JP2020139175A - 時系列事象予測方法、めっき付着量制御方法、溶融めっき鋼帯の製造方法、時系列事象予測装置、めっき付着量制御装置およびめっき付着量制御プログラム - Google Patents

時系列事象予測方法、めっき付着量制御方法、溶融めっき鋼帯の製造方法、時系列事象予測装置、めっき付着量制御装置およびめっき付着量制御プログラム Download PDF

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拓郎 井上
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Ying Qing Luo
英慶 羅
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Katsuichi Suzuki
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【課題】物理現象に基づく時系列事象に対して、現時点において観測される時系列事象の状態から、将来の時系列事象の状態をより精度高く予測することができる時系列事象予測方法、めっき付着量制御方法、溶融めっき鋼帯の製造方法、時系列事象予測装置、めっき付着量制御装置およびめっき付着量制御プログラムを提供すること。【解決手段】時系列事象予測方法は、物理現象に基づく時系列事象に対して、将来の時系列事象の状態を予測する方法であり、蓄積された過去の時系列事象に関する情報から決定木モデルを作成し、決定木モデルと、物理現象に基づく物理モデルとを組み合わせて用いることにより、現時点の時系列事象の状態から、将来の時系列事象の状態を予測する。【選択図】図1

Description

本発明は、時系列事象予測方法、めっき付着量制御方法、溶融めっき鋼帯の製造方法、時系列事象予測装置、めっき付着量制御装置およびめっき付着量制御プログラムに関する。
ある時系列事象の状態の予測方法として、観測対象の実績値と、その状態の発生を説明する要因になると考えられる説明対象の実績値とを検証用データとして決定木モデルを作成し、この決定木モデルと現時点で観測される説明対象の実績値とから、将来の時系列事象の状態を予測する方法がある。
例えば特許文献1では、より精度の高い事象予測を可能とするべく、予測用の決定木モデルを作成するにあたり、観測対象の実績値の変化パターンに変化パターン識別番号を付与し、変化パターン識別番号を説明対象の一つとして含めて決定木モデルを作成し、その決定木モデルから将来の事象の予測値を得る方法が開示されている。
また、特許文献2では、物理現象に基づくある時系列事象の予測方法として、運動方程式や質量保存の法則等の、普遍的に成立する既知の物理法則に則って物理モデルを作成し、この物理モデルと現時点で観測される説明対象の実績値とから、将来の時系列事象の状態を予測する方法が開示されている。
特開2004−185392号公報 特開平5−171395号公報
ここで、特許文献1で開示された方法のように、ある時系列事象の状態を予測するために決定木モデルを作成すると、当該決定木モデルの特性上、予測値が離散的な値になる場合がある。この場合、決定木モデルを作成する際の枝(層、分岐条件)を大幅に増加させることにより、見かけ上は連続値のように扱うことも可能であるが、決定木モデルを利用した計算量が膨大になるという問題があった。また、決定木モデルを作成する際の枝を大幅に増加させると、過学習に陥りやすいという問題もあった。
また、決定木モデルを多数作成して多数決または平均を取るランダムフォレストという手法もあるが、この手法を用いた場合も、計算量が膨大になるという問題があった。
また、特許文献2で開示された物理モデルでは、理論によって表すことができない影響因子による予測精度が低くなるという問題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、物理現象に基づく時系列事象に対して、現時点において観測される時系列事象の状態から、将来の時系列事象の状態をより精度高く予測することができる時系列事象予測方法、めっき付着量制御方法、溶融めっき鋼帯の製造方法、時系列事象予測装置、めっき付着量制御装置およびめっき付着量制御プログラムを提供することにある。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る時系列事象予測方法は、物理現象に基づく時系列事象に対して、将来の時系列事象の状態を予測する時系列事象予測方法において、蓄積された過去の時系列事象に関する情報から決定木モデルを作成し、前記決定木モデルと、物理現象に基づく物理モデルとを組み合わせて用いることにより、現時点の時系列事象の状態から、将来の時系列事象の状態を予測することを特徴とする。
