JP2020162938A - カッターナイフのホルダおよびカッターナイフ - Google Patents

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Abstract

【課題】 カッターナイフないしそのホルダにつき、作業者による把持性を更に向上するのに有効な技術を提供する。【解決手段】 カッターナイフ1のホルダ2であって、把持部10は、カッター刃のスライド方向を長手方向とする長尺体として形成されるとともに、作業者が手Hで把持部10を把持した状態において、当該作業者の掌の母指球と小指球の間に形成される掌凹部PVに対して略面接触可能な突状曲面部15を有することを特徴とするカッターナイフ1のホルダ2。【選択図】 図6

Description

本発明は、カッターナイフのホルダおよびカッターナイフにおける、人間工学に基づいた把持性能の向上技術に関する。
カッターナイフ(ないしそのホルダ)に関する構成について、例えば特開2012−40142号公報(特許文献1)に開示されたものが知られている。
当該特許文献1では、カッター刃による切断作業に加えて、ドライバー機能を更に付加することで、カッターナイフの汎用性を向上する技術が採用されている。
さらに上記特許文献1では、その図3、図4等に示されるように、カッターナイフの長手方向におけるホルダの断面を湾曲状に形成することで、作業者が把持し易いホルダに関する開示がなされている。
上記特許文献1に開示された技術では、確かに作業者の把持性を向上させる工夫がなされているが、カッターナイフは、手指によって比較的強い押圧力を作用させた状態で使用に供されることから、さらに作業者の把持性向上を追求する要請がある。かかる要請は、とりわけ長時間継続的に作業を行うプロフェッショナルユース領域において顕著である。
特開2012−4012号公報
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、カッターナイフないしそのホルダにつき、作業者による把持性を更に向上するのに有効な技術を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明が構成される。本発明においては、カッター刃をスライド可能に収容する刃収容部と、作業者の手での把持に供される把持部を有するカッターナイフのホルダが構成される。前記把持部は、前記カッター刃のスライド方向を長手方向とする長尺体として形成されるとともに、前記長尺体の中間領域と、前記長手方向における前記カッター刃先端に近接する側の第1端部領域と、離間する側の第2端部領域とを有する。また前記中間領域は 作業者が手で前記把持部を把持した状態における当該作業者の掌の母指球と小指球の間に形成される掌凹部に対して略面接触可能な突状曲面部を有する。また前記第1端部領域は、前記カッター刃による切断作業が遂行される場合に、作業者の指圧による押圧力が作用する押圧部を有する。
本発明に係るカッターナイフのホルダは、一般向け汎用品ないしプロフェッショナルユース品のいずれにも適用可能であるが、後述するように、人間工学的な把持特性を追求した特徴に鑑み、とりわけ長時間継続的に作業を行うプロフェッショナルユース品への親和性が高い。
前記刃収容部は、カッター刃を所定の弾性体の付勢力を利用して刃収容部に位置決め保持しつつ、当該付勢力に抗するマニュアル操作を介してスライド可能に構成されてもよい。あるいは、ネジの螺着動作を介して刃収容部に位置決め保持しつつ、当該螺着解除動作を介してスライド可能に構成されてもよい。
前記長尺体の「中間領域」は、当該長尺体の幾何学的中心領域に限定されるものではなく、前記第1端部領域および第2端部領域の間のエリアを広く包含する趣旨である。
前記長尺体の「第1端部領域」は、長手方向においてカッター刃先端に近接する側の端部領域として定義されるが、当該「近接」とは、スライド可能に収容されたカッター刃の先端に近い側の端部に相当し、換言すれば、カッター刃を用いた切断作業をする場合の長尺体の前方側端部に相当する。
これに対し、前記長尺体の「第2端部領域」は、長手方向においてカッター刃先端から離間する側端部領域として定義されるが、当該「離間」とは、長手方向において、第1端部領域よりも遠方側の端部に相当し、換言すれば、カッター刃を用いた切断作業をする場合の長尺体の後方側端部に相当する。
作業者の掌の「母指球」は、当該作業者の手掌における親指の根元側に、当該親指(第1指)の延在方向に概ね沿って形成される丘状部分に相当し、「小指球」は、当該作業者の掌における小指の根元側に、当該小指(第5指)の延在方向に概ね沿って形成される丘状部分に相当する。また「掌凹部」は、当該作業者の掌において、前記母指球と小指球という二つの丘状部分の間に形成される窪地(盆地)状の凹状領域(低位領域)に相当する。
そして本発明における突状曲面部は、掌凹部に対して略面接触可能に構成されている。「面接触」とは、典型的には、突状曲面部における曲面が掌凹部に密着状に接触することで、当該突状曲面部と掌凹部との間の隙間が極小化される態様がこれに該当する。隙間の極小化の観点から、突状曲面部と掌凹部の間につき、部分的な空隙が完全に排除された形態、ないし略排除されたに等しい形態のいずれも包含する。また当該ホルダが使用される国、性別、年齢等の影響因子を考慮して、想定される作業環境に応じて突状曲面部の面接触性能を適宜調整することが可能である。例えば、大柄な作業者が多い国や領域では、突状曲面部を相対的に大きく形成し、逆に小柄な作業者が多い国や領域では、突状曲面部を相対的に小さく形成する等のローカライゼーションがこれに該当する。
また本発明における押圧部は、前記第1端部領域に設けられ、前記カッター刃による切断作業が遂行される場合に、作業者の指圧による押圧力が作用するように構成される。
典型的には、カッター刃による切断作業において、第2指〜第5指を使って把持部をしっかり握った状態で、第1指(親指)の指圧を押圧部に作用させることにより、切断力がコントロールされつつ切断作業が遂行する態様がこれに該当する。
このとき、上記の通り、把持部の中間領域に設けられた突状曲面部が作業者の掌凹部に略面接触して、しっかり密接した状態が維持されるため、作業者は、ホルダの把持に余計な注意力を払う必要がなく、押圧部に指圧をかけて切断作業に集中することができる。例えば上記従来技術においても、把持部断面を湾曲形状とすることで作業者の把持性がある程度は確保できていたが、本発明においては、把持部の中間領域における突状曲面部を、作業者の掌凹部に略面接触させて密接状態が維持されるように構成することで、従来技術よりも更に踏み込んだ、人間工学訴求式のホルダ構成が確保されることになる。
以上、人間工学的に優れた構造を有するホルダを構成することで、「把持部が掌に密着する」―「握りやすい」−「把持に余計な労力がかからず、押圧に集中し易い」−「切断作業が遂行し易い」−「把持に無駄な労力が不要なので長時間作業で疲れにくい」という作業シーケンスが確保されることになり、カッターナイフによる作業性向上に資することが可能となる。
上記掌凹部は、典型的には、作業者の母指線、近位手掌線および遠位手掌線の少なくとも一部を含んで構成される。母指線は、母指球の近傍を当該母指球に沿って延在する線であって生命線とも称呼される。近位手掌線は母指線から分岐状に延在する線であって知能線とも称呼される。遠位手掌線は近位手掌線と略平行に延在する線であって感情線とも称呼される。「少なくとも一部を含んで」とは、掌凹部がこれら三本の線の一部を含む態様、三本の線の全部を含む態様、各線の一部を含む態様のいずれも好適に包含する。
前記突状曲面部は、前記長手方向において、前記把持部の中央よりも前記第2端部領域に近接した位置に設けられることが好ましい。一般に、カッター刃によって切断作業を遂行する場合、手の構造上、把持部の後方側を把持しつつ、前方側に指圧による押圧力を作用させる態勢が合理的となり易い。この点に鑑み、前記突状曲面部について、把持部の中央よりも第2端部領域に近接した位置、換言すれば把持部の後方側に配置することにより、カッター刃による切断作業の容易性を担保することができる。
また前記突状曲面部は、作業者の母指線、近位手掌線および遠位手掌線と交差する方向につき、所定の曲率および膨出角度を有する膨出部(膨出領域とも称呼)を有することが好ましい。そして前記膨出部につき、作業者が手で前記把持部を把持した状態における前記掌凹部に対して略面接触するように構成することが好ましい。このように構成することで、突状曲面部の膨出部が掌凹部に略面接触し、これによって把持性の向上が図られることになる。なお、上記「作業者の母指線、近位手掌線および遠位手掌線と交差する方向」は、作業者が把持部を把持した場合に、当該把持部の長尺方向と概ね交差する方向(例えば概ね直交する方向)に相当する。
上記把持性向上の見地より、前記膨出部の所定の曲率は、略R10〜R21の範囲内のいずれかとすることが好ましい。特に、曲率を略R13〜R16の範囲内のいずれかとすることで把持性の更なる向上が図られる。
また前記膨出部の膨出角度については、略θ1=115°〜135°の範囲内のいずれかとすることが好ましい。特に、膨出角度を略θ1=120°〜125°の範囲内のいずれかとすることで把持性の更なる向上が図られる。
さらに前記突状曲面部は、前記長手方向において、前記膨出部から前記第1端部領域側に延在する第1突状曲面部と、前記膨出部から前記第2端部領域側に延在する第2突状曲面部を有するように構成することが好ましい。この場合、前記第1突状曲面部は、前記長手方向における前記膨出部から前記第1端部領域までの長さの略50%以上かつ略90%以下となるように設定することが好ましい。また前記第2突状曲面部は、前記長手方向における前記膨出部から前記第2端部領域までの長さの略50%以上かつ90%以下となるように設定することが好ましい。このように構成することで、膨出部が掌凹部に略面接触した状態において、作業者の手の構造に対して、より適合性の高い把持構造を確保することができる。
また前記長手方向に対する前記第1突状曲面部の傾斜角よりも、前記長手方向に対する前記第2突状曲面部の傾斜角が大きくなるように設定することが好ましい。このように構成することで、膨出部が掌凹部に略面接触した状態において、把持状態とされた作業者の手の形状に寄り添った把持構造を確保することができる。
さらに前記第2端部領域につき、把持状態における第5指および小指球が形成する環状領域に面接触可能に構成された第2端部領域側把持領域を有するとともに、前記第2端部側把持領域については、把持状態における第5指が小指球に接触または近接可能な寸法設定とすることが好ましい。このように構成することで、作業者が第5指(小指)側の環状領域を第2端部側把持領域に密着させた状態で、かつ第5指側の握力をしっかり働かせながら把持部を持つことができるようになり、把持性の一層の向上が図られる。特に、カッターナイフの多機能化の見地より、カッターナイフの後端側に別種の機能部材(例えば後述するスクレーパ)を設けるケースがあるが、このような場合、当該別種の機能部材の配置スペースの関係上、第2端部領域側の寸法が増大し易く、かかる寸法増大の結果、把持状態における作業者の第5指を小指球に近接させにくくなり、第5指側の握力をしっかり作用させることが困難な状況が想定される。本発明によれば、かかる懸念が払しょくされて、把持性能の向上が確実に担保されることになる。
さらに前記第1端部領域における前記押圧部と対向する側に、作業者が前記押圧部を第1指で押圧した場合に、第2指を係止可能な第2指係止部を設けることが好ましい。カッター刃で切断作業を行う場合、第2指(人差し指)〜第5指(小指)で把持部を握りつつ、第1指(親指)で押圧部に指圧を作用させることが多いと想定されるが、この場合、第2指を第2指係止部によって係止することで、指がずれて作業性を悪化させる懸念が払しょくされることになる。
また、カッターナイフの機能性向上ないし多機能化の見地より、前記第2端部領域側に、先端突出部を有するスクレーパを設けることが好ましい。スクレーパは「へら」とも称呼され、作業対象に対して刺突作業、あるいは刺突に続いて切断作業を遂行するための機能部材である。
第2端部領域側をカッター刃とは異なる機能部材に割り当てる関係で、スクレーパ使用時には、作業者は、上記把持部を前後逆にして把持することになるが。このとき、上記した突状曲面部が、スクレーパ使用時に作業者による把持の邪魔にならないようにすることが好ましい。そこで本発明では、スクレーパによる作業遂行のための把持状態において、前記突状曲面部は、作業者の手指への当接が回避された手指当接回避領域に設けられるように構成されている。これにより、カッター刃による作業時の把持性向上と、スクレーパによる作業時の支障回避が両立されることになる。
