JP2020155316A - 局所真空装置、荷電粒子装置、及び、真空領域の形成方法 - Google Patents

局所真空装置、荷電粒子装置、及び、真空領域の形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】真空領域を適切に維持する。【解決手段】局所真空装置は、排気装置と接続可能な管路を有し、物体の面に接する空間の気体を管路を介して排出して、真空領域を形成する真空形成部材と、物体の周囲の少なくとも一部に位置する外部面と、物体の表面と外部面との間の間隙を排気する排気装置とを備え、真空領域の周囲の真空領域よりも気圧が高い空間の少なくとも一部の気体は、真空形成部材の管路を介して排出される。【選択図】図13

Description

本発明は、例えば、局所的な真空領域を形成する局所真空装置、局所的な真空領域を介して荷電粒子を照射する荷電粒子装置、及び、局所的な真空領域の形成方法の技術分野に関する。
荷電粒子を照射する装置は、荷電粒子が気体分子との衝突によって散乱してしまうことを防止するために、真空領域を介して荷電粒子を照射する。例えば、特許文献1には、荷電粒子の一例である電子ビームが照射される被検物の検査対象部分の周囲を外気から遮断して局所的な真空領域を形成する走査型電子顕微鏡が記載されている。このような装置(更には、真空領域を形成する任意の装置)では、形成した真空領域を適切に維持することが課題となる。
米国特許出願公開第2004/0144928号明細書
第1の態様によれば、排気装置と接続可能な管路を有し、物体の面に接する空間の気体を前記管路を介して排出して、真空領域を形成する真空形成部材と、前記物体の周囲の少なくとも一部に位置する外部面と、前記物体の表面と前記外部面との間の間隙を排気する排気装置とを備え、前記真空領域の周囲の前記真空領域よりも気圧が高い空間の少なくとも一部の気体は、前記真空形成部材の前記管路を介して排出される局所真空装置が提供される。
第2の態様によれば、排気装置と接続される第1端と物体の面に接する第1空間と接続される第2端とを有する管路を備え、前記第1空間の気体を前記管路を介して排出して、前記第1空間と接続される第2空間よりも圧力が低い真空領域を前記第1空間に形成する真空形成部材と、前記物体の周囲の少なくとも一部に位置する外部面と、前記物体の表面と前記外部面との間の間隙を排気する排気装置とを備える局所真空装置が提供される。
第3の態様によれば、排気装置と接続可能な管路を有し、物体の面の一部と対向した状態で前記管路を介して気体を排出することにより、前記物体の前記面の第1部分に接する第1空間に、前記面の前記第1部分とは異なる第2部分に接する第2空間の圧力より圧力が低い真空領域を形成可能な真空形成部材と、前記物体の周囲の少なくとも一部に位置する外部面と、前記物体の表面と前記外部面との間の間隙を排気する排気装置とを備える局所真空装置が提供される。
第4の態様によれば、排気装置と接続可能な管路を有し、物体の面と前記管路の端部とが対向した状態で、前記物体の前記面に接する空間の気体を前記管路を介して排出して、真空領域を形成する真空形成部材と、前記物体の周囲の少なくとも一部に位置する外部面と、前記物体の表面と前記外部面との間の間隙を排気する排気装置と備える局所真空装置が提供される。
第5の態様によれば、物体の面に接する空間の気体を排気装置と接続可能な管路を介して排出して真空領域を形成することと、前記真空領域の周囲の前記真空領域よりも気圧が高い空間の少なくとも一部の気体を、前記管路を介して排出することと、前記物体の周囲の少なくとも一部に位置する外部面と前記物体の表面との間の間隙を排気することとを含む真空領域の形成方法が提供される。
第6の態様によれば、排気装置と接続される第1端と、物体の面と接する第1空間と接続される第2端とを有する管路を介して、前記第1空間の気体を排出して、前記第1空間と接続される第2空間よりも圧力が低い真空領域を前記第1空間に形成することと、前記物体の周囲の少なくとも一部に位置する外部面と前記物体の表面との間の間隙を排気することとを含む真空領域の形成方法が提供される。
第7の態様によれば、排気装置と接続可能な管路を介して気体を排出することにより、物体の面の第1部分に接する第1空間に、前記面の前記第1部分とは異なる第2部分に接する第2空間の圧力より圧力が低い真空領域を形成することと、前記物体の周囲の少なくとも一部に位置する外部面と前記物体の表面との間の間隙を排気することとを含む真空領域の形成方法が提供される。
第8の態様によれば、排気装置と接続可能な管路の端部と物体の面とが対向した状態で、前記物体の前記面に接する空間の気体を前記管路を介して排出して、真空領域を形成することと、前記物体の周囲の少なくとも一部に位置する外部面と前記物体の表面との間の間隙を排気することとを含む真空領域の形成方法が提供される。
第9の態様によれば、物体の表面の一部を覆い前記物体と接する真空領域を局所的に形成可能な真空形成装置と、前記物体を保持可能な保持面を有する保持装置と、前記保持面の周囲の少なくとも一部に位置する外部面と、前記物体の表面と前記外部面との間の間隙を排気する排気装置とを備える局所真空装置が提供される。
第10の態様によれば、保持面が保持する物体の表面の一部を覆い且つ前記物体と接する真空領域を局所的に形成することと、記保持面の周囲の少なくとも一部に位置する外部面と前記物体の表面との間の間隙を排気することとを含む真空領域の形成方法が提供される。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
図1は、走査型電子顕微鏡の構造を示す断面図である。 図2は、走査型電子顕微鏡が備えるビーム照射装置の構造を示す断面図である。 図3は、走査型電子顕微鏡が備えるビーム照射装置の構造を示す斜視図である。 図4(a)及び図4(b)は、走査型電子顕微鏡が備えるステージの構造を示す断面図であり、図4(c)は、走査型電子顕微鏡が備えるステージの構造を示す平面図である。 図5(a)は、ビーム照射装置が試料との間に形成する真空領域を示す断面図であり、図5(b)は、ビーム照射装置が試料との間に形成する真空領域を示す平面図である。 図6(a)は、ビーム照射装置が試料及び待避部材の境界近傍に形成する真空領域を示す断面図であり、図6(b)は、ビーム照射装置が試料及び待避部材の境界近傍に形成する真空領域を示す平面図である。 図7(a)は、ビーム照射装置が待避部材との間に形成する真空領域を示す断面図であり、図7(b)は、ビーム照射装置が待避部材との間に形成する真空領域を示す平面図である。 図8(a)から図8(d)の夫々は、ステージが保持する試料を搬出入する場合に待避部材を用いて真空領域を維持する動作の一工程を示す断面図である。 図9(a)から図9(d)の夫々は、ビーム照射装置が新たに真空領域を形成する場合に待避部材を用いて真空領域を維持する動作の一工程を示す断面図である。 図10は、第1変形例の走査型電子顕微鏡が備えるステージの構造を示す平面図である。 図11(a)から図11(c)の夫々は、第1変形例のステージの待避部材に形成されているマークを示す平面図である。 図12(a)から図12(d)の夫々は、マークを用いて走査型電子顕微鏡を設定する動作の一工程を示す断面図である。 図13(a)は、第2変形例のステージの構造を示す断面図であり、図13(b)は、第2変形例のステージの構造を示す平面図である。 図14は、待避部材と試料との間の空間に面する真空領域を示す断面図である。 図15は、第2変形例のステージの構造の他の例を示す断面図である。 図16は、第2変形例のステージの構造の他の例を示す平面図である。 図17(a)は、第3変形例においてステージに保持される試料を示す断面図であり、図17(b)は、第3変形例においてステージに保持される試料を示す平面図である。 図18は、第4変形例のビーム照射装置の構造を示す断面図である。 図19は、第4変形例のビーム照射装置の構造を示す断面図である。 図20は、第5変形例のビーム照射装置の構造を示す断面図である。 図21は、第6変形例における走査型電子顕微鏡が備えるステージの構造を示す断面図である。 図22は、第6変形例におけるステージとビーム照射装置との位置関係を示す断面図である。 図23(a)及び図23(b)の夫々は、第7変形例における走査型電子顕微鏡が備えるステージの構造を示す断面図である。 図24は、第8変形例における走査型電子顕微鏡が備えるステージの構造を示す断面図である。 図25は、第8変型例における走査型電子顕微鏡が備えるステージの動作の一工程を示す断面図である。 図26は、第8変型例における走査型電子顕微鏡が備えるステージの動作の一工程を示す断面図である。 図27は、第9変形例における真空領域を維持するための動作の流れを示すフローチャートである。 図28は、第9変形例における移動元面及び移動先面の夫々のZ位置を特定するための動作の流れを示すフローチャートである。 図29(a)は、ビーム照射装置の状態が非待避状態から待避状態へと切り替わる場合において、移動元面である試料の表面が、移動先面である外周部材の上面よりも低い例を示す断面図であり、図29(b)は、ビーム照射装置の状態が非待避状態から待避状態へと切り替わる場合において、移動元面である試料の表面が、移動先面である外周部材の上面よりも高い例を示す断面図であり、図29(c)は、ビーム照射装置の状態が非待避状態から待避状態へと切り替わる場合において、ビーム照射装置と移動元面である試料の表面との間の距離を大きくする動作を示す断面図である。 図30(a)は、ビーム照射装置の状態が待避状態から非待避状態へと切り替わる場合において、移動元面である外周部材の上面が、移動先面である試料の表面よりも低い例を示す断面図であり、図30(b)は、ビーム照射装置の状態が待避状態から非待避状態へと切り替わる場合において、移動元面である外周部材の上面が、移動先面である試料の表面よりも高い例を示す断面図であり、図30(c)は、ビーム照射装置の状態が待避状態から非待避状態へと切り替わる場合において、ビーム照射装置と移動元面である外周部材の上面との間の距離を大きくする動作を示す断面図である。 図31(a)は、移動元面である試料の表面が移動先面である外周部材の上面よりも低い状況下でビーム照射装置の状態が非待避状態から待避状態へと切り替わる場合において外周部材を移動させる動作を示す断面図であり、図31(b)は、移動元面である試料の表面が移動先面である外周部材の上面よりも高い状況下でビーム照射装置の状態が非待避状態から待避状態へと切り替わる場合において外周部材を移動させる動作を示す断面図である。 図32(a)は、移動元面である外周部材の上面が移動先面である試料の表面よりも高い状況下でビーム照射装置の状態が待避状態から非待避状態へと切り替わる場合において外周部材を移動させる動作を示す断面図であり、図32(b)は、移動元面である外周部材の上面が移動先面である試料の表面よりも低い状況下でビーム照射装置の状態が待避状態から非待避状態へと切り替わる場合において外周部材を移動させる動作を示す断面図である。 図33(a)は、第10変形例の走査型電子顕微鏡が備えるステージの構造を示す斜視図であり、図33(b)は、図33(a)のA−A断面図である。 図34(a)から図34(d)の夫々は、第10変形例の走査型電子顕微鏡の動作の一工程を示す断面図である。 図35(a)及び図35(b)は、第11変形例の走査型電子顕微鏡が備えるステージの構造を示す図である。 図36は、第12変形例の走査型電子顕微鏡の構造を示す断面図である。 図37は、第13変形例の走査型電子顕微鏡の構造を示す断面図である。 図38は、第14変形例においてステージが試料を保持する様子を示す断面図である。 図39は、第15変形例においてステージが試料を保持する様子を示す断面図である。 図40は、第16変形例においてステージが試料を保持する様子を示す断面図である。 図41(a)及び図41(b)の夫々は、走査型電子顕微鏡が備えるステージの構造の他の例を示す平面図である。
以下、図面を参照しながら、局所真空装置、荷電粒子装置、真空領域の形成方法及び荷電粒子の照射方法の実施形態について説明する。以下では、局所的な真空領域VSPを介して電子ビームEBを試料Wに照射して当該試料Wに関する情報を取得する(例えば、試料Wの状態を計測する)走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)SEMを用いて、局所真空装置、荷電粒子装置、真空領域の形成方法及び荷電粒子の照射方法の実施形態を説明する。試料Wは、例えば、半導体基板である。但し、試料Wは、半導体基板とは異なる物体であってもよい。試料Wは、例えば、直径が約300ミリメートルであり、厚さが約750マイクロメートルから800マイクロメートルとなる円板状の基板である。但し、試料Wは、任意のサイズを有する任意の形状の基板(或いは、物体)であってもよい。例えば、試料Wは、液晶表示素子等のディスプレイのための角形基板やフォトマスクのための角形基板であってもよい。
また、以下の説明では、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸から定義されるXYZ直交座標系を用いて、走査型電子顕微鏡SEMを構成する各種構成要素の位置関係について説明する。尚、以下の説明では、説明の便宜上、X軸方向及びY軸方向のそれぞれが水平方向(つまり、水平面内の所定方向)であり、Z軸方向が鉛直方向(つまり、水平面に直交する方向であり、実質的には上下方向)であるものとする。更に、+Z側が上方(つまり、上側)に相当し、−Z側が下方(つまり、下側)に相当するものとする。尚、Z軸方向は、走査型電子顕微鏡SEMが備える後述のビーム光学系11の光軸AXに平行な方向でもある。また、X軸、Y軸及びZ軸周りの回転方向(言い換えれば、傾斜方向)を、それぞれ、θX方向、θY方向及びθZ方向と称する。
(1)走査型電子顕微鏡SEMの構造
はじめに、図1から図4を参照しながら、走査型電子顕微鏡SEMの構造について説明する。図1は、走査型電子顕微鏡SEMの構造を示す断面図である。図2は、走査型電子顕微鏡SEMが備えるビーム照射装置1の構造を示す断面図である。図3は、走査型電子顕微鏡SEMが備えるビーム照射装置1の構造を示す斜視図である。図4(a)は、走査型電子顕微鏡SEMが備えるステージ22の構造を示す断面図であり、図4(b)は、走査型電子顕微鏡SEMが備えるステージ22の構造を示す平面図である。尚、図面の簡略化のために、図1は、走査型電子顕微鏡SEMの一部の構成要素については、その断面を示していない。
図1に示すように、走査型電子顕微鏡SEMは、ビーム照射装置1と、ステージ装置2と、支持フレーム3と、制御装置4と、ポンプ系5とを備える。更に、ポンプ系5は、真空ポンプ51と、真空ポンプ52とを備える。
ビーム照射装置1は、ビーム照射装置1から下方に向けて電子ビームEBを射出可能である。ビーム照射装置1は、ビーム照射装置1の下方に配置されるステージ装置2が保持する試料Wに対して電子ビームEBを照射可能である。試料Wに対して電子ビームEBを照射するために、ビーム照射装置1は、図2及び図3に示すように、ビーム光学系11と、差動排気系12とを備えている。
図2に示すように、ビーム光学系11は、筐体111を備えている。筐体111は、ビーム光学系11の光軸AXに沿って延びる(つまり、Z軸に沿って延びる)ビーム通過空間SPb1が内部に確保されている円筒状の部材である。ビーム通過空間SPb1は、電子ビームEBが通過する空間として用いられる。ビーム通過空間SPb1を通過する電子ビームEBが筐体111を通過する(つまり、筐体111の外部へ漏れ出す)ことを防止するために及び/又はビーム照射装置1の外部の磁場(いわゆる、外乱磁場)がビーム通過空間SPb1を通過する電子ビームEBに影響を与えることを防止するために、筐体111は、高透磁率材料から構成されていてもよい。高透磁率材料の一例として、パーマロイ及びケイ素鋼の少なくとも一方があげられる。これらの高透磁率材料の比透磁率は1000以上である。
ビーム通過空間SPb1は、電子ビームEBが照射される期間中は、真空空間となる。具体的には、ビーム通過空間SPb1には、ビーム通過空間SPb1に連通するように(つまり、つながるように)筐体111(更には、後述する側壁部材122)に形成される配管(つまり、管路)117を介して真空ポンプ51が連結されている。真空ポンプ51は、ビーム通過空間SPb1が真空空間となるように、ビーム通過空間SPb1を排気して大気圧よりも減圧する。このため、本実施形態における真空空間は、大気圧よりも圧力が低い空間を意味していてもよい。特に、真空空間は、電子ビームEBの試料Wへの適切な照射を妨げないほどにしか気体分子が存在しない空間(言い換えれば、電子ビームEBの試料Wへの適切な照射を妨げない真空度となる空間)を意味していてもよい。ビーム通過空間SPb1は、筐体111の下面に形成されたビーム射出口(つまり、開口)119を介して、筐体111の外部の空間(より具体的には、後述する差動排気系12のビーム通過空間SPb2)に連通している。尚、ビーム通過空間SPb1は、電子ビームEBが照射されない期間中に真空空間となってもよい。
ビーム光学系11は更に、電子銃113と、電磁レンズ114と、対物レンズ115と、電子検出器116とを備える。電子銃113は、−Z側に向けて電子ビームEBを放出する。尚、電子銃113の代わりに光が照射されたとき電子を放出する光電変換面を用いてもよい。電磁レンズ114は、電子銃113が放出した電子ビームEBを制御する。例えば、電磁レンズ114は、電子ビームEBが所定の光学面(例えば、電子ビームEBの光路に交差する仮想面)上に形成する像の回転量(つまり、θZ方向の位置)、当該像の倍率、及び、結像位置に対応する焦点位置のいずれか一つを制御してもよい。対物レンズ115は、電子ビームEBを所定の縮小倍率で試料Wの表面(具体的には、電子ビームEBが照射される面であり、図1及び図2に示す例では+Z側を向いている面であって且つXY平面に沿った面)WSuに結像させる。電子検出器116は、pn接合又はpin接合の半導体を使用した半導体型電子検出装置(つまり、半導体検出装置)である。電子検出器116は、試料Wに対する電子ビームEBの照射によって生じた電子(例えば、反射電子及び散乱電子の少なくとも一方。散乱電子は2次電子を含む)を検出する。制御装置4は、電子検出器116の検出結果に基づいて、試料Wの状態を特定する。例えば、制御装置4は、電子検出器116の検出結果に基づいて、試料Wの表面WSuの3次元形状を特定する。尚、本実施形態では、試料Wの表面WSuは理想的には平面であり、制御装置4は、その表面WSuに形成されている微細な凹凸パターンの形状を含む表面WSuの3次元形状を特定するものとする。尚、試料Wの表面WSuは平面でなくてもよい。また、電子検出器116は、後述する差動排気系12に設けられてもよい。
差動排気系12は、真空形成部材121と、側壁部材122とを備える。側壁部材122は、真空形成部材121から上方に延びる筒状の部材である。側壁部材122は、内部に筐体111(つまり、ビーム光学系11)を収容する。側壁部材122は、内部にビーム光学系11を収容した状態でビーム光学系11と一体化されるが、ビーム光学系11から分離可能であってもよい。真空形成部材121は、ビーム光学系11の下方(つまり、−Z側)に配置される。真空形成部材121は、ビーム光学系11の下方において、ビーム光学系11に接続される(つまり、連結)される。真空形成部材121は、ビーム光学系11に接続されてビーム光学系11と一体化されるが、分離可能であってもよい。真空形成部材121の内部には、ビーム通過空間SPb2が形成されている。尚、図3は、真空形成部材121が、ビーム通過空間SPb2の一部であるビーム通過空間SPb2−1が形成された真空形成部材121−1、ビーム通過空間SPb2の一部であるビーム通過空間SPb2−2が形成された真空形成部材121−2、及び、ビーム通過空間SPb2の一部であるビーム通過空間SPb2−3が形成された真空形成部材121−3が、ビーム通過空間SPb2−1からSPb2−3が連通するように積層された構造を有する例を示しているが、真空形成部材121の構造がこの例に限定されることはない。ビーム通過空間SPb2は、真空形成部材121の上面(図3に示す例では、真空形成部材121−3の+Z側の面)に形成されたビーム射出口(つまり、開口)1231を介して、ビーム光学系11のビーム通過空間SPb1に連通している。ビーム通過空間SPb2は、ビーム通過空間SPb1と共に、真空ポンプ51によって排気される(つまり、減圧される)。従って、ビーム通過空間SPb2は、電子ビームEBが照射される期間中は、真空空間となる。ビーム通過空間SPb2は、ビーム通過空間SPb1からの電子ビームEBが通過する空間として用いられる。ビーム通過空間SPb1及びSPb2の少なくとも一方を通過する電子ビームEBが真空形成部材121及び側壁部材122の少なくとも一方を通過する(つまり、差動排気系12の外部へ漏れ出す)ことを防止するために及び/又はビーム照射装置1の外部の磁場(いわゆる、外乱磁場)がビーム通過空間SPb1及びSPb2の少なくとも一方を通過する電子ビームEBに影響を与えることを防止するために、真空形成部材121及び側壁部材122の少なくとも一方は、高透磁率材料から構成されていてもよい。尚、ビーム通過空間SPb2は、電子ビームEBが照射されない期間中に真空空間となってもよい。
真空形成部材121は更に、試料Wの表面WSuに対向可能な射出面121LSを備える。図3に示す例では、真空形成部材121−1が、射出面121LSを備えている。ビーム照射装置1は、射出面121LSと表面WSuとの間の間隔D(つまり、Z軸方向におけるビーム照射装置1と試料Wとの間の間隔Dが所望間隔D_target(例えば、10μm以下且つ1μm以上)となるように、後述する間隔調整系14によって、試料Wに対して位置合わせされる。尚、間隔Dは、Z軸方向における射出面121LSと表面WSuの間の距離及びZ軸方向における射出面121LSの位置と表面WSuの位置との差の夫々と等価である。間隔Dは、射出面121LSと表面WSuとのZ軸方向における距離と称してもよい。射出面121LSには、ビーム射出口(つまり、開口)1232が形成されている。尚、真空形成部材121は、試料Wの表面WSuに対向可能な射出面121LSを備えていなくてもよい。図2に示すように、ビーム通過空間SPb2は、ビーム射出口1232を介して、真空形成部材121の外部のビーム通過空間SPb3に連通している。つまり、ビーム通過空間SPb1は、ビーム通過空間SPb2を介してビーム通過空間SPb3に連通している。但し、ビーム通過空間SPb2が確保されていなくてもよい。つまり、ビーム通過空間SPb1は、ビーム通過空間SPb2を介することなくビーム通過空間SPb3に直接連通していてもよい。ビーム通過空間SPb3は、試料W上の局所的な空間である。ビーム通過空間SPb3は、ビーム照射装置1と試料Wとの間(具体的には、射出面121LSと表面WSuとの間)において電子ビームEBが通過する局所的な空間である。ビーム通過空間SPb3は、試料Wの表面WSuのうち電子ビームEBが照射される照射領域に少なくとも面する(或いは、覆う又は接する)空間である。ビーム通過空間SPb3は、ビーム通過空間SPb1及びSPb2と共に、真空ポンプ51によって排気される(つまり、減圧される)。この場合、ビーム通過空間SPb1及びSPb2のそれぞれは、ビーム通過空間SPb3を排気するためにビーム通過空間SPb3と真空ポンプ51とを接続する排気通路(つまり、管路)としても機能可能である。従って、ビーム通過空間SPb3は、電子ビームEBが照射される期間中は、真空空間となる。このため、電子銃113から放出された電子ビームEBは、いずれも真空空間であるビーム通過空間SPb1からSPb3の少なくとも一部を介して試料Wに照射される。尚、ビーム通過空間SPb3は、電子ビームEBが照射されない期間中に真空空間となってもよい。
