JP2020137040A - 位相制御装置、音響装置及び位相制御方法 - Google Patents

位相制御装置、音響装置及び位相制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】音像定位の偏りを改善するとともに、各スピーカから出力される音同士の干渉による音質劣化や音圧低下を抑える。【解決手段】位相制御装置を、複数のスピーカの各々から出力されて所定の聴取位置で時間的に非干渉なタイミングで収音された各音の信号のインパルス応答を測定する測定部と、測定されたスピーカ毎の音の信号のインパルス応答に対して振幅の閾値を設定する設定部と、複数のスピーカの中からインパルス応答の振幅が閾値を超えるまでにかかる時間が短いスピーカを検出する検出部と、検出されたスピーカに出力される音の信号の位相を周波数スペクトル毎に調節することによって、聴取位置における、複数のスピーカ間の音の干渉による弱めあいを、各周波数スペクトルで低減させるための、位相調節用データを生成する生成部とを備える構成とする。【選択図】図3

Description

本発明は、位相制御装置、音響装置及び位相制御方法に関する。
一般に、車室内には複数の位置にスピーカが設置されている。例えば、右ドア部(運転席側ドア部)の右フロントスピーカと左ドア部(助手席側ドア部)の左フロントスピーカは、車室空間の中心線を挟んで対称となる位置に設置されている。しかし、これらのスピーカは、リスナの聴取位置(運転席や助手席、後部座席など)を基準に考えると、対称となる位置にはない。
例えばリスナが運転席に座る場合、右フロントスピーカとリスナとの距離と、左フロントスピーカとリスナとの距離は等しい距離にはならない。右ハンドル車の場合、前者の距離が後者の距離よりも短い。そのため、両ドア部のスピーカから音が同時に出力されると、運転席に座るリスナの耳には、右フロントスピーカから出力された音が届き、その後、左フロントスピーカから出力された音が届くことが一般的である。リスナの聴取位置と複数のスピーカのそれぞれとの間の距離の差(各スピーカから放出された再生音が到達する時間の差)により、ハース効果による音像定位の偏りが発生する。
音像定位の偏りを改善する技術の一例として、各スピーカから出力される音をリスナ(聴取位置)に同時に到達させるようにスピーカチャンネル毎に遅延時間を設定するタイムアライメントが知られている。タイムアライメントを行う装置の具体的構成は、例えば特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載の装置は、スピーカチャンネル毎に遅延時間を設定するため、各スピーカから順次出力される音を所定の聴取位置で順次収音し、収音された各音からスピーカ毎のインパルス応答を測定する。特許文献1では、インパルス応答にローパスフィルタを適用して高周波ノイズを除去することによってインパルス応答の立ち上がり部分を高精度に検出することにより、各スピーカチャンネルに設定すべき遅延時間の計算精度を向上させている。
特開2005−341534号公報
車室内のような特殊なリスニング環境では、各スピーカから出力される音同士の干渉が発生しやすい。そのため、タイムアライメント等の音像を定位させる従来の技術だけでは、このような干渉によって周波数領域でのディップが発生し、ディップの発生による音質の劣化や音圧の低下を避けることが難しい。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、音像定位の偏りの改善とともに、各スピーカから出力される音同士の干渉による音質劣化や音圧低下を抑えることが可能な位相制御装置、音響装置及び位相制御方法を提供することである。
本発明の一実施形態に係る位相制御装置は、複数のスピーカの各々から出力されて所定の聴取位置で時間的に非干渉なタイミングで収音された各音の信号のインパルス応答を測定する測定部と、測定部によって測定されたスピーカ毎の音の信号のインパルス応答に対して振幅の閾値を設定する設定部と、複数のスピーカの中からインパルス応答の振幅が閾値を超えるまでにかかる時間が短いスピーカを検出する検出部と、検出部によって検出されたスピーカに出力される音の信号の位相を周波数スペクトル毎に調節することによって、聴取位置における、複数のスピーカ間の音の干渉による弱めあいを、各周波数スペクトルで低減させるための、位相調節用データを生成する生成部とを備える。
このように構成された位相制御装置によれば、音像定位の偏りの改善とともに、各スピーカから出力される音同士の干渉による音質劣化や音圧低下を抑えることが可能となる。
検出部は、複数のスピーカの中からインパルス応答の振幅が閾値を超えるまでにかかる時間が最も短いスピーカを検出する構成としてもよい。
このようにして検出されたスピーカに出力される音の信号の位相を周波数スペクトル毎に調節することにより、音像定位の偏りの改善とともに、各スピーカから出力される音同士の干渉による音質劣化や音圧低下をより一層抑えることが可能となる。
生成部は、検出部によって検出されたスピーカからの音の信号の位相を変え、位相を変える毎に、このスピーカからの音の信号と他のスピーカからの音の信号とを合成し、合成の結果に基づいて、検出部によって検出されたスピーカからの音の信号の位相調節量を周波数スペクトル毎に求めることにより、位相調節用データを得る構成としてもよい。
このような処理を実行することにより、音像定位の偏りの改善とともに、各スピーカから出力される音同士の干渉による音質劣化や音圧低下を抑えるのに好適な位相調節用データが得られる。
更に、生成部は、求めた周波数スペクトル毎の位相調節量を周波数軸上でスムージング処理し、スムージング処理された周波数スペクトル毎の位相調節量を位相調節用データとして得る構成としてもよい。
このような処理を実行することにより、周波数領域における位相の急激な変化が抑えられた位相調節用データが得られる。これにより、位相調節用データを用いて位相調節された音を出力した際、位相の急激な変化による高調波の発生が抑えられ、このような高調波による聴感上の異音が抑えられる。
