JP2020144537A - 給与プリペイドシステム - Google Patents
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Abstract
Description
このような決済を行う一般消費者の多くは、給与所得者である。給与所得者の場合、決済の原資は言うまでもなく給与である。給与については、労働者保護の立場から支払い方法が法律的で定められており、このことが、ある意味、決済の融通性の障害になっている。即ち、給与は現金で労働者に直接手渡すことが法律で定められている。銀行振込については、銀行預金口座の預金が現金として会計上扱われることや、労働者が確実に引き出せること等を考慮して例外的に認められている。
記憶部には、従業員の就労状況に応じて設定されたプリペイド設定額を記録したプリペイド設定情報ファイルと、プリペイド金の使用実績を記録した使用実績情報ファイルとが記憶されている。使用実績情報ファイルは、プリペイド金を使用する権利を有する従業員を特定するプリペイドIDと、集計期間内でのプリペイド金の使用額とを記録したファイルである。
使用承認サーバは、ネットワークを介して店舗側コンピュータからのアクセスを受け付けるサーバであって、店舗側コンピュータからプリペイドIDと使用要請額とがネットワークを介して送信した際、当該プリペイドIDについてのそれまでのプリペイド金の使用合計額と送信された使用要請額とを加算した額がプリペイド設定額以下である場合に当該店舗側コンピュータに使用承認情報を送信し、使用要請額を当該プリペイドIDについて使用実績情報ファイルに記録するサーバである。
集計サーバは、集計期間内のプリペイド金の使用合計額を使用実績情報ファイルから取得するサーバであって、使用合計額を給与支払日に支払われる給与から差し引くために集計用ファイルに記録するサーバである。
また、上記課題を解決するため、給与プリペイドシステムは、記憶部にプリペイド金の使用のための資金を預けたプリペイド口座の情報を記録したプリペイド口座情報ファイルが記憶されており、プリペイド口座情報ファイルは、各プリペイドIDについて従業員が個別に所有する預金である個別所有預金の情報と、各店舗が所有する預金である店舗所有預金の情報が記録されており、使用承認サーバで承認されたプリペイド金の使用について当該使用を行ったプリペイドIDに係る個別所有預金から使用要請額を当該店舗に係る店舗所有預金に移す決済サーバが設けられているという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、給与プリペイドシステムは、プリペイド情報ファイルには、プリペイド金の使用のために雇用主企業が預けた預託金である企業所有預金の情報と、当該雇用主企業に所属してプリペイド金を使用する権利を有する全従業員が共同所有する預金である共有預金の情報とが記録されており、決済サーバは、使用要請額を所有預金に移す際、当該使用要請額を共有預金から記個別所有預金に移し、その後、店舗所有預金に移すサーバであり、決済サーバが使用要請額を共有預金から個別所有預金に移した際、当該使用要請額を企業所有預金から共同所有に移す充填サーバが設けられているという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、給与プリペイドシステムは、使用実績情報ファイルがプリペイド金の使用が雇用主企業における社用であるか否かを記録しており、社用であるか否かの記録は、雇用主企業の担当者又は当該プリペイドIDに係る従業員が端末を操作することで変更可能となっており、集計サーバは、 集計期間において承認された使用要請額のうち社用でない使用について使用要請額の合計をプリペイドIDごとに計算するサーバであるという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、給与プリペイドシステムは、プリペイド設定情報ファイルには、雇用主企業において従業員を識別する情報である従業員IDがプリペイドIDに紐付けられた状態で記録されているという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、給与プリペイドシステムは、プリペイド設定情報ファイルには、プリペイド金初期値が記録されており、プリペイド設定額は、初期的にはプリペイド金初期値と同じ値であり、雇用主企業内の担当者が操作する端末からアクセスがされる管理サーバが設けられており、管理サーバには、企業内担当者が操作する端末からの要求に従ってプリペイド設定額を変更する設定額変更プログラムが実装されているという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