以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(照明制御システムの概略構成)
本発明の一実施形態による照明制御システムは、可視光を照射可能であって高速で点滅する光源を有する光照射装置と、例えば個人用の装着型機器であって該光源の点滅に合わせて可視光を遮断する状態(遮光状態)と可視光を遮断しない状態(非遮光状態)とを切替え可能な光遮断装置とを同一空間内で使用することで、同一空間内において同時に多重的な照明環境を創出し、各人に所望する照明環境を提供することができるシステムである。
まず、図1及び図2を用いて、本実施形態による照明制御システム1の構成及び機能を説明する。図1は、本実施形態による照明制御システム1の概略構成の一例を説明する図である。また、図2は、照明制御システム1の機能構成の一例を説明するブロック図である。以下、2つの光照射装置300a,300bと、2つの光遮断装置500a,500bとを用いて所定の屋内空間α(図1参照)に多重的な照明環境を創出する例を説明する。なお、照明制御システム1において、光照射装置300及び光遮断装置500の個数は2つに限定されず、1つまたは3つ以上であってもよい。
図1に示すように、本実施形態による照明制御システム1は、光照射装置300と、光遮断装置500と、光照射装置300及び光遮断装置500を制御する制御装置100とを備えている。本例では、照明制御システム1は、2つの光照射装置300(光照射装置300a,300b)と2つの光遮断装置500(光遮断装置500a,500b)とを備えており、制御装置100は、光照射装置300a,300b及び光遮断装置500a,500bのそれぞれを個別に制御するように構成されている。
本実施形態による照明制御システム1において光照射装置300a,300bは、可視光を照射する光照射部310a,310b(光源の一例、図2参照)を有し、光照射部310a,310bの点灯と消灯とを所定の点滅周期で切り替え可能に構成されている。
また、光遮断装置500a,500bは、可視光を遮断する遮光状態と可視光を遮断しない非遮光状態とに可逆的に遷移可能な光遮断部510a,510bを有し、光遮断部510a,510bを遮光状態と非遮光状態とに所定の切替え周期で切替え可能に構成されている。
また、制御装置100は、所定の通信手段によって光照射装置300a,300b及び光遮断装置500a,500bと接続され、光照射装置300a,300bの点滅周期と光遮断装置500a,500bの切替え周期とを同期可能に構成されている。
光照射装置300a,300bは、例えば屋内空間α内の天井に設置されており、照明器具として用いられる。また、光遮断装置500a,500bは、光照射装置300a,300bが設置された同一空間内(本例では屋内空間α内)に設置されている。具体的には、光遮断装置500a,500bは、屋内空間α内で作業等を行う照明制御システム1のユーザ(本例では、ユーザP1,P2)が装着可能な個人用機器である。図1では、光遮断装置500はメガネ型の装着型機器として例示されている。また、制御装置100は、例えば、屋内空間α内に設置されたパーソナルコンピュータ等である。
なお、本実施形態による照明制御システム1の効果を十分に得るためには、照明制御システム1を利用する屋内空間(本例では屋内空間α)は、外部からの光(例えば、窓からの自然光等)の影響が少ない環境であることが望ましい。また、屋内空間αが設けられる照明制御システム1の利用施設としては、例えばオフィスビル、学校、図書館、店舗、アミューズメント施設等が想定される。
以下、照明制御システム1を構成する各装置について主に図2を用いて説明する。なお、以下では光照射装置300a,300bを光照射装置300と総称し、光遮断装置500a,500bを光遮断装置500と総称する場合がある。
(制御装置)
制御装置100は、所定の通信手段によって光照射装置300及び光遮断装置500と接続されている所定の端末装置である。制御装置100としては、例えば照明制御システム1の利用施設に設置されたコンピュータやスマートフォン、タブレット端末等の通信機能を有する装置が想定される。上述のように、制御装置100は、光照射装置300及び光遮断装置500が設置されている同一空間内(本例では屋内空間α内)に設置されていてもよいし、利用施設内における異なる空間(別室)に設置されていてもよい。
また、制御装置100と光照射装置300及び光遮断装置500とを接続する通信手段としては、例えば無線通信手段(例えば近距離型無線通信(NFC;Near field radio communication)、無線LAN(Wireless Local Area Network)、ブルートゥース(Bluetooth)(登録商標)等)や、有線通信手段を適用することができる。
また、制御装置100は、例えば、演算処理や制御処理等を行う中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)、CPUによって実行される演算プログラムや制御プログラム等が記憶された記憶装置(Read Only Memory:ROM、Random Access Memory:RAM)、光照射装置300及び光遮断装置500やその他の外部装置と信号の入出力を行うインターフェイス(I/F)部等を有するコンピュータとして構成されている。
具体的には、所定のコンピュータのCPUが、当該コンピュータを、所定の通信手段によって光照射装置300及び光遮断装置500と接続され、光照射装置300の点滅周期と光遮断装置500の切替え周期とを同期可能な制御装置として機能させるプログラムを実行することで、当該コンピュータを制御装置100として機能させることができる。
(制御装置による点滅周期制御)
制御装置100は、光照射装置300に点滅制御信号を送信することで、光照射装置300が有する光源(後述する光照射部310)が所定の点滅周期で点滅するように制御する。ここで、点滅周期は、光照射装置300の光照射部310が点灯し、所定の点灯時間後に消灯し、所定の消灯時間後に再度点灯するまでの1サイクルを示す。点滅周期は、点滅速度または点滅間隔ともいう。本実施形態による照明制御システム1において、点滅周期は、60Hz以上であると好ましい。これは、人の視覚は高速で点滅する光源をその点滅の平均の明るさで連続して点灯するものとして知覚する性質を持ち、この知覚を引き起こす点滅の頻度(臨界融合周波数:CFF)が60Hz以上とされているためである。