位相調節用データは、例えば、検出部によって検出されたスピーカから出力される音の位相と他のスピーカから出力される音の位相とが聴取位置において各周波数スペクトルで同相となるように、検出部によって検出されたスピーカに出力される音の位相を周波数スペクトル毎に調節するためのデータである。
このような位相調節用データを用いて、各スピーカからの音の位相が聴取位置において各周波数スペクトルで同相となるように位相調節処理を行うことにより、音像定位の偏りの改善とともに、各スピーカから出力される音同士の干渉による音質劣化や音圧低下を抑えることがより一層可能となる。
設定部は、インパルス応答毎に、インパルス応答の最大値に応じて閾値を設定する構成としてもよい。
閾値をこのように設定することにより、位相制御の対象(位相調節が行われる対象)のスピーカを高い精度で検出することができる。
本発明の一実施形態に係る音響装置は、上記の位相制御装置を有し、音源から入力される音の信号を複数のスピーカに出力する装置であり、位相調節用データを用いて、音源から入力されてスピーカ(検出部によって検出されたスピーカ)に出力される音の信号の位相を周波数スペクトル毎に調節する調節部を備える構成としてもよい。
このように構成された音響装置によれば、音像定位の偏りの改善とともに、各スピーカから出力される音同士の干渉による音質劣化や音圧低下が抑えられた音の信号を複数のスピーカに出力することが可能となる。
本発明の別の一実施形態に係る音響装置は、音源から入力される音の信号を複数のスピーカに出力する装置であり、所定の聴取位置にて複数のスピーカ間の音の干渉による弱めあいが各周波数スペクトルで低減するように、複数のスピーカのうち、音源から入力されて特定のスピーカに出力される音の信号の位相を、周波数スペクトル毎に調節する調節部を備える構成としてもよい。特定のスピーカは、音を出力してから聴取位置で所定閾値を超える振幅が観測されるまでにかかる時間が複数のスピーカの中で短いスピーカである。
このように構成された音響装置によれば、聴取位置における音像定位の偏りの改善とともに、聴取位置において音同士の干渉による音質劣化や音圧低下が抑えられる音の信号を各スピーカに出力することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る、コンピュータによって実行される位相制御方法は、複数のスピーカの各々から出力されて所定の聴取位置で時間的に非干渉なタイミングで収音された各音の信号のインパルス応答を測定する測定ステップと、測定されたスピーカ毎の音の信号のインパルス応答に対して振幅の閾値を設定する設定ステップと、複数のスピーカの中からインパルス応答の振幅が閾値を超えるまでにかかる時間が短いスピーカを検出する検出ステップと、検出されたスピーカに出力される音の信号の位相を周波数スペクトル毎に調節することによって、聴取位置における、複数のスピーカ間の音の干渉による弱めあいを、各周波数スペクトルで低減させるための、位相調節用データを生成する生成ステップとを含む方法である。
このような位相制御方法によれば、音像定位の偏りの改善とともに、各スピーカから出力される音同士の干渉による音質劣化や音圧低下を抑えることが可能となる。
本発明の別の一実施形態に係る、コンピュータによって実行される位相制御方法は、音源から入力される音の信号を複数のスピーカに出力する音響装置によって実行される位相制御方法であり、所定の聴取位置にて複数のスピーカ間の音の干渉による弱めあいが各周波数スペクトルで低減するように、複数のスピーカのうち、音源から入力されて特定のスピーカに出力される音の信号の位相を、周波数スペクトル毎に調節する調節ステップを含む方法である。この特定のスピーカは、音を出力してから聴取位置で所定閾値を超える振幅が観測されるまでにかかる時間が複数のスピーカの中で短いスピーカである。
このような位相制御方法によれば、聴取位置における音像定位の偏りの改善とともに、聴取位置において音同士の干渉による音質劣化や音圧低下が抑えられる音の信号を各スピーカに出力することが可能となる。
本発明の一実施形態によれば、音像定位の偏りの改善とともに、各スピーカから出力される音同士の干渉による音質劣化や音圧低下を抑えることが可能な位相制御装置、音響装置及び位相制御方法が提供される。
本発明の一実施形態に係る音響システムが設置された車両を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態に係る音響システムの構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る音響システムで実行される位相調節用データ設定処理のフローチャートを示す図である。 本発明の一実施形態に係る音響システムに備えられる音響装置が有する計算部の構成を示すブロック図である。 図5(a)は、左フロントスピーカと聴取位置(運転席)間のインパルス応答を示す図であり、図5(b)は、右フロントスピーカと聴取位置間のインパルス応答を示す図である。 図6(a)は、左フロントスピーカと聴取位置間のインパルス応答をフーリエ変換することによって求まった周波数スペクトル毎の振幅特性を示す図であり、図6(b)は、右フロントスピーカと聴取位置間のインパルス応答をフーリエ変換することによって求まった周波数スペクトル毎の振幅特性を示す図である。 図7(a)は、左フロントスピーカと聴取位置間のインパルス応答をフーリエ変換することによって求まった周波数スペクトル毎の位相特性を示す図であり、図7(b)は、右フロントスピーカと聴取位置間のインパルス応答をフーリエ変換することによって求まった周波数スペクトル毎の位相特性を示す図である。 図8(a)は、左フロントスピーカと聴取位置間のインパルス応答の振幅をデシベル化したグラフを示し、図8(b)は、右フロントスピーカと聴取位置間のインパルス応答の振幅をデシベル化したグラフを示す。 本発明の一実施形態に係る計算部が有する位相制御部による合成処理の結果得られる振幅特性の一部を示す図である。 