JP2020153850A - 金属板の塑性ひずみ比の測定方法 - Google Patents

金属板の塑性ひずみ比の測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ネッキングしやすい材料や、純チタンまたは加工誘起変態を生じさせる材料であっても、精度よく塑性ひずみ比が測定可能な金属板の塑性ひずみ比の測定方法の提供。【解決手段】複数の正方形パターンを含む格子線パターンが平行部の表面に設けられた板状試験片に対して単軸引張試験を行い、平行部を幅方向に均等に三分割した中央領域内に面積の50%以上が含まれる図形パターンを評価対象として2つ以上選択する。図4に、面積の50%以上が中央領域Cに含まれる図形パターンを符号P1で示すとともに太線で囲んで示す。図形パターン毎に長手方向真ひずみ及び幅方向真ひずみを求め、直交座標軸平面上で所定の座標点に対して最小二乗法により近似直線を導出し、その傾きaを下記式(1)に代入して塑性ひずみ比rを算出する。r=−1/(1+a)…(1)【選択図】図4

Description

本発明は、金属板の塑性ひずみ比の測定方法に関する。
金属板の塑性ひずみ比は、板状引張試験片に単軸引張応力を加えることによって生じた、試験片の幅方向真ひずみεと厚さ方向真ひずみεとの比(ε/ε)であり、r値またはランクフォード値とも呼ばれる。塑性ひずみ比は、金属板の異方性を示す特性値であり、深絞りを中心とした加工性の指標に用いられる。また、近年一般的となったFEM変形解析シミュレーションにおいて、計算精度に関わる重要な特性値である。金属板の塑性ひずみ比試験方法として、JIS Z 2254に記載された薄板金属材料の塑性ひずみ比試験方法(以下、JIS法という)が知られている。
JIS法では、引張試験法によって試験片に均一な塑性ひずみを与えたときの、引張変形前後の試験片の幅及び厚さの値から塑性ひずみ比を計算するとされている。しかし、実用上は、試験片の厚さ方向の測定よりも長さ方向の測定のほうが容易であり、また、板厚が薄い材料ではそもそも厚さ方向真ひずみεの測定が難しいことから、塑性変形の前後での体積を一定とする体積一定の法則から導いた計算式を利用し、変形前後の試験片の幅及び標点間の長さを測定することによって塑性ひずみ比を計算する場合が多い。すなわち、試験片の幅方向真ひずみεと長手方向真ひずみεとを求め、εとεから厚さ方向真ひずみεを計算し、そして、塑性ひずみ比を求めている。
また、JIS法では、原則として、εが10%〜20%のひずみ域で一軸引張試験を行い、真ひずみを求めている。これは、変形が大きい方が測定精度が高くなるためである。
JIS Z 2254(2008) 薄板金属材料の塑性ひずみ比試験方法,JISハンドブック 鉄鋼I,日本規格協会編,2012年1月23日発行
JIS法において、試験片の幅方向真ひずみεと長手方向真ひずみεから塑性ひずみ比を求める方法は、長手方向真ひずみεを正確に算出することが前提であり、均一伸びの範囲内での測定が必須である。従って、引張試験の開始からすぐにネッキングを生じる材料では、ネッキング開始前の低ひずみ域で測定せざるを得ない。そのため、測定誤差が大きくなり、塑性ひずみ比の計算結果は信頼性を欠くようになる。
また、厚さ方向真ひずみεが0(ゼロ)に近い材料では、塑性ひずみ比が大きな値になるが、ひずみの測定誤差が塑性ひずみ比の計算結果に大きく影響する。そのため、例えば、均一伸びが小さく、塑性ひずみ比が大きい純チタンでは、特に圧延幅方向を一軸引張試験の引張方向とした場合に、塑性ひずみ比の測定精度が著しく低くなる。
さらに、近年の金属板の成形加工技術の進展に伴い、任意のひずみ域での塑性ひずみ比を知りたいという要望が寄せられている。例えば、加工誘起変態を生じさせる材料は、ひずみ域毎に塑性ひずみ比が異なる可能性がある。しかし、従来のJIS法で得られる塑性ひずみ比は、試験片を変形させたひずみ域の範囲での平均値であり、より狭いひずみ域での塑性ひずみ比を得ることはできない。仮に、JIS法によって任意のひずみ域での塑性ひずみ比を得るには、数多くの試験片を準備して引張試験を行う必要があり、また、作業量も膨大になる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、引張試験の開始からすぐにネッキングを生じさせる材料や、純チタンまたは加工誘起変態を生じさせる材料であっても、精度よく塑性ひずみ比が測定可能であり、また、より狭いひずみ域での塑性ひずみ比を簡単に得ることが可能な、金属板の塑性ひずみ比の測定方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。
[1] 測定対象の金属板から形成された板状試験片であって、複数の正方形パターンを含む格子線パターンが平行部の表面に設けられ、かつ、前記の各正方形パターンの一辺が前記平行部の長手方向と平行になるように設けられた板状試験片を用いて、前記平行部の長手方向に単軸引張応力を加える単軸引張試験を行う第1工程と、