制御装置100が光照射装置300に送信する点滅制御信号は、光照射装置300の光照射部310を点灯させるための点灯制御信号及び光照射部310を消灯させるための消灯制御信号の2種類がある。制御装置100は、点滅周期が少なくとも60Hz以上となるように、点灯制御信号と消灯制御信号とを所定の送信間隔で交互に光照射装置300に送信し、光照射部310の点滅周期を制御する。
本実施形態による照明制御システム1において、制御装置100は、光照射装置300a,300bのそれぞれが有する光照射部310a,310bの点灯期間が重複しないように複数の光照射装置300a,300bのそれぞれの点滅周期を設定する。
なお、本発明はこれに限られず、例えば光照射装置300a、300bの点灯期間が重複してもよい。光照射装置300a、300bの点灯期間は、求める照明環境に応じて適宜変更することができる。
詳しくは後述するが、例えば、制御装置100は、光照射装置300a,光照射装置300bの点滅周期の1サイクル(図3(a)に示すサイクルA及び図3(b)に示すサイクルB)を、3つの期間に3分割して管理する。例えば、点滅周期は第一期間「点灯」→第二期間「消灯」→第三期間「消灯」の3つの期間で構成される。本例において、各期間はの長さは同一である。
例えば、制御装置100は、照明制御システム1の動作開始時において、光照射装置300aの点滅周期の第一期間「点灯」の開始タイミングと、光照射装置300bの点滅周期の第一期間「点灯」の開始タイミングとを異ならせることにより、以降、光照射装置300aおよび光照射装置300bの光照射部310(光照射部310a,310b)の点灯期間が重複しないように制御することができる。
具体的には、制御装置100は、照明制御システム1の動作開始時において、まず光照射装置300aに点灯制御信号を送信し、光照射装置300aの点滅周期の第一期間「点灯」を開始する。このとき、制御装置100は、光照射装置300bには点滅制御信号を送信しない。つまり、照明制御システム1の動作開始時において、光照射装置300bは待機状態となっており点滅周期が開始されないため、光照射装置300bの光照射部310bは消灯している。このように、照明制御システム1の動作開始時には、光照射装置300aの光照射部310aは点灯し、光照射装置300bの光照射部310bは消灯している。
次いで、制御装置100は、光照射装置300aの点滅周期の第一期間「点灯」の終了タイミングにおいて、光照射装置300aに消灯制御信号を送信して第二期間「消灯」を開始するとともに、光照射装置300bに点灯制御信号を送信して光照射装置300bにおける点滅周期の第一期間「点灯」を開始する。これにより、光照射装置300aの光照射部310aは消灯するとともに、光照射装置300bの光照射部310bが点灯される。
次いで、制御装置100は、光照射装置300aの点滅周期の第二期間「消灯」の終了タイミングにおいて、光照射装置300aに消灯制御信号を送信して第三期間「消灯」を開始するとともに、光照射装置300bにも消灯制御信号を送信して光照射装置300bにおける点滅周期の第二期間「消灯」を開始する。これにより、光照射装置300aの光照射部310aは消灯を維持するとともに、光照射装置300bの光照射部310bが点灯される。
次いで、制御装置100は、光照射装置300aの点滅周期の第三期間「消灯」の終了タイミングにおいて、光照射装置300aに点灯制御信号を送信して再度第一期間「点灯」を開始するとともに、光照射装置300bに消灯制御信号を送信して光照射装置300bにおける点滅周期の第三期間「消灯」を開始する。これにより、光照射装置300aの光照射部310aが点灯するとともに、光照射装置300bの光照射部310bが消灯を維持する。
このように、制御装置100は、光照射装置300aの点滅周期と、光照射装置300bの点滅周期とを1期間分ずらして制御する。これにより、本実施形態による照明制御システム1は、光照射装置300a,300bのそれぞれが有する光源(光照射部310a,310b)の点灯期間が重複しないように動作可能となる。
なお、例えば、制御装置100にはパルス信号を送信可能なハードウェア装置(パルス信号送信器)が設けられて(または、接続されて)おり、この送信器が送信するパルス信号によって光照射装置300の点滅制御を行ってもよい。パルス信号送信器は、パルス信号送信機能を有するソフトウェアとして制御装置100に組み込まれていてもよい。
具体的には、制御装置100は、上述の送信器を介して光照射装置300の点滅周期と同じ周期を有する連続パルス信号を送信可能に構成されており、例えば高レベル(High)のパルス信号を点灯制御信号、低レベル(Low)のパルス信号を消灯制御信号として光照射装置300に送信する。上述のように、点滅周期は、第一期間「点灯」→第二期間「消灯」→第三期間「消灯」の3つの期間で構成されるため、制御装置100は、点滅制御用のパルス信号として高レベル(High)のパルス信号と低レベル(Low)のパルス信号とを1:2の比率で繰り返し送信すればよい。
また、光照射装置300aの点滅周期と光照射装置300bの点滅周期とを1期間分ずらして制御するためには、光照射装置300a用のパルス信号と光照射装置300b用のパルス信号との位相をずらして送信すればよい。具体的には、例えば光照射装置300aに対して点滅周期における第二期間「消灯」に対応する低レベルのパルス信号を送信するときに、光照射装置300aの点滅周期における第一期間「点灯」に対応する高レベルのパルス信号を送信するように2つの光照射装置300に対するパルス信号の位相をずらせばよい。
(光照射装置)
図2に示すように、光照射装置300は、通信制御部301と、点滅制御部303と、光照射部310とを有している。光照射装置300は、制御装置100から送信された点滅制御信号に基づいて、可視光を照射可能な光源である光照射部310の点灯及び消灯のサイクルを繰り返すことで、所定の点滅周期で点滅する。本例では、光照射装置300aと光照射装置300bとは、光照射部310(光照射部310a,310b)の点滅周期が異なっているものの、機能構成は同一である。
通信制御部301は、制御装置100から送信された点滅制御信号を受信して点滅制御部303に出力する。
