以下に、本発明の実施形態に係る携帯型電子機器につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
図1から図6を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、携帯型電子機器に関する。図1は、実施形態に係る電子時計を示す図、図2は、実施形態に係る電子時計のブロック図、図3は、実施形態の加速度センサの動作を示すタイムチャート、図4は、実施形態の加速度センサの動作を示す他のタイムチャート、図5は、加速度センサの動作と傾斜センサの動作との関係を示すタイムチャート、図6は、実施形態の電子時計の動作を示すフローチャートである。
図1に示す電子時計1は、実施形態に係る携帯型電子機器の一例である。電子時計1は、外部機器3との間で無線通信を行う機能、およびユーザの活動量を算出する機能を有する。電子時計1は、図1に示すように、アナログ表示部26および外装ケース29を有する。
アナログ表示部26は、ケース本体29eの内部空間に収容されている。アナログ表示部26は、文字板26a、秒針26b、分針26c、時針26d、および日板26eを有する。ケース本体29eには、リューズ27、第一ボタン30A、および第二ボタン30Bが配置されている。リューズ27の端部は、ケース本体29eの側面から突出している。第一ボタン30Aおよび第二ボタン30Bは、ケース本体29eの側面から突出している。第一ボタン30Aは、リューズ27に対して周方向の一方側に位置し、第二ボタン30Bは、リューズ27に対して周方向の他方側に位置している。
図2に示すように、電子時計1は、更に、通信部22、制御部23、電源部24、および駆動機構25を有する。通信部22は、アンテナ21、通信モジュール22a、および変換部22bを有する。アンテナ21は、近距離無線通信の電波を送受信する。アンテナ21は、通信モジュール22aと接続されている。通信モジュール22aは、外部機器3との間で近距離無線通信を行う通信制御モジュールである。通信モジュール22aは、例えば、Bluetooth(登録商標)のプロトコルによって外部機器3と通信する。変換部22bは、シリアル信号をパラレル信号に変換、あるいはパラレル信号をシリアル信号に変換する。
制御部23は、電子時計1の各種の回路や機構を制御する。制御部23は、マイクロコントローラ23a、モータ駆動回路23b、不揮発性メモリ23c、およびRTC(Real Time Clock)23dを有する。マイクロコントローラ23aは、演算部23e、RAM(Random Access Memory)23f、およびROM(Read Only Memory)23gを有する。
演算部23eは、ROM23gに格納されたプログラムに従って各種の情報処理を行う。演算部23eは、例えば、RTC23dから出力されるクロック信号に基づいて電子時計1の内部時刻を算出する。また、本実施形態の演算部23eは、後述するように、加速度センサ4の検出結果に基づいてユーザの活動量を算出する。RAM23fは、演算部23eのワークメモリとして機能する。RAM23fには、演算部23eの処理対象となる情報が書き込まれる。
モータ駆動回路23bは、時計内部時刻に基づいて駆動機構25を制御する。不揮発性メモリ23cは、電源部24から制御部23に対して電力が供給されていない場合や、電子時計1を再起動する場合に情報を保持するメモリである。
電源部24は、電子時計1の動力源である。電源部24は、通信部22、制御部23、駆動機構25等に対して電力を供給する。電源部24は、発電回路24a、電圧源24b、および電圧検出回路24cを有する。発電回路24aは、発電機構であり、発電した電力を電圧源24bに蓄電する。本実施形態の発電回路24aは、ソーラーセルを有する光発電機構である。電圧源24bは、充放電可能な二次電池を含む。電圧検出回路24cは、電圧源24bの電圧を検出する回路である。電圧検出回路24cの検出結果は、マイクロコントローラ23aに出力される。
本実施形態の駆動機構25は、三つのステップモータ25a,25b,25cを有する。ステップモータ25aは、秒針26bを運針させるモータである。ステップモータ25bは、分針26cおよび時針26dを運針させるモータである。ステップモータ25cは、日板26eを回転させるモータである。ステップモータ25a,25b,25cは、モータ駆動回路23bから出力される駆動信号によって駆動される。
不揮発性メモリ23cは、ペアリング情報、ユーザのプロファイル情報、活動量データ等を記憶する。ペアリング情報は、通信部22と外部機器3との間のペアリングに関する情報であり、例えば、ペアリング用のパスキーを含む。ユーザのプロファイル情報は、例えば、ユーザの身長および体重を含む。活動量データは、加速度センサ4の検出結果に基づいて算出されたユーザの活動量である。
本実施形態の電子時計1は、加速度センサ4および傾斜センサ5を有する。加速度センサ4および傾斜センサ5の検出結果は、制御部23に出力される。加速度センサ4および傾斜センサ5は、電源部24から供給される電力によって機能する。
加速度センサ4は、電子時計1の加速度を検出するセンサである。加速度センサ4は、例えば、電子時計1の三次元の加速度を検出する。本実施形態の加速度センサ4は、互いに直交している三方向の加速度を検出する。加速度センサ4は、検出した加速度の大きさに応じた振幅の信号を出力する。例えば、加速度センサ4が出力する信号の振幅は、検出した加速度の絶対値が大きいほど大きな振幅となる。
本実施形態の加速度センサ4は、電力が供給されている場合に、アクティブモードまたはスリープモードで動作する。アクティブモードは、スリープモードと比較して高感度や高分解能で加速度を検出することができる動作モードである。アクティブモードにおける加速度センサ4のサンプリング周波数は、スリープモードにおける加速度センサ4のサンプリング周波数よりも高い周波数である。
図3および図4を参照して、加速度センサ4におけるモード移行について説明する。加速度センサ4は、アクティブモードにおいて、検出された加速度の大きさが第一閾値以下となると、スリープモードに移行する。第一閾値は、例えば、電子時計1が実質的な静止状態にあるか否かを判定する値である。図3では、検出された加速度の大きさが時刻t0に第一閾値よりも小さくなり、「動きなし」と判定されて加速度センサ4がアクティブモードからスリープモードへ移行する。
制御部23は、加速度センサ4がスリープモードで動作しているときに、スリープモードの継続時間をタイマによってカウントする。制御部23は、タイマのカウント時間が所定時間Tsに到達すると、加速度センサ4に対する電力供給を停止させる。所定時間Tsは、例えば、10秒である。図3では、時刻t1にスリープモードの継続時間が所定時間Tsに達して電力供給が停止される。以下の説明において、加速度センサ4において電力が供給されていない状態を「停止状態」と称する。また、加速度センサ4が停止状態である期間を「停止期間」と称する。
加速度センサ4は、スリープモードにおいて第一閾値を超える加速度を検出すると、自動的に起動してアクティブモードに移行する。図4に示す例では、加速度センサ4は、時刻t10にアクティブモードからスリープモードへ移行する。時刻t11に第一閾値を超える加速度が検出され、加速度センサ4がスリープモードからアクティブモードへ移行する。
