JP2020157409A - ドリルガイド治具 - Google Patents

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Abstract

【課題】航空機の機体外板が平面や曲面、段差があるような個所でも、精密なテーパー穴を写し取ることができ、使い勝手に優れたドリルガイド治具を提供する。【解決手段】対象ボルト穴の位置を写し取るセットピン40を備え、補強板11に対し下穴をあけるためのガイドを行うブッシング43を有し、下穴に対象ボルト穴と連通するテーパー穴を穿設するドリル体45をガイドするドリルガイド治具1であって、機体外板7に配置される本体2と、セットピン40,ブッシング43,ドリル体45を案内するガイド穴20が貫通形成され、ガイド穴20の軸線方向を対象ボルト穴の軸線方向と同方向となる任意方向の傾斜に自在として本体2に設けられる球状体3と、球状体3の傾斜角度を固定する締付部材4と、本体2の配置姿勢を調整し設定する脚状部材5と、本体2にスライド自在とされ、対象ボルト穴近傍の既設ボルト穴に本体2を固定する取付ボルト6と、を具備する。【選択図】 図1

Description

本発明は、航空機の機体外板の修理等に使用するドリルガイド治具に関する。
航空機の機体外板は、その材質により溶接固定ができないことから、外板同士の結合に締結部材としてボルトやリベットが用いられる。これら結合部材は、多数並列して用いられることから、機体外板には固定用の貫通孔が並列し、このことから締結状態での疲労劣化が起こった際に、貫通孔同士を結ぶ線状の亀裂が発生する虞があり、機体外板を大きく損傷させる虞が有る。このような線状の亀裂を機体外板に発生させないように、孔の形状をテーパー孔とし、締結部材をテーパーボルト及びテーパーナットを用いて構成している。この結合構造をテーパーロック・ファスナと称している。このテーパーロック・ファスナによれば、経年劣化や疲労劣化等によって機体外板に生じる亀裂が、ボルトの周辺のみにテーパー孔と同心円状にのみ発生し、機体外板を大きく損傷させることがない。そして、このような亀裂が発生した際に、機体外板のさらに外表面に補強板をあてがい、上記テーパーロック・ファスナ構造を構成させて修理を行っている。
一般に、ドリルによる穴あけ作業には、穿孔位置精度を保つために、下記特許文献のようなガイド治具が用いられている。そして、従来、上記のような機体外板の修理作業においては、これらガイド治具とは構成が異なる図21に示すようなドリル孔ガイド治具100が用いられていた。このガイド治具100は、穿孔対象となる機体外板101と補強板102とに対して、単にドリルのガイドを行うのではなく、穿孔すべき穴の位置を他のボルト位置に対して正確な距離となるように、治具本体を固定ボルトで位置固定し、穿孔すべき穴位置を写し取れるようになっている。
図21において103は治具本体、104はガイド穴、105は溝であり、本体103はガイド穴104及び溝105を有する。また、本体103を機体外板101に固定する固定ボルト106と機体外板101に対して水平を保持する調整ボルト107を具備している。
ガイド穴104にセット・ピン108を写し穴あけする部位の機体外板101に穿設されている対象既存穴109に差し込み、本体103を位置決めする(図21(a))。これにより、対象既存穴109に対する垂直方向を保持する。固定ボルト106を溝105に通して周囲の既存穴110に挿入し、本体103を機体外板101に固定する。ここで周囲の既存穴110とは、機体外板101に既設の穴であり、この作業を行うために既存のファスナーボルト(図示せず)を外しておく。さらに、調整ボルト107を2本使用して機体外板101に対して本体103を水平に保持する。
ガイド穴104からセット・ピン108を抜き去り、このガイド穴104にブッシング111を差し込み固定し、同時に機体外板101に増設される補強板などの構造部材102を機体外板101に対して所定の固定治具等を用いて仮固定して、写し穴あけする構造部材102に小径なドリル113を用いて下穴112をあける(図21(b))。
次に、ブッシング111を取外して適当なりーマー114をマイクロ・ストッパ付きアダプタ・クーラント115に組み付け、ガイド穴104に差し込み、機体外板101の対象既存穴109を貫通して構造部材102にテーパー穴116を穴あけする(図21(c))。
このように、航空機に採用されているテーパーロック・ファスナは、小さめの精密テーパー穴に取付ける精密公差テーパー・ピンであり、ナットを使用して取付位置に固定する時の締まりばめによって継手部の疲労寿命を著しく増強する。機体外板に亀裂がある場合に構造部材102を追加して補強修理する際、対象既存穴109に連通するように、追加する構造部材102に精密なテーパー穴116を写し取るためにドリル・プレートと称す上記した治具100が使用される。
実開昭58−809号公報 実開昭63−60507号公報 特開2007−276017号公報
上記ドリル・プレート100によれば、航空機における機体外板101の亀裂修理時、図21に示すように固定ボルト106でドリル・プレート本体103と機体外板101を固定して、写し穴をする構造部材102に精密なテーパー穴116を写し取ることができ、航空機の疲労寿命の増強及び修理限界を確保している。
