JP2020132531A - 微小管重合を阻害する化合物及びこれらの抗体薬物複合体 - Google Patents

微小管重合を阻害する化合物及びこれらの抗体薬物複合体 Download PDF

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篤志 諏訪
Atsushi Suwa
篤志 諏訪
貴義 山本
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貴義 山本
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Abstract

【課題】標的細胞に対して特異的に細胞傷害を与える一方で、正常細胞への細胞毒性は抑えられた微小管重合阻害剤誘導体、その抗体薬物複合体及び該抗体薬物複合体の合成中間体を提供する。【解決手段】式(1):[式中、mは、1〜10の整数を表し、AAは、特定のアミノ酸残基を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、Zは、微小管重合阻害剤で表される基である]で表される、化合物又はその塩。【選択図】なし

Description

本発明は、微小管重合阻害剤誘導体、その抗体薬物複合体及び抗体薬物複合体の合成中間体に関する。
これまでに、いくつかのグループが微小管重合阻害活性を有する化合物の構造修飾を行い、がん等の疾患の治療のために、強力な細胞毒性及び抗有糸分裂作用を示す微小管重合阻害剤誘導体を見いだしてきた(非特許文献1及び2)。しかし、これらの微小管重合阻害剤誘導体として、例えば、ドラスタチン10では、標的指向性がないため全身に送達され、正常細胞に対しても細胞毒性を示し、副作用を示すことが報告されている(非特許文献3)。
抗体薬物複合体は、抗体と薬物を直接的に、又は適切なリンカーを介して、結合させた複合体である。そして、抗体薬物複合体は、標的細胞に発現している抗原に結合する抗体を介して薬物を標的細胞へ送達することにより、薬物の全身曝露を抑え、標的細胞への薬効を高める特徴を持つ。
また、これまでに、いくつかのグループが、マレイミド基を有する微小管重合阻害剤誘導体と抗体等のシステイン残基とでチオスクシンイミドを形成した複合体を報告している(非特許文献4)。そして、当該チオスクシンイミド部位は生体内で解離と結合の可逆的反応を起こしていることが報告されている(非特許文献5及び6)。
Yi−Min Liu. et al.,Expert Opin. Ther.Patents 2014,24,1,69−88. Jordan MA, Kamath K,Curr Cancer Drug Targets. 2007 Dec; 7(8):730−742. Hedy L. Kindler. et al., Investigational New Drugs 2005,23:489−493. Hao Chen. et al., Molecules 2017,22,1281. Alley,S. C. et. al.,Bioconjugate Chem.,2008,19,759−765. Baldwin, A. D. et. al.,Bioconjugate Chem.,2011,22,1946−1953.
本発明の課題は、抗体と結合させた抗体薬物複合体とすることで、標的細胞に対して特異的に細胞傷害を与える一方で、正常細胞への細胞毒性は抑えられた微小管重合阻害剤誘導体、その抗体薬物複合体及び該抗体薬物複合体の合成中間体を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、式(1)で表される化合物と抗体とで形成された式(3)で表される抗体薬物複合体が強い抗腫瘍活性を示す一方で、正常細胞への細胞毒性が低いこと、及び式(2)で表される化合物が式(3)で表される抗体薬物複合体の合成中間体として有用であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[項1]
式(1):
Figure 2020132531

[式中、
mは、1〜10の整数を表し、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zは、微小管重合阻害剤で表される基である]
で表される、化合物又はその塩。
[項2]
Zが、ビンカアルカロイド誘導体、クリプトフィシン誘導体、ドラスタチン誘導体、タキサン誘導体、エポシロン誘導体、ディスコデルモライド誘導体、シクロストレプチン誘導体、ローリマライド誘導体、タッカノライド誘導体、ペロルシド誘導体、コンブレタスタチン誘導体、オーリスタチン誘導体、メイタンシノイド誘導体、チューブリシン誘導体又はハリコンドリン誘導体である、項1に記載の化合物又はその塩。
[項3]
Zが、オーリスタチン誘導体又はメイタンシノイド誘導体である、項1又は2に記載の化合物又はその塩。
[項4]
Zが、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)又はDM1であり、
mが1〜5の整数である、
項1〜3のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
[項5]
式(2):
Figure 2020132531

[式中、
bは、1〜5の整数を表し、
Gは、単結合、アラニン残基(Ala)、アルギニン残基(Arg)、アスパラギン残基(Asn)、アスパラギン酸残基(Asp)、システイン残基(Cys)、グルタミン残基(Gln)、グルタミン酸残基(Glu)、グリシン残基(Gly)、ヒスチジン残基(His)、イソロイシン残基(Ile)、ロイシン残基(Leu)、リシン残基(Lys)、メチオニン残基(Met)、フェニルアラニン残基(Phe)、プロリン残基(Pro)、セリン残基(Ser)、トレオニン残基(Thr)、トリプトファン残基(Trp)、チロシン残基(Tyr)、バリン残基(Val)又はシトルリン残基(Cit)を表し、Gが複数ある場合、それぞれのGは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、G同士はアミド結合を介して結合しており、
gは、1〜4の整数を表し、
Xは、−NH−又は−C(=O)−を表し、
Yは、単結合又は式(Y−1):
Figure 2020132531

(式中、
Y’は、単結合又はカルボニル基を表し、
は、ハロゲン原子、シアノ基、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、又は1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を表し、Rが複数ある場合、それぞれのRは互いに同一であっても異なっていてもよく、
fは0〜2の整数を表す)
で表される基であり、
式(Y−1)で表される基の*末端はZ’と結合しており、
Z’は、−(AA)−Z、又は−Z−(AA)を表し、
mは、1〜10の整数を表し、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zは、微小管重合阻害剤で表される基を表し、
但し、Xが−NH−であるとき、Y及びGは単結合である]
で表される、化合物又はその塩。
[項6]
式(2−1):
Figure 2020132531

[式中、
mは、1〜10の整数を表し、
bは、1〜5の整数を表し、
Gは、単結合、アラニン残基(Ala)、アルギニン残基(Arg)、アスパラギン残基(Asn)、アスパラギン酸残基(Asp)、システイン残基(Cys)、グルタミン残基(Gln)、グルタミン酸残基(Glu)、グリシン残基(Gly)、ヒスチジン残基(His)、イソロイシン残基(Ile)、ロイシン残基(Leu)、リシン残基(Lys)、メチオニン残基(Met)、フェニルアラニン残基(Phe)、プロリン残基(Pro)、セリン残基(Ser)、トレオニン残基(Thr)、トリプトファン残基(Trp)、チロシン残基(Tyr)、バリン残基(Val)又はシトルリン残基(Cit)を表し、Gが複数ある場合、それぞれのGは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、G同士はアミド結合を介して結合しており、
gは、1〜4の整数を表し、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Yは、単結合又は式(Y−1):
Figure 2020132531

(式中、
Y’は、単結合又はカルボニル基を表し、
は、ハロゲン原子、シアノ基、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、又は1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を表し、Rが複数ある場合、それぞれのRは互いに同一であっても異なっていてもよく、
fは0〜2の整数を表す)
で表される基であり、
式(Y−1)で表される基の*末端はAAと結合しており、
Zは、微小管重合阻害剤で表される基である]
で表される、項5に記載の化合物又はその塩。
[項7]
Yが、単結合であり、
Gが、単結合である、
項6に記載の化合物又はその塩。
[項8]
式(2−2):
Figure 2020132531

[式中、
mは、1〜10の整数を表し、
bは、1〜5の整数を表し、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zは、微小管重合阻害剤で表される基である]
で表される、項5に記載の化合物又はその塩。
[項9]
式(2−3):
Figure 2020132531

[式中、
mは、1〜10の整数を表し、
bは、1〜5の整数を表し、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zは、微小管重合阻害剤で表される基である]
で表される、項5に記載の化合物又はその塩。
[項10]
式(2−4):
Figure 2020132531

[式中、
mは、1〜10の整数を表し、
bは、1〜5の整数を表し、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zは、微小管重合阻害剤で表される基である]
で表される、項5に記載の化合物又はその塩。
[項11]
Zが、ビンカアルカロイド誘導体、クリプトフィシン誘導体、ドラスタチン誘導体、タキサン誘導体、エポシロン誘導体、ディスコデルモライド誘導体、シクロストレプチン誘導体、ローリマライド誘導体、タッカノライド誘導体、ペロルシド誘導体、コンブレタスタチン誘導体、オーリスタチン誘導体、メイタンシノイド誘導体、チューブリシン誘導体又はハリコンドリン誘導体である、項5〜10のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
[項12]
Zが、オーリスタチン誘導体又はメイタンシノイド誘導体である、項5〜11のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
[項13]
Zが、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)又はDM1であり、
mが、1〜5の整数であり、
bが、1〜3の整数である、
項5〜12のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
[項14]
式(3):
Figure 2020132531

[式中、
mAbは、抗体を表し、
qは、1〜8の整数を表し、
bは、1〜5の整数を表し、
Gは、単結合、アラニン残基(Ala)、アルギニン残基(Arg)、アスパラギン残基(Asn)、アスパラギン酸残基(Asp)、システイン残基(Cys)、グルタミン残基(Gln)、グルタミン酸残基(Glu)、グリシン残基(Gly)、ヒスチジン残基(His)、イソロイシン残基(Ile)、ロイシン残基(Leu)、リシン残基(Lys)、メチオニン残基(Met)、フェニルアラニン残基(Phe)、プロリン残基(Pro)、セリン残基(Ser)、トレオニン残基(Thr)、トリプトファン残基(Trp)、チロシン残基(Tyr)、バリン残基(Val)又はシトルリン残基(Cit)を表し、Gが複数ある場合、それぞれのGは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、G同士はアミド結合を介して結合しており、
gは、1〜4の整数を表し、
Xは、−NH−又は−C(=O)−を表し、
Yは、単結合又は式(Y−1):
Figure 2020132531

(式中、
Y’は、単結合又はカルボニル基を表し、
は、ハロゲン原子、シアノ基、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、又は1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を表し、Rが複数ある場合、それぞれのRは互いに同一であっても異なっていてもよく、
fは0〜2の整数を表す)
で表される基であり、
式(Y−1)で表される基の*末端はZ’と結合しており、
Z’は、−(AA)−Z、又は−Z−(AA)を表し、
mは、1〜10の整数を表し、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zは、微小管重合阻害剤で表される基を表し、
但し、Xが−NH−であるとき、Y及びGは単結合である]
で表される、抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
[項15]
式(3−1):
Figure 2020132531

[式中、
mAbは、抗体を表し、
qは、1〜8の整数を表し、
mは、1〜10の整数を表し、
bは、1〜5の整数を表し、
Gは、単結合、アラニン残基(Ala)、アルギニン残基(Arg)、アスパラギン残基(Asn)、アスパラギン酸残基(Asp)、システイン残基(Cys)、グルタミン残基(Gln)、グルタミン酸残基(Glu)、グリシン残基(Gly)、ヒスチジン残基(His)、イソロイシン残基(Ile)、ロイシン残基(Leu)、リシン残基(Lys)、メチオニン残基(Met)、フェニルアラニン残基(Phe)、プロリン残基(Pro)、セリン残基(Ser)、トレオニン残基(Thr)、トリプトファン残基(Trp)、チロシン残基(Tyr)、バリン残基(Val)又はシトルリン残基(Cit)を表し、Gが複数ある場合、それぞれのGは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、G同士はアミド結合を介して結合しており、
gは、1〜4の整数を表し、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Yは、単結合又は式(Y−1):
Figure 2020132531

(式中、
Y’は、単結合又はカルボニル基を表し、
は、ハロゲン原子、シアノ基、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、又は1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を表し、Rが複数ある場合、それぞれのRは互いに同一であっても異なっていてもよく、
fは0〜2の整数を表す)
で表される基であり、
式(Y−1)で表される基の*末端はAAと結合しており、
Zは、微小管重合阻害剤で表される基である]
で表される、項14に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
[項16]
Yが、単結合であり、
Gが、単結合である、項15に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
[項17]
式(3−2):
Figure 2020132531

[式中、
mAbは、抗体を表し、
qは、1〜8の整数を表し、
mは、1〜10の整数を表し、
bは、1〜5の整数を表し、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zは、微小管重合阻害剤で表される基である]
で表される、項14に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
[項18]
式(3−3):
Figure 2020132531

[式中、
mAbは、抗体を表し、
qは、1〜8の整数を表し、
mは、1〜10の整数を表し、
bは、1〜5の整数を表し、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zは、微小管重合阻害剤で表される基である]
で表される、項14に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
[項19]
式(3−4):
Figure 2020132531

[式中、
mAbは、抗体を表し、
qは、1〜8の整数を表し、
mは、1〜10の整数を表し、
bは、1〜5の整数を表し、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zは、微小管重合阻害剤で表される基である]
で表される、項14に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
[項20]
Zが、ビンカアルカロイド誘導体、クリプトフィシン誘導体、ドラスタチン誘導体、タキサン誘導体、エポシロン誘導体、ディスコデルモライド誘導体、シクロストレプチン誘導体、ローリマライド誘導体、タッカノライド誘導体、ペロルシド誘導体、コンブレタスタチン誘導体、オーリスタチン誘導体、メイタンシノイド誘導体、チューブリシン誘導体又はハリコンドリン誘導体である、項14〜19のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
[項21]
Zが、オーリスタチン誘導体又はメイタンシノイド誘導体である、項14〜20のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
[項22]
Zが、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)又はDM1であり、
mが、1〜5の整数であり、
bが、1〜3の整数である、
項14〜21のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
[項23]
(AA)が、式(A−1):
Figure 2020132531

(式中、AA及びAAは、それぞれ独立して、Glu、Asp又はLysで表される)
で表される基である、項14〜22のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
[項24]
(AA)が、式(A−2):
Figure 2020132531