前記単軸引張試験後の前記平行部に設けられた前記格子線パターンから、前記単軸引張試験前の前記正方形パターンに対応する図形パターンであって前記平行部を幅方向に均等に三分割した中央領域内に面積の50%以上が含まれる図形パターンを評価対象として2つ以上の前記図形パターンを選択する第2工程と、
前記第2工程において選択した評価対象の前記図形パターンにおける長手方向真ひずみεLi及び幅方向真ひずみεWiを、評価対象の前記図形パターン毎に求める第3工程と、
y軸を長手方向真ひずみεとし、x軸を幅方向真ひずみεとする直交座標軸平面上に、評価対象の前記図形パターンの長手方向真ひずみεLi及び幅方向真ひずみεWiに対応する座標点を置く第4工程と、
前記直交座標軸平面の所定のε区間に含まれる前記座標点に対して最小二乗法により近似直線を導出し、前記近似直線の傾きaを下記式(1)に代入して塑性ひずみ比rを算出する第5工程と、
を順次行うことを特徴とする金属板の塑性ひずみ比の測定方法。
r=−1/(1+a) … (1)
[2] 前記格子線パターンは、印刷法または電解エッチング法により前記平行部に設けられたものであることを特徴とする[1]に記載の金属板の塑性ひずみ比の測定方法。
[3] 前記平行部の全幅Wを12mm以上としたとき、前記正方形パターンの一辺長Sを2mm以上、(W/5)mm以下の範囲とすることを特徴とする[1]または[2]に記載の金属板の塑性ひずみ比の測定方法。
[4] 前記第3工程において、
評価対象の前記図形パターンを区画する格子線よりなる4つの辺がそれぞれ接する頂点を基準点とし、各辺の両端にある基準点間の距離のうち、前記平行部の長手方向に平行な成分の合計をLtotal(mm)とし、前記平行部の幅方向に平行な成分の合計をWtotal(mm)とした場合に、
前記図形パターンにおける長手方向真ひずみεLi及び幅方向真ひずみεWiを、下記式(2)及び下記式(3)により求めることを特徴とする[1]乃至[3]の何れか一項に記載の金属板の塑性ひずみ比の測定方法。
εLi=ln(Ltotal/2S) … (2)
εWi=ln(Wtotal/2S) … (3)
ただし、式(2)及び式(3)におけるSは、前記正方形パターンの一辺長(mm)である。
[5] 前記図形パターンの前記辺をなす前記格子線が幅を有する線パターンである場合の前記基準点は、前記線パターンが交差する交差部における対角線の交点とすることを特徴とする[4]に記載の金属板の塑性ひずみ比の測定方法。
本発明によれば、引張試験の開始からすぐにネッキングを生じさせる材料、純チタンまたは加工誘起変態を生じさせる材料であっても、精度よく塑性ひずみ比が測定可能であり、また、より狭いひずみ域での塑性ひずみ比を簡単に得ることが可能な、金属板の塑性ひずみ比の測定方法を提供できる。
図1は、本発明の実施形態である金属板の塑性ひずみ比の測定方法に用いる板状試験片の一例を示す図であって、第1工程前の板状試験片を示す平面模式図。 図2は、第1工程後の板状試験片を示す平面模式図。 図3は、第2工程において板状試験片から評価対象の図形パターンを選択する方法の一例を説明する模式図。 図4は、第2工程において板状試験片から評価対象の図形パターンを選択する方法の一例を説明する模式図。 図5は、第3工程において評価対象の図形パターンにおける長手方向真ひずみと幅方向真ひずみを求める方法の一例を説明する模式図。 図6は、第3工程において評価対象の図形パターンを区画する格子線が線パターンである場合の基準点を求める方法の一例を説明する模式図。 図7は、第3工程において評価対象の図形パターンを区画する格子線が線パターンである場合の基準点を求める方法の一例を説明する模式図。 図8は、第4工程において、直交座標軸平面に、図形パターンの長手方向真ひずみεLi及び幅方向真ひずみεWiに対応する座標点を置く一例を示す図である。 図9は、第5工程において、座標点に対して最小二乗法により近似直線を導出する一例を示す図である。 図10は、ステンレス鋼板(SUS304)について評価した結果を示すグラフである。 図11は、JIS 1種の純チタン板について評価した結果を示すグラフである。 図12は、鋼板(JAC270D)について評価した結果を示すグラフである。
本発明者らは、引張試験の開始後からすぐにネッキングを生じさせる材料や、純チタンまたは加工誘起変態を生じさせる材料であっても、精度よく塑性ひずみ比が測定可能であり、また、より狭いひずみ域での塑性ひずみ比を簡単に得ることが可能な、金属板の塑性ひずみ比の測定方法について鋭意検討した。JIS法に代表される従来の測定方法では、ネッキング発生後の試験片の平行部において長手方向にひずみ分布が生じるため、ネッキング発生後の長手方向真ひずみεを正確に算出できないことが問題であった。
