JP2020160001A - ジルコニウムの製造方法 - Google Patents

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【課題】イットリウムターゲットを保持する治具の放射化を抑制して、ジルコニウムの製造を効率よく行うこと。【解決手段】イットリウムからなるターゲットを治具に保持し、ターゲットに陽子線を照射することによってジルコニウムを製造するジルコニウムの製造方法であって、治具を構成する材料の主成分となる元素が第6周期元素である場合、陽子線の進行方向に沿ったターゲットの厚さが0.4mm以上であり、治具を構成する材料の主成分となる元素が第4周期元素または第5周期元素である場合、陽子線の進行方向に沿ったターゲットの厚さが0.8mm以上である。【選択図】図4

Description

本発明は、イットリウムから放射性ジルコニウムを製造するジルコニウムの製造方法に関する。
従来、放射性ジルコニウムは、医用イメージングに有効な放射性同位元素であることが知られている。そのため、放射性ジルコニウムの製造方法および精製方法の確立が求められている。製造方法としては、イットリウム(Y)ターゲットに対して陽子線を照射する方法が知られている(特許文献1参照)。陽子線を用いた製造方法においては、数百ミリグラム単位のイットリウム中に、数十〜数百ナノグラム単位の微量の放射性ジルコニウムが生成される。イットリウムからジルコニウムを製造する際の核反応としては、以下の(1)式に示すように、イットリウム(89Y)に1つの陽子(p)が入射されることで1つの中性子(n)が弾き出される、(p,n)反応が利用される。
89Y(p,n)89Zr ……(1)
ところが、陽子線のエネルギーによっては、副反応として(p,2n)反応や(p,pn)反応などが発生する場合がある。(p,2n)反応では、以下の(2)式に示すように、イットリウム(89Y)に1つの陽子(p)が入射されて2つの中性子(n)が弾き出され、ジルコニウム88(88Zr)が生成される。(p,pn)反応では、以下の(3)式に示すように、イットリウム89(89Y)に1つの陽子(p)が入射されて1つの陽子(p)および1つの中性子(n)が弾き出され、イットリウム88(88Y)が生成される。すなわち、89Zrの生成において、陽子線のエネルギーによっては、ジルコニウム88(88Zr)やイットリウム88(88Y)などの不純物放射性核種が生成される可能性がある。
89Y(p,2n)88Zr ……(2)
89Y(p,pn)88Y ………(3)
そこで、不純物放射性核種の生成を抑制する方法として、陽子線のエネルギーを14MeV以下にする方法が提案された(非特許文献1参照)。イットリウムターゲットに照射する陽子線のエネルギーを14MeV以下にすることによって、選択的に(p,n)反応のみを発生させることができる。そのため、ジルコニウム89(89Zr)の製造においては、陽子線照射装置であるサイクロトロンから発生した陽子線を減衰機構に透過させ、陽子線のエネルギーを14MeVに減衰させてから、イットリウムターゲットに照射することが行われる。
特開2016−065867号公報 特開2018−123372号公報
A. Lake Wooten et al. "Routine Production of 89Zr Using an Automated Module", Appl. Sci. 2013, 3, 593-613
しかしながら、本発明者が上述した従来技術について検討を行ったところ、陽子線が照射されるイットリウムからなるターゲットを保持するための治具において、放射化が大きくなるという問題があることを知見した。ターゲットを保持する治具は、一般的に繰り返し使用される。また、治具に対してターゲットを取り付けたり、ターゲットを保持した治具をジルコニウム89(89Zr)の製造装置に取り付けたりする場合には、作業者が手動で行うのが一般的である。そのため、治具を取り扱う作業者の被ばく量を最小限にするため、治具の放射能が十分に減衰するまで所定時間以上保管してから、再び使用する方法が考えられる。ところが、治具を所定時間以上保管するためには、必要となる治具の数が多くなり、厳重な管理が必要な保管場所を広く確保する必要が生じる。そのため、治具の放射化自体を抑制しつつ、ジルコニウム89(89Zr)を効率よく製造する方法が望まれていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、イットリウムからなるターゲットを保持する治具の放射化を抑制して、ジルコニウム89(89Zr)の製造を効率よく行うことができるジルコニウムの製造方法を提供することにある。