JP2020158489A - 二環性ウロソン酸誘導体の製造方法およびウロソン酸誘導体の製造方法 - Google Patents

二環性ウロソン酸誘導体の製造方法およびウロソン酸誘導体の製造方法 Download PDF

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秀治 石田
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Abstract

【課題】種々の基質(求核剤)に対してα選択性が特異的に高く、目的とするα体の二環性ウロソン酸誘導体およびウロソン酸誘導体を高い収率で得ることができる、二環性ウロソン酸誘導体の製造方法およびウロソン酸誘導体の製造方法を提供すること。【解決手段】二環性ウロソン酸誘導体の製造方法は、環状構造を有するウロソン酸類のC1位とC5位とが架橋基で架橋されることにより、β面が遮蔽された1,4−シス体の二環性ウロソン酸求電子剤と、求核剤とを反応させることにより、二環性ウロソン酸求電子剤のC2位に求核剤をα結合させ、二環性ウロソン酸誘導体を合成するα結合形成工程を有することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、二環性ウロソン酸誘導体の製造方法およびウロソン酸誘導体の製造方法に関する。
シアル酸のようなウロソン酸誘導体は生物学的機能が極めて重要な化合物であり、様々な感染、疾患に関与する化合物である。また、シアル酸構造を部分構造として有するシアル酸含有化合物は、ワクチン(インフルエンザ、癌等)の製造等においても重要な化合物である。
例えば、シアル酸は、生物の各種の組織に存在し、通常、糖鎖(グリカン)を構成する部分に、その構成単位としてグリコシド結合して存在する。シアル酸は、糖脂質や糖タンパク質の重要な構成成分であるため、その機能研究の目的で、また、近年、ガングリオシドの様々な生理活性が非常に注目されており、その医薬面での応用という見地から、その誘導体やグリコシド、オリゴシアル酸についての合成検討が盛んに行われている。
特に、哺乳類のような高度に組織化された生物系では、複合糖質のグリカンへのα-グリコシド結合を介したシアル酸の取り込みは、病原体細胞の相互作用だけでなく、細胞の発生、分化および増殖、組織構成、腫瘍転移ならびに細胞転移を媒介するために不可欠である。
生体内のα−シアログリカンは、構造的に非常に多様であり、天然物から単一のものとして十分な量を得ることは困難である。
従来、シアル酸のC5位がイソチオシアナト基(NCS)で修飾されたシアル酸誘導体を用いて、α結合のシアル酸含有化合物を得ていた(例えば、非特許文献1参照)。
しかしながら、非特許文献1に記載の方法では、基質(求核剤)の種類によっては、α選択性、収率を十分に高めることが困難であった。
D.Crich et al. Angew. Chem. Int. Ed. 2015, 54, 1275
本発明の目的は、種々の基質(求核剤)に対してα選択性が特異的に高く、目的とするα体の二環性ウロソン酸誘導体およびウロソン酸誘導体を高い収率で得ることができる、二環性ウロソン酸誘導体の製造方法およびウロソン酸誘導体の製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(17)に記載の本発明により達成される。
(1) 環状構造を有するウロソン酸類のC1位とC5位とが架橋基で架橋されることにより、β面が遮蔽された1,4−シス体の二環性ウロソン酸求電子剤と、求核剤とを反応させることにより、前記二環性ウロソン酸求電子剤のC2位に前記求核剤をα結合させ、二環性ウロソン酸誘導体を合成するα結合形成工程を有することを特徴とする二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
(2) 前記二環性ウロソン酸求電子剤は、前記架橋基の両末端にエステル基が存在するものである上記(1)に記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
(3) 前記架橋基は、水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換されたアルキレン基である上記(1)または(2)に記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
(4) 前記架橋基は、−CCl−の化学構造を備えるものである上記(3)に記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
(5) 前記求核剤は、分子内に、前記二環性ウロソン酸求電子剤と反応し得る官能基を複数個有する化合物であって、
前記α結合形成工程において、前記求核剤は、その分子内の複数の箇所で、前記二環性ウロソン酸求電子剤と結合する上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
(6) 前記求核剤は、アルコールである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
(7) 前記アルコールは、下記式(1)ないし下記式(6)よりなる群から選択される少なくとも1種である上記(6)に記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
Figure 2020158489
Figure 2020158489
Figure 2020158489
Figure 2020158489
Figure 2020158489
Figure 2020158489
(8) 前記二環性ウロソン酸求電子剤は、前記α結合形成工程での脱離基として、SAr基を有するものである上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
(9) 前記ウロソン酸類のC1位とC5位とを前記架橋基で架橋する架橋反応での反応温度が0℃以上30℃以下である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
(10) 前記ウロソン酸類のC1位とC5位とを前記架橋基で架橋する架橋反応での反応時間が1時間以上24時間以下である上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
(11) 前記α結合形成工程での反応温度が−80℃以上0℃以下である上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
(12) 前記α結合形成工程での反応時間が10分間以上100時間以下である上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
(13) 前記ウロソン酸類がシアル酸またはその誘導体である上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
(14) 前記二環性ウロソン酸求電子剤は、前記架橋基を含む環構造として16員環の環構造を有している上記(13)に記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
(15) 前記ウロソン酸類が3−デオキシ−D−マンノ−オクタ−2−ウロソン酸またはその誘導体である上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
(16) 前記二環性ウロソン酸求電子剤は、前記架橋基を含む環構造として17員環または18員環の環構造を有している上記(15)に記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
(17) 上記(1)ないし(16)のいずれかに記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法を含み、
前記α結合形成工程の後に、前記架橋基を脱離させる架橋基脱離工程をさらに有することを特徴とするウロソン酸誘導体の製造方法。
本発明によれば、種々の基質(求核剤)に対してα選択性が特異的に高く、目的とするα体の二環性ウロソン酸誘導体およびウロソン酸誘導体を高い収率で得ることができる、二環性ウロソン酸誘導体の製造方法およびウロソン酸誘導体の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明、反応式における代表的な略称は、以下の通りである。
Ac:アセチル基
AcO:無水酢酸
AcOEt:酢酸エチル
Ar:アリール基
Bn:ベンジル基(−CH
Bz:ベンゾイル基(−C(=O)−C
CAc:クロロアセチル基
DIAD:アゾジカルボン酸ジイソプロピル
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DSC:N,N'−ジスクシンイミジルカーボネート
EDC:1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド
Et:エチル基
HOBt:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
HRMS:質量分析(High-resolution Mass Spectrometer)
LG:脱離基
Me:メチル基
MP:パラメトキシフェニル基
MS:モレキュラーシーブス
NEt:トリエチルアミン
NIS:N−ヨードスクシンイミド
NMR:核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance)
Ph:フェニル基
PhSH:チオフェノール
Piv:ピバロイル基(−C(=O)C(CH
PPh:トリフェニルホスフィン
Pyr:ピリジン
quant.:定量的(quantitative)
rt:室温
SE:−(CH)Si(CH
SuO:N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS基)
TBAF:フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム
TBAHS:テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩
TBB:4−tert−ブチルベンゾイル
TBBz:p−tert−ブチルベンゾイル
TBDMS(TBS):tert−ブチルジメチルシリル基(−Si(CHC(CH
TEA:トリエチルアミン
THF:テトラヒドロフラン
TES:トリエチルシリル基
TFA:トリフルオロ酢酸
TfOH:トリフルオロメタンスルホン酸
TMSOTf:トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル
Z(Cbz):ベンジルオキシカルボニル基(−C(=O)CCH
[1]二環性ウロソン酸誘導体の製造方法
まず、本発明の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法について説明する。
ウロソン酸は、ケトースの1−ヒドロキシ基をカルボン酸に酸化し、α−ケト酸を作ることによって得られる糖酸であればよく、具体的には、シアル酸、3−デオキシ−D−マンノ−オクタ−2−ウロソン酸(KDO)、3−デオキシ−D−グリセロ−D−ガラクト−2−ウロソン酸(KDN)等が挙げられるが、以下の説明では、ウロソン酸の一例であるシアル酸について中心的に説明する。
また、本明細書において、ウロソン酸類とは、ウロソン酸およびその誘導体のことを指す。
また、本明細書において、シアル酸とは、ノイラミン酸(neuraminic acid)の誘導体の総称である。N−アシル(N−アセチルまたはN−グリコリル)ノイラミン酸およびN−アシル−O−アセチルノイラミン酸が天然に存在する。
また、本明細書において、アセチルノイラミン酸とは、任意の異性体を指すが、代表的には、α−N−アセチルノイラミン酸であり、特に言及しない場合には、α−N−アセチルノイラミン酸を指す。
なお、本明細書において、「二環性ウロソン酸誘導体」とは、環状構造を有するウロソン酸類が有する環構造である6員環に加え、当該6員環の一部および前記架橋基を含む環構造を備える前記ウロソン酸の誘導体のこと、すなわち、橋かけ環式構造(ビシクロ環)を有する前記ウロソン酸の誘導体のことを言い、分子内に環構造を3つ以上有するものであってもよい(例えば、後に示す化合物35、化合物37、化合物38、化合物43、化合物44、化合物50、化合物51、化合物57、化合物58、化合物69、化合物71等)。また、本明細書において、「ウロソン酸誘導体」とは、前記二環性ウロソン酸誘導体から前記架橋基の少なくとも一部が脱離したもののことを言い、例えば、「二環性ウロソン酸誘導体」が分子内に複数個の前記架橋基を有するものである場合、そのうちの一部のみが脱離したものも「ウロソン酸誘導体」に含むものとする。なお、「二環性ウロソン酸誘導体」も、一般的には、ウロソン酸の誘導体であると解釈されるが、本明細書においては、特に断りのない限り、上記のように、「ウロソン酸誘導体」は、「二環性ウロソン酸誘導体」以外のウロソン酸の誘導体であるものとし、「ウロソン酸誘導体」と「二環性ウロソン酸誘導体」とを明確に区別した概念であるとする。
本発明の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法は、環状構造を有するウロソン酸類のC1位とC5位とが架橋基で架橋されることにより、β面が遮蔽された1,4−シス体の二環性ウロソン酸求電子剤と、求核剤とを反応させることにより、前記二環性ウロソン酸求電子剤のC2位に前記求核剤をα結合させ、二環性ウロソン酸誘導体を合成するα結合形成工程を有することを特徴とする。
このように、ウロソン酸類のβ面が遮蔽された状態とした上で、求核剤と反応させることにより、C2位におけるα選択性を特異的に高いものとすることができるとともに、目的とする二環性ウロソン酸誘導体を高い収率で得ることができる。
[1−1]二環性ウロソン酸求電子剤準備工程
まず、環状構造を有するウロソン酸類のC1位とC5位とが架橋基で架橋された、1,4−シス体の二環性ウロソン酸求電子剤を準備する(二環性ウロソン酸求電子剤準備工程)。
1,4−シス体の二環性ウロソン酸求電子剤は、例えば、市販品を入手することができる場合には、当該市販品を用いてもよいが、例えば、下記式(X1)で示すように、環状構造を有するウロソン酸類(式(X1)に示す例では、ウロソン酸類としてのシアル酸)を原料として、そのC1位とC5位とを架橋基で架橋することにより、1,4−シス体の二環性ウロソン酸求電子剤を得ることができる。
Figure 2020158489
(式(X1)中、Rは任意の置換基を表す。)
1,4−シス体の二環性ウロソン酸求電子剤の合成方法については後に詳述する。
ウロソン酸類としては、種々のウロソン酸類を用いることができるが、ウロソン酸類が、シアル酸、3−デオキシ−D−マンノ−オクタ−2−ウロソン酸(KDO)またはこれらの誘導体であるのが好ましい。
シアル酸やKDOは、生命科学分野および医療分野等において特に重要であり、ウロソン酸類としてシアル酸、KDOやこれらの誘導体を用いることにより、本発明の効果がより顕著に発揮される。
シアル酸の場合、C1位がアキシャル(axial)、C5位がエクアトリアル(equatorial)であり、KDOの場合、C1位がエクアトリアル、C5位がアキシャルとなり、立体的に逆ではあるものの、反応機構については、基本的にほぼ同様である。言い換えると、シアル酸の場合、C2位に結合するC1位の炭素原子がアキシャル原子、C5位に結合するヘテロ原子がエクアトリアル原子であり、KDOの場合、C2位に結合するC1位の炭素原子がエクアトリアル原子、C5位に結合する酸素原子がアキシャル原子である。
二環性ウロソン酸求電子剤は、環状構造を有するウロソン酸類のC1位とC5位とが架橋されたものであればよいが、架橋基の両末端にエステル基が存在するもの(架橋基が両末端において、それぞれ、エステル基と結合するもの)であるのが好ましい。
これにより、後に詳述するα結合形成工程において、C2位にオキソカルベニウムカチオンをより好適に存在させることができ、求核剤による求核反応をより好適に進行させることができる。
また、架橋基は、例えば、アルキレン基(nを1以上の整数とした場合に、−C−で表される原子団)であってもよいが、水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換されたアルキレン基であるのが好ましい。
これにより、架橋基における立体障害を好適に高めることができ、β面をより効果的に遮蔽することができるとともに、カルバモイル部分(CONH部分)の求核性をより適切に減少させることにより、収率をさらに高めることができる。
特に、架橋基は、−CCl−の化学構造を備えるものであるのが好ましい。
これにより、前述した効果がさらに顕著に発揮される。
二環性ウロソン酸求電子剤中における、架橋基を含む環構造の大きさは、特に限定されないが、12員環以上20員環以下であるのが好ましく、13員環以上19員環以下であるのがより好ましく、14員環以上18員環以下であるのがさらに好ましい。
特に、前記ウロソン酸類がシアル酸またはその誘導体である場合には、前記二環性ウロソン酸求電子剤は、前記架橋基を含む環構造として16員環の環構造を有しているのが好ましい。
また、前記ウロソン酸類が3−デオキシ−D−マンノ−オクタ−2−ウロソン酸またはその誘導体である場合には、前記二環性ウロソン酸求電子剤は、前記架橋基を含む環構造として17員環または18員環の環構造を有しているのが好ましく、17員環の環構造を有しているのがより好ましい。
これにより、二環性ウロソン酸求電子剤は、β面が架橋基によってより好適に遮蔽されたものとなり、α結合形成工程におけるα選択性および収率をさらに高めることができる。
二環性ウロソン酸求電子剤は、後に詳述するα結合形成工程で脱離基として機能する化学構造をC2位に有している。当該脱離基としては、例えば、Se原子、ハロゲン原子(F、Cl等)、SR基(Rは、アルキル基)、SAr基(Arは、アリール基)、ホスフェート基(−P(=O)(OBn)等)、イミデート基(−C(=NH)CCl、−C(=NPh)CF等)を有するもの等が挙げられるが、中でも、SAr基を有するものであるのが好ましい。
これにより、後述するα結合形成工程において、α結合形成工程での反応をより効率よく進行させることができ、二環性ウロソン酸誘導体の生産性、二環性ウロソン酸誘導体の収率をより優れたものとすることができる。特に、求核剤がアルコールである場合に、このような効果がより顕著に発揮される。
SAr基を有する脱離基としては、フェニルチオ基が好ましい。
これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。
また、脱離基をジベンジルホスフェート基(−P(=O)(OBn))とすることで、α結合形成工程において、炭素炭素不飽和結合を有する化合物(例えば、アルケン構造を有する化合物)を求核剤として用いた場合の反応をより好適に進行させることができる。当該反応は、炭素−炭素結合を形成する反応であり、化学的にきわめて重要性の高い反応である。
下記式(X7)に、ウロソン酸類(式(X7)に示す例では、ウロソン酸類としてのシアル酸)へのSPh基(SAr基)の導入方法の一例を示す。
Figure 2020158489
式(X7)中に示した各反応は、例えば、以下の文献に記載の方法に従って行うことができる。
H. Ogura, K. Furuhata, M. Itoh, Y. Shitori, Syntheses of 2-O-glycosyl derivatives of N-acetyl-D-neuraminic acid. Carbohydr. Res. 158, 37-51 (1986).