また、本発明に係る時系列事象予測方法は、上記発明において、前記決定木モデルの予測値および前記物理モデルの予測値に重み付けをすることにより、めっき付着量の予測値を算出することを特徴とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るめっき付着量制御方法は、溶融めっき浴から連続的に取り出される鋼帯に対して、ノズルからガスを吹き付けることにより、前記鋼帯のめっき付着量を制御するめっき付着量制御方法において、操業条件を説明変数とし、それに対応するめっき付着量を目的変数としてめっき付着量を予測する決定木モデル、および物理現象に基づく物理モデルを組み合わせて用いることにより、実操業時におけるめっき付着量を予測する付着量予測ステップと、予測しためっき付着量に基づいて、前記鋼帯のめっき付着量を制御する付着量制御ステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係るめっき付着量制御方法は、上記発明において、前記付着量予測ステップの前に、操業条件を説明変数とし、それに対応するめっき付着量を目的変数として、前記めっき付着量を前記操業条件によって複数のグループに分類することにより前記決定木モデルを作成するモデル作成ステップを含むことを特徴とする。
また、本発明に係るめっき付着量制御方法は、上記発明において、前記モデル作成ステップは、過去の操業条件とそれに対応するめっき付着量とを含む複数のデータセットを用い、前記めっき付着量を前記過去の操業条件によって複数のグループに分類することにより、決定木モデルを作成し、前記付着量予測ステップは、前記決定木モデルと実操業条件とに基づいて第一の予測値を算出し、前記物理モデルと実操業条件とに基づいて第二の予測値を算出し、前記第一の予測値および前記第二の予測値に重み付けをすることにより、めっき付着量の予測値を算出し、前記付着量制御ステップは、前記めっき付着量の予測値をフィードバックすることにより、前記鋼帯のめっき付着量が目標値となるように制御することを特徴とする。
また、本発明に係るめっき付着量制御方法は、上記発明において、前記複数のデータセットは、前記過去の操業条件として、前記鋼帯の組成に対応する文字データである鋼種と、前記鋼帯の板幅と、前記鋼帯の板厚と、前記ノズルの先端から前記鋼帯までの距離と、前記ノズルから吹き付けるガスの圧力と、を含むことを特徴とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る溶融めっき鋼帯の製造方法は、上記のめっき付着量制御方法によってめっき付着量が制御された溶融めっき鋼帯を製造することを特徴とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る時系列事象予測装置は、物理現象に基づく時系列事象に対して、将来の時系列事象の状態を予測する時系列事象予測装置において、蓄積された過去の時系列事象に関する情報から決定木モデルを作成し、前記決定木モデルと、物理現象に基づく物理モデルとを組み合わせて用いることにより、現時点の時系列事象の状態から、将来の時系列事象の状態を予測することを特徴とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るめっき付着量制御装置は、溶融めっき浴から連続的に取り出される鋼帯に対して、ノズルからガスを吹き付けることにより、前記鋼帯のめっき付着量を制御するめっき付着量制御装置において、操業条件を説明変数とし、それに対応するめっき付着量を目的変数としてめっき付着量を予測する決定木モデル、および物理現象に基づく物理モデルを組み合わせて用いることにより、実操業時におけるめっき付着量を予測する付着量予測部と、予測しためっき付着量に基づいて、前記鋼帯のめっき付着量を制御するプリセット制御部と、を備えることを特徴とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るめっき付着量制御プログラムは、溶融めっき浴から連続的に取り出される鋼帯に対して、ノズルからガスを吹き付けることにより、前記鋼帯のめっき付着量を制御するめっき付着量制御プログラムにおいて、コンピュータを、操業条件を説明変数とし、それに対応するめっき付着量を目的変数として、前記めっき付着量を前記操業条件によって複数のグループに分類することにより決定木モデルを作成するモデル作成手段、前記決定木モデルと、物理現象に基づく物理モデルとを組み合わせて用いることにより、実操業時におけるめっき付着量を予測する付着量予測手段、予測しためっき付着量に基づいて、前記鋼帯のめっき付着量を制御するプリセット制御手段、として機能させる。
本発明によれば、決定木モデルのように離散的な予測を行う予測方法に対して、物理現象に基づく物理モデルを組み合わせたアンサンブルモデルを利用することにより、決定木モデルのデメリットであった離散的な予測を物理モデルにより補完し、物理モデルのデメリットであった理論で表すことのできない影響因子を決定木モデルにより補完することができる。従って、本発明によれば、物理現象に基づく時系列事象に対して、現時点において観測される時系列事象の状態から、将来の時系列事象の状態をより精度高く予測することができる。
図1は、本発明の実施形態に係るめっき付着量制御装置およびめっきプラントの構成を示す概略図である。 図2は、本発明の実施形態に係るめっき付着量制御装置によるめっき付着量制御方法の流れを示すフローチャートである。 図3は、本発明の実施形態に係るめっき付着量制御方法のモデル作成ステップにおける決定木モデルの生成方法を説明するための図である。 図4は、本発明の実施形態に係るめっき付着量制御方法のモデル作成ステップにおいて、鋼帯の組成に対応する文字データである鋼種を新たな操業条件として追加することにより、決定木モデルを更新する場合の一例を示す図である。 図5は、本発明の実施形態に係るめっき付着量制御方法のモデル作成ステップにおいて、鋼帯の組成に対応する文字データである鋼種を新たな操業条件として追加することにより、決定木モデルを更新する場合の別の一例を示す図である。 図6は、本発明の実施形態に係るめっき付着量制御方法のモデル作成ステップで生成された決定木モデルのデータ構造の一例を示す図である。 図7は、決定木モデルおよび物理モデルを時系列データによってフィッティングしたグラフである。 図8は、物理モデルのみで予測を行った場合、決定木モデルのみで予測を行った場合、アンサンブルモデルで予測を行った場合、における実績値と予測値の平均二乗誤差を示す説明図である。
