JP2020148331A - 通気弁 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1のアダプタ付ブリーザは、機械装置のケース(筐体)に取付部を介して取り付けられたブリーザ本体を有している。
このブリーザ本体には、通路(通気路)と、該通路とケースの内室を連通する連通路と、該通路を外方に連通させる連通孔とが設けられており、この連通孔はフィルタによって仕切られている。
しかし、トランスミッションのような潤滑油を使用する機械装置は、内圧の調整時において、筐体の内部から排気される空気中にオイルミストが含まれているため、フィルタがオイルミストによって目詰まりを起こし、通気弁としての性能維持が出来なくなるという問題を有していた。
特許文献2のベントは、筐体内部と外部の間で流体の連通を提供する通路と、通路を覆うガス透過性で水不透過性の膜(フィルタ)と、筐体内部の潤滑剤と該水不透過性の膜の間の通路内に配置された繊維状収着剤とを含む構成となっている。
そして、繊維状収着剤が潤滑剤によるオイルミストを収着することにより、ガス透過性で水不透過性の膜(フィルタ)のオイルミストによる目詰まりを防止している。
〔1〕請求項1に記載の通気弁は、機械装置の筐体に取り付けられて、潤滑油が収容された筐体内部の圧力を調整する通気弁であって、
前記筐体の内部と外部とを連通する通気路が設けられた弁本体と、
前記通気路上に位置するように前記弁本体に設けられた気体透過性及び液体非透過性を有する第1フィルタと、
前記通気路上で前記第1フィルタよりも前記筐体の内部寄りに位置するように前記弁本体に設けられた第2フィルタと、を有し、
前記第2フィルタは、前記潤滑油によるオイルミストを捕捉する多孔質粒子と、前記多孔質粒子の脱落を抑制するとともに第2フィルタに通気性を付与する繊維と、を含むことを要旨とする。
〔2〕請求項2に記載の通気弁は、請求項1に記載の通気弁において、前記第2フィルタにおいて、前記多孔質粒子と前記繊維成分とが抄紙体であることを要旨とする。
〔3〕請求項3に記載の通気弁は、請求項1又は請求項2に記載の通気弁において、前記第2フィルタは、更に、前記多孔質粒子と前記繊維とを結着する結着樹脂を含むことを要旨とする。
〔4〕請求項4に記載の通気弁は、請求項3に記載の通気弁において、前記結着樹脂は、熱硬化性樹脂であることを要旨とする。
〔5〕請求項5に記載の通気弁は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の通気弁において、前記多孔質粒子は、珪藻土、白土、ゼオライト及びシリカゲルから選ばれる少なくとも1種であることを要旨とする。
〔6〕請求項6に記載の通気弁は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の通気弁において、前記繊維は、芳香族系ポリアミド繊維を含むことを要旨とする。
〔7〕請求項7に記載の通気弁は、請求項6に記載の通気弁において、前記繊維が、更に無機繊維を含むことを要旨とする。
〔8〕請求項8に記載の通気弁は、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の通気弁において、前記通気路上で前記第2フィルタよりも前記筐体の内部寄りに位置するように前記弁本体に設けられた遮蔽板を有することを要旨とする。
〔9〕請求項9に記載の通気弁は、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の通気弁において、前記第1フィルタを前記筐体の外部側から覆うキャップを有することを要旨とする。
通気弁10は、機械装置の筐体11に取り付けられて、潤滑油が収容されたる筐体11内部の圧力を調整するためのものである。
通気弁10は、筐体11の内部と外部とを連通する通気路13が設けられた弁本体12と、通気路13上に位置するように弁本体12に設けられた気体透過性及び液体非透過性を有する第1フィルタ14と、通気路13上で第1フィルタ14よりも前記筐体の内部寄りに位置するように前記弁本体に設けられた第2フィルタ20と、を有している(図1参照)。
そして、第2フィルタ20は、潤滑油によるオイルミストを捕捉する多孔質粒子21と、多孔質粒子21の脱落を抑制するとともに第2フィルタ20に通気性を付与する繊維22と、を含んでいる(図2,3参照)。
但し、筐体11内部の気体には、潤滑油によるオイルミストが含まれており、周辺環境の汚染を防止する観点から、このオイルミストが筐体11の外部へ排出されないようにする必要がある。