、給与プリペイドシステムは、プリペイド設定額が集計期間において変動する変動設定額であり、変動設定額であるプリペイド設定額を、従業員の就労状況に応じて集計期間内で徐々に増加させていく額増加サーバが設けられており、額増加サーバは、増加させた各プリペイド使用限度額をプリペイド設定情報ファイルに記録するサーバであるという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、給与プリペイドシステムは、プリペイド設定額が、集計期間において一定である固定設定額と、集計期間において変動する変動設定額であり、プリペイド設定情報ファイルには、固定設定額と変動設定額とがプリペイドIDごとに記憶されており、変動設定額であるプリペイド設定額を、従業員の就労状況に応じて集計期間内で徐々に増加させていく額増加サーバが設けられており、額増加サーバは、増加させた各変動設定額をプリペイド設定情報ファイルに記録するサーバであり、使用承認サーバは、承認要請が送信された時点において固定設定額と変動設定額とを比較して大きい方の設定額に係る使用合計額と承認要請額とを加算し、加算した額が当該大きい方の設定額以下である場合に使用承認の送信をするサーバであるという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、給与プリペイドシステムは、プリペイド設定情報ファイルには、プリペイド設定額とは別に、就労状況によらないプリペイド金の使用の限度額であって労働債権を越え得る特別設定額がプリペイドIDごとに記録されており、使用承認サーバは、承認要請が送信された時点においてプリペイド設定額と特別設定額とを比較して大きい方の設定額に係る使用合計額と承認要請額とを加算し、加算した額が当該大きい方の設定額以下である場合に使用承認の送信をするサーバであるという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、給与プリペイドシステムは、特別設定額を集計期間内で徐々に増加さていく特別額増加サーバが設けられており、特別額増加サーバは、増加させた特別設定額をプリペイド設定情報ファイルに記録するサーバであるという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、給与プリペイドシステムは、プリペイド金が通貨建て資産、仮想通貨、暗号資産、ポイントカードにおけるポイント、トークン、又は電子マネーであるという構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、給与プリペイドシステムは、プリペイドIDがID担持物に担持された状態で店舗に提示される情報であり、ID担持物は、カード、モバイル端末又は認証可能な生体特徴部分であるという構成を持ち得る。
また、通常、給与の前払いというのは、従業員が会社に申請をして認められるが、このシステムによれば、事前の申請は特に不要である。申請をすると、申請を処理する部署にその事実が知れるから、従業員にとって心理的な負担もある。このシステムによれば、このような心理的な負担もなく、この点でもユーザビリティが非常に高い。
一方、雇用主企業にとっても、給与プリペイドの制度があることで従業員による評価が高まり、従業員を優遇している企業としての印象が高くなる。このため、優秀な人材を多く集めるのに貢献し、結果的に企業業績を高めていくことができる。この際、プリペイドとはいっても、個別に従業員の口座に現金を振り込むようなやり方であると煩雑この上ないが、限度額のあるプリペイド金の使用権限を供与するというだけであるので、極めて簡便である。
また、決済用の口座としてプリペイド口座が用意されており、決済のための資金がいったん当該従業員の保有になった後に店舗の保有に移されるようにすると、前払いであっても法律的には給与が従業員に対して支給され、その後、決済のために使用されたという形がより明確になるという意義が生じる。
尚、プリペイド口座の資金について、企業保有部分とは別に従業員全員の共有部分や従業員個別所有部分が設けられており、共有部分から従業員個別所有部分を経て店舗保有部分に資金を移した際、企業保有部分から共有部分に資金が充填されるようにすると、給与プリペイドを取りやめる際の損金が雇用主企業において少なくなるという意義が生じる。
また、プリペイド金の使用が私用に加えて社用でも可能であると、社用の費用(経費)の精算についてもシステムを利用でき、より利便性が高くなる。
また、プリペイドIDが従業員IDに紐付けられていると、雇用主企業における管理がより用意となる。