傾斜センサ5は、電子時計1の姿勢の変化を検出するセンサである。傾斜センサ5は、電子時計1の傾斜角度に応じてオン出力またはオフ出力の何れかを出力する。つまり、傾斜センサ5は、傾斜角度の変化に応じて出力値がオン出力からオフ出力に、またはオフ出力からオン出力に切り替わる。傾斜センサ5は、例えば、入力電極および出力電極の二つの電極を有するスイッチである。この場合、傾斜センサ5は、傾斜角度に応じて、二つの電極が電気的に遮断されている状態および二つの電極が導通されている状態の何れかの状態となる。傾斜センサ5は、入力電極に対して電源部24の電力が供給されている場合、姿勢の変化に応じて出力値が変化する。一方、傾斜センサ5は、入力電極に対して電源部24から電力が供給されていない場合、出力値が変化しない。
図5を参照して、加速度センサ4の動作と傾斜センサ5の動作との関係について説明する。制御部23は、傾斜センサ5を連続モードまたは間欠モードで動作させる。連続モードは、傾斜センサ5が電力の供給を受け続ける動作モードである。つまり、連続モードでは、傾斜センサ5が電子時計1の姿勢の変化を常時監視し、電子時計1の姿勢に応じた値を出力し続ける。
一方、間欠モードは、傾斜センサ5が間欠的に電力の供給を受ける動作モードである。つまり、間欠モードでは、電子時計1の姿勢に応じて傾斜センサ5の出力値が変化する動作期間と、電子時計1の姿勢が変化しても傾斜センサ5の出力値が変化しない非動作期間とが交互に繰り返される。間欠モードでは、例えば、5分間に一回、傾斜センサ5に対して電力が1秒間供給される。つまり、間欠モードの傾斜センサ5では、5分ごとに1秒の動作期間が設けられる。従って、傾斜センサ5は、5分ごとに電子時計1の姿勢の変化を1秒間監視する。
制御部23は、加速度センサ4が電力の供給を受けている場合に傾斜センサ5のモードを間欠モードとする。一方、制御部23は、加速度センサ4に対する電力供給を停止させると、傾斜センサ5のモードを連続モードとする。図5では、時刻t20に加速度センサ4に対する電力供給が開始され、傾斜センサ5のモードが間欠モードに切り替わる。時刻t21に加速度センサ4がスリープモードに移行し、時刻t22に停止状態となる。制御部23は、時刻t22に加速度センサ4に対する電力供給を停止させると、傾斜センサ5のモードを間欠モードから連続モードに変更する。
制御部23は、加速度センサ4の停止期間において、加速度センサ4を起動させるか否かの起動判定を行う。起動判定は、傾斜センサ5の出力値の変化に基づいてなされる。図5では、制御部23は、時刻t23に傾斜センサ5の出力値の変化に基づき、加速度センサ4を起動させると判定する。制御部23は、傾斜センサ5の出力値の変化が一回発生した場合に加速度センサ4を起動させてもよく、出力値の変化が複数回発生した場合に加速度センサ4を起動させてもよい。加速度センサ4は、電力が供給されると停止状態から復帰して加速度の検出を再開する。
図2に示すように、本実施形態の電子時計1は、更に、光センサ6を有する。光センサ6は、発電回路24aに当たる光を検出する受光素子を有する。光センサ6は、受光素子が受光した光量に応じた信号を出力する。光センサ6の検出結果は、制御部23に出力される。
図1に示す外部機器3は、電子時計1のユーザが所有する機器であり、ユーザによって使用される。外部機器3は、典型的には、スマートフォン等の携帯型の端末機器である。外部機器3は、近距離無線通信を実行する機能を有する。また、外部機器3は、インターネット網100を介して外部サーバ200と通信する機能を有する。外部機器3は、筐体31およびタッチパネル32を有する。タッチパネル32は、画像表示面に重畳されている。ユーザは、タッチパネル32に対する入力動作によって外部機器3を操作することができる。
実施形態の外部機器3は、活動量管理アプリケーションを実行することができる。活動量管理アプリケーションは、電子時計1によって算出されたユーザの活動量を記録して管理するためのアプリケーションである。外部機器3は、無線通信によって電子時計1からユーザの活動量データを取得する。
電圧源24bから加速度センサ4および傾斜センサ5に対する電力供給は、制御部23によって制御される。電子時計1は、例えば、加速度センサ4に対する電力供給を制御する第一IC、および傾斜センサ5に対する電力供給を制御する第二ICを有する。制御部23は、第一ICおよび第二ICによって、加速度センサ4および傾斜センサ5に対する電力供給を制御する。
本実施形態の制御部23は、加速度センサ4の検出結果に基づいてユーザの活動量を算出する。ユーザの活動量には、例えば、ユーザの歩行歩数やユーザの消費カロリーが含まれる。活動量のうち、消費カロリーは、加速度センサ4の検出結果に加えてユーザのプロファイル情報に基づいて算出される。ユーザのプロファイル情報は、ユーザの身長および体重を含む。一方、ユーザの歩行歩数は、プロファイル情報を参照することなく算出可能である。本実施形態の電子時計1は、外部機器3から無線通信によってユーザのプロファイル情報を取得するように構成されている。電子時計1は、取得したプロファイル情報を不揮発性メモリ23cに記録すると共に、取得したプロファイル情報に基づいてユーザの活動量を算出する。
制御部23による活動量の算出方法の一例について説明する。加速度センサ4は、検出した加速度データを加速度センサ4の内部メモリに蓄積する。加速度センサ4は、一定量の加速度データを内部メモリに蓄積すると、蓄積データを制御部23に出力する。加速度センサ4は、例えば、2秒間隔で、蓄積した加速度データを制御部23に出力する。
制御部23は、加速度センサ4から受信した加速度データを活動量データに変換する。このときに、制御部23は、まず加速度データをRAM23fに記憶させる。更に、制御部23は、活動量変換アルゴリズムに基づいて加速度データを歩数や消費カロリー等の活動量データに変換する。制御部23は、算出した活動量データをRAM23fに記憶させる。制御部23は、RAM23fに記憶させた活動量データを定期的に不揮発性メモリ23cに記憶させる。不揮発性メモリ23cに記憶されている活動量データは、無線通信によって定期的に外部機器3に送信される。本実施形態の電子時計1は、活動量データを1日に一回、外部機器3に送信する。
本実施形態の電子時計1は、電子時計1の消費電力を抑制するパワーセーブモードを有する。パワーセーブモードでは、例えば、秒針26bの運針が停止される。パワーセーブモードにおいて、更に、分針26cおよび時針26dの運針が停止されてもよい。制御部23は、例えば、加速度センサ4の状態および光センサ6の検出結果に基づいて電子時計1をパワーセーブモードに移行させる。本実施形態の制御部23は、加速度センサ4の停止状態が30分間継続し、かつ光センサ6によって検出される光量が所定値以下である場合に電子時計1をパワーセーブモードに移行させる。
制御部23は、電子時計1をパワーセーブモードに移行させる際に、傾斜センサ5のモードを連続モードとする。制御部23は、パワーセーブモードにおいて復帰条件が成立すると電子時計1をパワーセーブモードから復帰させる。復帰条件は、傾斜センサ5が電子時計1の姿勢変化を検出したこと、および光センサ6によって検出される光量が所定値を超えたこと、の少なくとも一方である。制御部23は、復帰条件が成立すると、停止されていた運針を再開させて電子時計1を通常モードに移行させる。