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るジルコニウムの製造方法は、治具に保持されたイットリウムを含むターゲットに陽子線を照射することによってジルコニウムを製造するジルコニウムの製造方法であって、前記治具を構成する材料の主成分となる元素が第4周期元素または第5周期元素である場合、前記陽子線の進行方向に沿った前記ターゲットの厚さが0.8mm以上であり、前記治具を構成する材料の主成分となる元素が第6周期元素である場合、前記陽子線の進行方向に沿った前記ターゲットの厚さが0.4mm以上であることを特徴とする。
本発明に係るジルコニウムの製造方法は、上記の発明において、前記第4周期元素が、銅であり、前記第5周期元素が、ニオブ、ロジウム、パラジウム、および銀からなる群より選ばれた少なくとも1種類であり、前記第6周期元素が、タンタル、タングステン、レニウム、イリジウム、白金、および金からなる群より選ばれた少なくとも1種類であることを特徴とする。
本発明に係るジルコニウムの製造方法は、上記の発明において、前記イットリウムを含むターゲットが金属イットリウムからなり、前記金属イットリウムに対して、ダイヤモンドブレードまたは硬質微粉末が担持されたブレードを用いて加工を行うことにより、前記ターゲットを製造することを特徴とする。
本発明に係るジルコニウムの製造方法によれば、陽子線の進行方向に沿ったターゲット厚さを所定厚さ以上にしていることにより、陽子線エネルギーがターゲット内で十分に低下するため、治具の(p,n)反応を抑制することができる。よってイットリウムからなるターゲットを保持する治具の放射化を抑制して、ジルコニウム89(89Zr)の製造を効率よく行うことが可能になる。
図1は、本発明の一実施形態によるジルコニウムの製造装置を示す模式図である。 図2は、本発明の一実施形態によるジルコニウムの製造方法において、治具のγ線スペクトルを示すグラフである。 図3は、図2に示す囲み部を拡大したγ線スペクトルを示すグラフである。 図4は、本発明の一実施形態によるジルコニウムの製造方法において、イットリウムからなるターゲットの厚さに対する放射能比を示すグラフである。 図5は、本発明の一実施形態によるジルコニウムの製造方法において、治具を構成する材料の主成分ごとの、(p,n)反応断面積が100mbとなる陽子線エネルギーを示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。また、本発明は以下に説明する実施形態によって限定されるものではない。
まず、本発明の一実施形態によるジルコニウムの製造装置について説明する。図1は、一実施形態によるジルコニウム(89Zr)の製造装置を示す模式図である。図1に示すように、ジルコニウム(89Zr)の製造装置10は、陽子線照射装置11、エネルギー減衰板12、および冷却機構13を備える。陽子線照射装置11は、例えばサイクロトロン、シンクロトロン、または線形加速器などから構成され、加速された陽子を陽子線Lpとして出射可能に構成される。エネルギー減衰板12は、陽子線Lpの出射エネルギーを減衰させるためのエネルギー減衰手段であって、通過する陽子線Lpのエネルギー(以下、陽子線エネルギー)を、13MeV以上15MeV以下の例えば14MeVにまで減衰可能に構成される。
冷却機構13は、ターゲット1を保持した治具2を、陽子線Lpが照射される位置に固定可能に構成されている。冷却機構13の内部では、冷媒13aを流動させることができる。冷却機構13は、治具2を冷媒13aによって冷却可能に構成され治具2の設置部分に低温の冷媒13aが供給されて、治具2が冷却されてターゲット1が冷却される。一方、治具2からの伝熱により昇温された冷媒13aは、外部に排出されて冷却される。冷媒13aとしては、一般に水が使用されるが、他にも不凍液(LLC)や、液体ヘリウム、金属ナトリウムなどを用いることもできる。
ジルコニウム(89Zr)の製造装置10においては、ターゲット1を保持した治具2を冷却機構13の照射側の面に取り付けた後、ターゲット1に陽子線Lpを照射するように構成される。ターゲット1に陽子線Lpを照射することにより、89Yから89Zrが生成される一方、ターゲット1からは核反応によって高速中性子5が生じる。生じた高速中性子5は、陽子線のような荷電粒子と比べるとその飛程は長く、治具2を貫通する。