また、雇用主企業内の担当者が操作する端末によってプリペイド設定情報ファイル内のプリペイド設定額が変更できるようにすると、プリペイド設定額を雇用主企業サイドで適宜変更できるので、この点で利便性が高くなる。また、従業員に合わせて適宜のプリペイド金の付与をすることが容易となる。
また、プリペイド設定額が変動設定額であり、就労の状況に応じて変動設定額を増加させるようにすると、就労が開始された初期や給与プリペイド導入の初期においてもプリペイド金の使用ができるようになるので、この点で利便性が高くなる。
また、プリペイド設定額が固定設定額と変動設定額である場合、いずれか大きな設定額について使用承認を判断して使用をさせるようにすると、就労の状況に応じてより有利な条件でプリペイド金の使用ができるようになるので、この点でより利便性が高くなる。
また、プリペイド設定額とは別に特別設定額が設けられていると、特別設定額は、就労の状況によらずに付与することができ、労働債権を超えることも可能なので、いわゆる前借りとしてプリペイド金を使用させることができるようになる。この点で、福利厚生としてさらに好適なものとなる。この際、特別設定額を徐々に増加させるようにすると、就労の状況によって適宜の特別設定額を付与することができ、より好適となる。
図1は、第一の実施形態の給与プリペイドシステムの概略図である。図1に示す給与プリペイドシステム(以下、単にシステムということがある。)は、雇用主企業が従業員に対して給与を支払う際に利用されるシステムである。このシステムは、決められた給与支給日よりも前に一部の給与をプリペイド金の形で従業員に前払いするためのシステムとなっている。
尚、実施形態のシステムにおいて重要なのは、プリペイド金が使用される店舗において、プリペイド金を使用する権利を有する者であることを証明し、その者を特定する情報であるプリペイドIDが提示されることである。給与プリペイドカードCは、そのような意味であるプリペイドIDを担持した媒体(以下、ID担持物という。)の一例である。
実施形態のシステムにおいて、運営事業者は、複数の雇用主企業に対して給与プリペイドカードCの発行及び管理に関するサービス(以下、給与プリペイドサービスという。)を提供している。記憶部5には、サービス提供先の雇用主企業の情報を記録した雇用主企業情報ファイル51が記憶されている。図2は、雇用主企業情報ファイルの構造の一例を示した概略図である。
図4に示すように、企業アカウント情報ファイル521は、「企業ID」、「日時」、「入金額」、「出金額」、「残高」等のフィールドから成るデータベースファイルである。「残高」は、預託金の残高を意味する。
また、各個別アカウント情報ファイル523は、「企業ID」、「共有ID」、「プリペイドID」、「日時」、「入金額」、「出金額」、「残高」等のフィールドから成るデータベースファイルである。「残高」は、個別所有部分の資金の残高を意味する。
この実施形態では、給与プリペイドカードCの発行は、プリペイドIDが記載された必要枚数の給与プリペイドカードCを運営事業者が雇用主企業にまず提供し、雇用主企業の担当者が給与プリペイドカードCを各従業員に配布することで行われる。カード提供情報ファイル53は、どの雇用主企業にどのプリペイドIDの給与プリペイドカードCが提供されたが判るようにしたファイルである。
「発行有無」のフィールドは、デフォルトは偽値のフィールドであり、後述するように従業員IDと紐付けられて給与プリペイドカードCが発行された場合に真値となるフィールドである。尚、カード提供情報ファイル53は、企業IDを使用したファイル名となっており、企業IDによって特定が可能である。
プリペイド設定情報ファイル54に記録された重要な情報は、プリペイド金の使用限度額の情報である。この実施形態では、三つの異なる使用限度額が設定されるようになっている。一つは、集計期間において一定の限度額の情報である。以下、この限度額を固定設定額と呼ぶ。もう一つは、集計期間において額が徐々に増加していく限度額の情報である。以下、この限度額を変動限度額と呼ぶ。さらにもう一つは、従業員に対して特別に設定される使用限度額である。以下、この限度額を特別設定額と呼ぶ。
図6(1−1)は、最もシンプルな例を示している。この例では、給与の締め日とカード使用の締め日が同一の例となっている。したがって、カード使用の集計期間は、給与の集計期間と同じ毎月16日から翌月15日である。
図6(1−1)の例では、毎月15日にカード使用が集計され、同月25日の給与から引き落としがされる。そして、固定設定額は、毎月15日にゼロとなるが、翌日16日には固定設定額まで回復する。即ち、プリペイド金が再チャージされる。図6(1−1)において、実線は固定設定額を示す。使用した額に応じて実際に使用可能な額は減っていく。図6(1−1)において、破線は、使用可能額の推移の一例を示している。