しかしながら、上述したドリル・プレート100は平面用に設計されたものであり、機体外板101が曲面または段差101aを有する部分においては図22,23に示すようにシム117と言われる金属片を複数枚使用してドリル・プレート本体101の位置と姿勢決めをする必要がある。曲面または段差に応じたシム117をその都度作製することとなり、本体103の位置と姿勢を決めるまでに非常に多くの時間と手間を要するとともに、本体103と機体外板101に単に挟んだだけであるため安定が悪く、穴あけ作業の振動によりシム117が外れて本体103が動揺してしまう等、作業性が非常に煩雑なものとなる。
また、曲面部分では本体103と機体外板101に間隙が大きく発生し、セット・ピン108の長さが足らずに位置決めに多くの時間を費やすとともに、マイクロ・ストッパ付きアダプタ・クーラント115も平面用に設計されたものであるため、曲面部分ではリーマー114が設定通りに届かず、テーパー穴116の穴あけ作業で微妙な誤差を生じさせる可能性がある。
そこで本発明は、機体外板101の形状、すなわち機体外板101が平面であっても曲面であっても或いは段差があるような個所であっても、精密なテーパー穴を写し取ることができる、使い勝手に優れたドリルガイド治具を提供することを目的としており、特に機体曲面外板の亀裂修理にあっても、精密なテーパー穴を写し取ることができるドリルガイド治具を提供することにある。
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載のドリルガイド治具1は、航空機の機体外板7に対して既設のボルト穴を用い構造部材11を新たに取付固定する際に、該既設のボルト穴を対象ボルト穴50として該対象ボルト穴50の位置を写し取るセットピン40を備えるとともに、該位置にて前記構造部材11に対し小径ドリル52にて下穴53をあけるためのガイドを行うブッシング43を有し、前記下穴53に前記対象ボルト穴50と連通する新たなボルト穴54を穿設するドリル体45をガイドするドリルガイド治具1であって、
前記航空機の機体外板7に配置される本体2と、
前記セットピン40またはブッシング43またはドリル体45を案内するガイド穴20が貫通形成され、該ガイド穴20の軸線方向を前記対象ボルト穴50の軸線方向と同方向となる任意方向の傾斜に自在として前記本体2に設けられるとともに、前記ガイド穴20が前記本体2の表裏で開口する球状体3と、
前記球状体3の傾斜角度を前記本体2に対して固定する締付部材4と、
前記本体2を前記機体外板7に対する配置姿勢を調整し設定する支持部材5と、
前記本体2に形成される真直な溝13に沿ってスライド移動自在とされ、前記対象ボルト穴50の近傍に穿設される前記機体外板7の既設ボルト穴51に貫通し、前記本体2を前記機体外板7に固定する取付ボルト6と、
を具備することを特徴とする。
本発明の請求項2記載のドリルガイド治具は、請求項1記載のドリルガイド治具であって、
前記球状体3は、前記本体2に対して着脱自在であることを特徴とする。
本発明の請求項3記載のドリルガイド治具は、請求項1または2記載のドリルガイド治具であって、
前記支持部材5は、前記本体2の少なくとも四隅となる複数個所に設けられ、前記本体2と前記機体外板7との間隔距離をそれぞれ自在に調整できるように前記本体2に対して進退自在に設けられる脚状部材よりなることを特徴とする。
本発明の請求項4記載のドリルガイド治具は、請求項3記載のドリルガイド治具であって、
前記脚状部材5は、前記本体2に対してそれぞれ揺動自在とされることを特徴とする。
本発明の請求項5記載のドリルガイド治具は、請求項1〜4のいずれか1つに記載のドリルガイド治具であって、
前記取付ボルト6に螺着されるナット部37を有し、前記機体外板7の裏面7bに位置して前記取付ボルト6の軸線に直交する方向に延出する略短冊板状の規制爪38を備え、前記取付ボルト6の回転時に前記機体外板7の裏面7bにおけるいずれかの部材に前記規制爪38が干渉して、前記ナット部37の締結を促すナットプレート31を具備することを特徴とする。
本発明の請求項6記載のドリルガイド治具は、請求項1〜5のいずれか1つに記載のドリルガイド治具であって、
前記取付ボルト6は、前記溝13内をスライド移動自在な受け部材34を貫通して前記本体2に取り付けられ、該受け部材34は前記溝13内において前記スライド方向に対し少なくとも直交する方向で揺動自在とされることを特徴とする。
本発明に係る請求項1記載のドリルガイド治具によれば、機体外板の形状が、平面であっても曲面であっても或いは段差があるような個所であっても、機体外板の対象ボルト穴の位置や角度などを、球状体,支持部材,取付ボルトによって、それぞれが任意方向の傾斜に自在とされていることで、構造部材に対して正確に写し取ることが可能となり、新たにテーパーロックファスナを構成させることが可能となる。
また、このドリルガイド治具によれば、機体外板に対して正確な位置で取り付けられ、その姿勢を保つことが可能であることから、機体外板の表面であっても裏面であっても目視が困難な状態とされても、穿孔すべき位置、角度を正確に設定し写し取ることが可能であることから、配置される構造部材に対して求めるボルト穴の穿孔を行うことが可能であり、機体外板の補修作業に煩雑さを無くし、作業者の熟練度を求めることなく確実な補修を完了することが可能となる。
これにより、精密さが求められるテーパーロックファスナを構成して機体外板の補修を行うことが可能となり、航空機としての亀裂修理が完了し、航空機の疲労寿命の増強、修理限界の確保となる。
本発明に係る請求項2記載のドリルガイド治具によれば、穿孔するボルト穴の各種サイズに対応するガイド穴を備えた球状体を用意することができ、それらを容易に交換し使用することが可能となる。
