JP2020138022A - 胎児心拍数測定方法並びに胎児および母体の同時監視方法 - Google Patents

胎児心拍数測定方法並びに胎児および母体の同時監視方法 Download PDF

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Hiroaki Ishizawa
広明 石澤
誠 金井
Makoto Kanai
誠 金井
大史 安藤
Hirofumi Ando
大史 安藤
祥平 児山
Shohei Koyama
祥平 児山
杏子 片山
Kyoko Katayama
杏子 片山
皇二 竹下
Koji Takeshita
皇二 竹下
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Abstract

【課題】在宅等での測定に適した連続測定が可能な簡便な胎児心拍数測定方法、並びに、胎児および母体の同時監視方法を提案すること。【解決手段】胎児心拍数測定方法を含む胎児および母体の同時監視方法では、FBGセンサ2を母体の腹部、あるいは、腹部および胸部に設置して、連続的に脈波(速度脈波あるいは加速度脈波)を測定し(ステップST3)、測定した脈波をバンドパスフィルタなどによりノイズ除去処理をし(ステップST4)、周波数分析により脈波のパターン抽出を行い(ステップST5)、胎児心拍数、あるいは、胎児心拍数、母体心拍数および母体呼吸数を算出する(ステップST6)。【選択図】図1

Description

本発明は、胎児心拍数測定方法、並びに、胎児および母体の心拍数等のバイタルサインを同時に監視可能な胎児および母体の同時監視方法に関する。
従来、胎児の健全性診断では、ノンストレステストと呼ばれる手法が、妊娠後期の妊婦に施されてきている。これは、歪ゲージを用いた子宮収縮圧の測定、および超音波ドップラー法を適用した胎児心拍の測定から構成される。子宮収縮圧と胎児心拍の関係性で胎児の健康状態を診断している。例えば、特許文献1、2には、母体の腹部に腹帯等によって取り付けたドップラー超音波センサを用いて胎児心拍数を検出するシステムが記載されている。
特開2008−161687号公報 特表2014−500742号公報
胎児の健全性診断において、簡便で連続測定が可能な測定法は少なく、在宅で測定する手法は一般的ではないのが現状であり未解決の課題が残っている。すなわち、検査装置が大型で操作に熟練が必要である、連続測定ができない、接触部(カフ)の衛生面の問題、拘束感が高じることによる利用者の忌避感が増大する等の課題がある。特に、胎児心拍検出用の超音波センサ等の既存のセンサは、胎児心拍を検出できるように、母体の腹部における最聴取得部に取り付ける必要がある。最聴取得部は、個々の母体により相違し、胎児の姿勢により変動するので、専門医による診断が必要とされる。このため、従来の検査装置は、基本的には在宅でのモニタリングには適していない。このため、在宅等での測定に適し、拘束感のない連続測定が可能な簡便な胎児の健全性診断のための測定法が強く求められている。
本発明の課題は、このような点に鑑みて、在宅等での測定に適した連続測定が可能な簡便な胎児心拍数測定方法、並びに、胎児および母体の同時監視方法を提案することにある。
本発明者は、高感度で歪検出が可能な簡易・低コストセンサであるファイバブラッググレイティングセンサ(FBGセンサ)に着目し、このFBGセンサを用いて、妊婦および胎児の脈波を1ms以上の時間分解能で、歪としてサブミクロン以下の高感度で測定可能なことを確認した。かかる知見に基づき、本発明の胎児心拍数測定方法、並びに、胎児および母体の同時監視方法では、FBGセンサを母体の腹部、あるいは、腹部および胸部に設置して、連続的に脈波(速度脈波あるいは加速度脈波)を測定し、測定脈波をバンドパスフィルタなどによりノイズ除去処理をしたうえで、測定脈波のパターン抽出(周波数分析、特徴抽出、自己相関関数算出など)により、胎児の心拍数、あるいは、胎児心拍数、母体心拍数および母体呼吸数を算出する。また、FBGセンサの歪検知機能を利用して、子宮収縮圧を測定することも可能である。この手法は被験者にはよらない汎用性を有している。
