JP2020143156A - 心血管リスクを低減させる方法 - Google Patents
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Abstract
Description
結合する。さらに他の態様において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号12、13、14、16、17および18;または配列番号2、3、4、7、8および10を有する重鎖および軽鎖CDRアミノ酸配列を含む抗体と、PCSK9との結合について競合する。
一般に、本発明は、スタチンによって十分に制御されない高コレステロール血症、すなわちスタチンの1日最大耐用量を含む治療レジメンによって十分に制御されない高コレステロール血症、を有する高心血管リスク患者を処置するための方法および組成物に関する。本明細書において用いる場合、高コレステロール血症に関して「十分に制御されない」という表現は、スタチンの安定した1日用量を含む治療レジメンを受けていて少なくとも4週間後に患者の血清低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)濃度、総コレステロール濃度、および/またはトリグリセリド濃度が(該患者の冠動脈心疾患の相対リスクを考慮に入れて)認知されている医学的に許容されるレベルに低減されないことを意味する。例えば、「スタチンによって十分に制御されない高コレステロール血症の患者」は、患者が少なくとも4週間、安定した毎日のスタチンレジメン受けてきた後、(心疾患についての該患者の潜在的リスクに依存して)約70mg/dL以上、100mg/dL、130mg/dL、140mg/dL、またはそれ以上の血清LDL−C濃度を有する患者を含む。
めの方法および組成物にも一般に関する。本明細書において用いる場合、アテローム生成リポタンパク質に関して「十分に制御されない」という表現は、スタチンの安定した1日用量を含む治療レジメンを受けていて少なくとも4週間後に患者の血清低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)濃度、非高密度リポタンパク質コレステロール、および/またはアポリポタンパク質B濃度が(患者の冠動脈心疾患の相対リスクを考慮に入れて)認知されている医学的に許容されるレベルに低減されないことを意味する。例えば、「スタチンによって十分に制御されないアテローム生成リポタンパク質レベル上昇を有する患者」は、患者が少なくとも4週間、安定した毎日のスタチンレジメン受けてきた後、(心疾患についての該患者の潜在的リスクに依存して)約70mg/dL以上、100mg/dL、130mg/dL、140mg/dL、もしくはそれ以上の血清LDL−C濃度;約100mg/dL以上の非高密度リポタンパク質コレステロール濃度;または約80mg/dL以上のアポリポタンパク質B濃度を有する患者を含む。
本発明は、1日最大耐用量治療スタチンレジメンによって十分に制御されない、高コレステロール血症および他のアテローム生成リポタンパク質レベル上昇を有する高心血管リスク患者の処置に有用な方法および組成物を含む。
本発明は、PCSK9阻害剤の不在下で安定した1日最大耐用量治療スタチンレジメンによって十分に制御されない高コレステロール血症および他のアテローム生成リポタンパク質レベル上昇を有する高心血管リスク患者にPCSK9阻害剤が特定の投薬量および頻度に従って投与され、前記PCSK9阻害剤が該患者の治療スタチンレジメンへの追加として投与される方法を含む。例えば、特定の実施形態によると、高心血管リスク患者が、例えばアトルバスタチン40〜80mgを含む安定した1日最大耐用量治療スタチンレジメンを受けているにもかかわらず十分に制御されない高コレステロール血症および他のアテローム生成リポタンパク質レベル上昇を有する場合、前記高心血管リスク患者は、彼または彼女の安定した毎日の治療スタチンレジメンを継続しながら、PCSK9阻害剤を特定の用量および投薬間隔で投与される。
の追加治療として投与される。例えば、特定の投薬頻度および量で投与されるPCSK9阻害剤を含む治療レジメンを開始した後、患者に投与または処方されるスタチンに1日用量は、患者の治療上の必要に応じて、その高心血管リスク患者がPCSK9阻害剤治療レジメンを開始する前に摂取していた毎日のスタチン用量と比較して(a)同じままであることもあり、(b)増加するまたは(c)減少する(例えば、アップタイトレーションするまたはダウンタイトレーションする)こともある。
本発明の方法は、LDL−C、アポB100、非HDL−C、総コレステロール、VLDL−C、トリグリセリド、Lp(a)およびレムナントコレステロールからなる群から選択される1つまたはそれ以上の脂質成分の血清レベルの低減をもたらすことになる。例えば、本発明の特定の態様によると、安定した1日最大耐用量治療スタチンレジメンによって十分に制御されない高コレステロール血症または他のアテローム生成リポタンパク質レベル上昇を有する高心血管リスク患者へのPCSK9阻害剤を含む医薬組成物の投与(例えば、高心血管リスク患者の最大耐用量スタチン治療に加えてPCSK9阻害剤の投与)は、ベースラインからの少なくとも約25%、30%、40%、50%、60%もしくはそれ以上の血清低密度リポタンパクコレステロール(LDL−C)の平均低減率;ベースラインからの少なくとも約25%、30%、40%、50%、60%もしくはそれ以上のアポB100の平均低減率;ベースラインからの少なくとも約25%、30%、40%、50%、60%もしくはそれ以上の非HDL−Cの平均低減率;ベースラインからの少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%もしくはそれ以上の総コレステロールの平均低減率;ベースラインからの少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%もしくはそれ以上のVLDL−Cの平均低減率;ベースラインから少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%もしくはそれ以上のトリグリセリドの平均低減率;および/またはベースラインから少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%もしくはそれ以上のLp(a)の平均低減率をもたらすことになる。
本発明の方法は、PCSK9阻害剤を含む治療用組成物を高心血管リスク患者に投与することを含む。本明細書において用いる場合、「PCSK9阻害剤」は、ヒトPCSK9と結合し、またはヒトPCSK9と相互作用し、かつインビボまたはインビトロでPCSK9の正常な生物学的機能を阻害する、任意の薬剤である。PCSK9阻害剤のカテゴリーの非限定的な例としては、小分子PCSK9アンタゴニスト、ペプチドベースのPCSK9アンタゴニスト(例えば、「ペプチボディ」分子)、およびヒトPCSK9に特異的に結合する抗体または抗体の抗原結合断片が挙げられる。