ビーム通過空間SPb3は、ビーム通過空間SPb1及びSPb2よりも真空ポンプ51から離れた位置にある。ビーム通過空間SPb2は、ビーム通過空間SPb1よりも真空ポンプ51から離れた位置にある。このため、ビーム通過空間SPb3の真空度は、ビーム通過空間SPb1及びSPb2の真空度よりも低くなる可能性があり、且つ、ビーム通過空間SPb2の真空度は、ビーム通過空間SPb1の真空度よりも低くなる可能性がある。尚、本実施形態における「空間Aの真空度よりも空間Bの真空度が低い」状態は、「「空間Aの圧力よりも空間Bの圧力が高い」ことを意味する。この場合、真空ポンプ51は、真空度が最も低くなる可能性があるビーム通過空間SPb3の真空度を、電子ビームEBの試料Wへの適切な照射を妨げない真空度にすることができる程度の排気能力を有する。一例として、真空ポンプ51は、ビーム通過空間SPb3の圧力(つまり、気圧)を1×10−3パスカル以下に維持する(例えば、概ね1×10−3パスカルから1×10−4パスカルのオーダーで維持する)ことができる程度の排気能力を有していてもよい。このような真空ポンプ51として、例えば、主ポンプとして用いられるターボ分子ポンプ(或いは、拡散ポンプ、クライオポンプ及びスパッタイオンポンプの少なくとも一つを含む他の種類の高真空用ポンプ)と補助ポンプとして用いられるドライポンプ(或いは、他の種類の低真空用ポンプ)とが組み合わせられた真空ポンプが用いられてもよい。尚、真空ポンプ51は、ビーム通過空間SPb3の圧力(つまり、気圧)を1×10−3パスカル以下に維持することができる程度の排気速度[m/s]であってもよい。
但し、ビーム通過空間SPb3は、ビーム通過空間SPb1及びSPb2のように何らかの部材(具体的には、筐体111及び真空形成部材121)によって周囲を取り囲まれた閉鎖空間ではない。つまり、ビーム通過空間SPb3は、何らかの部材によって周囲を取り囲まれていない開放空間である。このため、ビーム通過空間SPb3が真空ポンプ51によって減圧されたとしても、ビーム通過空間SPb3には、ビーム通過空間SPb3の周囲から気体が流入する。その結果、ビーム通過空間SPb3の真空度が低下する可能性がある。そこで、差動排気系12は、ビーム照射装置1と試料Wとの間において差動排気を行うことで、ビーム通過空間SPb3の真空度を維持する。つまり、差動排気系12は、ビーム照射装置1と試料Wとの間において差動排気を行うことで、ビーム照射装置1と試料Wとの間に、周囲と比較して相対的に高い真空度が維持された局所的な真空領域VSPを形成し、局所的な真空領域VSPが局所的なビーム通過空間SPb3を含むようにする。言い換えれば、差動排気系12は、局所的なビーム通過空間SPb3が局所的な真空領域VSPに含まれるように、差動排気を行う。尚、本実施形態での差動排気は、試料Wとビーム照射装置1との間において、一の空間(例えば、ビーム通過空間SPb3)と一の空間とは異なる他の空間との間の気圧差が試料Wとビーム照射装置1との間の間隙の排気抵抗によって維持されるという性質を利用しながらビーム通過空間SPb3を排気することに相当する。ビーム通過空間SPb3が試料Wの表面WSuのうちの少なくとも一部(例えば、電子ビームEBが照射される照射領域)を局所的に覆うことから、真空領域VSPもまた、試料Wの表面WSuのうちの少なくとも一部(例えば、電子ビームEBが照射される照射領域)を局所的に覆う。具体的には、真空形成部材121の射出面121LSには、ビーム射出口1232を取り囲む排気溝(つまり、真空形成部材121を貫通しない開口)124が形成されている。排気溝124には、排気溝124に連通するように真空形成部材121及び側壁部材122に形成される配管(つまり、管路)125を介して真空ポンプ52が連結されている。配管125の第1端(つまり、一方の端部)は、真空ポンプ52に接続され、配管125の第2端(つまり、他方の端部であり、実質的には、排気溝124を形成する部分)は、射出面12LSと試料Wの表面WSuとの間の空間に接する。尚、図3は、差動排気系12が、排気溝124から真空ポンプ52に到達するまでに配管125が集約されていく構造を有する例を示している。具体的には、図3は、排気溝124が形成されている真空形成部材121−1に、環状の排気溝124から真空形成部材121−1を貫通するように上方に延びる環状の流路125−1が形成され、真空形成部材121−2に、流路125−1に連通するN1本(図3に示す例では、4本)の配管125−21及びN1本の配管125−21を集約する環状の集約流路125−22が形成され、真空形成部材121−3に、集約流路125−22に連通するN2(但し、N2<N1)本(図3に示す例では、2本)の配管125−31及びN2本の配管125−31を集約する環状の集約流路125−32が形成され、集約流路125−32に配管125−4が連通し、配管125−4が真空ポンプ52に接続される例を示している。尚、ここでは配管125−31の本数N2を配管125−21の本数N1の半分であり、1本の配管125−31はこれと連通する2本の配管125−21からほぼ等距離に位置している。また、配管125−31の本数N2を配管125−4の本数(図3に示す例では、1本)の半分であり、配管125−4はこれと連通する2本の配管125−31からほぼ等距離に位置している。よって、それぞれの配管125−21を介した排気経路の長さと圧損はほぼ等しく、排気溝124から排気される空気の量は方位に依らず偏らない。但し、配管125の構造がこの例に限定されることはない。真空ポンプ52は、排気溝124を介して、ビーム通過空間SPb3の周囲の空間を排気する。その結果、差動排気系12は、ビーム通過空間SPb3の真空度を適切に維持することができる。尚、排気溝124は1つにつながった環状でなくてもよく、環の一部を複数有する複数の排気溝であってもよい。
図2に戻って、真空ポンプ52は、主として、ビーム通過空間SPb3の真空度を相対的に高くするために、ビーム通過空間SPb3の周囲の局所的な空間を排気するために用いられる。このため、真空ポンプ52は、真空ポンプ51が維持する真空度よりも低い真空度を維持することができる程度の排気能力を有していてもよい。つまり、真空ポンプ52の排気能力は、真空ポンプ51の排気能力よりも低くてもよい。例えば、真空ポンプ52は、ドライポンプ(或いは、他の種類の低真空用ポンプ)を含む一方でターボ分子ポンプ(或いは、他の種類の高真空用ポンプ)を含んでいない真空ポンプであってもよい。この場合、真空ポンプ52によって減圧される排気溝124及び配管125内の空間の真空度は、真空ポンプ51によって減圧されるビーム照射空間SPb1からSPb3の真空度よりも低くてもよい。尚、真空ポンプ52は、真空ポンプ51が維持する真空度よりも低い真空度を維持することができる程度の排気速度[m/s]であってもよい。
このようにビーム通過空間SPb3に局所的な真空領域VSPが形成される一方で、試料Wの表面WSuのうちビーム通過空間SPb3に面していない部分(特に、ビーム通過空間SPb3から離れた部分)の少なくとも一部は、真空領域VSPよりも真空度が低い非真空領域に覆われていてもよい。典型的には、試料Wの表面WSuのうちビーム空間SPb3に面していない部分の少なくとも一部は、大気圧環境下にあってもよい。つまり、試料Wの表面WSuのうちビーム通過空間SPb3に面していない部分の少なくとも一部は、大気圧領域に覆われていてもよい。具体的には、差動排気系12は、ビーム通過空間SPb3を含む空間SP1(図2参照)に真空領域VSPを形成する。この空間SP1は、例えば、ビーム射出口1232及び排気溝124の少なくとも一つに接する空間を含む。空間SP1は、試料Wの表面WSuのうちビーム射出口1232及び排気溝124の少なくとも一つの直下に位置する部分に面する(つまり、接する)空間を含む。一方で、空間SP1の周囲の空間SP2(つまり、空間SP1の周囲において空間SP1に接続する(例えば、流体的に接続する)空間SP2であり、図2の参照))には、真空領域VSPが形成されない。つまり、空間SP2は、空間SP1よりも圧力が高い空間となる。この空間SP2は、例えば、ビーム射出口1232及び排気溝124から離れた空間を含む。空間SP2は、例えば、試料Wの表面WSuのうち空間SP1が面する部分とは異なる部分に面する空間を含む。空間SP2は、空間SP1を経由することなくビーム射出口1232及び排気溝124(更には、ビーム通過空間SPb2及び配管125)に接続することができない空間を含む。空間SP2は、空間SP1を経由すればビーム射出口1232及び排気溝124(更には、ビーム通過空間SPb2及び配管125)に接続することができる空間を含む。空間SP2の圧力が空間SP1の圧力よりも高いがゆえに、空間SP2から空間SP1に対して気体が流入する可能性があるが、空間SP2から空間SP1に対して流入する気体は、排気溝124(更には、ビーム射出口1232)を介して、空間SP1から排出される。つまり、空間SP2から空間SP1に対して流入する気体は、配管125(更には、ビーム通過空間SPb2)を介して、空間SP1から排出される。このため、空間SP1に形成される真空領域VSPの真空度が維持される。このため、真空領域VSPが局所的に形成される状態は、試料Wの表面WSu上において真空領域VSPが局所的に形成される状態(つまり、試料Wの表面WSuに沿った方向において真空領域VSPが局所的に形成される状態)を意味していてもよい。
再び図1において、ステージ装置2は、ビーム照射装置1の下方(つまり、−Z側)に配置される。ステージ装置2は、定盤21と、ステージ22とを備える。定盤21は、床等の支持面SF上に配置される。ステージ22は、定盤21上に配置される。ステージ22と定盤21との間には、定盤21の振動のステージ22への伝達を防止するための不図示の防振装置が設置されている。ステージ22は、試料Wを保持する。試料Wを保持するために、ステージ22は、図4(a)から図4(c)に示すように、保持部材221と、外周部材222とを備えている。
保持部材221は、XY平面に沿って延びる平板状の(或いは、その他の任意の形状の)部材である。保持部材221は、ビーム照射装置1に対向可能な保持面HSを備える。図4(a)から図4(c)に示す例では、保持面HSは、+Z側(つまり、上方)を向いた面である。XY平面に沿った方向における保持面HSのサイズは、XY平面に沿った方向における試料Wのサイズよりも大きいが、同じであってもよい。図4(a)から図4(c)に示す例では、試料Wが平面視において円形の形状を有しているため、保持面HSは平面視において円形状である。尚、試料Wが平面視において矩形状である場合には、保持面HSは平面視において矩形状であってもよい。図4(a)から図4(c)に示す例では、保持面HSの径は試料Wの径よりも大きい。保持面HSは、試料Wを保持する面である。つまり、保持部材221は、保持面HSで試料Wを保持する。例えば、保持部材221は、保持面HSに形成された排気口を介して試料Wの裏面(つまり、表面WSuとは反対側の面であって、図4(a)から図4(c)に示す例では、−Z側(つまり、下方)を向いた面)を真空吸着することで、試料Wを保持してもよい。この場合、保持部材221は、真空チャックを含んでいてもよい。或いは、例えば、保持部材221は、保持部材221に配置された電極を介して保持面HS上に配置された試料Wを静電吸着することで、試料Wを保持してもよい。この場合、保持部材221は、静電チャックを含んでいてもよい。
外周部材222は、XY平面内において、保持部材221の周囲に配置される。外周部材222は、XY平面内において、保持部材221を取り囲むように配置される。図4(a)から図4(c)に示す例では、試料Wが平面視において円形状であるため、外周部材222の内側の輪郭は円状であってもよい。外周部材222は、保持部材221と一体化されているが、保持部材221とは別個の部材であってもよい。外周部材222は、保持部材221よりも上方(つまり、+Z側)に突き出るように形成される部材である。このため、外周部材222は、実質的には、保持部材221の保持面HSから上方(つまり、+Z側)に突き出る部材であるとも言える。外周部材222の上面(具体的には、保持面HSと同じ側を向いた面であって、図4(a)から図4(c)に示す例では、+Z側の面)OSは、保持部材221の保持面HSよりも上方に位置する。具体的には、外周部材222の上面OSは、保持部材221の保持面HSよりも、試料Wの厚みWhだけ上方に位置する。このため、外周部材222の上面OSは、保持部材221が保持している試料Wの表面WSuと同じ高さに位置する。つまり、外周部材222の上面OSは、保持部材221が保持している試料Wの表面WSuと同一平面内に位置する。このため、ステージ22には、保持部材221と外周部材222とによって囲まれた凹部状の収容空間SPwが形成されている。試料Wは、この収容空間SPwに収容され且つ表面WSuが外周部材222の上面OSと同じ高さにある状態で保持部材221によって保持される。尚、収容空間SPwは平面視において円形状であってもよい。
外周部材222は、XY平面に沿った一の方向において保持部材221に隣接する待避部材223を、外周部材222の一部として含む。尚、上述したように外周部材222が保持部材221とは別個の部材である場合には、外周部材222の一部に相当する待避部材223もまた、保持部材221とは別個の部材であってもよい。尚、外周部材222が保持部材221と同じ部材である場合であっても、待避部材223は保持部材221とは別個の部材であってもよい。待避部材223は、XY平面内において保持部材221から離れる方向に広がる。待避部材223のサイズ(具体的には、保持部材221から離れる方向におけるサイズ)は、外周部材222のうち一の方向とは異なる他の方向において保持部材221に隣接する部分のサイズよりも大きくてもよい。つまり、外周部材222は、XY平面内において、保持部材221から見て一の方向に位置する部分(つまり、待避部材223)が、保持部材221から見て一の方向とは異なる他の方向に位置する部分よりも相対的に多く外側に広がる(つまり、保持部材221から離れるように広がる)構造を有していてもよい。図4(a)から図4(c)に示す例では、外周部材222は、Y軸方向に沿って保持部材221に隣接する(特に、保持部材221よりも−Y側において保持部材221に隣接する)待避部材223を含む。従って、待避部材223のY軸に沿ったサイズは、外周部材222のうち+Y側において保持部材221に隣接する部分のY軸に沿ったサイズよりも大きくてもよく、且つ、外周部材222のうち+X側又は−X側において保持部材221に隣接する部分のX軸に沿ったサイズよりも大きくてもよい。待避部材223が外周部材222の一部であるため、待避部材223の上面ESは、外周部材222の上面OSの一部に相当する。従って、待避部材223の上面ESもまた、外周部材222の上面OSと同様に、保持部材221が保持する試料Wの表面WSuと同じ高さに位置する。尚、この待避部材223が形成されている技術的理由については、後に詳述する(図5(a)以降参照)。尚、待避部材223の上面ESの一部に、ビーム照射装置1による電子ビームEBの位置と、ステージ22の位置(XYZ方向における位置)とを紐付けるためのマークを設けてもよい。尚、外周面の上面OS及び待避部材223の上面ESの少なくとも一方を外部面と称してもよい。
再び図1において、ステージ22は、制御装置4の制御下で、試料Wを保持したまま、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つに沿って移動可能である。ステージ22を移動させるために、ステージ装置2は、ステージ駆動系23を備えている。ステージ駆動系23は、例えば、任意のモータ(例えば、リニアモータ等)を用いて、ステージ22を移動させる。更に、ステージ装置2は、ステージ22の位置を計測する位置計測器24を備えている。位置計測器24は、例えば、エンコーダ及びレーザ干渉計のうちの少なくとも一方を含む。尚、ステージ22が試料Wを保持している場合には、制御装置4は、ステージ22の位置から試料Wの位置を特定可能である。
ステージ22がXY平面に沿って移動すると、XY平面に沿った方向における試料Wとビーム照射装置1との相対位置が変わる。このため、ステージ22がXY平面に沿って移動すると、XY平面に沿った方向における試料Wと試料Wの表面WSuにおける電子ビームEBの照射領域との相対位置が変わる。つまり、ステージ22がXY平面に沿って移動すると、XY平面に沿った方向(つまり、試料Wの表面WSuに沿った方向)において、電子ビームEBの照射領域が試料Wの表面WSuに対して移動する。更に、ステージ22がXY平面に沿って移動すると、XY平面に沿った方向における試料Wとビーム通過空間SPb3及び真空領域VSPとの相対位置が変わる。つまり、ステージ22がXY平面に沿って移動すると、XY平面に沿った方向(つまり、試料Wの表面WSuに沿った方向)において、ビーム通過空間SPb3及び真空領域VSPが試料Wの表面WSuに対して移動する。制御装置4は、試料Wの表面WSuの所望位置に電子ビームEBが照射され且つビーム通過空間SPb3が設定される(つまり、真空領域VSPが形成される)ように、ステージ駆動系23を制御してステージ22をXY平面に沿って移動させてもよい。具体的には、例えば、制御装置4は、試料Wの表面WSuの第1部分に真空領域VSPが形成されるように、ステージ駆動系23を制御してステージ22をXY平面に沿って移動させる。試料Wの表面WSuの第1部分に真空領域VSPが形成されるようにステージ22が移動した後、ビーム照射装置1は、試料Wの表面WSuの第1部分に電子ビームEBを照射して、第1部分の状態を計測する。ビーム照射装置1が試料Wの表面WSuの第1部分に電子ビームEBを照射している期間中は、ステージ駆動系23は、ステージ22をXY平面に沿って移動させなくてもよい。第1部分の状態の計測が完了した後、制御装置4は、試料Wの表面WSuの第2部分に真空領域VSPが形成されるように、ステージ駆動系23を制御してステージ22をXY平面に沿って移動させる。試料Wの表面WSuの第2部分に真空領域VSPが形成されるようにステージ22が移動した後、ビーム照射装置1は、試料Wの表面WSuの第2部分に電子ビームEBを照射して、第2部分の状態を計測する。ビーム照射装置1が試料Wの表面WSuの第2部分に電子ビームEBを照射している期間中もまた、ステージ駆動系23は、ステージ22をXY平面に沿って移動させなくてもよい。以降、同様の動作が繰り返されることで、試料Wの表面WSuの状態が計測される。
ステージ22がZ軸に沿って移動すると、Z軸に沿った方向における試料Wとビーム照射装置1との相対位置が変わる。このため、ステージ22がZ軸に沿って移動すると、Z軸に沿った方向における試料Wと電子ビームEBのフォーカス位置との相対位置が変わる。制御装置4は、試料Wの表面WSuに(或いは、表面WSuの近傍に)電子ビームEBのフォーカス位置が設定されるように、ステージ駆動系23を制御してステージ22をZ軸に沿って移動させてもよい。ここで、電子ビームEBのフォーカス位置は、ビーム光学系11の結像位置に対応する焦点位置又は電子ビームEBのぼけが最も少なくなるようなZ軸方向の位置であってもよい。
更に、ステージ22がZ軸に沿って移動すると、試料Wとビーム照射装置1との間の間隔Dが変わる。このため、ステージ駆動系23は、制御装置4の制御下で、後述する間隔調整系14と協調しながら、間隔Dが所望間隔D_targetとなるようにステージ22を移動させてもよい。このとき、制御装置4は、位置計測装置24の計測結果(更には、後述するビーム照射装置1の位置(特に、真空形成部材121の位置)を計測する位置計測装置15の計測結果)に基づいて、実際の間隔Dを特定すると共に、特定した間隔Dが所望間隔D_targetとなるようにステージ駆動系23及び間隔調整系14の少なくとも一方を制御する。このため、位置計測装置15及び24は、間隔Dを検出する検出装置としても機能し得る。尚、試料WのZ軸方向の厚み(寸法)が既知である場合、制御装置4は、実際の間隔Dに代えて/或いは加えて、ビーム照射装置1と基準面(例えば基準板の表面)とのZ軸方向における距離に関する情報と、試料WのZ軸方向の厚み(寸法)に関する情報とを用いて、ビーム照射装置1から試料Wまでの距離を目標となる距離となるように、ステージ駆動系23及び間隔調整系14のうち少なくとも一方を制御してもよい。
支持フレーム3は、ビーム照射装置1を支持する。具体的には、支持フレーム3は、支持脚31と、支持部材32とを備える。支持脚31は、支持面SF上に配置される。支持脚31と支持面SFとの間には、支持面SFの振動の支持脚31への伝達を防止するため、或いは低減するための不図示の防振装置が設置されていてもよい。支持脚31は、例えば、支持面SFから上方に延びる部材である。支持脚31は、支持部材32を支持する。支持部材32は、平面視において、中心に開口321が形成された環状のプレート部材である。支持部材32の上面には、間隔調整系14を介して、ビーム照射装置1の外面(図1から図3に示す例では、差動排気系12が備える側壁部材122の外面)から外側に延びるフランジ部材13の下面が連結されている。このとき、ビーム照射装置1は、開口321を貫通するように配置される。その結果、支持フレーム3は、ビーム照射装置1を支持部材32の上面から持ち上げるように支持することができる。但し、支持フレーム3は、ビーム照射装置1を支持することができる限りは、図1に示す支持方法とは異なる他の支持方法でビーム照射装置1を支持してもよい。例えば、支持フレーム3は、ビーム照射装置1を支持部材32の下面から吊り下げるように支持してもよい。尚、支持脚31と支持部材32との間に、支持面SFの振動の支持部材32への伝達を防止する、或いは低減するための不図示の防振装置が設けられていてもよい。
間隔調整系14は、少なくともZ軸に沿ってビーム照射装置1を移動させることで、真空形成部材121の射出面121LSと試料Wの表面WSuとの間の間隔D、或いは真空形成部材121の射出面121LSから試料Wの表面WSuまでのZ軸方向の距離を調整する。例えば、間隔調整系14は、間隔Dが所望間隔D_targetとなるように、ビーム照射装置1をZ軸方向に沿って移動させてもよい。このような間隔調整系14として、例えば、モータの駆動力を用いてビーム照射装置1を移動させる駆動系、ピエゾ素子の圧電効果によって発生する力を用いてビーム照射装置1を移動させる駆動系、クーロン力(例えば、少なくとも2つの電極間に発生する静電力)を用いてビーム照射装置1を移動させる駆動系、及び、ローレンツ力(例えば、コイルと磁極との間に発生する電磁力)を用いてビーム照射装置1を移動させる駆動系の少なくとも一つが用いられてもよい。但し、射出面121LSと表面WSuとの間の間隔Dを固定したままでよい場合には、間隔調整系14に代えて、シム等の間隔調整部材が、支持部材32とフランジ部材13との間に配置されていてもよい。尚、この場合、シム等の間隔調整部材は支持部材32とフランジ部材13との間に配置されていなくてもよい。また、ビーム照射装置1は、XY方向に沿って移動可能であってもよい。
間隔調整系14によって移動可能なビーム照射装置1のZ方向における位置(特に、真空形成部材121のZ方向における位置)を計測するために、走査型電子顕微鏡SEMは、位置計測器15を備えている。位置計測器15は、例えば、エンコーダ及びレーザ干渉計のうちの少なくとも一方を含む。尚、位置計測器15は、ビーム照射装置1のXY方向における位置やθX方向、θY方向における姿勢を計測してもよい。また、ビーム照射装置1のXY方向における位置やθX方向、θY方向における姿勢を計測する計測装置が位置計測器15と別に設けられていてもよい。