本発明の方法によれば、単一の脈波(1波)から、その時点の母体ならびに胎児の心拍数(脈拍数)を測定でき、測定時間は30秒程度と短い。拘束感を最低限度まで抑制でき、連続測定も可能である。また、皮膚などに与える衛生面のリスクを最低限にできる。
特に、FBGセンサを用いた本発明の方法では、FBGセンサを妊婦の腹部において、最聴取得部に正確に固定しなくても、十分な精度で胎児心拍数を測定可能であることが確認された。よって、本発明によれば、専門医等に頼らずに妊婦等が簡単に胎児心拍数等を測定可能であり、在宅等での測定に適した簡便な測定方法を実現できる。
本発明を適用した監視システムの一例を示す概略構成図である。 実験1の様子を示す説明図および胎児心拍測定部位を示す説明図である。 取得波形No.1の生波形の波長変位を示すグラフである。 取得波形No.1の生波形にバンドパスフィルタ処理を施した後の波長変位を示すグラフである。 取得波形No.1のバンドパスフィルタ処理後の波形に高速フーリエ変換を施して得られた周波数スペクトル図である。 異なる測定部位で取得された生波形をそれぞれ示す波形図である。 異なる測定部位で取得された生波形をそれぞれ示す波形図である。 異なる測定部位で取得された生波形をそれぞれ示す波形図である。 図6の生波形のバンドパスフィルタ処理後の波形をそれぞれ示す波形図である。 図7の生波形のバンドパスフィルタ処理後の波形をそれぞれ示す波形図である。 図8の生波形のバンドパスフィルタ処理後の波形をそれぞれ示す波形図である。 図9の波形のそれぞれの周波数スペクトル図である。 図10の波形のそれぞれの周波数スペクトル図である。 図11の波形のそれぞれの周波数スペクトル図である。 実験2におけるFBGセンサの固定位置を示す説明図である。 実験2で測定した生波形にバンドパスフィルタ処理および規格化を施した後の波形を示す波形図である。 図16に示す波形に適応フィルタ処理を施した後の波形を示す波形図である。 図17に示す波形の周波数スペクトル図である。 実験3の様子を示す説明図および胎児心拍測定部位を示す説明図である。 胎児心拍数の予測値と参照値の経時変化を示すグラフである。 実験4におけるFBGセンサの固定位置を示す説明図である。 胎児心拍数の算出値(予測値)と参照値の比較を示す波形図である。 実験5におけるFBGセンサの固定位置を示す説明図である。 各FBGセンサから取得した信号に通過帯域0.5〜5.0Hzのバンドパスフィルタ処理を施した結果を示す波形図である。 バンドパスフィルタ処理を施した信号に対して独立成分分析を行って得られた信号波形を示す波形図である。 通過帯域に狭いバンドパスフィルタ処理を施した信号に対して独立成分分析を行って得られた信号波形を示す波形図である。
以下に、図面を参照して本発明を適用した胎児および母体の同時監視方法の実施の形態を説明する。
図1(a)は、胎児および母体の同時監視方法を実施するための監視システムの構成例を示す説明図である。監視システム1は、妊婦20の腹部表面21に取り付けるFBGセンサ2と、マイクロコンピュータを中心に構成される測定装置3とを備えている。測定装置3は、各部の制御を司る制御部4と、通過帯域が0.5〜5.0Hzのバンドパスフィルタ5と、信号解析部6と、胎児心拍数、母体心拍数および母体呼吸数を算出する算出部7と、算出結果等を記憶保持する記憶部8、算出結果等の出力表示を行う表示部9、および測定開始、算出結果表示等の各種の指令入力等を行う入力部10などから構成されている。測定装置3は、内蔵メモリあるいは外付けメモリ(図示せず)に格納されている胎児心拍数測定用プログラムあるいは胎児および母体の同時監視用プログラムを実行することで、上記の制御部4、信号解析部6、算出部7等の各機能を実行する。