本発明の一実施形態において、各周波数スペクトルにおいて、右フロントスピーカからの音の位相と左フロントスピーカからの音の位相とが聴取位置で同相となるときの、フーリエ変換値の位相調節量を示す図である。 本発明の一実施形態に係る計算部が有するスムージング処理部によるスムージング処理後の位相調節量を示す図である。 本発明の一実施形態に係る音響装置が有する位相調節部の構成を示すブロック図である。 図13(a)は、制御なし例において聴取位置で観測されるオーディオ信号の時間特性を示す図であり、図13(b)は、タイムアライメント例において聴取位置で観測されるオーディオ信号の時間特性を示す図であり、図13(c)は、本実施形態に係る位相調節例において聴取位置で観測されるオーディオ信号の時間特性を示す図である。 制御なし例のオーディオ信号の周波数特性とタイムアライメント例のオーディオ信号の周波数特性を示す図である。 制御なし例のオーディオ信号の周波数特性と位相調節例のオーディオ信号の周波数特性を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下においては、本発明の一実施形態として音響システムを例に取り説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る音響システム1が設置された車両Aを模式的に示す図である。図2は、この音響システム1の構成を示すブロック図である。
図1及び図2に示されるように、音響システム1は、音響装置10、スピーカSPFR、SPFL及びマイクロフォンMICを備える。
音響装置10は、車室内というリスニング環境において発生しやすい音像定位の偏りを改善するとともに、車両Aに設置された各スピーカから出力される音同士の干渉による音質劣化や音圧低下を抑えるための位相調節用データを生成する、位相調節用データ生成機能(別の言い方をすると、位相制御装置)を搭載する。
なお、音響装置10における各種処理は、音響装置10に備えられるソフトウェアとハードウェアとが協働することにより実行される。音響装置10に備えられるソフトウェアのうち少なくともOS(Operating System)部分は、組み込み系システムとして提供されるが、それ以外の部分、例えば、位相調節用データの生成処理を実行するためのソフトウェアモジュールについては、ネットワーク上で配布可能な又はメモリカード等の記録媒体にて保持可能なアプリケーションとして提供されてもよい。すなわち、本実施形態に係る位相調節用データ生成機能は、音響装置10に予め組み込まれた機能であっても、ネットワーク経由や記録媒体経由で音響装置10に追加可能な機能であってもよい。
図1に示されるように、スピーカSPFRは、右ドア部(運転席側ドア部)に埋設された右フロントスピーカであり、スピーカSPFLは、左ドア部(助手席側ドア部)に埋設された左フロントスピーカである。車両Aには、更に別のスピーカ(例えばリアスピーカ)が設置(すなわち3基以上のスピーカが設置)されていてもよい。
音響装置10は、制御部100、表示部102、操作部104、測定用信号発生部106、記録媒体再生部108、位相調節部110、増幅部112、信号収録部114及び計算部116を有する。
図3は、音響システム1において実行される位相調節用データ設定処理のフローチャートを示す図である。本フローチャートに示される位相調節用データ設定処理をはじめとする、音響システム1内での各種処理は、制御部100の制御下で実行される。制御部100は、表示部102に対する所定のタッチ操作又は操作部104に対する所定の操作を受けると、本フローチャートに示される位相調節用データ設定処理の実行を開始する。
図3に示される位相調節用データ設定処理の実行が開始されると、測定用信号発生部106が所定の測定用信号を発生させる(ステップS11)。発生された測定用信号は、例えばM系列符号(Maximal length sequence)である。この測定用信号の長さは、符号長の2倍以上とする。なお、測定用信号は、例えばTSP信号(Time Stretched Pulse)等の他の種類の信号であってもよい。
測定用信号は、制御部100及び位相調節部110をスルー出力し、増幅部112を介して各スピーカSPFR、SPFLに順次出力される(ステップS12)。これにより、所定の測定用音が所定の時間間隔を空けて各スピーカSPFR、SPFLから順次出力される。
本実施形態では、運転席をリスナの聴取位置とする。そのため、マイクロフォンMICは運転席に設置される。マイクロフォンMICの設置位置は、リスナの聴取位置に応じて変わる。例えば助手席の搭乗者に最適な音を提供したい場合、マイクロフォンMICは助手席に設置される。
マイクロフォンMICは、各スピーカSPFR、SPFLから順次出力された測定用音を時間的に非干渉なタイミングで収音する。マイクロフォンMICによって収音された測定用音の信号(すなわち測定信号)は、信号収録部114を介して計算部116に入力される(ステップS13)。
図4は、計算部116の構成を示すブロック図である。図4に示されるように、計算部116は、測定部116A及び116Bを有する。
測定部116A及び116Bはインパルス応答を測定する(ステップS14)。
具体的には、測定部116Aは、スピーカSPFLからの測定用音の測定信号(以下「測定信号L」と記す。)とリファレンスの測定信号との相互相関関数が演算により求められて、測定信号Lのインパルス応答(言い換えると、スピーカSPFLと聴取位置間のインパルス応答であり、以下「インパルス応答L’」と記す。)が計算される。
測定部116Bは、スピーカSPFRからの測定用音の測定信号(以下「測定信号R」と記す。)とリファレンスの測定信号との相互相関関数が演算により求められて、測定信号Rのインパルス応答(言い換えると、スピーカSPFRと聴取位置間のインパルス応答であり、以下「インパルス応答R’」と記す。)が計算される。
なお、リファレンスの測定信号は、測定用信号発生部106にて発生される測定用信号と同一であり且つ時間同期が取られたものである。
