモリ23は車両C1から受信した車両C1の位置情報および衛星測位速度と車両C1の車速パルス速度とを記録する。また、メモリ23は閾値を記憶しており、この閾値は外部から変更することができる。閾値は、路面の環境(例えば、下り坂、上り坂等)に応じて一定の値でなくてもよい。
滑り状態判定部211は、通信部20が受信した車両C1の位置情報および速度情報に基づいて、車両C1が滑り状態であるか否かを判定する。滑り状態判定部211は、例えば車速パルス速度から衛星測位速度を減算した値を滑り状態として、滑り状態が閾値を超えるか否かで車両C1の滑り状態を判定する。滑り状態判定部211は、滑り状態が閾値を超える場合には、判定結果および車両C1の位置情報を含む所定の区間を含む情報を報知情報生成部22に出力し、判定結果に基づく報知情報を生成させる。
他車両C2は、通信部30と、制御部31と、出力部32と、メモリ33とを含む構成である。なお、車載器は、少なくとも通信部30、制御部31および出力部32により構成されて、他車両C2に備えていてもよい。
通信部30は、アンテナAnt3を有し、サーバ2との間のデータもしくは情報の送受信を行うための通信インターフェース回路を用いて構成される。通信部30は、基地局R1および基幹ネットワークNW1を介して、サーバ2から報知情報を受信する。
制御部31は、メモリ33と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、制御部31はメモリ33に保持されたプログラム及びデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、制御部31の機能を実現する。
出力部32は、制御部31の制御に基づいた報知情報を出力する。出力部32は、画像、映像または音声を出力可能に構成され、報知情報が示す車両C1の位置情報を含む所定の区間の付近を走行あるいは接近している他車両C2に報知情報を出力して報知する。
記憶部の一例としてのメモリ33は、例えば制御部31の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAMと、制御部31の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROMとを有する。RAMには、制御部31により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、制御部31の動作(例えば、通信部30が受信した報知情報を出力する方法)を規定するプログラムが書き込まれている。また、メモリ33は、通信部30が受信した報知情報を記録する。
表示装置4は、通信部40と、制御部41と、出力部42と、メモリ43とを含む構成である。表示装置4は、例えば路側に一定の走行区間毎に設置され、その走行区間に関する注意情報を表示する電子看板等である。
通信部40は、サーバ2との間のデータもしくは情報の送受信を行うための通信インターフェース回路を用いて構成される。通信部40は、基幹ネットワークNW1を介してサーバ2から報知情報を受信する。
制御部41は、メモリ43と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、制御部41はメモリ43に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、制御部41の機能を実現する。
出力部42は、制御部41の制御に基づいた報知情報を出力する。出力部32は、画像、映像または音声を出力可能に構成され、報知情報が示す車両C1の位置情報を含む所定の区間の報知情報を出力する。
記憶部の一例としてのメモリ43は、例えば制御部41の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAMと、制御部41の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROMとを有する。RAMには、制御部41により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、制御部41の動作(例えば、通信部40が受信した報知情報を出力する方法)を規定するプログラムが書き込まれている。また、メモリ43は、通信部40が受信した報知情報を記録する。
図3は、実施の形態1に係る衛星測位速度Vおよび車速パルス速度Vの説明図および速度比較グラフである。実施の形態1に係る衛星測位速度Vおよび車速パルス速度Vの説明図および速度比較グラフについて、図3を参照して説明する。図3の速度比較グラフにおいて、横軸は時間、縦軸は速度値をそれぞれ示す。
図3に示す衛星測位速度Vおよび車速パルス速度Vは、それぞれ衛星測位速度算出部112と車速パルス速度算出部113によって算出される。衛星測位速度Vは人工衛星Q1〜Q4のそれぞれから受信した衛星測位信号に基づいて算出された車両C1の衛星測位速度Vの変化を示したものである。一方、車速パルス速度Vは車両C1の駆動軸の回転に基づく車速パルス速度Vの変化を示したものである。これら車両C1の衛星測位速度Vおよび車速パルス速度Vの比較により、車両C1の滑り状態算出部114またはサーバ2の滑り状態判定部211は、車両C1の滑り状態を算出あるいは判定することができる。さらに、車両C1の衛星測位速度Vおよび車速パルス速度Vの比較により、車両C1の滑り状態算出部114またはサーバ2の滑り状態判定部211は、後述する図4および図5に示す車両C1の位置情報を含む走行区間の滑り状態に対して、「滑り注意区間」、「加速注意区間」、「減速注意区間」等のより詳細な滑り状態の判定を行うことができる。
時間帯Pt1では、車速パルス速度Vの方が速く、かつ衛星測位速度Vの方が遅い。このような場合には、車両C1が、実際に車両C1が路面を走行する速度より車両C1の駆動軸の回転が速くなっている状態であることを示す。つまり、車両C1はタイヤが空転状態であると推測できる。また、車両C1が定速で走行していて時間帯Pt1のような波形が得られる場合には、路面が加速時に滑り状態を発生させる状態であると推測できる。よって、車両C1の滑り状態算出部114またはサーバ2の滑り状態判定部211は、時間帯Pt1のような波形が得られる場合には、車両C1の位置情報を含む走行区間は「加速注意区間」であると算出あるいは判定できる。
一方、時間帯Pt2では、衛星測位速度Vの方が速く、かつ車速パルス速度Vの方が遅い。このような場合には、車両C1が、車両C1の駆動軸の回転より車両C1が路面を走行する速度が速くなっている状態であることを示す。つまり、車両C1は駆動軸が回転する以上に進行する状態となるため、滑り状態にあると推測できる。また、車両C1が定速で走行していて時間帯Pt2のような波形が得られる場合には、路面が減速時に滑り状態を発生させる状態であると推測できる。よって、車両C1の滑り状態算出部114またはサーバ2の滑り状態判定部211は、時間帯Pt2のような波形が得られる場合には、車両C1の位置情報を含む走行区間は「減速注意区間」であると算出あるいは判定できる。
時間帯Pt3では、衛星測位速度Vと車速パルス速度Vとの差異が頻発する。このような場合には、車両C1が加速と減速とを繰り返しており、路面が例えば雨または凍結等によって滑りやすい状態になっていると推測できる。よって、車両C1の滑り状態算出部114またはサーバ2の滑り状態判定部211は、時間帯Pt3のような波形が得られる場合には、車両C1は加速と減速とを繰り返す状態にあることから車両C1の位置情報を含む走行区間は「滑り注意区間」であると算出あるいは判定できる。