図1(b)は監視システム1の測定動作を示す概略フローチャートである。まず、FBGセンサ2のセンサ部が、妊婦の腹部、あるいは、妊婦の腹部および胸部の双方に、医療用テープ等を用いて固定される(ステップST1)。腹部に固定されるセンサ部は、最聴取得部を中心とする所定の距離内の任意の位置であればよい(実験1参照)。また、FBGセンサ2としては、マハツェンダ干渉計型FBGセンサ(M−FBGセンサ)あるいはファブリ・ぺロー干渉計型FBGセンサ(FP−FBGセンサ)を用いることができる。測定感度の高いFP−FBGセンサを用いることが望ましい(実験4参照)。
次に、システム電源が投入され、入力部10から測定開始指令が入力されると(ステップST2)、制御部4の制御の下で、各部が駆動されて、胎児心拍数、母体心拍数および母体呼吸数の測定動作が開始する。測定動作においては、FBGセンサ2の検出信号(脈波)が一定のサンプリング周期で取得される(ステップST3:脈波測定ステップ)。
FBGセンサ2から出力される検出信号S10(速度脈波、加速度脈波)には、胎児心拍、母体心拍、母体呼吸に起因する信号成分が含まれている。測定装置3に入力される検出信号S10は、バンドパスフィルタ5を介して、胎児心拍、母体心拍および母体呼吸に直接起因しない信号成分が除去される(ステップST4:ノイズ除去ステップ)。例えば、通過帯域が0.5〜5.0Hzのバンドパスフィルタを使用できる。
ノイズ除去後の検出信号S11は、信号解析部6において信号処理が施される(ステップST5:解析ステップ)。信号解析部6は、例えば、高速フーリエ変換(FFT)回路を備え、検出信号S11に高速フーリエ変換を施して、リアルタイムで周波数解析を行い、当該信号の周波数スペクトルを生成する(実験1、2、3参照)。
一般に、胎児心拍数は2.0〜3.0Hzの周波数帯域内に表れ、母体心拍数は1.5Hzを含む周波数帯域内に表れ、母体呼吸数は0.4Hzを含む周波数帯域内に表れる。これに基づき、予め設定した胎児心拍周波数帯域(例えば、2.0〜3.0Hz)内においてスペクトル強度のピークが現れる第1周波数成分Saと、予め設定した母体心拍周波数帯域(例えば1.5Hzを含む周波数帯域)内においてスペクトル強度のピークが現れる第2周波数成分Sbと、予め設定した母体呼吸周波数帯域(例えば、0.4Hzを含む周波数帯域)内においてスペクトル強度のピークが現れる第3周波数成分Scとを抽出する。
信号解析部6における信号処理として、妊婦の腹部と胸部の2点での取得信号(測定脈波)から、適応フィルタを利用して胎児信号(胎児心拍数、胎児心拍波形)の抽出を行うこともできる(実験2参照)。また、信号解析部6における信号処理として、独立成分分析を施して胎児心拍に対応する信号成分を抽出することもできる(実験5参照)。
次に、算出部7は、第1周波数成分Saに基づき胎児心拍数Aを算出し、第2周波数成分Sbに基づき母体心拍数Bを算出し、第3周波数成分Scに基づき母体呼吸数Cを算出する(ステップST6:算出ステップ)。算出結果は、記憶部8に記憶保持されると共に、表示部9の画面上に出力表示される(ステップST7)。
<実験1>
(目的)
本発明者等は、FBGセンサを妊婦の腹部に固定し、測定を行い、取得した波形から胎児信号(胎児心拍数)が測定可能であることを実験により確認した。また、FBGセンサによる測定部位を胎児心拍の最聴取得部(従来法:超音波ドプラー法)から段階的に移動して測定し、最聴取得部で得られた波形形状と比較することで、波形取得可能な範囲が、最聴取得部の1点に限定されず所定の範囲内であれば良いことを明らかにした。
(実験方法)
図2(a)は実験の様子を示す説明図であり、図2(b)はFBGセンサによる測定部位を示す説明図である。測定装置として、アクトカルディオグラフMT−610(製品名:トーイツ株式会社製)を使用し、そのセンサを妊婦の下腹部の最聴取得部である点Aに固定し、胎児心拍数の参照値を取得する。
FBGセンサの第1センサ部を胎児心拍の最聴取得部である点Aに、第2センサ部を最聴取得部から約4cm離れた点B1、点B1からさらに約5cm、10cm離れた点B2、B3に、医療用テープで固定し測定を行う。被験者は1名、FBGセンサ2のサンプリング周波数1000Hz、測定姿勢はセミファーラ位、測定時間は1回約30秒である。表1に参照値と第2センサ部(センサ2)の位置を示す。
