JP2020137707A - 審美用マウスピースの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用者の歯列にフィットさせやすく、薄めに形成することもでき、装着時の使用者の違和感を軽減することや、装着時の見た目が自然で審美性が高い審美用マウスピースを提供する。【解決手段】使用者の歯列模型70を作製する歯列模型作製工程と、熱可塑性樹脂シート11を軟化した状態で歯列模型の外面に被せる樹脂シート被覆工程と、熱可塑性樹脂シートを吸引して歯列模型の外面に密着させる樹脂シート吸引工程と、熱可塑性樹脂シートを硬化させる樹脂シート硬化工程と、造形材料12を熱可塑性樹脂シートの外面に固着させる造形材料固着工程と、造形材料を整形して歯列表面を造形する造形材料整形工程とを経て審美用マウスピース10を製造する。【選択図】図6

Description

本発明は、歯を美しく見せるために歯列に被せて使用される審美用マウスピースの製造方法に関する。
歯の黄ばみやくすみを気にしている人は多く、近年、歯のホワイトニングを行う人も増えてきている。しかし、ホワイトニングは、歯のエナメル質に沈着した着色成分を薬剤により分解して漂白する技術である。このため、ホワイトニングによって短期間で歯を白くしようとすると、強い薬剤を使用する必要があり、歯の知覚過敏等が生ずるリスクが高くなる。したがって、ホワイトニングにおける薬剤による処置は、薬剤の強さを抑えながら複数回に分けて行うことが一般的となっている。また、ホワイトニングによって歯が白くなったとしても、薬剤による処置を定期的に行っていないと、歯が元の色に戻ってしまう。このように、ホワイトニングには、薬剤による定期的な処置が必要であり、それを行う人の負担が大きいという欠点や、歯が白くなるまでにある程度の期間を要するという欠点がある。
このような実状に鑑みてか、これまでには、歯列に被せて使用する審美用マウスピースが提案されている。例えば、特許文献1の図1には、熱可塑性樹脂であるアセタルの射出成形品からなる歯列カバー10が記載されている。この種の審美用マウスピースは、それを一旦作製しさえすれば、後はそれを歯列に被せるという簡単な作業を行うだけで、白い歯を手軽に手に入れることができるという利点を有している。また、審美用マウスピースは、それに汚れ等が付着してメンテナンスが必要になった場合であっても、それを歯列から取り外すことで、容易にメンテナンスできるという利点も有している。
特開2008−054989号公報
しかし、特許文献1の歯列カバー(審美用マウスピース)は、射出成形品であるため、使用者の歯列にフィットできる形状にしにくいだけでなく、厚みを小さく抑えることが難しい。このため、特許文献1の歯列カバー(審美用マウスピース)は、装着時に使用者が違和感を生じやすいという欠点や、装着時の見た目が不自然になりやすいという欠点を有している。
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、使用者の歯列にフィットさせやすく、薄めに形成することもでき、装着時の使用者の違和感を軽減することや、装着時の見た目が自然で審美性が高い審美用マウスピースを提供することを目的とする。
上記課題は、
審美用マウスピースの製造方法であって、
使用者の歯列模型を作製する歯列模型作製工程と、
熱可塑性樹脂シートを軟化した状態で歯列模型の外面に被せる樹脂シート被覆工程と、
熱可塑性樹脂シートを吸引して歯列模型の外面に密着させる樹脂シート吸引工程と、
熱可塑性樹脂シートを硬化させる樹脂シート硬化工程と、
造形材料を熱可塑性樹脂シートの外面に固着させる造形材料固着工程と、
造形材料を整形して歯列表面を造形する造形材料整形工程と
を経ることを特徴とする審美用マウスピースの製造方法
を提供することによって解決される。
本発明の審美用マウスピースの製造方法では、軟化した熱可塑性樹脂シートを吸引して歯列模型の外面(使用者の歯列の外面)に密着させる工程(樹脂シート吸引工程)を設けたため、使用者の歯列にフィットしやすい審美用マウスピースを得ることが可能となっている。また、審美用マウスピースの基層部が熱可塑性樹脂シートで形成されるようになることに加えて、その熱可塑性樹脂シートは、樹脂シート吸引工程における吸引で引き伸ばされてさらに薄くなるため、審美用マウスピースを薄く形成することもできる。このため、装着時の使用者の違和感を軽減することや、装着時の見た目を自然にすることも可能となっている。