S. Cao, S. J. Meunier, F. O. Andersson, M. Letellier, R. Roy, Mild stereoselective syntheses of thioglycosides under PTC conditions and their use as active and latent glycosyl donors. Tetrahedron: Asymmetry 5, 2303-2312 (1994).
M. D. Farris, C. De Meo, Application of 4,5-O,N-oxazolidinone protected thiophenyl sialosyl donor to the synthesis of α-sialosides. Tetrahedron Lett. 48, 1225-1227 (2007).
また、ウロソン酸類へのジベンジルホスフェート基(−P(=O)(OBn))の導入は、例えば、以下のようにして行うことができる。すなわち、いったん、上記のようにしてウロソン酸類にSAr基(例えば、SPh基等)を導入し、その後に、当該SAr基を、ジベンジルホスフェート基(−P(=O)(OBn))に置換することにより、ウロソン酸類にジベンジルホスフェート基(−P(=O)(OBn))を導入することができる。
当該置換反応は、例えば、SAr基が導入されたウロソン酸類を、N−ヨードスクシンイミド、トリフルオロメタンスルホン酸の存在下、リン酸ジベンジルと反応させることにより、好適に進行させることができる。
SAr基をジベンジルホスフェート基(−P(=O)(OBn))で置換する反応は、ウロソン酸類のC1位とC5位とを架橋基で架橋させる反応の後に行うのが好ましい。
次に、ウロソン酸類のC1位とC5位とが架橋基で架橋された構造の形成方法について説明する。
下記式(A1)には、架橋基が−CCl−の化学構造を含むハロゲン原子で置換されたアルキレン基である場合の一例について代表的に示す。
Figure 2020158489
まず、化合物S51をDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)に溶解させた溶液に、ジクロロ酢酸メチルおよびNaHを0℃で4回に分けて加える。
その後、0℃で4時間撹拌し、反応混合物を飽和NHCl水溶液でクエンチする。反応混合物をAcOEt(酢酸エチル)で希釈し、そして水およびブライン(飽和食塩水)で洗浄し、NaSOで乾燥し、そして濃縮する。溶離液としてn−ヘキサン/AcOEtを使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残留物を精製して、化合物S52を得る。
化合物S52をTHF/MeOHに溶解させた溶液に、NaBHを0℃で加え、0℃で30時間撹拌し、反応混合物を飽和NHCl水溶液でクエンチする。混合物をCHClで希釈し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮する。溶離液としてn−ヘキサン/AcOEtを使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残留物を精製して、化合物S53を得る。
化合物S53をMeCNに溶解させた溶液に、室温でトリエチルアミンおよびN,N'−ジスクシンイミジルカーボネートを加える。室温で1時間撹拌した後、化合物S54を含有する反応混合物を精製することなく縮合反応に使用する。
調製した化合物S54の溶液を、化合物S14のMeOH溶液に0℃で加える。室温で30分間撹拌した後、溶液を濃縮する。反応混合物をAcOEtで希釈し、そして水およびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、そして濃縮する。溶離液としてCHCl/MeOH(120:1)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残留物を精製して化合物S55を得、これをCHCl−n−ヘキサンから再結晶させて白色粉末を得る。
化合物S55をピリジンに溶解させた溶液に、0℃でAcOおよび4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)を加える。室温で11時間撹拌した後、MeOHを反応混合物に加え、溶液をトルエンと共沸させた。反応混合物をCHClで希釈し、2MのHCl水溶液、水、飽和NaHCO水溶液およびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮する。溶離液としてn−ヘキサン/AcOEtを使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残留物を精製して化合物S56を得る。
化合物S56をピリジンに溶解させた溶液に、LiIを室温で加える。100℃で21時間撹拌した後、溶液をトルエンと共沸させる。混合物をAcOEtで希釈し、2MのHCl水溶液、水およびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、そして濃縮する。溶離液としてCHCl/MeOHを使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残留物を精製して化合物S57を得る。
化合物S57をTHFに溶解させた溶液に、AcOHおよび1.0MのTBAF(フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム)のTHF溶液を0℃で加える。室温で23時間撹拌する。その後、反応混合物をAcOEtで希釈し、2MのHCl水溶液およびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、そして濃縮する。溶離液としてCHCl/MeOHを使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残留物を精製して化合物S58を得る。
PPh(トリフェニルホスフィン)をTHFに溶解させた溶液に、化合物S58およびDIAD(アゾジカルボン酸ジイソプロピル)をTHFに溶解させた溶液を、室温で2時間かけて加える。室温で30分間撹拌する。その後、反応混合物をMeOHおよびAcOHでクエンチし、溶液を濃縮する。溶離液としてn−ヘキサン/AcOEtおよびトルエン/アセトンを使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残留物を精製して化合物14を得る。
上記では、ウロソン酸類のC1位とC5位とが架橋基で架橋された構造の形成方法について、架橋基が−CCl−の化学構造を含むハロゲン原子で置換されたアルキレン基である場合の一例について説明したが、例えば、反応原料、反応試薬、溶媒、温度、時間等の各種条件は、適宜変更することができることは言うまでもない。
より具体的には、例えば、ウロソン酸類のC1位とC5位とを架橋基で架橋する架橋反応での反応溶媒としては、各種溶媒を用いることができ、中でも、THF(テトラヒドロフラン)、ジクロロメタン、ピリジンが好ましい。
これにより、架橋反応をより好適に行うことができる。
また、ウロソン酸類のC1位とC5位とを架橋基で架橋する架橋反応での反応温度は、0℃以上30℃以下であるのが好ましい。
これにより、架橋反応をより好適に行うことができる。
また、ウロソン酸類のC1位とC5位とを架橋基で架橋する架橋反応での反応時間は、1時間以上24時間以下であるのが好ましい。
これにより、架橋反応をより好適に行うことができる。
[1−2]α結合形成工程
α結合形成工程では、β面が遮蔽された1,4−シス体の二環性ウロソン酸求電子剤(二環性ウロソン酸供与体)と、求核剤とを反応させることにより、二環性ウロソン酸求電子剤のC2位に求核剤をα結合させ、二環性ウロソン酸誘導体を合成する。
本工程での反応の一例、より具体的には、求核剤としてアルコールを用いた場合の一例は、下記式(X2)で示すことができる。
Figure 2020158489
(式(X2)中、Rは任意の置換基を表す。)
本工程での反応に際して、1,4−シス体の二環性ウロソン酸求電子剤は、β面が架橋基によって遮蔽されている。したがって、求核剤のβ面側からの攻撃が効果的に抑制されるとともに、α面側からの攻撃が進行しやすくなり、より高い選択性で、二環性ウロソン酸求電子剤のC2位に求核剤がα結合し、目的とするα体の二環性ウロソン酸誘導体を、より高い選択性、より高収率で製造することができる。特に、種々の基質(求核剤)について上記のような優れた効果が得られる。
二環性ウロソン酸求電子剤と反応させる求核剤は、特に限定されず、各種のものが適用できるが、好適な求核剤としては、アルコールが挙げられる。
これにより、α結合形成工程において、求核剤による求核反応がより好適に進行し、二環性ウロソン酸誘導体のα選択性および収率をさらに高めることができる。
本工程での反応のより具体的な一例を、下記式(X8)に示す。
Figure 2020158489
(式(X8)中、Rは任意の原子団を表す。)
本工程で、求核剤としてアルコール(ROH)を用いる場合、当該アルコールは、その分子量や構造は特に限定されないが、例えば、下記式(1)〜下記式(11)で示される化合物等が挙げられる。その中でも特に、アルコールは、下記式(1)〜下記式(6)よりなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。
Figure 2020158489
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Figure 2020158489
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Figure 2020158489
Figure 2020158489
Figure 2020158489
これにより、α結合形成工程におけるα選択性および収率を特に高いものとすることができるとともに、得られる二環性ウロソン酸誘導体を、特に有用性の高い化合物の前駆物質として利用することができる。
求核剤は、分子内に、二環性ウロソン酸求電子剤と反応し得る官能基を複数個有する化合物であって、本工程において、その分子内の複数の箇所で、二環性ウロソン酸求電子剤と結合するものであってもよい。
これにより、分子内に、二環性ウロソン酸求電子剤に対応するウロソン酸類構造を複数有する、より複雑な二環性ウロソン酸誘導体をより好適に得ることができる。
このような求核剤としては、上記式(6)に示すような化合物(アルコール)が挙げられる。
後の実施例で示すように、上記式(6)で示される化合物の分子内の2つのヒドロキシ基が、それぞれ、二環性ウロソン酸求電子剤と反応することにより、神経系のガングリオシドGD1αの完全グリカン構造を実現することができる。
α結合形成工程での反応(α結合形成反応)は、例えば、反応基質となる、二環性ウロソン酸求電子剤(二環性ウロソン酸供与体)と求核剤とをモレキュラーシーブの存在下に反応させることにより、求核剤にウロソン酸を導入することができる。このとき、モレキュラーシーブは反応系中に存在する水分を除去するものとして作用する。
反応基質の濃度や反応温度、反応系等は、特に限定されないが、例えば、二環性ウロソン酸求電子剤1当量に対して求核剤を1当量加え、冷却しながら攪拌する方法が挙げられる。なお、二環性ウロソン酸求電子剤、求核剤の価格、価値等によって、これらの利用量の比率は適宜調整してもよい。
α結合形成反応では、反応溶媒を用いてもよい。
α結合形成反応での反応溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン等の塩素性溶媒、アセトニトリル等を好適に用いることができる。
これにより、α結合形成工程における反応をより好適に進行させることができる。また、反応終了後の溶媒の除去も比較的容易に行うことができる。
さらに、本工程において、活性化剤を用いてもよい。
これにより、二環性ウロソン酸求電子剤中の脱離基を活性化し、求核剤による攻撃を起こりやすくすることができる。その結果、求核反応をより好適に進行させることができる。
活性化剤としては、二環性ウロソン酸求電子剤と求核剤とを結合させて二環性ウロソン酸誘導体を生成できるものであれば、特に限定されるものではないが、通常、二環性ウロソン酸求電子剤中の脱離基の種類に応じて選択される。すなわち、脱離基が−P(=O)(OPh)基である場合には、活性化剤としては、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(TMSOTf)が好ましい。また、脱離基が−SAr基である場合には、活性化剤としては、N−ヨードコハク酸イミド(NIS)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)が好ましい。
α結合形成工程での反応温度は、−80℃以上0℃以下であるのが好ましく、−80℃以上−40℃以下であるのがより好ましい。
これにより、α結合形成工程における反応をより好適に進行させることができ、反応速度を十分に早いものとしつつ、α選択性および収率をさらに高めることができる。
α結合形成工程での反応時間は、10分間以上100時間以下であるのが好ましく、30分間以上36時間以下であるのがより好ましい。
これにより、二環性ウロソン酸誘導体の生産性、収率をさらに高めることができる。
また、求核剤としてアルコール以外の化合物も用いることができる。
このようなアルコール以外の求核剤としては、例えば、炭素炭素不飽和結合を有する化合物(例えば、アルケン構造を有する化合物)、硫黄求核剤、セレン求核剤等が挙げられる。
中でも炭素炭素不飽和結合を有する化合物を求核剤として用いることにより、α結合形成工程で新たな炭素−炭素結合を好適に形成することができる。
求核剤として用いることのできる炭素炭素不飽和結合を有する化合物としては、例えば、下記式(12)〜下記式(14)で示される化合物等が挙げられる。
Figure 2020158489
Figure 2020158489
Figure 2020158489
上記式(12)〜上記式(14)で示される化合物を求核剤として用いた場合の反応の一例を下記式(X11)〜下記式(X13)に示す。
Figure 2020158489
Figure 2020158489
Figure 2020158489
特に、求核剤として用いられる炭素炭素不飽和結合を有する化合物は、分子内に芳香環を有するものであるのが好ましい。
これにより、より有用性の高いウロソン酸誘導体等の合成に好適に適用することができる。
[2]ウロソン酸誘導体の製造方法
次に、本発明のウロソン酸誘導体の製造方法について説明する。
本発明のウロソン酸誘導体の製造方法は、上述した二環性ウロソン酸誘導体の製造方法を含み、α結合形成工程の後に、架橋基を脱離させる架橋基脱離工程をさらに有することを特徴とする。
これにより、種々の基質(求核剤)に対してα選択性が特異的に高く、目的とするα体のウロソン酸誘導体を高い収率で得ることができるウロソン酸誘導体の製造方法を提供することができる。
架橋基の脱離は、例えば、二環性ウロソン酸誘導体に対して、酢酸中での亜鉛による処理を施すこと等により、好適に行うことができる。
本発明は、単糖としてのウロソン酸の誘導体の製造に適用してもよいし、複数個の単糖が脱水縮合したオリゴ糖、多糖等の糖鎖構造を有する誘導体の製造に適用してもよい。
例えば、本発明は、ウロソン酸誘導体としてのオリゴシアル酸の製造に適用することができる。
これにより、従来では、合成が極めて困難であったグリカン配列、すなわち、α(2,8)結合のオリゴシアル酸等を好適に合成することができる。
また、本発明は、ガングリオシドの製造にも好適に適用することができる。
ガングリオシド(Ganglioside)は、糖鎖上に1つ以上のシアル酸を結合しているスフィンゴ糖脂質の一種であり、親水性の糖鎖部分と疎水性のセラミド部分からなる両親媒性分子である。これらは生体膜構造の微量成分であり各組織に偏在している。天然のガングリオシドでは、生物の種類に応じて特有の化学構造を有している。
ガングリオシドは機能分子として様々な生物学的現象に関与しているが、このうち構成成分であるシアル酸は、その活性発現に大きな影響を及ぼしていると考えられている。
ガングリオシドは、生体内において極微量しか存在せず、オリゴ糖鎖構造の多様性に加えて、シアル酸および脂質部分であるセラミド分子にも多様性があり、天然物から純粋な単一化合物として得ることはきわめて困難である。
また、従来の製造方法では、α選択性、収率を高めることが困難であり、特に、多種のガングリオシドについて、安定的にα選択性、収率を高めることができていなかった。
これに対し、本発明では、多種多様の組み合わせに好適に対応することができ、種々のガングリオシドを、高いα選択性および高収率で製造することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法およびウロソン酸誘導体の製造方法は、前述した工程以外の工程(例えば、前処理工程、中間処理工程、後処理工程等)を有していてもよい。
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例中の処理で、温度条件を示していないものについては、室温(23℃)で行った。
[3]シアル酸についての二環性ウロソン酸誘導体の製造
(実施例1)
[3−1]二環性ウロソン酸求電子剤の合成
環状構造を有するウロソン酸類としてのシアル酸のC1位とC5位とが架橋基で架橋されることにより、β面が遮蔽された1,4−シス体の二環性シアル酸求電子剤を、下記式(A1−1)〜下記式(A1−7)に示すようにして合成した。
まず、化合物S51(80.00g、243.9mmol)をDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)(700mL)に溶解させた溶液に、ジクロロ酢酸メチル(106.1mL、1024mmol)およびNaH(34.16g、853.7mmol)を0℃で4回に分けて加えた。反応を薄層クロマトグラフィー(TLC)(n−ヘキサン/AcOEt = 20:1)でモニターしながら、0℃で4時間撹拌した。
