JP2020143379A - コバルト基合金材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】析出強化Ni基合金材と同等以上の機械的特性を有するCo基合金材を実現するために、Co基合金積層造形体の製造に好適なCo基合金材料を提供する。【解決手段】本発明に係るCo基合金材料は、0.08〜0.25質量%のCと、0.1質量%以下のBと、10〜30質量%のCrとを含み、Feを5質量%以下でNiを30質量%以下で含み、FeおよびNiの合計が30質量%以下であり、Wおよび/またはMoを含み、WおよびMoの合計が5〜12質量%であり、Ti、Zr、NbおよびTaを含み、Ti、Zr、NbおよびTaの合計が0.5〜2質量%であり、0.5質量%以下のSiと、0.5質量%以下のMnと、0.003〜0.04質量%のNとを含み、残部がCoと不純物とからなる化学組成を有し、前記不純物として、0.04質量%以下の酸素を含む、ことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、機械的特性に優れたコバルト基合金材に関し、特に、当該コバルト基合金材を得るための合金材料に関するものである。
コバルト(Co)基合金材は、ニッケル(Ni)基合金材とともに代表的な耐熱合金材料であり、超合金とも称されてタービン(例えば、ガスタービン、蒸気タービン)の高温部材に広く用いられている。Co基合金材は、Ni基合金材と比べて材料コストは高いものの耐食性や耐摩耗性が優れており、固溶強化し易いことから、タービン静翼や燃焼器部材として用いられてきた。
耐熱合金材料において、現在までに行われてきた種々の合金組成の改良および製造プロセスの改良によって、Ni基合金材では、γ’相(例えばNi3(Al,Ti)相)の析出による強化が開発され現在主流になっている。一方、Co基合金材においては、Ni基合金材のγ’相のような機械的特性向上に大きく寄与する金属間化合物相が析出しづらいことから、炭化物相による析出強化が研究されてきた。
例えば、特許文献1(特開昭61-243143)には、結晶粒径が10μm以下であるコバルト基合金の基地に、粒径が0.5から10μmである塊状及び粒状の炭化物を析出させてなることを特徴とするCo基超塑性合金が開示されている。また、前記コバルト基合金は、重量比でC:0.15〜1%、Cr:15〜40%、W及び又はMo:3〜15%、B:1%以下、Ni:0〜20%、Nb:0〜1.0%、Zr:0〜1.0%、Ta:0〜1.0%、Ti:0〜3%、Al:0〜3%、及び残部Coからなること、が開示されている。特許文献1によると、低い温度領域(例えば、950℃)でも超塑性を示して70%以上の伸び率を有し、かつ鍛造加工等の塑性加工により複雑形状物を作製しえるCo基超塑性合金を提供できる、とされている。
特許文献2(特開平7-179967)には、重量%にて、Cr:21〜29%、Mo:15〜24%、B:0.5〜2%、Si:0.1%以上で0.5%未満、C:1%を越えて2%以下、Fe:2%以下、Ni:2%以下及び残部実質的にCoからなる、耐食性、耐摩耗性及び高温強度にすぐれるCo基合金が開示されている。特許文献2によると、当該Co基合金は、Co、Cr、Mo、Siの4元系合金相にモリブデン硼化物及びクロム炭化物が比較的微細に分散した複合組織を有し、良好な耐食性及び耐摩耗性、並びに高い強度を備える、とされている。
ところで、近年、複雑形状を有する最終製品をニアネットシェイプで製造する技術として、積層造形法(Additive Manufacturing、AM法)などの3次元造形技術(いわゆる3Dプリンティング)が注目され、該3次元造形技術を耐熱合金部材へ適用する研究開発が活発に行われている。
例えば、特許文献3(特表2016-535169)には、以下のステップを含む層形成方法:a)20%未満の空隙率を有する粉体状または懸濁液状の顆粒状複合材料の原料を供給するステップ、b)前記複合材料の第一部分を、目標物表面に堆積するステップ、c)前記第一部分の前記複合材料にエネルギーを供給して、前記第一部分の前記複合材料を焼結、融合または融解して第一層を形成するステップ、d)前記第一層の上に前記複合材料の第二部分を堆積するステップ、e)前記第二部分の前記複合材料にエネルギーを供給して、前記第二部分の前記複合材料を焼結、融合または融解して第二層を形成するステップ、であり、前記エネルギーがレーザにより供給される方法、が開示されている。
特許文献3(特表2016-535169)によると、選択的レーザ融解法(SLM法)または直接金属レーザ融解法(DMLM法)は、一般に、1種の材料(純チタンやTi-6Al-4Vのような単一合金)に対し有益とのことである。対照的に、複数材料、合金、または合金とプラスチック、セラミック、ポリマー、炭化物、ガラスなどのその他材料の組み合わせの場合は、選択的レーザ焼結法(SLS法)または直接金属レーザ焼結法(DMLS法)を適用するのが一般的とのことである。なお、焼結は、融解とは別の技術概念であり、焼結プロセスは、材料粉末を完全には融解しないが、該粉末が分子レベルで共に融合することができる点まで加熱するプロセスとのことである。
特開昭61−243143号公報 特開平7−179967号公報 特表2016−535169号公報
3Dプリンティングによるタービン高温部材の製造は、複雑形状を有する部材であっても直接的に造形できることから、製造ワークタイムの短縮や製造歩留まりの向上の観点(すなわち、製造コストの低減の観点)で大変魅力的な技術である。
特許文献1〜2に記載されたようなCo基合金材は、それら以前のCo基合金材に比して高い機械的特性を有すると考えられるが、近年の析出強化Ni基合金材と比較すると、残念ながら十分な機械的特性を有しているとは言えない。そのため、現在のところ、タービン高温部材用途の積層造形体(AM体)の研究は、析出強化Ni基合金材を対象としているものが多い。
