JP2020145586A - 水晶振動子、及び感知センサー - Google Patents
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Abstract
【課題】水晶振動子の表面に試料液を供給して感知する感知センサーにおいて、発振周波数を安定させると共に、製作コストを抑える技術を提供すること。【解決手段】水晶片の一面側に試料液を通流させる流路を形成するための溝部を形成し、水晶振動子の一面側に設けられた励振電極と接続される導電路を前記溝部の壁面を通って、発振回路への接続位置に向けて延設している。そのため溝部7上方を板状の蓋部で覆うことで流路を形成することができ、水晶振動子4にかかる応力が面内で均一になり周波数が安定する。また下面が加工された流路形成部材を設ける必要がないため、製作コストを抑えることができる。【選択図】図2
Description
本発明は、水晶振動子及び水晶振動子の発振周波数に基づいて、試料液に含まれる感知対象物を感知するための感知センサーに関する。
臨床分野において、例えば血糖値の自己モニタリングに代表されるPOCT(Point of care Testing)と呼ばれる簡便な方法が普及している。この方法の例としてQCM(Quartz Crystal Microbalance)を利用した感知センサーを用いる手法が知られている。感知センサーは、例えば特許文献1に記載されているように配線基板に平板上の水晶振動子を固定し、さらに水晶振動子の上方に、下面側に流路となる溝部が形成されたシリコンゴム(以下、単に「シリコン」ともいう)製の流路形成部材を積層した構成が知られている。そして当該流路を介して水晶振動子の一面側に感知対象物を含む試料液を供給して、水晶振動子に感知対象物を吸着させ、水晶振動子の周波数の変化量により吸着した感知対象物の量を測定する。
しかしながら上述の流路形成部材は、シリコン製であるため上方からの圧力により容易に変形し、水晶振動子にかかる圧力の面内均一性が悪くなり、水晶振動子の発振周波数に誤差が生じるおそれがある。また材質により薬品の耐性が異なり、試料液の種別によっては、流路形成部材の変形を引き起こすおそれがある。さらにシリコン製の流路形成部材の材料は高価であるところ、より低価格の構成部品を用いた感知センサーも求められている。
特許文献2には、水晶振動子の表面に掘り込み部を形成し、掘り込み部に励振電極を設けた構成が記載されている。しかしながら、掘り込み部内に形成された励振電極は、リード電極を用いて外部と電気的に接続されている。そのためリード電極により試料液の流れが妨げられるおそれがある。
本発明はこのような事情の下になされたものであり、水晶振動子の表面に試料液を供給して感知する感知センサーにおいて、発振周波数を安定させると共に、製作コストを抑える技術を提供することにある。
本発明の水晶振動子は、試料液中の感知対象物を感知する感知センサーに用いられる水晶振動子において、
一面側に前記試料液を通流させる流路を形成するための溝部が形成された水晶片と、
前記溝部が形成された領域内に振動領域を形成するために、前記水晶片の一面側及び他面側に、当該水晶片を介して対向するように設けられた励振電極と、
一面側の前記励振電極の表面に設けられ、前記試料液中の感知対象物を吸着する吸着膜と、
前記励振電極と外部の発振回路とを電気的に接続するための導電路と、を備え、
前記一面側に設けられた励振電極と接続される導電路は、前記溝部の側壁面を通って前記発振回路への接続位置に向けて延設されていることを特徴とする。
一面側に前記試料液を通流させる流路を形成するための溝部が形成された水晶片と、
前記溝部が形成された領域内に振動領域を形成するために、前記水晶片の一面側及び他面側に、当該水晶片を介して対向するように設けられた励振電極と、
一面側の前記励振電極の表面に設けられ、前記試料液中の感知対象物を吸着する吸着膜と、
前記励振電極と外部の発振回路とを電気的に接続するための導電路と、を備え、
前記一面側に設けられた励振電極と接続される導電路は、前記溝部の側壁面を通って前記発振回路への接続位置に向けて延設されていることを特徴とする。
本発明の感知センサーは、上述の水晶振動子と、
一面側に凹部が形成され、前記水晶振動子が前記凹部を塞ぎ且つ振動領域が凹部と対向するように配置される配線基板と、
前記配線基板に設けられ、前記導電路と電気的に接続され、発振周波数を測定するための前記発振回路を含む測定器に接続される接続端子と、
前記水晶振動子の一面側に設けられ、前記溝部を一面側から覆う蓋部と、を備えたことを特徴とする。