途中で退職した場合、直ちにカード使用は停止されるが、通常は日割りで給与が計算され、翌月に支給されるから、そこから差し引かれる。ちょうど15日で退職した場合は例外で、この場合は、その時点までの集計がされて同月25日の給与から差し引かれる。
図6(1−2)の例では、10日にカード使用が締められた後、11日には固定設定額に再チャージがされる。11日〜15日のカード使用については、15日の給与計算の際には間に合わないので、翌月10日に締められる分にカウントされ、翌月25日の給与から差し引かれる。
プリペイド設定情報ファイル54において、一意のデータはプリペイドIDである。従業員IDは、従業員情報ファイルにおけるものと同じデータである。「固定設定額」、「変動設定額」、「特別設定額」はそれぞれ上述した意味の使用限度額を記録したフィールドである。
図8に示すように、使用実績情報ファイル551は、「使用ID」、「使用日時」、「店舗ID」、「店舗名」、「使用金額」、「使用枠ID」、「固定枠合計」、「変動枠合計」、「特別枠合計」等のフィールドから成るレコードを記録したデータベースファイルである。
また、記憶部5には、抹消情報ファイル56が記憶されている。抹消情報ファイル56は、盗難や紛失などによって抹消されたカードCのプリペイドIDを記憶したファイルである。雇用主企業を退職した場合も、当該従業員についてのプリペイドIDが抹消情報ファイル56に直ちに記録される。
プリペイド発行ページには、登録ボタン114が設けられている。登録ボタン114には、確認用のページが設けられており、ここに設けられた送信ボタンは、プリペイド発行プログラム11に含まれる登録モジュールの実行ボタンとなっている。
プリペイド発行サーバ1は、プリペイド設定額の変更のためのページ(以下、設定額変更ページ)を用意している。企業内担当者から企業内担当者IDによりログインがされ、トップページから呼び出されると、プリペイド発行サーバ1は設定額変更ページを企業内担当者端末81に表示する。
図10に示すように、設定額変更ページは、従業員ID入力欄121と、プリペイド設定額表示欄122と、変更額入力欄123とを備えている。また、管理サーバ4には、プリペイド設定額変更プログラム41が実装されている。プリペイド設定額変更プログラム41は、額表示モジュールと、額変更モジュールとを含んでいる。
変更額入力欄123の横に設けられた登録ボタン125は、額変更モジュールの実行ボタンである。額変更モジュールは、プリペイド設定情報ファイル54の該当レコードの「プリペイド設定額」を変更額入力欄に入力された値で更新するようプログラミングされている。
後述するように、給与プリペイドカードCは本人認証の上で使用されるようにしても良いが、この実施形態では、給与プリペイドカードCは本人認証なしに使用されることになっている。即ち、給与プリペイドカードCの使用に際しては、プリペイドIDの取得と、有効期限内及び使用限度額内であるかの確認と、当該給与プリペイドカードCが抹消カードではないという確認がされれば足りるという技術構成となっている。以下、これらの点について説明する。
図11に示すように、使用承認プログラム21は、まずプリペイドIDで抹消情報ファイル56を検索し、抹消された給与プリペイドカードでないかどうか判断する。抹消された給与プリペイドカードであれば、その旨を承認要請プログラム91(店舗端末9)に返信し、プログラムを終了する。また、図示は省略されているが、使用承認プログラム21は、プリペイドIDに従ってプリペイド設定情報ファイルを検索し、該当するレコードの有効期限を取得する。そして、有効期限を過ぎていれば、承認不可を戻してプログラムを終了する。
ここでの決済サーバによる決済は、店舗が保有する銀行口座への送金ということでなくて、プリペイド口座6内での所有関係の変更(資金の移動)を意味している。技術的には、各プリペイド口座情報ファイル521〜524の記録を変更することに相当している。
この実施形態では、決済プログラム22は、給与プリペイドカードCの使用の際にリアルタイムで行われるようになっており、決済プログラム22は、使用承認プログラム21から呼び出されて実行される。即ち、使用承認プログラム21は、使用を承認して使用実績情報ファイル551に使用実績情報を記録した後、決済プログラム22を実行して終了する。
尚、実際の送金は、プリペイド口座6から、当該店舗が所有する銀行口座に対して行われる。これは、例えば2ヶ月に一回というような頻度で行われ、その間の決済金額を合計して銀行口座間の送金(振り込み)が行われる。