時間帯Pt4では、車両C1が減速している時に衛星測位速度Vの方が速く、かつ車速パルス速度Vの方が遅い。このような場合には、車両C1は駆動軸の回転が遅くなっているにも関わらず走行速度の方が速いことから、例えば下り坂あるいは交差点等を走、滑り状態にある推測できる。また、車両C1でABSが作動しており、駆動軸の回転数に対して走行速度の方が速くなっていると推測できる。つまり、車両C1が減速しながら走行していて時間帯Pt4のような波形が得られる場合には、路面が減速時に滑り状態を発生させやすい状態であると推測できる。よって、車両C1の滑り状態算出部114またはサーバ2の滑り状態判定部211は、時間帯Pt4のような波形が得られる場合には、車両C1の位置情報を含む走行区間は「減速注意区間」であると算出あるいは判定できる。なお、車速パルス速度Vの変化が時間帯Pt3と近しい場合等には単に「滑り注意区間」であると算出あるいは判定してもよい。
時間帯Pt5では、車両C1が加速している時に車速パルス速度Vの方が速く、かつ衛星測位速度Vの方が遅い。このような場合には、車両C1は駆動軸の回転が速くなっているにも関わらず走行速度の方が遅いことから、タイヤが空転しながら進行していることが推測できる。つまりこの場合、車両C1が走行している路面は非常に滑りやすくなっており、減速しても止まらない可能性があることが推測できる。つまり、車両C1が加速しながら走行していて時間帯Pt5のような波形が得られる場合には、路面が加速時に滑り状態を発生させやすい状態であると推測できる。よって、車両C1の滑り状態算出部114またはサーバ2の滑り状態判定部211は、時間帯Pt5のような波形が得られる場合には、車両C1の位置情報を含む走行区間は「加速注意区間」であると算出あるいは判定できる。なお、車速パルス速度Vの変化が時間帯Pt3と近しい場合等には単に「滑り注意区間」であると算出あるいは判定してもよい。
以上、図3を参照して車両C1の滑り状態算出部114またはサーバ2の滑り状態判定部211の算出方法あるいは判定方法についても説明したが、これらの滑り状態の算出結果あるいは判定結果は、「滑り注意区間」、「加速注意区間」、「減速注意区間」の3つに限らない。また、「加速注意区間」および「減速注意区間」は、「滑り注意区間」と算出あるいは判定されてもよい。
図4は、滑り状態の判定方法および報知手順を説明するフローチャートである。滑り状態の判定方法および報知手順について、図4を参照して説明する。図4に示す滑り状態の判定方法および報知手順は、車両C1によりステップSt1〜ステップSt3の処理が実行され、サーバ2によりステップSt4以降の処理がそれぞれ実行される。
位置取得部111は、人工衛星Q1〜Q4のそれぞれから一定期間分の位置情報および衛星測位速度を受信する(St1)。さらに、制御部11は、車両C1の車速パルス速度を算出する。
制御部11は、受信した車両C1の位置情報および車両C1の速度情報を含む滑り状態に関する情報をメモリ13に記録する(St2)。
滑り状態算出部114は、車速パルス速度から衛星測位速度を減算して滑り状態を算出する(St3)。
滑り状態判定部211は、車両C1の位置情報を含む所定の走行区間において、算出した滑り状態の絶対値が閾値を超えるか否かを判定する(St4)。閾値は、例えばメモリ23に記憶されており、閾値は外部(例えば、滑り情報出力システムの運用者あるいは管理者等の操作)により変更することができる。また、閾値は路面の環境(例えば、下り坂、上り坂等)に応じて一定の値でなくてもよい。滑り状態判定部211は、滑り状態の絶対値が閾値を超える場合(St4、YES)には、車両C1の位置情報を含む所定の走行区間を滑り状態が発生しやすい「滑り注意区間」と判定する(St6)。
滑り状態判定部211は、ステップSt6で「滑り注意区間」と判定した後、ステップSt3で算出した滑り状態について、滑り状態が0(ゼロ)より大きい、かつ速度増加状態であるか否かを判定する(St7)。滑り状態判定部211は、滑り状態が0(ゼロ)より大きい、かつ速度増加状態であると判定した場合(St7、YES)には、車両C1の位置情報を含む所定の区間を含む走行区間を、加速時に滑り状態が発生しやすい「加速注意区間」と判定して報知情報生成部22に判定結果を出力する(St8)。
報知情報生成部22は、滑り状態判定部211による滑り状態の判定結果「加速注意区間」および所定の走行区間の位置情報を含む報知情報を生成する。報知情報生成部22は、生成した報知情報を、所定の走行区間を走行あるいは接近している他車両C2と、所定の区間に関する報知情報を表示して報知する表示装置4とにそれぞれ送信する(St11)。
一方で、滑り状態判定部211が、ステップSt7で滑り状態が0(ゼロ)より大きい、かつ速度増加状態でないと判定した場合(St7、NO)には、滑り状態が0(ゼロ)より小さい、かつ速度減少状態であるか否かを判定する(St9)。滑り状態判定部211が、滑り状態が0(ゼロ)より小さい、かつ速度減少状態であると判定した場合(St9、YES)には、車両C1の位置情報を含む所定の走行区間を、減速時に滑り状態が発生しやすい「減速注意区間」と判定して報知情報生成部22に判定結果を出力する(St10)。この場合、報知情報生成部22は、滑り状態判定部211による滑り状態の判定結果「減速注意区間」および所定の走行区間の位置情報を含む報知情報を生成する。報知情報生成部22は、生成した報知情報を、所定の走行区間を走行あるいは接近している他車両C2と、所定の区間に関する報知情報を表示して報知する表示装置4とにそれぞれ送信する(St11)。
さらに、滑り状態判定部211が、ステップSt9で滑り状態が0(ゼロ)より小さい、かつ速度減少状態でないと判定した場合(St9、NO)には、車両C1の位置情報を含む所定の走行区間を、滑り状態が発生しやすい「滑り注意区間」と判定して報知情報生成部22に判定結果を出力する(St11)。この場合、報知情報生成部22は、滑り状態判定部211による滑り状態の判定結果「滑り注意区間」および所定の走行区間の位置情報を含む報知情報を生成する。報知情報生成部22は、生成した報知情報を、所定の走行区間を走行あるいは接近している他車両C2と、所定の走行区間に関する報知情報を表示して報知する表示装置4とにそれぞれ送信する(St11)。
なお、滑り状態判定部211が、ステップSt4で滑り状態が閾値を超えない場合(St4、NO)には、滑り状態が発生していないと判断して、報知情報を生成しないと判定して、ステップSt1の処理に戻る(St5)。
図4における滑り状態の判定方法および報知手順のフローチャートによって判定される判定結果のうち、ステップSt11で生成され報知される報知情報について、滑り状態の判定結果および出力メッセージの一例を示す図5を参照して説明する。図5は、報知情報生成部22によって生成された報知情報に含まれ、他車両C2および表示装置4に出力される出力メッセージである。
図5に示すように、他車両C2および表示装置4から出力される出力メッセージT1は、滑り状態の判定結果によって異なる。出力メッセージT1の内容は、図4を参照にして説明したように、ステップSt4、ステップSt7およびステップSt9のそれぞれにおいて滑り状態判定部211によって判定された判定結果に基づいて出力される。例えば、判定結果が「滑り注意区間」である場合には「この先すべりやすい」と出力され、判定結果が「加速注意区間」である場合には「この先すべりやすいアクセル注意」と出力され、判定結果が「減速注意区間」である場合には「この先すべりやすいブレーキ注意」と出力される。このような出力メッセージT1は、滑り状態を報知するだけでなく、同時に運転操作に関する注意情報を端的に報知することができる。なお、判定結果および出力メッセージT1は図5に示す内容と同一でなくてもよい。さらに、この出力メッセージT1は音声や文字を含まない画像のみで報知されてもよい。これにより、他車両C2がラジオ等の音声のみを出力可能な車載器のみを備える場合であっても、音声で報知情報を報知することができる。また、表示装置4においては、出力メッセージT1は音声や文字を含まない画像のみ、あるいは文字と画像とを用いて報知する場合には、高速道路等で他車両C2に対して報知情報を理解させなければならない状態であっても、瞬時に報知情報を他車両C2に理解させることができる。