このように、測定部116A及び116Bは、複数のスピーカの各々から出力されて所定の聴取位置で時間的に非干渉なタイミングで収音された各音の信号のインパルス応答を測定する測定部として動作する。
図5(a)にインパルス応答L’を例示し、図5(b)にインパルス応答R’を例示する。図5(a)、図5(b)の各図中、縦軸は振幅を示し、横軸は時間(単位:sec)を示す。図5(a)及び図5(b)の例では、サンプリング周波数は44.1kHzであり、M系列符号の符号長は32,767であり、周波数帯域は3kHzである。
図5(a)及び図5(b)を見ると、車室内という特殊なリスニング環境(車室内の構造物によって遅延時間差の短い反射が多い、車室内の構造物により音が遮蔽される、各スピーカからの音が干渉する、などの環境)のため、抑圧された音が聴取位置に最初に到達し(言い換えると、インパルス応答の立ち上がり部分のレベルが低く)、この抑圧された音に遅れて、レベルの高い音が聴取位置に到達する。
図4に示されるように、計算部116は、フーリエ変換部116C及び116Dを有する。
フーリエ変換部116Cは、測定部116Aより入力されるインパルス応答L’をフーリエ変換し、周波数スペクトル毎の振幅特性と位相特性を求める(ステップS15)。フーリエ変換部116Dは、測定部116Bより入力されるインパルス応答R’をフーリエ変換し、周波数スペクトル毎の振幅特性と位相特性を求める(ステップS15)。
図6(a)は、インパルス応答L’をフーリエ変換することによって求まった周波数スペクトル毎の振幅特性を示す図であり、図6(b)は、インパルス応答R’をフーリエ変換することによって求まった周波数スペクトル毎の振幅特性を示す図である。図6(a)、図6(b)の各図中、縦軸はパワー(単位:dB)を示し、横軸は周波数(単位:Hz)を示す。
図7(a)は、インパルス応答L’をフーリエ変換することによって求まった周波数スペクトル毎の位相特性を示す図であり、図7(b)は、インパルス応答R’をフーリエ変換することによって求まった周波数スペクトル毎の位相特性を示す図である。図7(a)、図7(b)の各図中、縦軸は角度(単位:degree)を示し、横軸は周波数(単位:Hz)を示す。
図6(a)、図6(b)、図7(a)及び図7(b)の例では、フーリエ変換長は8,192サンプルである。また、周波数スペクトルは、0Hzからナイキスト周波数の22.05kHzまでの周波数領域を5.38Hz刻みで分割した4,097ポイントに設定されている。なお、3kHzまでの周波数スペクトルは557ポイントとなる。車室内で音が反射・遮蔽・干渉等することから、図6(a)及び図6(b)の例では、周波数毎に振幅が大きく変動し、図7(a)及び図7(b)の例では、周波数毎に位相が大きく変動している。
図4に示されるように、計算部116は、設定部116E及び検出部116Fを有する。
設定部116Eは、インパルス応答L’、R’毎に振幅の閾値を設定する(ステップS16)。検出部116Fは、複数のスピーカ(本実施形態ではスピーカSPFLとスピーカSPFR)の中から、スピーカから音が出力されてから実用的なレベルの音が聴取位置に到達するまでにかかる時間が短い(本実施形態ではこの時間が最も短い)スピーカを検出する(ステップS17)。
ステップS16について具体的に説明する。設定部116Eは、測定部116Aより入力されるインパルス応答L’の振幅をデシベル化してその最大値(以下「最大値MAX」と記す。)を検出し、検出した最大値MAXに応じた閾値(以下「閾値TH」と記す。)を設定するとともに、測定部116Bより入力されるインパルス応答R’の振幅をデシベル化してその最大値(以下「最大値MAX」と記す。)を検出し、検出した最大値MAXに応じた閾値(以下「閾値TH」と記す。)を設定する。
図8(a)は、測定部116Aより入力されるインパルス応答L’の振幅をデシベル化したグラフを示し、図8(b)は、測定部116Bより入力されるインパルス応答R’の振幅をデシベル化したグラフを示す。図8(a)、図8(b)の各図中、縦軸はパワー(単位:dB)を示し、横軸は時間(単位:sec)を示す。
設定部116Eは、測定部116Aより入力されるインパルス応答L’の振幅の最大値MAXを検出し、検出された最大値MAXに対して−30dB以下となる値を閾値THとして設定する(図8(a)参照)。また、設定部116Eは、測定部116Bより入力されるインパルス応答R’の振幅の最大値MAXを検出し、検出された最大値MAXに対して−30dB以下となる値を閾値THとして設定する(図8(b)参照)。
このように、設定部116Eは、測定部116A及び116Bにて測定されたスピーカ毎の音の信号のインパルス応答に対して振幅の閾値を設定する設定部として動作する。
ステップS17について具体的に説明する。本実施形態において、「スピーカから音が出力されてから実用的なレベルの音が聴取位置に到達するまでにかかる時間」は、「インパルス応答の振幅がステップS16にて設定された閾値を最初に超えるまでにかかる時間(以下「到達時間」と記す。)」である。検出部116Fは、インパルス応答L’が閾値THを最初に超えるまでにかかる到達時間(以下「到達時間T」と記す。)を検出するとともに、インパルス応答R’が閾値THを最初に超えるまでにかかる到達時間(以下「到達時間T」と記す。)を検出する。
検出部116Fは、次いで、複数のスピーカの中から、到達時間が最も短いスピーカを検出する。図8(a)の例では、到達時間Tは4.1msecであり、図8(b)の例では、到達時間Tは2.8msecである。そのため、検出部116Fは、到達時間が最も短いスピーカとしてスピーカSPFRを検出する。
このように、検出部116Fは、複数のスピーカの中からインパルス応答の振幅が閾値を超えるまでにかかる時間が短いスピーカを検出する検出部として動作する。
なお、インパルス応答の振幅の最大値を閾値として設定すると、ノイズの影響による到達時間のばらつきが大きくなってしまう。そのため、本実施形態では、インパルス応答の振幅の最大値に対して−30dB以下となる値を閾値して設定している。インパルス応答の振幅の最大値に応じて閾値を設定することにより、到達時間が短いスピーカ、すなわち、スピーカから音が出力されてから実用的なレベルの音が聴取位置に到達するまでにかかる時間が短いスピーカを高い精度で検出することができる。