性決定領域(CDR)と称する超可変性の領域にさらに細分することができる。各VHおよびVLは、3つのCDRおよび4つのFRからなり、これらは、アミノ末端からカルボキシ末端へ次の順序で配置されている:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。本発明の種々の実施形態において、抗PCSK9抗体(またはその抗原結合部分)のFRは、ヒト生殖系列配列と同一であることもあり、または天然にもしくは人工的に修飾されていることもある。アミノ酸コンセンサス配列は、2つまたはそれ以上のCDRの並行分析に基づいて定義することができる。
Lが挙げられる。上に列挙した例示的高次構造のいずれかを含む、可変および定常ドメインのいずれの高次構造においても、可変および定常ドメインは、互いに直接連結されていることもあり、または完全もしくは部分ヒンジもしくはリンカー領域によって連結されていることもある。ヒンジ領域は、少なくとも2つ(例えば、5、10、15、20、40、60またはそれ以上)のアミノ酸からなることがあり、その結果、単一ポリペプチド分子内の隣接した可変および/または定常ドメイン間の柔軟なまたはやや柔軟な連鎖となる。さらに、本発明の抗体の抗原結合断片は、互いにおよび/または1つもしくはそれ以上の単量体VHもしくはVLドメインと非共有結合で(例えば、ジスルフィド結合によって)会合している、上に列挙したいずれかの可変および定常ドメイン高次構造のホモ二量体またはヘテロ二量体(または他の多量体)を含むことがある。
って一緒に保持されている、おおよそ150〜160kDaの安定した4鎖構築物を含む。第2の形態の場合、二量体は鎖間ジスルフィド結合によって連結されておらず、約75〜80kDaの分子が、共有結合でカップリングされた軽鎖と重鎖で形成され、構成される(ハーフ抗体(half-antibody))。これらの形態は、アフィニティー精製後でさえ分
離することが極めて難しかった。
を容易に生産することができる。特定の実施形態では、VHおよび/またVLドメイン内のフレームワークおよび/またはCDR残基の全てが、抗体が由来する元の生殖細胞系配列中で見つけられる残基に復帰突然変異される。他の実施形態では、特定の残基のみ、例えば、FR1の最初の8アミノ酸中もしくはFR4の最後の8アミノ酸中で見つけられる突然変異残基のみ、またはCDR1、CDR2もしくはCDR3内で見つけられる突然変異残基のみが、元の生殖細胞系配列に復帰突然変異される。他の実施形態では、フレームワークおよび/またはCDR残基の1つまたはそれ以上が、異なる生殖細胞系配列(すなわち、抗体が当初由来した生殖細胞系配列とは異なる生殖細胞系配列)の対応する残基に突然変異される。さらに、本発明の抗体は、フレームワークおよび/またはCDR領域内に、2つまたはそれ以上の生殖細胞系突然変異の何らかの組合せ、例えば、特定の個々の残基は特定の生殖細胞系配列の対応する残基に突然変異されるが、元の生殖細胞系配列とは異なる特定の他の残基は維持されるか、または異なる生殖細胞系配列の対応する残基に突然変異される組合せを含有することもある。1つまたはそれ以上の生殖細胞系突然変異を含有する抗体および抗原結合断片は、ひとたび得てしまえば、1つまたはそれ以上の所望の特性、例えば、結合特異性改善、結合親和性増加、(場合によって)アンタゴニストまたはアゴニストとしての生物学的特性改善または向上、免疫原性低減などについて容易に試験することができる。この一般的手法で得られる抗体および抗原結合断片の使用は、本発明に包含される。
のほうが高い親和性でPCSK9に結合する抗体およびそれらの抗原結合断片を含む。特定の実施形態において、本発明の抗体およびそれらの抗原結合断片は、酸性pHでより中性pHでのほうが少なくとも3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100倍またはそれ以上高い親和性でPCSK9に結合する。
トランスジェニックマウスでヒト抗体を産生する方法は当技術分野において公知である。任意のそのような公知の方法を本発明に関連して使用して、ヒトPCSK9と特異的に結合するヒト抗体を作製することができる。
、抗体を発現しているマウスからリンパ細胞(例えば、B細胞)を回収する。リンパ細胞を骨髄腫細胞株と融合させて不死ハイブリドーマ細胞株を製造することができ、そのようなハイブリドーマ細胞株をスクリーニングし、選択して、対象とする抗原に特異的な抗体を生産するハイブリドーマ細胞株を同定する。重鎖および軽鎖の可変領域をコードするDNAを単離し、重鎖および軽鎖の望ましいアイソタイプ定常領域に連結させることができる。そのような抗体タンパク質を、CHO細胞などの細胞において生産することができる。あるいは、抗原特異的キメラ抗体をコードするDNA、または重鎖および軽鎖の可変ドメインを、抗原特異的リンパ球から直接単離することができる。
CDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3)を含む。あるいは、本発明の特定の実施形態において、抗体または抗原結合タンパク質は、配列番号37/41、45/49、53/57、61/65、69/73、77/81、85/89、93/97、101/105、109/113、117/121、125/129、133/137、141/145、149/153、157/161、165/169、173/177、181/185および189/193からなる群から選択される重鎖可変領域アミノ酸配列と軽鎖可変領域アミノ酸配列の対(HCVR/LCVR)からの6つのCDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3)を含む。
本発明は、医薬組成物に含有されているPCSK9阻害剤を高心血管リスク患者に投与することを含む方法を含む。本発明の医薬組成物は、好適な担体、賦形剤、および好適な転移、送達、耐性などをもたらす他の薬剤を用いて製剤化される。多くの適切な製剤を全ての薬剤師に公知の処方集:Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、PAにおいて見つけることができる。これらの製剤としては、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、ワックス、油、脂質、(カチオン性またはアニオン性)脂質含有ビヒクル(例えば、LIPOFECTIN(商標))、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水中油型および油中水型エマルジョン、エマルジョンカルボワックス(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、ならびにカルボワックスを含有する半固体混合物が挙げられる。Powellら、「Compendium of excipients for parenteral formulations」、PDA(1998)J Pharm Sci Technol 52:238〜311も参照されたい。
