JP2020163525A - 転削工具 - Google Patents
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Description
本実施形態の刃先交換式フライスカッタ1は、金属材料等の被削材にフライス加工を施す転削工具(切削工具)である。刃先交換式フライスカッタ1は、被削材に主に正面削り等の転削加工(切削加工)を施す。正面削りとは、被削材に対して、工具本体2の中心軸Oに垂直な加工面を形成するフライス削りである。
インサート30は、工具本体2の先端外周部に周方向に互いに間隔をあけて複数配置される。インサート30は、切削インサートまたは切削チップと呼ばれる。インサート30は、工具本体2の先端外周部に着脱可能に装着される。図1〜図5に示すように、工具本体2の先端外周部には、周方向に互いに間隔をあけて複数のインサート取付座4が設けられる。図1〜図4に示すように、各インサート30は、各インサート取付座4に対して着脱可能に取り付けられる。
本実施形態の刃先交換式フライスカッタ1は、インサート取付座4が工具本体2に周方向に間隔をあけて10箇所以上(例えば20箇所)設けられており、インサート30もインサート取付座4の数と同じ数だけ、10個以上(例えば20個)設けられる。この刃先交換式フライスカッタ1は、いわゆる多刃タイプのフライスカッタである。なお、本実施形態では、転削工具として多刃タイプのものを例示したが、必ずしも多刃タイプに限定されない。
本実施形態では、工具本体2の中心軸Oに沿う方向(中心軸Oが延びる方向)を、軸方向と呼ぶ。軸方向のうち、工作機械の主軸に取り付けられる工具本体2の取付部5から、インサート取付座4およびインサート30へ向かう方向を、先端側と呼び、インサート取付座4およびインサート30から取付部5へ向かう方向を、後端側と呼ぶ。
中心軸Oに直交する方向を径方向と呼ぶ。径方向のうち、中心軸Oに接近する向きを径方向の内側と呼び、中心軸Oから離れる向きを径方向の外側と呼ぶ。
中心軸O回りに周回する方向を周方向と呼ぶ。周方向のうち、切削加工時に工作機械の主軸により工具本体2が回転させられる向きを、工具回転方向Tと呼び、これとは反対の回転方向を、工具回転方向Tとは反対方向(または反工具回転方向)と呼ぶ。
工具本体2は、外側本体部21と、内側本体部22と、空間部23と、クーラント孔3と、を有する。また、工具本体2は、チップポケット6と、インサート取付座4と、支持部24と、窪み部25と、を有する。チップポケット6、インサート取付座4、支持部24および窪み部25は、外側本体部21に配置される。
なお、本実施形態において、周方向に隣り合う窪み部25同士の間(後述する、部分2b)は、窪み部25に対して径方向外側に凸となっている。しかしながら、窪み部25は、周方向に沿って一つながりの円柱面であってもよい。この場合、窪み部25は、旋盤によって加工することができる。
内側本体部22は、略円柱状である。内側本体部22は、外側本体部21の内部に配置される。すなわち、内側本体部22は、外側本体部21の内部に位置する部分を有する。内側本体部22は、例えばアルミ材製である。内側本体部22の比重は、外側本体部21の比重よりも小さい。
円柱部22aの後端面(上面)には、取付部5が形成される。取付部5は、円柱部22aの後端面に開口し、この後端面から先端側に窪む穴である。取付部5には、工作機械の主軸が挿入される。
フランジ部22bは、円柱部22aの後端部(上端部)から径方向外側に広がる。フランジ部22bは、円形リング板状である。フランジ部22bの先端面(下面)は、外側本体部21の周壁の後端面(上面)に対向する。
円柱部22aの先端面のうち、外周端部および内周端部は、外側本体部21の底壁の後端面に対して、後端側から接触する。円柱部22aと外側本体部21の底壁とは、ネジ部材40により締結され、互いに固定される。
第2空間部23bは、外側本体部21の底壁と、円柱部22aの先端面との間に配置される。第2空間部23bは、中心軸Oを中心とする円形リング状の空間である。第2空間部23bは、円柱部22aの先端面のうち、外周端部と内周端部との間に位置する。第2空間部23bは、クーラント孔3の流路の一部を構成する。