(式中、AA及びAAは、それぞれ独立して、Glu、Asp又はLysで表される)
で表される基である、項14〜22のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
[項25]
mAbが、抗19A抗体、抗AXL抗体、抗BCMA抗体、抗C4.4a抗体、抗CA6抗体、抗CA9抗体、抗CA−125抗体、抗カドヘリン−6抗体、抗CD166抗体、抗CD19抗体、抗CD20抗体、抗CD22抗体、抗CD25抗体、抗CD27抗体、抗CD30抗体、抗CD33抗体、抗CD37抗体、抗CD40抗体、抗CD41抗体、抗CD44v6抗体、抗CD51抗体、抗CD52抗体、抗CD56抗体、抗CD70抗体、抗CD74抗体、抗CD79抗体、抗CD79b抗体、抗CEACAM5抗体、抗c−Met抗体、抗DLL3抗体、抗DPEP3抗体、抗EGFR抗体、抗EGFRvIII抗体、抗ENPP3抗体、抗EpCAM抗体、抗EphA4抗体、抗FGFR2抗体、抗FGFR3抗体、抗FTL3抗体、抗葉酸受容体α抗体、抗グリピカン3抗体、抗gpNMB抗体、抗HER2抗体、抗HER3抗体、抗IL−3RA抗体、抗LAMP1抗体、抗LIV−1抗体、抗LRRC15抗体、抗Ly6E抗体、抗メソテリン抗体、抗MUC−16抗体、抗NaPi2b抗体、抗ネクチン−4抗体、抗CD352抗体、抗P−カドヘリン抗体、抗PMSA抗体、抗プロテインチロシンキナーゼ7抗体、抗SLITRK抗体、抗STEAP1抗体、抗CD138抗体、抗組織因子抗体、抗CD71抗体、抗TIM−1抗体、抗Trop2抗体、抗5T4抗体、抗B7−H3抗体、抗CD163マクロファージ受容体抗体、抗CD38抗体、抗CD48抗体、抗cKit抗体、抗グアニル酸シクラーゼC抗体、抗ガストリン放出ペプチド抗体、抗溶質輸送体抗体、抗腫瘍関係MUC−1抗体、抗GD2抗体、抗α4β7インテグリン抗体、又は抗エンビジン抗体である、項14〜24のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
[項26]
mAbが、ブレンツキシマブ、トラスツズマブ、イノツズマブ、ゲムツズマブ、グレムバツムマブ、ラベツズマブ、サシツズマブ、リファスツズマブ、インデュサツマブ、ポラツズマブ、ピナツズマブ、コルツキシマブ、インダツキシマブ、ミラツズマブ、ロバルピツズマブ、アネツマブ、チソツマブ、ミアベツキシマブ、ロルボツズマブ、リツキシマブ、デパツキシズマブ、デニンツズマブ、エンホルツマブ、テルソツズマブ、バンドルツズマブ、ソフィツズマブ、ボルセツズマブ、ミルベツキシマブ、ナラツキシマブ、カンツズマブ、ラプリツキシマブ、ビバツズマブ、バダスツキシマブ、ルパルツマブ、アプルツマブ、アバゴボマブ、アブシキシマブ、アビツズマブ、アブリルマブ、アクトクスマブ、アダリブマブ、アデカツムマブ、アデュカヌマブ、アファセビクマブ、アフェリモマブ、アラシズマブ、アレムツズマブ、アリロクマブ、アルツモマブ、アマツキシマブ、アナツモマブ、アニフロルマブ、アンルキンズマブ、アポリズマブ、アルシツモマブ、アスクリンバクマブ、アセリズマブ、アテゾリズマブ、アチヌマブ、アトロリムマブ、アベルマブ、アジンツキシズマブ、バピネズマブ、バシリキシマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ、ベゲロマブ、ベリムマブ、ベンラリズマブ、ベルチリムマブ、ベシレソマブ、ベバシズマブ、ベズロトクスマブ、ビシロマブ、ビマグルマブ、ビメキズマブ、ブレセルマブ、ブリナツモマブ、ブロンツベトマブ、ブロソズマブ、ボコシズマブ、ブラジクマブ、ブリアキヌマブ、ブロダルマブ、ブロルシズマブ、ブロンチクツズマブ、ブロスマブ、カビラリズマブ、カムレリズマブ、カプラシズマブ、カプロマブ、カルルマブ、カロツキシマブ、カツマゾマブ、セデリズマブ、セルトリズマブ、セツキシマブ、シタツズマブ、シキスツムマブ、セレノリキシマブ、クリバツズマブ、コドリツズマブ、コナツムマブ、コンシズマブ、コスフロビキシマブ、クレネズマブ、クリザンリズマブ、クロテデュマブ、ダセツズマブ、ダクリズマブ、ダロツズマブ、ダピロリズマブ、ダラツムマブ、デクトレクマブ、デムシズマブ、デノスマブ、デツモマブ、デザミズマブ、ジヌツキシマブ、ジリダブマブ、ドマグロズマブ、ドルリモマブ、ドロジツマブ、デュリゴツズマブ、デュピルマブ、デュルバルマブ、デュシギツマブ、デュボルツキシズマブ、エクロメキシマブ、エクリズマブ、エドバコマブ、エドレコロマブ、エファリズマブ、エフングマブ、エルデルマブ、エレザムマブ、エロツズマブ、エルシリモマブ、エマクツズマブ、エマパルマブ、エミベツズマブ、エミシズマブ、エナバツズマブ、エンリモマブ、エノブリツズマブ、エノキズマブ、エノチクマブ、エンシツキシマブ、エピツモマブ、エプラツズマブ、エプチネズマブ、エレヌマブ、エルリズマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、エトロリズマブ、エビナクマブ、エボロクマブ、エクスビビルマブ、ファラリモマブ、ファルレツズマブ、ファシヌマブ、フェルビズマブ、フェザキヌマブ、フィクラツズマブ、フィギツムマブ、フィリブマブ、フラボツマブ、フレチクマブ、フォントリズマブ、フォラルマブ、フォラビルマブ、フレマネズマブ、フレソリムマブ、フルネベトマブ、フルラヌマブ、フツキシマブ、ガルカネズマブ、ガリキシマブ、ガニツマブ、ガンテネルマブ、ガチポツズマブ、ガビリモマブ、ゲディブマブ、ゲボキズマブ、ギルベトマブ、ギレンツキシマブ、ゴリムマブ、グセルクマブ、イバリズマブ、イブリツモマブ、イクルクマブ、イダルシズマブ、イファボツズマブ、イゴボマブ、イマルマブ、イムシロマブ、イムガツズマブ、インクラクマブ、イネビリズマブ、インフリキシマブ、イノリモマブ、インテツムマブ、イピリムマブ、イラツムマブ、イサツキシマブ、イトリズマブ、イキセキズマブ、ケリキシマブ、ラクノツマブ、ランパリズマブ、ラナデルマブ、ランドグロズマブ、ラルカビキシマブ、レブリキズマブ、レマレソマブ、レンジルマブ、レルデリムマブ、レソファブマブ、レトリズマブ、レキサツムマブ、リビリルマブ、リファツズマブ、リゲリズマブ、リロトマブ、リンツズマブ、リリルマブ、ロデルシズマブ、ロキベトマブ、ロロボツズマブ、ロサツキシマブ、ルカツムマブ、ルリズマブ、ルムレツズマブ、ルチキズマブ、マパツムマブ、マルゲツキシマブ、マサリモマブ、マツズマブ、マブリリムマブ、メポリズマブ、メテリムマブ、ミニテルモマブ、ミツモマブ、モドツキシマブ、モガムリズマブ、モナリズマブ、モロリズマブ、モタビズマブ、モキセツモマブ、ムロモナブ、ナコロマブ、ナミルマブ、ナプツモマブ、ナルナルマブ、ナタリズマブ、ナビシキシズマブ、ナビブマブ、ネバクマブ、ネシツムマブ、ネモリズマブ、ネレリモマブ、ネスバクマブ、ニモツズマブ、ニボルマブ、オビルトキサキシマブ、オビヌツズマブ、オカラツズマブ、オクレリズマブ、オデュリモマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オレクルマブ、オレンダリズマブ、オロキズマブ、オマリズマブ、オナルツズマブ、オンツキシズマブ、オピシヌマブ、オポルツズマブ、オレゴボマブ、オレチクマブ、オルチクマブ、オテリキシズマブ、オトレルツズマブ、オキセルマブ、オザネズマブ、オゾラリズマブ、パギバキシマブ、パリビズマブ、パムレブルマブ、パニツムマブ、パノバクマブ、パルサツズマブ、パスコリズマブ、パソツキシズマブ、パテクリズマブ、パトリツマブ、ペンブロリズマブ、ペラキズマブ、ペルツズマブ、ペキセリズマブ、ピディリズマブ、プラクルマブ、プロザリズマブ、ポネズマブ、ポルガビキシマブ、プレザルマブ、プリリキシマブ、プリトキサキシマブ、プリツムマブ、クイリズマブ、ラコツモマブ、ラドレツマブ、ラフィビルマブ、ラルパンシズマブ、ラムシルマブ、ラネベトマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、レファネズマブ、レガビルマブ、レムトルマブ、レスリズマブ、リロツムマブ、リニクマブ、リサンキズマブ、リババズマブ、ロバツムマブ、ロレデュマブ、ロモソズマブ、ロンタリズマブ、ロスマンツズマブ、ロベリズマブ、ロザノリキシズマブ、ルプリズマブ、サマリズマブ、サリルマブ、サトラリズマブ、サツモマブ、セクキヌマブ、セリクレルマブ、セリバンツマブ、セトキサキシマブ、セビルマブ、シブロツズマブ、シファリムマブ、シルツキシマブ、シムツズマブ、シプリズマブ、シルクマブ、ソラネズマブ、ソリトマブ、ソンツズマブ、スタムルマブ、スレソマブ、スムタブマブ、スビズマブ、スブラトクマブ、タバルマブ、タドシズマブ、タリズマブ、タムツベトマブ、タネズマブ、タプリツモマブ、タレクスツマブ、タボリキシズマブ、ファノレソマブ、ノフェツモマブ、ピンツモマブ、テフィバズマブ、テリモマブ、テリソズマブ、テナツモマブ、テネリキシマブ、テプリズマブ、テプロツムマブ、テシドルマブ、テゼペルマブ、ティガツズマブ、ティルドラキズマブ、チミグツズマブ、チモルマブ、トシリズマブ、トムゾツキシマブ、トラリズマブ、トサトクスマブ、トシツモマブ、トベツマブ、トラロキヌマブ、トレガリズマブ、トレメリムマブ、トレボグルマブ、ツコツズマブ、ツビルマブ、ウブリツキシマブ、ウロクプルマブ、ウレルマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、ウトミルマブ、バンチクツマブ、バヌシズマブ、バパリキシマブ、バリサクマブ、バルリルマブ、バテリズマブ、ベドリズマブ、べルツズマブ、ベパリモマブ、ベセンクマブ、ビシリズマブ、ボバリリズマブ、ボロシキシマブ、ボンレロリズマブ、ボツムマブ、ブナキズマブ、タカツズマブ、ザルツズマブ、ザノリムマブ、ジラリムマブ、ゾリモマブ又は抗エンビジン抗体である、項14〜24のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
[項27]
mAbが、ブレンツキシマブ、トラスツズマブ、イノツズマブ、ゲムツズマブ、ラベツズマブ、ポラツズマブ、コルツキシマブ、インダツキシマブ、アネツマブ、リツキシマブ、デニンツズマブ、ラプリツキシマブ、バダスツキシマブ、グレムバツムマブ、セツキシマブ、アレムツズマブ又はデパツキシズマブである、項14〜24のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
[項28]
mAbが、ブレンツキシマブ又はトラスツズマブである、項14〜24のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
[項29]
項14〜28のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩を含有する、医薬組成物。
[項30]
項14〜28のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩と、抗がん性アルキル化剤、抗がん性代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、抗がん性白金配位化合物、抗がん性カンプトテシン誘導体、抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤、抗がん性セリンスレオニンキナーゼ阻害剤、抗がん性リン脂質キナーゼ阻害剤、抗がん性モノクローナル抗体、インターフェロン、生物学的応答調節剤、ホルモン剤、免疫チェックポイント阻害剤、エピジェネティクス関連分子阻害剤、及びタンパク質翻訳後修飾阻害剤からなる群より選択される1種以上の抗がん性化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有する、医薬組成物。
[項31]
項14〜28のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩を含有する、抗がん剤。
[項32]
がんが、乳がん、胃がん、子宮頸がん、大腸がん、直腸がん、神経膠腫、リンパ腫、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、腎がん、皮膚がん、甲状腺がん、膀胱がん、頭頸部がん、子宮体がん、黒色腫又は白血病である、項31に記載の抗がん剤。
[項33]
治療が必要な患者に、項14〜28のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩を投与することを含む、がんの治療方法。
[項34]
抗がん剤を製造するための、項1〜13のいずれか一項に記載の化合物又はその塩の使用。
[項35]
抗がん剤を製造するための、項14〜28のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩の使用。
[項36]
がんの治療に使用するための、項14〜28のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
[項37]
抗がん性アルキル化剤、抗がん性代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、抗がん性白金配位化合物、抗がん性カンプトテシン誘導体、抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤、抗がん性セリンスレオニンキナーゼ阻害剤、抗がん性リン脂質キナーゼ阻害剤、抗がん性モノクローナル抗体、インターフェロン、生物学的応答調節剤、ホルモン剤、免疫チェックポイント阻害剤、エピジェネティクス関連分子阻害剤、及びタンパク質翻訳後修飾阻害剤からなる群より選択される1種以上の抗がん性化合物又はその製薬学的に許容される塩と併用してがんを治療するための、項14〜28のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
本発明の微小管重合阻害剤誘導体と抗体とで形成した抗体薬物複合体は、抗原発現細胞に対して特異的に細胞傷害活性を示し、抗原発現細胞以外の正常細胞での細胞毒性が低いため、安全性に優れた抗がん剤と成り得る。
<微小管重合阻害剤誘導体>
式(1)で表される化合物又はその塩(以下、「本発明の微小管重合阻害剤誘導体」と称することもある。)は、以下に示すように、微小管重合阻害剤分子と1つまたは複数のアミノ酸残基とが共有結合した化合物である。
Figure 2020132531
式(1)において、Zは微小管重合阻害剤で表される基を表す。微小管重合阻害剤は微小管重合阻害作用を有している化合物であれば特に限定されない。ZとAAの結合は、たとえばZのアミノ基とAAのカルボキシル基が形成するアミド結合、Zのカルボキシル基とAAのアミノ基が形成するアミド結合、ZとAAのチオール基から形成するジスルフィド結合が挙げられるが、これらに限定されない。微小管重合阻害剤として、例えば、Nat. Rev. Drug Discov., 2010, 9, 790に記載されている化合物が挙げられる。具体的には、ビンカアルカロイド誘導体、クリプトフィシン誘導体、ドラスタチン誘導体、タキサン誘導体、エポシロン誘導体、ディスコデルモライド誘導体、シクロストレプチン誘導体、ローリマライド誘導体、タッカノライド誘導体、ペロルシド誘導体、コンブレタスタチン誘導体、オーリスタチン誘導体、メイタンシノイド誘導体、チューブリシン誘導体、ハリコンドリン誘導体が挙げられ、好ましくは、オーリスタチン誘導体、メイタンシノイド誘導体又はチューブリシン誘導体が挙げられ、より好ましくはオーリスタチン誘導体又はメイタンシノイド誘導体が挙げられ、さらに好ましくは、MMAE、MMAF、DM1又はDM4があげられ、特に好ましくは、MMAF及びDM1が挙げられる。ここで、MMAEはモノメチルオーリスタチンEの略語であり、MMAFはモノメチルオーリスタチンFの略語である。DM1及びDM4は、J.Med.Chem.,2014,57,6949−6964に記載のメイタンシン誘導体であり、構造は以下のとおりである。
Figure 2020132531
AAは、グルタミン酸残基、アスパラギン酸残基、リシン残基若しくはシステイン残基、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表す。
本明細書において、特に区別する必要がある場合を除き、α−アミノ酸及び対応するアミノ酸残基の両方を表すのに、下記の3文字略語表記を用いることがある。また、α−アミノ酸の光学活性は、特に指定していない場合は、DL体、D体又はL体のいずれをも含み得るものとする。例えば、「グルタミン酸」又は「Glu」は、DL−グルタミン酸若しくはその残基、D−グルタミン酸若しくはその残基、又はL−グルタミン酸若しくはその残基を表している。
Ala…アラニン、Arg…アルギニン、Asn…アスパラギン、Asp…アスパラギン酸、Cit…シトルリン、Cys…システイン、Gln…グルタミン、Glu…グルタミン酸、Gly…グリシン、His…ヒスチジン、Ile…イソロイシン、Leu…ロイシン、Lys…リシン、Met…メチオニン、Phe…フェニルアラニン、Pro…プロリン、Ser…セリン、Trp…トリプトファン、Thr…トレオニン、Tyr…チロシン、Val…バリン
AAがアミノ酸残基である場合、微小管重合阻害剤誘導体は、所定のアミノ酸残基を含む(AA)構造を有することで、細胞膜透過性が低くなり、仮に血液中に遊離微小管重合阻害剤誘導体が存在していても、細胞に取り込まれにくくなるため、正常細胞への細胞傷害が抑えられる。
アミノ酸残基であるAAとしては、好ましくはGlu又はAspが挙げられ、より具体的には、D−Glu、L−Glu、D−Asp又はL−Aspが挙げられる。AAが複数ある場合は、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよい。
一方、AAがアミノ酸残基のC1−6アルキルエステル体である場合、微小管重合阻害剤誘導体の細胞膜透過性は、AAがアミノ酸残基である場合と比べると高いものの、薬物として投与した場合、エステル結合は血液中に存在するエステラーゼなどの酵素によって速やかに加水分解される。したがって、所定のアミノ酸残基のC1−6アルキルエステル体を含む(AA)構造を有する微小管重合阻害剤誘導体は、血中で所定のアミノ酸残基を含む(AA)構造を有する微小管重合阻害剤誘導体となるため、細胞膜透過性が低くなり、正常細胞への細胞傷害が抑えられる。
「C1−6アルキルエステル体」とは、エステル(−COOR’)のR’が下記「C1−6アルキル基」であるエステル体を意味する。
「C1−6アルキル基」とは、炭素原子数が1〜6の直鎖状又は分枝鎖状の飽和炭化水素基を意味する。「C1−6アルキル基」として、好ましくは「C1−4アルキル基」が挙げられ、より好ましくは「C1−3アルキル基」が挙げられ、さらに好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基が挙げられ、特に好ましくはメチル基又はエチル基が挙げられる。
「C1−3アルキル基」の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。「C1−4アルキル基」の具体例としては、例えば、「C1−3アルキル基」の具体例として挙げたものに加え、ブチル基、1、1−ジメチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基等が挙げられる。「C1−6アルキル基」の具体例として、例えば、「C1−4アルキル基」の具体例として挙げたものに加え、ペンチル基、3−メチルブチル基、2−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基等が挙げられる。
「C1−6アルキルエステル」として、好ましくは「C1−4アルキルエステル」が挙げられ、より好ましくは「C1−3アルキルエステル」が挙げられ、さらに好ましくはメチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル又はターシャリーブチルエステルが挙げられ、特に好ましくはメチルエステル又はエチルエステルが挙げられる。
「C1−3アルキルエステル」の具体例として、例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル又はイソプロピルエステルが挙げられる。「C1−4アルキルエステル」の具体例としては、例えば、「C1−3アルキルエステル」の具体例として挙げたものに加え、ブチルエステル、ターシャリーブチルエステル等が挙げられる。「C1−6アルキルエステル」の具体例としては、例えば、「C1−4アルキルエステル」の具体例として挙げたものに加え、ペンチルエステル、3−メチルブチルエステル、2−メチルブチルエステル、2,2−ジメチルプロピルエステル、1−エチルプロピルエステル、1,1−ジメチルプロピルエステル、ヘキシルエステル、4−メチルペンチルエステル、3−メチルペンチルエステル、2−メチルペンチルエステル、1−メチルペンチルエステル、3,3−ジメチルブチルエステル、2,2−ジメチルブチルエステル、1,1−ジメチルブチルエステル、1,2−ジメチルブチルエステル等が挙げられる。
mは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10である。mの1態様としては、1〜5の整数、又は、1〜3の整数が挙げられ、また、別の1態様として2〜10の整数、又は、3〜10の整数が挙げられる。
AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合している。「AA同士はアミド結合を介して結合」とは、一のアミノ酸又はそのC1−6アルキルエステル体のカルボキシル基と、他のアミノ酸又はそのC1−6アルキルエステル体のアミノ基とが縮合し、アミド結合を形成していることを意味する。例えば、式(1)において、mが2であり、2つのAAが共にGluである場合、一のGluの窒素原子(a)と他のGluのカルボニル基(b)が、下式で表すようにアミド結合を形成して連結していてもよい。
Figure 2020132531
1態様では、mが2〜10の整数であり、(AA)が、直鎖ペプチド残基である。別の1態様では、mが3〜10の整数であり、(AA)が、1又は2の分岐点を有する分岐ペプチド残基である。
「直鎖ペプチド残基」とは、Glu、Asp、Lys及びCysからなる群から独立して選択される2〜10のアミノ酸又はそのC1−6アルキルエステル体が、一のアミノ酸又はそのC1−6アルキルエステル体のカルボキシル基と他のアミノ酸又はそのC1−6アルキルエステル体のアミノ基とが縮合してアミド結合(−CONH−)を形成することにより、1本鎖のアミノ酸連結構造となっていることを意味する。「直鎖ペプチド残基」として、好ましくは3〜7アミノ酸残基で構成される直鎖ペプチド残基が挙げられ、より好ましくは3〜5アミノ酸残基で構成される直鎖ペプチド残基が挙げられ、さらに好ましくは3アミノ酸残基で構成される直鎖ペプチド残基が挙げられる。
「1又は2の分岐点を有する分岐ペプチド残基」とは、Glu、Asp、Lys及びCysからなる群から独立して選択される3〜10のアミノ酸が、一のアミノ酸又はそのC1−6アルキルエステル体のカルボキシル基と他のアミノ酸又はそのC1−6アルキルエステル体のアミノ基とが縮合してアミド結合を形成することにより、構造中に枝分かれした箇所を1又は2有するアミノ酸連結構造となっていることを意味する。「1又は2の分岐点を有する分岐ペプチド残基」として、好ましくは3〜7アミノ酸残基で構成される1又は2の分岐点を有する分岐ペプチド基が挙げられ、より好ましくは3〜5アミノ酸残基で構成される1又は2の分岐点を有する分岐ペプチド残基等が挙げられ、さらに好ましくは3アミノ酸残基で構成される1の分岐点を有する分枝ペプチド残基が挙げられる。
(AA)は、式(A−1)又は式(A−2):
Figure 2020132531