そこで本発明者らは、試験片の平行部を微小領域に区切り、微小域毎に長手方向真ひずみと幅方向真ひずみを測定することで、試験片にネッキングが発生した場合にも、微小域毎に長手方向真ひずみε及び幅方向真ひずみεを正確に求めることとし、これにより、塑性ひずみ比rを算出することを可能とした。また、ネッキング発生後に生じる長手方向の長手方向真ひずみεの分布を活用することで、一つの試験片に対して1回の引張試験を行うことで、多数のひずみ域の測定データが得られることを見出した。さらに、長手方向真ひずみε及び幅方向真ひずみεの推移から瞬間の塑性ひずみ比rを容易に算出できることも見出した。
以下、本発明の実施形態である金属板の塑性ひずみ比の測定方法を説明する。
本実施形態の金属板の塑性ひずみ比の測定方法は、以下の第1工程から第5工程までを順次行うことにより、塑性ひずみ比を求める。
第1工程:測定対象の金属板から形成された板状試験片であって、複数の正方形パターンを含む格子線パターンが平行部の表面に設けられ、かつ、各正方形パターンの一辺が平行部の長手方向と平行になるように設けられた板状試験片を用いて、平行部の長手方向に単軸引張応力を加える単軸引張試験を行う。
第2工程:単軸引張試験後の平行部に設けられた格子線パターンから、単軸引張試験前の正方形パターンに対応する図形パターンであって平行部を幅方向に均等に三分割した中央領域内に面積の50%以上が含まれる図形パターンを評価対象として2つ以上の図形パターンを選択する。
第3工程:第2工程において選択した評価対象の図形パターンにおける長手方向真ひずみεLi及び幅方向真ひずみεWiを、評価対象の図形パターン毎に求める。
第4工程:y軸を長手方向真ひずみεとし、x軸を幅方向真ひずみεとする直交座標軸平面上に、評価対象の図形パターンの長手方向真ひずみεLi及び幅方向真ひずみεWiに対応する座標点を置く。
第5工程:直交座標軸平面の所定のε区間に含まれる座標点に対して最小二乗法により近似直線を導出し、近似直線の傾きaを下記式(A)に代入して塑性ひずみ比rを算出する。
r=−1/(1+a) … (A)
以下、各工程について説明する。
(第1工程)
第1工程では、測定対象となる金属板から板状試験片を作成する。測定対象の金属板の厚みは、0.1mm以上3mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましい。3mm超の金属板であれば、本実施形態の方法によって塑性ひずみ比を精度よく測定できる。
板状試験片の形状は、JIS Z2241(2011年)の金属材料引張試験方法の附属書Bに規定される13B号試験片の形状とする。例えば、金属板をせん断またはプレスすることによって13B号試験片を作成する。ただし、せん断またはプレスによって硬化した部分がある場合は、機械加工によって除去することが好ましい。板状試験片の厚みは、もとの測定対象の金属板の厚みとする。その他、試験片の作成方法はJIS Z2241(2011年)の附属書B及びJIS Z 2254(2008年)に準ずる。
図1(a)には、板状試験片の平面模式図を示す。図1(a)に示すように、本実施形態に係る板状試験片1は、平行部2と、平行部2の長手方向両側に形成された一対のつかみ部3とを有する。平行部2の長手方向両側には標点H、Hが設けられる。原標点距離Lは50mmとされる。また、単軸引張試験前の平行部2の全幅Wは12〜13mmの範囲とされる。
また、図1(a)及び図1(b)に示すように、板状試験片1の平行部2には、格子線パターンKを設ける。図1(b)は格子線パターンKの部分拡大図であって、図1(a)の一点鎖線で囲んだ領域Aの拡大図である。格子線パターンKは、平行部2の長手方向に沿う複数の平行線Nと幅方向に沿う複数の平行線Nとからなる格子線によって形成されるパターンである。長手方向に沿う平行線N同士の間隔と、幅方向に沿う平行線N同士の間隔は同じ間隔とする。これにより、格子線パターンKには、複数の微小域である正方形パターンSQが含まれる。図1(b)には、正方形パターンSQの一つを太線で囲んで示している。各正方形パターンSQは、一辺が平行部2の長手方向と平行になるように設けられる。格子線パターンKは、少なくとも平行部2の標点H、H間の全域に設けられることが好ましく、また、平行部2の幅方向全体に渡って設けられることが好ましい。
格子線パターンKに含まれる正方形パターンSQの一辺長Sは、平行部2の全幅Wを12mm以上としたとき、2mm以上、(W/5)mm以下の範囲とすることが好ましい。正方形パターンSQの一辺長Sを2mm以上とすることで、後述する第3工程において、変形後の図形パターンの長手方向真ひずみεLi及び幅方向真ひずみεWiを精度よく測定することができる。また、正方形パターンSQの一辺長Sを(W/5)mm以下とすることで、平行部2の幅方向に沿って少なくとも5個以上の正方形パターンSQを配置できるようになり、後述する第3工程において、精度よく塑性ひずみ比を測定するために必要な数の図形パターンを選択できるようになる。
