JP2020163525A - 転削工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数種類の切削インサートを有する転削工具であって、回転数を高めた場合であっても加工面の品質を確保できる転削工具を提供する。【解決手段】中心軸O回りに回転させられる工具本体2と、工具本体の先端外周部に周方向に互いに間隔をあけ先端部を中心軸方向先端側に向けた状態て配置される複数の切削インサート30と、を備え、切削インサートは、多角形板状のインサート本体と、インサート本体の一方の多角形面において、コーナ部に設けられ、多角形面上にすくい面を有する切刃7と、を有し、複数の切削インサートは、少なくとも2つの種類の切削インサートに分類され、2種類の切削インサートのうち少なくとも一方の切削インサートは、他方の切削インサートの重量に近づけるための肉抜き部を有する転削工具。【選択図】図1

Description

本発明は、転削工具に関する。
従来、特許文献1の刃先交換式フライスが知られる。刃先交換式フライスは、軸線回りに回転させられる工具本体と、複数の切削インサートと、調整機構と、を備える。工具本体は、先端外周部にインサート取付座を有する。切削インサートは、インサート取付座に着脱可能に取り付けられる。調整機構は、切削インサートの中心軸方向の位置を調整する。調整機構は、切削インサートに中心軸方向の後端側から接触し、切削インサートを先端側へ向けて押圧する。
特開2015−27707号公報
この種の転削工具には、荒加工と仕上げ加工を同時に行うために、荒加工用および仕上げ用の2種類の切削インサートが取り付けられる場合がある。この場合、仕上げ用のインサートは、例えば1つだけ取り付けられる。一般的に異なる種類の切削インサートは、重量が異なる。このため、異なる種類のインサートを転削工具の軸線回りに非対称に配置すると、軸線回りの重量バランスが非対称となる。このため、転削工具の回転数を高めると、転削工具の回転軸が偏心し振動が生じて切込み量が不安定となり、切削加工の品質が低下する虞があった。
本発明は、上記事情に鑑み、複数種類の切削インサートを有する転削工具であって、回転数を高めた場合であっても加工面の品質を確保できる転削工具の提供を目的の一つとする。
本発明の転削工具の一つの態様は、中心軸回りに回転させられる工具本体と、前記工具本体の先端外周部に周方向に互いに間隔をあけ先端部を前記中心軸方向先端側に向けた状態て配置される複数の切削インサートと、を備え、前記切削インサートは、多角形板状のインサート本体と、前記インサート本体の一方の多角形面において、コーナ部に設けられ、前記多角形面上にすくい面を有する切刃と、を有し、複数の前記切削インサートは、少なくとも2つの種類の前記切削インサートに分類され、2種類の前記切削インサートのうち少なくとも一方の切削インサートは、他方の切削インサートの重量に近づけるための肉抜き部を有する。
本発明の転削工具の一つの態様によれば、互いに異なる種類の切削インサートの重量の差が、肉抜き部によって近づけられる。これにより、複数の切削インサートにおける重量の差が小さくなり、転削工具の中心軸回りの重量バランスが安定し、回転数を高めた場合であっても転削工具の振動が抑制される。結果的に、当該転削工具を用いて加工した加工面の品質を確保しつつ、転削工具の工具回転数の上限を高めることが可能となる。
上記転削工具において、2種類の前記切削インサートの重量の差が、1.0g以下であってもよい。
この場合、転削工具の中心軸回りの重量バランスがより確実に安定し、回転数を高めた場合であっても転削工具の振動が抑制される。
上記転削工具において、前記肉抜き部は、前記インサート本体の前記先端部に形成され、前記多角形面から前記インサート本体の厚さ方向に窪む、構成としてもよい。
この場合、インサート本体の先端部に肉抜き部が形成されているので、切削インサートの先端部側が軽くなる。これにより、切削インサートの重心位置が、中心軸方向基端側に近づく。したがって、工具本体が中心軸回りに回転したときに、切削インサートの先端部側が遠心力によって径方向外側に変位するのを抑えることができる。その結果、工具回転数の上限を高めることが可能となる。
上記転削工具において、前記切削インサートは、前記インサート本体の一方の前記多角形面に設けられ、前記多角形面から前記厚さ方向に窪み、前記インサート本体を前記工具本体に固定するためのクランプネジの先端が接触するクランプ凹部をさらに備え、前記肉抜き部は、前記クランプ凹部に対して前記先端部側に配置されている、構成としてもよい。
この場合、クランプ凹部に対して中心軸方向先端側に肉抜き部が形成されているので、切削インサートの先端部側が軽くなる。切削インサートの重心位置をクランプ凹部側に設定することができる。これにより、工具本体が中心軸回りに回転したときに、切削インサートの先端部側が遠心力によって径方向外側に変位するのを抑えることができる。
上記転削工具において、平面視において、前記インサート本体の重心が、前記クランプ凹部内に位置している、構成としてもよい。
この場合、インサート本体の重心が、クランプ凹部内で先端が接触するクランプネジに近い位置となる。これにより、遠心力によってインサート本体がクランプネジの先端が接触した位置を中心として回転しにくくなる。したがって、切削インサートの先端部側が遠心力によって径方向外側に変位するのを抑えることができる。
本発明の一つの態様によれば、複数種類の切削インサートを有する転削工具であって、回転数を高めた場合であっても加工面の品質を確保できる転削工具を提供できる。
本発明の一実施形態の刃先交換式フライスカッタを斜め下方から見た斜視図である。 本発明の一実施形態の刃先交換式フライスカッタの下面図である。 本発明の一実施形態の刃先交換式フライスカッタの側面図である。 本発明の一実施形態の刃先交換式フライスカッタの縦断面図である。 工具本体を示す斜視図である。 本発明の一実施形態の切削インサートを示す斜視図である。 本発明の一実施形態の切削インサートの位置調整機構を示す正面図である。 図7の調整部の(a)ナット部材を示す斜視図、(b)軸部材を示す斜視図である。 第1変形例の切削インサートを示す斜視図である。 第2変形例の切削インサートを示す斜視図である。 図10の切削インサートを裏面側から見た斜視図である。