上述したように店舗に対する支払いにおける給与プリペイドカードCの使用については、給与から差し引かれる。したがって、給与計算の締め日又はそれ以前にカード使用額の集計が行われることが好ましい。例えば、給与計算の締め日が毎月15日で、給与の支給日はその月の25日の場合、集計は毎月10日に行われる。
図13に示すように、集計プログラム31は、従業員情報ファイルを開き、最初のレコードのプリペイドIDを取得する。そして、そのプリペイドIDについての使用実績情報ファイル551を開き、「固定枠合計」、「変動枠合計」、「特別枠合計」をそれぞれ取得する。次に、それらを合算し、その額(プリペイド使用総額)をプリペイドIDとともに集計用ファイル32に新規レコードを追加して記録する。集計用ファイル32は、集計時期に雇用主企業ごとに作成されるファイルであり、プリペイドID、プリペイド使用総額等を記録したデータベースファイルである。
集計プログラム31は、このようにして従業員IDを次々に読み込み、プリペイド使用総額を算出し、その額を集計用ファイル32の新規レコードに記録する。尚、図13では省略されているが、実際には、運営事業者は多数の雇用主企業にサービスを提供しており、集計プログラム31は、各雇用主企業における各従業員IDについて実行され、集計用ファイル32は、雇用主企業ごとに作成される。集計用ファイル32は、企業IDを使用したファイル名とされ、企業IDによって特定が可能となっている。
運営事業者は、給与プリペイド導入について各事業主企業に募り、応じてきた企業と契約を取り交わす。契約には、給与プリペイドカード発行枚数(プリペイドIDの発行数)と一人あたり(プリペイドID一個あたり)の初期のプリペイド設定額(プリペイド金初期値)が含まれる。契約した事業主企業は、預託金をプリペイド口座6に振り込む。
運営事業者は、契約書に記載された枚数の給与プリペイドカードCを雇用主企業に提供する。この際、カード提供情報ファイル53が作成され、提供された各給与プリペイドカードCのプリペイドIDがファイルに記録される。
尚、いわゆるプリペイドカードと同様の意味(狭義の意味)で捉えると、使う人自身が保有している資金ということになるから、プリペイド口座6うち共用アカウント62と各個別アカウント63の部分がプリペイド口座ということになる。この点を、図3中に破線で示す。
第二の実施形態では、給与プリペイドカードCが、従業員の私用だけではなく、当該雇用主企業の業務において必要な支払いという用途(以下、社用という。)のために使用できるようになっている。この点が上記実施形態と異なっている。
また、社用での使用のため、当該プリペイドIDについては、固定設定額は通常より高い額とされる。雇用主企業の企業内担当者は、社用での使用が許可されている従業員について、通常よりも固定設定額を高くするよう設定額変更ページで設定を行う。
図15は、第二の実施形態における使用実績情報ファイル551の構造の一例を示した概略図である。図15に示すように、この実施形態では、使用実績情報ファイル551の各レコードは、「用途種別」のフィールドと、「社用承認」のフィールドを有している。
図16に示すように、用途入力ページでは、当月のカード締め日で締められた自身の使用実績情報がリスト表示されるようになっている。各許可従業員には、用途入力ページにアクセスするためのログインIDとパスワードが提供される。ログインIDは、プリペイドIDと同じものとするか、又は企業IDと従業員IDを組み合わせたものとされる。許可従業員が自身の端末(PC、スマートフォン等)82を使用してログインIDとパスワードを送信してログインすると、図16に示す用途入力ページが表示される。用途入力ページを表示するモジュールは、ログインIDに対応するプリペイドIDに従って使用実績情報ファイル551を開き、当月の情報を図14に示すようにリスト表示するようプログラミングされている。
具体的に説明すると、社用承認プログラム42は、社用承認ページを企業内担当者端末81に表示するモジュールを含んでいる。図17は、社用承認ページの一例を示した概略である。
図17に示すように、リストの各行には、用途種別表示欄423と、承認用のチェックボックス(以下、承認入力欄)424が設けられている。用途種別表示欄423は、使用実績情報ファイル551の「用途種別」の値が表示される。デフォルトの値は「社用」であるので、許可従業員が変更していない限り、「社用」の表示となる。この点は、社用での使用が多いことを想定し、変更入力の手間を大幅に削減することを考慮したものである。
「社用」の表示がされている行の使用について、企業内担当者は、給与プリペイドカードCが使用された店舗名や摘要の情報から社用を承認して良いかどうか判断し、良い場合には承認入力欄(チェックボックス)424にチェックを入れる。