反応混合物を飽和NHCl水溶液でクエンチした。反応混合物をAcOEt(酢酸エチル)で希釈し、そして水およびブライン(飽和食塩水)で洗浄し、NaSOで乾燥し、そして濃縮した。溶離液としてn−ヘキサン/ AcOEt(15:1)を使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残留物を精製して、化合物S52(収量83.35g、収率99%)を得た(下記式(A1−1)参照)。
Figure 2020158489
化合物S52(83.35g、242.8mmol)をTHF/MeOH(675mL/135mL)に溶解させた溶液に、NaBH(36.74g、971.2mmol)を0℃で加えた。反応をTLC(n−ヘキサン/AcOEt=7:1)でモニターしながら、0℃で30時間撹拌した後、反応混合物を飽和NHCl水溶液でクエンチした。混合物をCHClで希釈し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。溶離液としてn−ヘキサン/AcOEt(17:1〜7:1)を使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残留物を精製して、化合物S53(収量75.97g、収率99%)を得た(下記式(A1−2)参照)。
Figure 2020158489
化合物S53(470mg、1.49mmol)をMeCN(1.5mL)に溶解させた溶液に、室温でトリエチルアミン(415μL、2.98mmol)およびN,N'−ジスクシンイミジルカーボネート(382mg、1.49mmol)を加えた。 反応をTLC(n−ヘキサン/ AcOEt = 5:1)でモニターしながら室温で1時間撹拌した後、化合物S54を含有する反応混合物を精製することなく縮合反応に使用した。
調製した化合物S54の溶液を、化合物S14(140mg、0.298mmol)のMeOH(1.5mL)溶液に0℃で加えた。反応をTLC(CHCl/ MeOH = 10:1)でモニターしながら、室温で30分間撹拌した後、溶液を濃縮した。
反応混合物をAcOEtで希釈し、そして水およびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、そして濃縮した。溶離液としてCHCl/MeOH(120:1)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残留物を精製して化合物S55(収量174mg、収率82%)を得、これをCHCl−n−ヘキサンから再結晶させて白色粉末を得た(下記式(A1−3)参照)。
Figure 2020158489
化合物S55(162mg、0.226mmol)をピリジン(4.5mL)に溶解させた溶液に、0℃でAcO(213μL、2.26mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(1.4mg、11μmol)を加えた。反応をTLC(n−ヘキサン/AcOEt=2:1、2回展開)でモニターしながら、室温で11時間撹拌した後、MeOHを反応混合物に加え、溶液をトルエンと共沸させた。
反応混合物をCHClで希釈し、2MのHCl水溶液、水、飽和NaHCO水溶液およびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。溶離液としてn−ヘキサン/AcOEt(4:1)を使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残留物を精製して化合物S56(収量200mg、定量的)を得た(下記式(A1−4)参照)。
Figure 2020158489
化合物S56(188mg、0.213mmol)をピリジン(4.3mL)に溶解させた溶液に、LiI(143mg、1.07mmol)を室温で加えた。反応をTLC(CHCl/MeOH = 8:1)でモニターしながら、100℃で21時間撹拌した後、溶液をトルエンと共沸させた。混合物をAcOEtで希釈し、2MのHCl水溶液、水およびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、そして濃縮した。溶離液としてCHCl/MeOH(100:1〜15:1)を使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残留物を精製して化合物S57(収量157mg、収率85%)を得た(下記式(A1−5)参照)。
Figure 2020158489
化合物S57(155mg、0.178mmol)をTHF(3.6mL)に溶解させた溶液に、AcOH(63.6μL、1.07mmol)および1.0MのTBAF(フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム)(1.07mL、1.07mmol)のTHF溶液を0℃で加えた。反応をTLC(CHCl/MeOH=6:1)でモニターしながら室温で23時間撹拌した。その後、反応混合物をAcOEtで希釈し、2MのHCl水溶液およびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、そして濃縮した。溶離液としてCHCl/MeOH(70:1〜10:1)を使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残留物を精製して化合物S58(収量135mg、定量的)を得た(下記式(A1−6)参照)。
Figure 2020158489
PPh(トリフェニルホスフィン)(2.78g、10.6mmol)をTHF(605mL)に溶解させた溶液に、化合物S58(1.00g、1.33mmol)およびDIAD(アゾジカルボン酸ジイソプロピル)(2.29mL、10.6mmol)をTHF(166mL)に溶解させた溶液を、室温でキャニュラーを用いて2時間かけて加えた。溶液を加えた後、キャニュラーをTHF(60mL)で洗浄し、洗浄液も反応混合物に合わせた。反応をTLC(CHCl/MeOH=25:1)でモニターしながら、室温で30分間撹拌した。
その後、反応混合物をMeOH(1.08mL、26.6mmol)およびAcOH(1.52mL、26.6mmol)でクエンチし、溶液を濃縮した。溶離液としてn−ヘキサン/ AcOEt(1:2.5)およびトルエン/アセトン(13:1)を使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残留物を精製して化合物14(収量867mg、収率88%)を得た(下記式(A1−7)参照)。
Figure 2020158489
生成物(化合物14)の同定結果を以下に示す。
[α] +12.2°(c 3.5,CHCl);
H−NMR(500MHz,CDNO,90℃) δ7.58−7.36(m,5H,Ar),5.50(td,1H,J3eq,4=5.2Hz,J4,5=10.9Hz,J3ax,4=11.4Hz,H−4),5.40−5.39(m,2H,H−7,NH),5.29(td,1H,J8,9=2.9Hz,J8,9’=5.9Hz,J7,8=6.5Hz,H−8),4.65(d,1H,Jgem=12.2Hz,NH(CO)OCH),4.48(dd,1H,Jgem=12.3Hz,H−9),4.47−4.45(m,2H,H−6,NH(CO)OCH),4.39(m,1H,COCH),4.28(dd,1H,H−9’),3.98(m,1H,COCH),3.00(dd,1H,Jgem=12.9Hz,H−3eq),2.91(td,1H,J5,NH=6.9Hz,J5,6=10.6Hz,H−5),2.44(m,1H,CClCHCH),2.25(m,1H,CClCHCH),2.17−2.00(4s,12H,4Ac),1.88−1.76(m,3H,H−3ax,CH),1.68−1.53(m,4H,2CH);
13C−NMR(125MHz,CDNO,90℃)δ 172.6(Ac),172.2(Ac),171.8(Ac),171.6(Ac),169.7(C−1),155.9(NHCO),138.2(Ar),131.5(Ar),130.8(Ar),130.5(Ar),91.7(CCl),88.9(C−2),74.9(C−6),72.1(C−8),71.8(NH(CO)OCH),71.0(C−7),69.4(C−4),66.7(COCH),63.6(C−9),54.8(C−5),46.9(CClCHCH),40.0(C−3),28.5(CH),26.1(CH),24.4(CH),21.4(Ac),21.1(Ac),21.1(Ac),20.9(Ac);
HRMS(ESI)m/z found [M+Na]758.1411,C3139ClNO13S calcd for [M+Na]758.1411.
以上のようにして、二環性ウロソン酸求電子剤として、シアル酸のC1位とC5位とが、−CCl−の化学構造を備えるアルキレン基で架橋されてなり、架橋基を含む環構造として16員環の環構造を有する二環性シアル酸求電子剤(化合物14)を合成した。この二環性シアル酸求電子剤は、架橋基の両末端にエステル基が存在する。
[3−2]二環性ウロソン酸求電子剤と求核剤との反応
そして、以上のようにして合成された1,4−シス体二環性ウロソン酸求電子剤と求核剤とを反応させて、二環性ウロソン酸求電子剤のC2位に求核剤をα結合させ、二環性ウロソン酸誘導体を合成した(α結合形成工程。下記式(B1)参照。)。
Figure 2020158489
まず、3Åモレキュラーシーブ(110mg)およびNIS(18.3mg、81.5μmol)を、化合物14(40.0mg、54.3μmol)および化合物45(34.5mg、54.3μmol)をCHCl(1.1mL)に溶解させた溶液に、周囲温度で加えた。0℃で1時間撹拌した後、TfOH(2.4μL、27μmol)を0℃で混合物に添加した。反応をTLC(CHCl/MeOH=50:1、2回展開)でモニターしながら、反応混合物を0℃で2.5時間撹拌した。
その後、反応混合物を飽和NaHCO水溶液でクエンチし、セライト(Celite:登録商標)パッド(珪藻土パッド)で濾過し、パッドをCHClで洗浄した。濾液と洗浄液とを合わせて、飽和Na水溶液とブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで溶出液としてCHCl/n−ヘキサン/MeOH(150:20:1〜150:15:1)を用いて精製し、化合物50(収量63.8mg、収率93%)を得た。
生成物(化合物50)の同定結果を以下に示す。
[α] −1.2°(c2.2,CHCl);
H−NMR(500MHz,CDNO,90℃)δ8.18−7.42(m,15H,3Ar),4.97(d,1H,J5,NH=8.9Hz,NH),5.75(m,1H,H−4),5.44(m,1H,H−4),5.39−5.36(m,3H,NH,H−7,H−7),5.28(td,1H,J8,9=2.8Hz,J8,9’=5.9Hz,J7,8=6.2Hz,H−8),4.75(d,1H,J5,6=10.7Hz,H−6),4.61(d,1H,Jgem=12.3Hz,NH(CO)OCH),4.56−4.49(m,3H,NH(CO)OCH,COCH,H−6),4.42(dd,1H,Jgem=12.5Hz,H−9),4.31(m,1H,H−5),4.18(m,1H,H−8),4.09(dd,1H,H−9’),4.01(m,1H,COCH),3.87−3.83(m,4H,H−9,COMe),3.64(dd,1H,J8,9’=4.4Hz,Jgem=11.1Hz,H−9’),3.00(br s,1H,OH−8),2.95(dd,1H,J3eq,4=5.0Hz,Jgem=13.5Hz,H−3eq),2.90(td,1H,J5,NH=7.0Hz,J4,5=J5,6=10.5Hz,H−5),2.69(dd,1H,J3eq,4=5.2Hz,Jgem=12.9Hz,H−3eq),2.44(m,1H,CClCHCH),2.30−2.23(m,2H,H−3ax,CClCHCH),2.06−1.97(4s,12H,4Ac),1.85−1.80(m,7H,Ac,2CH),1.68−1.64(m,3H,H−3ax,CH);
13C−NMR(125MHz,CDNO,90℃)δ172.5(Ac),172.4(Ac),171.9(Ac),171.7(Ac),171.7(Ac),169.1(C−1),168.7(C−1),167.8(Bz),167.3(Bz),166.4(Bz),155.9(NHCO),135.7(Bz),134.8(Bz),134.7,(Bz)132.4(Bz),131.8(Bz),131.5(Bz),131.4(Bz),131.1(Bz),130.5(Bz),130.1(Bz),130.1(Bz),100.5(C−2),100.3(C−2),91.7(CCl),74.3(C−6),72.8(C−6),72.4(C−7),71.7(C−7),71.6(C−4),71.6(C−8),70.7(C−8),69.1(C−4),68.2(C−9),68.2(NH(CO)OCH),66.5(COCH),63.8(C−9),54.9(C−5),54.1(COMe),51.5(C−5),46.8(CClCHCH),38.9(C−3),38.5(C−3),28.5(CH),26.0(CH),24.3(CH),23.6(Ac),21.5(Ac),21.1(Ac),21.1(Ac),21.0(Ac);
HRMS(ESI)m/z found [M+Na]1283.3224,C5866Cl25 calcd for [M+Na]1283.3224.
(実施例2)
本実施例では、求核剤として下記式(B2)中の化合物68を用い、二環性ウロソン酸誘導体としての化合物69を合成した(下記式(B2)参照)。
Figure 2020158489
すなわち、まず、3Åモレキュラーシーブ(110mg)およびNIS(18.3mg、81.5μmol)を、前記実施例1で説明したのと同様にして製造した化合物14(40.0mg、54.3μmol)および化合物68(31.2mg、54.3μmol)をCHCl(1.1mL)に溶解させた溶液に、周囲温度で加えた。−25℃で1時間撹拌した後、TfOH(1.0μL、11μmol)を−25℃で混合物に添加した。反応をTLC(CHCl/MeOH=20:1)でモニターしながら、反応混合物を−25℃で22時間撹拌した。
その後、反応混合物を飽和NaHCO水溶液でクエンチし、セライト(登録商標)パッドで濾過し、パッドをCHClで洗浄した。濾液と洗浄液とを合わせて、飽和Na水溶液とブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。得られた残渣を、溶離液としてCHCl/MeOH(100:1〜70:1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物69(収量56.2mg、収率86%)を得た。
生成物(化合物69)の同定結果を以下に示す。
[α] +42.0°(c3.9,CHCl);
H−NMR(500MHz,CDNO,90℃)δ7.39−7.30(m,10H,2Ar),5.95(d,1H,JCH,NH=6.0Hz,NHSer),5.84(d,1H,J2,NH=9.4Hz,NHGalN),5.52(td,1H,J3eq,4=5.0Hz,J4,5=10.4Hz,J3ax,4=12.7Hz,H−4Sia),5.47(d,1H,J5,NH=6.9Hz,NHSia),5.44(dd,1H,J6,7=1.4Hz,J7,8=7.1Hz,H−7Sia),5.39(m,1H,H−8Sia),5.23(d,1H,Jgem=13.2Hz,PhCH),5.21(d,1H,PhCH),5.14(d,1H,Jgem=12.5Hz,PhCH),5.10(d,1H,PhCH),4.98(dd,1H,J3,4=2.8Hz,J2,3=11.2Hz,H−3GalN),4.81(d,1H,J1,2=3.4Hz,H−1GalN),4.68(m,1H,COCH),4.64−4.48(m,6H,2NH(CO)OCH,CHCOBnSer,H−2GalN,H−6Sia,H−9Sia),4.21(dd,1H,J8,9’=5.7Hz,Jgem=12.4Hz,H−9’Sia),4.11(m,1H,COCH),4.09−4.05(m,2H,H−4GalN,H−5GalN),3.97−3.91(m,3H,CH Ser,H−6GalN),3.77(dd,1H,J5,6’=5.5Hz,Jgem=9.9Hz,H−6’GalN),2.98(td,1H,J5,6=10.4Hz,H−5Sia),2.86(dd,1H,Jgem=12.8Hz,H−3eqSia),2.47(m,1H,CClCHCH),2.30(m,1H,CClCHCH),2.14−1.83(m,16H,4Ac,2CH),1.82(t,1H,H−3axSia),1.77−1.67(m,2H,CH);
13C−NMR(125MHz,CDNO,90℃)δ172.6(CO),172.5(CO),172.5(CO),172.0(CO),171.9(CO),171.9(CO),171.8(CO),169.2(C−1Sia),157.8(NHCOSer),156.0(NHCOGalN),138.8(Ar),137.7(Ar),130.3(Ar),130.2(Ar),130.0(Ar),129.7(Ar),129.5(Ar),100.9(C−1GalN),100.7(C−2Sia),91.8(CCl),72.9(C−3GalN),72.8(C−6Sia),71.8(NH(CO)OCH),71.4(C−8Sia),71.4(C−4GalN),70.8(C−7Sia),70.1(C−5GalN),69.2(C−4Sia),69.0(CH Ser),68.8(PhCH),68.4(PhCH),66.7(COCH),65.2(C−6GalN),64.0(C−9Sia),56.6(CHCOBnSer),54.8(C−5Sia),49.2(C−2GalN),46.8(CClCHCH),39.0(C−3Sia),28.6(CH),26.1(CH),24.4(CH),23.5(Ac),21.6(Ac),21.2(Ac),21.2(Ac),21.1(Ac),21.0(Ac);
HRMS(ESI)m/z found [M+Na]1222.3384,C5367Cl24 calcd for [M+Na]1222.3384.
