JP2020143156A - 心血管リスクを低減させる方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】最大耐用量スタチン治療にもかかわらず心血管リスクが高い急性冠症候群後の患者の心血管リスクを低減させ、アテローム生成リポタンパク質を低下させる方法の提供。【解決手段】急性冠症候群(ACS)事象後12カ月以内の高心血管リスク患者の心血管リスクを低減させる方法であって、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤の1用量またはそれ以上を、該PCSK9阻害剤の不在下で最大耐用量スタチン治療での定常状態処置にもかかわらずアテローム生成リポタンパク質の不十分な制御を示す該患者に投与することを含む前記方法。前記PCSK9阻害剤は、PCSK9に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片(例:アリロクマブ)が好ましい。前記PCSK9阻害剤は、最大耐用量スタチン治療(例:アトルバスタチン約40mg〜約80mg/日、ロスバスタチン約20mg〜約40mg/日)と併用してもよい。【選択図】なし

Description

本発明は、脂質およびリポタンパク質レベル上昇に関連する疾患および障害の治療的処置の分野に関する。より具体的には、本発明は、最大耐用量スタチン治療にもかかわらず心血管リスクが高い急性冠症候群後の患者において心血管リスクを低減させ、アテローム生成リポタンパク質を低下させるためのPCSK9阻害剤の使用に関する。
迅速な冠動脈血行再建、二重抗血小板治療および強化スタチン処置をはじめとする最新の治療にもかかわらず、心血管事象は、急性冠症候群(ACS)後に高頻度で起こる。登録データは、5年で13%ほどもの高い心血管死亡率を示しており、圧倒的多数が最初の退院後に起こっている。最近急性冠症候群(ACS)を発症した患者は、近いうちに再発冠動脈事象を患うリスクが非常に高い。ACS患者のおおよそ10%において、心血管死、再発性心筋梗塞または脳卒中が1年以内に起こる。大規模治験の結果に基づいて、早期強化スタチン治療は、ACS患者に対する治療勧告として正式に承認されている。疫学的介入試験と薬理学的介入試験の両方によって、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)レベルと心血管(CV)事象との強い直線相関が実証されている。しかし、多くの高CVリスク患者は、現在利用可能な脂質低下薬でそのようなレベルを達成することができない。さらに、有意な数の高リスク患者は、彼らの推奨LDL−C標的レベルを達成することさえできず、ほとんどのCV事象は実際には予防されず、その結果、患者に相当な「残存リスク」が残る。それ故、冠動脈心疾患(CHD)の予防のためのさらなる薬物治療は、特にACSの高リスク患者には、依然として絶対必要である。
本発明は、最大耐用量スタチン治療にもかかわらず心血管リスクが高い急性冠症候群後の患者の心血管リスクを低減させ、アテローム生成リポタンパク質を低下させる方法を提供する。特に、本発明の方法は、心血管リスクおよび/または心血管事象の低減に有用である。
本発明の一実施形態は、急性冠症候群(ACS)事象後12カ月以内の高心血管リスク患者の心血管リスクを低減させる方法であって、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤の1用量またはそれ以上を、該PCSK9阻害剤の不在下で最大耐用量スタチン治療での定常状態処置にもかかわらずアテローム生成リポタンパク質の不十分な制御を示す該患者に投与することを含む前記方法を提供する。
本発明の一実施形態は、急性冠症候群(ACS)事象後12カ月以内の高心血管リスク患者の心血管事象を低減させる方法であって、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤の1用量またはそれ以上を、該PCSK9阻害剤の不在下で最大耐用量スタチン治療での定常状態処置にもかかわらずアテローム生成リポタンパク質の不十分な制御を示す該患者に投与することを含む前記方法を提供する。
本発明の一実施形態は、急性冠症候群(ACS)事象後の高心血管リスク患者の心血管事象を低減させる方法であって、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤の1用量またはそれ以上を該患者に投与することを含む前記方法を提供する。
本発明の一実施形態は、急性冠症候群(ACS)事象後の高心血管リスク患者の心血管リスクを低減させる方法であって、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤の1用量またはそれ以上を該患者に投与することを含む前記方法を提供する。
一態様によると、本発明の方法は、最大耐用量スタチン治療にもかかわらず心血管リスクが高い急性冠症候群事象後12カ月以内の患者に、該患者の心血管リスク(すなわち、PCSK9阻害剤の不在下で最大耐用量スタチン治療によって十分に制御されない脂質およびリポタンパク質上昇)を低減させ、アテローム生成リポタンパク質を低下させるために、PCSK9阻害剤の1用量またはそれ以上を投与することを含む。本発明の特定の実施形態によると、PCSK9阻害剤は、高心血管リスク患者に、該患者の既存のスタチン治療への追加治療として投与される。
別の態様によると、本発明の方法は、スタチンの1日用量を含む治療レジメン(例えば、最大耐用量スタチン治療)を受けている高心血管リスク患者を選択すること、および前記スタチン治療と併用して(すなわち、前記スタチン治療「に加えて」)PCSK9阻害剤の1用量またはそれ以上を該患者に投与することを含む。
一態様によると、本発明は、急性冠症候群(ACS)事象後12カ月以内の高心血管リスク患者の心血管リスクを低減させる方法であって、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤の1用量またはそれ以上を、該PCSK9阻害剤の不在下で最大耐用量スタチン治療での定常状態処置にもかかわらずアテローム生成リポタンパク質の不十分な制御を示す該患者に投与することを含む前記方法を含む。
いくつかの態様において、心血管リスクを低減させることという用語は、冠動脈心疾患死、急性心筋梗塞、不安定狭心症による入院、または虚血性脳卒中の初回発生までの時間を短縮することを意味する。
いくつかの態様において、用語ACS事象は:1)推定されるまたは立証された閉塞性冠疾患に起因する、予定外の入院から72時間以内の安静時または最小労作時に起こる不安定な心筋虚血症状;および2)次のうちの少なくとも1つ:a)急性心筋梗塞と一致する心臓バイオマーカー上昇、またはb)虚血もしくは梗塞と一致する安静時ECG変化と共に局所灌流画像法からの閉塞性冠疾患のさらなる証拠もしくは壁運動異常、血管造影法による心外膜冠動脈狭窄≧70%、もしくは該事象に関係する冠動脈血行再建の必要性によって定義される。
いくつかの態様において、PCSK9阻害は、PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1/6および11/15からなる群から選択される重鎖可変領域/軽鎖可変領域(HCVR/LCVR)アミノ酸配列対の重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)を含む。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号12、13、14、16、17および18を有する重鎖および軽鎖CDRアミノ酸配列を含む。代替態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号11のアミノ酸配列を有するHCVRおよび配列番号15のアミノ酸配列を有するLCVRを含む。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2、3、4、7、8および10を有する重鎖および軽鎖CDRアミノ酸配列を含む。代替態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を有するLCVRを含む。他の態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号12、13、14、16、17および18;または配列番号2、3、4、7、8および10を有する重鎖および軽鎖CDRアミノ酸配列を含む抗体と同じ、PCSK9上のエピトープと
結合する。さらに他の態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号12、13、14、16、17および18;または配列番号2、3、4、7、8および10を有する重鎖および軽鎖CDRアミノ酸配列を含む抗体と、PCSK9との結合について競合する。
いくつかの態様において、PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片は、約75mgの用量で2週間に1回の頻度で患者に投与される。他の態様において、2用量後に測定される患者のLDL−Cが<50mg/dLである場合、約75mg用量が維持される。さらに他の態様において、2用量後に測定される患者のLDL−Cが≧50mg/dLのままである場合、約75mg用量は中止され、その後、PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片が、約150mgの用量で2週間に1回の頻度で患者に投与される。さらなる態様において、いずれか2回の連続する測定について患者のLDL−Cが<25mg/dLである場合、約150mg用量は中止され、その後、PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片が、約75mgの用量で2週間に1回の頻度で患者に投与される。
いくつかの態様において、PCSK9阻害剤は、最大耐用量スタチン治療と併用して患者に投与される。他の態様において、最大耐用量スタチン治療は、アトルバスタチン約40mg〜約80mgの1日用量を含む。さらに他の態様において、最大耐用量スタチン治療は、ロスバスタチン約20mg〜約40mgの1日用量を含む。
いくつかの態様において、患者は、PCSK9阻害剤の投与前または投与時に:1)≧70mg/dLの血清低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)レベル;2)非高密度リポタンパク質コレステロール≧100mg/dL;または3)アポリポタンパク質B≧80mg/dLと定義されるアテローム生成リポタンパク質の不十分な制御を示す。
いくつかの態様において、定常状態処置は、少なくとも2週間の処置である。
本発明の他の実施形態は、後に続く詳細な説明の再考から明らかになるであろう。
ODYSSEY LONG TERM研究のデザインの図解である。 ODYSSEY LONG TERMの研究デザインの図解である。電話訪問はイタリック体で示されており、二重盲検処置期間の最終訪問まで、治験実施施設への訪問と訪問の間に、4週間ごとに継続する。 第52週までのODYSSEY LONG TERM研究における各時点でのプラセボおよびアリロクマブについてのLS平均(SE)算定LDL−Cを示すグラフである。グラフに示されている値は、ベースラインから第24週および第52週までのLS平均変化%である。 ODYSSEY LONG TERM研究の初回の判定された主要CV事象までの時間についての事前に設定された解析時点でのカプラン・マイヤー推定値のグラフである。 ODYSSEY LONG TERM研究の第24週におけるプラセボおよびアリロクマブについてのLS平均(SE)算定非HDL−C、アポBおよびLp(a)レベルを示すグラフである。 TEAE期間中の初回の陽性判定されたCV事象までの時間についての(研究完了時点での)カプラン・マイヤー推定値を示す、MACE(ODYSSEY OUTCOMESエンドポイント)と判定されたサブグループについての事後解析のグラフである。 第3相プラセボ対照研究プールにおけるTEAE期間中の初回の陽性判定されたCV事象までの時間についてのカプラン・マイヤー推定値を示す、MACE(ODYSSEY OUTCOMESエンドポイント)と判定されたサブグループについての事後解析のグラフである。
本発明を説明する前に、本発明は説明する特定の方法および実験条件に限定されないことを理解すべきである。そのような方法および条件は変わることがあるからである。本明細書において用いる専門用語は、特定の実施形態の説明を目的にしたものに過ぎず、限定的することを意図したものでないことも理解すべきである。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるからである。
別段の定義がない限り、本明細書において用いる全ての専門および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書において用いる場合、用語「約」は、特定の列挙されている数値に関して用いるとき、その値が、列挙されている値から1%以下変動することがあることを意味する。例えば、本明細書において用いる場合、「約100」という表現は、99および101、ならびに間の全ての値(例えば、99.1、99.2、99.3、99.4など)を含む。
本明細書に記載のものと同様または等価の任意の方法および材料を本発明の実施の際に使用することができるが、好ましい方法および材料を次に説明する。本明細書において言及する全ての出版物は、それら全体が説明のために参照によって本明細書に組み入れられている。
最大耐用量スタチン治療によって十分に制御されない高コレステロール血症および他のアテローム生成リポタンパク質
一般に、本発明は、スタチンによって十分に制御されない高コレステロール血症、すなわちスタチンの1日最大耐用量を含む治療レジメンによって十分に制御されない高コレステロール血症、を有する高心血管リスク患者を処置するための方法および組成物に関する。本明細書において用いる場合、高コレステロール血症に関して「十分に制御されない」という表現は、スタチンの安定した1日用量を含む治療レジメンを受けていて少なくとも4週間後に患者の血清低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)濃度、総コレステロール濃度、および/またはトリグリセリド濃度が(該患者の冠動脈心疾患の相対リスクを考慮に入れて)認知されている医学的に許容されるレベルに低減されないことを意味する。例えば、「スタチンによって十分に制御されない高コレステロール血症の患者」は、患者が少なくとも4週間、安定した毎日のスタチンレジメン受けてきた後、(心疾患についての該患者の潜在的リスクに依存して)約70mg/dL以上、100mg/dL、130mg/dL、140mg/dL、またはそれ以上の血清LDL−C濃度を有する患者を含む。
特定の実施形態によると、本発明の方法によって処置可能である高心血管リスク患者は、少なくとも4週間、5週間、6週間、またはそれ以上、(他の脂質修飾治療と共にまたはなしで)スタチンの安定した1日用量の摂取にもかかわらず高コレステロール血症(例えば、70mg/dL以上の血清LDL−C濃度)を有する。特定の実施形態において、高心血管リスク患者の高コレステロール血症は、最大耐用量スタチン治療では制御不十分である。
本発明は、スタチンによって十分に制御されないアテローム生成リポタンパク質レベル上昇、すなわちスタチンの1日最大耐用量を含む治療レジメンによって十分に制御されないアテローム生成リポタンパク質レベル上昇、を有する高心血管リスク患者を処置するた
めの方法および組成物にも一般に関する。本明細書において用いる場合、アテローム生成リポタンパク質に関して「十分に制御されない」という表現は、スタチンの安定した1日用量を含む治療レジメンを受けていて少なくとも4週間後に患者の血清低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)濃度、非高密度リポタンパク質コレステロール、および/またはアポリポタンパク質B濃度が(患者の冠動脈心疾患の相対リスクを考慮に入れて)認知されている医学的に許容されるレベルに低減されないことを意味する。例えば、「スタチンによって十分に制御されないアテローム生成リポタンパク質レベル上昇を有する患者」は、患者が少なくとも4週間、安定した毎日のスタチンレジメン受けてきた後、(心疾患についての該患者の潜在的リスクに依存して)約70mg/dL以上、100mg/dL、130mg/dL、140mg/dL、もしくはそれ以上の血清LDL−C濃度;約100mg/dL以上の非高密度リポタンパク質コレステロール濃度;または約80mg/dL以上のアポリポタンパク質B濃度を有する患者を含む。
特定の実施形態によると、本発明の方法によって処置可能である高心血管リスク患者は、少なくとも4週間、5週間、6週間、またはそれ以上、(他の脂質修飾治療と共にまたはなしで)スタチンの安定した1日用量の摂取にもかかわらずアテローム生成リポタンパク質レベル上昇(例えば、70mg/dL以上の血清LDL−C濃度)を有する。特定の実施形態において、高心血管リスク患者のアテローム生成リポタンパク質レベル上昇は、最大耐用量スタチン治療では制御十分である。
本明細書において用いる場合、「最大耐用量スタチン治療」は、個々の患者についての最大投与可能量であるスタチンの1日用量の投与を含む治療レジメンを意味する。最大投与可能量は、患者において許容し難い有害副作用を生じさせることなく患者に投与することができるスタチンの最高用量を意味する。最大耐用量スタチン治療は、例えば、アトルバスタチン40〜80mg/日、またはロスバスタチン20〜40mg/日を含むが、これらに限定されない。
