JP2020148467A - Estimation method of experienced maximum interlayer deformation angle and program - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、経験最大層間変形角の推定方法及びプログラムに関する。 The present invention relates to a method and a program for estimating the maximum empirical interlayer deformation angle.
従来、地震などで損傷した建築物を利用できるか否かを判断するため、国土交通省による監修の「震災建築物の被災度区分判断基準および復旧技術指針」が利用されている(非特許文献1参照)。このような非特許文献1は、建築物の被災度を区分するとともに継続使用のための補強の要否を判定することを目的として運用されている。
なお、建物の変形量は最大層間変形角という数値で定義することができる。すなわち、地震時の最大層間変形角は、建物の劣化(建物の損傷状況)に関連し、建物の被災度判定の基準の一つとなっている。非特許文献1では、地震時に建物に生じた一番大きな変形を「経験最大層間変形角」という角度で表現している。また、非特許文献1の中で、経験最大層間変形角は、地震後の残留変形や、壁などの破損状況から推定する値とされている。
Conventionally, in order to judge whether a building damaged by an earthquake or the like can be used, the "damage classification criteria and restoration technical guidelines for earthquake-damaged buildings" supervised by the Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism have been used (non-patented). Reference 1). Such
The amount of deformation of the building can be defined by a numerical value called the maximum interlayer deformation angle. That is, the maximum interlayer deformation angle at the time of an earthquake is related to the deterioration of the building (damage status of the building) and is one of the criteria for determining the degree of damage to the building. In
ところで、経験最大層間変形角と建物の損傷状況との相関関係については、非特許文献1にも明らかなように、ある程度の知見が得られている。しかしながら、実際には、その相関関係は定量化できておらず、見る人の主観に依ってしまうという問題があった。すなわち、例えば建築物の経験最大層間変形角の推定方法に着目すると、内外装材の損傷状況から推定しているが、損傷の数値的な指標や損傷状況の表現が抽象的なため、調査員ごとの推定結果に個人差が生じる可能性がある。
By the way, as is clear from
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、結果に個人差が生じず、簡便かつ精度よく経験最大層間変形角の推定を行うことが可能な経験最大層間変形角の推定方法及びプログラムを提供することを目的とする。 The present invention has been made in view of the above circumstances, and provides a method and a program for estimating the maximum empirical interlayer deformation angle, which can easily and accurately estimate the maximum empirical interlayer deformation angle without causing individual differences in the results. The purpose is to provide.
請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図14に示すように、少なくとも一方の面に石膏ボードが設けられ、前記石膏ボードの表面に壁クロスが貼り付けられた建物1の壁2,3のうち、当該壁2,3に形成された開口部2a,3aの隅角部に生じた前記壁クロスのひび割れf1〜f6から経験最大層間変形角を推定する方法であって、
前記ひび割れf1〜f6の幅又は長さを測定し、
予め行われた実験結果に基づく推定式により、前記ひび割れf1〜f6の測定結果から前記経験最大層間変形角を推定することを特徴とする。
The invention according to
The width or length of the cracks f1 to f6 is measured, and
It is characterized in that the empirical maximum interlayer deformation angle is estimated from the measurement results of the cracks f1 to f6 by an estimation formula based on the experimental results performed in advance.
請求項1に記載の発明によれば、予め行われた実験結果によって経験最大層間変形角と壁クロスに生じるひび割れの定量化が行われ、壁2,3に形成された開口部2a,3aの隅角部に生じた壁クロスのひび割れf1〜f6における実際の幅又は長さから、予め行われた実験結果に基づく推定式によって簡便かつ精度よく経験最大層間変形角の推定を行うことが可能となり、推定結果に個人差が生じない。
According to the invention of
請求項2に記載の発明は、例えば図5〜図8,図12,図14に示すように、請求項1に記載の経験最大層間変形角の推定方法において、
前記推定式は、
γe=(Bu+0.26)/110・・・・・・式(1)
γe=(Bd+0.66)/180・・・・・・式(2)
γe=(Lu+43.6)/25200・・・・・・式(3)
γe=(Ld+163.5)/55100・・・・・・式(4)
のいずれかであり、
γe:経験最大層間変形角(rad)、Bu:前記開口部2a,3aにおける上部の隅角部に生じたひび割れ幅(mm)、Bd:前記開口部2a,3aにおける下部の隅角部に生じたひび割れ幅(mm)、Lu:前記開口部2a,3aにおける上部の隅角部に生じたひび割れ長さ(mm)、Ld:前記開口部2a,3aにおける下部の隅角部に生じたひび割れ長さ(mm)であることを特徴とする。
The invention according to
The estimation formula is
γe = (Bu + 0.26) / 110 ... Equation (1)
γe = (Bd + 0.66) / 180 ... Equation (2)
γe = (Lu + 43.6) / 25200 ... Equation (3)
γe = (Ld + 163.5) / 55100 ... Equation (4)
Is one of
γe: Experience maximum interlayer deformation angle (rad), Bu: Crack width (mm) generated in the upper corner portion of the openings 2a, 3a, Bd: Occurred in the lower corner portion of the openings 2a, 3a. Crack width (mm), Lu: Crack length (mm) generated in the upper corners of the openings 2a, 3a, Ld: Crack length generated in the lower corners of the openings 2a, 3a It is characterized in that it is (mm).
請求項2に記載の発明によれば、開口部2a,3aに対するひび割れf1〜f6の位置に応じて、ひび割れf1〜f6の幅又は長さから経験最大層間変形角の推定を行うことができるので、経験最大層間変形角の推定を行う上での精度を向上させることができる。 According to the second aspect of the present invention, the maximum empirical interlayer deformation angle can be estimated from the width or length of the cracks f1 to f6 according to the positions of the cracks f1 to f6 with respect to the openings 2a and 3a. , It is possible to improve the accuracy in estimating the maximum empirical interlayer deformation angle.