以下、本発明の一実施形態の転削工具の一例である刃先交換式フライスカッタ1、および、この刃先交換式フライスカッタ1が備える切削インサート(以下、単にインサート)30について、図面を参照して説明する。
〔刃先交換式フライスカッタおよびインサートの概略構成〕
本実施形態の刃先交換式フライスカッタ1は、金属材料等の被削材にフライス加工を施す転削工具(切削工具)である。刃先交換式フライスカッタ1は、被削材に主に正面削り等の転削加工(切削加工)を施す。正面削りとは、被削材に対して、工具本体2の中心軸Oに垂直な加工面を形成するフライス削りである。
図1〜図4に示すように、刃先交換式フライスカッタ1は、工具本体2と、複数のインサート30と、複数の調整部50と、を備える。
工具本体2は、中心軸Oを中心とする略円筒状である。工具本体2は、図示しない工作機械の主軸に装着され、主軸により中心軸O回りに回転させられる。
インサート30は、工具本体2の先端外周部に周方向に互いに間隔をあけて複数配置される。インサート30は、切削インサートまたは切削チップと呼ばれる。インサート30は、工具本体2の先端外周部に着脱可能に装着される。図1〜図5に示すように、工具本体2の先端外周部には、周方向に互いに間隔をあけて複数のインサート取付座4が設けられる。図1〜図4に示すように、各インサート30は、各インサート取付座4に対して着脱可能に取り付けられる。
インサート30は、切刃7を有する。インサート取付座4に取り付けられたインサート30は、その切刃7が、工具本体2よりも先端側および径方向外側に突出して配置される。
本実施形態の刃先交換式フライスカッタ1は、インサート取付座4が工具本体2に周方向に間隔をあけて10箇所以上(例えば20箇所)設けられており、インサート30もインサート取付座4の数と同じ数だけ、10個以上(例えば20個)設けられる。この刃先交換式フライスカッタ1は、いわゆる多刃タイプのフライスカッタである。なお、本実施形態では、転削工具として多刃タイプのものを例示したが、必ずしも多刃タイプに限定されない。
刃先交換式フライスカッタ1は、その工具本体2の上側部分が工作機械の主軸に取り付けられる。刃先交換式フライスカッタ1は、主軸により、工具本体2が中心軸O回りの工具回転方向Tに回転させられつつ、中心軸Oに交差する方向(例えば直交する方向)に移動させられる。そして、工具本体2に装着された複数のインサート30の切刃7により、被削材をフライス加工する。
〔本実施形態で用いる向き(方向)の定義〕
本実施形態では、工具本体2の中心軸Oに沿う方向(中心軸Oが延びる方向)を、軸方向と呼ぶ。軸方向のうち、工作機械の主軸に取り付けられる工具本体2の取付部5から、インサート取付座4およびインサート30へ向かう方向を、先端側と呼び、インサート取付座4およびインサート30から取付部5へ向かう方向を、後端側と呼ぶ。
中心軸Oに直交する方向を径方向と呼ぶ。径方向のうち、中心軸Oに接近する向きを径方向の内側と呼び、中心軸Oから離れる向きを径方向の外側と呼ぶ。
中心軸O回りに周回する方向を周方向と呼ぶ。周方向のうち、切削加工時に工作機械の主軸により工具本体2が回転させられる向きを、工具回転方向Tと呼び、これとは反対の回転方向を、工具回転方向Tとは反対方向(または反工具回転方向)と呼ぶ。
〔工具本体の説明1〕
工具本体2は、外側本体部21と、内側本体部22と、空間部23と、クーラント孔3と、を有する。また、工具本体2は、チップポケット6と、インサート取付座4と、支持部24と、窪み部25と、を有する。チップポケット6、インサート取付座4、支持部24および窪み部25は、外側本体部21に配置される。
なお、本実施形態において、周方向に隣り合う窪み部25同士の間(後述する、部分2b)は、窪み部25に対して径方向外側に凸となっている。しかしながら、窪み部25は、周方向に沿って一つながりの円柱面であってもよい。この場合、窪み部25は、旋盤によって加工することができる。
図4に示すように、外側本体部21は、有底筒状である。外側本体部21は、周壁と、底壁と、を有する。外側本体部21は、例えば鋼材製である。
内側本体部22は、略円柱状である。内側本体部22は、外側本体部21の内部に配置される。すなわち、内側本体部22は、外側本体部21の内部に位置する部分を有する。内側本体部22は、例えばアルミ材製である。内側本体部22の比重は、外側本体部21の比重よりも小さい。
内側本体部22は、円柱部22aと、フランジ部22bと、を有する。
円柱部22aの後端面(上面)には、取付部5が形成される。取付部5は、円柱部22aの後端面に開口し、この後端面から先端側に窪む穴である。取付部5には、工作機械の主軸が挿入される。
フランジ部22bは、円柱部22aの後端部(上端部)から径方向外側に広がる。フランジ部22bは、円形リング板状である。フランジ部22bの先端面(下面)は、外側本体部21の周壁の後端面(上面)に対向する。
円柱部22aの外周面のうち、フランジ部22bの先端側に隣接する部分は、外側本体部21の周壁の後端開口内に嵌合する。
円柱部22aの先端面のうち、外周端部および内周端部は、外側本体部21の底壁の後端面に対して、後端側から接触する。円柱部22aと外側本体部21の底壁とは、ネジ部材40により締結され、互いに固定される。
空間部23は、外側本体部21と内側本体部22との間に位置する。空間部23は、工具本体2の内部に設けられる肉抜き空間である。空間部23は、第1空間部23aと、第2空間部23bと、を有する。
第1空間部23aは、外側本体部21の周壁と、円柱部22aの外周面との間に配置される。第1空間部23aは、中心軸Oを中心とする円筒状の空間である。