また、制御部23は、電子時計1の姿勢変化が検出された場合、電子時計1をパワーセーブモードから復帰させると共に加速度センサ4を停止状態から復帰させる。これにより、ユーザが電子時計1の使用を開始した場合に、加速度センサ4が速やかに動作を開始して活動量データの算出を開始する。一方、制御部23は、電子時計1の姿勢変化が検出されずに電子時計1をパワーセーブモードから復帰させる場合、加速度センサ4を停止状態のままとする。これにより、加速度センサ4による電力消費が抑制される。
図6のフローチャートを参照しながら本実施形態の電子時計1の全体的な動作について説明する。図6に示すフローチャートは、傾斜センサ5を連続モードに移行させる際に開始される。ステップS10において、制御部23は、傾斜センサ5のモードを連続モードとする。
次に、ステップS20において、制御部23は、傾斜センサ5によって姿勢の変化が検出されたか否かを判定する。この姿勢の変化は、電子時計1を装着しているユーザの活動による姿勢の変化である。制御部23は、例えば、予め定められた期間に傾斜センサ5の出力値の変化が予め定められた所定回数以上発生した場合に、ステップS20において肯定判定する。つまり、制御部23は、傾斜センサ5の出力値の変化回数が所定回数未満であれば、電子時計1の姿勢が変化したと判定しない。所定回数は、1回であっても、複数回であってもよい。ステップS20の判定の結果、電子時計1の姿勢の変化が検出されたと肯定判定された場合にはステップS30に進み、否定判定された場合にはステップS20の判定が繰り返される。
ステップS30において、制御部23は、加速度センサ4を起動させる。制御部23は、電源部24から加速度センサ4に対する電力供給を開始させる。次に、ステップS40において、制御部23は、傾斜センサ5のモードを間欠モードとする。ステップS40が実行されるとステップS50に進む。
ステップS50において、制御部23は、ユーザの活動量を計測する。制御部23は、加速度センサ4によって検出された加速度の値と、ユーザのプロファイル情報とに基づいて活動量を算出する。制御部23は、算出された活動量データをRAM23fに記録する。ステップS50が実行されると、ステップS60に進む。
ステップS60において、制御部23は、加速度センサ4によって加速度が検出されているか否かを判定する。制御部23は、加速度センサ4によって検出されている加速度の大きさが判定閾値以上である場合にステップS60において肯定判定する。一方、制御部23は、判定閾値以上の加速度が検出されていない場合、ステップS60で否定判定する。ステップS60で肯定判定されるとステップS50に移行し、否定判定されるとステップS70に進む。
ステップS70において、制御部23は、加速度センサ4が加速度非検出の状態となってから所定時間Tsが経過したか否かを判定する。言い換えると、制御部23は、加速度センサ4による検出加速度が実質的な静止状態を示す値である状態が所定時間Ts継続したかを判定する。ステップS70において肯定判定された場合にはステップS80に進み、否定判定された場合にはステップS50に移行する。
ステップS80において、制御部23は、加速度センサ4を停止させる。制御部23は、加速度センサ4に対する電力供給を停止させ、加速度センサ4を停止状態とする。次に、ステップS90において、制御部23は、傾斜センサ5のモードを連続モードとする。ステップS90が実行されると、ステップS100に進む。
ステップS100において、制御部23は、傾斜センサ5によって姿勢の変化が検出されたか否かを判定する。ステップS100における判定方法は、ステップS20における判定方法と同様である。ステップS100の判定の結果、肯定判定された場合にはステップS110に進み、否定判定された場合にはステップS130に進む。
ステップS110において、制御部23は、加速度センサ4を起動させる。次に、ステップS120において、制御部23は、傾斜センサ5のモードを間欠モードとする。ステップS120が実行されると、本制御フローは終了する。
ステップS130において、制御部23は、パワーセーブモードへの移行条件が成立したか否かを判定する。パワーセーブモードへの移行条件は、電子時計1の姿勢変化が一定時間検出されていないこと、および光センサ6によって検出される光量が所定値以下であること、の両方である。ステップS130において移行条件が成立したと肯定判定された場合にはステップS140に進み、否定判定された場合にはステップS100に移行する。
ステップS140において、制御部23は、電子時計1をパワーセーブモードへ移行させる。ステップS140が実行されると、本制御フローは終了する。
本実施形態の制御部23は、傾斜センサ5に関する動作ログをRAM23fに記録する。動作ログは、傾斜センサ5のモードが間欠モードである場合だけでなく、傾斜センサ5のモードが連続モードである場合にも記録される。例えば、加速度センサ4がスリープモードである場合に傾斜センサ5が連続モードとされる場合、連続モードにおいても動作ログが記録される。制御部23は、傾斜センサ5のモードが間欠モードである場合、1秒間の動作期間において傾斜センサ5の出力値が変化しなかった場合、RAM23fに動作ログを記録する。例えば、動作期間における傾斜センサ5の出力値の変化回数が所定回数未満である場合、傾斜センサ5の出力値が変化しなかったとされる。制御部23は、動作ログとして、例えば、動作ログを記録する時刻、傾斜センサ5のモード、および加速度センサ4の出力値を記録する。
制御部23は、傾斜センサ5のモードが連続モードである場合、5分ごとに傾斜センサ5の1秒間における出力値をモニタする。制御部23は、この1秒間において傾斜センサ5の出力値が変化しなかった場合、RAM23fに動作ログを記録する。動作ログの項目は、例えば、間欠モードにおける項目と同様である。
制御部23は、間欠モードにおける傾斜センサ5の出力値に基づいて所定の処理を実行する。本実施形態の所定の処理は、以下に説明するように、異常検出処理および感度調整処理を含む。
異常検出処理は、加速度センサ4の異常または傾斜センサ5の異常を検出する処理である。例えば、制御部23は、傾斜センサ5の動作期間において、傾斜センサ5の出力値の変化が検出され、かつ同じ動作期間において加速度センサ4の出力値が実質的な静止状態を示す値であったとすると、加速度センサ4が異常であると判定する。つまり、制御部23は、傾斜センサ5によって電子時計1の姿勢変化が検出されているにもかかわらず加速度センサ4の出力値が実質的な静止状態を示す値である場合、加速度センサ4の異常と判定する。制御部23は、例えば、加速度センサ4によって検出された加速度の大きさが判定閾値以下である場合に、電子時計1が実質的な静止状態にあると判定する。判定閾値は、ユーザが活動状態であるか否かを判定する閾値である。判定閾値は、スリープモードへの移行判定に用いられる第一閾値と同じ値であってもよく、異なる値であってもよい。
