本発明は、上述の問題に鑑み、グロメットをパネルに固定させた状態において、確実な止水性を確保できるグロメットインナ及び、前記グロメットインナを装着したグロメットを提供することを目的とする。
この発明は、パネルに設けた挿通孔を挿通する電線を保護するグロメットを、前記パネルに対して密着させるリップを備える筒状のグロメット本体とともに構成し、該グロメット本体の端部に装着されるとともに、前記挿通孔に固定されるグロメットインナであって、前記挿通孔に挿通されるとともに、前記挿通孔に固定された状態における前記挿通孔への挿通方向から視てオーバル形状に形成された筒状のインナー本体と、該インナー本体の一端側において、前記挿通方向から視た前記インナー本体の径方向の外側に向けて延伸するフランジ部とを有し、前記インナー本体の他端側端面には、前記他端側端面から前記挿通方向の他端側に向けて延伸するガイド片が、前記径方向に沿うとともに、前記径方向の外側の端面と前記インナー本体の外周面とが面一となるように構成されたことを特徴とする。
上述のグロメットインナと、内部に電線を挿通させる筒状のグロメット本体とで構成され、前記グロメットインナが、前記グロメット本体の端部に装着されたグロメットであることを特徴とする。
前記電線は、電気機器同士を電気的に接続する構成をさし、一本の導電体で構成された素線や、複数の導電体を束ねたワイヤーハーネス、絶縁電線を保護被覆で覆ったケーブルなどを含む。なお、前記電線は導電体を絶縁体で被覆した被覆電線であってもよいし、導体がむき出された裸電線であってもよい。
前記オーバル形状は、長軸又は短軸に対して線対称である長円や楕円、真円、卵形、あるいは長軸又は短軸に対して非対称な長円などの他、角部分が円弧状に形成された多角形状を含む。
前記挿通方向は、前記挿通孔に前記グロメットインナを正確に固定できるように挿入する方向をさす。すなわち、前記挿通孔が設けられた前記パネルに対して直交する方向さす。
前記径方向は、前記挿通方向から視てオーバル形状に形成された前記インナー本体における中央側(内側)から外側に向いた方向をさす。すなわち、上述の径方向の外側とは、挿通方向から視てオーバス形状の筒状に形成されている前記インナー本体の内側から外側に向いた方向をさし、径方向の内側とは、挿通方向から視てオーバス形状の筒状に形成されている前記インナー本体の外側から内側に向けた方向をさす。
この発明により、前記グロメットを前記パネルに固定させた状態において、確実な止水性を確保できる。
詳述すると、前記グロメットに装着された前記グロメットインナが、パネルに設けられた挿通孔に対して過度に傾いた状態で挿通された場合に、オーバル形状に形成された前記グロメットインナ本体の他端に形成される他端側端面から前記挿通方向の他端側に延伸された前記ガイド片が前記挿通孔と干渉させることができ、傾いた状態での前記グロメットインナが前記挿通孔に挿通されることを防止できる。したがって、前記グロメットインナが装着された前記グロメットに設けられたリップが前記径方向の内側に巻き込まれた状態で、前記グロメットが前記パネルに固定されることを防止できる
換言すると、前記グロメットインナを装着した前記グロメットを、確実に前記グロメットインナが前記挿通孔に対して真っ直ぐに(前記パネルに対して直交する方向に沿って)挿通させて、前記パネルに固定できるため、前記グロメット備えられた前記リップが径方向の内側に巻き込まれることを防止できる。このため、前記パネルに密着させることができ、前記グロメットと前記パネルとの間の止水性を確保することができる。
また、前記ガイド片は、前記径方向に沿うように前記挿通方向の他端側に向けて延伸するとともに、径方向の外側の端面と前記インナー本体の外周面とが面一に形成されているため、前記挿通孔に前記グロメットインナを挿通させる際に、前記ガイド片と前記挿通孔との接触面積を低減させることができる。これにより、前記グロメットインナにかかる摩擦抵抗を低減させることができ、前記グロメットインナを前記挿通孔に容易に挿通させることができる。
さらにまた、前記挿通方向に沿って前記グロメットインナを前記挿通孔に挿入させることができるため、前記インナー本体の外周面と前記挿通孔の周縁部との間の遊びを減少させることができる。これにより、前記パネルに対して前記グロメットインナを確実に固定させることができる。
この発明の態様において、前記ガイド片は、前記インナー本体の長軸方向に沿った長軸側ガイド片と、前記インナー本体の短軸方向に沿った短軸側ガイド片とで構成されてもよい。
上述の前記インナー本体の長軸方向に沿ったとは、前記挿通方向から視てオーバル形状に形成された前記インナー本体の長軸方向と平行となる場合や、前記長軸側ガイド片が前記長軸方向に対して−30〜+30度の範囲で交差する場合を含む。
同様に、前記インナー本体の短軸方向に沿ったとは、挿通方向から視てオーバル形状に形成された前記インナー本体の短軸方向と平行となる場合や、前記短軸側ガイド片が前記短軸方向に対して−30〜+30度の範囲で交差する場合を含む。
なお、前記長軸側ガイド片と前記短軸側ガイド片とは、前記長軸側ガイド片及び前記短軸側ガイド片の径方向の内側が連結されていることにより一体に構成されている場合や、個々に独立した別体で構成されている場合を含む。
この発明により、前記インナー本体が前記挿通方向に対して傾いた状態で前記挿通孔に挿通されることを確実に防止できる。
例えば、前記インナー本体に前記長軸側ガイド片のみが設けられたグロメットインナを、前記短軸方向に沿った軸を回転軸として前記挿通方向に対して傾いた状態で前記挿通孔に挿通させた場合、前記長軸側ガイド片が前記挿通孔と干渉するため、前記挿通孔に対して傾いた状態の前記インナー本体が挿通されることを防止できる。