(式中、AA及びAAは、それぞれ独立して、Glu、Asp又はLysを表す)
で表される基であることが好ましい。式(1)、式(2−2)、式(2−4)、式(3−2)及び式(3−4)において、(AA)が、式(A−1)又は式(A−2)で表される基である場合、(AA)の一方の結合は隣接するZと結合し、もう一方の結合は水素原子と結合している。
式(1)の1態様として、Zがカルボニル基を有する微小管重合阻害剤であり、(AA)のN末端窒素原子がZ分子中のカルボニル基と共にアミド結合を形成している。別の1態様として、Zがチューブリン結合阻害剤であり、(AA)のN末端窒素原子がZ分子中のカルボニル基ではない炭素原子とC−N結合を形成している。また別の1態様として、Zがチオール基を有する微小管重合阻害剤であり、(AA)のチオール基とZ分子中のチオール基とでジスルフィド結合を形成している
本発明の微小管重合阻害剤誘導体の1態様としては、以下の(1−A)が挙げられる。
(1−A)
式(1)において、
mが、1〜5の整数であり、
AAが、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体であり、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zが、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)である、
化合物又はその塩。
本発明の微小管重合阻害剤誘導体の1態様としては、以下の(1−B)が挙げられる。
(1−B)
式(1)において、
mが、1〜5の整数であり、
AAが、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体であり、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zが、DM1である、
化合物又はその塩。
<ADC中間体>
式(2)で表される、微小管重合阻害剤誘導体を含むADCの合成中間体(以下、「本発明のADC中間体」ともいう)は、本発明の抗体薬物複合体を合成するために用いることができる。
Figure 2020132531
Z’は、−(AA)−Z、又は−Z−(AA)を表す。ここにおいて、Z、AA及びmは式(1)におけるこれらの符号と同義である。Z’が−(AA)−Zであるとき、Zは1価の微小管重合阻害剤を表す基であり、Z’が−Z−(AA)であるとき、Zは2価の微小管重合阻害剤を表す基である。Z’とYとの結合は、たとえばアミド結合が挙げられるが、これに限定されない。ZとAAの結合については上記のとおりであるが、アミド結合に限定されない。
Yは、単結合又は式(Y−1):
Figure 2020132531

で表される基を表す。ここにおいて、Y’は、単結合又はカルボニル基を表し、Rは、ハロゲン原子、シアノ基、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、又は1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を表し、Rが複数ある場合、それぞれのRは互いに同一であっても異なっていてもよく、fは0〜2の整数を表す。式(Y−1)で表される基の*末端はZ’と結合している。1態様としてYは単結合であり、別の1態様としてYは式(Y−1)で表される基である。
Gは、単結合又はアラニン残基(Ala)、アルギニン残基(Arg)、アスパラギン残基(Asn)、アスパラギン酸残基(Asp)、システイン残基(Cys)、グルタミン残基(Gln)、グルタミン酸残基(Glu)、グリシン残基(Gly)、ヒスチジン残基(His)、イソロイシン残基(Ile)、ロイシン残基(Leu)、リシン残基(Lys)、メチオニン残基(Met)、フェニルアラニン残基(Phe)、プロリン残基(Pro)、セリン残基(Ser)、トレオニン残基(Thr)、トリプトファン残基(Trp)、チロシン残基(Tyr)、バリン残基(Val)、シトルリン残基(Cit)等のアミノ酸を表す。1態様としてGは単結合であり、別の1態様としてGはアラニン残基(Ala)、アルギニン残基(Arg)、アスパラギン残基(Asn)、アスパラギン酸残基(Asp)、システイン残基(Cys)、グルタミン残基(Gln)、グルタミン酸残基(Glu)、グリシン残基(Gly)、ヒスチジン残基(His)、イソロイシン残基(Ile)、ロイシン残基(Leu)、リシン残基(Lys)、メチオニン残基(Met)、フェニルアラニン残基(Phe)、プロリン残基(Pro)、セリン残基(Ser)、トレオニン残基(Thr)、トリプトファン残基(Trp)、チロシン残基(Tyr)、バリン残基(Val)、又はシトルリン残基(Cit)である。Gが複数ある場合、それぞれのGは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、隣り合うG同士がアミノ酸である場合、G同士はアミド結合を介して結合している。
gは、1〜4の整数を表す。1態様としてgは1〜4の整数であり、別の1態様としてgは1〜2の整数であり、また別の1態様としてgは1である。
Xは−NH−又は−C(=O)−を表す。1態様としてXは−NH−であり、別の1態様としてXは−C(=)−である。Xが−NH−であるとき、式(2)におけるY及びGは単結合であり、Xが−C(=O)−の時、Y及びGは特に限定されない。
bは1〜5の整数を表す。1態様としてbは1〜5の整数を表し、別の1態様として1〜3の整数を表し、また別の1態様として1〜2の整数を表す。
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられる。好ましくはフッ素原子又は塩素原子が挙げられ、より好ましくはフッ素原子が挙げられる。
本発明のADC中間体の1態様として、式(2−1):
Figure 2020132531

[式中、
mは、1〜10の整数を表し、
bは、1〜5の整数を表し、
Gは、単結合、アラニン残基(Ala)、アルギニン残基(Arg)、アスパラギン残基(Asn)、アスパラギン酸残基(Asp)、システイン残基(Cys)、グルタミン残基(Gln)、グルタミン酸残基(Glu)、グリシン残基(Gly)、ヒスチジン残基(His)、イソロイシン残基(Ile)、ロイシン残基(Leu)、リシン残基(Lys)、メチオニン残基(Met)、フェニルアラニン残基(Phe)、プロリン残基(Pro)、セリン残基(Ser)、トレオニン残基(Thr)、トリプトファン残基(Trp)、チロシン残基(Tyr)、バリン残基(Val)又はシトルリン残基(Cit)を表し、Gが複数ある場合、それぞれのGは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、G同士はアミド結合を介して結合しており、
gは1〜4の整数を表し、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Yは、単結合又は式(Y−1):
Figure 2020132531

(式中、
Y’は、単結合又はカルボニル基を表し、
は、ハロゲン原子、シアノ基、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、又は1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を表し、Rが複数ある場合、それぞれのRは互いに同一であっても異なっていてもよく、
fは0〜2の整数を表す)
で表される基であり、
式(Y−1)で表される基の*末端はAAと結合しており、
Zは、微小管重合阻害剤で表される基である]
で表される化合物又はその塩が挙げられる。
本発明のADC中間体の1態様として、式(2−2):
Figure 2020132531

[式中、
mは、1〜10の整数を表し、
bは、1〜5の整数を表し、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zは、微小管重合阻害剤で表される基である]
で表される化合物又はその塩が挙げられる。
本発明のADC中間体の1態様として、式(2−3):
Figure 2020132531

[式中、
mは、1〜10の整数を表し、
bは、1〜5の整数を表し、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zは、微小管重合阻害剤で表される基である]
で表される化合物又はその塩が挙げられる。
本発明のADC中間体の1態様として、式(2−4):
Figure 2020132531

[式中、
mは、1〜10の整数を表し、
bは、1〜5の整数を表し、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zは、微小管重合阻害剤で表される基である]
で表される化合物又はその塩が挙げられる。
本発明のADC中間体の1態様としては、以下の(2−1−A)が挙げられる。
(2−1−A)
式(2−1)において、
mが、1〜5の整数であり、
bが、1〜3の整数であり、
Gが、単結合であり、
gが1であり、
AAが、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体であり、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Yが、単結合であり、
Zが、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)である、化合物又はその塩。
本発明のADC中間体の1態様としては、以下の(2−1−B)が挙げられる。
(2−1−B)
式(2−1)において、
mが、1〜5の整数であり、
bが、1〜3の整数であり、
Gが、単結合であり、
gが1であり、
AAが、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体であり、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Yが、単結合であり、
Zが、DM1である、化合物又はその塩。
本発明のADC中間体の1態様としては、以下の(2−2−A)が挙げられる。
(2−2−A)
式(2−2)において、
mが、1〜5の整数であり、
bが、1〜3の整数であり、
AAが、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体であり、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zが、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)である、化合物又はその塩。
本発明のADC中間体の1態様としては、以下の(2−2−B)が挙げられる。
(2−2−B)
式(2−2)において、
mが、1〜5の整数であり、
bが、1〜3の整数であり、
AAが、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体であり、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zが、DM1である、化合物又はその塩。
本発明のADC中間体の1態様としては、以下の(2−3−A)が挙げられる。
(2−3−A)
式(2−3)において、
mが、1〜5の整数であり、
bが、1〜3の整数であり、
AAが、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体であり、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zが、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)である、化合物又はその塩。
本発明のADC中間体の1態様としては、以下の(2−3−B)が挙げられる。
(2−3−B)
式(2−3)において、
mが、1〜5の整数であり、
bが、1〜3の整数であり、
AAが、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体であり、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zが、DM1である、化合物又はその塩。
本発明のADC中間体の1態様としては、以下の(2−4−A)が挙げられる。
(2−4−A)
式(2−4)において、
mが、1〜5の整数であり、
bが、1〜3の整数であり、
AAが、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体であり、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zが、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)である、化合物又はその塩。
本発明のADC中間体の1態様としては、以下の(2−4−B)が挙げられる。
(2−4−B)
式(2−4)において、
mが、1〜5の整数であり、
bが、1〜3の整数であり、
AAが、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体であり、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zが、DM1である、化合物又はその塩。
<抗体薬物複合体>
式(3)で表される抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩(以下、「本発明の抗体薬物複合体」と称することもある。)は、以下に示すように、抗体分子由来の抗体部分と薬物分子由来の薬物部分が、直接的に共有結合している複合体である。本明細書において、「抗体薬物複合体」を「ADC」という場合もある。
Figure 2020132531
式(3)における、Z’、Y、G、g、X、bは、式(2)におけるこれらの符号と同義である。
qは、式(3)で表される抗体薬物複合体分子における、薬物抗体比(Drug Antibody Ratio、又はDARともいう。)を示す。薬物抗体比qは、抗体薬物複合体1分子において、抗体分子1つ当たりの、すなわち、抗体薬物複合体1分子当たりの、薬物分子の数を意味する。なお、化学合成により得られる抗体薬物複合体は、異なる薬物抗体比qを有し得る複数の抗体薬物複合体分子の混合物である場合が多い。本明細書において、このような抗体薬物複合体の混合物における全体の薬物抗体比(すなわち、それぞれの抗体薬物複合体の薬物抗体比qの平均値)を、「平均薬物抗体比」又は「平均DAR」と呼ぶ。
qは、1、2、3、4、5、6、7又は8である。qの1態様としては、2〜8の整数が挙げられ、別の1態様としては、2〜6の整数が挙げられ、別の1態様としては、4〜8の整数が挙げられ、別の1態様としては、2又は4が挙げられ、別の1態様としては、6又は8が挙げられ、別の1態様としては、8が挙げられる。
平均DARの1態様としては、2〜8が挙げられ、別の1態様としては、3.5〜4.5が挙げられ、別の1態様としては、1〜2、2〜3、3〜4、4〜5、5〜6、6〜7又は7〜8が挙げられる。平均DARは、SDS−PAGE、質量分析、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)等の、平均DARの決定に通常用いられる方法によって決定することができる。疎水性相互作用カラムクロマトフィー(HIC)HPLC、逆相HPLC、電気泳動等の方法により、異なるDARを有する複数の抗体薬物複合体の混合物から、特定のDARの抗体薬物複合体の分離、精製及び特性決定を行うことができる。
式(3)において、抗体mAbは、標的細胞の表面に存在する抗原を認識し得る抗体であれば特に制限されない。標的細胞は、微小管重合阻害剤による治療を必要とする細胞であればよく、がん細胞であることが好ましい。標的細胞の表面に存在する抗原は、正常細胞で発現されない又は発現量の少ない、標的細胞に特異的な抗原であることが好ましい。mAbの1態様としては、上記列挙された既知の抗体が挙げられ、別の1態様としては、ブレンツキシマブ、トラスツズマブ、イノツズマブ、ゲムツズマブ、グレムバツムマブ、ラベツズマブ、サシツズマブ、リファスツズマブ、インダサツマブ、ポラツズマブ、ピナツズマブ、コルツキシマブ、インダツキシマブ、ミラツズマブ、ロバルピツズマブ、アネツマブ、チソツマブ、ミアベツキシマブ、ロルボツズマブ、リツキシマブ、デパツキシマブ、デニンツズマブ、エンホルツマブ、テルソツズマブ、チソツマブ、バンドルツズマブ、ソフィツズマブ、ボルセツズマブ、ミルベツキシマブ、ナラツキシマブ、カンツズマブ、ラプリツキシマブ、ビバツズマブ、バダスツキシマブ、ルパルツマブ、アプルツマブ、アバゴボマブ、アブシキシマブ、アビツズマブ、アブリルマブ、アクトクマブ、アダリブマブ、アダカツムマブ、アデュカブマブ、アファセビクマブ、アフェリモマブ、アラシズマブ、アレムツズマブ、アリロクマブ、アルツモマブ、アマツキシマブ、アナツモマブ、アニフロルマブ、アンルキンズマブ、アポリズマブ、アルシツモマブ、アスクリンバクマブ、アセリズマブ、アテゾリゾマブ、アティヌマブ、アトロリムマブ、アベルマブ、アジンツキシズマブ、バピネズマブ、バシリキシマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ、ベゲロマブ、ベリムマブ、ベンラリズマブ、ベルリティリムマブ、ベシレソマブ、ベバシズマブ、ベズロトクマブ、ビシロマブ、ビマグルマブ、ビメキズマブ、ビバツズマブ、ブレセルマブ、ブリナツモマブ、ブロンツベトマブ、ブロソズマブ、ボコシズマブ、ブラジクマブ、ブリアキヌマブ、ブロダルマブ、ブロルシズマブ、ブロンチクツズマブ、ブロスマブ、カビラリズマブ、カムレリズマブ、カンツズマブ、カプラシズマブ、カプロマブ、カルルマブ、カロツキシマブ、カツマゾマブ、セデリズマブ、セルトリズマブ、セツキシマブ、シタツズマブ、シキシウツムマブ、セレノリキシマブ、クリバツズマブ、コドリツズマブ、コナツムマブ、コンシズマブ、コスフロビキシマブ、クレネズマブ、クリザンリズマブ、クロテデュマブ、ダセツズマブ、ダクリズマブ、ダロツズマブ、ダピロリズマブ、ダラツムマブ、デクトレクマブ、デムシズマブ、デノスマブ、デツモマブ、デザミズマブ、ディヌツキシマブ、ディリダブマブ、ドマグロズマブ、ドルリモマブ、ドロジツマブ、デュリゴツズマブ、デュピルマブ、デュルバルマブ、デュシギツマブ、デュボルツキシズマブ、エクロメキシマブ、エクリズマブ、エドバコマブ、エドレコロマブ、エファリスマブ、エフングマブ、エルデルマブ、エレザムマブ、エロツズマブ、エルシリモマブ、エマクツズマブ、エマパルマブ、エミベツズマブ、エミシズマブ、エナバツズマブ、エンフォルツマブ、エンリモマブ、エノブリツズマブ、エノキズマブ、エノチクマブ、エンシツキシマブ、エピツモマブ、エプラツズマブ、エプチネズマブ、エレヌマブ、エルリズマブ、エルツマキゾマブ、エタラシズマブ、エトロリズマブ、エビナクマブ、エボロクマブ、エキシビビルマブ、ファラリモマブ、ファルレツズマブ、ファシヌマブ、フェルビズマブ、フェザキヌマブ、フィクラツズマブ、フィギツムマブ、フィリブマブ、フラボツマブ、フレチクマブ、フォントリスマブ、フォラルマブ、フォラビルマブ、フレマネズマブ、フレソリムマブ、フルネベトマブ、フルラヌマブ、フツキシマブ、ガルカネズマブ、ガリキシマブ、ガニツマブ、ガンテネルマブ、ガチポツズマブ、ガビリモマブ、ゲディブマブ、ゲムツズマブ、ゲボキズマブ、ギルベトマブ、ギレンツキシマブ、ゴリルマブ、グセルクマブ、イバリズマブ、イブリツモマブ、イクルクマブ、イダルシズマブ、イファボツズマブ、イゴボマブ、イマルマブ、イムシロマブ、イムガツズマブ、インクラクマブ、イネビリズマブ、インフリキシマブ、イノリモマブ、イノツズマブ、インテツムマブ、イピリムマブ、イラツムマブ、イサツキシマブ、イトリズマブ、イキセキズマブ、ケリキシマブ、ラクノツマブ、ランパリズマブ、ラナデルマブ、ランドグロズマブ、ラルカビキシマブ、レブリキズマブ、レマレソマブ、レンジルマブ、レルデリムマブ、レソファブマブ、レトリズマブ、レキサツムマブ、リビリルマブ、リファツズマブ、リゲリズマブ、リロトマブ、リンツズマブ、リリルマブ、ロデルシズマブ、ロキベトマブ、ロロボツズマブ、ロサツキシズマブ、ルカツムマブ、ルリズマブ、ルムレツズマブ、ルパルツマブ、リロトマブ、ルチキズマブ、マパツムマブ、マルゲツキシマブ、マサリモマブ、マツズマブ、マルリリムマブ、メポリズマブ、メテリムマブ、ミラツズマブ、ミニテルモマブ、ミルベツキシマブ、ミツモマブ、モドツキシマブ、モガムリズマブ、モナリズマブ、モロリズマブ、モタビズマブ、モキセツモマブ、ムロモナブ、ナコロマブ、ナミルマブ、ナプツモマブ、ナラツキシマブ、ナルナルマブ、ナタリズマブ、ナビシキシズマブ、ナビブマブ、ネバクマブ、ネシツムマブ、ネモリズマブ、ネレリモマブ、ネスバクマブ、ニモツズマブ、ニボルマブ、オビルトキサキシマブ、オビヌツズマブ、オカラツズマブ、オクレキズマブ、オデュリモマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オレクルマブ、オレンダリズマブ、オロキズマブ、オマリズマブ、オナルツズマブ、オンツキシズマブ、オピシヌマブ、オポルツズマブ、オレゴボマブ、オレチクマブ、オルチクマブ、オテリキキシズマブ、オトレルツズマブ、オキセルマブ、オザネズマブ、オゾラリズマブ、パギバキシマブ、パリビズマブ、パムレブルマブ、パニツムマブ、パノバクマブ、パルサツズマブ、パスコリズマブ、パソツキシズマブ、パテクリズマブ、パトリツマブ、ペンブロリスマブ、ペラキズマブ、ペルツズマブ、ペキセリズマブ、ピディリズマブ、ピナツズマブ、プラクルマブ、プロザリズマブ、ポラツズマブ、ポネズマブ、ポルガビキシマブ、プレザルマブ、プリリキシマブ、プリトキサキシマブ、プリツムマブ、クイリズマブ、ラコツモマブ、ラドレツマブ、ラフィビルマブ、ラルパンシズマブ、ラムシルマブ、ラネベトマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、レファネズマブ、レガビルマブ、レムトルマブ、レスリズマブ、レスリズマブ、リロツムマブ、リニクマブ、リサンキズマブ、リババズマブ、ロバツズマブ、ロレデュマブ、ロモソズマブ、ロンタリズマブ、ロスマンツズマブ、ロバルピツズマブ、ロベリズマブ、ロザノリキシズマブ、ルプリズマブ、サシツズマブ、サマリズマブ、サリルマブ、サトラリズマブ、サツモマブ、セクキムマブ、セリクレルマブ、セレリバンツマブ、セトキサキシマブ、セビルマブ、シブロツズマブ、シファリムマブ、シルツキシマブ、シムツズマブ、シプリズマブ、シルクマブ、ソフィツズマブ、ソラネツズマブ、ソリトムマブ、ソンツズマブ、スタムルマブ、スレソマブ、スムタブマブ、スビズマブ、スブラトクマブ、タバルマブ、タドシズマブ、タリズマブ、タムツベトマブ、タネズマブ、タプリツモマブ、タレキシツマブ、タボリキシズマブ、ファノレソマブ、ノフェツモマブ、ピンツモマブ、テフィバズマブ、テリモマブ、テリソズマブ、テナツモマブ、テネリキシマブ、テプリズマブ、テプロツムマブ、テシドルマブ、テザペルマブ、ティガツズマブ、ティルドラキズマブ、チミグツズマブ、チモルマブ、チソツマブ、トシリズマブ、トムゾツキシマブ、トラリズマブ、トサトクマブ、トシツモマブ、トベツマブ、トラロキヌマブ、トレガリズマブ、トレメリムマブ、トレボグルマブ、ツコツズマブ、ツビルマブ、ウブリツキシマブ、ウロクプルマブ、ウレルマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、ウトミルマブ、バダスツキシマブ、バンドルツズマブ、バンチクズマブ、バヌシズマブ、バパリキシマブ、バリサクマブ、バルリムマブ、バテリズマブ、ベドリズマブ、レルツズマブ、ベパリモマブ、ベセンクマブ、ビシリズマブ、ボバリキズマブ、ボロシキシマブ、ボンレロリズマブ、ボツムマブ、ブナキズマブ、クリバツズマブ、タカツズマブ、ザルツズマブ、ザノリムマブ、ジラリムマブ、ゾリモマブ又は抗エンビジン抗体が挙げられ、別の1態様としてはブレンツキシマブ、トラスツズマブ、リツキシマブ又は抗エンビジン抗体が挙げられ、別の1態様としてはブレンツキシマブ又はトラスツズマブが挙げられ、好ましくはブレンツキシマブが挙げられる。
ここで、「抗体」は、少なくとも重鎖の可変ドメイン及び軽鎖の可変ドメインを含む抗体であればよく、完全抗体であっても、完全抗体の断片であって抗原認識部位を有する抗原結合断片であってもよい。完全抗体は、2つの全長の軽鎖と2つの全長の重鎖とを有し、それぞれの軽鎖と重鎖とはジスルフィド結合によって連結されている。完全抗体は、IgA、IgD、IgE、IgM及びIgGを含み、IgGは、サブタイプとして、IgG、IgG、IgG及びIgGを含む。また、抗体はモノクローナル抗体であることが好ましい。抗体部分とリンカー部分とは、抗体中のジスルフィド結合が還元され得られたスルフヒドリル基を介して結合している。
本発明の抗体薬物複合体の1態様として、下記式(3−1):
Figure 2020132531