本発明の審美用マウスピースの製造方法において、造形材料固着工程は、熱可塑性樹脂シート(審美用マウスピースの基層部)の外面に造形材料を固着できるのであれば、その具体的な方法を特に限定されない。造形材料固着工程では、熱可塑性樹脂シート(審美用マウスピースの基層部)の外面に、造形材料をそのまま接着するようにしてもよい。しかし、造形材料と熱可塑性樹脂シート(審美用マウスピースの基層部)との接着強度が弱いと、審美用マウスピースの使用を重ねるうちに、造形材料が熱可塑性樹脂シート(審美用マウスピースの基層部)の外面から剥がれ落ち、審美用マウスピースの見た目が悪くなるおそれがある。
このため、本発明の審美用マウスピースの製造方法においては、
造形材料固着工程を、
熱可塑性樹脂シートの外面に接着用前処理を施す接着用前処理工程と、
熱可塑性樹脂シートの外面に対して接着剤を用いて造形材料を接着する造形材料接着工程と
を経て行うようにすることが好ましい。
これにより、熱可塑性樹脂シート(審美用マウスピースの基層部)に対して造形材料を強固に接着することが可能になる。
この場合における接着用前処理としては、接着強度を機械的に高める処理(粗面化処理等)と、接着強度を化学的に高める処理とが挙げられる。この点、本発明の審美用マウスピースの製造方法においては、接着用前処理を、シリカコーティングされたアルミナ粒子を熱可塑性樹脂シートの外面に衝突させて熱可塑性樹脂シートにシリケート層を形成するものとし、造形材料接着工程で使用する接着剤としてシランカップリング剤を用いることが好ましい。これにより、熱可塑性樹脂シート(審美用マウスピースの基層部)と接着剤との接着強度を機械的に高めるだけでなく、化学的に高めることも可能になり、熱可塑性樹脂シート(審美用マウスピースの基層部)に対して造形材料をより強固に接着することが可能になる。
本発明の審美用マウスピースの製造方法において、造形材料は、審美用マウスピースとして必要な強度を発揮でき、口腔内に使用することができるものであれば、その素材を特に限定されないが、光重合型の歯科用コンポジットレジンを用いることが好ましい。光重合型の歯科用コンポジットレジンは、それに光を照射して硬化させるまでの間であれば形を容易に変えることができる。このため、光重合型の歯科用コンポジットレジンを造形材料として使用すると、造形材料固着工程や造形材料整形工程を容易に行うことができるからである。
本発明の審美用マウスピースの製造方法において、熱可塑性樹脂シートの厚さをどの程度とするのかは特に限定されない。しかし、既に述べたように、本発明の審美用マウスピースの製造方法は、熱可塑性樹脂シート(審美用マウスピースの基層部)を薄く形成できるという利点を有している。このため、熱可塑性樹脂シートは、薄くすることが好ましく、具体的には、軟化前の厚さで2mm以下とすることが好ましい。熱可塑性樹脂シートの軟化前の厚さは、1.5mm以下とすることがより好ましい。熱可塑性樹脂シートは、樹脂シート吸引工程によって引き伸ばされるため、樹脂シート吸引工程を終えた後にはさらに薄く(1/2程度に)なる。
ただし、熱可塑性樹脂シートを薄くしすぎると、審美用マウスピースの基層部が薄くなりすぎて、審美用マウスピースとして必要な強度を確保しにくくなるおそれがある。このため、熱可塑性樹脂シートは、軟化前の厚さで0.5mm以上とすることが好ましい。熱可塑性樹脂シートの軟化前の厚さは、0.7mm以上とすることがより好ましい。
以上のように、本発明によって、使用者の歯列にフィットさせやすく、薄めに形成することもでき、装着時の使用者の違和感を軽減することや、装着時の見た目が自然で審美性が高い審美用マウスピースを提供することが可能になる。