制御部23は、動作期間において傾斜センサ5の出力値の変化が検出され、かつ同じ動作期間において加速度センサ4がスリープモードであり続けた場合に加速度センサ4が異常であると判定してもよい。なお、加速度センサ4の異常には、加速度センサ4自体の故障、加速度センサ4を制御する制御回路の異常、および加速度センサ4の感度不足が含まれる。
また、制御部23は、傾斜センサ5の動作期間において、傾斜センサ5の出力値の変化が検出されず、かつ加速度センサ4の出力値が運動状態を示す値である場合、傾斜センサ5が異常であると判定する。つまり、制御部23は、加速度センサ4によって電子時計1の運動が検出されているにもかかわらず傾斜センサ5の出力値が変化しない場合、傾斜センサ5の異常であると判定する。制御部23は、動作期間において傾斜センサ5の出力値が変化せず、かつ同じ動作期間において加速度センサ4がアクティブモードであり続けた場合に傾斜センサ5が異常であると判定してもよい。なお、傾斜センサ5の異常には、傾斜センサ5自体の故障、傾斜センサ5を制御する制御回路の異常、および傾斜センサ5の感度不足が含まれる。
制御部23は、異常検出処理を一日に一度行ってもよい。例えば、制御部23は、RAM23fに記録された動作ログに基づいて異常検出処理を行う。制御部23は、一日分のログデータにおいて、加速度センサ4の異常を示すログの数、および傾斜センサ5の異常を示すログの数をカウントする。制御部23は、加速度センサ4の異常を示すログ数、および傾斜センサ5の異常を示すログ数をRAM23fに記録する。制御部23は、異常を示すログ数が一定の回数以上である場合に、加速度センサ4や傾斜センサ5の異常と判定する。
感度調整処理は、加速度センサ4または傾斜センサ5の感度を調整する処理である。例えば、制御部23は、傾斜センサ5の動作期間において、傾斜センサ5の出力値の変化が検出され、かつ同じ動作期間において加速度センサ4の出力値が実質的な静止状態を示す値であったとすると、加速度センサ4の感度を調整する。この場合、制御部23は、加速度センサ4の感度を上げる。例えば、制御部23は、判定閾値を小さな値に変更することで加速度センサ4の感度を上げることができる。なお、制御部23は、傾斜センサ5の動作期間において、傾斜センサ5の出力値の変化が検出され、かつ加速度センサ4がスリープモードであり続けた場合にスリープ判定の第一閾値を小さな値に変更してもよい。
制御部23は、加速度センサ4の異常を示すログ数に基づいて加速度センサ4の感度を調整してもよい。例えば、加速度センサ4の異常を示すログ数が一定回数を超えた場合に加速度センサ4の感度が上げられてもよい。制御部23は、加速度センサ4の異常判定がなされなくなるまで、加速度センサ4の感度を段階的に上げてもよい。また、制御部23は、加速度センサ4の感度を上げたにもかかわらず加速度センサ4の異常を示すログ数が減少しない場合、加速度センサ4または制御回路の故障と判断してもよい。
制御部23は、動作期間において傾斜センサ5の出力値の変化が検出されず、かつ加速度センサ4の出力値が運動状態を示す値である場合、傾斜センサ5の感度を調整する。この場合、制御部23は、傾斜センサ5の感度を上げる。例えば、制御部23は、間欠モードにおける一回の動作期間を長くすることで傾斜センサ5の感度を上げることができる。動作期間が短すぎる場合、姿勢の変化に伴う傾斜センサ5の振動波形を検出しきれないことがある。この場合に、動作期間が長くされることで、傾斜センサ5の振動波形が検出されやすくなる。
制御部23は、傾斜センサ5の異常を示すログ数に基づいて傾斜センサ5の感度を調整してもよい。例えば、傾斜センサ5の異常を示すログ数が一定回数を超えた場合に傾斜センサ5の感度が上げられてもよい。制御部23は、傾斜センサ5の異常判定がなされなくなるまで傾斜センサ5の感度を段階的に上げてもよい。また、制御部23は、傾斜センサ5の感度を上げたにもかかわらず傾斜センサ5の異常を示すログ数が減少しない場合、傾斜センサ5または制御回路の故障と判断してもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る電子時計1は、加速度を検出する加速度センサ4と、傾斜角度に応じてオン出力およびオフ出力の何れかとなる傾斜センサ5と、加速度センサ4および傾斜センサ5を制御する制御部23と、を有する。電子時計1は、携帯型電子機器の一例である。制御部23は、加速度センサ4が動作している場合、傾斜センサ5のモードを間欠モードとする。加速度センサ4が動作している場合に傾斜センサ5のモードを間欠モードとすることで、二つのセンサ4,5が共に有効な時期を設けて出力を比較し、互いの動作を確認することができる。
本実施形態の制御部23は、間欠モードにおける傾斜センサ5の出力値に基づいて所定の処理を実行する。所定の処理は、例えば、異常検出処理や感度調整処理である。本実施形態に係る電子時計1は、加速度センサ4が動作しているときの傾斜センサ5の出力値を用いて各種の処理を行い、加速度センサ4および傾斜センサ5を有効活用することができる。
本実施形態の制御部23は、間欠モードの動作期間において、傾斜センサ5の出力値の変化が検出され、かつ加速度センサ4の出力値が実質的な静止状態を示す値である場合、加速度センサ4が異常であると判定する。二つのセンサ4,5の出力値に基づいて加速度センサ4の異常を判定可能となり、センサ4,5を有効活用することができる。
本実施形態の制御部23は、間欠モードの動作期間において、傾斜センサ5の出力値の変化が検出されず、かつ加速度センサ4の出力値が運動状態を示す値である場合、傾斜センサ5が異常であると判定する。二つのセンサ4,5の出力値に基づいて傾斜センサ5の異常を判定可能となり、センサ4,5を有効活用することができる。
本実施形態の所定の処理は、間欠モードにおいて傾斜センサ5の出力値の変化が検出されなかった動作期間の回数をカウントし、当該回数に応じて間欠モードにおける動作期間の長さを調整する処理である。加速度センサ4が動作しているときに傾斜センサ5の出力値の変化が検出されないとすれば、傾斜センサ5の動作期間の長さが適切でない可能性がある。こうした場合に動作期間の長さが調整されることで、傾斜センサ5を有効活用することができる。
[実施形態の第1変形例]
実施形態の第1変形例について説明する。図7は、実施形態の第1変形例の電子時計に係るタイムチャート、図8は、実施形態の第1変形例の電子時計に係るフローチャートである。実施形態の第1変形例において、上記実施形態と異なる点は、例えば、加速度センサ4が停止状態である場合に、状況に応じて傾斜センサ5のモードが間欠モードとされる点である。
本実施形態の制御部23は、加速度センサ4が停止状態である場合に、傾斜センサ5が電子時計1の姿勢変化を検出しない状態が継続すると、傾斜センサ5のモードを連続モードから間欠モードに変更する。これにより、実施形態の第1変形例に係る電子時計1は、電子時計1が使用されていない間の消費電力を低減することができる。
図7および図8を参照して、実施形態の第1変形例に係る電子時計1の動作について説明する。図8に示す制御フローは、例えば、加速度センサ4に対する電力供給が停止されるときに開始される。図7には、電池電圧が低下しており(図8のステップS210−N)、かつ受光量が小さい(図8のステップS290−N)場合の電子時計1の動作が示されている。
