JP2020131625A - メンテナンス液及びメンテナンス方法 - Google Patents

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Kunihiro Fujita
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Abstract

【課題】水系インクを用いたインクジェット記録において、更にメンテナンス性に優れたメンテナンス液及びメンテナンス方法を提供する。【解決手段】本発明のメンテナンス液は、キレート剤と、界面活性剤と、を含有し、前記界面活性剤はポリオキシアルキレン鎖を有し、長鎖アルキルエーテルまたは芳香族エーテルであり、前記キレート剤は、アミノ基とカルボキシル基とを分子中に有し、インク組成物と、凝集剤を含有する処理液と、を用いて記録を行う記録装置の洗浄に用いる【選択図】図2

Description

本発明は、メンテナンス液及びメンテナンス方法に関する。
インクジェット記録方法において、インク低吸収性またはインク非吸収性の難吸収記録媒体に対して、樹脂エマルジョンを含有する水系インクジェットインクを用いた記録が知られている。
このような水系インクを用いた難吸収記録媒体に対するインクジェット記録方法において、凝集剤を含む処理液を用いて画像を記録する技術が知られている。この処理液を用いた記録において、乾燥により発生した凝集物による吐出不良を解消するために、メンテナンス液によりンクジェットヘッドのノズル面をクリーニングする技術がある(例えば、特許文献1)。
特開2017−189889号公報
水系インクを用いたインクジェット記録において、更に優れたメンテナンス性にする要求がある。
〔1〕
キレート剤と、界面活性剤と、を含有し、
前記界面活性剤はポリオキシアルキレン鎖を有し、長鎖アルキルエーテルまたは芳香族エーテルであり、
前記キレート剤は、アミノ基とカルボキシル基とを分子中に有し、
インク組成物と、凝集剤を含有する処理液と、を用いて記録を行う記録装置の洗浄に用いる、メンテナンス液。
〔2〕
前記界面活性剤は、ポリオキシアルキレン鎖を有し、長鎖アルキルエーテル、ナフチルエーテル、スチリルフェニルエーテルまたはトリベンジルフェニルエーテルの何れかである、〔1〕に記載のメンテナンス液。
〔3〕
前記キレート剤は、アミノ基を分子中に1個有する、〔1〕または〔2〕に記載のメンテナンス液。
〔4〕
前記キレート剤の含有量は、前記メンテナンス液の全質量に対して0.1質量%以上10.0質量%以下である、〔1〕ないし〔3〕のいずれか一つに記載のメンテナンス液。
〔5〕
前記界面活性剤の含有量は、前記メンテナンス液の全質量に対して0.1質量%以上1
0.0質量%以下である、〔1〕ないし〔4〕のいずれか一つに記載のメンテナンス液。
〔6〕
さらに、pH調整剤と、
シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤の何れかの界面活性剤と、を含む、〔1〕ないし〔5〕のいずれか一つに記載のメンテナンス液。
〔7〕
前記インク組成物が、顔料を含有する、〔6〕に記載のメンテナンス液。
〔8〕
前記記録装置はインクジェットヘッドを備え、該インクジェットヘッドから前記インク組成物を吐出して前記記録を行う、〔1〕ないし〔7〕のいずれか一つに記載のメンテナンス液。
〔9〕
前記インクジェットヘッドは、
前記インク組成物を吐出するインク吐出ノズル群と、前記処理液を吐出する処理液吐出ノズル群と、を有し、
前記インク吐出ノズル群と前記処理液吐出ノズル群とを主走査軸に沿って投影したときに、前記インク吐出ノズル群と前記処理液吐出ノズル群とは、前記主走査軸に交差する副走査軸に沿って重なる部分を有する、〔8〕に記載のメンテナンス液。
〔10〕
前記記録装置は、前記インク組成物を吐出する前記インクジェットヘッドのノズル面をワイパー部材で払拭して洗浄を行うメンテナンス方法を行い、該メンテナンス方法に用いられる、〔8〕または〔9〕に記載のメンテナンス液。
〔11〕
前記記録装置は、前記インクジェットヘッドから排出した前記インク組成物を流通させる廃液流路、または前記インクジェットヘッドから排出した前記インク組成物を収容する廃液タンクを備え、
前記廃液流路に前記メンテナンス液を流すことによりメンテナンスが行われるか、または前記廃液タンクに前記メンテナンス液を収容することによりメンテナンスが行われる、〔8〕ないし〔10〕のいずれか一つに記載のメンテナンス液。
〔12〕
前記記録装置は、前記インク組成物を流通させる前記廃液流路に前記処理液を流通させるか、または前記インク組成物を収容する前記廃液タンクに前記処理液を収容する、〔11〕に記載のメンテナンス液。
〔13〕
〔1〕ないし〔12〕のいずれか一つに記載のメンテナンス液を用いて、前記記録装置の洗浄を行う、メンテナンス方法。
本発明の一実施形態で用いられるインクジェット記録装置の構成の一例を示すブロック図。 本発明の一実施形態で用いられるインクジェット記録装置の概略的な構成の一例を示す斜視図。 本発明の一実施形態で用いられるインクジェット記録装置に備えられたキャップ部材及びこれに連結する吸引ポンプの構成の一例を示す概略図。 本発明の一実施形態で用いられるインクジェット記録装置におけるワイパー部材の一例を表す概略図。 本発明の一実施形態で用いられるインクジェット記録装置におけるノズル面の一例を表す概略図。 本発明の一実施形態で用いられるインクジェット記録装置におけるノズル面の他の一例を表す概略図。
以下に、本発明の幾つかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
本実施形態に係るメンテナンス液の一態様は、キレート剤と、界面活性剤と、を含有し、前記界面活性剤はポリオキシアルキレン鎖を有し、長鎖アルキルエーテルまたは芳香族エーテルであり、前記キレート剤は、アミノ基とカルボキシル基とを分子中に有し、
インク組成物と、凝集剤を含有する処理液と、を用いて記録を行う記録装置の洗浄に用いることを特徴とする。
本実施形態に係るメンテナンス方法の一態様は、本実施形態に係るメンテナンス液を用いて、前記記録装置の洗浄を行うことを特徴とする。
以下、本実施形態に係るメンテナンス液及びメンテナンス方法について、このメンテナンス方法によりメンテナンスを行うインクジェット記録装置、インクジェット記録装置の動作、インク組成物(以下、「インク」とも呼ぶ。)、処理液、メンテナンス液、メンテナンス方法の順に説明する。
1.各構成
1.1.インクジェット記録装置
本実施形態に係るメンテナンス方法が実施される記録装置の一例としてインクジェット記録装置を挙げ、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態に係るメンテナンス方法に使用できる記録装置は、以下の態様に限定されるものではない。
図1は、インクジェット記録装置1の構成を示すブロック図である。図2は、インクジェット記録装置1の概略的な構成を示す斜視図である。図3は、インクジェット記録装置1に備えられたキャップ部材及びこれに連結する吸引ポンプの構成を示す概略図である。
本実施形態で用いられるインクジェット記録装置1は、記録媒体2に向けて、後述するインク組成物を吐出することで、当該記録媒体2に画像を形成する装置である。本実施形態において、インクジェット記録装置1は、様々な色のインクを用いて画像を形成できる。例えば、CMYKの4色のインクを用いて画像を形成したり、白色のインクを用いて記録媒体2に優れた隠蔽性を付与する下地を形成することができる。また、CMYKや白色のインクで形成した画像の光沢感を増大させるために、形成された画像の上にクリアインクを上塗りすることができる。
なお、以下の説明に用いるインクジェット記録装置1は、所定の方向に移動するキャリッジに記録用のインクジェットヘッド31が搭載され、キャリッジ21の移動に伴ってイ
ンクジェットヘッド31が移動することにより記録媒体2上に液滴を吐出するシリアルプリンターである。本発明で使用されるインクジェット記録装置1は、シリアルプリンターに限定されるものではなく、ラインプリンターであってもよい。ラインプリンターは、インクジェットヘッドが記録媒体の幅よりも広く形成され、インクジェットヘッドが移動せずに記録媒体上に液滴を吐出する方式のプリンターである。
図1に示すように、インクジェット記録装置1は、搬送ユニット10、キャリッジユニット20、ヘッドユニット30、キャップ昇降ユニット50、吸引ユニット60、検出器群90、及びコントローラー100を有する。インクジェット記録装置1は、コントローラー100により、インクジェット記録装置1全体の動作が制御される。
インクジェット記録装置1は、外部装置であるコンピューター110から記録データを受信する。コントローラー100はコンピューター110から受信した記録データに基づいて各ユニットの動作を制御し、コンピューター110から受信した記録データに基づいて記録媒体2に画像を記録する。インクジェット記録装置1内の状況は検出器群90によって監視されており、検出器群90は検出結果をコントローラー100に出力する。コントローラー100は、検出器群90から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
搬送ユニット10は、記録媒体2を搬送方向または副走査方向に搬送させるためのものである。この搬送ユニット10は、給紙ローラー(図示せず)と、搬送モーター(図示せず)と、搬送ローラー7と、プラテンローラー6と、排紙ローラー(図示せず)と、を有する。
プラテンローラー6は、記録中の記録媒体2を支持し、記録媒体2を、搬送ローラー7の駆動により主走査方向と直交する副走査方向、すなわち、記録媒体2の長さ方向に搬送する機能を有する。これにより、記録媒体2は副走査方向に搬送される。
キャリッジユニット20は、インクジェットヘッド31を、記録領域に静止させた記録媒体2に対して、インクを吐出しながら上記搬送方向、すなわち移動方向または主走査方向に移動させる移動機構である。
インクジェットヘッド31は、記録媒体2の媒体幅方向、すなわち、主走査軸に沿って移動させるキャリッジ21の動作により、記録媒体2に対して相対的に主走査軸に沿って複数回走査される。主走査軸に沿った走査を主走査ともいう。ここで、主走査軸とは、図2において記録媒体2の媒体幅方向である。主走査軸に沿って複数回走査とは、インクジェットヘッド31を主走査軸の一端から多端への往復の走査を意味する。したがって、インクジェットヘッド31を搭載したキャリッジ21が移動する両方向を併せて、主走査方向ともよぶ。すなわち、主操作方向は、インクジェットヘッド31を搭載したキャリッジ21の移動する方向である。
また、主走査軸に交差する軸を副走査軸といい、副走査軸は図2において記録媒体2が搬送される方向である。なお、1回の走査で主走査方向、つまり、インクジェット記録装置1の左右方向の何れか一方の方向に走査が行われる。そして、インクジェットヘッド31の主走査と、記録媒体2の搬送である副走査を交互に繰り返し行うことで、記録媒体2に対して記録する。
キャリッジユニット20は、キャリッジ21と、キャリッジモーター22と、カートリッジ24と、を有する。キャリッジ21は、その内部にインクジェットヘッド31及びカートリッジ24を備え、タイミングベルト23を介して、キャリッジモーター22に連結
されている。カートリッジ24はキャリッジ21の上部に搭載され、カートリッジ24の下面にインクジェットヘッド31が設けられる。カートリッジ24は、液体であるインクや処理液等を貯留し、カートリッジ24からインクジェットヘッド31に対しインクや処理液等を供給するものである。そして、キャリッジ21は、搬送方向と交差したガイド軸25に支持された状態で、キャリッジモーター22によりガイド軸25に沿って往復移動する。ガイド軸25は、キャリッジ21がガイド軸25の軸線方向に往復移動可能に支持されたものである。
ヘッドユニット30は、インクや処理液等を記録媒体2に対して吐出するためのものである。ヘッドユニット30は、カートリッジ24からインクの供給を受け、ノズル面33に形成されたノズル32から、インクを記録媒体2に向けて吐出するインクジェットヘッド31を備える。
インクジェットヘッド31は、キャリッジ21の移動によって主走査方向に移動しながら、記録媒体2上にインク組成物や処理液を吐出して付着させる。このように、本実施形態では、インクジェットヘッド31を記録媒体2に対して相対的に主走査方向に複数回走査して記録する。
インクジェットヘッド31にインク組成物や処理液を供給するカートリッジ24は、独立した複数のカートリッジからなる。カートリッジ24は、インクジェットヘッド31を搭載したキャリッジ21に対して着脱可能に装着される。複数のカートリッジのそれぞれには異なる種類のインク組成物、処理液、メンテナンス液が充填されており、カートリッジ24から各ノズルにインク組成物、処理液、メンテナンス液が供給される。なお、本実施形態においては、カートリッジ24はキャリッジ21に装着される例を示しているが、これに限定されず、キャリッジ21以外の場所に設けられ、供給管(図示せず)によって各ノズルに供給される形態でも良い。
図3に示すように、インクジェットヘッド31は、インクを吐出するノズル32と、インクジェットヘッド31の下面に設けられ、ノズル32が形成されたノズル面33を有するノズルプレート34と、吐出の駆動力を付与するキャビティ(図示せず)と、インクの逆流を防止するリザーバ(図示せず)と、吐出に適したインクの液滴Dを形成するピエゾ素子(図示せず)と、を備える。