そこで、上記通気弁10は、筐体11内部からの気体の通気路13上に第2フィルタ20を設け、この第2フィルタ20でオイルミストを捕集する構成としている。
このような機械装置として、例えばオートマチックトランスミッション(以下、省略して「AT」と記載する)や、マニュアルトランスミッション(以下、省略して「MT」と記載する)や、連続可変トランスミッション(以下、省略して「CVT」と記載する)等の自動車用変速装置、コンプレッサー、製造機械の動力伝達装置などが例示される。
また具体的に、筐体11は、例えば自動車用変速装置のハウジング、コンプレッサーのケース等である。
このATFから発生するオイルミストは、炭素原子の比率が8〜25%である多環芳香族化合物等が含まれ、粒子の大きさが、通常、10μm未満であり、140℃の環境下における濃度が、オイル量や表面積次第で異なる場合があるが、通常、10〜20mg/m3である。
取付孔11Aの種類は、通気弁10を取り付けることができるのであれば、特に限定されない。取付孔11Aの種類として、例えばネジ孔、嵌挿孔、接着用の挿通孔などを挙げることができる。
通常、弁本体12のサイズは、機械装置の筐体11の内圧に応じて設定され、材質は、内圧調整時の高温度環境に耐えられるように、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、炭素鋼、アルミニウム合金、真鍮、マグネシウム合金等の金属とされる。
弁本体12の底部には、弁本体12よりも小径な筒状の取付部12Aが設けられている。この取付部12Aは、筐体11の取付孔11Aに取り付けるためのものであり、例えば取付孔11Aがネジ孔であれば外周面にネジ溝が螺刻される、取付孔11Aが嵌挿孔であれば外径が取付孔11Aの内径に応じたサイズに設定される等、取付孔11Aに応じた形状、サイズとされている。
取付部12Aと弁本体12の底部との間の部位は、取付部12Aへ近づくに従い幅狭になるテーパ状とされ、内周面に付着した潤滑油、オイルミスト等が取付部12Aを介して筐体11の内部へ戻るように機能している。
この遮蔽板15は、第2フィルタ20へ送られるオイルミストの量を低減するために設けられている。
すなわち、遮蔽板15は、弁本体12の内径と略同寸に形成されており、第2フィルタ20よりも筐体11の内部側で、通気路13を塞ぐように設けられている。
この遮蔽板15には、筐体11の内部から通気路13へと流入した気体が衝突される。そして、遮蔽板15への衝突により、気体中からオイルミストが振るい落とされる。
また、遮蔽板15の両側部には、通気孔15Aが貫通形成されている。遮蔽板15に衝突した気体は、この通気路13へ回り込むようにして、通気孔15Aを介して第2フィルタ20へと送られる(図1中の矢印参照)。
遮蔽板15の材質は、特に限定されず、例えば弁本体12と同様の金属、あるいは合成樹脂等が挙げられる。
このキャップ16は、外部から侵入しようとする小石や塵埃等の異物から第1フィルタ14を保護するために設けられている。
キャップ16は、弁本体12の外径よりも大きな有蓋筒状に形成されており、筐体11の外部側となる弁本体12の端部に被着されている。
筐体11の外部側となる弁本体12の端部で外周面には、フランジ12Bが、弁本体12の径方向に延設されている。キャップ16は、このフランジ12Bに対し、気密及び水密を保持された状態で固定されている。
また、フランジ12Bには、連通孔12Cが貫通形成されている。第1フィルタ14を通過した気体は、この連通孔12Cを介して、通気弁10の外部へ排気される(図1中の矢印参照)。
[2]第1フィルタ
第1フィルタ14は、気体透過性及び液体非透過性を有している。この第1フィルタ14は、気体透過性を発揮することにより、内圧調整時に筐体11の内部から噴出した気体を筐体11の外部へ逃がす機能を有している。また、第1フィルタ14は、液体非透過性を発揮することにより、水等の液体が筐体11の外部から内部へ侵入することを規制する機能を有している。
第1フィルタ14を設ける位置は、特に限定されず、例えば弁本体12の内部で通気路13上の中間部、通気路13の端部などが挙げられる。これら位置の中でも、筐体11の外部側となる通気路13の端部は、液体の筐体11内部への侵入規制の観点で最も効果が高く、好ましい。本実施形態の第1フィルタ14は、弁本体12の外部から通気路13を覆うように設けられており、筐体11の外部側となる通気路13の端部に位置している。
第1フィルタ14の厚さは、特に限定されず、通気弁10が取り付けられる機械装置に応じて、具体的には機械装置の内圧に応じて、任意に設定することができる。通常、第1フィルタ14の厚さは、例えば機械装置がATの場合で、0.05〜0.5mmである。