しかしながら、析出強化Ni基合金のAM体では、機械的特性の要となるγ’相の生成が阻害されたり製造物中に内部欠陥を生じさせたりする不具合が発生し易く、結果として期待される機械的特性が十分に得られないという問題が生じている。これは、タービン高温部材として利用される現在の析出強化Ni基合金材は、高真空中での溶解・鋳造プロセスを前提として最適化されているため、AM法用の合金粉末を用意する段階やAM法の段階において、γ’相を構成するAl成分およびTi成分の酸化や窒化が起こり易いためと考えられている。
一方、特許文献1〜2に記載されたようなCo基合金材は、Ni基合金材のγ’相のような金属間化合物相の析出を前提としないことから、酸化し易いAlやTiを多く含有させておらず、大気中での溶解・鋳造プロセスが利用可能である。そのため、AM法用の合金粉末の作製やAM体の作製に有利であると考えられる。また、Co基合金材は、Ni基合金材と同等以上の耐食性や耐摩耗性を有する利点がある。
しかしながら、前述したように、従来のCo基合金材は、γ’相析出強化Ni基合金材に比して機械的特性が低いという弱点を有する。言い換えると、γ’相析出強化Ni基合金材と同等以上の機械的特性(例えば、58 MPaで10万時間のクリープ耐用温度が875℃以上、室温の引張耐力が500 MPa以上)を達成することができれば、Co基合金AM体は、大変魅力的なタービン高温部材となりうる。
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、析出強化Ni基合金材と同等以上の機械的特性を有するCo基合金材を実現するために、所定の微細組織を有するCo基合金積層造形体の製造に好適なCo基合金材料を提供することにある。
(I)本発明の一態様は、Co基合金材料であって、
0.08質量%以上0.25質量%以下の炭素(C)と、
0.1質量%以下のホウ素(B)と、
10質量%以上30質量%以下のクロム(Cr)とを含み、
鉄(Fe)を5質量%以下でニッケル(Ni)を30質量%以下で含み、前記Feおよび前記Niの合計が30質量%以下であり、
タングステン(W)および/またはモリブデン(Mo)を含み、前記Wおよび前記Moの合計が5質量%以上12質量%以下であり、
チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)およびタンタル(Ta)を含み、前記Ti、前記Zr、前記Nbおよび前記Taの合計が0.5質量%以上2質量%以下であり、
0.5質量%以下のケイ素(Si)と、
0.5質量%以下のマンガン(Mn)と、
0.003質量%以上0.04質量%以下の窒素(N)とを含み、
残部がCoと不純物とからなる化学組成を有し、
前記不純物として、0.04質量%以下の酸素(O)を含む、
ことを特徴とするコバルト基合金材料を提供するものである。
本発明は、上記のCo基合金材料(I)において、以下のような改良や変更を加えることができる。
(i)前記化学組成は、
前記Tiが0.01質量%以上1質量%以下であり、
前記Zrが0.05質量%以上1.5質量%以下であり、
前記Nbが0.02質量%以上1質量%以下であり、
前記Taが0.05質量%以上1.5質量%以下である。
(ii)前記化学組成は、前記不純物として、0.5質量%以下のアルミニウム(Al)を更に含む。
(iii)前記化学組成は、2質量%以下のレニウム(Re)を更に含み、
前記W、前記Moおよび前記Reの合計が5質量%以上12質量%以下である。
(iv)前記Co基合金材料は所定の選択的レーザ溶融法用の合金粉末である。
(v)前記合金粉末の粒径が5μm以上100μm以下である。
本発明によれば、析出強化Ni基合金材と同等以上の機械的特性を有するCo基合金材を実現するための、所定の微細組織を有するCo基合金積層造形体の製造に好適なCo基合金材料を提供することができる。
本発明に係るCo基合金製造物の製造方法の工程例を示すフロー図である。 本発明に係るCo基合金AM体の微細組織の一例を示す走査型電子顕微鏡(SEM)観察像である。 本発明に係るCo基合金製造物の一例であり、タービン高温部材としてのタービン静翼を示す斜視模式図である。 本発明に係るCo基合金製造物を装備するガスタービンの一例を示す断面模式図である。 レーザ金属堆積法(LMD法)により形成したCo基合金AM体の微細組織の一例を示すSEM観察像である。 精密鋳造法により形成したCo基合金鋳造体の微細組織の一例を示すSEM観察像である。 Co基合金AM体における偏析セルの平均サイズとCo基合金製造物における0.2%耐力との関係例を示すグラフである。 本発明に係るCo基合金AM体を得るためのSLM条件例であり、合金粉末床の厚さと局所入熱量との関係を示すグラフである。
[本発明の基本思想]
前述したように、Co基合金材では、炭化物相の析出による強化が種々研究開発されてきた。析出強化に寄与する炭化物相としては、例えば、Ti、Zr、Nb、TaのMC型炭化物相、およびそれら金属元素の複合炭化物相が挙げられる。
Ti、Zr、Nb、Taの各成分と炭化物相を形成する上で不可欠なC成分とは、Co基合金の溶融凝固の際に、最終凝固部(例えば、デンドライト境界や結晶粒界)に著しく偏析する性状がある。そのため、従来のCo基合金材では、当該炭化物相粒子は、母相のデンドライト境界や結晶粒界に沿って析出する。例えば、Co基合金の普通鋳造材では、通常、デンドライト境界の平均間隔や平均結晶粒径が101〜102μmオーダになるため、炭化物相粒子の平均間隔も101〜102μmオーダになる。また、レーザ溶接などの凝固速度が比較的速いプロセスであっても、凝固部における炭化物相粒子の平均間隔は5μm程度である。
合金における析出強化は、析出物同士の平均間隔に反比例することが一般的に知られており、析出強化が有効になるのは、析出物同士の平均間隔が2μm程度以下の場合と言われている。しかしながら、上述した従来技術では、析出物同士の平均間隔がそのレベルに達しておらず、十分な析出強化の作用効果が得られない。言い換えると、従来技術では、合金強化に寄与する炭化物相粒子を微細分散析出させることが難しかった。これが、析出強化Ni基合金材に比して、Co基合金材は機械的特性が不十分と言われてきた主な要因である。