インクジェットヘッド31は、撥水性のシリコーンで形成されたノズルプレート34のノズル面33が記録媒体2と対向するようにキャリッジ21に設けられているため、キャリッジ21が移動方向に移動すると、インクジェットヘッド31も移動方向に移動する。そして、インクジェットヘッド31が移動方向に移動している間、インクや処理液を記録媒体2に対して吐出する。これにより、移動方向に沿ったドット列が記録媒体2に形成される。このように、インクジェットヘッド31が、インクや処理液を記録媒体2に対して吐出することにより、記録装置を簡略化することができる。また、本実施形態に係るメンテナンス液もインクジェットヘッド31から吐出可能とすることにより、さらに記録装置を簡略化することができる。
インクジェットヘッド31のノズル面33は、ノズルプレート34のうち記録媒体2と対向する面に相当する。ノズルプレートの材質としては、シリコーンに限定されることなく、例えば、SUS等の金属及びポリイミド等の樹脂を用いることもできる。
インクジェットヘッド31からのインク等の吐出には、従来公知の方式を使用することができる。本実施形態では、圧電素子の振動を利用して液滴を吐出する方式、すなわち、電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成する吐出方式を使用するが、この方式に限定
されない。
キャップ昇降ユニット50は、コントローラー100からの制御に従って、キャップ部材41を昇降させる機構である。
キャップ部材41は、上面が開放されたトレイ状の部材であり、ノズル面33と密着することでインクジェットヘッド31のノズル32を大気から遮断可能なものである。キャップ部材41は、例えば、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂で形成された筐体に、エラストマー等の弾性部材による縁部47が作製されている。また、キャップ部材41のうち縁部47のエラストマーとしては、ブチル系、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)系、シリコーン系、ウレタン系、ブタジエン系、ポリエステル系、塩化ビニル系、アクリル系、アミド系、及びスチレン系などを用いることができる。キャップ部材41は、例えば、開口部の内部にインクを吸収するインク吸収材51を備える。インク吸収材51は、インクの保持力が高いものであり、例えば、ウレタンフォーム、スポンジ、インク吸収性のある布または紙などで形成される。これにより、ヘッドからのインクを速やかに吸収しつつ、インクジェットヘッド31に配置されたノズルを32密封することができる。
吸引ユニット60は、吸引ポンプ42と、廃液タンク43と、を少なくとも備える。吸引ポンプ42は、キャップ部材41のキャップ内と連通しており、吸引ポンプ42によりキャップ部材41の内部に負圧を発生させることができる。
吸引ユニットの構造について図3を用いてさらに詳しく説明する。キャップ部材41の底壁には、キャップ部材41内に溜まったインクや処理液等を排出する排出部126が下方に向かって突設されており、その内部には排出通路126aが形成されている。排出部126には、可撓性材料等からなる排出チューブ(廃液流路)127の一端が接続されており、排出チューブ127の他端は、廃液タンク43内に挿入されている。廃液タンク43内には、多孔質部材からなる廃インク吸収材129が収容されており、この廃インク吸収材129により回収されたインクが吸収されるようになっている。
キャップ部材41と廃液タンク43との間には、例えば、チューブポンプ式の吸引ポンプ42が配設されている。この吸引ポンプ42の吸引力により、キャップ部材41の内部に負圧が発生する。詳細には、インクジェットヘッド31のノズル面33にキャップ部材41、より正確にはキャップ部材41の縁部47が密着し、ノズル面33をキャップ部材41で覆い被せた状態で吸引ポンプ42を駆動し、キャップ部材41で覆われた空間を負圧状態にすることで、各ノズル32から強制的にインクをキャップ部材41に向けて排出させる。かかる吸引動作により、ノズル32内の増粘したインクや気泡を強制排出させる。
本実施形態において、キャッピング部材41は、後述するように、インクジェットヘッド31に離間した状態でのインクジェットヘッド31からのインクを受けるフラッシング動作、放置状態においてインクジェットヘッド31に接触してノズル列を覆い、ノズル32を大気から遮断して保護するキャッピング動作、及び、インクジェットヘッド31に接触してノズル列を覆った状態でのインクジェットヘッド31内のインクの吸引動作に使用される。
インクジェット記録装置1は、ノズル面33に付着したインク等を払拭して、ノズル面33に付着しているインク等を除去するワイパー部材を備える。ワイパー部材としては、布ワイパーやゴムブレードワイパー等が挙げられる。
図4は、本発明の一実施形態で用いられるインクジェット記録装置におけるワイパー部材の一例である、布ワイパーを示す図である。
図4において、ワイピング機構72は、主走査方向に交差する副走査方向である、すなわちインクジェットヘッド31のノズル列方向における断面で表されている。本実施形態におけるワイピング機構72は、副走査方向に沿って配設されたレール52にワイピング機構72を収容する筐体53が摺動可能に取り付けられて構成されている。筐体53は、図示しないラックギア、ピニオンギア、および駆動源等からなるワイパー移動機構によってレール52に案内されつつ、副走査方向に沿った払拭方向に往復移動することが可能となっている。この筐体53は、例えば、織物・編物・不織布等の布、すなわち繊維素材からなるシート状のワイパー部材68が巻き回された第1ロール56と、払拭後のワイパー部材68が巻き取られる第2ロール57と、が収容されている。
ワイパー部材68は、例えば、織物・編物・不織布等の布であり、吸液性のシート状の部材であればよい。ワイピングの際にメンテナンス液を用いる場合には、予めメンテナンス液が含侵されたワイパー部材68を用いても良い。また、筐体53内部にメンテナンス液を収容したディスペンサー63を設け、ディスペンサー63によりワイパー部材68またはノズル面33にメンテナンス液を付着させてもよい。このように、ノズル面33にメンテナンス液が付着された状態で、ワイピングが行われるようにすればよい。
第1ロール56と第2ロール57とは、払拭方向において互いに所定の距離を隔てた状態で軸支されている。第1ロール56は、第1軸58に未使用のワイパー部材68が巻装されており、ワイピングの際にワイパー部材68を第2ロール57側に順次繰り出す。また、第2ロール57は、第2軸59に使用済み、すなわちノズル面33に対する払拭後のワイパー部材68を巻き取る。払拭方向における第1ロール56および第2ロール57との間であって、ノズル面33側の位置には、押圧ローラー73を備える。押圧ローラー73は第1ロール56と第2ロール57の回動に応じて回転可能に遊転軸73aに軸支されている。第1ロール56から繰り出されたワイパー部材68は、押圧ローラー73に架け渡され、その先が第2ロール57に巻き取られるようになっている。
図5、6は、本実施形態におけるキャップ部材41とノズル32の構成の一例を示す図である。図5、6においては、キャップ部材41の平面図を示すとともに、キャップ部材41の直上にヘッド31を移動させた場合におけるノズル32の配置の一例を示している。
本実施形態において、インク組成物を吐出するインク吐出ノズル群と、処理液を吐出する処理液吐出ノズル群と、を有する。そして、インク吐出ノズル群と処理液吐出ノズル群とを主走査軸に沿って投影したときに、インク吐出ノズル群と処理液吐出ノズル群とは、主走査軸に交差する副走査軸に沿って互いに重なる部分を有する。このように、本実施形態において、インクノズル群のうち、記録に用い記録時にインクを吐出する部分を、インク吐出ノズル群という。同様に、処理液ノズル群のうち、記録に用い記録時に処理液を吐出する部分を、処理液吐出ノズル群という。なお、上記のインク吐出ノズル群と処理液吐出ノズル群とが、主走査軸に交差する副走査軸に沿って互いに重なる部分を有する場合には、インク吐出ノズル群と処理液吐出ノズル群のそれぞれの一部が互いに重なりを有すればよい。
図5は、インクジェットヘッド31が複数のヘッドから構成され、インクヘッド(図示せず)と処理液ヘッド(図示せず)毎に別々に吸引する例である。この例では、キャップ部材41を2つのキャップ部材41a、41bに分割しており、キャップ部材41aは、例えばインクヘッドのノズル列1〜4を包囲するように設けられた縁部47を備え、キャ
ップ部材41bは、例えば、処理液ヘッドのノズル列5〜8を包囲するように設けられた縁部47を備える。キャップ部材41a及びキャップ部材41bは一体として形成されてもよい。すなわち、単一のキャップ部材に仕切り部47aを設けることにより、2つのキャップ部材41a、41bに分割されている。なお、2つのキャップ部材41a、41bが分離して構成されていてもよい。また、3つ以上のキャップ部材に分割されていてもよい。
図6は、インクジェットヘッド31が単一のヘッドから構成され、単一のキャップ部材41によりインクジェットヘッド31に配置された全てのノズル32をキャッピングするように構成された例を示す。この例では、インクジェットヘッド31のインクと処理液を同時に吸引するが、別々の吸引キャップでインクと処理液を別々に吸引して2つの廃液流路を途中で合流させ、合流後は共通廃液流路としてもよい。
図6のキャップ部材41は6列のノズル列36をキャッピングするキャッピング部材を示す。キャップ部材41は、複数のノズル列36を包囲するように設けられた縁部47を備える。例えば、ノズル列36aはインクを、ノズル列36bは処理液を吐出する。各ノズル列36は、記録媒体の搬送方向と平行に延在しており、搬送方向と直交する方向に複数並んで配置されている。なお、ノズル列の構成はこれに限定されず、搬送方向に斜めに配列されていてもよい。
本実施形態において、例えば、図6に示す例では、ノズル列36aの全てのノズルがインクを吐出する場合、ノズル列36aはインク吐出ノズル群である。同様に、ノズル列36bの全てのノズルが処理液を吐出する場合、ノズル列36bは処理液吐出ノズル群である。したがって、処理液吐出ノズル群であるノズル列36bは、インク吐出ノズル群ノズル列36aと副走査方向において互いに位置が重なる部分を有する。ここで、重なる部分とは、図5においてノズル列36の長さである。したがって、図5に示す例では、重なる部分は、ノズル列36aの副走査方向における長さの100%であり、ノズル列36bの副走査方向における長さの100%である。このように、重なる部分が100%の配列の場合には、処理液とインクとを一走査で同時に付着させることができるため、記録速度が速くなる。また、使用するノズル群が横並びとなるため、インクジェットヘッド31やキャリッジ21など、装置を小型化することができる。
検出器群90には、例えば、図示しないリニア式エンコーダー、ロータリー式エンコーダー、記録媒体検出センサー、及び光学センサー等が含まれる。リニア式エンコーダーは、キャリッジ21の移動方向の位置を検出するものである。ロータリー式エンコーダーは、搬送ローラー7の回転量を検出する。
紙検出センサー(図示せず)は、記録媒体2の先端の位置を検出する。光学センサー(図示せず)は、キャリッジ21に取付けられている発光部と受光部により、記録媒体2の有無を検出する。光学センサーは、キャリッジ21によって移動しながら記録媒体2の端部の位置を検出し、記録媒体2の幅を検出する。また、光学センサーは、状況に応じて、記録媒体2の先端、すなわち搬送方向下流側の端部である上端や、後端、すなわち搬送方向上流側の端部である下端も検出できる。
コントローラー100は、インクジェット記録装置1の制御を行うための制御ユニット(制御部)である。コントローラー100は、インターフェイス部101と、CPU102と、メモリー103と、ユニット制御回路104と、を有する。インターフェイス部101は、外部装置であるコンピューター110とインクジェット記録装置1との間でデータの送受信を行う。CPU102は、インクジェット記録装置1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー103は、CPU102のプログラムを格納する領域や作
業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。CPU102は、メモリー103に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路104を介して各ユニットを制御する。
1.2.インクジェット記録装置の動作
本実施形態に係るインクジェット記録装置1は以上のように構成されており、以下ではこのインクジェット記録装置1の動作について説明する。
まず、搬送ユニット10により、プラテンローラー6上の記録媒体2を搬送方向に、インクジェットヘッド31のノズル32から吐出されるインクの液滴D(図3参照)が着弾可能な位置、すなわち、吐出されるインクが付着する領域まで搬送する。
その後、ヘッドユニット30により、インクジェットヘッド31のノズル32からインクが記録媒体2に向けて吐出され、当該インクがその記録面に付着する。また、記録媒体2の記録面を所定温度まで加熱することで、記録媒体2の記録面に吐出されたインクに含まれる水分などが速やかに蒸発飛散して、インクに含まれる樹脂によって被膜が形成される。
