本発明は、請求項1に記載した、第1の基板の第1の接触面と第2の基板の第2の接触面とをボンディングする方法、および請求項9に記載した、対応する装置に関する。
基板相互の位置合わせ(英語:アライメント(Alignment))が通常の雰囲気下において行われるアライメント装置が公知である。互いに位置合わせされた基板は、なおアライメント装置において一時的に互いに固定され、次いで高真空ボンディング装置に搬送され、そこで真空下において持続的にボンディングされ、このときボンディングのために必要な温度は、熱源によって生ぜしめられる。
熱源ならびに所属の押圧板は、ボンディングすべき基板の上もしくは下に位置している。上側の熱源および上側の押圧板は、可動に構成されている。高真空ボンディング装置の底部における下側の熱源および試料ホルダは、静止状態に構成されている。
アライメント装置内において、互いに位置合わせすべき両方の基板は、試料ホルダ(英語:ボンドチャック(bond chuck))上において固定される。このとき固定は、多くの場合機械式のクランプによって行われる。試料ホルダ上に収容されかつ互いに位置合わせされた基板は、次いで、高真空ボンディング装置に搬送される。試料ホルダは、下側の熱源に載置される。
構造体が益々小さくなることに基づいて、熱の影響によって生じる基板の変形が、ボンディング結果に不都合な影響を及ぼす。
ゆえに本発明の課題は、ボンディング結果が改善される方法を提供することである。
この課題は、請求項1および請求項9に記載の特徴によって解決される。本発明の別の好適な態様は、従属請求項に記載されている。明細書、請求項および/または図面に記載した特徴のうちの少なくとも2つから成るすべての組合せも、本発明の枠内に含まれる。記載された値範囲では、記載した範囲内における値も、限界値として開示されたものと見なすべきであり、かつ任意の組合せにおいて特許権を要求することができる。
本発明の根本を成す思想は、基板の接触面において位置合わせされた基板スタックの基板を、特に持続的にボンディングするために、ボンディング装置内において丁寧にかつ均一に、基板の加熱すべき両方の両面(接触面とは反対の側)から、加熱することであり、これによって、両方の基板の特に異なった変形を最小にすることまたは完全に回避することができる。
本発明は、特に、2つまたはそれ以上の基板を位置合わせしかつ一時的に結合して基板スタックを形成するアライメント装置を実現することを可能にする、モジュール化された装置およびプロセスチェーンを記載する。このとき、アライメント装置において位置合わせされた基板は、特に繊細な周囲を考慮して、高真空搬送区間を介して(つまり真空の中断なしに)ボンディング装置に移送される。このボンディング装置において、基板は持続的にかつ分離不能に(つまり永久的に)まとめられ(ボンディングされ)、しかもこのとき基板が過剰のまたは異なった伸長および歪みにさらされることはない。
アライメント装置は、好ましくは、ボンディングユニットへの移送前にアライメント装置において基板スタックを固定するために、基板スタックを汚染しない結合エレメントが設けられており、該結合エレメントは、基板スタックを一時的にまとめる。結合エレメントは、ボンディングの後で残留物なしに除去可能である。
基板スタックは、真空搬送区間の内部において、ボンディング結果を改善する本発明の態様では、表面ガスおよび/または水分を減じるための1つまたは複数の装置によって処理される。
本発明は、特に、基板スタックを対称的に加熱することができる、設備もしくは装置および方法に関する。対称平面としては、特に、基板スタックの基板の互いに接触した接触面が働く。言い換えれば、基板スタックは、両側から等しい温度で加熱される。
従って本発明は、特に、基板スタックを加熱しかつボンディングする方法および装置に関する。加熱は、好ましくは対称的に、特に赤外線放射によって行われる。
本発明の別の態様によれば、本発明に係る部材は、特にモジュール化されて構成された設備、特に高真空クラスタの構成部材である。高真空クラスタ内において、基板スタックのボンディングに到るまでのプロセスチェーンが実施可能である。高真空クラスタにおいては、特に、ボンディングすべき基板の繊細な取扱いに注意が向けられる。繊細な取扱いは特に、処理すべき基板への複数の異なった加熱ゾーンからの、均一な、特に対称的な熱供給に関しており、これらの加熱ゾーンは、好ましくは、動的に移動可能な上側の加熱装置および所属の試料ホルダ(英語:チャック(chucks))ならびに、特に不動もしくは静止した下側の加熱装置によって得られる。
好ましくは、下側の加熱装置への上側の加熱装置の制御された接近によって、特に丁寧なボンディングプロセスが可能になる。
本発明に係るプロセスステップは、好ましくは、アライメント装置において生ぜしめられた真空を維持/保持しながら、特に、真空搬送室、特に高真空搬送室を備えた真空搬送区間を通しての搬送時にも実施される。
装置、特に高真空ボンディング装置の特別な態様では、好ましくは、処理すべき基板に向かって加熱装置の互いに向かい合って位置する加熱面を均等に接近させることによる、対称的な熱供給の他に、基板の材料形式および基板の厚さに関連しておよび/または基板の膨張係数を考慮して、熱供給を制御することも可能であり、これによって、種々様々な変形、特に膨張および/または歪みを、特に種々異なった形式の材料の使用時にも回避することができる。特に、対称的な加熱は、基板スタックの両側からの均等な(つまり均質な)十分な加熱のために役立つ。
重要なプロセスパラメータは、特に加熱速度および/または熱出力である。加熱速度は、基板が単位時間当たりどの程度加熱されるかを規定する。特に、加熱速度は、1℃/分〜1000℃/分の値に調節される。比較的低い加熱速度も確かに可能ではあるが、しかしながら、加熱過程が極めて長い時間を必要とするので、望まれている温度においてもはや経済的でない。1000℃/分よりも高い加熱速度は、基板を極めて短時間で加熱することになり、基板の損傷および/または基板の間におけるアライメントエラーを惹起することがある。熱出力は、対象物を予め設定された温度に加熱するのに必要となる、単位時間当たりの熱量を定める。熱出力は、特に試料ホルダに配置された加熱エレメントによってもたらされ、このような加熱エレメントは主として電気によって運転される。理想の条件を想定すると、つまり損失出力がなく、供給された電気エネルギが100%熱エネルギに変換されると想定すると、所定の直径および所定の厚さを備えた基板を、所望の時間内において所望の温度にもたらすのに少なくとも必要な、所要(電気)出力の下限値を計算することができる。熱出力は、単位時間当たり、基板に供給されるエネルギに相当する。物体を出発温度から最終温度に加熱するのに必要な熱は、克服すべき温度差、比熱容量および物体の質量の積に相当する。物体の質量は、密度および寸法が与えられていると計算することができる。基板は、好ましくは円形であり、かつしばしば単結晶である。従って基板は、計算可能なジオメトリと均一な密度とを有している。ジオメトリに関するパラメータ、特に厚さおよび直径の関数としての質量の計算は、本発明によれば自動化して行うことができる。このようにして求められた熱量は、次いで、相応の温度差を克服するに要する所望の最短時間によって、割られる。これにより熱出力が得られる。そして電気出力が相応に選択される。全電気出力が熱出力に変換されるのではないので、実際に供給される電気出力は、損失出力を補償するために相応に高く選択される。