[式中、
mAbは、抗体を表し、
qは1〜8の整数を表し、
mは1〜10の整数を表し、
bは1〜5の整数を表し、
Gは、単結合又はアラニン残基(Ala)、アルギニン残基(Arg)、アスパラギン残基(Asn)、アスパラギン酸残基(Asp)、システイン残基(Cys)、グルタミン残基(Gln)、グルタミン酸残基(Glu)、グリシン残基(Gly)、ヒスチジン残基(His)、イソロイシン残基(Ile)、ロイシン残基(Leu)、リシン残基(Lys)、メチオニン残基(Met)、フェニルアラニン残基(Phe)、プロリン残基(Pro)、セリン残基(Ser)、トレオニン残基(Thr)、トリプトファン残基(Trp)、チロシン残基(Tyr)、バリン残基(Val)又はシトルリン残基(Cit)を表し、Gが複数ある場合、それぞれのGは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、G同士はアミド結合を介して結合しており、
gは1〜4の整数を表し、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Yは、単結合又は式(Y−1):
Figure 2020132531

(式中、
Y’は、単結合又はカルボニル基を表し、
は、ハロゲン原子、シアノ基、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、又は1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を表し、Rが複数ある場合、それぞれのRは互いに同一であっても異なっていてもよく、
fは0〜2の整数を表す)
で表される基であり、
式(Y−1)で表される基の*末端はZと結合しており、
Zは、微小管重合阻害剤で表される基である]
で表される抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩が挙げられる。
本発明の抗体薬物複合体の1態様として、下記式(3−2):
Figure 2020132531

[式中、
mAbは、抗体を表し、
qは1〜8の整数を表し、
mは1〜10の整数を表し、
bは1〜5の整数を表し、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zは、微小管重合阻害剤で表される基である]
で表される抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩が挙げられる。
本発明の抗体薬物複合体の1態様として、下記式(3−3):
Figure 2020132531

[式中、
mAbは、抗体を表し、
qは1〜8の整数を表し、
mは1〜10の整数を表し、
bは1〜5の整数を表し、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zは、微小管重合阻害剤で表される基である]
で表される抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩が挙げられる。
本発明の抗体薬物複合体の1態様として、下記式(3−4):
Figure 2020132531

[式中、
mAbは、抗体を表し、
qは1〜8の整数を表し、
mは1〜10の整数を表し、
bは1〜5の整数を表し、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zは、微小管重合阻害剤で表される基である]
で表される抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩が挙げられる。
本発明の本発明の抗体薬物複合体の1態様としては、以下の(3−1−A)が挙げられる。
(3−1−A)
式(3−1)において、
mAbが、ブレンツキシマブ又はトラスツズマブであり、
qが1〜8の整数であり、
mが、1〜5の整数であり、
bが、1〜3の整数であり、
Gが、単結合であり、
gが1であり、
AAが、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体であり、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Yが、単結合であり、
Zが、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)である、化合物又はその塩。
本発明の本発明の抗体薬物複合体の1態様としては、以下の(3−1−B)が挙げられる。
(3−1−B)
式(3−1)において、
mAbが、ブレンツキシマブ又はトラスツズマブであり、
qが1〜8の整数であり、
mが、1〜5の整数であり、
bが、1〜3の整数であり、
Gが、単結合であり、
gが1であり、
AAが、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体であり、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Yが、単結合であり、
Zが、DM1である、化合物又はその塩。
本発明の本発明の抗体薬物複合体の1態様としては、以下の(3−2−A)が挙げられる。
(3−2−A)
式(3−2)において、
mAbが、ブレンツキシマブ又はトラスツズマブであり、
qが1〜8の整数であり、
mが、1〜5の整数であり、
bが、1〜3の整数であり、
AAが、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体であり、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zが、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)である、化合物又はその塩。
本発明の本発明の抗体薬物複合体の1態様としては、以下の(3−2−B)が挙げられる。
(3−2−B)
式(3−2)において、
mAbが、ブレンツキシマブ又はトラスツズマブであり、
qが1〜8の整数であり、
mが、1〜5の整数であり、
bが、1〜3の整数であり、
AAが、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体であり、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zが、DM1である、化合物又はその塩。
本発明の本発明の抗体薬物複合体の1態様としては、以下の(3−3−A)が挙げられる。
(3−3−A)
式(3−3)において、
mAbが、ブレンツキシマブ又はトラスツズマブであり、
qが1〜8の整数であり、
mが、1〜5の整数であり、
bが、1〜3の整数であり、
AAが、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体であり、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zが、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)である、化合物又はその塩。
本発明の本発明の抗体薬物複合体の1態様としては、以下の(3−3−B)が挙げられる。
(3−3−B)
式(3−3)において、
mAbが、ブレンツキシマブ又はトラスツズマブであり、
qが1〜8の整数であり、
mが、1〜5の整数であり、
bが、1〜3の整数であり、
AAが、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体であり、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zが、DM1である、化合物又はその塩。
本発明の本発明の抗体薬物複合体の1態様としては、以下の(3−4−A)が挙げられる。
(3−4−A)
式(3−4)において、
mAbが、ブレンツキシマブ又はトラスツズマブであり、
qが1〜8の整数であり、
mが、1〜5の整数であり、
bが、1〜3の整数であり、
AAが、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体であり、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zが、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)である、化合物又はその塩。
本発明の本発明の抗体薬物複合体の1態様としては、以下の(3−4−B)が挙げられる。
(3−4−B)
式(3−4)において、
mAbが、ブレンツキシマブ又はトラスツズマブであり、
qが1〜8の整数であり、
mが、1〜5の整数であり、
bが、1〜3の整数であり、
AAが、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体であり、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
Zが、DM1である、化合物又はその塩。
一般に、抗体薬物複合体の作製及び解析は、当業者に公知の任意の技術によって行うことができる。このような方法としては、例えば、Antibody−Drug Conjugates(Laurent Ducry編集、Humana Press刊行、2013年)等に記載の方法が挙げられる。
本発明の抗体薬物複合体は、例えば、抗体中のジスルフィド結合をスルフヒドリル基に還元し、このスルフヒドリル基を、微小管重合阻害剤誘導体と反応させることによって形成することができる。
本発明の抗体薬物複合体は、標的細胞(抗原発現細胞)内で抗体が代謝され、薬物部分、又は抗体の一部(抗体断片)と薬物部分を含む構造が放出されうる。例えば、Doronina S.O.ら、2006,Bioconjugate Chem.17:114−124では、抗体の代謝によって、細胞内で、抗体薬物複合体のCys−薬物部分が放出されることが記載されている。
本発明の抗体薬物複合体は、血中ペプチダーゼによって切断され難い構造を有するため、薬物部分と抗体部分とが結合した状態を血中でも維持することができ、血中への遊離薬物の放出が抑えられる。したがって、本発明の抗体薬物複合体によれば、標的細胞に到達する前に薬物が血液中に放出されてしまうことが低減される。
また、本発明の抗体薬物複合体の薬物部分は細胞膜透過性が低いため、一度標的細胞内で放出された薬物部分は細胞外へ移行しにくい。そのため、薬効は標的細胞内でのみ発揮され、抗原発現細胞特異的に、薬物による細胞毒性を与えることができる。
さらに、仮に、非特許文献5及び6で報告される、生体内におけるチオスクシンイミド部位の解離が本発明の抗体薬物複合体で生じて、抗体薬物複合体が標的細胞に到達する前に血液中で薬物部分が放出されたとしても、本発明の抗体薬物複合体の薬物部分は細胞膜透過性が低いため、薬物は正常細胞に受動拡散されにくく、速やかに代謝及び排泄される。
以上より、本発明の抗体薬物複合体によれば、抗原発現細胞特異的に薬物(微小管重合阻害剤誘導体)による細胞毒性を与えることができ、全身暴露による副作用が少ないことが期待できる。
「塩」は、本発明の微小管重合阻害剤誘導体の好適な塩及び医薬品原料として許容しうる塩であり、好ましくは慣用の無毒性塩である。「塩」としては、例えば、有機酸塩(例えば酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ギ酸塩又はp−トルエンスルホン酸塩等)及び無機酸塩(例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩又はリン酸塩等)のような酸付加塩、アミノ酸(例えばアルギニン、アスパラギン酸又はグルタミン酸等)との塩、アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩又はカリウム塩等)及びアルカリ土類金属塩(例えばカルシウム塩又はマグネシウム塩等)等の金属塩、アンモニウム塩、又は有機塩基塩(例えばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩又はN,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩等)等の他、適当な塩を当業者が適宜選択することができる。
「製薬学的に許容される塩」としては、酸付加塩及び塩基付加塩が挙げられる。例えば、酸付加塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、又はクエン酸塩、シュウ酸塩、フタル酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。また、塩基付加塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、アルミニウム塩等の無機塩基塩、又はトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6−ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン]、tert−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチルアミン等の有機塩基塩が挙げられる。さらに、「製薬学的に許容される塩」としては、アルギニン、リシン、オルニチン、アスパラギン酸、グルタミン酸等の、塩基性アミノ酸又は酸性アミノ酸との塩(アミノ酸塩)も挙げられる。
本発明の微小管重合阻害剤誘導体、ADC中間体又は抗体薬物複合体の塩を取得したいとき、目的の化合物が塩の形で得られる場合には、それをそのまま精製すればよく、また、遊離の形で得られる場合には、それを適当な有機溶媒に溶解又は懸濁させ、酸又は塩基を加えて通常の方法により塩を形成させればよい。
本発明の微小管重合阻害剤誘導体、ADC中間体及び抗体薬物複合体は、水和物及び/又は各種溶媒との溶媒和物(エタノール和物等)の形で存在することもあり、これらの水和物及び/又は溶媒和物も本発明の微小管重合阻害剤誘導体、ADC中間体及び抗体薬物複合体に含まれる。さらに、本発明には、本発明の微小管重合阻害剤誘導体、ADC中間体及び抗体薬物複合体のあらゆる様態の結晶形も含まれる。
本発明の微小管重合阻害剤誘導体、ADC中間体及び抗体薬物複合体の中には、光学活性中心に基づく光学異性体、分子内回転の束縛により生じた軸性又は面性キラリティーに基づくアトロプ異性体、その他のあらゆる立体異性体、互変異性体、及び幾何異性体等が存在し得るものがあるが、これらを含め、全ての可能な異性体は本発明の範囲に包含される。
特に、光学異性体やアトロプ異性体は、ラセミ体として得ることができ、また光学活性の出発原料や中間体が用いられた場合には光学活性体として、それぞれ得ることができる。必要であれば、下記製造法の適切な段階で、対応する原料、中間体又は最終品のラセミ体を、光学活性カラムを用いた方法、分別結晶化法等の、公知の分離方法によって、物理的に又は化学的に光学対掌体に光学分割することができる。具体的には、例えばジアステレオマー法では、光学活性分割剤を用いる反応によってラセミ体から2種のジアステレオマーを形成する。この異なるジアステレオマーは一般に物理的性質が異なるため、分別結晶化等の公知の方法によって光学分割することができる。
本明細書において、水素原子はHであっても、H(D)であってもよい。すなわち、例えば、式(1)で表される化合物の1つ又は2つ以上のHをH(D)に変換した重水素変換体も、本発明の微小管重合阻害剤誘導体、ADC中間体及び抗体薬物複合体に包含される。
本発明の微小管重合阻害剤誘導体、ADC中間体及び抗体薬物複合体の製造方法について以下に述べる。式(1)で表される本発明の微小管重合阻害剤誘導体は、例えば、下記の製造法A及びBにより製造することができる。
製造法A
式(1)で表される化合物は、例えば、下記の製法によって製造することができる。
Figure 2020132531