なお、Co基合金において析出しうる他の炭化物相として、Cr炭化物相がある。Cr成分はCo基合金母相への固溶性が高く偏析しづらいことから、Cr炭化物相は母相結晶粒内に分散析出させることが可能である。しかしながら、Cr炭化物相は、Co基合金母相結晶との格子整合性が低く、析出強化相としてはそれほど有効でないことが知られている。
本発明者等は、Co基合金材において、析出強化に寄与する炭化物相粒子を母相結晶粒内に分散析出させることができれば、Co基合金材の機械的特性を飛躍的に向上させることができると考えた。また、Co基合金材が元々有する良好な耐食性や耐摩耗性と併せると、析出強化Ni基合金材を凌駕する耐熱合金材を提供できると考えた。
そこで、本発明者等は、そのようなCo基合金材を得るための合金組成および製造方法について鋭意研究した。その結果、合金組成を最適化するとともに、AM法(特に、選択的レーザ溶融法)を利用した製造において、局所溶融・急冷凝固のための入熱量を所定の範囲に制御することにより、Co基合金材の母相結晶粒内に合金強化に寄与する炭化物相粒子を分散析出させられることを見出した。本発明は、当該知見に基づいて完成されたものである。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施形態を製造手順に沿って説明する。ただし、本発明はここで取り上げた実施形態に限定されることはなく、発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、公知技術と適宜組み合わせたり公知技術に基づいて改良したりすることが可能である。
[Co基合金積層造形体/Co基合金製造物の製造方法]
図1は、本発明に係るCo基合金製造物の製造方法の工程例を示すフロー図である。図1に示したように、本発明に係るCo基合金製造物の製造方法は、概略的に、Co基合金粉末を用意する合金粉末用意工程(S1)と、用意したCo基合金粉末を用いて所望形状のAM体を形成する選択的レーザ溶融工程(S2)と、形成したAM体に対して溶体化処理を施す溶体化熱処理工程(S3)と、溶体化処理を施したAM体に対して時効処理を施す時効熱処理工程(S4)と、を有する。なお、選択的レーザ溶融工程S2によって得られるAM体が、本発明に係るCo基合金積層造形体となる。
以下、各工程をより詳細に説明する。
(合金粉末用意工程)
本工程S1は、所定の化学組成を有するCo基合金粉末を用意する工程である。該化学組成は、0.08質量%以上0.25質量%以下のCと、0.1質量%以下のBと、10質量%以上30質量%以下のCrと、Feが5質量%以下で合計が30質量%以下のFeおよびNiと、合計が5質量%以上12質量%以下のWおよび/またはMoと、合計が0.5質量%以上2質量%以下のTi、Zr、NbおよびTaと、0.5質量%以下のSiと、0.5質量%以下のMnと、0.003質量%以上0.04質量%以下のNとを含み、残部がCoと不純物とからなることが好ましい。
C:0.08質量%以上0.25質量%以下
C成分は、析出強化相となるMC型炭化物相(Ti、Zr、Nbおよび/またはTaの炭化物相、強化炭化物相と称する場合がある)を構成する重要な成分である。C成分の含有率は、0.08質量%以上0.25質量%以下が好ましく、0.1質量%以上0.2質量%以下がより好ましく、0.12質量%以上0.18質量%以下が更に好ましい。C含有率が0.08質量%未満になると、強化炭化物相の析出量が不足し、機械的特性向上の作用効果が十分に得られない。一方、C含有率が0.25質量%超になると、過度に硬化することで、合金材の延性や靱性が低下する。
B:0.1質量%以下
B成分は、結晶粒界の接合性の向上(いわゆる粒界強化)に寄与する成分である。B成分は必須成分ではないが、含有させる場合、0.1質量%以下が好ましく、0.005質量%以上0.05質量%以下がより好ましい。B含有率が0.1質量%超になると、AM体形成時に割れ(例えば、凝固割れ)が発生し易くなる。
Cr:10質量%以上30質量%以下
Cr成分は、耐食性や耐酸化性の向上に寄与する成分である。Cr成分の含有率は、10質量%以上30質量%以下が好ましく、10質量%以上25質量%以下がより好ましい。Co基合金製造物の最表面に耐食性被覆層を別途設けるような場合は、Cr成分の含有率は、10質量%以上18質量%以下が更に好ましい。Cr含有率が10質量%未満になると、耐食性や耐酸化性が不十分になる。一方、Cr含有率が30質量%超になると、脆性のσ相が生成したりCr炭化物相が生成したりして機械的特性(靱性、延性、強さ)が低下する。
Ni:30質量%以下
Ni成分は、Co成分と類似した特性を有しかつCoに比して安価なことから、Co成分の一部を置き換えるかたちで含有させることができる成分である。Ni成分は必須成分ではないが、含有させる場合、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、5質量%以上15質量%以下が更に好ましい。Ni含有率が30質量%超になると、Co基合金の特徴である耐摩耗性や局所応力への耐性が低下する。これは、Coの積層欠陥エネルギーとNiのそれとの差異に起因すると考えられる。
Fe:5質量%以下
Fe成分は、Niよりもはるかに安価でありかつNi成分と類似した性状を有することから、Ni成分の一部を置き換えるかたちで含有させることができる成分である。すなわち、FeおよびNiの合計含有率は30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、5質量%以上15質量%以下が更に好ましい。Fe成分は必須成分ではないが、含有させる場合、Ni含有率よりも少ない範囲で5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。Fe含有率が5質量%超になると、耐食性や機械的特性の低下要因になる。
Wおよび/またはMo:合計5質量%以上12質量%以下
W成分およびMo成分は、母相の固溶強化に寄与する成分である。W成分および/またはMo成分の含有率は、合計で5質量%以上12質量%以下が好ましく、7質量%以上10質量%以下がより好ましい。W成分とMo成分との合計含有率が5質量%未満になると、母相の固溶強化が不十分になる。一方、W成分とMo成分との合計含有率が12質量%超になると、脆性のσ相が生成し易くなって機械的特性(靱性、延性)が低下する。