表は、200mmの直径と725μmの厚さを有するシリコン基板を所定の時間内において25℃から525℃に加熱するのに必要な、最低電気出力を示す。実際の電気出力は、損失出力に基づいて、より高いものになる。使用される加熱装置の電気出力は、特に100Wよりも高く選択され、好ましくは1000ワットよりも高く、さらに好ましくは5000ワットよりも高く、最も好ましくは10000ワットよりも高く、最高に好ましくは20000ワットよりも高く選択される。
本発明によれば、第1の基板への押圧負荷は、特に、第1の押圧板の第1の押圧面によって行われ、この第1の押圧面は、好ましくは同時に第1の加熱面である。第2の基板への押圧負荷は、特に、第2の押圧板の第2の押圧面によって行われ、この第2の押圧面は、好ましくは同時に第2の加熱面である。
本発明によれば、そのために特に前もって確定されかつ決定された処方もしくは方法シーケンスが使用され、これらの方法シーケンスは、好ましくは、材料固有の特性および/または具体的な性質、特に、ボンディングすべき基板の材料厚さを考慮する。処方の可能な全自動の処理の他に、装置の半自動の使用およびさらには問題の装置の手動による使用も可能である。
ボンディングすべき基板が、熱放射を極めて強く反射し、ひいては所望の熱導入を著しくゆっくりとさせるもしくは困難にする材料から成っている場合には、処方は相応に合わせられる。しかしながらまた逆に、相応に吸収性が高い材料および/または表面特性によって熱放射の吸収が高められることも考えられ、このとき、処方、特に加熱時間は相応に短縮されることになる。
本発明に係る装置は、特に、加熱に影響を及ぼすファクタを、特にセンサによって認識すること、方法シーケンス時に考慮することおよび/または後続のステップまたは後続の基板スタックにおいて調整することができる。
本発明に係る装置は、さらに好適な形式で、基板を対流および/または種々異なった加熱ゾーンによって好適に処理して、均一な熱導入が得られるようにすることができる。基板の加熱は、好ましくは、ボンディング装置、特に試料ホルダに、さらに好適には突子付試料ホルダ(英語:突子付チャック(Noppenchuck))に導入されるガスの対流によって行われる(特に独立した本発明の態様として開示)。ガスが対流による熱伝達のために働いている間、ボンディング装置は、好ましくは連続的に排気され、これによってボンディング室内においては、10−2mbar未満の圧力、さらに好ましくは10−3mbar未満の圧力が調節される。ガスの導入は、特にボンディング装置の排気前および/または排気中に行われる。ガスは、外部から、好ましくは試料ホルダおよび/または押圧板の管路を通して、基板スタックにおよび/または試料ホルダもしくは押圧板に導くことができる。突子を備えた接触面、特に加熱装置の加熱面を備えた試料ホルダの、本発明に係る使用では、ガスは、確定されたトポグラフィーに基づいて最適に基板ホルダおよび/または押圧板と基板スタックとの間において分配される。
互いに位置合わせされた基板スタックが、ボンディング装置内において(特に突子付チャック上に)位置していて、基板の周囲が排気される間、(特に突子付チャックから)ガスが流入し、このガスは、(突子付)試料ホルダと基板スタックとの間における熱の導きを保証する。外側の周囲において、排気され、基板スタックと(突子付)試料ホルダとの間においてフラッシングされる。フラッシングによって、真空装置によって供給された、ボンディング室における圧力は、相応に低減される。
本発明に係る最も重要な態様のうちの1つは、基板の加熱によって基板が相互にシフトし、これにより基板相互の位置合わせが再び失われることを回避することである。物理的に観察すると、本発明は特に、温度変化時に生じる両方の基板の熱膨張が常に等しくなるようにするために働くことにある。両方の基板が同じ材料から成っている場合には、両方の基板は好ましくは等しく温度調整される。
従って本発明の別の態様では、加熱装置は加熱時および接近時に、少なくとも大部分の接近期間中に、第1の基板の平均温度と第2の基板の平均温度との差が、5℃未満、特に1℃未満、好ましくは0.5℃未満、さらに好ましくは0.1℃未満であるように、制御する。互いに位置合わせされた両方の基板は、確かに同じ材料から成っているが、しかしながら異なった厚さを有しているような場合には、両方の基板のうちの一方における温度変化、特に比較的大きな厚さを有する基板における温度変化が、他方の基板、特に比較的薄い厚さを有する他方の基板におけるよりも、ゆっくりと進むことがある。ゆえに、このような状況では、材料特性値が等しいにも拘わらず、ジオメトリ特性値が異なっていることにより、加熱過程中に、両方の基板が互いにシフトすることがある。しかしながら理想的な場合には、基板の全体的な加熱後に、予めアライメント装置によって生ぜしめられた位置合わせが再び正確に調節される。両方の基板の材料ひいては材料特性値、特に熱膨張係数もしくは熱膨張テンソルおよび/または熱伝導性および/または熱容量が異なっているような場合には、基板相互の不所望のシフトが生じる。このようなシフトは、本発明に係る方法によって補償することができる。この場合、加熱装置を、加熱時および接近時において、少なくとも大部分の接近期間中に、第1の基板の平均温度と第2の基板の平均温度との差が、0.1℃よりも大きな値、特に0.5℃よりも大きな値、好ましくは1℃よりも大きな値、さらに好ましくは5℃を超える値であるように、制御し、これにより、両方の基板の熱膨張の差を補償し、その結果位置合わせを可能な限り良好に維持することができる。
択一的にまたは追加的に、好ましくは、加熱装置を加熱時および接近時に、第1の加熱面の、第1の表面において生じる放射エネルギが接近中に、第2の加熱面の、第2の表面において生じる放射エネルギと同じであるように、制御する。
