JP2020148072A - 海洋資源揚鉱装置およびこれを用いた海洋資源揚鉱方法 - Google Patents
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一方、エアリフト方式は、水中機器が極めて少ないことから、ポンプリフト方式に比べて信頼性および耐久性に優れるものの、エネルギー効率が悪く、ポンプリフト方式以上の膨大なエネルギーを要するという問題がある。
しかし、同図に示すようなライザー掘削装置120による掘削方法で海底のレアアース泥Bを揚鉱する場合、柔らかいレアアース泥Bでは、硬い岩盤を掘削する場合とは異なり、ライザー管121の側面からの液漏れにより、海底から船上までレアアース泥Bを揚鉱するための圧力の確保が難しいという問題がある。
そのため、本発明のいずれか一の態様に係る海洋資源揚鉱装置を用いれば、第一揚鉱部の駆動によって吐出口から第二揚鉱部のライザー管の下部近傍に海底のレアアース泥を導入しつつ、揚水導入管から噴射する揚鉱用流体の圧力で該揚鉱用流体とともに吐出口から導入されたレアアース泥を洋上まで揚鉱できる。
よって、本発明によれば、高圧水深下での軸シールの耐久性および信頼性に課題を持つ水中モータが不要であり、さらに、第一揚鉱部と第二揚鉱部との協働により、海底から船上までレアアース泥を揚鉱するための圧力を確保して、水深5000m以上の深海に存在するレアアース泥を洋上まで高い信頼性をもって揚鉱できる。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
この海洋資源揚鉱装置10は、同図に示すように、第一揚鉱部1のケーシング31および第二揚鉱部2のライザー管21の軸線を上下方向として海中に配備される。第二揚鉱部2のライザー管21は、第一揚鉱部1のケーシング31に沿って配置される。第一揚鉱部1と第二揚鉱部2とは、連結管22を介して相互に連結され、海上に停泊する海洋資源回収船100まで海水が満たされた状態で延設される。
詳しくは、図2に要部を拡大図示するように、第一揚鉱部1が構成する流体モータ駆動ねじポンプは、洋上の海洋資源回収船100から供給される駆動用流体S1によって駆動される流体モータ部11と、流体モータ部11の下部に設けられて流体モータ部11によって駆動されるねじポンプ部12と、をケーシング31内に備える。
揚水導入管23は、ライザー管21の内部に略同軸に配管され、洋上の海洋資源回収船100から供給される揚鉱用流体S2を、ライザー管21内での最下部近傍の位置に噴射可能になっている。
モータ部ケーシング31a内には、流体モータ部11が設けられ、ポンプ部ケーシング31b内には、ねじポンプ部12が設けられる。本実施形態では、後に詳述するように、流体モータ部11およびねじポンプ部12の基本構成として、インナロータとともにアウタロータが連れ回り駆動するねじポンプを採用している。
さらに、吸込ケーシング5は、インナロータ先端にビット4を設けることで掘削部3を構成しており、海底のレアアース泥Bをビット4で掘削するとともに、ねじポンプ部12を駆動することにより、掘削されたレアアース泥Bを、吸込ケーシング5の第一吸込口17および第二吸込口18から導入室8の内部に吸引し、上部の吐出口16から連結管22を介してライザー管21に移送可能になっている。
モータ部ケーシング31内には、流体モータ部11が、駆動軸43の軸方向の一端側(この例では上下方向上側)に設けられるとともに、ねじポンプ部12が、駆動軸43の他端側(この例では上下方向下側)に設けられている。モータ部ケーシング31の上端部は、駆動流体導入管32からの駆動用流体S1を導入する導入口33と連通される。
なお、本実施形態は、駆動軸43を支持する複数の軸受45に深溝玉軸受を使用しているが、これに限定されず、種々の軸受を用いることができる(モータ部ケーシング31内の他の軸受について同様)。
駆動用流体噴射流路13は、導入口14の位置から下方に向け、駆動軸43の中心を貫通して駆動軸43の下端面に連通している。さらに、駆動用流体噴射流路13は、駆動軸43の下端に接続されたシャフト40の中心に貫通形成され、シャフト40の先端部40sに装着されるビット4に開口する複数の噴射口4sから駆動用流体S1を吐出可能に設けられている。