上記刺突作業に際しては、スクレーパの刺突性能があまりに高過ぎると、作業中に商品等を不用意に傷つける可能性が懸念される。一方、かかるリスクを回避してスクレーパの刺突性能を下げると、今度は作業性自体が低下してしまう。このようなスクレーパの極端な鋭利性回避と、鋭利性回避に起因する作業性低下のトレードオフを合理的に解決すべく、前記スクレーパの先端突出部について、略R=2.0〜2.5の範囲内のいずれかの曲率を有するように構成することが好ましい。とくに前記スクレーパの先端突出部を、略R=2.1〜2.4の範囲内のいずれかの曲率を有するように構成することで上記問題の解決が一層確実に図られる。
同様の見地により、前記スクレーパの先端突出部は、略θ2=40°〜60°の範囲内のいずれかの傾斜角を有するように構成することが好ましい。さらに前記スクレーパの先端突出部につき、略θ2=44°〜56°の範囲内のいずれかの傾斜角を有するように構成することで上記問題の解決が一層確実に図られる。
さらに本発明では、上記カッターナイフのホルダと、前記刃収容部にスライド可能に収容されたカッター刃を有するカッターナイフを構成することが好ましい。かかる構成により、人間工学的配慮に富んだ、特にプロフェッショナルユースの領域でも確実に使用性を担保できるカッターナイフが提供されることになる。
本発明の実施形態にについて図1〜図8に基づいて説明する。
上記の通り、本発明は、カッターナイフないしそのホルダにつき、人間工学に基づいた把持性能の向上に関する技術であり、まず把持に関わる作業者の手の構造について、先に説明を行う。
(人間工学的観点に基づく、作業者の手の構造確認)
図1は、作業者が手Hを開いて掌を向けた状態の模式的構造が示される(図1では便宜上右手が示されている)。作業者の手指につき、親指(ないし母指)に相当する第1指をF1(Finger−1)、人差し指(ないし示指)に相当する第2指をF2、中指に相当する第3指をF3、薬指(ないし環指)に相当する第4指をF4、小指に相当する第5指をF5と定義する。
さらに作業者の掌部分につき、第1指F1の根元側に形成される丘状部分を母指球PH1(Palm Hill−1)、第5指F5の根元側に形成される丘状部分を小指球PH2と定義する。
また作業者の掌部分につき、母指線をPL1(Palm Line−1)、近位手掌線をPL2、遠位手掌線(ないし感情線とも称呼)をPL3と定義する。母指線PL1は、母指球PH1の近傍を当該母指球に沿って延在する線であって,「母指球線」、「母指球皮線」あるいは「生命線」とも称呼される。近位手掌線はPL2,母指線PL1から分岐状に延在する線であって、「近位手掌皮線」、「知能線」とも称呼される。遠位手掌線PL3は、近位手掌線PL2と略平行に延在する線であって、「遠位手掌皮線」、「感情線」とも称呼される。
さらに、母指球PH1および小指球PH2の間に、母指線PL1、近位手掌線PL2、遠位手掌線PL3を含んで形成される窪地状(盆地状)の凹状低位領域につき、掌凹部PV(Palm Valley)と定義する。
本実施例では、掌凹部PVは、母指線PL1、近位手掌線PL2、遠位手掌線PL3を全て含んだ状態で定義されるが、人種や生活環境等による掌の構造上の相違に応じて、上記母指線PL1、近位手掌線PL2、遠位手掌線PL3の少なくとも一部を含めば足りるものとする。
上記の構造を有する作業者の手Hにつき、以下に詳述するカッターナイフを把持しようと手指を曲折した状態が図2に示される。
すなわち第1指F1を曲折するとともに、第2指F2〜第5指F5を並列状に曲折することで手Hが把持状態に置かれる。このとき、第2指F2と母指球PH1が形成する母指球側環状把持部をR1と定義し、第5指F5と小指球PH2が形成する小指球側環状把持部をR2と定義する。このとき、母指球側環状把持部R1と小指球側環状把持部R2の間には、上記のように、母指線PL1、近位手掌線PL2、遠位手掌線PL3を含んだ状態で掌凹部PVが形成されている。
(カッターナイフの全体構成)
次に本発明の実施の形態であるカッターナイフ1およびホルダ2の構造について、図3〜図8を用いて説明する。なおカッターナイフ1は、本発明における「カッターナイフ」の一例であり、ホルダ2は、本発明における「ホルダ」の一例に相当する。
図3は、カッターナイフ1およびホルダ2の全体構成を示した正面模式図である。図4は、カッターナイフ1およびホルダ2を上面から視た状態を示した平面模式図である。また図5、図6は、人間工学的配慮に基づく、ホルダ2の特徴的構造を示した断面模式図および斜視模式図である。また図7は、当該カッターナイフ1を切断作業に供するために把持した状態を示した模式図であり、図8は、当該カッターナイフ1をスクレーパ作業に供するために前後逆に把持した状態を示した模式図である。
図3に示すように、カッターナイフ1は、ホルダ2およびカッター刃5有する。カッター刃5としては所定の規格品が用いられており、便宜上詳細な説明を省略する。
ホルダ2は、刃収容部3および把持部10を有する。刃収容部3はカッター刃5を収容可能に構成された長尺状の金属製の部材である。刃収容部3にはスライダ6が設けられており、当該スライダ6は係合部7を介して、カッター刃5を一体状に係止する。そしてカッター刃5は、刃収容部3に収容された状態で、スライダ6の手動操作に応じて、長軸方向LD1に摺動動作可能とされている。
本実施形態では、スライダ6と刃収容部3との間に、特に図示しない金属製の弾性体が介在配置されており、当該弾性体がラッチ4に係合することで、カッター刃5の位置決め(刃収容部3からの突出位置ないし刃収容部3内への完全収納)が行われる。なおスライダ6およびカッター刃5の摺動動作等については周知事項であって、本明細書ではその詳細な説明を便宜上省略する。
(把持部10の構成)
ホルダ2は、カッターナイフ1を作業者が手で把持することに供される把持部10を有する。把持部10の詳細な構造が、図3〜図5に示される。
把持部10は、複数の把持溝部17が所定距離毎に形成された状態で、長手方向LD1に延在し、第1端部領域11、第2端部領域12、中間領域13を有する長尺体14として構成される。なお、説明の便宜上、把持溝部17は図4においては図示を省略されている。
中間領域13は、第1端部領域11と第2端部領域12の間の領域として定義されている。そして、図4、図5に示されるように、当該中間領域13には突状曲面部15が形成される。突状曲面部15は、把持部中央領域Cよりも第2端部領域12に近接する側を主体として形成されるとともに、膨出部16を有する。膨出部16は、把持部中央領域Cよりも第2端部領域12に近接する側に設けられるとともに、その断面構造が図5に模式的に示される。
(膨出部16の構成)
図4および図5に示す膨出部16は、以下に述べる人間工学的視点に立脚した把持性向上の見地より、略R10〜R21の範囲内のいずれかの曲率となるように設定することが好ましい。特に、曲率を略R13〜R16の範囲内のいずれかとすることで把持性の更なる向上が図られる。本実施の形態では、膨出部16の曲率は、一例としてR15に設定されている。
また同様に把持性向上の見地より、膨出部10の膨出角度については、略θ1=115°〜135°の範囲内のいずれかとすることが好ましい。特に、膨出角度を略θ1=120°〜125°の範囲内のいずれかとすることで把持性の更なる向上が図られる。本実施の形態では、膨出部16の膨出角度θ1(図5参照)は、一例として122°に設定されている。
(人間工学的視点による膨出部16の構成)
上記膨出部16の曲率および/または膨出角度の設定により、本実施の形態に係るホルダ2は、人間工学的視点に基づく把持性の著しい向上が図られている。これを説明するべく、膨出部16の特徴的構成が図6に詳細に示される。なお図6では、説明の便宜上、把持部10を、膨出部16の位置する箇所の断面とともに模式的に示している。図6に示すように、本実施形態に係るカッターナイフ1ないしホルダ2を作業者が手Hで把持した場合、その掌凹部PVに対して、把持部10の突状曲面部15における膨出部16が略面接触状に密着して当接することになる。とりわけ図1、図2に示す母指線PL1、近位手掌線PL2、遠位手掌線PL3と交差する方向(すなわち図3に示す把持部10においては長手方向LD1と交差する方向)に関して、膨出部16が掌凹部PVに極めて高度に密着することが可能とされ、人間工学的に優れた把持性能が付与されることになる。
なお突状曲面部15は、図4に示すように、長手方向LD1において、膨出部16から第1端部領域11側に延在する第1突状曲面部15Aと、膨出部16から第2端部領域12側に延在する第2突状曲面部15Bとに区分することができる。この場合、第1突状曲面部15Aの長さL11は、膨出部16から第1端部領域11までの長さ(距離)L12の略50%〜略90%の範囲で設定することが好ましい。本実施の形態では、75%となるように設定されている。
また第2突状曲面部15Bの長さL21は、膨出部16から第2端部領域12までの長さL22の略50%〜略90%の範囲で設定することが好ましい。本実施の形態では75%となるように設定されている。
かかる構成により、膨出部16が掌凹部PVに面接触した状態において、作業者の手の構造に対して、より適合性の高い把持構造を確保することができる。すなわち第1突状曲面部15Aは、図2に示す作業者の把持状態の手において、掌凹部PVから母指球側環状把持部R1までの領域に対して十分に面接触を維持することが可能となる(図2等も併せて参照)。一方、第2突状曲面部15Bは、掌凹部PVから小指球側環状把持部R2までの領域に対して十分に面接触を維持することが可能となる。
また図4に示すように、本実施の形態では、長手方向に対する第1突状曲面部15Aの傾斜角よりも、長手方向に対する第2突状曲面部15Bの傾斜角が大きくなるように設定されている。これにより、膨出部16が掌凹部PVに面接触した状態において、把持状態とされた作業者の手の形状に、更に寄り添った把持構造を確保することができる。
(押圧部21および第2指係止部22の構成)
更に図3に示すように、把持部10の第1端部領域11には、押圧部21および第2指係止部22が形成されている。押圧部21は、カッター刃5を用いて切断作業を遂行する場合に、作業者が手指でカッターナイフ1を作業対象へと押圧するための領域として定義される。作業者は、典型的には、第1指F1で押圧部21を押圧する使用形態をとることが想定されるが、他の指(例えば第2指F2)あるいは別の手指によって押圧する態様も好適に包含されるものである。また第2指係止部22は、カッター刃5を用いて切断作業を遂行する場合に、作業者の第2指F2を係止して作業を遂行し易くするための領域として定義される。本実施の形態では、第2指係止部22は、作業者の第2指F2を係止する使用形態を想定しているが、もちろん、実際の作業において別の指を係止することを妨げるものではない。
(第2端部領域側把持領域の構成を中心として)
さらに把持部10は、図3,4に示すように、長手方向LD1における第2端部領域12において、第2端部領域側把持領域23およびスクレーパ31を有する。第2端部領域側把持領域23は、図3に示すカッター刃5を用いた切断作業の際に、図2に示す作業者の小指球側環状把持部R2に当接する側の把持領域として定義される(これについては、併せて図7参照)。
そして第2端部領域側把持部23は、カッター刃5を用いた切断作業の際に、図2に示す作業者の小指球側環状把持部R2の長さ寸法に概ね対応しており、把持状態における作業者の第5指F5が、小指球PH2に接触または近接可能な寸法設定とされている。
(スクレーパ使用の際の当接円滑化処理領域24の構成)
また、図3に示すカッターナイフ1を、長手方向LD1に関して前後逆に把持して、スクレーパ31を使用する状態が図8に示される。図8に示すように、第2端部12
領域12(ないし第2端部領域側把持領域23)には、無用な突出部や成形時のバリ等が削除された平滑面が形成されている。この平滑面は、スクレーパ31を使用する際に、作業者の作業進行を阻害されないように設定された「当接円滑化処理領域24」を構成する。換言すれば、「本発明に係るカッターナイフのホルダであって、第2端部領域ないし第2端部側把持領域には、スクレーパが用いられる場合に作業者の手指の当接箇所に対応して当接円滑化処理領域」という構成が採用されている。
当接円滑化処理領域24は、スクレーパ31使用の際に、作業者の第1指F1での当接・押圧動作に対する阻害回避に有効とされる。
(スクレーパ31の構成を中心として)