本発明の別の好適な態様によれば、ボンディング結果の改善が、基板の、ボンディングに先立つ加熱によって、ひいてはこれに伴う排気によって、特に真空搬送区間の内部においてかつ本来のボンディング装置に達する前に、達成される。
ボンディング装置への到達後でかつなお本来のボンディング工程前に、基板は、好ましくは、個々の要求に合わせられて、均一もしくは均質に(対称または非対称に)、加熱される。これによって、基板の内部における不均一の膨張による(熱による)応力は、十分に回避され、このことは、所望のボンディング結果にポジティブな影響を及ぼす。シリコンの熱膨張係数は、例えば2.610−6K−1の範囲にある。両方の基板がシリコン材料から製造されている場合には、両方の基板はまた同じ(平均)熱膨張係数を有する(大部分のシリコンウェハは、結晶学的な(100)の面方位を有しているので、大抵そこに由来することができる同じ結晶配向を、両方の基板が有していると仮定し、かつ基板平面における熱膨張が等方性であると仮定)。従って、同じ熱負荷を受けた基板は、また等しく熱膨張することになる。材料が異なっている場合には、その熱膨張も一般的に異なっている。このような異なった熱膨張は、本発明によれば補償することができる。
本発明の別の好適な態様によれば、少なくともボンディング中に基板スタックを収容するための収容装置が設けられている。この収容装置は、特に、基板スタックを特に周囲においてまたは周囲領域において収容するのに適している。さらに好適には収容装置は、基板がボンディングされるまで、基板を接触面においてまとめ、かつ位置合わせされた位置に保つのに適している。収容装置、特に突子付試料ホルダは、基板の、接触面とは反対側の表面の小さな部分だけを押圧するもしくは当該小さな部分にだけ接触し、収容装置は、好ましくは、放射熱が加えられる基板表面をほとんどまたはまったく覆っていない。言い換えれば、基板表面の大部分、特に少なくとも3/4、好ましくは少なくとも90%は、加熱装置の、基板表面に対して間隔をおいて配置された加熱面に対して露出している。
収容装置と接触する基板面積を減じることによって、基板の不所望の汚染が減じられる。上に述べたようにすることによって、さらに処理量が高まる。それというのは、少なくとも1つの表面の大部分を覆っている収容装置の、従来各ボンディング工程後に必要であった時間のかかる完全な加熱および冷却を、省くことができるからである。
本発明に係る構成の別の態様では、基板スタックの加熱は、両側において少なくともボンディング温度までの加熱中に、少なくとも大部分、熱放射および/または熱対流によって、特に自然の熱対流によって行われる。これは特に、基板表面が加熱面から間隔をおいて位置していることによって生ぜしめられる。
前記間隔を加熱中に減じることによって、熱放射によってもたらされる熱出力は、熱対流によってもたらされる熱出力に比べて増大する。加熱面が、好ましくは同時に、それぞれの基板表面と接触するや否や、熱出力は、少なくとも部分的に、好ましくは大部分、基板表面と加熱面との間における熱伝導によって伝達される。好ましくは、ボンディング温度は、熱伝導および/または押圧負荷の実施前に、少なくとも3/4に高められる。
上下からの可能な熱対流には、基板の均一かつ好適な加熱を困難にする存在する凹凸を、ボンディング工程中に強く減じるもしくは完全に排除することができる、という利点がある。
試料ホルダおよび/または加熱面の特別な構成、特に本発明に係る独立請求項の構成では、試料ホルダおよび/または加熱面は、基板表面の汚染を可能な限り僅かにするために、複数の突子を有している。このように構成されているとさらに、押圧負荷中においても、対流のために必要なガスを供給することが可能になる。
突子の接触面は、特に、丸く面取りされて形成されていてよく、このようになっていると、基板表面に対する加熱面の接触面積をさらに減じることができる。
突子面を改良するさらに別の好適な態様では、加熱面または押圧負荷面の半径方向における全周囲領域は、シールリングによって制限されている/制限される。これによって、突子付押圧板内に導かれたガスが逃げることが、阻止されるもしくは減じられる。上側および下側の突子付押圧板の周囲領域は、特に形状結合式(formschluessig)に、加工すべき基板によって閉鎖され、これによってガスの逃げが阻止される。
本発明によれば、貫通路を設けることも可能であり、この貫通路は、好ましくは、半径方向における縁部領域全体と加工すべき基板との間において延びており、かつこの貫通路を介して、過剰のガスを、特に制御して、好ましくは弁によって制御して、突子面から放出することができる。
アライメント装置において位置合わせされた基板を、特殊に構成された収容装置、特に、基板とは半径方向周囲においてしか接触しない支持体として形成された収容装置を備えた、真空搬送区間の内部に位置するプロセスロボットによって、汚染を減じながらの自動化された引渡しのような、プロセスを加速する手段は、従来公知ではない。このような収容装置には、プロセスロボットの保持力をさらに高めるために、さらに追加的に静電力を加えることが可能である。
表面ガスおよび/または水分を真空ボンディング装置への装入前に排除するため、ひいてはボンディング結果を改善するために、位置合わせの前および/または後に行われる、基板の温度調整のようなプロセスもまた、本発明の好適な態様と見なすことができる。
特に独立した別の発明としては、特にモジュール化されたすべてのコンポーネントを通して続く真空、特に高真空内における、位置合わせからボンディングまでの連続した処理が、開示され、真空、特に高真空内においては、不純物および基板材料の反応、特に酸化は、ほとんど排除される。
本発明に係る態様の別の利点としては、実施されたボンディングの精度が高まるということがある。これはすなわち、基板相互の複数の構造の、アライメント装置によって達成された位置決め精度が、ボンディング装置における熱処理によって失われない、ということを意味する。変形は従来技術において特に次のことによって、すなわち、ボンディング工程が終了する前に、つまり押圧負荷のプロセスが開始されるまたは行われる前に、例えば異なった材料から成る基板、ひいては異なった熱膨張係数を有する基板に基づいて、不均一に加熱された基板スタックが、シフトまたは変形することによって生じる。これに対して本発明は、本来のボンディングプロセスまでまたは本来のボンディングプロセスにわたって複数の構造体の間におけるアライメント装置の調整精度を維持することができる。得られかつ維持された位置合わせ精度、つまりボンディング終了までの、位置合わせされた基板スタックの互いに向かい合って位置する基板における構造体間の最大のシフトは、本発明によれば、特に10μm未満、好ましくは1μm未満、さらに好ましくは100nm未満、最も好ましくは10nm未満である。