モータ部ケーシング31a内には、上記流体モータ部11が設けられている。流体モータ部11は、モータ部ケーシング31a内に、第一アウタロータ51と、片持ち構造の第一インナロータ41とを有する。第一アウタロータ51には、左巻雌ねじ状の螺旋部が内周面に形成されている。
第一アウタロータ51は、金属製で円筒状をなすロータ外筒51sと、ロータ外筒51s内に配置されたゴム製のロータ内筒51nとからなる。第一アウタロータ51は、その両端が、軸方向に離隔した複数の軸受53を介してモータ部ケーシング31a内に回転自在に支承されている。複数の軸受53の軸方向外側それぞれにはシール部54が設けられ、このシール部54により、第一アウタロータ51の外周面とモータ部ケーシング31aとの間がシールされている。
そして、第一インナロータ41の外周面の螺旋部が、雌ねじ状の内面を形成した第一アウタロータ51に内装されている。第一アウタロータ51の軸線と第一インナロータ41の軸線とは、相互の軸心が所定の偏心量(軸心間距離)だけ離れた平行な2軸でそれぞれ回転可能に支承され、第一アウタロータ51が、第一インナロータ41の回転に応じて連れ回りするようになっている。第一アウタロータ51内に第一インナロータ41の螺旋部が差し込まれると、相互の隙間には、駆動に応じて独立した密閉空間とされるキャビティが、軸方向の複数個所に画成される。
第二アウタロータ52は、金属製で円筒状をなすロータ外筒52sと、ロータ外筒52s内に配置されたゴム製のロータ内筒52nとからなる。第二アウタロータ52は、その両端が、軸方向に離隔した複数の軸受63を介してポンプ部ケーシング31b内に回転自在に支承されている。複数の軸受63の軸方向外側それぞれにシール部64が設けられ、このシール部64により、第二アウタロータ52の外周面とポンプ部ケーシング31bとの間がシールされている。
本実施形態では、第二インナロータ42は、螺旋部の外周面に右巻き2条雄ねじを有し、第二アウタロータ52は、その内周面に右巻き3条雌ねじの螺旋部を有する。なお、ねじポンプ部12の各ロータ42、52の螺旋部の詳細は、上述した流体モータ部11とは、螺旋部の巻方向が逆方向(つまり、右巻き)である以外は、流体モータ部11と同様に構成されているため、詳細な説明を省略する。
上記のように構成された第一実施形態の海洋資源揚鉱装置10において、図1に示したように海洋資源揚鉱装置10を配置し、流体モータ部11に対し、洋上の海洋資源回収船100から駆動流体導入管32を介して上部の導入口33に高圧の駆動用流体S1を供給する。導入口33に高圧の駆動用流体S1が供給されると、駆動用流体S1が第一インナロータ41と第一アウタロータ51との対向空間に画成された複数のキャビティに順次に導入される。
さらに、駆動用流体S1は、導入口14から駆動用流体噴射流路13に導入され、駆動軸43の中心からシャフト40の中心に沿って軸方向に形成された駆動用流体噴射流路13を通り、ビット4に開口する噴射口4sへと送出される。
これにより、インナロータ先端のビット4により海底のレアアース泥Bがビット4で掘削される。さらに、第二インナロータ42の動きに伴って第二アウタロータ52も第二インナロータ42の回転と同期して従動回転することでねじポンプ部12がポンプとして機能する。
よって、第一実施形態の海洋資源揚鉱装置10によれば、駆動用流体S1とレアアース泥Bとの混合物M1を、ねじポンプ部12により上方の吐出口16に向けて圧送するとともに、ライザー管21による揚鉱用流体S2の圧送力に加え、ねじポンプ部12による揚液力の協働効果で混合物M1の浮上を補助できる(混合物M1に揚鉱用流体S2の圧送力が更に加わった状態の混合物を符号M2で示している)。
このように、本実施形態の海洋資源揚鉱装置10によれば、深海からのレアアース泥Bの揚鉱において、実績のあるライザー管技術と、石油の掘削等で実績のあるダウンホールモータ技術を発展させた流体モータ駆動ねじポンプの技術とを組み合わせている。
そして、いずれの技術も、洋上の海洋資源回収船100に配置したポンプで送られる流体S1、S2で作動することから、高圧水深下での軸シールの耐久性および信頼性に課題を持つ水中モータが不要であり、水深5000m以上の深海に存在するレアアース泥を船上まで高い信頼性をもって揚鉱できる。