(式中、Z、AA及びmは、項1に定義されるとおりであり、Pはアミノ基の保護基を意味する。)
上記Pで表されるアミノ基の保護基としては、ProtectiveGroups in Organic Synthesis(TheodoraW. Greene, Peter G.M. Wuts著、John Wiley & Sons, Inc.発行、1999年)に記載の保護基等を使用できる。
化合物a1は、市販品として購入できる。
[A−1工程]
化合物a2は、化合物a1と微小管重合阻害剤Zを、適当な溶媒中、適当な塩基存在下で、種々の縮合剤を用いて、縮合することにより製造することができる。縮合剤としては、通常の有機合成反応に用いられる種々の縮合剤を使用することができるが、好ましくは(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド又はブロモトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェートが挙げられる。また、必要に応じて、縮合反応の効率を向上させるために、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール等のカルボニル活性化試薬を共に用いることができる。塩基としては、好ましくはジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。溶媒としては、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。反応時間は、通常5分〜72時間であり、好ましくは30分〜24時間である。反応温度は、通常−78℃〜200℃であり、好ましくは0℃〜100℃である。本工程は、Tetrahedron Lett., 1997, 38,317-320等に記載されている方法に準じて行うことができる
微小管重合阻害剤Zは、例えば、市販品として購入できる。
[A−2工程]
化合物a3は、化合物a2のアミノ基の保護基Pを、脱保護することにより製造することができる。本工程は、Protective Groups in Organic Synthesis(TheodoraW.Greene, Peter G. M. Wuts著、John Wiley & Sons, Inc.発行、1999年)に記載されている方法等に準じて行うことができる。また、(AA)がエステルを有する場合、必要に応じて、本脱保護工程でエステルの加水分解を行なうこともできる。
製造法B
(AA)がチオール基を有する式(1)で表される化合物は、例えば、下記の製法によって製造することができる。
Figure 2020132531

(式中、Z、AA及びmは、項1に定義されるとおりである。)
[B−1工程]
化合物b2は、チオール基を有する化合物b1とジスルフィド化剤を、適当な溶媒中で反応させ、ジスルフィド結合を介して結合させることで製造することができる。ジスルフィド化剤としては、通常の有機合成反応に用いられる種々のジスルフィド剤を使用することができるが、好ましくは1,2−ジピリジン−2−イルジスルファン又はピリジン−2−イルチオハイポクロリドが挙げられる。溶媒としては、好ましくはメタノールが挙げられる。反応時間は、通常5分〜72時間であり、好ましくは30分〜24時間である。反応温度は、通常−78℃〜200℃であり、好ましくは0℃〜100℃である。本工程は、Khimiya Prirodnykh Soedinenii (1989), (3), 387-91等に記載されている方法に準じて行うことができる。
[B−2工程]
化合物a3は、化合物b2を、適当な溶媒中で、チオール基を有する微小管重合阻害剤Zと反応させることにより製造することができる。溶媒としては、好ましくはメタノールが挙げられる。反応時間は、通常5分〜48時間であり、好ましくは10分〜24時間である。反応温度は、通常−78℃〜100℃であり、好ましくは0℃〜50℃である。本工程は、Angewandte Chemie, International Edition (2018), 57(21), 6324-6328等に記載されている方法に準じて行うことができる。
製造法C
Y及びGが単結合である場合、式(2−1)で表される化合物は、例えば、下記の製法によって製造することができる。
Figure 2020132531

(式中、Z、AA、m及びbは、項6に定義されるとおりである。)
[C−1工程]
化合物c1は、化合物a3とスクシンイミジルマレイミド化合物を、適当な溶媒中、適当な塩基存在下で反応することにより製造することができる。塩基としては、好ましくはジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。溶媒としては、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。反応時間は、通常5分〜72時間であり、好ましくは30分〜24時間である。反応温度は、通常−78℃〜200℃であり、好ましくは0℃〜100℃である。
製造法D
Yが式(Y−1)で表される基であり、Y’がカルボニル基である場合、式(2−1)で表される化合物は、例えば、下記の製法によって製造することができる。
Figure 2020132531

(式中、R、f、G、g、Z、AA、m及びbは、項6に定義されるとおりであり、Pは製造法AにおけるPと同義である。)
化合物d1は、例えば、市販品として購入できる。
[D−1工程]
化合物d2は、化合物d1とG基の原料となるアミノ酸又はペプチドを、適当な溶媒中、適当な塩基存在下で、種々の縮合剤を用いて、縮合することにより製造することができる。縮合剤としては、通常の有機合成反応に用いられる種々の縮合剤を使用することができるが、好ましくは1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)が挙げられる。また、必要に応じて、縮合反応の効率を向上させるために、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール等のカルボニル活性化試薬を共に用いることができる。塩基としては、好ましくはジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。溶媒としては、好ましくはジクロロメタンが挙げられる。反応時間は、通常5分〜72時間であり、好ましくは30分〜24時間である。反応温度は、通常−78℃〜200℃であり、好ましくは0℃〜50℃である。本工程は、Bioconjugate Chem. 2002, 13, 855-869等に記載されている方法に準じて行うことができる。
[D−2工程]
化合物d3は、化合物d2に、適当な塩基存在下、適当な溶媒中で、種々のp−ニトロフェニル炭酸エステル化試薬を反応させることにより製造することができる。p−ニトロフェニル炭酸エステル化試薬としては、例えば、クロロギ酸4−ニトロフェニル、ビス(4−ニトロフェニル)カルボナート等が挙げられ、好ましくはビス(4−ニトロフェニル)カルボナートが挙げられる。塩基としては、好ましくはN,N−ジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。溶媒としては、好ましくはテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。反応時間は、通常5分〜72時間であり、好ましくは1時間〜24時間である。反応温度は、通常−78℃〜200℃であり、好ましくは10℃〜50℃である。本工程は、Bioconjugate Chem. 2002, 13, 855-869やBioconjugateChem.2015, 26, 650-659等に記載されている方法に準じて行うことができる。
[D−3工程]
化合物d4は、化合物d3と化合物a3とを、適当な塩基存在下、適当な溶媒中で、反応させることにより製造することができる。また、必要に応じて、縮合反応の効率を向上させるために、1−ヒドロキシ−7−ベンゾトリアゾール等のカルボニル活性化試薬を共に用いることができる。塩基としては、好ましくはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、2,6−ルチジンが挙げられる。溶媒としては、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。反応時間は、通常5分〜72時間であり、好ましくは1時間〜24時間である。反応温度は、通常−78℃〜200℃であり、好ましくは10℃〜50℃である。本工程は、Bioconjugate Chem. 2002, 13, 855-869やBioconjugateChem. 2015, 26, 650-659等に記載されている方法に準じて行うことができる。
[D−4工程]
化合物d5は、化合物d4より、上記A−2工程に記載の方法に準じて製造することができる。
[D−5工程]
化合物d6は、化合物d5より、上記A−1工程に記載の方法に準じて製造することができる。
製造法E
Yが式(Y−1)で表される基であり、Y’が単結合である場合、式(2−1)で表される化合物は、例えば、下記の製法によって製造することができる。
Figure 2020132531

(式中、R、f、G、g、Z、AA、m及びbは、項6に定義されるとおりであり、Pは製造法AにおけるPと同義である。)
[E−1工程]
化合物e1は、化合物d2とグルタミン酸又はアスパラギン酸を有するZ−(AA)を、適当なスルホニル化試薬及びイミダゾール類存在下、適当な溶媒中で、縮合反応させることにより製造することができる。スルホニル化試薬としては、例えば、メチルスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド等が挙げられ、好ましくはp−トルエンスルホニルクロリドが挙げられる。イミダゾール類としては、イミダゾール、1−メチルイミダゾール等が挙げられ、好ましくは1−メチルイミダゾールが挙げられる。溶媒としては、好ましくはアセトニトリルが挙げられる。反応時間は、通常5分〜72時間であり、好ましくは30分〜24時間である。反応温度は、通常−78℃〜200℃であり、好ましくは0℃〜50℃である。
[E−2工程]
化合物e2は、化合物e1より、上記A−2工程に記載の方法に準じて製造することができる。
[E−3工程]
化合物e3は、化合物e2より、上記A−1工程に記載の方法に準じて製造することができる。
製造法F
式(2−2)で表される化合物は、例えば、下記の製法によって製造することができる。
Figure 2020132531

(式中、Z、AA、m及びbは、項8に定義されるとおりであり、Pは製造法AにおけるPと同義である。)
[F−1工程]
化合物f1は、化合物a2より、上記C−1工程に記載の方法に準じて製造することができる。
[F−2工程]
化合物f2は、化合物f1より、上記A−2工程に記載の方法に準じて製造することができる。
製造法G
式(2−3)で表される化合物は、例えば、下記の製法によって製造することができる。
Figure 2020132531

(式中、Z、AA、m及びbは、項9に定義されるとおりである。)
[G−1工程]
化合物g1は、化合物a3より、上記C−1工程に記載の方法に準じて製造することができる。
製造法H
式(2−4)で表される化合物は、例えば、下記の製法によって製造することができる。
Figure 2020132531

(式中、Z、AA、m及びbは、項10に定義されるとおりであり、Pは製造法AにおけるPと同義である。)
[H−1工程]
化合物h1は、化合物a2より、上記A−1工程に記載の方法に準じて製造することができる。
[H−2工程]
化合物h2は、化合物h1より、上記A−2工程に記載の方法に準じて製造することができる。
製造法I
式(3−1)で表される化合物は、例えば、下記の製法によって製造することができる。
Figure 2020132531

(式中、mAb、q、b及びZは、項15に定義されるとおりであり、mAb’は、ジスルフィド結合が還元されたmAbを表し、q’は1〜20の整数を表す。)
[I−1工程]
化合物i2は、化合物i1を、適当なジスルフィド還元剤と、適当な緩衝液中で、反応させることにより製造することができる。ジスルフィド還元剤としては、例えば、ジチオトレイトール、メルカプトエタノール、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン等が挙げられ、好ましくはトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンが挙げられる。緩衝液としては、Tris−HCl、PBS、HEPES、酢酸系緩衝液、ホウ酸系緩衝液、リン酸系緩衝液、炭酸系緩衝液が挙げられ、好ましくは、Tris−HClやPBSが挙げられる。反応時のpHは、通常2〜12であり、好ましくは4〜9である。反応時間は、通常5分〜24時間であり、好ましくは5分〜5時間である。反応温度は、通常−10℃〜50℃であり、好ましくは0℃〜40℃である。
[I−2工程]
化合物i4は、化合物i2と化合物i3を、適当な緩衝液中で、反応させることにより製造することができる。緩衝液としては、Tris−HCl、PBS、HEPES、酢酸系緩衝液、ホウ酸系緩衝液、リン酸系緩衝液、炭酸系緩衝液が挙げられ、好ましくは、Tris−HClやPBSが挙げられる。反応時のpHは、通常2〜12であり、好ましくは4〜9である。反応時間は、通常5分〜72時間であり、好ましくは30分〜24時間である。反応温度は、通常−78℃〜200℃であり、好ましくは0℃〜25℃である。
製造法J
式(3−2)で表される化合物は、例えば、下記の製法によって製造することができる。
Figure 2020132531

(式中、mAb、q、b及びZは、項17に定義されるとおりであり、mAb’は、ジスルフィド結合が還元されたmAbを表し、q’は1〜20の整数を表す。)
[J−1工程]
化合物j2は、化合物j1より、上記I−1工程に記載の方法に準じて製造することができる。
[J−2工程]
化合物j3は、化合物j2と化合物f2より、上記I−2工程に記載の方法に準じて製造することができる。
製造法K
式(3−3)で表される化合物は、例えば、下記の製法によって製造することができる。
Figure 2020132531

(式中、mAb、q、b及びZは、項18に定義されるとおりであり、mAb’は、ジスルフィド結合を還元したmAbを表し、q’は1〜20の整数を表す。)
[K−1工程]
化合物k2は、化合物k1より、上記I−1工程に記載の方法に準じて製造することができる。
[K−2工程]
化合物k3は、化合物k2と化合物g1より、上記I−2工程に記載の方法に準じて製造することができる。
製造法L
式(3−4)で表される化合物は、例えば、下記の製法によって製造することができる。
Figure 2020132531

