JP2020133203A - 仮防水処理を施す施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】施工中に軒梁の耐火被覆を雨で濡らすことがないうえに、仮防水シートの設置と撤去の手間をかける必要がない施工性に優れた仮防水処理を施す施工方法を提供する。【解決手段】陸屋根1の軒梁4に耐火被覆を行う際に行われる仮防水処理を施す施工方法である。そして、陸屋根の野地板2に敷設するルーフィング材3の下縁3aを、軒梁の下面に隣接する位置まで配置された外壁本体部5の上縁5aまで垂らす工程と、軒梁に耐火被覆を行う工程と、ルーフィング材の下縁を野地板上まで捲り上げて、外壁本体部に対して軒梁の側方を覆う外壁上端部を接続する工程と、ルーフィング材の垂下部31をカットする工程とを備えている。【選択図】図1
Description
本発明は、陸屋根の軒梁に耐火被覆を行う際に行われる仮防水処理を施す施工方法に関するものである。
陸屋根が設けられる鉄骨造の建築物においては、形鋼によって形成される軒梁に対して耐火被覆を行う必要がある。耐火被覆に使用されるロックウールやケイ酸カルシウム板などの耐火被覆材は、雨に濡れると吸水してしまい、乾くのに時間がかかる。
そして、耐火被覆材が乾かないまま内壁ボードや天井ボードや外壁を施工して、軒梁を閉じ込めてしまうと、壁内結露やカビなどの原因となるため、耐火被覆には施工中に雨がかからないように仮防水処理を施す必要がある。
特許文献1には、陸屋根の床スラブを施工するに際して、床面から周縁のパラペットに至るまでの屋根全面に仮防水シートをプール状に敷設することで、本防水シートなどによって防水処理が施されるまでの間に、建物内部が水濡れするのを防ぐようにした施工方法が開示されている。
しかしながら、仮防水シートを敷設する施工方法では、本防水シートに加えて仮防水シートの材料費がかかる上に、仮防水シートの設置と撤去に施工費と施工時間がかかることから、工費及び工期が増加することが懸念される。
そこで、本発明は、施工中に軒梁の耐火被覆を雨で濡らすことがないうえに、仮防水シートの設置と撤去の手間をかける必要がない施工性に優れた仮防水処理を施す施工方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の仮防水処理を施す施工方法は、陸屋根の軒梁に耐火被覆を行う際に行われる仮防水処理を施す施工方法であって、前記陸屋根の野地板に敷設する防水シートの下縁を、前記軒梁の下面に隣接する位置まで配置された外壁本体部の上縁まで垂らす工程と、前記軒梁に耐火被覆を行う工程と、前記防水シートの下縁を前記野地板上まで捲り上げて、前記外壁本体部に対して前記軒梁の側方を覆う外壁上端部を接続する工程と、前記防水シートの垂下部をカットする工程とを備えたことを特徴とする。
ここで、前記軒梁に耐火被覆を行う工程は、前記防水シートの下縁を前記野地板上まで捲り上げた状態で行うことができる。また、前記防水シートの下縁を前記外壁本体部の上縁に仮固定した状態で、前記軒梁に隣接する箇所の内装工事を行うことができる。
さらに、前記外壁本体部に前記外壁上端部を接続したのちに、再び前記防水シートを垂下させて前記外壁本体部又は前記外壁上端部に仮固定することができる。そして、前記垂下部をカットしたのちに、前記防水シートの上に敷設された屋根ふき材の縁部と前記外壁上端部との間を塞ぐために軒梁まわりの防水部材を取り付ける工程を備えた構成とすることができる。
このように構成された本発明の仮防水処理を施す施工方法は、陸屋根の野地板に敷設する防水シートの下縁を、軒梁に隣接する外壁本体部の上縁まで垂らすことができる状態にしてから、軒梁に耐火被覆を行う。そして、外壁本体部に対して軒梁の側方を覆う外壁上端部を接続した後に、防水シートの垂下部をカットする。
このため、施工中は防水シートの垂下部によって軒梁周辺を覆うことができるようになるので、耐火被覆を雨で濡らすことがない。さらに、防水シートの垂下部は最終段階でカットするだけなので、敷設したものを撤去する手間がなく、仮防水シートも使用しないため、材料費を抑えて少ない手間で施工することができる。
また、軒梁に耐火被覆を行う工程の際など、防水シートの垂下部が作業の支障になる場合は、野地板上まで捲り上げておくだけで、簡単に施工できるようになる。さらに、防水シートの垂下部で覆われた仮防水処理された軒梁周辺において、内壁ボードや天井ボードの設置などの内装工事を、降雨時や屋外作業があるときにも実施することができる。