本発明に係る請求項3記載のドリルガイド治具によれば、各脚状部材がそれぞれに設定できることで、本体の姿勢を自在に設定でき、機体外板の各種形状に対する位置決めを確実に行うことが可能となる。
本発明に係る請求項4記載のドリルガイド治具によれば、各脚状部材の揺動によって、さらに本体の姿勢の設定を微調整可能となる。
本発明に係る請求項5記載のドリルガイド治具によれば、取付ボルトの締結作業を取り付けボルトの頭部側の回転で行うことができ、従来ではナット側の回転規制を工具などを用いていたが、不要となり、作業性を大幅に向上することができる。
本発明に係る請求項6記載のドリルガイド治具によれば、取付ボルトが揺動することにより、既設ボルト穴の穿設状態に影響を受けず、機体外板に対して確実に本体の取り付けを行うことが可能となる。
本発明によるドリルガイド治具の実施形態を示す分解斜視図である。 同ドリルガイド治具の一部省略分解平面図である。 同ドリルガイド治具の一部省略分解正面図である。 同ドリルガイド治具の一部省略分解側面図である。 ドリル体の正面図を(a)に、側面図を(b)に示した図である。 本発明のドリルガイド治具における球状体の揺動角度を表す側面図を(a)に、支持部材による本体の傾斜角度を表す側面図を(b)に示した図である。 本発明のドリルガイド治具における支持部材による本体の傾斜角度を表す正面図である。 本発明のドリルガイド治具を用いた穿孔作業手順におけるセットピン挿着時を示す正面断面図を(a)に、球状体の位置の側断面図を(b)に、取付ボルトの位置の側断面図を(c)に示した図である。 ナットプレートの動作を示した底面図である。 同穿孔作業手順における下穴穿孔時を示す球状体の位置の側断面図を(a)に、正面断面図を(b)に、同手順におけるドリル体での穿孔時を示す球状体の位置の側断面図を(c)に、正面断面図を(d)に示した図である。 本発明のドリルガイド治具を用いた穿孔作業手順における他の手順例を示すセットピン挿着時の正面断面図である。 同穿孔作業手順における下穴穿孔時を示す正面断面図である。 同手順におけるドリル体での穿孔時を示す正面断面図である。 テーパーロックファスナの構成を示す側断面図である。 本発明によるドリルガイド治具の他の実施形態を示す分解斜視図である。 同他の実施形態での穿孔作業手順におけるセットピン挿着時を示す正面断面図を(a)に、球状体の位置の側断面図を(b)に、取付ボルトの位置の側断面図を(c)に示した図である。 同穿孔作業手順における下穴穿孔時を示す球状体の位置の側断面図を(a)に、正面断面図を(b)に、同手順におけるドリル体での穿孔時を示す球状体の位置の側断面図を(c)に、正面断面図を(d)に示した図である。 同穿孔作業手順における他の手順例を示す下穴穿孔時を示す球状体の位置の側断面図である。 同手順におけるドリル体での穿孔時を示す正面断面図である。 さらに他の実施形態を示すセットピン挿着時を示す側断面図である。 従来のドリル・プレートによる作業手順を(a)(b)(c)で示した一部断面側面図である。 従来のドリル・プレートの曲面における実施例を示した分解斜視図である。 従来のドリル・プレートの曲面における断面図である。
図1は本発明によるドリルガイド治具の実施形態を示す分解斜視図、図2は同ドリルガイド治具の分解平面図、図3は同分解正面図、図4は同分解側面図である。
ドリルガイド治具1は、略方形状の本体2と、この本体2に収容される球状体3と、球状体3を本体2に組み付ける締付部材4と、本体2の姿勢を支持する支持部材5と、本体2を機体外板7に固定する取付ボルト6と、で大略構成される。
このドリルガイド治具1を使用する対象は、例えば航空機(図示せず)とされ、この航空機の機体外板7に、既に螺着固定されているテーパーボルト8とテーパーナット9で構成されるテーパーロック・ファスナ10(図14参照)の位置に構造部材11を取り付けるために用いる。なお、構造部材11としては、本実施形態では機体外板7と同素材の補強板として説明する。
また、図1に示すように、本実施形態の説明において、ドリルガイド治具1の本体2の長手方向をY軸、本体2の幅方向をX軸、上下方向をZ軸として説明する。
本体2は、厚みのある長方形板状の略方形ブロック状で、長手方向の一方の半部に収容穴12が厚み方向となる上下方向に貫通して形成され、長手方向の他方の半部に長手方向に沿う溝13が形成されている。
収容穴12には、上面側内周面に雌ねじ部14が形成されている。また下面側内周面には下方向に向けて窄まるテーパー面15が形成されている。なお、この収容穴12の雌ねじ部14とテーパー面15は、本体2自体に形成するよう製作されても良く、この雌ねじ部14とテーパー面15を有する筒状部材として本体2と別体に製作し、一体化して構成することとしても良い。
溝13は、本体2の長手方向に沿って真直に形成されるとともに、本体2の厚み方向である上下方向に貫通して形成される。この溝13は、図4に示すように、正面視で円形とされ、すなわち正面側から凹設される穴と直交して貫通形成されており、本体2の上下面においてはスリット状であり、溝13内部においては筒状に拡幅形成される形状とされる。