つまり、従来のポンプリフト方式では、ポンプシャフトの駆動に水中モータが採用されてきたところ、第一実施形態の海洋資源揚鉱装置10によれば、ポンプシャフトの駆動に用いる流体モータ部11として、第一インナロータ41の軸心から所定距離離れた並列軸を中心に、雌ねじ状の第一アウタロータ51を回転自在に支承するとともに、ねじポンプ部12も同様に、第二インナロータ42の軸心から所定距離離れた並列軸を中心に、雌ねじ状の第二アウタロータ52を回転自在に支承している。
また、軸受45で回転自在に支承されたシャフト40の一端に左巻き雄ねじの第一インナロータ41を構成し、シャフト40の他端に右巻き雄ねじの第二インナロータ42を構成することで、流体モータ部11とねじポンプ部12とが一体化されたシンプルな構造により、深海の過酷な条件下でも、レアアース泥を含む混合物Mを揚鉱可能な信頼性の高い海洋資源揚鉱装置10を構成できる。また、本実施形態の海洋資源揚鉱装置10は、エアリフト方式と比較して、エネルギー効率が極めて高く、ランニングコストの削減が可能となる。
また、第一実施形態の海洋資源揚鉱装置10は、流体モータ部11とねじポンプ部12のいずれも、各アウタロータ51,52が内周面に3条雌ねじを有するとともに、各インナロータ41,42が外周面に2条雄ねじを有するねじポンプなので、各インナロータ41,42を、自身軸線に対して偏心の無い楕円形状とし、インナロータとアウタロータを2頂点以上のインナロータと3頂点以上のアウタロータとすることで、インナロータからアウタロータへの回転力の伝達が確実となり、アウタロータのスムーズな従属回転が可能となり、安定した運転を確保する上で優れている。
これに対し、第一実施形態の海洋資源揚鉱装置10では、機器外径は変えずにステージ数(アウタロータの1ピッチが1ステージ)を増やすことで、シンプルな形状のまま高圧化が達成できる。第一実施形態の海洋資源揚鉱装置10では、1台当り100kgf/cm2(揚程1000m)以上の吐出圧力の達成可能である。
また、特許文献2に記載されるタービン・ポンプセットは、ポンプインペラの外周にタービンが配置されているので、必然的に外径が大きくなる構造である。これに対し、第一実施形態の海洋資源揚鉱装置10では、機器外径は変えずに、ステージ数(アウタロータの1ピッチが1ステージ)を増やすことで吐出圧力を高めることができる。そのため、小径形状のままで高圧化を達成できる。
例えば、上記第一実施形態では、流体モータ部11およびねじポンプ部12の一例として、内周面に3条雌ねじを有するアウタロータ51,52と、外周面に2条雄ねじを有するインナロータ41,42とを備え、各インナロータ41,42とともに各アウタロータ51,52が2/3の回転角度で連れ回り駆動可能な例に説明したが、これに限定されない。
具体的には、流体モータ部11およびねじポンプ部12の構成を、例えば、ケーシングと、ケーシング内に回転可能に支持されるとともに内周面に2条雌ねじを有するアウタロータと、アウタロータ内に挿入されるとともに回転可能に支持されて外周面に1条雄ねじを有するインナロータとを備え、インナロータとともにアウタロータが1/2の回転角度で連れ回り駆動する構成としてもよい。
つまり、同図の例では、流体モータ部11のモータ部ケーシング31a外周を囲繞するように、案内管70を同軸に設けている。案内管70の下部は、ねじポンプ部12の吐出口16に連通する位置に配置され、案内管70の下端が、円環状の案内管下部支持部72で閉止されるようにポンプ部ケーシング31bに固定されている。
このような構成であれば、ねじポンプ部12の吐出口16の位置によって掘進深度が規制されない。そのため、必要な長さだけ上方に延設した分だけ、深い位置まで掘進できる。
2 第二揚鉱部
3 掘削部
4 ビット
4s 噴射口
5 吸込ケーシング
6 水中軸受
7 軸受支持筒
8 導入室
10 海洋資源揚鉱装置
11 流体モータ部
12 ねじポンプ部
13 駆動用流体噴射流路
14 導入口
15 回収口
16 吐出口
17 第一吸込口
18 第二吸込口
21 ライザー管
22 連結管
23 揚水導入管
24 閉塞板
31 ケーシング