スピーカの配置や車室内の環境によっては、音の反射・遮蔽・干渉等の影響でスピーカSPFRから聴取位置に向かう音がより長く抑圧される場合もある。一例として、図8(b)のインパルス応答R’が5.0msecまでの期間、抑圧されたレベルである場合を考える。この場合においても、スピーカSPFRが聴取位置(運転席)との距離が最も短いことから、スピーカSPFLからの音と比べて、スピーカSPFRからの音がより短い時間で聴取位置に到達する(インパルス応答R’がインパルス応答L’よりも立ち上がりが早い)。そのため、従来のタイムアライメントでは、音像定位の偏りを改善するため、スピーカSPFRからの音を遅延させることになる。
しかし、インパルス応答R’の立ち上がり部分は5.0msecまでの期間、抑圧されたレベルである。この抑圧されたレベルの音は、微弱なレベルの音であるため、音像の定位に実質的に寄与する実用的なレベルの音であるといえない。音像の定位に実質的に寄与する、スピーカSPFRからの実用的なレベルの音は、5.0msecを超えた時点で聴取位置に到達する。一方、図8(a)を見ると、音像の定位に実質的に寄与する、スピーカSPFLからの実用的なレベルの音は、4.1msec時点で聴取位置に到達している。
従来のタイムアライメントでは、音像の定位に実質的に寄与する実用的なレベルの音が聴取位置に到達するまでの時間が長いスピーカ(ここでの例では、単純にインパルス応答の立ち上がりが最も早いスピーカ)が、遅延を付与するスピーカとして設定される。そのため、従来のタイムアライメントでは、音像定位の偏りを十分に改善することが難しい。
これに対し、本実施形態では、検出部116Fは、インパルス応答の立ち上がりが最も早いスピーカ(言い換えると、聴取位置との距離が最も短いスピーカ)ではなく、音像の定位に実質的に寄与する実用的なレベルの音が聴取位置に到達するまでの時間が最も短いスピーカを、音像定位のために制御する対象のスピーカとして検出する。そのため、車室内という特殊なリスニング環境下においても、音像定位の偏りを十分に改善することが可能となる。
図4に示されるように、計算部116は、位相制御部116Gを有する。
位相制御部116Gは、検出部116Fにより到達時間が最も短いスピーカとして検出されたスピーカSPFRからの音の信号(すなわち、フーリエ変換部116Dにより求められた周波数スペクトル毎の振幅特性と位相特性であり、以下「周波数スペクトル信号R”」と記す。)の位相を−180度から+180度の範囲で所定の角度刻みで変え、位相を変える毎に、周波数スペクトル信号R”と、他のスピーカ(スピーカSPFL)からの音の信号(すなわち、フーリエ変換部116Cにより求められた周波数スペクトル毎の振幅特性と位相特性であり、以下「周波数スペクトル信号L”」と記す。)とを合成する(ステップS18)。この合成処理は、処理負荷軽減のため、全ての周波数スペクトルではなく、例えば3kHzまでの計557ポイントの周波数スペクトル毎に行われる。
図9は、557ポイントの周波数スペクトルのうち100Hz(太実線)と400Hz(細実線)の周波数スペクトルの合成結果を示す図である。図9中、縦軸は合成後の信号のパワー(単位:dB)を示し、横軸は位相(単位:degree)を示す。なお、位相0度(言い換えると位相調節量がゼロ)でのパワーは、周波数スペクトル信号R”の位相を変えずに周波数スペクトル信号L”と合成したときのパワーを示す。
図9中、パワーが最大となる角度で、スピーカSPFRからの音の位相とスピーカSPFLからの音の位相とが聴取位置で同相(聴取位置においてこれらのスピーカ間の音が最も強めあう干渉を起こす。)となり、パワーが最小となる角度で、スピーカSPFRからの音の位相とスピーカSPFLからの音の位相とが聴取位置で逆相(聴取位置においてこれらのスピーカ間の音が最も弱めあう干渉を起こす。)となる。
100Hzの周波数スペクトルでは、+110度で(位相調節されていない周波数スペクトル信号L”と位相調節量が+110度の周波数スペクトル信号R”とを合成したときに)同相となり、−70度で(位相調節されていない周波数スペクトル信号L”と位相調節量が−70度の周波数スペクトル信号R”とを合成したときに)逆相となる。400Hzの周波数スペクトルでは、−180度で(位相調節されていない周波数スペクトル信号L”と位相調節量が−180度の周波数スペクトル信号R”とを合成したときに)同相となり、+10度で(位相調節されていない周波数スペクトル信号L”と位相調節量が+10度の周波数スペクトル信号R”とを合成したときに)逆相となる。
位相制御部116Gは、周波数スペクトル毎の合成結果から、スピーカSPFRからの音の位相とスピーカSPFLからの音の位相とが聴取位置で同相となるときの、周波数スペクトル信号R”の周波数スペクトル毎の位相調節量を求める。
図10は、60Hz〜3kHzまでの各周波数スペクトルにおいて、スピーカSPFRからの音の位相とスピーカSPFLからの音の位相とが聴取位置で同相となるときの、周波数スペクトル信号R”の周波数スペクトル毎の位相調節量を示す図である。図10中、縦軸は位相調節量(単位:degree)を示し、横軸は周波数(単位:Hz)を示す。
なお、位相調節を行う周波数範囲は、ナイキスト周波数の範囲内で任意に設定することができる。本実施形態では、スピーカSPFR及びSPFLで再生可能な下限周波数(60Hz)から、定位において聴感上で位相が支配的となる周波数(言い換えると、位相のずれによる音像定位への影響が大きい周波数)の2倍の周波数(3kHz)を、位相調節を行う周波数範囲として設定している。
本実施形態では、車室内における周波数毎の伝搬遅延時間の差異により、位相調節量が周波数毎で大きく変動している(図10参照)。
図4に示されるように、計算部116は、スムージング処理部116Hを有する。
スムージング処理部116Hは、位相制御部116Gより入力される周波数スペクトル毎の位相調節量を周波数軸上でスムージング処理する(ステップS19)。