また、点滅制御部303は、通信制御部301から入力される点滅制御信号に基づいて光照射部310の点灯状態を制御する。つまり、点滅制御部303は、点滅制御信号の種類が点灯制御信号であるか、または消灯制御信号であるかを解析して、光照射部310を制御(駆動)する所定の信号またはコマンドを生成する。点滅制御部303は、生成した信号またはコマンドを光照射部310に出力する。そして、光照射部310は、点滅制御部303から入力される所定の信号またはコマンドによって制御(駆動)されて、点灯、消灯の切替え(スイッチング)によって点滅する。
光照射部310は、可視光を照射可能な光源で構成されている。光照射部310は、点滅周期が制御装置100によって制御されるため、電気的に点灯、消灯を切り替え可能な光源であれば特に限定されない。点滅制御部303は、光照射部310を構成する光源に応じた信号またはコマンドによって光照射部310の点灯および消灯の切替え制御を行う。ここで、光照射部310は、例えば複数のLEDランプの集合体で形成されているとする。また、光照射部310aと光照射部310bとは同一の光源で構成されていてもよいし、輝度や光量、発光色がそれぞれ異なっていてもよい。光照射部310aと光照射部310bとを異なる態様の光源で構成することで、照明制御システム1は、より多様な照明環境を提供することができる。なお、光照射装置300の光量や発光色は当業者が適宜変更することができる。
(光遮断装置)
図1に示すように、光遮断装置500は、通信制御部501と、光遮断制御部503と、光遮断部510とを有している。光遮断装置500は、制御装置100から送信された切替え制御信号に基づいて、光遮断部510を可視光を遮断する遮光状態と可視光を遮断しない非遮光状態とに遷移させることで、光照射装置300の点滅周期と同期した切替え周期で光遮断部510の状態を切替える。また、詳しくは後述するが、本実施形態では、光遮断部510aの切替え周期は光照射部310aの点滅周期と同期され、光遮断部510bの切替え周期は光照射部310bの点滅周期と同期されている。したがって、光遮断装置500aと光遮断装置500bとは、光遮断部510(光遮断部510a,510b)の切替えタイミングが異なっているものの、機能構成は同一である。
通信制御部501は、制御装置100から送信された切替え制御信号を受信して光遮断制御部503に出力する。
また、光遮断制御部503は、通信制御部501から入力される切替え制御信号に基づいて光遮断部510の状態を制御する。つまり、光遮断制御部503は、切替え制御信号の種類が光遮断部510を遮光状態とするための遮光制御信号であるか、または光遮断部510を非遮光状態とするための非遮光制御信号であるかを解析して、光遮断部510を制御(駆動)する所定の信号またはコマンドを生成する。光遮断制御部503は、生成した信号またはコマンドを光遮断部510に出力する。そして、光遮断部510は、光遮断制御部503から入力される所定の信号またはコマンドによって制御されて遮光状態、非遮光状態の切替えを行う。
本実施形態において、光遮断部510は、遮光状態と非遮光状態とを電気的に切替え可能なシャッター機構として構成されている。このようなシャッター機構としては、例えば、電圧の高低によって光の透過性を変化させることで遮光状態と非遮光状態とに遷移可能な液晶シャッターが想定される。この場合、光遮断部510は、光遮断制御部503から入力される所定の信号またはコマンドに基づいて電圧の高低を変化させて遮光状態と非遮光状態との切替えを行う。なお、光遮断部510は遮光状態と非遮光状態とを高速(少なくとも60Hz以上)で電気的に切替え可能な構成であればシャッター機構に限定されるものではない。
また、本実施形態による照明制御システム1において、光遮断装置500は、光遮断部510がユーザの目を覆うようにして装着可能な形状を有している。本実施形態では、光遮断装置500は図1に示すようにメガネ型の装着型機器であり、光遮断部510は、一般的なメガネにおいてフレーム枠内に嵌められて装着者の左右の両眼を覆うレンズにあたる箇所に設けられている。
(制御装置による光遮断装置の切替え周期制御)
次に、制御装置100による光遮断装置500の切替え周期制御について説明する。
制御装置100は、光遮断装置500に切替え制御信号を送信することで、光遮断装置500が有する光遮断部510(例えば、液晶シャッター)が所定の切替え周期で遮光状態と非遮光状態とに切り替わるように制御する。具体的には、制御装置100は、光遮断装置500の光遮断部510の切替え周期と複数の光照射装置300のうちいずれか一の光照射装置300(光照射装置300aまたは300b)の点滅周期とを同期させる。
より具体的には、制御装置100は、光遮断部510が一の光照射装置300(光照射装置300a,300bのいずれか)の光照射部(光源の一例)310の点灯に同期して非遮光状態となり、当該光照射部310の消灯に同期して遮光状態となるように光遮断装置500の切替え周期を設定する。
ここで、図3を用いて、光遮断装置500の光遮断部510の切替え周期と光照射装置300の光照射部310の点滅周期との同期制御について説明する。本例では、光遮断装置500aの光遮断部510aの切替え周期と光照射装置300aの光照射部310aの点滅周期とが同期し、光遮断装置500bの光遮断部510bの切替え周期と光照射装置300bの光照射部310bの点滅周期とが同期している例を説明する。
図3(a)は、光照射装置300aの点滅周期と光遮断装置500aの切替え周期との同期関係を示す図である。
図3(a)の上から1段目は、光照射装置300aの点滅周期を示しており、上から2段目は、光照射装置300bの点滅周期を示している。図3(a)の上から1段目及び2段目の縦軸は、各光照射装置300の光源の輝度(Brightness)を示しており、輝度=0の状態が消灯、輝度=3の状態が点灯を示している。
図3(a)の上から3段目は、光遮断装置500aの光遮断部510aの切替え周期を示しており、光遮断部510aの遮光状態を黒色の横線で示し、非遮光状態を空白で示している。また、図3(a)の上から4段目は、光遮断装置500aを装着したユーザ(例えば、図1に示すユーザP1)の目に入射する可視光の輝度及びユーザが知覚する可視光の平均輝度を縦軸方向に示している。
なお、本例において、照明制御システム1の利用空間(例えば屋内空間α)は、例えば窓等からの自然光の入射がほぼなく、ユーザが知覚する可視光は光照射装置300の光照射部310が照射する光のみであるとする。