以下、本発明の実施形態に係る時系列事象予測方法、めっき付着量制御方法、溶融めっき鋼帯の製造方法、時系列事象予測装置、めっき付着量制御装置およびめっき付着量制御プログラムについて、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下で説明する実施形態に限定されるものではない。
[時系列事象予測方法/時系列事象予測装置]
本実施形態に係る時系列事象予測方法は、物理現象に基づく時系列事象に対して、将来の時系列事象の状態を予測する方法である。時系列事象予測方法では、蓄積された過去の時系列事象に関する情報から決定木モデルを作成し、当該決定木モデルと、物理現象に基づく物理モデルとを組み合わせて用いることにより、現時点の時系列事象の状態から、将来の時系列事象の状態を予測する。
以下では、時系列事象予測方法の具体例として、鉄鋼プロセスの連続めっきラインにおいて、鋼帯に付着するめっきの量(以下、「めっき付着量」という)を予測する場合について説明する。
鉄鋼プロセスの連続めっきラインにおけるめっき付着量は、ガスワイピングノズルの先端から鋼帯までの距離(ノズルギャップ)と、ガスワイピングノズルから吹き付けるガスの圧力(ノズル圧力)と、により概ね決定される。
めっき付着量を自動制御する多くのプラントでは、上位計算機から送られてくるめっき付着量の目標値(以下、「目標めっき付着量」という)を実現するノズルギャップおよびノズル圧力を、めっき付着量予測モデルを用いて計算することにより、自動制御を行っている。このめっき付着量の自動制御では、目標めっき付着量が変更になる時(鋼帯の溶接点を通過した時)にプリセット制御を行い、ここで生じた目標めっき付着量の誤差を、めっき付着量計検出値を用いたフィードバック制御によって解消している。
ここで、前記しためっき付着量計は、鋼帯に実際に付着しているめっきの量を測定するが、ガスワイピングノズルから数十〜数百m後方(下流側)に取り付けられていることが多いため、現在のノズルギャップおよびノズル圧力に対応しためっき付着量を測定できるまでに、例えば1〜2分を必要とする。そのため、フィードバック制御を用いてめっき付着量を制御しようとすると、鋼帯の長手方向における広い範囲でめっき付着量の精度が低下することになる。そのため、従来からプリセット制御の制御向上が求められている。
[めっきプラント]
まず、本実施形態で用いるめっきプラント3の構成について説明する。めっきプラント3は、図1に示すように、ポット31と、シンクロール33と、コレクトロール34と、ガイドロール35と、ガスワイピングノズル(以下、「ノズル」という)36と、めっき付着量計37と、を備えている。
ポット31には、溶融金属が溜められている。ポット31内には、鋼帯(鋼板)32が連続的に搬送され、溶融金属に浸漬される。また、ポット31内には、シンクロール33およびコレクトロール34が設置されている。
コレクトロール34は、ノズル36が設置された位置における鋼帯32の湾曲を抑制するためのものである。一対のコレクトロール34における一方のロール(図1の下側のロール)および他方のロール(同図の上側のロール)は、互いに高さ位置をずらして配置されており、固定された一方のロールに対して、他方のロールを押し込むことにより、鋼帯32を挟み、その湾曲を抑制している。なお、その際の一方のロールに対する他方のロールの押し込み量のことを、本実施形態では「ロール押し込み量C」と定義する。
鋼帯32は、ポット31内ではシンクロール33およびコレクトロール34によって支持されており、ポット31外ではガイドロール35によって支持されている。鋼帯32は、ポット31内の溶融金属に一旦浸された後、引き上げざまにノズル36から高圧のガスが吹き付けられる。このようにして、鋼帯32に付着した不要な溶融金属を削ぎ落とすことにより、めっき付着量を所望の値(目標めっき付着量)に制御する。なお、鋼帯32のめっき付着量は、ノズル36の先端から鋼帯32表面までの距離(以下、「ノズルギャップD」という)と、ノズル36から吹き付けるガスの圧力(以下、「ノズル圧力P」という)と、により概ね決定される。
鋼帯32は、具体的には複数の鋼帯が溶接点PWによって接続されることにより構成されている。この溶接点PWは、後記するめっき付着量制御において、目標めっき付着量の切り替わり箇所と対応している。
めっき付着量計37は、鋼帯32の実際のめっき付着量を測定する。このめっき付着量計37は、ノズル36の位置から数十〜数百m後方(下流側)に隔たった位置に取り付けられている。また、めっき付着量計37は、鋼帯32を幅方向にサイクリック(周期的)に測定するため、現在のノズルギャップDおよびノズル圧力Pに対応しためっき付着量を測定するまでには、例えば1〜2分を必要とする。