きる。加えて、皮下送達に関しては、ペン型送達デバイスを本発明の医薬組成物の送達に容易に利用される。そのようなペン型送達デバイスは、再使用可能であることもあり、または使い捨てであることもある。再使用可能なペン型送達デバイスには、医薬組成物を収容している交換可能カートリッジが一般に利用される。カートリッジ内の医薬組成物の全てを投与してしまい、カートリッジが空になったら、空のカートリッジを容易に廃棄することができ、医薬組成物を収容している新たなカートリッジと容易に交換することができる。その後、そのペン型送達デバイスを再使用することができる。使い捨てペン型送達デバイスには、交換可能カートリッジがない。もっと正確に言えば、使い捨てペン型送達デバイスには医薬組成物が予め充填されており、該医薬組成物は該デバイスの貯液部に保持されている。貯蔵部の医薬組成物が空になったら、デバイス全体を廃棄する。
Labs、Abbott Park IL)が挙げられるが、これらに限定されない。
よって、製造することができる。注射剤のための水性媒体としては、例えば、生理食塩水、グルコースおよび他の補助剤を含有する等張溶液などがあり、これらは、適切な可溶化剤、例えばアルコール(例えば、エタノール)、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤[例えば、ポリソルベート80、HCO−50(硬化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50mol)付加体)]などと併用されることもある。油性媒体としては、例えば、ゴマ油、ダイズ油が利用され、これらは、可溶化剤、例えば安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用されることもある。好ましくは、このようにして製造された注射剤は、適切なアンプルに充填される。
本発明の方法に従って被験者に投与されるPCSK9阻害剤(例えば、抗PCSK9抗体)の量は、一般に治療有効量である。本明細書において用いる場合、「治療有効量」という句は、LDL−C、アポB100、非HDL−C、総コレステロール、VLDL−C、トリグリセリド、Lp(a)およびレムナントコレステロールからなる群から選択される1つまたはそれ以上のパラメータの(ベースラインから少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%またはそれ以上の)検出可能な改善をもたらすPCSK9阻害剤の量を意味する。
本明細書中の他の箇所で説明するように、本発明の方法は、高心血管リスク患者に、該患者の以前に処方された安定した1日最大耐用量治療スタチンレジメンと併用してPCSK9阻害剤を投与することを含むことがある。本発明の特定の実施形態によると、スタチンに加えてさらなる治療薬がPCSK9阻害剤と併用して高心血管リスク患者に投与され
ることもある。そのようなさらなる治療薬の例としては、例えば、(1)コレステロール取り込みおよび/もしくは胆汁酸再吸収を阻害する薬剤(例えば、エゼチミブ);(2)リポタンパク質異化を増加させる薬剤(例えば、ナイアシン);ならびに/または(3)コレステロール削減に関与するLXR転写因子の活性化剤、例えば22−ヒドロキシコレステロールが挙げられる。
本発明の特定の実施形態によると、PCSK9阻害剤(すなわち、PCSK9阻害剤を含む医薬組成物)の複数の用量を被定義時間にわたって(例えば、毎日の治療スタチンレジメンに加えて)高心血管リスク被験者に投与することができる。本発明のこの態様による方法は、PCSK9阻害剤の複数の用量を被験者に逐次的に投与することを含む。本明細書において用いる場合、「逐次的に投与すること」は、PCSK9阻害剤の各用量を被験者に異なる時点で、例えば、所定の間隔(例えば、数時間、数日、数週間または数カ月)隔てた異なる日に投与することを意味する。本発明は、高心血管リスク患者のPCSK阻害剤の単一初回用量、その後、PCSK9阻害剤の1用量またはそれ以上の第2の用量、場合によりその後、PCSK9阻害剤の1用量またはそれ以上の第3の用量を逐次的に投与することを含む方法を含む。
、6、8週間またはそれ以上後に患者に投与されることがある。同様に、複数の第3の用量を含む実施形態において、各々の第3の用量は、他の第3の用量と同じ頻度で投与されることがある。例えば、各々の第3の用量は、直前の用量の1〜2、4、6、8週間またはそれ以上後に患者に投与されることがある。あるいは、第2および/または第3の用量が患者に投与される頻度は、処置レジメンの過程を通して様々であることができる。投与頻度は、臨床検査に従って個々の患者の必要に応じて医師によって処置の過程で調整されることもある。
ヒト抗PCSK9抗体を米国特許8,062,640号に記載されているように産生させた。以下の実施例で使用する例示的PCSK9阻害剤は、「アリロクマブ」としても公知の「mAb316P」と称するヒト抗PCSK9抗体である。mAb316Pは、次のアミノ酸配列特性を有する:配列番号1を含む重鎖可変領域(HCVR);配列番号6を含む軽鎖可変領域(LCVR);配列番号2を含む重鎖相補性決定領域1(HCDR1);配列番号3を含むHCDR2;配列番号4を含むHCDR3;配列番号7を含む軽鎖相補性決定領域1(LCDR1);配列番号8を含むLCDR2;および配列番号10を含むLCDR3。
序論
スタチンは、1987年以来、臨床使用が承認されている。その時以来、スタチン処置のバックグラウンドで心血管アウトカムを改善することが証明された脂質修飾治療はない。しかし、ナイアシン、フェノフィブラート、エゼチミブ、ピオグリタゾンおよびダルセトラピブを含む、今日までに試験された処置は、LDL−Cに対してあまり大きな効果がない。PCSK9の阻害剤は、LDL−Cおよび他のアテローム生成リポタンパク質の実質的なさらなる低減が、スタチンによってもたらされるものを超える心血管アウトカムのさらなる改善をもたらすことができるかどうかを試すきっかけになる。
本研究は、最近急性冠症候群(ACS)を発症した患者おおよそ18,000名での医師主導型、国際的、多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照研究である。主要目的は、指標ACS事象の1〜12カ月後に開始したアリロクマブ(隔週、皮下注射により75〜150mg)が、冠動脈心疾患死、主要非致死性冠動脈事象(急性心筋梗塞、もしくは不安定性狭心症による入院)、または虚血性脳卒中の複合アウトカムの発生率を低減させたかどうかを評価することである。