また、図3(a)の上から1段目、2段目、4段目の横軸は時間軸(t)を示している。つまり、図3(a)は、所定の点滅周期(例えば60Hz)で点滅する光照射装置300a,300bの光照射部310(光照射部310a,310b)の状態遷移と、光照射装置300aの光照射部310aの点滅周期と同期した切替え周期による光遮断装置500aの光遮断部510aの状態遷移と、ユーザが知覚する可視光の状態とを時系列で示している。
図3(a)に示すように、光照射装置300aの点滅周期の1サイクル(サイクルA)を形成する3つの期間において、光照射部310aは点灯→消灯→消灯の順に状態が繰り返し遷移する。また、光照射装置300aと同期する光遮断装置500aの切替え周期の1サイクル(サイクルA)を形成する3つの期間において、光遮断部510aは非遮光→遮光→遮光の順に状態が繰り返し遷移する。つまり、制御装置100は、光照射装置300aの点滅周期の1サイクル(サイクルA)に合わせて光遮断装置500aの切替え周期の1サイクルを実施する。具体的には、制御装置100は、光照射装置300aに点灯制御信号を送信するタイミングに合わせて、光遮断装置500aに非遮光制御信号を送信し、光照射装置300aに消灯制御信号を送信するタイミングに合わせて、光遮断装置500aに遮光制御信号を送信する。つまり、制御装置100は、光照射装置300aの光照射部310aの点灯に合わせて光遮断装置500aの光遮断部510aを非遮光状態として、光照射部310aの点灯期間に合わせて光遮断部510aが可視光を透過するように制御する。
このように、本実施形態による照明制御システム1において、制御装置100は、光遮断部510aが一の光照射装置300(本例では、光照射装置300a)の有する光源である光照射部310aの点灯に同期して非遮光状態となり、当該光照射部310aの消灯に同期して遮光状態となるように光遮断装置500aの切替え周期を設定する。
これにより、図3(a)に示すように、光遮断装置500aの光遮断部510aは、光照射装置300aの光照射部310aが点灯状態(輝度=3)の期間(点灯期間)に合わせて非遮光状態となり、光照射部310aが消灯状態(輝度=0)の期間(消灯期間)に合わせて遮光状態となる。
また、図3(a)に示すように、光照射装置300aの点滅周期における光照射部310aの点灯期間と、光照射装置300bの点滅周期における光照射部310bの点灯期間とは重複していない。このため、光遮断装置500aの光遮断部510aは、光照射部310bの点灯期間には非遮光状態となることはない。
つまり、本例において、光遮断部510aが非遮光状態(例えば液晶シャッターが開状態(光透過性あり))のとき光照射部310aは必ず点灯している。一方、光遮断部510aが非遮光状態のとき、光照射部310bは必ず消灯している。したがって、光遮断装置500aを装着しているユーザの目には、照明制御システム1における複数の光照射部310のうち、光照射部310aが照射した可視光(輝度=3)のみが入射することとなり、光照射部310bが照射した可視光が入射することはない。
なお、人は、高速で周期的に遮光状態と非遮光状態とが切り替わるとき、非遮光状態のみを連続して知覚する。つまり、本例では、液晶シャッターの開状態(可視光が透過される状態)と閉状態(可視光が非透過の状態)とが高速(例えば60Hz)で周期的に切り替わる場合に、液晶シャッターの開状態のみが連続して知覚される。このため、光遮断装置500aを装着しているユーザは、光照射部310aが常に点灯していると知覚し、実際には光照射部310bが点滅しているにもかかわらず、光照射部310bが常に消灯していると知覚する。したがって、図3(a)に示すように、光遮断装置500aを装着しているユーザは、断続的に入射される光照射部310aの可視光(輝度=3)の平均値程度の輝度(本例では「1」)を連続的に知覚し、光照射部310aが輝度=1で常に点灯していると認識する。
図3(b)は、光照射装置300bの点滅周期と光遮断装置500bの切替え周期との同期関係を示す図である。
図3(b)は、上から3段目に光遮断装置500bの光遮断部510bの切替え周期を示し、上から4段目に光遮断装置500bを装着したユーザ(例えば、図1に示すユーザP2)の目に入射する可視光の輝度及びユーザが知覚する可視光の平均輝度を示している点で、図3(a)と異なるが、その他は図3(a)と同様である。
図3(b)に示すように、光照射装置300bの点滅周期の1サイクル(サイクルB)を形成する3つの期間において、光照射部310bは、点灯期間が光照射部310aと重複しないタイミングで、点灯→消灯→消灯の順に状態が繰り返し遷移する。また、光照射装置300bと同期する光遮断装置500bの切替え周期の1サイクル(サイクルB)を形成する3つの期間において、光遮断部510bは非遮光→遮光→遮光の順に状態が繰り返し遷移する。したがって、制御装置100は、光照射装置300bの点滅周期の1サイクル(サイクルB)に合わせて光遮断装置500bの切替え周期の1サイクルを実施する。具体的には、制御装置100は、光照射装置300bに点灯制御信号を送信するタイミングに合わせて、光遮断装置500bに非遮光制御信号を送信し、光照射装置300bに消灯制御信号を送信するタイミングに合わせて、光遮断装置500bに遮光制御信号を送信する。
つまり、制御装置100は、光照射装置300bの光照射部310bの点灯に合わせて光遮断装置500bの光遮断部510bを非遮光状態として、光照射部310bの点灯期間に合わせて光遮断部510bが可視光を透過するように制御する。
なお、制御装置100は、光遮断装置500の切替え周期の制御に用いる切替え制御信号としてパルス信号を送信してもよい。この場合、制御装置100は、例えば高レベル(High)のパルス信号を非遮光制御信号、低レベル(Low)のパルス信号を遮光制御信号として光照射装置300に送信すればよい。
このように、本実施形態による照明制御システム1において、制御装置100は、光遮断部510bが一の光照射装置300(本例では、光照射装置300b)の有する光源である光照射部310bの点灯に同期して非遮光状態となり、当該光照射部310bの消灯に同期して遮光状態となるように光遮断装置500bの切替え周期を設定する。
これにより、図3(b)に示すように、光遮断装置500bの光遮断部510bは、光照射装置300bの光照射部310bが点灯状態(輝度=3)の期間(点灯期間)に合わせて非遮光状態となり、光照射部310bが消灯状態(輝度=0)の期間(消灯期間)に合わせて遮光状態となる。