(ジルコニウムの製造方法)
次に、本発明の一実施形態によるジルコニウム(89Zr)の製造方法について説明する。まず、上述のように構成されたジルコニウム(89Zr)の製造装置10において生じる問題点について説明する。すなわち、従来の89Zrの製造においては、ターゲット1に対する陽子線Lpの照射によって治具2が放射化するという問題があった。そこで、本発明者は、上述した89Zrの製造における治具の放射化の問題を解決するために種々実験および鋭意検討を行った。以下にその概要を説明する。
まず、本発明者は、治具2の放射化の原因について実験および検討を行った。本発明者は、イットリウムからなる厚さが0.5mmのターゲット1を、白金イリジウム合金(PtIr)からなる治具2に取り付けた。その後、上述したジルコニウム(89Zr)の製造装置10を用いて、ターゲット1に陽子線Lpを照射した。この場合、ターゲット1においては、上述した(1)式に従って、89Yから89Zrが生成されるとともに、陽子線Lpおよび高速中性子5によって治具2においても核反応が発生して放射化される。本発明者は、放射化した治具2に対して、ゲルマニウム(Ge)検出器を用いて、生成した放射性核種の同定を行った。図2は、γ線スペクトルを示すグラフである。図3は、図2に示す囲み部を拡大したグラフである。
図2から、放射化された治具2から種々の放射性核種が検出されていることが分かる。また、図3から、放射性核種として、191Pt、192Ir、194Ir、195Au、196Au、および198Auなどが治具2から検出されていることが分かる。発明者は、検出された放射性核種は、以下の表1および表2に示す核反応によって生成したものであると考えた。
Figure 2020160001
Figure 2020160001
なお、表1において、194Ptから(p,n)反応によって生成される194Auは電子捕獲(EC)過程で崩壊するためγ線を放出しない。また、196Ptから(n,p)反応によって生成される196Ir、および198Ptから(n,p)反応によって生成される198Irについては、半減期が1分以内であることから、ほとんど検出されない。また、表2において、193Irから(n,p)反応によって生成される193Os(オスミウム193)については、γ線をほとんど放出しない。また、193Irから(p,n)反応によって生成される193Ptについても電子捕獲(EC)過程で崩壊するためγ線を放出しない。
図2、図3、表1、および表2から、検出された放射性核種はいずれも、PtまたはIrから、(p,n)反応または(n,p)反応によって生成したものであることが分かる。ここで、(p,n)反応は、ターゲット1に入射した陽子線Lpがターゲット1を通過して治具2に入射することによって発生する。一方、(n,p)反応は、ターゲット1において(1)式に従った核反応が生じた際に、弾き出された高速中性子5が治具2に入射することによって発生する。本発明者の知見によれば、高速中性子5は飛程が長いため、(n,p)反応を抑制することは極めて困難である。そこで本発明者は、(p,n)反応を抑制することによって治具2の放射化を抑制し、治具2の放射化を最小化することを想到した。
本発明者は(p,n)反応を抑制する方法についてさらに検討を行い、ターゲット1において陽子線Lpの陽子(p)のエネルギーを十分に低減させてから治具2に入射させることができれば、治具2の放射化を抑制可能ではないかと考察した。この考察に基づいて、本発明者は、ターゲット1の厚さと放射化の割合、すなわち製造した89Zrの放射能に対する治具2の放射能の比率(放射能比)を、照射の終了時点から2時間後に測定する実験を行った。厚さの異なるイットリウムからなるターゲット1を白金イリジウム(PtIr)合金からなる治具2に取り付け、陽子線エネルギーが14MeVで電流が5μAの陽子線をターゲット1に5分間照射した。照射の直後は短寿命の89mY(半減期16秒)が急速に崩壊することから放射能が高くなるため、鉛遮蔽箱(ホットセルとも言う)内に2時間保管する。その後、ターゲット1と治具2を分離して、それぞれの放射能を計測することによって放射能比を算出する。治具2に関してはさらに、Ge検出器(図示せず)を用いてγ線スペクトル測定を行った。図4は、イットリウムからなるターゲット1の厚さに対する放射能比を示すグラフである。