本発明に係る審美用マウスピースを使用者の歯列に装着する様子を示した斜視図である。 本発明に係る審美用マウスピースを使用者の歯列に装着した状態を歯列方向に垂直な断面で切断して示した図である。 本発明に係る審美用マウスピースの製造方法を説明するフロー図である。 本発明に係る審美用マウスピースの製造方法において、樹脂シート被覆工程を終えた状態を、歯列模型の歯列方向に垂直な平面で切断して示した断面図である。 本発明に係る審美用マウスピースの製造方法において、樹脂シート吸引工程を終えた状態を、歯列模型の歯列方向に垂直な平面で切断して示した断面図である。 本発明に係る審美用マウスピースの製造方法において、造形材料固着工程を終えた状態を、歯列模型の歯列方向に垂直な平面で切断して示した断面図である。
本発明の審美用マウスピースの製造方法の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。以下においては、下顎側の歯列に装着する審美用マウスピース(下側の審美用マウスピース)を製造する場合を例に挙げて、本発明の審美用マウスピースの製造方法を説明し、上顎側の歯列に装着する審美用マウスピース(上側の審美用マウスピース)の製造方法については説明を割愛する。しかし、上側の審美用マウスピースも、下側の審美用マウスピースと同様の方法で製造することができる。
1.本発明の概要
図1は、本発明に係る審美用マウスピース10を使用者の歯列50に装着する様子を示した斜視図である。図2は、本発明に係る審美用マウスピース10を使用者の歯列50に装着した状態を歯列方向に垂直な断面で切断して示した図である。本発明は、図1に示すように、使用者の歯列50に被せて使用する審美用マウスピース10を製造するものとなっている。
この審美用マウスピース10は、歯列50を覆う歯列被覆部10aと、歯肉60を覆う歯肉被覆部10bとで構成されている。本実施態様においては、図2に示すように、歯列被覆部10aを断面「U」字状(同図では逆「U」字状)に形成しており、その内部に歯列50を挿入することで、審美用マウスピース10を歯列50に被せた状態で装着できるようになっている。以下においては、歯列被覆部10aにおける、使用者の歯列50を挿入する部分を、「歯列挿入部」と呼ぶことがある。審美用マウスピース10をこのような形態とすることによって、装着時の審美用マウスピース10を安定させることができる。
また、審美用マウスピース10は、その断面(図2)で見た場合には、歯列50の外面に接触する基層部10cと、基層部10cの外面側に設けられた表層部10dとで構成されている。基層部10cは、熱可塑性樹脂シート11によって形成されており、ある程度の弾性を有している。また、表層部10dは、造形材料12によって形成され、審美用マウスピース10における、他人から見えやすい部分の外面の造形を行うための部分となっている。
歯列被覆部10aの表層部10dを形成する造形材料12は、白色かそれに近い色(綺麗な歯の色)に着色される。このため、審美用マウスピース10を歯列50に装着すると、歯列50の黄ばみやくすみを歯列被覆部10aで覆い隠し、使用者の歯を白く美しく見せることができる。一方、歯肉被覆部10bの表層部10dを形成する造形材料12は、歯肉60と同じ色かそれに近い色に着色される。ただし、後述するように、基層部10cを構成する熱可塑性樹脂シート11を無色透明のものとする場合には、歯肉被覆部10bにおける基層部10cを造形材料12で覆わないようにすることもできる。この場合には、歯肉被覆部10bが無色透明となり、歯肉被覆部10bを通じて使用者の歯肉60が見えるようにすることができる。
図3は、本発明に係る審美用マウスピースの製造方法を説明するフロー図である。本発明では、図3に示すように、歯列模型作製工程と、樹脂シート被覆工程と、樹脂シート吸引工程と、樹脂シート硬化工程と、造形材料固着工程と、造形材料整形工程とを経て、図1及び図2に示した審美用マウスピース10を製造する。以下、各工程について詳しく説明する。
2.歯列模型作製工程
歯列模型製造工程は、使用者の歯列模型70(後掲の図4を参照。)を作製する工程となっている。歯列模型70は、使用者の歯列50(図1)に倣った形状のものであれば、その製造方法を特に限定されないが、通常、使用者の歯列50の三次元形状を取得し、その歯列50の三次元形状に基づいて作製される。使用者の歯列50の三次元形状を取得する方法としては、印象材を用いて使用者の歯列50の型を採取する方法や、三次元形状計測装置を用いて使用者の歯列50の三次元形状を計測する方法等が挙げられる。