第2クーラント孔3bは、外側本体部21を貫通する。第2クーラント孔3bは、外側本体部21の底壁の後端面および周壁の外周面に開口する。第2クーラント孔3bの後端部は、第2空間部23bと繋がる。第2クーラント孔3bの先端部(径方向外端部)は、チップポケット6に開口する。第2クーラント孔3bの先端部は、インサート30の切刃7に向けて開口する。第2クーラント孔3bは、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。第2クーラント孔3bの数は、チップポケット6の数やインサート30の数と同じ(例えば20本)である。
インサート取付座4は、工具本体2(外側本体部21)の先端外周部のうち、チップポケット6の工具回転方向Tとは反対方向に隣接して配置される。言い換えると、チップポケット6が、インサート取付座4に対して工具回転方向Tに隣接して配置される。インサート取付座4は、インサート30の形状に対応して、長方形穴状または溝状をなす。
インサート取付座4の詳しい説明および工具本体2の上述以外の部分の説明については、別途後述する。
図6に示すように、インサート30は、例えば正面フライス加工(正面削り)に用いられる正面フライス用インサートである。インサート30は、先端部31tを軸方向先端側に向けた状態で工具本体2に取り付けられる。後述するように、工具本体2に装着される複数のインサート30は、互いに切刃7の形状が異なる少なくとも2種類のインサート30A、30Bに分類される。
インサート30は、工具本体2のインサート取付座4に取り付けられるインサート本体31と、インサート本体31のすくい面32と逃げ面33との交差稜線に沿って延び、インサート本体31の先端外周部に配置される切刃7と、肉抜き部60と、クランプ凹部37と、を有する。
台金部34は、例えば超硬合金製である。刃部35は、台金部34よりも硬度が高いダイヤモンド焼結体やcBN焼結体等の超高圧焼結体製である。ただしこれに限らず、インサート本体31は、台金部34および刃部35を含む全体が例えば超硬合金製であり、単一部材により一体に形成されていてもよい。
図6において、切刃7のうち、インサート本体31の短手方向に延びる部分は、正面刃7aである。正面刃7aは、直線状である。なお、正面刃7aは直線状に限らず、例えば、大きな曲率半径を有する凸曲線状等であってもよい。正面刃7aは、インサート30がインサート取付座4に装着されたときに、該インサート取付座4から工具本体2の先端側に向けて突出する。
切刃7のうち、インサート本体31の長手方向に延びる部分は、外周刃7bである。外周刃7bは、直線状である。外周刃7bは、インサート30がインサート取付座4に装着されたときに、該インサート取付座4から工具本体2の径方向外側に向けて突出する。
切刃7のうち、正面刃7aと外周刃7bとの間に位置する部分は、コーナ刃7cである。コーナ刃7cは、凸曲線状または直線状である。コーナ刃7cは、インサート30がインサート取付座4に装着されたときに、該インサート取付座4から工具本体2の先端外周側に向けて突出する。
調整部50に径方向外側へ向けた遠心力が作用したときに、インサート30は、この遠心力を第二遠心力受け部44で受ける。
工具本体2のインサート取付座4について、詳しく説明する。
図2、図3、図5に示すように、インサート取付座4は、工具本体2の先端面と外周面とに開口して軸方向に延びる。インサート取付座4は、工具回転方向Tとは反対方向を向く第1壁面8と、工具回転方向Tを向く第2壁面9と、該インサート取付座4の径方向内側の端部に位置して径方向外側を向く第3壁面10と、クランプネジ孔11と、を有する。
インサート30は、インサート取付座4に対して軸方向に沿ってスライド移動する。つまり、インサート30は、工具本体2に対して軸方向に沿ってスライド移動する。
図3に示すように、調整部50は、工具本体2(外側本体部21)の外周に、周方向に互いに間隔をあけて複数配置される。調整部50は、インサート30を軸方向の先端側へ向けて押圧し、インサート30の軸方向の位置を調整する。調整部50は、工具本体2に対してインサート30の軸方向の位置を調整することにより、切刃7の軸方向の位置を調整する。調整部50の数は、インサート30の数と同一であり、本実施形態の例では、工具本体2の外周に調整部50が10個以上(例えば20個)設けられる。