本発明は、最大耐用量スタチン治療によって十分に制御されない高コレステロール血症および他のアテローム生成リポタンパク質レベル上昇を有する高心血管リスク患者を処置する方法であって、他のスタチン、例えば、セリバスタチン、ピタバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチンおよびプラバスタチンの毎日の投与を含む前記方法も含む。
患者選択
本発明は、1日最大耐用量治療スタチンレジメンによって十分に制御されない、高コレステロール血症および他のアテローム生成リポタンパク質レベル上昇を有する高心血管リスク患者の処置に有用な方法および組成物を含む。
本発明の特定の実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、食事の補助剤として投与される。
いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、最近急性冠症候群を発症した患者の心血管事象を低減させるために投与される。
いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、最近急性冠症候群を発症した患者の心血管リスクを低減させるために投与される。
いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、スタチンと併用してのものであるか、またはスタチンを耐容することができない患者の場合に含める単剤治療としてのものである。
いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、使い捨て充填済みペンまたは使い捨て充填済み注射器を使用して大腿、腹部または上腕に皮下注射として投与される。注射部位は、注射ごとに順番に変えることができる。抗体またはその抗原結合断片は、日焼け、発疹、炎症または皮膚感染症などの活動性皮膚疾患または外傷部位に注射すべきでない。
本発明の方法によって処置可能である高心血管リスク患者は、推定されるまたは立証された閉塞性冠疾患に起因する、予定外の入院から72時間以内の安静時または最小労作時に起こる不安定な心筋虚血症状によって定義されるACSで入院した。加えて、ACS事象の認定は、次の基準の少なくとも1つを満たす必要があった:急性心筋梗塞と一致する心臓バイオマーカー上昇、または虚血もしくは梗塞と一致する安静時ECG変化と共に局所灌流画像法からの閉塞性冠疾患のさらなる証拠もしくは壁運動異常、血管造影法による心外膜冠動脈狭窄≧70%、または該事象に関係する冠動脈血行再建の必要性。
患者の適格性確認は、アトルバスタチン40〜80mg/日、ロスバスタチン20〜40mg/日、またはこれらの薬剤の一方の最大耐用量での定常状態(少なくとも2週間)処置にもかかわらずアテローム生成リポタンパク質の不十分な制御を実証しなければならなかった。アテローム生成リポタンパク質の不十分な制御を、次のうちの少なくとも1つによって定義した:LDL−C≧70mg/dL(1.81mmol/L)、非高密度リポタンパク質コレステロール(非HDL−C)≧100mg/dL(2.59mmol/L)、またはアポリポタンパク質B≧80mg/dL(0.8mmol/L)。
特定の実施形態によると、年齢(例えば、40、45、50、55、60、65、70、75または80歳より高齢)、人種、出身国、性別(男性または女性)、運動習慣(例えば、運動する習慣のある人、運動しない人)、他の既存の病状(例えば、II型糖尿病、高血圧など)および現在の投薬状態(例えば、現在摂取しているβ遮断薬、ナイアシン、エゼチミブ、フィブラート、オメガ3脂肪酸、胆汁酸樹脂など)からなる群から選択される1つまたはそれ以上の追加のリスク因子を有することに基づいて高心血管リスク患者を選択することができる。
本発明によると、高心血管リスク患者は、上述の選択基準または治療特性の1つまたはそれ以上についての組合せに基づいて選択することができる。
最大耐用量スタチン治療への追加治療としてのPCSK9阻害剤の投与
本発明は、PCSK9阻害剤の不在下で安定した1日最大耐用量治療スタチンレジメンによって十分に制御されない高コレステロール血症および他のアテローム生成リポタンパク質レベル上昇を有する高心血管リスク患者にPCSK9阻害剤が特定の投薬量および頻度に従って投与され、前記PCSK9阻害剤が該患者の治療スタチンレジメンへの追加として投与される方法を含む。例えば、特定の実施形態によると、高心血管リスク患者が、例えばアトルバスタチン40〜80mgを含む安定した1日最大耐用量治療スタチンレジメンを受けているにもかかわらず十分に制御されない高コレステロール血症および他のアテローム生成リポタンパク質レベル上昇を有する場合、前記高心血管リスク患者は、彼または彼女の安定した毎日の治療スタチンレジメンを継続しながら、PCSK9阻害剤を特定の用量および投薬間隔で投与される。
本発明の方法は、高心血管リスク患者がPCSK9阻害剤を受ける前に受けていた同じ安定した1日最大耐用量治療スタチンレジメン(すなわち、同じスタチン投薬量)への追加治療としてPCSK9阻害剤が投与される、追加治療レジメンを含む。他の実施形態において、PCSK9阻害剤は、患者がPCSK9阻害剤を受ける前に受けていたスタチンの用量より多いまたは少ない量でスタチンを含む1日最大耐用量治療スタチンレジメンへ
の追加治療として投与される。例えば、特定の投薬頻度および量で投与されるPCSK9阻害剤を含む治療レジメンを開始した後、患者に投与または処方されるスタチンに1日用量は、患者の治療上の必要に応じて、その高心血管リスク患者がPCSK9阻害剤治療レジメンを開始する前に摂取していた毎日のスタチン用量と比較して(a)同じままであることもあり、(b)増加するまたは(c)減少する(例えば、アップタイトレーションするまたはダウンタイトレーションする)こともある。
治療効能
本発明の方法は、LDL−C、アポB100、非HDL−C、総コレステロール、VLDL−C、トリグリセリド、Lp(a)およびレムナントコレステロールからなる群から選択される1つまたはそれ以上の脂質成分の血清レベルの低減をもたらすことになる。例えば、本発明の特定の態様によると、安定した1日最大耐用量治療スタチンレジメンによって十分に制御されない高コレステロール血症または他のアテローム生成リポタンパク質レベル上昇を有する高心血管リスク患者へのPCSK9阻害剤を含む医薬組成物の投与(例えば、高心血管リスク患者の最大耐用量スタチン治療に加えてPCSK9阻害剤の投与)は、ベースラインからの少なくとも約25%、30%、40%、50%、60%もしくはそれ以上の血清低密度リポタンパクコレステロール(LDL−C)の平均低減率;ベースラインからの少なくとも約25%、30%、40%、50%、60%もしくはそれ以上のアポB100の平均低減率;ベースラインからの少なくとも約25%、30%、40%、50%、60%もしくはそれ以上の非HDL−Cの平均低減率;ベースラインからの少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%もしくはそれ以上の総コレステロールの平均低減率;ベースラインからの少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%もしくはそれ以上のVLDL−Cの平均低減率;ベースラインから少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%もしくはそれ以上のトリグリセリドの平均低減率;および/またはベースラインから少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%もしくはそれ以上のLp(a)の平均低減率をもたらすことになる。
PCSK9阻害剤
本発明の方法は、PCSK9阻害剤を含む治療用組成物を高心血管リスク患者に投与することを含む。本明細書において用いる場合、「PCSK9阻害剤」は、ヒトPCSK9と結合し、またはヒトPCSK9と相互作用し、かつインビボまたはインビトロでPCSK9の正常な生物学的機能を阻害する、任意の薬剤である。PCSK9阻害剤のカテゴリーの非限定的な例としては、小分子PCSK9アンタゴニスト、ペプチドベースのPCSK9アンタゴニスト(例えば、「ペプチボディ」分子)、およびヒトPCSK9に特異的に結合する抗体または抗体の抗原結合断片が挙げられる。
用語「ヒトプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型」または「ヒトPCSK9」または「hPCSK9」は、本明細書において用いる場合、配列番号197で示される核酸配列および配列番号198のアミノ酸配列を有するPCSK9、またはその生物活性断片を指す。
用語「抗体」は、本明細書において用いる場合、4本のポリペプチド鎖、すなわちジスルフィド結合によって相互に連結されている2本の重(H)鎖と2本の軽(L)鎖、を含む免疫グロブリン分子、およびその多量体(例えば、IgM)を指すことを意図したものである。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVRまたはVHと略記する)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3、を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVRまたはVLと略記する)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL1)を含む。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称する、より保存される領域が散在する、相補
性決定領域(CDR)と称する超可変性の領域にさらに細分することができる。各VHおよびVLは、3つのCDRおよび4つのFRからなり、これらは、アミノ末端からカルボキシ末端へ次の順序で配置されている:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。本発明の種々の実施形態において、抗PCSK9抗体(またはその抗原結合部分)のFRは、ヒト生殖系列配列と同一であることもあり、または天然にもしくは人工的に修飾されていることもある。アミノ酸コンセンサス配列は、2つまたはそれ以上のCDRの並行分析に基づいて定義することができる。
用語「抗体」は、本明細書において用いる場合、完全抗体分子の抗原結合断片も含む。抗体の「抗原結合部分」、抗体の「抗原結合断片」などの用語は、本明細書において用いる場合、抗原に特異的に結合して複合体を形成する任意の天然に存在する、酵素的に得ることができる、合成の、または遺伝子改変ポリペプチドまたは糖タンパク質を含む。抗体の抗原結合断片は、例えば、タンパク質消化、または抗体可変および場合により定常ドメインをコードするDNAの操作および発現を含む組換え遺伝子改変法などの、任意の好適な標準的技法を用いて完全抗体分子から得ることができる。そのようなDNAは、公知でありおよび/または例えば商業的供給源、DNAライブラリー(例えばファージ−抗体ライブラリーを含む)から容易に調達することができ、または合成することができる。DNAをシークエンシングし、化学的にまたは分子生物学技法の使用によって操作して、例えば、1つもしくはそれ以上の可変および/もしくは定常領域を好適な高次構造に配置すること、またはコドンを導入すること、システイン残基を生成すること、アミノ酸を修飾する、付加させるまたは欠失させることなどができる。
抗原結合断片の非限定的な例としては、(i)Fab断片;(ii)F(ab’)2断片;(iii)Fd断片;(iv)Fv断片;(v)一本鎖Fv(scFv)分子;(vi)dAb断片;および(vii)抗体の超可変領域(例えば、単離された相補性決定領域(CDR)、例えばCDR3ペプチド)を模倣するアミノ酸残基からなる最小認識単位、または拘束FR3−CDR3−FR4ペプチドが挙げられる。他の改変分子、例えば、ドメイン特異的抗体、シングルドメイン抗体、ドメイン欠失抗体、キメラ抗体、CDRグラフト抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、ナノボディ(例えば、一価ナノボディ、二価ナノボディなど)、小モジュラー免疫薬(SMIP)、サメ可変IgNARドメインも、本明細書において用いる場合の「抗原結合断片」という表現に包含される。
抗体の抗原結合断片は、少なくとも1つの可変ドメインを概して含むことになる。可変ドメインは、いずれのサイズまたはアミノ酸組成のものであり、一般的には、1つもしくはそれ以上のフレームワーク配列に隣接しているまたは1つもしくはそれ以上のフレームワーク配列とインフレームである少なくとも1つのCDRを含むことになる。VLドメインと会合しているVHドメインを有する抗原結合断片の場合、VHおよびVLドメインは、互いに対してあらゆる好適な配置で位置することができる。例えば、可変領域は、二量体であり、VH−VH、VH−VLまたはVL−VL二量体を含有することがある。あるいは、抗体の抗原結合断片は、単量体VHまたはVLドメインを含有することもある。
特定の実施形態において、抗体の抗原結合断片は、少なくとも1つの定常ドメインに共有結合で連結されている少なくとも1つの可変ドメインを含有することがある。本発明の抗体の抗原結合断片内で見つけることができる可変および定常ドメインの非限定的、例示的高次構造としては、(i)VH−CH1;(ii)VH−CH2;(iii)VH−CH3;(iv)VH−CH1−CH2;(v)VH−CH1−CH2−CH3;(vi)VH−CH2−CH3;(vii)VH−CL;(viii)VL−CH1;(ix)VL−CH2;(x)VL−CH3;(xi)VL−CH1−CH2;(xii)VL−CH1−CH2−CH3;(xiii)VL−CH2−CH3;および(xiv)VL−C
Lが挙げられる。上に列挙した例示的高次構造のいずれかを含む、可変および定常ドメインのいずれの高次構造においても、可変および定常ドメインは、互いに直接連結されていることもあり、または完全もしくは部分ヒンジもしくはリンカー領域によって連結されていることもある。ヒンジ領域は、少なくとも2つ(例えば、5、10、15、20、40、60またはそれ以上)のアミノ酸からなることがあり、その結果、単一ポリペプチド分子内の隣接した可変および/または定常ドメイン間の柔軟なまたはやや柔軟な連鎖となる。さらに、本発明の抗体の抗原結合断片は、互いにおよび/または1つもしくはそれ以上の単量体VHもしくはVLドメインと非共有結合で(例えば、ジスルフィド結合によって)会合している、上に列挙したいずれかの可変および定常ドメイン高次構造のホモ二量体またはヘテロ二量体(または他の多量体)を含むことがある。
完全抗体分子と同様に、抗原結合断片は、単一特異性であることもあり、または多重特異性(例えば、二重特異性)であることもある。抗体の多重特異性抗原結合断片は、各可変ドメインが別個の抗原にまたは同じ抗原上の異なるエピトープと特異的に結合できる、少なくとも2つの異なる可変ドメインを概して含むことになる。本明細書において開示する例示的二重特異性抗体形式を含む、いずれの多重特異性抗体形式も、当技術分野において利用可能な常例的技法を用いる本発明の抗体の抗原結合断片との関連での使用に適応させることができる。
抗体の定常領域は、補体を固定し、細胞依存性細胞傷害を媒介する抗体の能力に重要である。したがって、抗体が細胞傷害を媒介することが望ましいかどうかに基づいて抗体のアイソタイプを選択することができる。
用語「ヒト抗体」は、本明細書において用いる場合、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する抗体を含むことを意図したものである。とはいえ、本発明のヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダムもしくは部位特異的突然変異誘発によってまたはインビボでの体細胞突然変異によって誘導された突然変異)を、例えば、CDR、特にCDR3に含むことがある。しかし、用語「ヒト抗体」は、本明細書において用いる場合、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖細胞系に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列にグラフトされた抗体を含むことを意図したものではない。
用語「組換えヒト抗体」は、本明細書において用いる場合、組換え手段によって製造、発現、生成または単離される全てのヒト抗体、例えば、宿主細胞にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現される抗体(さらに下で説明する)、組換え体から単離された抗体、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリー(下でさらに説明する)、ヒト免疫グロブリン遺伝子が遺伝子導入されている動物(例えばマウス)から単離された抗体(例えば、Taylorら(1992)Nucl.Acids Res.20:6287〜6295を参照されたい)、またはヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを含む任意の他の手段によって製造、発現、生成もしくは単離された抗体を含むことを意図したものである。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する。しかし、特定の実施形態において、そのような組換えヒト抗体は、インビトロ突然変異誘発(または、ヒトIg配列が遺伝子導入された動物を使用する場合にはインビボ体細胞突然変異)に付されるので、該組換え抗体のVおよびV領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系VHおよびVL配列に由来し、ヒト生殖細胞系VHおよびVL配列と類縁の配列だが、インビボでヒト抗体生殖細胞系レパートリー内に天然に存在できない配列である。