しかしながら、前記長軸方向に沿った軸を回転軸として前記挿通方向に対して傾いた状態で前記挿通孔に挿通させた場合、前記長軸方向に沿った前記長軸側ガイド片が前記挿通孔と干渉せず、前記グロメットインナが前記挿通方向に対して傾いた状態で前記挿通孔に挿通されることとなる。
これに対して、前記ガイド片が、前記インナー本体の長軸方向に沿った長軸側ガイド片と、前記インナー本体の短軸方向に沿った短軸側ガイド片とで構成されることにより、前記長軸方向又は前記短軸方向に沿った軸の一方を回転軸として、前記グロメットインナが前記挿通方向に対して傾いた状態で前記挿通孔に挿通させた場合であっても、前記長軸側ガイド片又は前記短軸側ガイド片の少なくとも一方が前記挿通孔と干渉するため、前記グロメットインナが前記挿通方向に対して傾いた状態で前記挿通孔に挿通されることを確実に防止できる。
またこの発明の態様として、前記インナー本体の前記他端側端面における前記径方向の内側には、前記他端側端面から前記挿通方向の他端側に向けて延伸する内側延伸部が設けられ、前記長軸側ガイド片と前記短軸側ガイド片とが前記内側延伸部を介して連結されてもよい。
またこの発明の態様として、前記インナー本体の前記他端側端面における前記径方向の内側には、前記他端側端面から前記挿通方向の他端側に向けて延伸する内側延伸部が設けられ、複数設けられた前記ガイド片のうちの一の前記長軸側ガイド片と他の前記長軸側ガイド片、または、複数設けられた前記ガイド片のうちの一の前記短軸側ガイド片と他の前記短軸側ガイド片との少なくとも一方が、前記内側延伸部を介して連結されてもよい。
これらの発明により、前記長軸側ガイド片及び前記短軸側ガイド片の強度を向上させることができるため、前記挿通孔との干渉による前記ガイド片の損傷を防止できる。
なお、前記内側延伸部は、前記グロメットインナの内周面と面一となるように構成されている場合や、面一とならないように構成されている場合を含む。
またこの発明の態様として、前記内側延伸部における前記径方向の内側の端面が、前記インナー本体の内周面と面一に構成されてもよい。
この発明により、前記インナー本体と前記内側延伸部との間に角部や段差が形成されないため、筒状に形成された前記インナー本体を挿通させた電線が干渉して損傷することを防止できる。
またこの発明の態様として、前記ガイド片が、前記インナー本体における前記長軸方向の端部に設けられてもよい。
前記長軸方向とは、前記挿通方向と直交するとともに、前記挿通方向から視てオーバル形状に形成されている前記インナー本体において、円弧部分の円頂を結んだ直線の内、一番長い直線に沿った方向をさす。
この発明により、前記挿通孔が設けられたパネルと前記グロメットとの間での止水性をより確実に確保することができる 。
詳述すると、前記長軸方向の端部に設けられた前記リップは、前記短軸方向に沿った軸を回転軸として前記挿通方向に対して傾いた前記インナー本体を前記挿通孔に挿通させる場合に、前記径方向の内側に巻き込まれやすい傾向にある。これに対して、前記長軸方向の端部に前記ガイド片が設けられたことにより、前記ガイド片を前記挿通孔に確実に干渉させ、前記短軸方向に沿った軸を回転軸として前記挿通方向に対して傾いた前記インナー本体を前記挿通孔に挿通させることをより確実に防止できる。
これにより、前記グロメットインナを装着させた前記グロメット本体に備えられた前記リップが、径方向の内側に巻き込まれることを防止できる。すなわち、前記リップを前記パネルに密着させ、前記パネルと前記グロメットとの間での止水性を確実に確保できる。
またこの発明の態様として、前記ガイド片の前記径方向の外側の端面に、前記挿通方向に沿って他端側に向かうに伴い、径方向の内側に傾いて構成されたテーパ面が設けられてもよい。
この発明によると、前記挿通方向に沿って前記インナー本体を前記挿通孔に挿通させた場合に、前記テーパ面における前記挿通方向の他端側が、前記挿通孔の外周縁よりも径内側に配置されるため、容易に前記ガイド片を前記挿通孔に挿入できるとともに、前記ガイド片と前記挿通孔との接触面積を低減させることができ、前記挿通孔に対して前記グロメット本体をより容易に挿入できる。
また、前記グロメットインナが前記挿通方向に対して若干傾いた状態であっても、前記ガイド片の前記径方向の外側面が前記挿通孔と当接し、前記テーパ面に沿って前記グロメットインナを前記挿通孔に案内することができるとともに、前記テーパ面が設けられた前記ガイド片により、前記インナー本体が前記挿通孔に正確に挿通されるように調心することができる。
このように、単に前記グロメットインナを前記挿通孔に案内するだけでなく、前記インナー本体が前記挿通孔に正確に挿通されるように調心することができるため、前記挿通方向から視て前記インナー本体の外周面が前記挿通孔の外周縁との間の遊びを減少させた略同一の形状となるように形成することができる。これにより、前記グロメットインナを前記挿通孔に確実に固定することができ、止水性を向上させることができる。すなわち、前記挿通孔に挿入された前記グロメットインナの前記径方向の動きが抑制でき、安定性を向上させることができる。
またこの発明の態様として、前記インナー本体は、前記挿通方向から視て、平行に配置された直線状の長軸部と、該長軸部の両端を連結する円弧状の円弧部とで一体構成された長円状に形成され、前記円弧部における前記他端側には、前記挿通方向から視た前記インナー本体における前記長軸方向に沿った長軸側ガイド片が設けられるとともに、前記挿通方向から視た前記インナー本体における短軸方向に沿った短軸側ガイド片が設けられ、前記円弧部には、前記長軸方向に沿って前記グロメット本体の内側に窪ませた溝部が形成され、該溝部は、前記溝部の溝底を形成する底面部と、前記インナー本体における前記長軸方向に沿った側壁を形成する側面部とで構成され、前記長軸側ガイド片が、前記溝部における前記側面部と面一になるように、前記他端側に向けて延出してもよい。