軸部材51は、工具本体2に支持される。軸部材51は、工具本体2に螺着される。ナット部材52は、軸部材51に螺着し、インサート30に接触する。
第1ネジ軸53の外径は、第2ネジ軸54の外径よりも大きい。第1ネジ軸53の外周面および第2ネジ軸54の外周面には、それぞれ、雄ネジ部が形成される。第1ネジ軸53の雄ネジ部と、第2ネジ軸54の雄ネジ部とは、互いにネジのピッチが異なる。具体的には、第1ネジ軸53の雄ネジ部のネジのピッチが、第2ネジ軸54の雄ネジ部のネジのピッチよりも大きい。
このため、クランプネジ19を緩めた状態または仮締めした状態において、工具本体2に対する軸部材51のねじ込み量、および、軸部材51に対するナット部材52のねじ込み量のいずれかを調整することにより、インサート30の軸方向の位置が調整される。すなわち、作業用工具を操作して、軸部材51およびナット部材52のいずれかを中心線C回りに回転させることにより、インサート取付座4に対して、インサート30および切刃7の軸方向の位置が調整可能である。インサート30の位置調整を行った後は、クランプネジ19をねじ込んで本締めすることにより、インサート取付座4に対してインサート30が固定される。
なお、クランプネジ19を本締めした状態において、工具本体2に対する軸部材51のねじ込み量、および、軸部材51に対するナット部材52のねじ込み量のいずれかを調整することにより、インサート30の軸方向の位置を微調整してもよい。
調整部50に径方向外側へ向けた遠心力が作用したときに、インサート30は、この遠心力を第二遠心力受け部44で受ける。すなわち、凹部43の第二遠心力受け部44が、凸部58を径方向内側へ向けて支持可能である。
工具本体2の上述以外の部分について、説明する。
図3および図4に示すように、支持部24は、調整部50の軸方向の後端側に配置されて、調整部50を支持する。支持部24は、工具本体2の外周面に、周方向に互いに間隔をあけて複数配置される。支持部24の数は、調整部50の数と同一であり、本実施形態の例では、工具本体2の外周に支持部24が10個以上(例えば20個)設けられる。支持部24は、外側本体部21の周壁の外周面のうち、後端部に配置される。
支持部24は、工具本体2の外周面のうち、支持部24の先端側に隣り合う部分(窪み部25)よりも、径方向外側に向けて突出する。
軸方向から見て、支持部24と、調整部50と、インサート取付座4と、インサート30とは、互いに重なって配置される。
また、工具本体2の外周面のうち、上記部分2bの先端側に隣接する部分は、上記部分2bよりも径方向外側に突出する。
以上説明した本実施形態の刃先交換式フライスカッタ1によれば、互いに異なる種類である第1インサート30Aおよび第2インサート30Bの重量の差が、肉抜き部60によって互いに近づけられる。これにより、複数のインサート30における重量の差が小さくなり、刃先交換式フライスカッタ1の中心軸O回りの重量バランスが安定する。このため、刃先交換式フライスカッタ1の回転数を高めた場合であっても刃先交換式フライスカッタ1の振動が抑制される。結果的に、刃先交換式フライスカッタ1を用いて加工した加工面の品質を確保しつつ、刃先交換式フライスカッタ1の工具回転数の上限を高めることが可能となる。
すなわち、インサート30が着脱式の切削インサートまたは切削チップである。このため、インサート30が工具寿命となった際には、別の新しいインサート30と交換することにより、加工精度を良好に維持できる。また、被削材の種類や加工形態等に応じて、様々な切刃7を有する複数種類のインサート30を用意し、選択的に使用することができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
この第1変形例では、インサート130に形成された肉抜き部160が、肉抜き凹部162を有する。肉抜き凹部162は、インサート本体31の先端部31tの端面31sよりも軸方向基端側に形成されている。つまり、肉抜き凹部162は、インサート本体31の端面31sから軸方向先端側に開口していない。
