JP2020152864A - 脱水縮合アミド化合物及びその用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】 水への分散性に優れたエポキシ樹脂硬化剤を提供する。【解決手段】 少なくとも(A)ポリエチレンポリアミンと(B)炭素数10〜16の直鎖ジカルボン酸を必須とする(A)と(B)の脱水縮合アミド化合物であって、(A)のモル数/(B)のモル数が、2/1〜4/3(=1.33/1)であることを特徴とする脱水縮合アミド化合物を使用する。【選択図】 なし
Description
本発明は、塗料、接着剤、フローリング用途等に使用されるエポキシ樹脂硬化物を製造するための硬化剤として好適な脱水縮合アミド化合物又はその組成物に関する。
エポキシ樹脂硬化剤として用いられるポリアミド化合物は、多塩基酸とポリアミン化合物を原料とし、加熱下にアミノ基とカルボキシル基の間で脱水縮合し、アミド結合の形成とポリマー鎖の延伸を行い合成される。具体的には、アジピン酸、ダイマー酸などの2塩基酸又は多塩基酸と、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどのポリエチレンポリアミン類とを出発原料として、アミド結合で両構成単位を連結した樹脂などが従来より知られている。このうち、ダイマー酸は反応性に富み、工業的に得られる最も高分子量の2塩基酸であり、ダイマー酸から誘導されるポリアミドは強靭で、柔軟性を示し、かつ良好な接着性能を有するので、接着剤、インク、表面コーティング剤や、エポキシ樹脂硬化剤としてエポキシ樹脂に配合され、金属、プラスチック、セラミックなどの表面コーティング用として、或いは二液反応型接着剤などに用いられている。
通常、この様なポリアミド硬化剤組成物は、取り扱いを容易にするため、トルエンなどの有機溶剤で希釈して使用するが、近年では環境保護の観点から揮発性有機化合物(VOC)が発生しない水性エポキシ樹脂硬化性組成物を利用する動きが強まっている。しかし上記したダイマー酸から誘導されるポリアミド硬化剤は、水との相溶性、分散性に乏しく、水を希釈剤として用いる水系エポキシ樹脂に対する硬化剤としては使用することができなかった。
そこで、水への分散性を向上させた硬化剤組成物が検討されている。
例えば、炭素数が約12より少ないアルキレンポリアミンと、炭素数が約18より少ない芳香族モノ−グリシジルエーテルと、平均オリゴマー化度が約3.5より小さい芳香族ジオールのジグリシジルエーテルとから主としてなる反応原系が反応して得られた生成物を含み、前記アルキレンポリアミンの1級アミン当量の、前記芳香族グリシジルエーテルおよび前記芳香族ジオールのジグリシジルエーテルのエポキシ当量の合計に対する比は実質的に1より小さくなく、前記芳香族モノ−グリシジルエーテルのエポキシ当量の、前記芳香族ジオールのジグリシジルエーテルのエポキシ当量に対する比は1より大きいエポキシ硬化剤を用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、例えば、アルキル化ポリアルキレンアミン化合物とポリアルキレンポリエーテルポリオール変性ポリエポキシド樹脂との反応生成物、並びに、2又はそれ以上の活性アミン水素を有する少なくとも一つの多官能性アミン、の接触生成物を含む硬化剤組成物を用いる方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、この様な硬化剤組成物は、高濃度に水分散できず、更なる改良が望まれていた。
本発明は、上記の背景技術に鑑みてなされた物であり、その目的は、水への分散性に優れた硬化剤組成物を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に示すとおりの脱水縮合アミド化合物及びその用途に関する。
[1] 少なくとも(A)ポリエチレンポリアミンと(B)炭素数10〜16の直鎖ジカルボン酸を必須とする(A)と(B)の脱水縮合アミド化合物であって、(A)のモル数/(B)のモル数が、2/1〜4/3(=1.33/1)であることを特徴とする脱水縮合アミド化合物。
[2] (A)ポリエチレンポリアミンが、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、及びペンタエチレンヘキサミン(PEHA)からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[1]に記載の脱水縮合アミド化合物。
[3] (B)炭素数10〜16の直鎖ジカルボン酸が、デカン二酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、及びヘキサデカン二酸からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[1]、又は[2]に記載の脱水縮合アミド化合物。
[4] [1]乃至[3]のいずれか一項に記載の脱水縮合アミド化合物と水を含む組成物。
[5] [1]乃至[3]のいずれか一項に記載の脱水縮合アミド化合物とエポキシ樹脂と接触させることを特徴とする、エポキシ樹脂硬化物の製造方法。
[6] エポキシ樹脂中のエポキシ基に対する脱水縮合アミド化合物中のアミン水素の化学量論比が1.5:1〜1:1.5(=0.67:1)の範囲になるように、脱水縮合アミド化合物とエポキシ樹脂を混合し、接触させることを特徴とする、[5]に記載のエポキシ樹脂硬化物の製造方法。