ヒト抗体は、2つの形態で存在することができ、これらの形態がヒンジ異質性に関連する。一方の形態の場合、免疫グロブリン分子は、二量体が鎖間重鎖ジスルフィド結合によ
って一緒に保持されている、おおよそ150〜160kDaの安定した4鎖構築物を含む。第2の形態の場合、二量体は鎖間ジスルフィド結合によって連結されておらず、約75〜80kDaの分子が、共有結合でカップリングされた軽鎖と重鎖で形成され、構成される(ハーフ抗体(half-antibody))。これらの形態は、アフィニティー精製後でさえ分
離することが極めて難しかった。
様々なインタクトIgGアイソタイプにおける第2の形態の出現頻度は、抗体のヒンジ領域アイソタイプに関連する構造の違いに、これに限定されるものではないが、起因する。ヒトIgG4ヒンジのヒンジ領域における単一アミノ酸置換は、第2の形態の出現を、ヒトIgG1ヒンジを使用して概して観察されるレベルに、有意に低減させることができる(Angalら(1993)Molecular Immunology 30:105)。本発明は、例えば生産の際、所望の抗体形態の収率を向上させるために望ましいことがある、ヒンジ、CH2またはCH3領域に1つまたはそれ以上の突然変異を有する抗体を包含する。
「単離された抗体」は、本明細書において用いる場合、その天然環境の少なくとも1つの成分から同定および分離および/または回収された抗体を意味する。例えば、生物の少なくとも1つの成分から分離もしくは除去された抗体、またはその抗体が天然に存在するもしくは天然に生産される組織もしくは細胞から分離もしくは除去された抗体は、本発明では「単離された抗体」である。単離された抗体は、組換え細胞内の生体内原位置の抗体も含む。単離された抗体は、少なくとも1工程の精製または単離工程に付された抗体である。特定の実施形態によると、単離された抗体には、他の細胞物質および/または化学物質が実質的にないこともある。
用語「特異的に結合する」またはこれに類する用語は、抗体またはその抗原結合断片が、生理条件下で比較的安定している抗原との複合体を形成することを意味する。抗体が抗原と特異的に結合するかどうかを判定する方法は、当技術分野において周知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴などを含む。例えば、PCSK9「に特異的に結合する」抗体は、本発明に関連して用いる場合、表面プラズモン共鳴アッセイで測定して、約1000nM未満、約500nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満、約90nM未満、約80nM未満、約70nM未満、約60nM未満、約50nM未満、約40nM未満、約30nM未満、約20nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約4nM未満、約3nM未満、約2nM未満、約1nM未満、または約0.5nM未満のKDで、PCSK9またはその一部に結合する抗体を含む。しかし、ヒトPCSK9に特異的に結合する単離された抗体は、特定の実施形態では、他の(非ヒト)種からのPCSK9分子などの、他の抗原への交差反応性を有することがある。
本発明の方法に有用な抗PCSK9抗体は、該抗体が由来する対応する生殖細胞系配列と比較して、重鎖および軽鎖可変ドメインのフレームワークおよび/またはCDR領域に1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、挿入および/または欠失を含むことがある。そのような突然変異は、本明細書において開示するアミノ酸配列を例えば公開抗体配列データベースから入手できる生殖細胞系配列と比較することによって、容易に突き止めることができる。本発明は、本明細書において開示するアミノ酸配列のいずれかに由来する抗体およびそれらの抗原結合断片の使用を含む方法であって、1つまたはそれ以上のフレームワークおよび/またはCDR領域内の1つまたはそれ以上のアミノ酸が、該抗体が由来する生殖細胞系配列の対応する残基に、または別のヒト生殖細胞系配列の対応する残基に、または対応する生殖細胞系残基の保存的アミノ酸置換に突然変異される(このような配列交換を本明細書ではまとめて「生殖細胞系突然変異」と呼ぶ)前記方法を含む。当業者は、本明細書において開示する重鎖および軽鎖可変領域配列で出発して、1つもしくはそれ以上の個々の生殖細胞系突然変異またはそれらの組合せを含む多数の抗体および抗原結合断片
を容易に生産することができる。特定の実施形態では、VHおよび/またVLドメイン内のフレームワークおよび/またはCDR残基の全てが、抗体が由来する元の生殖細胞系配列中で見つけられる残基に復帰突然変異される。他の実施形態では、特定の残基のみ、例えば、FR1の最初の8アミノ酸中もしくはFR4の最後の8アミノ酸中で見つけられる突然変異残基のみ、またはCDR1、CDR2もしくはCDR3内で見つけられる突然変異残基のみが、元の生殖細胞系配列に復帰突然変異される。他の実施形態では、フレームワークおよび/またはCDR残基の1つまたはそれ以上が、異なる生殖細胞系配列(すなわち、抗体が当初由来した生殖細胞系配列とは異なる生殖細胞系配列)の対応する残基に突然変異される。さらに、本発明の抗体は、フレームワークおよび/またはCDR領域内に、2つまたはそれ以上の生殖細胞系突然変異の何らかの組合せ、例えば、特定の個々の残基は特定の生殖細胞系配列の対応する残基に突然変異されるが、元の生殖細胞系配列とは異なる特定の他の残基は維持されるか、または異なる生殖細胞系配列の対応する残基に突然変異される組合せを含有することもある。1つまたはそれ以上の生殖細胞系突然変異を含有する抗体および抗原結合断片は、ひとたび得てしまえば、1つまたはそれ以上の所望の特性、例えば、結合特異性改善、結合親和性増加、(場合によって)アンタゴニストまたはアゴニストとしての生物学的特性改善または向上、免疫原性低減などについて容易に試験することができる。この一般的手法で得られる抗体および抗原結合断片の使用は、本発明に包含される。
本発明は、1つまたはそれ以上の保存的置換を有する本明細書において開示するHCVR、LCVRおよび/またはCDRアミノ酸配列のいずれかについての変異体を含む抗PCSK9抗体の使用を含む方法も含む。例えば、本発明は、例えば、本明細書において開示するHCVR、LCVRおよび/またはCDRアミノ酸配列のいずれかと比較して10またはそれ以下、8またはそれ以下、6またはそれ以下、4またはそれ以下などの保存的アミノ酸置換を有する、HCVR、LCVRおよび/またはCDRアミノ酸配列を有する抗PCSK9抗体の使用を含む。
用語「表面プラズモン共鳴」は、本明細書において用いる場合、例えばBIAcore(商標)システム(Biacore Life Sciences devision of GE Healthcare、Piscataway、NJ)を使用してバイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度変化の検出によりリアルタイム相互作用を分析することができる光学現象を指す。
用語「KD」は、本明細書において用いる場合、特定の抗体−抗原相互作用の平衡解離定数を指すことを意図したものである。
用語「エピトープ」は、パラトープとして公知の抗体分子の可変領域内の特異的抗原結合部位と相互作用する抗原決定基を指す。単一の抗原が1つより多くのエピトープを有することもある。それ故、抗体によって、結合する抗原領域が異なることもあり、有する生物学的効果が異なることもある。エピトープは、高次構造であることもあり、または線状であることもある。高次構造エピトープは、直鎖状ペプチド鎖の異なるセグメントからの空間的に隣り合って並ぶアミノ酸によって生成される。線状エピトープは、ポリペプチド鎖内の隣接したアミノ酸残基によって生成されるものである。特定の状況では、エピトープは、抗原上の糖類、ホスホリル基またはスルホニル基部分を含むことがある。
特定の実施形態によると、本発明の方法において使用される抗PCSK9抗体は、pH依存性結合特性を有する抗体である。本明細書において用いる場合、「pH依存性結合」という表現は、抗体またはその抗原結合断片が、「中性pHと比較して酸性pHでPCSK9との結合低減」を示すことを意味する(本開示では、両方の表現を同義で用いることがある)。例えば、「pH依存性結合特性を有する」抗体は、酸性pHでより中性pHで
のほうが高い親和性でPCSK9に結合する抗体およびそれらの抗原結合断片を含む。特定の実施形態において、本発明の抗体およびそれらの抗原結合断片は、酸性pHでより中性pHでのほうが少なくとも3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100倍またはそれ以上高い親和性でPCSK9に結合する。
本発明のこの態様によると、pH依存性結合特性を有する抗PCSK9抗体は、親抗PCSK9抗体と比較して1つまたはそれ以上のアミノ酸変異を有することがある。例えば、pH依存性結合特性を有する抗PCSK9抗体は、例えば、親抗PCSK9抗体の1つまたはそれ以上のCDR内に、1つまたはそれ以上のヒスチジン置換または挿入を有することがある。それ故、本発明の特定の実施形態に従って、親抗体の1つまたはそれ以上のCDRの1つまたはそれ以上のアミノ酸のヒスチジン残基での置換を除いて親抗PCSK9抗体のCDRアミノ酸配列と同一であるCDRアミノ酸配列(例えば、重鎖および軽鎖CDR)を含む抗PCSK9抗体を投与することを含む方法を提供する。pH依存性結合を有する抗PCSK9抗体は、親抗PCSK9抗体の単一のCDR内に、または親抗PCSK9抗体の複数(例えば、2、3、4、5もしくは6)のCDR全体にわたって分布している、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9またはそれ以上のヒスチジン置換を有することがある。例えば、本発明は、親抗PCSK9抗体のHCDR1に1つもしくはそれ以上のヒスチジン置換、HCDR2に1つもしくはそれ以上のヒスチジン置換、HCDR3に1つもしくはそれ以上のヒスチジン置換、LCDR1に1つもしくはそれ以上のヒスチジン置換、LCDR2に1つもしくはそれ以上のヒスチジン置換、および/またはLCDR3に1つもしくはそれ以上のヒスチジン置換を含む、pH依存性結合を有する抗PCSK9抗体の使用を含む。
本明細書において用いる場合、「酸性pH」という表現は、6.0またはそれ以下(例えば、約6.0未満、約5.5未満、約5.0未満など)のpHを意味する。「酸性pH」という表現は、約6.0、5.95、5.90、5.85、5.8、5.75、5.7、5.65、5.6、5.55、5.5、5.45、5.4、5.35、5.3、5.25、5.2、5.15、5.1、5.05、5.0またはそれ以下のpH値を含む。本明細書において用いる場合、「中性pH」という表現は、約7.0〜約7.4のpHを意味する。「中性pH」という表現は、約7.0、7.05、7.1、7.15、7.2、7.25、7.3、7.35および7.4のpH値を含む。
ヒト抗体の製造
トランスジェニックマウスでヒト抗体を産生する方法は当技術分野において公知である。任意のそのような公知の方法を本発明に関連して使用して、ヒトPCSK9と特異的に結合するヒト抗体を作製することができる。
VELOCIMMUNE(商標)技術(例えば米国特許第6,596,541号、Regeneron Pharmaceuticalsを参照されたい)、またはモノクローナル抗体の任意の他の公知産生方法を用いて、ヒト可変領域およびマウス定常領域を有する、PCSK9に対する高親和性キメラ抗体を、最初に単離する。VELOCIMMUNE(登録商標)技術は、マウスが抗原刺激に応答してヒト可変領域およびマウス定常領域を含む抗体を生産するように、内在性マウス定常領域遺伝子座に作動可能に連結されたヒト重鎖および軽鎖可変領域を含むゲノムを有するトランスジェニックマウスの産生を含む。抗体の重鎖および軽鎖の可変領域をコードするDNAを単離し、ヒト重鎖および軽鎖定常領域をコードするDNAに作動可能に連結させる。その後、完全ヒト抗体を発現することができる細胞においてそのDNAを発現させる。
一般には、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスに、対象とする抗原を感作させ
、抗体を発現しているマウスからリンパ細胞(例えば、B細胞)を回収する。リンパ細胞を骨髄腫細胞株と融合させて不死ハイブリドーマ細胞株を製造することができ、そのようなハイブリドーマ細胞株をスクリーニングし、選択して、対象とする抗原に特異的な抗体を生産するハイブリドーマ細胞株を同定する。重鎖および軽鎖の可変領域をコードするDNAを単離し、重鎖および軽鎖の望ましいアイソタイプ定常領域に連結させることができる。そのような抗体タンパク質を、CHO細胞などの細胞において生産することができる。あるいは、抗原特異的キメラ抗体をコードするDNA、または重鎖および軽鎖の可変ドメインを、抗原特異的リンパ球から直接単離することができる。
ヒト可変領域およびマウス定常領域を有する高親和性キメラ抗体を最初に単離する。当業者に公知の標準的手順を用いて、抗体を特性評価し、親和性、選択性、エピトープなどをはじめとする所望の特定について選択する。マウス定常領域を所望のヒト定常領域で置換して、本発明の完全ヒト抗体、例えば野生型または修飾IgG1またはIgG4、を産生させる。選択される定常領域は具体的な用途によって変わることがあるが、高親和性抗原結合特性および標的特異性が可変領域にある。
一般に、本発明の方法で使用することができる抗体は、固相に固定された抗原または溶液相中の抗原と結合させることによって測定したとき、上で説明したような高い親和性を有する。マウス定常領域を所望のヒト定常領域で置換して、本発明の完全ヒト抗体を産生させる。選択される定常領域は具体的な用途によって変わることがあるが、高親和性抗原結合特性および標的特異性が可変領域にある。
本発明の方法に関連して使用することができる、PCSK9に特異的に結合するヒト抗体または抗体の抗原結合断片の具体的な例としては、配列番号1および11からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するか、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%配列同一性を有するその実質的に類似の配列を有する、重鎖可変領域(HCVR)に含有された3つの重鎖CDR(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)を含む任意の抗体または抗原結合断片が挙げられる。あるいは、本発明の方法に関連して使用することができる、PCSK9に特異的に結合するヒト抗体または抗体の抗原結合断片の具体的な例としては、配列番号37、45、53、61、69、77、85、93、101、109、117、125、133、141、149、157、165、173、181および189からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するか、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%配列同一性を有するその実質的に類似の配列を有する、重鎖可変領域(HCVR)に含有された3つの重鎖CDR(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)を含む任意の抗体または抗原結合断片が挙げられる。抗体または抗原結合断片は、配列番号6および15からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するか、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%配列同一性を有するその実質的に類似の配列を有する、軽鎖可変領域(LCVR)に含有された3つの軽鎖CDR(LCVR1、LCVR2、LCVR3)を含むことがある。あるいは、抗体または抗原結合断片は、配列番号41、49、57、65、73、81、89、97、105、113、121、129、137、145、153、161、169、177、185および193からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するか、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%配列同一性を有するその実質的に類似の配列を有する、軽鎖可変領域(LCVR)に含有された3つの軽鎖CDR(LCVR1、LCVR2、LCVR3)を含むこともある。
本発明の特定の実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1/6および11/15からなる群から選択される重鎖可変領域アミノ酸配列と軽鎖可変領域アミノ酸配列の対(HCVR/LCVR)からの6つのCDR(HCDR1、HCDR2、H
CDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3)を含む。あるいは、本発明の特定の実施形態において、抗体または抗原結合タンパク質は、配列番号37/41、45/49、53/57、61/65、69/73、77/81、85/89、93/97、101/105、109/113、117/121、125/129、133/137、141/145、149/153、157/161、165/169、173/177、181/185および189/193からなる群から選択される重鎖可変領域アミノ酸配列と軽鎖可変領域アミノ酸配列の対(HCVR/LCVR)からの6つのCDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3)を含む。