第1フィルタ14の強度は、特に限定されず、通気弁10が取り付けられる機械装置に応じて、具体的には機械装置の周囲の環境に応じて、任意に設定することができる。通常、第1フィルタ14の強度は、例えば機械装置がATの場合、通気弁10を介した外部からの水の浸入を確実に防ぐという観点から、耐水圧で50〜300kPaである。
上記の材料の中でも、フッ素樹脂は、良好な撥水性を有することから、外部から通気弁10内への液体の浸入を防止する第1フィルタ14の材料として好ましい。
また、フッ素樹脂の中でもPTFE、特に延伸PTFE(ePTFE)は、撥水性による良好な液体非透過性を有するだけでなく、サイズが0.01〜20μmの細孔を有する多孔質なものとなり、良好な気体透過性を有することから、第1フィルタ14の材料としてより好ましい。
第2フィルタ20は、内圧調整時に筐体11の内部から噴出した気体中のオイルミストを捕集することにより、このオイルミストによって第1フィルタ14が目詰まりしてしまうことを防止するために設けられている。
上記したようにオイルミストは、例えばATFのものであれば粒子の大きさが、通常、10μm未満である。
一方、第1フィルタ14は、例えばePTFEを材料に用いたものであれば、細孔のサイズが0.01〜20μmである。
オイルミストの粒子の大きさと、第1フィルタ14の細孔のサイズとを比較した場合、両者は、ほぼ同じ大きさか、あるいは第1フィルタ14の細孔がオイルミストの粒子よりも小さい。
従って、気体中にオイルミストが含まれている場合、該気体が第1フィルタ14を通過する際、オイルミストが第1フィルタ14の細孔に引っ掛かってしまい、第1フィルタ14がオイルミストによって目詰まりしてしまう。
そこで、上記通気弁10は、第2フィルタ20で気体中のオイルミストを捕集することにより、オイルミストによる第1フィルタ14の目詰まりを防止している。
第2フィルタ20は、更に、多孔質粒子21と繊維22とを結着する結着樹脂23を含む構成とすることができる(図3参照)。
第2フィルタ20において、繊維22は、繊維同士の隙間や繊維22の表面に多孔質粒子21を保持することにより、多孔質粒子21の脱落を抑制している。
そして、第2フィルタ20は、内部を気体が通過する際、気体中に含まれるオイルミストを多孔質粒子21が捕捉することにより、オイルミストに対する捕集性能を発揮することができる。
すなわち、第2フィルタ20は、繊維22でオイルミストを捕捉する構成とした場合、繊維22に捕捉されたオイルミストが繊維22による通気性を阻害することで、想定外に短期間で目詰まりしてしまう。
しかし、第2フィルタ20は、多孔質粒子21を含む構成とすることにより、この多孔質粒子21がオイルミストに対する十分以上の捕集性能を発揮するため、繊維22による通気性がオイルミストによって阻害されず、長期間にわたって性能を維持することができる。
従って、第2フィルタ20は、目詰まり等の性能低下が抑制されており、捕集性能の向上が図られている。
第2フィルタ20の通気性は限定されないが、内圧調整時に通気弁10を介して筐体11内の気体を迅速に排気できるという観点から、通気量が100〜300cc/minであることが好ましく、150〜280cc/minであることがより好ましく、200〜250cc/minであることがさらに好ましい。
なお、この通気量は、フラジール型試験機を使用してJIS L1096:2010に規定の方法で測定された値とする。
第2フィルタ20の目付は限定されないが、フィルタとして要求される耐久性及び通気性を満たすという観点から、600〜800g/cm3が好ましい。そして、とりわけオイルミストを捕捉するという観点からは、650〜750g/cm3がより好ましく、700〜750g/cm3がさらに好ましい。
(1)多孔質粒子
多孔質粒子21は、粒子表面に多数の気孔や細孔等の小孔、あるいは凹凸を有しており、これら小孔や凹凸に入り込んだオイルミストを捉えることにより、対象物を捕捉する機能を有している。
多孔質粒子21の種類は、オイルミストを捕捉することができるものであれば、特に限定されない。
これらの多孔質粒子21のなかでも、特にオイルミストに対する捕捉能力の高さという観点から、珪藻土、白土、ゼオライト及びシリカゲルから選ばれる少なくとも1種が好ましく、更に、これらのなかでも、珪藻土がより好ましい。
また、珪藻土は、殻状の粒子であり、油分に対する相性が良いため、殻状の粒子の内部に大量のオイルミストを収容保持することができるという利点を有する。