第2空間部23bは、外側本体部21の底壁と、円柱部22aの先端面との間に配置される。第2空間部23bは、中心軸Oを中心とする円形リング状の空間である。第2空間部23bは、円柱部22aの先端面のうち、外周端部と内周端部との間に位置する。第2空間部23bは、クーラント孔3の流路の一部を構成する。
クーラント孔3は、工具本体2の内部を延びる。クーラント孔3は、工具本体2を貫通する。工作機械の主軸を通して供給されるクーラント(切削液剤)が、クーラント孔3の内部を流通する。クーラント孔3は、第1クーラント孔3aと、第2クーラント孔3bと、第2空間部23bと、を有する。
第1クーラント孔3aは、内側本体部22を貫通する。第1クーラント孔3aは、取付部5の内周面および円柱部22aの先端面に開口する。第1クーラント孔3aの先端部は、第2空間部23bと繋がる。第1クーラント孔3aは、周方向に互いに間隔をあけて複数(例えば4本)設けられる。
第2クーラント孔3bは、外側本体部21を貫通する。第2クーラント孔3bは、外側本体部21の底壁の後端面および周壁の外周面に開口する。第2クーラント孔3bの後端部は、第2空間部23bと繋がる。第2クーラント孔3bの先端部(径方向外端部)は、チップポケット6に開口する。第2クーラント孔3bの先端部は、インサート30の切刃7に向けて開口する。第2クーラント孔3bは、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。第2クーラント孔3bの数は、チップポケット6の数やインサート30の数と同じ(例えば20本)である。
図1および図2に示すように、チップポケット6は、工具本体2(外側本体部21)の先端外周部に周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。チップポケット6は、工具本体2の先端外周部において凹状に窪んで形成される。
インサート取付座4は、工具本体2(外側本体部21)の先端外周部のうち、チップポケット6の工具回転方向Tとは反対方向に隣接して配置される。言い換えると、チップポケット6が、インサート取付座4に対して工具回転方向Tに隣接して配置される。インサート取付座4は、インサート30の形状に対応して、長方形穴状または溝状をなす。
インサート取付座4の詳しい説明および工具本体2の上述以外の部分の説明については、別途後述する。
〔インサート〕
図6に示すように、インサート30は、例えば正面フライス加工(正面削り)に用いられる正面フライス用インサートである。インサート30は、先端部31tを軸方向先端側に向けた状態で工具本体2に取り付けられる。後述するように、工具本体2に装着される複数のインサート30は、互いに切刃7の形状が異なる少なくとも2種類のインサート30A、30Bに分類される。
インサート30は、工具本体2のインサート取付座4に取り付けられるインサート本体31と、インサート本体31のすくい面32と逃げ面33との交差稜線に沿って延び、インサート本体31の先端外周部に配置される切刃7と、肉抜き部60と、クランプ凹部37と、を有する。
インサート本体31は、多角形板状である。本実施形態の例では、インサート本体31が長方形板状である。インサート30がインサート取付座4に装着されると、インサート本体31の長方形面(多角形面、主面31fおよび裏面31g)の長手方向は、工具本体2の軸方向に沿って配置される(図2参照)。また、インサート本体31の長方形面の短手方向は、工具本体2の径方向に沿って配置される(図1参照)。
インサート本体31は、長方形板状の台金部34と、該台金部34の1つのコーナ部に接合され、切刃7が形成された三角形板状の刃部35と、を有する。
台金部34は、例えば超硬合金製である。刃部35は、台金部34よりも硬度が高いダイヤモンド焼結体やcBN焼結体等の超高圧焼結体製である。ただしこれに限らず、インサート本体31は、台金部34および刃部35を含む全体が例えば超硬合金製であり、単一部材により一体に形成されていてもよい。
本実施形態においては、刃部35が、インサート本体31の主面および裏面を構成する一対の多角形面(長方形面)のうち、一方の多角形面(主面31f)の1つのコーナ部に配置されて、台金部34にロウ付けや一体焼結等により接合されている。上記コーナ部は、インサート30がインサート取付座4に装着されたときに、刃先交換式フライスカッタ1の先端外周部に位置するコーナ部である。したがって、上記コーナ部は、先端部31tのコーナ部である。
台金部34の一方の多角形面である主面31fには、主面31fから厚さ方向に窪むクランプ凹部37が形成されている。本実施形態の例では、インサート30を厚さ方向から見た平面視で、クランプ凹部37がD字状をなす。ただし、クランプ凹部37は、平面視でD字状に限らない。クランプ凹部37の深さは、インサート本体31の短手方向に沿って刃部35とは反対側の端部から刃部35側へ向かうにしたがい深くなる。つまりクランプ凹部37の底面は、傾斜面である。インサート30がインサート取付座4に装着されたときに、クランプ凹部37の底面は、径方向外側に向かうにしたがい工具回転方向Tとは反対方向に向けて延びる。
台金部34の一方の多角形面において、クランプ凹部37と刃部35との間に位置する部分には、該多角形面から厚さ方向に突出するリブ38が形成されている。インサート30の平面視において、リブ38は、略直角三角形状をなす刃部35の斜辺と略平行に、直線状に延びる。リブ38は、刃部35に対してインサート本体31の長手方向および短手方向から対向するように配置される。このため、インサート30がインサート取付座4に装着されたときに、リブ38は、切刃7に対して、軸方向の後端側からかつ径方向の内側から、対向して配置される。リブ38には、切刃7が被削材を切削して生じた切屑が接触する。
図1に示すように、インサート30の厚さは、インサート本体31の短手方向に沿って、刃部35から該刃部35とは反対側の端部へ向かうにしたがい厚くなる。すなわち、インサート30がインサート取付座4に装着されたときに、インサート30の厚さは、径方向内側に向かうにしたがい厚くなる。
図2に示すように、インサート30がインサート取付座4に装着されたときに、切刃7のアキシャルレーキ(軸方向すくい角)は、ポジティブ(正)角である。