本発明に係る態様は、等温運転において処理量の上昇を可能にする。それというのは、加熱装置ひいては試料ホルダならびに押圧板は、好ましくは常に加熱および冷却されるのではなく、特に少なくとも大部分、好ましくはもっぱら、位置変化によって基板スタックの温度変化を生ぜしめることができるからである。ボンディング装置の部材、特に押圧板のうちの少なくとも1つは、いわば完全なボンディング温度において、スタンバイ位置に移動し、そこで次の基板スタックを待つことができ、冷却される必要はない。
基板スタックの基板の汚染は、僅かである。それというのは、基板スタックは少なくとも大部分、押圧負荷まで加熱すべき表面に接触しておらず、宙に浮いた状態に保たれ、ひいては事実上汚染物質とは接触しないからである。押圧負荷のための接触時に、本発明によれば、好ましくは、突子付試料ホルダが、特に押圧板および/または加熱面としても使用され、この突子付試料ホルダは、さらに押圧負荷時における、基板に対する有効接触面積を最小にする。突子付試料ホルダの接触面積は、本発明によれば特に、基板面積の90%未満、好ましくは50%未満、さらに好ましくは25%未満、最も好ましくは5%未満、最高に好ましくは1%未満である。
本発明に係る装置は、特に、モジュールとして構成された装置/設備から成っており、この装置/設備は、第1の態様では、少なくとも3つの互いに無関係に独立して制御されるモジュール、つまりアライメント装置(英語:アライナ(aligner))、取扱い装置、特に基板を取り扱うためのプロセスロボットを組み込まれた真空搬送区間、およびボンディングユニットから成っている。方法技術の理由から別のモジュールを補足することも可能である。特に、加速および並列的な加工のために相当数のモジュールが数倍設けられていてもよい。
アライメント装置への少なくとも2つの位置合わせすべき基板の供給は、手動で行われるが、しかしながら好ましくは半自動式に、またはさらに好ましくは全自動化して行うことができる。
基板は、好ましくはウェハである。ウェハは、十分に規定された規格化された直径を有する規格の半導体基板である。基板は、任意の形状を有することができる。特に基板は方形または円形であってよい。基板が円形の場合には、基板の直径は、同様に任意の値を有することができるが、多くの場合には、1,2,3,4インチおよび125,150,200,300または450mmの規格の直径のうちの少なくとも1つを有することができる。
特許明細書の以下の記載においては、一般に基板について述べられる。しかしながら特に本発明に係る態様は、主としてウェハに関する。
複数の基板は、互いに位置合わせされ、1つの基板スタックを形成する。基板スタックは、少なくとも2つの基板から成っている。しかしながらまた、2つよりも多くの、好ましくは5つよりも多くの、さらに好ましくは10よりも多くの、最も好ましくは15よりも多くの基板を位置合わせして、一時的に1つの基板スタックに結合することができる。基板は、任意の材料から成っていてよい。基板の材料は、好ましくは、半導体工業において使用される材料である。このような材料としては、好ましくは、シリコン、ゲルマニウム、例えば石英から成るガラスのような半導体、GaAsのような半導体ヘテロ構造またはセラミックスが挙げられる。さらにまた、ポリマ基板または金属基板の使用も可能である。基板の厚さは、10000μm〜50μmの間で変化し、このとき相応に僅かな厚さを有する基板は、研磨およびポリッシングによってそれぞれの厚さに製造される。いわゆる製品基板(Produktsubstrate)である他の基板を支持するためにだけ働く支持基板(Traegersubstrate)は、大きな厚さを有しており、これに対して製品基板は、製品基板における機能ユニットの相応に高いパッケージ密度を積層によって得るために、益々薄くなる。支持基板の厚さは、200μmよりも大きく、好ましくは500μmよりも大きく、最も好ましくは700μmよりも大きく、最高に好ましくは1000μmよりも大きい。製品基板の厚さは、1000μm未満、好ましくは500μm未満、さらに好ましくは100μm未満、最も好ましくは50μm未満である。
アライメント装置は、さらに、基板を収容および固定する装置を備えており、この装置は、位置合わせ後における基板を相互に固定することを可能にする。
特にアライメント装置は、基板を相互に位置合わせし、かつ固定手段によって一時的に固定することができる装置を含んでおり、このとき一時的な固定によって、アライメント装置から真空搬送区間を介して別のモジュールへの、特にボンディング装置への搬送が可能であり、この搬送が、位置合わせされた基板に対して不都合な影響を及ぼすことはない。このような固定ユニットは、特に好ましくは、参照のために挙げておくと、刊行物PCT/EP2013/056620に記載されているような、基板スタックを磁気によって固定する装置である。クランプは、択一的に機械式のクランプ装置によって行うことも可能であり、このクランプ装置は、基板の側辺を小さな周囲部分において取り囲んでクランプし、かつもはや試料ホルダに固定されている必要はない。基板表面の間における静電式の引付け力によって基板を相互に固定することも可能である。さらにまた、基板を互いに固定する考えられる別の可能性としては、タッキング(固着)がある。これは、特に集中させられた電流または、好ましくはレーザによる強く制限された極めて高温の熱供給のような、一点に集中させられた力による、両方の基板の局部的な溶接または接着である。両方の基板の表面の間における場所的に制限されたこのような負荷は、少なくとも局部的な固定のために役立ち、この局部的な固定は、両方の基板相互のシフトを生ぜしめることなしに、両方の基板を搬送できるようにするのに十分である。
本発明によれば、個々のモジュールは、特に接続ロックを備えて構成されており、これらの接続ロックは、個々のモジュールに通じる各移行部に位置しており、これらの接続ロックによって、さらに続くプロセスに対してポジティブな影響を及ぼす確定された雰囲気を形成することができる。