主要組み入れ基準は、次の通りであった:1)推定もしくは立証された閉塞性冠疾患または次のうちの少なくとも1つ:a)心臓バイオマーカー上昇、またはb)虚血もしくは梗塞と一致する安静時ECG変化に加えて、局所壁運動もしくは灌流異常からの閉塞性冠疾患のさらなる証拠、血管造影法による≧70%心外膜冠動脈狭窄、もしくは冠動脈血行再建術の必要性に起因する、予定外の入院から72時間以内の安静時にもしくは最小労作で起こる不安定なパターンを有する心筋虚血症状によって定義される、ACSによる入院;ならびに2)次のうちの少なくとも1つ:a)LDL−C≧70mg/dl、b)非HDL−C≧100mg/dl、またはc)アポリポタンパク質B≧80mg/dlによって定義される、アトルバスタチン40〜80mgもしくはロスバスタチン20〜40mg/日またはこれらの薬剤の一方の最大耐用量による制御不十分な脂質レベル。
再発ACS事象;9)無作為化訪問前2週間以内に行われたまたは無作為化後に計画されている冠動脈血行再建術;10)肝トランスアミナーゼ>正常上限値の3倍;現在BまたはC型肝炎に罹患している臨床検査値;クレアチンキナーゼ>正常上限値の3倍;推定糸状態濾過量<30ml/分/1.73m2;尿または血清妊娠検査陽性;11)適格性確認検査室訪問から1カ月以内に開始した処置に伴う甲状腺機能低下症の最近の診断;12)適切に処置された基底細胞皮膚癌、扁平細胞皮膚癌、または子宮頸部上皮内癌を除く、過去5年以内の癌;13)何らかのPCSK9抗体での以前の処置;14)導入期間中の、フェノフィブラートまたはフェノフィブリン酸以外の、フィブラートの使用;および15)インフォームドコンセントを提供することまたは研究要件を順守することができない;妊娠、授乳、または妊娠の可能性があるが有効な避妊法を用いない。
Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Practice Guidelines.Circulation 2013を参照されたい)。アテローム生成リポタンパク質の不十分な制御を、次のうちの少なくとも1つによって定義した:LDL−C≧70mg/dL(1.81mmol/L)、非高密度リポタンパク質コレステロール(非HDL−C)≧100mg/dL(2.59mmol/L)、またはアポリポタンパク質B≧80mg/dL(0.8mmol/L)。
図1は、この試験の肝要な相を図式化したものである。患者は、継続期間2〜16週間の導入期間に入った。この期間中に、研究用自己注射器デバイスを使用する自己注射法を患者に指導した。アトルバスタチン(40〜80mg/日)またはロスバスタチン(20〜40mg/日)を開始し、および/または必要に応じて調整して最大耐用量を決定した。他の非除外脂質修飾治療を導入期間中に治験責任医師の裁量で開始してもよかった。少なくとも2週間の定常状態脂質修飾治療後、空腹時血液サンプルを採取して、脂質認定基準の少なくとも1つを満たすかどうかを判定した。
為化時および無作為化後の複数の時点で、患者を研究エンドポイントおよび有害事象について評価し、リポタンパク質およびアポリポタンパク質を含む測定;肝、筋肉および腎機能検査を含む血液学および化学研究;ヘモグロビンA1c;高感度C反応性タンパク質(hsCRP)、抗アリロクマブ抗体;ならびに妊娠の可能性がある女性における妊娠検査のために血液および尿サンプルを採集した。LDL−Cは、値<15mg/dlを直接測定によって確認したこと(およびTG値が400mg/dL(4.52mmol/L)を超える場合)を除いて、フリードワルド式を用いて算定した。PCSK9レベル、リポタンパク質細画分、ならびに炎症および心血管リスクの他の媒介因子の測定のためのサンプルも採取した。心電図を無作為化時および研究完了時に記録した。無作為化処置期間中、リポタンパク質レベルを患者および治験責任医師に対しては知らせないままとし、処置する医師に通常の臨床リポタンパク質試験を控えるように指示した。
主要効能尺度は、冠動脈心疾患、主要非致死性冠動脈事象(心筋梗塞、もしくは不安定狭心症による入院)または虚血性脳卒中の初回発生までの時間である。
J 2012;33(20):2551〜2567頁を参照されたい)。無症候性心筋梗塞は、主要エンドポイントの一部とみなされない。
プラセボ群における主要エンドポイント事象についての予測カプラン・マイヤー発生率は、12カ月で3.8%、24カ月で6.4%、36カ月で9.0%。および48カ月で11.4%である。他の仮定としては、24カ月中に追跡不能になる1%の患者、ベースラインで90mg/dlのLDL−C中央値、およびアリロクマブ処置でのベースラインからのLDL−Cの50%低減、その結果としての15%ハザード低減が挙げられる。これらの仮定に基づき、また2つの中間解析を説明するために片側2.49%有意性レベルでログランク検定を設定して、この試験は1613の主要エンドポイント事象に関して90%検出力を有することになり、これは、40カ月にわたっての無作為化患者18,000名のサンプルサイズに相当する。安全性および効能の詳細な評価のために十分なアリロクマブ曝露時間を可能にするために、この試験は、1613の主要エンドポイント事象が起こって、全ての評価可能な生存患者を少なくとも2年間、追跡調査し終えるまで、継続することになる。主要アウトカムについては、性別、年齢、人種、地理的領域、およびACS事象から無作為化までの時間に従ってカテゴリー分けしたサブグループにわたって処置効果を調査することにする。事象までの時間という副次的アウトカムは、主要エンドポイントと同じ方法論を用いて解析することにする。主な副次的アウトカムについては、全第1種過誤を逐次推測アプローチの使用により制御することにする。比例ハザード回帰モデルを、LDL−Cおよび他の脂質パラメータの変化またはそのようなパラメータの絶対値を含むように構築することにする。カテゴリー変数および連続変数によって定義される部分母集団の解析は、事前に設定された統計解析計画に従って行うことにする。安全性の結果は、形式推論検定を用いずに処置群ごとに表すことにする。
序論
LDL−C目標値に達していない心血管リスクが高い患者におけるアリロクマブの長期安全性および耐容性を評価するためにこの研究に着手した。最適化されたLMTを受けていてLDL−C目標値に達していないこの集団は、まだ対処されていない医療ニーズが十分に確認されている最高リスク群の代表であり、彼らのLDL−C修飾治療にアリロクマブを加えることによってそのような医療ニーズに対処することができる。2セットの結果を報告する:(1)全ての患者が処置1年に達し、患者のおおよそ25パーセントが処置18カ月に達したとき、事前に設定された中間解析を行った;また(2)全ての患者がこ
の研究を完了したとき、安全性集団の最終解析。
主要研究目的は、高コレステロール血症が脂質修飾治療で十分に制御されていない高心血管リスク患者におけるアリロクマブの長期安全性および耐容性を評価することであった。