図18に示すように、この実施形態においても、集計プログラム31は、最初の従業員IDを読み込み、その従業員IDについてのプリペイド設定情報ファイル54を開き、プリペイド設定額を取得する。次に、その従業員IDについての使用実績情報ファイル551を開き、その時点でのプリペイド残高(最後のレコードのプリペイド残高のフィールドの値)を取得する。その上で、両者の差額を計算し、一時的に変数に格納する。
第三の実施形態では、プリペイド口座6の構成が上記各実施形態と行っている。図19に示すように、第三の実施形態では、プリペイド口座(広義のプリペイド口座)6は、企業アカウントを含んでいない。そして、プリペイド口座6とは別の銀行口座として、企業アカウント口座60が設けられる。
第四の実施形態の給与プリペイドシステムは、他事業者が行うプリペイドサービスを利用するものとなっており、この点が上記各実施形態と異なっている。例えば、銀行口座にある資金(預金)を根拠にプリペイドカードを発行するサービスを銀行系の事業者が提供する場合があり得るが、このような事業者が他事業者に該当する。以下、他事業者のプリペイドカードサービスを他事業者サービスという。
また、ID担持物がいわゆるデポジットカードである場合もあり得る。デポジットカードは、一般的には、発行に際してデポジット金(保証金)が必要なクレジットカードである。本願発明において、例えば給与プリペイドカードCについて、預託金とは別に保証金を預けてもらう場合があり得る。預託金がゼロとなり、使用についての充填ができなくなった場合、保証金を取り崩して精算する場合があり得る。このような給与プリペイドカードCは、発行に際して保証金を拠出してもらっているので、デポジットカードと呼び得る。
使用の際に本人認証が要求される場合、給与プリペイドカードCは、本人確認の上で提供される。即ち、本人限定型の書留郵便等の方法により本人確認の上で提供される。
11 カード発行プログラム
2 使用承認サーバ
21 使用承認プログラム
22 決済プログラム
3 集計サーバ
31 集計プログラム
4 管理サーバ
5 記憶部
54 プリペイド設定情報ファイル
6 プリペイド口座
61 企業アカウント
62 共有アカウント
63 個別アカウント
64 店舗アカウント
7 額増加サーバ
71 額増加プログラム
81 企業内担当者端末
9 店舗端末
C 給与プリペイドカード(ID担持物)
Claims (12)
- 雇用主企業が従業員に対して給与を前払いする際に利用される給与プリペイドシステムであって、
プリペイド金の使用を承認する使用承認サーバと、プリペイド金の使用額を集計する集計サーバと、記憶部とを備えており、
記憶部には、従業員の就労状況に応じて設定されたプリペイド設定額を記録したプリペイド設定情報ファイルと、プリペイド金の使用実績を記録した使用実績情報ファイルとが記憶されており、
使用実績情報ファイルは、プリペイド金を使用する権利を有する従業員を特定するプリペイドIDと、集計期間内でのプリペイド金の使用額とを記録したファイルであり、
使用承認サーバは、ネットワークを介して店舗側コンピュータからのアクセスを受け付けるサーバであって、店舗側コンピュータからプリペイドIDと使用要請額とがネットワークを介して送信した際、当該プリペイドIDについてのそれまでのプリペイド金の使用合計額と送信された使用要請額とを加算した額がプリペイド設定額以下である場合に当該店舗側コンピュータに使用承認情報を送信し、使用要請額を当該プリペイドIDについて使用実績情報ファイルに記録するサーバであり、
集計サーバは、集計期間内のプリペイド金の使用合計額を使用実績情報ファイルから取得するサーバであって、使用合計額を給与支払日に支払われる給与から差し引くために集計用ファイルに記録するサーバであることを特徴とする給与プリペイドシステム。 - 前記記憶部には、
前記プリペイド金の使用のための資金を預けたプリペイド口座の情報を記録したプリペイド口座情報ファイルが記憶されており、
プリペイド口座情報ファイルは、各プリペイドIDについて従業員が個別に所有する預金である個別所有預金の情報と、各店舗が所有する預金である店舗所有預金の情報が記録されており、
前記使用承認サーバで承認されたプリペイド金の使用について当該使用を行ったプリペイドIDに係る個別所有預金から使用要請額を当該店舗に係る店舗所有預金に移す決済サーバが設けられていることを特徴とする請求項1記載の給与プリペイドシステム。 - 前記プリペイド情報ファイルには、前記プリペイド金の使用のために前記雇用主企業が預けた預託金である企業所有預金の情報と、当該雇用主企業に所属してプリペイド金を使用する権利を有する全従業員が共同所有する預金である共有預金の情報とが記録されており、