本発明によれば、ロックは1つの領域、特に室であり、この領域は、2つのロックゲートによって、互いに隔てられているがロックに接続された2つの別の領域、特に室に接続されている。両方の室のうちの1つにおけるおよび/または両方の室のうちの1つからの、ロックからのおよび/またはロックによる接近は、ロックゲートによって行われる。ロックゲートは、特に個々に制御可能である。ロックゲートは特に、弁またはゲート弁(英語:ゲート弁(gate valve))として形成されている。以下において、ロックゲートおよび/またはロックの間においては明瞭な区別がなされない。従って、ロックゲートという単語が使用されている場合に、特にロック全体を、ゆえに、2つのロックゲートを備えた1つの領域、特に1つの室を意味していることがある。
従って個々のモジュールにおいては、それぞれのプロセスに対する要求に関連して、種々異なった雰囲気を生ぜしめることが可能である。さらに、真空搬送モジュールにおいて、ボンディング工程全体の加速を可能にするプロセスを制御することが可能である。このとき、ボンディングの前に加熱を実施することが可能であり、この加熱によって、ボンディングすべき基板を予加熱し、これにより該基板を温度調整して真空室モジュールに引き渡すことが可能である。これによって、ボンディング装置の加熱装置の時間のかかる加熱が、大幅に短縮され、これは、予期される処理量に対して直接的な影響を及ぼす。
追加的に特に、複数の基板を互いに無関係にプリコンディショニングするための先行した加熱も可能である。基板は、アライメント装置への装入前に、好ましくは100℃を上回る温度に加熱することができる。このとき、表面における分子のための自由行程を最大化することが可能である。例えば、基板を、室壁に対する大きな間隔をもって(>1cm、>5cm、>10cm)加熱することができる。これによって生じる大きな自由行程は、基板表面からの異物およびガスの搬出を促進する。アライメント装置内への個々の基板の搬送時に、温度は、好ましくは再び室温に低下する。
基板の位置合わせは、アライメント装置内において特に、好ましくはほぼボンディング装置における圧力条件に相当する高真空条件下で行われる。基板の位置合わせの後で、プロセスロボットによるアライメント装置から真空搬送モジュールへの自動化された搬送が行われ、この真空搬送モジュールにおいては、プロセスのさらなる推移において計画されたボンディングのための準備処置を行うことができる。
真空搬送区間モジュールからボンディングモジュールへの基板スタックの搬送後に、基板スタックはロボットによって、進出可能なローディングピンの上に載置される。ローディングピンと基板スタックとの間における直接的な接触は、部分的にしか行われない。本発明によれば、最大で30のローディングピン、好ましくは20未満の、さらに好ましくは10未満の、最も好ましくは5未満の、最大に好ましくは正確に3つのローディングピンが使用される。
ボンディングすべき基板スタックは、これによって基板に動的に接近可能な第1の加熱面および押圧板と、特に静止した第2の加熱面との間において浮かんでいる。第1の(特に上側の)加熱装置および押圧板ならびに第2の(特に下側の)加熱装置および押圧板は、好ましくはほぼ、処理すべき基板と同じ直径を有しているか、またはそれよりも大きい。第1の加熱面および押圧板は、基板に対して対称に接近することも非対称に接近することも可能である。基板の非対称の加熱時には、基板収容部に位置する基板への第1の加熱面および押圧板の動的な接近中における間隔も、第1の加熱面と第2の加熱面との間に位置する基板収容部もしくは加熱すべき基板表面に対する、第2の加熱面および押圧板の間隔と同じではない。
ローディング工程中における第1および/または第2の加熱面と基板スタックとの間の間隔は、特に1mmよりも大きく、好ましくは5mmよりも大きく、さらに好ましくは10mmよりも大きく、最も好ましくは30mmよりも大きい。
ローディング工程中における第1および/または第2の加熱面の温度は、特に25℃よりも高く、好ましくは100℃よりも高く、さらに好ましくは300℃よりも高い。
基板スタックの加熱速度は、特に、基板スタックもしくはそれぞれの表面に対する第1の加熱面の間隔Aおよび/または第2の加熱面の間隔Bによって制御される。これによって本発明によれば特に、加熱装置ひいては試料ホルダおよび/または押圧板を常に冷却または加熱する必要なしに、温度プログラムおよび/または温度サイクルを実行することができる。類似のやり方は、既に特許明細書PCT/EP2013/064151において、加熱装置を常に加熱もしくは冷却する必要なしに、加熱装置の位置決めによって流体を加熱するために使用されている。このような本発明に係る態様によって、加熱装置をある特定の温度、特にボンディング温度に加熱するが、しかしながら加熱装置の位置を、ローディング工程中に、ローディングされた基板スタックが最初は(つまり特にローディング時には)ほとんど加熱されないように、大きく基板スタックのローディング表面から離して固定することが、可能になる。そして接近によって初めて、限界条件によって予め設定された、相応に制御された、特に対称的な、基板の加熱が行われる。この本発明に係るプロセスは、特に、基板スタックの加熱が、熱対流によってではなく、少なくとも主として、好ましくはもっぱら熱放射によって行われる場合に、機能する。特に、この本発明に係るプロセスは、真空下において最大の効果を発揮する。
基板の対称的な加熱時に、基板への第1の加熱面および押圧板の動的な接近中における間隔Aは、第2の、特に静止した第2の加熱面の間隔Bと同じである。このことは特に、第2の加熱面への第1の加熱面の、コントロールされた、特に連続的な接近によって達成され、このとき同時に、基板スタックを収容する収容装置もまた、第2の加熱面に接近させられる。好ましくは、第1の加熱面は、基板スタックの正確に2倍の速度で第2の加熱面に向かって移動させられる。
択一的な態様では、基板スタックを備えた収容装置が不動のままであり、両方の加熱面が、特に等しい速度で、かつ対称的に小さくなる等しい間隔A,Bで、上下から基板スタックに向かって移動する。
対称的な加熱および非対称的な加熱のためには、特に予め経験によってまたは測定によって求められた処方が、制御装置に格納され、これらの処方は、実際のパラメータを考慮しながら、基板の最適化された加熱のために役立つ。パラメータとしては、特に材料形式、厚さ、加熱温度およびボンディング方法が考慮される。
非対称の接近もしくは位置決めは、特に、材料の異なった2つの基板の熱膨張を補償できるようにするために、基板への異なった熱導入を可能にするという課題を有している。一般的に、各材料は、それぞれ固有の熱膨張係数を有している。両方の基板において等しい膨張を得るために、この場合、大きな熱膨張係数を有する基板は、小さな熱膨張係数を有する基板に比べて低い温度に加熱される。このことは、本発明によれば、第1の加熱面および第2の加熱面における異なった温度によって、および/または異なった間隔A,Bによって行うことができる。