格子線パターンKは、印刷法または電解エッチング法によって平行部2の表面に設けることが好ましい。印刷法は、格子線パターンKを印刷できる方法であればどのような手段を用いてもよい。例えば、インクを付着させた印刷版から平行部2の表面にインクを転写することで格子パターンKを描画する方法や、液滴状のインクを平行部表面に吐出させて格子線パターンKを描画する方法(所謂インクジェット法)などを例示できる。
印刷法や電解エッチング法によって格子線パターンKを設けると、格子線パターンKをなす格子線がインクまたは微小のエッチング部により描かれ、平行部2の厚み方向に凹凸を生じさせない。このため、単軸引張試験後の正方形パターンSQの長手方向真ひずみε及び幅方向真ひずみεを正確に求めることができる。一方、印刷法または電解エッチング法以外の方法、例えば、平行部2の表面に凹凸を設けることによって格子線パターンKを形成する方法では、平行部2の表面に凹凸があることによって、正方形パターンSQで区画された微小域の長手方向真ひずみε及び幅方向真ひずみεを正確に求めることができないため、好ましくない。
板状試験片1の準備ができたら、平行部2の長手方向に単軸引張応力を加える単軸引張試験を行う。単軸引張試験は、JIS Z2254(2008年)の薄板金属材料の塑性ひずみ比試験方法に準じて行う。本実施形態の試験方法では単軸引張試験のひずみ量を均一伸びの範囲に限定する必要はなく、最大ひずみ量として例えば50%まで行ってもよい。
(第2工程)
次に、第2工程では、単軸引張試験後の平行部2の格子線パターンK’から、評価対象とする図形パターンを選択する。図2(a)に、単軸引張試験後の板状試験片の平面模式図を示す。また、図2(b)には、引張試験後の格子線パターンK’の部分拡大図であって、図2(a)の一点鎖線で囲んだ領域Bの拡大図を示す。図2(a)では、格子線パターンK’の図示を省略している。
図2(b)に示すように、単軸引張試験を実施すると、引張試験前の格子線パターンKに含まれる正方形パターンSQの大半が、平行部2の長手方向に伸ばされ、正方形を維持できず変形するものが多くなる。そこで、単軸引張試験後の正方形パターンを本実施形態では図形パターンPと呼ぶことにする。単軸引張試験前の正方形パターンSQはいずれも同じ形状だが、引張試験後の図形パターンPはそれぞれ形状が異なるものとなる。
第2工程では、引張試験後の格子線パターンK’から、単軸引張試験前の正方形パターンSQに対応する図形パターンPであって平行部2を幅方向に均等に三分割した中央領域内に面積の50%以上が含まれる図形パターンPを評価対象として2つ以上選択する。
図3(a)には、単軸引張試験後の板状試験片1の平面模式図であって、平行部2を幅方向に均等に三分割するための補助線Nを加入した状態を示す。2本の補助線Nの間に挟まれた標点H、H間の領域が中央領域Cである。中央領域Cにある図形パターンPは、中央領域C以外の領域によって幅方向両側から拘束を受けているため、比較的精度よく塑性ひずみ比を測定できる。一方、中央領域Cの幅方向両側の領域にある図形パターンPは、幅方向一方側から中央領域Cの拘束を受けるが、その反対側からの拘束が弱い。従って、中央領域C以外の領域の図形パターンPを評価対象に含めると、塑性ひずみ比の精度が低下するおそれがある。
また、中央領域C内に面積の50%以上が含まれる図形パターンPを評価対象とするのは、面積の50%以上が中央領域Cに含まれる図形パターンPであれば、幅方向両側から拘束を受けているため、比較的精度よく塑性ひずみ比を測定できるためである。中央領域C内に占める面積が50%未満の図形パターンPは、中央領域C側からの拘束に比べて反対側の拘束が弱くなっており、このような図形パターンを評価対象に加えると、塑性ひずみ比の精度が低下するおそれがある。図4は、図3(b)をより拡大した拡大図である。図4では、面積の50%以上が中央領域Cに含まれる図形パターンを符号Pで示すとともに太線で囲んで示している。以下、評価対象の図形パターンを符号Pで示すこととする。
また、選択する図形パターンの数は少なくとも2個以上であり、数が多いほどよい。図形パターンの数が多いほど、第4工程において導出する近似直線の精度が高まり、塑性ひずみ比の精度が向上するためである。
(第3工程)
次に、第3工程では、評価対象の図形パターンPにおける長手方向真ひずみεLi及び幅方向真ひずみεWiを評価対象の図形パターンP毎に求める。以下、図形パターンPにおける長手方向真ひずみεLi及び幅方向真ひずみεWiの測定方法の一例を、図5を参照して説明する。図5には、単軸引張試験後の図形パターンPの一つである図形パターンPを示している。引張試験前の時点では一辺長Sの正方形パターンであったものが、引張試験によって図5に示す形状に変形した図形パターンPになっている。