スクレーパ31は、「へら」とも称呼される金属製の部材であり、刺突作業、ないし刺突および切断作業に供される。典型的な作業態様の一つとしては、テープ係止された段ボール収容箱につき、当該テープを刺突してスクレーパ31を段ボール収容箱の内側に進入させるとともに、その状態で当該スクレーパ31を引き操作することで、上記テープを切断し、これによって収容箱の開扉を可能とする作業がこれに該当する。
(スクレーパ31の先端突出部32の構成)
図3に示すように、かかる刺突作業、ないし刺突と併せて切断作業を遂行可能とするべくスクレーパ31の自由端側には、先端突出部32が形成されている。
先端突出部32を介して刺突作業を行う場合、当該先端突出部32を鋭利にし過ぎることで、刺突性能をあまりに上げると、作業中に商品等を不用意に傷つける可能性がある。逆に、刺突性能を下げると、今度は作業性自体が低下してしまう。かかる極端な鋭利性回避と、鋭利性回避に起因する作業性低下のトレードオフの解決策として、先端突出部32について、略R=2.0〜2.5の範囲内のいずれかの曲率を有するように構成することが好ましい。とくに先端突出部32を、略R=2.1〜2.4の範囲内のいずれかの曲率を有するように構成することで上記問題の解決が一層確実に図られる。本実施の形態では、先端突出部の曲率(図3参照)は、一例としてR2.3に設定されている。
同様の観点から、スクレーパ31の先端突出部32は、略θ2=40°〜60°の範囲内のいずれかの傾斜角を有するように構成することが好ましい。さらに先端突出部32につき、略θ2=44°〜56°の範囲内のいずれかの傾斜角を有するように構成することで上記問題の解決が一層確実に図られる。本実施の形態では、先端突出部32の突出角度θ2(図3参照)は、一例として50°に設定されている。
(第2端部領域12におけるスクレーパ31と第2端部側把持領域23の両立性)
なお本実施形態に係るカッターナイフ1では、第2端部領域12にスクレーパ31を配置する一方、当該第2端部領域12の寸法を適宜に設定することで、スクレーパ31による作業時に求められる強度剛性が適切に確保されている。一方、第2端部領域12に形成された第2端部側把持領域23については、図7に示すように、カッター刃5を用いた切断作業の際に、作業者の小指球側環状把持部R2の長さ寸法に概ね対応させて、把持状態における作業者の第5指F5が、小指球PH2に接触または近接可能な寸法設定とされている。すなわち、第2端部領域12は、スクレーパ31による作業のための強度剛性確保と、カッター刃5による作業の際の把持性向上という、双方側の要請を両立させた構成とされている。
(実施形態における作用・効果)
本実施の形態に係るカッターナイフ1、およびそのホルダ2は、上記のように構成される。とりわけ、膨出部16の曲率Rおよび膨出角度θ1に関する創意工夫がなされることで、図6に示すように、本実施形態に係るカッターナイフ1ないしホルダ2を作業者が手Hで把持した状態で切断作業を遂行する場合、その掌凹部PVに対して、膨出部16が略面接触状に密着して当接することになり、人間工学的に優れた把持性能がカッターナイフ1およびホルダ2に付与される。
すなわち作業者は、ホルダ2を自然に把持すれば、その状態でホルダ2の確実な把持が可能であり、把持のために余計な注意を払うことなく、押圧部21に指圧をかけて切断作業に集中することができる。これによりストレスフリーな作業環境が確保されることになる。かかる人間工学訴求式の実施形態は、とくに強度の作業ないし長時間の作業が求められ易いプロフェッショナルユースの領域においても、十分にその効果を奏することができる。
また上記したように、第2端部領域側把持部23は、カッター刃5を用いた切断作業の際に、図2に示す作業者の小指球側環状把持部R2の長さ寸法に概ね対応して構成されている。このため、図7に示すカッター刃5による切断作業に際して、作業者は、小指球側環状領域R2を第2端部側把持領域23に密着させた状態で、かつ第5指F5側の握力をしっかり働かせながら把持部10を持つことができ、把持性の一層の向上が図られる。
さらに切断作業に際して、作業者は第2指F2を第2指係止部22に係止させた状態にて、第1指F1による指圧を押圧21に安定的に作用させることができる(図7参照)。
これらの相乗効果により、把持性および作業性の最大効率化が図られることになる。
一方、図8に示すように、本実施形態に係るカッターナイフ1を、長手方向LD1に関して前後逆に把持し、スクレーパ31を用いて作業する場合、上記した第2端部領域12ないし第2端部領域側把持領域23が前方側端部に位置することになるが、把持部10における膨出部16(図4および図5も併せて参照)は、図8に示すスクレーパ作業を遂行する場合には、把持部10を前後逆に把持した状態の手H、ないし第1指F1〜第5指F5に対し、無用な作業障害物とならないように、手指当接回避領域33に位置するように構成されている。また上記した当接円滑化処理領域24が前方側に位置することになり、スクレーパ作業を行う作業者の第1指F1に対して作業阻害が生じることなく、円滑な作業が担保されることになる。すなわち、本実施形態に係るカッターナイフ1ないしホルダ2によれば、図7に示すカッター刃5を用いた切断作業のみならず、図8に示すスクレーパ31を用いた刺突ない刺突・切断作業においても、人間工学的視点に立脚して、作業者の作業性および疲労抑制性に優れた作業環境を提供することができる。
作業者が手Hを開いて掌を向けた状態の模式的構造を示す・ カッターナイフ把持のため手指を曲折した状態の作業者の手Hを模式的に示す。 本発明の実施形態に係るカッターナイフ1およびホルダ2の全体構成を示す正面模式図である。 本発明の実施形態に係るカッターナイフ1およびホルダ2を上面から視た状態を示す平面模式図である。 ホルダ2の特徴的構造を示す断面模式図である。 ホルダ2の特徴的構造を示す斜視模式図である。 本発明の実施形態に係るカッターナイフ1を切断作業に供するために把持した状態を示す模式図である。 本発明の実施形態に係るカッターナイフ1をスクレーパ作業に供するために前後逆に把持した状態を示す模式図である。
1 カッターナイフ
2 ホルダ
3 刃収容部
4 ラッチ
5 カッター刃
6 スライダ
7 係合部
10 把持部
11 第1端部領域
12 第2端部領域
13 中間領域
14 長尺体
15 突状曲面部
16 膨出部
17 把持溝部
21 押圧部
22 第2指係止部
23 第2端部領域側把持領域
24 当接円滑化処理領域
31 スクレーパ
32 先端突出部
33 手指当接回避領域
LD1 長手方向
C 把持部中央領域
H 作業者の手
PL1 母指線(母指球皮線、生命線)
PL2 近位手掌線(近位手掌皮線、知能線)
PL3 遠位手掌線(遠位手掌皮線、感情線)
PH1 母指球
PH2 小指球
PV 掌凹部
F1 第1指(母指、親指)
F2 第2指(示指、人差し指)
F3 第3指(中指)
F4 第4指(薬指、環指)
F5 第5指(小指)
R1 把持状態における第2指と母指球が形成する母指球側環状把持部
R2 把持状態における第5指と小指球が形成する小指球側環状把持部
本発明は、カッターナイフのホルダおよびカッターナイフにおける、人間工学に基づいた把持性能の向上技術に関する。
カッターナイフ(ないしそのホルダ)に関する構成について、例えば特開2012−40142号公報(特許文献1)に開示されたものが知られている。
当該特許文献1では、カッター刃による切断作業に加えて、ドライバー機能を更に付加することで、カッターナイフの汎用性を向上する技術が採用されている。
さらに上記特許文献1では、その図3、図4等に示されるように、カッターナイフの長手方向におけるホルダの断面を湾曲状に形成することで、作業者が把持し易いホルダに関する開示がなされている。
上記特許文献1に開示された技術では、確かに作業者の把持性を向上させる工夫がなされているが、カッターナイフは、手指によって比較的強い押圧力を作用させた状態で使用に供されることから、さらに作業者の把持性向上を追求する要請がある。かかる要請は、とりわけ長時間継続的に作業を行うプロフェッショナルユース領域において顕著である。
特開2012−4012号公報
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、カッターナイフないしそのホルダにつき、作業者による把持性を更に向上するのに有効な技術を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明が構成される。本発明においては、カッター刃をスライド可能に収容する刃収容部と、作業者の手での把持に供される把持部を有するカッターナイフのホルダが構成される。前記把持部は、前記カッター刃のスライド方向を長手方向とする長尺体として形成されるとともに、前記長尺体の中間領域と、前記長手方向における前記カッター刃先端に近接する側の第1端部領域と、離間する側の第2端部領域とを有する。また前記中間領域は 作業者が手で前記把持部を把持した状態における当該作業者の掌の母指球と小指球の間に形成される掌凹部に対して略面接触可能な突状曲面部を有する。また前記第1端部領域は、前記カッター刃による切断作業が遂行される場合に、作業者の指圧による押圧力が作用する押圧部を有する。
本発明に係るカッターナイフのホルダは、一般向け汎用品ないしプロフェッショナルユース品のいずれにも適用可能であるが、後述するように、人間工学的な把持特性を追求した特徴に鑑み、とりわけ長時間継続的に作業を行うプロフェッショナルユース品への親和性が高い。
前記刃収容部は、カッター刃を所定の弾性体の付勢力を利用して刃収容部に位置決め保持しつつ、当該付勢力に抗するマニュアル操作を介してスライド可能に構成されてもよい。あるいは、ネジの螺着動作を介して刃収容部に位置決め保持しつつ、当該螺着解除動作を介してスライド可能に構成されてもよい。
前記長尺体の「中間領域」は、当該長尺体の幾何学的中心領域に限定されるものではなく、前記第1端部領域および第2端部領域の間のエリアを広く包含する趣旨である。
前記長尺体の「第1端部領域」は、長手方向においてカッター刃先端に近接する側の端部領域として定義されるが、当該「近接」とは、スライド可能に収容されたカッター刃の先端に近い側の端部に相当し、換言すれば、カッター刃を用いた切断作業をする場合の長尺体の前方側端部に相当する。
これに対し、前記長尺体の「第2端部領域」は、長手方向においてカッター刃先端から離間する側端部領域として定義されるが、当該「離間」とは、長手方向において、第1端部領域よりも遠方側の端部に相当し、換言すれば、カッター刃を用いた切断作業をする場合の長尺体の後方側端部に相当する。
作業者の掌の「母指球」は、当該作業者の手掌における親指の根元側に、当該親指(第1指)の延在方向に概ね沿って形成される丘状部分に相当し、「小指球」は、当該作業者の掌における小指の根元側に、当該小指(第5指)の延在方向に概ね沿って形成される丘状部分に相当する。また「掌凹部」は、当該作業者の掌において、前記母指球と小指球という二つの丘状部分の間に形成される窪地(盆地)状の凹状領域(低位領域)に相当する。
そして本発明における突状曲面部は、掌凹部に対して略面接触可能に構成されている。「面接触」とは、典型的には、突状曲面部における曲面が掌凹部に密着状に接触することで、当該突状曲面部と掌凹部との間の隙間が極小化される態様がこれに該当する。隙間の極小化の観点から、突状曲面部と掌凹部の間につき、部分的な空隙が完全に排除された形態、ないし略排除されたに等しい形態のいずれも包含する。また当該ホルダが使用される国、性別、年齢等の影響因子を考慮して、想定される作業環境に応じて突状曲面部の面接触性能を適宜調整することが可能である。例えば、大柄な作業者が多い国や領域では、突状曲面部を相対的に大きく形成し、逆に小柄な作業者が多い国や領域では、突状曲面部を相対的に小さく形成する等のローカライゼーションがこれに該当する。
また本発明における押圧部は、前記第1端部領域に設けられ、前記カッター刃による切断作業が遂行される場合に、作業者の指圧による押圧力が作用するように構成される。
典型的には、カッター刃による切断作業において、第2指〜第5指を使って把持部をしっかり握った状態で、第1指(親指)の指圧を押圧部に作用させることにより、切断力がコントロールされつつ切断作業が遂行する態様がこれに該当する。
このとき、上記の通り、把持部の中間領域に設けられた突状曲面部が作業者の掌凹部に略面接触して、しっかり密接した状態が維持されるため、作業者は、ホルダの把持に余計な注意力を払う必要がなく、押圧部に指圧をかけて切断作業に集中することができる。例えば上記従来技術においても、把持部断面を湾曲形状とすることで作業者の把持性がある程度は確保できていたが、本発明においては、把持部の中間領域における突状曲面部を、作業者の掌凹部に略面接触させて密接状態が維持されるように構成することで、従来技術よりも更に踏み込んだ、人間工学訴求式のホルダ構成が確保されることになる。