本発明に係る別の態様では、基板スタックとの第1の押圧板および第2の押圧板または試料ホルダの接触後における、基板スタックの接触面間へのガス流入が阻止され、次いでボンディング装置内にガスが導入される。ガスは、基板スタックおよび試料ホルダもしくは押圧板の粗い表面の間において拡散し、表面の凹凸を熱によって閉鎖する。
熱によって閉鎖するというのは、加熱装置からの熱を試料ホルダもしくは押圧板を介して可能な限り速く基板スタックに導入するために、導入されたガスが、伝熱体として働くということを意味する。試料ホルダと基板スタックとの間におけるガス圧は、このとき特に0.01mbarを超える値、好ましくは0.1mbarを超える値、さらに好ましくは1mbarを超える値、最も好ましくは3mbarを超える値である。このガス圧は、特に、好ましくは1sccmを超える、さらに好ましくは5sccmを超える、それ以上に好ましくは20sccmを超える僅かなガス量(流量)によって得られる。
特に1秒当たり数100リットルの高いポンプ出力によって、同時に、ボンディング室における高い真空、特に0.001mbar未満の、好ましくは0.0001mbar未満の、さらに好ましくは0.00001mbar未満の高い真空を維持することができる。
このとき特に、横方向シフトを阻止する力が、基板スタックに対して作用する。加えられるボンディング力は、好ましくは1N〜200kN、さらに好ましくは、1kN〜100kNである。
この時点から、従来技術において既に公知の一般的なボンディング工程が行われる。このボンディング工程は、一時ボンディングであっても永久ボンディングであってもよい。一時接着剤による一時ボンディング、共晶ボンディング、陽極ボンディング、ガラスフリットボンディング、溶融ボンディング、金属(ディフュージョン)ボンディングのような永久ボンディングまたは永久接着剤を用いた永久ボンディングが使用可能である。
本発明に係る態様および本発明に係るプロセスは、ほぼすべての試料ホルダによって実施することができるにも拘わらず、突子付試料ホルダが好適である(独立形式の本発明の態様)。突子付試料ホルダというのは、表面が平らではなく、複数の小さな隆起、つまり突子から成っていて、これらの突子が保持平面を形成しかつその上において基板スタックを支持する試料ホルダを意味する。これらの突子は、基板スタックに対する接触面積を大幅に減じ、ひいては基板の汚染の蓋然性をも低減する。突子付試料ホルダは、加えられたボンディング力に耐えるように構成される。
突子の高さは、特に1mm未満、好ましくは0.1mm未満、さらに好ましくは0.01mm未満、最も好ましくは0.001mm未満である。特に好ましくは、押圧板もまた突子を有していて、ゆえにこのような押圧板は、突子付試料ホルダと同じ本発明に係る特性を有する突子付押圧板である。
別の好適な態様では、加熱装置のうちの少なくとも1つが、好ましくは、同時に試料ホルダとして形成されていて複数のゾーンから成る加熱面を有している。加熱面のこれらのゾーンは、好ましくは、個々に制御することができる。加熱装置のこれらのゾーンは、好ましくは、互いに同心的に位置決めされた円形リングである。これらのゾーンを所望のように制御することによって、場所的に分散された温度分布を生ぜしめることができる。ゾーンの数は、1よりも多く、好ましくは5よりも多く、さらに好ましくは10よりも多く、最も好ましくは20よりも多く、最も好ましくは50よりも多く、最高に好ましくは100よりも多い。
記載されたすべてのモジュールは、その内部において、特別な雰囲気を、基板の材料および各ボンディング方法に対する要求に関連して再現可能に形成することができるモジュールである。さらに、これらのモジュールは、互いに無関係に、特に無段階式に調整可能である。択一的に、個々のモジュールを、真空なしでも、つまり通常圧によっても運転することができる。また、互いに並んで位置する2つのモジュールの雰囲気を同期化させることも可能であり、これによって1つのモジュールから、プロセス内において後置されたモジュールへの基板の加速された移動を可能にすることができる。
真空区間の内部および/またはアライメント装置の内部および/またはボンディング装置の内部における圧力は、特に1mbar未満であり、好ましくは10−3mbar、さらに好ましくは、10−5mbar、最も好ましくは10−7mbar、最高に好ましくは10−9mbarである。
本発明の別の利点、特徴および詳細は、好適な実施形態についての下記の説明および図面に記載されている。
正確に2つの懸吊されたモジュールを備えた真空クラスタの第1実施形態を概略的に示す平面図である。
懸吊された7つのモジュールを備えた真空クラスタの第2実施形態を概略的に示す平面図である。
基板スタックのローディング前におけるボンディング装置の本発明に係る1実施形態を概略的に示す断面図である。
ローディングピンへの基板スタックの降下時における、図2に示した実施形態を概略的に示す断面図である。
基板スタックからのロボットアームの離間時における、図2に示した実施形態を概略的に示す断面図である。
モジュールからのロボットアームの離間時における、図2に示した実施形態を概略的に示す断面図である。
2つの加熱装置を備えた基板の対称的な加熱時における、図2に示した実施形態を概略的に示す断面図である。
基板スタックに対する加熱装置の対称的な接近時における、図2に示した実施形態を概略的に示す断面図である。
本発明に係るローディングピンの一部との第1の加熱装置の接触による、基板に対する加熱装置の対称的な接近時における、図2に示した実施形態を概略的に示す断面図である。
基板スタックの対称的な接触時における、図2に示した実施形態を概略的に示す断面図である。
突子付試料ホルダおよび突子付押圧板の周囲を断面して示す側面図である。
本発明に係る突子付試料ホルダを示す平面図である。
本発明に係る突子付押圧板を示す平面図である。
図面において、同じ特徴または同じ機能を有する特徴は、同一符号で示されている。