図6は、後続車両が備える車載器による報知情報の出力例を示す図である。図7は、後続車両が備える車載器による報知情報の出力例を示す図である。なお、車載器は出力部32の一例であって、GPS衛星からの信号を受信して他車両C2の走行経路を経路案内可能な車載器と同等の機能を備える端末(例えばスマートフォン等)あるいは、映像および画像を出力できないが音声で報知情報を出力可能な音声出力機器(例えばラジオ等)であってもよい。
図6において、出力部32の一例である車載器は、画面Sr1に画像(文字)による報知情報を出力する。車載器は、報知情報生成部22から受信した滑り状態の判定結果が「減速注意区間」である場合には、画面Sr1に出力メッセージ「この先すべりやすいブレーキ注意」を出力する。
図7において、出力部32の一例である車載器は、画面Sr2に映像または画像による報知情報を出力する。車載器は、報知情報生成部22から受信した滑り状態の判定結果が「滑り注意区間」である場合には、画面Sr2に表示された所定の走行区間において滑り状態が発生していることを示す位置を強調するためのマーク等(例えば矢印)を表示して、報知情報に含まれる所定の区間について強調して報知する。なお、車載器は例えば「この先すべりやすくなっています」等の音声によって報知情報を報知してもよい。
図8は、表示装置4による報知情報の出力例を示す図である。表示装置4は、画面Sr3に画像(文字)による報知情報を出力する。表示装置4は、報知情報生成部22から受信した滑り状態の判定結果が「減速注意区間」である場合には、画面Sr3に出力メッセージ「この先すべりやすいブレーキ注意」を出力する。
以上により、実施の形態1に係る滑り情報出力システムでは、車両C1とサーバ2とが互いに通信可能な滑り情報出力システムであって、車両C1は、複数の人工衛星Q1〜Q4のそれぞれから受信した衛星測位信号に基づいて、車両C1の走行位置および衛星測位速度を導出し、車両C1の車速パルスに基づく車両の車速パルス速度を導出し、走行位置が示す車両C1の位置情報と衛星測位速度と車速パルス速度とに基づく滑り状態に関する情報とをサーバ2に送信する。サーバ2は、滑り状態が閾値を上回るか否かを判定し、滑り状態が閾値を上回る場合には、滑り状態が検出された走行位置を含む走行区間を滑り注意区間と判定し、滑り状態の判定結果に基づく滑り情報を生成して報知装置(例えば、他車両C2および表示装置4)から出力させる。
これにより、サーバ2は、車両C1のABSが作動しない場合であっても、車両C1から定期的に車両C1の位置情報および車両C1の滑り状態に関する情報を収集でき、滑り状態が閾値を超える場合には滑り状態が「滑り注意区間」であると判定する。また、サーバ2は滑り状態が「滑り注意区間」であるという判定結果となる場合、判定結果および所定の区間の位置を含む報知情報を生成して報知するため、所定の区間を通過する他車両C2に滑り情報を効率的に報知することができる。
また、サーバ2は、「滑り注意区間」と判定した滑り状態において、車速パルス速度が加速状態であって、かつ車速パルス速度が衛星測位速度より大きい場合には、さらに「滑り注意区間」が「加速注意区間」であると判定する。これにより、サーバ2は、判定結果および所定の区間の位置を含む報知情報を生成して報知するため、所定の区間を通過する他車両C2により効果的な滑り情報を効率的に報知することができる。
また、サーバ2は、「滑り注意区間」と判定した滑り状態において、車速パルス速度が減速状態であって、かつ車速パルス速度が衛星測位速度より小さい場合には、さらに「滑り注意区間」が「減速注意区間」であると判定する。これにより、サーバ2は、判定結果および所定の区間の位置を含む報知情報を生成して報知するため、所定の区間を通過する他車両C2により効果的な報知情報を効率的に報知することができる。
また、サーバ2は、生成した報知情報を報知情報に含まれる所定の区間を含む走行区間を走行あるいは接近している他車両C2に搭載された出力部32の一例である車載器に報知する。これにより、サーバ2は、所定の走行区間を走行あるいは接近している他車両C2は報知情報をいち早く報知することができる。
また、サーバ2は、生成した報知情報を報知情報に含まれる所定の区間を含む走行区間に設置された出力部32の一例である表示装置4に報知する。これにより、サーバ2は、所定の走行区間を走行あるいは接近している他車両C2およびその他より多くの車両に対して、報知情報を報知することができる。
また、車両C1は、4機の人工衛星Q1〜Q4のそれぞれから衛星測位信号を受信する。これにより、車両C1は、高度を含む測位が可能となり、かつ、4機の人工衛星Q1〜Q4のそれぞれから受信する衛星測位信号に含まれる時間的な誤差を補正することができるため、高い測位精度を有する車両C1の位置情報と車両C1の衛星測位速度とを算出し、結果として高精度の報知情報を報知することができる。
また、車両C1は、4機の人工衛星Q1〜Q4のそれぞれから衛星測位信号を受信する。これにより、車両C1は、高度を含む測位が可能となり、かつ、4機の人工衛星Q1〜Q4のそれぞれから受信する衛星測位信号に含まれる時間的な誤差を補正することができるため、高い測位精度を有する車両C1の位置情報と車両C1の衛星測位速度とを算出し、結果として高精度の滑り状態を算出し、より的確な報知情報を報知することができる。
また、車両C1は、複数の人工衛星Q1〜Q4(但し、人工衛星の数は4機に限定されない)のうち少なくとも1機の準天頂衛星から衛星測位信号を受信する。これにより、車両C1は、高度を含む測位が可能となり、かつ、人工衛星Q1〜Q4のそれぞれの配置バランスによる誤差の修正および安定的な衛星測位信号の受信が可能となり、高い測位精度を有する車両C1の位置情報と車両C1の衛星測位速度とを算出し、結果としてより高精度な報知情報を報知することができる。
また、車両C1は、受信する衛星測位信号の信号がL1S信号である。これにより、車両C1が受信する衛星測位信号は、サブメータ級測位補強サービスによるサブメータ級精度を有する信号を受信することができるため、高い測位精度を有する車両C1の位置情報と車両C1の衛星測位速度とを算出し、結果としてより高精度な報知情報を報知することができる。
また、車両C1は、受信する衛星測位信号の信号がL6信号である。これにより、車両C1が受信する衛星測位信号は、センチメータ級測位補強サービスによるセンチメータ級精度を有する信号を受信することができるため、高い測位精度を有する車両C1の位置情報と車両C1の衛星測位速度とを算出し、結果としてより高精度な報知情報を報知することができる。
(実施の形態2の内容に至る経緯)
実施の形態2の内容に至る経緯は、実施の形態1にて説明した経緯と同様であり、説明は省略する。よって、以下の実施の形態2においては、車両において、人工衛星による衛星測位サービスを利用して滑り情報を収集し、滑り情報が収集された走行区間を通過する車両に滑り情報に応じて生成された制御信号を周辺車両に送信する、滑り情報制御システムおよび滑り情報制御方法の例を説明する。
(実施の形態2)