一方、一定時間吐出が行われていないノズル32においては、特にノズル開口39の部分において、インクの乾燥が進んで固化しやすくなる。その結果、一定時間吐出が行われていないノズル32は目詰まりしやすくなる。ノズル32の目詰まりが生じると、吐出不良に繋がる。
そこで、キャップ部材41をノズル面33に密着させてキャップ部材41内部のインクを除去する吸引動作、ワイパー部材68によるノズル面33の払拭動作、またはフラッシング動作が、コントローラー100からの制御に従って行われることによりノズル32の目詰まりを防止することができる。
フラッシング動作とは、インクジェットヘッド31のノズル32からインクを吐出することにより、ノズル32の目詰まりを解消させるものである。インクジェットヘッド31をキャップ部材41の位置まで移動させ、インクジェットヘッド31からインクをキャップ部材41に向けて非記録用吐出し、インクジェットヘッド31のノズル32を清掃するものである。ここで、本明細書における「非記録用吐出」とは、フラッシングと換言することができ、画像を形成する目的で行われる記録媒体2に向けた吐出でなく、目詰まりの原因となり得る過剰に乾燥したインクを除去する目的で行われるキャップ部材41に向けた吐出を意味する。
吐出が行われているノズル32において生じ得るインクの固化は、吐出によって画像を記録するとともに、常にインクの排出が行われてフレッシュなインクが供給されるため、比較的小規模であるとともに、吐出が行われないノズル32も1パス分の空走終了直後であればインクの乾燥・固化がそれほど進行していない可能性がある。そのため、全てのノズル32を対象として、一定時間ごと、好ましくは電源オン時及び1パスの記録動作ごと、より好ましくは1パスの記録動作ごとに、コントローラー100がフラッシング動作を行なうようにヘッドユニット30を制御する。すなわち、ガイド軸25に沿って、キャップ部材41の直上にインクジェットヘッド31、すなわちキャリッジ21を移動させる。そして、インクジェットヘッド31からインクをキャップ部材41に向けて非記録用吐出し、ノズル32を清掃する。当該非記録用吐出の量は、ノズル32付近のインクを排出可能な程度の量であればよい。
フラッシング動作の後に、早期にキャップ部材内のインクの吸引動作が行なわれること
が好ましい。キャップ部材41に存在するインクを早期に吸引することにより、キャップ部材41の縁部47へインクが溢れ出ることを防止することができ、キャップ部材41の縁部47へのインクの固形分の堆積を抑制することができる。
次に、吸引動作について説明する。図2に示すように、コントローラー100が、ヘッド31をキャップ部材41直上の非印刷領域(図示せず)に移動させる。そして、キャップ昇降ユニット50によりキャップ部材41を上昇させ、キャップ部材41の縁部47をノズル面33に密着させ、ノズル32がキャップ部材41の内側に封止させられる。そして、吸引ポンプ42によりキャップ部材41内部に負圧を発生させ、ノズル32内のインクを、キャップ部材41内に吸引排出させる。この吸引動作により、フラッシング動作と同様に、ノズル32の増粘したインクをノズル32外に排出することができる。
吸引動作は、ノズル32内の増粘インクや気泡を強力に排出させることができる一方で、ワイピング動作に比べて時間を要するので、長時間に亘って記録処理が行われなかった等の記録不良が発生する虞が高い場合や、記録不良が発生してユーザーからの要求があった場合等に行われるようになっている。
次に、キャッピング動作について説明する。キャッピング動作は、インクジェット記録装置1の記録動作が停止している放置状態において、ノズル面33にキャップ部材41が当接し当該ノズル面33を大気から遮断して保護する動作である。インクジェット記録装置1が放置状態になっている間、ノズル面33をキャップ部材41で覆うことで、ノズル32内のインクの水分等の溶媒の蒸発が抑えられ、インクの増粘が防止される。また、ノズル面33への塵埃等の異物の付着も防止できる。
なお、本明細書における「放置状態」とは、コンピューター110からインクジェット記録装置1に対して出された記録指令に基づく記録動作が終了した後、次の記録動作が行われるまでの間の記録動作が行われない状態を言う。具体的には、例えば、記録動作が終了した後、インクジェット記録装置1の電源スイッチがオフされ、インクジェット記録装置1が非通電となっている状態は放置状態である。また、電源がオンされている場合であっても、記録動作が終了した後、新たな印刷指令がインクジェット記録装置1に対して行われるまでの間の記録動作が行われない状態は放置状態である。この放置状態の間に、ノズル32が長時間に亘って外気に晒されると、ノズル32内のインクの水分が蒸発し、インクが増粘しノズル32に詰まりを生じてしまう等の問題が発生する。かかる問題の発生を防止するために、インクジェット記録装置1は、キャッピング動作を行い、ノズル32内のインクの水分の蒸発を抑え、インクの増粘を防止したり、ノズル面33への異物の付着を防止したりことができるように構成されている。
次に、ワイパー部材68による払拭動作について説明する。ワイパー部材68による払拭動作は、例えば、布ワイパー等でノズル面33を払拭する際に、ワイパー部材68またはノズル面33にメンテナンス液を付着させる方法が挙げられる。その他、布ワイパーに予めメンテナンス液含浸させておく方法が挙げられる。その他、キャップ部材41をメンテナンス液で浸らせておき、これにノズル面33を漬けて凝集物をふやかしてからワイパー部材68で払拭する方法が挙げられる。
インクジェットヘッド31のノズル面33に対してメンテナンス液を付着させてノズル面33をクリーニングする場合には、図4の例では、ワイパー部材68は第1ロール56から第2ロール57へ順次送り出される。この第1ロール56から第2ロール57へ順次送り出される状態で、ワイピング機構72またはインクジェットヘッド31が、図4の横方向へ移動することで、インクジェットヘッド31のノズル面33と押圧ローラー73との間で挟支されたワイパー部材68により、ノズル面33がワイピングされる。このよう
に、第1ロール56から送り出されたワイパー部材68を押圧ローラー73の押圧によりインクジェットヘッド31のノズル面33に対して押圧荷重を加えてノズル面33を払拭する。
このように、コントローラー100がノズル32の使用状態や目詰まり状態を検知して、フラッシング動作、吸引動作、払拭動作及びキャッピング動作を適宜使い分けることにより、インクジェットヘッド31のノズル32内でインクが固化して、そのノズル32が目詰まりを起こすのを防止でき、ひいては目詰まりを起こしたインクジェットヘッド31を用いて記録媒体2の記録面に形成される画像の一部にドット抜けが生ずることを防止できる。
1.3.インク組成物
次に、本実施形態において用いられるインク組成物(以下、「インク」ともいう。)について説明する。
本実施形態で用いられるインク組成物は、水を主成分とする水系インクジェットインク組成物であり、画質を向上させるために凝集剤を含有する処理液と共に用いられる。
このような処理液とインク組成物を用いたインクジェット記録において、インクジェットヘッドは、処理液が飛散してノズルに付着したり、処理液のミストが飛来してくることで、ノズルやノズル周辺でインクと処理液が反応して凝集異物が発生する。これによりノズルが詰まり、吐出不良が発生する場合がある。また、インクジェットヘッドから排出したインクや処理液に含まれる成分が、廃液流路や廃液タンクで処理液と反応して異物化し、廃液流路や廃液タンクが詰まる場合がある。これに対し、後述する本実施形態に係るメンテナンス液を用いてインクジェットヘッドやノズルを洗浄すると、メンテナンス液の再分散効果により異物除去が可能となり、ノズルを含めたインクジェットヘッド内全体を効果的に洗浄することができる。また、本実施形態に係るメンテナンス液の凝集抑制効果により、廃液流路や廃液タンク内でのインクと処理液との反応を抑制し、廃液流路や廃液タンクの詰まりを抑制することができる。本実施形態において、廃液流路や廃液タンク内で発生する異物の除去や、記録装置における処理液の凝集抑制等を、メンテナンス性と呼ぶ。
ここで、インクジェットインクとは、インクジェット法による記録方法に用いるインク組成物である。「水系」の組成物とは、水を主要な溶媒の1つとする組成物である。インク組成物中の水の含有量は40.0質量%以上が好ましく、45.0質量%以上がさらに好ましく、50.0質量%以上がより好ましく、60.0質量%以上が特に好ましい。
また、本実施形態において、インク組成物は有機溶剤を含んでも含まなくてもよく、インク組成物中の有機溶剤の含有量は、インク組成物100.0質量%に対して30.0質量%以下が好ましく、25.0質量%以下がより好ましく、20.0質量%以下が特に好ましい。また、必要に応じて、色材、樹脂、ワックス、消泡剤、界面活性剤を含むことができる。
以下、本実施形態で用いられるインク組成物に含まれる成分および含まれ得る成分つい説明する。
1.3.1.水
本実施形態において、インク組成物は水を含有する。水は、インク組成物の主となる媒体であり、乾燥によって蒸発飛散する成分である。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水または超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものである
ことが好ましい。また、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、インク組成物を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を抑制できるので好適である。
水の含有量は、インク組成物の全質量に対して、40.0質量%以上であることが好ましく、45.0質量%以上がさらに好ましく、50.0質量%以上がより好ましく、60.0質量%以上が特に好ましい。
1.3.2.色材
本実施形態において、インク組成物は色材を含むカラーインクであっても良い。また、複数のカラーインクを使用するものであっても良く、色材を含まないクリアインクであっても良い。
色材としては、染料と顔料のいずれも用いることができる。顔料は、光やガス等に対して退色しにくい性質を有していることから、好ましく用いられる。顔料を用いて記録媒体上に形成された画像は、画質に優れるだけでなく、耐水性、耐ガス性、耐光性等に優れ、保存性が良好となる。この性質は、特にインク低吸収性または非吸収性である難吸収性記録媒体上に画像が形成される場合に顕著である。
本実施形態において使用可能な顔料としては、特に制限されないが、無機顔料や有機顔料が挙げられる。無機顔料としては、酸化チタンおよび酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。一方、有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等を使用することができる。アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等が挙げられる。多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キノフラロン顔料等が挙げられる。
本実施形態で使用可能な顔料の具体例のうち、ブラックインクに使用される顔料としては、例えば、カーボンブラックが挙げられる。カーボンブラックとしては、特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、もしくはチャンネルブラック等(C.I.ピグメントブラック7)、また市販品としてNo.2300、900、MCF88、No.20B、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA77、MA100、No.2200B等(以上全て商品名、三菱化学株式会社製)、カラーブラックFW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリテックス35、U、V、140U、スペシャルブラック6、5、4A、4、250等(以上全て商品名、デグサ社製)、コンダクテックスSC、ラーベン1255、5750、5250、5000、3500、1255、700等(以上全て商品名、コロンビアカーボン社製)、リガール400R、330R、660R、モグルL、モナーク700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、エルフテックス12等(以上全て商品名、キャボットジャパン株式会社製)が挙げられる。
ホワイトインクに使用される顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントホワイト 6、18、21、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化マグネシウム、及び酸化ジルコニウムの白色無機顔料が挙げられる。当該白色無機顔料以外に、白色の中空樹脂微粒子及び高分子粒子などの白色有機顔料を使用することもできる。
イエローインクに使用される顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピ
グメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、180が挙げられる。