(実施例3)
本実施例では、求核剤として下記式(B3)中の化合物70を用い、二環性ウロソン酸誘導体としての化合物71を合成した(下記式(B3)参照)。
Figure 2020158489
すなわち、まず、3Åモレキュラーシーブ(110mg)およびNIS(18.3mg、81.5μmol)を、前記実施例1で説明したのと同様にして製造した化合物14(40.0mg、54.3μmol)および化合物70(34.0mg、54.3μmol)をCHCl(1.1mL)に溶解させた溶液に周囲温度で添加した。−70℃で1時間撹拌した後、TfOH(1.0μL、11μmol)を−70℃で混合物に添加した。反応をTLC(n−ヘキサン/AcOEt=2:1)でモニターしながら、反応混合物を−70℃で18時間撹拌した。
その後、反応混合物をトリエチルアミンでクエンチし、セライト(登録商標)パッドで濾過し、そしてパッドをCHClで洗浄した。濾液と洗浄液とを合わせて、飽和Na水溶液とブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。得られた残渣を、n−ヘキサン/アセトン(7:1〜2:1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィー、および溶離剤としてトルエン/AcOEt(3:1)を用いて、バイオビーズ(BioBeads(登録商標))SX−3によるカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物71(収量59.0mg、収率87%)を得た。
(実施例4)
本実施例では、求核剤として下記式(B4)中の化合物46を用い、二環性ウロソン酸誘導体としての化合物51を合成した(下記式(B4)参照)。
Figure 2020158489
すなわち、まず、3Åモレキュラーシーブ(70mg)およびNIS(11.3mg、50.3μmol)を、前記実施例1で説明したのと同様にして製造した化合物14(24.7mg、33.5μmol)および化合物46(20.0mg、33.5μmol)をCHCl(0.7mL)に溶解させた溶液に、周囲温度で加えた。−45℃で1時間撹拌した後、TfOH(0.90μL、10μmol)を−45℃で混合物に添加した。反応をTLC(CHCl/MeOH=30:1)でモニターしながら、反応混合物を−45℃で17時間撹拌した。
反応混合物を飽和NaHCO水溶液でクエンチし、セライト(登録商標)パッドで濾過し、パッドをCHClで洗浄した。濾液と洗浄液とを合わせて、飽和Na水溶液とブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。得られた残渣を、溶離液としてn−ヘキサン/アセトン(2.4:1〜1.7:1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物51(収量35.7mg、収率87%)を得た。
生成物(化合物51)の同定結果を以下に示す。
[α] +7.2°(c1.0,CHCl);
H−NMR(500MHz,CDNO,90℃)δ7.38−7.27(m,5H,Ar),6.39(d,1H,J5,NH=9.8Hz,NH),5.54(td,1H,J3eq,4=5.3Hz,J4,5=11.1Hz,J3ax,4=12.8Hz,H−4),5.48(d,1H,J5,NH=5.2Hz,NH),5.45−5.42(m,2H,H−7,H−8),5.37(m,1H,H−8),5.28(dd,1H,J6,7=1.7Hz,J7,8=7.3Hz,H−7),5.03(td,1H,J3eq,4=4.8Hz,J4,5=10.3Hz,J3ax,4=12.9Hz,H−4),4.87(d,1H,Jgem=11.9Hz,NH(CO)OCH),4.71(m,1H,COCH),4.62−4.55(m,4H,2PhCH,NH(CO)OCH,H−6),4.45(dd,1H,J8,9=2.6Hz,Jgem=12.4Hz,H−9),4.39(dd,1H,J8,9=3.1Hz,Jgem=12.2Hz,H−9),4.29(dd,1H,J5,6=10.3Hz,H−6),4.22−4.11(m,4H,CH,COCH,H−9’,H−9’),4.09(q,1H,H−5),3.91(d,1H,Jgem=14.9Hz,CH),3.80(s,3H,COMe),3.00(td,1H,J5,6=10.4Hz,H−5),2.91(dd,1H,Jgem=12.8Hz,H−3eq),2.75(dd,1H,Jgem=12.9Hz,H−3eq),2.47(m,1H,CClCHCH),2.30(m,1H,CClCHCH),2.17−1.86(m,27H,CH,H−3ax,8Ac),1.81(t,1H,H−3ax),1.70−1.60(m,4H,2CH);
13C−NMR(125MHz,CDNO,90℃)δ172.5(Ac),172.3(Ac),172.2(Ac),171.9(Ac),171.9(Ac),171.8(Ac),171.8(Ac),171.7(Ac),170.5(Ac),170.5(C−1),168.8(C−1),156.0(NHCO),139.7(NHCO),129.9(Ar),129.5(Ar),129.3(Ar),100.8(C−2),100.3(C−2),91.8(CCl),74.5(C−6),72.9(C−6),71.7(PhCH),71.1(C−8),71.1(C−8),70.8(C−4),70.7(C−7),70.3(C−7),69.2(C−4),68.2(NH(CO)OCH),67.1(COCH),65.2(CH),64.3(C−9),63.8(C−9),54.7(C−5),53.7(COMe),50.9(C−5),46.7(CClCHCH),39.4(C−3),39.0(C−3),28.6(CH),26.1(CH),24.4(CH),21.6(Ac),21.5(Ac),21.3(Ac),21.3(Ac),21.2(Ac),21.2(Ac),21.0(Ac),21.0(Ac);
HRMS(ESI)m/z found [M+Na]1245.3278,C5268Cl27 calcd for [M+Na]1245.3279.
(実施例5)
本実施例では、求核剤として下記式(B5)中の化合物24を用い、二環性ウロソン酸誘導体としての化合物35を合成した(下記式(B5)参照)。
Figure 2020158489
すなわち、まず、3Åモレキュラーシーブ(100mg)およびNIS(16.7mg、74.4μmol)を、前記実施例1で説明したのと同様にして製造した化合物14(36.5mg、49.6μmol)および化合物24(20.0mg、12.4μmol)をCHCl(1.0mL)に溶解させた溶液に、周囲温度で加えた。−65℃で1時間撹拌した後、TfOH(0.9μL、10μmol)を−65℃で混合物に添加した。反応をTLC(CHCl3/MeOH=30:1、2回展開)でモニターしながら、反応混合物を−65℃で14時間撹拌した。
その後、反応混合物を飽和NaHCO水溶液でクエンチし、セライト(登録商標)パッドで濾過し、パッドをCHClで洗浄した。濾液と洗浄液とを合わせて、飽和Na水溶液とブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。得られた残渣を、溶離液としてn−ヘキサン/アセトン(2.5:1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物35(収量31.5mg、収率89%)を得た。
生成物(化合物35)の同定結果を以下に示す。
[α] +8.9°(c1.2,CHCl);
H−NMR(500MHz,CDNO,60℃)δ8.16−7.23(m,40H,8Ar),6.74(br d,1H,NH−2),5.61−5.51(m,2H,H−4,NH−5),5.50−5.39(m,6H,H−7,H−8,H−4,H−7,H−8,NH−5),5.34(t,1H,J1,2=J2,3=8.7Hz,H−2),5.01(d,1H,Jgem=10.3Hz,PhCH),4.94(d,1H,H−1),4.91−4.85(m,3H,H−1,2PhCH),4.80−4.72(m,5H,5PhCH),4.69−4.36(m,19H,4PhCH,H−1,H−1,H−3,H−6,H−6’,H−6,H−9,H−6,H−9,4NH(CO)OCH,2COCH),4.30(m,1H,COCH),4.22(dd,1H,J8,9’=5.5Hz,Jgem=12.5Hz,H−9’orH−9’),4.17(s,1H,H−4),4.14−4.08(m,4H,H−4,H−5,H−9’orH−9’,COCH),4.06−3.89(m,7H,H−4,H−3,H−2,H−3,H−6,H−6’,OCHCHSiMe),3.83(dd,1H,J5,6=4.1Hz,Jgem=11.1Hz,H−6),3.79−3.70(m,3H,H−6’,H−4,OCHCHSiMe),3.65(t,1H,J5,6=J5,6’=6.4Hz,H−5),3.62−3.49(m,6H,H−3,H−5,H−2,H−5,H−6,H−6’),3.26(t,1H,J1,2=J2,3=7.8Hz,H−2),3.19(s,1H,OH−4),3.13(s,1H,OH−4),3.01(td,1H,J5,NH=6.8Hz,J4,5=J5,6=10.5Hz,H−5),2.90(dd,1H,J3eq,4=5.1Hz,Jgem=12.7Hz,H−3eq),2.82(td,1H,J5,NH=6.9Hz,J4,5=J5,6=10.3Hz,H−5),2.65(dd,1H,J3eq,4=3.7Hz,Jgem=12.7Hz,H−3eq),2.57−2.22(m,4H,4CClCHCH),2.16−1.97(m,26H,CH,8Ac),1.92−1.53(m,12H,H−3ax,H−3ax,5CH),1.11−1.00(m,2H,OCHCHSiMe),0.00(s,9H,OCHCHSiMe);
13C−NMR(125MHz,CDNO,60℃)δ172.5(CO),172.5(CO),172.4(CO),172.3(CO),172.1(CO),171.8(CO),171.6(CO),169.6(C−1),169.1(C−1),167.9(CO),167.0(CO),158.7(q,C,F=37.5Hz,C(O)CF),155.9(NHCO),155.9(NHCO),141.1(Ar),141.0(Ar),140.5(Ar),140.4(Ar),135.0(Ar),134.7(Ar),131.8(Ar),131.4(Ar),131.2(Ar),130.6(Ar),130.5(Ar),130.3(Ar),130.1(Ar),130.0(Ar),129.9(Ar),129.8(Ar),129.8(Ar),129.7(Ar),129.6(Ar),129.5(Ar),129.4(Ar),129.2(Ar),129.2(Ar),129.0(Ar),129.0(Ar),128.8(Ar),128.8(Ar),117.6(q,C,F=287.5Hz,C(O)CF),104.6(C−1),104.1(C−1),102.9(C−1),102.7(C−1),100.6(C−2),99.7(C−2),91.7(CCl),84.5(C−3),83.6(C−2),83.3(C−5),83.3(C−5),82.1(C−2),81.0(C−3),78.0(C−4),76.6(C−4),76.5(PhCH),76.1(C−4),75.9(C−4),75.7(C−6),74.7(PhCH),74.5(PhCH),74.5(C−5),74.5(C−3),73.9(C−3),72.4(C−6),72.4(C−6),72.0(C−2),71.7(C−6),71.5(NH(CO)OCH),71.5(NH(CO)OCH),71.0(C−8orC−8),70.4(C−8orC−8),70.3(C−7),70.3(C−7),69.9(C−4),69.3(C−5),69.3(C−4),68.5(OCHCHSiMe),66.6(COCH),66.4(COCH),64.5(C−6),64.4(C−6),63.8(C−9orC−9),63.7(C−9orC−9),54.6(C−5),54.4(C−2),54.1(C−5),46.6(CClCHCH),46.4(CClCHCH),39.0(C−3),38.1(C−3),28.4(CH),28.2(CH),25.8(CH),25.6(CH),24.2(CH),24.0(CH),21.8(Ac),21.7(Ac),21.3(Ac),21.2(Ac),21.1(Ac),21.1(Ac),21.1(Ac),21.1(Ac),19.7(OCHCHSiMe),−1.0(OCHCHSiMe);
HRMS(ESI)m/z found [M+2Na]2+1452.9347,C137164Cl49Si calcd for [M+2Na]2+1452.9347.
(実施例6)
まず、前記実施例1と同様にして1,4−シス体二環性ウロソン酸求電子剤としての化合物14を合成した。
次に、以下のようにして、化合物14のフェニルチオ基(−SPh)をジベンジルホスフェート基(−P(=O)(OBn))に置換して化合物15を合成した(下記式(B6−1)参照)。
Figure 2020158489
すなわち、まず、3Åモレキュラーシーブ(540mg)およびNIS(122mg、542μmol)を、化合物14(200mg、271μmol)およびリン酸ジベンジル(189mg、678μmol)をCHCl(5.4mL)に溶解させた溶液に、周囲温度で加えた。−20℃で1時間撹拌した後、TfOH(トリフルオロメタンスルホン酸)(2.4μL、27μmol)を−20℃で混合物に添加した。反応をTLC(n−ヘキサン/AcOEt=3:2)でモニターしながら、反応混合物を−20℃で4時間撹拌した。
その後、反応混合物を飽和NaHCO水溶液でクエンチし、セライト(Celite(登録商標))パッドで濾過し、パッドをCHClで洗浄した。濾液と洗浄液とを合わせて、飽和Na水溶液とブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。得られた残渣を、溶離液としてn−ヘキサン/アセトン(2.7:1)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物15(収量242mg、収率99%)を得た。
生成物(化合物15)の同定結果を以下に示す。
[α] +5.6°(c0.8,CHCl);
H−NMR(500MHz,CDNO,60℃)δ7.41−7.37(m,10H,2Ar),5.70(br s,1H,NH),5.49(m,1H,H−4),5.38(d,1H,J7,8=7.3Hz,H−7),5.27(m,1H,H−8),5.16−5.08(m,4H,4PhCH),4.69−4.56(m,4H,H−6,COCH,2NH(CO)OCH),4.43(br dd,1H,H−9),4.16(m,1H,COCH),4.13(dd,1H,J8,9’=5.3Hz,Jgem=12.5Hz,H−9’),2.99(m,1H,H−5),2.94(dd,1H,J3eq,4=5.1Hz,Jgem=12.9Hz,H−3eq),2.45(m,1H,CClCHCH),2.30(m,1H,CClCHCH),2.22(t,1H,J3ax,4=12.9Hz,H−3ax),2.15−1.94(4s,12H,4Ac),1.93−1.83(m,2H,CH),1.68−1.58(m,4H,2CH);
13C−NMR(125MHz,CDNO,60℃)δ171.5(Ac),171.4(Ac),171.1(Ac),171.0(Ac),167.6(C−1),155.4(NHCO),137.5(Ar),129.9(Ar),129.8(Ar),129.3(Ar),129.3(Ar),100.5(C−2),91.4(CCl),73.1(C−6),70.9(C−8),70.9(PhCH),70.9(PhCH),69.5(NH(CO)OCH),69.5(C−7),68.5(C−4),67.0(COCH),63.0(C−9),53.6(C−5),46.2(CClCHCH),38.9(C−3),28.1(CH),25.8(CH),24.0(CH),21.5(Ac),21.3(Ac),21.3(Ac),21.1(Ac);
HRMS(ESI)m/z found [M+Na]926.1926,C3948ClNO17P calcd for [M+Na]926.1929.