実施の形態2では、実施の形態1に係るサーバ2の構成が省かれてもよく、車両C1が滑り状態および走行区間の滑り状態に応じた報知情報および制御信号を生成して、車両C1が走行する走行区間の付近を走行する他車両C2および他車両C3に送信する例を説明する。なお、実施の形態2では、車両C1、他車両C2および他車両C3のそれぞれは、車両C1、他車両C2および他車両C3のそれぞれが備える通信部10,30,60を利用したV2V(Vehicle−to−Vehicle)通信によって通信可能であり、基幹ネットワークNW1の構成が省かれてもよい。
V2V通信とは、例えば、ミリ波レーダを用いた同報通信(ブロードキャスト)方式によって車両と車両との間で行われる車車間通信である。同報通信方式は、信号の送信元となる車両が周辺の全方向に信号を送信することができ、また周辺を走行する全車両が一斉にその信号を受信することができる通信方式である。また、V2V通信のアクセス方式は、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)方式が採用されている。CSMA/CA方式は、周辺を走行する車両が信号を送信しているか否かを確認し、信号が送信されていないことを確認した後に、確率的に決定される所定時間の経過を待ってから信号を送信する。これにより、V2V通信では他車両による送信信号同士の干渉損失を防止することができる。また、V2V通信は、信号の送信元となる車両の周辺を走行する車両数が少ない場合には、通信遅延を数ms程度に抑制することができるため、車両制御に適した通信が可能となる。
なお、実施の形態2に係る滑り情報制御システムおよび滑り情報制御方法において送信される信号(以下、制御信号と表記)は、制御信号を送信した車両(言い換えると、滑り状態であると判定する車両)の位置情報および滑り状態の判定結果(例えば、「滑り注意区間」、「加速注意区間」、「減速注意区間」あるいは車両が加速中、減速中等の情報)を含む。
また、V2V通信が可能とする車両制御技術には、例えばミリ波レーダ等の自律センサを利用した自動加減速制御装置の一例としてACC(Adaptive Cruise Control)がある。ACC装置は、前方監視用のミリ波センサ等の自律センサによって先行車を捕捉することで、先行車両と自車両との距離を測定し、操舵角情報および車速情報等を含む車両情報を生成して周辺車両に送信する。また、ACC装置は周辺車両から受信した制御信号に応じて車両の加速制御処理または減速制御処理を実行する。なお、ACC装置によって実行される制御処理については、後述する図13において説明する。
以下に示す実施の形態2では、上述したV2V通信を活用した滑り情報制御システムおよび滑り情報制御方法について説明する。また、実施の形態2に係る人工衛星Q1〜Q4のそれぞれ、および他車両C2の構成は、実施の形態1に係る人工衛星Q1〜Q4のそれぞれ、および他車両C2の構成と同一であるため、実施の形態1と同一の内容については同一の符号を参照して説明を簡略化または省略して、異なる内容について説明する。
図9は、実施の形態2に係る実施の形態2に係る滑り情報制御システムのユースケース例の説明図である。図9では、図1の説明と同一の内容については説明を簡略化または省略し、異なる内容について説明する。図9に示すように、車両C1は後続車両である他車両C3との間でV2V通信を行う。
車両C1は、人工衛星Q1〜Q4のそれぞれが発信する衛星測位信号を受信可能な車載器を備えている。車両C1は、車載器を用いて人工衛星Q1〜Q4のそれぞれから衛星測位信号を受信する。車両C1は、受信した衛星測位信号に含まれる信号の発信時刻情報および受信時刻情報に基づいて、複数の人工衛星Q1〜Q4のそれぞれから車両C1の位置までの距離を測定する。車両C1は、これら複数の衛星測位信号に基づく衛星測位情報を用いて車両C1の走行位置と車両C1の衛星測位速度とを算出(導出の一例)する。さらに、車両C1は、車速パルスに基づく車速パルス速度を算出する。車両C1は、衛星測位速度と車速パルス速度とを比較して、人工衛星Q1〜Q4のそれぞれから衛星測位信号を受信した走行位置を含む走行区間における車両C1の滑り状態を判定する。車両C1は、判定した走行区間の滑り状態の判定結果に基づく報知情報および制御信号を生成して、V2V通信可能な範囲を走行する他車両C3に送信する。
なお、実施の形態2に係る滑り情報制御システムおよび滑り情報制御方法における信号は、制御信号を送信した車両(言い換えると、滑り状態であると判定される車両)の位置情報および滑り状態の判定結果(例えば、「滑り注意区間」、「加速注意区間」、「減速注意区間」あるいは車両が加速中、減速中等の情報)を含んで生成される。よって、ACC装置は、制御信号に含まれる、制御信号を送信した車両の位置情報および滑り状態の判定結果から、制御信号を送信した車両との位置関係(例えば、ACC装置が備えられる車両にとって、制御信号を送信した車両は前車、対向車あるいは並走車である等)を導出することができる。また、ACC装置は制御信号を送信した車両の位置関係と、制御信号に含まれる滑り状態の判定結果に応じて制御処理を行う。なお、制御処理については図13で説明する。
他車両C3は、V2V通信可能な車載器を備えている。他車両C3は、受信した報知情報を出力し、受信した制御信号に基づく制御処理を実行する。ここでいう制御信号とは、例えば他車両C3が車両C1の後続を走行している場合には、車間距離を開けるという内容を指示する信号である。また、ここでいう制御処理とは、例えば車間距離を開けるという内容を指示する制御信号を受信する場合には、他車両C3が備えるACC装置が他車両C3の走行速度を減速する処理を実行することである。
図10は、実施の形態2に係る滑り情報制御システムの内部構成例を示すブロック図である。実施の形態2に係る滑り情報制御システムの内部構成例について、図10を参照して説明する。なお、図2の説明と同一の内容については説明を簡略化または省略し、異なる内容について説明する。
実施の形態2に係る車両C1、他車両C2および他車両C3のそれぞれは、V2V通信を可能とする車載器を備えている。車両C1および他車両C3は、人工衛星Q1〜Q4のそれぞれから衛星測位信号を受信可能な車載器を備え、受信した衛星測位信号と車速パルスとに基づいて車両の滑り状態を判定し、報知情報および制御信号を生成することができる。また、車両C1および他車両C3は、受信する制御信号を制御処理可能なACC装置を備える。
まず、車両C1について図2の説明と異なる内容を説明する。車両C1は、滑り状態算出部114と、報知情報生成部115とをさらに含んで構成される。滑り状態算出部114は、車速パルス速度算出部113によって入力された車速パルス速度から衛星測位速度算出部112によって入力された衛星測位速度を減算した値を滑り状態として算出する。滑り状態算出部114は、算出した車両C1の滑り状態が予め規定された閾値を超える場合に、車両C1の位置情報を含む走行区間を滑り注意区間と判定して、判定結果を報知情報生成部115に出力する。
報知情報生成部115は、判定結果に基づいて報知情報を生成して通信部10に出力する。また、制御部11は、滑り状態算出部114の判定結果に応じた制御信号を生成して、通信部10に出力する。通信部10は入力された報知情報および制御信号を、V2V通信の通信可能範囲を走行する他車両C2,C3のそれぞれの通信部30,60のそれぞれに送信する。
次に、他車両C2について図2の説明と異なる内容を説明する。他車両C2は、V2V通信可能な車載器を備えており、少なくとも報知情報を受信して出力することができ、制御信号に応じた制御処理が可能なACC装置を備えていてもよいし、備えていなくてもよい。