そして、珪藻土は、断熱性に優れることから、例えば通気弁10をATで使用する場合、ATFから発生した高温のオイルミストを捕捉する場合の物性変化が無く、オイルミストの捕捉性能を維持することができるという利点を有する。
以上の利点を有することから、多孔質粒子21は、珪藻土がより好ましい。
尚、上述の平均粒径(d50)は、JIS Z8825及びJIS Z8819に準じて、レーザ回折・散乱法を用いて測定される体積基準のメジアン径(頻度の累積が50%となる粒径)であるものとする。
また、多孔質粒子21の配合比は、オイルミストを確実に捕捉することができる、通気量に係る性能低下を抑制することができるという観点から、第2フィルタ20の全体を100質量%とした場合の配合比で20〜70質量%が好ましく、30〜60質量%がより好ましく、40〜50質量%がさらに好ましい。
繊維22は、複数が集合することで、繊維同士の間に隙間を有しており、こうした隙間を介して空気を流通させることにより、第2フィルタ20に通気性を付与する機能を有している。
また、繊維22は、繊維同士の隙間や繊維22の表面に多孔質粒子21を保持することにより、多孔質粒子21の脱落を抑制する機能を有している。
すなわち、第2フィルタ20において、繊維22は、オイルミストの捕捉、収着等を目的として含まれるのではなく、第2フィルタ20への通気性付与機能と、多孔質粒子21の脱落抑制機能とを目的として含まれている。
繊維22が多孔質粒子21を保持する形態として、繊維表面に形成された凹凸によって多孔質粒子21を繊維の表面に担持する、繊維同士の隙間に多孔質粒子21を収容する、結着樹脂23によって繊維に多孔質粒子21を結着する、などが例示される。
繊維22の種類としては、樹脂繊維及び無機繊維が挙げられる。このうち、樹脂繊維としては、芳香族系ポリアミド繊維等のポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維やポリエチレン繊維等のポリオレフィン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維等のポリエステル繊維、アクリル繊維などといった各種の合成繊維、セルロース繊維(パルプ)、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル、アセテートなどといった各種の再生繊維が挙げられる。一方、無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、天然鉱物系繊維、人造鉱物系繊維などといった各種の無機繊維などを例示することができる。
更に、耐熱性に優れ、オイルミストに対して親和性の低い繊維を含むことがより好ましい。具体的には、無機繊維を含むことが好ましい。無機繊維のなかでも、特にガラス繊維が好ましい。
また、繊維22の配合比は、上記の観点から、第2フィルタ20の全体を100質量%とした場合の配合比で20〜70質量%が好ましく、30〜60質量%がより好ましく、40〜50質量%がさらに好ましい。
また、繊維22が芳香族系ポリアミド繊維と無機繊維とを含む場合、好適な通気性を保つことができるとともに耐熱性や寸法安定性等の物性を好適に維持することができるという観点から、無機繊維:芳香族ポリアミド繊維の質量比で、90:10〜30:70の範囲が好ましく、80:20〜40:60の範囲がより好ましく、70:30〜50:50の範囲がさらに好ましい。
繊維22の太さは限定されないが、第2フィルタ20への通気性付与機能及び多孔質粒子21の脱落抑制機能を好適に発揮できるという観点から、0.1〜500μmが好ましく、0.5〜250μmがより好ましく、1〜100μmがさらに好ましい。
結着樹脂23は、多孔質粒子21と繊維22とを結着する機能を有している。
結着樹脂23の種類は限定されないが、熱硬化性樹脂及び/又は熱可塑性樹脂を用いることができる。これらのうちでは、熱硬化性樹脂が好ましい。オイルミストを含むような高温の気流に対して十分な耐熱性を発揮させつつ、多量の多孔質粒子を繊維22内に保持させることができる。このうち、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、フェノール樹脂の変性樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、熱硬化性ポリイミド等が例示される。一方、熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂等が例示される。これらの結着樹脂は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また結着樹脂23は、水分散液として繊維22に含浸させることで繊維22による通気性を好適に維持することができるという観点から、熱硬化性樹脂の中でも、フェノール樹脂、フェノール樹脂の変性樹脂がより好ましい。