また、外壁本体部に外壁上端部を接続したのちにおいても、再び防水シートを垂下させることで、軒梁周辺が仮防水処理された状態を維持することができる。この状態は、垂下部をカットして、屋根ふき材の縁部と外壁上端部との間を塞ぐための防水部材を取り付ける直前まで、保持しておくことができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1−図8は、本実施の形態の仮防水処理を施す施工方法の各工程を説明するための図である。この施工方法が適用される建物は、H形鋼や溝形鋼などの形鋼によって骨組み構造体が形成される鉄骨建築物である。
また、この建物の屋根は、ほぼ平面となる陸屋根1となる。陸屋根1は、図1に示すように、軒梁4の上に構築される。本実施の形態では、H形鋼によって形成された軒梁4を例に説明する。
軒梁4の上には、たる木21の端部21aを支持させる。たる木21の上には、野地板2が貼り付けられる。また、たる木21の端部21aには、外壁の上端を固定するための外壁受材52が取り付けられる。
図1の状態は、軒梁4を耐火被覆する前の状態である。鋼材によって形成された軒梁4は、図2に示すように、その周囲をロックウールやケイ酸カルシウム板などの耐火被覆材41によって覆う必要がある。
一方、野地板2の上面には、防水シートであるルーフィング材3を敷設する。ルーフィング材3は、図1に示すように、溝形レール状の吊子材24とビス23とによって野地板2に押さえ付けられる。
また、ルーフィング材3の上には、屋根ふき材22Aが敷設される。この屋根ふき材22Aは、例えば防水性能及び耐食性能に優れた溶融アルミニウムめっき鋼板などによって形成される。屋根ふき材22Aの側縁は、吊子材24の側壁に係合されることによって固定される。
次に、図1−図8を順に参照しながら、本実施の形態の仮防水処理を施す施工方法について説明する。
まず、軒梁4を設置する。
まず、軒梁4を設置する。
続いて、たる木21が下面に取り付けられた野地板2を、軒梁4との間に耐火被覆が設置できる隙間を空けて取り付ける。野地板2の上面には、ルーフィング材3を敷設し、さらにその上には、屋根仕上げ材となる屋根ふき材22Aを敷設する。なお、この段階では、野地板2の軒縁2a近傍の屋根ふき材22Bは、配置されていない。
このようにルーフィング材3は、野地板2と屋根ふき材22Aとの間に配置され、屋根ふき材22Aの縁部が係合された吊子材24にビス23又は釘を打ち込むことで、屋根ふき材22Aと野地板2との間に挟み込まれた状態で固定される。
このルーフィング材3は、野地板2の軒縁2aから下方に向けて垂らされ、軒梁4の下面より下方の高さに下縁3aが配置される長さに形成される。この軒縁2aから垂らされたルーフィング材3の下縁3aまでの部分を、垂下部31とする。
この下縁3aと重なる位置には、外壁本体部5となる外壁板が配置される。外壁板には、防水性素材が使用される。例えば、硬質木片セメント板に防水塗装をした外壁板が使用できる。
この建物の外壁は、この外壁本体部5と、後述する外壁上端部51とに分割されて、別の工程で配置される。外壁本体部5は、上縁5aがルーフィング材3の下縁3aと重なるとともに、軒梁4との間に耐火被覆が設置できる隙間を空けた位置に配置される。
この外壁本体部5は、複数のパネルによって構成されることになるが、1枚のパネルの重さが20kg以下となるように分割されていれば、クレーンなどを使うことなく、人力で持ち運んで取り付けることができるようになる。
そして、軒梁4の外側を覆うように垂らしたルーフィング材3の垂下部31の下縁3aを、外壁本体部5の上縁5aの外側面側に防水テープ32で貼り付ける。この防水テープ32による仮固定によって仮防水処理が完了し、降雨があっても軒梁4が濡れることを防ぐことができる。
続いて図2は、軒梁4を耐火被覆する工程を説明する図である。軒梁4に耐火被覆材41を取り付ける作業は、雨が降らない日に行われる。まず、軒梁4を覆っているルーフィング材3の垂下部31を、軒梁4の長さ方向に一工程で耐火被覆を施工できる長さ(例えば5m程度)分だけ捲り上げる。
野地板2上に捲り上げたルーフィング材3の端部(下縁3a)は、屋根ふき材22Aの上に防水テープ32で固定する。なお、防水テープ32は、外壁本体部5の上縁5aとの仮固定に使用したものをそのまま利用することもできるし、貼り直す場合は汎用のテープを使用してもよい。
そして、露出した軒梁4の外周を覆うように、耐火被覆材41を取り付ける。耐火被覆が行われた軒梁4の施工範囲は、再び外側を覆うようにルーフィング材3の垂下部31が垂らされ、外壁本体部5に仮固定されて仮防水処理状態が形成される。