また、本体2には、後述する支持部材5を取り付けるための貫通穴16が、四隅のそれぞれと、長手方向中間部に一対の計6個、本実施形態では穿設されている。これら貫通穴16は、それぞれ本体2の上下方向に貫通して設けられており、図2に示すように、本体2の長手方向に直交する方向に長い長穴とされる。各貫通穴16は、本体2の端面から穿孔形成される挿入穴17と直交して連通される。本実施形態では、挿入穴17は本体2の長手方向と同方向であり溝13と平行とされ、中間部の一対の貫通穴16と一方の隅部の各貫通穴16とは同じ挿入穴17と連通形成される。これら挿入穴17には支持部材5を支持するナット軸18が挿着される。さらに、挿入穴17と貫通穴16とが連通する個所における本体2の側面には、螺着穴19が穿設され、これら挿入穴17と貫通穴16とに連通している。
球状体3は、略球形の部材であり、少なくとも上半部と下半部の表面が球面に形成される。球状体3は、上下で平行とされ開口し、中心を通り上下に貫通するガイド穴20が穿設されている。球状体3は、本体2の収容穴12内に収容され、ガイド穴20の上下の開口部分が本体2の収容穴12の上下に表出するようになり、収容穴12内のテーパー面15上で所望の方向に傾動自在、すなわちガイド穴20の軸線方向をX−Y軸方向となる2次元方向にフレキシブルに変更可能となっている。ガイド穴20は、後述するセットピン40、ブッシング43、ドリル体45の各外径に合わせた内径に形成されている。なお、この球状体3は、ガイド穴20の内径寸法が異なる複数種で複数用意されることとしてもよく、セットピン40やブッシング43、ドリル本体45の組合せでの外径の違いで交換可能としても良く、後述する締結部材4を取り外すことで本体2の収容部12に対して着脱自在とされる。
締付部材4は、短尺な筒状の部材とされ、上半部の外周面にはローレットが形成され、作業者が保持しやすくなっており、また、下半部には雄ねじ部21が形成されている。雄ねじ部21は、本体2の収容穴12内に形成されている雌ねじ部14に螺着可能とされる。締付部材4の内周面には、下向きに大径となるテーパー面22が形成され、本体2のテーパー面14と対向する。締付部材4は本体2の収容穴12に球状体3を収容した状態で雌ねじ部14に螺着され、螺着状態を緩めた状態では、球状体3を上下に位置するテーパー面15,22間で回動自在、傾動自在に保持する。締結部材4の螺着状態を締めた際には、上下テーパー面15,22で挟持し、球状体3の動きを固定し、組み付け状態とする。この組み付け状態においては、締結部材4の開口部分24の内側に球状体3のガイド穴20が位置することになる。
なお、この締結部材4は、ローレットによって作業者の手指にて容易に回転させることが可能であるが、図2に示すように、締結部材4の上面には等間隔に係止穴23が凹設され、ここに専用レンチなどの工具(図示せず)を用いて締結作業を行うことで、確実に締結部材4を本体2に螺着固定でき、球状体3をぐらつかせることなく、その向き、角度を保持できるようになっている。
支持部材5は、所定長さのボルト状の部材よりなり、頭部には六角頭部或いは六角穴付頭部などを有し、本実施形態では、本体2を上下で貫通する脚状部材とされる。本実施形態では、この脚状部材5は4本で構成され、本体2の貫通穴16に内設されるナット軸18に中途が螺着された状態で貫通する。脚状部材5の先端26は、本体2の下面から突出して機体外板7に当接し、各脚状部材5が本体2を機体外板7から浮かせるようになる。各脚状部材5はナット軸18に対する螺着状態で本体2からの突出長さを設定でき、本体2の上面に当接するナット部材27とで二重ナットを構成し、その突出長さを固定することができる。
ナット軸18には、上記した螺着穴19に螺着固定される固定ビス28が当接し、この固定ビス28の締めつけによってナット軸18の回転が規制される。すなわち、ナット軸18を螺着状態で貫通する脚状部材5は、ナット軸18が本体2の挿入穴17内で回転が可能となり、その回転範囲は貫通穴16の長さで規制される。これにより脚状部材5は、貫通穴16の範囲でナット軸18を中心に揺動自在とされ、かつナット軸18に対する螺着長さで本体2下面からの突出長さを設定でき、固定ビス28の締結によって、脚状部材5の揺動角度は固定されるようになっている。この4本の脚状部材5によって、本体2の姿勢を自由に設定、及び微調整できることになる。
取付ボルト6は、本実施形態では2本1組で構成され、上述したテーパーボルト8の小径側外径よりも細径に形成されるやや長尺なボルト部材をボルト本体29とし、ねじ部の先端側に挿嵌されるフランジ付筒体30と、ねじ部36に螺着されるナットプレート31を具備する。ボルト本体29の頭部32は六角頭部に形成され、ボルト本体29中途部は軸状部33、先端にはねじ部36が形成される。軸状部33には、受け部材34が貫通挿着され、この受け部材34は、本体2の溝13内に配設されている。
受け部材34は、円柱状の部材よりなり、本体2の溝13内の穴状部分に挿着されて、溝13内で、その長手方向にスライド移動自在となっているとともに、溝13内において回転可能となっている。この受け部材34には、その軸線方向に直交する方向で貫通穴35が形成されており、この貫通穴35に取付ボルト6が貫通している。この貫通した取付ボルト6は受け部材34に取り付けられた状態で、本体2の溝13における上下に延出することになり、そして、溝13内にてその長手方向に沿ってスライド移動自在とされるとともに、受け部材34が溝13内で回転することにより本体2の長手方向に直交する方向(X軸方向)で取付ボルト6を揺動自在としている。
フランジ付筒体30は、機体外板7に穿設されている後述するボルト穴(既設ボルト穴51)に容易に挿着可能な外径、或いはこのボルト穴の内径形状に近似した外径に形成される筒部と、この筒部の一端に形成されるフランジ部よりなる。このフランジ付筒体30は、後述するが、既存のボルト穴に対する損傷防止となる。