[7] エポキシ樹脂が、ビスフェノールAのグリシジルエーテル、ポリアルキレンポリエーテルポリオール変性ビスフェノールAのグリシジルエーテル、ビスフェノールFのグリシジルエーテル、及びエポキシノボラック樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む乳化分散液であることを特徴とする、[5]、又は[6]に記載のエポキシ樹脂硬化物の製造方法。
[1] 少なくとも(A)ポリエチレンポリアミンと(B)炭素数10〜16の直鎖ジカルボン酸を必須とする(A)と(B)の脱水縮合アミド化合物であって、(A)のモル数/(B)のモル数が、2/1〜4/3(=1.33/1)であることを特徴とする脱水縮合アミド化合物。
[2] (A)ポリエチレンポリアミンが、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、及びペンタエチレンヘキサミン(PEHA)からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[1]に記載の脱水縮合アミド化合物。
[3] (B)炭素数10〜16の直鎖ジカルボン酸が、デカン二酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、及びヘキサデカン二酸からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[1]、又は[2]に記載の脱水縮合アミド化合物。
[4] [1]乃至[3]のいずれか一項に記載の脱水縮合アミド化合物と水を含む組成物。
[5] [1]乃至[3]のいずれか一項に記載の脱水縮合アミド化合物とエポキシ樹脂と接触させることを特徴とする、エポキシ樹脂硬化物の製造方法。
[6] エポキシ樹脂中のエポキシ基に対する脱水縮合アミド化合物中のアミン水素の化学量論比が1.5:1〜1:1.5(=0.67:1)の範囲になるように、脱水縮合アミド化合物とエポキシ樹脂を混合し、接触させることを特徴とする、[5]に記載のエポキシ樹脂硬化物の製造方法。
[7] エポキシ樹脂が、ビスフェノールAのグリシジルエーテル、ポリアルキレンポリエーテルポリオール変性ビスフェノールAのグリシジルエーテル、ビスフェノールFのグリシジルエーテル、及びエポキシノボラック樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む乳化分散液であることを特徴とする、[5]、又は[6]に記載のエポキシ樹脂硬化物の製造方法。
本発明の脱水縮合アミド化合物は、エポキシ樹脂硬化剤として優れた硬化性を示し、尚且つ、水への分散性に優れ高濃度で水に分散することができるという効果を奏する。
また、本発明の脱水縮合アミド化合物は、単位重量当たりのアミン水素量が多いため、エポキシ樹脂に対する使用部数を少なく抑えることができるため、エポキシ硬化樹脂の物性低下を抑えることができるという効果を奏する。
また、本発明の脱水縮合アミド化合物は、耐食性に優れるエポキシ樹脂硬化物を提供することができるという効果を奏する。
本発明のエポキシ樹脂組成物は限定するものではないが、例えば塗料、接着剤、土木・建築材料などの用途に好適に用いられる。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の脱水縮合アミド化合物について説明する。
本発明の脱水縮合アミド化合物は、少なくとも(A)ポリエチレンポリアミンと(B)炭素数10〜16の直鎖ジカルボン酸を必須とする(A)と(B)の脱水縮合アミド化合物であって、(A)のモル数/(B)のモル数が、2/1〜4/3(=1.33/1)であることを特徴とする。
本発明において、(A)ポリエチレンポリアミンとしては、特に限定するものではないが、具体例としては、例えば、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、及びペンタエチレンヘキサミン(PEHA)等が挙げられる。
ここで、「TETA」とは、4つのアミノ基がエチレン鎖を介して直鎖状又は分岐状に連なっている化合物を指し、ピペラジン環構造を有するものも含まれる。TETAの具体的な化合物名としては、例えば、1,4,7,10−テトラアザデカン、N,N−ビス(2−アミノエチル)−1,2−エタンジアミン、1−[2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル]−ピペラジン、又は1,4−ビス(2−アミノエチル)−ピペラジン等が挙げられる。
また、「TEPA」とは、5つのアミノ基がエチレン鎖を介して直鎖状又は分岐状に連なっている化合物を指し、ピペラジン環構造を有するものも含まれる。TEPAの具体的な化合物名としては、例えば、1,4,7,10,13−ペンタアザトリデカン、N,N,N’−トリス(2−アミノエチル)−1,2−エタンジアミン、1−[2−[2−[2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル]アミノ]エチル]−ピペラジン、1−[2−[ビス(2−アミノエチル)アミノ]エチル]−ピペラジン、又はビス[2−(1−ピペラジニル)エチル]アミン等が挙げられる。