続いて、図3に示すような仮防水処理状態の軒梁4の周辺では、内装工事が行われる。この内装工事は、仮防水処理が完了した内側で行われるため、降雨があっても軒梁4の耐火被覆材41が濡れることはない。
内装工事では、屋内の内壁ボード81や天井ボード82の貼り付け作業などが行われる。また、この内装工事と並行して、屋外側でも後述する外壁上端部51の取り付け作業や屋根の防水仕上げ作業などを行うことができる。このように、屋内側と屋外側とで並行作業が行えるようになれば、全体の工期を短くすることができる。
図4は、外壁本体部5に外壁上端部51を接続する工程を説明する図である。
外壁上端部51を設置する際には、耐火被覆材41が囲繞された軒梁4を覆っているルーフィング材3の垂下部31を、再びこの工程で外壁上端部51を設置する長さ(例えば軒梁4の長さ方向に5m程度)分だけ捲り上げ、端部(下縁3a)を屋根ふき材22Aの上に防水テープ32で固定する。
外壁上端部51を設置する際には、耐火被覆材41が囲繞された軒梁4を覆っているルーフィング材3の垂下部31を、再びこの工程で外壁上端部51を設置する長さ(例えば軒梁4の長さ方向に5m程度)分だけ捲り上げ、端部(下縁3a)を屋根ふき材22Aの上に防水テープ32で固定する。
続いて、露出した軒梁4の耐火被覆材41の外側に、外壁上端部51を取り付ける。外壁上端部51は、外壁本体部5の上縁5aに連続するように配置され、これらの間の目地にはシーリング材53が充填される。
一方、外壁上端部51の上端は、外壁受材52の下端に固定される。これらの作業の終了後、屋根ふき材22Aに仮固定していたルーフィング材3を、再び外壁(外壁上端部51及び外壁本体部5の上縁5a)の外側を覆うように垂らし、その下縁3aを外壁本体部5の上縁5aに防水テープ32で貼り付ける(図5参照)。
この仮防水処理の作業は、次の屋根の防水仕上げ作業の工程に速やかに移行する場合は、省略することができる。要するに、屋根の防水仕上げ作業を行うまでは、いつでも仮防水処理状態にできるようにしておくことで、施工途中で雨が降った場合でも、速やかにルーフィング材3の垂下部31を垂らして仮固定することで、軒梁4の耐火被覆材41を濡らさないようにすることができる。
そして、屋根の防水仕上げ作業を行うためには、図5に示したような外壁上端部51や外壁受材52などの外側を覆っている垂下部31を、図6に示すようにカット(切断)する。
カットしたルーフィング材3の縁部は、野地板2の軒縁2aにテープ33で固定する。例えば、野地板2の木口を覆う所までの長さでルーフィング材3をカットして、野地板2の裏面にテープ33で貼り付ける。
屋根の防水仕上げ作業では、図7に示すように、軒縁2a周辺のルーフィング材3の上に、屋根ふき材22Bを敷設して固定する。屋根ふき材22Bの固定は、縁部を吊子材24に係合させることで行う。
また、外壁上端部51の上端面は、軒梁まわりの防水部材である水切り材6で覆う。この水切り材6の下面と外壁上端部51の上端面との間の隙間には、シーリング材53を充填する。水切り材6には、上方の野地板2に向けて立ち上がる上壁部61が形成されている。この上壁部61と野地板2の下面との間には、隙間が形成される。
この上壁部61と野地板2との間の隙間を覆うように、図8に示すようなパラペット7を取り付ける。このパラペット7は、軒梁まわりの防水部材であり、屋根ふき材22Bの縁部に形成された立上り部221と水切り材6とを掛け渡すように配置される。この結果、屋根ふき材22Bの縁部(221)と外壁上端部51との間の隙間が、パラペット7及び水切り材6という軒梁まわりの防水部材で塞がれたことになる。
また、屋根ふき材22A,22Bの縁部を係合させた吊子材24には、瓦棒状キャップであるカバー材25を被せる。このカバー材25を取り付けることによって、ビス23のねじ込み箇所が覆われて防水仕様となる。
次に、本実施の形態の仮防水処理を施す施工方法の作用について説明する。
このように構成された本実施の形態の仮防水処理を施す施工方法は、陸屋根1の野地板2に敷設するルーフィング材3の下縁3aを、軒梁4に隣接する外壁本体部5の上縁5aまで垂らすことができる状態にしてから、軒梁4に耐火被覆材41を取り付ける。
このように構成された本実施の形態の仮防水処理を施す施工方法は、陸屋根1の野地板2に敷設するルーフィング材3の下縁3aを、軒梁4に隣接する外壁本体部5の上縁5aまで垂らすことができる状態にしてから、軒梁4に耐火被覆材41を取り付ける。