(実験結果:FBGセンサ2の取得波形)
図3は、最聴取得部位である点Aで取得した取得波形No.1の生波形(検出信号)を示す波形図である。図4は、取得波形No.1の生波形に、通過帯域0.5〜5.0Hzのバンドパスフィルタ処理を施した後の波形(ノイズ除去後の検出信号)を示す波形図である。図5は、フィルタ処理後の波形にさらに高速フーリエ変換を施して得られた周波数スペクトルを示す。
図5(a)に示すように、0.4Hz付近にピークが現れる。この周波数は妊婦呼吸を表していると考えられ、また1.5Hz付近のピーク(図5(b))は母体心拍を表すと考えられる。さらに、胎児心拍の周波数2.0〜3.0Hz付近を拡大すると(図5(c))、微小ではあるがピークが見られた。このことから、FBGセンサ2により、胎児心拍および母体心拍・呼吸数が測定可能であることが示された。
(波形取得可能範囲の検討)
FBGセンサの第1センサ部を胎児心拍の最聴取得部(点A)に、FBGセンサの第2センサ部を図2に示すように段階的に変化させた点(点B1、B2、B3)に医療用テープで貼り付け、これら2点の同時測定を行った。
点Aでの取得波形と点B1〜B3での取得波形を比較し、波形取得可能範囲の検討を行った。図6、図7および図8に、生波形の比較、図9、図10、図11に、通過帯域0.5〜5.0Hzのバンドパスフィルタ処理を施した波形、図12、図13、図14に高速フーリエ変換した結果の比較を示す。
図6〜図8から、点Aから離れるほど取得波形の振幅が小さくなることがわかる。また、バンドパスフィルタ処理を施した場合も、母体呼吸に対応する変動が確認し辛くなる。しかし、図12〜14から、点B1、B2、B3でも点Aと同様に胎児心拍数に対応するピークが確認できることから、胎児心拍数の最聴取得部から、10cm程度の範囲でFBGセンサによる胎児心拍測定が可能であることが示された。
実験1では、妊娠後期の妊婦1名の協力のもと、FBGセンサによる胎児心拍測定が可能か検討した。バンドパスフィルタ処理および高速フーリエ変換により、FBGセンサにより胎児心拍測定が可能であることが示された。また、妊婦心拍数及び呼吸の測定も可能であることが示された。胎児心拍の測定可能範囲の検討では、最聴取得部から10cm程度離れた点からも最聴取得部と遜色なく胎児心拍測定が可能であることが示された。
<実験2:適応フィルタを用いた胎児信号の抽出>
(目的)
FBGセンサを妊婦の腹部と胸部の2点に固定し測定を行う。各点での取得信号と適応フィルタを利用し、胎児信号の抽出を行った。なお、胸部では母体信号が、腹部では母体信号と胎児信号が得られるものと仮定した。
(実験方法)
図15に示すように、FBGセンサ2の第1センサと第2センサをそれぞれ腹部と胸部に、医療用テープで固定し、測定を行う。胎児心拍数の参照値は実験1と同様に取得する。被験者は2名、FBGセンサのサンプリング周波数10kHz、測定姿勢はセミファーラ位、もしくは左側臥位、測定時間は1回約10秒とする。
(実験結果:FBGセンサの取得波形)
実験2で取得した生波形に通過帯域0.5〜5.0Hzのバンドパスフィルタを施し、最大値を1、最小値を0として、規格化を行った。規格化後の信号を図16に示す。
腹部、胸部で取得した波形から母体の呼吸による変動が確認できる。これら2つの信号を用いて適応フィルタ処理を施した結果を図17に示す。
図17から多くのピークが確認できるが、それらが何を表すか明確でないため高速フーリエ変換を行った。その結果を図18に示す。
2Hz付近にピークが見られ、参照胎児心拍は120bpmであることから、このピークは胎児心拍のものであると考えられる。また、0.5Hz、1.5Hz付近にピークが見られるが、これらは母体呼吸数、母体心拍を示していると考えられる。このことから、今回用いた適応フィルタでは完全には母体信号を取り除くことができていないと言える。