また、図3(b)に示すように、光遮断装置500bの光遮断部510bは光照射部310aの点灯期間には非遮光状態となることはない。つまり、本例において、光遮断部510bが非遮光状態(例えば液晶シャッターが開状態(光透過性あり))のとき光照射部310bは必ず点灯している。一方、光遮断部510bが非遮光状態のとき、光照射部310aは必ず消灯している。したがって、光遮断装置500bを装着しているユーザの目には、照明制御システム1における複数の光照射部310のうち、光照射部310bが照射した可視光(輝度=3)のみが入射することとなり、光照射部310aが照射した可視光が入射することはない。
これにより、光遮断装置500bを装着しているユーザは、光照射部310bが常に点灯していると知覚し、実際には光照射部310aが点滅しているにもかかわらず、光照射部310aが常に消灯していると知覚する。したがって、図3(b)に示すように、光遮断装置500bを装着しているユーザは、断続的に入射される光照射部310bの可視光(輝度=3)の平均値程度の輝度(本例では「1」)を連続的に知覚し、光照射部310bが輝度=1で常に点灯していると認識する。
このように、本実施形態による照明制御システム1には、光遮断装置500が複数(本例では、光遮断装置500a,500bの2つ)設けられ、制御装置100は、複数の光遮断装置500a,500bの切替え周期のそれぞれを、複数の光照射装置300a,300bのうちいずれか一の点滅周期と同期させる。これにより、例えば、図1に示すように、光遮断装置500aを装着したユーザP1と光遮断装置500bを装着したユーザP2とが同一の空間(本例では屋内空間α)に存在する場合、各ユーザに、装着している光遮断装置500の切替え周期と同期する点滅周期の光照射装置300のみが点灯していると知覚させることができる。このため、照明制御システム1は、同一空間内に多重的な照明環境を創出して、同一空間内における複数のユーザそれぞれが所望する照明環境を提示することができ、さらに、他のユーザの照明環境に影響を及ぼすことなく、各ユーザが所望する照明環境を提示することができる。
上述した例では、制御装置100は、光照射装置300a,300bの点滅周期に光遮断装置500a,500bの切替え周期を同期させる制御を行うとしたが、本発明はこれに限られない。例えば、制御装置100は、光遮断装置500a,500bの切替え周期を規定し、当該切替え周期に光照射装置300a,300bの点滅周期を同期させる制御を行うことで、光遮断装置500の切替え周期と光照射装置300の点滅周期とを同期させてもよい。
この場合、制御装置100は、光遮断装置500a,500bのそれぞれが有する光遮断部510a,510bが非遮光状態となる期間(非遮光期間)が重複しないように光遮断装置500a,500bのそれぞれの切替え周期を設定すればよい。例えば、制御装置100は、照明制御システム1の動作開始時において、光遮断装置500aを非遮光状態にするタイミングと、光遮断装置500bを非遮光状態にするタイミングとを異ならせればよい。
上述の場合、制御装置100は、光照射装置300(光照射装置300a,300b)の点滅周期と光遮断装置500a,500bのうちいずれか一の光遮断装置の切替え周期とを同期させる。例えば、制御装置100は、光遮断装置500aに非遮光制御信号を送信するタイミングに合わせて、光照射装置300aに点灯制御信号を送信し、光遮断装置500aに遮光制御信号を送信するタイミングに合わせて、光照射装置300aに消灯制御信号を送信すればよい。つまり制御装置100は、光照射部310aが、光遮断装置500aの光遮断部510aの非遮光状態への遷移に同期して点灯し、光遮断部510aの遮光状態への遷移に同期して消灯するように光照射装置300aの点滅周期を設定し、光遮断装置500aの切替え周期と光照射装置300aの点滅周期とを同期させればよい。光遮断装置500bの切替え周期に光照射装置300bの点滅周期を同期させる場合も、同様に制御すればよい。
このように、照明制御システム1は、光照射装置300が複数(本例では、光照射装置300a,300bの2つ)設けられ、制御装置100は、複数の光照射装置300a,300bの点滅周期のそれぞれを、複数の光遮断装置500a,500bのうちいずれか一の切替え周期と同期させる。この場合も、照明制御システム1は、同一空間内に多重的な照明環境を創出して、同一空間内における複数のユーザそれぞれが所望する照明環境を提示することができる。なお、本発明はこれに限られず、光遮断装置500a、500bの非遮光期間が重複してもよい。光遮断装置500a、500bの非遮光期間は、求める照明環境に応じて適宜変更することができる。
以上説明したように、本実施形態による照明制御システム1は、可視光を照射する光照射部310を有し、光照射部310の点灯と消灯とを所定の点滅周期で切り替え可能な光照射装置300と、可視光を遮断する遮光状態と可視光を遮断しない非遮光状態とに可逆的に遷移可能な光遮断部を有し、光遮断部を前記遮光状態と前記非遮光状態とに所定の切替え周期で切替え可能な光遮断装置500と、所定の通信手段によって光照射装置300及び光遮断装置500と接続され、光照射装置300の点滅周期と光遮断装置500の切替え周期とを同期可能な制御装置100とを備えている。
これにより、照明制御システム1は、同一空間内に多重的な照明環境を創出することで、同一空間内における複数のユーザそれぞれが所望する照明環境を提示することができる。
図4は、照明制御システム1を利用する屋内空間βにおいて複数のユーザ(本例では、ユーザP3,P4,P5)のそれぞれが所望する明るさの照明環境の提供例を示す図である。
図4(a)に示す例において、屋内空間β内の天井には、光照射装置300が3つ設けられている。具体的には、1つの光照射装置300aを挟んで2つの光照射装置300bが設けられている。
例えばユーザP3は、作業に集中するため、自分の作業領域内だけを明るく、該作業領域よりも外側を暗くして他の作業者を視認しづらい照明環境を所望しているとする。この場合、光照射装置300aの下で作業中のユーザP3は光照射装置300aの点滅周期と同期する切替え周期の光遮断装置500a(図4(a)では不図示)を装着すればよい。これにより、図4(a)に示すように、ユーザP3は、自分の作業領域を照らしている光照射装置300aの光照射部310aが照射する可視光のみを知覚し、自分の作業領域外を照らしている光照射装置300bの光照射部310bが照射する可視光は知覚しない状態となり、他の作業者であるユーザP4,P5の存在が視認しづらい状態となる。