マゼンタインクに使用される顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、またはC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。
シアンインクに使用される顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー 4、60が挙げられる。
また、マゼンタ、シアン、およびイエロー以外のカラーインクに使用される顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメント グリーン 7、10、C.I.ピグメントブラウン 3、5、25、26、C.I.ピグメントオレンジ 1、2、5、7、13、14、15、16、24、34、36、38、40、43、63が挙げられる。
パール顔料としては、特に限定されないが、例えば、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗箔、酸塩化ビスマス等の真珠光沢や干渉光沢を有する顔料が挙げられる。
メタリック顔料としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅などの単体または合金からなる粒子が挙げられる。
カラーインクに含まれ得る色材の含有量の下限値は、インク組成物の全質量に対して、0.5質量%以上であることが好ましく、1.0質量%以上であることがより好ましく、3.0質量%以上であることがさらに好ましい。一方、カラーインクに含まれ得る色材の含有量の上限値は、インク組成物の全質量に対して、10.0質量%以下であることが好ましく、7.0質量%以下であることがより好ましく、6.0質量%以下であることがさらに好ましい。色材の含有量が前記範囲にあることにより、記録媒体上に形成された画像は、耐水性、耐ガス性、耐光性等に優れ、インク保存性も良好となる。
色材が顔料である場合には、顔料分散液の状態で用いることができる。顔料分散液は、顔料及び溶剤の他、必要に応じて分散剤を含んでもよい。溶剤としては、水及びジエチレングリコールなどの親水性溶剤が挙げられる。また、分散剤としては、スチレン−アクリル酸共重合体が挙げられる。特に制限されないが、分散剤の酸価はその分散性の観点から、20mgKOH/g以上が好ましい。
また、本実施形態において、インク組成物としてクリアインクを用いる場合には、クリアインクの色材の含有量は0.2質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以下であることがさらに好ましく、含有量の下
限は0質量%でもよい。なお、クリアインクは、記録媒体に着色するために用いるインクではなく、その他の目的で用いるインクである。その他の目的は、記録物の耐擦性などの特性の向上や、記録媒体の光沢度の調整や、カラーインクの定着性、発色性を向上させるためなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、クリアインクは後述する処理液ではなく、凝集剤を含まない。
1.3.3.有機溶剤
本実施形態において、インク組成物は有機溶剤を含有することが好ましい。インク組成物が有機溶剤を含有することにより、記録の際に耐目詰まり性に優れる。また、インク組成物が有機溶剤を含有することにより、記録媒体上に吐出されたインク組成物の乾燥性が良好となり、画質と耐擦性に優れた画像を得ることができる。
インク組成物に用いる有機溶剤としては、水溶性有機溶剤であることが好ましい。水溶性有機溶剤を使用することにより、よりインクの乾燥性が良好となり、画質と耐擦性に優れた画像を得ることができる。
水溶性有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、アルカンジオール類、ポリオール類、含窒素溶剤、エステル類、グリコールエーテル類、環状エステル類等が挙げられる。
アルカンジオール類としては、例えば、1,2−アルカンジオール類である、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。これらは、1種単独かまたは2種以上を混合して使用することができる。アルカンジオール類は、記録媒体に対するインク組成物の濡れ性を高めて均一に濡らす作用や、記録媒体に対する浸透溶剤としての作用に優れている。これらの中でも、特に、1,2−アルカンジオール類は浸透溶剤としての作用に優れており、好ましい。アルカンジオール類としては、好ましくは炭素数5以上のアルカンのジオールが挙げられる。アルカンの炭素数は5〜9であることが好ましく、直鎖型でも分枝型でもよい。
ポリオール類としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられる。1種単独かまたは2種以上を混合して使用することができる。ポリオール類は、保湿剤としての作用に優れている。ポリオール類としては、好ましくは2個以上の水酸基を有する炭素数4以下のアルカン、2個以上の水酸基を有する炭素数4以下のアルカンであって水酸基同士が分子間縮合したものが挙げられ、縮合数は2〜4が好ましい。ここで、ポリオール類とは、分子中に水酸基を2個以上有する化合物であり、本実施形態において、水酸基数は2または3であることが好ましい。
含窒素溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−ブチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリドン等のピロリドン類が挙げられる。これらは、1種単独かまたは2種以上を混合して使用することができる。含窒素溶剤は、樹脂の良好な溶解剤として作用し、耐擦性に優れた記録物を得たり、インクジェットヘッドやノズルの目詰まりを防止することができる。
含窒素溶剤としては、アルコキシアルキルアミド類も挙げることができ、例えば、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−メトキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−メトキシ−N,N−メチルエチルプロピオンアミド、3−エトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−エトキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−エトキシ−N,N−メチルエチルプロピオンアミド、3−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−n−ブトキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−n−ブトキシ−N,N−メチルエチルプロピオンアミド、3−n−プロポキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−n−プロポキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−n−プロポキシ−N,N−メチルエチルプロピオンアミド、3−iso−プロポキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−iso−プロポキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−iso−プロポキシ−N,N−メチルエチルプロピオンアミド、3−tert−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−tert−ブトキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−tert−ブトキシ−N,N−メチルエチルプロピオンアミド等を例示することができる。
含窒素溶剤としてアミド系溶剤も挙げられる。アミド系溶剤としては、環状アミド系溶剤、非環状アミド系溶剤が上げられ好ましい。環状アミド系溶剤としては上記のピロリドン類等が挙げられる。非環状アミド系溶剤としては上記のアルコキシアルキルアミド類が挙げられる。
含窒素溶剤のインク組成物に対する含有量は、好ましくは3.0質量%以上30.0質量%以下であり、より好ましくは5.0質量%以上25.0質量%以下であり、好ましくは10.0質量%以上20.0質量%以下である。インクが含窒素溶剤を含むことにより、耐擦性、画質等がより優れる点で好ましい。
エステル類としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート等のグリコールモノアセテート類、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールアセテートプロピオネート、エチレングリコールアセテートブチレート、ジエチレングリコールアセテートブチレート、ジエチレングリコールアセテートプロピオネート、ジエチレングリコールアセテートブチレート、プロピレングリコールアセテートプロピオネート、プロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールアセテートプロピオネート等のグリコールジエステル類が挙げられる。
グリコールエーテル類としては、アルキレングリコールのモノエーテルまたはジエーテルであればよく、アルキルエーテルが好ましい。具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プ
ロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル類、及び、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等のアルキレングリコールジアルキルエーテル類が挙げられる。これらは、インク組成物の記録媒体に対する濡れ性等を制御することできる。
また、上記のアルキレングリコールは、モノエーテルよりもジエーテルの方が、インク中の樹脂を溶解または膨潤させやすい傾向があり、形成される画像の耐擦性を向上させる点でより好ましい。
環状エステル類としては、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、β−ブチロラクトン、β−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、β−ヘキサノラクトン、γ−ヘキサノラクトン、δ−ヘキサノラクトン、β−ヘプタノラクトン、γ−ヘプタノラクトン、δ−ヘプタノラクトン、ε−ヘプタノラクトン、γ−オクタノラクトン、δ−オクタノラクトン、ε−オクタノラクトン、δ−ノナラクトン、ε−ノナラクトン、ε−デカノラクトン等の環状エステル類(ラクトン類)、並びに、それらのカルボニル基に隣接するメチレン基の水素が炭素数1〜4のアルキル基によって置換された化合物を挙げることができる。
有機溶剤の含有量は、インク組成物の全質量に対して、1.0質量%以上であることが好ましく、5.0質量%以上であることがより好ましく、10.0質量%以上であることがさらに好ましい。また、有機溶剤の含有量は、インク組成物の全質量に対して、40.0質量%以下であることが好ましく、35.0質量%以下であることがより好ましく、30.0質量%以下であることがさらに好ましい。有機溶剤の含有量が前記範囲である場合、インク組成物の耐目詰まり性や耐擦性がより優れ、好ましい。
有機溶剤の標準沸点は、180℃以上が好ましく、200℃以上であることがより好ましく、210℃以上であることがさらに好ましい。また、有機溶剤の標準沸点は、300℃以下であることが好ましく、270℃以下であることがより好ましく、250℃以下であることがさらに好ましい。有機溶剤の標準沸点が前記範囲である場合、インク組成物の耐目詰まり性や耐擦性がより優れ、好ましい。
なお、トリエチレングリコールやグリセリン等の標準沸点が280℃超のポリオール系有機溶剤は、保湿剤として機能するため、含有するとインクジェットヘッドの乾燥を抑制して耐目詰まり性に優れる。一方、標準沸点が280℃超のポリオール系有機溶剤は、インク組成物の水分を吸収して、インクジェットヘッド付近のインクを増粘させたり、記録媒体に付着した際にインクの乾燥性が低下する場合がある。このため、本実施形態において、インク組成物は、標準沸点が280℃超のポリオール系有機溶剤の含有量が、インク
組成物の全質量に対して、3.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以下であることがより好ましく、0.8質量%以下であることがさらに好ましく、0.1質量%以下であることが特に好ましい。この場合には、記録媒体上でのインク組成物の乾燥性が高くなるので、特に難吸収性記録媒体への記録に適するものとなり、耐擦性に優れた画像が得られる。さらには、耐擦性に優れた画像が得られる点により、ポリオール類に限らず、標準沸点が280℃超の有機溶剤の含有量が上記の範囲とすることもより好ましい。
1.3.4.樹脂
本実施形態において、インク組成物は樹脂を含有することが好ましい。樹脂は、インク組成物を固化させ、さらにインク固化物を記録媒体上に強固に定着させる作用を有する。本実施形態において、樹脂は、インク組成物中に溶解された状態またはインク組成物中に分散された状態のいずれの状態であってもよい。溶解状態の樹脂としては、インクの顔料を分散させる場合に使用する、上記の樹脂分散剤を用いることができる。また、分散状態の樹脂としては、インクの液媒体に難溶あるいは不溶である樹脂を、微粒子状にして分散させて、すなわちエマルジョン状態、あるいはサスペンジョン状態にして、含ませることができる。