制御装置4は、走査型電子顕微鏡SEMの動作を制御する。例えば、制御装置4は、電子ビームEBを試料Wに照射するように、ビーム照射装置1を制御する。例えば、制御装置4は、ビーム通過空間SPb1からSPb3を真空空間にするように、ポンプ系5(特に、真空ポンプ51及び52)を制御する。例えば、制御装置4は、試料Wの表面WSuの所望位置に電子ビームEBが照射されるように、ステージ駆動系23を制御する。例えば、制御装置4は、真空形成部材121の射出面121LSと試料Wの表面WSuとの間の間隔Dが所望間隔D_targetとなるように、間隔調整系14を制御する。尚、走査型電子顕微鏡SEMの動作を制御するために、制御装置4は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置及びメモリ等の記憶装置の少なくとも一方を含んでいてもよい。
(2)待避部材223の利用方法
続いて、ステージ22が備える待避部材223の利用方法について説明する。本実施形態では、待避部材223は、主として、ビーム照射装置1が形成している真空領域VSPを維持する(言い換えれば、形成し続ける)ために用いられる。このため、待避部材223は、ビーム照射装置1と待避部材223との間に真空領域VSPを形成することができる程度のサイズを有していてもよい。待避部材223の上面ESは、真空領域VSPのXY方向におけるサイズよりも大きなサイズを有していてもよい。このような待避部材223を用いて真空領域VSPを維持する場面の一例として、ステージ22が保持する試料Wを搬出入する(或いは、交換する)場面及び真空領域VSPを形成していなかったビーム照射装置1が真空領域VSPを新たに形成する場面があげられる。このため、以下では、待避部材223を用いて真空領域VSPを維持する方法について説明した後に、ステージ22が保持する試料Wを搬出入する場合に待避部材223を用いて真空領域VSPを維持する動作と、真空領域VSPを形成していなかったビーム照射装置1が真空領域VSPを新たに形成する場合に待避部材223を用いて真空領域VSPを維持する動作とを順に説明する。
(2−1)待避部材223を用いた真空領域VSPの維持
初めに、図5(a)から図5(b)、図6(a)から図6(b)及び図7(a)から図7(b)を参照しながら、待避部材223を用いて、ビーム照射装置1が形成していた真空領域VSPを維持する方法について説明する。
上述したように、待避部材223の上面ESは、保持部材221が保持する試料Wの表面WSuと同じ高さに位置する。このため、ビーム照射装置1が試料Wから待避部材223へと外れるように(つまり、試料Wに対向していたビーム照射装置1が待避部材223と対向するように)ステージ22が移動した場合であっても、ビーム照射装置1が試料Wとの間に形成していた真空領域VSPは、ビーム照射装置1と待避部材223との間においても同様に維持される。同様に、ビーム照射装置1が待避部材223から試料Wへと外れるように(つまり、待避部材223に対向していたビーム照射装置1が試料Wと対向するように)ステージ22が移動した場合であっても、ビーム照射装置1が待避部材223との間に形成していた真空領域VSPは、ビーム照射装置1と試料Wとの間においても同様に維持される。従って、待避部材223は、ビーム照射装置1が形成している真空領域VSPの維持のために利用可能である。つまり、待避部材223は、ステージ22の移動に伴ってビーム照射装置1が試料Wと待避部材223との間で移動する場合に真空領域VSPを維持するために利用可能である。ここで、ビーム照射装置1が試料Wから待避部材223へと外れることは、ビーム照射装置1による電子ビームEBの照射位置が試料W上にある状態から待避部材223の上面ESにある状態に変わると称してもよく、ビーム照射装置1が待避部材223から試料Wへと外れることは、ビーム照射装置1による電子ビームEBの照射位置が待避部材223の上面ES上にある状態から試料W上にある状態に変わると称してもよい。
具体的には、図5(a)及び図5(b)に示すように、ビーム照射装置1が試料Wとの間に真空領域VSPを形成している状況を想定する。つまり、ビーム照射装置1が試料Wに対向している状況を想定する。この状況において、ステージ駆動系23がステージ22をY軸方向に沿って且つ+Y側に向かって移動させると、ビーム照射装置1は、ステージ22に対してY軸方向に沿って且つ−Y側に向かって相対的に移動する。その結果、ビーム照射装置1が形成している真空領域VSPもまた、試料Wの表面WSu上において、ステージ22に対してY軸方向に沿って且つ−Y側に向かって相対的に移動する。ステージ22が移動し続けると、図6(a)及び図6(b)に示す状態を経て、図7(a)及び図7(b)に示すように、ビーム照射装置1は、試料Wを外れる。つまり、ビーム照射装置1の状態は、試料Wに対向する非待避状態から待避部材223に対向する待避状態へと切り替わる。つまり、ビーム照射装置1の状態は、試料Wとの間に真空領域VSPを形成可能な非待避状態から待避部材223との間に真空領域VSPに形成可能な待避状態へと切り替わる。
ビーム照射装置1の状態が非待避状態から待避状態へと切り替わる過程で、図6(a)及び図6(b)に示すように、ビーム照射装置1の状態は、一時的に、試料W及び待避部材223の双方に対向する中間状態になる。つまり、ビーム照射装置1の状態は、一時的に、試料Wと待避部材223との境界に面する真空領域VSPを形成する中間状態になる。ここで、仮に待避部材223の上面ESが試料Wの表面WSuとは大きく異なる高さに位置している場合には、中間状態にあるビーム照射装置1と試料Wとの間の間隔Dと、中間状態にあるビーム照射装置1と待避部材223との間の間隔D’(つまり、ビーム照射装置1の射出面121LSと待避部材223の上面ESとの間の間隔D’)とが相対的に大きくずれる可能性がある。このため、間隔Dが、真空領域VSPを適切に形成可能な間隔になる一方で、間隔D’が、真空領域VSPを適切に形成可能な間隔にならない可能性がある。その結果、試料Wとの間に真空領域VSPを適切に形成していたビーム照射装置1の状態が非待避状態から中間状態へと切り替わった時点で、ビーム照射装置1が形成していた真空領域VSPが破壊される(言い換えれば、崩壊する又は消滅する)可能性がある。つまり、ビーム照射装置1の状態が非待避状態から中間状態へと切り替わる際に、ビーム照射装置1が、試料Wと待避部材223との境界に面する真空領域VSPを形成することができなくなる可能性がある。その結果、ビーム照射装置1の状態が非待避状態から待避状態へと切り替わる際に、ビーム照射装置1が真空領域VSPを適切に形成し続ける(つまり、維持する)ことができなくなる可能性がある。この場合、走査型電子顕微鏡SEMは、ビーム照射装置1の状態が非待避状態から待避状態へと切り替わった後に、ビーム照射装置1と待避部材223との間の間隔D’が所望間隔D_targetになるように間隔D’を調整した上で真空領域VSPを再度形成することになる。
しかるに、本実施形態では、待避部材223の上面ESが試料Wの表面WSuと同じ高さに位置している。このため、中間状態にあるビーム照射装置1と試料Wとの間の間隔Dと、中間状態にあるビーム照射装置1と待避部材223との間の間隔D’とが相対的に大きくずれる可能性は相対的には小さい。典型的には、間隔Dは、間隔D’と一致する。従って、間隔Dが、真空領域VSPを適切に形成可能な間隔になっている場合には、間隔D’もまた、真空領域VSPを適切に形成可能な間隔になる。このため、試料Wとの間に真空領域VSPを適切に形成していたビーム照射装置1の状態が非待避状態から中間状態へと切り替わったとしても、ビーム照射装置1が形成していた真空領域VSPが破壊される可能性は相対的に小さい。つまり、ビーム照射装置1の状態が非待避状態から中間状態へと切り替わったとしても、ビーム照射装置1は、試料Wと待避部材223との境界に面する真空領域VSPを適切に形成することができる。その結果、ビーム照射装置1の状態が非待避状態から中間状態へと切り替わったとしても、ビーム照射装置1は、真空領域VSPを適切に形成し続ける(つまり、維持する)ことができる。このため、ビーム照射装置1の状態が非待避状態から中間状態を経て待避状態へと切り替わったとしても、ビーム照射装置1は、真空領域VSPを適切に形成し続けることができる。つまり、走査型電子顕微鏡SEMは、真空領域VSPを形成したまま、ビーム照射装置1の状態を、非待避状態から待避状態へと切り替えることができる。
同様の理由から、ビーム照射装置1の状態が待避状態から中間状態を経て非待避状態へと切り替わったとしても、ビーム照射装置1は、真空領域VSPを適切に形成し続けることができる。つまり、走査型電子顕微鏡SEMは、真空領域VSPを形成したまま、ビーム照射装置1の状態を、待避状態から非待避状態へと切り替えることができる。
この際、間隔調整系14及びステージ駆動系23の少なくとも一方は、ビーム照射装置1の状態が非待避状態から待避状態へと又は待避状態から非待避状態へと切り替わる前後において、非待避状態にあるビーム照射装置1と試料Wとの間の間隔Dと、待避状態にあるビーム照射装置1と待避部材223との間の間隔D’とのずれ量が許容下限値を下回るように(或いは、一致するように)、Z軸方向におけるステージ22とビーム照射装置1との相対位置を調整してもよい。例えば、間隔調整系14及びステージ駆動系23の少なくとも一方は、ビーム照射装置1の状態が非待避状態から待避状態へと切り替わる際に、非待避状態にあるビーム照射装置1と試料Wとの間の間隔Dが、ビーム照射装置1と試料Wとの間に真空領域VSPを適切に形成可能な所望の第1間隔D_desire1となっている状態から、待避状態にあるビーム照射装置1と待避部材223との間の間隔D’が、ビーム照射装置1と待避部分223との間に真空領域VSPを適切に形成可能な所望の第2間隔D_desire2となる状態へと遷移するように、Z軸方向におけるステージ22とビーム照射装置1との相対位置を調整してもよい。この場合、第1間隔D_desire1と第2間隔D_desire2との間の差分は、許容下限値を下回る又は一致する。或いは、第1間隔D_desire1と第2間隔D_desire2とは同一であってもよい。更に、第1間隔D_desire1及び第2間隔D_desire2の少なくとも一方は、上述した所望間隔D_targetと同一であってもよい。その後、ステージ駆動系23がXY平面に沿った方向におけるステージ22とビーム照射装置1との相対位置を調整して、ビーム照射装置1の状態を非待避状態から待避状態へと切り替えてもよい。同様に、例えば、間隔調整系14及びステージ駆動系23の少なくとも一方は、ビーム照射装置1の状態が待避状態から非待避状態へと切り替わる際に、待避状態にあるビーム照射装置1と待避部材223との間の間隔D’が第2間隔D_desire2となっている状態から、非待避状態にあるビーム照射装置1と試料Wとの間の間隔Dが第1間隔D_desire1となる状態へと遷移するように、Z軸方向におけるステージ22とビーム照射装置1との相対位置を調整してもよい。その後、ステージ駆動系23がXY平面に沿った方向におけるステージ22とビーム照射装置1との相対位置を調整して、ビーム照射装置1の状態を待避状態から非待避状態へと切り替えてもよい。その結果、ビーム照射装置1の状態が非待避状態から待避状態へと又は待避状態から非待避状態へと切り替わる前後において、ビーム照射装置1は、真空領域VSPをより適切に形成し続けることができる。
尚、上述したように、本実施形態では、待避部材223の上面ESが試料Wの表面WSuと同じ高さに位置している。このため、ビーム照射装置1の状態が非待避状態から待避状態へと又は待避状態から非待避状態へと切り替わる前後において、Z軸方向におけるステージ22に対するビーム照射装置1の相対位置が変わらなければ(つまり、維持されれば)、間隔Dと間隔D’とが一致する。このため、間隔調整系14及びステージ駆動系23の少なくとも一方は、ビーム照射装置1の状態が非待避状態から待避状態へと又は待避状態から非待避状態へと切り替わる前後において、Z軸方向におけるステージ22とビーム照射装置1との相対位置を維持するように調整してもよい。
但し、間隔調整系14及びステージ駆動系23の少なくとも一方は、ビーム照射装置1の状態が非待避状態から待避状態へと又は待避状態から非待避状態へと切り替わる前後において、間隔Dと間隔D’とが異なるように、Z軸方向におけるステージ22とビーム照射装置1との相対位置を調整してもよい。この場合、間隔調整系14及びステージ駆動系23の少なくとも一方は、間隔Dが、ビーム照射装置1と試料Wとの間に真空領域VSPを適切に形成可能な第1間隔D_desire1になり且つ、間隔D’が、ビーム照射装置1と待避部材223との間に真空領域VSPを適切に形成可能であって且つ第1間隔D_desire1とは異なる第2間隔D_desire2になるように、Z軸方向におけるステージ22とビーム照射装置1との相対位置を調整してもよい。その結果、間隔Dと間隔D’とが一致しない場合においても、ビーム照射装置1の状態が非待避状態から待避状態へと又は待避状態から非待避状態へと切り替わる前後において、ビーム照射装置1は、真空領域VSPをより適切に形成し続けることができる。いずれにせよ、間隔調整系14及びステージ駆動系23の少なくとも一方は、ビーム照射装置1の状態が非待避状態から待避状態へと又は待避状態から非待避状態へと切り替わる前後において真空領域VSPが適切に維持されるように、ビーム照射装置1の状態の変更(つまり、XY平面に沿ったステージ22の移動)に合わせて又は相前後して、Z軸方向におけるステージ22とビーム照射装置1との相対位置を調整する。
(2−2)ステージ22が保持する試料Wを搬出入する動作
続いて、図8(a)から図8(d)を参照しながら、ステージ22が保持する試料Wを搬出入する(つまり、交換する)場合に待避部材223を用いて真空領域VSPを維持する動作の流れについて説明する。
試料Wの搬出入は、例えば、ステージ22が保持している試料Wの状態の計測が完了した後に行われる。試料Wの状態の計測するために、ビーム照射装置1は、試料Wに電子ビームEBを照射する必要がある。このため、試料Wが搬出入される前は(つまり、ステージ22が試料Wを保持している期間の少なくとも一部では)、図8(a)に示すように、ビーム照射装置1は、試料Wに対向した状態で、試料Wとの間に真空領域VSPを形成している。つまり、ビーム照射装置1は、非待避状態にある。
試料Wの状態の計測が完了した後に、図8(b)に示すように、ステージ駆動系23は、XY平面に沿ってステージ22を移動して、ビーム照射装置1の状態を、非待避状態から待避状態へと切り替える。この際、上述したように、間隔調整系14及びステージ駆動系23の少なくとも一方は、真空領域VSPが適切に維持されるようにZ軸方向におけるステージ22に対するビーム照射装置1の相対位置を調整してもよい。その結果、ビーム照射装置1の状態が非待避状態から待避状態へと切り替わる前後において、真空領域VSPが維持される。つまり、ビーム照射装置1は、真空領域VSPを試料W及び待避部材223の少なくとも一方との間に形成し続けたまま、ステージ22に対して移動する。
ビーム照射装置1の状態が待避状態に切り替わった後、ステージ22が保持する試料Wが搬出入される。具体的には、図8(c)に示すように、ステージ22が保持する試料W(つまり、状態を計測する動作が終了した試料W)がステージ22からアンロードされる(つまり、搬出される)。その後、図8(d)に示すように、ステージ22に対して、新たな試料W(つまり、状態を計測する動作が新たに行われる試料W)がステージ22にロードされる(つまり、搬入される)。ステージ22が保持する試料Wが搬出入される期間中は、図8(c)及び図8(d)に示すように、ビーム照射装置1の状態は、待避状態のまま維持される。その結果、ステージ22が保持する試料Wが搬出入される期間中は、図8(c)及び図8(d)に示すように、ビーム照射装置1は、待避部材223との間に真空領域VSPを形成し続ける。
その後、ステージ22が保持する試料Wの搬出入が完了すると、ステージ駆動系23は、XY平面に沿ってステージ22を移動して、ビーム照射装置1の状態を、待避状態から非待避状態へと切り替える。この際も、上述したように、間隔調整系14及びステージ駆動系23の少なくとも一方は、真空領域VSPが適切に維持されるようにZ軸方向におけるステージ22に対するビーム照射装置1の相対位置を調整してもよい。その結果、ビーム照射装置1の状態が待避状態から非待避状態へと切り替わる前後において、真空領域VSPが維持される。つまり、ビーム照射装置1は、真空領域VSPを試料W及び待避部材223の少なくとも一方との間に形成し続けたまま、ステージ22に対して移動する。
その後、ビーム照射装置1の状態が非待避状態へと変わった後に、走査型電子顕微鏡SEMは、新たな試料Wに電子ビームEBを照射して新たな試料Wの状態を計測する。つまり、ビーム照射装置1は、試料Wとの間に形成している真空領域VSPを介して試料Wに電子ビームEBを照射する。
このように、走査型電子顕微鏡SEMは、真空領域VSPを維持したまま、ステージ22が保持する試料Wを搬出入することができる。このため、走査型電子顕微鏡SEMは、試料Wを搬出入するたびに真空領域VSPを新たに形成しなくてもよくなる。つまり、走査型電子顕微鏡SEMは、試料Wを搬出入する前にビーム通過空間SPb1からSPb3を一旦大気圧空間に戻し、試料Wを搬出入した後にビーム通過空間SPb1からSPb3を再度排気して真空空間にしなくてもよくなる。その結果、走査型電子顕微鏡SEMは、試料Wを搬出入するたびに真空領域VSPを新たに形成する必要がある比較例の走査型電子顕微鏡と比較して、真空領域VSPの形成に必要な時間の分だけ、試料Wの計測に要する時間を短くすることができる。つまり、走査型電子顕微鏡SEMのスループットが向上する。
(2−3)真空領域VSPを形成していなかったビーム照射装置1が真空領域VSPを新たに形成する動作
続いて、図9(a)から図9(d)を参照しながら、ビーム照射装置1が新たに真空領域VSPを形成する場合に待避部材223を用いて真空領域VSPを維持する動作の流れについて説明する。
真空領域VSPを新たに形成する動作は、例えば、ステージ22が保持している試料Wの状態の計測を新たに開始する際に行われる。具体的には、真空領域VSPを新たに形成する動作は、例えば、試料Wの状態を計測するために電子ビームEBの照射が開始される前に行われる。
本実施形態では、ビーム照射装置1は、待避状態において真空領域VSPを新たに形成する。ビーム照射装置1は、待避部材223と対向した状態において真空領域VSPを新たに形成する。ビーム照射装置1は、待避部材223との間に真空領域VSPを新たに形成する。言い換えれば、ビーム照射装置1は、非待避状態において真空領域VSPを新たに形成しなくてもよい。ビーム照射装置1は、試料Wと対向した状態において真空領域VSPを新たに形成しなくてもよい。ビーム照射装置1は、試料Wとの間に真空領域VSPを新たに形成しなくてもよい。このため、図9(a)に示すようにビーム照射装置1が真空領域VSPの形成を開始する前にビーム照射装置1が非待避状態にある場合には、ステージ駆動系23は、XY平面に沿ってステージ22を移動して、図9(b)に示すように、ビーム照射装置1の状態を、非待避状態から待避状態へと切り替える。一方で、ビーム照射装置1が真空領域VSPの形成を開始する前にビーム照射装置1が既に待避状態にある場合には、ステージ駆動系23は、ステージ22を移動させなくてもよい。
その後、図9(c)に示すように、ビーム照射装置1は、真空領域VSPを新たに形成する。具体的には、間隔調整系14及びステージ駆動系23の少なくとも一方を用いて、ビーム照射装置1の射出面121LSと待避部材223の上面ESとの間隔Dを所望間隔D_targetとする。その後、真空ポンプ51は、ビーム通過空間SPb1からSPb3を排気して減圧する。更に、真空ポンプ52は、ビーム通過空間SPb3の周囲の空間を排気して減圧する。その結果、ビーム照射装置1(特に、差動排気系12)は、差動排気によって待避部材223との間に真空領域VSPを形成することができる。尚、ビーム照射装置1の射出面121LSと待避部材223の上面ESとの間隔Dを所望間隔D_targetに設定する動作の前に真空ポンプ51によるビーム通過空間SPb1からSPb3の排気・減圧動作を開始してもよく、これら両動作を並行させてもよい。
真空領域VSPが新たに形成された後、ステージ駆動系23は、XY平面に沿ってステージ22を移動して、図9(d)に示すように、ビーム照射装置1の状態を、待避状態から非待避状態へと切り替える。この際、上述したように、間隔調整系14及びステージ駆動系23の少なくとも一方は、真空領域VSPが適切に維持されるようにZ軸方向におけるステージ22に対するビーム照射装置1の相対位置を調整してもよい。その結果、ビーム照射装置1の状態が待避状態から非待避状態へと切り替わる前後において、真空領域VSPが維持される。つまり、ビーム照射装置1は、真空領域VSPを試料W及び待避部材223の少なくとも一方との間に形成し続けたまま、ステージ22に対して移動する。このため、待避部材223に面するように形成された真空領域VSPは、待避部材223から試料Wへと移動するように、ステージ22に対して相対的に移動する。
その後、ビーム照射装置1の状態が非待避状態へと変わった後に、走査型電子顕微鏡SEMは、試料Wに電子ビームEBを照射して試料Wの状態を計測する。つまり、ビーム照射装置1は、試料Wとの間に形成している真空領域VSPを介して試料Wに電子ビームEBを照射する。
このように、走査型電子顕微鏡SEMは、電子ビーム照射装置1と待避部材223との間に真空領域VSPを新たに形成すると共に、当該新たに形成した真空領域VSPを維持したまま待避部材223から試料Wへと移動させることができる。つまり、走査型電子顕微鏡SEMは、試料Wの状態の計測を開始するために真空領域VSPを新たに形成する際に、電子ビーム照射装置1と待避部材223との間の空間を、真空領域VSPを新たに形成するための空間に設定することができる。このため、走査型電子顕微鏡SEMは、電子ビーム照射装置1と試料Wとの間に真空領域VSPを新たに形成しなくてもよくなる。つまり、走査型電子顕微鏡SEMは、電子ビーム照射装置1と試料Wとの間の空間を、真空領域VSPを新たに形成するための空間に設定しなくてもよくなる。このため、走査型電子顕微鏡SEMは、真空領域VSPの新たな形成が試料Wに与える影響を抑制しながら、真空領域VSPを新たに形成することができる。例えば、ある物体上において真空領域VSPが新たに形成されると、当該物体に面する空間の圧力が急激に減少していく。このため、物体の温度(特に、物体のうち圧力が減少していく空間に面する部分の温度)が変動する可能性がある。物体の温度の変動は、物体の熱変形につながる可能性がある。物体の熱変形は、物体の状態の計測精度を悪化させる可能性がある。このため、仮に電子ビーム照射装置1と試料Wとの間に真空領域VSPが新たに形成されると、試料Wが熱変形して試料Wの状態の計測精度が悪化する可能性がある。しかるに、本実施形態では、電子ビーム照射装置1と待避部材223との間に真空領域VSPが新たに形成される。このため、真空領域VSPの新たな形成に起因した試料Wの熱変形が抑制される。このため、走査型電子顕微鏡SEMは、試料Wの状態を相対的に高い精度で計測することができる。
但し、走査型電子顕微鏡SEMにおいて許容される計測精度によっては、ビーム照射装置1は、待避状態において真空領域VSPを新たに形成してもよい。ビーム照射装置1は、試料Wと対向した状態において真空領域VSPを新たに形成してもよい。ビーム照射装置1は、試料Wとの間に真空領域VSPを新たに形成してもよい。