まず、評価対象の図形パターンPを区画する格子線よりなる4つの辺に着目し、それぞれ辺J〜Jとし、各辺J〜Jがそれぞれ接する頂点を基準点T〜Tとする。各辺J〜Jの両端にある基準点T〜T間の距離のうち、平行部2の長手方向に平行な成分Li1、Li2の合計をLtotal(mm)とし、平行部2の幅方向に平行な成分Wi1、Wi2の合計をWtotal(mm)とする。成分Li1は、基準点T、T間の距離のうち平行部2の長手方向に平行な成分であり、成分Li2は、基準点T、T間の距離のうち平行部2の長手方向に平行な成分である。また、成分Wi1は、基準点T、T間の距離のうち平行部2の幅手方向に平行な成分であり、成分Wi2は、基準点T、T間の距離のうち平行部2の幅手方向に平行な成分である。
そして、図形パターンPにおける長手方向真ひずみεLi及び幅方向真ひずみεWiを、下記式(B)及び下記式(C)により求める。ただし、式(B)及び式(C)におけるSは、単軸引張試験前の正方形パターンSQの一辺長(mm)である。
εLi=ln(Ltotal/2S) … (B)
εWi=ln(Wtotal/2S) … (C)
以上の操作を、評価対象とした図形パターンPの全部に対して行い、各図形パターンPの長手方向真ひずみεLi及び幅方向真ひずみεWiをそれぞれ求める。
図形パターンPにおけるLtotal及びWtotalを測定する際には、例えば、顕微鏡で図形パターンPを観察しながら測定することが好ましい。顕微鏡は光学顕微鏡でもよく、走査型電子顕微鏡でもよい。
なお、図5に示した例では、図形パターンPの辺J〜Jを直線で示したが、実際に図形パターンPを顕微鏡で観察すると、辺J〜Jは所定の幅を有する線パターンとして確認される。そうすると、基準点T〜Tの位置を一義的に定められないおそれがある。図6には、図形パターンPの辺J〜Jが所定の幅を有する線パターンである状態を示す。印刷法や電解エッチング法で格子パターンを形成した場合に顕微鏡で図形パターンPを観察すると、図6に示すように図形パターンPの各辺J〜Jが線パターンとして観察される。この場合に基準点T〜Tの位置を定義しておかないと、図形パターンPにおける長手方向真ひずみεLi及び幅方向真ひずみεWiが正確に求められない。
そこで、本実施形態では、図形パターンの辺J〜Jをなす格子線が幅を有する線パターンである場合の基準点を、各線パターンが交差する交差部における対角線の交点とする。図7には、図6に示した一点鎖線で囲んだ領域Dの拡大図を示している。辺Jと辺Jとの交差部Xでは、辺J及び辺Jがほぼ直交しているため、交差部Xの平面視形状が四角形になっている。そして、交差部Xの対角線の交点を基準点Tとする。基準点Tについて詳細に説明したが、他の基準点についても同様にして決定すればよい。
ここまで、評価対象の図形パターンPにおける長手方向真ひずみεLi及び幅方向真ひずみεWiの決定方法の一例について説明したが、本実施形態では、上記以外の決定方法を採用してもよい。例えば、単軸引張試験後の格子パターンをカメラで撮影して撮像データを取得し、撮像データに対して画像解析を行って格子パターンに含まれる図形パターンの形状を解析し、解析結果から各図形パターンPの長手方向真ひずみεLi及び幅方向真ひずみεWiを求めてもよい。このような解析を実現する装置として、非接触式の歪み測定装置を用いることができる。例えば、東京貿易テクノシステム株式会社製のAutoGrid comsmartシステムを用いることができる。
(第4工程)
第4工程では、y軸を長手方向真ひずみεとし、x軸を幅方向真ひずみεとする直交座標軸平面上に、評価対象の図形パターンPの長手方向真ひずみεLi及び幅方向真ひずみεWiに対応する座標点を置く工程である。第3工程において、評価対象の図形パターンP毎に、長手方向真ひずみεLi及び幅方向真ひずみεWiが求められている。そこで、評価対象の図形パターンPのひずみの分布を把握するため、y軸を長手方向真ひずみεとし、x軸を幅方向真ひずみεとする直交座標軸平面上に、評価対象の全部の図形パターンPのひずみ量をプロットする。図8に一例を示す。図8は、JIS H4600(2007)に規定するJIS1種の純チタン板の圧延幅方向に引張応力を加えて単軸引張試験を行った場合の結果を示している。
(第5工程)
第5工程では、直交座標軸平面の所定のε区間に含まれる座標点に対して最小二乗法により近似直線を導出し、近似直線の傾きaを下記式(D)に代入して塑性ひずみ比rを算出する。
r=−1/(1+a) … (D)
本工程について図9を参照して詳細に説明する。図9は、図8に対して近似曲線を追加した図である。図9に示すように、図形パターンの長手方向真ひずみεの分布は、0〜εLiの区間に分布しているので、0〜εLiの区間において最小二乗法による近似直線の導出を行う。近似曲線を表す回帰式はy=ax+bとする。JIS1種の純チタン板の近似曲線は、y=−1.5669xの回帰式で表される。xは幅方向真ひずみεであり、yは長手方向真ひずみεである。回帰式の傾きaは、「−1.5669」となる。