スムージング処理後の周波数スペクトル毎の位相調節量は、スピーカSPFRに出力される音の信号の位相を周波数スペクトル毎に調節するための位相調節用データである。すなわち、位相制御部116G及びスムージング処理部116Hは、検出部116Fにて検出されたスピーカに出力される音の信号の位相を周波数スペクトル毎に調節することによって、聴取位置における、複数のスピーカ間の音の干渉による弱めあいを、各周波数スペクトルで低減させるための、位相調節用データを生成する生成部として動作する。
図11は、スムージング処理部116Hによるスムージング処理後の位相調節量を示す図である。図11中、縦軸は位相調節量(単位:degree)を示し、横軸は周波数(単位:Hz)を示す。スムージング処理部116Hは、8タップのFIR(Finite Impulse Response)フィルタにより、位相制御部116Gより入力される周波数スペクトル毎の位相調節量に対してスムージング処理を施す。
図10と図11とを比べると判るように、スムージング処理部116Hによるスムージング処理により、周波数領域における位相の急激な変化が抑えられる。そのため、位相調節用データを用いて位相調節された音を出力した際、位相の急激な変化による高調波の発生が抑えられ、このような高調波による聴感上の異音が抑えられる。
制御部100は、位相制御部116G及びスムージング処理部116Hにより生成された位相調節用データを位相調節部110に設定する(ステップS20)。位相調節部110は、この位相調節用データを用いて、音源から入力されて特定のスピーカ(すなわち検出部116Fにて検出されたスピーカ)に出力される音の信号の位相を周波数スペクトル毎に調節する調節部として動作する。
次に、位相調節部110に設定された位相調節用データを用いて、音源より入力される音の信号を再生する動作について説明する。
記録媒体再生部108は、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)等の音源より入力される音の信号S、S(以下「オーディオ信号S、S」と記す。)を再生する。制御部100は、記録媒体再生部108により再生されたオーディオ信号S、Sを位相調節部110に出力する。
位相調節部110は、位相制御の対象となるスピーカに出力されるオーディオ信号に対して周波数スペクトル毎に位相を調節して出力するとともに、他のスピーカに出力されるオーディオ信号については位相調節を行うことなくスルー出力する。位相調節部110より出力されたオーディオ信号S、Sは、増幅部112を介して、それぞれ、スピーカSPFR、SPFLから車室内に出力される。
図12は、位相調節部110の構成を示すブロック図である。図12に示されるように、位相調節部110は、FFT(Fast Fourier Transform)部110A、複素乗算部110B及びIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部110Cを有する。
FFT部110Aは、制御部100より入力されるオーディオ信号(より正確には、位相制御の対象となるスピーカに出力されるオーディオ信号)に対してオーバラップ処理及び窓関数による重み付けを行った後、STFT(Short-Term Fourier Transform)により時間領域から周波数領域への変換を行い、振幅と位相からなる周波数スペクトル信号を複素乗算部110Bに出力する。なお、オーバラップ処理及び窓関数は、ユーザ操作によって定位位置を変更した際(例えば運転席から助手席に変更した際)に位相調節量を徐々に変化させて異音を低減させるためのものである。
本実施形態では、FFT部110Aは、サンプリング周波数が44.1kHzである。また、FFT部110Aは、フーリエ変換長が8,192サンプルであり、オーバラップ長が6,144サンプルであり、窓関数がハニング窓である。FFT部110Aは、2,048サンプルずつ時間シフトしながらSTFTを行うことにより、0Hzからナイキスト周波数の22.05kHzまでの周波数領域を5.38Hz刻みで分割した、計4,097ポイントの周波数スペクトル信号を取得する。
複素乗算部110Bには、制御部100より入力された位相調節用データが設定される。複素乗算部110Bは、この位相調節用データをもとに、位相制御の対象となるスピーカチャンネルについて、FFT部110Aより入力される周波数スペクトル信号に対して複素乗算を行い、このチャンネルのスピーカに出力されるオーディオ信号の位相を周波数スペクトル毎に調節する。
IFFT部110Cは、複素乗算部110B2より入力される位相調節後の周波数スペクトル信号をISTFTにより周波数領域から時間領域の信号に変換し、変換された信号について窓関数による重み付け及びオーバラップ加算を行って、増幅部112に出力する。オーバラップ加算後に得られるオーディオ信号は、聴取位置において、位相制御の対象となるスピーカから出力される音の位相が他のスピーカから出力される音の位相と各周波数スペクトルで同相となるように、位相調節用データをもとに周波数スペクトル毎の位相調節が施された信号である。
図13〜図15を用いて、位相制御の対象となるスピーカチャンネルについて位相調節した場合の具体例を示す。この例では、オーディオ信号がモノラルのインパルス信号であり、周波数領域が3kHzであるものとする。
図13(a)は、従来のタイムアライメント処理(遅延付与)も本実施形態に係る位相調節処理も施されていないオーディオ信号を各スピーカSPFR、SPFLから同時に出力したときに聴取位置で観測されるオーディオ信号の時間特性を示す図である。図13(b)は、従来のタイムアライメント処理、すなわち聴取位置で各スピーカからの音(立ち上がり部分)が同時に到達するように、スピーカSPFRに出力されるオーディオ信号に遅延を付与したときに、聴取位置で観測されるオーディオ信号の時間特性を示す図である。図13(c)は、スピーカSPFRに出力されるオーディオ信号に対して本実施形態に係る位相調節処理を施したときに聴取位置で観測されるオーディオ信号の時間特性を示す図である。図13(a)〜図13(c)の各図中、縦軸は振幅を示し、横軸は時間(単位:sec)を示す。