結着樹脂23の配合比は限定されないが、繊維22の通気性付与機能を維持し、多孔質粒子21の脱落抑制機能を好適に発揮するという観点から、第2フィルタ20の全体を100質量%とした場合の配合比で、0.1〜70質量%の範囲とすることができる。
第2フィルタ20の製造には、多孔質粒子21と繊維22との抄紙体を使用することができる。
すなわち、第2フィルタ20は、多孔質粒子21と繊維22との抄紙体に結着樹脂23となる未硬化樹脂を展着する展着工程と、未硬化樹脂を硬化する硬化工程と、を経て製造することができる。
なお、図4及び図5では、構成を分かりやすくするため、多孔質粒子21と繊維22と、のみを模式的に示し、その他の結着樹脂23等は省略している。
図4(b)に示す第2フィルタ20は、多孔質粒子21の比率が高い抄紙体又は原紙と、多孔質粒子21の比率が低い抄紙体又は原紙とを積層することにより、2層で多孔質粒子21の比率が変動するように構成したものである。
図4(c)に示す第2フィルタ20は、多孔質粒子21の比率がそれぞれ異なる3つの抄紙体又は原紙を積層することにより、3層で多孔質粒子21の比率が変動するように構成したものである。
図4(d)に示す第2フィルタ20は、多孔質粒子21を含む抄紙体又は原紙と、繊維22のみと、を積層することにより、第2フィルタ20内における多孔質粒子21の比率が大きく変動するように構成したものである。
図5(b)に示す第2フィルタ20は、繊維22のみからなる複数の層を、それぞれの層間に多孔質粒子21を分散又は散布し、積層して構成したものである。
図5(c)に示す第2フィルタ20は、多孔質粒子21のみの層を、繊維22のみの層の内側に囲い込んで構成したものである。
図5(d)に示す第2フィルタ20は、繊維22のみからなる層にくぼみ等の凹部を形成し、その凹部内に多孔質粒子21のみの層を形成して、構成したものである。
(1)第2フィルタの調整
繊維と多孔質粒子との抄紙体から、試験条件に応じた所定の大きさ、形状の第2フィルタを抄造した。
繊維には、ガラス繊維(平均繊維径:6.5μm、平均繊維長:3.2mm)、及びアラミド繊維(平均繊維長:0.9mm、叩解物)の少なくとも一方を使用した。
多孔質粒子には、平均粒子径が10μm、6μm、2μmの珪藻土を使用した。
繊維と多孔質粒子の配合比率は、表1に示す値として、実験例1〜8の試料を得た。
以下の1〜4の手順に従い、性能試験を行った。
1.潤滑油(アイシン・ワーナー社製の型番「ATF WS」)が収容された筐体11に、通気弁10を装着して、密封した。但し、通気弁10からは、キャップ16を取り外して利用した。また、第1フィルタ14としてePTFE製膜(通気量:1秒当たり0.15cc/cm2)を利用した。
2.上記1.の後、第2フィルタ20として、実験例1〜8の試料(厚み:10mm)を各々装着した。
3.上記2.の後、潤滑油を室温から140℃まで昇温し、所定時間140℃に保持して、筐体11内にオイルミストを発生させた。更に、筐体11内から通気弁10内(通気路13を通るように)へ風速2000ml/minでオイルミストを含んだエアーを流入させ、フラジール型試験機(東洋精機製作所製の型番「FP2」)で通気量を測定し、これを試験前の測定値とした。
4.上記3.から1時間後に、同様にして通気量を測定し、これを試験後の測定値とした。
上記(2)の性能試験の結果を、表1及び図6のグラフに示す。
また、表1には、試験前の通気量の測定値をA、試験後の通気量の測定値をBとして、(1−B/A)×100の計算式から算出した実験例1〜8の性能低下率を示す。
また、表1には、性能低下率の値から以下の×、△、○、◎の4段階による実験例1〜8の評価を示す。
×:性能低下率が15%超。
△:性能低下率が10%超で15%以下。
○:性能低下率が5%以上で10%以下。
◎:性能低下率が5%未満。
粒径が10μmの珪藻土を50質量%含む実験例3と、粒径が6μmの珪藻土を50質量%含む実験例4は、性能低下が極々わずかであり、双方共に評価は◎で優れた性能を示した。
粒径が2μmの珪藻土を50質量%含む実験例5は、評価が○であり、実験例3,4に比べて極僅かな性能低下が見られた。
粒径が10μmの珪藻土を40質量%含む実験例6は、評価が◎であり、優れた性能を示した。
粒径が10μmの珪藻土を30質量%含む実験例7は、評価が○であり、極僅かな性能低下が見られた。
粒径が10μmの珪藻土を20質量%含む実験例8は、評価が△であり、若干の性能低下が見られた。