請求項3に記載の発明は、例えば図4,図12,図14に示すように、請求項1又は2に記載の経験最大層間変形角の推定方法において、
推定された前記経験最大層間変形角に基づいて前記建物1の被災度を判定することを特徴とする。
The invention according to
It is characterized in that the degree of damage to the
請求項3に記載の発明によれば、推定された経験最大層間変形角に基づいて建物1の被災度を判定するので、調査員や建物1の居住者に対して被災度を報知することができる。
According to the invention of
請求項4に記載の発明は、例えば図12〜図14に示すように、請求項1〜3のいずれか一項に記載の経験最大層間変形角の推定方法において、
推定された前記経験最大層間変形角に基づいて前記建物1の耐震性能残存率Rを判定する。
The invention according to claim 4 is the method for estimating the maximum empirical interlayer deformation angle according to any one of
The seismic performance residual rate R of the
請求項4に記載の発明によれば、推定された経験最大層間変形角に基づいて建物1の耐震性能残存率Rを判定するので、調査員や建物1の居住者に対して耐震性能残存率Rを報知することができる。
According to the invention of claim 4, since the seismic performance residual rate R of the
請求項5に記載の発明は、例えば図12に示すように、請求項1〜4のいずれか一項に記載の経験最大層間変形角の推定方法において、
前記経験最大層間変形角の推定は演算処理装置10で行われ、
前記演算処理装置10は、事前に測定された前記ひび割れf1〜f6の幅又は長さに係る測定結果情報を取得することを特徴とする。
The invention according to
The estimation of the empirical maximum interlayer deformation angle is performed by the
The
請求項5に記載の発明によれば、演算処理装置10は、事前に測定されたひび割れf1〜f6の幅又は長さに係る測定結果情報を取得し、これに基づいて経験最大層間変形角の推定を行うことができるので、ひび割れ幅及び長さの測定を事前に行いさえすれば、演算処理装置10によって経験最大層間変形角の推定を簡便に行うことができる。
According to the invention of
請求項6に記載の発明は、例えば図12,図14に示すように、請求項5に記載の経験最大層間変形角の推定方法において、
前記ひび割れf1〜f6をカメラ16で撮影し、前記演算処理装置10は、前記カメラ16によって撮影された前記ひび割れf1〜f6の画像を、前記測定結果情報として取得することを特徴とする。
The invention according to claim 6 is the method for estimating the maximum empirical interlayer deformation angle according to
The cracks f1 to f6 are photographed by the
請求項6に記載の発明によれば、演算処理装置10は、カメラ16によって撮影されたひび割れf1〜f6の画像を測定結果情報として利用することができるので、ひび割れ幅及び長さの測定を簡便に行うことができる。そのため、経験最大層間変形角の推定を行う上での簡便さを向上させることができる。
According to the invention of claim 6, since the
請求項7に記載の発明は、プログラムであって、
予め行われた実験結果に基づく推定式を記憶する記憶装置12を有するコンピューター10を、
少なくとも一方の面に石膏ボードが設けられ、前記石膏ボードの表面に壁クロスが貼り付けられた建物1の壁2,3のうち、当該壁2,3に形成された開口部2a,3aの隅角部に生じた前記壁クロスのひび割れf1〜f6の幅又は長さに係る測定結果情報を取得する測定結果情報取得手段11aと、
前記推定式を実行し、前記測定結果情報取得手段11aにより取得した前記ひび割れf1〜f6の測定結果から経験最大層間変形角を推定する推定手段11bとして機能させることを特徴とする。
The invention according to claim 7 is a program.
A
Of the
It is characterized in that the estimation formula is executed and the estimation means 11b is used to estimate the maximum empirical interlayer deformation angle from the measurement results of the cracks f1 to f6 acquired by the measurement result information acquisition means 11a.
請求項7に記載の発明によれば、予め行われた実験結果によって経験最大層間変形角と壁クロスに生じるひび割れf1〜f6の定量化が行われ、壁2,3に形成された開口部2a,3aの隅角部に生じた壁クロスのひび割れf1〜f6における実際の幅又は長さから、予め行われた実験結果に基づく推定式によって簡便かつ精度よく経験最大層間変形角の推定を行うことが可能となり、推定結果に個人差が生じない。
According to the invention of claim 7, the maximum empirical interlayer deformation angle and the cracks f1 to f6 generated in the wall cloth are quantified based on the experimental results performed in advance, and the openings 2a formed in the
本発明によれば、結果に個人差が生じず、簡便かつ精度よく経験最大層間変形角の推定を行うことが可能となる。 According to the present invention, there is no individual difference in the results, and it is possible to easily and accurately estimate the maximum empirical interlayer deformation angle.
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態および図示例に限定するものではない。 Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings. However, although the embodiments described below are provided with various technically preferable limitations for carrying out the present invention, the technical scope of the present invention is not limited to the following embodiments and illustrated examples. Absent.
図1において符号1は、建物を示す。この建物1は、最大震度7の地震による被害を受けた木造住宅であり、一階1aと二階1bとを備えている。一階1aの壁と二階1bの壁には、室内側面の仕上げ材として壁クロスが貼り付けられている。
In FIG. 1,
一階1aの壁と二階1bの壁のうち三角形のマーク「▲」で指された複数の箇所には、地震による壁の変形に伴って壁クロスのひび割れ(裂け目)が生じている。このような壁クロスのひび割れは、開口部が形成されていない壁よりも、開口部が形成された壁に生じやすくなっている。
Of the wall of the
図2に示す壁2は、建物1の一階1a又は二階1bにおけるいずれかの箇所に設けられたものであり、壁クロスに複数のひび割れf1,f2,f3が生じている。この壁2には、人の出入りを想定した所謂掃き出し窓を構成する開口部2aが形成されており、複数のひび割れf1,f2,f3は、開口部2aの周囲(隅角部)に生じている。
The
図3に示す壁3は、建物1の一階1a又は二階1bにおけるいずれかの箇所に設けられたものであり、壁クロスに複数のひび割れf4,f5,f6が生じている。この壁3には、人の出入りを想定していない所謂腰高窓を構成する開口部3aが形成されており、複数のひび割れf4,f5,f6は、開口部3aの周囲(隅角部)に生じている。
The
なお、図2,図3に示す壁2,3は、一方の面に石膏ボードが設けられ、その上から壁クロスが貼り付けられている。他方の面にはサイディング材が設けられている。
The
図4は、国土交通省による監修の「震災建築物の被災度区分判断基準および復旧技術指針」から部分的に引用した経験最大層間変形角と被災度、内装材(仕上げ材:壁クロス)及び外装材(サイディング)の開口部における損傷状況との相関関係を示す表である。 Figure 4 shows the maximum experience layer deformation angle and damage level, and interior materials (finishing material: wall cloth) partially quoted from the "Disaster Degree Classification Judgment Criteria and Restoration Technical Guidelines" supervised by the Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism. It is a table showing the correlation with the damage situation at the opening of the exterior material (siding).
壁2,3における壁クロスに生じた複数のひび割れf1〜f6と、図4に示す表とを照合することで、経験最大層間変形角を導き出すことができるとともに、経験最大層間変形角に応じた建物の被災度を導き出すことができるようになっている。
By collating the plurality of cracks f1 to f6 generated in the wall cloths of the
しかしながら、経験最大層間変形角と建物の損傷状況(ここでは、壁クロスのひび割れf1〜f6)との相関関係については定量化できていない。すなわち、図4に示す表だけに準拠してしまうと、壁クロスのひび割れf1〜f6が、図4に示す表のうちどの段階にあるのかを定量的に判断できなかった。 However, the correlation between the maximum empirical interlayer deformation angle and the damage status of the building (here, cracks f1 to f6 of the wall cloth) has not been quantified. That is, if only the table shown in FIG. 4 was followed, it was not possible to quantitatively determine at which stage the cracks f1 to f6 of the wall cloth were in the table shown in FIG.
そこで、本実施形態においては、壁クロスのひび割れf1〜f6の長さと幅に基づいて経験最大層間変形角、ひいては建物の被災度を推定する方法及びプログラムについて説明する。 Therefore, in the present embodiment, a method and a program for estimating the maximum empirical interlayer deformation angle based on the length and width of the cracks f1 to f6 of the wall cloth, and by extension, the degree of damage to the building will be described.