また、「PEHA」とは、6つのアミノ基がエチレン鎖を介して直鎖状又は分岐状に連なっている化合物を指し、ピペラジン環構造を有するものも含まれる。PEHAの具体的な化合物名としては、例えば、1,4,7,10,13,16−ヘキサアザヘキサデカン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−アミノエチル)−1,2−エタンジアミン、N,N−ビス(2−アミノエチル)−N’−[2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル]−1,2−エタンジアミン、1−[2−[2−[2−[2−[2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル]アミノ]エチル]アミノ]エチル]−ピペラジン、1−[2−[2−[2−[ビス(2−アミノエチル)アミノ]エチル]アミノ]エチル]−ピペラジン、又はN,N’−ビス[2−(1−ピペラジニル)エチル]−1,2−エタンジアミン等が挙げられる。
これらのうち、(A)ポリエチレンポリアミンとしては、入手のし易さ、及び取得コストの観点から、
ジエチレントリアミン(DETA)、
1,4,7,10−テトラアザデカン、N,N−ビス(2−アミノエチル)−1,2−エタンジアミン、1−[2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル]−ピペラジン、及び1、4−ビス(2−アミノエチル)−ピペラジンを含むトリエチレンテトラミン(TETA)、
1,4,7,10,13−ペンタアザトリデカン、N,N,N’−トリス(2−アミノエチル)−1,2−エタンジアミン、1−[2−[2−[2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル]アミノ]エチル]−ピペラジン、1−[2−[ビス(2−アミノエチル)アミノ]エチル]−ピペラジン、及びビス[2−(1−ピペラジニル)エチル]アミンを含むテトラエチレンペンタミン(TEPA)、並びに
1,4,7,10,13,16−ヘキサアザヘキサデカン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−アミノエチル)−1,2−エタンジアミン、N,N−ビス(2−アミノエチル)−N’−[2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル]−1,2−エタンジアミン、1−[2−[2−[2−[2−[2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル]アミノ]エチル]アミノ]エチル]−ピペラジン、1−[2−[2−[2−[ビス(2−アミノエチル)アミノ]エチル]アミノ]エチル]−ピペラジン、及びN,N’−ビス[2−(1−ピペラジニル)エチル]−1,2−エタンジアミンを含むペンタエチレンヘキサミン(PEHA)、
からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
ジエチレントリアミン(DETA)、
1,4,7,10−テトラアザデカン、N,N−ビス(2−アミノエチル)−1,2−エタンジアミン、1−[2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル]−ピペラジン、及び1、4−ビス(2−アミノエチル)−ピペラジンを含むトリエチレンテトラミン(TETA)、
1,4,7,10,13−ペンタアザトリデカン、N,N,N’−トリス(2−アミノエチル)−1,2−エタンジアミン、1−[2−[2−[2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル]アミノ]エチル]−ピペラジン、1−[2−[ビス(2−アミノエチル)アミノ]エチル]−ピペラジン、及びビス[2−(1−ピペラジニル)エチル]アミンを含むテトラエチレンペンタミン(TEPA)、並びに
1,4,7,10,13,16−ヘキサアザヘキサデカン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−アミノエチル)−1,2−エタンジアミン、N,N−ビス(2−アミノエチル)−N’−[2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル]−1,2−エタンジアミン、1−[2−[2−[2−[2−[2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル]アミノ]エチル]アミノ]エチル]−ピペラジン、1−[2−[2−[2−[ビス(2−アミノエチル)アミノ]エチル]アミノ]エチル]−ピペラジン、及びN,N’−ビス[2−(1−ピペラジニル)エチル]−1,2−エタンジアミンを含むペンタエチレンヘキサミン(PEHA)、
からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
本発明の脱水縮合アミド化合物は、本発明の趣旨に反しない程度であれば、前記のポリエチレンポリアミン以外のアミン化合物を含んで脱水縮合されたものであっても差し支えない。それ以外のアミン化合物としては、限定するものではないが、例えば、エチレンジアミン、ポリエチレンイミン、ピペラジン、メタ−キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、ビス−(3−アミノプロピル)アミン、N,N’−ビス−(3−アミノプロピル)−1,2−ジアミノエタン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ポリオキシアルキレンポリアミン(例えば、Jeffamine D−230、Jeffamine D−400、Jeffamine D−2000、又はJeffamine D−4000、Jeffamine T−403)が挙げられる。当該ポリエチレンポリアミン以外のアミン化合物を含有させる場合、ポリエチレンポリアミンのモル数とポリエチレンポリアミン以外のアミン化合物のモル数を合計したものを(A)ポリエチレンポリアミンのモル数と見做す。