これは、他の脂質修飾治療と共にまたはなしでスタチンの登録された最大投与可能1日用量で十分に制御されていない高コレステロール血症を有する高心血管リスク患者におけるアリロクマブの長期安全性および耐容性を評価する、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、非釣り合い型(2:1 アリロクマブ:プラセボ)、並行群間、多施設、多国籍研究であった。図2を参照されたい。heFH集団、MIまた虚血性脳卒中の既往歴、スタチン処置および地理的領域に従って患者を階層化した。心血管リスクが高い患者は、1)heFHを有すること(CHD/CHDリスク相当状態(CHD risk equivalent)を有することもあり、有さないこともある)、または2)heFHの過去の診断はないが、高コレステロール血症を既存のCHDまたはCHDリスク相当状態と共に有することと定義した。患者は、高コレステロール血症を有さなければならず、かつ、スクリーニング前に少なくとも4週間(フェノフィブレートについては6週間)の安定した用量での他の脂質修飾治療と共にまたはなしでスタチンの登録された最大投与可能1日用量での治療にもかかわらず十分に制御されていてはならなかった(すなわち、LDL−C≧70mg/dL[以下1.81mmol/L]でなければならなかった)。
アリロクマブに無作為化された患者は、隔週、150mgを受けた。この研究は、次の3期間から成った:スクリーニング、二重盲検処置および追跡調査。スクリーニング期間は、継続期間が3週間以下であった。二重盲検処置期間は、18カ月の無作為化、二重盲検研究処置期間であった。追跡調査期間は、二重盲検処置期間終了後8週間の期間であった。
この研究は、患者おおよそ2100名を次の群に無作為化比2:1で無作為化するように設計した:アリロクマブ:患者おおよそ1400名;プラセボ:患者おおよそ700名。
のスタチンの安定した最大投与可能1日用量**で十分に制御されていない、高コレステロール血症および既存のCHDリスクまたはCHDリスク相当状態(定義については本明細書中/下文を参照されたい)を有する患者。
に従って、確定家族性高コレステロール血症を次のように定義した:16歳未満の児童における総C>6.7mmol/l(260mg/dL)、もしくは4.0mmol/l(155mg/dL)より高いLDLコレステロール、または成人における総C>7.5mmol/l(290mg/dL)、もしくは4.9mmol/l(190mg/dL)より高いLDLコレステロール(処理前のレベルまたは処置中の最高レベルいずれか)に加えて、患者もしくは一親等血縁者(親、兄弟姉妹、子)もしくは二親等血縁者(祖父母、叔父、叔母)における腱黄色腫、またはLDL受容体突然変異もしくは家族性アポB−100欠損のDNAに基づく証拠。
に従って、可能性のある家族性高コレステロール血症を次のように定義した:16歳未満の児童における総C>6.7mmol/l(260mg/dL)、もしくは4.0mmol/l(155mg/dL)より高いLDLコレステロール、または成人における総C>7.5mmol/l(290mg/dL)、もしくは4.9mmol/l(190mg/dL)より高いLDLコレステロール(処理前のレベルまたは処置中の最高レベルいずれか)、ならびに次のうちの少なくとも1つ:二親等血縁者における年齢50歳未満もしくは一親等血縁者における年齢60歳未満の心筋梗塞の家族歴、または成人一もしくは二親等血縁者における>7.5mmol/l(290mg/dL)もしくは年齢16歳未満の子もしくは兄弟姉妹における>6.7mmol/l(260mg/dL)のコレステロール上昇の家族歴。
く、連続ホルモン補充治療の使用;23)適切に処置された基底細胞皮膚癌、扁平細胞皮膚癌、または子宮頸部上皮内癌を除く、過去5年以内の癌歴;24)HIV陽性の既往歴;25)次のような条件/状況:a)治験責任医師または任意の治験補助医師の判断で、研究の安全な完了を妨げるもしくはエンドポイントの評価を制約することになる、スクリーニング時に特定される何らかの臨床的に有意な異常、例えば重大な全身性疾患、余命の短い患者、b)治験責任医師または任意の治験補助医師によって何らかの理由でこの研究に不適切とみなされる患者、例えば以下の患者:i)予定された訪問などの特定のプロトコール要件を満たすことができないと判断される患者;ii)患者または治験責任医師により長期間の注射を投与または耐容することができないと判断される患者;iii)治験責任医師もしくは任意の治験補助医師、薬剤師、研究コーディネーター、プロトコールの実施に直接関与する他の研究スタッフもしくは親族など;iv)治験責任医師が研究継続期間に患者の参加を限定もしくは制限することになると感じる、実際のまたは予測される何らかの他の条件(例えば、地理的、社会的条件)の存在;26)他の治験で以前にアリロクマブまたは何らかの他の抗PCSK9モノクローナル抗体の少なくとも1用量で処置された患者;27)1カ月以内または5半減期以内、いずれか長いほう、にアリロクマブトレーニング用プラセボキット以外の何らかの被験薬を摂取した患者;28)スクリーニング期間中に同意を撤回する患者(継続する意思がないまたは再訪問しない患者);29)(無作為化検査を含まない)スクリーニング期間中の検査所見:A)B型肝炎表面抗原および/またはC型肝炎抗体についての検査陽性(反射試験によって確認);B)トリグリセリド(TG)>400mg/dL(>4.52mmol/L)(1回の再検査を許可する);C)妊娠の可能性がある女性における血清または尿妊娠検査陽性;D)4変数MDRD方程式に従ってeGFR<30mL/分/1.73m2;E)HbA1c>10%;F)ALTまたはAST>3×ULN(1回の再検査を許可する);G)CPK>3×ULN(1回の再検査を許可する)。
無菌アリロクマブ製剤(IMP)を150mg/mLの濃度で体積1mLとして供給した。二重盲検処置期間中、アリロクマブまたはプラセボを隔週、1mL注射として皮下投与し、この投与を第0週に開始して、二重盲検処置期間終了2週間前である最終注射(すなわち第76週)まで継続した。
であったので、非治験薬とみなした:スタチン(ロスバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン);コレステロール吸収阻害剤(エゼチミブ);胆汁酸結合封鎖剤(例えば、コレスチラミン、コレスチポール、コレセベラム);ニコチン酸;フェノフィブラート;オメガ−3脂肪酸(≧1000mg/日)。
安全性は、次のパラメータによって評価した:有害事象(判定された心血管事象を含む)記録;標準検査室検査(血液学、化学および尿検査);肝パネル(ALT、AST、アルカリホスファターゼ[ALP]、および総ビリルビン);クレアチンホスホキナーゼ(CPK);C型肝炎抗体(陽性の場合には、反射試験を行った);ビタミンE(アルファ−トコフェロール)および他の脂溶性ビタミン;コルチゾール(と共に必要に応じて反射性ACTHレベル、そしてその後、必要に応じてACTH刺激試験);性腺ホルモン評価;心電図(ECG);バイタルサイン(収縮期および拡張期血圧ならびに心拍数);健康診断(神経学的診察を含む);色覚検査(必要に応じて、より総合的な眼科検査のための