(3)変形例
続いて、走査型電子顕微鏡SEMの変形例について説明する。
(3−1)第1変形例
はじめに、第1変形例における走査型電子顕微鏡SEMaについて説明する。走査型電子顕微鏡SEMaは、上述した走査型電子顕微鏡SEMと比較して、ステージ22に代えてステージ22aを備えているという点において異なっている。走査型電子顕微鏡SEMaのその他の構造は、走査型電子顕微鏡SEMと同一であってもよい。このため、以下では、図10を参照しながら、第1変形例のステージ22aについて説明する。図10は、第1変形例のステージ22aの構造を示す断面図である。
図10に示すように、ステージ22aは、上述したステージ22と比較して、待避部材223の上面ESの少なくとも一部に、少なくとも一つのマーク領域MAが形成されているという点で異なる。ステージ22aのその他の構造は、ステージ22と同一であってもよい。
マーク領域MAには、少なくとも一つのマークMが形成されている。マークMは、例えば、図11(a)に示すように、X軸方向に沿って延びる長手形状のラインマークMXが、Y軸方向に沿って所望のピッチΛXで並ぶように形成された格子マークM1を含んでいてもよい。マークMは、例えば、図11(b)に示すように、Y軸方向に沿って延びる長手形状のラインマークMYが、X軸方向に沿って所望のピッチΛYで並ぶように形成された格子マークM2を含んでいてもよい。マークMは、例えば、図11(c)に示すように、X軸方向及びY軸方向の双方に交差する第1方向に沿って延びる長手形状のラインマークMLが、第1方向に交差する第2方向に沿って所望のピッチΛLで並ぶように形成された格子マークM3を含んでいてもよい。もちろん、マークMは、図11(a)から図11(c)に示すマークとは異なるマークを含んでいてもよい。
マークMは、走査型電子顕微鏡SEMaの動作状態を設定する(言い換えれば、較正する、キャリブレーションする又は調整する)ために用いられる。そのため、待避部材223を基準板と称してもよい。具体的には、ビーム照射装置1は、真空領域VSPを介してマークMに対して電子ビームEBを照射する。更に、ビーム照射装置1は、電子検出器116を用いて、マークMに対する電子ビームEBの照射によって生じた電子(例えば、反射電子及び散乱電子の少なくとも一方)を検出する。制御装置4は、電子検出器116の検出結果に基づいて、走査型電子顕微鏡SEMaの特性を特定する。制御装置4は、特定した走査型電子顕微鏡SEMaの特性に基づいて、走査型電子顕微鏡SEMaの動作状態を設定する。例えば、制御装置4は、電子検出器116の検出結果に基づいて、ビーム照射装置1が照射する電子ビームEBの特性(例えば、強度、スポット径及びフォーカス位置の少なくとも一つ)を特定し、特定した電子ビームEBの状態に基づいて、適切な特性の電子ビームEBを照射するようにビーム照射装置1の動作状態を設定してもよい。例えば、制御装置4は、電子検出器116の検出結果に基づいて、ビーム照射装置1とステージ22aとの相対位置を特定し、特定した相対位置に基づいてビーム照射装置1とステージ22aとの位置合わせを行ってもよい。例えば、制御装置4は、電子検出器116の検出結果に基づいて、ビーム照射装置1が形成している真空領域VSPの特性(例えば、真空度及び形成位置の少なくとも一つ)を特定し、特定した真空領域VSPの状態に基づいて、適切な特性の真空領域VSPを形成するように真空領域VSPの形成に関連する装置(例えば、ビーム照射装置1、間隔調整系14、ステージ駆動系23及びポンプ系5の少なくとも一つ)の動作状態を設定してもよい。
マークMが待避部材223に形成されているがゆえに、走査型電子顕微鏡SEMaの動作状態を設定するために、走査型電子顕微鏡SEMaは、待避状態にあるビーム照射装置1を用いてマークMに電子ビームEBを照射する。つまり、ビーム照射装置1は、待避状態においてマークMに電子ビームEBを照射する。ビーム照射装置1は、待避部材223と対向した状態においてマークMに電子ビームEBを照射する。ビーム照射装置1は、待避部材223との間に真空領域VSPが形成された状態においてマークMに電子ビームEBを照射する。このため、図12(a)に示すように走査型電子顕微鏡SEMaの動作状態の設定が開始される前にビーム照射装置1が非待避状態にある場合には、ステージ駆動系23は、XY平面に沿ってステージ22を移動して、図12(b)に示すように、ビーム照射装置1の状態を、非待避状態から待避状態へと切り替える。この際、ビーム照射装置1が試料Wとの間に真空領域VSPを既に形成している場合には、上述したように、間隔調整系14及びステージ駆動系23の少なくとも一方は、真空領域VSPが適切に維持されるようにZ軸方向におけるステージ22aに対するビーム照射装置1の相対位置を調整してもよい。その結果、ビーム照射装置1の状態が非待避状態から待避状態へと切り替わる前後において、真空領域VSPが維持される。つまり、ビーム照射装置1は、真空領域VSPを試料W及び待避部材223の少なくとも一方との間に形成し続けたまま、ステージ22aに対して移動する。一方で、走査型電子顕微鏡SEMaの動作状態の設定が開始される前にビーム照射装置1が既に待避状態にある場合には、ステージ駆動系23は、ステージ22aを移動させなくてもよい。
その後、図12(c)に示すように、マーク領域MAに対して電子ビームEBを照射可能な位置にビーム照射装置1が位置した後に、ビーム照射装置1は、マーク領域MAに電子ビームEBを照射する。つまり、ビーム照射装置1は、マーク領域MAに形成されたマークMに電子ビームEBを照射する。この際、ビーム照射装置1は、マーク領域MAに面する真空領域VSPを介してマークMに電子ビームEBを照射する。その後、制御装置4は、電子検出器116の検出結果に基づいて、走査型電子顕微鏡SEMaの動作状態を設定する。走査型電子顕微鏡SEMaの動作状態が設定される設定期間中は、図12(c)に示すように、ビーム照射装置1の状態は、待避状態のまま維持される。その結果、設定間中は、図12(c)に示すように、ビーム照射装置1は、待避部材223との間に(特に、マーク領域MAとの間に)真空領域VSPを形成し続ける。但し、マークMに電子ビームEBが照射されるビーム照射期間以外の期間中は、ビーム照射装置1は、必ずしも待避部材223(特に、マーク領域MA)に対向していなくてもよい。例えば、マークMに対する電子ビームEBの照射によって生じた電子の電子検出器116による検出がビーム照射期間中に完了していれば、電子検出器116の検出結果に基づいて制御装置4が走査型電子顕微鏡SEMaの動作状態を実際に設定する期間中は、ビーム照射装置1は、待避部材223に対向していなくてもよい。このため、設定期間のうちのビーム照射期間中は、ビーム照射装置1の状態が待避状態のまま維持される一方で、設定期間のうちのビーム照射期間以外の期間の少なくとも一部において、ビーム照射装置1の状態が非待避状態となっていてもよい。
その後、走査型電子顕微鏡SEMaの動作状態の設定が完了した後(或いは、マークMへの電子ビームEBの照射が完了した後)、ステージ駆動系23は、XY平面に沿ってステージ22aを移動して、図12(d)に示すように、ビーム照射装置1の状態を、待避状態から非待避状態へと切り替える。この際、上述したように、間隔調整系14及びステージ駆動系23の少なくとも一方は、真空領域VSPが適切に維持されるようにZ軸方向におけるステージ22aに対するビーム照射装置1の相対位置を調整してもよい。その結果、ビーム照射装置1の状態が待避状態から非待避状態へと切り替わる前後において、真空領域VSPが維持される。つまり、ビーム照射装置1は、真空領域VSPを試料W及び待避部材223の少なくとも一方との間に形成し続けたまま、ステージ22aに対して移動する。このため、待避部材223に面するように形成された真空領域VSPは、待避部材223から試料Wへと移動するように、ステージ22aに対して相対的に移動する。
その後、ビーム照射装置1の状態が非待避状態へと変わった後に、走査型電子顕微鏡SEMaは、試料Wに電子ビームEBを照射して試料Wの状態を計測する。つまり、ビーム照射装置1は、試料Wとの間に形成している真空領域VSPを介して試料Wに電子ビームEBを照射する。この際、走査型電子顕微鏡SEMaの動作状態が既に設定済みであるため、走査型電子顕微鏡SEMaは、試料Wの状態をより適切に計測することができる。
このように、走査型電子顕微鏡SEMaは、真空領域VSPを維持したまま、走査型電子顕微鏡SEMaの動作状態を設定することができる。このため、走査型電子顕微鏡SEMaは、走査型電子顕微鏡SEMaの動作状態を設定するたびに真空領域VSPを新たに形成しなくてもよくなる。つまり、走査型電子顕微鏡SEMaは、走査型電子顕微鏡SEMaの動作状態を設定する前にビーム通過空間SPb1からSPb3を一旦大気圧空間に戻してビーム照射装置1をマーク領域MAに移動させ、その後マーク領域MAに電子ビームEBを照射する前にビーム通過空間SPb1からSPb3を再度排気して真空空間にしなくてもよくなる。その結果、走査型電子顕微鏡SEMaは、走査型電子顕微鏡SEMaの動作状態を設定するたびに真空領域VSPを新たに形成する必要がある比較例の走査型電子顕微鏡と比較して、真空領域VSPの形成に必要な時間の分だけ、走査型電子顕微鏡SEMaの動作状態の設定に要する時間を短くすることができる。つまり、走査型電子顕微鏡SEMaのスループットが向上する。
尚、マークMは待避部材223と異なる部材に形成されていてもよい。例えば、外周部材222の上面OSにマークMが設けられていてもよい。また、待避部材223の上面ESを位置計測装置15の基準面として用いてもよい。
(3−2)第2変形例
続いて、第2変形例における走査型電子顕微鏡SEMbについて説明する。走査型電子顕微鏡SEMbは、上述した走査型電子顕微鏡SEMと比較して、ステージ22に代えてステージ22bを備えているという点において異なっている。走査型電子顕微鏡SEMbのその他の構造は、走査型電子顕微鏡SEMと同一であってもよい。このため、以下では、図13(a)及び図13(b)を参照しながら、第2変形例のステージ22bについて説明する。図13(a)は、第2変形例のステージ22bの構造を示す断面図であり、図13(b)は、第2変形例のステージ22bの構造を示す平面図である。
図13(a)及び図13(b)に示すように、ステージ22bは、上述したステージ22と比較して、保持部材221の保持面HSに排気口2231bが形成されているという点で異なる。ステージ22bのその他の構造は、ステージ22と同一であってもよい。
排気口2231bは、保持部材221の保持面HSの外縁付近に形成されている。具体的には、上述したように、XY平面に沿った方向において、保持面HSのサイズ(例えば、径)は、試料Wのサイズ(例えば、径)よりも大きい。このため、保持部材221が試料Wを保持すると、保持面HSの外縁付近において、試料Wと外周部材222とが密着することはない。つまり、保持部材221は、試料Wと外周部材222との間に(つまり、試料Wの表面WSuと外周部材222の上面OSとの間に)空間を確保した状態で試料Wを保持する。排気口2231bは、試料Wと外周部材222との間の空間のうち、試料Wと待避部材223との間の空間(間隙又は空隙と称してもよい)SPgの少なくとも一部に面するように形成される。保持面HSのうち空間SPgに面する部分は、試料Wを実際に保持することはない。このため、排気口2231bは、保持面HSのうち試料Wを実際に保持しない部分の少なくとも一部(つまり、空間SPgに面する部分)に形成される。上述したように待避部材223がXY平面に沿った一の方向において保持部材221に隣接することから、排気口2231bは、保持面HSのうち待避部材223が存在する一の方向の外縁付近に形成される。
排気口2231bは、保持面HSにおいて離散的な配列パターンで離散的に配列するように、複数形成される。具体的には、排気口2231bは、保持面HSにおいて、空間SPgの分布パターンに従った配列パターンで配列するように、複数形成される。図13(b)に示す例では、平面視において円形の形状を有する試料Wと円形の収容空間SPwを規定する待避部材223との間の空間SPgが平面視において円周状に分布しているため、排気口2231bは、この円周に沿った離散的な配列パターンで配列するように、複数形成されている。複数の排気口2231bの円周に沿った間隔は等間隔であってもよいし、不等間隔であってもよい。但し、複数の排気口2231bが形成されていなくてもよい。例えば、単一の排気口2231bが形成されていてもよい。例えば、排気口2231bは、保持面HSにおいて連続的な分布パターンで連続的に分布するように形成されていてもよい。例えば、排気口2231bは、保持面HSにおいて連続的に分布する排気溝として形成されていてもよい。一例として、排気口2231bは環状であってもよい。
排気口2231bには、配管2232bを介して、ポンプ系5が備える真空ポンプ53が連結されている。但し、排気口2231bには、配管2232bを介して、ポンプ系5が備える真空ポンプ51及び52の少なくとも一方が連結されていてもよい。真空ポンプ53は、空間SPgを排気して減圧可能である。尚、真空ポンプ53(或いは真空ポンプ51及び52の少なくとも一方)を排気装置と称してもよい。
真空ポンプ53は、ビーム照射装置1の状態が待避状態から非待避状態へと又は非待避状態から待避状態へと切り替えられる期間の少なくとも一部において、空間SPgを排気する。特に、図14に示すように、真空ポンプ53は、ビーム照射装置1の状態が中間状態にある期間の少なくとも一部において、空間SPgを排気する。具体的には、図14に示すように、真空ポンプ53は、ビーム照射装置1が試料Wと待避部材223との境界に面する(つまり、空間SPgに面する)真空領域VSPを形成する期間の少なくとも一部において、空間SPgを排気する。つまり、真空ポンプ53は、試料Wと待避部材223との境界(つまり、空間SPg)と真空領域VSPの少なくとも一部とがZ軸方向において重なる期間の少なくとも一部において、空間SPgを排気する。
このとき、真空ポンプ53は、空間SPgのうち少なくとも真空領域VSPに面する又は近傍に位置する少なくとも一部の空間部分を排気する一方で、空間SPgのうち少なくとも真空領域VSPに面していない又は離れている少なくとも他の一部の空間部分を排気しなくてもよい。この場合、例えば、走査型電子顕微鏡SEMは、複数の排気口2231bに夫々対応するように配管2232bに配置された不図示のバルブを制御して、空間SPgのうち少なくとも真空領域VSPに面する又は近傍に位置する少なくとも一部の空間部分に面する排気口2231bを真空ポンプ53に連通する一方で、空間SPgのうち少なくとも真空領域VSPに面していない又は離れている少なくとも他の一部の空間部分に面する排気口2231bを真空ポンプ53から遮断してもよい。つまり、複数の排気口2231bのうち試料Wの表面WSuに沿った方向において真空領域VSPが形成されている範囲内に位置する一の排気口2231bが空間SPgを排気する一方で、複数の排気口2231bのうち試料Wの表面WSuに沿った方向において真空領域VSPが形成されている範囲内に位置しない他の排気口2231bが空間SPgを排気しなくてもよい。この場合、典型的には、試料Wの表面WSuに沿った方向において、空間SPgを排気する一の排気口2231bは、空間SPgを排気しない他の排気口2231bよりも真空領域VSPに近い位置に位置する。
その結果、ビーム照射装置1が中間状態にある場合において、真空領域VSPがより一層適切に維持される。というのも、仮に排気口2231bが形成されていなければ、ビーム照射装置1が中間状態にある場合において、空間SPgに面する真空領域VSPに対して、空間SPgを介して気体が流入する可能性がある。特に、空間SPgが大きくなるほど(例えば、試料Wと待避部材223との間の距離が大きくなるほど)、真空領域VSPに対して、空間SPgを介して気体が流入する可能性が大きくなる。その結果、真空領域VSPの真空度が低下する可能性がある。しかるに、第2変形例では、空間SPgが排気されて減圧されるため、真空領域VSPに対して、空間SPgを介して気体が流入する可能性が相対的に小さくなる。このため、空間SPgを介した気体の流入に起因した真空領域SPの真空度の低下が適切に抑制される。
尚、真空ポンプ53は、ビーム照射装置1の状態が切り替えられない状態、典型的にはビーム照射装置1が待避状態或いはビーム照射装置1が非待避状態である期間の少なくとも一部において、空間SPgを排気してもよい。ここで、真空ポンプ53は、走査型電子顕微鏡SEMの稼働期間の全てにおいて空間SPgを排気してもよい。また、真空ポンプ53は、走査型電子顕微鏡SEMの稼働期間において、試料Wを搬出入する期間を除いて、空間SPgを排気してもよい。
尚、上述した説明では、排気口2231bが保持部材221の保持面HSに形成されている。しかしながら、排気口2231bは、空間SPgを排気可能な任意の位置に形成されていてもよい。排気口2231bは、空間SPgに面する任意の位置に形成されていてもよい。例えば、図15に示すように、排気口2231bは、待避部材223の内面(つまり、空間SPgに面する面)に形成されていてもよい。
また、上述した説明では、排気口2231bは、試料Wと外周部材222との間の空間のうち、試料Wと待避部材223との間の空間SPgの少なくとも一部に面するように形成されている。しかしながら、図16に示すように、排気口2231bは、試料Wと外周部材222との間の空間のうち、試料Wと待避部材223との間の空間SPg以外の他の空間SPg’の少なくとも一部に面するように形成されていてもよい。この場合、真空ポンプ53は、ビーム照射装置1の状態が待避状態から非待避状態へと又は非待避状態から待避状態へと切り替えられる期間とは異なる期間の少なくとも一部において、空間SPgを排気してもよい。例えば、真空ポンプ53は、ビーム照射装置1が試料Wと外周部材222との境界に面する真空領域VSPを形成する期間の少なくとも一部において、試料Wと外周部材222との間の空間(特に、試料Wと外周部材222との間の空間のうち、真空領域VSPの少なくとも一部とZ軸方向において重なる空間部分)を排気してもよい。更に、この場合、外周部材222は、待避部材223を備えていなくてもよい。外周部材222が待避部材223を備えていない場合には、上述した待避部材223を利用した動作が行われなくてもよい。
(3−3)第3変形例
続いて、第3変形例における走査型電子顕微鏡SEMcについて説明する。走査型電子顕微鏡SEMcは、上述した走査型電子顕微鏡SEMと比較して、ステージ22による試料Wの保持方法が異なるという点において異なっている。走査型電子顕微鏡SEMcのその他の構造は、走査型電子顕微鏡SEMと同一であってもよい。このため、以下では、図17(a)及び図17(b)を参照しながら、第3変形例におけるステージ22による試料Wの保持方法について説明する。図17(a)は、第3変形例においてステージ22に保持される試料Wを示す断面図であり、図17(b)は、第3変形例においてステージ22に保持される試料Wを示す平面図である。
図17(a)及び図17(b)に示すように、第3変形例では、ステージ22は、試料Wと待避部材223との間の間隔G1が、試料Wと外周部材222のうちの待避部材223以外の部分との間の間隔G2とが異なるように、試料Wを保持する。つまり、ステージ22は、保持面HSと試料Wとが同心となるように試料Wを保持することに代えて、保持面HSに対して試料Wが偏って分布するように試料Wを保持する。図17(a)及び図17(b)に示す例では、ステージ22は、試料Wと待避部材223との間の間隔G1が、試料Wと外周部材222のうちの待避部材223とは逆側に位置する部分との間の間隔G2よりも小さくなるように、試料Wを保持している。
このようにステージ22が試料Wを保持すると、保持面HSと試料Wとが同心となるようにステージ22が試料Wを保持する場合と比較して、試料Wと待避部材223との間の空間SPgが小さくなる可能性が相対的に高くなる。空間SPgが小さくなると、真空領域VSPに対して空間SPgを介して気体が流入する可能性が小さくなる。このため、空間SPgを介した気体の流入に起因した真空領域SPの真空度の低下が適切に抑制される。
尚、保持面HSの形状は試料Wと異なっていてもよい。
(3−4)第4変形例
続いて、第4変形例における走査型電子顕微鏡SEMdについて説明する。走査型電子顕微鏡SEMdは、上述した走査型電子顕微鏡SEMと比較して、ビーム照射装置1に代えて、ビーム照射装置1dを備えているという点において異なっている。走査型電子顕微鏡SEMdのその他の構造は、走査型電子顕微鏡SEMと同一であってもよい。このため、以下では、図18から図19を参照しながら、第4変形例のビーム照射装置1dについて説明する。図18及び図19の夫々は、第4変形例のビーム照射装置1dの構造を示す断面図である。
図18及び図19に示すように、ビーム照射装置1dは、上述したビーム照射装置1と比較して、ビーム照射空間SPb1内において電子ビームEBの経路に挿脱可能な遮断部材151d及び152dを備えているという点で異なる。ビーム照射装置1dのその他の構造は、ビーム照射装置1と同一であってもよい。
遮断部材151d及び152dの夫々は、電子ビームEBを遮断可能な(つまり、通過させない)部材である。遮断部材151dは、電子銃113と、電磁レンズ114、対物レンズ115及び電子検出器116との間において電子ビームEBを遮断可能となるような位置に配置されている。遮断部材152dは、電磁レンズ114、対物レンズ115及び電子検出器116と、射出口119との間において電子ビームEBを遮断可能となるような位置に配置されている。但し、遮断部材151d及び152dの夫々は、電子ビームEBを遮断可能な任意の位置に配置されていてもよい。
遮断部材151d及び152dの夫々の状態は、制御装置4の制御下で、電子ビームEBの経路に挿入されている状態と、電子ビームEBの経路に挿入されていない状態との間で切替可能である。具体的には、例えば、制御装置4は、ビーム照射装置1が電子ビームEBを照射するべきタイミングで、図18に示すように、遮断部材151d及び152dの夫々の状態が、電子ビームEBの経路に挿入されていない状態となるように、遮断部材151d及び152dを制御する(例えば、移動可能な不図示の駆動系を制御する)。その結果、真空空間であるビーム通過空間SPb1からSPb3を介して電子ビームEBが試料W(或いは、上述した待避部材223のマーク領域MA)に照射される。一方で、例えば、制御装置4は、ビーム照射装置1が電子ビームEBを照射するべきでないタイミングで、図19に示すように、遮断部材151d及び152dの夫々の状態が、電子ビームEBの経路に挿入されている状態となるように、遮断部材151d及び152dを制御する。その結果、ビーム通過空間SPb1からSPb3を介して電子ビームEBが試料Wに照射されなくなる。
ビーム照射装置1が電子ビームEBを照射するべきタイミングの一例として、例えば、走査型電子顕微鏡SEMdが試料Wの状態を計測するタイミング、ビーム照射装置1が試料Wに対向しているタイミング(つまり、ビーム照射装置1が非待避状態にあるタイミング)、及び、待避状態にあるビーム照射装置1が待避部材223のマーク領域MAに対向しているタイミングがあげられる。一方で、ビーム照射装置1が電子ビームEBを照射するべきでないタイミングの一例として、例えば、走査型電子顕微鏡SEMdが試料Wの状態を計測しないタイミング、ビーム照射装置1が試料Wに対向していないタイミング、ビーム照射装置1が待避部材223のマーク領域MAに対向していないタイミング、及び、ビーム照射装置1が待避状態にあるタイミングがあげられる。