図6において、切刃7のうち、インサート本体31の短手方向に延びる部分は、正面刃7aである。正面刃7aは、直線状である。なお、正面刃7aは直線状に限らず、例えば、大きな曲率半径を有する凸曲線状等であってもよい。正面刃7aは、インサート30がインサート取付座4に装着されたときに、該インサート取付座4から工具本体2の先端側に向けて突出する。
切刃7のうち、インサート本体31の長手方向に延びる部分は、外周刃7bである。外周刃7bは、直線状である。外周刃7bは、インサート30がインサート取付座4に装着されたときに、該インサート取付座4から工具本体2の径方向外側に向けて突出する。
切刃7のうち、正面刃7aと外周刃7bとの間に位置する部分は、コーナ刃7cである。コーナ刃7cは、凸曲線状または直線状である。コーナ刃7cは、インサート30がインサート取付座4に装着されたときに、該インサート取付座4から工具本体2の先端外周側に向けて突出する。
図4、図6、図7に示すように、インサート30は、遠心力受け部36を有する。遠心力受け部36は、調整部50を径方向内側へ向けて支持可能である。遠心力受け部36は、調整部50の後述するナット部材52を、径方向内側へ向けて支持可能である。遠心力受け部36は、切削加工時において調整部50に作用する遠心力(工具の径方向外側へ向かう力)を、径方向外側から受ける。なお、調整部50の詳しい説明については、別途後述する。
遠心力受け部36は、インサート30(インサート本体31)の後端部に配置される。遠心力受け部36は、インサート30の後端部に設けられ、調整部50の先端部を径方向内側へ向けて支持可能である。本実施形態では、遠心力受け部36が、調整部50と径方向に接触する。遠心力受け部36は、調整部50に対して径方向外側から接触する。本実施形態の例では、遠心力受け部36が、調整部50と軸方向にも接触する。遠心力受け部36は、調整部50に対して先端側から接触する。
具体的に、遠心力受け部36は、インサート30(インサート本体31)の後端面30aに配置される。後端面30aは、径方向内側へ向かうにしたがい先端側へ向けて延びる傾斜面である。このため、遠心力受け部36も、径方向内側へ向かうにしたがい先端側へ向けて延びる傾斜面である。言い換えると、遠心力受け部36は、先端側へ向かうにしたがい径方向内側へ向けて延びる傾斜面である。遠心力受け部36は、後述する調整部50の中心線Cよりも径方向外側に位置する。遠心力受け部36は、後端面30aにおける径方向外側の端部に位置する。
図6、図7に示すように、インサート30は、接触部39を有する。接触部39は、インサート30の後端面30aにおいて遠心力受け部36よりも径方向内側に位置する。接触部39は、先端側へ向かうにしたがい径方向外側へ向けて延びる傾斜面である。接触部39は、後述する調整部50の中心線Cよりも径方向内側に位置する。接触部39は、後端面30aにおける径方向外側の端部に位置する。
接触部39は、調整部50からの軸方向先端側へ向けた押圧力を受ける被押圧面の一部として機能する。これにより、調整部50からの押圧力を、インサート30の後端面30aの広い範囲(複数箇所)で受けることができる。後端面30aは、中心線Cに垂直な方向に広がる平面状である。したがって、ナット部材52からインサート30への押圧バランスが安定する。
インサート30は、インサート30の遠心力受け部36および接触部39から先端側へ窪む凹部43を有する。凹部43は、後端面30aにおける径方向の両端部の遠心力受け部36と接触部39との間に位置する。凹部43の内面のうち、径方向内側を向く立壁面は、第二遠心力受け部(遠心力受け部)44である。第二遠心力受け部44は、工具の径方向に垂直な方向に広がる平面状である。第二遠心力受け部44は、凹部43の底面から先端側へ向けて延びる。
調整部50に径方向外側へ向けた遠心力が作用したときに、インサート30は、この遠心力を第二遠心力受け部44で受ける。
上記したようなインサート30は、肉抜き部60を有する。肉抜き部60は、インサート本体31において軸方向の先端部31tに設けられている。肉抜き部60は、インサート本体31において、クランプ凹部37よりも軸方向先端側に形成されている。肉抜き部60は、インサート本体31の一方の多角形面である主面31fから、インサート本体31の厚さ方向に窪む肉抜き凹部61である。インサート本体31の主面31fにおいて、クランプ凹部37と肉抜き凹部61とは、軸方向に間隔をあけて形成されている。クランプ凹部37と肉抜き凹部61との間には、インサート本体31の短手方向に延びる梁状部65が形成されている。
肉抜き凹部61は、インサート本体31の軸方向先端側の端面31sにおいて、軸方向先端側に向けて開口している。
肉抜き凹部61は、インサート30を軽量化する。インサート本体31の先端部31tに肉抜き凹部61が形成されることで、インサート30は、軸方向先端部側の重量が小さくなる。このようなインサート30は、平面視においてインサート本体31の重心Gが、クランプ凹部37内に位置している。肉抜き凹部61は、インサート30に径方向外側へ向けた遠心力が作用したときに、インサート本体31の先端部31tに作用する遠心力を軽減する。なお、ここでインサート30の「平面視」とは、インサート本体31のすくい面32と直交する方向から見た視野を意味する。
本実施形態において、複数のインサート30は、第1インサート30Aと、第2インサート30Bと、に分類される。図2に示すように、本実施形態の刃先交換式フライスカッタ1には、1個の第1インサート30Aと、19個の第2インサート30Bと、を有する。
第1インサート30Aと第2インサート30Bとは、互いに切刃7の形状が異なる。本実施形態において、第1インサート30Aは、仕上げ加工用の切削インサートであり、第2インサート30Bは、荒加工用の切削インサートである。また、第1インサート30Aは、ワイパーインサートであってもよい。