(式中、mAb、q、b及びZは、項19に定義されるとおりであり、mAb’は、ジスルフィド結合が還元されたmAbを表し、q’は1〜20の整数を表す。)
[L−1工程]
化合物l2は、化合物l1より、上記I−1工程に記載の方法に準じて製造することができる。
[L−2工程]
化合物l3は、化合物l2と化合物h2より、上記I−2工程に記載の方法に準じて製造することができる。
上記に本発明の微小管重合阻害剤誘導体、ADC中間体及び抗体薬物複合体の製造法を示している。しかし、これら以外の方法であっても、例えば、当業者に公知の方法を適宜組み合わせることによっても、本発明の微小管重合阻害剤誘導体、ADC中間体及び抗体薬物複合体を製造することができる。
上記の各製造法の各工程において使用される適当な塩基は、反応や原料化合物の種類等によって適宜選択されるべきであるが、例えば、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム等の重炭酸アルカリ類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ類;水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド類;ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド等の有機金属塩基類;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)等の有機塩基類等が挙げられる。
上記の各製造法の各工程において使用される適当な溶媒は、反応や原料化合物の種類等によって適時選択されるべきであるが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルケトン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド類;アセトニトリル等のニトリル類;蒸留水等が挙げられ、これらの溶媒は単独又は2種類以上を混合して用いることができる。また、反応の種類によっては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類を溶媒として用いてもよい。
本発明の微小管重合阻害剤誘導体、ADC中間体及び抗体薬物複合体は、当業者に公知の方法で分離、精製することができる。例えば、抽出、分配、再沈殿、カラムクロマトグラフィー(例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、イオン交換カラムクロマトグラフィー若しくは分取液体クロマトグラフィー)又は再結晶等が挙げられる。
再結晶溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒;アセトン等のケトン系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒;ヘキサン等の炭化水素系溶媒;ジメチルホルムアミドアセトニトリル等の非プロトン系溶媒;水;又はこれらの混合溶媒等を用いることができる。
その他の精製方法としては、実験化学講座(日本化学会編、丸善)1巻等に記載されている方法等を用いることができる。また、本発明の微小管重合阻害剤誘導体、ADC中間体及び抗体薬物複合体の分子構造の決定は、それぞれの原料化合物に由来する構造を参照して、核磁気共鳴法、赤外吸収法、円二色性スペクトル分析法等の分光学的手法、又は質量分析法により容易に行える。
また、上記製造方法における中間体又は最終生成物は、その官能基を適宜変換すること、また特に、アミノ基、水酸基、カルボニル基、ハロゲン原子等を足がかりに種々の側鎖を伸張すること、及びその際に必要に応じて上記官能基の保護、脱保護を行うことによって、本発明に含まれる別の化合物へ導く事もできる。官能基の変換及び側鎖の伸張は、通常行われる一般的方法(例えば、Comprehensive Organic Transformations, R. C. Larock, John Wiley&Sons Inc.(1999)等を参照)によって行うことができる。
本発明の微小管重合阻害剤誘導体、ADC中間体及び抗体薬物複合体には、不斉が生じる場合又は不斉炭素を有する置換基を有する場合があり、そのような化合物にあっては光学異性体が存在する。光学異性体は通常の方法に従って製造することができる。製造方法としては、例えば、不斉点を有する原料を用いる方法又は途中の段階で不斉を導入する方法が挙げられる。例えば、光学異性体の場合、光学活性な原料を用いるか、製造工程の適当な段階で光学分割等を行うことで、光学異性体を得ることができる。光学分割法としては、例えば、本発明の微小管重合阻害剤誘導体、ADC中間体及び抗体薬物複合体が、塩基性官能基を有する場合には、不活性溶媒中(例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;トルエン等の炭化水素系溶媒;アセトニトリル等の非プロトン系溶媒;又は上記溶媒から選択される2種以上の混合溶媒)で、光学活性な酸(例えば、マンデル酸、N−ベンジルオキシアラニン、乳酸等のモノカルボン酸;酒石酸、o−ジイソプロピリデン酒石酸、リンゴ酸等のジカルボン酸;カンファースルホン酸、ブロモカンファースルホン酸等のスルホン酸等)を用いて、塩を形成させるジアステレオマー法が挙げられる。本発明の微小管重合阻害剤誘導体又はその合成中間体が、カルボキシル等の酸性官能基を有する場合には、光学活性なアミン(例えば、1−フェニルエチルアミン、キニン、キニジン、シンコニジン、シンコニン、ストリキニーネ等の有機アミン)を用いて、塩を形成させることにより、光学分割を行うこともできる。
塩を形成させる温度としては、−50℃から溶媒の沸点までの範囲が挙げられ、好ましくは0℃から沸点までの範囲が挙げられ、より好ましくは室温から溶媒の沸点までの範囲が挙げられる。光学純度を向上させるためには、一旦、溶媒の沸点付近まで温度を上げることが望ましい。析出した塩を濾取する際、必要に応じて冷却し、収率を向上させることができる。光学活性な酸又はアミンの使用量は、基質に対し約0.5〜約2.0当量の範囲が挙げられ、好ましくは1当量前後の範囲が挙げられる。必要に応じて、結晶を不活性溶媒中(例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;トルエン等の炭化水素系溶媒;アセトニトリル等の非プロトン系溶媒;又は上記溶媒から選択される2種以上の混合溶媒)で再結晶し、高純度の光学活性な塩を得ることもできる。また、必要に応じて、光学分割した塩を通常の方法で酸又は塩基で処理し、フリー体として得ることもできる。
上記の各々の製造法における原料又は中間体のうち、特にあらためてその製造法を記載しなかったものについては、市販化合物であるか、又は市販化合物から当業者に公知の方法若しくはそれに準じた方法によって合成することができる。
本発明の抗体薬物複合体、及び該抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物は、抗がん剤(例えば、乳がん、胃がん、肺がん、肝臓がん、子宮頸がん、大腸がん、直腸がん、結腸がん、神経膠腫、リンパ腫、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、腎がん、尿路上皮がん、皮膚がん、甲状腺がん、膀胱がん、頭頸部がん、子宮体がん、中皮腫、黒色腫、多発性骨髄腫、白血病等の治療薬)として有用である。
本発明の抗体薬物複合体は、直接又は適当な剤形を用いて製剤にし、経口投与又は非経口投与により投与することができる。剤形は、例えば、液剤、懸濁剤、注射剤等が挙げられるがこれに限らない。これらの製剤は、薬学的に許容される添加剤を用いて、公知の方法で製造される。
添加剤としては、目的に応じて、賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、コーティング剤、溶解剤、溶解補助剤、増粘剤、分散剤、安定化剤、甘味剤、香料等を用いることができる。具体的には、例えば、乳糖、マンニトール、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、部分α化デンプン、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、酸化チタン、タルク等が挙げられる。
本発明の抗体薬物複合体と併用又は組み合わせることができる「抗がん性化合物」としては、例えば、抗がん性アルキル化剤、抗がん性代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、抗がん性白金配位化合物、抗がん性カンプトテシン誘導体、抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤、抗がん性セリンスレオニンキナーゼ阻害剤、抗がん性リン脂質キナーゼ阻害剤、抗がん性モノクローナル抗体、インターフェロン、生物学的応答調節剤、ホルモン剤、免疫チェックポイント阻害剤、エピジェネティクス関連分子阻害剤、タンパク質翻訳後修飾阻害剤、及びその他抗腫瘍剤からなる群から選択される1種以上の抗がん性化合物が挙げられる。併用又は組み合わせることができる「抗がん性化合物」の具体例としては、例えば、アザシチジン、ボリノスタット、デシタビン、ロミデプシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エノシタビン、シタラビン、ミトキサントロン、チオグアニン、エトポシド、イホスファミド、シクロフォスファミド、ダカルバジン、テモゾロミド、ニムスチン、ブスルファン、プロカルバジン、メルファラン、ラニムスチン、オールトランス型レチノイン酸、タミバロテン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、イリノテカン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、メトトレキサート、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、タモキシフェン、チオテパ、テガフール、フルオロウラシル、エベロリムス、テムシロリムス、ゲフィチニブ、エルロチニブ、イマチニブ、クリゾチニブ、オシメルチニブ、アファチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ、バンデタニブ、スニチニブ、アキシチニブ、パゾパニブ、レンバチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、イブルチニブ、セリチニブ、アレクチニブ、トファシチニブ、バリシチニブ、ルキソリチニブ、オラパリブ、ソラフェニブ、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、トラメチニブ、パルボシクリブ、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、リツキシマブ、セツキシマブ、トラスツズマブ、ベバシズマブ、パニツムマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブ、モガムリズマブ、アレムツズマブ、オファツムマブ、イピリムマブ、ラムシルマブ、ブレンツキシマブ ベドチン、トラスツズマブ エムタンシン、ゲムツズマブ オゾガマイシン、イノツズマブ オゾガマイシン等が挙げられる。
以上より、本発明の抗体薬物複合体及びこれを含有する医薬組成物は、がんの治療に使用することができる。すなわち、本発明の1態様は、がんを患う対象に、抗体薬物複合体又はこれを含む医薬組成物を投与することを含む、がんの治療方法であるともいえる。がんを患う対象は、ヒト患者であってもよいし、ヒト以外の動物であってもよい。
以下に本発明を、参考例、実施例及び試験例により、さらに具体的に説明するが、本発明はもとよりこれに限定されるものではない。なお、以下の参考例及び実施例において示された化合物名は、必ずしもIUPAC命名法に従うものではない。
参考例及び実施例の化合物は、反応後の処理等の方法により、TFA塩等の酸付加塩として得られることもある。
明細書の記載を簡略化するために参考例、実施例及び実施例中の表において以下に示すような略号を用いることもある。DMSOはジメチルスルホキシド、TFAはトリフルオロ酢酸、TCEPはトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン、Tris−HClはトリスヒドロキシメチルアミノメタン塩酸塩、PBSはリン酸緩衝生理食塩水、HEPESは2−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]エタンスルホン酸、PIPESはピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)を意味する。NMRに用いられる記号として、sは一重線、dは二重線、ddは二重線の二重線、tは三重線、qは四重線、mは多重線、brは幅広い、brsは幅広い一重線、brdは幅広い二重線、brmは幅広い多重線及びJは結合定数を意味する。
高速液体クロマト質量分析計;LCMSの測定条件は、以下の通りであり、観察された質量分析の値[MS(m/z)]を[M+nH]n+/n、[M+Na]、[M−nH]n―/nで、保持時間をRt(分)で示す。
測定条件A
検出機器:島津 LCMS−IT−TOF
Column:Phenomenex Kinetex(1.7μm C8,50 mm×2.10 mm)
Solvent:A液:0.1 % HCOOH/CHCN、B液:0.1 % HCOOH/H
Gradient Condition:
0.0分;A/B=10:90
0.0−1.4分 Linear gradient from A 10% to 90%
1.4−1.6分;A/B=90:10
1.6−2.0分;A/B=10:90
Flow rate:1.2 mL/分
UV:220/254 nm
カラム温度:40℃
測定条件B
HPLC:Shimadzu LC−10A series
Column:nonporousTSKgel Butyl−NPR column(TosohBioscience,2.5μm,35mm×4.6mm)
Solvent:A液:1.5 mol/L硫酸アンモニウム, 25 mmol/Lリン酸ナトリウム水溶液(pH6.95)、B液:25%イソプロパノール/25 mmol/Lリン酸ナトリウム水溶液(pH6.95)
Gradient Condition:
0.0分;A/B=100:0
0.0−24.0分 Linear gradient from B 0% to 100%
24.1−60.0分;A/B=100:0
Flow rate:0.8 mL/分
UV:230 nm
カラム温度:25℃
参考例1
((2R,3R)−3−((S)−1−((3R,4S,5S)−4−((S)−2−((S)−2−((R)−5−(tert−ブトキシ)−4−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−N−メチル−5−オキソペンタンアミド)−3−メチルブタナミド)−N,3−ジメチルブタナミド)−3−メトキシ−5−メチルヘプタノイル)ピロリジン−2−イル)−3−メトキシ−2−メチルプロパノイル)−L−フェニルアラニン(25mg)と2−(3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−イル)−1,1,3,3−テトラメチルイソウロニウム ヘキサフルオロフォスフェート(V)
Figure 2020132531
a)((2R,3R)−3−((S)−1−((3R,4S,5S)−4−((S)−2−((S)−2−((R)−5−(tert−ブトキシ)−4−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−N−メチル−5−オキソペンタンアミド)−3−メチルブタナミド)−N,3−ジメチルブタナミド)−3−メトキシ−5−メチルヘプタノイル)ピロリジン−2−イル)−3−メトキシ−2−メチルプロパノイル)−L−フェニルアラニン(25mg)と2−(3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−イル)−1,1,3,3−テトラメチルイソウロニウム ヘキサフルオロフォスフェート(V)の製造
(R)−5−(tert−ブトキシ)−4−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−5−オキソペンタン酸(26.7mg)をジメチルホルムアミド(1mL)に溶解し、4℃で攪拌中、2−(3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−イル)−1,1,3,3−テトラメチルイソウロニウム ヘキサフルオロフォスフェート(V)(33.5mg)とジイソプロピルエチルアミン(31μL)加えて30分攪拌した。反応液に((2R,3R)−3−((S)−1−((3R,4S,5S)−4−((S)−N,3−ジメチル−2−((S)−3−メチル−2−(メチルアミノ)ブタナミド)ブタナミド)−3−メトキシ−5−メチルヘプタノイル)ピロリジン−2−イル)−3−メトキシ−2−メチルプロパノイル)−L−フェニルアラニン(43mg)を加えて室温にて17時間攪拌した。反応液を濃縮後、残渣を逆相クロマトグラフィー(溶出溶媒;アセトニトリル:水)で精製し、((2R,3R)−3−((S)−1−((3R,4S,5S)−4−((S)−2−((S)−2−((R)−5−(tert−ブトキシ)−4−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−N−メチル−5−オキソペンタンアミド)−3−メチルブタナミド)−N,3−ジメチルブタナミド)−3−メトキシ−5−メチルヘプタノイル)ピロリジン−2−イル)−3−メトキシ−2−メチルプロパノイル)−L−フェニルアラニン(25mg)と2−(3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−イル)−1,1,3,3−テトラメチルイソウロニウム ヘキサフルオロフォスフェート(V)(32.5mg)を得た。
LC−MS:1017(M+H)+(1.327min、測定条件A)
参考例2
N2−(tert−ブトキシカルボニル)−N5−((S)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((S)−1−((2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)エチル)アミノ)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)−N5−メチル−D−グルタメート
Figure 2020132531
a)N2−(tert−ブトキシカルボニル)−N5−((S)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((S)−1−((2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)エチル)アミノ)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)−N5−メチル−D−グルタメートの製造
((2R,3R)−3−((S)−1−((3R,4S,5S)−4−((S)−2−((S)−2−((R)−5−(tert−ブトキシ)−4−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−N−メチル−5−オキソペンタンアミド)−3−メチルブタナミド)−N,3−ジメチルブタナミド)−3−メトキシ−5−メチルヘプタノイル)ピロリジン−2−イル)−3−メトキシ−2−メチルプロパノイル)−L−フェニルアラニン(25mg)と2−(3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−イル)−1,1,3,3−テトラメチルイソウロニウム ヘキサフルオロフォスフェート(V)(参考例1の化合物)(14mg)をジメチルホルムアミド(0.5mL)に溶解し、4℃で攪拌中、ジイソプロピルエチルアミン(8.55μL)加えて1時間攪拌した。反応液に1−(2−アミノエチル)−1H−ピロール−2,5−ジオン 塩酸塩(5.2mg)のジメチルホルムアミド溶液(0.5mL)を加えて室温にて17時間攪拌した。反応液を濃縮後、残渣を逆相クロマトグラフィー(溶出溶媒;アセトニトリル:水)で精製し、N2−(tert−ブトキシカルボニル)−N5−((S)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((S)−1−((2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)エチル)アミノ)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)−N5−メチル−D−グルタメート
(14.8mg)を得た。
LC−MS:1139(M+H)+(1.330min、測定条件A)
参考例3
N5−((R)−1−カルボキシ−2−(ピリジン−2−イルジスルファニル)エチル)−L−グルタミル
Figure 2020132531
a)N5−((R)−1−カルボキシ−2−(ピリジン−2−イルジスルファニル)エチル)−L−グルタミルの製造
1,2−ジ(ピリジン−2−イル)ジスルファン(88mg)をメタノール(30mL)に溶解し、室温にて攪拌中、N5−((R)−1−カルボキシ−2−メルカプトエチル)−L−グルタミン(50mg)加えて17時間攪拌した。反応液を濃縮後、残渣にクロロホルムを加え、結晶をろ取し、N5−((R)−1−カルボキシ−2−(ピリジン−2−イルジスルファニル)エチル)−L−グルタミル(49.5mg)を得た。
LC−MS:360(M+H)+(0.658min、測定条件A)
実施例1
N5−((S)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((S)−1−カルボキシ−2−フェニルエチル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)−N5−メチル−D−グルタミン
Figure 2020132531
N2−(tert−ブトキシカルボニル)−N5−((S)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((S)−1−((2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)エチル)アミノ)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)−N5−メチル−D−グルタメート(参考例1の化合物)(32mg)のクロロホルム溶液(3mL)にトリフルオロ酢酸(0.5mL)を加えて、室温にて17時間撹拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、残渣を逆相クロマトグラフィー(溶出溶媒;アセトニトリル:水)で精製することにより、N5−((S)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((S)−1−カルボキシ−2−フェニルエチル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)−N5−メチル−D−グルタミン(6.4mg)を得た。
LC−MS:861(M+H)(1.009min,測定条件A)
実施例2
N5−((S)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((S)−1−カルボキシ−2−フェニルエチル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)−N2−(3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパノイル)−N5−メチル−D−グルタミン
Figure 2020132531
N5−((S)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((S)−1−カルボキシ−2−フェニルエチル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)−N5−メチル−D−グルタミン(実施例1の化合物)(26mg)、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル 3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパネート(9.65mg)及びジイソプロピルエチルアミン(0.013mL)のジメチルホルムアミド(1mL)溶液を室温にて2日間攪拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、残渣を逆相クロマトグラフィーにて精製することにより、N5−((S)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((S)−1−カルボキシ−2−フェニルエチル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)−N2−(3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパノイル)−N5−メチル−D−グルタミン(13mg)を得た。
LC−MS:1012(M+H)(1.102min,測定条件A)
実施例3
N5−((S)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((S)−1−((2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)エチル)アミノ)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)−N5−メチル−D−グルタミン
Figure 2020132531
N2−(tert−ブトキシカルボニル)−N5−((S)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((S)−1−((2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)エチル)アミノ)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)−N5−メチル−D−グルタメート(参考例2の化合物)(12.5mg)のクロロホルム溶液(0.5mL)にトリフルオロ酢酸(0.2mL)を加えて、室温にて25℃で17時間撹拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、残渣を逆相クロマトグラフィー(溶出溶媒;アセトニトリル:水)で精製することにより、N5−((S)−1−(((S)−1−(((3R,4S,5S)−1−((S)−2−((1R,2R)−3−(((S)−1−((2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)エチル)アミノ)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル)アミノ)−1−メトキシ−2−メチル−3−オキソプロピル)ピロリジン−1−イル)−3−メトキシ−5−メチル−1−オキソヘプタン−4−イル)(メチル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)アミノ)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イル)−N5−メチル−D−グルタミン(5.2mg)を得た。
LC−MS:983(M+H)(1.166min,測定条件A)
実施例4
N5−(1−カルボキシ−2−((3−(((S)−1−(((14S,16S,32R,33S,2R,4S,10E,12E,14R)−86−クロロ−14−ヒドロキシ−85,14−ジメトキシ−33,2,7,10−テトラメチル−12,6−ジオキソ−7−アザ−1(6,4)−オキサジナナ−3(2,3)−オキシラナ−8(1,3)−ベンゼナシクロテトラデカファン−10,12−ジエン−4−イル)オキシ)−1−オキソプロパン−2−イル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)ジスルファニル)エチル)グルタミン
Figure 2020132531
DM1(20mg)のメタノール溶液(10mL)にN5−((R)−1−カルボキシ−2−(ピリジン−2−イルジスルファニル)エチル)−L−グルタミル(参考例3の化合物)(40mg)及び酢酸(0.2mL)を加えて、室温にて17時間撹拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、残渣を逆相クロマトグラフィー(溶出溶媒;アセトニトリル:水)で精製することにより、N5−(1−カルボキシ−2−((3−(((S)−1−(((14S,16S,32R,33S,2R,4S,10E,12E,14R)−86−クロロ−14−ヒドロキシ−85,14−ジメトキシ−33,2,7,10−テトラメチル−12,6−ジオキソ−7−アザ−1(6,4)−オキサジナナ−3(2,3)−オキシラナ−8(1,3)−ベンゼナシクロテトラデカファン−10,12−ジエン−4−イル)オキシ)−1−オキソプロパン−2−イル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)ジスルファニル)エチル)グルタミン(11.2mg)を得た。
LC−MS:986(M+H)(1.001min,測定条件A)
実施例5
N5−(1−カルボキシ−2−((3−(((S)−1−(((14S,16S,32R,33S,2R,4S,10E,12E,14R)−86−クロロ−14−ヒドロキシ−85,14−ジメトキシ−33,2,7,10−テトラメチル−12,6−ジオキソ−7−アザ−1(6,4)−オキサジナナ−3(2,3)−オキシラナ−8(1,3)−ベンゼナシクロテトラデカファン−10,12−ジエン−4−イル)オキシ)−1−オキソプロパン−2−イル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)ジスルファニル)エチル)−N2−(3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパノイル)グルタミン
Figure 2020132531
N5−(1−カルボキシ−2−((3−(((S)−1−(((14S,16S,32R,33S,2R,4S,10E,12E,14R)−86−クロロ−14−ヒドロキシ−85,14−ジメトキシ−33,2,7,10−テトラメチル−12,6−ジオキソ−7−アザ−1(6,4)−オキサジナナ−3(2,3)−オキシラナ−8(1,3)−ベンゼナシクロテトラデカファン−10,12−ジエン−4−イル)オキシ)−1−オキソプロパン−2−イル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)ジスルファニル)エチル)グルタミン(実施例4の化合物)(6.2mg)、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル 3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパネート(3.35mg)及びジイソプロピルエチルアミン(3.3μ)のジメチルホルムアミド(2mL)溶液を室温にて17時間攪拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、残渣を逆相クロマトグラフィーにて精製することによりN5−(1−カルボキシ−2−((3−(((S)−1−(((14S,16S,32R,33S,2R,4S,10E,12E,14R)−86−クロロ−14−ヒドロキシ−85,14−ジメトキシ−33,2,7,10−テトラメチル−12,6−ジオキソ−7−アザ−1(6,4)−オキサジナナ−3(2,3)−オキシラナ−8(1,3)−ベンゼナシクロテトラデカファン−10,12−ジエン−4−イル)オキシ)−1−オキソプロパン−2−イル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)ジスルファニル)エチル)−N2−(3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパノイル)グルタミン(6.4mg)を得た。
LC−MS:1135(M―H)-(1.042min,測定条件A)
実施例ADCに用いた抗体、ブレンツキシマブ(Bremtuximab)は、購入可能であるか特許第4303964明細書に従って製造することができる。
実施例ADC1
ブレンツキシマブ−実施例5複合体(平均DAR:7.32)
Figure 2020132531