通信部30は、車両C1および他車両C3のそれぞれから報知情報および制御信号を受信する。制御部31は、通信部30から受信した報知情報を出力部32に出力させる。また、他車両C2がACC装置を備える場合には、制御部31は受信した制御信号に応じた制御処理をACC装置に実行させる。
次に、他車両C3について説明する。他車両C3は、通信部60と、制御部61と、出力部62と、メモリ63とを含む構成である。
通信部60は、アンテナAnt5を有し、車両C1および他車両C2との間のデータもしくは情報の送受信を行うための通信インターフェース回路を用いて構成される。通信部60は、V2V通信による報知情報および制御信号等の信号の送受信を行う。
制御部61は、メモリ63と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、制御部61はメモリ63に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。各部は、位置取得部611、衛星測位速度算出部612、車速パルス速度算出部613および滑り状態算出部614を含む。
出力部62は、制御部61の制御に基づいたデータもしくは情報を出力する。出力部62は、画像、映像または音声を出力可能に構成される。
記憶部の一例としてのメモリ63は、例えば制御部61の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)と、制御部61の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROM(Read Only Memory)とを有する。RAMには、制御部61により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、制御部61の動作(例えば、位置取得部611が受信した衛星測位情報から他車両C3の位置情報および速度情報を算出する方法)を規定するプログラムが書き込まれている。また、メモリ63は、人工衛星Q1〜Q4のそれぞれから受信した衛星測位信号と、衛星測位信号から算出した他車両C3の位置情報および衛星測位速度と、他車両C3の車速パルス速度とを記録する。
位置取得部611は、アンテナAnt6を有し、人工衛星Q1〜Q4のそれぞれから衛星測位信号を受信し、受信した衛星測位信号のうち他車両C3の位置情報を測定する。位置取得部611は、例えばL1帯の信号およびL6帯の信号を受信可能である。L1帯の信号は、例えば従来のGPSと互換性があるL1C/A信号,L1C信号、サブメータ級測位補強サービスおよび災害・危機管理通報サービスで使用されるL1S信号等を使用する。位置取得部611は、衛星測位信号を衛星測位速度算出部612に出力する。また、位置取得部611は、測定した他車両C3の位置情報をメモリ63に記録する。記憶され他車両C3の位置情報は、滑り状態算出部614および報知情報生成部615によって参照される。なお、使用される信号は、人工衛星の寿命とともに変更されることがあり、例えばGPSで使用されるL1C信号は将来的にL1C/A信号に置き換えとなる予定であることが発表されている。よって位置取得部611は、これらの信号に限らず、衛星測位サービスを提供可能な信号を受信可能であってもよい。
衛星測位速度算出部612は、位置取得部611から入力された衛星測位信号に基づいて他車両C3の衛星測位速度を算出する。衛星測位速度算出部612は、算出する他車両C3の衛星測位速度を滑り状態算出部614に出力し、またこの衛星測位速度をメモリ63に記録する。
車速パルス速度算出部613は、上述した(数式1)を参照して、車速パルスに基づいて他車両C3の車速パルス速度を算出する。車速パルス速度算出部613は、算出する車速パルス速度を滑り状態算出部614に出力し、またこの車速パルス速度をメモリ63に記録する。
滑り状態算出部614は、車速パルス速度算出部613によって入力された車速パルス速度から衛星測位速度算出部612によって入力された衛星測位速度を減算した値を滑り状態として算出する。滑り状態算出部614は、算出した他車両C3の滑り状態が規定された閾値を超える場合に、他車両C3の位置情報を含む走行区間を滑り注意区間と判定して、判定結果を報知情報生成部615に出力する。
報知情報生成部615は、判定結果に基づいて報知情報を生成して通信部60に出力する。また、制御部61は、滑り状態算出部614の判定結果に応じた制御信号を生成して、通信部60に出力する。通信部10は入力された報知情報および制御信号を、V2V通信の通信可能範囲を走行する車両C1,他車両C2のそれぞれの通信部10,30のそれぞれに送信する。
図11は、滑り情報の判定方法、報知手順および制御手順を説明するフローチャートである。実施の形態2に係る滑り情報制御システムおよび滑り情報制御方法では、実施の形態1とは異なり、滑り状態の判定が車両C1または他車両C3が備える制御部11、61のそれぞれによって行われる。図11では、車両C1が実行する滑り状態の判定方法、報知手順および制御手順について説明する。なお、図11に示す滑り状態の判定方法、報知手順および制御手順は、他車両C3が行う場合も同様の方法および手順である。
位置取得部111は、人工衛星Q1〜Q4のそれぞれから車両C1の位置情報と衛星測位速度情報とを含む衛星測位信号を受信する(St21)。衛星測位速度算出部112は、受信した衛星測位信号から車両C1の衛星測位速度を算出する。制御部11は、車両C1の位置情報および衛星測位速度情報をメモリ13に記憶する。
車速パルス速度算出部113は、車両C1の車速パルスから車速パルス速度を算出する(St22)。制御部11は、算出した車速パルス速度情報をメモリ13に記録する。
滑り状態算出部114は、車速パルス速度から衛星測位速度を減算して滑り状態を算出する(St23)。
滑り状態算出部114は、車両C1の位置情報を含む所定の走行区間において、算出した滑り状態の絶対値が閾値を超えるか否かを判定する(St24)。閾値は、例えばメモリ13に記憶されており、閾値は外部(例えば、滑り情報出力システムの運用者あるいは管理者等の操作)により変更することができる。また、閾値は路面の環境(例えば、下り坂、上り坂等)に応じて一定の値でなくてもよい。滑り状態算出部114は、滑り状態の絶対値が閾値を超える場合(St24、YES)には、車両C1の位置情報を含む所定の走行区間を滑り状態が発生しやすい「滑り注意区間」と判定する(St26)。
滑り状態算出部114は、ステップSt26で「滑り注意区間」と判定した後、ステップSt23で算出した滑り状態について、滑り状態が0(ゼロ)より大きい、かつ速度増加状態であるか否かを判定する(St27)。滑り状態算出部114は、滑り状態が0(ゼロ)より大きい、かつ速度増加状態であると判定した場合(St27、YES)には、車両C1の位置情報を含む所定の走行区間を、加速時に滑り状態が発生しやすい「加速注意区間」と判定して報知情報生成部115に判定結果を出力する(St28)。
報知情報生成部115は、滑り状態算出部114による滑り状態の判定結果「加速注意区間」と、滑り状態にある判定されたときの車両C1の位置情報とを含む報知情報を生成する。また、制御部11は、滑り状態算出部114による滑り状態の判定結果「加速注意区間」に応じた制御信号を生成する。報知情報生成部115および制御部11は、生成した報知情報および制御信号を、車両C1に対して滑り状態が発生した位置を含む所定の走行区間を走行あるいは接近している他車両C2および他車両C3にそれぞれ送信する(St31)。