なお、図6において、第1インサート30Aおよび第2インサート30Bを区別することなく図示する。しかしながら、第1インサート30Aと第2インサート30Bとは、細部(例えば切刃7および肉抜き部60)において、互いに形状が異なる。第1インサート30Aと第2インサート30Bとは、より明確に形状が異なっていてもよい。例えば、第1インサート30Aおよび第2インサート30Bのうち、何れか一方が、後述する第1変形例のインサート130(図9参照)又は第2変形例のインサート230(図10および図11参照)であってもよい。
本実施形態の複数のインサート30は、2種類のインサートを含むが、3種類以上のインサートを含んでいてもよい。すなわち、複数のインサート30は、少なくとも2つの種類の前記切削インサートに分類されればよい。
第1インサート30Aおよび第2インサート30Bは、上述した肉抜き部60を有する。第1インサート30Aの肉抜き部60の容積と、第2インサート30Bの肉抜き部60の容積とは、互いに異なる。より具体的には、例えば、第1インサート30Aの肉抜き部60の深さと、第2インサート30Bの肉抜き部60深さとが、互いに異なる。これにより、第1インサート30Aの重量と第2インサート30Bの重量とが、互いに近づけられる。
一般的に、仕上げ加工用の切削インサートと荒加工用の切削インサートとは、切刃7の形状の違いに起因して重量が異なる。これに対し、本実施形態によれば、第1インサート30Aおよび第2インサート30Bは、肉抜き部60の容積によって重量が調整されている。これによって、仕上げ加工用の第1インサート30Aと荒加工用の第2インサート30Bとは、重量が互いに略一致する。
〔工具本体の説明2〕
工具本体2のインサート取付座4について、詳しく説明する。
図2、図3、図5に示すように、インサート取付座4は、工具本体2の先端面と外周面とに開口して軸方向に延びる。インサート取付座4は、工具回転方向Tとは反対方向を向く第1壁面8と、工具回転方向Tを向く第2壁面9と、該インサート取付座4の径方向内側の端部に位置して径方向外側を向く第3壁面10と、クランプネジ孔11と、を有する。
図2に示すように、本実施形態の例では第1壁面8が、工具本体2の中心軸Oを含む仮想平面(図示省略)に沿って広がる平面状であり、第3壁面10は、第1壁面8と略直交する平面状である。また第2壁面9は、径方向外側に向かうにしたがい工具回転方向Tに向けて延びる。このため、第2壁面9と第1壁面8との間の距離(インサート取付座4の周方向の幅)は、径方向外側へ向かうにしたがい小さくなる。
インサート30は、インサート取付座4に対して軸方向の後端側に向けて挿入される。インサート取付座4にインサート30が挿入されたときに、インサート30の厚さ方向を向く主面31f(一方の多角形面)は、第1壁面8と接触する。なお、後述のようにインサート30をクランプネジ19で固定した際には、インサート30の厚さ方向を向く主面31fと、第1壁面8との間に、僅かに隙間が設けられる。インサート30の厚さ方向を向く裏面31g(他方の多角形面)は、第2壁面9と接触する。インサート30の短手方向を向く側面31hは、第3壁面10と接触する。インサート30は、第1壁面8と第2壁面9との間で周方向から挟持される。
本実施形態の例では、上述のようにインサート取付座4の周方向の幅が、径方向外側へ向かうにしたがい小さくなるので、インサート取付座4に挿入されたインサート30が、インサート取付座4に対して径方向外側に移動することは抑制される。つまり、インサート取付座4からインサート30が径方向外側へ抜け出すことが防止される。
インサート30は、インサート取付座4に対して軸方向に沿ってスライド移動する。つまり、インサート30は、工具本体2に対して軸方向に沿ってスライド移動する。
クランプネジ孔11は、工具本体2の外周面(チップポケット6)および第1壁面8に開口する。クランプネジ孔11の内周面には、雌ネジ部が形成される。クランプネジ孔11は、工具回転方向Tとは反対方向へ向かうにしたがい径方向内側へ向けて延びる。クランプネジ孔11には、クランプネジ19が螺着する(図3参照)。図7に示すように、クランプネジ19の先端は、インサート30のクランプ凹部37の底面に接触する。クランプネジ19がクランプネジ孔11にねじ込まれることにより、インサート30はインサート取付座4に固定される。
〔調整部〕
図3に示すように、調整部50は、工具本体2(外側本体部21)の外周に、周方向に互いに間隔をあけて複数配置される。調整部50は、インサート30を軸方向の先端側へ向けて押圧し、インサート30の軸方向の位置を調整する。調整部50は、工具本体2に対してインサート30の軸方向の位置を調整することにより、切刃7の軸方向の位置を調整する。調整部50の数は、インサート30の数と同一であり、本実施形態の例では、工具本体2の外周に調整部50が10個以上(例えば20個)設けられる。
図3、図4、図7に示すように、調整部50は、軸部材51と、ナット部材52と、を有する。
軸部材51は、工具本体2に支持される。軸部材51は、工具本体2に螺着される。ナット部材52は、軸部材51に螺着し、インサート30に接触する。
図4に示すように、軸部材51の中心線Cは、工具本体2の軸方向に沿って延びる。すなわち、調整部50の中心線Cは、軸方向に沿って延びる。軸部材51の中心線Cが延びる方向は、工具本体2の軸方向に相当する。軸部材51は、工具本体2(支持部24)に対して中心線C回りに回転させられることにより、ねじの作用で工具本体2に対して軸方向に移動する。ナット部材52は、軸部材51および工具本体2に対して中心線C回りに回転させられることにより、ねじの作用で軸部材51および工具本体2に対して軸方向に移動する。
図8(b)に示すように、軸部材51は、軸部材51の後端部に位置する第1ネジ軸53と、先端部に位置する第2ネジ軸54と、軸方向に沿う第1ネジ軸53と第2ネジ軸54との間に位置する操作部55と、を有する。