ここで、建物1が地震力を受けて水平方向に変形する場合の、各階の下階に対する相対的な水平変形を「層間変形」と呼び、その値を「階高」で割った値を「層間変形角」と呼ぶ。地震の水平方向の揺れにより、層間変形角は時々刻々変化するが、継続時間の中での絶対値の最大値を「最大層間変形角」と呼び、特に、地震時に建物1に生じた一番大きな変形を「経験最大層間変形角」と呼ぶものとする。
Here, when the
経験最大層間変形角を推定する方法は、まず、販売される住宅等の建物と同様に構成された壁の試験体の静的水平加力実験を行い、壁クロスにひび割れを生じさせる。加力方法は、柱脚固定式による面内せん断実験とし、試験体の壁における上端部に設けられた加力桁に油圧ジャッキを接続し、この油圧ジャッキにより静的加力を行う。加力スケジュールは、見かけのせん断変形角による変位制御とし、1/600、1/450、1/300、1/200、1/150、1/100、1/75、1/50、1/30、1/15rad(以下、特定変形角)の正負交番で複数回繰り返す。ただし、1/15rad時のみ正負1回ずつの加力とする。なお、単位radは、ラジアン(radian)であり、国際単位系における角度(平面角)の単位である。弧度ともいう。
水平荷重は加力桁と油圧ジャッキの間に取り付けたロードセルで計測し、加力桁及び土台の水平変位並びに柱の鉛直変位を変位計により計測する。
In the method of estimating the maximum empirical interlayer deformation angle, first, a static horizontal force test of a wall test piece constructed in the same manner as a building such as a house to be sold is performed, and the wall cloth is cracked. The applying method is an in-plane shear experiment using a fixed column base, and a hydraulic jack is connected to the applying girder provided at the upper end of the wall of the test piece, and static application is performed by this hydraulic jack. The force schedule is displacement control based on the apparent shear deformation angle, and is 1/600, 1/450, 1/300, 1/200, 1/150, 1/100, 1/75, 1/50, 1/30. , 1/15 rad (hereinafter, specific deformation angle) is repeated a plurality of times in a positive and negative police box. However, only at 1/15 rad, the force is applied once positively and negatively. The unit rad is a radian, which is a unit of an angle (plane angle) in the International System of Units. Also called radian.
The horizontal load is measured by a load cell installed between the force girder and the hydraulic jack, and the horizontal displacement of the force girder and the base and the vertical displacement of the column are measured by a displacement meter.
壁クロスの損傷(ひび割れ)を記録する時期は、地震後の状態を想定し、上記の特定変形角における3回目の正負それぞれの繰り返し加力時の特定変形角時、特定変形角時から除荷を行い、荷重が0となった時点(以下、荷重0時)及び、更に除荷を行い水平変位が0となった時点(以下、変位0時)とする。
観察記録の方法は、観察者による目視及びクラックスケールを用い、ひび割れの幅及び長さの記録を行う。
The time to record the damage (crack) of the wall cloth is assumed to be the state after the earthquake, and the load is removed from the specific deformation angle and the specific deformation angle at the time of the third positive and negative repeated loading at the above specific deformation angle. When the load becomes 0 (hereinafter, when the load is 0) and when the horizontal displacement becomes 0 after further unloading (hereinafter, when the displacement is 0).
The method of observation recording is to record the width and length of cracks by visual inspection by an observer and using a crack scale.
このような実験を行った結果、試験体である壁の開口部における隅角部の壁クロスには、1/100rad以降で、ひび割れが生じ、1/75radで割れが上下に通り、以降、特定変形角から除荷を行った時点でのひび割れ幅が大きくなった。石膏ボードに壁クロスが貼り付けられてなる仕上げ面で観察された主な損傷状況は、壁クロスの縒れ、膨れ、及び切れ、石膏ボードのひび割れ、潰れ、面外への浮き及び剥がれ、石膏ボード相互のずれ並びにビスの浮き、パンチングアウト、切れ及び引き抜けであった。開口部の隅角部におけるひび割れについては、ひび割れ幅は開く側の加力と閉じる側の加力で変形時及び荷重0時に差があるが、変位0時は大差ない。試験体である壁が、内壁であるか外壁であるか、開口形状及び割付方法の違いにおいても同様の傾向が得られた。ひび割れ長さは加力方向に関わらず同様で、また、変位時、荷重0時及び変位0時でほぼ同じであった。 As a result of conducting such an experiment, the wall cloth at the corner of the opening of the wall, which is the test piece, cracked after 1/100 rad, and the crack passed up and down at 1/75 rad. The crack width at the time of unloading from the deformation angle became large. The main damage conditions observed on the finished surface where the wall cloth is attached to the gypsum board are twisting, swelling and cutting of the wall cloth, cracking and crushing of the gypsum board, floating and peeling out of the surface, gypsum. The boards were misaligned and the screws were floating, punching out, cutting and pulling out. Regarding cracks at the corners of the opening, the crack width differs between the force on the opening side and the force on the closing side when deformed and when the load is 0, but there is no big difference when the displacement is 0. The same tendency was obtained depending on whether the wall as the test body was the inner wall or the outer wall, and the difference in the opening shape and the allocation method. The crack length was the same regardless of the applying direction, and was almost the same at the time of displacement, at 0 load, and at 0 displacement.
以上のような実験における試験体の状態と実際の建物1の対応関係は、経験最大層間変形角を実験時の特定変形角、地震後の建物1の状態を実験時の変位0時と想定した。そして、実験における特定変形角時と除荷後変位0時の損傷状況、特に開口隅角部のひび割れ幅及び長さに着目して、地震後の建物1の経験最大層間変形角を推定する。
Regarding the correspondence between the state of the test piece and the
経験最大層間変形角と、掃き出し窓タイプの開口部における上下の隅角部及び腰高窓タイプの開口部における上下の隅角部でのひび割れ幅及び長さとの関係を、図5〜図8に示す。図5は、開口部における上部の隅角部に生じたひび割れ幅と経験最大層間変形角との相関関係が表れた実験結果を示すグラフである。図6は、開口部における下部の隅角部に生じたひび割れ幅と経験最大層間変形角との相関関係が表れた実験結果を示すグラフである。図7は、開口部における上部の隅角部に生じたひび割れ長さと経験最大層間変形角との相関関係が表れた実験結果を示すグラフである。図8は、開口部における下部の隅角部に生じたひび割れ長さと経験最大層間変形角との相関関係が表れた実験結果を示すグラフである。
ひび割れ幅及び長さ各々について、経験最大層間変形角ごとに平均値(Ave)及び標準偏差(σ)を算出し、その平均値及び平均値±σ各々に対する近似直線を、経験最大層間変形角を推定する指標として図中に示す。
The relationship between the maximum empirical interlayer deformation angle and the crack width and length at the upper and lower corners of the sweep-out window type opening and the upper and lower corners of the high-waisted window type opening is shown in FIGS. 5 to 8. .. FIG. 5 is a graph showing the experimental results showing the correlation between the crack width generated at the upper corner of the opening and the empirical maximum interlayer deformation angle. FIG. 6 is a graph showing the experimental results showing the correlation between the crack width generated at the lower corner of the opening and the empirical maximum interlayer deformation angle. FIG. 7 is a graph showing the experimental results showing the correlation between the crack length generated at the upper corner of the opening and the empirical maximum interlayer deformation angle. FIG. 8 is a graph showing the experimental results showing the correlation between the crack length generated at the lower corner of the opening and the empirical maximum interlayer deformation angle.