ナットプレート31は、ナット部37と規制爪38とで構成されている。ナット部37は、取付ボルト6のねじ部36に螺着される。規制爪38は、略短冊板状に形成されており、ナット部37が固定されているとともに、ナット部37の軸線に直交する方向に延出している。本実施形態では、規制爪38の剛性を保つようにリブ部分を有して構成される。
なお、本実施形態のドリルガイド治具1にて使用されるセットピン40は、従来と同様の構成で、円柱状の挿着部41と下端部に突設されるピン部42とを具備し、好ましくは挿着部41の上端側表面にはローレットを形成し、容易に且つ確りと把持できるように構成し、また、ピン部42の直径や長さ、挿着部41の外径について複数種あることから、挿着部41上端に形成されるローレットの形成個所等を工夫し、それぞれに用意することとしてもよい。例えば、テーパーロックファスナ10の構成組合せにおいて長さや外径でグループ分けが有ることから、そのグループに対応してローレットの形成数を変え、セットピン40の目視及び触覚でピン部42の形状区別を可能とすることができ、これにより選択の誤りを防ぐことができる。また、ブッシング43についても、挿着支持部44の外径をセットピン40と同様に複数種備えられるものである。これら挿着部41と挿着支持部44の外径は、球状体3のガイド穴20内径に合致するもので、このガイド穴20に容易に挿入可能に形成されている。さらに、ドリル体45は、リーマー46とマイクロストッパ47とで構成される点では従来と同様であるが、本実施形態においてはマイクロストッパ47を替えている。リーマー46は機体外板7に穿設されるテーパー穴(対象ボルト穴50)に対応する穴(ボルト穴としてのテーパー穴)54を穿設する穿孔工具部分である。マイクロストッパ47は、上記ガイド穴20に挿入され支持される外径の筒部と、この筒部先端から突出するリーマー46の突出長さを設定する設定部を備えている。本実施形態においては、筒部先端の形状を単なる円形開口とせず、図5(b)に示すように鋭角に切削形成し、図5(a)に示すように傾斜した円弧状の開口が先端で合わさるように形成され、先端当接部49を2点とするように構成している。
このように構成されたドリルガイド治具1によれば、図6(a)に示すように、球状体3のガイド穴20に挿着されるセットピン40は、本体2に対して所定角度α内で自由に揺動でき、先端のピン部42の向きをX−Y軸方向の所望の方向にセット可能となる。
また、図6(b)に示すように、脚状部材5の本体2に対する突出長さを変えることで、本体2自体を傾斜でき図示のように最大で所定角度β傾斜させることができ、これによりセットピン40の傾斜角度をX軸方向にさらに増加、すなわちα+βの角度に傾斜させることが可能となる。
さらに、図7に示すように、上記脚状部材5の本体2に対する突出長さにの変更については、それぞれに設定できることから、Y軸方向で所定角度γにも傾斜角度を増加でき、すなわちY軸方向ではα+γの角度に傾斜させることが可能となる。
これら球状体3と脚状部材5との組合せによって、セットピン40の向きを自在なものとすることができ、すなわち、機体外板7に穿設されている対象ボルト穴50の軸線方向に対応してセットピン40の向きを設定可能となる。
次に、上記構成のドリルガイド治具1による作業手順である航空機の機体外板7に対する補修作業について説明する。
まず、機体外板7が平面である場合、且つ機体外板7の裏面7bに補強板11を組み付ける例について説明する。
対象となる航空機の機体外板7におけるテーパーロックファスナ10、すなわち劣化等によって周辺に亀裂等が発生している位置を特定、確認し、このテーパーロックファスナ10を取り除き、対象ボルト穴50を表出させる。
次に、対象ボルト穴50を含む並列しているテーパーロックファスナ列における近傍に位置するテーパーロックファスナ10を2本取り除き、既設ボルト穴51として表出させる。この既設ボルト穴51は、隣接して配置されるボルト穴でもよいが、好ましくは図9に示すように1つ間においた位置のボルト穴とする。
次に、治具本体2を機体外板7の表面7aに配置し、取付ボルト6を溝13内でスライド移動させて位置を合わせ、既設ボルト穴51に挿通する。このとき、既設ボルト穴51には、予めフランジ付筒体30を既設ボルト穴51に挿着しておく。また、各脚状部材5はまだ正確な突出長さとせず、また取付ボルト6についてもナットプレート31を仮螺着状態とする。なお、この脚状部材5は、本体2における四隅の位置、すなわち本体2の長手方向(Y軸方向)両端部分に配置する。
次に、図8に示すように、セットピン40を球状体3のガイド穴20に差し込む。このとき、球状体3は、締結部材4で締めつけられてない状態とし、球状体3はX−Y軸方向に自由に回転自在とされる。そして、セットピン40を揺動させ、ピン部42が対象ボルト穴50にスムーズに且つ奥まで進入する位置、角度を探す。
セットピン40の位置及び角度が決定した後、締結部材4を専用レンチを用いて締め、球状体3の角度を固定する。また、2本の取付ボルト6についても締結する。このとき、取付ボルト6先端の機体外板7の裏面7bに位置するナットプレート31が図9に示すように螺着操作に伴う回転に連動して、規制爪38を回転させるが、この規制爪38の先端が隣に位置するボルトまたはナット、或いは他の構造部材などに干渉して引っ掛かり、回転が規制されることとなる。そして、取付ボルト6の回転締め付け操作を助け、取付ボルト6の締結を促すことになる。