第1ネジ軸53の外径は、第2ネジ軸54の外径よりも大きい。第1ネジ軸53の外周面および第2ネジ軸54の外周面には、それぞれ、雄ネジ部が形成される。第1ネジ軸53の雄ネジ部と、第2ネジ軸54の雄ネジ部とは、互いにネジのピッチが異なる。具体的には、第1ネジ軸53の雄ネジ部のネジのピッチが、第2ネジ軸54の雄ネジ部のネジのピッチよりも大きい。
操作部55は、円柱状または円板状である。操作部55の外径は、第1ネジ軸53の外径および第2ネジ軸54の外径よりも大きい。操作部55の外周面には、軸操作穴55aが開口する。軸操作穴55aは、操作部55の外周面に、中心線C回りに互いに間隔をあけて複数(例えば等間隔に4つ)設けられる。図4に示すように、軸操作穴55aは、中心線Cに直交する方向に延びる。本実施形態の例では、軸操作穴55aが、中心線Cに直交する方向に操作部55を貫通して形成される。軸操作穴55aには、図示しないレンチ等の作業用工具が挿入される。
図8(a)に示すように、ナット部材52は、中心線Cを中心とする円筒状または円形リング板状である。ナット部材52の外径は、軸部材51の外径よりも大きい。ナット部材52の内周面には、雌ネジ部が形成される。ナット部材52は、第2ネジ軸54に螺着する。ナット部材52の外周面には、ナット操作穴52aが開口する。ナット操作穴52aは、ナット部材52の外周面に、中心線C回りに互いに間隔をあけて複数(例えば等間隔に5つ)設けられる。ナット操作穴52aは、中心線Cに直交する方向に延びる。本実施形態の例では、ナット操作穴52aが、底部を有する止め穴である。ナット操作穴52aには、図示しないレンチ等の作業用工具が挿入される。
ナット部材52は、調整部50において最も外径が大きい。このため、図4に示すように、工具本体2に取り付けられた調整部50において、最も工具本体2の径方向外側に位置する径方向外端は、ナット部材52の外周面の部分である。調整部50の径方向外端の径方向の位置は、インサート30の径方向外端(外周刃7b)の径方向の位置よりも、径方向の内側である。
ナット部材52の先端面は、インサート30の後端面に対して、後端側から接触する。
このため、クランプネジ19を緩めた状態または仮締めした状態において、工具本体2に対する軸部材51のねじ込み量、および、軸部材51に対するナット部材52のねじ込み量のいずれかを調整することにより、インサート30の軸方向の位置が調整される。すなわち、作業用工具を操作して、軸部材51およびナット部材52のいずれかを中心線C回りに回転させることにより、インサート取付座4に対して、インサート30および切刃7の軸方向の位置が調整可能である。インサート30の位置調整を行った後は、クランプネジ19をねじ込んで本締めすることにより、インサート取付座4に対してインサート30が固定される。
なお、クランプネジ19を本締めした状態において、工具本体2に対する軸部材51のねじ込み量、および、軸部材51に対するナット部材52のねじ込み量のいずれかを調整することにより、インサート30の軸方向の位置を微調整してもよい。
図7および図8(a)に示すように、ナット部材52は、ナット部材52の先端面に、先端側へ向かうにしたがい縮径する凸テーパ面52bを有する。凸テーパ面52bは、円錐面状である。凸テーパ面52bは、ナット部材52の先端面において、中心線C回りの全周にわたって延びる円形の環状である。凸テーパ面52bは、インサート30の遠心力受け部36、及び接触部39と接触する。遠心力受け部36は、凸テーパ面52bを径方向内側へ向けて支持する。遠心力受け部36は、凸テーパ面52bに対して径方向外側から接触する。本実施形態においては、遠心力受け部36、及び接触部39が、調整部50からの軸方向先端側へ向けた押圧力を受ける被押圧面としても機能する。
図7に示すように、ナット部材52は、ナット部材52の先端部に、凸部58を有する。凸部58は、凸テーパ面52bよりも先端側に突出する。凸部58は、軸方向に延びる柱状である。図示の例では、凸部58が、円柱状である。なおこれに限らず、凸部58は、多角形柱状等であってもよい。凸部58は、凹部43内に位置する。凸部58は、第二遠心力受け部44に径方向内側から対向する。図示の例では、第二遠心力受け部44が、凸部58の外周面と径方向に隙間をあけて対向する。つまり、第二遠心力受け部44は、調整部50と径方向に隙間をあけて対向する。第二遠心力受け部44は、調整部50に遠心力が作用したときに、調整部50と接触して、調整部50を径方向内側へ向けて支持可能である。また、凸部58の先端面と、凹部43の後端側を向く底面との間には、隙間が設けられる。
調整部50に径方向外側へ向けた遠心力が作用したときに、インサート30は、この遠心力を第二遠心力受け部44で受ける。すなわち、凹部43の第二遠心力受け部44が、凸部58を径方向内側へ向けて支持可能である。
〔工具本体の説明3〕
工具本体2の上述以外の部分について、説明する。
図3および図4に示すように、支持部24は、調整部50の軸方向の後端側に配置されて、調整部50を支持する。支持部24は、工具本体2の外周面に、周方向に互いに間隔をあけて複数配置される。支持部24の数は、調整部50の数と同一であり、本実施形態の例では、工具本体2の外周に支持部24が10個以上(例えば20個)設けられる。支持部24は、外側本体部21の周壁の外周面のうち、後端部に配置される。
支持部24は、軸方向に延びるリブ状である。支持部24は、工具本体2の外周面において、径方向外側に向けて突出する。支持部24は、工具本体2の外周面のうち、支持部24に対して周方向に隣り合う部分(周方向に対向する部分)2aよりも、径方向外側に向けて突出する。なお、上記部分2aは、工具本体2の外周面のうち、周方向に隣り合う支持部24同士の間の部分2aと言い換えてもよい。
支持部24は、工具本体2の外周面のうち、支持部24の先端側に隣り合う部分(窪み部25)よりも、径方向外側に向けて突出する。
支持部24は、軸方向に延びるネジ孔24aを有する。ネジ孔24aは、支持部24を軸方向に貫通し、支持部24の先端面および後端面に開口する。ネジ孔24aの内周面には、雌ネジ部が設けられる。ネジ孔24aには、第1ネジ軸53が螺着する。