またこのとき、ユーザP4,P5は、光照射装置300bの点滅周期と同期する切替え周期の光遮断装置500b(図4(a)では不図示)を装着すれば、光照射装置300bの光照射部310bが照射する可視光のみを知覚することになり、ユーザP3と同様に自分の作業領域内だけが明るいという照明環境の提供を受けることができる。
また、例えばユーザP3は、作業の休憩中においてリラックスするため、自分の作業内だけを暗くする照明環境を所望しているとする。この場合、光照射装置300aの下で作業中のユーザP3は光照射装置300bの点滅周期と同期する切替え周期の光遮断装置500b(図4(a)では不図示)を装着すればよい。これにより、図4(b)に示すように、ユーザP3は、自分の作業領域を照らしている光照射装置300aの光照射部310aが照射する可視光を知覚せず、自分の作業領域外を照らしている光照射装置300bの光照射部310bが照射する可視光を知覚する状態となる。
このように、ユーザP3は、同一空間内(本例では屋内空間β内)において、他のユーザP4,P5の照明環境に影響を及ぼさずに所望する照明環境の提供を受けることができる。
なお、照明制御システム1は、ユーザの知覚する可視光の明暗を制御するだけでなく、光照射装置300の光照射部310として用いる光源の種類に応じて多様な照明環境を提供することができる。例えば、照明制御システム1は、複数の光照射装置300において各光照射部310に異なる発光色の光源を用いることで、ユーザの所望する色合いの照明環境を提供することができる。
図5は、照明制御システム1を利用する屋内空間γにおいて複数のユーザ(本例では、ユーザP6,P7,P8)のそれぞれが所望する色合いの照明環境の提供例を示す図である。本例において、光照射装置300aの光照射部310aには発光色が暖色系の光源(例えばLEDランプ)が用いられており、光照射装置300bの光照射部310bには発光色が寒色系の光源(例えばLEDランプ)が用いられているとする。
また、屋内空間γ内の天井に、光照射装置300a,300bがそれぞれ3つずつ交互に設置されているとする。理解を容易にするため、図5において、光照射部310aと光照射部310bとの発光色の違いは、光照射装置300a,300bの網掛けの態様の違いによって図示している。
屋内空間γ内において、例えば暖色系の発光色の光源による照明環境を所望するユーザP6は、光照射装置300aの点滅周期と同期する切替え周期の光遮断装置500a(図5では不図示)を装着すればよい。これにより、図5に示すように、ユーザP6は、光照射装置300aの光照射部310aが照射する暖色系の可視光を知覚し、光照射装置300bの光照射部310bが照射する寒色系の可視光を知覚しない。このため、ユーザP6は、暖色系の発光色の光源による照明環境の下で作業を行うことができる。
また、屋内空間γ内において、例えば寒色系の発光色の光源による照明環境を所望するユーザP8は、光照射装置300bの点滅周期と同期する切替え周期の光遮断装置500b(図5では不図示)を装着すればよい。これにより、図5に示すように、ユーザP8は、光照射装置300bの光照射部310bが照射する寒色系の可視光を知覚し、光照射装置300aの光照射部310aが照射する暖色系の可視光を知覚しない。このため、ユーザP8は、寒色系の発光色の光源による照明環境の下で作業を行うことができる。
また、例えば、寒色と暖色とが混色した中間色による照明環境を所望するユーザP7は、光遮断装置500を装着しなければよい。これにより、図5に示すように、ユーザP7は、光照射装置300aの光照射部310aが照射する暖色系の可視光と、光照射装置300bの光照射部310bが照射する寒色系の可視光との両方を知覚可能となる。このため、ユーザP8は、寒色系の発光色の光源と暖色系の発光色の光源とが混色した中間色による照明環境の下で作業を行うことができる。
また例えば、光照射装置300a,300bの点滅周期のサイクルとして、光照射部310aが照射する暖色系の可視光と、光照射部310bが照射する寒色系の可視光とが混色する期間、つまり光照射部310aと光照射部310bとの点灯期間が重なる期間を設け、当該期間中に光遮断部510が非遮光状態となる切替え周期の光遮断装置500を用意し、当該光遮断装置500を装着したユーザ(ここでは、ユーザP7)に上述の中間色による照明環境を提供してもよい。
このように、本実施形態による照明制御システム1は、複数の光照射装置300のそれぞれの光照射部310として用いる光源の態様(例えば、発光色、輝度、光量等)を異ならせることで、同一空間内において多重的な照明環境を提供することができる。これにより、照明制御システム1は、同一空間内にいる複数のユーザそれぞれに対し、他のユーザの照明環境に影響を及ぼすことなく、より多様な照明環境の中から各人が所望する照明環境を提示することができる。
なお、上述のように光照射部310a,310bのそれぞれの光源の発光色を異ならせるのではなく、発光色の混色を目的として、光照射装置300aの光照射部310a,310bを複数の発光色で発光する光源(例えば、フルカラーLEDランプ)で構成してもよい。また、例えば複数の光照射装置300aの光照射部310aのそれぞれを異なる発光色の光源で構成し、この光照射部310aを同時に点灯させることで、発光色を混色させてもよい。
(変形例)
上記実施形態では、照明制御システム1において制御装置100は、光照射装置300に点灯制御信号を送信するタイミングに合わせて、光遮断装置500に非遮光制御信号を送信し、光照射装置300に消灯制御信号を送信するタイミングに合わせて、光遮断装置500に遮光信号を送信することで、光照射装置300の点滅周期と光遮断装置500の切替え周期とを同期させていた。
しかしながら、例えば光遮断装置500が有する光遮断部510において遮光状態と非遮光状態とを電気的に切替える際の速度(応答速度)によっては、光照射装置300の点滅周期と光遮断装置500の切替え周期が意図したように同期されず、ユーザが所望する照明環境と実際にユーザに提供される照明環境とに差異が生じる場合がある。
例えば、光照射装置300aの点滅周期と光遮断装置500aの切替え周期を同期制御する際において、光遮断部510aの応答速度が、光照射部310aが点灯と消灯とを電気的に切り替える場合の応答速度よりも遅いとする。この場合、光遮断部510aが非遮光状態である期間と光照射部310aの点灯期間にずれが生じて、ユーザが知覚する光の輝度が意図せずに低下するような事象や、光遮断部510aが完全に遮光状態になる前に同期対象ではない光照射装置300bの光照射部310bの点灯が開始されてユーザの目に光照射部310bの照射する光が入射するような事象が生じて、ユーザの所望する照明環境が提供できないおそれもある。