Re:2質量%以下
Re成分は、母相の固溶強化に寄与すると共に、耐食性の向上に寄与する成分である。Re成分は必須成分ではないが、含有させる場合、W成分またはMo成分の一部を置き換えるかたちで2質量%以下が好ましく、0.5質量%以上1.5質量%以下がより好ましい。Re含有率が2質量%超になると、Re成分の作用効果が飽和するのに加えて、材料コストの増加がデメリットになる。
Ti、Zr、NbおよびTa:合計0.5質量%以上2質量%以下
Ti成分、Zr成分、Nb成分およびTa成分は、強化炭化物相(MC型炭化物相)を構成する重要な成分である。Ti、Zr、NbおよびTa成分の含有率は、合計0.5質量%以上2質量%以下が好ましく、合計0.5質量%以上1.8質量%以下がより好ましい。合計含有率が0.5質量%未満になると、強化炭化物相の析出量が不足し、機械的特性向上の作用効果が十分に得られない。一方、当該合計含有率が2質量%超になると、強化炭化物相粒子が粗大化したり脆性相(例えばσ相)の生成を促進したり析出強化に寄与しない酸化物相粒子を生成したりして機械的特性が低下する。
より具体的には、Ti含有率は、0.01質量%以上1質量%以下が好ましく、0.05質量%以上0.8質量%以下がより好ましい。Zr含有率は、0.05質量%以上1.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上1.2質量%以下がより好ましい。Nb含有率は、0.02質量%以上1質量%以下が好ましく、0.05質量%以上0.8質量%以下がより好ましい。Ta含有率は、0.05質量%以上1.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上1.2質量%以下がより好ましい。
Si:0.5質量%以下
Si成分は、脱酸素の役割を担って機械的特性の向上に寄与する成分である。Si成分は必須成分ではないが、含有させる場合、0.5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上0.3質量%以下がより好ましい。Si含有率が0.5質量%超になると、酸化物(例えばSiO2)の粗大粒子を形成して機械的特性の低下要因になる。
Mn:0.5質量%以下
Mn成分は、脱酸素・脱硫の役割を担って機械的特性の向上や耐腐食性の向上に寄与する成分である。Mn成分は必須成分ではないが、含有させる場合、0.5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上0.3質量%以下がより好ましい。Mn含有率が0.5質量%超になると、硫化物(例えばMnS)の粗大粒子を形成して機械的特性や耐食性の低下要因になる。
N:0.003質量%以上0.04質量%以下
N成分は、強化炭化物相の安定生成に寄与する成分である。N成分の含有率は、0.003質量%以上0.04質量%以下が好ましく、0.005質量%以上0.03質量%以下がより好ましく、0.007質量%以上0.025質量%以下が更に好ましい。N含有率が0.003質量%未満になると、N成分の作用効果が十分に得られない。一方、N含有率が0.04質量%超になると、窒化物(例えばCr窒化物)の粗大粒子を形成して機械的特性の低下要因になる。
残部:Co成分+不純物
Co成分は、本合金の主要成分の一つであり、最大含有率の成分である。前述したように、Co基合金材は、Ni基合金材と同等以上の耐食性や耐摩耗性を有する利点がある。
Al成分は、本合金の不純物の一つであり、意図的に含有させる成分ではない。ただし、0.3質量%以下のAl含有率であれば、Co基合金製造物の機械的特性に大きな悪影響を及ぼさないことから許容される。Al含有率が0.3質量%超になると、酸化物や窒化物(例えばAl2O3やAlN)の粗大粒子を形成して機械的特性の低下要因になる。
O成分も、本合金の不純物の一つであり、意図的に含有させる成分ではない。ただし、0.04質量%以下のO含有率であれば、Co基合金製造物の機械的特性に大きな悪影響を及ぼさないことから許容される。O含有率が0.04質量%超になると、各種酸化物(例えば、Ti酸化物、Zr酸化物、Al酸化物、Fe酸化物、Si酸化物)の粗大粒子を形成して機械的特性の低下要因になる。
本工程S1において、Co基合金粉末を用意する方法・手法に特段の限定はなく、従前の方法・手法を利用できる。例えば、所望の化学組成となるように原料を混合・溶解・鋳造して母合金塊(マスターインゴット)を作製する母合金塊作製素工程(S1a)と、該母合金塊から合金粉末を形成するアトマイズ素工程(S1b)とを行えばよい。また、アトマイズ方法にも特段の限定はなく、従前の方法・手法を利用できる。例えば、高純度・均質組成・球形状粒子が得られるガスアトマイズ法や遠心力アトマイズ法を好ましく用いることができる。
合金粉末の粒径は、次工程の選択的レーザ溶融工程S2におけるハンドリング性や合金粉末床の充填性の観点から、5μm以上100μm以下が好ましく、10μm以上70μm以下がより好ましく、10μm以上50μm以下が更に好ましい。合金粉末の粒径が5μm未満になると、次工程S2において合金粉末の流動性が低下し(合金粉末床の形成性が低下し)、AM体の形状精度が低下する要因となる。一方、合金粉末の粒径が100μm超になると、次工程S2において合金粉末床の局所溶融・急冷凝固の制御が難しくなり、合金粉末の溶融が不十分になったりAM体の表面粗さが増加したりする要因となる。
上記のことから、合金粉末の粒径を5μm以上100μm以下の範囲に分級する合金粉末分級素工程(S1c)を行うことは、好ましい。なお、本発明においては、アトマイズ素工程S1bで作製した合金粉末の粒径分布を測定した結果、所望の範囲内にあることを確認した場合も、本素工程S1cを行ったものと見なす。
(選択的レーザ溶融工程)
本工程S2は、用意したCo基合金粉末を用いて選択的レーザ溶融(SLM)法により所望形状のAM体を形成する工程である。具体的には、Co基合金粉末を敷き詰めて所定厚さの合金粉末床を用意する合金粉末床用意素工程(S2a)と、合金粉末床の所定の領域にレーザ光を照射して該領域のCo基合金粉末を局所溶融・急冷凝固させるレーザ溶融凝固素工程(S2b)と、を繰り返してAM体を形成する工程である。