次に、上記のようにして得られた化合物15と、求核剤としての化合物27とを反応させて、二環性ウロソン酸誘導体としての化合物38を合成した(下記式(B6−2)参照)。
Figure 2020158489
すなわち、まず、3Åモレキュラーシーブ(80mg)を、化合物15(35.0mg、38.7μmol)および化合物27(15.0mg、38.7μmol)をCHCl(0.8mL)に溶解させた溶液に周囲温度で加えた。−60℃で1時間撹拌した後、TMSOTf(9.1μL、50μmol)を−60℃で混合物に添加した。反応をTLC(n−ヘキサン/アセトン=2.5:1)でモニターしながら、反応混合物を−60℃で15分間撹拌した。
反応混合物を飽和NaHCO水溶液でクエンチし、セライト(登録商標)パッドで濾過し、パッドをCHClで洗浄した。濾液と洗浄液を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。得られた残渣を、溶離液としてn−ヘキサン/アセトン(10:1〜9:1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物38(収量36.3mg、収率93%)を得た。
生成物(化合物38)の同定結果を以下に示す。
[α] −13.4°(c3.6,CHCl);
H−NMR(500MHz,CDNO,90℃)δ5.49(td,1H,J3eq,4=5.1Hz,J4,5=10.9Hz,J3ax,4=12.7Hz,H−4),5.42−5.36(m,4H,NH,H−7,H−8,C=CHChol),4.68−4.65(m,2H,NH(CO)OCH,COCH),4.52−4.49(m,3H,H−6,H−9,NH(CO)OCH),4.25(dd,1H,J8,9’=5.9Hz,Jgem=12.5Hz,H−9’),4.10(m,1H,COCH),3.83(m,1H,OCHChol),2.95(td,1H,J5,NH=6.9Hz,J5,6=10.4Hz,H−5),2.85(dd,1H,Jgem=12.7Hz,H−3eq),2.49(m,1H,CClCHCH),2.40(m,1H,CH Chol),2.32−2.25(m,2H,CH Chol,CClCHCH),2.16−1.99(m,14H,4Ac,CH Chol),1.95−0.96(m,37H,H−3ax,3CH,9CH Chol,6CHChol,2MeChol),0.89(s,3H,MeChol),0.87(s,3H,MeChol),0.74(s,3H,MeChol);
13C−NMR(125MHz,CDNO,90℃)δ172.7(Ac),172.2(Ac),171.9(Ac),171.7(Ac),170.1(C−1),156.0(NHCO),142.8(C=CHChol),123.4(C=CHChol),100.7(C−2),91.8(CCl),76.8(OCHChol),72.7(C−6),72.0(C−8),71.7(NH(CO)OCH),71.1(C−7),69.3(C−4),66.4(COCH),63.8(C−9),58.7Chol,58.3Chol,55.0(C−5),52.3Chol,46.8(CClCHCH),44.1Chol,42.8Chol,41.7Chol,41.1Chol,40.0(C−3),39.0Chol,38.2Chol,37.9Chol,37.4Chol,33.8Chol,33.6Chol,31.1Chol,29.6Chol,29.5Chol,28.6(CH),26.0(CH),25.7Chol,25.4Chol,24.4(CH),23.5Chol,23.3Chol,22.7Chol,21.5(Ac),21.2(Ac),21.1(Ac),21.1(Ac),20.2Chol,19.8Chol,12.9Chol
HRMS(ESI)m/z found [M+Na]1034.4767,C5279ClNO14 calcd for [M+Na]1034.4770.
以下に示す実施例7〜9では、求核剤としてアルコール以外の化合物を用いて、二環性ウロソン酸誘導体を合成した。
(実施例7)
本実施例では、求核剤として下記式(B7)中の化合物39を用い、二環性ウロソン酸誘導体としての化合物42を合成した(下記式(B7)参照)。
Figure 2020158489
すなわち、まず、3Åモレキュラーシーブ(80mg)を、前記実施例6で説明したのと同様にして製造した化合物15(35.0mg、38.7μmol)および化合物39(33.6μL、194μmol)をCHCl(0.8mL)に溶解させた溶液に、周囲温度で添加した。−80℃で1時間撹拌した後、TMSOTf(9.1μL、50μmol)を−80℃で混合物に添加した。反応をTLC(n−ヘキサン/アセトン=2:1)でモニターしながら、反応混合物を−80℃で1時間撹拌した。
その後、反応混合物を飽和NaHCO水溶液でクエンチし、セライト(登録商標)パッドで濾過し、パッドをCHClで洗浄した。濾液と洗浄液を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。得られた残渣を、溶離液としてn−ヘキサン/アセトン(6.6:1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物42(収量25.0mg、収率95%)を得た。
生成物(化合物42)の同定結果を以下に示す。
[α] +10.0°(c2.4,CHCl);
H−NMR(500MHz,CDNO,80℃)δ5.56(td,1H,J3eq,4=5.1Hz,J4,5=11.0Hz,J3ax,4=13.1Hz,H−4),5.48(d,1H,J5,NH=6.8Hz,NH),5.43(dd,1H,J6,7=1.3Hz,J7,8=6.8Hz,H−7),5.38(td,1H,J8,9=2.8Hz,J8,9’=5.8Hz,H−8),4.94(s,1H,HC=C(Me)CH),4.81(s,1H,HC=C(Me)CH),4.72(d,1H,Jgem=12.2Hz,NH(CO)OCH),4.64(m,1H,COCH),4.59(dd,1H,Jgem=12.4Hz,H−9),4.55−4.53(m,2H,H−6,NH(CO)OCH),4.27(dd,1H,H−9’),4.08(m,1H,COCH),2.90(td,1H,J5,6=10.6Hz,H−5),2.75(dd,1H,Jgem=13.1Hz,H−3eq),2.57−2.51(m,2H,HC=C(Me)CH,CClCHCH),2.47(d,1H,Jgem=13.8Hz,HC=C(Me)CH),2.34(m,1H,CClCHCH),2.19−2.03(4s,12H,4Ac),1.94(m,2H,CH),1.84(s,3H,HC=C(Me)CH),1.78−1.60(m,5H,H−3ax,2CH);
13C―NMR(125MHz,CDNO,80℃)δ173.9(C−1),172.7(Ac),172.3(Ac),172.0(Ac),171.8(Ac),156.1(NHCO),142.7(HC=C(Me)CH),117.0(HC=C(Me)CH),91.8(CCl),82.7(C−2),73.5(C−6),72.1(C−8),71.6(NH(CO)OCH),71.1(C−7),70.0(C−4),65.9(COCH),63.8(C−9),55.4(C−5),49.4(HC=C(Me)CH),46.9(CClCHCH),38.7(C−3),28.6(CH),26.1(CH),24.5(HC=C(Me)CH),24.4(CH),21.5(Ac),21.2(Ac),21.1(Ac),21.0(Ac);
HRMS(ESI)m/z found [M+Na]704.1847,C2941ClNO13 calcd for [M+Na]704.1847.
(実施例8)
本実施例では、求核剤として下記式(B8)中の化合物40を用い、二環性ウロソン酸誘導体としての化合物43を合成した(下記式(B8)参照)。
Figure 2020158489
すなわち、まず、3Åモレキュラーシーブ(80mg)を、前記実施例6で説明したのと同様にして製造した化合物15(35.0mg、38.7μmol)および化合物40(39.7μL、194μmol)をCHCl(0.8mL)に溶解させた溶液に周囲温度で加えた。−80℃で1時間撹拌した後、TMSOTf(トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル)(9.1μL、50μmol)を−80℃で混合物に添加した。反応をTLC(n−ヘキサン/アセトン=2:1)でモニターしながら、反応混合物を−80℃で1.5時間撹拌した。
その後、反応混合物を飽和NaHCO水溶液でクエンチし、セライト(登録商標)パッドで濾過し、パッドをCHClで洗浄した。濾液と洗浄液を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。得られた残渣を、溶離液としてn−ヘキサン/アセトン(4:1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物43(収量27.6mg、収率96%)を得た。
生成物(化合物43)の同定結果を以下に示す。
[α] −8.5°(c2.9,CHCl);
H−NMR(500MHz,CDCN,70℃)δ7.96−7.50(m,5H,Ar),5.56−5.49(m,2H,NH,H−4),5.26(d,1H,J7,8=6.9Hz,H−7),5.03(m,1H,H−8),4.61−4.47(m,4H,H−6,2NH(CO)OCH,COCH),4.29(d,1H,Jgem=12.4Hz,H−9),4.02(m,1H,COCH),3.95(dd,1H,J8,9’=5.8Hz,H−9’),3.38(s,2H,2Ph(CO)CH),2.84−2.78(m,2H,H−5,H−3eq),2.47(m,1H,CClCHCH),2.29(m,1H,CClCHCH),2.05−1.93(4s,12H,4Ac),1.88−1.81(m,2H,CH),1.84(t,1H,Jgem=J3ax,4=12.5Hz,H−3ax),1.68−1.55(m,4H,2CH);
13C−NMR(125MHz,CDCN,70℃)δ197.84(Ph(CO)CH),172.8(C−1),171.6(Ac),171.5(Ac),171.3(Ac),171.0(Ac),155.6(NHCO),139.2(Ar),134.6(Ar),130.0(Ar),129.9(Ar),91.6(CCl),80.4(C−2),73.0(C−6),71.4(C−8),71.1(NH(CO)OCH),70.2(C−7),69.4(C−4),65.9(COCH),63.2(C−9),54.6(C−5),49.1(Ph(CO)CH),46.4(CClCHCH),38.7(C−3),28.3(CH),25.9(CH),24.1(CH),21.6(Ac),21.4(Ac),21.3(Ac),21.2(Ac);
HRMS(ESI)m/z found [M+Na]768.1796,C3341ClNO14 calcd for [M+Na]768.1796.
(実施例9)
本実施例では、求核剤として下記式(B9)中の化合物41を用い、二環性ウロソン酸誘導体としての化合物44を合成した(下記式(B9)参照)。
Figure 2020158489
すなわち、まず、3Åモレキュラーシーブ(80mg)を、前記実施例6で説明したのと同様にして製造した化合物15(35.0mg、38.7μmol)および化合物41(22.6mg、58.1μmol)をCHCl(0.8mL)に溶解させた溶液に周囲温度で加えた。−80℃で1時間撹拌した後、TMSOTf(9.1μL、50μmol)を−80℃で混合物に添加した。反応をTLC(n−ヘキサン/アセトン=2:1)でモニターしながら、反応混合物を−80℃で1時間撹拌した。
その後、反応混合物を飽和NaHCO水溶液でクエンチし、セライト(登録商標)パッドで濾過し、パッドをCHClで洗浄した。濾液と洗浄液を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。得られた残渣を、溶離液としてn−ヘキサン/アセトン(3.2:1〜2.5:1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物44(収量35.7mg、収率91%)を得た。
生成物(化合物44)の同定結果を以下に示す。
[α] +3.0°(c3.2,CHCl);
H−NMR(500MHz,CDNO,80℃)δ7.54−7.00(m,3H,H−2’Catechin,H−5’Catechin,H−6’Catechin),6.38(s,1H,H−6Catechin),5.66(td,1H,J3eq,4=5.5Hz,J4,5=10.5Hz,J3ax,4=12.7Hz,H−4),5.43−5.41(m,2H,H−7,NH),5.31−5.25(m,2H,H−8,H−3Catechin),5.19(d,1H,J2,3=6.1Hz,H−2Catechin),4.68−4.57(m,3H,H−6,2NH(CO)OCH),4.49(dd,1H,J8,9=2.9Hz,Jgem=12.3Hz,H−9),4.36(m,1H,COCH),4.21(dd,1H,J8,9’=6.1Hz,H−9’),4.01(m,1H,COCH),3.91−3.87(4s,12H,4OMe),3.05(td,1H,J5,NH=6.6Hz,J5,6=10.5Hz,H−5),2.93−2.88(m,2H,H−3eq,H−4(a)Catechin),2.79(dd,1H,J3,4(b)=6.7Hz,Jgem=17.0Hz,H−4(b)Catechin),2.73(t,1H,Jgem=12.7Hz,H−3ax),2.53(m,1H,CClCHCH),2.36(m,1H,CClCHCH),2.06−1.89(4s,12H,4Ac),1.87−1.59(m,6H,3CH);
13C−NMR(125MHz,CDNO,80℃)δ173.3(C−1),172.4(Ac),172.3(Ac),172.0(Ac),171.9(Ac),171.8(Ac),160.3(Ar),159.7(Ar),156.2(NHCO),154.8(Ar),151.5(Ar),151.5(Ar),132.9(C−1’Catechin),121.3(C−6’Catechin),114.2(Ar),112.9(Ar),112.0(C−8Catechin),104.6(C−4aCatechin),93.1(C−6Catechin),92.1(CCl),82.5(C−2),80.8(C−2Catechin),73.4(C−6),72.6(C−8),71.4(NH(CO)OCH),71.4(C−7),71.1(C−3Catechin),71.0(C−4),65.5(COCH),63.8(C−9),58.6(OMe),57.4(OMe),57.3(OMe),56.9(OMe),55.3(C−5),46.5(CClCHCH),38.6(C−3),28.6(CH),26.1(CH),25.1(C−4Catechin),24.2(CH),21.5(Ac),21.3(Ac),21.3(Ac),21.2(Ac),21.0(Ac);
HRMS(ESI)m/z found [M+Na]1036.2743,C4657ClNO20 calcd for [M+Na]1036.2743.