For each of the crack width and length, the average value (Ave) and standard deviation (σ) are calculated for each empirical maximum interlayer deformation angle, and the approximate straight line for each of the average value and average value ± σ is used as the empirical maximum interlayer deformation angle. It is shown in the figure as an index to estimate.
また、平均値の近似直線を用いた経験最大層間変形角の推定式を、以下、式(1)から(4)に示す。建物1の掃き出し窓タイプの開口部及び腰高窓タイプの開口部のひび割れに対して、平均値の直線との交点が壁の経験した変形角と推定でき、平均値±σをばらつきの範囲として示す。
式(1)・・・・・・γe=(Bu+0.26)/110
式(2)・・・・・・γe=(Bd+0.66)/180
式(3)・・・・・・γe=(Lu+43.6)/25200
式(4)・・・・・・γe=(Ld+163.5)/55100
これら式(1)から(4)において、
γe:経験最大層間変形角(rad)
Bu:開口上部隅角部に生じたひび割れ幅(mm)
Bd:開口下部隅角部に生じたひび割れ幅(mm)
Lu:開口上部隅角部に生じたひび割れ長さ(mm)
Ld:開口下部隅角部に生じたひび割れ長さ(mm)
としている。
Further, the estimation formulas of the empirical maximum interlayer deformation angle using the approximate straight line of the average value are shown in the following formulas (1) to (4). For cracks in the sweep-out window type opening and the high-waisted window type opening of
Equation (1): γe = (Bu + 0.26) / 110
Equation (2): γe = (Bd + 0.66) / 180
Equation (3): γe = (Lu + 43.6) / 25200
Equation (4): γe = (Ld + 163.5) / 55100
In these equations (1) to (4),
γe: Experience maximum interlayer deformation angle (rad)
Bu: Crack width (mm) generated at the upper corner of the opening
Bd: Crack width (mm) generated at the lower corner of the opening
Lu: Crack length (mm) generated at the upper corner of the opening
Ld: Crack length (mm) generated at the lower corner of the opening
It is said.
ただし、変形とともに石膏ボードのひび割れが大きくなると地震時の繰り返しの変形でひび割れ部分が圧壊し、ひび割れの測定が困難となるため、適用範囲は1/50radとし、ひび割れ部分の圧壊が大きい場合は1/50radを超えていると判断する。開口部の隅角部ではない壁の平部における壁クロスの切れが上下に通ると1/300rad〜1/100rad、顕著なビスの浮きで1/150rad、ビスの抜け又はパンチングアウトで1/30rad、が経験最大層間変形角の推定指標となる。 However, if the cracks on the gypsum board increase with deformation, the cracks will be crushed due to repeated deformation during an earthquake, making it difficult to measure the cracks. Therefore, the applicable range is 1/50 rad. It is judged that it exceeds / 50 rad. 1/300 rad to 1/100 rad when the cut of the wall cloth in the flat part of the wall which is not the corner of the opening passes up and down, 1/150 rad due to the remarkable floating of the screw, 1/30 rad when the screw comes off or punches out. , Is an estimation index of the maximum empirical interlayer deformation angle.
また、出願人は、2016年4月14日、16日に発生した熊本地震発生後に地震被害調査を行い、益城町の物件(物件A,B)について経験最大層間変形角の推定を行った。被害調査では、内壁開口部に生じたひび割れ幅及び式(1)の推定式より経験最大層間変形角の推定を行い、その結果が図9の表に示されている。なお、被害調査におけるひび割れの測定は、調査時間の関係により目視における最も大きい箇所の幅について行った。 In addition, the applicant conducted an earthquake damage survey after the Kumamoto earthquakes that occurred on April 14 and 16, 2016, and estimated the maximum experience interlayer deformation angle for the properties (property A and B) in Mashiki Town. In the damage investigation, the maximum empirical interlayer deformation angle was estimated from the crack width generated at the inner wall opening and the estimation formula of the formula (1), and the results are shown in the table of FIG. The cracks in the damage survey were measured for the width of the largest part visually due to the survey time.
図9の表に、調査物件A,Bの限界耐力計算の結果を示す。安全限界時の層せん断力に対する1階の安全率は、物件AでX方向3.6倍、Y方向2.6倍、物件BでX方向2.8倍、Y方向3.0倍であった。 The table of FIG. 9 shows the results of the limit strength calculation of the survey properties A and B. The safety factor of the first floor against the layer shear force at the safety limit is 3.6 times in the X direction and 2.6 times in the Y direction for property A, and 2.8 times in the X direction and 3.0 times in the Y direction for property B. It was.
図10及び図11に、1自由度系に縮約した骨格曲線から計算した減衰による低減率及び等価周期より、建築基準法(安全限界時)及び周辺で観測されたKiK−net益城及び気象庁益城町宮園の地震波の必要耐力曲線を算定して得られた応答値の関係を示し、それらによる層間変形角を図9に示す。限界耐力計算による1階の層間変形角は、物件AのX方向で1/276rad、物件BのY方向で1/286radであった。 In FIGS. 10 and 11, KiK-net Mashiki and the Japan Meteorological Agency Mashiki observed in the building standard method (at the safety limit) and in the vicinity from the reduction rate and equivalent period due to attenuation calculated from the skeletal curve reduced to one degree of freedom system. The relationship between the response values obtained by calculating the required yield strength curve of the seismic wave of Machimiyazono is shown, and the interlayer deformation angle due to them is shown in FIG. The inter-story deformation angle of the first floor by the limit strength calculation was 1/276 rad in the X direction of the property A and 1/286 rad in the Y direction of the property B.