[めっき付着量制御装置]
以下、本実施形態に係るめっき付着量制御装置1の構成について説明する。めっき付着量制御装置1は、前記しためっきプラント3を制御し、鋼帯32に所望の厚みのめっきを付着させる。すなわち、めっき付着量制御装置1は、溶融めっき浴(ポット31)から連続的に取り出される鋼帯32に対して、ノズル36からガスを吹き付けることにより、当該鋼帯32のめっき付着量を制御する。
めっき付着量制御装置1は、ハードウェア的には、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置と、ハードディスク装置等の記憶装置と、から構成される。前記した演算処理装置は、コンピュータプログラムを実行することにより、プリセット制御部(プリセット制御手段)11、付着量予測部(付着量予測手段)12およびモデル作成部(モデル作成手段)13として機能する。また、前記した記憶装置は、モデル記憶部14として機能する。なお、図1では図示を省略したが、めっき付着量制御装置1は、上位計算機2からネットワークを介して各種情報を取り込むための入力部と、各種処理情報を出力するための出力部(例えば表示装置、印刷装置等)と、を別途備えている。
プリセット制御部11は、溶接点PWで接続されている各鋼帯32の目標めっき付着量や、各鋼帯32の板幅や板厚等の製造情報を、前記した入力部を介して上位計算機2から取り込み、鋼帯32の変わり目で新しい目標めっき付着量が実現されるように、操作端の制御指令値を算出する。ここで、前記した「制御指令値」は、具体的にはノズル36のノズルギャップDおよびノズル圧力Pに関する制御指令値である。
プリセット制御部11は、後記する付着量予測部12によって予測された現在のめっき付着量をフィードバックすることにより、鋼帯32のめっき付着量が目標めっき付着量となるように制御する。プリセット制御部11は、具体的には予測された現在のめっき付着量と目標めっき付着量とに基づき、ノズル36のノズルギャップDおよびノズル圧力Pに関する制御指令値を算出する。
プリセット制御部11には、上位計算機2から、鋼帯32の鋼種、板幅、板厚および目標めっき付着量が入力され、かつ付着量予測部12からめっき付着量の予測値(以下、「予測めっき付着量」という)が入力される。これを受けて、プリセット制御部11は、前記した制御指令値を算出し、この制御指令値をノズル36に対して出力する。
付着量予測部12は、めっきプラント3における、ノズル36のノズルギャップDの実績値と、ノズル36から鋼帯32に対して吹き付けているガスのノズル圧力Pの実績値と、を取り込み、めっき付着量予測モデルに基づいて現在のめっき付着量を予測する。ここで、前記した「めっき付着量予測モデル」とは、具体的には後記する決定木モデルおよび物理モデルを組み合わせたアンサンブルモデルのことを示している。付着量予測部12は、このアンサンブルモデルと実操業条件とに基づいて、現在のめっき付着量を予測する。
付着量予測部12には、めっきプラント3から実績値として、ノズルギャップD、ノズル圧力P、ロール押し込み量Cおよびめっき付着量計37によって測定されためっき付着量が入力される。これを受けて、付着量予測部12は、前記しためっき付着量を予測し、この予測めっき付着量をプリセット制御部11に対して出力する。
モデル作成部13は、上位計算機2やめっきプラント3からの情報を、付着量予測部12を経由して受け取り、それらの情報を用いて、めっき付着量と操業条件との相関を機械的に学習する。モデル作成部13は、具体的には過去の操業条件とそれに対応するめっき付着量とを含む複数のデータセットを用い、めっき付着量を当該過去の操業条件によって複数のグループに分類することにより、決定木モデルを生成する。
また、モデル作成部13は、新たな操業条件が追加された場合、生成済みの決定木モデルに対して、新たな操業条件を分岐条件(説明変数)として追加することにより、決定木モデルを更新する。ここで、前記した「操業条件」の例としては、鋼帯32の組成に対応する文字データである鋼種と、鋼帯32の板幅と、鋼帯32の板厚と、ノズルギャップDと、ノズル圧力Pと、ロール押し込み量Cと、が挙げられる。
モデル作成部13には、付着量予測部12から、鋼帯32の鋼種、板幅、板厚、ノズルギャップD、ノズル圧力P、ロール押し込み量Cおよびめっき付着量計37によって測定されためっき付着量が入力される。これを受けて、モデル作成部13は、前記した決定木モデルを生成し、この決定木モデルをモデル記憶部14に対して出力する。なお、モデル作成部13による決定木モデルの生成方法および決定木モデルの構造については後記する。
なお、モデル作成部13は、必ずしもめっき付着量制御装置1内に設けられていなくてもよく、例えば外部計算機で作成した決定木モデルをネットワーク経由で受信し、後述のモデル記憶部14に格納してもよい。
モデル記憶部14には、モデル作成部13によって作成された決定木モデルと、物理現象に基づく物理モデルとが、格納されている。決定木モデルは、操業条件(説明変数)を用いてめっき付着量(目的変数)を決定する。物理モデルは、例えば下記式(1)に示すような操業条件を入力値として含む関数fによって構成されている。なお、下記式(1)において、Wはめっき付着量、Dはノズルギャップ、Vはライン速度、Pはノズル圧力である。下記式(1)における入力値は例示であり、物理モデルが用いる操業条件として、モデル作成部13が用いる他の操業条件を更に追加してもよいし、モデル作成部13が用いない他の操業条件を入力してもよい。