このように、第4変形例の走査型電子顕微鏡SEMdは、電子銃113を停止することなく、ビーム照射装置1の状態を、電子ビームEBを照射する状態と、電子ビームEBを照射しない状態との間で切り替えることができる。
尚、制御装置4は、遮断部材151d及び152dのいずれか一方の状態が、電子ビームEBの経路に挿入されていない状態となる一方で、遮断部材151d及び152dのいずれか他方の状態が、電子ビームEBの経路に挿入されている状態となるように、遮断部材151d及び152dを制御してもよい。例えば、ビーム照射装置1が試料W及び待避部材223の双方に対向していない場合には、ビーム照射装置1が近い将来に電子ビームEBの照射を開始する可能性は相対的に小さい。従って、この場合には、制御装置4は、遮断部材151d及び152dの双方の状態が、電子ビームEBの経路に挿入されている態となるように、遮断部材151d及び152dを制御してもよい。一方で、例えば、ビーム照射装置1が待避部材223に対向している場合(その結果、例えば、上述したように、ステージ22が保持する試料Wが搬出入されている又は走査型電子顕微鏡SEMの動作状態が設定されている場合)には、ビーム照射装置1が近い将来に電子ビームEBの照射を開始する可能性は相対的に大きい。但し、ビーム照射装置1が待避部材223に対向している場合には、ビーム照射装置1は、電子ビームEBを照射するべきではない。従って、この場合には、制御装置4は、遮断部材151dの状態が、電子ビームEBの経路に挿入されていない状態となる一方で、遮断部材152dの状態が、電子ビームEBの経路に挿入されている状態となるように、遮断部材151d及び152dを制御してもよい。その結果、電子銃113から放出された電子ビームEBが遮断部材152dによって遮断されるがゆえに、ビーム照射装置1がビーム照射装置1の外部に電子ビームEBを照射することはない。その一方で、遮断部材151dの状態が、電子ビームEBの経路に挿入されていない状態となっているため、電子ビームEBの照射を開始するためには遮断部材152dが制御されれば十分である。このため、ビーム照射装置1が電子ビームEBを照射するべきでないタイミングで遮断部材151d及び152dの双方が電子ビームEBの経路に挿入されている場合と比較して、電子ビームEBの照射を相対的に迅速に開始することができる。
尚、走査型電子顕微鏡SEMdは、ビーム照射装置1が電子ビームEBを照射するべきでないタイミングで、遮断部材151d及び152dを制御することに加えて又は代えて、電子銃113を停止してもよい。この場合であっても、ビーム照射装置1がビーム照射装置1の外部に電子ビームEBを照射することはない。或いは、走査型電子顕微鏡SEMdは、遮断部材151d及び152dを制御することに加えて又は代えて、電子ビームEBを捕捉可能な捕捉装置を用いて、ビーム照射装置1の外部への電子ビームEBの照射を停止してもよい。このような捕捉装置の一例として、いわゆるファラデーカップがあげられる。これらの場合には、走査型電子顕微鏡SEMdは、遮断部材151d及び152dを備えていなくてもよい。
遮断部材151d及び152dは、電子ビームEBの経路に挿入されている状態において、ビーム通過空間SPb1のうち遮断部材151d及び152dの少なくとも一方と筐体111とによって囲まれた空間部分を密閉可能な部材であってもよい。この場合には、遮断部材151d及び152dによって、ビーム通過空間SPb1のうちの少なくとも一部の空間部分の真空度が維持される。図19に示す例では、遮断部材151dは、電子ビームEBの経路に挿入されている状態において、ビーム通過空間SPb1のうち遮断部材151dよりも上方の空間部分(具体的には、電子銃113に面した空間部分)を密閉可能な部材である。更に。遮断部材151dは、電子ビームEBの経路に挿入されている状態において、ビーム通過空間SPb1のうち遮断部材151dよりも下方であって且つ遮断部材152dよりも上方の空間部分(具体的には、電磁レンズ114、対物レンズ115及び電子検出器116に面した空間部分)を密閉可能な部材である。その結果、遮断部材151d及び152dは、電子ビームEBの経路に挿入されている状態において、真空ポンプ51及び52による排気を一時的に中断しても、ビーム通過空間SPb1のうちの少なくとも一部の空間部分の真空度が適切に維持される。更には、真空ポンプ51及び52による排気が再開されてからビーム通過空間SPb1の減圧が完了するまでに要する時間もまた短縮可能となる。
尚、遮断部材151d及び152dの少なくとも一方は、電子ビームEBの経路に挿入されている状態において、ビーム通過空間SPb1のうち遮断部材151d及び152dの少なくとも一方と筐体111とによって囲まれた空間部分を密閉可能な部材である一方で、電子ビームEBを遮断しない部材であってもよい。つまり、遮断部材151d及び152dの少なくとも一方は、電子ビームEBが通過可能な部材であってもよい。
(3−5)第5変形例
続いて、第5変形例における走査型電子顕微鏡SEMeについて説明する。走査型電子顕微鏡SEMeは、上述した走査型電子顕微鏡SEMと比較して、ビーム照射装置1に代えて、ビーム照射装置1eを備えているという点において異なっている。走査型電子顕微鏡SEMeのその他の構造は、走査型電子顕微鏡SEMと同一であってもよい。このため、以下では、図20を参照しながら、第5変形例のビーム照射装置1eについて説明する。図20は、第5変形例のビーム照射装置1eの構造を示す断面図である。
図20に示すように、ビーム照射装置1eは、上述したビーム照射装置1と比較して、真空形成部材121の射出面121LSに、気体供給孔126eが形成されているという点において異なっている。ビーム照射装置1eのその他の構造は、ビーム照射装置1と同一であってもよい。
気体供給孔126eは、ビーム射出口1232及び排気溝124を取り囲むように形成される。気体供給孔126eは、射出面121LSにおいて離散的な配列パターンで離散的に配列するように、複数形成されてもよい。例えば、気体供給孔126eは、射出面121LSにおいて環状に配列するように、複数形成されてもよい。或いは、気体供給孔126eは、射出面121LSにおいて連続的な分布パターンで連続的に分布するように形成されていてもよい。例えば、環状の気体供給孔126eが、射出面121LSに形成されてもよい。
気体供給孔126eには、気体供給孔126eに連通するように真空形成部材121(更には、必要に応じて側壁部材122)に形成される配管127eを介して気体供給装置が連結されている。気体供給装置は、配管127eを介して気体供給孔126eに気体を供給する。気体は、例えばCDA(Clean Dry Air:クリーンドライエアー)、或いは、不活性ガスであってもよい。不活性ガスの一例として、窒素ガス及びアルゴンガスの少なくとも一方があげられる。気体供給孔126eは、気体供給装置から供給された気体を、ビーム通過空間SPb3の周囲の空間(つまり、真空領域VSPの周囲の空間)に向けて供給(例えば、噴出)する。ビーム通過空間SPb3の周囲の空間に向けて供給された気体は、ビーム通過空間SPb3への不要物質の進入を防止するエアカーテンとして機能する。その結果、ビーム通過空間SPb3の外部からビーム通過空間SPb3の内部へと進入した不要物質によって電子ビームEBの適切な照射が妨げられにくくなる。このため、ビーム照射装置1eは、電子ビームEBを試料Wに適切に照射することができる。尚、不要物質は、電子ビームEBの適切な照射を妨げる物質である。不要物質の一例として、例えば、水蒸気(つまり、気体状の水分子)及びレジスト由来のアウトガスがあげられる。
尚、気体供給孔126eのZ軸方向に沿った位置は、ビーム射出口1232及び排気溝124の少なくとも一方のZ軸方向に沿った位置よりも、試料Wから遠ざかる側(+Z方向側)であってもよい。
上述した説明では、走査型電子顕微鏡SEMは、電子ビーム照射装置1と待避部材223との間に真空領域VSPを新たに形成すると共に、当該新たに形成した真空領域VSPを維持したまま待避部材223から試料Wへと移動させることにより、電子ビーム照射装置1と試料Wとの間に真空領域VSPを新たに形成することに起因した試料Wの温度変化及び試料Wの熱変形を抑制した。しかしながら、第5変形例においては、真空領域VSPを新たに形成することに起因した試料Wの温度変化を予測して、当該温度変化を補償するように、気体供給孔126eを介して供給する気体の温度を調整しながら、試料Wと対向した状態において真空領域VSPを新たに形成してもよい。この場合、試料Wと対向した状態において真空領域VSPを新たに形成しても、真空領域VSPの形成に伴う試料Wの温度変化を打ち消すように調整された気体が供給されるので、試料Wの熱変形を抑制することができる。
(3−6)第6変形例
続いて、第6変形例における走査型電子顕微鏡SEMfについて説明する。走査型電子顕微鏡SEMfは、上述した走査型電子顕微鏡SEMと比較して、ステージ22に代えてステージ22fを備えているという点において異なっている。走査型電子顕微鏡SEMfのその他の構造は、走査型電子顕微鏡SEMと同一であってもよい。このため、以下では、図21を参照しながら、第6変形例のステージ22fについて説明する。図21は、第6変形例のステージ22fの構造を示す断面図である。
図21に示すように、ステージ22fは、上述したステージ22と比較して、外周部材222に代えて外周部材222fとを備えているという点で異なる。ステージ22fのその他の構造は、ステージ22のその他の構造と同一であってもよい。外周部材222fは、外周部材222fの上面OSが、保持部材221の保持面HSよりも、試料Wの厚み(つまり、Z軸方向の長さ)Whの規格値の範囲に応じて定まる所定量Wh_set1だけ上方に位置するという点で、外周部材222の上面OSが、保持部材221の保持面HSよりも試料Wの厚みWhだけ上方に位置する上述した外周部材222とは異なる。但し、所定量Wh_set1が試料Wの厚みWhと一致する場合には、外周部材222fの上面OSと保持面HSとの位置関係は、外周部材222の上面OSと保持面HSとの位置関係と一致する。外周部材222fのその他の構造は、外周部材222のその他の構造と同一であってもよい。尚、試料Wの厚みWhの規格値の範囲は、試料Wの厚みWhの公差、誤差の範囲と称してもよい。
所定量Wh_set1は、規格上許容される試料Wの厚みWhの下限値Wh_min以下となる任意の値であってもよい。例えば、試料Wが、直径が300ミリメートルとなる半導体基板(例えば、シリコンウェハ)である場合には、試料Wの厚みWhは、750マイクロメートルから800マイクロメートルの範囲に収まるように、JEIDA(Japan Electronics and Information Technology Industries Association)規格又はSEMI(Semiconductor Equipment and Material International))規格によって定められている。この場合、下限値Wh_minは、750マイクロメートルとなる。従って、外周部材222fの上面OSは、保持部材221の保持面HSよりも、750マイクロメートル以下となる所定量Wh_set1だけ上方に位置する。
このように規格上許容される試料Wの厚みWhの下限値Wh_min以下となる所定量Wh_set1を用いて外周部材222fの上面OSfが保持部材221の保持面HSに対して位置合わせされると、図22に示すように、ステージ22fの移動に伴ってビーム照射装置1が試料Wに対して移動する(特に、XY平面に沿った方向に沿って移動する)場合において、ビーム照射装置1と外周部材222fとの衝突が防止可能となる。特に、どのような試料Wがステージ22fに保持されたとしても、その試料Wが規格に合致したものである限りは、外周部材222fの上面OSが試料Wの表面WSよりも下方に位置することになる。このため、外周部材222fの上面OSが試料Wの表面WSよりも上方に位置する場合と比較して、ビーム照射装置1と側壁部材222fとが衝突する可能性が小さくなる。従って、どのような試料Wがステージ22fに保持されたとしても、その試料Wが規格に合致したものである限りは、ビーム照射装置1と外周部材222fとの衝突が防止可能となる。従って、第6変形例の走査型電子顕微鏡SEMfは、上述した走査型電子顕微鏡SEMが享受可能な効果と同様の効果を享受しつつも、ビーム照射装置1とステージ22fとの衝突(特に、外周部材222fとの衝突)を適切に防止することができる。
尚、第6変形例では、外周部材222fは、上述した外周部材222が備えている待避部材223を備えていてもよいし、備えていなくてもよい。外周部材222fが待避部材223を備えていない場合には、上述した待避部材223を利用した動作が行われなくてもよい。
(3−7)第7変形例
続いて、第7変形例における走査型電子顕微鏡SEMgについて説明する。走査型電子顕微鏡SEMgは、上述した走査型電子顕微鏡SEMと比較して、ステージ22に代えてステージ22gを備えているという点で異なっている。走査型電子顕微鏡SEMgのその他の構造は、走査型電子顕微鏡SEMと同一であってもよい。このため、以下では、図23(a)を参照しながら、第7変形例のステージ22gについて説明する。図23(a)は、第7変形例のステージ22gの構造を示す断面図である。
図23(a)に示すように、ステージ22gは、保持部材221gと、外周部材222gとを備えている。保持部材221gは、上述した保持部材221と比較して、外周部材222gから分離されているという点で異なる。保持部材221gのその他の構造は、保持部材221のその他の構造と同一であってもよい。外周部材222gは、上述した外周部材222と比較して、保持部材221gの保持面HSに交差する方向(つまり、保持部材221gが保持する試料Wの表面WSuに交差する方向であって、例えば、Z軸方向)に沿って移動可能であるという点で異なる。つまり、外周部材222gは、上述した外周部材222と比較して、保持部材221gの保持面HSに交差する方向に沿った、保持部材221gの保持面HSと外周部材222gの上面OSとの相対位置(つまり、保持部材221gが保持する試料Wの表面WSuと外周部材222gの上面OSとの相対位置)を変更可能であるという点で異なる。外周部材222gのその他の構造は、外周部材222のその他の構造と同一であってもよい。
外周部材222gを移動させるために、ステージ22gは、例えば、定盤21上に配置される支持部材223gと、支持部材223gに対して、保持面HSに交差する方向に沿って昇降可能なリフトピンbgとを備えている。リフトピン224gの上部には、外周部材222gの下面が接続されている。その結果、リフトピン224gの昇降に伴って、外周部材222gが昇降する(つまり、保持面HSに交差する方向に沿って移動する)。つまり、リフトピン224gの昇降に伴って、外周部材222gの上面OSが、保持面HSに交差する方向に沿って移動する。
第7変形例では特に、外周部材222gは、保持部材221gが保持する試料Wの表面WSuと外周部材222gの上面OSとの実際の相対位置に基づいて移動する。外周部材222gが移動することで表面WSuと上面OSとの相対位置が変わるため、外周部材222gは、表面WSuとの上面OSとの実際の相対位置に基づいて表面WSuと上面OSとの相対位置を変更するように移動すると言える。更に、表面WSuと上面OSとの実際の相対位置は、試料Wの実際の厚みWhに応じて変わるため、外周部材222gは、試料Wの厚みWhに基づいて表面WSuと上面OSとの相対位置を変更するように移動すると言える。
具体的には、例えば、外周部材222gの上面OSは、保持部材221gの保持面HSよりも、保持部材221が保持している試料Wの厚みWh以下となる所定量Wh_set2だけ上方に位置する。尚、所定量Wh_set2が試料Wの厚みWhと一致する場合には、外周部材222gの上面OSは、試料Wの上面(つまり、表面WSu)と同じ平面に位置する。つまり、外周部材222gの上面OSのZ軸に沿った位置は、試料Wの表面WSuのZ軸に沿った位置と揃う。一方で、所定量Wh_set2が試料Wの厚みWhより小さくなる場合には、外周部材222gの上面OSは、試料Wの表面WSuよりも下方に位置する。つまり、外周部材222gの上面OSは、試料Wの表面WSuよりも、保持部材221gの保持面HSに近くなる。このため、外周部材222gの上面OSの位置(特に、保持面HSに交差する方向における位置)は、保持部材221gが保持している試料Wの表面WSuの位置(特に、保持面HSに交差する方向における位置)に応じて変更されるとも言える。つまり、外周部材222gの上面OSが、保持部材221gが保持している試料Wの表面WSuと同じ高さに位置する又はより下方に位置するように、外周部材222gの位置が変更されるとも言える。
例えば、保持部材221gが保持している試料Wの厚みWhが700マイクロメートルである場合には、側壁部材222gの上面OSは、保持部材221gの保持面HSよりも、700マイクロメートル以下となる所定量Wh_set2だけ上方に位置する。例えば、厚みWhが700マイクロメートルとなる試料Wを保持していた保持部材221gが、保持する試料Wの交換によって厚みWhが800マイクロメートルとなる試料Wを保持することになった場合には、外周部材222gの上面OSが、保持部材221gの保持面HSよりも、800マイクロメートル以下となる所定量Wh_set2だけ上方に位置するように、外周部材222gが移動する。
このように外周部材222gの上面OSが保持部材221gの保持面HSに対して位置合わせされると、外周部材222gの上面OSが、保持部材221gが保持している試料Wの表面WSuと同じ高さに位置する又はより下方に位置することになる。このため、第7変形例においても、第6変形例と同様に、どのような試料Wがステージ22gに保持されたとしても、ビーム照射装置1と外周部材222gとの衝突が防止可能となる。特に、第7変形例では、規格に合致している試料Wのみならず、規格に合致していない試料Wがステージ22gに保持されたとしても、ビーム照射装置1と外周部材222gとの衝突が防止可能となる。従って、第7変形例の走査型電子顕微鏡SEMgは、上述した走査型電子顕微鏡SEMが享受可能な効果と同様の効果を享受しつつも、ビーム照射装置1とステージ22gとの衝突(特に、外周部材222gとの衝突)を適切に防止することができる。
但し、外周部材222gの上面OSが、保持部材221gが保持している試料Wの表面WSuよりも上方に位置するように移動してもよい。一方で、外周部材222gの上面OSが、試料Wの表面WSuよりも上方又は下方に位置する場合には、Z軸方向における上面OSと表面WSuとの間の距離によっては真空領域VSPが破壊される可能性がある。尚、真空領域VSPの破壊の理由については、図6(a)から図6(b)等を参照しながら既に説明しているため、その詳細な説明については省略する。このため、Z軸方向における上面OSと表面WSuとの間の距離Dgは、許容上限距離以下となっていてもよい。許容上限距離は、例えば、ビーム照射装置1と試料Wの表面WSuとの間における真空領域VSPの形成に支障をきたすほどには上面OSと表面WSuとがZ軸方向において大きくは離れていない状況における上面OSと表面WSuとの間の距離に応じて設定されてもよい。一例として、許容上限距離は、ビーム照射装置1と試料Wの表面WSuとの間に真空領域VSPが形成されている場合におけるビーム照射装置1と表面WSuとの間の距離(つまり、射出面121LSと表面WSuとの間の距離であり、例えば、1マイクロメートルから10マイクロメートル)よりも小さくてもよい。この場合、外周部材222gの上面OSと試料Wの表面WSuとに跨るように形成される真空領域VSPが破壊される可能性は相対的に小さくなる。
尚、第7変形例では、試料Wの厚みWhは、試料Wの表面WSuのうち真空領域VSPが接する(つまり、形成される又は面する)真空面部分の位置における厚みWhを意味していてもよい。この場合には、試料Wの厚みWhに基づいて試料Wの表面WSuと外周部材222gの上面OSとの相対位置を変更するように外周部材222gが移動することは、表面WSuのうち真空領域VSPが接する真空面部分と上面OSとの実際の相対位置に基づいて表面WSuと上面OSとの相対位置を変更するように外周部材222gが移動することと等価である。その結果、外周部材222gの上面OSが、表面WSuのうち真空領域VSPが接する真空面部分と同じ高さに位置する又はより下方に位置するように、外周部材222gの位置が変更される。
或いは、第7変形例では、試料Wの厚みWhは、試料Wの周縁部(つまり、外縁部)の厚みWhを意味していてもよい。この場合には、試料Wの厚みWhに基づいて試料Wの表面WSuと外周部材222gの上面OSとの相対位置を変更するように外周部材222gが移動することは、試料Wの表面WSuのうち試料Wの周縁部における面部分と上面OS(特に、上面OSのうち試料W側に近接する面部分であって、上面OSの周縁部(つまり、内縁部))との実際の相対位置に基づいて表面WSuと上面OSとの相対位置を変更するように外周部材222gが移動することと等価である。この場合には、外周部材222gの上面OS(特に、上面OSのうち試料W側に近接する面部分)が、表面WSuのうち試料Wの周縁部における面部分と同じ高さに位置する又はより下方に位置するように、外周部材222gの位置が変更されるとも言える。
尚、ステージ駆動系23により、支持部材223gは保持部材221gと共にXY平面内で移動可能であってもよい。また、図23(b)に示すように、支持部材223gは、定盤21に代えて保持部材221g1に取り付けられていてもよい。尚、保持部材221g1は、保持部材222gと比較して、支持部材223gの下方に延びて支持部材223gを下方から支持する部分221g1を備えているという点において異なる。保持部材221g1のその他の構造は、保持部材222gのその他の構造と同一であってもよい。
第7変形例では、外周部材222gは、上述した外周部材222が備えている待避部材223を備えていてもよいし、備えていなくてもよい。外周部材222gが待避部材223を備えていない場合には、上述した待避部材223を利用した動作が行われなくてもよい。
(3−8)第8変形例
続いて、図24から図26を参照しながら、第8変形例における走査型電子顕微鏡SEMhについて説明する。図24に示すように、走査型電子顕微鏡SEMhは、上述した走査型電子顕微鏡SEMと比較して、単一のステージ22を備えるステージ装置2に代えて、複数のステージ22hを備えるステージ装置2hを備えているという点において異なっている。尚、図24は、ステージ装置2hが2つのステージ22hを備えている例を示している。つまり、図24は、ツインステージ型の又はデュアルステージ型の走査型電子顕微鏡SEMhを示している。以下では、2つのステージ22hを夫々ステージ22h−1及び22h−2と称して、両者を区別する。走査型電子顕微鏡SEMhのその他の構造は、走査型電子顕微鏡SEMと同一であってもよい。
ステージ22h−1は、上述したステージ22と比較して、待避部材223を備えていなくてもよいという点において異なっている。ステージ22h−1のその他の構造は、ステージ22のその他の構造と同一であってもよい。つまり、ステージ22h−1は、保持部材221を備えており、且つ、上述した外周部材222と比較して待避部材223を備えていないという点において異なる外周部材222h−1を備えている。このため、第8変形例では、試料Wは、ステージ22h−1(特に、その保持部材221)によって保持される。外周部材222h−1のその他の構造は、外周部材222のその他の構造と同一であってもよい。