観測地震波に対する層間変形角は、物件AのX方向で1/74〜1/303rad、物件BのY方向で1/78〜1/274radであり、経験最大層間変形角の推定結果は、それぞれ1/180(ばらつきの範囲1/305〜1/125)rad及び1/155(ばらつきの範囲1/245〜1/110)radであり、周辺での観測地震波による応答値と比較して、概ね経験最大層間変形角を推定できていると考える。
The interlayer deformation angle with respect to the observed seismic wave is 1/74 to 1/303 rad in the X direction of the property A and 1/78 to 1/274 rad in the Y direction of the property B, and the estimation result of the empirical maximum interlayer deformation angle is 1 respectively. It is / 180 (
出願人は、壁の静的加力実験を実施し、開口部における上下の隅角部に生じるひび割れと経験最大層間変形角との関係について示し、開口部における上下の隅角部に生じるひび割れ幅及び長さから、定量的に経験最大層間変形角を推定する方法を提案した。さらに、実際の被災住宅における損傷調査を用いて経験最大層間変形角の推定を試行した結果、構造計算結果及び周辺観測地震波による層間変形角との比較により推定結果が概ね妥当であり、定量的な経験最大層間変形角の推定手法として使用可能であることを確認した。 The applicant conducted a static loading experiment on the wall to show the relationship between the cracks that occur in the upper and lower corners of the opening and the maximum empirical interlayer deformation angle, and the crack width that occurs in the upper and lower corners of the opening. We proposed a method to quantitatively estimate the maximum empirical interlayer deformation angle from the length. Furthermore, as a result of trying to estimate the maximum empirical interlayer deformation angle using the damage survey in the actual damaged house, the estimation result is generally valid and quantitative by comparing with the structural calculation result and the interlayer deformation angle due to the surrounding observation seismic waves. Experience It was confirmed that it can be used as a method for estimating the maximum interlayer deformation angle.
以上を踏まえれば、開口部における上下の隅角部に生じたひび割れ幅及び長さから、経験最大層間変形角の推定を行うことができ、ひいては、建物の被災度を推定することが可能となっている。そして、このような経験最大層間変形角の推定を、演算処理装置10によって行うことができる。
Based on the above, it is possible to estimate the maximum empirical interlayer deformation angle from the crack width and length generated at the upper and lower corners of the opening, and by extension, the degree of damage to the building. ing. Then, such an empirical maximum interlayer deformation angle can be estimated by the
演算処理装置10は、図12に示すように、記憶部12、表示部13、入力部14、通信部15及びマイクロプロセッサー(制御部11)等を有するコンピューターである。例えば、演算処理装置10は、携帯電話機(例えば、スマートフォン、フィーチャーフォン)、PDA(Personal Digital Assistant)、デスクトップ型パーソナルコンピューター、ラップトップ型パーソナルコンピューター(ノート型パーソナルコンピューター)、パームトップ型パーソナルコンピューター、タブレット型パーソナルコンピューター等である。
As shown in FIG. 12, the
制御部11は、記憶部12内に格納されている制御用プログラム(図示省略)に基づいて記憶部12等を含む演算処理装置10全体の制御を行うとともに、測定結果情報取得手段11a、経験最大層間変形角推定手段11b、被災度判定手段11c、耐震性能残存率判定手段11dとしての機能を実行する。
The
記憶部12は、ハードディスクドライブやフラッシュメモリー等の大容量記憶媒体、及びROM、RAM等の半導体記憶媒体を備える。この記憶部12には上記の制御用プログラムが格納されているとともに、制御部11の制御動作時に必要とされる各種データが一時的に格納される。また、この記憶部12には、推定式データ12a、被災度判定用データ12b、耐震性能残存率判定用データ12cが格納されている。
The
表示部13は、演算処理装置10における表示装置であり、例えば液晶ディスプレイ等が採用される。本実施形態における表示部13は、演算処理装置10の筐体に組み込まれており、制御部11による表示制御信号に基づいて表示面に表示画面を表示する。
The
入力部14は、演算処理装置10における入力装置であり、例えばキーボードやマウス等が採用される。本実施形態における入力部14は、演算処理装置10の筐体に組み込まれており、表示部13における表示画面に対して文字等の入力を行うことができる。
The
通信部15は、制御部11からの通信信号を受け入れ、LAN、WAN等のネットワークにこの通信信号を送出する。また、通信部15は、ネットワークからの通信信号を受け入れ、制御部11にこの通信信号を出力する。本実施形態における通信部15は、演算処理装置10の筐体に内蔵されている。
The
また、演算処理装置10には、カメラ16が接続される。本実施形態において、カメラ16は、壁クロスに生じたひび割れを撮影するために用いられる。すなわち、カメラ16は、カメラ16の記録媒体に記録されたひび割れの画像情報を演算処理装置10に入力する入力装置として機能する。この場合、演算処理装置10は、外部入力用のインターフェース(図示省略)を有する。
なお、壁クロスに生じたひび割れをクラックスケールによって測定した場合、演算処理装置10に対するひび割れ情報(ひび割れ幅又は長さの寸法情報)の入力は、入力部14から行うことができる。入力部14から情報入力を行う場合は、表示部13に対してひび割れ情報の入力画面を表示し、その入力画面上にて行う。
Further, a
When the cracks generated in the wall cloth are measured by the crack scale, the crack information (crack width or length dimensional information) can be input to the
なお、カメラ16は、本実施形態においては演算処理装置10に対して外部接続されるものとされているが、これに限られるものではなく、演算処理装置10に内蔵されていてもよい。演算処理装置10が、例えばスマートフォン等の携帯電話機やラップトップ型パーソナルコンピューターである場合は、カメラ16は内蔵されていることが多い。カメラ16が内蔵された演算処理装置10であれば、それ一台で、ひび割れの幅及び長さの寸法情報の取得から、経験最大層間変形角の推定、被災度判定、耐震性能残存率判定まで行うことができるので、利便性に優れる。
In the present embodiment, the
制御部11は、測定結果情報取得手段11aとして機能し、カメラ16又は入力部14からのひび割れに係る情報(測定結果情報)を取得し、当該情報を記憶部12に記憶する。なお、カメラ16から入力された画像情報からは、例えば三次元の物体を複数の観測点から撮影して得た二次元画像から、視差情報を解析して寸法・形状を求めるフォトグラメトリー技術を利用した測定プログラムや、AR(Augmented Reality:いわゆる拡張現実)を利用した測定プログラム等を実行することにより、ひび割れの幅又は長さの寸法情報を得ることができる。
The
この測定結果情報取得手段11aで取得する情報には、ひび割れの幅又は長さの寸法情報の他に、経験最大層間変形角を推定する際に、ひび割れの幅寸法情報と長さ寸法情報のうち、どちらを用いるかを選択した情報(幅又は長さの選択情報)が含まれる。さらに、測定したひび割れの開口部に対する位置情報も含まれる。
その他にも、測定を行った建物を特定する情報(住所、所有者情報等)や、建物の構造情報(総階数、建築工法の種類等)、測定箇所を特定する情報(測定した階、測定した壁の建物における位置・方向、測定した壁の形状・寸法)が含まれてもよい。
In addition to the dimensional information of the width or length of the crack, the information acquired by the measurement result information acquisition means 11a includes the dimensional information of the width or the length of the crack when estimating the maximum empirical interlayer deformation angle. , Information on which to use (width or length selection information) is included. In addition, position information with respect to the measured crack opening is also included.
In addition, information that identifies the building where the measurement was performed (address, owner information, etc.), structural information of the building (total number of floors, type of construction method, etc.), information that identifies the measurement location (measured floor, measurement, etc.) The position / direction of the wall in the building, the shape / dimensions of the measured wall) may be included.