Figure 2020139175
[めっき付着量制御方法]
以下、本実施形態に係るめっき付着量制御装置1によるめっき付着量制御方法について、図2〜図7を参照しながら説明する。以下で説明するめっき付着量制御方法は、例えば鉄鋼のプロセスラインにおけるめっき付着量制御に広く適用することができる。
本実施形態に係るめっき付着量制御方法では、具体的には図2に示すように、モデル作成ステップS1と、付着量予測ステップS2と、付着量制御ステップS3と、をこの順序で行う。
<モデル作成ステップ>
モデル作成ステップS1では、モデル作成部13によって、操業条件を説明変数とし、それに対応するめっき付着量を目的変数として、めっき付着量を操業条件によって複数のグループに分類することにより決定木モデルを作成する。モデル作成部13は、具体的には、過去の操業条件とそれに対応するめっき付着量とを含む複数のデータセットを用い、めっき付着量を当該過去の操業条件によって複数のグループに分類することにより、決定木モデルを生成する。
モデル作成ステップS1では、例えばF検定を利用して、めっき付着量を過去の操業条件によって複数のグループに分類することができる。すなわち、モデル作成ステップS1では、図3に示すように、めっき付着量計37によって測定されためっき付着量の全母集団(親データ)に対して、説明変数(操業条件)ごとにF検定を実施し、最もp値を最小にできるデータの分割点を探すことにより、分岐条件を決定することができる。なお、めっき付着量の親データから分類された子データは、同図に示すように、分類された各めっき付着量を平均しためっき付着量平均値で示される。
モデル作成ステップS1では、F検定を全ての説明変数(操業条件)について実施し、それぞれの説明変数の中で、親データを最も均質(等分散)にすることができる説明変数を、一番目(最初)の分岐条件として決定することができる。そして、モデル作成ステップS1では、このような分岐条件の決定処理を各子データに対して実施し、分岐した子データを最も均質にすることができる説明変数を、その次の分岐条件として決定し、図3に示すような決定木モデルを生成する。なお、モデル作成ステップS1では、F検定によって子データが等分散ではない(均質ではない)と判定された時点で子データの分岐を終了する。
なお、モデル作成ステップS1では、前記したF検定を利用した方法の他に、例えば平均二乗誤差(RMSE:Root Means Square of Error)を指標として用い、サンプルをある条件でサブグループへ分割し、それぞれのサブグループの平均値を予測値とし、RMSEの和が最も減少する分割を優先的に採用することにより、めっき付着量を過去の操業条件によって複数のグループに分類してもよい。
決定木モデルでは、分岐条件を構成する操業条件として、前記したように、鋼帯32の板幅、板厚、ノズルギャップD、ノズル圧力Pおよびロール押し込み量C等の数値情報以外にも、鋼種等の文字データも用いることができるため、数値情報以外の分岐条件を数値情報に変換することなく、取り込むことができるというメリットがある。
また、決定木モデル作成する際に、例えば説明対象の実績値(説明変数)が同じ値でも、目的対象の実績値(目的変数)が異なる場合がある。この場合は、決定木モデルの層(枝、分岐条件)を増加させることにより、より精度の高いモデルを作成することが可能となるが、将来の時系列事象に対しては精度の低いモデルになる(一般的に過学習と呼ばれる)。そのため、決定木モデルを作成する際は、過学習になりにくい最大層を選定することが重要である。過学習になりにくい決定木モデルの最大層としては、例えば三層が挙げられるが、この場合は予測値が八種類しか存在しないため、予測値が離散的な値となる。
(決定木モデルのデータ構造)
モデル作成ステップS1では、例えば図4および図5に示すような決定木モデルを生成することができる。図4で示した決定木モデルは、一番目の分岐条件として鋼種(鋼種Aか鋼種Bか)が設定され、二番目の分岐条件として板幅(板幅がXmmより大きいか小さいか)が設定されている。ここで、同図の「既設」側に示した決定木モデルが既に生成されている場合において、例えば過去に操業実績のない新たな鋼種Cを操業条件に追加する場合、モデル作成ステップS1では、同図の「新設」側に示すように、決定木モデルの一番目の分岐に新たな鋼種Cを頂点とする部分木を追加することにより、決定木モデルを更新する。同図に示すように鋼種が一番目の分岐条件として設定されている場合、既設と新設との切り分けが可能というメリットがある。
一方、図5で示した決定木モデルは、一番目の分岐条件として板幅(板幅がXmmより大きいか小さいか)が設定され、二番目の分岐条件として鋼種(鋼種Aか鋼種Bか)が設定されている。ここで、同図の「既設」側に示した決定木モデルが既に生成されている場合において、例えば過去に操業実績のない新たな鋼種Cを操業条件に追加する場合、モデル作成ステップS1では、同図の「新設」側に示すように、決定木モデルの二番目の分岐に新たな鋼種Cを頂点とする部分木を追加することにより、決定木モデルを更新する。同図に示すように鋼種が二番目の分岐条件として設定されている場合、一番目の分岐(板幅)の枝をそれぞれ改造する必要がある。