ステップS210において、制御部23は、現在の電池電圧が高いか否かを判定する。制御部23は、電圧検出回路24cの検出結果に基づいてステップS210の判定を行う。制御部23は、例えば、電圧源24bの電圧が判定電圧よりも高い場合にステップS210で肯定判定する。
判定電圧は、例えば、電子時計1が通常動作を行う電圧範囲の下限に近い電圧値である。判定電圧は、電子時計1を充電警告モードとするか否かを判定する電圧よりは高い。充電警告モードは、ユーザに対して電圧源24bの電圧が低下していることを報知するモードである。充電警告モードでは、例えば、秒針26bの運針が2秒運針とされる。ステップS210において肯定判定された場合にはステップS220に進み、否定判定された場合にはステップS290に進む。
ステップS220において、制御部23は、傾斜センサ5のモードを連続モードとし、ステップS230に進む。
ステップS230において、制御部23は、傾斜センサ5によって電子時計1の姿勢変化が検出されたか否かを判定する。制御部23は、傾斜センサ5の出力値が所定回数以上変化した場合にステップS230で肯定判定する。ステップS230において肯定判定された場合にはステップS240に進み、否定判定された場合にはステップS230の判定が繰り返される。
ステップS240において、制御部23は、加速度センサ4を起動し、ステップS250の処理に進む。図7では、時刻t35に加速度センサ4が起動され、加速度センサ4による加速度の検出が開始される。
ステップS250において、制御部23は、ユーザの活動量を計測する。制御部23は、加速度センサ4によって検出された加速度の値と、ユーザのプロファイル情報とに基づいて活動量を算出する。制御部23は、算出された活動量データをRAM23fに記録する。ステップS250が実行されると、ステップS260に進む。
ステップS260において、制御部23は、加速度センサ4によって加速度が検出されているか否かを判定する。ステップS260で肯定判定されるとステップS250に移行し、否定判定されるとステップS270に進む。
ステップS270において、制御部23は、加速度センサ4が加速度非検出の状態となってから所定時間Tsが経過したか否かを判定する。ステップS270において肯定判定された場合にはステップS280に進み、否定判定された場合にはステップS250に移行する。
ステップS280において、制御部23は、加速度センサ4を停止させる。制御部23は、加速度センサ4に対する電力供給を停止させ、加速度センサ4を停止状態とする。ステップS280が実行されると、本制御フローは終了する。
ステップS290において、制御部23は、現在の受光量が大きいか否かを判定する。制御部23は、光センサ6の検出結果に基づいてステップS290の判定を行う。制御部23は、現在の受光量が判定光量以上である場合にステップS290で肯定判定し、ステップS220の処理に進む。一方、制御部23は、ステップS290で否定判定された場合、ステップS300に進む。
ステップS300において、制御部23は、傾斜センサ5のモードを連続モードとしてステップS310の処理に進む。図7では、時刻t30に傾斜センサ5のモードが連続モードとされる。
ステップS310において、制御部23は、傾斜センサ5によって電子時計の姿勢変化が検出されたか否かを判定する。ステップS310で肯定判定された場合にはステップS240に進み、否定判定された場合にはステップS320に進む。
ステップS320において、制御部23は、現在時刻が使用時間帯に属するか否かを判定する。使用時間帯は、電子時計1が使用されると予想される時間帯であり、例えば、ユーザによる過去の使用実績に基づいて定められる。使用時間帯は、一般的に電子時計1が使用されると想定されている時間帯であってもよい。使用実績に基づいて使用時間帯が定められる場合、使用時間帯の開始時刻は、ユーザが電子時計1を使用し始める平均時刻よりも前の時刻とされてもよい。例えば、ユーザが電子時計1を使用し始める平均時刻が午前6時である場合、使用時間帯の開始時刻は、午前6時の数分から数十分前の時刻とされてもよい。図7では、使用時間帯の開始時刻が時刻t34である。使用時間帯の終了時刻は、ユーザが電子時計1の使用を終える平均時刻よりも後の時刻とされてもよい。例えば、ユーザが電子時計1の使用を終える平均時刻が午後10時である場合、使用時間帯の終了時刻は、午後10時の数分から数十分後の時刻とされてもよい。
制御部23は、現在時刻が使用時間帯に属している場合、ステップS320で肯定判定してステップS330に進む。一方、制御部23は、現在時刻が使用時間帯に属していない場合、ステップS320で否定判定してステップS340に進む。
ステップS330において、制御部23は、傾斜センサ5のモードを連続モードとしてステップS310の処理に移行する。図7では、時刻t34に傾斜センサ5のモードが間欠モードから連続モードに変更される。
ステップS340において、制御部23は、傾斜センサ5によって電子時計1の姿勢変化が検出されなくなってから10分間経過したか否かを判定する。言い換えると、制御部23は、傾斜センサ5の出力値が変化しない状態が10分間継続しているかを判定する。ステップS340の判定の結果、姿勢変化が検出されなくなってから10分経過したと肯定判定された場合にはステップS350に進み、否定判定された場合にはステップS310に移行する。
ステップS350において、制御部23は、傾斜センサ5をn秒周期で動作させる。ここで、傾斜センサ5におけるn秒周期の動作は、非動作期間をn秒とした間欠モードに相当する。つまり、n秒周期の動作では、n秒間の非動作期間と次のn秒間の非動作期間との間に、傾斜センサ5に対して電力がs秒間(例えば、1秒間)供給される。
本変形例では、電子時計1の姿勢変化が検出されない状態が長く続くほど非動作期間が長くされる。本変形例では、非動作期間の初期値が1秒(n=1)である。図7では、時刻t31に初めてステップS350が実行されて、傾斜センサ5の非動作期間が1秒とされる。非動作期間の長さは、ステップS350が実行される毎に2倍とされる。つまり、時刻t32に二回目のステップS350が実行されると、非動作期間が2秒に設定される。時刻t33に三回目のステップS350が実行されると、非動作期間が4秒に設定される。ステップS350が実行されると、ステップS310に移行する。
なお、制御部23は、ステップS320で使用時間帯であると肯定判定された場合に、間欠モードのままで非動作期間を短くしてもよい。例えば、ステップS330において、非動作期間を最小値の1秒に設定してもよい。非動作期間が短くされることにより、ユーザの活動開始が傾斜センサ5によって速やかに検出される。
本変形例によれば、非使用時間帯において傾斜センサを連続モードから間欠モードに変更可能な構成とすることで消費電流を抑える事が可能である。さらに、使用時間帯において傾斜センサ5のモードを間欠モードとすることを禁止または間欠モードの非動作期間を短くする。よって、本変形例によれば、使用時間帯における加速度センサ4の起動応答性を向上させることができる。
[実施形態の第2変形例]