本実施形態において用いられる樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、パラフィン樹脂、フッ素樹脂、及び水溶性樹脂、並びにこれらの樹脂を構成する単量体を組み合わせた共重合体が挙げられる。共重合体としては、特に限定されないが、例えば、スチレンブタジエン樹脂、スチレンアクリル樹脂が挙げられる。また、樹脂としては、これら樹脂を含むポリマーラテックスを用いることができる。例えば、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、スチレン樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン樹脂の微粒子を含むポリマーラテックスが挙げられる。なお、樹脂は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
アクリル樹脂は少なくともアクリル系モノマーを単量体として用いて重合して得た単重合体または共重合体である樹脂である。アクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。アクリル樹脂が共重合体の場合、他のモノマーとしてビニル系モノマーを用いたアクリル−ビニル樹脂などがあげられ、中でもビニル系モノマーとしてスチレンを用いたスチレンアクリル樹脂などが上げられる。これらの樹脂の中でも、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂などが入手しやすく、所望の特性を有する樹脂として得やすい点で好ましい。
樹脂の含有量の合計の下限値は、固形分換算でインク組成物の全質量に対して、好ましくは1.0質量%以上であり、より好ましくは2.0質量%以上であり、さらに好ましくは3.0質量%以上である。また、樹脂の含有量の上限は、インク組成物の全質量に対して、好ましくは15.0質量%以下であり、より好ましくは10.0質量%以下であり、さらに好ましくは7.0質量%以下である。樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、記録時の耐目詰まり性を確保すると共に、難吸収性記録媒体上においても、耐擦性に優れた画像を形成することができる。
1.3.5.界面活性剤
本実施形態において、インク組成物は界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤が挙げられ、これらの少なくとも1種を含有することが好ましく、これらの中でもアセチレングリコール系界面活性剤やシリコーン系界
面活性剤を含有することがより好ましい。インク組成物がアセチレングリコール系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤を含有することにより、インクの動的表面張力を下がり、耐目詰まり性を向上させることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(以上全て商品名、エアープロダクツジャパン株式会社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上全て商品名、日信化学工業株式会社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル株式会社製)が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリシロキサン系化合物が好ましく挙げられる。当該ポリシロキサン系化合物としては、特に限定されないが、例えばポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。当該ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学工業株式会社製)、シルフェイスSAG503A、シルフェイスSAG014(以上商品名、日信化学工業株式会社製)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、具体例としては、BYK−340(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)が挙げられる。
界面活性剤を含有する場合には、その含有量は、インク組成物の全質量に対して0.1質量%以上1.5質量%以下とすることが好ましい。
1.3.6.ワックス
本実施形態において、インク組成物はワックスを含有してもよい。ワックスとしては、インク組成物中で溶解するもの、または、エマルションなど微粒子の形態で分散するものが挙げられる。このようなワックスを用いることにより、耐擦性により優れた記録物が得られる傾向にある。特に、記録媒体上のインク塗膜の表面、すなわち、空気とインク塗膜の界面に偏在することによる耐擦性の向上に寄与する傾向がある。このようなワックスとしては、特に制限されないが、例えば、高級脂肪酸と高級1価アルコールまたは2価アルコールとのエステルワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス若しくはポリオレフィンワックスまたはこれらの混合物が挙げられる。
ポリオレフィンワックスとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィンまたはその誘導体から製造したワックスおよびそのコポリマー、具体的には、ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス、ポリブチレン系ワックス等が挙げられる。ポリオレフィンワックスとしては、市販されているものを利用することができ、具体的には、ノプコートPEM17(商品名、サンノプコ株式会社製)、ケミパールW4005(商品名、三井化学株式会社製)、AQUACER515、AQUACER593(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等を用いることができる。
ワックスの含有量は、インク組成物の全質量に対して、0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上4質量%以下であることがより好ましく、0.3質量%以上3質量%以下であることがさらに好ましい。ワックスの含有量が前記範囲にあると、耐擦性が向上したり、インクの粘度が低下して吐出安定性や目詰まり回復性に優れるため好ましい。
1.3.7.その他の含有成分
本実施形態において、インク組成物には、その保存安定性およびインクジェットヘッドの吐出安定性を良好に維持するため、また、目詰まり改善のため、またはインクの劣化を防止するため、消泡剤、溶解助剤、粘度調整剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、有機溶剤ではない保湿剤、および分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート化剤等の、種々の添加剤を適宜添加することもできる。
1.3.8.インク組成物の調製方法
本実施形態において、インクは前述した成分を任意の順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法としては、遠心濾過、フィルター濾過等を必要に応じて行なうことができる。
1.3.9.インク組成物の物性
本実施形態において、インク組成物は画像品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が18mN/m以上40mN/mであることが好ましく、20mN/m以上35mN/m以下であることがより好ましく、22mN/m以上33mN/m以下であることがさらに好ましい。なお、表面張力の測定は、例えば、自動表面張力計CBVP−Z(商品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
本実施形態において、インク組成物の20℃における粘度は、インク組成物は画像品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、3mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上8mPa・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定は、例えば、粘弾性試験機MCR−300(商品名、Pysica社製)を用いて、20℃の環境下での粘度を測定することができる。
1.3.10.用途
本実施形態で用いられるインク組成物は、後述する処理液と共に用い、非常に優れたインク乾燥性を有することから、インク非吸収性または低吸収性の難吸収性記録媒体に対する記録に好ましく用いることができる。
ここで、本明細書において「インク非吸収性または低吸収性の記録媒体」とは、「ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である記録媒体」を示す。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。
インク非吸収性の記録媒体として、例えば、インクジェット印刷用に表面処理をしてい
ない、すなわち、インク吸収層を形成していないプラスチックフィルム、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。インク低吸収性の記録媒体として、アート紙、コート紙、マット紙等の印刷本紙が挙げられる。
1.4.処理液
次に、本実施形態で用いられる処理液について説明する。
本実施形態において、処理液とはインク組成物の成分を凝集させる組成物であり、インク組成物の成分を凝集させる凝集剤を含む組成物である。処理液と反応するインクの成分としては、色材や樹脂等が挙げられる。なお、処理液は、上記の色材の含有量が0.2質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以下であり、下限は0.0質量%である。処理液は記録媒体に着色するために用いる上述のインクではなく、インクを付着する前またはインクと同時に記録媒体へ付着させて用いる補助液である。
処理液は、凝集剤を含むこと以外は、上述のインク組成物の色材以外の、含んでもよい成分の含有や、それらの含有量、特性などを、上述のインク組成物とは独立してすることができる。本実施形態では、処理液を用いることで画質に優れる画像の記録ができる。反面、処理液を用いることで、インク成分と反応して凝集物が発生し、ノズルの吐出不良が生じたり、廃液流路や廃液タンクが詰まる場合がある。
1.4.1.凝集剤
本実施形態で用いられる処理液は、インク組成物の成分を凝集させる凝集剤を含有する。処理液が凝集剤を含むことにより、記録工程において、凝集剤とインク組成物に含まれる色材や樹脂等が速やかに反応する。そうすると、インク組成物中の色材や樹脂の分散状態が破壊されて凝集し、この凝集物が色材の記録媒体への浸透を阻害するため、記録画像の画質の向上の点で優れると考えられる。
凝集剤としては、例えば、多価金属塩、カチオンポリマー、カチオン性界面活性剤等のカチオン性化合物、有機酸が挙げられる。これらの凝集剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。これらの凝集剤の中でも、インク組成物に含まれる成分との反応性に優れるという点から、多価金属塩、有機酸、カチオンポリマーよりなる群から選択される少なくとも1種の凝集剤を用いることが好ましい。
なお、本実施形態において、後述するメンテナンス液は特定のキレート剤を含むため、処理液に含まれる凝集剤のうち、特に、多価金属塩による凝集物の再分散に効果があると推測される。これに対し、処理液の凝集剤としてカチオンポリマー等の有機カチオンを用いた場合には、キレート剤による凝集物の再分散効果が機能しない。このため、本実施形態においては、凝集剤として多価金属塩を用いた場合に、上記のノズルの吐出不良や、廃液流路や廃液タンクの詰まりを抑制する効果が得られる。
多価金属塩としては、二価以上の多価金属イオンとこれら多価金属イオンに結合する陰イオンとから構成され、水に可溶な化合物である。多価金属イオンの具体例としては、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、Ba2+などの二価金属イオン;Al3+、Fe3+、Cr3+などの三価金属イオンが挙げられる。陰イオンとしては、Cl、I、Br、SO 2−、ClO3−、NO3−、およびHCOO、CHCOOなどが挙げられる。これらの多価金属塩の中でも、処理液の安定性や凝集剤として
の反応性の観点から、カルシウム塩およびマグネシウム塩が好ましい。
処理液の凝集剤の濃度は、処理液の全質量に対し、0.5質量%以上であることが好ましく、1.0質量%以上であることがより好ましく、3.0質量%以上であることがさらに好ましい。また、処理液の凝集剤の濃度は、処理液の全質量に対し、15.0質量%以下であることが好ましく、10.0質量%以下であることがより好ましく、5.0質量%以下であることがさらに好ましい。
1.4.2.水