前者の場合(印象材を用いて歯列50の型を採取する場合)には、通常、複数本の歯(例えば下顎側の全部の歯)の型をまとめて採取する。印象材としては、アルギン酸印象材、寒天印象材又はシリコン印象材等が例示される。使用者の歯列50の三次元形状に倣って印象材に形成された凹部内に、歯列模型形成材料を流し込み、それを硬化させた後、印象材を取り除くことで使用者の歯列模型70を得ることができる。歯列模型形成材料は、特に限定されないが、通常、石膏が用いられる。石膏は、必然的に気泡が形成されるため、石膏で歯列模型70を作製すると、後述する樹脂シート吸引工程を行いやすくなるという利点がある。石膏としては、普通石膏、硬石膏又は超硬石膏等が例示される。
一方、後者の場合(三次元形状計測装置を用いて歯列50の三次元形状を計測する場合)には、三次元形状計測装置が計測したデータ(通常、電子データ)に基づいて、三次元プリンタ等の成形装置を動かすことで、使用者の歯列模型70を得ることができる。三次元形状計測装置としては、マイクロX線CT装置等のコンピュータ断層撮影装置や、口腔内カメラ等の表面撮影装置が例示される。しかし、コンピュータ断層撮影装置は、装置が大型で高価であることに加えて、マイクロX線CT装置等には、放射線被爆の危険性がある。これに対し、表面撮影装置は、コンピュータ断層撮影装置と比較して小型で安価であり、放射線被爆の危険性がないという利点を有している。
歯列模型作製工程を終えると、続いて、樹脂シート被覆工程を行う。
3.樹脂シート被覆工程
樹脂シート被覆工程は、図4に示すように、軟化させた熱可塑性樹脂シート11を、上記の歯列模型作製工程で作製した歯列模型70の外面に被せる工程となっている。図4は、樹脂シート被覆工程を終えた状態を、歯列模型70の歯列方向に垂直な平面で切断して示した断面図である。
既に述べたように、熱可塑性樹脂シート11は、審美用マウスピース10における基層部10c(図2)を形成するものとなっている。熱可塑性樹脂シート11は、熱可塑性樹脂をシート状に形成したものであれば、その素材を特に限定されない。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)や、ポリプロピレン(PP)や、ポリスチレン(PS)や、ポリウレタン(PU)や、アクリル樹脂(PMMA)等が例示されるが、人体への親和性や機械的強度等を考慮すると、ポリウレタン(PU)を好適に使用することができる。本実施態様においても、ポリウレタンからなるシートを、熱可塑性樹脂シート11として用いている。
熱可塑性樹脂シート11は、顔料等を練り込んで着色したものであってもよい。しかし、熱可塑性樹脂シート11を着色しても、後述する造形材料固着工程において、熱可塑性樹脂シート11の外面側に造形材料12(図2)が固着され、熱可塑性樹脂シート11における、造形材料12が固着された部分は見えなくなるため、あまり意味がない。加えて、既に述べたように、歯肉被覆部10b(図1)を無色透明にすると、使用者自身の歯肉60(図1)が見えるようになり、熱可塑性樹脂シート11(基層部10c)における、歯肉被覆部10bを形成する部分を、造形材料12で覆わなくても済むという利点(熱可塑性樹脂シート11のみで歯肉被覆部10bを形成できるという利点)がある。このため、熱可塑性樹脂シート11は、無色透明とすることが好ましい。
熱可塑性樹脂シート11の軟化前の厚さは、既に述べたように、0.5〜2mmの範囲とすることが好ましく、0.7〜1.5mmの範囲とすることがより好ましい。これにより、審美用マウスピース10を、必要な強度を有しながらも、使用者が装着したときの違和感が小さなものとすることができる。本実施態様において、熱可塑性樹脂シート11の軟化前の厚さは、約1mmとなっている。この熱可塑性樹脂シート11は、後述する樹脂シート吸引工程において引き伸ばされるため、審美用マウスピース10が完成した後では、軟化前よりも厚さが小さくなる。
樹脂シート被覆工程を終えると、続いて、樹脂シート吸引工程を行う。