また、この取付ボルト6の締結作業に続けて脚状部材5の本体2からの突出、すなわち螺着操作と、脚状部材5の突出方向、すなわちX軸方向の揺動操作にて、本体2の姿勢を微調整して決定させる。なお、この脚状部材5の突出の操作により、取付ボルト6の螺着状態から、本体2を浮上方向(Z軸方向)、すなわち機体外板7から本体2を離間させる方向に移動させ、このことから取付ボルト6を介する機体外板7と本体2との突っ張り状態を発生させ、取付ボルト6に対する本体2のぐらつきを防ぐ。
各脚状部材5の突出状態及びX軸方向の傾斜等が決定したら、対応する固定ビス28をそれぞれ螺着させ、ナット軸18を固定する。また、ナット部材27にて脚状部材5の螺着状態を固定する。そして、本体2と球状体3との固定状態を再確認する。これにより球状体3の軸線方向が対象ボルト穴50の軸線方向と合致することとなる。各部の固定が決定した後、セットピン40を球状体3から取り外す。
次に、図10(a),(b)に示すように、機体外板7の裏面7bに補強板11をあてがう。補強板11は、他の既設ボルト穴を用いたり、その他の工具等を用いることで、容易に位置ズレや脱落などを起こさないように機体外板7に対して仮固定状態とする。そして、球状体3のガイド穴20にブッシング43を差し込む。
次に、ブッシング43を保持し、ブッシング43のガイド穴43aより下穴用ドリル52を挿入し、補強板11に下穴53を穿設する。下穴53は、セットピン40による軸線方向が設定されており、対象ボルト穴50の軸線方向と同方向の小径な穴となる。
下穴53の穿設を終えたら、ブッシング43を取り外す。
次に、図10(c),(d)に示すように、ドリル体45を球状体3のガイド穴20に挿入する。
そして、切削油を使用して、マイクロストッパ47による停止位置までドリリング作業を行い、補強板11に対するドリル穴であるテーパー穴54の穿孔を行う。
なお、ドリル体45による作業については、好ましくは、上記補強板11への穿孔作業前に、予め補強材11と同素材の試験片にて穿孔のテストを行い、リーマー46による穴形成、マイクロストッパ47による穿孔深さ等が正常に行われるか確認を行うと良い。
穿孔作業完了後、ドリル体45を取り外し、脚状部材5、取付ボルト6の各螺着状態を緩め、ドリルガイド治具1を機体外板7から撤収する。
これにより、対象ボルト穴50に連通するテーパー穴54が補強板11に写し取られて穿設され、ここに新たにテーパーボルト8A、テーパーナット9Aが締結固定される(図14参照)。なお、補強板11による厚みが増えたことで、テーパーボルト8Aの長さは変更となり、また、ボルト先端の外径も変更となりナット内径も変更となって新たなテーパーナット9Aにて締結となる。
上述した作業手順では、補強板11の取付位置を、機体外板7の裏面7bとした例を説明したが、次に、補強板11の取付位置を機体外板7の表面7aとする例についての作業手順を説明する。なお、機体外板7の裏面7bとは、航空機としての内部側の面であり表面7aは航空機としての外表面となる。
補強板11を機体外板7の表面7aに配置させる際には、図11に示すように、脚状部材5の位置を、前述の手順とは替え、本体2における四隅でなはく、本体2の長手方向(Y軸方向)の一端側である球状体3が配置される側の端部に位置する脚状部材5を取り外し、本体2の中央部分に位置する貫通穴16内のナット軸18に螺着させる。すなわち、図11に示すように、溝13の両端の位置に脚状部材5がそれぞれ配置され、そこから片持ち状に球状体3側が延出するようになる。
このように各脚状部材5を配置して、上記した手順と同様に、各取付ボルト6による機体外板7への取り付け、各脚状部材5の螺着、球状体3の締結固定が、セットピン40を用いることで行われ、球状体3の軸線方向が対象ボルト穴50の軸線方向と合致することとなる。各部の固定が決定した後、セットピン40を球状体3から取り外す。
次に、図12に示すように、機体外板7の表面7aに補強板11をあてがう。この作業手順においては、脚状部材5が本体2の片側に寄せられていることから、球状体3の直下に、側方から補強板11を進入させることができ、治具本体2と機体外板7との間に間隙が得られることになり配置可能となる。補強板11については、前述の作業手順と同様に、機体外板7に対して、他の既設ボルト穴を用いたり、その他の工具等を用いることで、容易に位置ズレや脱落などを起こさないように仮固定状態とする。そして、球状体3のガイド穴20にブッシング43を差し込む。
次に、ブッシング43を保持し、ブッシング43のガイド穴43aより下穴用ドリル52を挿入し、補強板11に下穴53を穿設する。下穴53は、セットピン40による軸線方向が設定されていることから、基準の穴である対象ボルト穴50が目視不可能であるが対象ボルト穴50の軸線方向と同方向の小径な穴を穿設可能となる(図12参照)。
下穴53の穿設を終えたら、ブッシング43を取り外す。
次に、図13に示すように、ドリル体45を球状体3のガイド穴20に挿入する。
そして、切削油を使用して、マイクロストッパ47による停止位置までドリリング作業を行い、補強板11に対するテーパー穴54の穿孔を行う。
穿孔作業完了後、ドリル体45を取り外し、脚状部材5、取付ボルト6の各螺着状態を緩め、ドリルガイド治具1を機体外板7から撤収する。