一面側に凹部が形成され、前記水晶振動子が前記凹部を塞ぎ且つ振動領域が凹部と対向するように配置される配線基板と、
前記配線基板に設けられ、前記導電路と電気的に接続され、発振周波数を測定するための前記発振回路を含む測定器に接続される接続端子と、
前記水晶振動子の一面側に設けられ、前記溝部を一面側から覆う蓋部と、を備えたことを特徴とする。
本発明は、水晶片の一面側に前記試料液を通流させる流路を形成するための溝部を形成し、水晶片の一面側に設けられた励振電極と接続される導電路を前記溝部の側壁面を通って前記発振回路への接続位置に向けて延設している。そのため溝部の上方を板状の蓋部で覆うことにより水晶振動子にかかる応力が面内で均一になり周波数が安定する。また流路を形成する部材を設ける必要がないため製作コストを抑えることができる。
以下、実施の形態に係る水晶振動子を備えた感知センサー、及びこの感知センサーを用いた感知装置について説明する。例えばこの感知装置は、マイクロ流体チップを利用し、人間の鼻腔の拭い液から得られた試料液中のウイルスなどの抗原の有無を検出し、ウイルスの感染の有無を判定することができるように構成されている。図1の外観斜視図に示すように、感知装置は測定器である本体部12と、感知センサー2と、を備えている。感知センサー2は、本体部12に形成された差込口17に着脱自在に接続される。本体部12の上面には、例えば液晶表示画面により構成される表示部16が設けられており、表示部16は例えば本体部12内に設けられた後述する発振回路の出力周波数あるいは、周波数の変化分等の測定結果もしくは、ウイルスの検出の有無等を表示する。
続いて感知センサー2について説明する。感知センサー2は、上側ケース体21と下側ケース体22とで構成されるケース体20を備え、ケース体20内には、後述の配線基板3上に載置された状態で水晶振動子4が設けられている。
図2は、水晶振動子4の(a)一面側(配線基板3上に載置された状態における上面側、即ち表面側)、(b)他面側(同じく下面側、即ち裏面側)及び(c)水晶振動子4の横断面図を示している。
図2は、水晶振動子4の(a)一面側(配線基板3上に載置された状態における上面側、即ち表面側)、(b)他面側(同じく下面側、即ち裏面側)及び(c)水晶振動子4の横断面図を示している。
水晶振動子4は、水晶片である矩形の水晶板41を備えている。水晶は、図3に示すように電気軸をX軸、機械軸をY軸、光軸をZ軸とする3次元の結晶方位を持っている。本例の水晶板41はX軸の基端側から見てZ軸を右回りに35°傾斜させて得られる、所謂ATカットの水晶基板100から切り出されている。さらに図4に示すようにATカットの水晶基板100の電気軸方向をX軸方向、X軸の基端側から見てZ軸を右回りに35°傾斜させた方向に延びる軸をZ´軸方向としたとき、水晶板41は例えばZ´軸に沿った方向にその長辺方向が向くように切り出される。
水晶板41の表面側には、例えば平面形状が六角形の溝部7が形成されている。水晶板41の長辺方向一端側(図2中下方側)を手前側、長辺方向他端側(図2中上方側)を奥手側とすると、溝部7の手前側には、後述する試料液が供給される切り込み71が形成され、奥手側には、当該試料液が排出される切り込み72が形成されている。以下水晶振動子4及び感知センサー2の方向について図2に示す水晶板41の手前側の端部を前方側、奥手側の端部を後方側として説明する。
既述のように水晶板41は、長辺方向がZ´軸方向に沿って切り出されていることから、溝部7は、手前側から見て両脇に位置する側壁部48がZ´軸方向に沿って伸びるように形成されている。この溝部7は、後述するようにエッチングされて形成される。一方、水晶は結晶方向に応じてエッチング速度が相違し、ATカットの水晶板41では、図2(c)の横断面で見て、Y´軸方向よりもX軸方向のエッチング速度が速い。この結果、溝部7を構成する側壁部48の内壁面は、同図に示すように傾斜面状になる。
溝部7が形成された領域内には、水晶振動子4の振動領域を形成するために、前記水晶板41の一面側及び他面側に、当該水晶板41を介して対向するように励振電極42A、42B、43A、43Bが設けられている。
励振電極42A、42Bは、例えば矩形状に形成された金(Au)の薄膜からなり、水晶板41の短辺方向に沿って並べて配置されている。励振電極42A,42Bと対向する位置に設けられた励振電極43A、43Bについても、同じく矩形状に形成された金の薄膜により構成されている。