そこで、本変形例による照明制御システム1において、制御装置100は、光遮断装置500の光遮断部510が遮光状態と非遮光状態との遷移期間中である場合に、全ての光照射装置300の光照射部310が点灯しないように光照射装置300を制御する。
ここで、光遮断装置500が遮光状態から非遮光状態に、又は非遮光状態から遮光状態に遷移する期間をインターバル期間という。制御装置100がインターバル期間を含めて光遮断装置500の切替え周期と光照射装置300の点滅周期とを同期させる制御を行うことで、照明制御システム1は、光照射装置300における光照射部310の点灯期間と光照射装置300を同期対象とする光遮断装置500における光遮断部510の非遮光状態期間とにずれが生じることを防止することができる。つまり、光遮断装置500の光遮断部510の応答速度に関わらず、ユーザの所望する照明環境を提供することができる。
本変形例における光照射装置300の点滅周期と光遮断装置500の切替え周期の同期制御について、図6を用いて説明する。図6は、光照射装置300aの点滅周期と光遮断装置500aの切替え周期とを例にとって、インターバル期間を含めた同期制御を説明する図である。
図6の上から1段目は、光照射装置300aの点滅周期を示しており、上から2段目は、光照射装置300bの点滅周期を示している。図6の上から1段目及び2段目の縦軸は、各光照射装置300の光照射部310の光度(Luminous Intensity)を示しており、光度=0の状態が消灯、光度>0の状態が点灯を示している。また、図6の上から3段目は、光遮断装置500aの光遮断部510aの切替え周期を示している。図6の上から3段目の縦軸は光遮断部510aの可視光の透過率(Transmittance)を示しており、透過率=0の状態が遮光状態、透過率=100の状態が非遮光状態を示している。また、図6の上から4段目は、光遮断装置500aを装着したユーザの目に入射する可視光の状態を示しており、矢印が到達している状態が光遮断装置500aの光遮断部510aを透過して可視光が入射している状態を示し、矢印が到達していない状態が光遮断部510aに遮光されて可視光が入射していない状態を示している。
また、図6の上から1〜4段目の横軸は時間軸(t)を示している。
図6に示すように、本例の光遮断部510aは、遮光状態と非遮光状態とに遷移する場合に所定のインターバル期間を要する。具体的には、光遮断部510aには、遮光状態から非遮光状態に遷移する際の第一インターバル期間Tint1と、非遮光状態から遮光状態に遷移する際の第二インターバル期間Tint2とが生じている。なお、第一インターバル期間Tint1と第二インターバル期間Tint2とは、同一の期間であってよい。すなわち、第一インターバル期間Tint1と第二インターバル期間Tint2とは、時間長が同じであってよい。
そこで、図6に示すように、光遮断装置500aの同期対象である光照射装置300aは、第一インターバル期間Tint1が終了して光遮断装置500aの光遮断部510aの透過率が100%となり、完全に非遮光状態となった時点で光照射部310aを点灯させる。また、光遮断装置500aの同期対象でない光照射装置300bは、第二インターバル期間Tint2が終了して光遮断装置500aの光遮断部510aの透過率が0%となり、完全に遮光状態となった時点で光照射部310bを点灯させる。
より具体的には、例えば照明制御システム1の運用者は、まず、光遮断装置500の光遮断部510の光の透過率の推移から応答速度を測定すればよい。本変形例において、光遮断部510の応答速度は、例えば、少なくとも100μ秒以上10000μ秒以下、好ましくは500μ秒以上5000μ秒以下、さらに好ましくは1000μ秒以上4000μ秒以下、さらに好ましくは1500μ秒以上3000μ秒以下、最も好ましくは1800μ秒以上2500μ秒以下である。本例では、光遮断部510aの応答速度は2000μ秒とする。なお、通常、複数の光遮断装置500のそれぞれにおける光遮断部510の応答速度は同一であるとする。
また、本変形例において、光照射装置300aの点滅周期はCFFを担保するために60Hzであるとする。図6に示すように、本変形例において光照射装置300aは、点滅周期において光照射部310aを点灯可能な最長の期間(点灯可能期間=本例では、1/60Ns)において、第一インターバル期間Tint1(本例では2000μ秒)分だけ点灯を遅延させている。つまり、制御装置100は、光照射部310aの点灯可能期間の開始時点において、まず光遮断装置500に非遮光制御信号を送信し、灯可能期間の開始時点から第一インターバル期間Tint1が経過した時点で光照射装置300aに点灯制御信号を送信する。本変形例において、光照射装置300aの光照射部310aの応答速度は非常に高速であって、点灯制御信号を受信すると瞬時に光照射部310が点灯する。
これにより、図6に示すように、光遮断装置500aの光遮断部510aの透過率が100%となり、完全に非遮光状態となった時点で光照射部310aを点灯することができる。また、制御装置100は、光照射部310aの点灯可能期間の終了時において、光照射装置300aに消灯制御信号を送信するとともに、光遮断装置500aに遮光制御信号を送信する。これにより、光遮断部510aの透過率が100%より低下して完全に非遮光状態でなくなる時点、つまり非遮光状態から遮光状態に遷移を開始する第二インターバル期間Tint2の開始時点で光照射部310aを消灯することができる。
また、図6に示すように、本変形例において光遮断装置500の同期対象でない光照射装置300bは、光照射部310bの点灯可能期間(本例では、1/60Ns)において、光遮断装置500の第二インターバル期間Tint2(本例では2000μ秒)分だけ点灯を遅延させている。つまり、制御装置100は、光照射部310bの点灯可能期間の開始時点から第二インターバル期間Tint2が経過した時点で光照射装置300aに点灯制御信号を送信する。これにより、光遮断装置500aの光遮断部510aの透過率が0%となり、完全に遮光状態となった時点で光照射部310bを点灯することができる。