本発明の特定の実施形態において、本発明の方法で使用することができる抗PCSK9抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2/3/4/7/8/10(mAb316P)および12/13/14/16/17/18(mAb300N)(米国特許出願公開第2010/0166768号を参照されたい)から選択されるHCDR1/HCDR2/HCDR3/LCDR1/LCDR2/LCDR3アミノ酸配列を有する。
本発明の特定の実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1/6および11/15からなる群から選択されるHCVR/LCVRアミノ酸配列対を含む。あるいは、本発明の特定の実施形態において、抗体または抗原結合タンパク質は、配列番号37/41、45/49、53/57、61/65、69/73、77/81、85/89、93/97、101/105、109/113、117/121、125/129、133/137、141/145、149/153、157/161、165/169、173/177、181/185および189/193からなる群から選択される重鎖可変領域アミノ酸配列と軽鎖可変領域アミノ酸配列の対(HCVR/LCVR)を含む。
医薬組成物および投与方法
本発明は、医薬組成物に含有されているPCSK9阻害剤を高心血管リスク患者に投与することを含む方法を含む。本発明の医薬組成物は、好適な担体、賦形剤、および好適な転移、送達、耐性などをもたらす他の薬剤を用いて製剤化される。多くの適切な製剤を全ての薬剤師に公知の処方集:Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、PAにおいて見つけることができる。これらの製剤としては、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、ワックス、油、脂質、(カチオン性またはアニオン性)脂質含有ビヒクル(例えば、LIPOFECTIN(商標))、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水中油型および油中水型エマルジョン、エマルジョンカルボワックス(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、ならびにカルボワックスを含有する半固体混合物が挙げられる。Powellら、「Compendium of excipients for parenteral formulations」、PDA(1998)J Pharm Sci Technol 52:238〜311も参照されたい。
様々な送達システム、例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセルへの封入、突然変異型ウイルスを発現することができる組換え細胞、受容体媒介エンドサイトーシス(例えば、Wuら、1987、J.Biol.Chem.262:4429〜4432を参照されたい)は公知であり、本発明の医薬組成物を投与するためにそれらを使用することができる。投与方法としては、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外および経口経路が挙げられるが、これらに限定されない。組成物を任意の適便な経路によって、例えば、注入またはボーラス注射によって、上皮内層または粘膜皮膚内層(例えば、経口粘膜、直腸および腸粘膜など)による吸収によって投与することができ、他の生物活性薬剤と一緒に投与することができる。
本発明の医薬組成物は、標準的な針および注射器で皮下または静脈内送達することがで
きる。加えて、皮下送達に関しては、ペン型送達デバイスを本発明の医薬組成物の送達に容易に利用される。そのようなペン型送達デバイスは、再使用可能であることもあり、または使い捨てであることもある。再使用可能なペン型送達デバイスには、医薬組成物を収容している交換可能カートリッジが一般に利用される。カートリッジ内の医薬組成物の全てを投与してしまい、カートリッジが空になったら、空のカートリッジを容易に廃棄することができ、医薬組成物を収容している新たなカートリッジと容易に交換することができる。その後、そのペン型送達デバイスを再使用することができる。使い捨てペン型送達デバイスには、交換可能カートリッジがない。もっと正確に言えば、使い捨てペン型送達デバイスには医薬組成物が予め充填されており、該医薬組成物は該デバイスの貯液部に保持されている。貯蔵部の医薬組成物が空になったら、デバイス全体を廃棄する。
非常に多くの再使用可能ペン型および自己注射器送達デバイスが本発明の医薬組成物の皮下送達に利用される。例としては、ほんの数例を挙げると、AUTOPEN(商標)(Owen Mumford,Inc.、Woodstock、UK)、DISETRONIC(商標)ペン(Disetronic Medical Systems、Bergdorf、Switzerland)、HUMALOG MIX 75/25(商標)ペン、HUMALOG(商標)ペン、HUMALIN 70/30(商標)ペン(Eli Lilly and Co.、Indianapolis、IN)、NOVOPEN(商標)I、IIおよびIII(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、NOVOPEN JUNIOR(商標)(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、BD(商標)ペン(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)、OPTIPEN(商標)、OPTIPEN PRO(商標)、OPTIPEN STARLET(商標)、ならびにOPTICLIK(商標)(sanofi−aventis、Frankfurt、Germany)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の医薬組成物の皮下送達に利用される使い捨てペン型送達デバイスの例としては、ほんの数例を挙げると、SOLOSTAR(商標)ペン(sanofi−aventis)、FLEXPEN(商標)(Novo Nordisk)およびKWIKPEN(商標)(Eli Lilly)、SURECLICK(商標)オートインジェクター(Amgen、Thousand Oaks、CA)、PENLET(商標)(Haselmeier、Stuttgart、Germany)、EPIPEN(Dey,L.P.)およびHUMIRA(商標)ペン(Abbott
Labs、Abbott Park IL)が挙げられるが、これらに限定されない。
特定の状況では、医薬組成物を制御放出システムで送達することができる。1つの実施形態では、ポンプを使用することがある(Langer、上掲;Sefton、1987、CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201を参照されたい)。別の実施形態では、高分子材料を使用することができる;Medical Applications of Controlled Release、LangerおよびWise(編集)、1974、CRC Pres.、Boca Raton、Floridaを参照されたい。さらに別の実施形態では、制御放出システムを組成物の標的のすぐそばに配置することができ、したがって全身用量のほんの一部のみ要する(例えば、Goodson、1984、Medical Applications of Controlled Release、上掲、第2巻、115〜138頁を参照されたい)。他の制御放出システムは、Langer、1990、Science 249:1527〜1533による総説で論じされている。
注射用製剤としては、静脈内、皮下、皮内および筋肉内注射、点滴注入などのための剤形を挙げることができる。これらの注射用製剤を公知の方法によって製造することができる。例えば、注射用製剤は、例えば、注射剤に従来使用されている滅菌水性媒体または油性媒体に上で説明した抗体またはその塩を溶解する、懸濁させるまたは乳化させることに
よって、製造することができる。注射剤のための水性媒体としては、例えば、生理食塩水、グルコースおよび他の補助剤を含有する等張溶液などがあり、これらは、適切な可溶化剤、例えばアルコール(例えば、エタノール)、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤[例えば、ポリソルベート80、HCO−50(硬化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50mol)付加体)]などと併用されることもある。油性媒体としては、例えば、ゴマ油、ダイズ油が利用され、これらは、可溶化剤、例えば安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用されることもある。好ましくは、このようにして製造された注射剤は、適切なアンプルに充填される。
有利には、上で説明した経口または非経口使用用の医薬組成物は、活性成分の用量を合わせることに適している単位用量での剤形に製造される。単位用量でのそのような剤形としては、例えば、錠剤、ピル、カプセル、注射剤(アンプル)、坐剤などが挙げられる。
投薬量
本発明の方法に従って被験者に投与されるPCSK9阻害剤(例えば、抗PCSK9抗体)の量は、一般に治療有効量である。本明細書において用いる場合、「治療有効量」という句は、LDL−C、アポB100、非HDL−C、総コレステロール、VLDL−C、トリグリセリド、Lp(a)およびレムナントコレステロールからなる群から選択される1つまたはそれ以上のパラメータの(ベースラインから少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%またはそれ以上の)検出可能な改善をもたらすPCSK9阻害剤の量を意味する。
抗PCSK9抗体の場合、治療有効量は、抗PCSK9抗体約0.05mg〜約600mg、例えば、約0.05mg、約0.1mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約75mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、約400mg、約410mg、約420mg、約430mg、約440mg、約450mg、約460mg、約470mg、約480mg、約490mg、約500mg、約510mg、約520mg、約530mg、約540mg、約550mg、約560mg、約570mg、約580mg、約590mgまたは約600mgであることができる。いくつかの実施形態において、抗PCSK9抗体の治療有効量は、約75mgである。他の実施形態において、抗PCSK9抗体の治療有効量は、約150mgである。
個々の用量に含有される抗PCSK9抗体の量を患者体重1キログラム当たりの抗体のミリグラム(すなわち、mg/kg)によって表すことができる。例えば、抗PCSK9抗体を患者に約0.0001〜約10mg/(患者体重のkg)の用量で投与することができる。
併用治療
本明細書中の他の箇所で説明するように、本発明の方法は、高心血管リスク患者に、該患者の以前に処方された安定した1日最大耐用量治療スタチンレジメンと併用してPCSK9阻害剤を投与することを含むことがある。本発明の特定の実施形態によると、スタチンに加えてさらなる治療薬がPCSK9阻害剤と併用して高心血管リスク患者に投与され
ることもある。そのようなさらなる治療薬の例としては、例えば、(1)コレステロール取り込みおよび/もしくは胆汁酸再吸収を阻害する薬剤(例えば、エゼチミブ);(2)リポタンパク質異化を増加させる薬剤(例えば、ナイアシン);ならびに/または(3)コレステロール削減に関与するLXR転写因子の活性化剤、例えば22−ヒドロキシコレステロールが挙げられる。
投与レジメン
本発明の特定の実施形態によると、PCSK9阻害剤(すなわち、PCSK9阻害剤を含む医薬組成物)の複数の用量を被定義時間にわたって(例えば、毎日の治療スタチンレジメンに加えて)高心血管リスク被験者に投与することができる。本発明のこの態様による方法は、PCSK9阻害剤の複数の用量を被験者に逐次的に投与することを含む。本明細書において用いる場合、「逐次的に投与すること」は、PCSK9阻害剤の各用量を被験者に異なる時点で、例えば、所定の間隔(例えば、数時間、数日、数週間または数カ月)隔てた異なる日に投与することを意味する。本発明は、高心血管リスク患者のPCSK阻害剤の単一初回用量、その後、PCSK9阻害剤の1用量またはそれ以上の第2の用量、場合によりその後、PCSK9阻害剤の1用量またはそれ以上の第3の用量を逐次的に投与することを含む方法を含む。
用語「初回用量」、「第2の用量」および「第3の用量」は、PCSK9阻害剤を含む医薬組成物の個々の用量の投与についての時系列を指す。したがって、「初回用量」は、処置レジメンの開始時に投与される用量(「ベースライン用量」とも呼ばれ)であり;「第2の用量」は、初回用量後に投与される用量であり、「第3の用量」は、第2の用量後に投与される用量である。初回、第2および第3の用量は、全て同じ量のPCSK9阻害剤を含有することもあるが、一般には投与頻度の点から互いに異なることがある。しかし、特定の実施形態において、初回、第2および/または第3の用量に含有されるPCSK9阻害剤の量は、処置の過程で互いに変動する(例えば、必要に応じて上方または下方調整される)。特定の実施形態では、2用量またはそれ以上の(例えば、2、3、4または5)用量が「負荷用量」として処置レジメンの開始時に投与され、その後、より低頻度で投与される後続の用量(例えば、「維持用量」)が投与される。
本発明の例示的実施形態によると、各第2および/または第3の用量は、直前の用量の1〜26週間(例えば、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、25、25.5、26、26.5週間またはそれ以上)後に投与される。「直前の用量」という句は、本明細書において用いる場合、複数の投与の順序に関して、介在する用量のない順序的にまさにその次の用量の投与の前に患者に投与される抗原結合分子の用量を意味する。
本発明のこの態様による方法は、PCSK9阻害剤の任意の数の第2および/または第3の用量を高心血管リスク患者に投与することを含む。例えば、特定の実施形態では、単一の第2の用量のみ患者に投与される。他の実施形態では、2またはそれ以上の(例えば、2、3、4、5、6、7、8またはそれ以上の)第2の用量が患者に投与される。同様に、特定の実施形態では、単一の第3の用量のみ患者に投与される。他の実施形態では、2またはそれ以上の(例えば、2、3、4、5、6、7、8またはそれ以上の)第3の用量が患者に投与される。
複数の第2の用量を含む実施形態において、各々の第2の用量は、他の第2の用量と同じ頻度で投与されることがある。例えば、各々の第2の用量は、直前の用量の1〜2、4
、6、8週間またはそれ以上後に患者に投与されることがある。同様に、複数の第3の用量を含む実施形態において、各々の第3の用量は、他の第3の用量と同じ頻度で投与されることがある。例えば、各々の第3の用量は、直前の用量の1〜2、4、6、8週間またはそれ以上後に患者に投与されることがある。あるいは、第2および/または第3の用量が患者に投与される頻度は、処置レジメンの過程を通して様々であることができる。投与頻度は、臨床検査に従って個々の患者の必要に応じて医師によって処置の過程で調整されることもある。
特定の実施形態において、抗PCSK9抗体は、例えば少なくとも2用量にわたって、約75mgの用量で、隔週、被験者に投与される。
特定の実施形態では、抗PCSK9抗体は、例えば少なくとも2用量にわたって、約150mgの用量で、隔週、被験者に投与される。
本発明は、アップタイトレーションオプション(本明細書では「用量修飾」とも呼ぶ)を含む投与レジメンを含む。本明細書において用いる場合、「アップタイトレーションオプション」は、PCSK9阻害剤の1用量またはそれ以上の用量を受けた後に高心血管リスク患者が1つまたはそれ以上の被定義治療パラメータの指定された低減を達成しなかった場合、PCSK9阻害剤の用量がそれ以降増加されることを意味する。例えば、抗PCSK9抗体の75mg用量の高心血管リスク患者への2週間に1回の頻度での投与を含む治療レジメンの場合、4週間(すなわち、2用量)後、高心血管リスク患者が≧50mg/dLの血清LDL−C濃度を有する場合には、抗PCSK9抗体の用量は、それ以降、2週間に1回投与される150mgに増加される。
いくつかの実施形態において、抗体は、4週間にわたって、隔週、約75mgの用量で被験者に投与され、第4週に被験者のLDL−C値が<50mg/dLであった場合、用量は、隔週、75mgのままである。
さらなる実施形態において、150mgの用量を受けていていずれか2回の連続する測定で患者のLDL−Cが<25mg/dLであった場合、それ以降、用量は75mgに低減される。
以下の実施例は、本発明の方法および組成物の作製および使用方法の完全な開示および説明を当業者に与えるために提示するものであり、本発明者らが自分達の発明と考える範囲を限定することを意図したものではない。用いる数値(例えば、量、温度など)に関して正確を期すように努めたが、多少の実験的誤差および偏差を考慮すべきである。別段の指示がない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧またはほぼ大気圧である。
ヒトPCSK9に対するヒト抗体の産生