本実施形態で用いられる処理液は、水を主溶媒とする水系の組成物であることが好ましい。この水は、処理液を記録媒体に付着させた後、乾燥により蒸発飛散する成分である。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水または超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。また、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、処理液を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止できるので好適である。処理液に含まれる水の含有量は、処理液の全質量に対して、例えば、40.0質量%以上とすることができ、好ましくは50.0質量%以上であり、より好ましくは60.0質量%以上であり、さらに好ましくは70.0質量%以上である。
1.4.3.水溶性有機溶剤
本実施形態で用いられる処理液は、上記インク組成物で使用する水溶性有機溶剤と同様の水溶性有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤の種類や含有量等は、インク組成物の有機溶剤の好ましいものと同様のものにすることができる。水溶性有機溶剤を含有することにより、記録媒体に対する処理液の濡れ性を向上させることができる。水溶性有機溶剤の含有量は、特に限定されるものではないが、処理液の全質量に対して、例えば、10.0質量%以上80.0質量%以下とすることができ、好ましくは15.0質量%以上40.0質量%以下である。
1.4.4.界面活性剤
本実施形態で用いられる処理液は、界面活性剤を含有してもよい。処理液が界面活性剤を含有することにより、処理液の表面張力を低下させ、記録媒体との濡れ性を向上させることができる。界面活性剤の中でも、例えば、上記のアセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。これらの界面活性剤の具体例については、上述のインク組成物で例示する界面活性剤と同様のものを使用できる。界面活性剤の含有量は、特に限定されるものではないが、処理液の全質量に対して、0.1質量%以上5.0質量%以下とすることができる。
なお、後述するメンテナンス液のキレート剤と界面活性剤の含有量の質量比は、キレート剤1質量部に対し、界面活性剤0.15質量部以上6質量部以下であることが好ましく、0.3質量部以上3質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上2質量部以下であることがさらに好ましく、0.7質量部以上1.5質量部であることが特に好ましい。
1.4.5.その他の成分
本実施形態で用いられる処理液には、必要に応じて、上記のようなpH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等を添加してもよい。
1.4.6.処理液の調製方法
本実施形態で用いられる処理液は、上記の各成分を適当な方法で分散・混合することよって製造することができる。上記の各成分を十分に攪拌した後、目詰まりの原因となる粗
大粒子および異物を除去するためにろ過を行って、目的の処理液を得ることができる。
1.4.7.処理液の物性
本実施形態で用いられる処理液は、インクジェットヘッドで吐出させる場合には、20℃における表面張力が18mN/m以上40mN/mであることが好ましく、20mN/m以上35mN/m以下であることがより好ましく、22mN/m以上33mN/m以下であることがさらに好ましい。表面張力の測定は、例えば、自動表面張力計CBVP−Z(商品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートを処理液で濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
本実施形態において、処理液20℃における粘度は、画像品質とインクジェット記録用の処理液としての信頼性とのバランスの観点から、3mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上8mPa・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定は、例えば、粘弾性試験機MCR−300(商品名、Pysica社製)を用いて、20℃の環境下での粘度を測定することができる。
1.5.メンテナンス液
次に、本実施形態に係るメンテナンス液は、キレート剤と、界面活性剤と、を含有し、前記界面活性剤はポリオキシアルキレン鎖を有し、長鎖アルキルエーテルまたは芳香族エーテルであり、前記キレート剤は、アミノ基とカルボキシル基とを分子中に有し、インク組成物と、凝集剤を含有する処理液と、を用いて記録を行う記録装置の洗浄に用いる。
本実施形態において、メンテナンス液を用いて行う記録装置の洗浄の態様は後述する。以下、本実施形態に係るメンテナンス液について説明する。
1.5.1.キレート剤
本実施形態に係るメンテナンス液は、アミノ基とカルボキシル基とを分子中に有するキレート剤を含有する。このような特定のキレート剤は、分子中にアミノ基とカルボキシル基とを有することにより、処理液の凝集剤である金属イオンをキレート化する。これにより、凝集物中の金属イオンをキレート化して凝集物の再分散性に寄与すると推測される。このため、水系インクと処理液を用いたインクジェット記録において、凝集物の再分散効果により凝集物の発生を抑制して吐出不良を抑制することができる。なお、カルボキシル基やアミノ基は、塩の形態となっていても良い。
本実施形態において、キレート剤は、アミノ基を分子中に1個有する。また、キレート剤のカルボキシル基とヒドロキシル基の分子中の合計は1個以上であるが、2個以上が好ましく、3個以上であることが好ましく、4個以上であることがより好ましい。一方、カルボキシル基とヒドロキシル基の分子中の合計が8個以下であることが好ましく、7個以下であることがより好ましく、6個以下であることがさらに好ましく、5個以下であることがさらに好ましく、4個以下であることがさらに好ましい。キレート剤のカルボキシル基とヒドロキシル基の分子中の合計が前記範囲であることにより、金属イオンをキレート化して凝集物の再分散効果がより高まる。
また、本実施形態において、金属イオンをキレート化して凝集物の再分散効果をより高める点により、キレート剤はヒドロキシル基を有することが好ましく、ヒドロキシル基は1個以上有するこが好ましく、2個以上有することがより好ましい。一方、ヒドロキシル基は4個以下有することが好ましく、3個以下有することがより好ましく、2個以下有することがさらに好ましい。
さらに、本実施形態において、キレート剤はカルボキシル基を1個以上含むものである
が、カルボキシル基は2個以上有することが好ましく、3個以上有することがさらに好ましく、4個以上有することがより好ましい。一方、キレート剤のカルボキシル基は8個以下有することが好ましく、4個以下有することが好ましい。
一方、本実施形態において、キレート剤のアミノ基の好ましい数は1個以上4個以下が好ましく、3個以下が好ましく、2個以下が好ましい。特にアミノ基の数は1個であることが好ましい。キレート剤のアミノ基の数が前記範囲であることにより、特に凝集物の再分散効果が高くなる。
本実施形態において、キレート剤は上記の処理液に含まれる凝集剤のうち、特に、多価金属塩による凝集物の再分散に効果があると推測される。したがって、本実施形態に係るメンテナンス液を用いる場合には、処理液の凝集剤として多価金属塩を用いることが特に好ましい。
本実施形態で用いられるキレート剤としては、例えば、エチレンジアミン4酢酸・4ナトリウム塩(EDTA;カルボキシル基4個、アミノ基2個)、L−グルタミン酸2酢酸・4ナトリウム塩(カルボキシル基4個、アミノ基1個)、ジヒドロキシエチルグリシン・ナトリウム塩(カルボキシル基1個、アミノ基1個、ヒドロキシ基2個)等が挙げられる。これらの中でも、L−グルタミン酸2酢酸・4ナトリウム塩とジヒドロキシエチルグリシン・ナトリウム塩が金属イオンをキレート化して凝集物の再分散効果がより高い点から好ましい。
本実施形態で用いられるキレート剤の市販品としては、例えば、キレスト3A、2A、A,110、3B、2B、B、200、2C、C、3D(以上商品名、キレスト株式会社製、エチレンジアミン4酢酸・4ナトリウム塩)、キレストCMG−40(商品名、キレスト株式会社製、L−グルタミン酸2酢酸・4ナトリウム塩)、キレストGA、G−50(以上商品名、キレスト株式会社製、ジヒドロキシエチルグリシン・ナトリウム塩)等が挙げられる。
なお、本実施形態において、キレート剤としてリン酸系のキレート剤を用いた場合には、処理液中のカルシウムイオン等の金属イオンと反応して不溶性沈殿を生ずるため、好ましくない。
本実施形態において、キレート剤の含有量は、メンテナンス液の全質量に対して0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることがさらに好ましく、1.0質量%以上であることが特に好ましい。また、キレート剤の含有量は、メンテナンス液の全質量に対して10.0質量%以下であることが好ましく、8.0質量%以下であることがより好ましく、5.0質量%以下であることがさらに好ましく、3.0質量%以下であることが特に好ましい。キレート剤の含有量が前記範囲であることにより、金属イオンをキレート化して凝集物の再分散効果がより高まる。また、インクジェットヘッドから吐出させる際には、吐出安定性に優れる。
1.5.2.界面活性剤
本実施形態に係るメンテナンス液は、ポリオキシアルキレン鎖を有し、長鎖アルキルエーテルまたは芳香族エーテルである界面活性剤を含有する。このような特定のエーテル系の界面活性剤は、処理液中の凝集剤を補足することで凝集剤を不活性化する。これにより、インクの凝集抑制効果が得られ、ノズル面での吐出不良を抑制するだけでなく、インクや処理液の廃液流路や廃液タンクの詰りの発生を低減できると推測される。
界面活性剤が長鎖アルキルエーテルの場合の長鎖アルキルの炭素数は、17個以上30
個以下であることが好ましく、9個以上20個以下であることがより好ましく、10個以上15個以下であることがさらに好ましい。界面活性剤が芳香族エーテルの場合には、芳香族は、芳香環を1個以上有すればよい。前記範囲にあることにより、凝集抑制効果がより高まる。
本実施形態において、界面活性剤のポリオキシアルキレン鎖としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、これらの混合等が挙げられる。ポリオキシプロピレンとしては、ポリオキシ1,2−プロピレン、ポリオキシ1,3−プロプレンの何れであってもよく、ポリオキシ1,2−プロピレンが好ましい。ポリオキシアルキレン鎖の繰り返し数nは、5個以上50個以下であることが好ましく、7個以上30個以下であることがより好ましく、10個以上20個以下であることがさらに好ましい。前記範囲にあることにより、凝集抑制効果がより高まる。
本実施形態において、凝集抑制効果が高いため、界面活性剤は、長鎖アルキルエーテルよりも芳香族エーテルの方が好ましい。芳香族エーテルとしては、芳香族構造を有するものであればよく、例えば、置換されていてもいなくてもよいナフチルエーテル、フェニルエーテル等が挙げられる。具体的には、例えば、ナフチルエーテル、スチリルフェニルエーテルまたはトリベンジルフェニルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、凝集抑制効果が高いため、トリベンジルフェニルエーテルを用いることが特に好ましい。
本実施形態において、界面活性剤の分子量は100以上7000以下であることが好ましく、300以上1500以下であることがより好ましく、500以上800以下であることがさらに好ましい。界面活性剤の分子量が前記範囲にあることにより、凝集抑制効果がより高まる。また、インクジェットヘッドから吐出させる際には、吐出安定性に優れる。
本実施形態で用いられる界面活性剤の市販品としては、ペグノール−005(商品名、東邦化学株式会社製、ポリオキシアルキレントリベンジルフェニルエーテル、ノイゲン−XL−160(商品名、第一工業製薬株式会社製、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ノイゲン−EN10(商品名、第一工業製薬株式会社製、ポリオキシエチレンナフチルエーテル)、エマルゲンA−60(商品名、花王株式会社製、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル)
本実施形態において、界面活性剤の含有量は、メンテナンス液の全質量に対して0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることがさらに好ましく、1.0質量%以上であることが特に好ましい。また、界面活性剤の含有量は、メンテナンス液の全質量に対して10.0質量%以下であることが好ましく、8.0質量%以下であることがより好ましく、5.0質量%以下であることがさらに好ましく、3.0質量%以下であることが特に好ましい。界面活性剤の含有量が前記範囲であることにより、凝集抑制効果がより高まる。また、インクジェットヘッドから吐出させる際には、吐出安定性に優れる。
1.5.3.水