このように、本変形例において、制御装置100は、光遮断装置500aの光遮断部510aが遮光状態と非遮光状態との遷移期間中(インターバル期間中)である場合に、全ての光照射装置300(光照射装置300a,300b)の光照射部310(光照射部310a,310b)が点灯しないように制御する。さらに、制御装置100は、光遮断装置500aの光遮断部510aが完全に非遮光状態となる時点で、点滅周期が光遮断装置500aの切替え周期と同期する光照射装置300aの光照射部310aが点灯するように該光照射装置300aを制御する。
これにより、光遮断部510aは、光遮断装置500aの同期対象である光照射装置300aの光照射部310aの照射する光のみを透過し、同期対象でない光照射装置300bの光照射部310bの照射する光は透過しないように制御される。したがって、図6に示すように、光遮断装置500aを装着したユーザの目には、光照射部310aの照射する光のみが入射し、当該ユーザは光照射部310aのみを知覚して所望する照明環境の提供を受けることができる。
また、本変形例において、インターバル期間を設けて光照射装置300aの点滅周期及び光遮断装置500aの点滅周期を制御したが、光遮断装置500aを装着したユーザが知覚する可視光の輝度は、光遮断部510aを非遮光状態にして可視光の透過率を100%にしたまま、光照射部310aと同等の光源下で知覚する可視光の輝度と同様となる。
なお、図6では、光照射装置300aの点滅周期と光遮断装置500aの切替え周期とを例にとって、インターバル期間を含めた同期制御を説明したが、光照射装置300bの点滅周期と光遮断装置500bの切替え周期とをインターバル期間を含めて同期制御する場合も、同様である。つまり、制御装置100は、光遮断装置500bの光遮断部510bが遮光状態と非遮光状態との遷移期間中(インターバル期間中)である場合に、全ての光照射装置300(光照射装置300a,300b)の光照射部310が点灯しないように制御すればよい。また、制御装置100は、光遮断装置500bの光遮断部510bが完全に非遮光状態となる時点で、点滅周期が光遮断装置500bの切替え周期と同期する光照射装置300bの光照射部310bが点灯するように該光照射装置300bを制御すればよい。
以上説明したように、本変形例による照明制御システム1は、インターバル期間を含めて光照射装置300の点滅周期と光遮断装置500の切替え周期との同期制御を行うことで、光遮断装置500の光遮断部510の応答速度に関わらず、同一空間内における多重的な照明環境下において、ユーザの所望する照明環境を提供することができる。
(その他の変形例)
上記実施形態では、照明制御システム1が点滅周期の異なる2つ(2種類)の光照射装置300を備える例を説明したが、光照射装置300の数(種類)はこれに限られない。例えば照明制御システム1が備える光照射装置300は単数であってもよいし、複数の光照射装置300において点滅周期が同一であってもよい。この場合、例えばユーザは、光照射装置300の点滅周期と同期しない切替え周期の光遮断装置を装着することで、他のユーザの照明環境に影響を及ぼすことなく輝度の低い照明環境(例えば、休憩中におけるリラックスのための暗い照明環境)の提供を受けることができる。また、光照射装置300の種類は3つ以上であってもよく、この場合、各光照射装置300の点滅周期に切替え周期を同期させた少なくとも3つ以上の光遮断装置500を用意すればよい。
また、一の光照射装置300の光照射部310がフルカラーLEDで構成されていてもよい。この場合、一の光照射装置300によっても、多重的な照明環境を創出することができる。具体的には、フルカラーLEDをユーザ所望の色合いで順番に発光させ,その切替え周期を光遮断装置500の切替え周期と同期させることで、複数色の中からユーザの所望の色合いの照明環境を提供することができる。
また、上記実施形態において、光遮断装置500の一例として個人用の装着型機器(メガネ型の機器)を挙げたが、本発明はこれに限られない。例えば光遮断装置500は、個人用又は少人数用のコンパートメントやブースの天井部分を覆うように取り付けたシェードのような装置であってもよい。また、このシェード形状の光遮断装置500は、光照射装置300を覆うように設けられていてもよい。
また、上記実施形態において、光遮断装置500の切替え周期は、制御装置100が送信する切替え制御信号によって制御するとしたが、本発明はこれに限られない。光遮断装置500は、ユーザが切替え周期を調整可能な調整機構を有していてもよい。例えば、光遮断装置500には、ユーザにより操作可能なスイッチ部(つまみ、ボタン等)が設けられ、ユーザがスイッチ部を操作して(例えば、つまみを回して)、光遮断部510の切替え周期を複数の光照射装置300のいずれかの点滅周期と同期するように調整可能であればよい。これにより、照明制御システム1のユーザは、スイッチ部の操作によって複数の光照射装置300のうちいずれかの点滅周期に、装着した光遮断装置500の切替え周期を同期させることで、光遮断装置500を付け替えることなく、所望の照明環境の提供を受けることができる。この場合、光遮断装置500は通信機能を有さず、例えばスイッチ部の操作に基づいて光遮断制御部503に所定の切替え制御信号が出力されるように構成されてもよい。またこの場合、制御装置100は、光照射装置300にのみ制御信号(点滅制御信号)を送信すればよいため、制御装置100の処理負荷を軽減することができる。
また、上記実施形態において、光照射装置300の点滅周期は、制御装置100が送信する点滅制御信号によって制御するとしたが、本発明はこれに限られない。例えば、光照射装置300が有する点滅制御部303が点滅制御信号に基づかずに、光照射部310の点滅を制御してもよい。例えば、点滅制御部303は予め定められた点滅周期で光照射部310に高レベル(点灯)または低レベル(消灯)のパルス信号を出力するように構成されていればよい。この場合、光照射装置300は通信機能(通信制御部301)を有していなくてもよい。このように、本発明による照明制御システムは、通信機能が不要の光照射装置300と、上述のようにユーザが切替え周期を調整可能であって通信機能が不要の光遮断装置500とを組み合わせて用いることで、制御装置100なしに運用することができる。このため、例えば所定の通信手段の利用が困難な環境下であっても同一空間内に多重的な照明環境を創出し、同一空間内における複数のユーザそれぞれが所望する照明環境を提示することができる。
以上、実施形態により本発明を説明したが、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。