4.樹脂シート吸引工程
樹脂シート吸引工程は、図5に示すように、熱可塑性樹脂シート11を吸引して歯列模型70の外面に密着させる工程となっている。図5は、樹脂シート吸引工程を終えた状態を、歯列模型70の歯列方向に垂直な平面で切断して示した断面図である。この樹脂シート吸引工程によって、審美用マウスピース10の基層部10cを形成する熱可塑性樹脂シート11を歯列模型70の外面に密着させ、得られる審美用マウスピース10を使用者の歯列50(図1)にフィットさせることができる。
熱可塑性樹脂シート11の吸引は、図5の矢印Aで示すように、歯列模型70の下側から行う。本実施態様においては、既に述べたように、気泡を有する石膏で歯列模型70を作製したため、熱可塑性樹脂シート11は、下側だけでなく、歯列模型70の気泡を通じて歯列模型70の側にも吸引されるようになるため、熱可塑性樹脂シート11を歯列模型70の外面に綺麗に対して密着させることができるようになっている。この樹脂シート吸引工程によって、熱可塑性樹脂シート11は、元の状態の1.5〜2.5倍程度(通常、2倍程度)に引き伸ばされ、厚さが元の状態の2/5〜2/3倍(通常、1/2倍程度)になる。
樹脂シート吸引工程を終えると、続いて、樹脂シート硬化工程を行う。
5.樹脂シート硬化工程
樹脂シート硬化工程は、熱可塑性樹脂シート11を硬化させる工程となっている。軟化した熱可塑性樹脂シート11は、冷却することによって硬化させることができる。熱可塑性樹脂シート11は、自然冷却してもよいし、冷風機等を用いて人工的に冷却してもよい。
樹脂シート硬化工程を終えると、続いて、造形材料固着工程を行う。
6.造形材料固着工程
造形材料固着工程は、図6に示すように、審美用マウスピース10の表層部10dを形成する造形材料12を、熱可塑性樹脂シート11(基層部10c)の外面に固着させる工程となっている。図6は、造形材料固着工程を終えた状態を、歯列模型70の歯列方向に垂直な平面で切断して示した断面図である。
造形材料固着工程は、熱可塑性樹脂シート11(基層部10c)の外面に造形材料12を固着できるのであれば、その具体的な方法を特に限定されないが、本実施態様においては、図3に示すように、造形材料固着工程を、接着用前処理工程と造形材料接着工程とを経るものとしている。
6.1 接着用前処理工程
接着用前処理工程は、図6に示す熱可塑性樹脂シート11(基層部10c)の外面に接着用前処理を施す工程である。これにより、熱可塑性樹脂シート11(基層部10c)の外面に接着剤13が強固に接着するようにして、熱可塑性樹脂シート11(基層部10c)に対して造形材料12(表層部10d)を強固に接着することが可能になる。したがって、審美用マウスピース10の使用を重ねても、造形材料12(表層部10d)が熱可塑性樹脂シート11(基層部10c)から剥がれ落ちないようにすることができる。
既に述べたように、接着用前処理としては、接着強度を機械的に高める処理(粗面化処理等)と、接着強度を化学的に高める処理とが挙げられるところ、本実施態様においては、シリカコーティングされたアルミナ粒子を熱可塑性樹脂シート11(基層部10c)の外面に衝突させて熱可塑性樹脂シート11(基層部10c)にシリケート層を形成するようにしている。この種の接着用前処理は、「ロカテック処理」と呼ばれている。歯科分野においては、金属やセラミックに対してロカテック処理を行うことはあるものの、樹脂に対してロカテック処理を行うことは殆どなく、この点において、本実施態様の審美用マウスピース10の製造方法は、非常に斬新なものとなっている。
接着用前処理工程を終えると、続いて、造形材料接着工程を行う。
6.2 造形材料接着工程
造形材料接着工程は、図6に示すように、熱可塑性樹脂シート11(基層部10c)の外面に対して接着剤13を用いて造形材料12(表層部10d)を接着する工程となっている。これにより、造形材料12(表層部10d)を熱可塑性樹脂シート11(基層部10c)の外面に固着することができる。