実験2では、FBGセンサを胸部、腹部に貼り付けて測定を行い、適応フィルタによる胎児信号の抽出を試みた。胸部、腹部ともに母体呼吸数による信号の変化が確認できた。また、適応フィルタによる胎児心拍の抽出が可能であることが示された。適応フィルタ条件を適切に設定し、適応フィルタ適用前の信号処理を適切に行うことで、明確な胎児信号の抽出が可能になる。
<実験3:胎児心拍の連続的測定>
(目的)
FBGセンサを妊婦の腹部に固定し、測定を行い、取得した波形から胎児心拍の連続的測定を試みた。
(実験方法)
胎児心拍の参照値は、実験1の場合と同様に、アクトカルディオグラフMT−610を妊婦の下腹部に固定し、取得する。FBGセンサを胎児心拍の最聴取得部に医療用テープを用いて固定し、測定を行う。被験者は1名、FBGセンサのサンプリング周波数10kHz、測定姿勢はセミファーラ位、測定時間は約100秒である。図19に実験の様子と測定部位を示す。
胎児心拍数の測定は次のように行う。取得波形にバンドパスフィルタ(通過帯域0.5〜5.0Hz)を施し、フィルタを通して得られる測定波形を10秒ごとに分割する。分割された波形データをそれぞれ高速フーリエ変換する。実験3での胎児心拍数が120〜160bpmであったことから、周波数2.0〜2.7Hzの範囲で最大のピーク値をとる周波数を求める。上記の実験1、2の場合と同じく、周波数ピーク値に60を乗算して得られる値を胎児心拍数とする(例:周波数2.0Hzの場合、2.0×60=120bpm)。
(実験結果)
図20に、予測値(FBGセンサ信号から上記手順により求めた胎児心拍数の算出値)と、参照値(アクトカルディオグラフMT−610による測定値)の比較を示す。予測値は、参照値に比べ10bpm程度小さくなっているものの、胎児心拍数の変動におおむね追従する結果となった。
実験3では妊娠後期の妊婦1名の協力のもと、FBGセンサによる胎児心拍測定を行った。バンドパスフィルタ処理および高速フーリエ変換により、FBGセンサ信号から経時的な胎児心拍数の予測を試みた。その結果、参照値と多少のずれはあるものの心拍数の変動におおむね追従することが確認された。適切な信号処理を行うことで、実用可能な精度での胎児心拍数の連続的測定の可能性が示された。
<実験4:ファブリ・ぺロー干渉計型FBGセンサを用いた実験>
(目的)
本実験では、マハツェンダ干渉計型FBGセンサ(M−FBGセンサ)を用いた測定よりも感度の高いファブリ・ぺロー干渉計型FBGセンサ(FP−FBGセンサ)を用いて測定を行った。M−FBGセンサとFP−FBGセンサを妊婦の腹部に固定し測定を行い、両センサから取得したデータを用いて胎児心拍数を予測し、結果を比較した。
(実験方法)
図21に実験の様子を示す。胎児心拍数の参照値はアクトカルディオグラフMT610により取得した。M−FBGセンサとFP−FBGセンサを胎児心拍の最聴取得部に医療用テープで固定し測定を行った。M−FBGセンサのサンプリング周波数10kHz、FP−FBGセンサのサンプリング周波数は1kHz、測定姿勢はセミファーラ位である。
(胎児心拍数の予測方法)
取得データに通過帯域0.5〜5.0Hzのバンドパスフィルタを施し、測定データを1秒ずつずらしながら30秒毎に分割する。その分割データをそれぞれ高速フーリエ変換し、参照胎児心拍数の周波数帯域でのピークを検出する。最大ピーク値をとる周波数に60を乗算したものを胎児心拍数とした。
(実験結果)
図22は、予測値(算出値)と参照値の比較を示す波形図である。どちらの結果も、参照値と比べ予測値が小さくなっているが、値の変動は類似している。また、M−FBGセンサで取得したデータから予測した胎児心拍数とFP−FBGセンサで取得したデータから予測した胎児心拍数を比較すると、FP−FBGセンサを用いた予測値の方が参照値により近い値をとる。
本実験4では、M−FBGセンサとFP−FBGセンサを用いて同時測定を行い、胎児心拍数の経過的な予測を試みた。その結果、FP−FBGセンサで測定したデータから算出した予測胎児心拍数のほうがM−FBGセンサで測定したデータから算出した予測値より参照値に近い値をとることが確認された。このことから胎児心拍数を予測するにはFP−FBGセンサの方が適していると考えられる。なお、母体信号と胎児信号を分離するためには、複数点センサ部をもつFP−FBGセンサを用いたデータ取得を行えばよい。