31a モータ部ケーシング
31b ポンプ部ケーシング
32 駆動流体導入管
33 導入口
40 シャフト
41 第一インナロータ
42 第二インナロータ
43 駆動軸
44 基端部
45 軸受
46 基端部
51 第一アウタロータ
51s ロータ外筒
51n ロータ内筒
52 第二アウタロータ
52s ロータ外筒
52n ロータ内筒
53 軸受
54 シール部
60 シャフト支持部
63 軸受
64 シール部
70 案内管
71 案内管上部支持部
72 案内管下部支持部
73 案内管連結路
100 海洋資源回収船
M 混合物
S1 駆動用流体
S2 揚鉱用流体
B 海底のレアアース泥
Claims (7)
- 洋上から供給される駆動用流体によって駆動される流体モータ部と、該流体モータ部の下部に設けられて該流体モータ部によって駆動されるねじポンプ部と、をケーシング内に有する第一揚鉱部と、
前記第一揚鉱部の前記ケーシングに沿って配置されて前記ねじポンプ部の吐出口に連通するように配置されるライザー管と、該ライザー管の内部に配管されて洋上から供給される揚鉱用流体を該ライザー管内での前記吐出口に連通する位置の近傍に噴射する揚水導入管と、を有する第二揚鉱部と、を備えることを特徴とする海洋資源揚鉱装置。 - 前記第二揚鉱部は、前記ライザー管の下部近傍が、前記駆動用流体とともに揚鉱するレアアース泥を前記ねじポンプ部の吐出口から導入可能に前記ケーシングに接続されている請求項1に記載の海洋資源揚鉱装置。
- 前記第一揚鉱部には、前記流体モータ部のケーシング外周部に、揚鉱するレアアース泥を前記吐出口から導くための案内管が設けられ、
前記第二揚鉱部は、前記ライザー管の下部近傍が、前記案内管に接続されている請求項1に記載の海洋資源揚鉱装置。 - 前記第一揚鉱部は、
前記ケーシング内に回転自在に支承されたシャフトと、
前記シャフトの一端に設けられて雄ねじ状の外周面を有する第一インナロータと、
前記第一インナロータに外挿され且つ前記ケーシング内に回転自在に支承されるとともに前記第一インナロータの回転軸線に対して所定距離偏心して配置されて前記第一インナロータのねじ巻方向と同一巻方向の雌ねじ状の内周面を有する第一アウタロータと、
前記シャフトの他端に設けられて前記第一インナロータのねじ巻方向と逆巻き雄ねじ状外周面を有する第二インナロータと、
前記第二インナロータに外挿され且つ前記ケーシング内に回転自在に支承されるとともに前記第二インナロータの回転軸線に対して所定距離偏心して配置されて前記第二インナロータのねじ巻方向と同一巻方向の雌ねじ状の内周面を有する第二アウタロータと、を有し、
前記流体モータ部が、前記第一インナロータと前記第一アウタロータとで構成され、前記ねじポンプ部が、前記第二インナロータと前記第二アウタロータとで構成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の海洋資源揚鉱装置。 - 前記第一揚鉱部は、前記第一インナロータの下部の位置で前記駆動用流体を導入可能に形成された導入口と、該導入口から導入された前記駆動用流体を前記第二インナロータの下部先端に配置されたビットから噴射可能に形成された駆動用流体噴射流路と、を前記シャフトに有するとともに、その噴射された駆動用流体とともに前記ビットで掘削されたレアアース泥を前記ねじポンプ部によって前記ケーシング内に吸引可能に前記ビットの近傍に形成された吸込口と、を有する請求項4に記載の海洋資源揚鉱装置。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の海洋資源揚鉱装置を用い、
前記第一揚鉱部の駆動によって前記第二揚鉱部の前記ライザー管の下部近傍に海底のレアアース泥を導入しつつ、前記揚水導入管から噴射する揚鉱用流体の圧力で該揚鉱用流体とともに前記吐出口から導入されたレアアース泥を洋上まで揚鉱することを特徴とする海洋資源揚鉱方法。 - 前記第一揚鉱部の前記駆動モータ部への駆動用流体の導入と、前記第二揚鉱部の前記泥水導入管への揚鉱用流体の導入と、を交互に切り替えて揚鉱する請求項6に記載の海洋資源揚鉱方法。
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