便宜上、図13(a)の例を「制御なし例」と記し、図13(b)の例を「タイムアライメント例」と記し、図13(c)の例を「位相調節例」と記す。図13(a)〜図13(c)の各図を比べると、タイムアライメント例及び位相調節例は、制御なし例よりも振幅が大きくなっていることが判る。更に、位相調節例はタイムアライメント例と比べて振幅が全体的に大きくなっていることが判る。これは、本実施形態に係る位相調節処理をオーディオ信号に施すことにより、聴取位置(運転席)において、スピーカSPFRとスピーカSPFL間の音の干渉による弱めあいが低減したためである。
図14は、制御なし例のオーディオ信号の周波数特性(細実線)、及びタイムアライメント例のオーディオ信号の周波数特性(太実線)を示す図である。図15は、制御なし例のオーディオ信号の周波数特性(細実線)、及び位相調節例のオーディオ信号の周波数特性(太実線)を示す図である。図14及び図15中、縦軸はレベル(単位:dB)を示し、横軸は周波数(単位:Hz)を示す。
図14によれば、タイムアライメント例では、制御なし例と比べてレベルが大きくなっている周波数と小さくなっている周波数が混在しており、聴取位置における、スピーカSPFRとスピーカSPFL間の音の干渉による弱めあいが十分に低減されていない。そのため、車室内という特殊なリスニング環境下において、タイムアライメント処理を行っても音像定位の偏りが十分に改善されない。また、周波数領域においてレベルが局所的に落ち込んでいる(すなわちディップが発生している)ため、スピーカSPFRとスピーカSPFL間の音の干渉による音質劣化や音圧低下が十分に抑えられない。
これに対し、図15によれば、本実施形態に係る位相調節例では、制御なし例と比べて全域(特に、音像の定位に大きく影響する20Hz〜750Hzの周波数範囲及び音像の定位への影響が比較的大きい750Hz〜1.5kHzの周波数範囲)に亘りレベルが大きくなっており、聴取位置における、スピーカSPFRとスピーカSPFL間の音の干渉による弱めあいがタイムアライメント例と比べて低減されることが判る。また、周波数領域においてディップが実質発生していない。そのため、本実施形態に係る位相調節例では、タイムアライメント例と比べて、音像定位の偏りが改善されるとともに、聴取位置における、スピーカSPFRとスピーカSPFL間の音の干渉による音質劣化や音圧低下が抑えられることが判る。
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施例等又は自明な実施例等を適宜組み合わせた内容も本願の実施形態に含まれる。
上記の実施形態では、音響装置10は位相調節用データ生成機能(位相制御装置)を搭載しているが、位相調節用データ生成機能を搭載しない音響装置も本発明の範疇である。この音響装置は、例えば製造工場等で生成された位相調節用データを予め保持しており、この位相調節用データを用いて、音源から入力されて特定のスピーカ(音を出力してから聴取位置で所定閾値を超える振幅が観測されるまでにかかる時間が複数のスピーカの中で最も短いスピーカ)に出力される音の信号の位相を周波数スペクトル毎に調節することにより、聴取位置における、複数のスピーカ間の音の干渉による弱めあいを、各周波数スペクトルで低減させる構成となっている。
別の一実施形態では、位相調節部110は、周波数スペクトル毎の位相調節量をフーリエ変換してFIRフィルタ係数を生成し、FIRフィルタを用いた時間領域での処理によって、位相制御の対象となるスピーカに出力されるオーディオ信号に対して周波数スペクトル毎の位相調節を行ってもよい。また、位相調節部110は、周波数スペクトル毎の位相調節量をもとに周波数帯毎の分割処理を行い、二次のIIR(Infinite Impulse Response)フィルタ等を用いたオールパスフィルタにより、位相制御の対象となるスピーカに出力されるオーディオ信号に対して位相調節を行ってもよい。
上記の実施形態では、運転席を聴取位置とした場合の処理を説明したが、これと同様の処理が座席毎に行われてもよい。この場合、制御部100は、各座席に対する位相調節用データをプリセットデータとして保持してもよい。リスナは、操作部104を操作してプリセットデータを選択することにより、音像定位の偏りの改善等がなされる対象の座席を切り変えることができる。
上記の実施形態では、フロントスピーカを対象とした場合の処理を説明したが、車両に別のスピーカ(例えばリアスピーカ)が設置されている場合、これと同様の処理がリアスピーカ側で行われてもよい。
1 音響システム
10 音響装置
100 制御部
102 表示部
104 操作部
106 測定用信号発生部
108 記録媒体再生部
110 位相調節部
110A FFT部
110B 複素乗算部
110C IFFT部
112 増幅部
114 信号収録部
116 計算部
116A、116B 測定部
116C、116D フーリエ変換部
116E 設定部
116F 検出部
116G 位相制御部
116H スムージング処理部

Claims (16)

  1. 複数のスピーカの各々から出力されて所定の聴取位置で時間的に非干渉なタイミングで収音された各音の信号のインパルス応答を測定する測定部と、
    前記測定された前記スピーカ毎の前記音の信号のインパルス応答に対して振幅の閾値を設定する設定部と、
    前記複数のスピーカの中から前記インパルス応答の振幅が前記閾値を超えるまでにかかる時間が短いスピーカを検出する検出部と、
    前記検出されたスピーカに出力される音の信号の位相を周波数スペクトル毎に調節することによって、前記聴取位置における、前記複数のスピーカ間の前記音の干渉による弱めあいを、各前記周波数スペクトルで低減させるための、位相調節用データを生成する生成部と、
    を備える、
    位相制御装置。
  2. 前記検出部は、