ここで、モデル作成ステップS1では、図6に示すように、親データに近い上位の枝についてはF検定を利用せずに手動で分岐条件を決定し、親データから遠い下位の枝についてはF検定を利用して自動で分岐条件を決定することにより、決定木モデルを生成することが好ましい。
図6で示した決定木モデルは、一番目の分岐条件として鋼種が設定され、二番目の分岐条件として鋼帯32の板幅が設定され、三番目の分岐条件として鋼帯32の板厚が設定され、四番目の分岐条件としてロール押し込み量Cおよびノズル圧力(表)が設定され、五番目の分岐条件としてノズル圧力(裏)およびノズルギャップ(表)が設定され、六番目の分岐条件としてノズル圧力(表)が設定されている。このうち、一番目から三番目までの分岐条件は、F検定を利用せずに手動で決定されたものであり、四番目以降(四番目〜六番目)の分岐条件は、F検定に基づいて自動で決定されたものである。
なお、前記した「ノズル圧力(表)」とは、一対のノズル36のうち、鋼帯32の表側に配置されたノズル(図1の左側のノズル)のノズル圧力Pを示しており、前記した「ノズル圧力(裏)」とは、一対のノズル36のうち、鋼帯32の裏側に配置されたノズル(同図の右のノズル)のノズル圧力Pを示しており、前記した「ノズルギャップ(表)」とは、一対のノズル36のうち、鋼帯32の表側に配置されたノズル(同図の左側のノズル)と鋼帯32との間のノズルギャップDを示している。
このように、モデル作成ステップS1で生成される決定木モデルにおいて、分岐条件の上位に鋼種を設定することにより、前記した図4に示すように、操業条件として、新たな鋼種が追加された場合であっても、既設の決定木モデルに手を加えることなく、決定木モデルの拡張を行うことができる。従って、既設の決定木モデルの再利用性が向上する。以下、付着量予測ステップS2以降の説明を続ける。
<付着量予測ステップ>
付着量予測ステップS2では、付着量予測部12によって、アンサンブルモデルと実操業条件とに基づいて、実操業時における現在のめっき付着量を予測する。前記した「アンサンブルモデル」とは、モデル作成ステップS1で作成した決定木モデルと物理現象に基づく物理モデル(上記式(1)参照)とを組み合わせたモデルであり、例えば下記式(2)のように示すことができる。なお、下記式(2)のIは重み係数である。また、重み係数は、事前に学習データを用いて最適値を決定したものであるが、定周期もしくは任意のタイミングで学習し補正を行って決定してもよい。
Figure 2020139175
上記式(2)に示すように、付着量予測部12は、決定木モデルと実操業条件とに基づいて算出した予測値(第一の予測値)と、物理モデルと実操業条件とに基づいて算出した予測値(第二の予測値)と、に重み付けをすることにより、めっき付着量の予測値を算出する。
なお、ライン速度が遅い場合は、物理モデルによる予測が外れやすい傾向がある。そのため、ライン速度に応じて上記式(2)の重みを変更することが好ましい。例えばライン速度が遅い場合は、上記式(2)の重み係数Iを調整し、決定木による予測の比率を高める。これにより、予測精度を向上させることができる。
ここで、図7は、決定木モデルおよび物理モデルを時系列データによってフィッティングしたグラフであり、横軸が時間を、縦軸がめっき付着量を示している。同図に示すように、決定木モデルによるめっき付着量の予測値(一点鎖線参照)と、物理モデルによるめっき付着量の予測値(破線参照)とは、めっき付着量の実績値に概ね追従している。但し、めっき付着量の予測外れが生じた場合、同図に示すように、物理モデルの予測値は−方向に外れる傾向があり、決定木モデルの予測値は+方向に外れる傾向がある。
このような傾向が生じる理由は必ずしも明らかではないが、決定木モデルを作成する段階(モデル作成ステップ)の操業条件と、決定木モデルを利用する段階(付着量予測ステップ)の操業条件との違いに起因して、決定木モデルによるめっき付着量の予測値が外れる可能性がある。この場合、例えば決定木モデルを作成する際の学習データに含まれるめっき量が、決定木モデルを利用する際の学習データに含まれるめっき量よりも厚いと、上記のように決定木モデルの予測値が+方向に外れる傾向が表れる。
また、物理モデルに関しては、全ての操業条件をモデルで表現することは難しく、例えばライン速度等の条件変化によって物理モデルの予測値が外れる可能性がある。この場合、例えばライン速度が低いと、上記のように物理モデルの予測値が−方向に外れる傾向が表れる。
以上を踏まえて、付着量予測部12では、RMSEが最小となるように最適化を実施し、上記式(2)の重み係数Iを決定することにより、アンサンブルモデルを作成する。そして、付着量予測部12は、当該アンサンブルモデルを用いてめっき付着量を予測する。
<付着量制御ステップ>
付着量制御ステップS3では、プリセット制御部11によって、予測された現在のめっき付着量をフィードバックすることにより、鋼帯32のめっき付着量が目標めっき付着量となるように制御する。
以上のように、本実施形態に係るめっき付着量制御方法では、鋼帯32の鋼種、板幅、板厚、ノズルギャップD、ノズル圧力Pおよびロール押し込み量Cのそれぞれの実績データと、ノズル36よりも後段のめっき付着量計37で測定されためっき付着量の実績データと、の相関を定期的かつ機械的に学習する(モデル作成ステップS1)。そして、その学習結果である決定木モデルと、物理モデルとに基づいて現在のめっき付着量を予測し(付着量予測ステップS2)、予測めっき付着量に基づいて、実際のめっき付着量を制御する(付着量制御ステップS3)。