[4]ウロソン酸誘導体の製造
前記各実施例で得られた二環性ウロソン酸誘導体に対して、架橋基脱離工程を行うことにより、いずれも、高収率で目的とするウロソン酸誘導体が得られた。前記各実施例について、二環性ウロソン酸誘導体からウロソン酸誘導体の収率は、いずれも、90%以上であった。
前記各実施例で得られた二環性ウロソン酸誘導体に対する架橋基脱離工程は、以下のようにして行った。
すなわち、まず、前記各実施例で得られた二環性ウロソン酸誘導体に対して、酢酸中にて、亜鉛で処理することにより、カルバモイル部分で16員環を選択的に開環させて、C5−アミノシアロシド(amino sialoside)が得た。
次に、当該C5−アミノシアロシドを精製した。
C5−アミノシアロシドをピリジンに溶解させ、そこに、AcOおよび4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)を0℃で加え、室温まで昇温し、17時間撹拌した。
その後、精製処理を行うことにより、目的とするC5−アセトアミドウロソン酸誘導体を得た。
[5]架橋基を含む環構造の大きさについての考察
架橋基を含む環構造の大きさが、求核剤による求核反応での、α選択性、二環性ウロソン酸誘導体の収率に与える影響を調べるために、アルキレン基からなる架橋基を変更することにより、架橋基を含む環構造の大きさを変更した場合のα選択性、二環性ウロソン酸誘導体の収率を調べた。
すなわち、下記式(X4)で示すように、求核剤としての化合物7を用いて、互いに架橋基の長さの異なる二環性ウロソン酸求電子剤としての化合物1〜化合物4のグリコシド化反応を行った。
Figure 2020158489
(式(X4)中、nは、5以上8以下の整数である。)
当該反応の反応条件は、以下のとおりである。
すなわち、まず、3ÅモレキュラーシーブおよびNIS(N−ヨードスクシンイミド)を、それぞれ、式(X4)中のnが5〜8である化合物1〜化合物4および化合物7をCHClに溶解させた溶液に、周囲温度で加えた。0℃で1時間撹拌した後、TfOHを所定温度で混合物に添加し、反応混合物を所定温度で所定時間撹拌した。
その後、反応混合物を飽和NaHCO水溶液でクエンチし、セライト(Celite:登録商標)パッド(珪藻土パッド)で濾過し、パッドをCHClで洗浄した。濾液と洗浄液とを合わせて、飽和Na水溶液とブライン(飽和食塩水)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで溶出液としてCHCl/n−ヘキサン/MeOH(150:20:1〜150:15:1)を用いて精製し、それぞれ、二環性ウロソン酸求電子剤である化合物1〜化合物4のC2位に求核剤である化合物7がα結合した化合物8〜化合物11を得た。
化合物8〜化合物11についての反応条件(温度、時間)および収率を下記式(X5)中に示す。
Figure 2020158489
式(X5)から明らかなように、化合物1〜化合物4は、それぞれ、立体化学的結果として単一の、単離可能な量のα−グリコシド(化合物8〜化合物11)を生じた。グリコシド化生成物のアノマー位の立体化学は、NMR(核磁気共鳴)法によりα結合であると確認された。
特に、架橋基を含む環構造として16員環の環構造を有する化合物3は、最も高い収率(83%)でα−グリコシド(化合物10)を生成した。
[6]3−デオキシ−D−マンノ−オクタ−2−ウロソン酸(KDO)についての二環性ウロソン酸誘導体の製造
(実施例10)
[6−1]二環性ウロソン酸求電子剤の合成
環状構造を有するウロソン酸類としての3−デオキシ−D−マンノ−オクタ−2−ウロソン酸(KDO)のC1位とC5位とが架橋基で架橋されることにより、β面が遮蔽された1,4−シス体の二環性KDO求電子剤を、下記式(C1−1)〜下記式(C1−8)に示すようにして合成した。
まず、Ar雰囲気下にて、化合物S60(221mg、590μmol)をMeCN(6.9mL)に溶かし、室温にてZn(NO・6HO(821mg、3.24mmol)を加え、50℃にて4時間攪拌した。原料が半分ほど消費されたことをTLC(EtOAc/n−Hexane=2/1)で確認し、室温にて蒸留水を5.0mL加えた。EtOAcで抽出後、洗浄(水、飽和食塩水)、乾燥(無水硫酸ナトリウム)、溶媒留去を行った。得られた残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/n−Hexane=1/3→EtOAc)で精製し、化合物S61(収量80.9mg、収率41%)を白色固体として得た(下記式(C1−1)参照)。
Figure 2020158489
生成物(化合物S61)の同定結果を以下に示す。
[α]D +127.3°(c 1.1,CHCl3);
H−NMR(500MHz,CDCl) δ4.53(ddd,1H,J3ax,4=3.0Hz,J3eq,4=4.0Hz,J4,5=7.5Hz,H−4),4.38(dd,1H,J5,6=2.0Hz,H−5),4.00(br s,1H,H−7),3.84−3.78(m,6H,H−6,H−8a,H−8b,COCH),2.94(dd,1H,Jgem=15.0Hz,H−3eq),2.66−2.55(m,3H,OH−8,SCH),2.15(br s,1H,OH−8),1.87(dd,1H,H−3ax),1.42−1.33(2s,6H,C(CH),1.20(t,3H,Jvic=7.5Hz,SCHCH);
13C−NMR(125MHz,CDCl) δ170.3,109.8,83.7,77.6,72.5,70.9,70.5,70.2,64.1,52.7,32.9,25.9,25.3,22.7,14.3;
次に、Ar雰囲気下にて、化合物S61(847mg、2.52mmol)をPyridine(28.0mL)に溶かし、氷浴中にてAcO(1.1mL、11.2mmol)、DMAP(34.2mg、280μmol)を加え、室温にて1時間攪拌した。反応終了をTLC (EtOAc/n−Hexane = 2/1) で確認後、0 ℃にてMeOHを加えて反応停止させ、反応溶液をトルエン共沸した。得られた残渣をCHClで抽出し、洗浄(2M塩酸、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水)、乾燥(無水硫酸ナトリウム)、溶媒留去を行った。得られた残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/n−Hexane=1/16→1/1)で精製し、化合物S62(収量1.03g、収率97%)を白色固体として得た(下記式(C1−2)参照)。
Figure 2020158489
生成物(化合物S62)の同定結果を以下に示す。
[α]D +104.3°(c 1.3,CHCl);
H−NMR(500MHz,CDCl) δ5.27(ddd,1H,J7,8a=2.5Hz,J7,8b=4.5Hz,J6,7=8.5Hz,H−7),4.56(dd,1H,Jgem=12.5Hz,H−8a),4.50(ddd,1H,J3ax,4=3.5Hz,J3eq,4=4.0Hz,J4,5=7.5Hz,H−4),4.30(dd,1H,J7,8b=4.5Hz,H−8b),4.21(dd,1H,J5,6=2.0Hz,H−5),4.02(dd,1H,H−6),3.79(s,3H,COCH),2.97(dd,1H,Jgem=15.0Hz,H−3eq),2.60−2.55(m,2H,SCH),2.09−2.08(2s,6H,2Ac),1.84(dd,1H,H−3ax),1.39−1.28(2s,6H,C(CH),1.17(t,3H,Jvic=7.5Hz,SCHCH);
13C−NMR(125MHz,CDCl) δ170.7,170.2,169.6,110.0,84.0,77.6,72.0,70.5,69.8,68.4,62.3,52.6,32.9,25.8,25.3,22.7,21.0,20.8,14.2;
次に、Ar雰囲気下にて、化合物S62(1.27g、3.02mmol)をCHCl(76.0mL)に溶かし、0℃にて90%TFAcOHaq.(7.6mL)を加え、室温にて1時間攪拌した。反応終了をTLC(EtOAc/n−Hexane=2/1)で確認後、0℃にて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応停止させた。CHCl3で抽出し、洗浄(飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水)、乾燥(無水硫酸ナトリウム)、溶媒留去を行った。得られた残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/n−Hexane=1/3→EtOAc)で精製し、化合物S63(収量1.13g、収率98%)を白色粘性固体として得た(下記式(C1−3)参照)。
Figure 2020158489
生成物(化合物S63)の同定結果を以下に示す。
[α]D +210.8°(c 1.0,CHCl);
H−NMR(500MHz,CDCl) δ5.33(ddd,1H,J7,8a=2.5Hz,J7,8b=5.0Hz,J6,7=9.0Hz,H−7),4.65(dd,1H,Jgem=12.0Hz,H−8a),4.24(dd,1H,H−8b),4.14(dd,1H,J5,6=1.0Hz,H−6),4.10−4.04(m,1H,H−4),3.79(s,3H,COCH),3.71(br t,1H,H−5),3.22(d,1H,J5,OH−5=3.22,OH−5),2.60−2.45(m,3H,OH−4,SCH),2.25(dd,1H,Jgem=13.5,H−3eq),2.16−2.08(m,7H,H−3ax,2Ac),1.19(t,3H,Jvic=7.5Hz,SCHCH);
13C−NMR(125MHz,CDCl) δ171.4,170.7,169.1,85.2,70.2,69.8,66.1,65.9,62.6,52.7,34.9,22.5,20.9,20.8,14.0;
次に、Ar雰囲気下にて、化合物S63(50.0mg、132μmol)をCHCl/Pyridine=4/1(2.6mL)に溶かし、−40℃にてAcO(12.5μL、132μmol)、DMAP(1.6mg、13.2μmol)を加え、−40℃にて2時間攪拌した。反応終了をTLC(EtOAc/n−Hexane=2/1)で確認後、−40℃にてMeOHを加えて反応停止させ、反応溶液をトルエン共沸した。得られた残渣をCHClで抽出し、洗浄(2M塩酸、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水)、乾燥(無水硫酸ナトリウム)、溶媒留去を行った。得られた残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/n−Hexane=1/7→EtOAc)で精製し、化合物S64(収量45.6mg、収率82%)を透明粘性液体として得た(下記式(C1−4)参照)。
Figure 2020158489
生成物(化合物S64)の同定結果を以下に示す。
[α]D +208.2°(c 0.8,CHCl);
H−NMR(500MHz,CDCl) δ5.34(ddd,1H,J7,8a=2.5Hz,J7,8b=4.5Hz,J6,7=9.0Hz,H−7),5.25(ddd,1H,J4,5=3.0Hz,J3eq,4=5.0Hz,J3ax,4=12.5Hz,H−4),4.68(dd,1H,Jgem=12.0Hz,H−8a),4.24(dd,1H,J5,6=0.5Hz,J6,7=9.0Hz,H−6),4.20(dd,1H,H−8b),3.90(br s,1H,H−5),3.80(s,3H,COCH),2.64−2.48(m,3H,OH−5,SCH),2.41(near t,1H,H−3ax),2.21(dd,1H,Jgem=13.5Hz,H−3eq),2.19−2.08(3s,9H,3Ac),1.20(t,3H,Jvic=7.5Hz,SCHCH);
13C−NMR(125MHz,CDCl) δ170.8,170.6,170.0,168.8,84.9,70.0,69.3,69.2,64.0,62.2,52.8,31.1,22.5,21.1,20.9,20.8,13.9;
次に、Ar雰囲気下にて、化合物S64(467mg、1.11mmol)と化合物S91(866mg、3.33mmol)をCHCl(37.0mL)に溶かし、0℃にてTEA(464μL、3.33mmol)、DMAP(407mg、3.33mmol)、MNBA(1.15g、3.33mmol)を加え、室温にて30分間攪拌した。反応終了をTLC(EtOAc/n−Hexane=1/1)で確認し、CHClで抽出後、洗浄(2M塩酸、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水)、乾燥(無水硫酸ナトリウム)、溶媒留去を行った。得られた残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/n−Hexane=1/24→1/2)で精製し、化合物S65(収量702mg、収率95%)を透明粘性液体として得た(下記式(C1−5)参照)。
Figure 2020158489
生成物(化合物S65)の同定結果を以下に示す。
[α]D +125.9°(c 1.3,CHCl3);
H−NMR(500MHz,CDCl) δ5.39−5.35(m,2H,H−4,H−5),5.19(near dt,1H,H−7),4.61(dd,1H,J7,8a=2.5Hz,Jgem=12.5Hz,H−8a),4.47(near d,1H,H−6),4.11(dd,1H,J7,8b=3.5Hz,H−8b),3.82(s,3H,COCH),3.59(t,2H,Jvic=6.5Hz,TBSOCH),2.64−2.47(m,2H,SCH),2.33(t,1H,Jvic=7.0Hz,COCHCH),2.29(near t,1H,H−3ax),2.22(dd,1H,J3eq,4=5.0Hz,Jgem=14.5Hz,H−3eq),2.08−1.97(3s,9H,3Ac),1.66−1.58(m,2H,COCHCH),1.52−1.48(m,2H,TBSOCHCH),1.35−1.32(m,4H,2CH),1.21(t,3H,Jvic=7.5Hz,SCHCH),0.89(s,9H,tBu),0.04(s,6H,Si(CH);
13C−NMR(125MHz,CDCl) δ173.1,170.5,169.8,169.6,168.7,84.9,68.5,67.6,67.1,64.1,63.2,63.1,61.9,52.8,33.9,32.7,32.6,31.8,28.9,26.0,25.5,24.9,22.5,20.8,20.7,20.7,18.4,13.9,−5.3;
次に、Ar雰囲気下にて、化合物S65(678mg、1.02mmol)をAcOH/HO=4/1(10.2mL)に溶かし、45℃にて15分間攪拌した。反応終了をTLC(EtOAc/n−Hexane=1/1)で確認し、CHClで抽出後、洗浄(飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水)、乾燥(無水硫酸ナトリウム)、溶媒留去を行った。得られた残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/n−Hexane=1/7→EtOAc)で精製し、化合物S70(収量562mg、収率100%)を透明粘性液体として得た(下記式(C1−6)参照)。
Figure 2020158489
生成物(化合物S70)の同定結果を以下に示す。
[α]D +161.5°(c 1.1,CHCl);
H−NMR(500MHz,CDCl) δ5.39−5.35(m,2H,H−4,H−5),5.18(ddd,1H,J7,8a=2.5Hz,J7,8b=3.5Hz,J6,7=9.5Hz,H−7),4.62(dd,1H,Jgem=12.0Hz,H−8a),4.47(dd,1H,J5,6=1.0Hz,H−6),4.11(dd,1H,H−8b),3.83(s,3H,COCH),3.64(t,2H,Jvic=6.5Hz,HOCH),2.64−2.47(m,2H,SCH),2.35(t,2H,Jvic=7.0Hz,COCHCH),2.29(dd,1H,J3ax,4=12.0Hz,Jgem=13.5Hz,H−3ax),2.22(near dd,1H,H−3eq),2.08−1.97(3s,9H,3Ac),1.66−1.54(m,5H,COCHCH,HOCHCH,OH),1.43−1.33(m,4H,2CH),1.21(t,3H,Jvic=7.5Hz,SCHCH);
13C−NMR(125MHz,CDCl) δ173.0,170.5,169.8,169.7,168.7,84.9,68.4,67.7,67.1,64.1,62.8,61.9,52.9,33.8,32.5,31.8,28.7,25.3,24.8,22.6,20.8,20.7,20.7,13.9;
次に、Ar雰囲気下にて、化合物S70(549mg、998μmol)をPyridine(20.0mL)に溶かし、室温にてLiI(668mg、4.99mmol)を加えた後に、100℃にて80時間攪拌した。反応終了をTLC(MeOH/CHCl=1/5)で確認し、トルエン共沸にて溶媒を除去した後、CHClで抽出し、洗浄(2M塩酸、水、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水)、乾燥(無水硫酸ナトリウム)、溶媒留去を行った。得られた残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl=1/100→1/10)で精製し、化合物S75(収量375mg、収率70%)を透明粘性液体として得た(下記式(C1−7)参照)。
Figure 2020158489
生成物(化合物S75)の同定結果を以下に示す。
[α]D +152.3°(c 1.3,MeOH);
H−NMR(500MHz,CDOD) δ5.35(near t,1H,H−5),5.31(ddd,1H,J4,5=3.0Hz,J3eq=7.0Hz,J3ax,4=10.0Hz,H−4),5.13(ddd,1H,J7,8a=2.5Hz,J7,8b=4.0Hz,J6,7=9.5Hz,H−7),4.60(dd,1H,Jgem=12.5Hz,H−8a),4.49(dd,1H,J5,6=1.0Hz,H−6),4.14(dd,1H,H−8b),3.54(t,2H,Jvic=6.5Hz,HOCH),2.69−2.53(m,2H,SCH),2.42−2.31(m,2H,COCHCH),2.24−2.21(m,2H,H−3ax,H−3eq),2.05−1.95(3s,9H,3Ac),1.63−1.51(m,2H,COCHCH,HOCHCH),1.39−1.36(m,4H,2CH),1.23(t,3H,Jvic=7.5Hz,SCHCH);