    前記複数のスピーカの中から前記インパルス応答の振幅が前記閾値を超えるまでにかかる時間が最も短いスピーカを検出する、
    請求項1に記載の位相制御装置。
  3. 前記生成部は、
    前記検出されたスピーカからの前記音の信号の位相を変え、前記位相を変える毎に、前記検出されたスピーカからの前記音の信号と他の前記スピーカからの前記音の信号とを合成し、
    前記合成の結果に基づいて、前記検出されたスピーカからの前記音の信号の位相調節量を前記周波数スペクトル毎に求めることにより、前記位相調節用データを得る、
    請求項1又は請求項2に記載の位相制御装置。
  4. 前記生成部は、
    前記求めた前記周波数スペクトル毎の位相調節量を周波数軸上でスムージング処理し、スムージング処理された前記周波数スペクトル毎の位相調節量を前記位相調節用データとして得る、
    請求項3に記載の位相制御装置。
  5. 前記位相調節用データは、
    前記検出されたスピーカから出力される音の位相と他の前記スピーカから出力される音の位相とが前記聴取位置において前記各周波数スペクトルで同相となるように、前記検出されたスピーカに出力される音の位相を前記周波数スペクトル毎に調節するためのデータである、
    請求項1から請求項4の何れか一項に記載の位相制御装置。
  6. 前記設定部は、
    前記インパルス応答毎に、前記インパルス応答の最大値に応じて前記閾値を設定する、
    請求項1から請求項5の何れか一項に記載の位相制御装置。
  7. 請求項1から請求項6の何れか一項に記載の位相制御装置を有し、音源から入力される音の信号を前記複数のスピーカに出力する音響装置であって、
    前記位相調節用データを用いて、前記音源から入力されて前記検出されたスピーカに出力される音の信号の位相を前記周波数スペクトル毎に調節する調節部
    を備える、
    音響装置。
  8. 音源から入力される音の信号を複数のスピーカに出力する音響装置において、
    所定の聴取位置にて前記複数のスピーカ間の前記音の干渉による弱めあいが各周波数スペクトルで低減するように、前記複数のスピーカのうち、前記音源から入力されて特定のスピーカに出力される音の信号の位相を、周波数スペクトル毎に調節する調節部
    を備え、
    前記特定のスピーカは、
    前記音を出力してから前記聴取位置で所定閾値を超える振幅が観測されるまでにかかる時間が前記複数のスピーカの中で短いスピーカである、
    音響装置。
  9. コンピュータによって実行される位相制御方法であって、
    複数のスピーカの各々から出力されて所定の聴取位置で時間的に非干渉なタイミングで収音された各音の信号のインパルス応答を測定する測定ステップと、
    前記測定された前記スピーカ毎の前記音の信号のインパルス応答に対して振幅の閾値を設定する設定ステップと、
    前記複数のスピーカの中から前記インパルス応答の振幅が前記閾値を超えるまでにかかる時間が短いスピーカを検出する検出ステップと、
    前記検出されたスピーカに出力される音の信号の位相を周波数スペクトル毎に調節することによって、前記聴取位置における、前記複数のスピーカ間の前記音の干渉による弱めあいを、各前記周波数スペクトルで低減させるための、位相調節用データを生成する生成ステップと、
    を含む、
    位相制御方法。
  10. 前記検出ステップにて、
    前記複数のスピーカの中から前記インパルス応答の振幅が前記閾値を超えるまでにかかる時間が最も短いスピーカを検出する、
    請求項9に記載の位相制御方法。
  11. 前記生成ステップにて、
    前記検出されたスピーカからの前記音の信号の位相を変え、前記位相を変える毎に、前記検出されたスピーカからの前記音の信号と他の前記スピーカからの前記音の信号とを合成し、
    前記合成の結果に基づいて、前記検出されたスピーカからの前記音の信号の位相調節量を前記周波数スペクトル毎に求めることにより、前記位相調節用データを得る、
    請求項9又は請求項10に記載の位相制御方法。
  12. 前記生成ステップにて、
    前記求めた前記周波数スペクトル毎の位相調節量を周波数軸上でスムージング処理し、スムージング処理された前記周波数スペクトル毎の位相調節量を前記位相調節用データとして得る、
    請求項11に記載の位相制御方法。
  13. 前記位相調節用データは、
    前記検出されたスピーカから出力される音の位相と他の前記スピーカから出力される音の位相とが前記聴取位置において前記各周波数スペクトルで同相となるように、前記検出されたスピーカに出力される音の位相を前記周波数スペクトル毎に調節するためのデータである、
    請求項9から請求項12の何れか一項に記載の位相制御方法。
  14. 前記設定ステップにて、
    前記インパルス応答毎に、前記インパルス応答の最大値に応じて前記閾値を設定する、
    請求項9から請求項13の何れか一項に記載の位相制御方法。
  15. 音源から入力される音の信号を前記複数のスピーカに出力する際に、前記位相調節用データを用いて、前記検出されたスピーカに出力される音の信号の位相を前記周波数スペクトル毎に調節する調節ステップ
    を更に含む、
    請求項9から請求項14の何れか一項に記載の位相制御方法。
  16. 音源から入力される音の信号を複数のスピーカに出力する音響装置によって実行される位相制御方法であって、
    所定の聴取位置にて前記複数のスピーカ間の前記音の干渉による弱めあいが各周波数スペクトルで低減するように、前記複数のスピーカのうち、前記音源から入力されて特定のスピーカに出力される音の信号の位相を、周波数スペクトル毎に調節する調節ステップ
    を含み、
    前記特定のスピーカは、
    前記音を出力してから前記聴取位置で所定閾値を超える振幅が観測されるまでにかかる時間が前記複数のスピーカの中で短いスピーカである、
    位相制御方法。
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