[めっき付着量制御プログラム]
本実施形態に係るめっき付着量制御プログラムは、溶融めっき浴から連続的に取り出される鋼帯32に対して、ノズル36からガスを吹き付けることにより、鋼帯32のめっき付着量を制御するためのものであり、コンピュータを、モデル作成手段(モデル作成部13)、付着量予測手段(付着量予測部12)、プリセット制御手段(プリセット制御部11)、として機能させる。
本実施形態に係るめっき付着量制御プログラムは、例えばハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM等の、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよく、あるいは、ネットワークを介して流通させてもよい。
[溶融めっき鋼帯の製造方法]
本実施形態に係る溶融めっき鋼帯の製造方法は、前記した本実施形態に係るめっき付着量制御方法によってめっき付着量が制御された溶融めっき鋼帯を製造する。
以上説明したような本実施形態に係る時系列事象予測方法、めっき付着量制御方法、溶融めっき鋼帯の製造方法、時系列事象予測装置、めっき付着量制御装置およびめっき付着量制御プログラムによれば、決定木モデルのように離散的な予測を行う予測方法に対して、物理現象に基づく物理モデルを組み合わせたアンサンブルモデルを利用することにより、決定木モデルのデメリットであった離散的な予測を物理モデルにより補完し、物理モデルのデメリットであった理論で表すことのできない影響因子を決定木モデルにより補完することができる。
例えば図8に示すように、実績値と予測値のRMSEを比較した場合、物理モデルのみで予測した場合や決定木モデルのみで予測した場合よりも、これらを組み合わせたアンサンブルモデルで予測した場合のほうが、予測精度が高くなる。
従って、本実施形態に係る時系列事象予測方法、めっき付着量制御方法、溶融めっき鋼帯の製造方法、時系列事象予測装置、めっき付着量制御装置およびめっき付着量制御プログラムによれば、物理現象に基づく時系列事象に対して、現時点において観測される時系列事象の状態から、将来の時系列事象の状態をより精度高く予測することができる。
また、本実施形態に係る時系列事象予測方法、めっき付着量制御方法、溶融めっき鋼帯の製造方法、時系列事象予測装置、めっき付着量制御装置およびめっき付着量制御プログラムでは、決定木モデルを利用することにより、鋼種のような文字データを説明変数として取り込むことができ、めっき付着量に影響のある鋼種もモデル作成に用いて、目的変数であるめっき付着量の予測精度を向上することができる。
また、本実施形態に係る時系列事象予測方法、めっき付着量制御方法、溶融めっき鋼帯の製造方法、時系列事象予測装置、めっき付着量制御装置およびめっき付着量制御プログラムでは、前記した図4および図6に示すように、鋼種を決定木モデルの最初の分岐に設定することにより、鋼種が新たに追加された場合も、既存の決定木モデルを破棄することなく、新たな部分木を追加するだけで決定木モデルを更新することができるため、既存の決定木モデルの再利用が可能である。また、めっき付着量予測モデルとして決定木モデルを用いることにより、視認性が向上し、例えばプログラム検証や他施設への横展開等も容易となる。
以上、本発明に係るめっき付着量制御方法、溶融めっき鋼帯の製造方法、めっき付着量制御装置およびめっき付着量制御プログラムについて、発明を実施するための形態および実施例により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
例えば、前記した図1で示しためっき付着量制御装置1では、モデル作成部13で生成された決定木モデルをモデル記憶部14に一旦格納していたが、モデル作成部13は、生成した決定木モデルをモデル記憶部14に格納せずに、そのまま付着量予測部12に対して出力してもよい。同様に、物理モデルについても、モデル記憶部14に格納せずに、外部計算機からそのまま付着量予測部12に対して出力してもよい。
また、前記した図6で示した決定木モデルでは、一番目の分岐条件として鋼種が設定され、二番目の分岐条件として鋼帯32の板幅が設定され、三番目の分岐条件として鋼帯32の板厚が設定されていたが、二番目の分岐条件として鋼帯32の板厚を設定し、三番目の分岐条件として鋼帯32の板幅を設定してもよい。
また、前記しためっき付着量制御方法では、操業条件(分岐条件)に含めることが可能な文字データとして、鋼種を一例として挙げたが、例えば鋼種以外にも、溶融亜鉛めっき鋼板を表す「GI」、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を表す「GA」等の、他の文字データを操業条件としてもよい。
また、前記しためっき付着量制御方法では、決定木モデルが更新されるタイミングとして、例えば過去に操業実績のない新たな鋼種が操業条件に追加された場合を例示したが(図4および図5参照)、鋼種や新たな鋼板サイズ等の操業条件が追加された場合以外にも、例えば設定した所定の時間間隔や、定期点検等の操業停止タイミングで決定木モデルを更新してもよい。