ブレンツキシマブ(0.1mg)のリン酸緩衝生理水溶液(3.9μL、pH7.4)に、1mmol/Lのトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)のトリスヒドロキシメチルアミノメタン塩酸緩衝液(13.2μL、pH7.5)を加え、37℃にて45分間インキュベートした。抗体溶液を0℃に冷却した後、リン酸緩衝生理水溶液(pH7.4)で予備平衡させたPD SpinTrapTMG−25で処理することにより、還元された抗CD30抗体(ブレンツキシマブ)のリン酸緩衝生理水溶液(pH7.4)を得た。これを0℃に冷却した後、リン酸緩衝生理水溶液(pH7.4)で10倍希釈した実施例5の化合物(13.2μL)の1mmol/L DMSO溶液を修飾化剤として加え、完全に混合し、4℃にて17時間インキュベートした。その後、リン酸緩衝生理水溶液(pH7.4)で予備平衡させたPD SpinTrapTMG−25で精製した後、遠心濃縮することで、実施例ADC1(0.04mg)を得た。
得られたADCの平均DARは、還元性若しくは非還元性SDS−PAGE、又はHPLC−HICによって測定した。また、平均DARは、紫外可視吸収分光法(UV−Vis)、還元性又は非還元性SDS−PAGE、HPLC−HIC、SEC、RP−HPLC、LC−MS等によって、定性的又は定量的に測定することができる。これらの方法は、Antibody Drug Conjugates,Methods in Molecular Biologyvol.1045,2013.pp267-284.L.Ducry,Ed.に記載される。
ヒトIgG抗体で作製したADCの平均薬物抗体比が8の場合、還元性及び非還元性SDS−PAGEの結果からADCの生成を推定することもできる。具体的には、SeeBlue(登録商標)Plus2(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)をマーカーに、実施例ADCをジスルフィド非還元条件下でSDS−PAGE解析した結果、分子量50kDa及び分子量25kDa付近のバンドを強く検出した場合、これは、抗体の軽鎖−重鎖間及びヒンジのジスルフィド結合に関与するシステイン残基に修飾化剤がコンジュゲートしたことを示し、即ち、平均薬物抗体比が8のADCが得られたことを意味する。
HPLC−HIC解析により求めた実施例ADC1の平均DARは、7.32であった。
実施例ADC2〜3
対応する抗体と修飾化剤(ADC中間体)を用いて、実施例ADC1と同様に反応及び処理し、下表に示すADCを得た。また、これらのADCの平均DARを、実施例ADC1と同様に、HPLC−HIC又はSDS−PAGE解析から算出又は推定した。
Figure 2020132531
Figure 2020132531
「SDS−PAGEにてADC生成を確認した」とは、SeeBlue(登録商標)Plus2(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)をマーカーに、実施例ADCをジスルフィド非還元条件下でSDS−PAGE解析した結果、分子量50kDa及び分子量25kDa付近のバンドを強く検出したことを意味する。これは、抗体の軽鎖−重鎖間及びヒンジのジスルフィド結合に関与するシステイン残基に修飾化剤がコンジュゲートしたことを示し、ADCが得られたことを意味する。
表1における実施例のADCのHIC保持時間(分)は、HPLC−HIC解析により観測された、DARが8であるADCのピークのものである。
以下に、本発明の抗体薬物複合体の特定の実施例に係る薬理試験結果を示し、その薬理作用を説明するが、本発明はこれらの試験例に限定されるものではない。
試験例1:ブタチューブリンを用いた微小管重合阻害活性評価
Cytoskeleton社より購入したチューブリン重合阻害アッセイキット(カタログ番号:BK006P)を用い、キットに付属するプロトコールに従って、実施例の化合物の重合阻害活性を評価した。96穴マイクロプレートに、評価対象の化合物の80mM PIPES pH6.9、2mM MgCl、0.5mM EGTA、及び5%DMSO緩衝液を、10μLずつ添加し、これらに3mg/mLのブタチューブリン 80mM PIPES pH6.9、2mM MgCl、0.5mM EGTA、1mM GTP、及び10.2%glycerol溶液を100μLずつ添加した。チューブリンが重合する様子を経時的に調べるため、340nmの吸光度を、マイクロプレートリーダーを用いて、37℃にて測定した。チューブリンの重合が進むにつれて、340nmの吸光度は上昇する。
チューブリン重合阻害活性は、アッセイ開始60分後における、重合したチューブリンの割合によって評価した。具体的には、化合物を加えていないウェルにおける重合したチューブリンの吸光度で、化合物を加えたウェルにおける重合したチューブリンの吸光度を除し、その値を100倍することで、微小管重合率(%)を算出した。その結果を下表2に示す。
Figure 2020132531
微小管重合率が低い値であるほど、化合物が微小管の重合を強く阻害していることを示す。
試験例1の結果が示すように、式(1)及び式(2)で表される、本発明の微小管重合阻害誘導体は、チュ−ブリン重合阻害活性を示すことが明らかとなった。
試験例2:細胞傷害性試験(1)
CD33抗原発現細胞株で、ヒトリンパ腫細胞株であるKarpas−299細胞(European Collection of Authenticated Cell Cultures、以下、ECACC)を、10%のウシ胎児血清(MP Biomedicals)を含むRPMI1640(GIBCO)(以下、「培地」という)で培養した。細胞を培地で2×10cells/mLになるように調製し、96穴細胞培養用マイクロプレートに50μLずつ添加した。培地で8段階に4倍希釈した実施例の化合物、MMAF又はDM1を、マイクロプレートに50μLずつ添加した。これらを37℃、5%CO下で4日間培養した。培養後、マイクロプレートをインキュベーターから取り出し室温で10分間静置した。各ウェルに50μLのCellTiter−Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega)を添加し、撹拌した。この混合物を暗所で20分インキュベートした。マイクロプレートルミノメーターを用いて各ウェルにおける発光を計測することにより、細胞生存率を算出した。また、細胞生存率の値からIC50値を計算した。結果を下表3に示す。
IC50値は下式で算出した。
IC50(nM)=antilog(LOG10(a÷b)×(e−d)÷(c−d)+LOG10b)
a:被検物質の濃度a
b:被検物質の濃度b
c:濃度aの被検物質を添加した時の細胞生存率
d:濃度bの被検物質を添加した時の細胞生存率
e:各濃度の被験物質を添加した時の細胞生存率の中で、最大と最小の中間値
(a、bは細胞生存率eをまたぐ濃度で、a>bを表す。)
各濃度における細胞生存率は次式で算出した。
細胞生存率(%)=a’÷b’×100
a’:被検物質を添加したウェルの発光量の平均値(n=6)
b’:被検物質を添加しなかったウェルの発光量の平均値(n=6)
(nは被験物質1濃度当りに実施した評価の数を表す。)
Figure 2020132531
表3に示すように、式(1)及び式(2)で表される化合物は、MMAF及びDM1に比べて細胞傷害性が弱い結果となった。試験例1では、式(1)及び式(2)で表される化合物はMMAF及びDM1と同等のチューブリン重合阻害活性を示していることから、細胞内で作用することで細胞死を誘導できるものの、細胞外では細胞に対する傷害性作用が弱いことが明らかとなった。
試験例3:膜透過性試験
人工膜透過性試験(PAMPA)により、次のように実施例の化合物の膜透過性を試験した。Donor plateに実施例の化合物を添加したSystem solution(pION inc.)を200μL、GIT Lipid−0(pION inc.)を4μLずつ添加した。Acceptor plateにAcceptor Sink Buffer(pION inc.)を200μL添加した。両プレートを重ね合わせ、37℃で4時間インキュベートした後、アクセプター側及びドナー側の溶液のUVを、UV plate reader(190−500nm)にて測定した。UV吸収の乏しい化合物はLC−MSにて測定した。薬物の透過係数P(10−6cm/sec)を下式により算出した。結果を下表4に示す。
Figure 2020132531
Figure 2020132531
式(1)で表される化合物は、比較化合物(MMAF及びDM1)と比較して膜透過性が弱い結果となった。試験例2において、式(1)で表される化合物が比較化合物(MMAF及びDM1)よりも低い活性を示す結果となったのは、これらの化合物の細胞膜透過性の違いに基づくものと推察される。すなわち、本発明の微小管重合阻害剤誘導体は、細胞膜透過性が低く細胞内への移行が抑えられたため、比較化合物(MMAF及びDM1)よりも弱い細胞傷害性を示したものと考えられる。
試験例4:細胞傷害性試験(2)
CD33抗原発現細胞株で、ヒトリンパ腫細胞株であるKarpas−299細胞(European Collection of Authenticated Cell Cultures、以下、ECACC)を、10%のウシ胎児血清(MP Biomedicals)を含むRPMI1640(GIBCO)(以下、「培地」という)で培養した。細胞を培地で2×10cells/mLになるように調製し、96穴細胞培養用マイクロプレートに50μLずつ添加した。培地で8段階に4倍希釈した実施例ADC化合物又はBrentuximabを、マイクロプレートに50μLずつ添加した。これらを37℃、5%CO下で4日間培養した。培養後、マイクロプレートをインキュベーターから取り出し室温で10分間静置した。各ウェルに50μLのCellTiter−Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega)を添加し、撹拌した。この混合物を暗所で20分インキュベートした。マイクロプレートルミノメーターを用いて各ウェルにおける発光を計測することにより、細胞生存率を算出した。また、細胞生存率の値からIC50値を計算した。結果を下表5に示す。
IC50値は下式で算出した。
IC50(nM)=antilog(LOG10(a÷b)×(e−d)÷(c−d)+LOG10b)
a:被検物質の濃度a
b:被検物質の濃度b
c:濃度aの被検物質を添加した時の細胞生存率
d:濃度bの被検物質を添加した時の細胞生存率
e:各濃度の被験物質を添加した時の細胞生存率の中で、最大と最小の中間値
(a、bは細胞生存率eをまたぐ濃度で、a>bを表す。)
各濃度における細胞生存率は次式で算出した。
細胞生存率(%)=a’÷b’×100
a’:被検物質を添加したウェルの発光量の平均値(n=6)
b’:被検物質を添加しなかったウェルの発光量の平均値(n=6)
(nは被験物質1濃度当りに実施した評価の数を表す。)
Figure 2020132531
表5に示すように、式(3)で表される抗体薬物複合体は、強い細胞傷害性を示した。式(1)で表される化合物はMMAF及びDM1と同等のチューブリン重合阻害活性を示していることから、本発明の抗体薬物複合体は、標的細胞に取り込まれ、細胞内において代謝され本発明の微小管重合阻害剤誘導体を放出することによって、抗体と比較してより強い細胞傷害性を示したものと考えられる。
試験例1〜4の結果から、本発明の抗体薬物複合体は、抗原発現細胞に取り込まれ代謝されることで本発明の微小管重合阻害剤誘導体を放出し細胞死を誘導する一方で、抗原を発現しない細胞に対しては細胞傷害性を示しにくいということが期待できる。
以上で説明したように、本発明の抗体薬物複合体は、抗原発現細胞で選択的に細胞傷害活性を示し、正常細胞での細胞毒性が低いことから、安全性に優れた抗がん剤となることが期待される。

Claims (37)

  1. 式(1):
    Figure 2020132531

    [式中、
    mは、1〜10の整数を表し、
    AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
    Zは、微小管重合阻害剤で表される基である]
    で表される、化合物又はその塩。
  2. Zが、ビンカアルカロイド誘導体、クリプトフィシン誘導体、ドラスタチン誘導体、タキサン誘導体、エポシロン誘導体、ディスコデルモライド誘導体、シクロストレプチン誘導体、ローリマライド誘導体、タッカノライド誘導体、ペロルシド誘導体、コンブレタスタチン誘導体、オーリスタチン誘導体、メイタンシノイド誘導体、チューブリシン誘導体又はハリコンドリン誘導体である、請求項1に記載の化合物又はその塩。
  3. Zが、オーリスタチン誘導体又はメイタンシノイド誘導体である、請求項1又は2に記載の化合物又はその塩。
  4. Zが、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)又はDM1であり、
    mが1〜5の整数である、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
  5. 式(2):
    Figure 2020132531

    [式中、
    bは、1〜5の整数を表し、
    Gは、単結合、アラニン残基(Ala)、アルギニン残基(Arg)、アスパラギン残基(Asn)、アスパラギン酸残基(Asp)、システイン残基(Cys)、グルタミン残基(Gln)、グルタミン酸残基(Glu)、グリシン残基(Gly)、ヒスチジン残基(His)、イソロイシン残基(Ile)、ロイシン残基(Leu)、リシン残基(Lys)、メチオニン残基(Met)、フェニルアラニン残基(Phe)、プロリン残基(Pro)、セリン残基(Ser)、トレオニン残基(Thr)、トリプトファン残基(Trp)、チロシン残基(Tyr)、バリン残基(Val)又はシトルリン残基(Cit)を表し、Gが複数ある場合、それぞれのGは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、G同士はアミド結合を介して結合しており、
    gは、1〜4の整数を表し、
    Xは、−NH−又は−C(=O)−を表し、
    Yは、単結合又は式(Y−1):
    Figure 2020132531

    (式中、
    Y’は、単結合又はカルボニル基を表し、
    は、ハロゲン原子、シアノ基、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、又は1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を表し、Rが複数ある場合、それぞれのRは互いに同一であっても異なっていてもよく、
    fは0〜2の整数を表す)
    で表される基であり、
    式(Y−1)で表される基の*末端はZ’と結合しており、
    Z’は、−(AA)−Z、又は−Z−(AA)を表し、
    mは、1〜10の整数を表し、
    AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
    Zは、微小管重合阻害剤で表される基を表し、
    但し、Xが−NH−であるとき、Y及びGは単結合である]
    で表される、化合物又はその塩。
  6. 式(2−1):
    Figure 2020132531

    [式中、
    mは、1〜10の整数を表し、
    bは、1〜5の整数を表し、
    Gは、単結合、アラニン残基(Ala)、アルギニン残基(Arg)、アスパラギン残基(Asn)、アスパラギン酸残基(Asp)、システイン残基(Cys)、グルタミン残基(Gln)、グルタミン酸残基(Glu)、グリシン残基(Gly)、ヒスチジン残基(His)、イソロイシン残基(Ile)、ロイシン残基(Leu)、リシン残基(Lys)、メチオニン残基(Met)、フェニルアラニン残基(Phe)、プロリン残基(Pro)、セリン残基(Ser)、トレオニン残基(Thr)、トリプトファン残基(Trp)、チロシン残基(Tyr)、バリン残基(Val)又はシトルリン残基(Cit)を表し、Gが複数ある場合、それぞれのGは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、G同士はアミド結合を介して結合しており、
    gは、1〜4の整数を表し、
    AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
    Yは、単結合又は式(Y−1):
    Figure 2020132531

    (式中、
    Y’は、単結合又はカルボニル基を表し、
    は、ハロゲン原子、シアノ基、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、又は1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を表し、Rが複数ある場合、それぞれのRは互いに同一であっても異なっていてもよく、
    fは0〜2の整数を表す)
    で表される基であり、
    式(Y−1)で表される基の*末端はAAと結合しており、
    Zは、微小管重合阻害剤で表される基である]
    で表される、請求項5に記載の化合物又はその塩。
  7. Yが、単結合であり、
    Gが、単結合である、
    請求項6に記載の化合物又はその塩。
  8. 式(2−2):
    Figure 2020132531

    [式中、
    mは、1〜10の整数を表し、
    bは、1〜5の整数を表し、
    AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
    Zは、微小管重合阻害剤で表される基である]
    で表される、請求項5に記載の化合物又はその塩。
  9. 式(2−3):
    Figure 2020132531

    [式中、
    mは、1〜10の整数を表し、
    bは、1〜5の整数を表し、
    AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
    Zは、微小管重合阻害剤で表される基である]
    で表される、請求項5に記載の化合物又はその塩。
  10. 式(2−4):
    Figure 2020132531

    [式中、
    mは、1〜10の整数を表し、
    bは、1〜5の整数を表し、
    AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
    Zは、微小管重合阻害剤で表される基である]
    で表される、請求項5に記載の化合物又はその塩。
  11. Zが、ビンカアルカロイド誘導体、クリプトフィシン誘導体、ドラスタチン誘導体、タキサン誘導体、エポシロン誘導体、ディスコデルモライド誘導体、シクロストレプチン誘導体、ローリマライド誘導体、タッカノライド誘導体、ペロルシド誘導体、コンブレタスタチン誘導体、オーリスタチン誘導体、メイタンシノイド誘導体、チューブリシン誘導体又はハリコンドリン誘導体である、請求項5〜10のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
  12. Zが、オーリスタチン誘導体又はメイタンシノイド誘導体である、請求項5〜11のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
  13. Zが、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)又はDM1であり、
    mが、1〜5の整数であり、
    bが、1〜3の整数である、
    請求項5〜12のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
  14. 式(3):
    Figure 2020132531

    [式中、
    mAbは、抗体を表し、
    qは、1〜8の整数を表し、
    bは、1〜5の整数を表し、
    Gは、単結合、アラニン残基(Ala)、アルギニン残基(Arg)、アスパラギン残基(Asn)、アスパラギン酸残基(Asp)、システイン残基(Cys)、グルタミン残基(Gln)、グルタミン酸残基(Glu)、グリシン残基(Gly)、ヒスチジン残基(His)、イソロイシン残基(Ile)、ロイシン残基(Leu)、リシン残基(Lys)、メチオニン残基(Met)、フェニルアラニン残基(Phe)、プロリン残基(Pro)、セリン残基(Ser)、トレオニン残基(Thr)、トリプトファン残基(Trp)、チロシン残基(Tyr)、バリン残基(Val)又はシトルリン残基(Cit)を表し、Gが複数ある場合、それぞれのGは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、G同士はアミド結合を介して結合しており、
    gは、1〜4の整数を表し、
    Xは、−NH−又は−C(=O)−を表し、
    Yは、単結合又は式(Y−1):
    Figure 2020132531