一方で、滑り状態算出部114が、ステップSt27で滑り状態が0(ゼロ)より大きい、かつ速度増加状態でないと判定した場合(St27、NO)には、滑り状態が0(ゼロ)より小さい、かつ速度減少状態であるか否かを判定する(St29)。滑り状態算出部114が、滑り状態が0(ゼロ)より小さい、かつ速度減少状態であると判定した場合(St29、YES)には、車両C1の位置情報を含む所定の走行区間を、減速時に滑り状態が発生しやすい「減速注意区間」と判定して報知情報生成部115に判定結果を出力する(St30)。この場合、報知情報生成部115は、滑り状態算出部114による滑り状態の判定結果「減速注意区間」と、滑り状態にある判定されたときの車両C1の位置情報とを含む報知情報を生成する。また、制御部11は、滑り状態算出部114による滑り状態の判定結果「減速注意区間」に応じた制御信号を生成する。報知情報生成部115および制御部11は、生成した報知情報および制御信号を、車両C1に対して滑り状態が発生した位置を含む所定の走行区間を走行あるいは接近している他車両C2および他車両C3にそれぞれ送信する(St31)。
さらに、滑り状態算出部114が、ステップSt29で滑り状態が0(ゼロ)より小さい、かつ速度減少状態でないと判定した場合(St29、NO)には、車両C1の位置情報を含む所定の走行区間を、滑り状態が発生しやすい「滑り注意区間」と判定して報知情報生成部115に判定結果を出力する。この場合、報知情報生成部115は、滑り状態算出部114による滑り状態の判定結果「滑り注意区間」と、滑り状態にある判定されたときの車両C1の位置情報とを含む報知情報を生成する。また、制御部11は、滑り状態算出部114による滑り状態の判定結果「滑り注意区間」に応じた制御信号を生成する。報知情報生成部115および制御部11は、生成した報知情報および制御信号を、車両C1に対して滑り状態が発生した位置を含む所定の走行区間を走行あるいは接近している他車両C2および他車両C3にそれぞれ送信する(St31)。
なお、滑り状態算出部114が、ステップSt24で滑り状態が閾値を超えない場合(St24、NO)には、滑り状態が発生していないと判断して、報知情報を生成しないと判定して、ステップSt21の処理に戻る(St25)。
図11における滑り状態の判定方法および報知手順のフローチャートによって判定される判定結果のうち、ステップSt31で生成され報知される報知情報について、滑り状態の判定結果および出力メッセージの一例を示す図12を参照して説明する。図12は、報知情報生成部115によって生成された報知情報に含まれ、他車両C2、C3が備える出力部32、62のそれぞれに出力される出力メッセージである。
図12に示すように、他車両C2、C3の出力部32,62のそれぞれに出力される出力メッセージは、滑り状態の判定結果によって異なる。出力メッセージT2の内容は、図11を参照して説明したように、ステップSt24、ステップSt27およびステップSt29のそれぞれにおいて滑り状態算出部114によって判定された判定結果に基づいて出力される。なお、出力メッセージの内容は、報知情報を送信する車両C1に対する報知情報を受信する他車両C2、C3の位置関係(例えば、車両C1に対して他車両C2が対向車であって、車両C1に対して他車両C3が並走車である等)によって異なってもよい。
例えば、車両C1が他車両C2,C3にとっての進行方向の前方を走行する前方車両(前車)である場合には「前車がスリップしています。速度を落として車間距離をとってください。」と出力され、車両C1が他車両C2,C3にとっての対向車である場合には「対向車がスリップしています。速度を落として左に寄ってください。」と出力され、車両C1が他車両C2,C3にとっての並走車である場合には「並走車がスリップしています。速度を落として左に寄ってください。」あるいは「並走車がスリップしています。速度を落として右に寄ってください。」と出力される。なお、判定結果および出力メッセージT2は図12に示す内容と同一でなく、図13に示す制御信号に応じた内容であってもよい。さらに、この出力メッセージT2は音声や文字を含まない画像のみで報知されてもよい。これにより、他車両C2がラジオ等の音声のみを出力可能な車載器のみを備える場合であっても、音声で報知情報を報知することができる。また、出力メッセージT2のうち方向を示す内容については、車両C1が走行する道路によって変化してもよい。また、本実施の形態2に係る滑り情報制御システムおよび滑り情報制御方法は右側通行の道路を除くものではなく、車両C1が走行する国および道路に応じた出力メッセージT2を出力する。
図13は、制御信号に応じた制御処理T3の一例を示す図である。制御信号は、滑り状態と判定された例えば車両C1によって生成されて送信される制御信号であって、車両C1の位置情報と滑り状態の判定結果情報とを含む。また、制御処理T3は、車両C1から送信された制御信号を受信した他車両C2、C3のそれぞれのACC装置によって実行される制御の処理であり、車両C1との位置関係によって実行される処理の内容は異なる。以下、車両C1に対する他車両C3の位置関係に応じて、他車両C3のACC装置が実行する制御処理例について図14〜図23を参照して説明する。なお、例として他車両C3の制御処理例について説明するが、制御処理を実行する車両は他車両C3に限らず他車両C2あるいは他の複数の車両であってもよい。
まず、他車両C3の前方を走行する車両C1が現在の走行区間が「滑り注意区間」であるとであると判定して制御信号を送信する場合について、図14および図15を参照して説明する。図14は、車両C1と他車両C3との間のV2V通信例の説明図である。また、図15は他車両C3の制御処理(車間距離)例を示す図である。また、図14および図15に示す進行方向は車両C1の進行方向である。
車両C1は、現在の走行区間が「滑り注意区間」であると判定すると、車両C1の位置情報と現在の走行区間における滑り状態の判定結果とを含む制御信号を、V2V通信によって他車両C3に送信する。他車両C3は、車両C1から受信した制御信号に応じてACC装置による制御処理を実行する。例えば、制御信号が図13の制御処理T3に示す車両C1が加速中である場合には、図14に示すように、他車両C3は車両C1との車間距離をより広い距離L1にする制御処理を実行する。これにより、他車両C3は車間距離をより広い距離L1にすることができ、車両C1に追突する可能性を低減することができる。なお、上述した「滑り注意区間」は、「加速注意区間」または「減速注意区間」でもよい。
また、例えば、制御信号が図13の制御処理T3に示す車両C1が減速中である場合には、図15に示すように、他車両C3は車間距離を距離L1よりもさらに広い距離L2にするように制御処理を実行する。これにより、他車両C3は、車間距離をさらに広い距離L2にすることができ、車両C1への追突回避のための減速処理を実行した他車両C3が「滑り注意区間」を走行して滑り動作(スリップ)をしても、十分な車間距離によって追突の可能性を低減することができる。
次に、他車両C3の対向車線を走行する車両C1が、現在の走行区間が「滑り注意区間」であると判定して制御信号を送信する場合について、図16、図17および図18を参照して説明する。図16は、車両C1と対向車両(他車両C3)との間のV2V通信例の説明図である。また、図17は対向車両(他車両C3)に対する制御処理(回避)例を示す図である。図18は、対向車両(他車両C3)に対する制御処理(車線変更)例を示す図である。なお、図16〜図18に示す進行方向は、車両C1の進行方向である。また、図17および図18に示す車両CC1は、走行中に現在の走行区間が「滑り注意区間」であると判定し、生成した制御信号をV2V通信によって他車両C3に送信した後であって、滑り動作発生後の様子を示す。車両CC1は、滑り動作によって対向車線との境界線を示す中央線LL側に進行する。同様に、図17および図18に示す他車両CC3は、車両C1からV2V通信によって制御信号を受信し、制御信号に応じた制御処理を実行した後の様子を示す。以下、他車両C3が受信した制御信号に応じて実行する制御処理について、図13、図17および図18を用いて説明する。