励振電極42A、42Bは、例えば矩形状に形成された金(Au)の薄膜からなり、水晶板41の短辺方向に沿って並べて配置されている。励振電極42A,42Bと対向する位置に設けられた励振電極43A、43Bについても、同じく矩形状に形成された金の薄膜により構成されている。
さらに一面側の励振電極42A、42Bの一方側、例えば励振電極42Aの表面には、試料液中の感知対象物を吸着する不図示の吸着膜が形成されている。従って本例では、励振電極は、前記溝部内に2つの振動領域を形成するように2対設けられ、吸着膜は、一面側の2つの励振電極のうちの一方に設けられる
一面側の励振電極42A、42Bには、励振電極42A、42Bと外部の発振回路とを電気的に接続するための導電路44A、44Bの一端が夫々接続されている。導電路44A、44Bの他端側は、水晶板41の前方側から見て、各々、溝部7の左右の側壁部48の内壁面、上面及び外壁面を通って水晶板41の下面周縁に向けて延設されている。これら導電路44A、44Bの他端側は、発振回路への接続位置である接続端子46A、46Bとなっている。
また他面側の励振電極43A、43Bにも外部の発振回路に電気的に接続するための導電路45A、45Bの一端側が夫々接続され、導電路45A、45Bの他端側は、水晶板41の下面周縁にて接続端子47A、47Bが形成されている。
また他面側の励振電極43A、43Bにも外部の発振回路に電気的に接続するための導電路45A、45Bの一端側が夫々接続され、導電路45A、45Bの他端側は、水晶板41の下面周縁にて接続端子47A、47Bが形成されている。
図4に示すように水晶振動子4は、ATカットの水晶基板100が切り出された後、当該水晶基板100において複数の水晶板41の切り出し位置が設定される。この時既述のように各水晶板41は、その長辺方向がZ´軸方向になるように設定される。次いでフッ酸などを用いたウェットエッチングにより各水晶板41の位置に溝部7が形成される。この時溝部7は、水晶板41の一面側に延設される導電路44A、44Bが横切る位置に形成される側壁部48の内壁面が水晶板41の長辺方向(Z´軸方向)に沿って伸びるように形成される。
こうして所定の方向へ向けて溝部7が形成された後、複数の水晶板41がダイシングされて切り出される。その後、切り出された水晶板41の一面側に励振電極42A、42Bが成膜、エッチングにより形成されると共に、導電路44A、44Bが溝部7のX軸方向の側壁部48の内壁面、上面及び外壁面を通るように形成される。同様に水晶板41の他面側にも励振電極43A、43B、導電路45A、45B及び接続端子46A、46B、47A、47Bが成膜、エッチングにより形成される
図2(c)に示すように水晶振動子4の上面側には、例えば水晶やガラス板、あるいは耐薬品性のゴムシートの蓋部5が積層配置される。蓋部5は、溝部7の側壁の上面に塗布された接着剤による接着や、直接接合により水晶振動子4の上方に固定される。これにより溝部7の上面が蓋部5により覆われ流路が形成される。また切り込み71及び72の上部側の位置には、蓋部5に対して孔部51が各々形成されている。
図5、図6に示すように感知センサー2は、配線基板3を備えている。配線基板3は矩形板状に構成されている。図1に示すように配線基板3の前方側部分は、ケース体20から突出し、前述の本体部12の差込口17に挿入される差込部分になる。図5、図6に示すように配線基板3の上面(一面)の後方寄りの位置には、配線基板3を厚さ方向に貫通する矩形の貫通孔32が形成されている。
この貫通孔32は下側ケース体22の底面によって塞がれ、凹部を形成する。配線基板3の上面側には、長辺方向に伸びる3本の配線25〜27が設けられている。各配線25〜27の一端側には、本体部12への差込部分に相当する位置に夫々端子部252、262、272が形成されている。また3本のうちの2本の配線25、27の他端側には、前方側から見て貫通孔32の左右側方位置に、図示しない端子部が形成されている。残る1本の配線26の他端側は2本に分岐し、同じく貫通孔32の左右側方に、配線25、27側のものと並べて図示しない端子部が形成されている。
水晶振動子4は、その長辺方向が配線基板3の長辺方向と揃うように配置され、他面側の励振電極43A、43Bが貫通孔32に臨む位置に配置・固定される。従って水晶振動子4は、既述の凹部を塞ぎ且つ振動領域が凹部と対向するように配置される。当該位置への配置により、水晶振動子4の接続端子46A、46Bが配線27、25の他端側の端子部に夫々接続され、接続端子47A、47Bが配線26の他端側の端子部に電気的に接続される。