また、制御部11は、経験最大層間変形角推定手段11bとして機能し、測定結果情報取得手段11aによって取得したひび割れの幅又は長さの寸法情報から経験最大層間変形角を推定する。その際、記憶部12に記憶された推定式データ12aが利用される。
推定式データ12aの内容は、上記の式(1)〜(4)であり、測定結果情報取得手段11aで取得した情報に含まれた上記の幅又は長さの選択情報と、開口部に対する位置情報とに基づいて、式(1)〜(4)が自動的に選択される。
すなわち、開口部における上部の隅角部に生じたひび割れ幅である場合には式(1)が選択され、測定したひび割れの幅寸法情報が式(1)における「Bu」に当てはめられることになる。
開口部における下部の隅角部に生じたひび割れ幅である場合には式(2)が選択され、測定したひび割れの幅寸法情報が式(2)における「Bd」に当てはめられる。
開口部における上部の隅角部に生じたひび割れ長さである場合には式(3)が選択され、測定したひび割れの長さ寸法情報が式(3)における「Lu」に当てはめられる。
開口部における下部の隅角部に生じたひび割れ長さである場合には式(4)が選択され、測定したひび割れの長さ寸法情報が式(4)における「Ld」に当てはめられる。
なお、ひび割れの幅又は長さの寸法情報は、ミリメートル(mm)単位で入力されるものとする。
Further, the
The contents of the
That is, in the case of the crack width generated in the upper corner of the opening, the formula (1) is selected, and the measured crack width dimension information is applied to "Bu" in the formula (1). ..
In the case of the crack width generated in the lower corner of the opening, the formula (2) is selected, and the measured crack width dimensional information is applied to "Bd" in the formula (2).
Equation (3) is selected when it is the crack length generated in the upper corner of the opening, and the measured crack length dimensional information is applied to "Lu" in the equation (3).
Equation (4) is selected when it is the crack length generated at the lower corner of the opening, and the measured crack length dimensional information is applied to “Ld” in equation (4).
The dimensional information of the width or length of the crack shall be input in millimeters (mm).
また、制御部11は、被災度判定手段11cとして機能し、経験最大層間変形角推定手段11bによって推定された経験最大層間変形角から被災度の判定を行う。その際、記憶部12に記憶された被災度判定用データ12bが利用される。
被災度判定用データ12bの内容は図4に示されており、経験最大層間変形角の値に対応して「軽微」、「小破」、「中破」、「大破」、「倒壊」に区分されている。
すなわち、経験最大層間変形角の値が1/120rad以下である場合は、被災度「軽微」と判定される。
経験最大層間変形角の値が1/60rad以下である場合は、被災度「小破」と判定される。
経験最大層間変形角の値が1/45rad以下である場合は、被災度「中破」と判定される。
経験最大層間変形角の値が1/20rad以下である場合は、被災度「大破」と判定される。
経験最大層間変形角の値が1/20radを超える場合は、被災度「倒壊」と判定される。
そして、このような各区分は、更に震度階級と相関関係があり、建物の基礎構造・上部構造における復旧の要否判断に利用される。
Further, the
The contents of the damage
That is, when the value of the experience maximum interlayer deformation angle is 1/120 rad or less, it is determined that the damage degree is “minor”.
When the value of the experience maximum interlayer deformation angle is 1/60 rad or less, it is determined that the damage degree is "small damage".
When the value of the experience maximum interlayer deformation angle is 1/45 rad or less, it is determined that the damage degree is "medium damage".
When the value of the experience maximum interlayer deformation angle is 1/20 rad or less, it is judged that the damage degree is "wreck".
If the value of the experience maximum interlayer deformation angle exceeds 1/20 rad, it is judged that the damage degree is "collapse".
Each of these categories further correlates with the seismic intensity class and is used to determine the necessity of restoration in the basic structure and superstructure of the building.
また、制御部11は、耐震性能残存率判定手段11dとして機能し、経験最大層間変形角推定手段11bによって推定された経験最大層間変形角から耐震性能残存率R(被災後耐震性能の、被災前耐震性能に対する比)の判定を行う。その際、記憶部12に記憶された耐震性能残存率判定用データ12cが利用される。
耐震性能残存率判定用データ12cの内容は図13に示されており、経験最大層間変形角の値に対応して6段階に区分されている。
すなわち、経験最大層間変形角の値が1/120rad未満である場合は、耐震性能残存率R「80%」と判定される。
経験最大層間変形角の値が1/120rad以上、1/60rad未満である場合は、耐震性能残存率R「60%」と判定される。
経験最大層間変形角の値が1/60rad以上、1/45rad未満である場合は、耐震性能残存率R「50%」と判定される。
経験最大層間変形角の値が1/45rad以上、1/30rad未満である場合は、耐震性能残存率R「35%」と判定される。
経験最大層間変形角の値が1/30rad以上、1/20rad未満である場合は、耐震性能残存率R「15%」と判定される。
そして、経験最大層間変形角の値が1/20rad以上である場合は、耐震性能残存率R「5%」と判定される。
このような耐震性能残存率Rは、被災した建物の適切な補修・補強を行う上で重要であり、補強対象の建物における耐震性能の目標を満足させる上からも必要とされている。また、求められる耐震性能残存率Rは絶対値ではなく、被災前を100%とした場合の相対的な値である。
Further, the
The contents of the seismic performance residual
That is, when the value of the empirical maximum interlayer deformation angle is less than 1/120 rad, it is determined that the seismic performance residual rate R is "80%".
When the value of the empirical maximum interlayer deformation angle is 1/120 rad or more and less than 1/60 rad, it is determined that the seismic performance residual rate R is "60%".
When the value of the empirical maximum interlayer deformation angle is 1/60 rad or more and less than 1/45 rad, it is determined that the seismic performance residual rate R is "50%".
When the value of the empirical maximum interlayer deformation angle is 1/45 rad or more and less than 1/30 rad, it is determined that the seismic performance residual rate R is "35%".
When the value of the empirical maximum interlayer deformation angle is 1/30 rad or more and less than 1/20 rad, it is determined that the seismic performance residual rate R is "15%".
When the value of the experience maximum interlayer deformation angle is 1/20 rad or more, it is determined that the seismic performance residual rate R is "5%".
Such seismic performance survival rate R is important for appropriate repair and reinforcement of damaged buildings, and is also required for satisfying seismic performance targets for buildings to be reinforced. Further, the required seismic performance residual rate R is not an absolute value, but a relative value when 100% is set before the disaster.