一方で、ステージ22h−2は、上述したステージ22と比較して、保持部材221及び外周部材222を備えていなくてもよい一方で、待避部材223を備えているという点において異なる。ステージ22h−2は、XY平面に沿った一の方向においてステージ22h−1に隣接する。従って、第8変形例の走査型電子顕微鏡SEMhにおいても、上述した走査型電子顕微鏡SEMと同様に、待避部材223は、XY平面内において保持部材221に隣接する位置において、保持部材221から離れる方向に広がる。ステージ22h−2のその他の構造は、ステージ22のその他の構造と同一であってもよい。つまり、走査型電子顕微鏡SEMhが備える待避部材223の構造は、上述した走査型電子顕微鏡SEMが備える待避部材223の構造と同一であってもよい。
続いて、図25から図26を参照しながら、複数のステージ22h−1及び22h−2を備えるステージ装置2hの動作の流れについて説明する。試料Wを計測しているとき(つまり、ステージ22h−1が試料を保持している期間の少なくとも一部では)、図25(a)に示すように、ビーム照射装置1は、試料Wに対向した状態で、試料Wとの間に真空領域VSPを形成している。試料Wの計測が完了した後、或いは試料Wの計測が完了する前のタイミングで、図25(b)に示すように、ステージ駆動系23は、XY平面に沿ってステージ22h−2を移動して、ステージ22h−1とステージ22h−2とが互いに近接させる。このとき、ステージ22h−1とステージ22h−2とのXY平面における間隔は、例えば1μmから10μm程度であってもよい。その後、ステージ22h−1とステージ22h−2とを同時にXY平面に沿って移動させ、図25(c)に示した真空領域VSPが2つのステージ22h−1及び22h−2の双方と接する状態を経て、図26(a)に示すように、真空領域VSPを待避部材223の上面ESに位置させる。その後、ステージ22h−1をXY平面内で移動させ、図26(b)に示すように、試料Wの搬入位置(ローディングポジション)又は搬出位置(アンローディングポジション)にステージ22h−2を位置させる。
尚、第8変型例において、ステージ22h−2によって試料Wを保持可能にする構成であってもよい。
第8変型例では、待避部材223と独立して試料Wを保持するステージ22h−1が移動可能であるため、ステージ22h−1の移動時の制約、例えば真空領域VSPを常に待避部材223の上面ES上に位置させなくてはならないという制約を少なくすることが可能である。
このようなステージ22h−1及び22h−2を備える走査型電子顕微鏡SEMhにおいても、上述した走査型電子顕微鏡SEMが享受可能な効果と同様の効果が享受可能となる。
尚、ステージ駆動系23は、ステージ22h−1及び22h−2を一体的に移動させてもよい。或いは、ステージ駆動系23は、ステージ22h−1及び22h−2を別個独立に移動させてもよい。或いは、走査型電子顕微鏡SEMhは、ステージ22h−1を移動させるためのステージ駆動系23と、ステージ22h−2を移動させるためのステージ駆動系23とを別個に備えていてもよい。
(3−9)第9変形例
続いて、第9変形例における走査型電子顕微鏡SEMiについて説明する。走査型電子顕微鏡SEMiは、上述した走査型電子顕微鏡SEMと比較して、ビーム照射装置1に代えて第4変形例のビーム照射装置1dを備えている(特に、ビーム通過空間SPb1のうち筐体111と共に囲まれた空間部分を密閉可能な遮断部材151d及び152dを備えている)という点において異なっている。更に、走査型電子顕微鏡SEMiは、上述した走査型電子顕微鏡SEMと比較して、ステージ22に代えて第7変形例のステージ22gを備えている(つまり、保持部材221gが保持する試料Wの表面WSuに交差する方向(例えば、Z軸方向)に沿って移動可能な外周部材222gを備えている)という点において異なっている。走査型電子顕微鏡SEMiのその他の構造は、走査型電子顕微鏡SEMと同一であってもよい。このため、走査型電子顕微鏡SEMiの構造の詳細な説明は省略する。
第9変形例では、走査型電子顕微鏡SEMiは、ビーム照射装置1の状態が非待避状態から待避状態へと又は待避状態から非待避状態へと切り替わる際に真空領域VSPを維持するための方法を適宜選択可能である。以下、図27を参照しながら、真空領域VSPを維持するための動作の流れについて説明する。
図27に示すように、制御装置4は、まず、真空領域VSPの移動元の面(以降、適宜“移動元面”と称する)のZ位置を特定する(ステップS11)。更に、制御装置4は、真空領域VSPの移動先の面(以降、適宜“移動先面”と称する)のZ位置を特定する(ステップS12)。尚、Z位置は、Z軸方向における位置を意味する。ビーム照射装置1の状態が非待避状態から待避状態へと切り替わる場合には、移動元面が試料Wの表面WSuに相当し、移動先面が外周部材222gの上面OS(特に、待避部材223の上面ES)に相当する。一方で、ビーム照射装置1の状態が待避状態から非待避状態へと切り替わる場合には、移動元面が外周部材222gの上面OS(特に、待避部材223の上面ES)に相当し、移動先面が試料Wの表面WSuに相当する。
ここで、図28を参照しながら、図27のステップS11において移動元面のZ位置を特定する動作の流れについて説明する。尚、図27のステップS12において移動先面のZ位置を特定する動作の流れは、移動元面のZ位置を特定する動作の流れと同一であるため、その詳細な説明を省略する。図28に示すように、制御装置4は、移動元面のZ位置に関する位置情報(以降、“Z位置情報”と称する)を既に保有しているか否かを判定する(ステップS111)。例えば、制御装置4は、移動元面のZ位置を計測可能な計測装置による過去の計測結果を示す情報を既に保有している場合には、Z位置情報を既に保有していると判定してもよい。
ステップS111における判定の結果、Z位置情報を制御装置4が既に保有していると判定された場合には(ステップS111:Yes)、制御装置4は、既に保有しているZ位置情報に基づいて、移動元面のZ位置を特定する(ステップS131)。他方で、ステップS111における判定の結果、Z位置情報を制御装置4が保有していないと判定された場合には(ステップS111:No)、制御装置4は、走査型電子顕微鏡SEMiが、Z位置情報を新たに取得するための位置情報取得装置を備えているか否かを判定する(ステップS112)。位置情報取得装置の一例として、移動元面のZ位置を計測可能な計測装置(例えば、レーザ干渉計及びエンコーダの少なくとも一方)があげられる。
ステップS112における判定の結果、走査型電子顕微鏡SEMiが位置情報取得装置を備えていると判定された場合には(ステップS112:Yes)、制御装置4は、位置情報取得装置にZ位置情報を新たに取得させるか否かを判定する(ステップS113)。ステップS113における判定の結果、位置情報取得装置にZ位置情報を新たに取得させると判定された場合には(ステップS113:Yes)、制御装置4は、位置情報取得装置にZ位置情報を新たに取得させた上で、新たに取得されたZ位置情報に基づいて、移動元面のZ位置を特定する(ステップS131)。
他方で、ステップS112における判定の結果、走査型電子顕微鏡SEMiが位置情報取得装置を備えていないと判定された場合(ステップS112:No)、又は、ステップS113における判定の結果、位置情報取得装置にZ位置情報を新たに取得させないと判定された場合には(ステップS113:No)、制御装置4は、移動元面を表面に含む物体(以降、“移動元物体”と称する)のZ軸方向における寸法(実質的には、厚み)に関する寸法情報(以降、“Z寸法情報”と称する)を既に保有しているか否かを判定する(ステップS121)。例えば、制御装置4は、移動元物体のZ軸方向における寸法を計測可能な計測装置による過去の計測結果を示す情報を既に保有している場合には、Z寸法情報を既に保有していると判定してもよい。尚、ビーム照射装置1の状態が非待避状態から待避状態へと切り替わる場合には、移動元物体が試料Wに相当し、移動先面を表面に含む物体(以降、“移動先物体”と称する)が外周部材222g(特に、待避部材223)に相当する。一方で、ビーム照射装置1の状態が待避状態から非待避状態へと切り替わる場合には、移動元物体が外周部材222g(特に、待避部材223)に相当し、移動先物体が試料Wに相当する。
ステップS121における判定の結果、Z寸法情報を制御装置4が既に保有していると判定された場合には(ステップS121:Yes)、制御装置4は、既に保有しているZ寸法情報に基づいて、移動元面のZ位置を特定(つまり、推定)する(ステップS132)。他方で、ステップS121における判定の結果、Z寸法情報を制御装置4が保有していないと判定された場合には(ステップS121:No)、制御装置4は、走査型電子顕微鏡SEMiが、Z寸法情報を新たに取得するための寸法情報取得装置を備えているか否かを判定する(ステップS122)。寸法情報取得装置の一例として、移動元物体の寸法を計測可能な計測装置(例えば、レーザスキャナ等)があげられる。
ステップS122における判定の結果、走査型電子顕微鏡SEMiが寸法情報取得装置を備えていると判定された場合には(ステップS122:Yes)、制御装置4は、寸法情報取得装置にZ寸法情報を新たに取得させるか否かを判定する(ステップS123)。ステップS123における判定の結果、寸法情報取得装置にZ寸法情報を新たに取得させると判定された場合には(ステップS123:Yes)、制御装置4は、寸法情報取得装置にZ寸法情報を新たに取得させた上で、新たに取得されたZ寸法情報に基づいて、移動元面のZ位置を特定(つまり、推定)する(ステップS132)。
他方で、ステップS122における判定の結果、走査型電子顕微鏡SEMiが寸法情報取得装置を備えていないと判定された場合(ステップS122:No)、又は、ステップS123における判定の結果、寸法情報取得装置にZ寸法情報を新たに取得させないと判定された場合には(ステップS123:No)、制御装置4は、移動元物体のZ軸方向における寸法が、移動元物体のZ軸方向における寸法の規格値であると推定する(ステップS124)。その上で、制御装置4は、移動元物体のZ軸方向における寸法の規格値に基づいて、移動元面のZ位置を特定(つまり、推定)する(ステップS132)。
再び図27において、その後、制御装置4は、ステップS11で特定した移動元面のZ位置とステップS12で特定した移動先面のZ位置との差分が、ビーム照射装置1と試料Wとの間の間隔Dの目標値である所望間隔D_targetに対して十分に小さいか否かを判定する(ステップS21)。つまり、制御装置4は、Z軸方向における移動元面と移動先面との間の間隔(或いは、距離)が、所望間隔D_targetに対して十分に小さいか否かを判定する。尚、移動元面のZ位置と移動先面のZ位置との差分(つまり、間隔)は、ビーム照射装置1の状態が非待避状態から待避状態へと又は待避状態から非待避状態へと切り替わる際に真空領域VSPが乗り越えるべき段差のZ軸方向におけるサイズに相当する。
Z位置の差分が所望間隔D_targetに対して十分に小さい状態か否かを判定することは、真空領域VSPが移動元面から移動先面に移動したとしても真空領域VSPが維持可能な程度にZ位置の差分が小さい(つまり、真空領域VSPが乗り越えるべき段差のZ軸方向におけるサイズが小さい)か否かを判定するために行われる。このため、Z位置の差分が所望間隔D_targetに対して十分に小さい状態は、真空領域VSPが移動元面から移動先面に移動したとしても真空領域VSPが維持可能な程度にZ位置の差分が小さい状態と等価であってもよい。つまり、Z位置の差分が所望間隔D_targetに対して十分に小さい状態は、移動元面との間に真空領域VSPを形成しているビーム照射装置1が移動先面に対向するようになるまでXY平面に沿って相対的に移動した場合であっても依然として移動先面との間に真空領域VSPを形成し続ける程度にZ位置の差分が小さい状態と等価であってもよい。言い換えれば、Z位置の差分が所望間隔D_targetに対して十分に小さい状態は、ビーム照射装置1と移動元面との間の間隔(つまり、出射面121LSのZ位置と移動元面のZ位置との差分)が、ビーム照射装置1と移動元面との間に形成される真空領域VSPを維持可能な間隔となり、且つ、ビーム照射装置1と移動先面との間の間隔(つまり、出射面121LSのZ位置と移動先面のZ位置との差分)が、ビーム照射装置1と移動先面との間に形成される真空領域VSPを維持可能な間隔となる程度にZ位置の差分が小さい状態と等価であってもよい。
ステップS21における判定の結果、Z位置との差分が所望間隔D_targetに対して十分に小さいと判定された場合には(ステップS21:Yes)、真空領域VSPが移動元面から移動先面に移動したとしても真空領域VSPが維持可能であると推定される。この場合には、ビーム照射装置1の状態が非待避状態から待避状態へと又は待避状態から非待避状態へと切り替わるように、ステージ駆動系23がXY平面に沿った方向におけるステージ22とビーム照射装置1との相対位置を調整する(ステップS31)。その結果、真空領域VSPが形成されたまま、ビーム照射装置1の状態が非待避状態から待避状態へと又は待避状態から非待避状態へと切り替わる(ステップS31)。つまり、真空領域VSPが、ビーム照射装置1と試料Wとの間の空間からビーム照射装置1と待避部材223との間の空間へと又はビーム照射装置1と待避部材223との間の空間からビーム照射装置1と試料Wとの間の空間へと移動する(ステップS31)。
但し、外周部材222gがZ軸方向に沿って移動可能であるがゆえに、移動元面と移動先面とが同じ高さに位置するとは限らない。つまり、移動元面が移動先面よりも低いかもしれないし、移動元面が移動先面よりも高いかもしれない。尚、移動元面が移動先面よりも低い状態は、移動元面と対向しているビーム照射装置1と移動元面との間の距離(具体的には、Z軸方向の距離であり且つZ軸方向における位置の差分、以下、第9変形例において同じ)よりも、XY平面に沿って相対的に移動して移動先面と対向することになったビーム照射装置1と移動先面との間の距離が小さい状態に相当する。一方で、移動元面が移動先面よりも高い状態は、移動元面と対向しているビーム照射装置1と移動元面との間の距離よりも、XY平面に沿って相対的に移動して移動先面と対向することになったビーム照射装置1と移動先面との間の距離が大きい状態に相当する。
ここで、仮に移動元面が移動先面よりも低い場合には、移動元面が移動先面よりも高い場合と比較して、ビーム照射装置1の状態が非待避状態から待避状態へと又は待避状態から非待避状態へと切り替わる過程で、ビーム照射装置1が移動先物体に衝突する可能性が相対的に高くなる。例えば、図29(a)は、ビーム照射装置1の状態が非待避状態から待避状態へと切り替わる場合において、移動元面である試料Wの表面WSuが、移動先面である外周部材222gの上面OSよりも低い例を示しており、図29(b)は、ビーム照射装置1の状態が非待避状態から待避状態へと切り替わる場合において、移動元面である試料Wの表面WSuが、移動先面である外周部材222gの上面OSよりも高い例を示している。例えば、図30(a)は、ビーム照射装置1の状態が待避状態から非待避状態へと切り替わる移動元面である外周部材222gの上面OSが、移動先面である試料Wの表面WSuよりも低い例を示しており、例えば、図30(b)は、ビーム照射装置1の状態が待避状態から非待避状態へと切り替わる移動元面である外周部材222gの上面OSが、移動先面である試料Wの表面WSuよりも高い例を示している。
このため、走査型電子顕微鏡SEMiは、移動元面が移動先面よりも低い場合には、ビーム照射装置1の状態を非待避状態から待避状態へと又は待避状態から非待避状態へと切り替えるためにステージ駆動系23を制御してステージ22gをXY平面に沿って移動させる(つまり、ビーム照射装置1をXY平面に沿って相対的に移動させる)前に、間隔調整系14を制御してビーム照射装置1と移動元面との間の距離を大きくする。例えば、図29(c)は、ビーム照射装置1の状態が非待避状態から待避状態へと切り替わる場合において、ビーム照射装置1と移動元面である試料Wの表面WSuとの間の距離が、距離d11から距離d12(但し、d12>d11)まで大きくなるようにZ軸方向に沿ってビーム照射装置1が移動する例を示している。例えば、図30(c)は、ビーム照射装置1の状態が待避状態から非待避状態へと切り替わる場合において、ビーム照射装置1と移動元面である外周部材222gの上面OSとの間の距離が、距離d21から距離d22(但し、d22>d21)まで大きくなるようにZ軸方向に沿ってビーム照射装置1が移動する例を示している。尚、図29(c)及び図30(c)では、移動前の外周部材222gが点線で示されており、移動後の外周部材222gが実線で示されている。この場合、ビーム照射装置1と移動元面との間の距離は、ビーム照射装置1と移動元面との間に真空領域VSPを形成可能(つまり、維持可能)であって、且つ、XY平面に沿って相対的に移動させて移動先面と対向することになったビーム照射装置1と移動先面との間に真空領域VSPを形成可能な距離に設定される。その結果、走査型電子顕微鏡SEMiは、ビーム照射装置1と移動先物体との衝突を防止しながら、真空領域VSPを維持することができる。
一方で、走査型電子顕微鏡SEMiは、移動元面が移動先面よりも高い場合には、ビーム照射装置1の状態を非待避状態から待避状態へと又は待避状態から非待避状態へと切り替えるためにステージ駆動系23を制御してステージ22gをXY平面に沿って移動させる(つまり、ビーム照射装置1をXY平面に沿って相対的に移動させる)前に、間隔調整系14を制御してビーム照射装置1と移動元面との間の距離を大きくしなくてもよい。この場合には、走査型電子顕微鏡SEMiは、ビーム照射装置1と移動元面との間の距離を維持したまま(例えば、上述した真空領域VSPを形成可能な距離に維持したまま)、ステージ駆動系23を制御してステージ22gをXY平面に沿って移動させることで、ビーム照射装置1の状態を非待避状態から待避状態へと又は待避状態から非待避状態へと切り替えてもよい。
他方で、ステップS21における判定の結果、Z位置の差分が所望間隔D_targetに対して十分に小さくないと判定された場合には(ステップS21:No)、真空領域VSPが移動元面から移動先面に移動すると、真空領域VSPが維持できない可能性がある。つまり、ビーム照射装置1と移動元面との間の間隔が、ビーム照射装置1と移動元面との間に形成される真空領域VSPを維持可能な間隔となる一方で、ビーム照射装置1と移動先面との間の間隔が、ビーム照射装置1と移動先面との間に形成される真空領域VSPを維持可能な間隔とならない可能性がある。そこで、この場合には、走査型電子顕微鏡SEMiは、真空領域VSPを維持するための動作を行う。
具体的には、まず、制御装置4は、Z軸方向に沿って外周部材222gが移動可能であるか否かを判定する(ステップS22)。ステップS22における判定の結果、外周部材222gが移動可能であると判定された場合には(ステップS22:Yes)、走査型電子顕微鏡SEMiは、真空領域VSPを維持するための動作として、外周部材222gを移動する動作を採用する。具体的には、走査型電子顕微鏡SEMiは、Z位置の差分が所望間隔D_targetに対して十分に小さくなるように、外周部材222g(つまり、移動元面又は移動先面)を移動させる(ステップS25)。その結果、ビーム照射装置1の状態を非待避状態から待避状態へと又は待避状態から非待避状態へと切り替える過程で、真空領域VSPが適切に維持可能となる。
この際、走査型電子顕微鏡SEMiは、外周部材222gを移動させた後におけるビーム照射装置1のZ位置と移動元面のZ位置との間の差分が、外周部材222gを移動させた後におけるビーム照射装置1のZ位置と移動先面のZ位置との間の差分よりも小さくなるように、外部部材222gを移動させてもよい。つまり、走査型電子顕微鏡SEMiは、移動元面が移動先面よりも高くなるように、外部部材222gを移動させてもよい。その結果、ビーム照射装置1の状態を非待避状態から待避状態へと又は待避状態から非待避状態へと切り替える過程で、ビーム照射装置1と移動先物体との衝突が防止可能となる。
更に、走査型電子顕微鏡SEMiは、外周部材222gを移動させた後における試料Wの表面WSuのZ位置と外周部材222gの上面OSのZ位置との間の差分が、外周部材222gを移動させる前における表面WSuのZ位置と上面OSのZ位置との間の差分よりも小さくなるように、外部部材222gを移動させてもよい。つまり、走査型電子顕微鏡SEMiは、Z軸方向において表面Wuと上面OSとが近づくように、外周部材222gを移動させてもよい。その結果、Z軸方向において表面Wuと上面OSとが遠ざかるように外周部材222gを移動する場合と比較して、Z位置の差分が所望間隔D_targetに対して十分に小さくなる可能性が高くなる。
例えば、図31(a)に示すように、移動元面である試料Wの表面WSuが移動先面である外周部材222gの上面OSよりも低い状況下でビーム照射装置1の状態が非待避状態から待避状態へと切り替わる場合には、走査型電子顕微鏡SEMiは、(i)表面Wuと上面OSとが近づいてZ位置の差分が所望間隔D_targetに対して十分に小さくなり、且つ、(ii)外周部材222gの上面OSが試料Wの表面WSuよりも低くなる(つまり、ビーム照射装置1と表面WSuとの間の間隔d31が、ビーム照射装置1と上面OSとの間の間隔d32よりも小さくなる)ように、移動部材222gを下げる。例えば、図31(b)に示すように、移動元面である試料Wの表面WSuが移動先面である外周部材222gの上面OSよりも高い状況下でビーム照射装置1の状態が非待避状態から待避状態へと切り替わる場合には、走査型電子顕微鏡SEMiは、(i)表面Wuと上面OSとが近づいてZ位置の差分が所望間隔D_targetに対して十分に小さくなり、且つ、(ii)外周部材222gの上面OSが試料Wの表面WSuよりも低くなる(つまり、ビーム照射装置1と表面WSuとの間の間隔d41が、ビーム照射装置1と上面OSとの間の間隔d42よりも小さくなる)ように、移動部材222gを上げる。例えば、図32(a)に示すように、移動元面である外周部材222gの上面OSが移動先面である試料Wの表面WSuよりも高い状況下でビーム照射装置1の状態が待避状態から非待避状態へと切り替わる場合には、走査型電子顕微鏡SEMiは、(i)表面Wuと上面OSとが近づいてZ位置の差分が所望間隔D_targetに対して十分に小さくなり、且つ、(ii)試料Wの表面WSuが外周部材222gの上面OSよりも低くなる(つまり、ビーム照射装置1と上面OSとの間の間隔d52が、ビーム照射装置1と表面WSuとの間の間隔d51よりも小さくなる)ように、移動部材222gを下げる。例えば、図32(b)に示すように、移動元面である外周部材222gの上面OSが移動先面である試料Wの表面WSuよりも低い状況下でビーム照射装置1の状態が待避状態から非待避状態へと切り替わる場合には、走査型電子顕微鏡SEMiは、(i)表面Wuと上面OSとが近づいてZ位置の差分が所望間隔D_targetに対して十分に小さくなり、且つ、(ii)試料Wの表面WSuが外周部材222gの上面OSよりも低くなる(つまり、ビーム照射装置1と上面OSとの間の間隔d62が、ビーム照射装置1と表面WSuとの間の間隔d61よりも小さくなる)ように、移動部材222gを上げる。尚、図31(a)から図32(b)では、移動前の外周部材222gが点線で示されており、移動後の外周部材222gが実線で示されている。