以上、人間工学的に優れた構造を有するホルダを構成することで、「把持部が掌に密着する」―「握りやすい」−「把持に余計な労力がかからず、押圧に集中し易い」−「切断作業が遂行し易い」−「把持に無駄な労力が不要なので長時間作業で疲れにくい」という作業シーケンスが確保されることになり、カッターナイフによる作業性向上に資することが可能となる。
また、カッターナイフの機能性向上ないし多機能化の見地より、前記第2端部領域側に、先端突出部を有するスクレーパが設けられる。スクレーパは「へら」とも称呼され、作業対象に対して刺突作業、あるいは刺突に続いて切断作業を遂行するための機能部材である。
第2端部領域側をカッター刃とは異なる機能部材に割り当てる関係で、スクレーパ使用時には、作業者は、上記把持部を前後逆にして把持することになるが。このとき、上記した突状曲面部が、スクレーパ使用時に作業者による把持の邪魔にならないようにされる。このため本発明では、スクレーパによる作業遂行のための把持状態において、前記突状曲面部は、作業者の手指への当接が回避された手指当接回避領域に設けられるように構成されている。これにより、カッター刃による作業時の把持性向上と、スクレーパによる作業時の支障回避が両立されることになる。
上記掌凹部は、典型的には、作業者の母指線、近位手掌線および遠位手掌線の少なくとも一部を含んで構成される。母指線は、母指球の近傍を当該母指球に沿って延在する線であって生命線とも称呼される。近位手掌線は母指線から分岐状に延在する線であって知能線とも称呼される。遠位手掌線は近位手掌線と略平行に延在する線であって感情線とも称呼される。「少なくとも一部を含んで」とは、掌凹部がこれら三本の線の一部を含む態様、三本の線の全部を含む態様、各線の一部を含む態様のいずれも好適に包含する。
前記突状曲面部は、前記長手方向において、前記把持部の中央よりも前記第2端部領域に近接した位置に設けられることが好ましい。一般に、カッター刃によって切断作業を遂行する場合、手の構造上、把持部の後方側を把持しつつ、前方側に指圧による押圧力を作用させる態勢が合理的となり易い。この点に鑑み、前記突状曲面部について、把持部の中央よりも第2端部領域に近接した位置、換言すれば把持部の後方側に配置することにより、カッター刃による切断作業の容易性を担保することができる。
また前記突状曲面部は、作業者の母指線、近位手掌線および遠位手掌線と交差する方向につき、所定の曲率および膨出角度を有する膨出部(膨出領域とも称呼)を有することが好ましい。そして前記膨出部につき、作業者が手で前記把持部を把持した状態における前記掌凹部に対して略面接触するように構成することが好ましい。このように構成することで、突状曲面部の膨出部が掌凹部に略面接触し、これによって把持性の向上が図られることになる。なお、上記「作業者の母指線、近位手掌線および遠位手掌線と交差する方向」は、作業者が把持部を把持した場合に、当該把持部の長尺方向と概ね交差する方向(例えば概ね直交する方向)に相当する。
上記把持性向上の見地より、前記膨出部の所定の曲率は、略R10〜R21の範囲内のいずれかとすることが好ましい。特に、曲率を略R13〜R16の範囲内のいずれかとすることで把持性の更なる向上が図られる。
また前記膨出部の膨出角度については、略θ1=115°〜135°の範囲内のいずれかとすることが好ましい。特に、膨出角度を略θ1=120°〜125°の範囲内のいずれかとすることで把持性の更なる向上が図られる。
さらに前記突状曲面部は、前記長手方向において、前記膨出部から前記第1端部領域側に延在する第1突状曲面部と、前記膨出部から前記第2端部領域側に延在する第2突状曲面部を有するように構成することが好ましい。この場合、前記第1突状曲面部は、前記長手方向における前記膨出部から前記第1端部領域までの長さの略50%以上かつ略90%以下となるように設定することが好ましい。また前記第2突状曲面部は、前記長手方向における前記膨出部から前記第2端部領域までの長さの略50%以上かつ90%以下となるように設定することが好ましい。このように構成することで、膨出部が掌凹部に略面接触した状態において、作業者の手の構造に対して、より適合性の高い把持構造を確保することができる。
また前記長手方向に対する前記第1突状曲面部の傾斜角よりも、前記長手方向に対する前記第2突状曲面部の傾斜角が大きくなるように設定することが好ましい。このように構成することで、膨出部が掌凹部に略面接触した状態において、把持状態とされた作業者の手の形状に寄り添った把持構造を確保することができる。
さらに前記第2端部領域につき、把持状態における第5指および小指球が形成する環状領域に面接触可能に構成された第2端部領域側把持領域を有するとともに、前記第2端部側把持領域については、把持状態における第5指が小指球に接触または近接可能な寸法設定とすることが好ましい。このように構成することで、作業者が第5指(小指)側の環状領域を第2端部側把持領域に密着させた状態で、かつ第5指側の握力をしっかり働かせながら把持部を持つことができるようになり、把持性の一層の向上が図られる。特に、カッターナイフの多機能化の見地より、カッターナイフの後端側に別種の機能部材(例えば後述するスクレーパ)を設けるケースがあるが、このような場合、当該別種の機能部材の配置スペースの関係上、第2端部領域側の寸法が増大し易く、かかる寸法増大の結果、把持状態における作業者の第5指を小指球に近接させにくくなり、第5指側の握力をしっかり作用させることが困難な状況が想定される。本発明によれば、かかる懸念が払しょくされて、把持性能の向上が確実に担保されることになる。
さらに前記第1端部領域における前記押圧部と対向する側に、作業者が前記押圧部を第1指で押圧した場合に、第2指を係止可能な第2指係止部を設けることが好ましい。カッター刃で切断作業を行う場合、第2指(人差し指)〜第5指(小指)で把持部を握りつつ、第1指(親指)で押圧部に指圧を作用させることが多いと想定されるが、この場合、第2指を第2指係止部によって係止することで、指がずれて作業性を悪化させる懸念が払しょくされることになる。
上記刺突作業に際しては、スクレーパの刺突性能があまりに高過ぎると、作業中に商品等を不用意に傷つける可能性が懸念される。一方、かかるリスクを回避してスクレーパの刺突性能を下げると、今度は作業性自体が低下してしまう。このようなスクレーパの極端な鋭利性回避と、鋭利性回避に起因する作業性低下のトレードオフを合理的に解決すべく、前記スクレーパの先端突出部について、略R=2.0〜2.5の範囲内のいずれかの曲率を有するように構成することが好ましい。とくに前記スクレーパの先端突出部を、略R=2.1〜2.4の範囲内のいずれかの曲率を有するように構成することで上記問題の解決が一層確実に図られる。
同様の見地により、前記スクレーパの先端突出部は、略θ2=40°〜60°の範囲内のいずれかの傾斜角を有するように構成することが好ましい。さらに前記スクレーパの先端突出部につき、略θ2=44°〜56°の範囲内のいずれかの傾斜角を有するように構成することで上記問題の解決が一層確実に図られる。
さらに本発明では、上記カッターナイフのホルダと、前記刃収容部にスライド可能に収容されたカッター刃を有するカッターナイフを構成することが好ましい。かかる構成により、人間工学的配慮に富んだ、特にプロフェッショナルユースの領域でも確実に使用性を担保できるカッターナイフが提供されることになる。
本発明の実施形態にについて図1〜図8に基づいて説明する。
上記の通り、本発明は、カッターナイフないしそのホルダにつき、人間工学に基づいた把持性能の向上に関する技術であり、まず把持に関わる作業者の手の構造について、先に説明を行う。
(人間工学的観点に基づく、作業者の手の構造確認)
図1は、作業者が手Hを開いて掌を向けた状態の模式的構造が示される(図1では便宜上右手が示されている)。作業者の手指につき、親指(ないし母指)に相当する第1指をF1(Finger−1)、人差し指(ないし示指)に相当する第2指をF2、中指に相当する第3指をF3、薬指(ないし環指)に相当する第4指をF4、小指に相当する第5指をF5と定義する。
さらに作業者の掌部分につき、第1指F1の根元側に形成される丘状部分を母指球PH1(Palm Hill−1)、第5指F5の根元側に形成される丘状部分を小指球PH2と定義する。
また作業者の掌部分につき、母指線をPL1(Palm Line−1)、近位手掌線をPL2、遠位手掌線(ないし感情線とも称呼)をPL3と定義する。母指線PL1は、母指球PH1の近傍を当該母指球に沿って延在する線であって,「母指球線」、「母指球皮線」あるいは「生命線」とも称呼される。近位手掌線はPL2,母指線PL1から分岐状に延在する線であって、「近位手掌皮線」、「知能線」とも称呼される。遠位手掌線PL3は、近位手掌線PL2と略平行に延在する線であって、「遠位手掌皮線」、「感情線」とも称呼される。
さらに、母指球PH1および小指球PH2の間に、母指線PL1、近位手掌線PL2、遠位手掌線PL3を含んで形成される窪地状(盆地状)の凹状低位領域につき、掌凹部PV(Palm Valley)と定義する。
本実施例では、掌凹部PVは、母指線PL1、近位手掌線PL2、遠位手掌線PL3を全て含んだ状態で定義されるが、人種や生活環境等による掌の構造上の相違に応じて、上記母指線PL1、近位手掌線PL2、遠位手掌線PL3の少なくとも一部を含めば足りるものとする。
上記の構造を有する作業者の手Hにつき、以下に詳述するカッターナイフを把持しようと手指を曲折した状態が図2に示される。
すなわち第1指F1を曲折するとともに、第2指F2〜第5指F5を並列状に曲折することで手Hが把持状態に置かれる。このとき、第2指F2と母指球PH1が形成する母指球側環状把持部をR1と定義し、第5指F5と小指球PH2が形成する小指球側環状把持部をR2と定義する。このとき、母指球側環状把持部R1と小指球側環状把持部R2の間には、上記のように、母指線PL1、近位手掌線PL2、遠位手掌線PL3を含んだ状態で掌凹部PVが形成されている。
(カッターナイフの全体構成)
次に本発明の実施の形態であるカッターナイフ1およびホルダ2の構造について、図3〜図8を用いて説明する。なおカッターナイフ1は、本発明における「カッターナイフ」の一例であり、ホルダ2は、本発明における「ホルダ」の一例に相当する。
図3は、カッターナイフ1およびホルダ2の全体構成を示した正面模式図である。図4は、カッターナイフ1およびホルダ2を上面から視た状態を示した平面模式図である。また図5、図6は、人間工学的配慮に基づく、ホルダ2の特徴的構造を示した断面模式図および斜視模式図である。また図7は、当該カッターナイフ1を切断作業に供するために把持した状態を示した模式図であり、図8は、当該カッターナイフ1をスクレーパ作業に供するために前後逆に把持した状態を示した模式図である。
図3に示すように、カッターナイフ1は、ホルダ2およびカッター刃5有する。カッター刃5としては所定の規格品が用いられており、便宜上詳細な説明を省略する。
ホルダ2は、刃収容部3および把持部10を有する。刃収容部3はカッター刃5を収容可能に構成された長尺状の金属製の部材である。刃収容部3にはスライダ6が設けられており、当該スライダ6は係合部7を介して、カッター刃5を一体状に係止する。そしてカッター刃5は、刃収容部3に収容された状態で、スライダ6の手動操作に応じて、長軸方向LD1に摺動動作可能とされている。
本実施形態では、スライダ6と刃収容部3との間に、特に図示しない金属製の弾性体が介在配置されており、当該弾性体がラッチ4に係合することで、カッター刃5の位置決め(刃収容部3からの突出位置ないし刃収容部3内への完全収納)が行われる。なおスライダ6およびカッター刃5の摺動動作等については周知事項であって、本明細書ではその詳細な説明を便宜上省略する。
(把持部10の構成)
ホルダ2は、カッターナイフ1を作業者が手で把持することに供される把持部10を有する。把持部10の詳細な構造が、図3〜図5に示される。
把持部10は、複数の把持溝部17が所定距離毎に形成された状態で、長手方向LD1に延在し、第1端部領域11、第2端部領域12、中間領域13を有する長尺体14として構成される。なお、説明の便宜上、把持溝部17は図4においては図示を省略されている。
中間領域13は、第1端部領域11と第2端部領域12の間の領域として定義されている。そして、図4、図5に示されるように、当該中間領域13には突状曲面部15が形成される。突状曲面部15は、把持部中央領域Cよりも第2端部領域12に近接する側を主体として形成されるとともに、膨出部16を有する。膨出部16は、把持部中央領域Cよりも第2端部領域12に近接する側に設けられるとともに、その断面構造が図5に模式的に示される。