本工程S2においては、最終的なCo基合金製造物で望ましい微細組織(母相結晶粒内に強化炭化物相粒子が分散析出した微細組織)を得るために、該製造物の前駆体となるAM体の微細組織を制御する。そして、該AM体の微細組織を制御するために、合金粉末床の局所溶融・急冷凝固を制御する。
より具体的には、合金粉末床の厚さh(単位:μm)とレーザ光の出力P(単位:W)とレーザ光の走査速度S(単位:mm/s)との関係において、「15 <h< 150」かつ「67(P/S)−3.5 <h< 2222(P/S)+13」を満たすように、合金粉末床の厚さhとレーザ光出力Pとレーザ光走査速度Sとを制御することが好ましい。当該制御条件を外れると、望ましい微細組織を有するAM体が得られない。本工程S2により、本発明に係るCo基合金AM体が得られる。
なお、レーザ光の出力Pおよびレーザ光の走査速度Sは、基本的にレーザ装置の構成に依存するが、例えば「10 ≦P≦ 1000」および「10 ≦S≦ 7000」の範囲内で選定すればよい。
(Co基合金積層造形体)
図2は、本発明に係るCo基合金AM体の微細組織の一例を示す走査型電子顕微鏡(SEM)観察像である。図2に示したように、本発明のCo基合金AM体は、今までに見たことのないような極めて特異的な微細組織を有している。
該AM体は、平均結晶粒径が10μm以上100μm以下の多結晶体であり、該多結晶体の結晶粒内には、平均サイズが0.15μm以上1.5μm以下の偏析セルが形成している。また、0.15μm以上1.5μm以下の平均間隔で強化炭化物相の粒子が析出している。なお、本発明において、偏析セルのサイズとは、長径と短径との平均と定義する。
透過型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法(TEM-EDX)を用いて、さらに詳細に微細組織観察を行ったところ、当該偏析セルは、微小セル間の境界領域(微小セルの外周領域、細胞壁のような領域)に強化炭化物相を形成する成分(Ti、Zr、Nb、Ta、C)が偏析していることが確認された。また、偏析セルの境界領域の三重点/四重点の一部に、強化炭化物相の粒子が析出していることが確認された。
(溶体化熱処理工程)
本工程S3は、形成したCo基合金AM体に対して溶体化処理を施す工程である。溶体化処理条件としては、1100℃以上1200℃以下の温度範囲で0.5時間以上10時間以下の保持時間の熱処理が好ましい。熱処理後の冷却方法に特段の限定はなく、水冷、油冷、空冷、炉冷のいずれでも構わない。
溶体化処理を施すことにより、AM体内で母相結晶粒の再結晶が生じ、急冷凝固の際に生じたAM体の内部ひずみを緩和することができる。また、再結晶により、母相結晶粒の平均結晶粒径を20μm以上145μm以下の範囲に粗大化制御することが好ましい。該平均結晶粒径が20μm未満または145μm超であると、最終的なCo基合金製造物で十分なクリープ特性が得られない。
加えて、大変興味深いことに、母相結晶粒の再結晶の際に、先の偏析セルの境界領域に偏析していた成分が凝集して強化炭化物相を形成し始め、その結果、偏析セルが消失することが分かった(より正確に言うと、SEM観察で偏析セルを確認できなくなる)。強化炭化物相を形成し始める凝集点は、元偏析セル境界の三重点/四重点の位置と考えられ、母相結晶粒の全体(結晶粒内および結晶粒界上)に微細に分布した状態になる。
なお、溶体化熱処理の温度条件・保持時間条件をうまく制御すれば、形成し始めた強化炭化物相を凝集粗大化させることなく粒子の形態まで成長させることができる。その場合、本工程S3をもってCo基合金製造物の完成としてもよい。ただし、母相結晶粒の粗大化制御の観点(言い換えると、製造安定性や製造歩留まりの観点)からは、次の時効熱処理工程S4を行うことがより好ましい。
(時効熱処理工程)
本工程S4は、溶体化処理を施したCo基合金AM体に対して時効処理を施す工程である。時効処理条件としては、750℃以上1000℃以下の温度範囲で0.5時間以上10時間以下の保持時間の熱処理が好ましい。熱処理後の冷却方法に特段の限定はなく、水冷、油冷、空冷、炉冷のいずれでも構わない。
時効処理を施すことにより、母相結晶粒の過剰粗大化を抑制しながら、溶体化熱処理工程S3で形成し始めた強化炭化物相を粒子の形態まで成長させることができる。その結果、母相結晶粒の平均結晶粒径が20μm以上145μm以下であり、各結晶粒内に強化炭化物相粒子が微細分散析出しており、該強化炭化物相粒子の平均粒子間距離が0.15μm以上1.5μm以下であるCo基合金製造物を得ることができる。なお、本発明のCo基合金製造物は、当然のことながら、母相結晶粒の粒界上にも強化炭化物相粒子が分散析出している。
(仕上工程)
図1には図示していないが、溶体化熱処理工程S3や時効熱処理工程S4によって得られたCo基合金製造物に対して、必要に応じて、耐食性被覆層を形成する工程や表面仕上げの工程を更に行ってもよい。
[Co基合金製造物]
図3は、本発明に係るCo基合金製造物の一例であり、タービン高温部材としてのタービン静翼を示す斜視模式図である。図3に示したように、タービン静翼100は、概略的に、内輪側エンドウォール101と翼部102と外輪側エンドウォール103とから構成される。翼部の内部には、しばしば冷却構造が形成される。このように、タービン静翼100は非常に複雑な形状・構造を有することから、ニアネットシェイプで形成されるAM体および該AM体を基にした合金製造物の技術的意義は大きい。
なお、例えば、出力30 MW級の発電用ガスタービンの場合、タービン静翼の翼部の長さ(両エンドウォールの間の距離)は170 mm程度である。
図4は、本発明に係るCo基合金製造物を装備するガスタービンの一例を示す断面模式図である。図4に示したように、ガスタービン200は、概略的に、吸気を圧縮する圧縮機部210と燃料の燃焼ガスをタービン翼に吹き付けて回転動力を得るタービン部220とから構成される。本発明のタービン高温部材は、タービン部220内のタービンノズル221やタービン静翼100として好適に用いることができる。当然のことながら、本発明のタービン高温部材は、ガスタービン用途に限定されるものではなく、他のタービン用途(例えば、蒸気タービン用途)であってもよい。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実験1]