この第2変形例では、インサート230に形成された肉抜き部260が、肉抜き凹部263を有する。肉抜き凹部263は、インサート本体31において先端部31tに配置されている。肉抜き凹部263は、インサート本体31の裏面31gから、インサート本体31の厚さ方向に窪んでいる。肉抜き凹部263は、インサート本体31において、主面31fに形成されたクランプ凹部37よりも軸方向先端側に形成されている。インサート本体31において、クランプ凹部37と肉抜き凹部263とは、軸方向に間隔をあけて形成されている。
例えば、上述の実施形態において、ナット部材52は、凸テーパ面52bにおいて、インサート30と接触するが、凸テーパ面52bはインサート30と隙間を介して対向していてもよい。この場合、ナット部材52は、他の部分でインサート30と接触する。
2…工具本体
4…インサート取付座
7…切刃
19…クランプネジ
30、130、230…インサート(切削インサート)
30A…第1インサート
30B…第2インサート
31…インサート本体
31f…主面(多角形面)
31g…裏面(多角形面)
31s…端面
31t…先端部
32…すくい面
36…遠心力受け部
37…クランプ凹部
44…第二遠心力受け部(遠心力受け部)
50…調整部
60、160、260…肉抜き部
61、162、263…肉抜き凹部
G…重心
O…中心軸
Claims (5)
- 中心軸回りに回転させられる工具本体と、
前記工具本体の先端外周部に周方向に互いに間隔をあけ先端部を前記中心軸方向先端側に向けた状態て配置される複数の切削インサートと、を備え、
前記切削インサートは、
多角形板状のインサート本体と、
前記インサート本体の一方の多角形面において、コーナ部に設けられ、前記多角形面上にすくい面を有する切刃と、を有し、
複数の前記切削インサートは、少なくとも2つの種類の前記切削インサートに分類され、
2種類の前記切削インサートのうち少なくとも一方の切削インサートは、他方の切削インサートの重量に近づけるための肉抜き部を有する、
転削工具。 - 2種類の前記切削インサートの重量の差が、1.0g以下である、
請求項1に記載の転削工具。 - 前記肉抜き部は、前記インサート本体の前記先端部に形成され、前記多角形面から前記インサート本体の厚さ方向に窪む、
請求項1又は2に記載の転削工具。 - 前記切削インサートは、前記インサート本体の一方の前記多角形面に設けられ、前記多角形面から前記厚さ方向に窪み、前記インサート本体を前記工具本体に固定するためのクランプネジの先端が接触するクランプ凹部をさらに備え、
前記肉抜き部は、前記クランプ凹部に対して前記先端部側に配置されている、
請求項3に記載の転削工具。 - 平面視において、前記インサート本体の重心が、前記クランプ凹部内に位置している、
請求項4に記載の転削工具。
Priority Applications (1)
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JP2002200518A (ja) * | 2000-10-27 | 2002-07-16 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 回転切削工具用切削チップ、回転切削工具及びこれらを使った切削加工方法 |
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2019
- 2019-03-29 JP JP2019067122A patent/JP7243001B2/ja active Active
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH06155130A (ja) * | 1992-11-12 | 1994-06-03 | Hitachi Ltd | エンドミル |
JP2002200518A (ja) * | 2000-10-27 | 2002-07-16 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 回転切削工具用切削チップ、回転切削工具及びこれらを使った切削加工方法 |
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