車両C1は、現在の走行区間が「滑り注意区間」であると判定すると、車両C1の位置情報と現在の走行区間における滑り状態の判定結果とを含む制御信号を、V2V通信によって対向車線を走行する他車両C3に送信する。他車両C3は、車両C1から受信した制御信号に応じてACC装置による制御処理を実行する。例えば、制御信号が図13の制御処理T3に示すように、車両C1が加速中である場合には、他車両C3は減速する制御処理を実行する。これにより、他車両C3は、対向車線から加速状態かつ滑り動作(スリップ)をしている車両C1との衝突の可能性を低減することができる。また、他車両C3は図13に示す減速する制御処理と合わせて、図17および図18に示すように車両C1が接近する方向と反対方向の車線に寄る(回避)、もしくは後続車両がいない等によって周囲の安全が確認できる場合には車線変更等の制御処理を合わせて実行してもよい。
また、例えば、制御信号が図13の制御処理T3に示す車両C1が減速中である場合には、他車両C3は停止するように制御処理を実行する。他車両C3は、対向車線から減速状態かつ滑り動作(スリップ)をしている車両C1との衝突の可能性を低減することができる。また、他車両C3と車両C1とが衝突する場合であっても、他車両C3が減速する制御処理を行うことにより、大事故に繋がる可能性を低減することができる。また、他車両C3と車両C1とが衝突する場合であっても、他車両C3が減速する制御処理を行うことにより、事故に繋がる可能性を低減することができる。また、他車両C3は図13に示す減速する制御処理と合わせて、図17および図18に示すように車両C1と反対方向の車線に寄る、もしくは後続車両がいない等によって周囲の安全が確認できる場合には車線変更等の制御処理を合わせて実行してもよい。
次に、他車両C3と並走する車両C1が、現在の走行区間が「滑り注意区間」であると判定して制御信号を送信する場合について、図13および図19〜図23を参照して説明する。図19は、車両C1と並走車両(他車両C3)との間のV2V通信の説明図である。車両C1および他車両C3は、同じ進行方向に向かって並走している。以下、車両C1および他車両C3が並走する場合に他車両C3が受信した制御信号に応じて実行する制御処理について、図13および図19〜図23を用いて説明する。
例えば、制御信号が図13の制御処理T3に示すように、車両C1が加速中である場合には、他車両C3は減速する、あるいは滑り動作(スリップ)をした車両C1を先行させるように制御処理を実行する。この場合について図21を参照して説明する。図21は、並列車両(他車両C3)に対する制御処理(減速)例を示す図である。図21に示す車両CC1は、走行中に「滑り注意区間」であると判定し、生成した制御信号をV2V通信によって他車両C3に送信した後であって、滑り動作発生後の様子を示す。図21に示す車両CC1は、滑り動作によって並走する他車両C3に接近する方向に進行する。同様に、図21に示す他車両CC3は、車両C1からV2V通信によって制御信号を受信し、制御信号に応じた制御処理を実行した後の様子を示す。車両C1は現在の走行区間が「滑り注意区間」であると判定すると、車両C1の位置情報と現在の走行区間の滑り状態の判定結果とを含む制御信号を、V2V通信によって対向車線を走行する他車両C3に送信する。他車両C3は、車両C1から受信した制御信号に応じて減速する、あるいは動作(スリップ)をした車両C1を先行させるように制御処理を実行する。これにより、他車両C3は、並走する車両C1が滑り動作で他車両C3側に接近する場合であっても、減速する、あるいは動作(スリップ)をしている車両C1を先行させるように制御処理によって他車両C3の走行位置を車両CC1より後方にずらすことができ、衝突する可能性を低減することができる。
また、他車両C3は、他車両C3の後続を走行する後続車両がいる場合には、上述した減速する制御処理が困難な場合等がある。このような場合の他車両C3が実行する制御処理について図20を参照して説明する。図20は、並列車両(他車両C3)に対する制御処理(回避)例を示す図である。他車両C3は、図20に示す他車両CC3のように、接近する車両CC1と反対方向に寄せて走行する。これにより、他車両C3は、他車両C3の後続を走行する後続車両がいる場合であっても、後続車両を事故に巻き込むおそれがなくなり、並走する車両CC1との間の距離を維持することができる。
また例えば、制御信号が図13の制御処理T3に示すように、車両C1が減速中である場合には、他車両C3は走行する車線を変更、あるいは車両C1を追い越すように制御処理を実行する。この場合について図22および図23を参照して説明する。図22は、並列車両(他車両C3)に対する制御処理(車線変更)例を示す図である。図22に示す車両CC1は、走行中に「滑り注意区間」であると判定し、生成した制御信号をV2V通信によって他車両C3に送信した後であって、滑り動作発生後の様子を示す。図22に示す車両CC1は、滑り動作によって並走する他車両C3が走行する車線に接近する方向に進行する。また、図22に示す他車両CC3は、車両C1からV2V通信によって制御信号を受信し、制御信号に応じた制御処理を実行した後の様子を示す。車両C1は現在の走行区間が「滑り注意区間」であると判定すると、車両C1の位置情報と現在の走行区間の滑り状態の判定結果とを含む制御信号を、V2V通信によって対向車線を走行する他車両C3に送信する。他車両C3は、車両C1から受信した制御信号に応じて車両C1が走行する車線と反対側の車線に車線を変更するように制御処理を実行する。これにより、他車両C3は、並走する車両C1が滑り動作で他車両C3側に接近する場合であっても、車線を変更することによって車両C1と衝突する可能性を低減することができる。
一方、図22において他車両C3に接近する車両C1と反対方向に車線がない場合には、他車両C3は接近する車両C1を追い越して、衝突を回避してもよい。この場合について、図23を参照して説明する。図23は、並列車両(他車両C3)に対する制御処理(追い越し)例を示す図である。図23に示す他車両CC3は、車両C1から受信した制御信号に応じて接近する車両CC1を追い越すことが可能な速度に加速し、車両CC1より先行する制御処理を実行する。これにより、他車両C3は、並走する車両C1が滑り動作で他車両C3側に接近する場合であっても、車両C1を追い越して先行することによって、車両C1と衝突する可能性を低減することができる。
以上に示すように、他車両C3は、車両C1から受信した制御信号に応じた制御処理を実行することにより、車両C1に対して追突または車両C1と衝突することを回避することができる。なお、これらの制御処理は、他車両C3のACC装置によって自動的に実行されてもよいし、他車両C3を運転操作するドライバーによって実行されてもよい。また、これらの制御処理は、上述した方法に限らず、例えば車両C1および他車両C3以外の車両の走行状況および走行する道路の状態(例えば、道路の形状または車線の数)等の周辺環境によって最適とされる処理を選択して実行してもよい。