スクリーニング検査として)。安全性パラメータ(有害事象[判定された心血管事象を含む]、検査データ、バイタルサイン、およびECG)をこの研究を通して評価した。
集団特性の要約
全ての患者が処置1年に達し、患者のおおよそ25パーセントが処置18カ月に達したとき、事前に設定された中間解析を行った。患者合計2341名をこの研究において無作為化した(プラセボ群に788名に対してアリロクマブに1553名)。この事前に設定された解析での患者集団のベースライン特性を表2に示す。患者の17.7%は、既存のCHDまたはCHDリスク相当状態があるまたはないheFHを有した。患者の82.3%は、既存のCHDまたはCHDリスク相当状態がある非家族性高コレステロール血症で登録した。無作為化集団の大多数(90.6%)は、冠動脈心疾患(CHD)またはCHDリスク相当状態の履歴を有した。CHDは、患者の68.6%について報告された(表2を参照されたい)。
データを用いて評価した。主要効能エンドポイント(第24週におけるもの)および肝要な副次的効能エンドポイント(第52週まで評価したもの)についての最終結果をこの第1段階解析で得た。
治療企図(ITT)解析は、第52週までオントリートメントおよびオフトリートメントで収集した全てのLDL−C値を含んだ。第24週におけるLS平均推定値を用い、ITT集団でのMMRMモデルに基づいて、主要エンドポイント(ベースラインから第24週までの算定LDL−Cの変化率)を解析した。アリロクマブ群の患者146名(9.5%)およびプラセボ群の患者72名(9.2%)は、第24週における算定LDL−C値を有さなかった。これらの欠測値をMMRMモデルによって考慮した。
事前に設定された解析の時点で、治療創発的有害事象(TEAE)、重篤TEAE、および処置中止につながるTEAEは、治療群間で同様であった。
全身性障害および投与部位の状態」(プラセボ群での17%に対してアリロクマブでは15.4%)、「傷害、中毒および処置合併症」(プラセボ群での14.2%に対してアリロクマブでは13.4%)、ならびに「呼吸器、胸部および縦隔障害」(プラセボ群での10.9%に対してアリロクマブでは11.0%)であった。
明細書に記載するものに加えて、本発明の様々な修飾形態が、上述の説明および添付の図面から当業者に明らかになるだろう。そのような修飾形態は、添付の特許請求の範囲の範囲に入ることが意図される。
本明細書に記載するODYSSEY LONG TERM研究は、PCSK9阻害剤の最大かつ最長の二重盲検研究である。本解析は、アリロクマブ150mg Q2Wに曝露された二重盲検患者の約1900患者・年を規定する。最大投与可能スタチン±他の脂質低下治療を受けている高CVリスク患者において次のことが観察された:1)自己投与アリロクマブ処置は、第24週においてプラセボに対して有意に大きいLDL−C低減を生じさせた(LS平均差−61.9%);2)アリロクマブ患者の79%は、リスクに関係なく第24週に<0.81mmol/L(70mg/dL)のLDL−C目標値を達成した;高リスクおよび超高リスク患者の81%が彼らのLDL−C目標値(それぞれ、<100mg/dLおよび<70mg/dL)を達成した;3)アリロクマブでの第52週における平均達成LDL−Cレベル 1.4mmol/L(53.1mg/dL);4)事後解析でアリロクマブアームにおいて観察されたプラセボと比べて低い主要CV事象判定率;5)TEAEは、アリロクマブおよびプラセボアームにおいて同様の頻度で起こった;6)治療創発的心血管(CV)事象は、アリロクマブおよびプラセボ患者のそれぞれ4.0%および4.4%において陽性判定された;ならびに7)事後解析でプラセボと比べて低い主要CV事象判定率がアリロクマブアームにおいて観察された(HR=0.46、P<0.01)。
主要および副次的効能エンドポイントの全ては、事前に設定された中間解析の時点で完了していたが、この研究は、完全な安全性集団の解析を可能ならしめる完了まで継続した。
平均研究対象薬物曝露は、安全性解析に組み入れた患者2338名(アリロクマブ群における1550名およびプラセボ群における788名)において70週間であり、2061患者・年を隔週のアリロクマブ150mgに曝露した。研究処置の全平均順守率(すなわち、患者が計画された投薬スケジュールに従って注射を行った日数の百分率)は、アリロクマブ群およびプラセボ群においてそれぞれ98.0%および97.6%であった。安全性集団における追跡調査の(処置順守率にかかわらず)平均継続期間は、アリロクマブについては80.9週間、プラセボについては80.1週間であった。研究処置中止率は、アリロクマブについては28%、プラセボについては25%であった。
両方の処置群において患者の同様の百分率(プラセボで83%に対してアリロクマブで81%)が治療創発的有害事象を経験した(表6)。研究対象薬物中止につながる治療創発的有害事象は、アリロクマブ患者の7.2%およびプラセボ患者の5.8%において起こった。具体的な有害事象に関しては、アリロクマブ群とプラセボ群間に注射部位反応率(それぞれ5.9%対4.2%)、筋肉痛(それぞれ5.4%対2.9%)、認知神経科学的事象(それぞれ1.2%対0.5%)および眼科的事象(それぞれ2.9%対1.9%)の差があった(表6)。
陽性判定された心血管治療創発的有害事象がアリロクマブ患者およびプラセボ患者のそれぞれ4.6%および5.1%で起こった(表6)。進行中のODYSSEY OUTCOMES試験における事前に設定された主要エンドポイント(冠動脈心疾患死、心筋梗塞、虚血性脳卒中、または入院を必要とする不安定狭心症)を用いる事後解析では、アリロクマブ群(患者1550名のうちの27名、1.7%)においてプラセボ群(患者788名のうちの26名、3.3%)と比較して低い主要有害心臓事象判定率が観察された(ハザード比0.52;95%CI、0.31〜0.90;名目P<0.01)(表3)。累積発生率曲線は、時間と共に漸進的に分岐した(図6)。判定された全ての心血管事象を(入院を必要とするうっ血性心不全、および虚血による冠動脈血行再建を加えて)含めた場合、群間差は有意でなかった(表6)。
第24週において、ベースラインからの平均算定LDLコレステロール変化率のアリロクマブ群とプラセボ群間の差は、−62%(P<0.0001)であった;処置効果は、78週間にわたって一貫したままであり、アリロクマブについてはプラセボに対してベースラインからのLDL−Cの56の低減があった(p<0.001)。アリロクマブ群とプラセボ群間に注射部位反応率(それぞれ5.9%対4.2%)、筋肉痛(それぞれ5.