そして、外壁本体部5に対して軒梁4の側方を覆う外壁上端部51を接続した後に、ルーフィング材3の垂下部31をカットする。すなわち、施工中はルーフィング材3の垂下部31によって軒梁4の周辺を覆うことができるようになるので、耐火被覆材41を雨で濡らすことがない。
さらに、ルーフィング材3の垂下部31は、工程の最終段階でカットして除去するだけなので、仮防水シートを敷設したときのように野地板上から剥がして撤去する手間がない。また、ルーフィング材3は、垂下部31以外は本防水シートとして利用するため、仮防水シートを別途、用意する必要がなく、材料費を抑えて少ない手間で施工することができる。
また、軒梁4に耐火被覆を行う工程の際など、ルーフィング材3の垂下部31が作業の支障になる場合は、野地板2の上に捲り上げておくだけで、簡単に施工ができるようになる。
さらに、ルーフィング材3の垂下部31で覆われた仮防水処理された軒梁4の周辺においては、内壁ボード81や天井ボード82の設置などの内装工事を、降雨時や屋外作業があるときにも並行して実施することができる。
また、外壁本体部5に外壁上端部51を接続したのちにおいても、再びルーフィング材3の垂下部31を垂下させることで、軒梁4の周辺が仮防水処理された状態を維持することができる。
この仮防水処理された状態は、垂下部31をカットして、屋根ふき材22Bの立上り部221と外壁上端部51との間を塞ぐための防水部材(水切り材6、パラペット7)を取り付ける防水仕上げ作業を行う直前まで、保持しておくことができる。
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施の形態では、軒梁4としてH形鋼を使用する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、溝形鋼やI形鋼が軒梁になる場合にも、本発明を適用することができる。
1 :陸屋根
2 :野地板
22A,22B:屋根ふき材
221 :立上り部(縁部)
3 :ルーフィング材(防水シート)
3a :下縁
31 :垂下部
32 :防水テープ(仮固定)
4 :軒梁
41 :耐火被覆材
5 :外壁本体部
5a :上縁
51 :外壁上端部
6 :水切り材(防水部材)
7 :パラペット(防水部材)
81 :内壁ボード(内装工事)
82 :天井ボード(内装工事)
2 :野地板
22A,22B:屋根ふき材
221 :立上り部(縁部)
3 :ルーフィング材(防水シート)
3a :下縁
31 :垂下部
32 :防水テープ(仮固定)
4 :軒梁
41 :耐火被覆材
5 :外壁本体部
5a :上縁
51 :外壁上端部
6 :水切り材(防水部材)
7 :パラペット(防水部材)
81 :内壁ボード(内装工事)
82 :天井ボード(内装工事)
Claims (5)
- 陸屋根の軒梁に耐火被覆を行う際に行われる仮防水処理を施す施工方法であって、
前記陸屋根の野地板に敷設する防水シートの下縁を、前記軒梁の下面に隣接する位置まで配置された外壁本体部の上縁まで垂らす工程と、
前記軒梁に耐火被覆を行う工程と、
前記防水シートの下縁を前記野地板上まで捲り上げて、前記外壁本体部に対して前記軒梁の側方を覆う外壁上端部を接続する工程と、
前記防水シートの垂下部をカットする工程とを備えたことを特徴とする仮防水処理を施す施工方法。 - 前記軒梁に耐火被覆を行う工程は、前記防水シートの下縁を前記野地板上まで捲り上げた状態で行われることを特徴とする請求項1に記載の仮防水処理を施す施工方法。
- 前記防水シートの下縁を前記外壁本体部の上縁に仮固定した状態で、前記軒梁に隣接する箇所の内装工事を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の仮防水処理を施す施工方法。
- 前記外壁本体部に前記外壁上端部を接続したのちに、再び前記防水シートを垂下させて前記外壁本体部又は前記外壁上端部に仮固定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の仮防水処理を施す施工方法。
- 前記垂下部をカットしたのちに、前記防水シートの上に敷設された屋根ふき材の縁部と前記外壁上端部との間を塞ぐために軒梁まわりの防水部材を取り付ける工程を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の仮防水処理を施す施工方法。
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