これにより、対象ボルト穴50に連通するテーパー穴54が補強板11に写し取られて穿設され、ここに新たにテーパーボルト8B、テーパーナット9Bが締結固定される(図14参照)。なお、補強板11による厚みが増えたことで、テーパーボルト8Bの長さは変更となり、また、ボルト先端の外径が変更となる場合にはナット内径も変更となり新たなテーパーナット9Aにて締結となる。
次に、図15に示すように、機体外板7が湾曲面である場合の例について説明する。
機体外板7は、上述のような平面部分以外に曲面部分も有しており、この曲面においての補修もある。以下、曲面である機体外板7に対する補修作業手順について説明する。
図15に示すように、ドリルガイド治具1は、上述したように、球状体3はX−Y軸方向に傾斜自在とされる。また、各取付ボルト6は溝13に沿ってY軸方向にスライド移動自在であり、且つX軸方向に揺動自在であり、各脚状部材5は本体2に対して機体外板7の方向に進退自在であり、且つX軸方向に揺動自在である。
図16に示すように、上記平面の場合と同様に、まずセットピン40の向きを決める。なお、曲面の場合、セットピン40のピン部42の長さが上記平面の場合よりもやや長く形成されているものを使用する。
セットピン40の向きを決める際、図16(b),(c)に示すように、各脚状部材5については、略ハ字状に先端側を広げ、本体2がぐらつかないように位置決めする。すなわち各脚状部材5を、ナット軸18の挿入穴17内における回転で傾斜させる。そして、各脚状部材5の角度や位置が決まったならば、固定ビス28を螺着して、固定する。また、機体外板7の既設ボルト穴51についても、その穿孔方向、すなわち軸線方向がそれぞれであることから、取付ボルト6の向きを受け部材34の回転で軸線方向を傾斜させる。
次に、図17(a),(b)に示すように、機体外板7の裏面7bに補強板11を配置する。この補強板11は、機体外板7の裏面7bにおける曲率に合わせて既に湾曲成形されてた曲面板よりなる。
そして、ブッシング43を装着し、下穴用ドリル52にて補強板11に下穴53を穿孔形成する。
次に、図17(c),(d)に示すように、ドリル体45を用いて、補強板11にテーパー穴54を穿孔する。
同様に、機体外板7が曲面である場合に、補強板11を機体外板7の表面7a側に設ける場合においても、平面での作業手順と同様、各脚上部材5の位置を設定し、図18,19に示すように下穴53の穿孔、テーパー穴54の穿孔が行われる。
このように、機体外板7が曲面であっても、本発明のドリルガイド治具1によれば、本体2を各脚状部材5、各取付ボルト6、そして球状体3のそれぞれがX−Y軸方向で自在に傾斜設定でき、対象ボルト穴50の軸線方向と同方向にテーパー穴54を補強板11に穿孔することが可能となる。
特に、機体外板7が曲面である場合に、本体2と機体外板7の表面との間隔距離が、平面である場合と異なってやや遠距離になるが、本発明のドリルガイド治具1によれば安定して機体外板7に設置でき、且つその姿勢を保持しており、対象ボルト穴50に対する位置や向き,角度を確実に写し取ることができ、また球状体3を貫通するドリル体45のマイクロストッパ47の先端形状を円形ではなく2点の先端当接部49を具備した構成としたことで、これら先端当接部49を曲面における本体2から最も離れる凹み部分に位置させることができ、リーマー46による穿孔が設定通りに行われることとなり、この穿孔によるテーパー穴54の形成不良等を発生させない。
なお、上記した機体外板7が曲面であり、且つ段差55を有する場合には、図20に示すように、脚状部材5の本体2に対する突出長さを調整することで、本体2の姿勢を設定でき、すなわち、対象ボルト穴50の穿設状態に対して確実に本体2の姿勢を各脚状部材5の突出長さ、傾斜角度で安定させ球状体3の向きを対応させることが可能となり、上述と同様に下穴52の穿設、補強板11に対するテーパー穴54の穿設を行うことができる。
このように、本発明のドリルガイド治具1によれば、機体外板7の補修の際の補強板11に対するテーパーロックファスナ10を構成させる場合に、この補強板11にテーパー穴54を穿設する際、機体外板7の対象ボルト穴50の位置や角度などを、球状体3,脚状部材(支持部材)5,取付ボルト6のそれぞれがX−Y軸の任意方向の傾斜に自在とされていることで、補強板11に対して正確に写し取ることが可能となり、新たにテーパーロックファスナを構成させることが可能となる。
また、このドリルガイド治具1によれば、機体外板7の表面7aであっても裏面7bであっても補強板11を配置できテーパー穴54の穿設を行うことが可能であり、さらには機体外板7が平面や曲面、或いは段差がある状態であってもテーパー穴を正確に補強板へ写し取ることが可能であり、機体外板7の補修作業に煩雑さを無くし、作業者の熟練度を求めることなく確実な補修を完了することが可能となる。
これにより、精密さが求められるテーパーロックファスナを構成して機体外板7の補修が行われることになり、航空機としての亀裂修理が完了し、航空機の疲労寿命の増強、修理限界の確保となる。
なお、本発明のドリルガイド治具1によれば、その正確性から、上述したテーパー穴54を用いるファスナ構造に限らず、他のあらゆるファスナー類、例えばテーパー穴を使用しないリベットや通常のボルト・ナットにも対応することが可能である。すなわち、上記したテーパーロック・ファスナ構造に限定されるものではなく、本発明のドリルガイド治具1は他のファスナ構造にも使用可能な汎用性があるものであって、構成させるファスナ構造に対応するセットピン及びドリル体を用意することで上記同様の効果を得ることができる。