図4から、PtIr合金からなる治具2においては、ターゲット1の厚さが0.4mm以上であれば、(p,n)反応による放射化をほとんど抑制できることが分かる。すなわち、PtIr合金からなる治具2においては、イットリウムからなるターゲット1の厚さを0.4mm以上にすることが好ましいことが分かる。
次に、本発明者は、さらに鋭意検討を重ね、治具2の材料として用いることができる元素ごとに(p,n)反応の起こりやすさについて実験を行った。なお、(p,n)反応の起こりやすさとは、(p,n)反応の反応断面積が100mb(1×10-292)となる陽子線エネルギー(MeV)である。図5は、治具2の材料として用いられる元素の原子番号ごとの(p,n)反応の反応断面積が100mbとなる陽子線エネルギー(MeV)を示すグラフである。図5から、原子番号が大きくなるほど、(p,n)反応の反応断面積が100mbとなる陽子線エネルギー(MeV)は大きくなることが分かり、(p,n)反応が発生しづらくなることが分かる。
この一実施形態においてターゲット1は、例えば金属イットリウムから構成される。なお、ターゲット1を酸化イットリウムセラミックから構成することも可能であるが、この場合、陽子線Lpが酸素原子に衝突してエネルギーが消費され、さらに不純物の生成の原因になるという問題が生じる。また、金属イットリウムの融点および熱伝導率もそれぞれ、酸化イットリウムセラミックの融点および熱伝導率に比して高い。以上のことから、本実施形態におけるターゲット1としては、金属イットリウムを用いることが好ましい。
ターゲット1として金属イットリウムを用いることが好ましい一方、本発明者の知見によれば、金属イットリウムは、高硬質、高融点、および低導電率であることに起因して加工が困難である。すなわち、金属イットリウムは、高硬質によって機械加工が困難、高融点によって圧延加工が困難、および低導電率によって放電加工が困難である。これらの点から、0.1〜1mm程度の厚さの金属イットリウムを低コストで精度良く加工することは、従来極めて困難であった。そこで本発明者が、金属イットリウムを低コストで精度良く加工する方法について実験および鋭意検討を重ねた結果、ダイヤモンドブレードまたは硬質微粉末が担持されたブレードを用いて、金属イットリウムを加工する方法を案出した。これらのブレードを用いることにより、金属イットリウムを低コストで高精度に加工できることも確認された。ここで、ダイヤモンドブレードを用いて金属イットリウムを加工した場合、さらに研削加工を行うことによって加工精度を向上させることも可能である。
治具2は、可能な限り放射化しづらい金属材料から構成することが望ましいため、上述したように、治具2を構成する金属材料の元素としては、原子番号が大きい元素が望ましい。さらに、陽子線Lpの照射によってターゲット1の温度が上昇することから、治具2は、高融点であって、熱伝導率、機械的強度、および耐腐食性能が高く、耐酸性がある材料が望ましい。具体的に、治具2は、銅(Cu)、ニオブ(Nb)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、またはこれらの元素から選択された少なくとも1種類の元素を含む合金から構成することが好ましい。
本発明者は、上述したターゲット1の厚さに関する検討、治具2に生じる(p,n)反応の発生原理、および治具2を構成する元素の原子番号ごとの(p,n)反応の起こりやすさを合わせて検討した。その結果、本発明者は、ターゲット1は陽子線Lpの進行方向に沿って一定以上の厚みを有していればよく、その厚みを、ターゲット1を構成する材料の主成分となる元素が、第4周期、第5周期、および第6周期のいずれに該当するかによって、変化させることを案出した。
具体的に本発明者は実験および検討を行い、治具2の材料の主成分が第4周期や第5周期の金属である場合、ターゲット1の厚みは、陽子線Lpの進行方向に沿って0.8mm以上が好ましいことを知見した。一方、治具2の材料の主成分が第6周期の金属である場合、図4から、ターゲット1の厚みは、陽子線Lpの進行方向に沿って0.4mm以上であればよい。
治具2の材料の主成分の元素が第4周期元素のCuまたは第5周期元素の場合、具体的に例えば、Cu、Zr、Nb、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテチウム(Ru)、Rh、Pd、またはAgを合計70%以上含む材料から構成される場合、ターゲット1の厚さを0.8mm以上とする。なお、治具2の主成分として用いられる第5周期元素としては、高融点であって、熱伝導率、機械的強度、および耐腐食性能が高く、耐酸性がある、Nb、Ag、もしくはPd、または、これらの元素から選択された少なくとも1種類の元素を含む合金がより好ましい。