実施形態の第2変形例について説明する。図9は、実施形態の第2変形例の電子時計に係る回路構成例の図、図10は、実施形態の第2変形例の電子時計に係るフローチャート、図11は、実施形態の第2変形例における抵抗検出を説明する図、図12は、実施形態の第2変形例における異常検出を説明する図、図13は、傾斜センサが無効化された状態を示す図、図14は、傾斜センサが異常である場合の問題を説明する図である。実施形態の第2変形例において、上記実施形態と異なる点は、例えば、傾斜センサ5の異常が検出された場合に、静止状態から運動状態への移行を加速度センサ4によって検出する点である。
実施形態の第2変形例に係る電子時計1において、傾斜センサ5は、傾斜がない状態において導通されるノーマリークローズタイプのスイッチである。傾斜センサ5は、例えば、図9に示すように筒形状の筐体5a、二つの電極5b,5c、および二つの移動体5d,5eを有している。一方の電極5bは筐体5aの一端に配置され、他方の電極5cは筐体5aの他端に配置されている。移動体5d,5eは、筐体5aの内部に収容されている。傾斜センサ5は、移動体5d,5eの位置に応じて導通状態または遮断状態となる。導通状態は、移動体5d,5eを介して二つの電極5b,5cが電気的に接続されている状態である。一方、遮断状態は、二つの電極5b,5cが電気的に遮断されている状態である。傾斜センサ5は、水平方向に対する筐体5aの軸方向の傾斜角度が小さい場合に導通状態となり、かつ上記傾斜角度が大きい場合に遮断状態となるように構成されている。傾斜センサ5の出力は、導通状態においてオン出力となり、遮断状態においてオフ出力となる。
傾斜センサ5は、電子時計1が載置された場合に導通状態となるように電子時計1に搭載されている。すなわち、本変形例の電子時計1は、電子時計1が使用されていない場合に傾斜センサ5が導通状態となるように構成されている。一方、電子時計1が載置された状態で外部からの衝撃を受けた場合や、ユーザが電子時計1を装着していて常に何らかの動きが伴う場合は、傾斜センサ5は導通状態と遮断状態を繰り返す、いわゆるチャタリング信号が出力される。
図9に示すように、実施形態の第2変形例に係る電子時計1では、制御部23の第一端子57と第二端子58との間に傾斜センサ5が接続される。第一端子57および第二端子58は、それぞれ制御部23の入出力端子である。制御部23は、内部バス41、入力レジスタ42,44、出力レジスタ43,45、およびスリーステートバッファ46,47,48,49を有する。制御部23は、更に、第一スイッチ51、第二スイッチ52、第三スイッチ53、第四スイッチ54、第一抵抗61、第二抵抗62、第三抵抗63、および第四抵抗64を有する。
第一抵抗61は、第一端子57と接続されたプルアップ抵抗である。第一抵抗61と電圧源24bとの間には、第一スイッチ51が介在している。第二抵抗62は、第一端子57と接続されたプルダウン抵抗である。第二抵抗62とグランドGとの間には、第二スイッチ52が介在している。第一抵抗61および第二抵抗62は、接続点55において接続されている。接続点55は、第一端子57、スリーステートバッファ46の入力、およびスリーステートバッファ47の出力と接続されている。スリーステートバッファ46の出力は、入力レジスタ42を介して内部バス41に接続されている。スリーステートバッファ47の入力は、出力レジスタ43を介して内部バス41に接続されている。第一抵抗61は、抵抗値R1を有し、第二抵抗62は、抵抗値R2を有する。
第三抵抗63は、第二端子58と接続されたプルアップ抵抗である。第三抵抗63と電圧源24bとの間には、第三スイッチ53が介在している。第四抵抗64は、第二端子58と接続されたプルダウン抵抗である。第四抵抗64とグランドGとの間には、第四スイッチ54が介在している。第三抵抗63および第四抵抗64は、接続点56において接続されている。接続点56は、第二端子58、スリーステートバッファ48の入力、およびスリーステートバッファ49の出力に接続されている。スリーステートバッファ48の出力は、入力レジスタ44を介して内部バス41に接続されている。スリーステートバッファ49の入力は、出力レジスタ45を介して内部バス41に接続されている。第三抵抗63は、抵抗値R3を有し、第四抵抗64は、抵抗値R4を有する。スリーステートバッファ46,47,48,49は、出力をハイインピーダンスにするための制御端子を有しており(不図示)、それらの制御端子は制御部23aに接続され制御されている。
第一端子57は、第五抵抗65を介して電圧源24bと接続されている。第五抵抗65の抵抗値R5は、抵抗61〜64の抵抗値R1〜R4と比較して十分に大きく、例えば、2桁以上大きい値である。第五抵抗65は、プルアップ抵抗としての第一抵抗61および第三抵抗63や、プルダウン抵抗としての第二抵抗62および第四抵抗64が接続されないときに有効となる。例えば、第一スイッチ51オンの場合は、電圧源24bと第一端子57の間に第五抵抗65と第一抵抗61が並列して合成抵抗を形成し、第一抵抗61に対して第五抵抗65が十分に大きいため、合成抵抗は第一抵抗61に略等価となる。一方、第一スイッチ51オフの場合は、電圧源24bと第一端子57の間の抵抗値は、第五抵抗65の抵抗値R5となる。従って、傾斜センサ5が動作状態、すなわち傾斜を検出する状態では、第一スイッチ51をオンにして、第一抵抗61に略等価の抵抗値により規制される電流を傾斜センサ5に供給する。また、傾斜センサ5が非動作状態の場合は、第一スイッチ51をオフにして、第五抵抗65の抵抗値R5により規制される電流を傾斜センサ5に供給する。従って第五抵抗65は、傾斜センサ5が非動作状態であるときの消費電流を抑えることが可能である。
第一端子57および第二端子58からの信号は、内部バス41を介してマイクロコントローラ23aに送られる。マイクロコントローラ23aは、受信した信号に応じた処理を行い、制御部23に命令を送る。制御部23は、マイクロコントローラ23aからの命令を受けて第一端子57および第二端子58の状態の変更や設定を行う。
図10を参照して、実施形態の第2変形例に係るセンサ制御について説明する。図10に示す制御フローは、例えば、加速度センサ4がスリープモードに移行したときに実行される。
ステップS410において、制御部23は、第一スイッチ51から第四スイッチ54を図11に示す回路状態とし、この回路状態を一定時間(例えば、5秒間)保持する。図11に示す回路状態では、第一スイッチ51および第四スイッチ54はオンであり、かつ第二スイッチ52および第三スイッチ53はオフである。この状態では、傾斜センサ5の一方の電極5bは、第一端子57、第一抵抗61、および第一スイッチ51を介して電圧源24bと接続される。他方の電極5cは、第二端子58、第四抵抗64、および第四スイッチ54を介してグランドGと接続される。そして、スリーステートバッファ46は有効に設定され、スリーステートバッファ47、48、49はハイインピーダンスに設定される。また、第二端子58に対して第四スイッチ54をオンし第四抵抗64を介してグランドGに接続する代わりに、スリーステートバッファ49を有効に設定しLowレベルを出力するなどして、第二端子58にグランドGと同電圧を印加するようにしても良い。
従って、電圧源24bからグランドGまでの全抵抗値R0は、下記式(1)で表すことができる。ここで、抵抗値Rtは、傾斜センサ5における二つの電極5b,5c間の抵抗値である。
R0=R1+Rt+R4…(1)