(膨出部16の構成)
図4および図5に示す膨出部16は、以下に述べる人間工学的視点に立脚した把持性向上の見地より、略R10〜R21の範囲内のいずれかの曲率となるように設定することが好ましい。特に、曲率を略R13〜R16の範囲内のいずれかとすることで把持性の更なる向上が図られる。本実施の形態では、膨出部16の曲率は、一例としてR15に設定されている。
また同様に把持性向上の見地より、膨出部10の膨出角度については、略θ1=115°〜135°の範囲内のいずれかとすることが好ましい。特に、膨出角度を略θ1=120°〜125°の範囲内のいずれかとすることで把持性の更なる向上が図られる。本実施の形態では、膨出部16の膨出角度θ1(図5参照)は、一例として122°に設定されている。
(人間工学的視点による膨出部16の構成)
上記膨出部16の曲率および/または膨出角度の設定により、本実施の形態に係るホルダ2は、人間工学的視点に基づく把持性の著しい向上が図られている。これを説明するべく、膨出部16の特徴的構成が図6に詳細に示される。なお図6では、説明の便宜上、把持部10を、膨出部16の位置する箇所の断面とともに模式的に示している。図6に示すように、本実施形態に係るカッターナイフ1ないしホルダ2を作業者が手Hで把持した場合、その掌凹部PVに対して、把持部10の突状曲面部15における膨出部16が略面接触状に密着して当接することになる。とりわけ図1、図2に示す母指線PL1、近位手掌線PL2、遠位手掌線PL3と交差する方向(すなわち図3に示す把持部10においては長手方向LD1と交差する方向)に関して、膨出部16が掌凹部PVに極めて高度に密着することが可能とされ、人間工学的に優れた把持性能が付与されることになる。
なお突状曲面部15は、図4に示すように、長手方向LD1において、膨出部16から第1端部領域11側に延在する第1突状曲面部15Aと、膨出部16から第2端部領域12側に延在する第2突状曲面部15Bとに区分することができる。この場合、第1突状曲面部15Aの長さL11は、膨出部16から第1端部領域11までの長さ(距離)L12の略50%〜略90%の範囲で設定することが好ましい。本実施の形態では、75%となるように設定されている。
また第2突状曲面部15Bの長さL21は、膨出部16から第2端部領域12までの長さL22の略50%〜略90%の範囲で設定することが好ましい。本実施の形態では75%となるように設定されている。
かかる構成により、膨出部16が掌凹部PVに面接触した状態において、作業者の手の構造に対して、より適合性の高い把持構造を確保することができる。すなわち第1突状曲面部15Aは、図2に示す作業者の把持状態の手において、掌凹部PVから母指球側環状把持部R1までの領域に対して十分に面接触を維持することが可能となる(図2等も併せて参照)。一方、第2突状曲面部15Bは、掌凹部PVから小指球側環状把持部R2までの領域に対して十分に面接触を維持することが可能となる。
また図4に示すように、本実施の形態では、長手方向に対する第1突状曲面部15Aの傾斜角よりも、長手方向に対する第2突状曲面部15Bの傾斜角が大きくなるように設定されている。これにより、膨出部16が掌凹部PVに面接触した状態において、把持状態とされた作業者の手の形状に、更に寄り添った把持構造を確保することができる。
(押圧部21および第2指係止部22の構成)
更に図3に示すように、把持部10の第1端部領域11には、押圧部21および第2指係止部22が形成されている。押圧部21は、カッター刃5を用いて切断作業を遂行する場合に、作業者が手指でカッターナイフ1を作業対象へと押圧するための領域として定義される。作業者は、典型的には、第1指F1で押圧部21を押圧する使用形態をとることが想定されるが、他の指(例えば第2指F2)あるいは別の手指によって押圧する態様も好適に包含されるものである。また第2指係止部22は、カッター刃5を用いて切断作業を遂行する場合に、作業者の第2指F2を係止して作業を遂行し易くするための領域として定義される。本実施の形態では、第2指係止部22は、作業者の第2指F2を係止する使用形態を想定しているが、もちろん、実際の作業において別の指を係止することを妨げるものではない。
(第2端部領域側把持領域の構成を中心として)
さらに把持部10は、図3,4に示すように、長手方向LD1における第2端部領域12において、第2端部領域側把持領域23およびスクレーパ31を有する。第2端部領域側把持領域23は、図3に示すカッター刃5を用いた切断作業の際に、図2に示す作業者の小指球側環状把持部R2に当接する側の把持領域として定義される(これについては、併せて図7参照)。
そして第2端部領域側把持部23は、カッター刃5を用いた切断作業の際に、図2に示す作業者の小指球側環状把持部R2の長さ寸法に概ね対応しており、把持状態における作業者の第5指F5が、小指球PH2に接触または近接可能な寸法設定とされている。
(スクレーパ使用の際の当接円滑化処理領域24の構成)
また、図3に示すカッターナイフ1を、長手方向LD1に関して前後逆に把持して、スクレーパ31を使用する状態が図8に示される。図8に示すように、第2端部領域12(ないし第2端部領域側把持領域23)には、無用な突出部や成形時のバリ等が削除された平滑面が形成されている。この平滑面は、スクレーパ31を使用する際に、作業者の作業進行を阻害されないように設定された「当接円滑化処理領域24」を構成する。換言すれば、「本発明に係るカッターナイフのホルダであって、第2端部領域ないし第2端部側把持領域には、スクレーパが用いられる場合に作業者の手指の当接箇所に対応して当接円滑化処理領域」という構成が採用されている。
当接円滑化処理領域24は、スクレーパ31使用の際に、作業者の第1指F1での当接・押圧動作に対する阻害回避に有効とされる。
(スクレーパ31の構成を中心として)
スクレーパ31は、「へら」とも称呼される金属製の部材であり、刺突作業、ないし刺突および切断作業に供される。典型的な作業態様の一つとしては、テープ係止された段ボール収容箱につき、当該テープを刺突してスクレーパ31を段ボール収容箱の内側に進入させるとともに、その状態で当該スクレーパ31を引き操作することで、上記テープを切断し、これによって収容箱の開扉を可能とする作業がこれに該当する。
(スクレーパ31の先端突出部32の構成)
図3に示すように、かかる刺突作業、ないし刺突と併せて切断作業を遂行可能とするべくスクレーパ31の自由端側には、先端突出部32が形成されている。
先端突出部32を介して刺突作業を行う場合、当該先端突出部32を鋭利にし過ぎることで、刺突性能をあまりに上げると、作業中に商品等を不用意に傷つける可能性がある。逆に、刺突性能を下げると、今度は作業性自体が低下してしまう。かかる極端な鋭利性回避と、鋭利性回避に起因する作業性低下のトレードオフの解決策として、先端突出部32について、略R=2.0〜2.5の範囲内のいずれかの曲率を有するように構成することが好ましい。とくに先端突出部32を、略R=2.1〜2.4の範囲内のいずれかの曲率を有するように構成することで上記問題の解決が一層確実に図られる。本実施の形態では、先端突出部の曲率(図3参照)は、一例としてR2.3に設定されている。
同様の観点から、スクレーパ31の先端突出部32は、略θ2=40°〜60°の範囲内のいずれかの傾斜角を有するように構成することが好ましい。さらに先端突出部32につき、略θ2=44°〜56°の範囲内のいずれかの傾斜角を有するように構成することで上記問題の解決が一層確実に図られる。本実施の形態では、先端突出部32の突出角度θ2(図3参照)は、一例として50°に設定されている。
(第2端部領域12におけるスクレーパ31と第2端部側把持領域23の両立性)
なお本実施形態に係るカッターナイフ1では、第2端部領域12にスクレーパ31を配置する一方、当該第2端部領域12の寸法を適宜に設定することで、スクレーパ31による作業時に求められる強度剛性が適切に確保されている。一方、第2端部領域12に形成された第2端部側把持領域23については、図7に示すように、カッター刃5を用いた切断作業の際に、作業者の小指球側環状把持部R2の長さ寸法に概ね対応させて、把持状態における作業者の第5指F5が、小指球PH2に接触または近接可能な寸法設定とされている。すなわち、第2端部領域12は、スクレーパ31による作業のための強度剛性確保と、カッター刃5による作業の際の把持性向上という、双方側の要請を両立させた構成とされている。
(実施形態における作用・効果)
本実施の形態に係るカッターナイフ1、およびそのホルダ2は、上記のように構成される。とりわけ、膨出部16の曲率Rおよび膨出角度θ1に関する創意工夫がなされることで、図6に示すように、本実施形態に係るカッターナイフ1ないしホルダ2を作業者が手Hで把持した状態で切断作業を遂行する場合、その掌凹部PVに対して、膨出部16が略面接触状に密着して当接することになり、人間工学的に優れた把持性能がカッターナイフ1およびホルダ2に付与される。
すなわち作業者は、ホルダ2を自然に把持すれば、その状態でホルダ2の確実な把持が可能であり、把持のために余計な注意を払うことなく、押圧部21に指圧をかけて切断作業に集中することができる。これによりストレスフリーな作業環境が確保されることになる。かかる人間工学訴求式の実施形態は、とくに強度の作業ないし長時間の作業が求められ易いプロフェッショナルユースの領域においても、十分にその効果を奏することができる。
また上記したように、第2端部領域側把持部23は、カッター刃5を用いた切断作業の際に、図2に示す作業者の小指球側環状把持部R2の長さ寸法に概ね対応して構成されている。このため、図7に示すカッター刃5による切断作業に際して、作業者は、小指球側環状領域R2を第2端部側把持領域23に密着させた状態で、かつ第5指F5側の握力をしっかり働かせながら把持部10を持つことができ、把持性の一層の向上が図られる。
さらに切断作業に際して、作業者は第2指F2を第2指係止部22に係止させた状態にて、第1指F1による指圧を押圧21に安定的に作用させることができる(図7参照)。
これらの相乗効果により、把持性および作業性の最大効率化が図られることになる。
一方、図8に示すように、本実施形態に係るカッターナイフ1を、長手方向LD1に関して前後逆に把持し、スクレーパ31を用いて作業する場合、上記した第2端部領域12ないし第2端部領域側把持領域23が前方側端部に位置することになるが、把持部10における膨出部16(図4および図5も併せて参照)は、図8に示すスクレーパ作業を遂行する場合には、把持部10を前後逆に把持した状態の手H、ないし第1指F1〜第5指F5に対し、無用な作業障害物とならないように、手指当接回避領域33に位置するように構成されている。また上記した当接円滑化処理領域24が前方側に位置することになり、スクレーパ作業を行う作業者の第1指F1に対して作業阻害が生じることなく、円滑な作業が担保されることになる。すなわち、本実施形態に係るカッターナイフ1ないしホルダ2によれば、図7に示すカッター刃5を用いた切断作業のみならず、図8に示すスクレーパ31を用いた刺突ない刺突・切断作業においても、人間工学的視点に立脚して、作業者の作業性および疲労抑制性に優れた作業環境を提供することができる。
作業者が手Hを開いて掌を向けた状態の模式的構造を示す・ カッターナイフ把持のため手指を曲折した状態の作業者の手Hを模式的に示す。 本発明の実施形態に係るカッターナイフ1およびホルダ2の全体構成を示す正面模式図である。 本発明の実施形態に係るカッターナイフ1およびホルダ2を上面から視た状態を示す平面模式図である。 ホルダ2の特徴的構造を示す断面模式図である。 ホルダ2の特徴的構造を示す斜視模式図である。 本発明の実施形態に係るカッターナイフ1を切断作業に供するために把持した状態を示す模式図である。 本発明の実施形態に係るカッターナイフ1をスクレーパ作業に供するために前後逆に把持した状態を示す模式図である。
1 カッターナイフ
2 ホルダ
3 刃収容部
4 ラッチ
5 カッター刃
6 スライダ
7 係合部
10 把持部
11 第1端部領域
12 第2端部領域
13 中間領域
14 長尺体
15 突状曲面部
16 膨出部
17 把持溝部
21 押圧部
22 第2指係止部
23 第2端部領域側把持領域
24 当接円滑化処理領域
31 スクレーパ
32 先端突出部
33 手指当接回避領域
LD1 長手方向
C 把持部中央領域
H 作業者の手
PL1 母指線(母指球皮線、生命線)