以上のように構成された本実施形態における演算処理装置10としては、震災後に現地に赴いて建物の調査を行う調査員が各自所持するラップトップ型パーソナルコンピューター(いわゆるノートパソコン)が想定されている。ただし、これに限られるものではなく、スマートフォン等の携帯電話機でもよいし、その他のコンピューターを用いてもよい。
スマートフォン等の携帯電話機が演算処理装置10として利用される場合は、調査員が現地で調査を行い、すぐさま経験最大層間変形角の推定、被災度の判定、耐震性能残存率の判定を行うことができるので利便性に優れる。
As the
When a mobile phone such as a smartphone is used as the
また、演算処理装置10は、調査員が各自所持するものではなく、例えば行政機関や住宅メーカー、調査会社等が管理するサーバーなどでもよい。この場合、調査員は、サーバーである演算処理装置10に対してひび割れ幅及び長さの寸法情報を始めとする諸情報を送信可能な通信端末を少なくとも所持していればよい。
より具体的に説明すると、カメラ16が内蔵されたスマートフォン等の携帯電話機を所持して調査員が現地入りし、現地でひび割れに係る写真を撮影し、そのデータをサーバーである演算処理装置10に送る。そして、サーバーで導き出された経験最大層間変形角の推定結果、被災度及び耐震性能残存率の判定結果をスマートフォン等の携帯電話機で受信するようにする。このような形態でも、経験最大層間変形角の推定が可能となる。
なお、演算処理装置10をサーバーとする場合は、受信した情報をデータベース化して記憶しておくことが好ましい。例えば現地から送られてくる情報に、様々な情報を紐づけして記憶すれば、経験最大層間変形角の推定だけでなく、発生した地震そのものの解析にも繋げることが可能となる。
Further, the
More specifically, an investigator will come to the site with a mobile phone such as a smartphone with a built-in
When the
図14に、経験最大層間変形角の推定方法、被災度の判定方法、耐震性能残存率の判定方法を説明するフローチャートを示す。
まず、調査員が、地震による被害を受けた建物1において、壁クロスにひび割れf1〜f6が生じた壁2,3を目視で見つけ、その中で、最も大きなひび割れを選定する(ステップS1)。なお、本実施形態においては、壁2におけるひび割れf1が選定されたものとする。
FIG. 14 shows a flowchart illustrating a method of estimating the maximum experience interlayer deformation angle, a method of determining the degree of damage, and a method of determining the seismic performance residual rate.
First, the investigator visually finds the
続いて、調査員は、ひび割れf1の幅又は長さの寸法を測定する(ステップS2)。寸法の測定作業は、クラックスケールを用いてもよいし、カメラ16で行ってもよい。
ひび割れf1の測定を行った後、調査員は、測定結果情報を演算処理装置10に入力する(ステップS3)。測定結果情報の入力は、入力部14から行われてもよいし、カメラ16を演算処理装置10に接続するか、データ送信することにより行われてもよい。
Subsequently, the investigator measures the width or length of the crack f1 (step S2). The dimensional measurement work may be performed using a crack scale or a
After measuring the crack f1, the investigator inputs the measurement result information to the arithmetic processing unit 10 (step S3). The measurement result information may be input from the
演算処理装置10は、測定結果情報取得手段11aによって、ひび割れf1の幅又は長さの寸法情報を含む測定結果情報を取得する(ステップS4)。
そして、演算処理装置10は、経験最大層間変形角推定手段11bによって、測定結果情報取得手段11aによって取得したひび割れの幅又は長さの寸法情報から経験最大層間変形角を推定する(ステップS5)。
The
Then, the
また、演算処理装置10は、被災度判定手段11cによって、経験最大層間変形角推定手段11bによって推定された経験最大層間変形角から被災度の判定を行う(ステップS6)。
さらに、演算処理装置10は、耐震性能残存率判定手段11dによって、経験最大層間変形角推定手段11bによって推定された経験最大層間変形角から耐震性能残存率Rの判定を行う(ステップS7)。
なお、ステップS6とステップS7の手順は、順序が逆になってもよいものとする。
Further, the
Further, the
The order of the steps S6 and S7 may be reversed.
続いて、演算処理装置10は、経験最大層間変形角推定手段11bによる推定結果と、被災度判定手段11c及び耐震性能残存率判定手段11dによる判定結果を出力する(ステップS8)。出力先は、演算処理装置10の表示部13でもよいし、調査員が所持するコンピューター(例えばスマートフォンやタブレットコンピューター等)に送信してもよい。
Subsequently, the
その後、調査員は、自身が所持するコンピューターによって、経験最大層間変形角推定手段11bによる推定結果と、被災度判定手段11c及び耐震性能残存率判定手段11dによる判定結果を取得する(ステップS9)。
以上のようにして、地震による被害を受けた建物1の経験最大層間変形角の推定、被災度の判定、耐震性能残存率Rの判定を行うことができる。
After that, the investigator acquires the estimation result by the experience maximum interlayer deformation angle estimation means 11b and the judgment result by the damage degree determination means 11c and the seismic performance residual rate determination means 11d by the computer owned by the investigator (step S9).
As described above, it is possible to estimate the maximum experienced interlayer deformation angle of the
本実施の形態によれば、予め行われた実験結果によって経験最大層間変形角と壁クロスに生じるひび割れの定量化が行われ、壁2,3に形成された開口部2a,3aの隅角部に生じた壁クロスのひび割れf1〜f6における実際の幅又は長さから、予め行われた実験結果に基づく推定式(1)〜(4)によって簡便かつ精度よく経験最大層間変形角の推定を行うことが可能となり、推定結果に個人差が生じない。
According to the present embodiment, the maximum empirical interlayer deformation angle and the cracks generated in the wall cloth are quantified based on the experimental results performed in advance, and the corner portions of the openings 2a and 3a formed in the
なお、大地震の発生後は、居住者や地域住民の安全を確保するため、建物1の被災度判定及び耐震性能残存率判定は迅速に行われる必要がある。今後、発生が予想される南海トラフ巨大地震や首都直下地震では、調査人員が圧倒的に不足することが予測されるため、簡便かつ精度よく経験最大層間変形角の推定を行うことが強く求められている。
そのため、今後、発生が予想される南海トラフ巨大地震や首都直下地震でも調査人員の不足を招きにくく、迅速な対応を行いやすくなる。
After a major earthquake, in order to ensure the safety of residents and local residents, it is necessary to quickly determine the degree of damage to the
Therefore, even in the Nankai Trough giant earthquake and the earthquake directly under the Tokyo metropolitan area, which are expected to occur in the future, it is unlikely that there will be a shortage of survey personnel, and it will be easier to take prompt action.
また、経験最大層間変形角を推定する場合に上記の推定式(1)〜(4)に基づいて推定される。これにより、開口部2a,3aに対するひび割れf1〜f6の位置に応じて、ひび割れf1〜f6の幅又は長さから経験最大層間変形角の推定を行うことができるので、経験最大層間変形角の推定を行う上での精度を向上させることができる。 Further, when estimating the empirical maximum interlayer deformation angle, it is estimated based on the above estimation formulas (1) to (4). As a result, the empirical maximum interlayer deformation angle can be estimated from the width or length of the cracks f1 to f6 according to the positions of the cracks f1 to f6 with respect to the openings 2a and 3a. It is possible to improve the accuracy in performing the above.