図24は、他車両C3が備える車載器による報知情報の出力例を示す図である。図24において、滑り状態と判定した車両C1が生成した報知情報を受信すると、他車両C3に備えられた出力部62の一例である車載器は、画面Sr4に映像または画像によって報知情報を出力する。車載器は、他車両C3の前車の車両C1から受信した報知情報が「滑り注意区間」である場合には、画面Sr4に前車(車両C1)が走行している走行区間が「滑り注意区間」と判定されている状態を注意喚起情報(報知情報の一例)として出力する。また、車載器が出力する画面Sr4に出力される内容は、図24に示す画像情報に限らず、例えば車載器を備えていない車両であっても出力(報知)可能とするために、表示された所定の走行区間において「この先すべりやすくなっています」等の音声によって報知情報を報知してもよい。
以下、実施の形態1および実施の形態2における各構成要素について、他の実施例を記載する。
滑り状態判定部211は、同じ所定の走行区間において収集された「滑り注意区間」と判定される滑り情報が所定の回数を超える場合に、報知情報を生成して他車両C2もしくは表示装置4に送信してもよい。また、滑り状態判定部211は、所定の時間内であって、同じ所定の走行区間において収集された「滑り注意区間」と判定される滑り情報が所定の回数を超える場合に報知情報を生成して他車両C2もしくは表示装置4に送信してもよい。これにより、滑り状態判定部211は、滑り情報が車両C1のタイヤの空気圧による定常誤差等に基づく誤情報であっても報知することなく、正しい滑り情報を報知することができる。
報知情報生成部22は、滑り状態判定部211から出力される判定結果および所定の区間を含む報知情報を生成する場合に、出力された所定の区間における判定結果が所定の回数を超える場合に報知情報を生成して他車両C2もしくは表示装置4に送信してもよい。これにより、報知情報生成部22は、滑り情報が車両C1のタイヤの空気圧による定常誤差等に基づく誤情報であっても報知することなく、正しい滑り情報を報知することができる。
滑り状態算出部114は、衛星測位情報から取得した位置情報と、衛星測位速度および車速パルス速度とを含む速度情報とから滑り状態を算出して、滑り状態が「滑り注意区間」である場合にはサーバ2に出力してもよい。また、滑り状態算出部114は、算出した滑り状態から滑り状態が所定の閾値を超えるか否かを判定してもよい。これにより、車両C1は車両C1の滑り状態をリアルタイムで観察することができ、また滑り状態が発生した場合には車両内にすぐさま滑り情報を報知することができる。また、サーバ2は滑り状態にある滑り情報のみを受信するため、誤情報を報知することなく、正しい滑り情報を報知することができる。
車両C1は日本国内に所在するのみに限らず、海外においても同様の効果を得ることができ、衛星測定サービスが限定されるものではない。例えば、実施の形態1における人工衛星および準天頂衛星は、それぞれGPS衛星および日本の準天頂衛星に限らず、他の人工衛星と準天頂衛星に相当する人工衛星とであればよい。
また、車両C1および人工衛星Q1〜Q4のそれぞれが使用する信号の種類は、実施の形態1に記載の信号に限らず、他の信号の種類であって同様の効果を得ることができる信号であればよい。
以上、添付図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
本開示は、滑り情報制御システムおよび滑り情報制御方法の提示において、滑り情報が収集された走行区間を通過する車両に滑り情報を効率的に報知する滑り情報出制御ステムおよび滑り情報制御方法として有用である。
2 サーバ
4 表示装置
10,20,30,40 通信部
11,21,31,41 制御部
12,32,42 出力部
22 報知情報生成部
13,23,33,43 メモリ
50 信号生成部
51 信号送信部
111 位置取得部
112 衛星測位速度算出部
113 車速パルス速度算出部
114 滑り状態算出部
211 滑り状態判定部
C1 車両
C2 他車両
Q1,Q2,Q3,Q4 人工衛星

Claims (13)

  1. 車両とサーバとが互いに通信可能な滑り情報出力システムであって、
    前記車両は、
    複数の人工衛星のそれぞれからの衛星測位信号の受信に基づいて、前記車両の走行位置および衛星測位速度を導出し、
    前記車両の車速パルスに基づく前記車両の車速パルス速度を導出し、
    前記走行位置が示す前記車両の位置情報と、前記衛星測位速度と前記車速パルス速度とに基づく前記車両の滑り状態に関する情報とを前記サーバに送信し、
    前記サーバは、
    前記滑り状態が閾値を上回ると判定した場合には、前記滑り状態が検出された前記走行位置を含む走行区間を滑り注意区間と判定し、
    前記走行区間の滑り状態の判定結果に基づく報知情報を生成して報知装置から出力させる、
    滑り情報出力システム。
  2. 前記サーバは、
    前記走行区間の滑り状態として、前記車速パルス速度が加速状態であって、かつ前記車速パルス速度が前記衛星測位速度より大きい場合には、前記走行区間を加速注意区間と判定する、
    請求項1に記載の滑り情報出力システム。
  3. 前記サーバは、
    前記走行区間の滑り状態として、前記車速パルス速度が減速状態であって、かつ前記車速パルス速度が前記衛星測位速度より小さい場合には、前記走行区間を減速注意区間と判定する、
    請求項1または2に記載の滑り情報出力システム。
  4. 前記報知装置は、
    前記走行区間を走行あるいは接近している他車両に搭載された車載器である、
    請求項1から3のうちいずれか一項に記載の滑り情報出力システム。
  5. 前記報知装置は
    前記走行区間の前記滑り状態を表示する表示装置である、
    請求項1から4のうちいずれか一項に記載の滑り情報出力システム。
  6. 前記車両は4機の前記人工衛星から前記衛星測位信号を受信する、
    請求項1から5のうちいずれか一項に記載の滑り情報出力システム。
  7. 前記車両は、前記人工衛星として少なくとも1機の準天頂衛星から前記衛星測位信号を受信する、
    請求項1から6のうちいずれか一項に記載の滑り情報出力システム。
  8. 前記車両は、前記準天頂衛星から測位を補正するための測位補正信号を受信する、
    請求項7に記載の滑り情報出力システム。
  9. 前記測位補正信号はL1S信号である、
    請求項8に記載の滑り情報出力システム。
  10. 前記測位補正信号はL6信号である、
    請求項9に記載の滑り情報出力システム。
  11. 車両とサーバとが互いに通信可能な滑り情報出力システムにおける滑り情報出力方法であって、
    複数の人工衛星のそれぞれからの衛星測位信号の受信に基づいて、前記車両の走行位置および衛星測位速度を導出し、
    前記車両の車速パルスに基づく前記車両の車速パルス速度を導出し、
    前記衛星測位速度と前記車速パルス速度とを用いて前記車両の滑り状態を算出し、
    前記滑り状態が閾値を上回ると判定した場合には、前記滑り状態が検出された前記走行位置を含む走行区間を滑り注意区間と判定し、
    前記走行区間の滑り状態の判定結果に基づく報知情報を生成して報知装置から出力させる、
    滑り情報出力方法。
  12. 前記走行区間の滑り状態として、前記車速パルス速度が加速状態であって、かつ前記車速パルス速度が前記衛星測位速度より大きい場合には、前記走行位置を含む区間を加速注意区間と判定する、
    請求項11に記載の滑り情報出力方法。
  13. 前記走行区間の滑り状態として、前記車速パルス速度が減速状態であって、かつ前記車速パルス速度が前記衛星測位速度より小さい場合には、前記走行位置を含む区間を減速注意区間と判定する、
    請求項11または12に記載の滑り情報出力方法。
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