<実験5:独立成分分析による胎児心拍波形の抽出>
(目的)
多点FBGセンサにより取得したデータに対して独立成分分析を施すことで、胎児心拍波形を抽出可能か検討した。
(実験方法)
胎児心拍数の参照値はアクトカルディオグラフMT610により取得した。多点FBGセンサを妊婦の腹部に医療用テープで固定し同時多点測定を行った。本実験では、波長掃引方式(SmartFibres)を用いての10点の同時測定を行った。取得データ(測定脈波)を用いて独立成分分析を行い、胎児心拍波形を抽出可能か検討した。図23にセンサの貼り付け位置を示す。サンプリング周波数1kHz、測定姿勢はセミファーラ位である。
(実験結果)
妊婦の胎動やセンサ部の曲げによる光の減衰により、信号の取得が難しかった。以下は測定可能であった範囲のみを選択し、処理を行った結果を示している。図24にそれぞれのセンサ部から取得した信号に通過帯域0.5〜5.0Hzのバンドパスフィルタを施した結果を示す。これらの信号を用いて独立成分分析を行った結果を図25に示す。この結果から、母体心拍と思われる信号が抽出できることが確認できる。しかし、胎児心拍と思われる信号の抽出は難しかった。そこで、バンドパスフィルタの通過帯域を狭め、同様に独立成分分析を適用した。その結果を図26に示す。胎児心拍に対応すると思われる信号が抽出された。
なお、分離された信号には、胎児心拍とは異なる信号ノイズが含まれていると考えられるため、さらに信号処理を加えて、胎児心拍波形(胎児心拍数)を明瞭にすることが望ましい。
本実験5では、多点FBGセンサより得られたデータ(測定脈波)を用いて独立成分分析を行い、胎児心拍信号の抽出を試みた。センサ部の配置を適切に行い、出力光を強化することが望ましいことが確認された。また、独立成分分析に使用するデータの前処理を適切に行うことが望ましいことが確認された。さらに、精度良く胎児心拍波形または胎児心拍数を得るためには、信号の分離だけでなく、信号分離後に、さらに信号処理を加えることが望ましいことが確認された。
1 監視システム
2 FBGセンサ
3 測定装置
4 制御部
5 バンドパスフィルタ
6 信号解析部
7 算出部
8 記憶部
9 表示部
10 入力部
20 妊婦
21 腹部表面

Claims (8)

  1. 妊婦の腹部表面に取り付けたFBGセンサによって得られる測定脈波を、コンピュータを中心に構成される測定装置に取り込み、
    前記測定装置において、前記測定脈波から、少なくとも胎児心拍に起因する脈波成分を抽出し、抽出した前記脈波成分に信号処理を施して胎児心拍数を算出することを特徴とする胎児心拍数測定方法。
  2. 請求項1に記載の胎児心拍数測定方法において、
    前記脈波成分を抽出するステップは、前記測定脈波を、予め定めた通過帯域特性のバンドパスフィルタに通して胎児心拍に起因しないノイズ成分を除去して前記脈波成分を抽出するノイズ除去ステップを含み、
    前記脈波成分から前記胎児心拍数を算出するステップは、
    前記脈波成分に対する信号処理として高速フーリエ変換を施して周波数解析を行なう周波数解析ステップ、および
    前記周波数解析の結果から、予め定めた胎児心拍周波数帯域内に現れるピーク周波数を求め、当該ピーク周波数から胎児心拍数を算出する算出ステップを含んでいる胎児心拍数測定方法。
  3. 請求項2に記載の胎児心拍数測定方法において、
    前記脈波成分に基づき前記胎児心拍数を算出するステップでは、
    前記バンドパスフィルタを通して得られる前記脈波成分を、設定した時間幅に分割し、分割された前記脈波成分の波形データのそれぞれに高速フーリエ変換を施して、前記胎児心拍数の経時的変化を算出する胎児心拍数測定方法。
  4. 請求項2に記載の胎児心拍数測定方法において、
    前記測定脈波と共に、妊婦の胸部表面に取り付けた第2FBGセンサによって得られる第2測定脈波を前記測定装置に取り込み、