軸方向から見て、支持部24と、調整部50と、インサート取付座4と、インサート30とは、互いに重なって配置される。
工具本体2の外周面のうち、周方向に隣り合う調整部50同士の間の部分2bの径方向の位置は、調整部50の径方向の位置よりも、径方向の内側である。言い換えると、調整部50は、工具本体2の外周面のうち周方向に隣り合う調整部50同士の間の部分2bよりも、径方向外側に突出して配置される。本実施形態の例では、工具本体2の外周面のうち、周方向に隣り合う調整部50同士の間の部分2bの径方向の位置が、調整部50の中心線Cの径方向の位置よりも、径方向の内側である。なお、上記部分2bは、工具本体2の外周面のうち、調整部50に対して周方向に隣り合う部分(周方向に対向する部分)2bと言い換えてもよい。
特に図示しないが、中心軸Oに垂直な断面視において、上記部分2bは、中心軸Oを中心とする円弧状である。工具本体2の外周面のうち、上記部分2bが配置される軸方向の領域(範囲)において、上記部分2bの径方向の位置は、上記部分2b以外の部分の径方向の位置よりも、径方向外側である。つまり、上記部分2bが配置される軸方向の領域においては、上記部分2bは、工具本体2の外周面の最外径部分をなす。このため、工具本体2(外側本体部21)を製造する際、上記部分2bを旋削加工(ターニング)により形成できる。
本実施形態の例では、工具本体2の外周面のうち周方向に隣り合う調整部50同士の間の部分2bの径方向の位置が、工具本体2の外周面のうち周方向に隣り合う支持部24同士の間の部分2aの径方向の位置よりも、径方向外側である。
また、工具本体2の外周面のうち、上記部分2bの先端側に隣接する部分は、上記部分2bよりも径方向外側に突出する。
図3に示すように、径方向から見て、窪み部25は、工具本体2(外側本体部21)の外周面において調整部50と重なる位置に配置されて、径方向内側に窪む。窪み部25の数は、調整部50の数と同一であり、本実施形態の例では、工具本体2の外周に窪み部25が10個以上(例えば20個)設けられる。
本実施形態の例では、窪み部25が長方形穴状である。窪み部25は、軸方向に延びる。窪み部25は、工具本体2の外周面のうち周方向に隣り合う調整部50同士の間の部分2bに対して、周方向に隣接配置される。窪み部25は、工具本体2の外周面のうち、周方向に隣り合う上記部分2b同士の間に配置される。窪み部25は、上記部分2bよりも、径方向内側に配置される。言い換えると、上記部分2bの径方向の位置は、窪み部25の径方向の位置よりも、径方向の外側である。
図4に示すように、調整部50の一部は、窪み部25内に配置される。図示の例では、調整部50のうち、操作部55の一部(径方向内側の端部)と、ナット部材52の一部(径方向内側の端部)とが、窪み部25内に位置する。軸方向から見て、操作部55の一部(径方向内側の端部)と、ナット部材52の一部(径方向内側の端部)と、窪み部25とは、互いに重なって配置される。
〔本実施形態による作用効果〕
以上説明した本実施形態の刃先交換式フライスカッタ1によれば、互いに異なる種類である第1インサート30Aおよび第2インサート30Bの重量の差が、肉抜き部60によって互いに近づけられる。これにより、複数のインサート30における重量の差が小さくなり、刃先交換式フライスカッタ1の中心軸O回りの重量バランスが安定する。このため、刃先交換式フライスカッタ1の回転数を高めた場合であっても刃先交換式フライスカッタ1の振動が抑制される。結果的に、刃先交換式フライスカッタ1を用いて加工した加工面の品質を確保しつつ、刃先交換式フライスカッタ1の工具回転数の上限を高めることが可能となる。
第1インサート30Aと第2インサート30Bとの重量の差は、1.0g以下であることが好ましい。また、インサートが3種類以上である場合、全てのインサート30のうち、最も重いインサート30の重量Mmaxと、最も軽いインサート30の重量Mminとの差Δm(Δm=Mmax−Mmin)が、1.0g以下であることが好ましい。これにより、刃先交換式フライスカッタ1の中心軸O回りの重量バランスがより確実に安定し、刃先交換式フライスカッタ1の回転数を高めた場合であっても刃先交換式フライスカッタ1の振動が抑制される。
本実施形態では、第1インサート30Aおよび第2インサート30Bにそれぞれ肉抜き部60が設けられ、肉抜き部60の容積の違いによって第1インサート30Aおよび第2インサート30Bの重量を近づける場合について説明した。しかしながら、2種類のインサート30のうち何れか一方のみが、肉抜き部60を有していてもよい。すなわち、2種類のインサート30のうち少なくとも一方のインサート30が、他方のインサート30の重量に近づけるための肉抜き部60を有していればよい。
また本実施形態では、軸方向先端側の先端部31tに肉抜き部60が形成されているので、インサート30の先端部31tが軽くなる。これにより、インサート30の重心Gの位置が、軸方向基端側に近づく。したがって、工具本体2が中心軸O回りに回転したときに、インサート30の先端部31tが遠心力によって径方向外側に変位するのを抑えることができる。その結果、工具回転数の上限を高めることが可能となる。また、肉抜き部60の大きさを変えることで、インサート30の重量を調整することができる。したがって、複数のインサート30の重量の差を、より容易に小さくすることができる。
また本実施形態では、クランプ凹部37に対して軸方向先端側に肉抜き部60が形成されている。これにより、インサート30の先端部31tが軽くなり、工具本体2が中心軸O回りに回転したときに、インサート30の先端部31tが遠心力によって径方向外側に変位するのを抑えることができる。
また本実施形態では、インサート本体31の重心Gが、クランプ凹部37内に位置している。これにより、遠心力によってインサート本体31がクランプネジ19の先端が接触した位置を中心として回転しにくくなる。したがって、インサート30の先端部31tが遠心力によって径方向外側に変位するのを抑えることができる。