PL2 近位手掌線(近位手掌皮線、知能線)
PL3 遠位手掌線(遠位手掌皮線、感情線)
PH1 母指球
PH2 小指球
PV 掌凹部
F1 第1指(母指、親指)
F2 第2指(示指、人差し指)
F3 第3指(中指)
F4 第4指(薬指、環指)
F5 第5指(小指)
R1 把持状態における第2指と母指球が形成する母指球側環状把持部
R2 把持状態における第5指と小指球が形成する小指球側環状把持部
本発明は、カッターナイフのホルダおよびカッターナイフにおける、人間工学に基づいた把持性能の向上技術に関する。
カッターナイフ(ないしそのホルダ)に関する構成について、例えば特開2012−40142号公報(特許文献1)に開示されたものが知られている。
当該特許文献1では、カッター刃による切断作業に加えて、ドライバー機能を更に付加することで、カッターナイフの汎用性を向上する技術が採用されている。
さらに上記特許文献1では、その図3、図4等に示されるように、カッターナイフの長手方向におけるホルダの断面を湾曲状に形成することで、作業者が把持し易いホルダに関する開示がなされている。
上記特許文献1に開示された技術では、確かに作業者の把持性を向上させる工夫がなされているが、カッターナイフは、手指によって比較的強い押圧力を作用させた状態で使用に供されることから、さらに作業者の把持性向上を追求する要請がある。かかる要請は、とりわけ長時間継続的に作業を行うプロフェッショナルユース領域において顕著である。
特開2012−4012号公報
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、カッターナイフないしそのホルダにつき、作業者による把持性を更に向上するのに有効な技術を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明が構成される。本発明においては、カッター刃をスライド可能に収容する刃収容部と、作業者の手での把持に供される把持部を有するカッターナイフのホルダが構成される。前記把持部は、前記カッター刃のスライド方向を長手方向とする長尺体として形成されるとともに、前記長尺体の中間領域と、前記長手方向における前記カッター刃先端に近接する側の第1端部領域と、離間する側の第2端部領域とを有する。また前記中間領域は 作業者が手で前記把持部を把持した状態における当該作業者の掌の母指球と小指球の間に形成される掌凹部に対して略面接触可能な突状曲面部を有する。また前記第1端部領域は、前記カッター刃による切断作業が遂行される場合に、作業者の指圧による押圧力が作用する押圧部を有する。
本発明に係るカッターナイフのホルダは、一般向け汎用品ないしプロフェッショナルユース品のいずれにも適用可能であるが、後述するように、人間工学的な把持特性を追求した特徴に鑑み、とりわけ長時間継続的に作業を行うプロフェッショナルユース品への親和性が高い。
前記刃収容部は、カッター刃を所定の弾性体の付勢力を利用して刃収容部に位置決め保持しつつ、当該付勢力に抗するマニュアル操作を介してスライド可能に構成されてもよい。あるいは、ネジの螺着動作を介して刃収容部に位置決め保持しつつ、当該螺着解除動作を介してスライド可能に構成されてもよい。
前記長尺体の「中間領域」は、当該長尺体の幾何学的中心領域に限定されるものではなく、前記第1端部領域および第2端部領域の間のエリアを広く包含する趣旨である。
前記長尺体の「第1端部領域」は、長手方向においてカッター刃先端に近接する側の端部領域として定義されるが、当該「近接」とは、スライド可能に収容されたカッター刃の先端に近い側の端部に相当し、換言すれば、カッター刃を用いた切断作業をする場合の長尺体の前方側端部に相当する。
これに対し、前記長尺体の「第2端部領域」は、長手方向においてカッター刃先端から離間する側端部領域として定義されるが、当該「離間」とは、長手方向において、第1端部領域よりも遠方側の端部に相当し、換言すれば、カッター刃を用いた切断作業をする場合の長尺体の後方側端部に相当する。
作業者の掌の「母指球」は、当該作業者の手掌における親指の根元側に、当該親指(第1指)の延在方向に概ね沿って形成される丘状部分に相当し、「小指球」は、当該作業者の掌における小指の根元側に、当該小指(第5指)の延在方向に概ね沿って形成される丘状部分に相当する。また「掌凹部」は、当該作業者の掌において、前記母指球と小指球という二つの丘状部分の間に形成される窪地(盆地)状の凹状領域(低位領域)に相当する。
そして本発明における突状曲面部は、掌凹部に対して略面接触可能に構成されている。「面接触」とは、典型的には、突状曲面部における曲面が掌凹部に密着状に接触することで、当該突状曲面部と掌凹部との間の隙間が極小化される態様がこれに該当する。隙間の極小化の観点から、突状曲面部と掌凹部の間につき、部分的な空隙が完全に排除された形態、ないし略排除されたに等しい形態のいずれも包含する。また当該ホルダが使用される国、性別、年齢等の影響因子を考慮して、想定される作業環境に応じて突状曲面部の面接触性能を適宜調整することが可能である。例えば、大柄な作業者が多い国や領域では、突状曲面部を相対的に大きく形成し、逆に小柄な作業者が多い国や領域では、突状曲面部を相対的に小さく形成する等のローカライゼーションがこれに該当する。
また本発明における押圧部は、前記第1端部領域に設けられ、前記カッター刃による切断作業が遂行される場合に、作業者の指圧による押圧力が作用するように構成される。
典型的には、カッター刃による切断作業において、第2指〜第5指を使って把持部をしっかり握った状態で、第1指(親指)の指圧を押圧部に作用させることにより、切断力がコントロールされつつ切断作業が遂行する態様がこれに該当する。
このとき、上記の通り、把持部の中間領域に設けられた突状曲面部が作業者の掌凹部に略面接触して、しっかり密接した状態が維持されるため、作業者は、ホルダの把持に余計な注意力を払う必要がなく、押圧部に指圧をかけて切断作業に集中することができる。例えば上記従来技術においても、把持部断面を湾曲形状とすることで作業者の把持性がある程度は確保できていたが、本発明においては、把持部の中間領域における突状曲面部を、作業者の掌凹部に略面接触させて密接状態が維持されるように構成することで、従来技術よりも更に踏み込んだ、人間工学訴求式のホルダ構成が確保されることになる。
以上、人間工学的に優れた構造を有するホルダを構成することで、「把持部が掌に密着する」―「握りやすい」−「把持に余計な労力がかからず、押圧に集中し易い」−「切断作業が遂行し易い」−「把持に無駄な労力が不要なので長時間作業で疲れにくい」という作業シーケンスが確保されることになり、カッターナイフによる作業性向上に資することが可能となる。
また、カッターナイフの機能性向上ないし多機能化の見地より、前記第2端部領域側に、先端突出部を有するスクレーパが設けられる。スクレーパは「へら」とも称呼され、作業対象に対して刺突作業、あるいは刺突に続いて切断作業を遂行するための機能部材である。
第2端部領域側をカッター刃とは異なる機能部材に割り当てる関係で、スクレーパ使用時には、作業者は、上記把持部を前後逆にして把持することになるが。このとき、上記した突状曲面部が、スクレーパ使用時に作業者による把持の邪魔にならないようにされる。このため本発明では、スクレーパによる作業遂行のための把持状態において、前記突状曲面部は、作業者の手指への当接が回避された手指当接回避領域に設けられるように構成されている。これにより、カッター刃による作業時の把持性向上と、スクレーパによる作業時の支障回避が両立されることになる。
上記掌凹部は、典型的には、作業者の母指線、近位手掌線および遠位手掌線の少なくとも一部を含んで構成される。母指線は、母指球の近傍を当該母指球に沿って延在する線であって生命線とも称呼される。近位手掌線は母指線から分岐状に延在する線であって知能線とも称呼される。遠位手掌線は近位手掌線と略平行に延在する線であって感情線とも称呼される。「少なくとも一部を含んで」とは、掌凹部がこれら三本の線の一部を含む態様、三本の線の全部を含む態様、各線の一部を含む態様のいずれも好適に包含する。
前記突状曲面部は、前記長手方向において、前記把持部の中央よりも前記第2端部領域に近接した位置に設けられることが好ましい。一般に、カッター刃によって切断作業を遂行する場合、手の構造上、把持部の後方側を把持しつつ、前方側に指圧による押圧力を作用させる態勢が合理的となり易い。この点に鑑み、前記突状曲面部について、把持部の中央よりも第2端部領域に近接した位置、換言すれば把持部の後方側に配置することにより、カッター刃による切断作業の容易性を担保することができる。
また前記突状曲面部は、作業者の母指線、近位手掌線および遠位手掌線と交差する方向につき、所定の曲率および膨出角度を有する膨出部(膨出領域とも称呼)を有することが好ましい。そして前記膨出部につき、作業者が手で前記把持部を把持した状態における前記掌凹部に対して略面接触するように構成することが好ましい。このように構成することで、突状曲面部の膨出部が掌凹部に略面接触し、これによって把持性の向上が図られることになる。なお、上記「作業者の母指線、近位手掌線および遠位手掌線と交差する方向」は、作業者が把持部を把持した場合に、当該把持部の長尺方向と概ね交差する方向(例えば概ね直交する方向)に相当する。
上記把持性向上の見地より、前記膨出部の所定の曲率は、略R10〜R21の範囲内のいずれかとすることが好ましい。特に、曲率を略R13〜R16の範囲内のいずれかとすることで把持性の更なる向上が図られる。
また前記膨出部の膨出角度については、略θ1=115°〜135°の範囲内のいずれかとすることが好ましい。特に、膨出角度を略θ1=120°〜125°の範囲内のいずれかとすることで把持性の更なる向上が図られる。
さらに前記突状曲面部は、前記長手方向において、前記膨出部から前記第1端部領域側に延在する第1突状曲面部と、前記膨出部から前記第2端部領域側に延在する第2突状曲面部を有するように構成することが好ましい。この場合、前記第1突状曲面部は、前記長手方向における前記膨出部から前記第1端部領域までの長さの略50%以上かつ略90%以下となるように設定することが好ましい。また前記第2突状曲面部は、前記長手方向における前記膨出部から前記第2端部領域までの長さの略50%以上かつ90%以下となるように設定することが好ましい。このように構成することで、膨出部が掌凹部に略面接触した状態において、作業者の手の構造に対して、より適合性の高い把持構造を確保することができる。
また前記長手方向に対する前記第1突状曲面部の傾斜角よりも、前記長手方向に対する前記第2突状曲面部の傾斜角が大きくなるように設定することが好ましい。このように構成することで、膨出部が掌凹部に略面接触した状態において、把持状態とされた作業者の手の形状に寄り添った把持構造を確保することができる。
さらに前記第2端部領域につき、把持状態における第5指および小指球が形成する環状領域に面接触可能に構成された第2端部領域側把持領域を有するとともに、前記第2端部側把持領域については、把持状態における第5指が小指球に接触または近接可能な寸法設定とすることが好ましい。このように構成することで、作業者が第5指(小指)側の環状領域を第2端部側把持領域に密着させた状態で、かつ第5指側の握力をしっかり働かせながら把持部を持つことができるようになり、把持性の一層の向上が図られる。特に、カッターナイフの多機能化の見地より、カッターナイフの後端側に別種の機能部材(例えば後述するスクレーパ)を設けるケースがあるが、このような場合、当該別種の機能部材の配置スペースの関係上、第2端部領域側の寸法が増大し易く、かかる寸法増大の結果、把持状態における作業者の第5指を小指球に近接させにくくなり、第5指側の握力をしっかり作用させることが困難な状況が想定される。本発明によれば、かかる懸念が払しょくされて、把持性能の向上が確実に担保されることになる。
さらに前記第1端部領域における前記押圧部と対向する側に、作業者が前記押圧部を第1指で押圧した場合に、第2指を係止可能な第2指係止部を設けることが好ましい。カッター刃で切断作業を行う場合、第2指(人差し指)〜第5指(小指)で把持部を握りつつ、第1指(親指)で押圧部に指圧を作用させることが多いと想定されるが、この場合、第2指を第2指係止部によって係止することで、指がずれて作業性を悪化させる懸念が払しょくされることになる。