他方で、ステップS22における判定の結果、外周部材222gが移動可能でないと判定された場合には(ステップS22:No)、制御装置4は、真空ポンプ51及び52の少なくとも一方の排気速度を上げる(つまり、変更する)ことで、ビーム照射装置1の状態を非待避状態から待避状態へと又は待避状態から非待避状態へと切り替える過程で真空領域VSPを維持可能か否かを判定する(ステップS23)。つまり、制御装置4は、ビーム照射装置1の状態を非待避状態から待避状態へと又は待避状態から非待避状態へと切り替える過程で真空領域VSPを維持し続けることができる程度に真空ポンプ51及び52の少なくとも一方の排気速度を上げること可能か否かを判定する(ステップS23)。尚、真空ポンプ51及び52の少なくとも一方の排気速度が大きくなればなるほど、真空領域VSPを形成可能な所望間隔D_targetが大きくなる。つまり、真空ポンプ51及び52の少なくとも一方の排気速度が大きくなればなるほど、ビーム照射装置1と試料Wとの間の間隔Dがより大きい状況下で真空領域VSPを形成できる。尚、排気速度は、単位時間当たりに排気される気体の流量に比例するパラメータである。
ステップS23における判定の結果、真空ポンプ51及び52の少なくとも一方の排気速度を上げることで真空領域VSPを維持可能である(つまり、真空領域VSPを維持し続けることができる程度に真空ポンプ51及び52の少なくとも一方の排気速度を上げることが可能である)と判定された場合には(ステップS23:Yes)、走査型電子顕微鏡SEMiは、ビーム照射装置1の状態を非待避状態から待避状態へと又は待避状態から非待避状態へと切り替える過程で真空領域VSPを維持し続けることができる程度に真空ポンプ51及び52の少なくとも一方の排気速度を上げる(ステップS26)。その結果、ビーム照射装置1の状態を非待避状態から待避状態へと又は待避状態から非待避状態へと切り替える過程で、真空領域VSPが適切に維持可能となる。
他方で、ステップS23における判定の結果、真空ポンプ51及び52の少なくとも一方の排気速度を上げることで真空領域VSPを維持可能でない(つまり、真空領域VSPを維持し続けることができる程度に真空ポンプ51及び52の少なくとも一方の排気速度を上げることができない)と判定された場合には(ステップS23:No)、ビーム照射装置1の状態を非待避状態から待避状態へと又は待避状態から非待避状態へと切り替える過程で、真空領域VSPを形成し続けることができない可能性がある。そこで、この場合には、走査型電子顕微鏡SEMiは、真空領域VSPが破壊されてしまった場合に備えて、遮断部材151d及び152dを電子ビームEBの経路に挿入する(ステップS27)。その結果、ビーム通過空間SPb1のうち遮断部材151d及び152dの少なくとも一方と筐体111とによって囲まれた空間部分が密閉される(ステップS27)。このため、ビーム通過空間SPb1のうちの少なくとも一部の空間部分の真空度が維持される。
以上のステップS11からステップS27までの処理が行われた後に、走査型電子顕微鏡SEMiは、ビーム照射装置1の状態を非待避状態から待避状態へと又は待避状態から非待避状態へと実際に切り替える(ステップS31)。その結果、走査型電子顕微鏡SEMiは、ビーム照射装置1の状態を非待避状態から待避状態へと又は待避状態から非待避状態へと切り替える過程において、真空領域VSPを形成し続ける可能性がより一層高くなる。
(3−10)第10変形例
続いて、第10変形例における走査型電子顕微鏡SEMjについて説明する。走査型電子顕微鏡SEMjは、上述した走査型電子顕微鏡SEMと比較して、ステージ22に代えてステージ22jを備えているという点で異なっている。走査型電子顕微鏡SEMjのその他の構造は、走査型電子顕微鏡SEMと同一であってもよい。このため、以下では、図33(a)及び図33(b)を参照しながら、第10変形例のステージ22jについて説明する。図33(a)は、第10変形例のステージ22jの構造を示す斜視図であり、図33(b)は、図33(a)の斜視図におけるA−A断面図である。
図33(a)及び図33(b)に示すように、ステージ22jは、ステージ22と比較して、待避部材223に代えて、待避部材223jを備えているという点において異なる。図34(b)に示すように、ステージ22jは、外周部材222の一部に設けられた凹部に載置される待避部材223jを備える。ステージ22jのその他の構造は、ステージ22のその他の構造と同一であってもよい。
待避部材223jは、待避部材223と比較して、ステージ22jから着脱可能(つまり、離脱可能及び/又は装着可能)であるという点において異なる。待避部材223jは、板部分223j1と、この板部分223j1の上側の複数箇所に設けられた突起部223j2とを備えている。また、ステージ22jに設けられた凹部には、図示なき真空ポンプと連通した配管223j3が設けられている。この配管223j3に連通した真空ポンプは、上述した真空ポンプ51と同程度の排気能力を有していてもよい。尚、図33(a)及び図33(b)の例において、これらの複数の突起部223j2の数は3であるが、複数の突起部223j2の数は3には限定されない。また、複数の突起部223j2のZ軸方向の寸法(高さ)は、数μm程度であってよい。
続いて、図34(a)から図34(d)を参照しながら、待避部材223jによる真空領域VSPを維持する動作の流れについて説明する。試料Wを計測しているとき(つまり、ステージ22jが試料Wを保持している期間の少なくとも一部)では、図34(a)に示すように、ビーム照射装置1は、試料Wに対向した状態で、試料Wとの間に真空領域VSPを形成している。試料Wの計測が完了した後、図34(b)に示すように、ステージ駆動系23は、XY平面に沿ってステージ22jを移動して、ビーム照射装置1の射出面121LSを待避部材223jと対向させる。このとき、ビーム照射装置1の射出面121LSと、待避部材223jの板部分223j1とのZ軸方向に沿った間隔は、射出面121LSと板部分223j1との間に局所的な真空領域VSPが形成される程度の間隔、典型的には10μm程度である。ここで、配管223j3を介して真空ポンプによる排気が行われているため、待避部材223jの板部分223j1は、ビーム照射装置1に引き寄せられない。配管223j3を介した真空ポンプによる排気は、局所的な真空領域VSPを形成するための排気速度よりも高い排気速度であってもよい。
その後、図34(c)に示すように、間隔制御系14及びステージ駆動系23の少なくとも一方により、ビーム照射装置1の射出面121LSと複数の突起部分223j2とが接触するように、射出面121LSと待避部材223jとの間隔が調整される。射出面121LSと複数の突起部分223j2とが接触した後、配管223j3を介した排気の排気速度を低め、待避部材223jをビーム照射装置1の射出面121LSに真空吸着させる。その後、図34(d)に示すように、間隔制御系14及びステージ駆動系23の少なくとも一方により、ビーム照射装置1の射出面121LSとステージ22jとの間隔を広げる。この動作の後、ステージ22jを移動させて、例えば、試料Wの搬入位置又は搬出位置に位置させる。
図33(a)から図34(d)に示す例では、待避部材223jの複数の突起部分223j2によって、待避部材223jの板部分223j1と射出面121LSとの間に、突起部分223j2の高さによって決まる間隙が形成される。この間隙の間隔は、数μm程度であるため、板部分223j1とビーム照射装置1の射出面121LSとの間には局所的な真空領域VSPが維持され続ける。
このようなステージ22jを備える走査型電子顕微鏡SEMjにおいても、上述した走査型電子顕微鏡SEMが享受可能な効果と同様の効果が享受可能となる。更に、走査型電子顕微鏡SEMjにおいても、第8変形例の走査型電子顕微鏡SEMhと同様に、待避部材223jと独立して試料Wを保持するステージ22jが移動可能であるため、ステージ22jの移動時の制約、例えば真空領域VSPを常に待避部材223jの上面ES上に位置させなくてはならないという制約を少なくすることが可能である。
(3−11)第11変形例
続いて、第11変形例における走査型電子顕微鏡SEMkについて説明する。走査型電子顕微鏡SEMkは、上述した走査型電子顕微鏡SEMと比較して、ステージ22に代えてステージ22kを備えているという点で異なっている。走査型電子顕微鏡SEMkのその他の構造は、走査型電子顕微鏡SEMと同一であってもよい。このため、以下では、図35(a)及び図35(b)を参照しながら、第11変形例のステージ22kについて説明する。図35(a)及び図35(b)の夫々は、第11変形例のステージ22kの構造を示す断面図である。
図35(a)及び図35(b)に示すように、ステージ22kは、ステージ22と比較して、外周部材222及び待避部材223に代えて、外周部材222k及び待避部材223kを備えているという点において異なる。ステージ22kのその他の構造は、ステージ22のその他の構造と同一であってもよい。
外周部材222kは、外周部材222と比較して、待避部材223を含んでいなくてもよいという点において異なる。外周部材222kのその他の構造は、外周部材222のその他の構造と同一であってもよい。
待避部材223kは、待避部材223と比較して、外周部材222の外側において跳ね上げ可能に設けられているという点において異なる。例えば、図35(a)に示すように、待避部材223kは、外周部材222kの側方に設けられていてもよい。待避部材223kの状態は、その上面ESが試料Wの表面WSuとほぼ一致するように跳ね上げられた状態と、その上面ESが側方を向くように折りたたまれた状態との間で切り替え可能であってもよい。待避部材223k上に局所的な真空領域VSPが位置する待避状態において、図35(a)に示すように、待避部材223kはその上面ESが試料Wの表面WSuとほぼ一致するように跳ね上げられた状態に設定される。また、待避状態と異なる状態において、待避部材223kは、図35(b)に示すように、その上面ESが側方を向く格納状態に設定される。この図35(a)及び図35(b)の例においては、待避部材223kに起因するステージ22kのストロークが制限される不都合を少なくすることが可能である。
このようなステージ22kを備える走査型電子顕微鏡SEMkにおいても、上述した走査型電子顕微鏡SEMが享受可能な効果と同様の効果が享受可能となる。
(3−12)第12変形例
続いて、図36を参照しながら、第12変形例の走査型電子顕微鏡SEMlについて説明する。図36は、第12変形例の走査型電子顕微鏡SEMlの構造を示す断面図である。
図36に示すように、第12変形例の走査型電子顕微鏡SEMlは、上述した走査型電子顕微鏡SEMと比較して、光学顕微鏡17lを備えているという点で異なる。走査型電子顕微鏡SEMlのその他の構造は、上述した走査型電子顕微鏡SEMのその他の構造と同一であってもよい。
光学顕微鏡17lは、試料Wの状態(例えば、試料Wの表面WSuの少なくとも一部の状態)を光学的に計測可能な装置である。つまり、光学顕微鏡17lは、試料Wの状態を光学的に計測して、試料Wに関する情報を取得可能な装置である。特に、光学顕微鏡17lは、試料Wの状態を大気圧環境下で計測可能であるという点で、試料Wの状態を真空環境下で計測するビーム照射装置1(特に、電子検出器116)とは異なる。
光学顕微鏡17lは、ビーム照射装置1が電子ビームEBを試料Wに照射して試料Wの状態を計測する前に、試料Wの状態を計測する。つまり、走査型電子顕微鏡SEMlは、光学顕微鏡17lを用いて試料Wの状態を計測した後に、ビーム照射装置1を用いて試料Wの状態を計測する。ここで、光学顕微鏡17lが大気圧環境下で試料Wの状態を計測可能であるため、光学顕微鏡17lが試料Wの状態を計測している期間中は、ビーム照射装置1は、真空領域VSPを形成しなくてもよい。一方で、ビーム照射装置1は、光学顕微鏡17lが試料Wの状態の計測を完了した後に、真空領域VSPを形成して試料Wに電子ビームEBを照射する。
ステージ22は、ビーム照射装置1が電子ビームEBを試料Wに照射する期間中は、ビーム照射装置1が電子ビームEBを照射可能な位置に試料Wが位置するように移動してもよい。ステージ22は、電子顕微鏡17lが試料Wの状態を計測する期間中は、光学顕微鏡17lが試料Wの状態を計測可能な位置試料Wが位置するように移動してもよい。ステージ22は、ビーム照射装置1が電子ビームEBを照射可能な位置と、光学顕微鏡17lが計測可能な位置との間で移動してもよい。
走査型電子顕微鏡SEMlは、光学顕微鏡17lを用いた試料Wの状態の計測結果に基づいて、ビーム照射装置1を用いて試料Wの状態を計測してもよい。例えば、走査型電子顕微鏡SEMlは、まず、光学顕微鏡17lを用いて、試料Wのうちの所望領域の状態を計測してもよい。その後、走査型電子顕微鏡SEMlは、光学顕微鏡17lを用いた試料Wの所望領域の状態の計測結果に基づいて、ビーム照射装置1を用いて試料Wの同じ所望領域の状態(或いは、所望領域とは異なる領域の状態)を計測してもよい。この場合、試料Wの所望領域には、ビーム照射装置1を用いた試料Wの状態の計測のために利用可能な所定の指標物が形成されていてもよい。所定の指標物の一例として、例えば、試料Wとビーム照射装置1との位置合わせに用いられるマーク(例えば、フィデュシャルマーク及びアライメントマークの少なくとも一方)があげられる。
或いは、上述したように、試料Wの表面WSuには、微細な凹凸パターンが形成されている。例えば、試料Wが半導体基板である場合には、微細な凹凸パターンの一例として、レジストが塗布された半導体基板が露光装置によって露光され且つ現像装置によって現像された後に半導体基板に残るレジストパターンがあげられる。この場合、例えば、走査型電子顕微鏡SEMlは、まず、光学顕微鏡17lを用いて、試料Wのうちの所望領域に形成された凹凸パターンの状態を計測してもよい。その後、走査型電子顕微鏡SEMlは、光学顕微鏡17lを用いた試料Wの所望領域の状態の計測結果(つまり、所望領域に形成された凹凸パターンの状態の計測結果)に基づいて、ビーム照射装置1を用いて試料Wの同じ所望領域に形成された凹凸パターンの状態を計測してもよい。例えば、走査型電子顕微鏡SEMlは、光学顕微鏡17lの計測結果に基づいて、凹凸パターンの計測に最適な電子ビームEBが照射されるように電子ビームEBの特性を制御した上で、ビーム照射装置1を用いて試料Wの同じ所望領域に形成された凹凸パターンの状態を計測してもよい。
このような第12変形例の走査型電子顕微鏡SEMlは、走査型電子顕微鏡SEMが享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。加えて、第12変形例の走査型電子顕微鏡SEMlは、光学顕微鏡17lを備えていない比較例の走査型電子顕微鏡と比較して、電子ビームEBを用いて試料Wの状態をより適切に計測することができる。
尚、上述した説明では、走査型電子顕微鏡SEMlは、光学顕微鏡17lを用いて試料Wの状態を計測した後に、ビーム照射装置1を用いて試料Wの状態を計測している。しかしながら、走査型電子顕微鏡SEMlは、光学顕微鏡17lを用いた試料Wの状態の計測と、ビーム照射装置1を用いた試料Wの状態の計測とを並行して行ってもよい。例えば、走査型電子顕微鏡SEMlは、試料Wの所望領域の状態を、光学顕微鏡17l及びビーム照射装置1を用いて同時に計測してもよい。或いは、走査型電子顕微鏡SEMlは、光学顕微鏡17lを用いた試料Wの第1領域の状態の計測と、ビーム照射装置1を用いた試料Wの第2領域(但し、第2領域は第1領域とは異なる)の状態の計測とを並行して行ってもよい。
また、走査型電子顕微鏡SEMlは、光学顕微鏡17lに加えて又は代えて、大気圧環境下で試料Wの状態を計測可能な任意の計測装置を備えていてもよい。任意の計測装置の一例として、回折干渉計があげられる。尚、回折干渉計は、例えば、光源光を分岐して計測光及び参照光を生成し、計測光を試料Wに照射して発生する反射光(或いは、透過光又は散乱光)と参照光とが干渉することで発生する干渉パターンを検出して試料Wの状態を計測する計測装置である。尚、任意の計測装置の他の一例として、スキャトロメータが挙げられる。スキャトロメータは、試料Wに計測光を照射して、試料Wからの散乱光(回折光等)を受光して試料Wの状態を計測する計測装置である。
また、上述した走査型電子顕微鏡SEMlの説明では、走査型電子顕微鏡SEMが光学顕微鏡17lを備えていることになっている。しかしながら第1変形例の走査型電子顕微鏡SEMaから第11変形例の走査型電子顕微鏡SEMk(更には、後述する第13変形例の走査型電子顕微鏡SEMm)のそれぞれが光学顕微鏡17lを備えていてもよい。
(3−13)第13変形例
続いて、図37を参照しながら、第13変形例の走査型電子顕微鏡SEMmについて説明する。図37は、第13変形例の走査型電子顕微鏡SEMmの構造を示す断面図である。
図37に示すように、第13変形例の走査型電子顕微鏡SEMmは、上述した走査型電子顕微鏡SEMと比較して、チャンバ181mと、空調機182mとを備えているという点で異なる。走査型電子顕微鏡SEMmのその他の構造は、上述した走査型電子顕微鏡SEMのその他の構造と同一であってもよい。
チャンバ181mは、少なくともビーム照射装置1と、ステージ装置2と、支持フレーム3とを収容する。但し、チャンバ181mは、ビーム照射装置1、ステージ装置2及び支持フレーム3の少なくとも一部を収容していなくてもよい。チャンバ181mは、走査型電子顕微鏡SEMmが備えるその他の構成要件(例えば、位置計測装置15、制御装置4及びポンプ系5の少なくとも一部)を収容していてもよい。
チャンバ181mの外部の空間は、例えば、大気圧空間である。チャンバ181mの内部の空間(つまり、少なくともビーム照射装置1と、ステージ装置2と、支持フレーム3とを収容する空間)もまた、例えば、大気圧空間である。この場合、少なくともビーム照射装置1と、ステージ装置2と、支持フレーム3とは、大気圧空間に配置される。但し、上述したように、チャンバ181mの内部の大気圧空間内に、ビーム照射装置1が局所的な真空領域VSPを形成する。
空調機182mは、チャンバ181mの内部の空間に気体(例えば、上述した不活性ガス及びクリーンドライエアーの少なくとも一方)を供給可能である。空調機182mは、チャンバ181mの内部の空間から気体を回収可能である。空調機182mがチャンバ181mの内部の空間から気体を回収することで、チャンバ181mの内部の空間の清浄度が良好に保たれる。この際、空調機182mは、チャンバ181mの内部の空間に供給する気体の温度及び湿度の少なくとも一方を制御することで、チャンバ181mの内部の空間の温度及び湿度の少なくとも一方を制御可能である。
このような第13変形例の走査型電子顕微鏡SEMmは、走査型電子顕微鏡SEMが享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。
尚、上述した走査型電子顕微鏡SEMmの説明では、走査型電子顕微鏡SEMがチャンバ181m及び空調機182mを備えていることになっている。しかしながら第1変形例の走査型電子顕微鏡SEMaから第12変形例の走査型電子顕微鏡SEMlのそれぞれがチャンバ181m及び空調機182mを備えていてもよい。
(3−14)第14変形例
上述した説明では、試料Wは、真空領域VSPが試料Wの表面WSuのうちの一部しか覆うことができない程度に大きいサイズを有している。一方で、第14変形例では、第14変形例においてステージ22が試料Wを保持する様子を示す断面図である図38に示すように、試料Wは、真空領域VSPが試料Wの表面WSuの全体を覆うことができる程度に小さいサイズを有していてもよい。或いは、試料Wは、真空領域VSPに含まれるビーム通過空間SPb3が試料Wの表面WSuの全体を覆うことができる程度に小さいサイズを有していてもよい。この場合、図38に示すように、差動排気系12が形成する真空領域VSPは、試料Wの表面WSuを覆う及び/又は試料Wの表面WSuに面する(つまり、接する)ことに加えて、ステージ22の表面(例えば、ステージ22の表面のうち保持面HSとは異なる外周面OS)の少なくとも一部を覆っていてもよい及び/又はステージ22の表面(例えば、外周面OS)の少なくとも一部に面していてもよい。外周面OSは、典型的には、保持面HSの周囲に位置する面を含む。尚、図38は、説明の便宜上、走査型電子顕微鏡SEMが、第14変形例で説明しているサイズが小さい試料Wに電子ビームEBを照射する例を示しているが、第1変形例の走査型電子顕微鏡SEMaから第13変形例の走査型電子顕微鏡SEMmのそれぞれもまた、第14変形例で説明しているサイズが小さい試料Wに電子ビームEBを照射してもよいことはいうまでもない。
第14変形例では、走査型電子顕微鏡SEMは、ビーム射出装置1の射出面121LSと試料Wの表面WSuとの間の間隔Dが所望間隔D_targetとなることに代えて、射出面121LSとステージ22の表面(例えば、外周面OS)との間の間隔Do1が所望間隔D_targetとなるように、間隔調整系14及びステージ駆動系23の少なくとも一方を制御してもよい。
(3−15)第15変形例
上述した第14変形例では、ステージ22の保持面HSとステージ22の外周面OSとが同じ高さに位置していた。一方で、第15変形例では、第15変形例においてステージ22が試料Wを保持する様子を示す断面図である図39に示すように、保持面HSと外周面OSとが異なる高さ(つまり、Z軸方向において異なる位置)に位置していてもよい。図38は、保持面HSが外周面OSよりも低い位置に位置する例を示しているが、保持面HSが外周面OSよりも高い位置に位置していてもよい。保持面HSが外周面OSよりも低い位置に位置する場合には、ステージ22には、実質的には、試料Wが収容される収容空間(つまり、試料Wを収容できるように窪んだ空間)が形成されていると言える。また、図38は、外周面OSが試料Wの表面WSuよりも高い位置に位置する例を示しているが、外周面OSが表面WSuよりも低い位置に位置していてもよいし、外周面OSが表面WSuと同じ高さに位置していてもよい。尚、図39は、説明の便宜上、走査型電子顕微鏡SEMが、第15変形例で説明した外周面OSとは高さが異なる保持面HSに保持された試料Wに電子ビームEBを照射する例を示しているが、第1変形例の走査型電子顕微鏡SEMaから第13変形例の走査型電子顕微鏡SEMmのそれぞれもまた、第15変形例で説明した外周面OSとは高さが異なる保持面HSに保持された試料Wに電子ビームEBを照射してもよいことはいうまでもない。
第15変形例では、第14変形例と同様に、試料Wは、真空領域VSPが試料Wの表面WSuの全体を覆うことができる程度に小さいサイズを有していてもよい。この場合、第14変形例と同様に、差動排気系12が形成する真空領域VSPは、試料Wの表面WSuを覆う及び/又は試料Wの表面WSuに面することに加えて、ステージ22の表面(例えば、外周面OS)の少なくとも一部を覆っていてもよい及び/又はステージ22の表面(例えば、外周面OS)の少なくとも一部に面していてもよい。或いは、試料Wは、真空領域VSPが試料Wの表面WSuのうちの一部しか覆うことができない程度に大きいサイズを有していてもよい。この場合、差動排気系12が形成する真空領域VSPは、試料Wの表面WSuの一部を覆う及び/又は試料Wの表面WSuの一部に面する一方で、ステージ22の表面(例えば、外周面OS)の少なくとも一部を覆っていなくてもよい及び/又はステージ22の表面(例えば、外周面OS)の少なくとも一部に面していなくてもよい。
第15変形例においても、第14変形例と同様に、走査型電子顕微鏡SEMは、射出面121LSと表面WSuとの間の間隔Dが所望間隔D_targetとなることに代えて、射出面121LSとステージ22の表面(例えば、外周面OS)との間の間隔Do1が所望間隔D_targetとなるように、間隔調整系14及びステージ駆動系23の少なくとも一方を制御してもよい。
(3−16)第16変形例