傾斜センサ5が完全な導通状態であれば、傾斜センサ5の抵抗値Rtの値は、他の抵抗値R1,R4の値と比較して十分に小さい。従って、傾斜センサ5が完全な導通状態であれば、全抵抗値R0は下記式(2)に示すように、抵抗値R1と抵抗値R4との和と実質的に等しくなる。
R0≒R1+R4…(2)
ここで、傾斜センサ5は、完全な導通状態および遮断状態の何れとも異なる状態(以下、「不完全導通状態」と称する。)となることが考えられる。例えば、電子時計1が載置されたときに、移動体5d,5eが中途半端な位置で停止してしまい、完全な導通状態と比較して傾斜センサ5の抵抗値Rtが大きな値となってしまう可能性がある。傾斜センサ5が不完全導通状態となると、完全な導通状態である場合と比較して、第一端子57の電位が異なる値となる。言い換えると、傾斜センサ5の抵抗値Rtに応じて、第一端子57よりも電圧源24b側と、第一端子57よりもグランドG側との分圧比が変化する。そして第一端子57の電圧は、スリーステートバッファ46、入力レジスタ42、内部バス41を介してマイクロコントローラ23aに伝達される。
以下、具体的に述べる。傾斜センサ5が完全な導通状態であれば、第一端子57の電圧は電圧源24bの電圧値に対するR1とR4の分圧比に応じた電圧となるが、傾斜センサ5が不完全導通状態により抵抗値Rtを持ちその抵抗値が大きくなるほど、第一端子57の電圧は上昇する。スリーステートバッファ46は、HighレベルとLowレベルの2値を出力可能なインバータ構造であり、入力電圧に対して電圧閾値を有していて入力電圧が閾値を超えると出力電圧が変化する。例えば、傾斜センサ5の抵抗値Rtが小さい場合に第一端子57の電圧は低いため、スリーステートバッファ46の出力がHighレベルであるが、傾斜センサ5の抵抗値Rtが大きい場合には第一端子57の電圧は電圧閾値を越え、スリーステートバッファ46はLowレベルを出力する。スリーステートバッファ46の出力はマイクロコントローラ23aに伝達され、この信号値によって傾斜センサ5が不完全導通状態であるかマイクロコントローラ23aが判定をする。
上記回路において、第四抵抗64を介してグランドGに接続しなくてもかまわない。つまり、第四スイッチ54をオフし、スリーステートバッファ49がLowレベルを出力するように設定して、第二端子58にグランドGと同電圧を印加する構成であってもかまわない。この場合、傾斜センサ5が完全な導通状態であれば、第一端子57の電圧はグランドGと同電圧となり、傾斜センサ5が不完全導通状態により抵抗値Rtを持ちその抵抗値が大きくなるほど、第一端子57の電圧は上昇する。
また、スリーステートバッファ46をインバータでなくアンプで構成して、第一端子57の電圧をマイクロコントローラ23aに伝達し、マイクロコントローラ23aのA/Dコンバータにより多値化した電圧値から傾斜センサ5の不完全導通状態を判定しても良い。
本変形例の電子時計1では、以下に説明するように、第一端子57の電位に基づいて姿勢変化の検出に傾斜センサ5を用いるか否かが判断される。ステップS410が実行されると、ステップS420に進む。
ステップS420において、制御部23は、第一端子57の電圧(電位)を測定する。次に、ステップS430において、制御部23は、第一端子57の電圧から全抵抗値R0を算出する。制御部23は、例えば、電圧源24bの電圧と、ステップS420において測定された第一端子57の電圧と、第一抵抗61の抵抗値R1とに基づいて、全抵抗値R0を算出する。ステップS430が実行されると、ステップS440に進む。
ステップS440において、制御部23は、全抵抗値R0が二つの抵抗値R1,R4の和と実質的に等しいかを判定する。制御部23は、全抵抗値R0と二つの抵抗値R1,R4の和との差分が閾値以下であればステップS440で肯定判定する。ステップS440で肯定判定された場合にはステップS450に進み、否定判定された場合にはステップS550に進む。
ステップS450において、制御部23は、第一スイッチ51をオフとする。第一スイッチ51がオフとされることで、第一端子57と電圧源24bとの間において、第五抵抗65の抵抗値R5が支配的となり、傾斜センサ5が完全な導通状態であっても、流れる電流量を大幅に抑制できる。ステップS450が実行されると、ステップS460に進む。
ステップS460において、制御部23は、加速度センサ4の電源をオフとする。なお、ステップS450において第一スイッチ51がオフとされることに連動して加速度センサ4の電源がオフとされてもよい。ステップS460が実行されると、ステップS470に進む。
ステップS470において、制御部23は、スリーステートバッファ46を入力バッファとして動作させ、入力レジスタ42、内部バス41を介して、第一端子57の電圧を測定する。ここでスリーステートバッファ47、48、49はハイインピーダンスに設定されるため、第一端子57に電気的な影響を与えることは無い。次に、ステップS480において、制御部23は、第一端子57の電圧が低電圧(Low)であるか否かを判定する。ステップS470の判定では、例えば、第一端子57の電圧が判定値よりも低い場合に肯定判定がなされる。この判定値は、傾斜センサ5が完全な導通状態である場合の第一端子57の理論電圧に基づいて定められる。ステップS470の判定の結果、第一端子57の電圧が低電圧であると肯定判定された場合にはステップS500に進み、否定判定された場合にはステップS520に進む。
ステップS500において、制御部23は、第一スイッチ51がオフとされてから一定時間が経過したか否かを判定する。一定時間は、所定時間Ts以下であることが好ましく、例えば、5分間である。図12に示す状態において、傾斜センサ5が完全な導通状態であれば第一端子57の電圧は低電圧に維持される。一方、傾斜センサ5が不完全導通状態であると、第一端子57と第二端子58との間に電位差が生じ、第一端子57の電圧が上昇する可能性がある。制御部23は、第一端子57の電圧を一定時間監視することで、傾斜センサ5が不完全導通状態であるか否かを確認する。ステップS500の判定の結果、一定時間が経過したと肯定判定された場合にはステップS510に進み、否定判定された場合にはステップS470に移行する。
ステップS510において、制御部23は、電子時計1の姿勢の変化を検出できるように、傾斜センサ5による検出を有効化する。傾斜センサ5は、例えば、図14に示す回路状態で有効化される。傾斜センサ5による検出を有効化するために第一スイッチ51がオンとされてもよい。ステップS510が実行されると、本制御フローは終了する。
ステップS520において、制御部23は、第一スイッチ51をオンとする。次にステップS530において、制御部23は、第三スイッチ53をオンとする。これにより、図13に示すように、傾斜センサ5の二つの電極5b,5cがそれぞれ電圧源24bと接続される。第一抵抗61の抵抗値R1と第三抵抗63の抵抗値R3とが等しいことから、二つの電極5b,5cの電位が等しくなる。これにより傾斜センサ5の導通、非導通にかかわらず電流が流れないため、傾斜センサ5での検出が無効化される。ステップS530が実行されると、ステップS540に進む。
ステップS540において、制御部23は、加速度センサ4の電源をオンとする。これにより、電子時計1の姿勢の変化は加速度センサ4によって検出されることになる。ステップS540が実行されると、本制御フローは終了する。