本発明において、(A)ポリエチレンポリアミンは市販のものでもよいし、公知の方法により合成したものでもよく、特に限定されない。また、(A)ポリエチレンポリアミンの純度としては、特に限定はないが、ポリアミド硬化剤組成物としての性能を担保する上で、95%以上が好ましく、99%以上が特に好ましい。
本発明において、(B)炭素数10〜16の直鎖ジカルボン酸としては、具体例としては、例えば、デカン二酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、又はヘキサデカン二酸が挙げられる。中でも入手のし易さ、及び生成する脱水縮合アミド化合物の水への分散性が優れる点から、デカン二酸、ドデカン二酸、及びテトラデカン二酸からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
本発明の脱水縮合アミド化合物は、本発明の趣旨に反しない程度であれば、(B)炭素数10〜16の直鎖ジカルボン酸に加えて、その他のカルボン酸化合物、例えばモノ官能性不飽和脂肪酸やそのエステル、ダイマー酸等、を含んで脱水縮合されたものであっても差し支えない。当該その他のカルボン酸化合物を含有させる場合、炭素数10〜16の直鎖ジカルボン酸のモル数とその他のカルボン酸化合物のモル数を合計したものを(B)炭素数10〜16の直鎖ジカルボン酸のモル数と見做す。
本発明において、炭素数10〜16の直鎖ジカルボン酸は市販のものでもよいし、公知の方法により合成したものでもよく、特に限定されない。また、炭素数10〜16の直鎖ジカルボン酸の純度としては、特に限定はないが、ポリアミド硬化剤組成物としての性能を担保する上で、95%以上が好ましく、99%以上が特に好ましい。
本発明において、(A)ポリエチレンポリアミンと(B)炭素数10〜16の直鎖ジカルボン酸の混合比は、(A)のモル数/(B)のモル数が、2/1〜4/3(=1.33/1)であることを特徴とする。エポキシ樹脂の硬化剤として作用するには、末端アミノ基の存在が必要とされるので、この範囲の割合で用いるのが有利である。このとき、(A)ポリエチレンポリアミンのモル数は(A)ポリエチレンポリアミンの平均分子量から計算される。また、(B)炭素数10〜16の直鎖ジカルボン酸のモル数は(B)炭素数10〜16の直鎖ジカルボン酸の平均分子量から計算される。
本発明の脱水縮合ポリアミド化合物は、特に限定するものではないが、少なくとも、(A)ポリエチレンポリアミンと(B)炭素数10〜16の直鎖ジカルボン酸を混合し、脱水縮合反応させることによって製造することができる。
当該製造プロセスにおいては、高酸強度のルイス酸型又はブレンステッド酸型触媒の存在下に脱水縮合させることもできる。
前記の脱水縮合反応は、120〜280℃、好ましくは180〜250℃の温度範囲において加熱することにより行われる。反応時の圧力は1mmHg〜常圧の範囲であることが好ましい。また、生成物の着色を防止するために。窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。反応時間は反応温度や使用する原料の種類により左右され、一概に定めることはできないが、2〜5時間程度が好ましい。また、反応終了前には減圧状態で適当な時間熟成することが好ましい。
本発明の脱水縮合アミド化合物を水溶液等の組成物とする場合は、上記の脱水縮合反応終了後、所望の濃度となるよう水を加えることが好ましい。当該水溶液の濃度としては、特に制限はないが、硬化剤添加部数を減らすことができるため、高濃度であるほど好ましい。本発明の脱水縮合アミド化合物は、水への分散性に優れるため、本発明の脱水縮合アミド化合物の水溶液については、濃度50%重量以上とすることが好ましい。
本発明における脱水縮合アミド化合物については、上記の通り、さらに水を含有する水分散組成物であることが好ましい。本発明の脱水縮合アミド化合物を、水への分散体とすることで、高い流動性を付与することができ、水系エポキシ樹脂との混合作業や、塗布作業、移液作業、充填作業等の作業性が向上する。
また、本発明の組成物については、本発明の趣旨に反しない程度であれば、水以外の水溶性溶剤を添加しても差し支えない。当該水溶性溶剤としては、本発明の脱水縮合アミド化合物に対して不活性であり、且つ分散性を阻害せず、水と均一化するものでることが好ましく、特に限定するものではないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、イソブチルセロソロブ等のセロソルブ類、モノグライム、ジグライム、トリグライム等のグライム類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類が挙げられる。
本発明の脱水縮合アミド化合物を分散させる方法としては、特に制限はなく、公知の方法を利用できる。例えば、具体的には、攪拌羽による攪拌、スターラー及び攪拌子による攪拌、沸盪器による攪拌、超音波(ホモジナイザー)による攪拌や、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、カッターミル、コロイドミル、ローラーミル、乳鉢、及び石臼からなる群の少なくとも一種を用いる方法を挙げることができる。