この発明により、前記挿通孔に対して前記インナー本体が傾いて挿通されたとしても、互いに交差する前記長軸側ガイド片と前記短軸側ガイド片との少なくとも一方が前記挿通孔と干渉するため、前記インナー本体が前記挿通方向に対して傾いた状態で前記挿通孔に挿通されることを確実に防止できる。
また、前記溝部を形成することにより、単に前記インナー本体の体積を削減するだけでなく、前記挿通孔の外周縁と接触する前記インナー本体の外周面の面積を削減することができるため、前記グロメットインナを前記挿通孔に挿通する際にかかる接触抵抗を減少させることができる。これにより、前記インナー本体の軽量化を図ることができるとともに、前記インナー本体をより容易に前記挿通孔に挿通させることができる。
またこの発明の態様として、前記溝部の溝底に、前記インナー本体を前記挿通孔に取付ける第1取付部が設けられてもよい。
この発明により、前記第1取付部を前記インナー本体の内側に設けることができる。すなわち、前記第1取付部の一部分を前記インナー本体の外周面よりも径方向の内側に配置させることができるため、前記インナー本体の外周面が前記挿通孔との間の遊びを減少させ、より前記挿通孔と同形状とすることができ、前記インナー本体を挿通孔に確実に固定するとともに、止水性を向上させることができる。すなわち、前記挿通孔に挿入された前記グロメットインナの前記径方向の動きが抑制でき、安定性を向上させることができる。
またこの発明の態様として、前記長軸部に前記インナー本体を前記挿通孔に取付ける第2取付部が設けられてもよい。
この発明により、前記インナー本体を前記挿通孔に安定して係止することができる。
またこの発明の態様として、前記ガイド片の径方向の外側端部が面取りされてもよい。
この発明により、面取りした前記ガイド片の径方向の外側端部を前記挿通孔に沿わせることで、前記グロメットインナを前記挿通孔に案内することができる。
この発明により、パネルに固定させた状態において、確実な止水性を確保することができるグロメットインナ及び、前記グロメットインナを装着したグロメットを提供することができる。
この発明の一実施態を以下図面とともに説明する。
図1は車両本体Bに固定させた状態でのグロメット1の概略斜視図を示し、図2はグロメット1の概略斜視図を示し、図3はグロメット1の分解斜視図を示す。図4及び図5はグロメット本体10の先端部分に設けられたボディ側取付部12の説明図を示し、図6はグロメットインナ20の概略斜視図を示し、図7及び図8はグロメットインナ20の説明図を示す。
図4及び図5について詳述すると、図4(a)はボディ側取付部12の正面図を示し、図4(b)はボディ側取付部12の平面図を示し、図5(a)は図4(a)におけるA−A矢視断面図を示し、図5(b)は図4(a)におけるB−B矢視断面図を示す。
図7及び図8について詳述すると、図7(a)はグロメットインナ20の平面図を示し、図7(b)はグロメットインナ20の正面図を示し、図8(a)は図7(a)におけるC−C矢視断面図を示し、図8(b)は図7(b)におけるD−D矢視断面図を示す。
図9は、ボディ側取付部12にグロメットインナ20を組み付けた状態のグロメット1の断面図を示し、図10はグロメットインナ20を組み付けたボディ側取付部12をボディパネルBPに固定させた状態の断面図を示し、図11乃至図13はグロメットインナ20を組み付けたボディ側取付部12を傾けた状態でボディパネルBPに固定させようとした場合の断面図を示す。
なお、図9は図8(a)の断面図と対応する断面図でグロメット1の断面図を示し、図10乃至図13は、図9と対応する断面図を用いて説明する。
また、図2中における上方を上方側とし、下方を下方側とし、以下図3〜15においても同様とする。
グロメット1は、図1に示すように、車両本体Bの後部に開口(図示省略する、また、以下において「後部開口」とする)を形成するボディパネルBPと、ヒンジを介してボディパネルBPに取り付けられることで後部開口を開閉自在に塞ぐバックドアパネルDPとを有する自動車において、ボディパネルBPとバックドアパネルDPとを橋渡しするように取り付けられており、ボディパネルBP、及びバックドアパネルDPにより隔てて配置される電気機器同士(図示省略)を接続するワイヤーハーネス(図示省略)を内部に挿通している。
このように車両本体Bに対して組み付けるグロメット1は、図1乃至図3に示すように、長尺状に構成された筒状のグロメット本体10と、グロメット本体10の端部に装着させるグロメットインナ20とで構成されている。
グロメット本体10は、可撓性の樹脂で形成された中空状の筒状体であり、図2及び図3に示すように、長尺状の円筒で形成された円筒部11と、円筒部11の一端側に設けられたボディ側取付部12と、ボディ側取付部12の他端側から湾曲して延出している湾曲部13と、円筒部11の一端側において円筒部11と湾曲部13とを連結する第1蛇腹部14と、円筒部11の他端側に設けられたバックドア側取付け部15と、円筒部11の他端側において円筒部11とバックドア側取付け部15とを連結する第2蛇腹部16とで一体で構成されている。
円筒部11は、断面中空状に形成された円柱体であり、パネルを介して隔てられた電気機器同士を電気的に接続するワイヤーハーネスを内部空間に挿通させることができる。なお、円筒部11の外周面には、等間隔を隔てて立設された補強部111が円筒部11の長手方向に沿って設けられている。