ヒト抗PCSK9抗体を米国特許8,062,640号に記載されているように産生させた。以下の実施例で使用する例示的PCSK9阻害剤は、「アリロクマブ」としても公知の「mAb316P」と称するヒト抗PCSK9抗体である。mAb316Pは、次のアミノ酸配列特性を有する:配列番号1を含む重鎖可変領域(HCVR);配列番号6を含む軽鎖可変領域(LCVR);配列番号2を含む重鎖相補性決定領域1(HCDR1);配列番号3を含むHCDR2;配列番号4を含むHCDR3;配列番号7を含む軽鎖相補性決定領域1(LCDR1);配列番号8を含むLCDR2;および配列番号10を含むLCDR3。
急性冠症候群後の長期心血管アウトカムに対するアリロクマブ(PCSK9に対するモノクローナル抗体)の効果
序論
スタチンは、1987年以来、臨床使用が承認されている。その時以来、スタチン処置のバックグラウンドで心血管アウトカムを改善することが証明された脂質修飾治療はない。しかし、ナイアシン、フェノフィブラート、エゼチミブ、ピオグリタゾンおよびダルセトラピブを含む、今日までに試験された処置は、LDL−Cに対してあまり大きな効果がない。PCSK9の阻害剤は、LDL−Cおよび他のアテローム生成リポタンパク質の実質的なさらなる低減が、スタチンによってもたらされるものを超える心血管アウトカムのさらなる改善をもたらすことができるかどうかを試すきっかけになる。
この研究は、アリロクマブ(PCSK9に対する完全ヒトモノクローナル抗体)が、最適なスタチン治療に加えられたとき心血管リスクを低減させるかどうかを判定することになる。最近急性冠症候群を発症した患者を研究対象集団として選択した。なぜなら、彼らは、安定した心血管疾患を有する患者より高い再発事象リスクを抱えており、したがって、有効な新規処置のより大きい絶対的恩恵を受けるだろうからである。研究対象集団をアテローム生成リポタンパク質の最小認定レベルによってさらに限定して、残存心血管リスクが、これらのリポタンパク質のさらなる低減によって修飾される可能性が高い者を標的にした。この研究は、PCSK9阻害剤の安全性に関して相当な情報をもたらすことにもなる。この研究を2012年に開始し、現在進行中である。
研究目的
本研究は、最近急性冠症候群(ACS)を発症した患者おおよそ18,000名での医師主導型、国際的、多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照研究である。主要目的は、指標ACS事象の1〜12カ月後に開始したアリロクマブ(隔週、皮下注射により75〜150mg)が、冠動脈心疾患死、主要非致死性冠動脈事象(急性心筋梗塞、もしくは不安定性狭心症による入院)、または虚血性脳卒中の複合アウトカムの発生率を低減させたかどうかを評価することである。
研究対象集団
主要組み入れ基準は、次の通りであった:1)推定もしくは立証された閉塞性冠疾患または次のうちの少なくとも1つ:a)心臓バイオマーカー上昇、またはb)虚血もしくは梗塞と一致する安静時ECG変化に加えて、局所壁運動もしくは灌流異常からの閉塞性冠疾患のさらなる証拠、血管造影法による≧70%心外膜冠動脈狭窄、もしくは冠動脈血行再建術の必要性に起因する、予定外の入院から72時間以内の安静時にもしくは最小労作で起こる不安定なパターンを有する心筋虚血症状によって定義される、ACSによる入院;ならびに2)次のうちの少なくとも1つ:a)LDL−C≧70mg/dl、b)非HDL−C≧100mg/dl、またはc)アポリポタンパク質B≧80mg/dlによって定義される、アトルバスタチン40〜80mgもしくはロスバスタチン20〜40mg/日またはこれらの薬剤の一方の最大耐用量による制御不十分な脂質レベル。
主要除外基準は、次の通りであった:1)年齢<40歳;2)無作為化前<4週間または>52週間の指標ACS事象の認定;3)無作為化前少なくとも2週間、安定した脂質修飾治療を受けていない;4)管理されていない高血圧(無作為化訪問時、>180mmHg収縮期および/または>110mmHg拡張期);5)処置にもかかわらず持続するニューヨーク心臓協会クラスIIIもしくはIVうっ血性心不全、または測定した場合、LVEF<25%;6)出血性脳卒中歴;7)適格性確認検査室訪問時の空腹時トリグリセリド>400mg/dl(4.52mmol/L);8)無作為化訪問前2週間以内の
再発ACS事象;9)無作為化訪問前2週間以内に行われたまたは無作為化後に計画されている冠動脈血行再建術;10)肝トランスアミナーゼ>正常上限値の3倍;現在BまたはC型肝炎に罹患している臨床検査値;クレアチンキナーゼ>正常上限値の3倍;推定糸状態濾過量<30ml/分/1.73m;尿または血清妊娠検査陽性;11)適格性確認検査室訪問から1カ月以内に開始した処置に伴う甲状腺機能低下症の最近の診断;12)適切に処置された基底細胞皮膚癌、扁平細胞皮膚癌、または子宮頸部上皮内癌を除く、過去5年以内の癌;13)何らかのPCSK9抗体での以前の処置;14)導入期間中の、フェノフィブラートまたはフェノフィブリン酸以外の、フィブラートの使用;および15)インフォームドコンセントを提供することまたは研究要件を順守することができない;妊娠、授乳、または妊娠の可能性があるが有効な避妊法を用いない。
この試験には、推定されるまたは立証された閉塞性冠疾患に起因する、予定外の入院から72時間以内の安静時または最小労作時に起こる不安定な心筋虚血症状によって定義されるACSで入院した年齢40歳以上の男性および女性が登録している。加えて、ACS事象の認定には、次の基準の少なくとも1つを満たす必要がある:急性心筋梗塞と一致する心臓バイオマーカー上昇、または虚血もしくは梗塞と一致する安静時ECG変化と共に局所灌流画像法からの閉塞性冠疾患のさらなる証拠もしくは壁運動異常、血管造影法による心外膜冠動脈狭窄≧70%、または該事象に関係する冠動脈血行再建の必要性。
患者の適格性確認は、アトルバスタチン40〜80mg/日、ロスバスタチン20〜40mg/日、またはこれらの薬剤の一方の最大耐用量での定常状態(少なくとも2週間の)処置にもかかわらずアテローム生成リポタンパク質の不十分な制御を実証しなければならなかった。したがって、この試験におけるバックグラウンドスタチン処置は、血中コレステロールレベルの低減に関するアメリカ心臓協会およびAmerican College of Cardiologyの二次予防ガイドラインと合致している(Stoneら、2013 ACC/AHA Guideline on the Treatment of Blood Cholesterol to Reduce Atherosclerotic Cardiovascular Risk in Adults:A
Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Practice Guidelines.Circulation 2013を参照されたい)。アテローム生成リポタンパク質の不十分な制御を、次のうちの少なくとも1つによって定義した:LDL−C≧70mg/dL(1.81mmol/L)、非高密度リポタンパク質コレステロール(非HDL−C)≧100mg/dL(2.59mmol/L)、またはアポリポタンパク質B≧80mg/dL(0.8mmol/L)。
研究手順
図1は、この試験の肝要な相を図式化したものである。患者は、継続期間2〜16週間の導入期間に入った。この期間中に、研究用自己注射器デバイスを使用する自己注射法を患者に指導した。アトルバスタチン(40〜80mg/日)またはロスバスタチン(20〜40mg/日)を開始し、および/または必要に応じて調整して最大耐用量を決定した。他の非除外脂質修飾治療を導入期間中に治験責任医師の裁量で開始してもよかった。少なくとも2週間の定常状態脂質修飾治療後、空腹時血液サンプルを採取して、脂質認定基準の少なくとも1つを満たすかどうかを判定した。
導入期間の最後に全ての組み入れ基準を満たし、いずれの除外基準も満たさなかった患者を、皮下的に隔週のアリロクマブ75mg(注射体積1ml)または対応するプラセボでの処置に無作為に割り当てた。追跡調査訪問を無作為化の1、2、4、8、12、16、20および24カ月後に行い、その後は6カ月間隔で共通研究終了日まで行った。無作
為化時および無作為化後の複数の時点で、患者を研究エンドポイントおよび有害事象について評価し、リポタンパク質およびアポリポタンパク質を含む測定;肝、筋肉および腎機能検査を含む血液学および化学研究;ヘモグロビンA1c;高感度C反応性タンパク質(hsCRP)、抗アリロクマブ抗体;ならびに妊娠の可能性がある女性における妊娠検査のために血液および尿サンプルを採集した。LDL−Cは、値<15mg/dlを直接測定によって確認したこと(およびTG値が400mg/dL(4.52mmol/L)を超える場合)を除いて、フリードワルド式を用いて算定した。PCSK9レベル、リポタンパク質細画分、ならびに炎症および心血管リスクの他の媒介因子の測定のためのサンプルも採取した。心電図を無作為化時および研究完了時に記録した。無作為化処置期間中、リポタンパク質レベルを患者および治験責任医師に対しては知らせないままとし、処置する医師に通常の臨床リポタンパク質試験を控えるように指示した。
この研究は、生理範囲下方部のLDL−Cレベルを達成することが、臨床アウトカムを向上させるかどうか判定しようとするものであり;この試験は、持続的な、生理LDL−Cレベル未満のレベルの安全性を探求するために設計したものではない。したがって、盲検用量調整およびモニタリング手順を次のようにプロトコールに組み込んだ。アリロクマブでの処置に割り当てた患者の中で、無作為化の1カ月後(すなわち、隔週のアリロクマブ75mgの2用量後)に測定したLDL−Cが≧50mg/dlのままであった場合、アリロクマブの用量を盲検様式で隔週150mgに増加させる。無作為化の1カ月後に測定したLDL−Cが<50mg/dlであった場合、アリロクマブの用量を75mgで維持する。アリロクマブ150mgを受けていていずれか2回の連続する測定でLDL−Cが<25mg/dlであった場合、その用量を75mgに低減させる。アリロクマブ75mgを受けていて2回の連続する測定でLDL−Cが<25mg/dlであったが、≧15mg/dlであった場合、その用量を継続したが、独立した安全性医師が、関係する可能性のある有害事象についてその患者をモニターし、その医師が、個別および統合所見をデータ安全性モニタリング委員会(DSMB)に報告し、有害事象が処置と因果関係があることをデータが示唆した場合、盲検状態で処置中止を推奨する。アリロクマブ75mgでの処置中に2回の連続する測定でLDL−Cが<15mg/dlであった場合、積極的処置を次回研究訪問時に中止し、残りの研究継続期間は盲検方式でプラセボ注射を代用する。複合的に、これらの盲検用量調整は、LDL−C<50mg/dlであるアリロクマブ群の患者数を最大にし、その一方でLDL−C<15mg/dlレベルが持続する患者数を最小にすることを意図したものである。
研究アウトカム
主要効能尺度は、冠動脈心疾患、主要非致死性冠動脈事象(心筋梗塞、もしくは不安定狭心症による入院)または虚血性脳卒中の初回発生までの時間である。
冠動脈心疾患死は、急性心筋梗塞(MI)による二次的な死亡、突然死、心不全、症状、冠疾患進行または新たな心筋梗塞のために行った冠動脈血行再建術の、死亡原因が該手術と明らかに関係がある、合併症、気づかれない予想外の死亡、および血管以外の原因によるものであるとすることが決してできない他の死亡を含む、基礎冠動脈心疾患と明らかに関係がある心血管死のサブセットと定義した。
急性非致死性心筋梗塞は、ACC/AHA/ESC Universal Definition of Myocardial Infarctionにおいて定義され、下位分類されている(Thygesenら、Third universal definition of myocardial infarction、Eur Heart
J 2012;33(20):2551〜2567頁を参照されたい)。無症候性心筋梗塞は、主要エンドポイントの一部とみなされない。
虚血性脳卒中は、次のように定義した:1)梗塞によって引き起こされる局所脳、脊髄または網膜機能不全の急性エピソードであって、次のうちの少なくとも1つ:a)被定義血管分布での急性、局所脳、脊髄もしくは網膜虚血傷害の病理学的、画像もしくは他の客観的証拠;またはb)他の病因を除外して、≧24時間もしくは死ぬまで持続する急性脳、脊髄もしくは網膜虚血傷害の症状によって定義される前記急性エピソード;2)出血性梗塞を虚血性脳卒中とみなすが、脳内またはクモ膜下出血によって引き起こされる脳卒中は虚血性脳卒中とみなさない;または3)他に下位分類されない脳卒中は、主要エンドポイントの一部とみなす。
不安定狭心症による入院は、次のように定義した:過去48時間の間にテンポが速まった心筋虚血症状および/または≧20分の安静時胸部不快感での病院または救急診療部への入院、加えて、次の両方を必要とする:a)新たなまたは推定される新たな虚血性ECG変化であって、2カ所の近接誘導でのST降下>0.5mm;2カ所の近接誘導でのT波平低化>1mmとR波増高、もしくはR/S>1;>2カ所の近接誘導でのST上昇>0.2mV(男性においてV2もしくはV3で)、>0.15mV(女性においてV2もしくはV3で)、もしくは他の誘導でのST上昇>0.1mV;またはLBBBによって定義される前記虚血性ECG変化;およびb)冠動脈血行再建術の必要性による冠動脈閉塞の明確な当時の証拠、または少なくとも1つの心外膜狭窄≧70%。以前のPCI部位の再狭窄のみに起因する手術または狭窄は除外する。
副次的エンドポイントは、虚血による冠動脈血行再建術、うっ血性心不全による入院、および全死因死亡率を含んだ。
主要効能尺度は次の通りであった:冠動脈心疾患死、非致死性心筋梗塞、致死性もしくは非致死性虚血性脳卒中または入院を必要とする不安定狭心症の初回発生までの時間。
主な副次的効能尺度は(階層的順序で)次の通りであった:1)主要冠動脈心疾患事象(冠動脈心疾患死もしくは非致死性心筋梗塞)、入院を必要とする不安定狭心症、もしくは虚血による冠動脈血行再建術(PCIもしくはCABG、ただし以前のPCI部位の再狭窄のためだけに行った手術を除く)。虚血による冠動脈血行再建は、次のうちの1つが至らしめるものでなければならない:a)急性虚血(ACS)、またはb)新たなもしくは進行性の症状(狭心症もしくは同等の症状)または新たなもしくは進行性の機能検査異常(例えば、ストレス試験または画像診断);2)無作為化から主要冠動脈心疾患事象の初回発生までの時間;3)無作為化から何らかの心血管事象(何らかの心血管死、何らかの非致死性冠動脈心疾患事象、または非致死性虚血性脳卒中)の初回発生までの時間;4)無作為化から全死因死亡、非致死性心筋梗塞または非致死性虚血性脳卒中の初回発生までの時間;および5)無作為化から死亡(全死因死亡)までの時間。
他の副次的効能尺度は次の通りであった:1)無作為化から冠動脈心疾患死までの時間;2)無作為化から非致死性心筋梗塞の初回発生までの時間;3)無作為化から虚血性脳卒中の初回発生までの時間;4)無作為化から入院を必要とする不安定狭心症の初回発生までの時間;5)無作為化から虚血による冠動脈血行再建の初回発生までの時間;および6)無作為化から入院を必要とするうっ血性心不全の初回発生までの時間。
安全性尺度は次の通りであった:全ての有害事象、心拍数および血圧、血液学および生化学評価。
他の尺度は次の通りであった:1)この研究を通して評価した抗アリロクマブ抗体;ならびに2)LDL−コレステロール、アポリポタンパク質B、非HDLコレステロールおよび高感度C反応性タンパク質の変化率。
検査室効能エンドポイントは、算定LDL−C、アポリポタンパク質B、非HDL−C、およびheCRPのベースラインからの変化を含んだ。アリロクマブ処置の安全性は、有害事象および検査室検査の報告によって評価する。この試験において特に対象とする有害事象は、アレルギー事象、局所注射部位反応、肝臓酵素増加、および溶血性貧血を含んだ。
統計的考察
プラセボ群における主要エンドポイント事象についての予測カプラン・マイヤー発生率は、12カ月で3.8%、24カ月で6.4%、36カ月で9.0%。および48カ月で11.4%である。他の仮定としては、24カ月中に追跡不能になる1%の患者、ベースラインで90mg/dlのLDL−C中央値、およびアリロクマブ処置でのベースラインからのLDL−Cの50%低減、その結果としての15%ハザード低減が挙げられる。これらの仮定に基づき、また2つの中間解析を説明するために片側2.49%有意性レベルでログランク検定を設定して、この試験は1613の主要エンドポイント事象に関して90%検出力を有することになり、これは、40カ月にわたっての無作為化患者18,000名のサンプルサイズに相当する。安全性および効能の詳細な評価のために十分なアリロクマブ曝露時間を可能にするために、この試験は、1613の主要エンドポイント事象が起こって、全ての評価可能な生存患者を少なくとも2年間、追跡調査し終えるまで、継続することになる。主要アウトカムについては、性別、年齢、人種、地理的領域、およびACS事象から無作為化までの時間に従ってカテゴリー分けしたサブグループにわたって処置効果を調査することにする。事象までの時間という副次的アウトカムは、主要エンドポイントと同じ方法論を用いて解析することにする。主な副次的アウトカムについては、全第1種過誤を逐次推測アプローチの使用により制御することにする。比例ハザード回帰モデルを、LDL−Cおよび他の脂質パラメータの変化またはそのようなパラメータの絶対値を含むように構築することにする。カテゴリー変数および連続変数によって定義される部分母集団の解析は、事前に設定された統計解析計画に従って行うことにする。安全性の結果は、形式推論検定を用いずに処置群ごとに表すことにする。