13C−NMR(125MHz,CD3OD) δ174.6,172.3,171.7,171.5,171.2,86.1,69.9,69.2,68.8,65.7,63.0,62.9,49.5,49.3,34.8,33.5,33.2,29.9,26.6,25.9,23.7,20.8,20.7,20.6,14.3;
次に、DMAP(266mg、2.18mmol)とMNBA(468mg、1.36mmol)をCHCl(310mL)に溶かした溶液に対し、化合物S75(365mg、681μmol)のCHCl溶液(85.0mL)を2時間かけて滴下した。CHCl(31.0mL)を用いて洗いこみを行い、洗浄液を30分間かけて滴下した後、室温にて15時間攪拌した。反応終了をTLC(Acetone/n−Hexane=1/2)で確認し、溶媒を留去した。残渣をCHClで抽出し、洗浄(2M塩酸、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水)、乾燥(無水硫酸ナトリウム)、溶媒留去を行った。得られた残渣をゲル濾過カラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl=1/1)、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Acetone/n−Hexane=1/32→1/3)で精製し、化合物81(収量317mg,収率90%)を透明粘性液体として得た(下記式(C1−8)参照)。
Figure 2020158489
上記のようにして得られた化合物81の同定結果を以下に示す。
[α]D +155.5°(c 1.1,CHCl);
H−NMR(500MHz,CDCl) δ5.34(d,1H,J4,5=2.0Hz,H−5),5.24(ddd,1H,J3eq,4=5.5Hz,J3ax,4=12.0Hz,H−4),5.04(ddd,1H,J7,8a=2.5Hz,J7,8b=3.5Hz,J6,7=9.5Hz,H−7),4.55(dd,1H,Jgem=12.5Hz,H−8a),4.44−4.39(m,1H,COCHCH),4.36(d,1H,H−6),4.16−4.12(m,2H,COCHCH),4.08(dd,1H,H−8b),2.72−2.63(m,1H,SCH),2.51−2.38(m,4H,H−3ax,SCH,OCOCHCH),2.22−2.15(m,1H,OCOCHCH),2.09−2.04(m,7H,2Ac,H−3eq),2.00(s,3H,Ac),1.80−1.32(m,7H,COCHCH,3CH),1.22(t,3H,Jvic=7.5Hz,SCHCH);
13C−NMR(125MHz,CDCl) δ171.9,170.5,169.9,169.8,169.5,88.7,69.0,68.8,67.8,67.6,65.1,62.0,34.3,33.4,30.7,28.5,26.3,25.2,23.0,20.8,20.7,13.8;
[6−2]二環性ウロソン酸求電子剤と求核剤との反応
そして、以上のようにして合成された1,4−シス体二環性ウロソン酸求電子剤と求核剤とを反応させて、二環性ウロソン酸求電子剤のC2位に求核剤をα結合させ、二環性ウロソン酸誘導体を合成した(α結合形成工程)。
まず、1,4−シス体二環性ウロソン酸求電子剤である化合物81(50.0mg、96.5μmol)と、求核剤としての化合物S99(44.8mg、96.5μmol)をCHCl(1.9mL)に溶かし、MS3Å(190mg)、NIS(32.6mg、145μmol)を加え、−40℃に冷却し、1時間撹拌した。その後、TfOH(1.7μL、19.3μmol)を加え、22時間撹拌した。反応終了をTLC(Acetone/Toluene=1/9,二重展開)で確認し、TEAで中和後、固形物をセライトにて濾別し、CHClにて洗浄した。濾液と洗液を合わせてCHClで希釈し、洗浄(チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水)、乾燥(無水硫酸ナトリウム)、溶媒留去後、得られた残渣をゲル濾過カラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl=1/1)で精製し、化合物86(収量22.2mg、収率25%)を透明粘性液体として得た(下記式(D−1)参照。)。
Figure 2020158489
上記のようにして得られた化合物86の同定結果を以下に示す。
[α]D +56.0°(c 1.2,CHCl);
H−NMR(500MHz,CDCl) δ7.37−7.24(m,15H,3Ph),5.31(near d,1H,H−5a),5.17(ddd,1H,J4,5=2.0Hz,J3eq,4=5.5Hz,J3ax,4=12.0Hz,H−4a),5.00−4.97(m,2H,H−7a,PhCH),4.93(d,1H,Jgem=11.0Hz,PhCH),4.80(d,1H,Jgem=11.0Hz,PhCH),4.79(d,1H,Jgem=12.0Hz,PhCH),4.67(d,1H,PhCH),4.68(d,1H,PhCH),4.61(d,1H,J1,2=3.5Hz,H−1b),4.56(d,1H,PhCH),4.41(dd,1H,J7,8a=2.0Hz,Jgem=12.0Hz,H−8aa),4.22−4.17(m,1H,COCHCH),4.14−4.10(m,1H,COCHCH),4.04−3.97(m,4H,H−6a,H−8ba,H−3b,H−6ab),3.91(near t,1H,H−5b),3.49(dd,1H,J2,3=9.5Hz,H−2b),3.43−3.39(m,4H,H−6bb,OCH),3.29(near t,1H,H−4b),2.50−2.38(m,2H,OCOCHCH),2.27(t,1H,Jgem=12.5Hz,H−3axa),2.06−1.97(m,7H,H−3eqa,2Ac),1.89(s,3H,Ac),1.75−1.55(m,8H,4CH);
13C−NMR(125MHz,CDCl) δ172.1,170.5,170.0,169.7,167.6,138.6,138.1,128.5,128.4,128.4,128.1,128.0,128.0,127.8,127.6,99.1,97.7,82.2,79.8,78.4,75.8,74.9,73.3,69.6,69.1,68.2,68.0,67.0,64.9,63.5,62.2,55.1,34.4,32.5,30.7,29.7,28.6,26.0,25.1,20.9,20.8,20.7;
(実施例11)
本実施例では、化合物S91の代わりに化合物S92を用いるとともに、化合物S92を用いる工程での反応時間を1時間とし、上記式(C1−7)に示す工程に対応する工程での反応時間を36時間とし、上記式(C1−8)に示す工程に対応する工程での反応時間を18時間とした以外は、前記実施例10と同様にして、二環性ウロソン酸求電子剤を製造し、当該二環性ウロソン酸求電子剤を用い、かつ、二環性ウロソン酸求電子剤から二環性ウロソン酸誘導体を得る反応での反応温度を−60℃とし反応時間を25時間に変更した以外は、前記実施例10と同様にして、二環性ウロソン酸誘導体を製造した。本実施例で製造した二環性ウロソン酸求電子剤、二環性ウロソン酸誘導体は、それぞれ、化合物82、化合物87であり、これらは、いずれも、架橋基を含む環構造として15員環の環構造を有する化合物であった。
Figure 2020158489
Figure 2020158489
Figure 2020158489
二環性ウロソン酸求電子剤である化合物82の同定結果を以下に示す。
[α]D +143.3°(c 1.0,CHCl);
H−NMR(500MHz,CDCl) δ5.34(near d,1H,H−5),5.26(ddd,1H,J4,5=2.5Hz,J3eq,4=5.0Hz,J3ax,4=12.5Hz,H−4),5.12(ddd,1H,J7,8a=2.5Hz,J7,8b=3.5Hz,J6,7=9.5Hz,H−7),4.57(dd,1H,Jgem=12.5Hz,H−8a),4.47(ddd,1H,Jvic1=3.0Hz,Jvic2=8.0Hz,Jgem=11.0Hz,COCHCH),4.40(d,1H,H−6),4.16−4.08(m,2H,COCHCH,H−8b),2.72−2.63(m,1H,SCH),2.52−2.31(m,5H,SCH,H−3ax,OCOCHCH),2.11(dd,1H,Jgem=13.5Hz,H−3eq),2.09−1.99(3s,9H,3Ac),1.77−1.36(m,10H,5CH),1.22(t,3H,Jvic=7.5Hz,SCHCH);
13C−NMR(125MHz,CDCl) δ172.3,170.5,169.9,169.7,169.6,87.3,77.6,68.7,67.8,67.6,66.7,64.8,62.0,33.8,33.1,28.7,27.8,27.4,25.8,24.2,22.8,20.8,20.7,13.8;
二環性ウロソン酸誘導体である化合物87の同定結果を以下に示す。
[α]D +52.3°(c 1.9,CHCl);
H−NMR(500MHz,CHCl) δ7.37−7.25(m,15H,3Ph),5.30(near d,1H,H−5a),5.20(ddd,1H,J4,5=2.5Hz,J3eq,4=5.5Hz,J3ax,4=12.5Hz,H−4a),5.06(ddd,1H,J7,8a=2.0Hz,J7,8b=4.5Hz,J6,7=9.0Hz,H−7a),4.98(d,1H,Jgem=11.0Hz,PhCH),4.93(d,1H,Jgem=11.0Hz,PhCH),4.81(d,1H,PhCH),4.79(d,1H,Jgem=12.0Hz,PhCH),4.68(d,1H,PhCH),4.61(d,1H,J1,2=3.5Hz,H−1b),4.56(d,1H,PhCH),4.44(dd,1H,Jgem=12.5Hz,H−8aa),4.27−4.23(m,1H,COCHCH),4.09−4.06(m,2H,H−6a,COCHCH),4.04−3.97(m,3H,H−8ba,H−3b,H−6ab),3.90(near t,1H,H−5b),3.49(dd,1H,J2,3=9.5Hz,H−2b),3.42(s,3H,OCH),3.39(dd,1H,J5,6b=7.5Hz,Jgem=10.0Hz,H−6bb),3.28(near t,1H,H−4b),2.42−2.31(m,2H,OCOCHCH),2.27(t,1H,Jgem=12.5Hz,H−3axa),2.04−1.96(m,7H,H−3eqa,2Ac),1.88(s,3H,Ac),1.74−1.43(m,10H,5CH);
13C−NMR(125MHz,CDCl) δ172.6,170.5,170.0,169.8,167.4,138.6,138.1,128.5,128.4,128.4,128.1,128.0,127.9,127.8,127.6,99.0,97.6,82.2,79.8,78.4,75.8,74.9,73.2,69.6,68.9,68.0,66.8,66.7,64.6,63.4,62.2,55.1,33.7,32.2,29.7,28.2,27.8,26.5,26.3,24.5,20.8,20.8,20.7;
(実施例12)
本実施例では、化合物S91の代わりに化合物S93を用いるとともに、化合物S93を用いる工程での反応時間を2時間とし、上記式(C1−6)に示す工程に対応する工程での反応時間を30分間とし、上記式(C1−7)に示す工程に対応する工程での反応時間を46時間とし、上記式(C1−8)に示す工程に対応する工程での反応時間を25時間とした以外は、前記実施例10と同様にして、二環性ウロソン酸求電子剤を製造し、当該二環性ウロソン酸求電子剤を用い、かつ、二環性ウロソン酸求電子剤から二環性ウロソン酸誘導体を得る反応での反応温度を−70℃とし反応時間を28時間に変更した以外は、前記実施例10と同様にして、二環性ウロソン酸誘導体を製造した。本実施例で製造した二環性ウロソン酸求電子剤、二環性ウロソン酸誘導体は、それぞれ、化合物83、化合物88であり、これらは、いずれも、架橋基を含む環構造として16員環の環構造を有する化合物であった。
Figure 2020158489
Figure 2020158489
Figure 2020158489
二環性ウロソン酸求電子剤である化合物83の同定結果を以下に示す。
[α]D +144.2°(c 1.6,CHCl);
H−NMR(500MHz,CDCl) δ5.37(near d,1H,H−5),5.32(ddd,1H,J4,5=2.5Hz,J3eq,4=5.0Hz,J3ax,4=12.5Hz,H−4),5.15(ddd,1H,J7,8a=2.5Hz,J7,8b=3.5Hz,J6,7=10.0Hz,H−7),4.60(dd,1H,Jgem=12.5Hz,H−8a),4.46−4.24(m,3H,H−6,COCHCH),4.12(dd,1H,H−8b),2.70−2.50(m,2H,SCH),2.49−2.36(m,3H,H−3ax,OCOCHCH),2.21(dd,1H,J3eq,4=5.0Hz,Jgem=14.0Hz,H−3eq),2.09−1.99(3s,9H,3Ac),1.72−1.30(m,12H,6CH),1.21(t,3H,Jvic=7.5Hz,SCHCH);
13C−NMR(125MHz,CDCl) δ172.2,170.5,169.9,169.7,168.9,85.3,77.6,68.3,67.7,67.4,66.3,64.7,62.0,34.6,32.7,29.3,28.8,28.2,28.0,27.9,25.4,24.2,22.6,20.8,20.8,20.7,13.9;
HRMS(ESI)m/z found [M+Na]569.2024,C253811S calcd for [M+Na]569.2027.
二環性ウロソン酸誘導体である化合物88の同定結果を以下に示す。
[α]D +61.1°(c 1.9,CHCl);
H−NMR(500MHz,CDCl3) δ7.40−7.25(m,15H,3Ph),5.34(br s,1H,H−5a),5.27(ddd,1H,J4,5=3.0Hz,J3eq,4=5.0Hz,J3ax,4=12.5Hz,H−4a),5.11(ddd,1H,J7,8a=2.5Hz,J7,8b=4.5Hz,J6,7=9.5Hz,H−7a),4.98(d,1H,Jgem=11.0Hz,PhCH),4.92(d,1H,Jgem=11.0Hz,PhCH),4.80(d,1H,PhCH),4.79(d,1H,Jgem=12.0Hz,PhCH),4.67(d,1H,PhCH),4.61(d,1H,J1,2=3.5Hz,H−1b),4.56(d,1H,PhCH),4.47(dd,1H,Jgem=12.5Hz,H−8aa),4.36−4.32(m,1H,COCHCH),4.15(d,1H,H−6a),4.10−4.05(m,1H,COCHCH),4.03−3.99(m,2H,H−8ba,H−3b),3.92(near d,1H,H−6ab),3.88(near t,1H,H−5b),3.48(dd,1H,J2,3=9.5Hz,H−2b),3.42(s,3H,OCH),3.40(dd,1H,J5,6b=7.5Hz,Jgem=10.0Hz,H−6bb),3.26(t,1H,J3,4=J4,5=9.5Hz,H−4b),2.48−2.43(m,1H,OCOCHCH),2.38−2.32(m,1H,OCOCHCH),2.21(t,1H,Jgem=12.5Hz,H−3axa),2.05(dd,1H,H−3eqa),1.99−1.88(3s,9H,3Ac),1.75−1.61(m,4H,OCOCHCH, COCHCH),1.48−1.26(m,8H,4CH);
13C−NMR(125MHz,CDCl) δ172.5,170.5,169.9,169.8,167.2,138.6,138.1,129.0,128.6,128.5,128.4,128.4,128.1,128.0,128.0,127.8,127.7,98.9,97.6,82.2,79.8,79.2,78.3,77.6,75.8,74.9,73.2,69.6,68.6,68.0,66.6,66.3,64.7,63.5,62.2,55.1,34.5,32.3,28.5,27.8,27.6,27.3,25.8,24.2,20.8,20.8,20.7;
(実施例13)
本実施例では、化合物S91の代わりに化合物S94を用いるとともに、化合物S94を用いる工程での反応時間を1.5時間とし、上記式(C1−6)に示す工程に対応する工程での反応時間を30分間とし、上記式(C1−7)に示す工程に対応する工程での反応時間を46時間とした以外は、前記実施例10と同様にして、二環性ウロソン酸求電子剤を製造し、当該二環性ウロソン酸求電子剤を用い、かつ、二環性ウロソン酸求電子剤から二環性ウロソン酸誘導体を得る反応での反応温度を−80℃とし反応時間を35時間に変更した以外は、前記実施例10と同様にして、二環性ウロソン酸誘導体を製造した。本実施例で製造した二環性ウロソン酸求電子剤、二環性ウロソン酸誘導体は、それぞれ、化合物84、化合物89であり、これらは、いずれも、架橋基を含む環構造として17員環の環構造を有する化合物であった。
Figure 2020158489
Figure 2020158489
Figure 2020158489
二環性ウロソン酸求電子剤である化合物84の同定結果を以下に示す。
[α]D +158.7°(c 1.0,CHCl);
H−NMR(500MHz,CDCl) δ5.37−5.33(m,2H,H−4,H−5),5.18(dt,1H,J7,8a=J7,8b=3.0Hz,J6,7=9.5Hz,H−7),4.63(dd,1H,Jgem=12.5Hz,H−8a),4.47(dd,1H,J5,6=1.0Hz,H−6),4.44−4.19(m,2H,COCHCH),4.13(dd,1H,H−8b),2.68−2.51(m,2H,SCH),2.42−2.29(m,3H,H−3ax,OCOCHCH),2.23(dd,1H,J3eq,4=4.5Hz,Jgem=13.5Hz,H−3eq),2.09−1.99(3s,9H,3Ac),1.77−1.26(m,14H,7CH),1.21(t,3H,Jvic=8.0Hz,SCHCH);
13C−NMR(125MHz,CDCl) δ173.1,170.5,169.9,169.6,168.1,84.6,69.5,68.2,67.7,7.3,66.2,64.4,61.9,53.8,33.9,32.3,31.7,30.9,29.7,29.3,29.0,28.5,28.3,28.0,27.9,26.7,25.3,22.5,20.8,20.8,20.7,13.8;
HRMS(ESI)m/z found [M+Na]583.2184,C264011S calcd for [M+Na]583.2184.