ボディ側取付部12は、円筒部11の一端側において、湾曲部13及び第1蛇腹部14を介して円筒部11と連結している。このボディ側取付部12は、図4(a)及び図4(b)に示すように、中空状に形成された円筒状の取付部121と、取付部121の上端面に設けられたリップ122と内周側リップ123とで構成されている。
ここで、中空状に形成された取付部121において、平面視における取付部121の中心を中心軸C1とする。なお、中心軸C1は上下方向に沿っている。
また、取付部121を上方から視て中心軸C1から放射線状に広がる方向を内外方向(径方向)とし、内外方向に沿って中心軸C1から外側に向かう方向を径方向の外側、内外方向に沿って外側から中心軸C1に向かう方向を径方向の内側とする。
取付部121は、平面視で長円状に形成された柱体であり、下方側は中空状に形成された湾曲部13の一端側に設けられた長円状の連通開口131と連通する内側開口部124が設けられ、上端側には連通開口131よりも拡径に形成された長円状の開口部125が設けられている。
また、取付部121の上端面には、上方に向かうに伴い径方向の外側に広がるように延出するリップ122と、リップ122よりも径方向の内側から上方に立設する内周側リップ123が設けられている。なお、内周側リップ123は、上下方向に沿った高さがリップ122よりも低くなるように形成されている(図5(a)参照)。
また、取付部121における上下方向の中央部分には、上方から視て長円状に形成された取付部121の内側から外側に向けて窪ませた嵌合凹部126が設けられている。この嵌合凹部126の溝底は、リップ122が取付部121の上端から立設する位置と対応する位置に形成されている。
また、嵌合凹部126には、溝底から径方向の内側に向けて延出する位置決め係止部127が中心軸C1を中心として点対称の位置に2つ設けられている。この位置決め係止部127は、図5(b)に示すように、平面視矩形状に形成されており、長円状に形成されたボディ側取付部12における円弧部分と直線部分との連結部位に対応する位置に設けられている。
湾曲部13は、図5(a)及び図5(b)に示すように、円筒部11の一端側に連結しているボディ側取付部12の上端面が上方を向くように、側面視で円弧状となるように湾曲した中空状の筒状体であり、上述のように一端側に上方から視て長円状の連通開口131が形成されている。また、湾曲部13は、長円状に形成されたボディ側取付部12における直線部分に対応する内周面から上方に沿って延びる平板状の第1固定部132が設けられている。
この第1固定部132は、グロメット本体10の内部に挿通させたワイヤーハーネスを例えばテープなどで固定するための固定箇所である。
円筒部11と第1蛇腹部14とを連結する湾曲部13は、蛇腹状に形成された中空状の筒状体であり、円筒部11に対してボディ側取付部12を自在に屈曲させることができる。
バックドア側取付け部15は、円筒部11の長手方向に沿って延びる中空状の柱体であり、内部には図示しないグロメットインナが装着されている。このグロメットインナとバックドア側取付け部15によりグロメット本体10の他端側をバックドアパネルDPに設けられた挿通孔にグロメット1の他端側を固定することができる。
円筒部11とバックドア側取付け部15とを連結する第2蛇腹部16は、第1蛇腹部14と同様に、蛇腹状に形成された中空状の筒状体であり、円筒部11に対してバックドア側取付け部15を自在に屈曲させることができる。なお、第2蛇腹部16の内周面には、円筒部11の長手方向に沿って延出する第2固定部161が設けられている。
ボディ側取付部12に装着可能なグロメットインナ20は、図6乃至図8に示すように、平面視略長円状に形成された円柱体のインナー本体21と、インナー本体21の下端から径方向の外側に延伸するフランジ部22とで構成されており、インナー本体21の外周面には、インナー本体21の外周面に設けられた第1係止部23及び第2係止部24とが設けられている。
インナー本体21は、図7(a)に示すように、平面視において互いに直線状に形成された長軸部211,211と、半円状に形成されるとともに、端部が長軸部211,211の両端を連結する円弧部212とで構成された略円柱体であり、ボディパネルBPに設けられた挿通孔H(図10参照)よりも、平面視での外周面がわずかに縮径された相似形状となるように形成されている。
なお、平面視において長円状に形成されたインナー本体21の中心を中心軸C2とする(図7(a)参照)。この中心軸C2は上下方向に沿っており、グロメットインナ20をボディ側取付部12に装着させた状態において、中心軸C1と一致する。
また、インナー本体21を上方から視て中心軸C2から放射線状に広がる方向を内外方向(径方向)とし、内外方向に沿って中心軸C2から外側に向かう方向を径方向の外側、内外方向に沿って外側から中心軸C2に向かう方向を径方向の内側とする。この径方向は、グロメットインナ20をボディ側取付部12に装着させた状態における、中心軸C1を中心とした取付部121の径方向と一致する。
平面視において長円状に形成されたインナー本体21の長軸方向Lの両端部分、すなわち長円を形成する円弧部212の円頂には、インナー本体21の外周面を長軸方向Lに沿って径方向の内側に窪ませた円弧側溝部26が形成されている。
この円弧側溝部26は、図8(a)に示すように、深さがインナー本体21の板厚の3分の2程度となるよう形成された溝であり、インナー本体21の長軸方向Lに沿って側壁を形成する円弧側側壁部261,261と、インナー本体21の外周面における円弧部212と相似形状となるような円弧状の溝底を形成する円弧側溝底部262とで構成されている。
このように形成された円弧側溝部26には、平面視における短軸方向Sの中央部分から径方向の外側に突出するように第1係止部23が設けられている。