本実施形態に係るメンテナンス液は、水を含有することが好ましい。水は、メンテナンス液の保湿力を発揮するための主成分である。メンテナンス液の全質量に対する水の含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。
1.5.4.その他の成分
本実施形態で用いられるメンテナンス液には、必要に応じて、シリコーン系界面活性剤
、アセチレングリコール系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤の何れかの界面活性剤や、pH調整剤を含むことが好ましい。他の界面活性剤を含有することにより、メンテナンス液の表面張力を低下させ、凝集剤の凝集抑制効果や再分散効果を向上させることができる。また、pH調整剤でpHを制御することにより、キャップ部材等の部材の腐食を防ぐことができる。この場合、例えば、pH調整剤を添加してpHを5.0以上9.0以下の範囲に設定することができる。pH調整剤としては、例えば、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のアルコールアミン類が挙げられる。また、必要に応じて、水溶性有機溶剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、着色剤等を含有してもよい。
1.5.5.メンテナンス液の物性
本実施形態に係るメンテナンス液は、処理液によるノズル面の吐出不良の解消できれば、粘度については特に限定されない。例えば、本実施形態で用いられるメンテナンス液をインクジェットヘッドで吐出させる場合には、ノズル開口部から容易に吐出できるように、20℃における粘度が2mPa・s以上15mPa・s以下であることが好ましく、2mPa・s以上10mPa・s以下であることがより好ましい。
なお、粘度の測定は、粘弾性試験機MCR−300(Pysica社製)を用いて、20℃の環境下で、Shear Rateを10〜1000に上げていき、Shear Rate200時の粘度を読み取ることにより測定することができる。
1.5.6.メンテナンス液の調製方法
本実施形態に係るメンテナンス液は、上記の各成分を適当な方法で分散・混合することよって製造することができる。上記の各成分を十分に攪拌した後、目詰まりの原因となる粗大粒子及び異物を除去するためにろ過を行って、目的のメンテナンス液を得ることができる。
1.5.7.効果
以上示したように、本実施形態に係るメンテナンス液は、特定のキレート剤を含有することにより、処理液の凝集剤である金属イオンをキレート化して凝集物の再分散性に寄与する。このため、水系インクと処理液を用いたインクジェット記録において、凝集物の発生を抑制して吐出不良を抑制することができる。また、本実施形態に係るメンテナンス液は、特定の界面活性剤を含有することにより、処理液中の凝集剤を補足することで凝集剤を不活性化する。これにより、インクの凝集抑制効果が得られ、ノズル面での吐出不良を抑制するだけでなく、インクや処理液の廃液流路や廃液タンクの詰りの発生を低減することができる。このように、本実施形態に係るメンテナンス液、特定のキレート剤と界面活性剤を組み合わせることによって相乗的に多価金属塩による凝集の防止・再分散を可能にしている。
2.インクジェットヘッドのメンテナンス方法
次に、本実施形態に係るメンテナンス方法の一例について説明する。本実施形態に係るメンテナンス方法は、例えば、本実施形態に係るメンテナンス液を用いて、上記記録装置の一例であるインクジェット記録装置1の洗浄を行うものである。以下、本実施形態に係るメンテナンス液が用いられるものであり、また本実施形態に係るメンテナンス液を用いて行うものでもある、記録装置の洗浄であるメンテナンス方法の態様について説明する。
2.1.メンテナンス工程
本実施形態に係るメンテナンス方法のメンテナンス工程の態様としては、記録装置のインク組成物または処理液が付着する部材にメンテナンス液を付与して、インク組成物や処理液に起因する汚れ、異物、凝集物の発生を、防止したり、除去することが挙げられる。
本実施形態において、インク組成物または処理液が付着する記録装置の部材としては、記録媒体にインク組成物または処理液を付着させるためにインク組成物または処理液を付着させる部材、記録装置のメンテナンスのためにインク組成物または処理液を付着させる部材、インク組成物または処理液が不意に付着してしまう部材等が挙げられる。
上記部材は、具体的には、例えば、記録装置の筐体、ノズル面、ワイパー部材、キャップ、フラッシングボックス、インクジェットヘッドのインクまたは処理液が流通する内部、インクまたは処理液が流通しインクジェットヘッドへ供給するための供給管、インクジェットヘッドから排出したインクまたは処理液が流通する廃液管、インクジェットヘッドから排出したインクまたは処理液が収容される廃液タンク等が挙げられる。
記録装置は、インクジェットヘッドを備え、インクジェットヘッドからインクを吐出して記録を行う上記のインクジェット記録装置1が、特にメンテナンス性が得られる点で好ましい。
上記部材へメンテナンス液を付与する方法としては、上記部材へメンテナンス液を付着させること、部材へメンテナンス液を流通させること、上記部材へメンテナンス液を入れること等が挙げられる。
上記部材は、インクと処理液の一方が付着する部材であればよい。インクと処理液の一方が付着する部材であっても、他方が、ミストとして飛来したり、不意に付着や混合する場合がある。これによって異物や凝集物が発生する場合であっても、異物や凝集物の発生が抑制できる点で、メンテナンス液を用いた洗浄が好ましい。
特に、上記部材が、インク組成物が付着する部材の場合、インクに含まれている成分により、汚れ、異物、凝集物の発生が多いため、メンテナンス液を用いて洗浄することが好ましい。
メンテナンス方法は、例えば、処理液またはインクを吐出するインクジェットヘッドのノズル面を払拭する際に、ワイパー部材またはノズル面にメンテナンス液を付着させ、またはワイパー部材にメンテナンス液が含浸されており、こうしてノズル面をメンテナンス液を用いてワイパー部材でクリーニングすることが挙げられる。また、インクジェットヘッド内にメンテナンス液を流通させ、ヘッド内を洗浄することが挙げられる。また、キャップやフラッシングボックスなどにメンテナンス液を付着させることが挙げられる。さらに、インクジェットヘッドのキャップ部材にメンテナンス液を浸らせておき、これにノズル面を漬けて汚れをふやかしてから、払拭するなどにより汚れを除去することが挙げられる。その他、記録装置のインクまたは処理液が流通する供給管または廃液流路などの部材にメンテナンス液を流通すること、が挙げられる。また、廃液タンクにメンテナンス液を収容すること、等が挙げられる。
特に、インクジェットヘッドのノズル面に対して、メンテナンス液を用いノズル面をワイパー部材で払拭して洗浄を行うメンテナンス工程が挙げられる。また、インクジェットヘッドから排出したインク組成物が流通する廃液流路にメンテナンス液を流通させるメンテナンス工程が挙げられる。また、インクジェットヘッドから排出したインク組成物が収容される廃液タンクにメンテナンス液を収容するメンテナンス工程が挙げられる。これらの場合、特にメンテナンス性が得られるため好ましい。
2.1.1.流通によるメンテナンス工程
廃液流路にメンテナンス液を流通させる態様の一例である。上述した図1〜6に記載の
インクジェット記録装置1を用いて、メンテナンス液を供給したキャップ部材41でノズル面33を覆う。保湿する場合には、キャップ部材41の縁部47をノズル面33に密着させ、ノズル32をキャップ部材41の内側に封止させる。そして、吸引ポンプ42によりキャップ部材41内部に負圧を発生させ、ノズル32内のインクを、キャップ部材41内に吸引排出させる。この吸引動作により、ノズル32の増粘したインクや凝集物をノズル32外に排出することができる。図3においては、排出されたインクやメンテナンス液は排出通路126aを流通し、廃液タンク43に収容される。なお、メンテナンス液を廃液流路に流通させる方法は上記の態様に限らず、廃液流路にメンテナンス液を直接流通させるなどしてもよい。
このように、廃液流路にメンテナンス液を流通させる態様では、廃液流路において、インクに起因する異物や凝集物の発生を、メンテナンス液により抑制することができ、廃液流路の詰まりの防止ができ、好ましい。また、インクの廃液流路へ処理液も流通させてもよい。この場合、廃液流路を共通化でき合理的であり、このような場合でもメンテナンス性が得られ好ましい。
2.1.2.廃液タンクへ収容させることによるメンテナンス工程
上記のメンテナンス工程では、インクは廃液流路である排出通路126aを流通し、廃液タンク43に収容される。メンテナンス液も排出通路126aを流通して廃液タンク43に収容される。このように、廃液タンク43にメンテナンス液を収容することによって、廃液タンク43内における、インクに起因する異物や凝集物の発生が抑制でき、廃液タンク43から収容物を出すときに収容物が詰まることがなく、取り出しやすくなる。
廃液タンクへ収容させることによるメンテナンス工程は、メンテナンス液を排出通路126aを流通させる方法に限られず、メンテナンス液を直接廃液タンク43へ入れることにより収容する方法でもよい。また、廃液タンク43へ処理液を入れてもよい。処理液は、排出通路126aを流通させて廃液タンク43へ収容させてもよく、廃液タンク43へ直接入れることにより収容してもよい。この場合、廃液タンク43を共通化できるため合理的であり、このような場合でもメンテナンス性が得られるため好ましい。
2.1.3.クリーニングによるメンテナンス工程
メンテナンス工程が、インクジェットヘッド31のノズル面33に対してメンテナンス液を付着させてノズル面31をクリーニングする場合には、例えば、押圧手段等により払拭部材であるワイパー部材をインクジェットヘッド31のノズル面33に対して押圧荷重を加えることにより、メンテナンス液を含浸させた吸収体によってインクジェットヘッド31のノズル面を払拭する。または、インクジェット記録式ヘッド等の吹き付け手段によってノズル面33にメンテナンス液を吹き付けたり、メンテナンス液が付着したノズル面33をさらに払拭手段によって払拭する方法によりノズル面33をクリーニングする。その他、布ワイパーに予めメンテナンス液含浸させておく方法が挙げられる。その他、キャップ部材41をメンテナンス液で浸らせておき、これにノズル面33を漬けて凝集物をふやかしてからワイパー部材で払拭する方法が挙げられる。
これらの場合において、メンテナンス液が上述のキレート剤と界面活性剤を含有することにより、ノズル面がメンテナンス液と直接接触し、メンテナンス液がノズル面に付着し乾燥した反応液固形物を溶解や膨潤させたり、キレート化により金属を再分散させるため、凝集物によるノズル面の吐出不良の解消が可能となる。
メンテナンス工程において洗浄に用いたメンテナンス液は、排出部126から、インクの廃液流路である排出通路126aを通過して1つの廃液タンク43にインクや処理液と共に排出されてもよい。このように構成することで、排出通路126aや廃液タンク43
内での凝集物の発生を特に抑制することができる。なお、使用済みのメンテナンス液だけでなく、未使用メンテナンス液をストレートに排出通路126aに流しても、排出通路126aや廃液タンク43内での凝集物の発生を抑制することもできる。また、排出通路126aに処理液を流すことは必須ではなく、処理液が流れない場合であってもノズル面33で処理液が付着していたものが排出通路126aや廃液タンク43内で徐々に反応が進んで凝集する場合がある。本実施形態では、排出通路126aをメンテナンス液が流れ、廃液タンク43に溜められることにより、排出通路126aや廃液タンク43内での凝集物の発生を抑制することができる。
なお、メンテナンスを行うインクジェットヘッド31のノズル面33は、少なくともインクを吐出するインク吐出ノズル群に形成されたノズル面を洗浄するものであれば本実施形態による効果が得られる。これは、処理液ミストが飛来してインク吐出ノズル群のノズル面に付着したり、記録媒体が浮いてノズル面に接触して記録媒体に付着していた処理液がノズル面に付着し、インクがノズル面で異物化するためである。
また、メンテナンス工程としては、メンテナンス液を用い、上記のような、クリーニング、廃液流路に流通させること、廃液タンクに収容すること、のいずれかを備えていれば、本発明による効果が特に得られて好ましい。より高い効果を得るために、上記メンテナンス液の流通または収容することと、クリーニングと、の両工程を備えることが好ましい。廃液流路を流通させたメンテナンス液を廃液タンクに入れることも好ましい。
2.2.メンテナンス工程以外の工程(記録工程)
記録工程は、上述したメンテナンス工程の前または後に、色材を含むインク組成物と、インク組成物の成分を凝集または増粘させる凝集剤を含む処理液と、を記録媒体へ付着させ記録を行う工程である。
記録装置としては、インクジェット記録装置でも、他の記録装置でもよいが、特にインクジェット記録装置が好ましい。本実施形態では、記録工程の前または後に上述したメンテナンス工程を行っているため、ノズルの吐出不良が解消されており、記録の際の吐出安定性が得られ、画質が向上する。
なお、インクジェット記録装置は、少なくともインク組成物をインクジェットヘッドから吐出して記録を行うものであればよい。処理液は、インクジェットヘッドから吐出して記録を行うものでもよいし、ローラー法、スプレー法、バーコート法などにより記録媒体に付着して記録を行うものでもよい。