また、本明細書では、本発明に係る時系列事象予測方法の具体例として、鉄鋼プロセスの連続めっきラインでめっき付着量を予測する場合の例について説明したが、本発明に係る時系列事象予測方法は、物理現象に基づく時系列事象予測に広く適用することができる。
1 めっき付着量制御装置
11 プリセット制御部(プリセット制御手段)
12 付着量予測部(付着量予測手段)
13 モデル作成部(モデル作成手段)
14 モデル記憶部
2 上位計算機
3 めっきプラント
31 ポット
32 鋼帯(鋼板)
33 シンクロール
34 コレクトロール
35 ガイドロール
36 ノズル(ガスワイピングノズル)
37 めっき付着量計
PW 溶接点

Claims (10)

  1. 物理現象に基づく時系列事象に対して、将来の時系列事象の状態を予測する時系列事象予測方法において、
    蓄積された過去の時系列事象に関する情報から決定木モデルを作成し、前記決定木モデルと、物理現象に基づく物理モデルとを組み合わせて用いることにより、現時点の時系列事象の状態から、将来の時系列事象の状態を予測することを特徴とする時系列事象予測方法。
  2. 前記決定木モデルの予測値および前記物理モデルの予測値に重み付けをすることにより、めっき付着量の予測値を算出することを特徴とする請求項1に記載の時系列事象予測方法。
  3. 溶融めっき浴から連続的に取り出される鋼帯に対して、ノズルからガスを吹き付けることにより、前記鋼帯のめっき付着量を制御するめっき付着量制御方法において、
    操業条件を説明変数とし、それに対応するめっき付着量を目的変数としてめっき付着量を予測する決定木モデル、および物理現象に基づく物理モデルを組み合わせて用いることにより、実操業時におけるめっき付着量を予測する付着量予測ステップと、
    予測しためっき付着量に基づいて、前記鋼帯のめっき付着量を制御する付着量制御ステップと、
    を含むことを特徴とするめっき付着量制御方法。
  4. 前記付着量予測ステップの前に、操業条件を説明変数とし、それに対応するめっき付着量を目的変数として、前記めっき付着量を前記操業条件によって複数のグループに分類することにより前記決定木モデルを作成するモデル作成ステップを含むことを特徴とする請求項3に記載のめっき付着量制御方法。
  5. 前記モデル作成ステップは、過去の操業条件とそれに対応するめっき付着量とを含む複数のデータセットを用い、前記めっき付着量を前記過去の操業条件によって複数のグループに分類することにより、決定木モデルを作成し、
    前記付着量予測ステップは、前記決定木モデルと実操業条件とに基づいて第一の予測値を算出し、前記物理モデルと実操業条件とに基づいて第二の予測値を算出し、前記第一の予測値および前記第二の予測値に重み付けをすることにより、めっき付着量の予測値を算出し、
    前記付着量制御ステップは、前記めっき付着量の予測値をフィードバックすることにより、前記鋼帯のめっき付着量が目標値となるように制御することを特徴とする請求項4に記載のめっき付着量制御方法。
  6. 前記複数のデータセットは、前記過去の操業条件として、前記鋼帯の組成に対応する文字データである鋼種と、前記鋼帯の板幅と、前記鋼帯の板厚と、前記ノズルの先端から前記鋼帯までの距離と、前記ノズルから吹き付けるガスの圧力と、を含むことを特徴とする請求項5に記載のめっき付着量制御方法。
  7. 請求項3から請求項6のいずれか一項に記載のめっき付着量制御方法によってめっき付着量が制御された溶融めっき鋼帯を製造することを特徴とする溶融めっき鋼帯の製造方法。
  8. 物理現象に基づく時系列事象に対して、将来の時系列事象の状態を予測する時系列事象予測装置において、
    蓄積された過去の時系列事象に関する情報から決定木モデルを作成し、前記決定木モデルと、物理現象に基づく物理モデルとを組み合わせて用いることにより、現時点の時系列事象の状態から、将来の時系列事象の状態を予測することを特徴とする時系列事象予測装置。
  9. 溶融めっき浴から連続的に取り出される鋼帯に対して、ノズルからガスを吹き付けることにより、前記鋼帯のめっき付着量を制御するめっき付着量制御装置において、
    操業条件を説明変数とし、それに対応するめっき付着量を目的変数としてめっき付着量を予測する決定木モデル、および物理現象に基づく物理モデルを組み合わせて用いることにより、実操業時におけるめっき付着量を予測する付着量予測部と、
    予測しためっき付着量に基づいて、前記鋼帯のめっき付着量を制御するプリセット制御部と、
    を備えることを特徴とするめっき付着量制御装置。
  10. 溶融めっき浴から連続的に取り出される鋼帯に対して、ノズルからガスを吹き付けることにより、前記鋼帯のめっき付着量を制御するめっき付着量制御プログラムにおいて、コンピュータを、
    操業条件を説明変数とし、それに対応するめっき付着量を目的変数として、前記めっき付着量を前記操業条件によって複数のグループに分類することにより決定木モデルを作成するモデル作成手段、
    前記決定木モデルと、物理現象に基づく物理モデルとを組み合わせて用いることにより、実操業時におけるめっき付着量を予測する付着量予測手段、
    予測しためっき付着量に基づいて、前記鋼帯のめっき付着量を制御するプリセット制御手段、
    として機能させるためのめっき付着量制御プログラム。
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