第1係止部23は、図8(a)に示すように、円弧側溝部26の円弧側溝底部262から長軸方向Lに沿って径方向の外側に延伸している第1支持部231と、第1支持部231の径方向の外側と連結している第1弾性変形部232と、第1弾性変形部232から下方に向けて延出している第1係止爪部233とで一体に構成されている。
第1支持部231は、円弧側側壁部261同士の間隔よりも幅狭に形成された板状体であり、円弧側溝底部262の上端から径方向の外側に向けて突出している。なお、第1支持部231の突出量は、円弧側溝部26の深さの約3分の1程度の長さで構成されている。
第1弾性変形部232は、図8(a)に示すように、側面視において円弧状に形成されており、第1支持部231の先端(径方向の外側端部)から下方に向けて延伸されている。
第1係止爪部233は、外面が第1弾性変形部232の先端から下方に向かうに伴い径方向の外側に向けて広がるように形成されるとともに、内面が下方に向かうに伴い緩やかに径方向の外側に向けて広がっている。また、第1係止爪部233の下面は下方に向かうに伴い径方向の内側に向けて傾斜するように形成されている。
換言すると、第1係止爪部233は、下方に向かうに伴い板厚が広くなるとともに、第1係止爪部233の外面が下方に向かうに伴い円弧側側壁部261から離間するようなテーパ状に形成されている。
このように構成された第1係止部23は、第1支持部231が径方向の外側に突出しているとともに、第1支持部231の先端から第1弾性変形部232及び第1係止爪部233が下方側に延伸しており、円弧側側壁部261との間には第1係止爪部233が径方向の内側に移動できる空間が形成されている。また、第1係止爪部233の外面は、インナー本体21の外周面からわずかに突出するように構成されている。
インナー本体21の短軸方向Sの中央部分、すなわち長円を形成する長軸部211の中央部分には、インナー本体21の外周面を短軸方向Sに沿って径方向の内側に窪ませた直線側溝部27が形成されており、直線側溝部27には第2係止部24が設けられている。
直線側溝部27は、図8(b)に示すように、深さがインナー本体21の板厚の半分程度となるよう形成された溝であり、インナー本体21の短軸方向Sに沿って溝の側壁を形成する長軸側側壁部271,271と、インナー本体21の長軸方向Lに沿った直線状の溝底を形成する溝底部(図示省略)とで構成されている。
直線側溝部27に設けられた第2係止部24は、第1係止部23と構成が同じであるため、説明を省略する。
なお、第2係止部24は、第1係止爪部233に対応する第2係止爪部243がインナー本体21の外周面よりも径方向の外側にわずかに突出している(図7(b)参照)。
このように構成されたインナー本体21における長軸側の端部、すなわち平面視において長円状に形成されたインナー本体21の円弧部212には、フランジ部22が形成された方向とは反対側に形成された端面である、インナー本体21の上端面から上方に向けてガイド部25が立設されている。
このガイド部25は、インナー本体21の長軸方向Lに沿って形成された2本の長軸側ガイド片251、251と、インナー本体21の短軸方向Sに沿って形成された2本の短軸側ガイド片252,252と、長軸側ガイド片251同士及び、長軸側ガイド片251と短軸側ガイド片252とを連結する内側延伸部253とで一体構成されている。
長軸側ガイド片251は、上下方向(挿通方向)から視て、長軸方向Lに沿って延伸する板状体であり、インナー本体21の上端面から上方に向けて延伸している。この長軸側ガイド片251の高さは、円弧部212、212の円頂同士の距離の約3分の1となるように構成されている。
長軸側ガイド片251の径方向の外側端面は、図7(a)に示すように、インナー本体21の外周面と面一となるように形成されているとともに、上方に向かうに伴い径内側にわずかに傾斜する長軸側テーパ面251aが形成されている。
また、長軸側ガイド片251の径方向の外側の上端面は、上方側に向かうに伴い径方向の内側に湾曲する長軸側案内部251bが形成されている。
短軸側ガイド片252は、長軸部211と円弧部212との連結部分に対応する場所から上方に向けて延伸する板状体であり、長軸側ガイド片251と同じ厚さの板厚を有するとともに、短軸方向Sに沿って延伸されている。
この短軸側ガイド片252の径方向外側は、短軸に沿って径外側に向かうに伴い広がるように形成されるとともに、径方向の外側の端面がインナー本体21の外周面と面一となるように形成されるとともに、上方に向かうに伴い径内側にわずかに傾斜する短軸側テーパ面252aが形成されている。
長軸側テーパ面251aと短軸側テーパ面252aとは同じ傾斜角度を有している。また、短軸側ガイド片252の板厚は長軸側ガイド片251と等しく、高さも長軸側ガイド片251と同じ高さになるように形成されている。
なお、本実施形態では、長軸側ガイド片251及び短軸側ガイド片252の両方に長軸側テーパ面251a、短軸側テーパ面252aを設けているが、一方のみであっても構わない。
内側延伸部253は、長軸側ガイド片251,251及び短軸側ガイド片252,252よりも径方向の内側から立設した板状体であり、長軸側ガイド片251,251及び短軸側ガイド片252,252の基端側(径方向の内側)と連結している。この内側延伸部253は長軸側ガイド片251及び短軸側ガイド片252と同じ板厚、同じ高さを有する。
また、内側延伸部253は、図8(b)に示すように、インナー本体21の円弧部212に対応する部位においてインナー本体21の内周面と面一となるように形成されている。