4%対2.9%)、認知神経科学的事象(それぞれ1.2%対0.5%)および眼科的事象(それぞれ2.9%対1.9%)の差があった。冠動脈心疾患死、心筋梗塞、虚血性脳卒中または入院を必要とする不安定狭心症の複合エンドポイントを用いる安全性事後解析では、心血管事象の有意な低減がアリロクマブに関して見られ、患者2341名での80週間の追跡調査にわたって主要心血管事象リスクが48%低減された。
ODYSSEY試験は、まだ対処されていない大きな需要がある1つまたはそれ以上の患者群において皮下アリロクマブの可能性を評価するものであった。1つのそのような集団は、遺伝性高コレステロールである、ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症(HeFH)を有する患者であり;ODYSSEY、FH I、FH IIおよびHIGH FHは、この群の患者のみに焦点を合わせた。HeFHは、人をLDL−Cおよび早期重度心血管疾患(CVD)にかかりやすくする遺伝性脂質代謝障害である。第2の群は、高いまたは非常に高い心血管(CV)リスクを有する患者であり;ODYSSEY COMBO I、COMBO II、OPTIONS I、OPTIONS IIおよびLONG
TERMは、これらの患者に焦点を合わせた。第3の集団は、スタチン不耐性歴を有する患者であり;ODYSSEY ALTERNATIVEは、スタチンに不耐性である病歴を有し、かつCVリスクが中等度〜非常に高い患者を含んだ。
全ての第3相研究において、無作為化時から追跡調査訪問までに起こった疑わしいCV事象および全ての死亡を臨床事象判定委員会が判定した。その判定された事象の解析を、5つのプラセボ対照試験からのプールデータを用いて行った。プールプラセボ対照研究からのデータのこの解析をMACE事象(CHD死、非致死性MI、致死性または非致死性虚血性脳卒中、および入院を必要とする不安定狭心症)に主として焦点を合わせて下に提示する。MACE複合エンドポイントは、心血管アウトカムを評価するために最も適切で厳密なものと一般に考えら、OUTCOME研究(実施例2)の主要エンドポイントである。
全体として、第3相研究のプラセボ対照プールでは、プラセボと比較するとアリロクマブアームにおいてMACE事象の減少傾向が観察され、HRは0.65(95%CI:0.40〜1.08)であり、特に最大(n=2338)および最長(18カ月まで)単一研究LONG TERMではHRは0.46(95%CI:0.26〜0.82)であった。判定され、確証されたCV事象の大多数は血行再建であったが、MACEエンドポイントに含まれていない。血行再建の臨床基準は世界各地で異なり、これらのケースの多くは、臨床研究に関連して以前の疾患へのより大きな関心を反映している可能性が高い。
Claims (44)
- 急性冠症候群(ACS)事象後12カ月以内の高心血管リスク患者の心血管リスクを低減させる方法であって、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤の1用量またはそれ以上を、該PCSK9阻害剤の不在下で最大耐用量スタチン治療での定常状態処置にもかかわらずアテローム生成リポタンパク質の不十分な制御を示す該患者に投与することを含む前記方法。
- 心血管リスクを低減させることは、冠動脈心疾患死、急性心筋梗塞、不安定狭心症による入院、または虚血性脳卒中の初回発生までの時間を短縮することを意味する、請求項1に記載の方法。
- ACS事象は:
1)推定されるまたは立証された閉塞性冠疾患に起因する、予定外の入院から72時間以内の安静時または最小労作時に起こる不安定な心筋虚血症状;および
2)次のうちの少なくとも1つ:
a)急性心筋梗塞と一致する心臓バイオマーカー上昇、または
b)虚血もしくは梗塞と一致する安静時ECG変化と共に局所灌流画像法からの閉塞性冠疾患のさらなる証拠もしくは壁運動異常、血管造影法による心外膜冠動脈狭窄≧70%、もしくは該事象に関係する冠動脈血行再建の必要性
によって定義される、請求項1に記載の方法。 - PCSK9阻害剤は、PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1/6および11/15からなる群から選択される重鎖可変領域/軽鎖可変領域(HCVR/LCVR)アミノ酸配列対の重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)を含む、請求項4に記載の方法。
- 抗体またはその抗原結合断片は、配列番号12、13、14、16、17および18を有する重鎖および軽鎖CDRアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の方法。
- 抗体またはその抗原結合断片は、配列番号11のアミノ酸配列を有するHCVRおよび配列番号15のアミノ酸配列を有するLCVRを含む、請求項6に記載の方法。
- 抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2、3、4、7、8および10を有する重鎖および軽鎖CDRアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の方法。
- 抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を有するLCVRを含む、請求項8に記載の方法。
- 抗体またはその抗原結合断片は、配列番号12、13、14、16、17および18;または配列番号2、3、4、7、8および10を有する重鎖および軽鎖CDRアミノ酸配列を含む抗体と同じ、PCSK9上のエピトープと結合する、請求項4に記載の方法。
- 抗体またはその抗原結合断片は、配列番号12、13、14、16、17および18;または配列番号2、3、4、7、8および10を有する重鎖および軽鎖CDRアミノ酸配列を含む抗体とPCSK9との結合について競合する、請求項4に記載の方法。
- PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片は、約75mgの用量で、
2週間に1回の頻度で患者に投与される、請求項4に記載の方法。 - 2用量の後に測定される患者のLDL−Cが<50mg/dLである場合、約75mg用量が維持される、請求項12に記載の方法。
- 2用量の後に測定される患者のLDL−Cが≧50mg/dLのままである場合、約75mg用量は中止され、その後、PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片が約150mgの用量で2週間に1回の頻度で患者に投与される、請求項12に記載の方法。
- 約150mg用量は、いずれか2回の連続する測定について患者のLDL−Cが<25mg/dLである場合、中止され、その後、PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片が、約75mgの用量で2週間に1回の頻度で患者に投与される、請求項14に記載の方法。
- PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合タンパク質は、約150mgの用量で2週間に1回の頻度で患者に投与される、請求項4に記載の方法。
- PCSK9阻害剤は、最大耐用量スタチン治療と併用して患者に投与される、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
- 最大耐用量スタチン治療は、アトルバスタチン約40mg〜約80mgの1日用量を含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
- 最大耐用量スタチン治療は、ロスバスタチン約20mg〜約40mgの1日用量を含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