心臓専門医3名、脂質学者1名および統計学者1名で構成された独立したDSMBが、定期的に中間データを見直して安全性および効能を評価する。事象のおおよそ50%が起こったとき、DSMBが無益性(ハザード比>1.008に対応する非拘束境界)についての中間解析を行うことにする。事象のおおよそ75%が起こったとき、DSMBは、無益性(ハザード比>0.951に対応する非拘束境界)および圧倒的効能(サブグループおよび領域全体にわたって一致している主要エンドポイントについてp<0.0001に対応するハザード比<0.802、全死因死亡率を含む副次的エンドポイントについての陽性傾向、ならびに過度の非心血管死亡率なし)について中間二次解析を行うことにする。
高コレステロール血症が脂質修飾治療で十分に制御されていない高心血管リスク患者におけるアリロクマブの長期安全性および耐容性:無作為化、二重盲検、プラセボ対照研究
序論
LDL−C目標値に達していない心血管リスクが高い患者におけるアリロクマブの長期安全性および耐容性を評価するためにこの研究に着手した。最適化されたLMTを受けていてLDL−C目標値に達していないこの集団は、まだ対処されていない医療ニーズが十分に確認されている最高リスク群の代表であり、彼らのLDL−C修飾治療にアリロクマブを加えることによってそのような医療ニーズに対処することができる。2セットの結果を報告する:(1)全ての患者が処置1年に達し、患者のおおよそ25パーセントが処置18カ月に達したとき、事前に設定された中間解析を行った;また(2)全ての患者がこ
の研究を完了したとき、安全性集団の最終解析。
研究目的
主要研究目的は、高コレステロール血症が脂質修飾治療で十分に制御されていない高心血管リスク患者におけるアリロクマブの長期安全性および耐容性を評価することであった。
副次的研究目的は、例えば低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)、アポリポタンパク質B(アポB)、非高密度リポタンパク質コレステロール(非HDL−C)、総コレステロール(総C)、リポタンパク質a(La[a])、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)、トリグリセリド(TG)およびアポリポタンパク質A−1(アポA−1)レベルを含む、高コレステロール血症に関連する様々な脂質成分に対するアリロクマブの効果の評価を含んだ。
この研究は、心血管効果も評価した。
研究デザイン
これは、他の脂質修飾治療と共にまたはなしでスタチンの登録された最大投与可能1日用量で十分に制御されていない高コレステロール血症を有する高心血管リスク患者におけるアリロクマブの長期安全性および耐容性を評価する、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、非釣り合い型(2:1 アリロクマブ:プラセボ)、並行群間、多施設、多国籍研究であった。図2を参照されたい。heFH集団、MIまた虚血性脳卒中の既往歴、スタチン処置および地理的領域に従って患者を階層化した。心血管リスクが高い患者は、1)heFHを有すること(CHD/CHDリスク相当状態(CHD risk equivalent)を有することもあり、有さないこともある)、または2)heFHの過去の診断はないが、高コレステロール血症を既存のCHDまたはCHDリスク相当状態と共に有することと定義した。患者は、高コレステロール血症を有さなければならず、かつ、スクリーニング前に少なくとも4週間(フェノフィブレートについては6週間)の安定した用量での他の脂質修飾治療と共にまたはなしでスタチンの登録された最大投与可能1日用量での治療にもかかわらず十分に制御されていてはならなかった(すなわち、LDL−C≧70mg/dL[以下1.81mmol/L]でなければならなかった)。
プロトコールの説明
アリロクマブに無作為化された患者は、隔週、150mgを受けた。この研究は、次の3期間から成った:スクリーニング、二重盲検処置および追跡調査。スクリーニング期間は、継続期間が3週間以下であった。二重盲検処置期間は、18カ月の無作為化、二重盲検研究処置期間であった。追跡調査期間は、二重盲検処置期間終了後8週間の期間であった。
患者の選択
この研究は、患者おおよそ2100名を次の群に無作為化比2:1で無作為化するように設計した:アリロクマブ:患者おおよそ1400名;プラセボ:患者おおよそ700名。
次の基準の全てを満たす患者をこの研究への登録について考慮した:1)他の脂質修飾治療(LMT)と共にもしくはなしで、スクリーニング訪問(−第3週)前少なくとも4週間のスタチンの安定した最大投与可能1日用量**で十分に制御されていない、既存の冠動脈心疾患(CHD)もしくはCHDリスク相当状態があるもしくはないヘテロ接合性家族性高コレステロール血症(heFH)を有する患者;または2)他の脂質修飾治療(LMT)と共にもしくはなしで、スクリーニング訪問(−第3週)前少なくとも4週間
のスタチンの安定した最大投与可能1日用量**で十分に制御されていない、高コレステロール血症および既存のCHDリスクまたはCHDリスク相当状態(定義については本明細書中/下文を参照されたい)を有する患者。
heFHの診断は、遺伝子型判定または臨床基準いずれかによって行わなければならなかった。遺伝子型判定しなかった患者についての臨床診断は、スコア>8点でWHO基準/Dutch Lipid Clinical network基準に基づくこともあり、または確定FHの基準に関してサイモン・ブルーム登録者診断基準に基づくこともあった。
**最大投与可能量の定義(以下のいずれも許容可能であった):1)ロスバスタチン20mgまたは40mg/日;2)アトルバスタチン40mgまたは80mg/日;3)シンバスタチン80mg/日(>1年、この用量を既に受けている場合);4)上記スタチン用量のいずれも用いることができない患者は、治験責任医師の判断または懸念に応じて患者にとって適切と考えられる毎日のアトルバスタチン、ロスバスタチンまたはシンバスタチンの用量で処置を受けるものとした。より低いスタチン用量を摂取した患者の許容可能な理由のいくつかの例としては、これらに限定されるものではないが次のことが挙げられた:より高い用量での有害作用、高齢、低いボディーマスインデックス、地域特有の実施、限局的処方情報、併用薬、併発状態、例えば耐糖能障害/空腹時血糖異常。
記録されたCHD歴は、次の1つまたはそれ以上を含んだ:i)急性心筋梗塞(MI);ii)無症候性心筋梗塞;iii)不安定狭心症;iv)冠動脈血行再建術(例えば、経皮的冠動脈形成術[PCI]もしくは冠動脈バイパス移植術[CABG]);および/またはv)侵襲的もしくは非侵襲的検査(例えば、冠動脈造影法、トレッドミルを使用する負荷試験、負荷心エコー検査もしくは核イメージング)によって診断された臨床的に有意なCHD。
CHDリスク相当状態は、次の4つの基準の1つまたはそれ以上を含んだ:i)記録された末梢動脈疾患(次の基準[a、bまたはc]の1つを満たさなければならない):安静時のいずれかの脚における足関節・上腕血圧指数<0.90と共に、アテローム動脈硬化症に起因すると推定される現在の間欠性跛行(運動によって再現可能でもあり、生じることもあり、10分以内の休息によって緩和されもする下肢の筋肉不快感)、またはb)アテローム動脈硬化性疾患のための片脚もしくは両脚における血管内手術もしくは外科的介入と共に、間欠性跛行(運動によって再現可能でもあり、生じることもあり、10分以内の休息によって緩和されもする下肢の筋肉不快感)歴、またはc)アテローム動脈硬化性疾患のための片脚もしくは両脚における血栓溶解、血管内手術もしくは外科的介入と共に、重症虚血肢歴;ii)アテローム血栓症に起因すると考えられる、24時間より長く持続した局所虚血性神経障害と共に記録された過去の虚血性脳卒中。出血および非虚血性神経疾患を除外するためにCTまたはMRIを行わなければならなかった;iii)スクリーニング訪問を含む、3カ月またはそれ以上の30≦eGFR<60mL/分/1.73mによって定義される、記録された中等度慢性腎疾患(CKD);iv)糖尿病および(下に列挙するような)2つまたはそれ以上の追加のリスク因子の既往歴:a 高血圧歴(降圧薬服用時に確証されたもの)、b 足関節・上腕血圧指数≦0.90の記録された履歴、c 微量アルブミン尿もしくは顕性アルブミン尿の記録された履歴、またはタンパク>+2であるスクリーニング訪問(−第3週)時の尿試験紙尿検査、d 前増殖性もしくは増殖性網膜症または網膜症レーザー処置の記録された履歴、e 早期CHDの家族既往歴(年齢55歳未満の父親もしくは兄弟のCHD;年齢65歳未満の母親もしくは姉妹のCHD)。
ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症に関するサイモン・ブルーム登録者診断基準
に従って、確定家族性高コレステロール血症を次のように定義した:16歳未満の児童における総C>6.7mmol/l(260mg/dL)、もしくは4.0mmol/l(155mg/dL)より高いLDLコレステロール、または成人における総C>7.5mmol/l(290mg/dL)、もしくは4.9mmol/l(190mg/dL)より高いLDLコレステロール(処理前のレベルまたは処置中の最高レベルいずれか)に加えて、患者もしくは一親等血縁者(親、兄弟姉妹、子)もしくは二親等血縁者(祖父母、叔父、叔母)における腱黄色腫、またはLDL受容体突然変異もしくは家族性アポB−100欠損のDNAに基づく証拠。
Figure 2020143156
ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症に関するサイモン・ブルーム登録者診断基準
に従って、可能性のある家族性高コレステロール血症を次のように定義した:16歳未満の児童における総C>6.7mmol/l(260mg/dL)、もしくは4.0mmol/l(155mg/dL)より高いLDLコレステロール、または成人における総C>7.5mmol/l(290mg/dL)、もしくは4.9mmol/l(190mg/dL)より高いLDLコレステロール(処理前のレベルまたは処置中の最高レベルいずれか)、ならびに次のうちの少なくとも1つ:二親等血縁者における年齢50歳未満もしくは一親等血縁者における年齢60歳未満の心筋梗塞の家族歴、または成人一もしくは二親等血縁者における>7.5mmol/l(290mg/dL)もしくは年齢16歳未満の子もしくは兄弟姉妹における>6.7mmol/l(260mg/dL)のコレステロール上昇の家族歴。
ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症(heFH)の診断に関するWHO基準(Dutch Lipid Network臨床基準)を表1に示す。
上記組み入れ基準全てを満たした患者を以下の除外基準についてスクリーニングした。
研究方法論に関係する除外基準は、次の通りであった:1)CHDもしくはCHDリスク相当状態の既往歴なし、または遺伝子型判定もしくは臨床基準に基づくheFHの診断なし;2)スクリーニング訪問(−第3週)時にLDL−C<70mg/dL(<1.81mmol/L);3)スクリーニング訪問(−第3週)前におよびスクリーニングから無作為化までに、適宜、少なくとも4週間、LMT(スタチンを含む)の、および/または少なくとも6週間、フェノフィブラートの安定した用量を受けていない;4)シンバスタチン、アトルバスタチンまたはロスバスタチンでないスタチンを現在摂取している;5)シンバスタチン、アトルバスタチンまたはロスバスタチンを毎日摂取していない、または登録した用量で摂取していない;6)アトルバスタチン80mg、ロスバスタチン40mgまたはシンバスタチン40mgより上の1日用量(1年より長い間シンバスタチン80mgを受けている、適格である、患者を除く);7)スクリーニング訪問(−第3週)前6週間以内の、またはスクリーニング訪問と無作為化訪問の間の、フェノフィブラート以外のフィブラートの使用;8)スクリーニング訪問(−第3週)前少なくとも4週間の、またはスクリーニング訪問と無作為化訪問の間の、安定した用量でなかった脂質に作用することができる栄養補助食品または市販の治療薬の使用;9)スクリーニング訪問(−第3週)から4週間以内の、またはスクリーニング訪問と無作為化訪問の間の、紅色酵母米製品の使用;10)スクリーニング訪問(−第3週)前2週間以内に血漿交換処置を受けた、または血漿交換処置を受ける計画がある患者;11)最近の(スクリーニング訪問[−第3週]前3カ月以内の、またはスクリーニング訪問と無作為化訪問の間の)MI、入院につながる不安定狭心症、制御されていない不整脈、CABG、PCI、頸動脈手術またはステント留置術、脳血管発作、一過性脳虚血発作(TIA)、末梢血管疾患のための血管内手術または外科的介入;12)予定されたPCI、CABG、頸動脈または末梢血行再建をこの研究中に受けるように計画されている;13)過去12カ月以内のニューヨーク心臓協会(NYHA)クラスIIIまたはIV心不全歴;14)スクリーニング訪問またはランダム化訪問時の収縮期血圧>180mmHgまたは拡張期血圧>110mmHg;15)出血性脳卒中の既往歴;16)スクリーニング訪問(−第3週)時に18歳または法律上成人、いずれか高い方の年齢未満;17)活動性視神経疾患の既往歴;18)スクリーニング訪問(−第3週)前にコレステロール低下食についての事前指導を受けていない患者;19)ホモ接合性FHの既往歴;20)PCSK9機能喪失(すなわち、遺伝子突然変異または配列変異)の既往歴;21)無作為化前少なくとも6週間の、安定したレジメンで下垂体/副腎疾患のための補充治療として使用した場合を除く、全身性コルチコステロイド薬の使用。注記:局所的、関節内、鼻、吸入および眼科的ステロイド治療は、「全身性」とみなさず、許可する;22)レジメンがスクリーニング訪問(−第3週)前の過去6週間安定しており、研究中にそのレジメンを変更する計画がない場合を除
く、連続ホルモン補充治療の使用;23)適切に処置された基底細胞皮膚癌、扁平細胞皮膚癌、または子宮頸部上皮内癌を除く、過去5年以内の癌歴;24)HIV陽性の既往歴;25)次のような条件/状況:a)治験責任医師または任意の治験補助医師の判断で、研究の安全な完了を妨げるもしくはエンドポイントの評価を制約することになる、スクリーニング時に特定される何らかの臨床的に有意な異常、例えば重大な全身性疾患、余命の短い患者、b)治験責任医師または任意の治験補助医師によって何らかの理由でこの研究に不適切とみなされる患者、例えば以下の患者:i)予定された訪問などの特定のプロトコール要件を満たすことができないと判断される患者;ii)患者または治験責任医師により長期間の注射を投与または耐容することができないと判断される患者;iii)治験責任医師もしくは任意の治験補助医師、薬剤師、研究コーディネーター、プロトコールの実施に直接関与する他の研究スタッフもしくは親族など;iv)治験責任医師が研究継続期間に患者の参加を限定もしくは制限することになると感じる、実際のまたは予測される何らかの他の条件(例えば、地理的、社会的条件)の存在;26)他の治験で以前にアリロクマブまたは何らかの他の抗PCSK9モノクローナル抗体の少なくとも1用量で処置された患者;27)1カ月以内または5半減期以内、いずれか長いほう、にアリロクマブトレーニング用プラセボキット以外の何らかの被験薬を摂取した患者;28)スクリーニング期間中に同意を撤回する患者(継続する意思がないまたは再訪問しない患者);29)(無作為化検査を含まない)スクリーニング期間中の検査所見:A)B型肝炎表面抗原および/またはC型肝炎抗体についての検査陽性(反射試験によって確認);B)トリグリセリド(TG)>400mg/dL(>4.52mmol/L)(1回の再検査を許可する);C)妊娠の可能性がある女性における血清または尿妊娠検査陽性;D)4変数MDRD方程式に従ってeGFR<30mL/分/1.73m;E)HbA1c>10%;F)ALTまたはAST>3×ULN(1回の再検査を許可する);G)CPK>3×ULN(1回の再検査を許可する)。
対照実薬および/または必須バックグラウンド治療に関する除外基準は、次の通りであった:30)それぞれの国の製品表示に示されている通りのバックグラウンド治療の全ての忌避または使用についての警告/注意(適宜)。
アリロクマブについての現在の知識に関する除外基準は、次の通りであった:31)モノクローナル抗体治療に対する既知過敏症;32)妊娠しているまたは授乳中の女性;33)非常に有効な受胎調整方法によって保護されていない妊娠の可能性がある女性および/または妊娠について検査する意思がないもしくは検査することができない女性。注記:妊娠の可能性がある女性は、スクリーニング時に血清妊娠検査陰性および無作為化訪問時に尿妊娠検査陰性が確認されていなければならなかった。彼女たちは、この研究を通して有効な避妊法を用いなければならず、指定訪問時に尿妊娠検査を繰り返すことに同意しなければならなかった。適用される避妊方法は、「Note for guidance on non−clinical safety studies for the conduct of human clinical trials for pharmaceuticals(CPMP/ICH/286/95)」による非常に有効な受胎調整方法の基準を満たさなければならなかった。閉経後女性は、少なくとも12カ月間、無月経でなければならなかった。
研究処置
無菌アリロクマブ製剤(IMP)を150mg/mLの濃度で体積1mLとして供給した。二重盲検処置期間中、アリロクマブまたはプラセボを隔週、1mL注射として皮下投与し、この投与を第0週に開始して、二重盲検処置期間終了2週間前である最終注射(すなわち第76週)まで継続した。
次のクラスの薬は、その薬物がバックグラウンド治療薬または有望な救急薬のいずれか