第16変形例では、第16変形例においてステージ22が試料Wを保持する様子を示す断面図である図40に示すように、試料Wは、カバー部材25によって覆われていてもよい。つまり、試料Wとビーム照射装置1(特に、射出面121LS)との間にカバー部材25が配置されている状態で、電子ビームEBが試料Wに照射されてもよい。この際、カバー部材25に貫通孔が形成されていてもよく、電子ビームEBは、カバー部材25の貫通孔を介して試料Wに照射されてもよい。カバー部材25は、試料Wの表面WSuに接するように又は表面WSuとの間に間隙を確保するように試料Wの上方に配置されていてもよい。この場合、差動排気系12は、試料Wの表面WSuの少なくとも一部を覆う真空領域VSPに代えて、カバー部材25の表面25sの少なくとも一部を覆う真空領域VSPを形成してもよい。差動排気系12は、試料Wの表面WSuに接する真空領域VSPに代えて、カバー部材25の表面25sに接する真空領域VSPを形成してもよい。尚、図40は、説明の便宜上、走査型電子顕微鏡SEMが、第16変形例で説明したカバー部材25で覆われた試料Wに電子ビームEBを照射する例を示しているが、第1変形例の走査型電子顕微鏡SEMaから第13変形例の走査型電子顕微鏡SEMmのそれぞれもまた、第16変形例で説明したカバー部材25で覆われた試料Wに電子ビームEBを照射してもよいことはいうまでもない。
カバー部材25の表面25sは、待避部材223の上面ESと同じ高さに位置していてもよい。この場合、待避部材223は、ステージ22の移動に伴ってビーム照射装置1がカバー部材25と待避部材223との間で移動する場合に真空領域VSPを維持するために利用可能であってもよい。第2変形例において、カバー部材25と待避部材223との間の空間の少なくとも一部が排気されてもよい。第3変形例において、カバー部材25と待避部材223との間の間隔が、カバー部材25と外周部材222のうちの待避部材223以外の部分との間の間隔とは異なるように、カバー部材25がステージ22に載置されてもよい。第7変形例において、外周部材222gは、試料Wの表面WSuと外周部材222gの上面OSとの相対位置に基づいて移動する場合と同様に、カバー部材25の表面25sと外周部材222gの上面OSとの相対位置に基づいて移動してもよい。第9変形例において、真空領域VSPの移動元の面及び/又は移動先の面は、試料Wの表面WSuに加えて又は代えて、カバー部材25の表面25sの少なくとも一部を含んでいてもよい。
第16変形例では、試料Wは、真空領域VSPが試料Wの表面WSuの全体を覆うことができる程度に小さいサイズを有していてもよいし、真空領域VSPが試料Wの表面WSuのうちの一部しか覆うことができない程度に大きいサイズを有していてもよい。
第16変形例では、走査型電子顕微鏡SEMは、射出面121LSと表面WSuとの間の間隔Dが所望間隔D_targetとなることに代えて、射出面121LSとカバー部材25の表面25sとの間の間隔Do2が所望間隔D_targetとなるように、間隔調整系14及びステージ駆動系23の少なくとも一方を制御してもよい。
(3−17)その他の変形例
上述した説明では、外周部材222は、XY平面に沿った一の方向において保持部材221に隣接する待避部材223を含んでいる。しかしながら、外周部材222は、XY平面に沿った複数の異なる方向において保持部材221に夫々隣接する複数の待避部材223を含んでいてもよい。例えば、図41(a)に示すように、外周部材222は、保持部材221よりも−Y側において保持部材221に隣接する待避部材223−1と、保持部材221よりも+Y側において保持部材221に隣接する待避部材223−2とを含んでいてもよい。例えば、図41(b)に示すように、外周部材222は、保持部材221よりも−Y側において保持部材221に隣接する待避部材223−1と、保持部材221よりも+Y側において保持部材221に隣接する待避部材223−2と、保持部材221よりも−X側において保持部材221に隣接する待避部材223−3と、保持部材221よりも+X側において保持部材221に隣接する待避部材223−4とを含んでいてもよい。この場合には、各待避部材223−1から223−1は、上述した待避部材223と同様に利用可能である。
上述した説明では、差動排気系12は、単一の排気機構(具体的には、排気溝124及び配管125)を備える1段式の差動排気系を備えている。しかしながら、複数の排気機構を備える多段式の差動排気系であってもよい。この場合、真空形成部材121の射出面121LSには、複数の排気溝124が形成され、真空形成部材121には、複数の排気溝124に夫々連通する複数の配管125が形成される。複数の配管125は、夫々、ポンプ系5が備える複数の真空ポンプ52に接続される。複数の真空ポンプ52の排気能力は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
走査型電子顕微鏡SEMに限らず、電子ビームEBを試料W(或いは、その他の任意の物体)に照射する任意の電子ビーム装置が、上述した走査型電子顕微鏡SEMと同様の構造を有していてもよい。つまり、任意の電子ビーム装置が、上述したステージ22を備えていてもよい。任意の電子ビーム装置の一例として、電子ビームEBを用いて電子線レジストが塗布されたウェハを露光することでウェハにパターンを形成する電子ビーム露光装置、及び、電子ビームEBを母材に照射して発生する熱で母材を溶接する電子ビーム溶接装置の少なくとも一方があげられる。
或いは、電子ビーム装置に限らず、電子ビームEBとは異なる任意の荷電粒子ビーム又はエネルギビーム(例えば、イオンビーム)を任意の試料W(或いは、その他の任意の物体)に照射する任意のビーム装置が上述した走査型電子顕微鏡SEMと同様の構造を有していてもよい。つまり、荷電粒子ビーム又はエネルギビームを照射可能なビーム光学系を備える任意のビーム装置が、上述したステージ22を備えていてもよい。任意のビーム装置の一例として、集束したイオンビームを試料に照射し加工や観察を行う集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)装置、及び、軟X線領域(例えば5〜15nmの波長域)のEUV(Extreme Ultraviolet)光を用いてレジストが塗布されたウェハを露光することでウェハにパターンを形成するEUV露光装置の少なくとも一方があげられる。或いは、ビーム装置に限らず、電子を含む任意の荷電粒子を、ビームとは異なる照射形態で任意の試料W(或いは、その他の任意の物体)に照射する任意の照射装置が上述した走査型電子顕微鏡SEMと同様の構造を有していてもよい。つまり、荷電粒子を照射(例えば、放出、生成、噴出又は)可能な照射系を備える任意の照射装置が、上述したステージ22を備えていてもよい。任意の照射装置の一例として、プラズマを用いて物体をエッチングするエッチング装置、及び、プラズマを用いて物体に成膜処理を行う成膜装置(例えば、スパッタリング装置等のPVD(Physical Vapor Deposition)装置、及び、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置の少なくとも一方)の少なくとも一方があげられる。
或いは、荷電粒子に限らず、任意の物質を照射と異なる形態で任意の試料W(或いは、その他の任意の物体)に真空下で作用させる任意の真空装置が上述した第1実施形態の走査型電子顕微鏡SEMaから第13実施形態の走査型電子顕微鏡SEMmのうちの少なくとも一つと同様の構造を有していてもよい。任意の真空装置の一例として、真空中で蒸発又は昇華させた材料の蒸気を試料に到達させて蓄積させる事で膜を形成する真空蒸着装置があげられる。
(4)付記
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
[付記1]
物体の表面の一部を覆い前記物体と接する真空領域を局所的に形成可能な真空形成装置と、前記物体を保持可能な保持面を有する保持装置と、前記保持面の周囲の少なくとも一部に位置する外部面と、前記物体の表面と前記外部面との間の間隙を排気する排気装置とを備える局所真空装置。
[付記2]
前記保持面に保持された前記物体の表面に沿った方向において、前記保持面に保持された前記物体と前記真空形成部材との相対位置を変更する位置変更装置を備え、前記排気装置は、前記相対位置の変更によって前記真空領域の少なくとも一部の位置が前記間隙の少なくとも一部の位置が前記物体の表面に沿った方向において重なるとき前記間隙を排気する付記1に記載の局所真空装置。
[付記3]
前記排気装置と連通し、前記間隙と面する開口を有し、前記排気装置は、前記開口を介して前記間隙を排気する付記1又は2に記載の局所真空装置。
[付記4]
前記開口は、前記間隙に複数あり、前記複数の開口のうち、前記物体の表面に沿った方向における位置が前記真空領域の前記物体の表面に沿った方向における範囲に含まれる開口を介して、前記排気装置は前記間隙を排気する付記3に記載の局所真空装置。
[付記5]
前記開口は、前記間隙に複数あって、前記複数の開口のうち一部の開口を介して前記排気装置は前記間隙を排気し、少なくとも一つの前記一部の開口は、前記複数の開口のうち少なくとも一つの他の開口よりも前記物体の表面に沿った方向における位置が前記真空領域に近い付記4に記載の局所真空装置。
[付記6]
前記真空領域は前記物体の表面の一部と接する付記1から5のいずれか一項に記載の局所真空装置。
[付記7]
前記真空領域が形成されているときに、前記物体の表面の少なくとも別の一部は非真空領域又は前記真空領域よりも真空度が低い領域で覆われる付記1から6のいずれか一項に記載の局所真空装置。
[付記8]
前記真空形成部材は、前記物体の表面と対向するように設けられ、前記排気装置と連通している開口を備える面を有する、付記1から7のいずれか一項に記載の局所真空装置。
[付記9]
前記真空形成部材は、前記物体の表面と対向するように設けられ、前記排気装置とは異なる他の排気装置と連通している開口を備える面を有する、付記1から7のいずれか一項に記載の局所真空装置。
[付記10]
前記開口は第1の開口であって、前記面における前記第1の開口の周囲に第2の開口を有する付記9に記載の局所真空装置。
[付記11]
前記第1の開口内の空間の真空度は、前記第2の開口内の空間の真空度よりも高い付記10に記載の局所真空装置。
[付記12]
前記真空形成部材は、前記物体の表面と間隙をもって配置され、前記真空形成部材の前記表面と対向している部分の前記物体側の空間を排気することによって真空を形成する、差動排気方式の真空形成部材である付記1から11のいずれか一項に記載の局所真空装置。
[付記13]
前記真空領域の気圧は1×10−3パスカル以下である付記1から12のいずれか一項に記載の局所真空装置。
[付記14]
前記真空形成部材と前記物体の間の距離は1μm以上且つ10μm以下である付記1から13のいずれか一項に記載の局所真空装置。
[付記15]
付記1から14のいずれか一項に記載の局所真空装置と、前記真空領域の少なくとも一部を介して前記物体に荷電粒子を照射する荷電粒子照射装置とを備える荷電粒子装置。
[付記16]
前記真空形成装置は、前記照射装置と前記荷電粒子が照射される前記物体上の照射領域との間の空間に、前記空間と異なる領域における真空度よりも高い真空度の真空領域を形成する付記15に記載の荷電粒子装置。
[付記17]
保持面が保持する物体の表面の一部を覆い且つ前記物体と接する真空領域を局所的に形成することと、記保持面の周囲の少なくとも一部に位置する外部面と前記物体の表面との間の間隙を排気することとを含む真空領域の形成方法。
上述の各実施形態(各変形例を含む、以下この段落において同じ)の構成要件の少なくとも一部は、上述の各実施形態の構成要件の少なくとも他の一部と適宜組み合わせることができる。上述の各実施形態の構成要件のうちの一部が用いられなくてもよい。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態で引用した全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う局所真空装置、荷電粒子装置、真空領域の形成方法及び荷電粒子の照射方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
SEM 走査型電子顕微鏡
1 ビーム照射装置
11 ビーム光学系
12 差動排気系
121LS 射出面
13 フランジ部材
14 間隔調整系
2 ステージ装置
22 ステージ
221 保持部材
222 外周部材
223 待避部材
23 ステージ駆動系
4 制御装置
5 ポンプ系
51、52 真空ポンプ
SPb1、SPb2、SPb3 ビーム通過空間
SPw 収容空間
VSP 真空領域
W 試料
WSu 表面
HS 保持面
OS、ES 上面

Claims (44)

  1. 排気装置と接続可能な管路を有し、物体の面に接する空間の気体を前記管路を介して排出して、真空領域を形成する真空形成部材と、
    前記物体の周囲の少なくとも一部に位置する外部面と、
    前記物体の表面と前記外部面との間の間隙を排気する排気装置と
    を備え、
    前記真空領域の周囲の前記真空領域よりも気圧が高い空間の少なくとも一部の気体は、前記真空形成部材の前記管路を介して排出される局所真空装置。
  2. 排気装置と接続される第1端と物体の面に接する第1空間と接続される第2端とを有する管路を備え、前記第1空間の気体を前記管路を介して排出して、前記第1空間と接続される第2空間よりも圧力が低い真空領域を前記第1空間に形成する真空形成部材と、
    前記物体の周囲の少なくとも一部に位置する外部面と、
    前記物体の表面と前記外部面との間の間隙を排気する排気装置と
    を備える
    局所真空装置。
  3. 排気装置と接続可能な管路を有し、物体の面の一部と対向した状態で前記管路を介して気体を排出することにより、前記物体の前記面の第1部分に接する第1空間に、前記面の前記第1部分とは異なる第2部分に接する第2空間の圧力より圧力が低い真空領域を形成可能な真空形成部材と、
    前記物体の周囲の少なくとも一部に位置する外部面と、
    前記物体の表面と前記外部面との間の間隙を排気する排気装置と
    を備える局所真空装置。
  4. 前記第2空間は、前記第1空間を経ずに前記管路と接続できないが前記第1空間を経ると接続できる
    請求項2または3に記載の局所真空装置。
  5. 排気装置と接続可能な管路を有し、物体の面と前記管路の端部とが対向した状態で、前記物体の前記面に接する空間の気体を前記管路を介して排出して、真空領域を形成する真空形成部材と、
    前記物体の周囲の少なくとも一部に位置する外部面と、
    前記物体の表面と前記外部面との間の間隙を排気する排気装置と
    を備える局所真空装置。
  6. 前記物体の前記面の少なくとも一部は、前記真空領域の少なくとも一部に面する
    請求項1から5のいずれか一項に記載の荷電粒子装置。
  7. 前記物体の前記面の少なくとも一部は、前記真空領域の少なくとも一部に覆われる
    請求項1から6のいずれか一項に記載の荷電粒子装置。
  8. 前記物体の前記面の一部は、前記真空領域に面し、前記物体の前記面の他の一部は、大気圧領域に面する
    請求項1から7のいずれか一項に記載の荷電粒子装置。
  9. 前記真空領域の気圧は1×10−3パスカル以下である
    請求項1から8のいずれか一項に記載の局所真空装置。
  10. 前記物体を保持可能な保持面を有する保持装置を更に備え、
    前記外部面は、前記保持面の周囲の少なくとも一部に位置する
    請求項1から9のいずれか一項に記載の局所真空装置。
  11. 前記物体の表面に沿った方向において、前記物体と前記真空形成部材との相対位置を変更する位置変更装置を備え、
    前記排気装置は、前記相対位置の変更によって前記真空領域の少なくとも一部の位置が前記間隙の少なくとも一部の位置と前記物体の表面に沿った方向において重なるとき前記間隙を排気する
    請求項1から10のいずれか一項に記載の局所真空装置。
  12. 前記排気装置と連通し、前記間隙と面する開口を有し、
    前記排気装置は、前記開口を介して前記間隙を排気する
    請求項1から11のいずれか一項に記載の局所真空装置。
  13. 前記開口は、前記間隙に複数あり、
    前記複数の開口のうち、前記物体の表面に沿った方向における位置が前記真空領域の前記物体の表面に沿った方向における範囲に含まれる開口を介して、前記排気装置は前記間隙を排気する
    請求項12に記載の局所真空装置。
  14. 前記開口は、前記間隙に複数あって、
    前記複数の開口のうち一部の開口を介して前記排気装置は前記間隙を排気し、
    少なくとも一つの前記一部の開口は、前記複数の開口のうち少なくとも一つの他の開口よりも前記物体の表面に沿った方向における位置が前記真空領域に近い
    請求項13に記載の局所真空装置。
  15. 前記真空領域は前記物体の表面の一部と接する
    請求項1から14のいずれか一項に記載の局所真空装置。
  16. 前記真空領域が形成されているときに、前記物体の表面の一部は前記真空領域で覆われ、前記物体の表面の少なくとも別の一部は非真空領域又は前記真空領域よりも真空度が低い領域で覆われる
    請求項1から15のいずれか一項に記載の局所真空装置。
  17. 前記真空形成部材は、前記物体の表面と対向するように設けられ、前記排気装置と連通している開口を備える面を有する、
    請求項1から16のいずれか一項に記載の局所真空装置。
  18. 前記真空形成部材は、前記物体の表面と対向するように設けられ、前記排気装置とは異なる他の排気装置と連通している開口を備える面を有する、
    請求項1から16のいずれか一項に記載の局所真空装置。
  19. 前記開口は第1の開口であって、前記面における前記第1の開口の周囲に第2の開口を有する
    請求項18に記載の局所真空装置。
  20. 前記第1の開口内の空間の真空度は、前記第2の開口内の空間の真空度よりも高い
    請求項19に記載の局所真空装置。
  21. 前記真空形成部材は、前記物体の表面と間隙をもって配置され、前記真空形成部材の前記表面と対向している部分の前記物体側の空間を排気することによって真空を形成する、差動排気方式の真空形成装置である
    請求項1から20のいずれか一項に記載の局所真空装置。
  22. 前記真空領域の気圧は1×10−3パスカル以下である
    請求項1から21のいずれか一項に記載の局所真空装置。
  23. 前記真空形成部材と前記物体の間の距離は1μm以上且つ10μm以下である
    請求項1から22のいずれか一項に記載の局所真空装置。
  24. 前記真空領域の真空度は、前記真空形成部材の外部の空間のうち前記真空領域が形成される空間とは異なる他の空間の真空度と比較して高く維持される
    請求項1から23のいずれか一項に記載の局所真空装置。
  25. 前記真空形成部材には開口が形成され、
    前記開口を介して前記真空形成部材の外部の空間の少なくとも一部からの排気を行う
    請求項1から24のいずれか一項に記載の局所真空装置。
  26. 請求項1から25のいずれか一項に記載の局所真空装置と、
    前記真空領域の少なくとも一部を介して荷電粒子を照射する荷電粒子照射装置と
    を備える荷電粒子装置。
  27. 前記荷電粒子照射装置から照射される荷電粒子の通路は前記真空領域の少なくとも一部を含む
    請求項26に記載の荷電粒子装置。
  28. 前記真空形成部材は、前記荷電粒子照射装置と前記荷電粒子が照射される照射領域との間の空間に、前記空間と異なる領域における真空度よりも高い真空度の真空領域を形成する
    請求項26又は27に記載の荷電粒子装置。
  29. 前記荷電粒子照射装置は、前記荷電粒子を試料に向けて照射する
    請求項26から28のいずれか一項に記載の荷電粒子装置。
  30. 前記真空形成部材は、前記荷電粒子照射装置と前記荷電粒子が照射される前記試料上の照射領域との間の空間に、前記空間と異なる領域における真空度よりも高い真空度の真空領域を形成する
    請求項29に記載の荷電粒子装置。
  31. 前記物体の前記面は、前記試料の表面の少なくとも一部を含む
    請求項29又は30に記載の荷電粒子装置。
  32. 前記物体の前記面は、前記試料を保持する保持部材の表面の少なくとも一部を含む
    請求項29又は30に記載の荷電粒子装置。
  33. 前記物体の前記面は、前記試料と前記真空形成部材との間に配置される部材の表面の少なくとも一部を含む
    請求項29又は30に記載の荷電粒子装置。
  34. 物体の面に接する空間の気体を排気装置と接続可能な管路を介して排出して真空領域を形成することと、
    前記真空領域の周囲の前記真空領域よりも気圧が高い空間の少なくとも一部の気体を、前記管路を介して排出することと、
    前記物体の周囲の少なくとも一部に位置する外部面と前記物体の表面との間の間隙を排気することと
    を含む真空領域の形成方法。
  35. 排気装置と接続される第1端と、物体の面と接する第1空間と接続される第2端とを有する管路を介して、前記第1空間の気体を排出して、前記第1空間と接続される第2空間よりも圧力が低い真空領域を前記第1空間に形成することと、
    前記物体の周囲の少なくとも一部に位置する外部面と前記物体の表面との間の間隙を排気することと
    を含む真空領域の形成方法。
  36. 排気装置と接続可能な管路を介して気体を排出することにより、物体の面の第1部分に接する第1空間に、前記面の前記第1部分とは異なる第2部分に接する第2空間の圧力より圧力が低い真空領域を形成することと、
    前記物体の周囲の少なくとも一部に位置する外部面と前記物体の表面との間の間隙を排気することと
    を含む真空領域の形成方法。
  37. 前記第2空間は、前記第1空間を経ずに前記管路と接続できないが前記第1空間を経ると接続できる
    請求項35又は36に記載の真空領域の形成方法。
  38. 排気装置と接続可能な管路の端部と物体の面とが対向した状態で、前記物体の前記面に接する空間の気体を前記管路を介して排出して、真空領域を形成することと、
    前記物体の周囲の少なくとも一部に位置する外部面と前記物体の表面との間の間隙を排気することと
    を含む真空領域の形成方法。
  39. 前記物体の前記面の少なくとも一部は、前記真空領域の少なくとも一部に面する
    請求項34から38のいずれか一項に記載の真空領域の形成方法。
  40. 前記物体の前記面の少なくとも一部は、前記真空領域の少なくとも一部に覆われる
    請求項34から39のいずれか一項に記載の真空領域の形成方法。
  41. 前記物体の前記面の一部は、前記真空領域に面し、前記物体の前記面の他の一部は、大気圧領域に面する
    請求項34から40のいずれか一項に記載の真空領域の形成方法。
  42. 前記真空領域の気圧は1×10−3パスカル以下である
    請求項34から41のいずれか一項に記載の真空領域の形成方法。
  43. 物体の表面の一部を覆い前記物体と接する真空領域を局所的に形成可能な真空形成装置と、
    前記物体を保持可能な保持面を有する保持装置と、
    前記保持面の周囲の少なくとも一部に位置する外部面と、
    前記物体の表面と前記外部面との間の間隙を排気する排気装置と
    を備える局所真空装置。
  44. 保持面が保持する物体の表面の一部を覆い且つ前記物体と接する真空領域を局所的に形成することと、
    前記保持面の周囲の少なくとも一部に位置する外部面と前記物体の表面との間の間隙を排気することと
    を含む真空領域の形成方法。
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