以上から、多孔質粒子と繊維とを含む実験例3〜8の試料は、繊維のみを含む実験例1,2の試料に比べて、オイルミストを捕集して尚、性能低下し難く、オイルミストの捕集性能が向上していることが分かった。
11;筐体、
11A;取付孔、
12;弁本体、
13;通気路、
12A;取付部、
12B;フランジ、
12C;連通孔、
14;第1フィルタ、
15;遮蔽板、
15A;通気孔、
16;キャップ、
20;第2フィルタ、
21;多孔質粒子、
22;繊維、
23;結着樹脂。
Claims (9)
- 機械装置の筐体に取り付けられて、潤滑油が収容された筐体内部の圧力を調整する通気弁であって、
前記筐体の内部と外部とを連通する通気路が設けられた弁本体と、
前記通気路上に位置するように前記弁本体に設けられた気体透過性及び液体非透過性を有する第1フィルタと、
前記通気路上で前記第1フィルタよりも前記筐体の内部寄りに位置するように前記弁本体に設けられた第2フィルタと、を有し、
前記第2フィルタは、前記潤滑油によるオイルミストを捕捉する多孔質粒子と、前記多孔質粒子の脱落を抑制するとともに第2フィルタに通気性を付与する繊維と、を含むことを特徴とする通気弁。 - 前記第2フィルタにおいて、前記多孔質粒子と前記繊維成分とが抄紙体である請求項1に記載の通気弁。
- 前記第2フィルタは、更に、前記多孔質粒子と前記繊維とを結着する結着樹脂を含む請求項1又は請求項2に記載の通気弁。
- 前記結着樹脂は、熱硬化性樹脂である請求項3に記載の通気弁。
- 前記多孔質粒子は、珪藻土、白土、ゼオライト及びシリカゲルから選ばれる少なくとも1種である請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の通気弁。
- 前記繊維は、芳香族系ポリアミド繊維を含む請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の通気弁。
- 前記繊維が、更に無機繊維を含む請求項6に記載の通気弁。
- 前記通気路上で前記第2フィルタよりも前記筐体の内部寄りに位置するように前記弁本体に設けられた遮蔽板を有する請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の通気弁。
- 前記第1フィルタを前記筐体の外部側から覆うキャップを有する請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の通気弁。
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JP2019049039A Pending JP2020148331A (ja) | 2019-03-15 | 2019-03-15 | 通気弁 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2020148331A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022258261A1 (de) * | 2021-06-10 | 2022-12-15 | Mann+Hummel Gmbh | Gefaltetes filtermedium |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH10212685A (ja) * | 1997-01-21 | 1998-08-11 | Mitsubishi Paper Mills Ltd | 吸着分解シート |
JP2009160510A (ja) * | 2007-12-29 | 2009-07-23 | Ceramics Craft Co Ltd | 耐熱不燃性消煙消臭フィルター材 |
JP2009160509A (ja) * | 2007-12-28 | 2009-07-23 | Daiatekku:Kk | 消臭消煙フィルター材 |
JP2010247135A (ja) * | 2009-04-15 | 2010-11-04 | Takami Onuma | オイルミスト、臭気等の除去方法及び除去フィルター |
JP2017002972A (ja) * | 2015-06-09 | 2017-01-05 | 東洋電機製造株式会社 | 鉄道車両用歯車装置 |
-
2019
- 2019-03-15 JP JP2019049039A patent/JP2020148331A/ja active Pending
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