配線基板3に固定された水晶振動子4の周囲は、ケース体20により覆われる。図6に示すように上側ケース体21の下面側には、水晶振動子4の溝部7の側面を前方側から塞ぐように下方側へ突出する壁部94が形成されている。また上側ケース体21の前方側には、既述の切り込み71、及びその上面側の蓋部5に形成された孔部50と連通する供給路28が形成されている。当該供給路28は、上側ケース体21の上面にて開口し、試料液の供給口23を構成している。また上側ケース体21の下面側の後方寄りの位置には、切り込み72、蓋部5に形成された孔部50と連通し、排液の貯留部93に接続される排液路29が形成されている。
また供給路28及び前方側の孔部50には、毛細管現象により供給口23に供給された試料液を溝部7内に供給するための毛細管部材91が設けられ、当該毛細管部材91の下端は切り込み71に挿入されている。また排液路29及び後方側の孔部50には、毛細管現象により溝部7内の試料液を排出するための毛細管部材92が設けられ、当該毛細管部材92の下端は切り込み72に挿入されている。毛細管部材91、92は、例えばポリビニルアルコール(PVA)の化学繊維束により構成されている。
また、図6中の96は、水晶振動子4の溝部7を後方側から塞ぐと共に上側ケース体21の下面との間に溝部7から流れ出た排液の貯留部を形成するためのスペーサーである。
また、図6中の96は、水晶振動子4の溝部7を後方側から塞ぐと共に上側ケース体21の下面との間に溝部7から流れ出た排液の貯留部を形成するためのスペーサーである。
この感知センサー2においては、供給口23に試料液が供給されると、試料液は毛細管部材91に吸引され、溝部7の前方側の切り込み71に供給された後、溝部7を前方側から後方側に向かって流れる。これにより試料液が励振電極42A、42Bの表面に供給される。このとき、試料液中に含まれる感知対象物は吸着膜を形成した励振電極42Aの表面にのみ吸着する。
溝部7内を流れた後の試料液は、後方側の切り込み72に流れ込み、毛細管部材92に吸収された後、貯留部93へ向けて排出される。
溝部7内を流れた後の試料液は、後方側の切り込み72に流れ込み、毛細管部材92に吸収された後、貯留部93へ向けて排出される。
このように構成された感知センサー2は、差込部分を本体部12の差込口17に差し込んだ状態にて、本体部12内の回路に接続される。具体的には、図7に示すように水晶振動子4に設けられた励振電極42A及び43Aで挟まれた第1の振動領域61が第1の発振回路63に接続されて発振する。また水晶振動子4の励振電極42B及び43Bに挟まれた第2の振動領域62が第2の発振回路64に接続されて発振する。本実施の形態の感知センサー2を用いた感知装置では、スイッチ部65により、データ処理部66と第1の発振回路63とを接続するチャンネル1と、データ処理部66と第2の発振回路64とを接続するチャンネル2とを交互に切り替えた間欠発振を行う。
上述の動作により、例えば2つの発振回路63、64からの周波数信号を時分割して後段に取り込み、各振動領域61、62の発振周波数を並行して求めることができる。第1の発振回路63からの出力をチャンネル1、第2の発振回路64からの出力をチャンネル2とすると、例えば1秒間をn分割(nは偶数)し、各チャンネルの発振周波数を1/n秒の処理で順次求めることにより、1秒間に少なくとも1回以上周波数を取得しているため、実質同時に各チャンネルの周波数を取得することができる。
そしてこれらの周波数信号は、データ処理部66に取り込まれる。データ処理部66では、周波数信号を例えばディジタル値として算出し、算出されたディジタル値の時分割データに基づいて、演算処理を行う。そして既述のように感知対象物は、一方の励振電極42Aの表面にのみ吸着することから、第1の振動領域61側に質量付加効果の影響により、発振周波数が低下する。この結果、第1の振動領域61の発振周波数と第2の振動領域62の発振周波数との差分を取ることにより、感知対象物の含有量を評価することができる。そしてこの測定結果、例えば、抗原の有無などの演算結果を表示部16に表示する。