また、推定された経験最大層間変形角に基づいて建物1の被災度を判定するので、建物1の居住者に対して被災度を報知することができる。
Further, since the damage degree of the
また、推定された経験最大層間変形角に基づいて建物1の耐震性能残存率Rを判定するので、建物1の居住者に対して耐震性能残存率Rを報知することができる。
Further, since the seismic performance residual rate R of the
また、演算処理装置10は、事前に測定されたひび割れf1〜f6の幅又は長さに係る測定結果情報を取得し、これに基づいて経験最大層間変形角の推定を行うことができるので、ひび割れ幅及び長さの測定を事前に行いさえすれば、演算処理装置10によって経験最大層間変形角の推定を簡便に行うことができる。
Further, since the
また、演算処理装置10は、カメラ16によって撮影されたひび割れf1〜f6の画像を測定結果情報として利用することができるので、ひび割れ幅及び長さの測定を簡便に行うことができる。そのため、経験最大層間変形角の推定を行う上での簡便さを向上させることができる。
Further, since the
また、予め行われた実験結果によって経験最大層間変形角と壁クロスに生じるひび割れf1〜f6の定量化が行われ、壁2,3に形成された開口部2a,3aの隅角部に生じた壁クロスのひび割れf1〜f6における実際の幅又は長さから、予め行われた実験結果に基づく推定式によって簡便かつ精度よく経験最大層間変形角の推定を行うことが可能となり、推定結果に個人差が生じない。
In addition, the maximum empirical interlayer deformation angle and the cracks f1 to f6 generated in the wall cloth were quantified based on the experimental results performed in advance, and were generated in the corners of the openings 2a and 3a formed in the
1 建物
1a 一階
1b 二階
2 壁
2a 開口部
3 壁
3a 開口部
10 演算処理装置
11 制御部
11a 測定結果情報取得手段
11b 経験最大層間変形角推定手段
11c 被災度判定手段
11d 耐震性能残存率判定手段
12 記憶部
12a 推定式データ
12b 被災度判定用データ
12c 耐震性能残存率判定用データ
13 表示部
14 入力部
15 通信部
16 カメラ
f1〜f6 ひび割れ
1
Claims (7)
前記ひび割れの幅又は長さを測定し、
予め行われた実験結果に基づく推定式により、前記ひび割れの測定結果から前記経験最大層間変形角を推定することを特徴とする経験最大層間変形角の推定方法。 A crack in a wall cloth formed in a corner of an opening formed in the wall of a building in which a gypsum board is provided on at least one surface and a wall cloth is attached to the surface of the gypsum board. It is a method of estimating the maximum empirical interlayer deformation angle from
Measure the width or length of the crack and
A method for estimating the maximum empirical interlayer deformation angle, which comprises estimating the empirical maximum interlayer deformation angle from the crack measurement result by an estimation formula based on an experimental result performed in advance.
前記推定式は、
γe=(Bu+0.26)/110・・・・・・式(1)
γe=(Bd+0.66)/180・・・・・・式(2)
γe=(Lu+43.6)/25200・・・・・・式(3)
γe=(Ld+163.5)/55100・・・・・・式(4)
のいずれかであり、
γe:経験最大層間変形角(rad)、Bu:前記開口部における上部の隅角部に生じたひび割れ幅(mm)、Bd:前記開口部における下部の隅角部に生じたひび割れ幅(mm)、Lu:前記開口部における上部の隅角部に生じたひび割れ長さ(mm)、Ld:前記開口部における下部の隅角部に生じたひび割れ長さ(mm)であることを特徴とする経験最大層間変形角の推定方法。 In the method for estimating the maximum empirical interlayer deformation angle according to claim 1,
The estimation formula is
γe = (Bu + 0.26) / 110 ... Equation (1)
γe = (Bd + 0.66) / 180 ... Equation (2)
γe = (Lu + 43.6) / 25200 ... Equation (3)
γe = (Ld + 163.5) / 55100 ... Equation (4)
Is one of
γe: Experience maximum interlayer deformation angle (rad), Bu: Crack width (mm) generated in the upper corner portion of the opening, Bd: Crack width (mm) generated in the lower corner portion of the opening. , Lu: Crack length (mm) generated in the upper corner portion of the opening, Ld: Crack length (mm) generated in the lower corner portion of the opening. How to estimate the maximum interlayer deformation angle.
推定された前記経験最大層間変形角に基づいて前記建物の被災度を判定することを特徴とする経験最大層間変形角の推定方法。 In the method for estimating the maximum empirical interlayer deformation angle according to claim 1 or 2.
A method for estimating the maximum empirical interlayer deformation angle, which comprises determining the degree of damage to the building based on the estimated maximum empirical interlayer deformation angle.
推定された前記経験最大層間変形角に基づいて前記建物の耐震性能残存率を判定することを特徴とする経験最大層間変形角の推定方法。 In the method for estimating the maximum empirical interlayer deformation angle according to any one of claims 1 to 3,
A method for estimating the maximum empirical interlayer deformation angle, which comprises determining the seismic performance residual rate of the building based on the estimated maximum empirical interlayer deformation angle.
前記経験最大層間変形角の推定は演算処理装置で行われ、
前記演算処理装置は、事前に測定された前記ひび割れの幅又は長さに係る測定結果情報を取得することを特徴とする経験最大層間変形角の推定方法。 In the method for estimating the maximum empirical interlayer deformation angle according to any one of claims 1 to 4.
The estimation of the empirical maximum interlayer deformation angle is performed by an arithmetic processing unit.
The arithmetic processing apparatus is a method for estimating an empirical maximum interlayer deformation angle, which comprises acquiring measurement result information relating to the width or length of the crack measured in advance.
前記ひび割れをカメラで撮影し、前記演算処理装置は、前記カメラによって撮影された前記ひび割れの画像を、前記測定結果情報として取得することを特徴とする経験最大層間変形角の推定方法。 In the method for estimating the maximum empirical interlayer deformation angle according to claim 5.
An empirical maximum interlayer deformation angle estimation method, characterized in that the crack is photographed by a camera, and the arithmetic processing apparatus acquires an image of the crack photographed by the camera as the measurement result information.
少なくとも一方の面に石膏ボードが設けられ、前記石膏ボードの表面に壁クロスが貼り付けられた建物の壁のうち、当該壁に形成された開口部の隅角部に生じた前記壁クロスのひび割れの幅又は長さに係る測定結果情報を取得する測定結果情報取得手段と、
前記推定式を実行し、前記測定結果情報取得手段により取得した前記ひび割れの測定結果から経験最大層間変形角を推定する推定手段として機能させるプログラム。 A computer with a storage device that stores an estimation formula based on the results of experiments performed in advance.
A crack in a wall cloth formed in a corner of an opening formed in the wall of a building in which a gypsum board is provided on at least one surface and a wall cloth is attached to the surface of the gypsum board. Measurement result information acquisition means for acquiring measurement result information related to the width or length of
A program that executes the estimation formula and functions as an estimation means for estimating the empirical maximum interlayer deformation angle from the measurement result of the crack acquired by the measurement result information acquisition means.
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