治具2の材料の主成分の元素が第6周期元素の場合、具体的に例えば、ハフニウム(Hf)、Ta、W、Re,Os、Ir、Pt、またはAuを合計70%以上含む材料から構成される場合、ターゲット1の厚さを0.4mm以上とする。なお、治具2の主成分として用いられる第6周期元素としては、高融点であって、熱伝導率、機械的強度、および耐腐食性能が高く、耐酸性がある、Ta、W、Pt、Ir、もしくはAu、または、これらの元素から選択された少なくとも1種類の元素を含む合金がより好ましい。
以上の検討結果に基づくと、陽子線Lpの進行方向に沿ったターゲット1の厚さが上述した所定厚さ以上であれば、ターゲット1は、陽子線Lpの進行方向に対して、傾斜させて設置したりジグザグ構造にしたりすることが可能である。
本発明の一実施形態によるジルコニウム(89Zr)の製造方法においては、以上のようにして、陽子線Lpの進行方向に沿ったターゲット1の厚さを決定した上で89Zrの製造を行う。すなわち、まず、ジルコニウム(89Zr)の製造装置10に対して、イットリウム89(89Y)のターゲット1を保持した治具2を、冷却機構13の照射側の面に取り付ける。その後、陽子線照射装置11から出射されてエネルギー減衰板12によって、14MeV以下のエネルギーに減衰された陽子線Lpを、ターゲット1に照射する。これにより、上述した(1)式の核反応が生じて、89Yから89Zrが生成される。一方で、ターゲット1の陽子線Lpの進行方向に沿った厚さが所定厚さ以上であれば、治具2において(p,n)反応が抑制され、主に(n,p)反応が生じる。(n,p)反応による放射化は回避困難であるが、図4に示すように放射化への寄与は小さい。その後、従来公知の方法(例えば、特許文献2参照)によって、ターゲット1から89Zrを分離、精製することによって、89Zrが抽出される。
以上説明した一実施形態によるジルコニウム(89Zr)の製造方法によれば、陽子線Lpの進行方向に沿ったターゲット1の厚さを、治具2を構成する材料の主成分である元素に応じて所定厚さ以上にしている。これにより、治具2の(p,n)反応を抑制することができるので、イットリウム89(89Y)からなるターゲット1を保持する治具2の放射化を抑制して、ジルコニウム89(89Zr)の製造を効率よく行うことができる。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述の実施形態において挙げた数値はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いてもよい。さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
1 ターゲット
2 治具
5 高速中性子
10 ジルコニウムの製造装置
11 陽子線照射装置
12 エネルギー減衰板
13 冷却機構
13a 冷媒
p 陽子線

Claims (3)

  1. 治具に保持されたイットリウムを含むターゲットに陽子線を照射することによってジルコニウムを製造するジルコニウムの製造方法であって、
    前記治具を構成する材料の主成分となる元素が第6周期元素である場合、前記陽子線の進行方向に沿った前記ターゲットの厚さが0.4mm以上であり、
    前記治具を構成する材料の主成分となる元素が第4周期元素または第5周期元素である場合、前記陽子線の進行方向に沿った前記ターゲットの厚さが0.8mm以上である
    ことを特徴とするジルコニウムの製造方法。
  2. 前記第4周期元素が、銅であり、
    前記第5周期元素が、ニオブ、ロジウム、パラジウム、および銀からなる群より選ばれた少なくとも1種類であり、
    前記第6周期元素が、タンタル、タングステン、レニウム、イリジウム、白金、および金からなる群より選ばれた少なくとも1種類である
    ことを特徴とする請求項1に記載のジルコニウムの製造方法。
  3. 前記イットリウムを含むターゲットが金属イットリウムからなり、
    前記金属イットリウムに対して、ダイヤモンドブレードまたは硬質微粉末が担持されたブレードを用いて加工を行うことにより、前記ターゲットを製造する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のジルコニウムの製造方法。
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