次に本発明のエポキシ樹脂硬化物の製造方法について説明する。
本発明のエポキシ樹脂硬化物は、上記の脱水縮合ポリアミド化合物(又はその組成物)と、エポキシ樹脂を混合し、接触させることによって製造することができる。
本発明の脱水縮合ポリアミド化合物は、その1分子あたりおおよそ2以上の反応性活性アミン水素を有し、1,2−エポキシ基を含有するエポキシ樹脂と化学反応することによって、エポキシ樹脂硬化物を形成することができる。
本発明のエポキシ樹脂硬化物の製造方法に用いられるエポキシ樹脂については、特に制限はなく、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能性エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、無溶媒のもの、又は溶媒で希釈したものを使用することができるが、エポキシ樹脂を水中で乳化し、分散状態とした水系エポキシ樹脂であることが好ましい。水系エポキシ樹脂としては、特に限定するものではないが、例えば、具体的には、ビスフェノールAのグリシジルエーテル、ポリアルキレンポリエーテルポリオール変性ビスフェノールAのグリシジルエーテル、ビスフェノールFのグリシジルエーテル、及びエポキシノボラック樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む乳化分散液等が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂硬化物の製造方法において、脱水縮合ポリアミド化合物とエポキシ樹脂の混合については、エポキシレジン中のエポキシ基と、脱水縮合アミド化合物中の活性アミン水素の化学両論比が約1.5対1〜約1対1.5の範囲となるように処方することが好ましく、より良い樹脂物性が得られる点で、1.2対1〜1対1.2の範囲であることがより好ましい。
本発明のエポキシ樹脂硬化物の製造方法において、本発明の脱水縮合ポリアミド化合物(又はその組成物)とエポキシ樹脂を混合する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を利用できる。例えば、具体的には、攪拌羽による攪拌、スターラー及び攪拌子による攪拌、沸盪器による攪拌、超音波(ホモジナイザー)による攪拌や、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、カッターミル、コロイドミル、ローラーミル、乳鉢、及び石臼からなる群の少なくとも一種を用いる方法を挙げることができる。
本発明のエポキシ樹脂硬化物の製造方法は、本発明の脱水縮合ポリアミド化合物(又はその組成物)とエポキシレジンを混合し、接触させる工程の他に、一般公知の硬化促進剤を添加する工程を含んでいてもよい。このような硬化促進剤としては、限定する物ではないが、例えば有機酸化合物、アルコール化合物、フェノール、第三アミン、ヒドロキシルアミン及びこれらに類する化合物が挙げられる。特に有用な硬化促進剤としては、フェノール、ノニルフェノール、クレゾール、ビスフェノールA、サリチル酸、ジメチルアミノメチルフェノール、ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、及びトリス(ジメチルアミノメチル)フェノールが挙げられる。通常、このような硬化促進剤は、バインダーの合計質量を基準として10%以下、好ましくは5%未満で使用される。
また、本発明のエポキシ樹脂硬化物の製造方法は、その特性を損なわない範囲で、必要に応じて、他の樹脂(例えば、ポリエステル系水性樹脂、又はアクリル系水性樹脂等)成分を添加する工程を含んでいてもよい。
本発明のエポキシ樹脂硬化物の用途としては、特に制限されるものではないが、例えば、塗料、接着剤、繊維集束剤、コンクリートプライマー等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂硬化物の製造方法を塗料用途に用いる場合には、必要に応じて、防錆顔料、着色顔料、体質顔料等の各種顔料や各種添加剤等を配合する工程を含んでいてもよい。防錆顔料としては、例えば、亜鉛粉末、リンモリブテン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、クロム酸バリウム、クロム酸アルミニウム、グラファイト等の鱗片状顔料等が挙げられ、着色顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、硫化亜鉛、ベンガラが挙げられ、また、体質顔料としては、例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、カオリン等が挙げられる。これらの添加剤の配合量としては、本発明の脱水縮合ポリアミド化合物及びエポキシ樹脂の合計100質量部に対して、10〜70質量部であることが、塗膜性能、塗装作業性等の点から好ましい。