接着剤13の種類は、特に限定されず、歯科分野において使用されている各種の接着用の材料を接着剤13として用いることができる。しかし、本実施態様においては、上記の接着用前処理工程としてロカテック処理を行っている。このロカテック処理は、接着剤13として、エスペジル等のシランカップリング剤を用いる場合に大きな効果が奏されるものとなっている。このため、本実施態様においても、エスペジル(シランカップリング剤)を接着剤13として用いている。これにより、熱可塑性樹脂シート11(基層部10c)と接着剤13との一体性をさらに高めることができる。
また、造形材料12の種類も、特に限定されず、歯科分野において使用されている各種の造形用の材料を造形材料12として用いることができるが、光重合型の歯科用コンポジットレジンを造形材料12として用いることが好ましい。これにより、造形材料12に光を照射することで造形材料12を硬化させることができ、熱可塑性樹脂シート11(基層部10c)に対する造形材料12の塗布作業(接着作業)を行いやすくすることができる。光重合型の歯科用コンポジットレジンとしては、例えば、Ivоclar Vivadent社(スイス)の歯科用コンポジットレジン「IPS Empress Direct」が例示される。
既に述べたように、歯列被覆部10a(図2)を覆う部分の造形材料12は、白系色(美しい歯の色)に着色され、歯肉被覆部10b(図2)を覆う部分の造形材料12は、歯肉の色(朱色等)に着色される。実際の造形材料12の色は、使用者の顔貌や好みに合わせて適宜決定する。審美用マウスピース10は、「使用者の歯の色を美しく見せる」という機能のみを発揮できるものにしようとすると、歯肉被覆部10bを設ける必要は特になく、歯列被覆部10aのみを有するものとすることもできるところ、歯列被覆部10aに加えて歯肉被覆部10bも有するものとし、歯列被覆部10a及び歯肉被覆部10bの双方を造形材料12で覆うことによって、使用者の歯の色だけでなく、歯茎(歯肉)の色も綺麗に見せることが可能になる。ただし、歯肉被覆部10b(図2)を造形材料12で覆わずに、審美用マウスピース10の装着時においても、使用者の歯肉60(図2)が見えるようにする場合もある。
造形材料12が硬化すると、造形材料接着工程が完了し、造形材料固着工程も完了する。このときには、熱可塑性樹脂シート11(基層部10c)に対して造形材料12(表層部10d)が強固に接着された状態となっており、審美用マウスピース10は、殆ど曲がらない程度に硬くなっている。造形材料固着工程を終えると、続いて、造形材料整形工程を行う。
7.造形材料整形工程
造形材料成形工程は、造形材料12を整形する工程となっている。これにより、審美用マウスピース10の外面の形状を、使用者の実際の歯列50(図1)の外面形状に近くすることができ、審美用マウスピース10の見た目をより自然にすることができる。造形材料12の整形は、通常、歯科用ドリル等を用いて造形材料12を研磨すること等により行われる。
造形材料成形工程は、審美用マウスピース10を歯列模型70に取り付けた状態のまま行う場合もあるし、審美用マウスピース10を歯列模型70から取り外した状態で行う場合もある。また、造形材料成形工程は、審美用マウスピース10を歯列模型70に取り付けた状態や歯列模型70から取り外した状態で粗の整形を行った後、その審美用マウスピース10を使用者の歯列50(図1)に実際に装着して微調整という形で行う場合もある。
造形材料成形工程において、造形材料12の外表面は、歯列模型70の外面形状に倣った形状に整形してもよいが、この場合には、使用者の歯並びが悪い場合や歯茎の形が悪い場合に、その悪い歯並びや形の悪い歯茎が審美用マウスピース10にそのまま再現されるようになる。このため、造形材料12の外表面は、実際の歯や歯茎よりも整った形状に成形することが好ましい。これにより、使用者の歯や歯茎の色だけでなく、歯並びや歯茎の形も綺麗に見せることができる審美用マウスピース10を得ることが可能になる。
このように、造形材料12の外表面は、ある程度自由に整形することができる。既に述べたように、歯肉被覆部10bを無色透明とし、審美用マウスピース10を歯列50(図2)に装着した際に、使用者の歯肉60(図2)が歯肉被覆部10bを通じて見えるようにする場合には、造形材料固着工程では、歯列被覆部10aのみに造形材料12を接着し、その造形材料12の整形のみを行うようになる。