インナー本体21の下端から径方向の外側に延伸しているフランジ部22は、径方向の外側に向けて延伸する被装着部221と、被装着部221を切り欠いて形成された切欠き部222と、円弧側溝部26に対応する位置に置いて上下方向に貫通する第1貫通孔223及び第2貫通孔224とで構成されている。
被装着部221は、平面視で略長円状となるように形成された板状体であり、径方向に沿って突出する長さが嵌合凹部126の深さと略同じとなるように形成されているとともに、板厚が嵌合凹部126の幅と略同じとなるように形成されている。
切欠き部222は、長円状に形成された被装着部221における円弧部分と連結する直線部分の端部を径方向の内側に向けて矩形状に切り欠いて形成されている。このように構成された222は、平面視におけるインナー本体21の中心である中心軸C2を中心として点対称の位置に2つ設けられており、グロメットインナ20をボディ側取付部12に装着させた状体において、位置決め係止部127が係止するように形成されている。
第1貫通孔223は、円弧側溝部26に対応する位置において上下方向に被装着部221を貫通するように形成されている。この第1貫通孔223における、インナー本体21の長軸方向Lに沿って形成される面は、平面視において円弧側側壁部261,261と面一となるように形成されている。
第2貫通孔224は、直線側溝部27に対応する位置において上下方向に被装着部221を貫通するように設けられている。なお、この第2貫通孔224における、インナー本体21の短軸方向Sに沿って形成される面は、平面視において長軸側側壁部271,271と面一となるように形成されている。
すなわち、第2貫通孔224は中心軸C2を中心軸として点対称となる位置に設けられている。
このように構成されたグロメットインナ20は、図9に示すように、フランジ部22を開口部125から挿通させて、第2貫通孔224に位置決め係止部127が係止するようにガイド部25に嵌合させることにより、ボディ側取付部12に装着させることができる。このとき、第2貫通孔224に位置決め係止部127が係止されているため、確実に位置決めができるとともに、グロメットインナ20が中心軸C1を回転軸として回転移動することを防止できる。
グロメットインナ20をボディ側取付部12に装着させた状態おいて、第1係止爪部233及び第2係止爪部243の外面の外側頂部は、取付部121に設けられたリップ122の上端よりも下方側に配置されるとともに、内周側リップ123の上端よりも上方側に配置されることとなる。また、第1係止爪部233及び第2係止爪部243の外面の外側頂部と内周側リップ123の上端との間隔は、ボディパネルBPの板厚よりもわずかに狭くなっている。
このようにボディ側取付部12に装着させたグロメットインナ20を、上方に設けられたボディパネルBPの挿通孔Hに対して上方(すなわち上下方向が挿通方向となる。)に挿通させることにより、図10(a)に示すように、第1係止爪部233及び第2係止爪部243の外面が挿通孔Hの周縁部に押されることとなる。
これにより、第1弾性変形部232及び第1弾性変形部232に対応する第2弾性変形部242が弾性変形し、第1係止爪部233及び第2係止爪部234が径方向の内側に移動し、グロメットインナ20を挿通孔Hに挿通させることができる。
次に、挿通孔Hに挿通させるようにグロメットインナ20を上方に移動させることで、挿通孔Hの周縁部が第1係止爪部233及び第2係止爪部243の外面の外側頂部を越えるため、弾性変形している第1弾性変形部232及び第2弾性変形部242に作用していた外力がなくなり、復元力が作用することとなる。これにより、図10(b)に示すように、第1係止爪部233及び第2係止爪部243の底面と取付部121に設けられたリップ122及び内周側リップ123とでボディパネルBPを挟み込むこととなり、グロメット1をボディパネルBPに確実に固定することができる。
このとき、リップ122は径方向の外側に向けて広がるようにボディパネルBPに押し付けられ、ボディパネルBPと密着することとなる。これにより、リップ122とボディパネルBPとの間の止水性を確保することができる。
一方、図11に示すように、グロメットインナ20が上下方向に対して過度に傾いている場合、具体的にはインナー本体21の短軸方向Sを軸としてグロメットインナ20を上下方向に対して20度傾けた状態で挿通孔Hに挿入した場合、長軸側ガイド片251が挿通孔Hの周縁部と干渉し、このため、グロメットインナ20が挿通孔Hに挿通されることを防止できる(図11(b)参照)。
同様に、インナー本体21の長軸方向Lを軸としてグロメットインナ20を上下方向に対して傾けた状態で挿通孔Hに挿入させた場合、短軸側ガイド片252が挿通孔Hの周縁部と干渉し、このため、グロメットインナ20が挿通孔Hに挿通されることを防止できる。
このように構成されたグロメットインナ20は、ボディパネルBPに設けた挿通孔Hを挿通する電線を保護するグロメット1を、ボディパネルBPに対して密着させるリップ122を備える筒状のグロメット本体10とともに構成し、グロメット本体10の端部に装着されるとともに、挿通孔Hに挿通されて固定され、固定された状態における挿通孔Hへの挿通方向(すなわち、図中での上下方向)から視てオーバル形状である長円形状に形成された筒状のインナー本体21と、インナー本体21の一端側(すなわち、図中の下端側)において、挿通方向(上下方向)から視たインナー本体21の径方向の外側に向けて延伸するフランジ部22とで構成され、インナー本体21の他端側端面(すなわち、図中における上端側の端面)には、径方向に沿うように挿通方向(上下方向)の他端側に向けて延伸するとともに、径方向の外側の端面とインナー本体21の外周面とが面一に形成されたガイド片が設けられたことにより、グロメット1をボディパネルBPに固定させた状態において、確実な止水性を確保できる。