であったので、非治験薬とみなした:スタチン(ロスバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン);コレステロール吸収阻害剤(エゼチミブ);胆汁酸結合封鎖剤(例えば、コレスチラミン、コレスチポール、コレセベラム);ニコチン酸;フェノフィブラート;オメガ−3脂肪酸(≧1000mg/日)。
二重盲検研究処置期間中にプラセボまたはアリロクマブを受けるように患者を無作為化した。アリロクマブ:プラセボの無作為化比は、2:1であった。無作為化を、heFH集団(イエス、ノー)、急性もしくは無症候性MIまたは虚血性脳卒中の既往歴(イエス、ノー)、スタチン処置(いかなる1日用量であれシンバスタチン、アトルバスタチン40mg未満/日またはロスバスタチン20mg未満/日に対して、アトルバスタチン40〜80mgまたはロスバスタチン20〜40mg/日)および地域(北米、西欧、東欧および世界のその他の地域)によって階層化した。
併用薬は、この研究と同時に(追跡調査訪問まで)患者が受けたあらゆる処置薬であった。併用薬は、この研究中、最低限に保つべきであった。しかし、これらの併用薬は、患者の福祉のために必要と考えられ、IMPに干渉する可能性が低いと考えられる場合、治験責任医師の裁量で、安定した用量で(可能な場合)与えることができた。この節で提供する併用薬に関する特定の情報に加えて、任意の他の併用薬を許可することにし、記録しなければならないことにした。患者が、スクリーニング訪問(−第3週)時にLDL−C≧160mg/dL(4.14mmol/L)を有し、患者をスタチンのみで、すなわち、さらなるLMTなしで処置した場合、治験責任医師は、患者が第2のLMTを受けていなかった理由を報告しなければならないことにした。脂質に作用することができる栄養補助食品または市販の治療薬は、スクリーニング訪問前少なくとも4週間、スクリーニング期間中、安定した用量で使用され、二重盲検処置期間の最初の24週間の間、維持される場合にのみ許可した。第24週訪問後、これらの栄養補助食品または市販の治療薬の変更を許可したが、一般には避けるべきであった。そのような栄養補助食品または市販の治療薬の例としては、用量<1000mgでのオメガ−3脂肪酸、植物スタノール、例えばベネコールに見られるもの、アマニ油、およびサイリウムが挙げられた。
患者は、この研究中、他の脂質修飾治療と共にまたはなしでスタチンの登録された最大投与可能1日用量を受けていた。スクリーニング訪問(−第3週)から二重盲検処置期間の最初の24週間(第24週)まではバックグラウンド脂質修飾治療を変更すべきでなかった。他のスタチンまたは他の脂質修飾治療の用量調整、中止または開始は、治験責任医師の判断に従って最優先事項(中央検査室によって発せられるトリグリセリドの警告を含むが、これに限定されない)がそのような変更を正当化する例外的事情がなければ、この時期に行うべきではなかった。
以下の治療薬は、(追跡調査訪問までのスクリーニング期間を含む)この研究中、許可しなかった:フェノフィブラート以外のフィブラート;紅色酵母米製品;およびシンバスタチン、アトルバスタチンまたはロスバスタチン以外のスタチン。
安全性評価
安全性は、次のパラメータによって評価した:有害事象(判定された心血管事象を含む)記録;標準検査室検査(血液学、化学および尿検査);肝パネル(ALT、AST、アルカリホスファターゼ[ALP]、および総ビリルビン);クレアチンホスホキナーゼ(CPK);C型肝炎抗体(陽性の場合には、反射試験を行った);ビタミンE(アルファ−トコフェロール)および他の脂溶性ビタミン;コルチゾール(と共に必要に応じて反射性ACTHレベル、そしてその後、必要に応じてACTH刺激試験);性腺ホルモン評価;心電図(ECG);バイタルサイン(収縮期および拡張期血圧ならびに心拍数);健康診断(神経学的診察を含む);色覚検査(必要に応じて、より総合的な眼科検査のための
スクリーニング検査として)。安全性パラメータ(有害事象[判定された心血管事象を含む]、検査データ、バイタルサイン、およびECG)をこの研究を通して評価した。
この試験で評価した安全性エンドポイントは、次の通りであった:心血管事象;アレルギー事象;注射部位での局所耐容性;他の有害事象(溶血性貧血を含む);検査室検査:尿検査、血液学(赤血球数、赤血球分布幅(RDW)、網状赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板、白血球数と血球百分率数)、標準化学(ナトリウム、カリウム、塩化物、重炭酸塩、カルシウム、リン、尿素窒素、クレアチニン、尿酸、総タンパク質、アルブミン、LDH、γグルタミルトランスフェラーゼ[γGT])、ビタミンE(アルファトコフェロール)および他の脂溶性ビタミン、コルチゾール(および必要に応じて反射性ACTHレベル、そしてその後、必要に応じてACTH刺激試験)、性腺ホルモン評価;C型肝炎抗体、肝パネル(ALT、AST、ALP、および総ビリルビン)、およびCPK;心拍数および血圧を含む、バイタルサイン;ならびに12リードECG。
結果I−事前に設定された解析
集団特性の要約
全ての患者が処置1年に達し、患者のおおよそ25パーセントが処置18カ月に達したとき、事前に設定された中間解析を行った。患者合計2341名をこの研究において無作為化した(プラセボ群に788名に対してアリロクマブに1553名)。この事前に設定された解析での患者集団のベースライン特性を表2に示す。患者の17.7%は、既存のCHDまたはCHDリスク相当状態があるまたはないheFHを有した。患者の82.3%は、既存のCHDまたはCHDリスク相当状態がある非家族性高コレステロール血症で登録した。無作為化集団の大多数(90.6%)は、冠動脈心疾患(CHD)またはCHDリスク相当状態の履歴を有した。CHDは、患者の68.6%について報告された(表2を参照されたい)。
アリロクマブ群におけるベースラインでの人口統計学的特性、疾患特性および脂質パラメータは、プラセボ群と比較して同様であった。平均(SD)ベースライン算定LDL−Cは、122.4(42.2)mg/dL(3.171(1.092)mmol/L)であった。バックグラウンド脂質修飾治療に関して、患者1032名(44.1%)は、無作為化時に高強度スタチン(すなわち、アトルバスタチン40〜80mgまたはロスバスタチン20〜40mg)を摂取しており、334名(14.3%)は、前記スタチンに加えてエゼチミブを受けていた(表2を参照されたい)。
Figure 2020143156
注射剤への曝露は処置群全体にわたって同様であり、中央値曝露は68週間であった。第2相の最後のミーティング協議中に保健医療当局と合意したようにアリロクマブ群の患者少なくとも400名を含む、患者607名(25.9%):アリロクマブ群の患者405名(26.1%)およびプラセボ群の患者202名(25.6%)は、事前に設定された解析のカットオフ日に、18カ月二重盲検処置期間を完了していた(すなわち、少なくとも76週間の曝露および第78週訪問完了)。
研究内訳、曝露および安全性解析は、研究の共通のカットオフ日までの全てのデータ、およびしたがって第52週を越えて第78週までまたは追跡調査訪問までのインクルード
データを用いて評価した。主要効能エンドポイント(第24週におけるもの)および肝要な副次的効能エンドポイント(第52週まで評価したもの)についての最終結果をこの第1段階解析で得た。
カットオフ日まで研究処置期間を完了した、すなわち、最終IMP注射を行い(第76週)、最終処置訪問(第78週)をIMP注射後21日以内かつ無作為化後少なくとも525日以内に行った、無作為化患者は、合計525名(22.4%)いた。
アリロクマブ群では、1553名のうち1550名がアリロクマブを実際に受けた。これらの患者の23%(n=349)は78週間を完了し、20%(n=311)は処置を中止し、57%(n=890)はまだ処置を受けている。アリロクマブ群についてのITT安全性集団は、それぞれ、患者1530名および1550名であった。プラセボ群では、788名全てがプラセボを受けた。これらの患者の22%(n=176)は78週間を完了し、19%(n=146)は処置を中止し、59%(n=466)はまだ処置を受けている。アリロクマブ群についてのITT安全性集団は、それぞれ、患者780名および788名であった。
主要効能エンドポイント
治療企図(ITT)解析は、第52週までオントリートメントおよびオフトリートメントで収集した全てのLDL−C値を含んだ。第24週におけるLS平均推定値を用い、ITT集団でのMMRMモデルに基づいて、主要エンドポイント(ベースラインから第24週までの算定LDL−Cの変化率)を解析した。アリロクマブ群の患者146名(9.5%)およびプラセボ群の患者72名(9.2%)は、第24週における算定LDL−C値を有さなかった。これらの欠測値をMMRMモデルによって考慮した。
ベースラインから第24週までのLDL−Cの変化率の統計的に有意な減少が、プラセボ群(N=780;ベースラインに対するLS平均0.8%)と比較してアリロクマブ群(N=1530;ベースラインに対するLS平均−61.0%)で観察された(プラセボに対するLS平均差−61.9%、p<0.0001)。
アリロクマブ群ではベースラインからの一貫したLDL−C低減が第4週から第52週まで観察された(図3を参照されたい)。70mg/dL未満の算定LDL−Cに達した超高心血管リスク患者の割合、または100mg/dL未満の算定LDL−Cに達した高心血管リスク患者の割合は、アリロクマブアームでは80.7%、およびプラセボアームでは8.5%であった(p<0.001)。リスクにかかわらず、70mg/dL未満の算定LDL−Cに達した患者の割合は、アリロクマブアームでは79.3%、プラセボアームでは8.0%であった(p<0.001)。
アリロクマブ群は、24週間でプラセボと比較して非HDL−C、アポBおよびLp(a)レベルの有意な低減も示した(図5を参照されたい)。
安全性結果の要約:
事前に設定された解析の時点で、治療創発的有害事象(TEAE)、重篤TEAE、および処置中止につながるTEAEは、治療群間で同様であった。
両方の処置群で報告頻度が最も高かったSOC(≧10%)は、「感染症および寄生虫症」(プラセボ群での46.1%に対してアリロクマブでは45.5%)、「骨格筋および結合組織障害」(プラセボ群での28.6%に対してアリロクマブでは27.2%)、「胃腸障害」(プラセボ群での18.8%に対してアリロクマブ群では18.6%)、「神経系障害」(プラセボ群での17.8%に対してアリロクマブ群では17.0%)、「
全身性障害および投与部位の状態」(プラセボ群での17%に対してアリロクマブでは15.4%)、「傷害、中毒および処置合併症」(プラセボ群での14.2%に対してアリロクマブでは13.4%)、ならびに「呼吸器、胸部および縦隔障害」(プラセボ群での10.9%に対してアリロクマブでは11.0%)であった。
TEAEの頻度に関して顕著な不均衡は観察されなかった(表3)。以下のTEAEは、いずれの処置群においても報告頻度が最も高かった(いずれの群においても≧5%):上咽頭炎(アリロクマブでは12.6%対プラセボ群では12.7%)、上気道感染症(7.0%対8.0%)、注射部位反応(5.7%対4.3%)、インフルエンザ(5.4%対5.5%)、下痢(5.3%対5.1%)、尿路感染症(5.2%対6.2%)、気管支炎(5.2%対4.7%)および頭痛(4.8%対5.6%)。
Figure 2020143156
この研究中に十九(19)件の死亡が報告された(プラセボ群での8件(1.0%)に対してアリロクマブ群では11件(0.7%))。死亡につながるTEAEに焦点を合わせると、プラセボ群での8件(1.0%)に対してアリロクマブ群では7件(0.5%)の死亡が報告された。判定に従って、主要な死因は、両方の処置群において心血管のものであった(TEAE期間中、プラセボ群での5件(0.6%)に対してアリロクマブ群では心血管死5件(0.3%))。
治療創発的心血管事象を有する患者九十四(94)名は陽性判定された(アリロクマブ群では4.0%およびプラセボ群では4.1%)。表4は、判定に従ってあらゆる心血管TEAEを要約したものである。表5は、CVOT(ODYSSEY OUTCOMES)研究の主要エンドポイント(すなわち、CHD死、非致死性MI、致死性および非致死性虚血性脳卒中、入院を必要とする不安定狭心症)を用いて判定された心血管TEAEを要約したものである。
留意すべきこととして、データベースロック時にこの判定プロセスはまだ進行中であった。
Figure 2020143156
Figure 2020143156
総合すれば、この研究からの中間安全性解析によって、アリロクマブアームにおいて判定された主要心血管事象がプラセボと比較して少なかったことが明らかになった。詳細には、アリロクマブ群における主要CV事象(心臓死、心筋梗塞、脳卒中、および入院を必要とする不安定狭心症)判定率は、プラセボと比較しておおよそ50パーセント低かった(3.0パーセントと比較して1.4%、p<0.01)(表5を参照されたい)。
本発明の範囲は、本明細書に記載する特定の実施形態によって限定されない。実際、本
明細書に記載するものに加えて、本発明の様々な修飾形態が、上述の説明および添付の図面から当業者に明らかになるだろう。そのような修飾形態は、添付の特許請求の範囲の範囲に入ることが意図される。
事前に設定された解析の全体の要約
本明細書に記載するODYSSEY LONG TERM研究は、PCSK9阻害剤の最大かつ最長の二重盲検研究である。本解析は、アリロクマブ150mg Q2Wに曝露された二重盲検患者の約1900患者・年を規定する。最大投与可能スタチン±他の脂質低下治療を受けている高CVリスク患者において次のことが観察された:1)自己投与アリロクマブ処置は、第24週においてプラセボに対して有意に大きいLDL−C低減を生じさせた(LS平均差−61.9%);2)アリロクマブ患者の79%は、リスクに関係なく第24週に<0.81mmol/L(70mg/dL)のLDL−C目標値を達成した;高リスクおよび超高リスク患者の81%が彼らのLDL−C目標値(それぞれ、<100mg/dLおよび<70mg/dL)を達成した;3)アリロクマブでの第52週における平均達成LDL−Cレベル 1.4mmol/L(53.1mg/dL);4)事後解析でアリロクマブアームにおいて観察されたプラセボと比べて低い主要CV事象判定率;5)TEAEは、アリロクマブおよびプラセボアームにおいて同様の頻度で起こった;6)治療創発的心血管(CV)事象は、アリロクマブおよびプラセボ患者のそれぞれ4.0%および4.4%において陽性判定された;ならびに7)事後解析でプラセボと比べて低い主要CV事象判定率がアリロクマブアームにおいて観察された(HR=0.46、P<0.01)。
結果II−最終安全性解析
主要および副次的効能エンドポイントの全ては、事前に設定された中間解析の時点で完了していたが、この研究は、完全な安全性集団の解析を可能ならしめる完了まで継続した。
安全性集団特性の要約:
平均研究対象薬物曝露は、安全性解析に組み入れた患者2338名(アリロクマブ群における1550名およびプラセボ群における788名)において70週間であり、2061患者・年を隔週のアリロクマブ150mgに曝露した。研究処置の全平均順守率(すなわち、患者が計画された投薬スケジュールに従って注射を行った日数の百分率)は、アリロクマブ群およびプラセボ群においてそれぞれ98.0%および97.6%であった。安全性集団における追跡調査の(処置順守率にかかわらず)平均継続期間は、アリロクマブについては80.9週間、プラセボについては80.1週間であった。研究処置中止率は、アリロクマブについては28%、プラセボについては25%であった。
安全性
両方の処置群において患者の同様の百分率(プラセボで83%に対してアリロクマブで81%)が治療創発的有害事象を経験した(表6)。研究対象薬物中止につながる治療創発的有害事象は、アリロクマブ患者の7.2%およびプラセボ患者の5.8%において起こった。具体的な有害事象に関しては、アリロクマブ群とプラセボ群間に注射部位反応率(それぞれ5.9%対4.2%)、筋肉痛(それぞれ5.4%対2.9%)、認知神経科学的事象(それぞれ1.2%対0.5%)および眼科的事象(それぞれ2.9%対1.9%)の差があった(表6)。
アリロクマブ患者の中で、575名(総数の38%)は、25mg/dL未満の2連続算定LDLコレステロールレベルを有した。これらの患者間の治療創発的有害事象率は、全アリロクマブ群の中での治療創発的有害事象率と同程度であった。
心血管事象
陽性判定された心血管治療創発的有害事象がアリロクマブ患者およびプラセボ患者のそれぞれ4.6%および5.1%で起こった(表6)。進行中のODYSSEY OUTCOMES試験における事前に設定された主要エンドポイント(冠動脈心疾患死、心筋梗塞、虚血性脳卒中、または入院を必要とする不安定狭心症)を用いる事後解析では、アリロクマブ群(患者1550名のうちの27名、1.7%)においてプラセボ群(患者788名のうちの26名、3.3%)と比較して低い主要有害心臓事象判定率が観察された(ハザード比0.52;95%CI、0.31〜0.90;名目P<0.01)(表3)。累積発生率曲線は、時間と共に漸進的に分岐した(図6)。判定された全ての心血管事象を(入院を必要とするうっ血性心不全、および虚血による冠動脈血行再建を加えて)含めた場合、群間差は有意でなかった(表6)。
Figure 2020143156
全体の要約
第24週において、ベースラインからの平均算定LDLコレステロール変化率のアリロクマブ群とプラセボ群間の差は、−62%(P<0.0001)であった;処置効果は、78週間にわたって一貫したままであり、アリロクマブについてはプラセボに対してベースラインからのLDL−Cの56の低減があった(p<0.001)。アリロクマブ群とプラセボ群間に注射部位反応率(それぞれ5.9%対4.2%)、筋肉痛(それぞれ5.