上記の硬化促進剤、他の樹脂、防錆顔料、着色顔料、体質顔料等の各種顔料や各種添加剤等を添加する工程(添加剤添加工程)は、脱水縮合ポリアミド化合物とエポキシ樹脂を混合する工程の前であってもよいし、前記の脱水縮合ポリアミド化合物(又はその組成物)とエポキシ樹脂を混合し、接触させる工程の途中又はその後であってもよい。脱水縮合ポリアミド化合物とエポキシ樹脂を混合する工程の前に上記の添加剤添加工程を行う場合は、それぞれの添加剤の物性に応じて、脱水縮合ポリアミド化合物に添加してもよいし、エポキシ樹脂に添加してもよいし、これらの両方に添加してもよい。
本発明を以下の参考例及び実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
<水への分散性の評価>:調製した脱水縮合アミド化合物の水への分散性については以下の基準にて評価した。
良好:一か月間の静置保存後、沈殿、又は相分離が発生せず分散状態を維持
不良:一か月間の静置保存後、分散状態を維持できず、沈殿、又は相分離が発生
<薄膜硬化時間の評価>:RC型ドライングライムレコーダー(コーティングテスター社製)を使用して測定した。脱水縮合アミド化合物とエポキシ樹脂の混合物(エポキシ樹脂硬化物前駆体)を、インチアプリケーターを用いて76マイクロメーターの湿潤膜厚さの塗膜をガラスパネル(25cm×2cm×0.2cm)に適用した。一定の温度25℃かつ一定の相対湿度50%RHにおいて評価した。この試験で示される2次線状痕消失時間により硬化性を評価した。
不良:一か月間の静置保存後、分散状態を維持できず、沈殿、又は相分離が発生
<薄膜硬化時間の評価>:RC型ドライングライムレコーダー(コーティングテスター社製)を使用して測定した。脱水縮合アミド化合物とエポキシ樹脂の混合物(エポキシ樹脂硬化物前駆体)を、インチアプリケーターを用いて76マイクロメーターの湿潤膜厚さの塗膜をガラスパネル(25cm×2cm×0.2cm)に適用した。一定の温度25℃かつ一定の相対湿度50%RHにおいて評価した。この試験で示される2次線状痕消失時間により硬化性を評価した。
<塗膜の耐食性評価> 脱水縮合アミド化合物とエポキシ樹脂の混合物(エポキシ樹脂硬化物前駆体)を、隙間を200マイクロメーターに調整したドクターブレードを用いて冷間圧延鋼板(SPCC―SB、7cm×15cm×0.5mm)上に均一塗布し、25℃、50%相対湿度一定条件で48時間乾燥、硬化させた。その後、塗布面に10%硫酸水溶液を約1cm×1cmの範囲に塗布(塗布量0.4ml)し、25℃、50%相対湿度一定条件で静置した。一日に一回、10%硫酸水溶液を塗布した部分の状態を観察し、耐食性を以下の基準にて評価した。
良好:一か月間、鋼板面に変化が無かった
不良:一か月以内に、鋼板面に腐食(錆)が発生。
不良:一か月以内に、鋼板面に腐食(錆)が発生。
実施例1
1000mLのガラス容器に、デカン二酸(東京化成工業社製) 100gを加え、次いで、ジエチレントリアミン(東ソー社製) 102gを、攪拌しながらゆっくり加えた。この時、ジエチレントリアミン/デカン二酸のモル比は、2/1であった。次に、攪拌速度を150rpmに上げ、窒素雰囲気下200℃で4時間加熱し、17.8gの水を蒸留によって除去した。さらに200℃、10mmHgで1時間反応を行い、目的の脱水縮合アミド化合物を得た。次に、反応容器を60℃まで冷却し、固形物濃度67重量%になるように水を加えて攪拌して水分散液とした後、室温まで冷却した。この得られた脱水縮合アミド化合物の組成物は乳白色で、水分散性が良好であった。この組成物は、固形分換算でのアミン当量が46.5であった。
1000mLのガラス容器に、デカン二酸(東京化成工業社製) 100gを加え、次いで、ジエチレントリアミン(東ソー社製) 102gを、攪拌しながらゆっくり加えた。この時、ジエチレントリアミン/デカン二酸のモル比は、2/1であった。次に、攪拌速度を150rpmに上げ、窒素雰囲気下200℃で4時間加熱し、17.8gの水を蒸留によって除去した。さらに200℃、10mmHgで1時間反応を行い、目的の脱水縮合アミド化合物を得た。次に、反応容器を60℃まで冷却し、固形物濃度67重量%になるように水を加えて攪拌して水分散液とした後、室温まで冷却した。この得られた脱水縮合アミド化合物の組成物は乳白色で、水分散性が良好であった。この組成物は、固形分換算でのアミン当量が46.5であった。
エポキシ当量 560の水系エポキシ樹脂(jER W1155R55 三菱ケミカル株式会社製) 102重量部に、上記で得られた脱水縮合アミド化合物の組成物 6.9重量部を添加し、高速撹拌機を用いて室温下5分間せん断攪拌した。この時、エポキシ樹脂中のエポキシ基に対するポリアミド硬化剤組成物アミン水素の化学量論比は1.0である。上記評価方法に従って、薄膜硬化時間の評価と薄膜硬化時間の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2
ジエチレントリアミン 102gの代わりに、トリエチレンテトラミン(東ソー社製) 108gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って(この時、トリエチレンテトラミン/デカン二酸のモル比は、3/2(=1.5/1)であった)、脱水縮合アミン化合物を製造し、さらに固形物濃度67重量%の脱水縮合アミド化合物の組成物を製造した。この組成物は、水分散性が良好であり、固形分換算でのアミン当量が55であった。
ジエチレントリアミン 102gの代わりに、トリエチレンテトラミン(東ソー社製) 108gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って(この時、トリエチレンテトラミン/デカン二酸のモル比は、3/2(=1.5/1)であった)、脱水縮合アミン化合物を製造し、さらに固形物濃度67重量%の脱水縮合アミド化合物の組成物を製造した。この組成物は、水分散性が良好であり、固形分換算でのアミン当量が55であった。