- 患者は、PCSK9阻害剤の投与前または投与時に:
1)≧70mg/dLの血清低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)レベル;
2)非高密度リポタンパク質コレステロール≧100mg/dL;または
3)アポリポタンパク質B≧80mg/dL
と定義されるアテローム生成リポタンパク質の不十分な制御を示す、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。 - 定常状態処置は、少なくとも2週間の処置である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
- 急性冠症候群(ACS)事象後12カ月以内の高心血管リスク患者の心血管事象を低減させる方法であって、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤の1用量またはそれ以上を、該PCSK9阻害剤の不在下で最大耐用量スタチン治療での定常状態処置にもかかわらずアテローム生成リポタンパク質の不十分な制御を示す該患者に投与することを含む前記方法。
- 急性冠症候群(ACS)事象後の高心血管リスク患者の心血管事象を低減させる方法であって、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤の1用量またはそれ以上を該患者に投与することを含む前記方法。
- 急性冠症候群(ACS)事象後の高心血管リスク患者の心血管リスクを低減させる方法であって、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤の
1用量またはそれ以上を該患者に投与することを含む前記方法。 - 心血管リスクを低減させることは、冠動脈心疾患死、急性心筋梗塞、不安定狭心症による入院、または虚血性脳卒中の初回発生までの時間を短縮することを意味する、請求項24に記載の方法。
- ACS事象は:
1)推定されるまたは立証された閉塞性冠疾患に起因する、予定外の入院から72時間以内の安静時または最小労作時に起こる不安定な心筋虚血症状;および
2)次のうちの少なくとも1つ:
a)急性心筋梗塞と一致する心臓バイオマーカー上昇、または
b)虚血もしくは梗塞と一致する安静時ECG変化と共に局所灌流画像法からの閉塞性冠疾患のさらなる証拠もしくは壁運動異常、血管造影法による心外膜冠動脈狭窄≧70%、もしくは該事象に関係する冠動脈血行再建の必要性
によって定義される、請求項22〜24のいずれか1項に記載の方法。 - PCSK9阻害剤は、PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片である、請求項22〜26のいずれか1項に記載の方法。
- 抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1/6および11/15からなる群から選択される重鎖可変領域/軽鎖可変領域(HCVR/LCVR)アミノ酸配列対の重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)を含む、請求項27に記載の方法。
- 抗体またはその抗原結合断片は、配列番号12、13、14、16、17および18を有する重鎖および軽鎖CDRアミノ酸配列を含む、請求項28に記載の方法。
- 抗体またはその抗原結合断片は、配列番号11のアミノ酸配列を有するHCVRおよび配列番号15のアミノ酸配列を有するLCVRを含む、請求項29に記載の方法。
- 抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2、3、4、7、8および10を有する重鎖および軽鎖CDRアミノ酸配列を含む、請求項28に記載の方法。
- 抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有するHCVRおよび配列番号6のアミノ酸配列を有するLCVRを含む、請求項31に記載の方法。
- 抗体またはその抗原結合断片は、配列番号12、13、14、16、17および18;または配列番号2、3、4、7、8および10を有する重鎖および軽鎖CDRアミノ酸配列を含む抗体と同じ、PCSK9上のエピトープと結合する、請求項4に記載の方法。
- 抗体またはその抗原結合断片は、配列番号12、13、14、16、17および18;または配列番号2、3、4、7、8および10を有する重鎖および軽鎖CDRアミノ酸配列を含む抗体とPCSK9との結合について競合する、請求項27に記載の方法。
- PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片は、約75mgの用量で2週間に1回の頻度で患者に投与される、請求項27に記載の方法。
- 2用量の後に測定される患者のLDL−Cが<50mg/dLである場合、約75mg用量が維持される、請求項35に記載の方法。
- 2用量の後に測定される患者のLDL−Cが≧50mg/dLのままである場合、約7
5mg用量は中止され、その後、PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片が、約150mgの用量で2週間に1回の頻度で患者に投与される、請求項35に記載の方法。 - 約150mg用量は、いずれか2回の連続する測定について患者のLDL−Cが<25mg/dLである場合、中止され、その後、PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片が、約75mgの用量で2週間に1回の頻度で患者に投与される、請求項37に記載の方法。
- PCSK9に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片は、約150mgの用量で2週間に1回の頻度で患者に投与される、請求項27に記載の方法。
- PCSK9阻害剤は、最大耐用量スタチン治療と併用して患者に投与される、請求項22〜39のいずれか1項に記載の方法。
- 最大耐用量スタチン治療は、アトルバスタチン約40mg〜約80mgの1日用量を含む、請求項22〜40のいずれか1項に記載の方法。
- 最大耐用量スタチン治療は、ロスバスタチン約20mg〜約40mgの1日用量を含む、請求項22〜40のいずれか1項に記載の方法。
- 患者は、PCSK9阻害剤の投与前または投与時に:
1)≧70mg/dLの血清低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)レベル;
2)非高密度リポタンパク質コレステロール≧100mg/dL;または
3)アポリポタンパク質B≧80mg/dL
と定義されるアテローム生成リポタンパク質の不十分な制御を示す、請求項22〜42のいずれか1項に記載の方法。 - 定常状態処置は、少なくとも2週間の処置である、請求項22〜43のいずれか1項に記載の方法。
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2020
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KR20220120089A (ko) * | 2021-02-23 | 2022-08-30 | 연세대학교 산학협력단 | 하지 절단 수술의 치료 반응성을 예측하는 방법 |
KR102517894B1 (ko) | 2021-02-23 | 2023-04-04 | 연세대학교 산학협력단 | 당뇨발에 의한 하지 절단 수술의 치료 반응성을 예측하는 방법 |
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