前記決済サーバは、使用要請額を前記店舗所有預金に移す際、当該使用要請額を共有預金から前記個別所有預金に移し、その後、前記店舗所有預金に移すサーバであり、
前記決済サーバが使用要請額を前記共有預金から前記個別所有預金に移した際、当該使用要請額を企業所有預金から共同所有に移す充填サーバが設けられていることを特徴とする請求項2記載の給与プリペイドシステム。 - 前記使用実績情報ファイルは、プリペイド金の使用が前記雇用主企業における社用であるか否かを記録しており、社用であるか否かの記録は、前記雇用主企業の担当者又は当該プリペイドIDに係る従業員が端末を操作することで変更可能となっており、
前記集計サーバは、 集計期間において承認された前記使用要請額のうち社用でない使用について前記使用要請額の合計をプリペイドIDごとに計算するサーバであることを特徴とする請求項2又は3記載の給与プリペイドシステム。 - 前記プリペイド設定情報ファイルには、前記雇用主企業において従業員を識別する情報である従業員IDが前記プリペイドIDに紐付けられた状態で記録されていることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の給与プリペイドシステム。
- 前記プリペイド設定情報ファイルには、プリペイド金初期値が記録されており、
前記プリペイド設定額は、初期的にはプリペイド金初期値と同じ値であり、
雇用主企業内の担当者が操作する端末からアクセスがされる管理サーバが設けられており、
管理サーバには、企業内担当者が操作する端末からの要求に従って前記プリペイド設定額を変更する設定額変更プログラムが実装されていることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の給与プリペイドシステム。 - 前記プリペイド設定額は、集計期間において変動する変動設定額であり、
変動設定額であるプリペイド設定額を、従業員の就労状況に応じて集計期間内で徐々に増加させていく額増加サーバが設けられており、
額増加サーバは、増加させた各プリペイド使用限度額を前記プリペイド設定情報ファイルに記録するサーバであることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の給与プリペイドシステム。 - 前記プリペイド設定額は、集計期間において一定である固定設定額と、集計期間において変動する変動設定額であり、
前記プリペイド設定情報ファイルには、固定設定額と変動設定額とがプリペイドIDごとに記憶されており、
変動設定額であるプリペイド設定額を、従業員の就労状況に応じて集計期間内で徐々に増加させていく額増加サーバが設けられており、
額増加サーバは、増加させた各変動設定額を前記プリペイド設定情報ファイルに記録するサーバであり、
前記使用承認サーバは、前記承認要請が送信された時点において固定設定額と変動設定額とを比較して大きい方の設定額に係る使用合計額と前記承認要請額とを加算し、加算した額が当該大きい方の設定額以下である場合に前記使用承認の送信をするサーバであることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の給与プリペイドシステム。 - 前記プリペイド設定情報ファイルには、前記プリペイド設定額とは別に、就労状況によらないプリペイド金の使用の限度額であって労働債権を越え得る特別設定額がプリペイドIDごとに記録されており、
前記使用承認サーバは、前記承認要請が送信された時点において前記プリペイド設定額と特別設定額とを比較して大きい方の設定額に係る使用合計額と前記承認要請額とを加算し、加算した額が当該大きい方の設定額以下である場合に前記使用承認の送信をするサーバであることを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載の給与プリペイドシステム。 - 前記特別設定額を、集計期間内で徐々に増加さていく特別設定額増加サーバが設けられており、特別設定額増加サーバは、増加させた特別設定額を前記プリペイド設定情報ファイルに記録するサーバであることを特徴とする請求項9記載の給与プリペイドシステム。
- 前記プリペイド金は、通貨建て資産、仮想通貨、暗号資産、ポイントカードにおけるポイント、トークン又は電子マネーであることを特徴とする請求項1乃至10いずれかに記載の給与プリペイドシステム。
- 前記プリペイドIDは、ID担持物に担持された状態で店舗に提示される情報であり、
ID担持物は、カード、モバイル端末又は認証可能な生体特徴部分であることを特徴とする請求項1乃至11記載の給与プリペイドシステム。
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