そして、回帰式の傾きaを上記式(D)に代入することにより、塑性ひずみ比rが得られる。
最小二乗法を実施する際のε区間は、任意の区間を選択可能である。ただし、塑性ひずみ比の精度向上の観点から、選択した区間内に少なくとも2つ以上の座標点が含まれるようにするとよい。
以上説明したように、本実施形態の金属板の塑性ひずみ比の測定方法は、平行部2に格子線パターンKが設けられた板状試験片1に対して単軸引張試験を行い、引張試験後の格子線パターンK’に含まれる図形パターンPの形状から図形パターンP毎に長手方向真ひずみεLi及び幅方向真ひずみεWiを求め、直交座標軸平面上に図形パターンP毎に長手方向真ひずみεLi及び幅方向真ひずみεWiをプロットし、所定のε区間に含まれる座標点に対して最小二乗法によって近似直線を求め、近似曲線の傾きから塑性ひずみ比を求める。本実施形態では、近似曲線を求める際のε区間を任意に定めることができるため、例えば、引張試験開始直後のε区間における塑性ひずみ比や、ネッキング開始直前のε区間における塑性ひずみ比や、引張試験開始から終了までのε区間における塑性ひずみ比を任意に求めることができる。これにより、引張試験の開始からすぐにネッキングを生じさせる材料や、純チタンまたは加工誘起変態を生じさせる材料であっても、精度よく塑性ひずみ比が測定することができる。より狭いひずみ域での塑性ひずみ比を簡単に得ることができる。
また、本実施形態では、中央領域に面積の50%以上が含まれる図形パターンPの2つ以上を評価対象の図形パターンPとするので、塑性ひずみ比の精度をより向上することができる。
また、本実施形態の金属板の塑性ひずみ比の測定方法によれば、印刷法または電解エッチング法によって格子線パターンKを設けるので、格子線パターンKの形成箇所が凹凸にならず、単軸引張試験時に格子線パターンKが破壊の起点になりにくくなる。これにより、引張試験時の正方形パターンSQの変形は、格子線パターンKの影響を受けることがなく、塑性ひずみ比を正確に測定できる。
また、本実施形態の金属板の塑性ひずみ比の測定方法によれば、正方形パターンSQの一辺長Sを2mm以上、(W/5)mm以下の範囲とすることで、引張試験前後における正方形パターンSQから図形パターンへの形状変化を容易に観察できるとともに、評価対象の図形パターンPの数を多くすることができ、塑性ひずみ比を精度よく測定できる。
また、本実施形態の金属板の塑性ひずみ比の測定方法によれば、評価対象の図形パターンの基準点間の距離に基づき、各図形パターンの長手方向真ひずみεLi及び幅方向真ひずみεWiを求めるので、比較的容易に長手方向真ひずみεLi及び幅方向真ひずみεWiを求めることができ、更には塑性ひずみ比を容易に求めることができる。
更に、本実施形態の金属板の塑性ひずみ比の測定方法によれば、図形パターンの辺が線パターンである場合の基準点を、交差部の対角線の交点とするので、基準点の位置を決定することができ、塑性ひずみ比の精度を向上できる。
以下、本発明の実施例を説明する。以下に説明する実施例は本発明の一態様を説明するものであって、本発明を限定するものではない。
(実施例1)
測定対象の金属板として、SUS304、JIS H4600(2007)に規定するJIS1種純チタン及びJAC270D鋼板(プレス用IF鋼)を用意した。これらの金属板の厚みは0.5mmとした。第1工程として、各金属板から、JIS13B板状試験片を作成した。試験片の作成方法はJIS Z2241(2011年)の附属書B及びJIS Z 2254(2008年)に準じた。原標点距離は50mmとした。平行部の長手方向は、各金属板の圧延方向とした。ただし、JIS1種の純チタンに関しては、平行部の長手方向を圧延方向及び圧延幅方向の2種類とした。また、図1(a)に示したように、板状試験片の平行部にスタンプ印刷によって格子線パターンを設けた。格子線パターンをなす正方形パターンの一辺長は2mmとした。また、格子線の線幅は0.2mmとした。そして、平行部の長手方向に単軸引張応力を加える単軸引張試験を行った。単軸引張試験は、JIS Z2254(2008年)の薄板金属材料の塑性ひずみ比試験方法に準じて行った。引張速度は30%/minとした。また、印加するひずみ量の上限を50%とした。
次に第2工程として、単軸引張試験後の平行部2の格子線パターンのうち、平行部を幅方向に均等に三分割した中央領域内に面積の50%以上が含まれる図形パターンを評価対象として選択した。評価対象の図形パターンの選択数は2つとした。