詳述すると、グロメット1に装着されたグロメットインナ20が、ボディパネルBPに設けられた挿通孔Hに対して過度に傾いた状態で挿通された場合に、図12に示すように、グロメットインナ20の他端側端面から挿通方向(上下方向)の他端側に延伸されたガイド片が挿通孔Hと干渉させることができ、傾いた状態でのグロメットインナ20が挿通孔Hに挿通されることを防止できる。したがって、グロメットインナ20が装着されたグロメット1に設けられたリップ122が径方向の内側に巻き込まれた状態で、グロメット1がボディパネルBPに固定されることを防止できる。これにより、例えば目視できない場所や目視が困難な場所に対して、グロメット1をボディパネルBPに装着することができる。
換言すると、グロメットインナ20を装着したグロメット1を、確実にグロメットインナ20が挿通孔Hに沿って(ボディパネルBPに対して直交する上下方向に沿って)挿通させて、ボディパネルBPに固定できるため、図14(b)のように、グロメット1に備えられたリップ122が径方向の内側に巻き込まれることなく、ボディパネルBPに密着させることができる。したがって、グロメット1とボディパネルBPとの間の止水性を確保することができる。
また、ガイド片は、径方向に沿うように挿通方向(上下方向)の他端側に向けて延伸する板状体であるとともに、径方向の外側の端面とインナー本体21の外周面とが面一に形成されているため、挿通孔Hにグロメットインナ20を挿通させる際に、ガイド片と挿通孔Hとの接触面積を低減させることができる。これにより、グロメットインナ20にかかる摩擦抵抗を低減させることができ、グロメットインナ20を挿通孔Hに容易に挿通させることができる。
さらにまた、挿通方向(上下方向)に沿ってグロメットインナ20を挿通孔Hに挿入させることができるため、インナー本体21の外周面と挿通孔Hの周縁部との間の遊びを減少させることができる。これにより、ボディパネルBPに対してグロメットインナ20を確実に固定させることができる。すなわち、挿通孔Hに挿入されたグロメットインナ20の径方向の動きが抑制でき、安定性を向上させることができる。
また、インナー本体21の長軸方向Lに沿った長軸側ガイド片251と、インナー本体21の短軸方向Sに沿った短軸側ガイド片252とを備えることにより、インナー本体21が挿通方向(上下方向)に対して傾いた状態で挿通孔Hに挿通されることを確実に防止できる。
詳述すると、長軸方向L又は短軸方向Sに沿った軸の一方を回転軸として、グロメットインナ20が挿通方向(上下方向)に対して傾いた状態で挿通孔Hに挿通させた場合であっても、長軸側ガイド片251又は短軸側ガイド片252の少なくとも一方が挿通孔Hと干渉するため、グロメットインナ20が挿通方向(上下方向)に対して傾いた状態で挿通孔Hに挿通されることを確実に防止できる。
また、インナー本体21の端面における径方向の内側から、端面から挿通方向(上下方向)の他端側に向けて延伸する内側延伸部253が設けられ、長軸側ガイド片251と短軸側ガイド片252とが内側延伸部253を介して連結されている、又は、複数設けられたガイド片のうちの一の長軸側ガイド片251と他の長軸側ガイド片251、または、複数設けられたガイド片のうちの一の短軸側ガイド片252と他の短軸側ガイド片252との少なくとも一方が、内側延伸部253を介して連結されていることにより、長軸側ガイド片251及び短軸側ガイド片252の強度を向上させることができるため、挿通孔Hとの干渉によるガイド片の損傷を防止できる。
さらにまた、内側延伸部253における径方向の内側の端面が、インナー本体21の内周面と面一に構成されていることにより、インナー本体21と内側延伸部253との間に角部や段差が形成されないため、筒状に形成されたインナー本体21を挿通させた電線が干渉して損傷することを防止できる。
また、長軸側ガイド片251が、インナー本体21における長軸方向Lの端部に設けられていることにより、挿通孔Hが設けられたボディパネルBPとグロメット1との間での止水性をより確実に確保することができる。
詳述すると、長軸方向Lの端部に設けられたリップ122は、短軸方向Sに沿った軸を回転軸として挿通方向(上下方向)に対して傾いたインナー本体21を挿通孔Hに挿通させる場合に、径方向の内側に巻き込まれやすい傾向にある。これに対して、長軸方向Lの端部に長軸側ガイド片251が設けられたことにより、長軸側ガイド片251を挿通孔Hに確実に干渉させることができ、短軸方向Sに沿った軸を回転軸として挿通方向(上下方向)に対して傾いたインナー本体21を挿通孔Hに挿通させることをより確実に防止できる。
これにより、グロメットインナ20を装着させたグロメット本体10に備えられたリップ122が、径方向の内側に巻き込まれることを防止でき、リップ122をボディパネルBPに密着させることができる。したがって、ボディパネルBPとグロメット1との間での止水性を確実に確保できる。
また、長軸側ガイド片251及び短軸側ガイド片252の径方向の外側の端面に、挿通方向(上下方向)に沿って他端側に向かうに伴い、径方向の内側に傾いて構成された長軸側テーパ面251a及び短軸側テーパ面252aが設けられていることにより、挿通方向(上下方向)に沿ってインナー本体21を挿通孔Hに挿通させた場合に、長軸側テーパ面251a及び短軸側テーパ面252aにおける挿通方向(上下方向)の他端側が、挿通孔Hの外周縁よりも径内側に配置されるため(図12(a)参照)、容易に長軸側ガイド片251及び短軸側ガイド片252を挿通孔Hに挿入できるとともに、長軸側ガイド片251及び短軸側ガイド片252と挿通孔Hとの接触面積を低減させることができ、挿通孔Hに対してグロメット本体10をより容易に挿入できる。