上記刺突作業に際しては、スクレーパの刺突性能があまりに高過ぎると、作業中に商品等を不用意に傷つける可能性が懸念される。一方、かかるリスクを回避してスクレーパの刺突性能を下げると、今度は作業性自体が低下してしまう。このようなスクレーパの極端な鋭利性回避と、鋭利性回避に起因する作業性低下のトレードオフを合理的に解決すべく、前記スクレーパの先端突出部について、略R=2.0〜2.5の範囲内のいずれかの曲率を有するように構成することが好ましい。とくに前記スクレーパの先端突出部を、略R=2.1〜2.4の範囲内のいずれかの曲率を有するように構成することで上記問題の解決が一層確実に図られる。
同様の見地により、前記スクレーパの先端突出部は、略θ2=40°〜60°の範囲内のいずれかの傾斜角を有するように構成することが好ましい。さらに前記スクレーパの先端突出部につき、略θ2=44°〜56°の範囲内のいずれかの傾斜角を有するように構成することで上記問題の解決が一層確実に図られる。
さらに本発明では、上記カッターナイフのホルダと、前記刃収容部にスライド可能に収容されたカッター刃を有するカッターナイフを構成することが好ましい。かかる構成により、人間工学的配慮に富んだ、特にプロフェッショナルユースの領域でも確実に使用性を担保できるカッターナイフが提供されることになる。
本発明の実施形態にについて図1〜図8に基づいて説明する。
上記の通り、本発明は、カッターナイフないしそのホルダにつき、人間工学に基づいた把持性能の向上に関する技術であり、まず把持に関わる作業者の手の構造について、先に説明を行う。
(人間工学的観点に基づく、作業者の手の構造確認)
図1は、作業者が手Hを開いて掌を向けた状態の模式的構造が示される(図1では便宜上右手が示されている)。作業者の手指につき、親指(ないし母指)に相当する第1指をF1(Finger−1)、人差し指(ないし示指)に相当する第2指をF2、中指に相当する第3指をF3、薬指(ないし環指)に相当する第4指をF4、小指に相当する第5指をF5と定義する。
さらに作業者の掌部分につき、第1指F1の根元側に形成される丘状部分を母指球PH1(Palm Hill−1)、第5指F5の根元側に形成される丘状部分を小指球PH2と定義する。
また作業者の掌部分につき、母指線をPL1(Palm Line−1)、近位手掌線をPL2、遠位手掌線(ないし感情線とも称呼)をPL3と定義する。母指線PL1は、母指球PH1の近傍を当該母指球に沿って延在する線であって,「母指球線」、「母指球皮線」あるいは「生命線」とも称呼される。近位手掌線はPL2,母指線PL1から分岐状に延在する線であって、「近位手掌皮線」、「知能線」とも称呼される。遠位手掌線PL3は、近位手掌線PL2と略平行に延在する線であって、「遠位手掌皮線」、「感情線」とも称呼される。
さらに、母指球PH1および小指球PH2の間に、母指線PL1、近位手掌線PL2、遠位手掌線PL3を含んで形成される窪地状(盆地状)の凹状低位領域につき、掌凹部PV(Palm Valley)と定義する。
本実施例では、掌凹部PVは、母指線PL1、近位手掌線PL2、遠位手掌線PL3を全て含んだ状態で定義されるが、人種や生活環境等による掌の構造上の相違に応じて、上記母指線PL1、近位手掌線PL2、遠位手掌線PL3の少なくとも一部を含めば足りるものとする。
上記の構造を有する作業者の手Hにつき、以下に詳述するカッターナイフを把持しようと手指を曲折した状態が図2に示される。
すなわち第1指F1を曲折するとともに、第2指F2〜第5指F5を並列状に曲折することで手Hが把持状態に置かれる。このとき、第2指F2と母指球PH1が形成する母指球側環状把持部をR1と定義し、第5指F5と小指球PH2が形成する小指球側環状把持部をR2と定義する。このとき、母指球側環状把持部R1と小指球側環状把持部R2の間には、上記のように、母指線PL1、近位手掌線PL2、遠位手掌線PL3を含んだ状態で掌凹部PVが形成されている。
(カッターナイフの全体構成)
次に本発明の実施の形態であるカッターナイフ1およびホルダ2の構造について、図3〜図8を用いて説明する。なおカッターナイフ1は、本発明における「カッターナイフ」の一例であり、ホルダ2は、本発明における「ホルダ」の一例に相当する。
図3は、カッターナイフ1およびホルダ2の全体構成を示した正面模式図である。図4は、カッターナイフ1およびホルダ2を上面から視た状態を示した平面模式図である。また図5、図6は、人間工学的配慮に基づく、ホルダ2の特徴的構造を示した断面模式図および斜視模式図である。また図7は、当該カッターナイフ1を切断作業に供するために把持した状態を示した模式図であり、図8は、当該カッターナイフ1をスクレーパ作業に供するために前後逆に把持した状態を示した模式図である。
図3に示すように、カッターナイフ1は、ホルダ2およびカッター刃5有する。カッター刃5としては所定の規格品が用いられており、便宜上詳細な説明を省略する。
ホルダ2は、刃収容部3および把持部10を有する。刃収容部3はカッター刃5を収容可能に構成された長尺状の金属製の部材である。刃収容部3にはスライダ6が設けられており、当該スライダ6は係合部7を介して、カッター刃5を一体状に係止する。そしてカッター刃5は、刃収容部3に収容された状態で、スライダ6の手動操作に応じて、長軸方向LD1に摺動動作可能とされている。
本実施形態では、スライダ6と刃収容部3との間に、特に図示しない金属製の弾性体が介在配置されており、当該弾性体がラッチ4に係合することで、カッター刃5の位置決め(刃収容部3からの突出位置ないし刃収容部3内への完全収納)が行われる。なおスライダ6およびカッター刃5の摺動動作等については周知事項であって、本明細書ではその詳細な説明を便宜上省略する。
(把持部10の構成)
ホルダ2は、カッターナイフ1を作業者が手で把持することに供される把持部10を有する。把持部10の詳細な構造が、図3〜図5に示される。
把持部10は、複数の把持溝部17が所定距離毎に形成された状態で、長手方向LD1に延在し、第1端部領域11、第2端部領域12、中間領域13を有する長尺体14として構成される。なお、説明の便宜上、把持溝部17は図4においては図示を省略されている。
中間領域13は、第1端部領域11と第2端部領域12の間の領域として定義されている。そして、図4、図5に示されるように、当該中間領域13には突状曲面部15が形成される。突状曲面部15は、把持部中央領域Cよりも第2端部領域12に近接する側を主体として形成されるとともに、膨出部16を有する。膨出部16は、把持部中央領域Cよりも第2端部領域12に近接する側に設けられるとともに、その断面構造が図5に模式的に示される。
(膨出部16の構成)
図4および図5に示す膨出部16は、以下に述べる人間工学的視点に立脚した把持性向上の見地より、略R10〜R21の範囲内のいずれかの曲率となるように設定することが好ましい。特に、曲率を略R13〜R16の範囲内のいずれかとすることで把持性の更なる向上が図られる。本実施の形態では、膨出部16の曲率は、一例としてR15に設定されている。
また同様に把持性向上の見地より、膨出部10の膨出角度については、略θ1=115°〜135°の範囲内のいずれかとすることが好ましい。特に、膨出角度を略θ1=120°〜125°の範囲内のいずれかとすることで把持性の更なる向上が図られる。本実施の形態では、膨出部16の膨出角度θ1(図5参照)は、一例として122°に設定されている。
(人間工学的視点による膨出部16の構成)
上記膨出部16の曲率および/または膨出角度の設定により、本実施の形態に係るホルダ2は、人間工学的視点に基づく把持性の著しい向上が図られている。これを説明するべく、膨出部16の特徴的構成が図6に詳細に示される。なお図6では、説明の便宜上、把持部10を、膨出部16の位置する箇所の断面とともに模式的に示している。図6に示すように、本実施形態に係るカッターナイフ1ないしホルダ2を作業者が手Hで把持した場合、その掌凹部PVに対して、把持部10の突状曲面部15における膨出部16が略面接触状に密着して当接することになる。とりわけ図1、図2に示す母指線PL1、近位手掌線PL2、遠位手掌線PL3と交差する方向(すなわち図3に示す把持部10においては長手方向LD1と交差する方向)に関して、膨出部16が掌凹部PVに極めて高度に密着することが可能とされ、人間工学的に優れた把持性能が付与されることになる。
なお突状曲面部15は、図4に示すように、長手方向LD1において、膨出部16から第1端部領域11側に延在する第1突状曲面部15Aと、膨出部16から第2端部領域12側に延在する第2突状曲面部15Bとに区分することができる。この場合、第1突状曲面部15Aの長さL11は、膨出部16から第1端部領域11までの長さ(距離)L12の略50%〜略90%の範囲で設定することが好ましい。本実施の形態では、75%となるように設定されている。
また第2突状曲面部15Bの長さL21は、膨出部16から第2端部領域12までの長さL22の略50%〜略90%の範囲で設定することが好ましい。本実施の形態では75%となるように設定されている。
かかる構成により、膨出部16が掌凹部PVに面接触した状態において、作業者の手の構造に対して、より適合性の高い把持構造を確保することができる。すなわち第1突状曲面部15Aは、図2に示す作業者の把持状態の手において、掌凹部PVから母指球側環状把持部R1までの領域に対して十分に面接触を維持することが可能となる(図2等も併せて参照)。一方、第2突状曲面部15Bは、掌凹部PVから小指球側環状把持部R2までの領域に対して十分に面接触を維持することが可能となる。
また図4に示すように、本実施の形態では、長手方向に対する第1突状曲面部15Aの傾斜角よりも、長手方向に対する第2突状曲面部15Bの傾斜角が大きくなるように設定されている。これにより、膨出部16が掌凹部PVに面接触した状態において、把持状態とされた作業者の手の形状に、更に寄り添った把持構造を確保することができる。
(押圧部21および第2指係止部22の構成)
更に図3に示すように、把持部10の第1端部領域11には、押圧部21および第2指係止部22が形成されている。押圧部21は、カッター刃5を用いて切断作業を遂行する場合に、作業者が手指でカッターナイフ1を作業対象へと押圧するための領域として定義される。作業者は、典型的には、第1指F1で押圧部21を押圧する使用形態をとることが想定されるが、他の指(例えば第2指F2)あるいは別の手指によって押圧する態様も好適に包含されるものである。また第2指係止部22は、カッター刃5を用いて切断作業を遂行する場合に、作業者の第2指F2を係止して作業を遂行し易くするための領域として定義される。本実施の形態では、第2指係止部22は、作業者の第2指F2を係止する使用形態を想定しているが、もちろん、実際の作業において別の指を係止することを妨げるものではない。
(第2端部領域側把持領域の構成を中心として)
さらに把持部10は、図3,4に示すように、長手方向LD1における第2端部領域12において、第2端部領域側把持領域23およびスクレーパ31を有する。第2端部領域側把持領域23は、図3に示すカッター刃5を用いた切断作業の際に、図2に示す作業者の小指球側環状把持部R2に当接する側の把持領域として定義される(これについては、併せて図7参照)。
そして第2端部領域側把持部23は、カッター刃5を用いた切断作業の際に、図2に示す作業者の小指球側環状把持部R2の長さ寸法に概ね対応しており、把持状態における作業者の第5指F5が、小指球PH2に接触または近接可能な寸法設定とされている。
(スクレーパ使用の際の当接円滑化処理領域24の構成)
また、図3に示すカッターナイフ1を、長手方向LD1に関して前後逆に把持して、スクレーパ31を使用する状態が図8に示される。図8に示すように、第2端部領域12(ないし第2端部領域側把持領域23)には、無用な突出部や成形時のバリ等が削除された平滑面が形成されている。この平滑面は、スクレーパ31を使用する際に、作業者の作業進行を阻害されないように設定された「当接円滑化処理領域24」を構成する。換言すれば、「本発明に係るカッターナイフのホルダであって、第2端部領域ないし第2端部側把持領域には、スクレーパが用いられる場合に作業者の手指の当接箇所に対応して当接円滑化処理領域」という構成が採用されている。
当接円滑化処理領域24は、スクレーパ31使用の際に、作業者の第1指F1での当接・押圧動作に対する阻害回避に有効とされる。
(スクレーパ31の構成を中心として)
スクレーパ31は、「へら」とも称呼される金属製の部材であり、刺突作業、ないし刺突および切断作業に供される。典型的な作業態様の一つとしては、テープ係止された段ボール収容箱につき、当該テープを刺突してスクレーパ31を段ボール収容箱の内側に進入させるとともに、その状態で当該スクレーパ31を引き操作することで、上記テープを切断し、これによって収容箱の開扉を可能とする作業がこれに該当する。
(スクレーパ31の先端突出部32の構成)