    前記ノイズ除去ステップでは、同時に取得した前記測定脈波および前記第2測定脈波を前記バンドパスフィルタに通して、胎児心拍、母体心拍および母体呼吸に起因しないノイズ成分を除去して、前記測定脈波から前記脈波成分を抽出すると共に前記第2測定脈波から第2脈波成分を抽出し、
    前記ノイズ除去ステップの次に、前記脈波成分および前記第2脈波成分を、それぞれ、波長変位の最大値を1、最小値を0として規格化する規格化ステップを行い、
    規格化後の前記脈波成分および規格化後の前記第2脈波成分に対して適応フィルタ処理を施して、前記脈波成分から、母体心拍および母体呼吸に起因する信号成分を除去して、胎児心拍信号を抽出する適用フィルタ処理ステップを行い、
    前記周波数解析ステップでは、前記胎児心拍信号に高速フーリエ変換を施して得られる周波数スペクトルのスペクトル解析を行い、前記胎児心拍周波数帯域内においてスペクトル強度のピークが現れる周波数成分を抽出し、
    前記算出ステップでは、前記周波数成分に基づき胎児心拍数を算出する胎児心拍数測定方法。
  5. 請求項1に記載の胎児心拍数測定方法において、
    前記脈波成分を抽出するステップは、前記測定脈波を、予め定めた通過帯域特性のバンドパスフィルタに通してノイズ成分を除去して前記脈波成分を抽出するノイズ除去ステップを含み、
    前記脈波成分から前記胎児心拍数を算出するステップは、
    前記脈波成分に対する信号処理として独立成分分析を施して胎児心拍に対応する成分を抽出する独立成分分析ステップ、および
    前記独立成分分析によって抽出された前記成分から胎児心拍数を算出する算出ステップを含んでいる胎児心拍数測定方法。
  6. 請求項1ないし5のうちのいずれか一つの項に記載の胎児心拍数測定方法において、
    前記妊婦の前記腹部表面における最聴取得部の位置を想定し、当該位置を中心とする所定距離内の任意の位置に取り付けた前記FBGセンサによって得られる前記測定脈波を、前記測定装置に取り込む胎児心拍数測定方法。
  7. 請求項1ないし6のうちのいずれか一つの項に記載の胎児心拍数測定方法において、
    前記FBGセンサとして、ファブリ・ぺロー干渉計型FBGセンサを用いる胎児心拍数測定方法。
  8. 妊婦の腹部表面に取り付けたFBGセンサによって得られる測定脈波を、コンピュータを中心に構成される測定装置に取り込む脈波測定ステップと、
    前記測定装置において、前記測定脈波から、少なくとも胎児心拍に起因する脈波成分を抽出し、抽出した前記脈波成分に信号処理を施して胎児心拍数を算出する胎児心拍数算出ステップと
    を含んでおり、
    前記胎児心拍数算出ステップは、
    前記測定脈波から、胎児心拍、母体心拍および母体呼吸に直接には起因しない信号成分を除去して脈波成分を抽出するノイズ除去ステップと、
    前記脈波成分に高速フーリエ変換を施して周波数解析を行う解析ステップと、
    前記周波数解析に基づき、胎児心拍数、母体心拍数および母体呼吸数を算出する算出ステップと
    を含んでおり、
    前記ノイズ除去ステップは、前記測定脈波を、予め定めた通過帯域特性のバンドパスフィルタに通すフィルタ処理ステップであり、
    前記解析ステップは、前記脈波成分に高速フーリエ変換を施して得られる周波数スペクトルのスペクトル解析を行い、予め定めた胎児心拍周波数帯域内においてスペクトル強度のピークが現れる第1周波数成分と、予め定めた母体心拍周波数帯域内においてスペクトル強度のピークが現れる第2周波数成分と、予め定めた母体呼吸周波数帯域内においてスペクトル強度のピークが現れる第3周波数成分とを抽出し、
    前記算出ステップは、前記第1周波数成分に基づき胎児心拍数を算出し、前記第2周波数成分に基づき母体心拍数を算出し、前記第3周波数成分に基づき母体呼吸数を算出することを特徴とする胎児および母体の同時監視方法。
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