また、上述した各実施形態において、構造部材を補強板11として説明したが、板以外にアングル材などの構造体や、その他の形状の部材等に対しても本発明のドリルガイド治具1を用いることが可能であり、上記補強板11に限定するものではない。
また、支持部材を脚状部材5として、本体2を上下で貫通するボルトで構成し、ナット軸18にてX軸方向に揺動自在な構成とした例を示したが、ナット軸18ではなく、球状体3のような構成として、すなわち自在継手のような構成としてボルトよりなる脚状部材5をX−Y軸方向に自在に傾けられるよう構成してもよく、また、ボルトに限定することなく、その他の機械要素、例えばテコやカム、リンク機構など、本体2を支え、機体外板7に対して本体2の姿勢を保つものであれば上記ボルトの構成に限定されるものではない。
1…ドリルガイド治具
2…本体
3…球状体
4…締結部材
5…支持部材(脚状部材)
6…取付ボルト
7…機体外板
7a…表面
7b…裏面
11…構造部際(補強板)
13…溝
20…ガイド穴
31…ナットプレート
34…受け部材
37…ナット部
38…規制爪
40…セットピン
43…ブッシング
45…ドリル体
50…対象ボルト穴
51…既設ボルト穴
52…小径ドリル(下穴用ドリル)
53…下穴
54…ボルト穴(テーパー穴)
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載のドリルガイド治具1は、航空機の機体外板7に対して既設のボルト穴を用い構造部材11を新たに取付固定する際に、該既設のボルト穴を対象ボルト穴50として該対象ボルト穴50の位置を写し取るセットピン40を備えるとともに、該位置にて前記構造部材11に対し小径ドリル52にて下穴53をあけるためのガイドを行うブッシング43を有し、前記下穴53に前記対象ボルト穴50と連通する新たなボルト穴54を穿設するドリル体45をガイドするドリルガイド治具1であって、
前記航空機の機体外板7に配置される本体2と、
前記セットピン40またはブッシング43またはドリル体45を案内するガイド穴20が貫通形成され、該ガイド穴20の軸線方向を前記対象ボルト穴50の軸線方向と同方向となる任意方向の傾斜に自在として前記本体2に設けられるとともに、前記ガイド穴20が前記本体2の表裏で開口する球状体3と、
前記球状体3の傾斜角度を前記本体2に対して固定する締付部材4と、
前記本体2前記機体外板7に対する配置姿勢を調整し設定する支持部材5と、
前記本体2に形成される真直な溝13に沿ってスライド移動自在とされ、前記対象ボルト穴50の近傍に穿設される前記機体外板7の既設ボルト穴51に貫通し、前記本体2を前記機体外板7に固定する取付ボルト6と、
を具備することを特徴とする。

Claims (6)

  1. 航空機の機体外板に対して既設のボルト穴を用い構造部材を新たに取付固定する際に、該既設のボルト穴を対象ボルト穴として該対象ボルト穴の位置を写し取るセットピンを備えるとともに、該位置にて前記構造部材に対し小径ドリルにて下穴をあけるためのガイドを行うブッシングを有し、前記下穴に前記対象ボルト穴と連通する新たなボルト穴を穿設するドリル体をガイドするドリルガイド治具であって、
    前記航空機の機体外板に配置される本体と、
    前記セットピンまたはブッシングまたはドリル体を案内するガイド穴が貫通形成され、該ガイド穴の軸線方向を前記対象ボルト穴の軸線方向と同方向となる任意方向の傾斜に自在として前記本体に設けられるとともに、前記ガイド穴が前記本体の表裏で開口する球状体と、
    前記球状体の傾斜角度を前記本体に対して固定する締付部材と、
    前記本体を前記機体外板に対する配置姿勢を調整し設定する支持部材と、
    前記本体に形成される真直な溝に沿ってスライド移動自在とされ、前記対象ボルト穴の近傍に穿設される前記機体外板の既設ボルト穴に貫通し、前記本体を前記機体外板に固定する取付ボルトと、
    を具備することを特徴とするドリルガイド治具。
  2. 前記球状体は、前記本体に対して着脱自在であることを特徴とする請求項1記載のドリルガイド治具。
  3. 前記支持部材は、前記本体の少なくとも四隅となる複数個所に設けられ、前記本体と前記機体外板との間隔距離をそれぞれ自在に調整できるように前記本体に対して進退自在に設けられる脚状部材よりなることを特徴とする請求項1または2記載のドリルガイド治具。
  4. 前記脚状部材は、前記本体に対してそれぞれ揺動自在とされることを特徴とする請求項3記載のドリルガイド治具。
  5. 前記取付ボルトに螺着されるナット部を有し、前記機体外板の裏面に位置して前記取付ボルトの軸線に直交する方向に延出する略短冊板状の規制爪を備え、前記取付ボルトの回転時に前記機体外板の裏面におけるいずれかの部材に前記規制爪が干渉して、前記ナット部の締結を促すナットプレートを具備することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のドリルガイド治具。
  6. 前記取付ボルトは、前記溝内をスライド移動自在な受け部材を貫通して前記本体に取り付けられ、該受け部材は前記溝内において前記スライド方向に対し少なくとも直交する方向で揺動自在とされることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のドリルガイド治具。
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