(合金粉末IA-1〜IA-5およびCA-1〜CA-5の用意)
表1に示す化学組成を有するCo基合金粉末を用意した(合金粉末用意工程S1)。より具体的には、まず、原料を混合した後、真空高周波誘導溶解法により溶解・鋳造して母合金塊(質量:約2 kg)を作製する母合金塊作製素工程S1aを行った。次に、該母合金塊を再溶解して、アルゴンガス雰囲気中のガスアトマイズ法により合金粉末を形成するアトマイズ素工程S1bを行った。
次に、得られた各合金粉末に対して、粒径を制御するための合金粉末分級素工程S1cを行った。このとき、粉末粒径を10〜25μmの範囲に分級した合金粉末(粒度S)と、100〜150μmの範囲に分級した合金粉末(粒度L)とを用意した。
Figure 2020143379
表1に示したように、合金粉末IA-1〜IA-5は、本発明の規定を満たす化学組成を有する合金粉末である。一方、合金粉末CA-1は、C含有率とCr含有率とが本発明の規定を外れている。合金粉末CA-2は、C含有率とNi含有率と「Ti+Zr+Nb+Ta」の合計含有率とが本発明の規定を外れている。合金粉末CA-3は、N含有率と「Ti+Zr+Nb+Ta」の合計含有率とが本発明の規定を外れている。合金粉末CA-4は、「Ti+Zr+Nb+Ta」の合計含有率が本発明の規定を外れている。合金粉末CA-5は、W含有率と「Ti+Zr+Nb+Ta」の合計含有率とが本発明の規定を外れている。
[実験2]
(IA-2粉末を用いたSLM合金製造物、およびCA-5粉末を用いたSLM合金製造物の作製)
実験1で用意したIA-2およびCA-5の粒度Sの合金粉末を用いてSLM法によりAM体(直径8 mm×高さ10 mm)を形成した(選択的レーザ溶融工程S2)。SLM条件は、合金粉末床の厚さhを100μmとし、レーザ光の出力Pを100 Wとし、レーザ光の走査速度S(mm/s)を種々変更することによって局所入熱量P/S(単位:W・s/mm=J/mm)を制御した。局所入熱量の制御は、冷却速度の制御に相当する。
上記で作製した各AM体に対して、1150℃で4時間保持する熱処理を行った(溶体化熱処理工程S3)。次に、溶体化処理を施した各AM体に対して、900℃で4時間保持する熱処理を行って(時効熱処理工程S4)、IA-2粉末を用いたSLM合金製造物およびCA-5粉末を用いたSLM合金製造物を作製した。
(IA-2粉末を用いたLMD合金製造物、およびCA-5粉末を用いたLMD合金製造物の作製)
実験1で用意したIA-2およびCA-5の粒度Lの合金粉末を用いてレーザ金属堆積法(LMD法)によりAM体を形成し、上記と同様の溶体化熱処理工程S3と時効熱処理工程S4とを行って、IA-2粉末を用いたLMD合金製造物およびCA-5粉末を用いたLMD合金製造物を作製した。LMD条件は、レーザ光の出力Pを800 Wとし、レーザ光の走査速度Sを15 mm/sとした。
なお、LMD法とは、AM法の一種であり、合金粉末投入とレーザ照射とを同時に行って積層造形する手法である。LMD法の局所入熱量は、一般的にSLM法の局所入熱量よりも大きい。言い換えると、LMD法での冷却速度は、SLM法の冷却速度よりも遅くなる。
(IA-2粉末を用いた鋳造合金製造物、およびCA-5粉末を用いた鋳造合金製造物の作製)
実験1で用意したIA-2およびCA-5の粒度Lの合金粉末を用いて精密鋳造法により鋳造体(直径8 mm×高さ10 mm)を形成し、上記と同様の溶体化熱処理工程S3と時効熱処理工程S4とを行って、IA-2粉末を用いた鋳造合金製造物およびCA-5粉末を用いた鋳造合金製造物を作製した。
(微細組織観察および機械的特性試験)
上記で作製したAM体、鋳造体、および製造物から、微細組織観察用および機械的特性試験用の試験片をそれぞれ採取し、微細組織観察および機械的特性試験を行った。
微細組織観察はSEMにより行った。また、得られたSEM観察像に対して画像処理ソフトウェア(ImageJ、National Institutes of Health(NIH)開発のパブリックドメインソフトウェア)を用いた画像解析により、偏析セルの平均サイズ、ミクロ偏析の平均間隔、および炭化物相粒子の平均粒子間距離を測定した。
機械的特性試験としては、室温環境(約23℃)において引張試験を行い、0.2%耐力を測定した。
図5は、LMD法により形成したCo基合金AM体の微細組織の一例を示すSEM観察像であり、図6は、精密鋳造法により形成したCo基合金鋳造体の微細組織の一例を示すSEM観察像である。また、先に示した図2は、SLM法により形成したCo基合金AM体の微細組織の一例を示すSEM観察像である。図2、5〜6の試料は、いずれも合金粉末としてIA-2を用いたものである。
前述したように、SLM法により形成したAM体(図2参照)は、多結晶体の結晶粒内に約1μmサイズの偏析セルが形成している。これに対し、LMD法により形成したAM体(図5参照)は、多結晶体の各結晶粒が約5〜20μmのサイズの偏析セルから構成されている。精密鋳造法により形成した鋳造体(図6参照)では、デンドライト境界に沿ったミクロ偏析が認められ、該ミクロ偏析の間隔は約100〜300μmである。
これらAM体および鋳造体に溶体化・時効処理を施して作製した製造物の微細組織を観察し、炭化物相粒子の平均粒子間距離を測定したところ、該平均粒子間距離は、それぞれ偏析セルの平均サイズやミクロ偏析の平均間隔とほぼ一致することが分かった(微細組織の図示は省略する)。また、偏析セルの平均サイズが非常に小さい場合(例えば、平均サイズが約0.1μm以下の場合)、溶体化・時効処理によって近接の炭化物相同士が合体して大きな粒子を形成する(その結果、炭化物相粒子の平均粒子間距離が拡大する)ことが分かった。