図1aには、特に真空クラスタとして、好ましくは高真空クラスタとして形成された設備38が、概略的に平面図で示されている。この設備38は、真空搬送室4に懸吊された正確に2つのモジュール、つまりアライメント装置1を備えたモジュールと本発明に係るボンディング装置6を備えたモジュールとから成っている。特にプロセスロボットとして構成されたロボット34が、(ここでは同一の)基板35,36をローディング容器39から取り出し、第1の基板35および第2の基板36を、特に同時に、真空搬送区間5に沿ってアライメント装置1内に搬送する。ローディング容器39は、特にロックであってもよく、もしくはロックとして機能することができる。両方の基板35,36は、互いに位置合わせされ、第1の基板35の第1の接触面35kと第2の基板36の第2の接触面36kとにおいて、特に一時的に固定されて、基板スタック14を形成する。アライメント装置としては、例えば特許明細書PCT/EP2013/075831またはPCT/EP2013/062473に開示された設備を使用することができる。最適な位置合わせは、互いに位置合わせされる構造体が、特にアライメントマークも、工業界において公知のオーバレイモデルによって、互いに最適に合う場合に、与えられている。このようなオーバレイモデルの相応の記載は、特許明細書PCT/EP2013/061086にある。
次いでロボット34は、固定されかつ位置合わせされた基板スタック14を、ボンディング装置6内に、特に第1の基板35の第1の表面35oまたは第2の基板36の第2の表面36oにおける収容によって、搬送する。表面35o,36oはそれぞれ接触面35k,36kとは反対側に位置している。
図1bに示した設備38’は、真空搬送室4’によって接続された複数のモジュールから成る真空クラスタを示す。これらのモジュールは、それぞれ異なる機能を有することができる。特に、基板もしくは基板スタックを加熱または冷却するモジュール、クリーニングモジュール、プラズマモジュール、遠心式エナメル加工装置またはスプレ式エナメル加工装置を備えたエナメル加工モジュール、ボンダ1およびデボンダ、コーティングモジュール、アライメントモジュール6などのモジュールが考えられる。これらのモジュールは好ましくは、円形もしくは星形に、真空搬送室4’の周りに配置される。
真空搬送室4’は、弁2を介して種々様々なモジュールに接続されている。これらのモジュールおよび真空搬送室4’は、弁2によって互いに無関係に独立して排気することができるが、好ましくは、常に、等しい真空レベルに、好適にはボンディング装置6の高真空レベルにある。
ボンディング装置6は、図2〜図9において種々様々な加工状態で示されている。
ボンディング装置6は、ボンディングプレートとこのボンディングプレートに固定された複数のコラムとして形成された静止した支持構造体23の上に構成されている。コラムには、ボンディング室10が固定されている。
ボンディング室10は、このボンディング室10へのローディングのための、弁2によって閉鎖可能な室開口6oを有している。
弁2は、特にアクチュエータとして形成された、ベースプレートに支持されたロック駆動装置24から形成される。このロック駆動装置24は、該ロック駆動装置24によって駆動されるロックゲート(Schleusentor)27を開閉するために働き、このロックゲート27は室開口6oを、スリット6sを通して開閉する。弁2は、弁2の閉鎖状態において周囲に対してボンディング室10をシールするシール28を有している。
さらにボンディング装置6は、基板スタック14を収容する収容装置18を有している。この収容装置18は、支持平面Eを備えた基板支持体を含み、支持平面Eには、基板スタック14が第2の表面36oで載置され、これによって第2の表面36oは支持平面Eに位置している。
基板支持体は、ボンディング室10を貫通する少なくとも2つのローディングピン21、図示の実施形態では4つのローディングピン21によって形成される。ボンディング室10は、ローディングピン21を取り囲むシール20によって、ボンディング室10の周囲に対してシールされている。シール20は、同時に、ローディングピン21を並進的に滑り案内するために働く。
ローディングピン21の、基板支持体とは反対側に位置する端部において、ローディングピン21は、特に共通の1つの調節プレート21pに固定されている。ローディングピン21は、好ましくは、調節プレート21pによって互いに機械式に連結されていて、かつ調節プレート21pに対して、特に同心的に作用する、好ましくは、ただ1つのローディングピンアクチュエータとして形成された調節駆動装置22によって、もしくは複数のローディングピンアクチュエータを用いて、支持平面Eに対して横方向に並進的に移動させられる。
ローディングピン21の内部には、第2の表面36oを加熱する第2の加熱装置26と、この第2の加熱装置26に、特に全面的に、固定された第2の押圧板25とが配置されている。この第2の押圧板25は、第2の加熱面19を有しており、この第2の加熱面19は、支持平面Eの下で該支持平面Eに対して平行に配置可能である。加熱装置26および押圧板25は、ボンディング室10に堅く結合されていて、かつ静止しており、つまり支持平面Eに対して移動不能である。
第2の加熱面19に対して向かい合って位置するように、第1の加熱面15が、支持平面Eに対して平行にかつ該支持平面Eの上に配置可能である。第1の加熱面15は、第1の押圧板29に配置されていて、この第1の押圧板29はさらに、第1の加熱装置30に、特に全面的に固定されている。
加熱装置30は、駆動手段によって支持平面に対して横方向に移動可能である。加熱装置30は、ボンディング室10を貫通する調節棒に固定されている。調節棒は、加熱装置30とは反対側に位置する端部において、第1の加熱面15の位置を制御する位置アクチュエータ8によって、特に第1の表面35oに対する第1の加熱面15の間隔Aを制御する位置アクチュエータ8によって、移動させられる。特に、第1の表面35oが第1の加熱面15に接触し、かつ第2の表面36oが第2の加熱面19に接触した後で、圧力を加えるために、力アクチュエータ9が働き、この力アクチュエータ9は、ボンディングのために必要な比較的高い押圧力を加えることができる。ボンディング室10は、駆動手段をシールするシール31によって周囲に対してシールされている。
駆動手段は、カバープレートとこのカバープレートを支持するコラムとから成る支持構造体7に懸吊されている。
次に本発明に係るプロセスを、図2〜図9を参照して説明する。
図2に示した本発明に係る第1のステップにおいて、基板スタック14を有するロボット34は、ボンディング装置6のボンディング室10内に移動させられ、特に移送(einschleusen)される。第1のステップにおいて、本発明に係る収容装置18は、基板スタック14を収容するために出発高さに位置している。この出発高さにおいて基板スタック14は、接触面35k,36kに関して、好ましくは第1の加熱面15および第2の加熱面19に対して対称的に位置決めされている。この対称的な出発位置は、特に、第2の押圧板25および/または第1の押圧板29がその対応する加熱装置26,30によって予加熱された場合に重要である。