ステップS550において、制御部23は、第四スイッチ54をオフとする。これにより、第一端子57の電圧が高電圧(High)となる。次に、ステップS560において、制御部23は、第三スイッチ53をオンとする。これにより、第二端子58の電圧が高電圧(High)となる。第四スイッチ54がオフとされ、かつ第三スイッチ53がオンとされることで、図13に示す回路状態が実現される。傾斜センサ5の二つの電極5b,5cの電位が等しくなり、傾斜センサ5の導通、非導通にかかわらず電流が流れないため、傾斜センサ5での検出が無効化される。ステップS560が実行されると、ステップS570に進む。
ステップS570において、制御部23は、第一スイッチ51をオフとする。次にステップS580において、制御部23は、加速度センサ4出力をモニタして電子時計1の姿勢変化を検出する。制御部23は、ステップS570において加速度センサ4をアクティブモードに移行させてもよい。ステップS580が実行されると、本制御フローは終了する。
実施形態の第2変形例に係る電子時計1は、ノーマリークローズタイプの傾斜センサ5がクローズとオープンの中間的状態で停止している場合、傾斜センサ5による検出を無効化する。この場合、制御部23は、傾斜センサ5に代えて加速度センサ4によって電子時計1の姿勢変化を検出する。
図14には、第一スイッチ51から第四スイッチ54がオフとされ、傾斜センサ5による検出が有効化された状態が示されている。スリーステートバッファ46、49は有効にされ、スリーステートバッファ47、48はハイインピーダンスに設定されている。スリーステートバッファ49は、LOWレベル、すなわちグランドと同電位の信号を出力するため、傾斜センサ5が完全導通状態であれば第一端子57はLOWレベルになり、スリーステートバッファ46、入力レジスタ42、内部バス41を介して、制御部23にてLOWレベルを検出する。一方、傾斜センサ5が非導通状態であれば第一端子57はHighレベルになり、スリーステートバッファ46、入力レジスタ42、内部バス41を介して、制御部23にてHighレベルを検出する。従って図14の回路によれば、傾斜センサ5の傾斜変化による信号の変化を、制御部23で認識することができる。
傾斜センサ5が不完全導通状態であると、第一端子57の電圧が第二端子58の電圧よりも高くなり、例えば、第一端子57の電圧がHighとLowの中間の電圧となることがある。その結果、スリーステートバッファ46に貫通電流が流れてしまい、消費電流が増加してしまう可能性がある。本変形例の電子時計1は、貫通電流による消費電力の増加を未然に抑制することができる。なお、図10の制御フローは、傾斜センサ5による検出が無効から有効に切り替えられるときなどに適宜実行されてもよい。
以上説明したように、実施形態の第2変形例に係る制御部23は、傾斜センサ5における抵抗値Rtの異常を検出しない場合(ステップS440−Y)、加速度センサ4に対する電力供給の停止を許容する(ステップS460)。一方、制御部23は、傾斜センサ5における抵抗値Rtの異常を検出した場合(ステップS440−N、S480−N)、加速度センサ4に対する電力供給の停止を禁止し、かつ傾斜センサ5を無効化する(ステップS520,S530,S550,S560)。制御部23は、加速度センサ4に対する電力供給の停止を禁止する場合に、加速度センサ4の電源がオフされていれば加速度センサ4を再起動して電子時計1の姿勢変化を監視させる(ステップS540)。制御部23は、加速度センサ4が動作していれば加速度センサ4を動作させ電子時計1の姿勢変化を監視させ(ステップS580)、かつ加速度センサ4への電力供給の停止を禁止する。
本変形例に係る制御部23は、傾斜センサ5における抵抗値Rtの異常が検出されなくなった場合、加速度センサ4に対する電力供給の停止を許容し、かつ傾斜センサ5を有効化する。例えば、ステップS440で否定判定がなされ、加速度センサ4に対する電力の供給が停止されたとしても、その後に電子時計1の姿勢の変化等によって傾斜センサ5の不完全導通状態が解消されることがある。こうした場合、本変形例の制御部23は、加速度センサ4に対する電力供給の停止を許容し(ステップS460)、かつ傾斜センサ5を有効化する(ステップS510)。つまり本変形例は、傾斜センサ5における抵抗値Rtの異常が検出された場合、加速度センサ4を有効にして、電子時計1の姿勢の変化を検出する。一定期間に渡って電子時計1の姿勢に変化が無ければ、加速度センサ4はスリープモードに移行し、それに応じて、図10における制御フローを再び実行する。電子時計1に姿勢変化が無い場合は、上記を繰り返すことになるが、姿勢変化が生じた場合は傾斜センサ5の二つの電極5b,5c、および二つの移動体5d,5eの位置関係が変化するため、不完全導通状態が解消される可能性が高く、図10のフローにおけるステップS440において肯定判断となり、傾斜センサ5による電子時計1の姿勢変化の検出に移行することができる。
制御部23は、加速度センサ4の出力値が実質的な静止状態を示す値であるときに、傾斜センサ5の抵抗値が異常であるか否かを判定してもよい。上記実施形態で説明したように、加速度センサ4は、検出された加速度の大きさが第一閾値以下となると、スリープモードに移行する。また、図10の制御フローは、例えば、加速度センサ4がスリープモードに移行したときに実行される。従って、制御部23は、加速度センサ4の出力値が実質的な静止状態を示す値であるときに、傾斜センサ5の抵抗値が異常であるか否かを判定することができる。
なお、本変形例の技術は、実施形態の電子時計1とは異なる携帯型電子機器に適用されてもよい。すなわち、本変形例の携帯型電子機器は、下記のような構成であってもよい。
「加速度を検出する加速度センサと、
傾斜角度に応じて出力値がオン出力およびオフ出力の何れかとなる傾斜センサと、
前記加速度センサおよび前記傾斜センサを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記傾斜センサにおける抵抗値の異常を検出した場合、前記加速度センサに対する電力供給の停止を禁止し、かつ前記傾斜センサを無効化する、
携帯型電子機器。」
[実施形態の第3変形例]
携帯型電子機器は、例示された電子時計1には限定されない。携帯型電子機器は、所謂スマートウォッチであってもよく、ユーザの身体に装着される他の携帯型の機器であってもよい。加速度センサ4は、検出加速度からユーザの動作を推定できるものであればよく、3軸方向の加速度を検出するセンサには限定されない。
電圧源24bの電圧に応じて加速度センサ4や傾斜センサ5に対する制御が変更されてもよい。例えば、バッテリ電圧が低い場合には、バッテリ電圧が高い場合と比較して、傾斜センサ5の間欠モードにおける非動作期間が長くされてもよい。バッテリ電圧が低下している場合、加速度センサ4が動作している間は傾斜センサ5に対する電力供給が禁止されてもよい。加速度センサ4の動作中における制御の一例として、バッテリ電圧が高レベルから中間レベルに低下した場合、間欠モードにおける非動作期間が長くされ、バッテリレベルが中間レベルから低レベルに低下した場合、傾斜センサ5に対する電力供給が禁止されてもよい。
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。