微細組織が大きく異なる製造物が得られたことから、偏析セルの平均サイズと機械的特性との関係を調査した。図7は、Co基合金AM体における偏析セルの平均サイズとCo基合金製造物における0.2%耐力との関係例を示すグラフである。なお、図7には、比較として鋳造体および鋳造合金製造物のデータも示した。鋳造体においては、ミクロ偏析の平均間隔で偏析セルの平均サイズを代用した。
図7に示したように、CA-5粉末を用いて作製したCo基合金製造物は、偏析セルの平均サイズに影響されず、ほとんど一定の0.2%耐力を示した。一方、IA-2粉末を用いて作製したCo基合金製造物は、偏析セルの平均サイズによって0.2%耐力が大きく変化した。
CA-5粉末は、「Ti+Zr+Nb+Ta」の合計含有率が過少である(ほとんど含まれていない)。そのため、CA-5粉末を用いた製造物では、強化炭化物相は析出せずにCr炭化物粒子が析出した微細組織を有していた。この結果から、Cr炭化物粒子は、析出強化粒子としてはそれほど有効でないことが確認される。これに対し、IA-2粉末を用いた製造物は、強化炭化物相粒子が析出した微細組織を有していた。そのため、偏析セルの平均サイズ(その結果としての炭化物相粒子の平均粒子間距離)によって0.2%耐力が大きく変化したと考えられる。
また、本発明が対象とするタービン高温部材に対する要求特性を勘案すると、0.2%耐力は500 MPa以上が必要とされている。そこで、500 MPa以上の0.2%耐力を「合格」と判定し、500 MPa未満を「不合格」と判定すると、偏析セルの平均サイズ(その結果としての炭化物相粒子の平均粒子間距離)が0.15〜1.5μmの範囲において「合格」となる機械的特性が得られることが確認された。言い換えると、従来の炭化物相析出Co基合金材において十分な機械的特性が得られなかった要因の一つは、強化炭化物相粒子の平均粒子間距離を望ましい範囲に制御できなかったためと考えられる。
[実験3]
(IA-1〜IA-5粉末を用いたSLM合金製造物IP-1-1〜IP-5-1、およびCA-1〜CA-5粉末を用いたSLM合金製造物CP-1-1〜CP-5-1の作製)
実験1で用意したIA-1〜IA-5およびCA-1〜CA-5の粒度Sの合金粉末を用いてSLM法によりAM体(直径8 mm×高さ10 mm)を形成した(選択的レーザ溶融工程S2)。SLM条件としては、実験2の結果を受けて、炭化物相粒子の平均粒子間距離が0.15〜1.5μmの範囲となるように制御した。
上記で作製した各AM体に対して、1150℃で4時間時間保持する熱処理を行った(溶体化熱処理工程S3)。次に、溶体化処理を施した各AM体に対して、750〜1000℃で0.5〜10時間保持する熱処理を行って(時効熱処理工程S4)、IA-1〜IA-5粉末を用いたSLM合金製造物IP-1-1〜IP-5-1、およびCA-1〜CA-5粉末を用いたSLM合金製造物CP-1-1〜CP-5-1を作製した。
(微細組織観察および機械的特性試験)
上記で作製したSLM合金製造物IP-1-1〜IP-5-1およびCP-1-1〜CP-5-1から、微細組織観察用および機械的特性試験用の試験片をそれぞれ採取し、微細組織観察および機械的特性試験を行った。
微細組織観察は、実験2と同様のSEM観察像に対する画像解析を行って、母相結晶粒の平均粒径および炭化物相粒子の平均粒子間距離を測定した。
機械的特性試験としては、温度900℃、応力98 MPaの条件下でクリープ試験を行い、クリープ破断時間を測定した。本発明が対象とするタービン高温部材に対する要求特性から、クリープ破断時間が1100時間以上を「合格」と判定し、1100時間未満を「不合格」と判定した。合格となるクリープ特性は、応力58 MPaでクリープ破断時間が10万時間となる温度が875℃以上であることを意味する。このクリープ特性は、Ni基合金材と同等のクリープ特性と言える。
実験3の結果を表2に示す。
Figure 2020143379
表2に示したように、SLM合金製造物IP-1-1〜IP-5-1は、全ての試料でクリープ試験が合格であった。これは、母相結晶粒の平均粒径が適切な範囲にあることに加えて、強化炭化物相粒子(Ti、Zr、Nbおよび/またはTaのMC型炭化物相粒子)の平均粒子間距離が十分に小さい(すなわち、該強化炭化物相粒子が微細分散析出している)ことに起因すると考えられる。
一方、SLM合金製造物CP-1-1〜CP-5-1では、母相結晶粒の平均粒径は適切な範囲にあるが、全ての試料でクリープ試験が不合格であった。個別に見ると、CP-1-1は、C含有率とCr含有率とが過多であることから、Cr炭化物粒子が優勢析出していたことに起因すると考えられる。CP-2-1は、C含有率と「Ti+Zr+Nb+Ta」の合計含有率とが過多であることから、強化炭化物相粒子が粗大化した結果、平均粒子間距離が拡大したことに起因すると考えられる。CP-3-1は、C含有率が過多であり「Ti+Zr+Nb+Ta」の合計含有率が過少であることから、Cr炭化物粒子が優勢析出していたことに起因すると考えられる。CP-1-1およびCP-3-1の結果から、Cr炭化物粒子は、析出強化粒子としてはそれほど有効でないことが確認される。CP-4-1およびCP-5-1は、「Ti+Zr+Nb+Ta」の合計含有率が過少であることから(ほとんど含まれていないことから)、強化炭化物相自体が析出しなかったことに起因すると考えられる。
実験3の結果から、SLM合金製造物の出発粉末として、本発明で規定した化学組成を有するIA-1〜IA-5が好ましいことが確認された。また、強化炭化物相粒子の平均粒子間距離を0.15〜1.5μmの範囲に制御することにより、クリープ特性を向上できることが確認された。
[実験4]
(SLM合金製造物IP-1-2〜IP-1-7およびIP-2-2〜IP-2-7の作製)
実験1で用意したIA-1およびIA-2の粒度Sの合金粉末を用いてSLM法によりAM体(直径8 mm×高さ10 mm)を作製した(選択的レーザ溶融工程S2)。SLM条件としては、実験2の結果を受けて、炭化物相粒子の平均粒子間距離が0.15〜1.5μmの範囲となるように制御した。
上記で作製した各AM体に対して、溶体化処理・時効処理を施した。このとき、溶体化処理の温度範囲(1000〜1300℃)および保持時間範囲(0.5〜10時間)を種々変更することによって、母相結晶粒の平均粒径が異なるSLM合金製造物IP-1-2〜IP-1-7およびIP-2-2〜IP-2-7を作製した。時効処理条件は、実験3と同様にした。