次に、第3工程として、図形パターンにおける長手方向真ひずみεLi及び幅方向真ひずみεWiを、評価対象の図形パターン毎に求めた。図形パターンの各辺の両端にある基準点間の距離のうち、平行部の長手方向に平行な成分の合計Ltotal(mm)と、平行部の幅方向に平行な成分の合計Wtotal(mm)を求め、これらを式(E)及び式(F)に代入することで、図形パターンにおける長手方向真ひずみεLi及び幅方向真ひずみεWiを、評価対象の図形パターン毎に求めた。
εLi=ln(Ltotal/4) … (E)
εWi=ln(Wtotal/4) … (F)
なお、実施例1では、第2工程及び第3工程を、光学顕微鏡で平行部を観察しながら実施した。
次に、第4工程として、y軸を長手方向真ひずみεとし、x軸を幅方向真ひずみεとする直交座標軸平面上に、評価対象の図形パターンの長手方向真ひずみεLi及び幅方向真ひずみεWiに対応する座標点をプロットした。
更に、第5工程として、直交座標軸平面の所定のε区間に含まれる座標点に対して最小二乗法により近似直線を導出し、近似直線の傾きaを下記式(G)に代入して塑性ひずみ比rを算出した。
r=−1/(1+a) … (G)
近似直線を求める際のε区間は、0〜5%、0〜10%、0〜15%、0〜40%、0〜50%の5つの区間とした。各区間毎に最小二乗法によって近似直線を求め、上記式(G)から塑性ひずみ比を求めた。結果を表1に示す。実施例1の評価結果は、表1の測定分類Bのものである。
(実施例2)
実施例2では、上記実施例1と同じ金属板を測定対象として選択した。上記実施例1と同様にして、第1工程を行った。
次に、東京貿易テクノシステム株式会社製のAutoGrid comsmartシステムを用いて第2工程及び第3工程を実施した。具体的には、単軸引張試験後の平行部の格子パターンK’をAutoGrid comsmartシステムに付属するカメラにより撮影し、撮像データから評価対象の図形パターンを抽出し、各図形パターンにおける長手方向真ひずみεLi及び幅方向真ひずみεWiを求めた。評価対象の図形パターンは、平行部を幅方向に均等に三分割した中央領域内に面積の50%以上が含まれる図形パターンの全部を評価対象として選択した。
次に、上記実施例1と同様にして、第4工程及び第5工程を行うことで、所定のε区間毎に塑性ひずみ比rを算出した。結果を表1に示す。実施例2の評価結果は、表1の測定分類Cのものである。また、図10〜図12に、第4工程及び第5工程において作成したグラフを示す。各グラフは、y軸を長手方向真ひずみεとし、x軸を幅方向真ひずみεとするものであった。
(比較例1)
比較例1では、上記実施例1と同じ金属板を測定対象として選択した。第1工程として、各金属板から、JIS13B板状試験片を作成した。試験片の作成方法はJIS Z2241(2011年)の附属書B及びJIS Z 2254(2008年)に準じた。原標点距離は50mmとした。比較例1では板状試験片の平行部に格子線パターンを設けなかった。そして、平行部の長手方向に単軸引張応力を加える単軸引張試験を行った。単軸引張試験は、JIS Z2254(2008年)の薄板金属材料の塑性ひずみ比試験方法に準じて行った。引張速度は30%/minとした。また、印加するひずみ量の上限は、5%、10%、15%、40%、50%の5つとし、各上限値毎に単軸引張試験を行った。
そして、JIS Z2254(2008年)の薄板金属材料の塑性ひずみ比試験方法に準じて、各板状試験片における塑性ひずみ比をそれぞれ測定した。結果を表1に示す。比較例1の評価結果は、表1の測定分類Aである。
Figure 2020153850
表1に示すように、SUS304については、実施例1、2では最大ひずみ量50%まで塑性ひずみ比を測定できたが、比較例1ではひずみ量が最大で40%までしか測定できなかった。また、実施例1、2の塑性ひずみ比は、比較例1の塑性ひずみ比によく一致していた。
また、JIS1種の純チタンの圧延方向に引張応力を加えた場合は、実施例1、2では最大ひずみ量40%まで塑性ひずみ比を測定できたが、比較例1ではひずみ量が最大で30%までしか測定できなかった。また、実施例1、2の塑性ひずみ比は、比較例1の塑性ひずみ比によく一致していた。
また、JIS1種の純チタンの圧延幅方向に引張応力を加えた場合は、実施例1、2では最大ひずみ量40%まで塑性ひずみ比を測定できたが、比較例1ではひずみ量が5%でも測定できなかった。
更に、JAC270D鋼板については、実施例1、2では最大ひずみ量40%まで塑性ひずみ比を測定できたが、比較例1ではひずみ量が最大で30%までしか測定できなかった。また、実施例1、2の塑性ひずみ比は、比較例1の塑性ひずみ比によく一致していた。
更に、図10に示すように、SUS304は、座標点からなる列が直線状に揃わずに蛇行しており、ε区間毎に塑性ひずみ比が変化する様子が確認できた。一方、図11及び図12に示すように、JIS1種の純チタンとJAC270D鋼板は、座標点からなる列が比較的直線状に揃っており、ε区間毎に塑性ひずみ比が大きく変化しない様子が確認できた。