しかし、歯列被覆部10aのみに整形を行う(歯だけを綺麗に並べて整形する)と、審美用マウスピース10における歯列被覆部10aと歯肉被覆部10bとの境界部分に不自然な段差が形成される虞がある。このため、歯列被覆部10a及び歯肉被覆部10bの双方に成形材料12を接着し、双方の整形を行うようにすることが好ましい。この際には、歯肉被覆部10bの整形を先に済ませてから、歯列被覆部10aの整形を行うようにすると、上記の段差を目立ちにくくしやすく、整形作業をスムーズに行うことが可能になる。加えて、先に歯肉被覆部10bの整形を行うことで、歯列被覆部10aの寸法や形状の自由度も高くできる。
造形材料成形工程を終えると、本実施態様の審美用マウスピース10の製造方法が完了する。得られる審美用マウスピース10は、使用者の歯列50にフィットさせやすく、装着時の使用者の違和感を軽減することが可能なものとなっている。また、得られる審美用マウスピース10は、装着時の見た目が自然で審美性が高いものとなっている。
8.その他
ところで、本発明の審美用マウスピース10の製造方法では、審美用マウスピース10の基層部10cを形成する熱可塑性樹脂シート11を、上記の樹脂シート吸引工程で吸引して歯列模型70の外面に密着させるところ、歯列模型70の寸法や形状は、一様ではなく、人によってかなりバラつきがある。加えて、熱可塑性樹脂シート11を吸引する際の熱可塑性樹脂シート11の引き伸ばしにもバラつきが生じる。このため、上記の樹脂シート被覆工程で歯列模型70に被せる熱可塑性樹脂シート11は、余裕のある寸法のものを使用する。したがって、樹脂シート吸引工程や樹脂シート硬化工程を終えた後の熱可塑性樹脂シート11には、図6の破線部で示されるように、審美用マウスピース10に使用されない余剰部11aができるようになる。したがって、審美用マウスピース10の完成までに、この余剰部11aを切除する必要がある。
余剰部11aを切除するタイミングは、それが形成された後(樹脂シート吸引工程を終えた後)であれば、特に限定されない。本実施態様においては、上記の造形材料成形工程において、造形材料12の整形を行って審美用マウスピース10の概形をつくるときに余剰部11aを切除するようにしている。
10 審美用マウスピース
10a 歯列被覆部
10b 歯肉被覆部
10c 基層部
10d 表層部
11 熱可塑性樹脂シート
11a 余剰部
12 造形材料
13 接着剤
50 歯列
60 歯肉
70 歯列模型

Claims (5)

  1. 審美用マウスピースの製造方法であって、
    使用者の歯列模型を作製する歯列模型作製工程と、
    熱可塑性樹脂シートを軟化した状態で歯列模型の外面に被せる樹脂シート被覆工程と、
    熱可塑性樹脂シートを吸引して歯列模型の外面に密着させる樹脂シート吸引工程と、
    熱可塑性樹脂シートを硬化させる樹脂シート硬化工程と、
    造形材料を熱可塑性樹脂シートの外面に固着させる造形材料固着工程と、
    造形材料を整形して歯列表面を造形する造形材料整形工程と
    を経ることを特徴とする審美用マウスピースの製造方法。
  2. 造形材料固着工程が、
    熱可塑性樹脂シートの外面に接着用前処理を施す接着用前処理工程と、
    熱可塑性樹脂シートの外面に対して接着剤を用いて造形材料を接着する造形材料接着工程と
    を経て行われる請求項1記載の審美用マウスピースの製造方法。
  3. 接着用前処理が、シリカコーティングされたアルミナ粒子を熱可塑性樹脂シートの外面に衝突させて熱可塑性樹脂シートにシリケート層を形成するものとされ、
    造形材料接着工程で使用する接着剤としてシランカップリング剤を用いる
    請求項2記載の審美用マウスピースの製造方法。
  4. 造形材料として光重合型の歯科用コンポジットレジンを用いる請求項1〜3いずれか記載の審美用マウスピースの製造方法。
  5. 熱可塑性樹脂シートとして厚さが0.5〜2mmのものを使用する請求項1〜4いずれか記載の審美用マウスピースの製造方法。
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