二環性ウロソン酸誘導体である化合物89の同定結果を以下に示す。
[α]D +60.2°(c 1.2,CHCl);
H−NMR(500MHz,CDCl) δ7.37−7.25(m,15H,3Ph),5.35(br s,1H,H−5a),5.30(near ddd,1H,H−4a),5.12(ddd,1H,J7,8a=2.5Hz,J7,8b=4.5Hz,J6,7=9.5Hz,H−7a),4.92(d,1H,Jgem=11.5Hz,PhCH2),4.81(d,1H,PhCH),4.79(d,1H,Jgem=12.0Hz,PhCH),4.67(d,1H,PhCH),4.59(d,1H,J1,2=3.5Hz,H−1b),4.55(d,1H,PhCH),4.51(dd,1H,Jgem=12.5Hz,H−8aa),4.32−4.28(m,1H,COCHCH),4.17(dd,1H,J5,6=1.0Hz,H−6a),4.14−4.09(m,1H,COCHCH),4.05(dd,1H,H−8ba),4.00(t,1H,J2,3=J3,4=9.5Hz,H−3b),3.86−3.83(m,2H,H−5b,H−6ab),3.48−3.42(m,5H,H−2b,H−6bb,OCH),3.26(t,1H,J4,5=9.5Hz,H−4b),2.40−2.38(m,1H,OCOCHCH),2.33−2.31(m,1H,OCOCHCH),2.17−2.11(m,1H,H−3axa,H−3eqa),1.98−1.88(3s,9H,3Ac),1.71−1.59(m,4H,OCOCHCH,COCHCH),1.49−1.25(m,10H,5CH);
13C−NMR(125MHz,CDCl) δ173.2,170.4,169.9,169.7,166.9,138.6,138.1,128.5,128.4,128.4,128.1,128.0,128.0,127.8,127.7,127.7,98.5,97.6,82.2,79.8,78.3,77.6,77.2,75.8,75.0,73.2,69.6,68.4,68.0,66.5,66.2,64.5,63.4,62.1,55.1,34.0,32.2,29.7,28.4,27.9,27.8,27.6,27.0,26.5,25.1,20.8,20.7,20.7;
(実施例14)
本実施例では、化合物S91の代わりに化合物S95を用いるとともに、化合物S95を用いる工程での反応時間を3時間とし、上記式(C1−6)に示す工程に対応する工程での反応時間を1時間とし、上記式(C1−7)に示す工程に対応する工程での反応時間を47時間とし、上記式(C1−8)に示す工程に対応する工程での反応時間を19時間とした以外は、前記実施例10と同様にして、二環性ウロソン酸求電子剤を製造し、当該二環性ウロソン酸求電子剤を用い、かつ、二環性ウロソン酸求電子剤から二環性ウロソン酸誘導体を得る反応での反応温度を−80℃とし反応時間を22時間に変更した以外は、前記実施例10と同様にして、二環性ウロソン酸誘導体を製造した。本実施例で製造した二環性ウロソン酸求電子剤、二環性ウロソン酸誘導体は、それぞれ、化合物85、化合物90であり、これらは、いずれも、架橋基を含む環構造として18員環の環構造を有する化合物であった。
Figure 2020158489
Figure 2020158489
Figure 2020158489
二環性ウロソン酸求電子剤である化合物85の同定結果を以下に示す。
[α]D +175.6°(c 1.1,CHCl);
H−NMR(500MHz,CDCl) δ5.37−5.34(m,2H,H−4,H−5),5.24(ddd,1H,J7,8a=2.5Hz,J7,8b=3.5Hz,J6,7=9.5Hz,H−7),4.62(dd,1H,Jgem=12.5Hz,H−8a),4.57−4.52(m,1H,COCHCH),4.48(near dd,1H,H−6),4.14(dd,1H,H−8b),4.08−4.04(m,1H,COCHCH),2.67−2.44(m,2H,SCH,OCOCHCH),2.30−2.23(m,3H,H−3ax,H−3eq,OCOCHCH),2.08−1.99(3s,9H,3Ac),1.71−1.60(m,4H,COCHCH,OCOCHCH),1.48−1.28(m,12H,6CH),1.21(t,3H,Jvic=7.5Hz,SCHCH);
13C−NMR(125MHz,CDCl) δ172.8,170.4,169.8,169.6,167.8,84.6,77.2,68.2,67.7,67.3,65.3,64.2,61.9,34.1,32.3,28.2,28.1,28.0,27.6,27.1,24.9,24.3,22.5,20.8,20.7,20.7,13.8;
二環性ウロソン酸誘導体である化合物90の同定結果を以下に示す。
[α]D +50.2°(c 1.5,CHCl);
H−NMR(500MHz,CDCl) δ7.37−7.26(m,15H,3Ph),5.33(br s,1H,H−5a),5.29(near ddd,1H,H−4a),5.16(ddd,1H,J7,8a=2.5Hz,J7,8b=4.5Hz,J6,7=9.5Hz),4.99(d,1H,Jgem=11.0Hz,PhCH),4.91(d,1H,Jgem=11.0Hz,PhCH),4.81(d,1H,PhCH),4.79(d,1H,PhCH),4.67(d,1H,PhCH),4.54(d,1H,J1,2=3.5Hz,H−1b),4.51(dd,1H,Jgem=12.5Hz,H−8aa),4.32−4.28(m,1H,COCHCH),4.17(d,1H,H−6a),4.11−4.06(m,2H,H−8ba,COCHCH),4.00(t,2H,J2,3=J3,4=9.5Hz,H−3b),3.85−3.79(m,2H,H−5b,H−6ab),3.47−3.42(m,5H,H−2b,H−6bb,OCH),3.25(t,1H,J4,5=9.5Hz,H−4b),2.45(dd,1H,Jvic=7.5Hz,Jgem=14.5Hz,OCOCHCH),2.24(dd,1H,OCOCHCH),2.16(dd,1H,J3eq,4=5.0Hz,Jgem=12.5Hz,H−3eqa),2.10(t,1H,J3ax,4=12.5Hz,H−3axa),1.98−1.88(3s,9H,3Ac),1.70−1.61(m,4H,OCOCHCH,COCHCH),1.43−1.25(m,12H,6CH);
13C−NMR(125MHz,CDCl) δ173.0,170.4,169.9,169.7,166.6,138.6,138.0,138.0,128.5,128.4,128.4,128.1,128.0,128.0,127.9,127.8,127.7,98.4,97.6,82.2,79.8,78.3,75.8,75.0,73.3,69.6,68.4,68.0,66.6,65.4,64.4,63.4,62.1,55.1,34.1,32.2,29.7,28.1,27.9,27.8,27.5,27.0,27.0,24.7,24.3,20.8,20.7,20.7;
前記実施例10〜14について、二環性ウロソン酸求電子剤から二環性ウロソン酸誘導体を得る反応の化学反応式を下記式(51)にまとめて示し、二環性ウロソン酸求電子剤から二環性ウロソン酸誘導体を得る反応の反応条件および反応結果を表1にまとめて示す。
Figure 2020158489
Figure 2020158489
表1から明らかなように、実施例10〜14では、いずれも、目的とする二環性ウロソン酸誘導体を得ることができた。特に、架橋基を含む環構造として17、18員環の環構造を有している二環性ウロソン酸求電子剤を用いた実施例13、14(中でも実施例13)は、特に優れた収率で目的とする化合物を得ることができた。また、実施例10〜14では、いずれも、高いα選択性で反応を進行させることができ、反応生成物中にはβ体が全く含まれていなかった。また、実施例10〜14では、いずれも、未反応の求核剤である化合物99を約100%の収率で単離・回収することができた。
[7]架橋基の置換(修飾)についての考察
架橋基の修飾、特に、アルキレン基を構成する水素原子の置換が、求核剤による求核反応での、α選択性、二環性ウロソン酸誘導体の収率に与える影響を調べるために、架橋基中にハロゲン原子を有するものと有さないものについて、α選択性、二環性ウロソン酸誘導体の収率を調べた。
すなわち、下記式(X6)に示すように、下記式(X6)中のRが水素原子である二環性ウロソン酸求電子剤、および、下記式(X6)中のRが塩素原子である二環性ウロソン酸求電子剤を用いて、求核剤との間でグリコシド化反応を行った。
Figure 2020158489
当該反応の反応条件は、以下のとおりである。
すなわち、まず、3ÅモレキュラーシーブおよびNISを、化合物3(非置換体:R=H)または化合物14(置換体:R=Cl)と化合物12とをCHClに溶解させた溶液に、周囲温度で加えた。0℃で1時間撹拌した後、TfOH(トリフルオロメタンスルホン酸)を所定温度で混合物に添加し、反応混合物を所定温度で所定時間撹拌した。
その後、反応混合物を飽和NaHCO水溶液でクエンチし、セライト(登録商標)パッドで濾過し、パッドをCHClで洗浄した。濾液と洗浄液とを合わせて、飽和Na水溶液とブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで溶出液としてCHCl/n−ヘキサン/MeOH(150:20:1〜150:15:1)を用いて精製し、グリコシド化合物(二環性ウロソン酸誘導体)を得た。
反応条件および収率を表2にまとめて示す。
Figure 2020158489
表2から明らかなように、二環性ウロソン酸求電子剤が、架橋基にハロゲン原子が導入されたもの、特に、−CCl−の化学構造を備えるものであると、より低温、より短時間の反応で、α選択性を100%に維持しつつ、収率をより高いものとすることができた。
[8]種々の求核剤を用いた場合の反応性についての考察
種々の求核剤を用いた場合のα結合形成工程での反応性を調べた。
すなわち、下記式(X9)に示すように、二環性ウロソン酸求電子剤として化合物14または化合物15を用いるともに、求核剤として化合物17〜化合物27を用いた場合の反応性を調べた。
Figure 2020158489
その結果、上記式(X9)中に示すように、求核剤が比較的単純な化学構造を有するもの、比較的複雑な(嵩高い)化学構造を有するもののいずれであっても、高い収率で、二環性ウロソン酸求電子剤のC2位に求核剤がα結合した二環性ウロソン酸誘導体を得ることができた。
[9]グリカン(糖鎖)を構成するシアル酸のタンデム配列の構築についての考察
下記式(X10)に示すように、化合物14に対し、求核剤として化合物45〜化合物48を用いたグリコシル化反応を行い、グリカン(糖鎖)を構成するシアル酸のタンデム配列の構築について考察した。
Figure 2020158489
その結果、上記式(X10)に示すように、化合物14は、化合物45および化合物46の一級ヒドロキシ基をグリコシル化して、α(2,9)およびα(2,11)結合の二量体である化合物50および化合物51を高収率で合成することができた。
また、C8位の−OHとC5位のアミノ基との間の水素結合解消により、高反応性であると期待される大環状化求核剤である化合物47を用いて反応を行ったところ、α(2,8)シアリルグリコシド(化合物52)が高収率で合成された。同様に、大環状化求核剤である化合物48を用いて反応を行ったところ、4位の−OHで高収率のグリコシル化をもたらし、88%という高い収率で化合物53を得ることができた。
[10]オリゴシアル酸の製造についての考察
下記式(X16)に示すように、α結合形成工程を繰り返し行うことにより、オリゴシアル酸の製造について考察した。
Figure 2020158489
より具体的には、まず、求核剤として化合物49、二環性シアル酸求電子剤として化合物56を用いて、α結合形成工程を行い、α体としての化合物55を得た。その後、アセチル基による水酸基の保護、クロロアセチル基の選択的な脱保護を行い、化合物54を得た。その後、化合物54を求核剤、化合物56を二環性シアル酸求電子剤として用いて、α結合形成工程を行い、さらに、クロロアセチル基の選択的な脱保護を行うことにより、α体としての化合物57を得た。その後、上記の得られた化合物57に対して、上記のような処理を繰り返し行うことにより、化合物58を得、その後、架橋基の脱離、脱保護を行うことより、α(2,8)結合のオリゴシアル酸であるα(2,8)結合−ペンタシアロシドとしての化合物59を高い収率で得ることができた。
[11]ガングリオシドアナログの製造についての考察
下記式(X14)、下記式(X15)に示すように、化合物14を用いて、ガングリオシドアナログの製造について考察した。
Figure 2020158489
Figure 2020158489
すなわち、まず、化合物14における脱離基を、フェニルチオ基(−SPh)からジベンジルホスフェート基(−P(=O)(OBn))に置換して化合物15とした。
具体的には、3ÅモレキュラーシーブおよびNISを、化合物14およびリン酸ジベンジルをCHClに溶解させた溶液に、周囲温度で加え、−20℃で1時間撹拌した後、TfOH(トリフルオロメタンスルホン酸)を−20℃で混合物に添加し、反応混合物を−20℃で4時間撹拌した。
その後、反応混合物を飽和NaHCO水溶液でクエンチし、セライト(Celite(登録商標))パッドで濾過し、パッドをCHClで洗浄した。濾液と洗浄液とを合わせて、飽和Na水溶液とブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。得られた残渣を、溶離液としてn−ヘキサン/アセトン(2.7:1)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物15を得た。
その後、化合物15および化合物26をCHCl(3.0mL)に溶解させた溶液に、3Åモレキュラーシーブを周囲温度で加えた。−60℃で1時間撹拌した後、TMSOTfを−60℃で混合物に添加し、反応混合物を−60℃で10分間撹拌した。
反応混合物を飽和NaHCO水溶液でクエンチし、セライト(登録商標)パッドで濾過し、パッドをCHClで洗浄した。濾液と洗浄液を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。得られた残渣を、溶離液としてn−ヘキサン/アセトン(6.5:1)を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物37を得た。
まず、化合物37を酢酸中、亜鉛で処理することにより、カルバモイル部分で16員環を選択的に開環させて、C5−アミノシアロシド(amino sialoside)を得、その後、このC5−アミノシアロシドを、無水酢酸、塩化アセトキシアセチルおよび(2,3,4−トリ−O−アセチル−α−L−フコシル)オキシ酢酸を用いて反応させることにより、N−アセチル誘導体、N−グリコリル誘導体およびN−フコシルグリコリ(N-fucosylglycoly)誘導体として化合物60〜化合物62をそれぞれ高収率で得ることができた。
その後、脱保護することによりガングリオシドアナログとしての化合物63〜化合物65を、それぞれ高収率で得ることができた。

Claims (17)

  1. 環状構造を有するウロソン酸類のC1位とC5位とが架橋基で架橋されることにより、β面が遮蔽された1,4−シス体の二環性ウロソン酸求電子剤と、求核剤とを反応させることにより、前記二環性ウロソン酸求電子剤のC2位に前記求核剤をα結合させ、二環性ウロソン酸誘導体を合成するα結合形成工程を有することを特徴とする二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
  2. 前記二環性ウロソン酸求電子剤は、前記架橋基の両末端にエステル基が存在するものである請求項1に記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
  3. 前記架橋基は、水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換されたアルキレン基である請求項1または2に記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
  4. 前記架橋基は、−CCl−の化学構造を備えるものである請求項3に記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
  5. 前記求核剤は、分子内に、前記二環性ウロソン酸求電子剤と反応し得る官能基を複数個有する化合物であって、
    前記α結合形成工程において、前記求核剤は、その分子内の複数の箇所で、前記二環性ウロソン酸求電子剤と結合する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
  6. 前記求核剤は、アルコールである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
  7. 前記アルコールは、下記式(1)ないし下記式(6)よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項6に記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
    Figure 2020158489
    Figure 2020158489
    Figure 2020158489
    Figure 2020158489
    Figure 2020158489
    Figure 2020158489
  8. 前記二環性ウロソン酸求電子剤は、前記α結合形成工程での脱離基として、SAr基を有するものである請求項1ないし7のいずれか1項に記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
  9. 前記ウロソン酸類のC1位とC5位とを前記架橋基で架橋する架橋反応での反応温度が0℃以上30℃以下である請求項1ないし8のいずれか1項に記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
  10. 前記ウロソン酸類のC1位とC5位とを前記架橋基で架橋する架橋反応での反応時間が1時間以上24時間以下である請求項1ないし9のいずれか1項に記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
  11. 前記α結合形成工程での反応温度が−80℃以上0℃以下である請求項1ないし10のいずれか1項に記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
  12. 前記α結合形成工程での反応時間が10分間以上100時間以下である請求項1ないし11のいずれか1項に記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
  13. 前記ウロソン酸類がシアル酸またはその誘導体である請求項1ないし12のいずれか1項に記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
  14. 前記二環性ウロソン酸求電子剤は、前記架橋基を含む環構造として16員環の環構造を有している請求項13に記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
  15. 前記ウロソン酸類が3−デオキシ−D−マンノ−オクタ−2−ウロソン酸またはその誘導体である請求項1ないし12のいずれか1項に記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
  16. 前記二環性ウロソン酸求電子剤は、前記架橋基を含む環構造として17員環または18員環の環構造を有している請求項15に記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法。
  17. 請求項1ないし16のいずれか1項に記載の二環性ウロソン酸誘導体の製造方法を含み、
    前記α結合形成工程の後に、前記架橋基を脱離させる架橋基脱離工程をさらに有することを特徴とするウロソン酸誘導体の製造方法。
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