4%対2.9%)、認知神経科学的事象(それぞれ1.2%対0.5%)および眼科的事象(それぞれ2.9%対1.9%)の差があった。冠動脈心疾患死、心筋梗塞、虚血性脳卒中または入院を必要とする不安定狭心症の複合エンドポイントを用いる安全性事後解析では、心血管事象の有意な低減がアリロクマブに関して見られ、患者2341名での80週間の追跡調査にわたって主要心血管事象リスクが48%低減された。
5つのプラセボ対照第3相試験のプール解析におけるアリロクマブの長期安全性および耐容性
ODYSSEY試験は、まだ対処されていない大きな需要がある1つまたはそれ以上の患者群において皮下アリロクマブの可能性を評価するものであった。1つのそのような集団は、遺伝性高コレステロールである、ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症(HeFH)を有する患者であり;ODYSSEY、FH I、FH IIおよびHIGH FHは、この群の患者のみに焦点を合わせた。HeFHは、人をLDL−Cおよび早期重度心血管疾患(CVD)にかかりやすくする遺伝性脂質代謝障害である。第2の群は、高いまたは非常に高い心血管(CV)リスクを有する患者であり;ODYSSEY COMBO I、COMBO II、OPTIONS I、OPTIONS IIおよびLONG
TERMは、これらの患者に焦点を合わせた。第3の集団は、スタチン不耐性歴を有する患者であり;ODYSSEY ALTERNATIVEは、スタチンに不耐性である病歴を有し、かつCVリスクが中等度〜非常に高い患者を含んだ。
Odyssey MONO試験(一切の他の脂質修飾治療の不在下でアリロクマブの効果に取り組むもの)と共に、9つのODYSSEY試験は、24〜104週間、二重盲検試験で研究した5000名を超える患者を包含する。これらの試験は、次の2つの異なる投薬レジメンを評価するものであった:隔週150ミリグラム(mg)、またはプロトコール指定LDL−C標的値に達するように必要に応じて150mgまで増加する隔週75mg。1ミリリットル(mL)を自己投与する単回注射で75mgおよび150mg用量を送達した。これらの試験の各々において、アリロクマブをプラセボまたはエゼチミブのいずれかと比較した;したがって、これらの試験をプラセボ対照試験とエゼチミブ対照試験に分類することができる。
判定された心血管事象
全ての第3相研究において、無作為化時から追跡調査訪問までに起こった疑わしいCV事象および全ての死亡を臨床事象判定委員会が判定した。その判定された事象の解析を、5つのプラセボ対照試験からのプールデータを用いて行った。プールプラセボ対照研究からのデータのこの解析をMACE事象(CHD死、非致死性MI、致死性または非致死性虚血性脳卒中、および入院を必要とする不安定狭心症)に主として焦点を合わせて下に提示する。MACE複合エンドポイントは、心血管アウトカムを評価するために最も適切で厳密なものと一般に考えら、OUTCOME研究(実施例2)の主要エンドポイントである。
第3相プラセボ対照プールは、ODYSSEYプログラムからの5つの試験:LTS11717、FH I、FH II、HIGH FH、COMBO Iを併せたものであった。LTS11717は、上の実施例3において詳細に説明した。FHI、FHIIおよびHigh FHのデザインおよび原理は、Kasteleinら、Cardiovasc Drugs Ther.2014;28(3):281〜289頁において詳細に説明されている。Combo Iのデザインおよび原理は、Colhounら、BMC Cardiovasc Disord.2014;14:121頁において詳細に説明されている。これらの出版物は、それら全体が参照によって本明細書に組み入れられている。
第3相プラセボ対照プールにおいて、判定された複合MACEエンドポイントは、アリロクマブ群(N=2318)の患者35名(1.5%)およびプラセボ群(N=1174)の患者27名(2.3%)で見受けられた。発生率(100患者・年当たり)は、アリロクマブおよびプラセボ群においてそれぞれ1.3および1.9であり、ハザード比HR(95%CI)は次の通りであった:0.65(0.40〜1.08)。
最大プラセボ対照研究、LONG TERM(LTS11717)において、判定された複合MACE事象は、アリロクマブ群(N=2318)の患者22名(1.4%)およびプラセボ群の患者24名(3.0%)で起こった(HR:0.46[0.26〜0.82])(実施例3も参照されたい)。他のプラセボ対照研究全体にわたって、可変的なHR推定値をもたらす少数のMACE事象が観察された。初回MACEエンドポイントまでの時間についてのカプラン・マイヤー推定値を図7に示す(TEAE期で打ち切ったデータ;研究処置の最終注射+70日)。
要約
全体として、第3相研究のプラセボ対照プールでは、プラセボと比較するとアリロクマブアームにおいてMACE事象の減少傾向が観察され、HRは0.65(95%CI:0.40〜1.08)であり、特に最大(n=2338)および最長(18カ月まで)単一研究LONG TERMではHRは0.46(95%CI:0.26〜0.82)であった。判定され、確証されたCV事象の大多数は血行再建であったが、MACEエンドポイントに含まれていない。血行再建の臨床基準は世界各地で異なり、これらのケースの多くは、臨床研究に関連して以前の疾患へのより大きな関心を反映している可能性が高い。

Claims (44)

  1. 急性冠症候群(ACS)事象後12カ月以内の高心血管リスク患者の心血管リスクを低減させる方法であって、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤の1用量またはそれ以上を、該PCSK9阻害剤の不在下で最大耐用量スタチン治療での定常状態処置にもかかわらずアテローム生成リポタンパク質の不十分な制御を示す該患者に投与することを含む前記方法。
  2. 心血管リスクを低減させることは、冠動脈心疾患死、急性心筋梗塞、不安定狭心症による入院、または虚血性脳卒中の初回発生までの時間を短縮することを意味する、請求項1に記載の方法。
  3. ACS事象は:
    1)推定されるまたは立証された閉塞性冠疾患に起因する、予定外の入院から72時間以内の安静時または最小労作時に起こる不安定な心筋虚血症状;および
    2)次のうちの少なくとも1つ:
    a)急性心筋梗塞と一致する心臓バイオマーカー上昇、または
    b)虚血もしくは梗塞と一致する安静時ECG変化と共に局所灌流画像法からの閉塞性冠疾患のさらなる証拠もしくは壁運動異常、血管造影法による心外膜冠動脈狭窄≧70%、もしくは該事象に関係する冠動脈血行再建の必要性
    によって定義される、請求項1に記載の方法。
  4. PCSK9阻害剤は、PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1/6および11/15からなる群から選択される重鎖可変領域/軽鎖可変領域(HCVR/LCVR)アミノ酸配列対の重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)を含む、請求項4に記載の方法。
  6. 抗体またはその抗原結合断片は、配列番号12、13、14、16、17および18を有する重鎖および軽鎖CDRアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の方法。
  7. 抗体またはその抗原結合断片は、配列番号11のアミノ酸配列を有するHCVRおよび配列番号15のアミノ酸配列を有するLCVRを含む、請求項6に記載の方法。
  8. 抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2、3、4、7、8および10を有する重鎖および軽鎖CDRアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の方法。
  9. 抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を有するLCVRを含む、請求項8に記載の方法。
  10. 抗体またはその抗原結合断片は、配列番号12、13、14、16、17および18;または配列番号2、3、4、7、8および10を有する重鎖および軽鎖CDRアミノ酸配列を含む抗体と同じ、PCSK9上のエピトープと結合する、請求項4に記載の方法。
  11. 抗体またはその抗原結合断片は、配列番号12、13、14、16、17および18;または配列番号2、3、4、7、8および10を有する重鎖および軽鎖CDRアミノ酸配列を含む抗体とPCSK9との結合について競合する、請求項4に記載の方法。
  12. PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片は、約75mgの用量で、
    2週間に1回の頻度で患者に投与される、請求項4に記載の方法。
  13. 2用量の後に測定される患者のLDL−Cが<50mg/dLである場合、約75mg用量が維持される、請求項12に記載の方法。
  14. 2用量の後に測定される患者のLDL−Cが≧50mg/dLのままである場合、約75mg用量は中止され、その後、PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片が約150mgの用量で2週間に1回の頻度で患者に投与される、請求項12に記載の方法。
  15. 約150mg用量は、いずれか2回の連続する測定について患者のLDL−Cが<25mg/dLである場合、中止され、その後、PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片が、約75mgの用量で2週間に1回の頻度で患者に投与される、請求項14に記載の方法。
  16. PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合タンパク質は、約150mgの用量で2週間に1回の頻度で患者に投与される、請求項4に記載の方法。
  17. PCSK9阻害剤は、最大耐用量スタチン治療と併用して患者に投与される、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 最大耐用量スタチン治療は、アトルバスタチン約40mg〜約80mgの1日用量を含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 最大耐用量スタチン治療は、ロスバスタチン約20mg〜約40mgの1日用量を含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
  20. 患者は、PCSK9阻害剤の投与前または投与時に:
    1)≧70mg/dLの血清低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)レベル;
    2)非高密度リポタンパク質コレステロール≧100mg/dL;または
    3)アポリポタンパク質B≧80mg/dL
    と定義されるアテローム生成リポタンパク質の不十分な制御を示す、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 定常状態処置は、少なくとも2週間の処置である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 急性冠症候群(ACS)事象後12カ月以内の高心血管リスク患者の心血管事象を低減させる方法であって、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤の1用量またはそれ以上を、該PCSK9阻害剤の不在下で最大耐用量スタチン治療での定常状態処置にもかかわらずアテローム生成リポタンパク質の不十分な制御を示す該患者に投与することを含む前記方法。
  23. 急性冠症候群(ACS)事象後の高心血管リスク患者の心血管事象を低減させる方法であって、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤の1用量またはそれ以上を該患者に投与することを含む前記方法。
  24. 急性冠症候群(ACS)事象後の高心血管リスク患者の心血管リスクを低減させる方法であって、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤の
    1用量またはそれ以上を該患者に投与することを含む前記方法。
  25. 心血管リスクを低減させることは、冠動脈心疾患死、急性心筋梗塞、不安定狭心症による入院、または虚血性脳卒中の初回発生までの時間を短縮することを意味する、請求項24に記載の方法。
  26. ACS事象は:
    1)推定されるまたは立証された閉塞性冠疾患に起因する、予定外の入院から72時間以内の安静時または最小労作時に起こる不安定な心筋虚血症状;および
    2)次のうちの少なくとも1つ:
    a)急性心筋梗塞と一致する心臓バイオマーカー上昇、または
    b)虚血もしくは梗塞と一致する安静時ECG変化と共に局所灌流画像法からの閉塞性冠疾患のさらなる証拠もしくは壁運動異常、血管造影法による心外膜冠動脈狭窄≧70%、もしくは該事象に関係する冠動脈血行再建の必要性
    によって定義される、請求項22〜24のいずれか1項に記載の方法。
  27. PCSK9阻害剤は、PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片である、請求項22〜26のいずれか1項に記載の方法。
  28. 抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1/6および11/15からなる群から選択される重鎖可変領域/軽鎖可変領域(HCVR/LCVR)アミノ酸配列対の重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)を含む、請求項27に記載の方法。
  29. 抗体またはその抗原結合断片は、配列番号12、13、14、16、17および18を有する重鎖および軽鎖CDRアミノ酸配列を含む、請求項28に記載の方法。
  30. 抗体またはその抗原結合断片は、配列番号11のアミノ酸配列を有するHCVRおよび配列番号15のアミノ酸配列を有するLCVRを含む、請求項29に記載の方法。
  31. 抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2、3、4、7、8および10を有する重鎖および軽鎖CDRアミノ酸配列を含む、請求項28に記載の方法。
  32. 抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を有するLCVRを含む、請求項31に記載の方法。
  33. 抗体またはその抗原結合断片は、配列番号12、13、14、16、17および18;または配列番号2、3、4、7、8および10を有する重鎖および軽鎖CDRアミノ酸配列を含む抗体と同じ、PCSK9上のエピトープと結合する、請求項4に記載の方法。
  34. 抗体またはその抗原結合断片は、配列番号12、13、14、16、17および18;または配列番号2、3、4、7、8および10を有する重鎖および軽鎖CDRアミノ酸配列を含む抗体とPCSK9との結合について競合する、請求項27に記載の方法。
  35. PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片は、約75mgの用量で2週間に1回の頻度で患者に投与される、請求項27に記載の方法。
  36. 2用量の後に測定される患者のLDL−Cが<50mg/dLである場合、約75mg用量が維持される、請求項35に記載の方法。
  37. 2用量の後に測定される患者のLDL−Cが≧50mg/dLのままである場合、約7
    5mg用量は中止され、その後、PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片が、約150mgの用量で2週間に1回の頻度で患者に投与される、請求項35に記載の方法。
  38. 約150mg用量は、いずれか2回の連続する測定について患者のLDL−Cが<25mg/dLである場合、中止され、その後、PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片が、約75mgの用量で2週間に1回の頻度で患者に投与される、請求項37に記載の方法。
  39. PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片は、約150mgの用量で2週間に1回の頻度で患者に投与される、請求項27に記載の方法。
  40. PCSK9阻害剤は、最大耐用量スタチン治療と併用して患者に投与される、請求項22〜39のいずれか1項に記載の方法。
  41. 最大耐用量スタチン治療は、アトルバスタチン約40mg〜約80mgの1日用量を含む、請求項22〜40のいずれか1項に記載の方法。
  42. 最大耐用量スタチン治療は、ロスバスタチン約20mg〜約40mgの1日用量を含む、請求項22〜40のいずれか1項に記載の方法。
  43. 患者は、PCSK9阻害剤の投与前または投与時に:
    1)≧70mg/dLの血清低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)レベル;
    2)非高密度リポタンパク質コレステロール≧100mg/dL;または
    3)アポリポタンパク質B≧80mg/dL
    と定義されるアテローム生成リポタンパク質の不十分な制御を示す、請求項22〜42のいずれか1項に記載の方法。
  44. 定常状態処置は、少なくとも2週間の処置である、請求項22〜43のいずれか1項に記載の方法。
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KR20220120089A (ko) * 2021-02-23 2022-08-30 연세대학교 산학협력단 하지 절단 수술의 치료 반응성을 예측하는 방법
KR102517894B1 (ko) 2021-02-23 2023-04-04 연세대학교 산학협력단 당뇨발에 의한 하지 절단 수술의 치료 반응성을 예측하는 방법

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