前記の脱水縮合アミド化合物の組成物を用い、実施例1と同様の方法で薄膜硬化時間の評価と薄膜硬化時間の評価を行った(エポキシ樹脂中のエポキシ基に対するポリアミド硬化剤組成物アミン水素の化学量論比は1.0とした)。結果を表1に示す。
実施例3
ジエチレントリアミン 102gの代わりに、トリエチレンテトラミン(東ソー社製) 103gを用い、尚且つデカン二酸 100gの代わりに、ドデカン二酸(東京化成工業社製) 100gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って(この時、トリエチレンテトラミン/ドデカン二酸のモル比は、4/2.5(=1.6/1)であった)、脱水縮合アミン化合物を製造し、さらに固形物濃度67重量%の脱水縮合アミド化合物の組成物を製造した。この組成物は、水分散性が良好であり、固形分換算でのアミン当量が55.7であった。
ジエチレントリアミン 102gの代わりに、トリエチレンテトラミン(東ソー社製) 103gを用い、尚且つデカン二酸 100gの代わりに、ドデカン二酸(東京化成工業社製) 100gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って(この時、トリエチレンテトラミン/ドデカン二酸のモル比は、4/2.5(=1.6/1)であった)、脱水縮合アミン化合物を製造し、さらに固形物濃度67重量%の脱水縮合アミド化合物の組成物を製造した。この組成物は、水分散性が良好であり、固形分換算でのアミン当量が55.7であった。
前記の脱水縮合アミド化合物の組成物を用い、実施例1と同様の方法で薄膜硬化時間の評価と薄膜硬化時間の評価を行った(エポキシ樹脂中のエポキシ基に対するポリアミド硬化剤組成物アミン水素の化学量論比は1.0とした)。結果を表1に示す。
実施例4
ジエチレントリアミン 102gの代わりに、テトラエチレンペンタミン(東ソー社製) 111gを用い、尚且つデカン二酸 100gの代わりに、ドデカン二酸(東京化成工業社製) 100gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って(この時、テトラエチレンペンタミン/ドデカン二酸のモル比は、4/3(=1.33/1)であった)、脱水縮合アミン化合物を製造し、さらに固形物濃度50重量%の脱水縮合アミド化合物の組成物を製造した。この組成物は、水分散性が良好であり、固形分換算でのアミン当量が60.5であった。
ジエチレントリアミン 102gの代わりに、テトラエチレンペンタミン(東ソー社製) 111gを用い、尚且つデカン二酸 100gの代わりに、ドデカン二酸(東京化成工業社製) 100gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って(この時、テトラエチレンペンタミン/ドデカン二酸のモル比は、4/3(=1.33/1)であった)、脱水縮合アミン化合物を製造し、さらに固形物濃度50重量%の脱水縮合アミド化合物の組成物を製造した。この組成物は、水分散性が良好であり、固形分換算でのアミン当量が60.5であった。
前記の脱水縮合アミド化合物の組成物を用い、実施例1と同様の方法で薄膜硬化時間の評価と薄膜硬化時間の評価を行った(エポキシ樹脂中のエポキシ基に対するポリアミド硬化剤組成物アミン水素の化学量論比は1.0とした)。結果を表1に示す。
比較例1
デカン二酸 100gの代わりに、ヘキサン二酸(東京化成工業社製) 100gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って(この時、ジエチレントリアミン/ヘキサン二酸のモル比は、3/2(=1.5/1)であった)、脱水縮合アミン化合物を製造し、さらに固形物濃度50重量%の脱水縮合アミド化合物の組成物を製造した。この組成物は、水分散性が不良で、溶解状態を呈した。固形分換算でのアミン当量は49.5であった。
デカン二酸 100gの代わりに、ヘキサン二酸(東京化成工業社製) 100gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って(この時、ジエチレントリアミン/ヘキサン二酸のモル比は、3/2(=1.5/1)であった)、脱水縮合アミン化合物を製造し、さらに固形物濃度50重量%の脱水縮合アミド化合物の組成物を製造した。この組成物は、水分散性が不良で、溶解状態を呈した。固形分換算でのアミン当量は49.5であった。
前記の脱水縮合アミド化合物の組成物を用い、実施例1と同様の方法で薄膜硬化時間の評価と薄膜硬化時間の評価を行った(エポキシ樹脂中のエポキシ基に対するポリアミド硬化剤組成物アミン水素の化学量論比は1.0とした)。結果を表2に示す。
比較例2
ジエチレントリアミン 102gの代わりに、テトラエチレンペンタミン(東ソー社製) 95gを用い、尚且つデカン二酸 100gの代わりに、オクタデカン二酸(東京化成工業社製) 100gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って(この時、テトラエチレンペンタミン/オクタデカン二酸のモル比は、3/2(=1.5/1)であった)、脱水縮合アミン化合物を製造し、さらに固形物濃度30重量%の脱水縮合アミド化合物の組成物を製造した。この組成物は、水分散性が不良で、沈殿物が生じた。固形分換算でのアミン当量は64.2であった。