(微細組織観察および機械的特性試験)
上記で作製したSLM合金製造物IP-1-2〜IP-1-7およびIP-2-2〜IP-2-7から、微細組織観察用および機械的特性試験用の試験片をそれぞれ採取し、微細組織観察および機械的特性試験を行った。
微細組織観察は、実験2と同様のSEM観察像に対する画像解析を行って、母相結晶粒の平均粒径を測定した。また、機械的特性試験としては、実験2と同様のクリープ試験を行い、実験2と同じ判定基準で「合格/不合格」を判定した。実験4の結果を表3に示す。
Figure 2020143379
表3に示したように、母相結晶粒の平均粒径は、20〜145μmが好ましいことが確認された。また、実験4の結果から、溶体化処理は、1100〜1200℃の温度範囲で0.5〜10時間保持する熱処理が好ましいことが確認された。
[実験5]
(選択的レーザ溶融工程におけるSLM条件の検討)
実験1で用意したIA-4の粒度Sの合金粉末を用いてSLM法によりAM体(直径8 mm×高さ10 mm)を形成した(選択的レーザ溶融工程S2)。SLM条件は、レーザ光の出力Pを85 Wとし、合金粉末床の厚さhおよびレーザ光の走査速度S(mm/s)を種々変更することによって局所入熱量P/S(単位:W・s/mm=J/mm)を制御した。
上記で作製した各AM体に対して、微細組織観察を行って偏析セルの平均サイズを測定した。微細組織観察・測定方法は、実験2と同様にSEMおよび画像処理ソフトウェア(ImageJ)を用いた。
図8は、本発明に係るCo基合金AM体を得るためのSLM条件例であり、合金粉末床の厚さと局所入熱量との関係を示すグラフである。図8において、AM体の微細組織観察の結果、偏析セルの平均サイズが0.15〜1.5μmの範囲にあるものを「合格」と判定して図中に「○」で示し、それ以外のものを「不合格」と判定して図中に「×」で示した。
実験5の結果から、選択的レーザ溶融工程S2におけるSLM条件は、合金粉末床の厚さh(単位:μm)とレーザ光の出力P(単位:W)とレーザ光の走査速度S(単位:mm/s)との関係が「15 <h< 150」かつ「67(P/S)−3.5 <h< 2222(P/S)+13」を満たすように制御することが好ましいことが確認される。すなわち、ハッチングの領域が合格判定の領域である。
上述した実施形態や実験例は、本発明の理解を助けるために説明したものであり、本発明は、記載した具体的な構成のみに限定されるものではない。例えば、実施形態の構成の一部を当業者の技術常識の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に当業者の技術常識の構成を加えることも可能である。すなわち、本発明は、本明細書の実施形態や実験例の構成の一部について、発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、削除・他の構成に置換・他の構成の追加をすることが可能である。
100・・・タービン静翼、
101・・・内輪側エンドウォール、102・・・翼部、103・・・外輪側エンドウォール、
200・・・ガスタービン、210・・・圧縮機部、220・・・タービン部、
221・・・タービンノズル。

Claims (6)

  1. コバルト基合金材料であって、
    0.08質量%以上0.25質量%以下の炭素と、
    0.1質量%以下のホウ素と、
    10質量%以上30質量%以下のクロムとを含み、
    鉄を5質量%以下でニッケルを30質量%以下で含み、前記鉄および前記ニッケルの合計が30質量%以下であり、
    タングステンおよび/またはモリブデンを含み、前記タングステンおよび前記モリブデンの合計が5質量%以上12質量%以下であり、
    チタン、ジルコニウム、ニオブおよびタンタルを含み、前記チタン、前記ジルコニウム、前記ニオブおよび前記タンタルの合計が0.5質量%以上2質量%以下であり、
    0.5質量%以下のケイ素と、
    0.5質量%以下のマンガンと、
    0.003質量%以上0.04質量%以下の窒素とを含み、
    残部がコバルトと不純物とからなる化学組成を有し、
    前記不純物として、0.04質量%以下の酸素を含む、
    ことを特徴とするコバルト基合金材料。
  2. 請求項1に記載のコバルト基合金材料において、
    前記化学組成は、
    前記チタンが0.01質量%以上1質量%以下であり、
    前記ジルコニウムが0.05質量%以上1.5質量%以下であり、
    前記ニオブが0.02質量%以上1質量%以下であり、
    前記タンタルが0.05質量%以上1.5質量%以下である、
    ことを特徴とするコバルト基合金材料。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のコバルト基合金材料において、
    前記化学組成は、前記不純物として、0.5質量%以下のアルミニウムを更に含む、
    ことを特徴とするコバルト基合金材料。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のコバルト基合金材料において、
    前記化学組成は、2質量%以下のレニウムを更に含み、
    前記タングステン、前記モリブデンおよび前記レニウムの合計が5質量%以上12質量%以下である、
    ことを特徴とするコバルト基合金材料。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のコバルト基合金材料において、
    前記コバルト基合金材料は、所定の選択的レーザ溶融法用の合金粉末であることを特徴とするコバルト基合金材料。
  6. 請求項5に記載のコバルト基合金材料において、
    前記合金粉末の粒径が5μm以上100μm以下であることを特徴とするコバルト基合金材料。
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