続いて本実施の形態の感知センサー2の作用について説明する。従来の感知センサーにおいては、一面側及び他面側が平面で構成され、溝部7が形成されていない水晶振動子を用いた。このため、試料を通流させる流路は、下面側に溝部が形成された例えばシリコン製の流路形成部材を用い、当該流路形成部材を水晶振動子に押し当てて形成していた。しかしながらシリコン製の流路形成部材が水晶振動子に押し当てられるときに、流路形成部材に応力が加わると、例えば溝部を形成したことにより肉厚が薄くなっている部分にて変形が生じやすくなる。この結果、水晶振動子の面内に加わる圧力が均一でなくなり、水晶振動子の周波数誤差が引き起こすおそれがある。また流路形成部材がシリコンなどの材料であることから、試料液の種別によっては、流路形成部材が変形してしまい、同様に水晶振動子に加わる圧力が変化することがあるため、試料液の種別が制限されてしまうことがある。
これに対して本発明においては、シリコンに比べて剛性の高い水晶振動子4の表面に溝部7を形成し、水晶振動子4の上面にガラスや水晶で構成された板状の蓋部5を設けることで、溝部7の上方を覆い、流路を形成している。溝部7の側壁部48は、水晶であることから力が加わっても変形しにくく、薬品等との接触による変形も起こりにくい。そのため水晶振動子4に加わる圧力が変化しにくく、周波数の誤差が小さくなる。なお、耐薬性のゴムシートによって蓋部5を構成する場合であっても、肉厚が不均一な従来のシリコン製の流路形成部材に比べると、応力による変形を抑えることができる。
また一面側の励振電極42A、42Bと、配線基板3に設けられた配線25、26及び27と、を電気的に接続するにあたって、前方側から後方側を見て溝部7の左右の壁面を通るように導電路44A、44Bを形成している。溝部7に形成した励振電極42A、42Bから導電路44Aを延伸するときに壁面が垂直に近い角度で形成されていると、溝部7の底面と側壁部48の側壁面との間に形成される角部にて導電路44A、44Bの成膜が不十分になり断線することがある。また、側壁部48の側面と上面との間に形成される角部においては、蓋部5との摩擦などにより導電路44A、44Bが断線しやすくなる場合もある。そこで例えばリード電極などを設けて、側壁部48の壁面との接触を避けてに配線を引き回そうとすると、流路内の試料液の流れがリード電極により妨げられるおそれがある。
本例の水晶振動子4に係る水晶板41は、水晶の電気軸方向(X軸方向)に見て右回りに、Z軸からθ°(ここではθ°=35°)傾斜したATカットの水晶基板100からZ´軸方向にその長辺方向が向くように切り出されている。そのため水晶板41の長辺方向に向かってエッチングにより溝部7を形成しときに、壁面が緩やかな傾斜面となる。これにより壁面を通るように導電路44A、44Bを形成したときに側壁部48の各角部が形成する角度が緩やかであるため、断線しにくい状態で導電路44A、44Bを配線することができる。
上述の実施の形態によれば、水晶振動子4の表面に試料液を供給して感知する感知センサー2において、水晶板41の一面側に前記試料液を通流させる流路を形成するための溝部7を形成している。そのため溝部7の上方を板状の蓋部5で覆うことで流路を形成することができるため、水晶振動子4にかかる応力が面内で均一になり周波数が安定する。また一面側に設けられた励振電極42A、42Bと接続される導電路44A,44Bを前記溝部7の壁面を通って、発振回路への接続位置に向けて延設することができるため流路における試料液の流れを妨げるおそれが少ない。さらに下面が加工された流路形成部材を設ける必要がないため、製作コストを抑えることができる。
また溝部7の左右側壁部48の壁面の傾斜角度は、θを調節することにより、調整することができ、θ°は、35°±5°の範囲を設定することができる。また蓋部5は、例えば薬品耐性のある合成樹脂材料により構成してもよい。
また溝部7は、水晶振動子4の一面側にのみ形成する場合に限定されない。図2に示した水晶板41と同様に切り出した水晶板410を用い、例えば図8に示すように既述溝部7と対向するように水晶板410の他面側にも他面側溝部73を形成してもよい。この場合には水晶振動子400は、当該他面側にも他面側蓋部501を設けて他面側溝部73が塞がれる。
図8に示す水晶振動子400は、上下両面に蓋部5、他面側蓋部501を接着することにより水晶片410に係る圧力の面内均一性が高くなっている。これにより水晶振動子400の周波数をより安定させることができる。
図8に示す水晶振動子400は、上下両面に蓋部5、他面側蓋部501を接着することにより水晶片410に係る圧力の面内均一性が高くなっている。これにより水晶振動子400の周波数をより安定させることができる。
さらに本発明は、水晶振動子の表面に3枚以上の励振電極を設けた構成でも良い。そして3枚の励振電極のうちの1つを参照電極とし、当該参照電極と、残る励振電極1つずつとの間で「2対」の励振電極を構成してもよい
2 感知センサー
3 配線基板
4 水晶振動子
5 蓋部