図3に示した本発明に係る第2のステップにおいて、基板スタック14は所定の位置において、すなわち、基板スタックを固定するための固定装置11、特にマグネットクランプ11が、後で加熱面15,19と一緒に移動する場合に、そのために設けられた押圧板25,29の凹部に正確に収容され得るような位置において、位置決めされる。
さらに、滑って落ちることまたは滑ってずれることを阻止するために、基板スタック14をローディングピン21に対して可能な限り同心的にローディングしかつ位置決めすることに、注意を払う必要がある。
図4に示した本発明に係る第3のステップにおいて、ロボット34は基板スタック14から取り外され、これによって基板スタック14はローディングピン21の上に載置される。今や、第2の表面36oは、支持平面Eに位置している。
図5に示した本発明に係る第4のステップにおいて、ボンディング室10からのロボット34の取出しおよびロックゲート27の閉鎖が行われる。この閉鎖後に、ボンディング装置6の内部はポンプ16を介して、さらに高い真空へと排気することができ、隣接する真空搬送室4における真空は、ボンディング工程のために極めて低く調節されていることが望ましい。
図6に示した本発明に係る第5のステップにおいて、基板スタック14の、互いに反対側に向けられた両方の表面35o,36oが、対称的に加熱される。両方の加熱装置26,30を、基板スタック14の挿入前に既にボンディング温度に調節しかつ当該温度に保っておくことも、もちろん可能であり、このようにすると、押圧板25,29および加熱装置26,30の加熱時間は事実上0に減じられる。
加熱は、加熱装置26,30によって生ぜしめられかつ加熱面15,19を介して放射熱17として放射される熱出力によって行われる。
本発明に係る思想は、特にこのプロセスステップにおいて示されている。基板スタック14を対称的に位置決めすることによって、両方の加熱装置26,30が同じ出力および同じパラメータで制御され、かつ押圧板25,29が同じまたは少なくとも極めて似た特性およびジオメトリ/寸法を有している場合には、基板スタック14の上下における温度帯域を完全に等価に調節することができる。
基板スタック14は、特に、その半径方向における熱膨張を、摩擦力によって全面的に制限されているのではなく、周囲においてだけローディングピン21に載置されている。これによって、基板スタック14は、応力または湾曲を生ぜしめることなしに、ほぼ自由に浮遊状態で対称的に膨張することができる。
別の大きな利点としては、基板スタック14の両方の基板35,36と両方の加熱面15,19との接触が少なくとも加熱プロセス中には回避される、ということが挙げられる。
図7に示した本発明に係る第6のステップにおいて、基板スタック14は、第2の加熱面19および第1の加熱面15に対称的に接近させられる。第2の押圧板25(特に試料ホルダ)は、このとき静止していて、動かない。これに対してローディングピン21は、ローディングピンアクチュエータ22を用いて第1の加熱面15に向かって移動させられる。同時に第1の加熱面15は、第2の加熱面19もしくは基板スタック14に向かって移動する。
基板スタック14と第1の加熱面15との間における間隔Aを、基板スタック14と第2の加熱面19との間における間隔Bと同じに保つために、第1の加熱面15は、ローディングピン21の速度の2倍の速度で移動させられる。しかしながらまた、基板スタックへの所望の間隔機能および温度作用を、ひいては少なくとも部分的に非対称的な接近を実現するために、他の速度形態を使用することも可能である。
本発明によればまた、逆に、第1の加熱面15を静止状態に構成し、ローディングピン21および第2の加熱面19を第1の加熱面15に向かって移動するように構成することも可能である。
特別な実施形態では、ローディングピン21を静止状態にしておいて、両方の加熱面15,19を特に同じ速度でかつ互いに逆向きに移動させることも可能である。
図8に示した本発明に係る第7のステップにおいて、最終的に、加熱面15,19は基板スタック14に接触させられる。このときに位置アクチュエータ8によってもたらされる力は、両方の基板35,36を、生じる摩擦力が支持平面Eに沿った相互のシフトをもはや許さない(摩擦力結合(Kraftschluss))ほど、互いに強く押し合わせるのに十分である。
今や、ボンディング装置6は、ガスによって洗浄することができる。
好ましくは、ガスは、第2の押圧板25および/または第1の押圧板29の内部に設けられた複数の管路を通して導入され、突子37を備えた第1の押圧板29および/または第2の押圧板25の使用時、もしくは両方の押圧板に設けられた各1つの追加的な突子付押圧板42,42’の使用時に、突子37の間で流路32に分配される。
突子37の間に供給されるガスは、押圧板25,29の縁部に位置していて半径方向縁部領域全体にわたって延在するウェブ40によって、堰き止めることができる。ウェブは、特に、加工すべき基板35,36と形状結合式に結合して、該基板35,36の周縁部において終わっている。
さらに、ウェブ40に、突子面から過剰のガスをコントロールして逃がすことができる貫通路41を設けることも可能である。この貫通路41の直径は、好ましくは、10μm未満であり、好適には7μm未満であり、さらに好適には5μm未満である。
突子37もしくは突子付押圧板42,42’が使用されない場合には、ガスは、突子37の代わりに設けられた、加熱面15,19における表面粗さによって分配される。
図12には、突子高さHを有する複数の突子37を備えた、第1の押圧板29に固定された突子付押圧板42が、縮尺非忠実に平面図で略示されている。突子37は、図面を見易くするために、図11および図12においては極めて低密度で表されている。
好ましくは、突子付押圧板42,42’は、それぞれ少なくとも50の、特に規則的におよび/または等しく分配された突子37を有していて、さらに好ましくはそれぞれ少なくとも100の、さらに好ましくはそれぞれ少なくとも200の、さらに好ましくはそれぞれ少なくとも400の突子37を有している。
図11には、突子付押圧板42’を備えた第2の押圧板25が、図10のA−A線に沿って断面されて、概略的に示されている。この図11から分かるように、基板35,36の全表面が突子37に載置されているのではなく、これによって基板35,36の汚染の蓋然性が減じられる。
間隔A,Bは0に減じられているので、突子付押圧板42,42’の加熱面15,19と表面35o,36oとは接触している。