    (式中、
    Y’は、単結合又はカルボニル基を表し、
    は、ハロゲン原子、シアノ基、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、又は1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を表し、Rが複数ある場合、それぞれのRは互いに同一であっても異なっていてもよく、
    fは0〜2の整数を表す)
    で表される基であり、
    式(Y−1)で表される基の*末端はZ’と結合しており、
    Z’は、−(AA)−Z、又は−Z−(AA)を表し、
    mは、1〜10の整数を表し、
    AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
    Zは、微小管重合阻害剤で表される基を表し、
    但し、Xが−NH−であるとき、Y及びGは単結合である]
    で表される、抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
  15. 式(3−1):
    Figure 2020132531

    [式中、
    mAbは、抗体を表し、
    qは、1〜8の整数を表し、
    mは、1〜10の整数を表し、
    bは、1〜5の整数を表し、
    Gは、単結合、アラニン残基(Ala)、アルギニン残基(Arg)、アスパラギン残基(Asn)、アスパラギン酸残基(Asp)、システイン残基(Cys)、グルタミン残基(Gln)、グルタミン酸残基(Glu)、グリシン残基(Gly)、ヒスチジン残基(His)、イソロイシン残基(Ile)、ロイシン残基(Leu)、リシン残基(Lys)、メチオニン残基(Met)、フェニルアラニン残基(Phe)、プロリン残基(Pro)、セリン残基(Ser)、トレオニン残基(Thr)、トリプトファン残基(Trp)、チロシン残基(Tyr)、バリン残基(Val)又はシトルリン残基(Cit)を表し、Gが複数ある場合、それぞれのGは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、G同士はアミド結合を介して結合しており、
    gは、1〜4の整数を表し、
    AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
    Yは、単結合又は式(Y−1):
    Figure 2020132531

    (式中、
    Y’は、単結合又はカルボニル基を表し、
    は、ハロゲン原子、シアノ基、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、又は1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基を表し、Rが複数ある場合、それぞれのRは互いに同一であっても異なっていてもよく、
    fは0〜2の整数を表す)
    で表される基であり、
    式(Y−1)で表される基の*末端はAAと結合しており、
    Zは、微小管重合阻害剤で表される基である]
    で表される、請求項14に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
  16. Yが、単結合であり、
    Gが、単結合である、請求項15に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
  17. 式(3−2):
    Figure 2020132531

    [式中、
    mAbは、抗体を表し、
    qは、1〜8の整数を表し、
    mは、1〜10の整数を表し、
    bは、1〜5の整数を表し、
    AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
    Zは、微小管重合阻害剤で表される基である]
    で表される、請求項14に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
  18. 式(3−3):
    Figure 2020132531

    [式中、
    mAbは、抗体を表し、
    qは、1〜8の整数を表し、
    mは、1〜10の整数を表し、
    bは、1〜5の整数を表し、
    AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
    Zは、微小管重合阻害剤で表される基である]
    で表される、請求項14に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
  19. 式(3−4):
    Figure 2020132531

    [式中、
    mAbは、抗体を表し、
    qは、1〜8の整数を表し、
    mは、1〜10の整数を表し、
    bは、1〜5の整数を表し、
    AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)、リシン残基(Lys)若しくはシステイン残基(Cys)、又はこれらのC1−6アルキルエステル体を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
    Zは、微小管重合阻害剤で表される基である]
    で表される、請求項14に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
  20. Zが、ビンカアルカロイド誘導体、クリプトフィシン誘導体、ドラスタチン誘導体、タキサン誘導体、エポシロン誘導体、ディスコデルモライド誘導体、シクロストレプチン誘導体、ローリマライド誘導体、タッカノライド誘導体、ペロルシド誘導体、コンブレタスタチン誘導体、オーリスタチン誘導体、メイタンシノイド誘導体、チューブリシン誘導体又はハリコンドリン誘導体である、請求項14〜19のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
  21. Zが、オーリスタチン誘導体又はメイタンシノイド誘導体である、請求項14〜20のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
  22. Zが、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)又はDM1であり、
    mが、1〜5の整数であり、
    bが、1〜3の整数である、
    請求項14〜21のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
  23. (AA)が、式(A−1):
    Figure 2020132531

    (式中、AA及びAAは、それぞれ独立して、Glu、Asp又はLysで表される)
    で表される基である、請求項14〜22のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
  24. (AA)が、式(A−2):
    Figure 2020132531

    (式中、AA及びAAは、それぞれ独立して、Glu、Asp又はLysで表される)
    で表される基である、請求項14〜22のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
  25. mAbが、抗19A抗体、抗AXL抗体、抗BCMA抗体、抗C4.4a抗体、抗CA6抗体、抗CA9抗体、抗CA−125抗体、抗カドヘリン−6抗体、抗CD166抗体、抗CD19抗体、抗CD20抗体、抗CD22抗体、抗CD25抗体、抗CD27抗体、抗CD30抗体、抗CD33抗体、抗CD37抗体、抗CD40抗体、抗CD41抗体、抗CD44v6抗体、抗CD51抗体、抗CD52抗体、抗CD56抗体、抗CD70抗体、抗CD74抗体、抗CD79抗体、抗CD79b抗体、抗CEACAM5抗体、抗c−Met抗体、抗DLL3抗体、抗DPEP3抗体、抗EGFR抗体、抗EGFRvIII抗体、抗ENPP3抗体、抗EpCAM抗体、抗EphA4抗体、抗FGFR2抗体、抗FGFR3抗体、抗FTL3抗体、抗葉酸受容体α抗体、抗グリピカン3抗体、抗gpNMB抗体、抗HER2抗体、抗HER3抗体、抗IL−3RA抗体、抗LAMP1抗体、抗LIV−1抗体、抗LRRC15抗体、抗Ly6E抗体、抗メソテリン抗体、抗MUC−16抗体、抗NaPi2b抗体、抗ネクチン−4抗体、抗CD352抗体、抗P−カドヘリン抗体、抗PMSA抗体、抗プロテインチロシンキナーゼ7抗体、抗SLITRK抗体、抗STEAP1抗体、抗CD138抗体、抗組織因子抗体、抗CD71抗体、抗TIM−1抗体、抗Trop2抗体、抗5T4抗体、抗B7−H3抗体、抗CD163マクロファージ受容体抗体、抗CD38抗体、抗CD48抗体、抗cKit抗体、抗グアニル酸シクラーゼC抗体、抗ガストリン放出ペプチド抗体、抗溶質輸送体抗体、抗腫瘍関係MUC−1抗体、抗GD2抗体、抗α4β7インテグリン抗体、又は抗エンビジン抗体である、請求項14〜24のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
  26. mAbが、ブレンツキシマブ、トラスツズマブ、イノツズマブ、ゲムツズマブ、グレムバツムマブ、ラベツズマブ、サシツズマブ、リファスツズマブ、インデュサツマブ、ポラツズマブ、ピナツズマブ、コルツキシマブ、インダツキシマブ、ミラツズマブ、ロバルピツズマブ、アネツマブ、チソツマブ、ミアベツキシマブ、ロルボツズマブ、リツキシマブ、デパツキシズマブ、デニンツズマブ、エンホルツマブ、テルソツズマブ、バンドルツズマブ、ソフィツズマブ、ボルセツズマブ、ミルベツキシマブ、ナラツキシマブ、カンツズマブ、ラプリツキシマブ、ビバツズマブ、バダスツキシマブ、ルパルツマブ、アプルツマブ、アバゴボマブ、アブシキシマブ、アビツズマブ、アブリルマブ、アクトクスマブ、アダリブマブ、アデカツムマブ、アデュカヌマブ、アファセビクマブ、アフェリモマブ、アラシズマブ、アレムツズマブ、アリロクマブ、アルツモマブ、アマツキシマブ、アナツモマブ、アニフロルマブ、アンルキンズマブ、アポリズマブ、アルシツモマブ、アスクリンバクマブ、アセリズマブ、アテゾリズマブ、アチヌマブ、アトロリムマブ、アベルマブ、アジンツキシズマブ、バピネズマブ、バシリキシマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ、ベゲロマブ、ベリムマブ、ベンラリズマブ、ベルチリムマブ、ベシレソマブ、ベバシズマブ、ベズロトクスマブ、ビシロマブ、ビマグルマブ、ビメキズマブ、ブレセルマブ、ブリナツモマブ、ブロンツベトマブ、ブロソズマブ、ボコシズマブ、ブラジクマブ、ブリアキヌマブ、ブロダルマブ、ブロルシズマブ、ブロンチクツズマブ、ブロスマブ、カビラリズマブ、カムレリズマブ、カプラシズマブ、カプロマブ、カルルマブ、カロツキシマブ、カツマゾマブ、セデリズマブ、セルトリズマブ、セツキシマブ、シタツズマブ、シキスツムマブ、セレノリキシマブ、クリバツズマブ、コドリツズマブ、コナツムマブ、コンシズマブ、コスフロビキシマブ、クレネズマブ、クリザンリズマブ、クロテデュマブ、ダセツズマブ、ダクリズマブ、ダロツズマブ、ダピロリズマブ、ダラツムマブ、デクトレクマブ、デムシズマブ、デノスマブ、デツモマブ、デザミズマブ、ジヌツキシマブ、ジリダブマブ、ドマグロズマブ、ドルリモマブ、ドロジツマブ、デュリゴツズマブ、デュピルマブ、デュルバルマブ、デュシギツマブ、デュボルツキシズマブ、エクロメキシマブ、エクリズマブ、エドバコマブ、エドレコロマブ、エファリズマブ、エフングマブ、エルデルマブ、エレザムマブ、エロツズマブ、エルシリモマブ、エマクツズマブ、エマパルマブ、エミベツズマブ、エミシズマブ、エナバツズマブ、エンリモマブ、エノブリツズマブ、エノキズマブ、エノチクマブ、エンシツキシマブ、エピツモマブ、エプラツズマブ、エプチネズマブ、エレヌマブ、エルリズマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、エトロリズマブ、エビナクマブ、エボロクマブ、エクスビビルマブ、ファラリモマブ、ファルレツズマブ、ファシヌマブ、フェルビズマブ、フェザキヌマブ、フィクラツズマブ、フィギツムマブ、フィリブマブ、フラボツマブ、フレチクマブ、フォントリズマブ、フォラルマブ、フォラビルマブ、フレマネズマブ、フレソリムマブ、フルネベトマブ、フルラヌマブ、フツキシマブ、ガルカネズマブ、ガリキシマブ、ガニツマブ、ガンテネルマブ、ガチポツズマブ、ガビリモマブ、ゲディブマブ、ゲボキズマブ、ギルベトマブ、ギレンツキシマブ、ゴリムマブ、グセルクマブ、イバリズマブ、イブリツモマブ、イクルクマブ、イダルシズマブ、イファボツズマブ、イゴボマブ、イマルマブ、イムシロマブ、イムガツズマブ、インクラクマブ、イネビリズマブ、インフリキシマブ、イノリモマブ、インテツムマブ、イピリムマブ、イラツムマブ、イサツキシマブ、イトリズマブ、イキセキズマブ、ケリキシマブ、ラクノツマブ、ランパリズマブ、ラナデルマブ、ランドグロズマブ、ラルカビキシマブ、レブリキズマブ、レマレソマブ、レンジルマブ、レルデリムマブ、レソファブマブ、レトリズマブ、レキサツムマブ、リビリルマブ、リファツズマブ、リゲリズマブ、リロトマブ、リンツズマブ、リリルマブ、ロデルシズマブ、ロキベトマブ、ロロボツズマブ、ロサツキシマブ、ルカツムマブ、ルリズマブ、ルムレツズマブ、ルチキズマブ、マパツムマブ、マルゲツキシマブ、マサリモマブ、マツズマブ、マブリリムマブ、メポリズマブ、メテリムマブ、ミニテルモマブ、ミツモマブ、モドツキシマブ、モガムリズマブ、モナリズマブ、モロリズマブ、モタビズマブ、モキセツモマブ、ムロモナブ、ナコロマブ、ナミルマブ、ナプツモマブ、ナルナルマブ、ナタリズマブ、ナビシキシズマブ、ナビブマブ、ネバクマブ、ネシツムマブ、ネモリズマブ、ネレリモマブ、ネスバクマブ、ニモツズマブ、ニボルマブ、オビルトキサキシマブ、オビヌツズマブ、オカラツズマブ、オクレリズマブ、オデュリモマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オレクルマブ、オレンダリズマブ、オロキズマブ、オマリズマブ、オナルツズマブ、オンツキシズマブ、オピシヌマブ、オポルツズマブ、オレゴボマブ、オレチクマブ、オルチクマブ、オテリキシズマブ、オトレルツズマブ、オキセルマブ、オザネズマブ、オゾラリズマブ、パギバキシマブ、パリビズマブ、パムレブルマブ、パニツムマブ、パノバクマブ、パルサツズマブ、パスコリズマブ、パソツキシズマブ、パテクリズマブ、パトリツマブ、ペンブロリズマブ、ペラキズマブ、ペルツズマブ、ペキセリズマブ、ピディリズマブ、プラクルマブ、プロザリズマブ、ポネズマブ、ポルガビキシマブ、プレザルマブ、プリリキシマブ、プリトキサキシマブ、プリツムマブ、クイリズマブ、ラコツモマブ、ラドレツマブ、ラフィビルマブ、ラルパンシズマブ、ラムシルマブ、ラネベトマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、レファネズマブ、レガビルマブ、レムトルマブ、レスリズマブ、リロツムマブ、リニクマブ、リサンキズマブ、リババズマブ、ロバツムマブ、ロレデュマブ、ロモソズマブ、ロンタリズマブ、ロスマンツズマブ、ロベリズマブ、ロザノリキシズマブ、ルプリズマブ、サマリズマブ、サリルマブ、サトラリズマブ、サツモマブ、セクキヌマブ、セリクレルマブ、セリバンツマブ、セトキサキシマブ、セビルマブ、シブロツズマブ、シファリムマブ、シルツキシマブ、シムツズマブ、シプリズマブ、シルクマブ、ソラネズマブ、ソリトマブ、ソンツズマブ、スタムルマブ、スレソマブ、スムタブマブ、スビズマブ、スブラトクマブ、タバルマブ、タドシズマブ、タリズマブ、タムツベトマブ、タネズマブ、タプリツモマブ、タレクスツマブ、タボリキシズマブ、ファノレソマブ、ノフェツモマブ、ピンツモマブ、テフィバズマブ、テリモマブ、テリソズマブ、テナツモマブ、テネリキシマブ、テプリズマブ、テプロツムマブ、テシドルマブ、テゼペルマブ、ティガツズマブ、ティルドラキズマブ、チミグツズマブ、チモルマブ、トシリズマブ、トムゾツキシマブ、トラリズマブ、トサトクスマブ、トシツモマブ、トベツマブ、トラロキヌマブ、トレガリズマブ、トレメリムマブ、トレボグルマブ、ツコツズマブ、ツビルマブ、ウブリツキシマブ、ウロクプルマブ、ウレルマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、ウトミルマブ、バンチクツマブ、バヌシズマブ、バパリキシマブ、バリサクマブ、バルリルマブ、バテリズマブ、ベドリズマブ、べルツズマブ、ベパリモマブ、ベセンクマブ、ビシリズマブ、ボバリリズマブ、ボロシキシマブ、ボンレロリズマブ、ボツムマブ、ブナキズマブ、タカツズマブ、ザルツズマブ、ザノリムマブ、ジラリムマブ、ゾリモマブ又は抗エンビジン抗体である、請求項14〜24のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
  27. mAbが、ブレンツキシマブ、トラスツズマブ、イノツズマブ、ゲムツズマブ、ラベツズマブ、ポラツズマブ、コルツキシマブ、インダツキシマブ、アネツマブ、リツキシマブ、デニンツズマブ、ラプリツキシマブ、バダスツキシマブ、グレムバツムマブ、セツキシマブ、アレムツズマブ又はデパツキシズマブである、請求項14〜24のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
  28. mAbが、ブレンツキシマブ又はトラスツズマブである、請求項14〜24のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
  29. 請求項14〜28のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩を含有する、医薬組成物。
  30. 請求項14〜28のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩と、抗がん性アルキル化剤、抗がん性代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、抗がん性白金配位化合物、抗がん性カンプトテシン誘導体、抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤、抗がん性セリンスレオニンキナーゼ阻害剤、抗がん性リン脂質キナーゼ阻害剤、抗がん性モノクローナル抗体、インターフェロン、生物学的応答調節剤、ホルモン剤、免疫チェックポイント阻害剤、エピジェネティクス関連分子阻害剤、及びタンパク質翻訳後修飾阻害剤からなる群より選択される1種以上の抗がん性化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有する、医薬組成物。
  31. 請求項14〜28のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩を含有する、抗がん剤。
  32. がんが、乳がん、胃がん、子宮頸がん、大腸がん、直腸がん、神経膠腫、リンパ腫、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、腎がん、皮膚がん、甲状腺がん、膀胱がん、頭頸部がん、子宮体がん、黒色腫又は白血病である、請求項31に記載の抗がん剤。
  33. 治療が必要な患者に、請求項14〜28のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩を投与することを含む、がんの治療方法。
  34. 抗がん剤を製造するための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物又はその塩の使用。
  35. 抗がん剤を製造するための、請求項14〜28のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩の使用。
  36. がんの治療に使用するための、請求項14〜28のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
  37. 抗がん性アルキル化剤、抗がん性代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、抗がん性白金配位化合物、抗がん性カンプトテシン誘導体、抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤、抗がん性セリンスレオニンキナーゼ阻害剤、抗がん性リン脂質キナーゼ阻害剤、抗がん性モノクローナル抗体、インターフェロン、生物学的応答調節剤、ホルモン剤、免疫チェックポイント阻害剤、エピジェネティクス関連分子阻害剤、及びタンパク質翻訳後修飾阻害剤からなる群より選択される1種以上の抗がん性化合物又はその製薬学的に許容される塩と併用してがんを治療するための、請求項14〜28のいずれか一項に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
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