7 溝部
42A、B(43A、B)
励振電極
44A、B(45A、B)
導電路
100 水晶基板
3 配線基板
4 水晶振動子
5 蓋部
7 溝部
42A、B(43A、B)
励振電極
44A、B(45A、B)
導電路
100 水晶基板
Claims (7)
- 試料液中の感知対象物を感知する感知センサーに用いられる水晶振動子において、
一面側に前記試料液を通流させる流路を形成するための溝部が形成された水晶片と、
前記溝部が形成された領域内に振動領域を形成するために、前記水晶片の一面側及び他面側に、当該水晶片を介して対向するように設けられた励振電極と、
一面側の前記励振電極の表面に設けられ、前記試料液中の感知対象物を吸着する吸着膜と、
前記励振電極と外部の発振回路とを電気的に接続するための導電路と、を備え、
前記一面側に設けられた励振電極と接続される導電路は、前記溝部の側壁面を通って前記発振回路への接続位置に向けて延設されていることを特徴とする水晶振動子。 - 前記一面側及び他面側に設けられる励振電極は、前記溝部内に2つの振動領域を形成するように2対設けられ、
前記吸着膜は、一面側の2つの励振電極のうちの一方に設けられることを特徴とする請求項1に記載の水晶振動子。 - 前記水晶片は、水晶の電気軸方向に見て、光軸を35°±5°回転させて得られる切断面を含むように切り出されたことを特徴とする請求項1または2に記載の水晶振動子。
- 前記水晶片の前記切断面の広がる方向における水晶の電気軸方向と直交する方向をZ´軸方向としたときに、
前記導電路が通る溝部の側壁部は、前記Z´軸方向に沿って伸びるように形成されたことを特徴とする請求項3に記載の水晶振動子。 - 前記水晶片の他面側における前記振動領域を含む領域に設けられた他面側溝部を備え、当該他面側に設けられた励振電極と接続される導電路は、前記他面側溝部の側壁面を通って前記発振回路への接続位置に向けて延設されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の水晶振動子。
- 前記水晶片の前記切断面の広がる方向における水晶の電気軸方向と直交する方向をZ´軸方向としたときに、
前記導電路が通る他面側溝部の側壁部は、前記Z´軸方向に沿って伸びるように形成されたことを特徴とする請求項5に記載の水晶振動子。 - 請求項1ないし6のいずれか一項に記載の水晶振動子と、
一面側に凹部が形成され、前記水晶振動子が前記凹部を塞ぎ且つ振動領域が凹部と対向するように配置される配線基板と、
前記配線基板に設けられ、前記導電路と電気的に接続され、発振周波数を測定するための前記発振回路を含む測定器に接続される接続端子と、
前記水晶振動子の一面側に設けられ、前記溝部を一面側から覆う蓋部と、を備えたことを特徴とする感知センサー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019040712A JP2020145586A (ja) | 2019-03-06 | 2019-03-06 | 水晶振動子、及び感知センサー |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2019040712A JP2020145586A (ja) | 2019-03-06 | 2019-03-06 | 水晶振動子、及び感知センサー |
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---|---|
JP2020145586A true JP2020145586A (ja) | 2020-09-10 |
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ID=72354572
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JP2019040712A Pending JP2020145586A (ja) | 2019-03-06 | 2019-03-06 | 水晶振動子、及び感知センサー |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2020145586A (ja) |
-
2019
- 2019-03-06 JP JP2019040712A patent/JP2020145586A/ja active Pending
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