また、図12(b)及び図12(c)に示すように、グロメットインナ20が挿通方向(上下方向)に対して若干傾いた状態であっても、長軸側ガイド片251及び短軸側ガイド片252の径方向の外側面が挿通孔Hと当接し、長軸側テーパ面251a及び短軸側テーパ面252aに沿ってグロメットインナ20を挿通孔Hに案内することができるとともに、長軸側ガイド片251及び短軸側ガイド片252により、インナー本体21が挿通孔Hに正確に挿通されるように調心することができる。
このように、単にグロメットインナ20を挿通孔Hに案内するだけでなく、インナー本体21が挿通孔Hに正確に挿通されるように調心することができるため、挿通方向(上下方向)から視てインナー本体21の外周面が挿通孔Hの外周縁との間の遊びを減少させた略同一の形状となるように形成することができる。これにより、グロメットインナ20を挿通孔Hに確実に固定することができ、止水性を向上させることができる。すなわち、挿通孔Hに挿入されたグロメットインナ20の径方向の動きが抑制でき、安定性を向上させることができる。
さらにまた、長軸側ガイド片251及び短軸側ガイド片252の径方向の外側端部が面取りされていることにより、面取りした長軸側ガイド片251及び短軸側ガイド片252の径方向の外側端部を挿通孔Hに沿わせてグロメットインナ20を挿通孔Hに案内することができる(図13参照)。
さらにまた、インナー本体21は、挿通方向(上下方向)から視て、平行に配置された直線状の長軸部211と、長軸部211の両端を連結する円弧状の円弧部212とで一体構成された長円状に形成され、円弧部212における他端側には、長軸部211に沿って長軸側ガイド片251が設けられるとともに、挿通方向(上下方向)から視たインナー本体21の短軸方向Sに沿うように短軸側ガイド片252が設けられ、円弧部212には、長軸に沿って内側に窪ませた円弧側溝部26が形成されるとともに、長軸側ガイド片251が、円弧側溝部26における短軸方向Sの内面と面一になるように、他端側に向けて延出されることにより、挿通孔Hに対してインナー本体21が傾いて挿通されたとしても、互いに交差する長軸側ガイド片251と短軸側ガイド片252との少なくとも一方が挿通孔Hと干渉するため、インナー本体21が挿通方向(上下方向)に対して傾いた状態で挿通孔Hに挿通されることを確実に防止できる。
また、円弧側溝部26を形成することにより、単にインナー本体21の体積を削減するだけでなく、挿通孔Hの外周縁と接触するインナー本体21の外周面の面積を削減することができるため、グロメットインナ20を挿通孔Hに挿通する際にかかる接触抵抗を減少させることができる。これにより、インナー本体21の軽量化を図ることができるとともに、インナー本体21をより容易に挿通孔Hに挿通させることができる。
さらにまた、円弧側溝部26の溝底に、インナー本体21を挿通孔Hに取付ける第1係止部23が設けられることにより、第1係止部23をインナー本体21の内側に設けることができる。すなわち、第1係止部23の一部分をインナー本体21の外周面よりも径方向の内側に配置させることができるため、インナー本体21の外周面が挿通孔Hとの間の遊びを減少させ、より挿通孔Hと同形状とすることができ、インナー本体21を挿通孔Hに確実に固定するとともに、止水性を向上させることができる。すなわち、挿通孔Hに挿入されたグロメットインナ20の径方向の動きが抑制でき、安定性を向上させることができる。
さらにまた、長軸部211にインナー本体21を挿通孔Hに取付ける第2係止部24が設けられることにより、インナー本体21を挿通孔Hに安定して係止することができる。
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
ガイド片は、長軸側ガイド片251及び短軸側ガイド片252に対応し、
溝部は、円弧側溝部26に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、本実施形態において、インナー本体21は上方から視て長円状に形成しているが、この形状に検定されず、例えば長軸方向L又は短軸方向Sに対して線対称である楕円、卵形、あるいは長軸方向L又は短軸方向Sに対して非対称な長円、角部分が円弧状に形成された多角形状としてもよい。
また本実施形態において、インナー本体21の上端面に立設された長軸側ガイド片251は長軸方向Lに沿った板状体としているが、例えば長軸側ガイド片251が長軸方向Lに対して−30〜+30度の範囲で交してもよい。
同様に、インナー本体21の上端面に立設された短軸側ガイド片252は、短軸方向Sに沿っているが、例えば、短軸側ガイド片252が短軸方向Sに対して−30〜+30度の範囲で交差してもよい。
なお、本実施形態において、短軸側ガイド片252の径方向の外側端部は広がった形状としているが、例えば図14に示すように、所定の板厚のままとしてもよい。また、図14に示すように、湾曲部13から突出している第1固定部132をインナー固定部28として、インナー本体21の直線部から上方に突出させてもよい。
さらにまた、長軸側ガイド片251,251及び短軸側ガイド片252,252が、内側延伸部253で連結されているが、個々に独立した別体で構成されてもよく、また例えば、長軸側ガイド片251,251のみを内側延伸部253で連結してもよいし、短軸側ガイド片252,252同士のみを内側延伸部253で連結してもよい。
また、本実施形態において内側延伸部253の内周面がインナー本体21の内周面と面一となるように構成されているが、必ずしも面一とならなければいけないわけではなく、内側延伸部253の内周面がインナー本体21の内周面よりも径方向の外側もしくは内側に設けられるように構成されていてもよい。