ジエチレントリアミン 102gの代わりに、テトラエチレンペンタミン(東ソー社製) 95gを用い、尚且つデカン二酸 100gの代わりに、オクタデカン二酸(東京化成工業社製) 100gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って(この時、テトラエチレンペンタミン/オクタデカン二酸のモル比は、3/2(=1.5/1)であった)、脱水縮合アミン化合物を製造し、さらに固形物濃度30重量%の脱水縮合アミド化合物の組成物を製造した。この組成物は、水分散性が不良で、沈殿物が生じた。固形分換算でのアミン当量は64.2であった。
前記の脱水縮合アミド化合物の組成物を用い、実施例1と同様の方法で薄膜硬化時間の評価と薄膜硬化時間の評価を行った(エポキシ樹脂中のエポキシ基に対するポリアミド硬化剤組成物アミン水素の化学量論比は1.0とした)。結果を表2に示す。
比較例3
ジエチレントリアミン 102gの代わりに、トリエチレンテトラミン(東ソー社製) 26gを用い、尚且つデカン二酸 100gの代わりに、ダイマー酸(ツノダイム216、酸価193.6mgKOH、築野食品工業株式会社製) 100gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って(この時、トリエチレンテトラミン/ダイマー酸のモル比は、3/2(=1.5/1)であった)、脱水縮合アミン化合物を製造し、さらに固形物濃度30重量%の脱水縮合アミド化合物の組成物を製造した。この組成物は、水分散性が不良で、相分離した。固形分換算でのアミン当量は177.6であった。
ジエチレントリアミン 102gの代わりに、トリエチレンテトラミン(東ソー社製) 26gを用い、尚且つデカン二酸 100gの代わりに、ダイマー酸(ツノダイム216、酸価193.6mgKOH、築野食品工業株式会社製) 100gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って(この時、トリエチレンテトラミン/ダイマー酸のモル比は、3/2(=1.5/1)であった)、脱水縮合アミン化合物を製造し、さらに固形物濃度30重量%の脱水縮合アミド化合物の組成物を製造した。この組成物は、水分散性が不良で、相分離した。固形分換算でのアミン当量は177.6であった。
前記の脱水縮合アミド化合物の組成物を用い、実施例1と同様の方法で薄膜硬化時間の評価と薄膜硬化時間の評価を行った(エポキシ樹脂中のエポキシ基に対するポリアミド硬化剤組成物アミン水素の化学量論比は1.0とした)。結果を表2に示す。
本発明(実施例1〜4)のポリアミド硬化剤組成物は、良好な水分散性を示した。本発明の範囲から外れる比較例1では水へ溶解し、比較例2、3では、沈殿が発生したり、相分離が発生し、水への分散状態を維持できなかった。
また、本発明(実施例1〜4)のエポキシ樹脂硬化物は、良好な耐食性を示した。本発明の範囲から外れる比較例1〜3では腐食(錆)が発生し、耐食性が劣った。
Claims (7)
- 少なくとも(A)ポリエチレンポリアミンと(B)炭素数10〜16の直鎖ジカルボン酸を必須とする(A)と(B)の脱水縮合アミド化合物であって、(A)のモル数/(B)のモル数が、2/1〜4/3(=1.33/1)であることを特徴とする脱水縮合アミド化合物。
- (A)ポリエチレンポリアミンが、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、及びペンタエチレンヘキサミン(PEHA)からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の脱水縮合アミド化合物。
- (B)炭素数10〜16の直鎖ジカルボン酸が、デカン二酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、及びヘキサデカン二酸からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の脱水縮合アミド化合物。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の脱水縮合アミド化合物と水を含む組成物。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の脱水縮合アミド化合物とエポキシ樹脂と接触させることを特徴とする、エポキシ樹脂硬化物の製造方法。
- エポキシ樹脂中のエポキシ基に対する脱水縮合アミド化合物中のアミン水素の化学量論比が1.5:1〜1:1.5(=0.67:1)の範囲になるように、脱水縮合アミド化合物とエポキシ樹脂を混合し、接触させることを特徴とする、請求項5に記載のエポキシ樹脂硬化物の製造方法。
- エポキシ樹脂が、ビスフェノールAのグリシジルエーテル、ポリアルキレンポリエーテルポリオール変性ビスフェノールAのグリシジルエーテル、ビスフェノールFのグリシジルエーテル、及びエポキシノボラック樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む乳化分散液であることを特徴とする、請求項5、又は請求項6に記載のエポキシ樹脂硬化物の製造方法。
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