また、実施例1及び実施例2では、1つの板状試験片を用いて様々なε区間毎に塑性ひずみ比を求めることができたが、従来例である比較例1の場合は、最大ひずみ量毎に板状試験片を調製して引張試験を行う必要があり、多数の試験片が必要になるとともに測定に多くの時間を要した。
次に、実施例2において、ε区間毎に塑性ひずみ比の変動が大きかったSUS304に対して、近似直線を求める際のε区間を、0〜4%、4〜8%、8〜15%、15〜20%及び20〜50%の5つの区間として、塑性ひずみ比を再計算した。この塑性ひずみ比は、図10において所定のε区間毎に求めた直線の傾きから計算した。結果を表2に示す。表2に示すように、SUS304は、ε区間毎に塑性ひずみ比が大きく異なることが分かる。SUS304は、引張応力を印加することによって加工誘起マルテンサイトが析出することが知られており、塑性ひずみ比の変動は加工誘起マルテンサイトの生成によるものと推測される。
Figure 2020153850
また、実施例2では、ε区間を変更した場合であっても、変更後のε区間における塑性ひずみ比を直ちに得ることができた。更に、実施例2では、ε区間をより狭くすることで、任意のひずみ量εにおける瞬間の塑性ひずみ比を求めることも可能であることが判明した。
1…板状試験片、2…平行部、K、K’ …格子線パターン、Ltotal…基準点間距離のうち平行部の長手方向に平行な成分の合計、P…図形パターン、P…評価対象の図形パターン、SQ…正方形パターン、T〜T…基準点、Wtotal…基準点間距離のうち平行部の幅方向に平行な成分の合計、X…交差部、εLi…評価対象の図形パターンにおける長手方向真ひずみ、εWi…評価対象の図形パターンにおける幅方向真ひずみ。

Claims (5)

  1. 測定対象の金属板から形成された板状試験片であって、複数の正方形パターンを含む格子線パターンが平行部の表面に設けられ、かつ、前記の各正方形パターンの一辺が前記平行部の長手方向と平行になるように設けられた板状試験片を用いて、前記平行部の長手方向に単軸引張応力を加える単軸引張試験を行う第1工程と、
    前記単軸引張試験後の前記平行部に設けられた前記格子線パターンから、前記単軸引張試験前の前記正方形パターンに対応する図形パターンであって前記平行部を幅方向に均等に三分割した中央領域内に面積の50%以上が含まれる図形パターンを評価対象として2つ以上の前記図形パターンを選択する第2工程と、
    前記第2工程において選択した評価対象の前記図形パターンにおける長手方向真ひずみεLi及び幅方向真ひずみεWiを、評価対象の前記図形パターン毎に求める第3工程と、
    y軸を長手方向真ひずみεとし、x軸を幅方向真ひずみεとする直交座標軸平面上に、評価対象の前記図形パターンの長手方向真ひずみεLi及び幅方向真ひずみεWiに対応する座標点を置く第4工程と、
    前記直交座標軸平面の所定のε区間に含まれる前記座標点に対して最小二乗法により近似直線を導出し、前記近似直線の傾きaを下記式(1)に代入して塑性ひずみ比rを算出する第5工程と、
    を順次行うことを特徴とする金属板の塑性ひずみ比の測定方法。
    r=−1/(1+a) … (1)
  2. 前記格子線パターンは、印刷法または電解エッチング法により前記平行部に設けられたものであることを特徴とする請求項1に記載の金属板の塑性ひずみ比の測定方法。
  3. 前記平行部の全幅Wを12mm以上としたとき、前記正方形パターンの一辺長Sを2mm以上、(W/5)mm以下の範囲とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属板の塑性ひずみ比の測定方法。
  4. 前記第3工程において、
    評価対象の前記図形パターンを区画する格子線よりなる4つの辺がそれぞれ接する頂点を基準点とし、各辺の両端にある基準点間の距離のうち、前記平行部の長手方向に平行な成分の合計をLtotal(mm)とし、前記平行部の幅方向に平行な成分の合計をWtotal(mm)とした場合に、
    前記図形パターンにおける長手方向真ひずみεLi及び幅方向真ひずみεWiを、下記式(2)及び下記式(3)により求めることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の金属板の塑性ひずみ比の測定方法。
    εLi=ln(Ltotal/2S) … (2)
    εWi=ln(Wtotal/2S) … (3)
    ただし、式(2)及び式(3)におけるSは、前記正方形パターンの一辺長(mm)である。
  5. 前記図形パターンの前記辺をなす前記格子線が幅を有する線パターンである場合の前記基準点は、前記線パターンが交差する交差部における対角線の交点とすることを特徴とする請求項4に記載の金属板の塑性ひずみ比の測定方法。
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