図3に示すように、かかる刺突作業、ないし刺突と併せて切断作業を遂行可能とするべくスクレーパ31の自由端側には、先端突出部32が形成されている。
先端突出部32を介して刺突作業を行う場合、当該先端突出部32を鋭利にし過ぎることで、刺突性能をあまりに上げると、作業中に商品等を不用意に傷つける可能性がある。逆に、刺突性能を下げると、今度は作業性自体が低下してしまう。かかる極端な鋭利性回避と、鋭利性回避に起因する作業性低下のトレードオフの解決策として、先端突出部32について、略R=2.0〜2.5の範囲内のいずれかの曲率を有するように構成することが好ましい。とくに先端突出部32を、略R=2.1〜2.4の範囲内のいずれかの曲率を有するように構成することで上記問題の解決が一層確実に図られる。本実施の形態では、先端突出部の曲率(図3参照)は、一例としてR2.3に設定されている。
同様の観点から、スクレーパ31の先端突出部32は、略θ2=40°〜60°の範囲内のいずれかの傾斜角を有するように構成することが好ましい。さらに先端突出部32につき、略θ2=44°〜56°の範囲内のいずれかの傾斜角を有するように構成することで上記問題の解決が一層確実に図られる。本実施の形態では、先端突出部32の突出角度θ2(図3参照)は、一例として50°に設定されている。
(第2端部領域12におけるスクレーパ31と第2端部側把持領域23の両立性)
なお本実施形態に係るカッターナイフ1では、第2端部領域12にスクレーパ31を配置する一方、当該第2端部領域12の寸法を適宜に設定することで、スクレーパ31による作業時に求められる強度剛性が適切に確保されている。一方、第2端部領域12に形成された第2端部側把持領域23については、図7に示すように、カッター刃5を用いた切断作業の際に、作業者の小指球側環状把持部R2の長さ寸法に概ね対応させて、把持状態における作業者の第5指F5が、小指球PH2に接触または近接可能な寸法設定とされている。すなわち、第2端部領域12は、スクレーパ31による作業のための強度剛性確保と、カッター刃5による作業の際の把持性向上という、双方側の要請を両立させた構成とされている。
(実施形態における作用・効果)
本実施の形態に係るカッターナイフ1、およびそのホルダ2は、上記のように構成される。とりわけ、膨出部16の曲率Rおよび膨出角度θ1に関する創意工夫がなされることで、図6に示すように、本実施形態に係るカッターナイフ1ないしホルダ2を作業者が手Hで把持した状態で切断作業を遂行する場合、その掌凹部PVに対して、膨出部16が略面接触状に密着して当接することになり、人間工学的に優れた把持性能がカッターナイフ1およびホルダ2に付与される。
すなわち作業者は、ホルダ2を自然に把持すれば、その状態でホルダ2の確実な把持が可能であり、把持のために余計な注意を払うことなく、押圧部21に指圧をかけて切断作業に集中することができる。これによりストレスフリーな作業環境が確保されることになる。かかる人間工学訴求式の実施形態は、とくに強度の作業ないし長時間の作業が求められ易いプロフェッショナルユースの領域においても、十分にその効果を奏することができる。
また上記したように、第2端部領域側把持部23は、カッター刃5を用いた切断作業の際に、図2に示す作業者の小指球側環状把持部R2の長さ寸法に概ね対応して構成されている。このため、図7に示すカッター刃5による切断作業に際して、作業者は、小指球側環状領域R2を第2端部側把持領域23に密着させた状態で、かつ第5指F5側の握力をしっかり働かせながら把持部10を持つことができ、把持性の一層の向上が図られる。
さらに切断作業に際して、作業者は第2指F2を第2指係止部22に係止させた状態にて、第1指F1による指圧を押圧21に安定的に作用させることができる(図7参照)。
これらの相乗効果により、把持性および作業性の最大効率化が図られることになる。
一方、図8に示すように、本実施形態に係るカッターナイフ1を、長手方向LD1に関して前後逆に把持し、スクレーパ31を用いて作業する場合、上記した第2端部領域12ないし第2端部領域側把持領域23が前方側端部に位置することになるが、把持部10における膨出部16(図4および図5も併せて参照)は、図8に示すスクレーパ作業を遂行する場合には、把持部10を前後逆に把持した状態の手H、ないし第1指F1〜第5指F5に対し、無用な作業障害物とならないように、手指当接回避領域33に位置するように構成されている。また上記した当接円滑化処理領域24が前方側に位置することになり、スクレーパ作業を行う作業者の第1指F1に対して作業阻害が生じることなく、円滑な作業が担保されることになる。すなわち、本実施形態に係るカッターナイフ1ないしホルダ2によれば、図7に示すカッター刃5を用いた切断作業のみならず、図8に示すスクレーパ31を用いた刺突ない刺突・切断作業においても、人間工学的視点に立脚して、作業者の作業性および疲労抑制性に優れた作業環境を提供することができる。
作業者が手Hを開いて掌を向けた状態の模式的構造を示す・ カッターナイフ把持のため手指を曲折した状態の作業者の手Hを模式的に示す。 本発明の実施形態に係るカッターナイフ1およびホルダ2の全体構成を示す正面模式図である。 本発明の実施形態に係るカッターナイフ1およびホルダ2を上面から視た状態を示す平面模式図である。 ホルダ2の特徴的構造を示す断面模式図である。 ホルダ2の特徴的構造を示す斜視模式図である。 本発明の実施形態に係るカッターナイフ1を切断作業に供するために把持した状態を示す模式図である。 本発明の実施形態に係るカッターナイフ1をスクレーパ作業に供するために前後逆に把持した状態を示す模式図である。
1 カッターナイフ
2 ホルダ
3 刃収容部
4 ラッチ
5 カッター刃
6 スライダ
7 係合部
10 把持部
11 第1端部領域
12 第2端部領域
13 中間領域
14 長尺体
15 突状曲面部
16 膨出部
17 把持溝部
21 押圧部
22 第2指係止部
23 第2端部領域側把持領域
24 当接円滑化処理領域
31 スクレーパ
32 先端突出部
33 手指当接回避領域
LD1 長手方向
C 把持部中央領域
H 作業者の手
PL1 母指線(母指球皮線、生命線)
PL2 近位手掌線(近位手掌皮線、知能線)
PL3 遠位手掌線(遠位手掌皮線、感情線)
PH1 母指球
PH2 小指球
PV 掌凹部
F1 第1指(母指、親指)
F2 第2指(示指、人差し指)
F3 第3指(中指)
F4 第4指(薬指、環指)
F5 第5指(小指)
R1 把持状態における第2指と母指球が形成する母指球側環状把持部
R2 把持状態における第5指と小指球が形成する小指球側環状把持部

Claims (18)

  1. カッターナイフのホルダであって、
    カッター刃をスライド可能に収容する刃収容部と
    作業者の手での把持に供される把持部と、を有し、
    前記把持部は、前記カッター刃のスライド方向を長手方向とする長尺体として形成されるとともに、前記長尺体の中間領域と、前記長手方向における前記カッター刃先端に近接する側の第1端部領域と、離間する側の第2端部領域とを有し、
    前記中間領域は 作業者が手で前記把持部を把持した状態における当該作業者の掌の母指球と小指球の間に形成される掌凹部に対して略面接触可能な突状曲面部を有し、
    前記第1端部領域は、前記カッター刃による切断作業が遂行される場合に、作業者の指圧による押圧力が作用する押圧部を有する、
    ことを特徴とするカッターナイフのホルダ。
  2. 請求項1に記載のカッターナイフのホルダであって、前記掌凹部は、作業者の母指線、近位手掌線および遠位手掌線の少なくとも一部を含んで構成されることを特徴とするカッターナイフのホルダ。
  3. 請求項1または2に記載のカッターナイフのホルダであって、
    前記突状曲面部は、前記長手方向において前記把持部の中央よりも前記第2端部領域に近接した位置に設けられることを特徴とするカッターナイフのホルダ。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のカッターナイフのホルダであって、
    前記突状曲面部は、作業者の母指線、近位手掌線および遠位手掌線と交差する方向につき、所定の曲率および膨出角度を有する膨出部を有し、前記膨出部が、作業者が手で前記把持部を把持した状態における前記掌凹部に対して略面接触するように構成されることを特徴とするカッターナイフのホルダ。
  5. 請求項4に記載のカッターナイフのホルダであって、
    前記膨出部の所定の曲率は、略R10〜R21の範囲内のいずれかとされていることを特徴とするカッターナイフのホルダ。
  6. 請求項4に記載のカッターナイフのホルダであって、
    前記膨出部の所定の曲率は、略R13〜R16の範囲内のいずれかとされていることを特徴とするカッターナイフのホルダ。
  7. 請求項4〜6までのいずれか1項に記載のカッターナイフのホルダであって、
    前記膨出部の膨出角度は、略θ1=115°〜135°の範囲内のいずれかとされていることを特徴とするカッターナイフのホルダ。
  8. 請求項4〜6までのいずれか1項に記載のカッターナイフのホルダであって、
    前記膨出部の膨出角度は、略θ1=120°〜125°の範囲内のいずれかとされていることを特徴とするカッターナイフのホルダ。
  9. 請求項4〜9までのいずれか1項に記載のカッターナイフのホルダであって、
    前記突状曲面部は、前記長手方向において、前記膨出部から前記第1端部領域側に延在する第1突状曲面部と、前記膨出部から前記第2端部領域側に延在する第2突状曲面部を有し、
    前記第1突状曲面部は、前記長手方向における前記膨出部から前記第1端部領域までの長さの略50%以上かつ略90%以下となるように設定されるとともに、前記第2突状曲面部は、前記長手方向における前記膨出部から前記第2端部領域までの長さの略50%以上かつ90%以下となるように設定されていることを特徴とするカッターナイフのホルダ。
  10. 請求項9に記載のカッターナイフのホルダであって、
    前記長手方向に対する前記第1突状曲面部の傾斜角よりも、前記長手方向に対する前記第2突状曲面部の傾斜角が大きくなるように設定されていることを特徴とするカッターナイフのホルダ。
  11. 請求項1から10のいずれか1項に記載のカッターナイフのホルダであって、
    前記第2端部領域は、
    把持状態における第5指および小指球が形成する環状領域に面接触可能に構成された第2端部領域側把持領域を有し、前記第2端部側把持領域は、把持状態における第5指が小指球に接触または近接可能な寸法設定とされていることを特徴とするカッターナイフのホルダ。
  12. 請求項1から11のいずれか1項に記載のカッターナイフのホルダであって、
    前記第1端部領域における前記押圧部と対向する側には、作業者が前記押圧部を第1指で押圧した場合に、第2指を係止可能な第2指係止部を有することを特徴とするカッターナイフのホルダ。
  13. 請求項1から12のいずれか1項に記載のカッターナイフのホルダであって、
    前記第2端部領域側には、先端突出部を有するスクレーパが設けられており、
    スクレーパによる作業遂行のための把持状態における、前記突状曲面部は、作業者の手指への当接が回避された手指当接回避領域に設けられることを特徴とするカッターナイフ。
  14. 請求項13に記載のカッターナイフのホルダであって、
    前記スクレーパの先端突出部は、略R=2.0〜2.5の範囲内のいずれかの曲率を有するように構成されていることを特徴とするカッターナイフのホルダ。
  15. 請求項13に記載のカッターナイフのホルダであって、
    前記スクレーパの先端突出部は、略R=2.1〜2.4の範囲内のいずれかの曲率を有するように構成されていることを特徴とするカッターナイフのホルダ。
  16. 請求項13〜15のいずれか1項に記載のカッターナイフのホルダであって、
    前記スクレーパの先端突出部は、略θ2=40°〜60°の範囲内のいずれかの傾斜角を有するように構成されていることを特徴とするカッターナイフのホルダ。
  17. 請求項13〜15のいずれか1項に記載のカッターナイフのホルダであって、
    前記スクレーパの先端突出部は、略θ2=44°〜56°の範囲内のいずれかの傾斜角を有するように構成されていることを特徴とするカッターナイフのホルダ。
  18. 請求項1から17のいずれか1項に記載のカッターナイフのホルダと、前記刃収容部にスライド可能に収容されたカッター刃を有することを特徴とするカッターナイフ。
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