また本実施形態では、肉抜き部60は、インサート本体31の端面31sに開口している。これにより、インサート30の先端部31tが、より効果的に軽くなる。したがって、工具本体2が中心軸O回りに回転したときに、インサート30の先端部31tが遠心力によって径方向外側に変位するのを、より有効に抑えることができる。
また本実施形態では、インサート30が、工具本体2の先端外周部(インサート取付座4)に着脱可能に装着される。
すなわち、インサート30が着脱式の切削インサートまたは切削チップである。このため、インサート30が工具寿命となった際には、別の新しいインサート30と交換することにより、加工精度を良好に維持できる。また、被削材の種類や加工形態等に応じて、様々な切刃7を有する複数種類のインサート30を用意し、選択的に使用することができる。
〔本発明に含まれるその他の構成〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
図9は、第1変形例のインサート130の斜視図である。なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
この第1変形例では、インサート130に形成された肉抜き部160が、肉抜き凹部162を有する。肉抜き凹部162は、インサート本体31の先端部31tの端面31sよりも軸方向基端側に形成されている。つまり、肉抜き凹部162は、インサート本体31の端面31sから軸方向先端側に開口していない。
第1変形例によれば、肉抜き部160として肉抜き凹部162が形成されている。これにより、インサート130の先端部31tが軽くなり、インサート130の重心Gの位置が、軸方向基端側に近づく。したがって、工具本体2が中心軸O回りに回転したときに、インサート130の先端部31tが遠心力によって径方向外側に変位するのを抑えることができる。その結果、工具回転数の上限を高めることが可能となる。
図10、図11は、第2変形例のインサート230の斜視図である。なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
この第2変形例では、インサート230に形成された肉抜き部260が、肉抜き凹部263を有する。肉抜き凹部263は、インサート本体31において先端部31tに配置されている。肉抜き凹部263は、インサート本体31の裏面31gから、インサート本体31の厚さ方向に窪んでいる。肉抜き凹部263は、インサート本体31において、主面31fに形成されたクランプ凹部37よりも軸方向先端側に形成されている。インサート本体31において、クランプ凹部37と肉抜き凹部263とは、軸方向に間隔をあけて形成されている。
第2変形例によれば、肉抜き部260として肉抜き凹部263が形成されている。これにより、インサート230の先端部31tが軽くなり、インサート230の重心Gの位置が、軸方向基端側に近づく。したがって、工具本体2が中心軸O回りに回転したときに、インサート230の先端部31tが遠心力によって径方向外側に変位するのを抑えることができる。その結果、工具回転数の上限を高めることが可能となる。
前述の実施形態では、インサート30が、調整部50を備える例を挙げたが、これに限らない。インサート30は、工具本体2に対して軸方向に位置調整不能に取り付けられていてもよい。
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例およびなお書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
例えば、上述の実施形態において、ナット部材52は、凸テーパ面52bにおいて、インサート30と接触するが、凸テーパ面52bはインサート30と隙間を介して対向していてもよい。この場合、ナット部材52は、他の部分でインサート30と接触する。
1…刃先交換式フライスカッタ(転削工具)
2…工具本体
4…インサート取付座
7…切刃
19…クランプネジ
30、130、230…インサート(切削インサート)
30A…第1インサート
30B…第2インサート
31…インサート本体
31f…主面(多角形面)
31g…裏面(多角形面)
31s…端面
31t…先端部
32…すくい面
36…遠心力受け部
37…クランプ凹部
44…第二遠心力受け部(遠心力受け部)
50…調整部
60、160、260…肉抜き部
61、162、263…肉抜き凹部
G…重心
O…中心軸

Claims (5)

  1. 中心軸回りに回転させられる工具本体と、
    前記工具本体の先端外周部に周方向に互いに間隔をあけ先端部を前記中心軸方向先端側に向けた状態て配置される複数の切削インサートと、を備え、
    前記切削インサートは、
    多角形板状のインサート本体と、
    前記インサート本体の一方の多角形面において、コーナ部に設けられ、前記多角形面上にすくい面を有する切刃と、を有し、
    複数の前記切削インサートは、少なくとも2つの種類の前記切削インサートに分類され、
    2種類の前記切削インサートのうち少なくとも一方の切削インサートは、他方の切削インサートの重量に近づけるための肉抜き部を有する、
    転削工具。
  2. 2種類の前記切削インサートの重量の差が、1.0g以下である、
    請求項1に記載の転削工具。
  3. 前記肉抜き部は、前記インサート本体の前記先端部に形成され、前記多角形面から前記インサート本体の厚さ方向に窪む、
    請求項1又は2に記載の転削工具。
  4. 前記切削インサートは、前記インサート本体の一方の前記多角形面に設けられ、前記多角形面から前記厚さ方向に窪み、前記インサート本体を前記工具本体に固定するためのクランプネジの先端が接触するクランプ凹部をさらに備え、
    前記肉抜き部は、前記クランプ凹部に対して前記先端部側に配置されている、
    請求項3に記載の転削工具。
  5. 平面視において、前記インサート本体の重心が、前記クランプ凹部内に位置している、
    請求項4に記載の転削工具。
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