インクジェット記録装置の記録工程の一例として、インクジェットヘッドのノズルからインク組成物の液滴と凝集剤を含む処理液の液滴とをそれぞれ吐出させて、記録媒体表面上に付着させることにより画像を記録するものが挙げられる。これにより、記録媒体表面にインク組成物からなる画像が形成される。
本発明において「画像」とは、ドット群から形成される記録パターンを示し、テキスト印字、ベタ画像も含める。なお、「ベタ画像」とは、記録解像度で規定される最小記録単位領域である画素の全ての画素に対してドットを記録し、通常、記録媒体の記録領域がインクで覆われ記録媒体の地が見えていないような画像であるべき画像パターンを意味する。
なお、記録工程の後、記録媒体に付着させたインク組成物を乾燥させる乾燥工程を備えていてもよい。この場合には、記録媒体表面に付着させたインク組成物に触れた際に、べたつきが感じられない程度まで乾燥を行うことが好ましい。インク組成物の乾燥工程は、
自然乾燥で行ってもよいが、加熱を伴う乾燥であることが好ましい。本実施形態によるインクジェットヘッドのメンテナンス方法では、メンテナンス液がノズル面に付着し乾燥した処理液固形物を溶解や膨潤させ除去する効果が高いため、乾燥工程を有し、ノズルがつまり易い環境であっても処理液によるノズル面の吐出不良が解消される。
以上示したように、本実施形態に係るメンテナンス方法では、特定のキレート剤を含有することにより、処理液の凝集剤である金属イオンをキレート化して凝集物の再分散性に寄与する。このため、水系インクと処理液を用いたインクジェット記録において、凝集物の発生を抑制して吐出不良を抑制することができる。また、本実施形態に係るメンテナンス液は、特定の界面活性剤を含有することにより、処理液中の凝集剤を補足することで凝集剤を不活性化する。これにより、インクの凝集抑制効果が得られ、ノズル面での吐出不良を抑制するだけでなく、インクや処理液の廃液流路や廃液タンクの詰りの発生を低減することができる。インクの凝集抑制効果が得られ、ノズル面での吐出不良を抑制するだけでなく、インクや処理液の廃液流路や廃液タンクの詰りの発生を低減することができる。
また、通常、インクと処理液を用いたインクジェット記録では、凝集性能の高いカルシウムイオンのような金属イオンを用いた凝集剤の場合、処理液のミストがインクノズルに付着することや、記録した記録媒体がインクジェットヘッドのノズルと接触することにより、ノズルが閉塞する可能性も高くなるため、インクの吐出信頼性が低くなることが課題となる。これに対し、本実施形態に係るメンテナンス方法では、吐出信頼性を損なうことなく凝集性能の高い凝集剤を用いることができ、高品質な画像を提供できる。また、キャップ部材に本実施形態に係るメンテナンス液を充填できるようにしておけば、ノズルの洗浄になることに加え、メンテナンス機構の洗浄・詰まり抑制にも有効であり、インクと凝集液のラインを分ける必要がなくなり、システムを簡便化できる。
3.実施例
以下、本発明の実施形態を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
3.1.インク及び処理液の調製
表1に記載の配合割合になるように各成分をビーズミルを用いて混合攪拌し、孔径5μmのメンブランフィルターで濾過してインクと処理液1、2を得た。なお、顔料分散液は、C.1.ピグメントブルー15:3と、Mw7000で酸価150のスチレン−アクリル酸共重合体(表中には記載せず)を、質量比2:1で純水に混合し、ジルコニアビーズミルを用いて分散して得たものを用いた。表1中の数値は全て質量%を示し、水はインクの全質量が100質量%となるように添加した。また、表1に記載の顔料分散液、アクリル系樹脂エマルジョン、ワックスエマルジョンについては、固形分換算した値を示す。
Figure 2020131625
表1において記載した物質の詳細は、以下の通りである。
・アクリル系樹脂エマルジョン:Mw25000、酸価180、Tg80℃のスチレンアクリル系樹脂微粒子。
・ワックスエマルジョン:商品名「AQUACER507」、水系用変性パラフィンワックスエマルション、ビックケミー・ジャパン株式会社製
・界面活性剤:シリコーン系界面活性剤、商品名「BYK−348」、ビッグケミージャパン株式会社製
・カチオンポリマー:アミン・エピクロルヒドリン縮合型ポリマー、商品名「カチオマスターPD−7」、四日市合成株式会社製
3.2.メンテナンス液の調製
表1の配合割合になるように各成分を混合攪拌した後、孔径5μmのメンブランフィルターで濾過して、各メンテナンス液M1〜M13を調製した。なお、表2中の数値は全て質量%を示し、純水はメンテナンス液の全質量が100質量%となるように添加した。
Figure 2020131625
表2において記載した物質の詳細は、以下の通りである。
アミノ基とカルボキシル基を有するキレート剤
・キレスト3D:商品名、キレスト株式会社製、エチレンジアミン4酢酸・4ナトリウム塩
・キレストCMG−40:商品名、キレスト株式会社製、L−グルタミン酸2酢酸・4ナトリウム塩
・キレストG−50:商品名、キレスト株式会社製、ジヒドロキシエチルグリシン・ナトリウム塩
その他のキレート剤
・ケンロックス100:商品名、ナガセケムテックス株式会社製、アミノトリメチレンホスホン酸
ポリオキシエチレン鎖を有する、長鎖アルキルまたは芳香族エーテル界面活性剤
・ペグノール−005:商品名、東邦化学株式会社製、ポリオキシアルキレントリベンジルフェニルエーテル
・ノイゲン−XL−160:商品名、第一工業製薬株式会社製、ポリオキシエチレントリデシルエーテル
・ノイゲン−EN10:商品名、第一工業製薬株式会社製、ポリオキシエチレンナフチルエーテル
・エマルゲンA−60:商品名、花王株式会社製、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル
その他の界面活性剤
・ローマD:商品名、サンノプコ株式会社製、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物
・SNディスパー5034:商品名、サンノプコ株式会社製、ポリカルボン酸ナトリウム
・オルフィンE1010:商品名、日信化学工業株式会社製、アセチレングリコール系界面活性剤
3.3.記録及びメンテナンス
3.3.1.評価試験用記録装置
装置として、セイコーエプソン株式会社製のSC−S40650改造機を用意した。プラテンヒーターを備え、インクや処理液付着時に記録媒体を加熱可能とした。インクジェットヘッドを3個備え、主走査方向に横並びして配置させた。第1ヘッドの1ノズル列にインク、第2ヘッドの1ノズル列に処理液、第3ヘッドの1ノズル列にメンテナンス液を充填し、主走査方向に投影した時に、副走査方向の位置が重なっているような各ノズル群の配置とした。各ノズル列は、360個のノズルを有する。
また、各ヘッド毎に別々にノズル列を吸引キャップでキャップして、各ノズル列を個別に吸引クリーニング可能とした。吸引キャップから、共通の廃液流路であるエラストマー製の管につなぎ、共通の廃液タンクに廃液を収容するようにした。さらに、図6の布ワイパー機構を備える構成とし、ヘッド毎に布ワイパーでワイピング可能とした。
3.3.2.記録方法
上記記録装置を用いて、表3に記載の組み合わせで記録及びメンテナンス液を用いたメンテナンスを行った。プラテンヒーターを調整して記録媒体の表面温度が35℃になる様に設定した。インクノズル列と処理液ノズル列のノズルを全て吐出に使用し、テストパターンにインクと処理液を重ねて付着させて記録を行った。インク付着量は12mg/inch、処理液付着量は6mg/inchとした。記録媒体として、商品名「IJ180Cv3−10」、3Mジャパン株式会社製の塩ビフィルムを用いた。なお、参考例では
、処理液をノズル群に充填しなかった。したがって、処理液は記録に使用せず、評価もされていない。
Figure 2020131625
3.4.評価方法
3.4.1.凝集抑制効果の評価
メンテナンス液0.1gとインク0.1gを混合して攪拌し、凝集体が発生するまで処理液を加え、加えた処理液の量でメンテナンス液の凝集抑制効果を下記基準で評価した。
(評価基準)
A:1gで凝集発生なし。
B:1gわずかに凝集物発生。0.1gでは発生なし。
C:0.1gで凝集物若干発生。
D:0.1gで凝集物かなり発生。不溶性沈殿物発生。
3.4.2.凝集物の再分散効果の評価
上記の記録装置を使用し、第1ヘッドのノズル面を、処理液を含んだ布帛で5cm擦り、40℃で1時間静置した。同ヘッドノズル面を、メンテナンス液を含んだ布ワイパーで5cmワイピングした。ワイピング後、ノズル列のノズル検査を行い、ノズルの不吐出有無を確認し、吐出するノズルの率を下記基準で評価した。なお、試験前は全ノズル吐出していた。
(評価基準)
A:吐出するノズルの率が100%
B:吐出するノズルの率が90%以上99%以下
C:吐出するノズルの率が80%以上89%以下
ノズル面に不溶性異物は観察されず。
D:80%以下、かつ、ノズル面に不溶性異物が観察された。
3.4.3.画質の評価
上記の記録方法による記録で得られたテストパターンを目視にて確認し、インクの濃さが不均一になって形成されたムラの有無を確認した。下記基準で評価した。
(評価基準)
A:テストパターン内にムラが観察されない。
B:テストパターン内に細かなムラが認められる。
C:テストパターン内に大きなムラが認められる。
3.5.評価結果
評価試験の結果を、表3に示す。
アミノ基とカルボキシル基とを分子中に有するキレート剤と、ポリオキシアルキレン鎖を有し、長鎖アルキルエーテルまたは芳香族エーテルである界面活性剤を含むメンテナンス液を使用した実施例は、いずれも優れた凝集抑制効果と凝集物の再分散効果が得られた。これに対し、そうではない比較例では、いずれも凝集抑制効果と凝集物の再分散効果のいずれか、もしくは両方が劣っていた。詳細を記す。
実施例1〜3より、キレート剤のアミノ基の数が少ない方が、凝集物の再分散効果が高かった。また、実施例2、4〜6より、界面活性剤のうち、トリベンジルフェニルエーテルが最も凝集抑制効果が高かった。実施例2、7、8より、キレート剤の量が低くなると凝集物の再分散効果が低下し、界面活性剤の量が低くなる凝集抑制効果が低下した。実施例1、9より、処理液の凝集剤としてカチオンポリマーを使用すると、メンテナンス液のキレート効果がやや弱いため凝集物の再分散効果が低下したが、画質は優れていた。
比較例1、2、5では、メンテナンス液がポリオキシアルキレン鎖を有し、長鎖アルキルエーテルまたは芳香族エーテルである界面活性剤を含まないため、実施例に比べると、凝集物の再分散効果だけでなく、特に凝集抑制効果が低下した。特に、界面活性剤としてアセチレングリコール系界面活性剤を含有する比較例5では、凝集抑制効果と凝集物の再分散効果の両方が低下した。
比較例3はメンテナンス液がキレート剤を含まないため、実施例2に比べて凝集物の再分散効果が低下した。比較例4は、メンテナンス液が界面活性剤を含むものの、アミノ基とカルボキシル基とを分子中に有するキレート剤ではなかったため、実施例2に比べると、凝集抑制効果も凝集物の再分散効果も大幅に低下した。
なお、処理液を使用しない参考例は、凝集再分散評価において、処理液を含む布帛に代えて処理液を含まない布帛を用いた。参考例の結果より、処理液を用いない場合は凝集物が発生しないことがわかった。ただし、参考例は画質が劣り、好ましくなかった。
上記の結果のうち、キレート剤はカルシウム塩による凝集の再分散に効果があると推測される。ただし、リン酸系キレート剤はカルシウムと反応して不溶性沈殿を生成するので適切ではない。また、分散剤として機能する界面活性剤は、凝集抑制に効果があるが、ポリオキシアルキレン構造を有することが必須であり、この構造を持たない界面活性剤には十分な抑制効果がなく、却って評価が低下する。また、界面活性剤は末端のエーテルの置換基での差はわずかではあるが、トリベンジルフェニルエーテルが最も凝集抑制効果が高い結果となった。また、処理液の凝集剤としてカチオンポリマー等の有機カチオンを用いた場合、メンテナンス液のキレート剤が機能しないため、本実施形態のメンテナンス方法の場合には、凝集剤として多価金属イオンが好ましい。
なお、表中に記載しないが、上記記録装置を用いて、別途メンテナンス試験をおこなった。廃液流路の詰まりを確認した。詳細には、上記の記録装置を用いて、上記記録方法で、1日2時間の記録を行った。1日の記録を行う前に、第1、第2、第3の全てのヘッドに対してそれぞれ吸引量を1ccの吸引クリーニングを行い、廃液を共通の廃液流路を介して廃液タンクに廃棄した。6か月使用した後に廃液流路を確認した。上記3.4.1.の評価結果がDだった例では、上記メンテナンス試験において、廃液流路に詰まりが発生し、廃液が流れにくいことが確認された。さらには、該例は、廃液タンク内においても収容物に固形分が多く発生し、廃液タンクから収容物を出し難かった。この結果と上記3.4.1.の評価結果と合わせると、凝集物が多く発生すると廃液流路が詰まりやすくなり、また廃液タンクも詰まりやすくなると推測される。
また、表中に記載しないが、上記の記録装置で、別途クリーニング試験を行った。上記の記録装置を用い、上記記録方法で10時間連続して記録した。記録後に上記の布ワイパーにメンテナンス液を付着させ、インクのノズル列のワイピングをおこなった。ワイピング後、ノズル検査した。クリーニング試験の結果、上記3.4.2.の評価試験とほぼ同様の結果になった。また、別途、いずれの例においても処理液を使用せずに記録試験を行い、該クリーニング試験を行ったところ、いずれも評価結果はB以上だった。これらの結果から、処理液を用いて記録試験を行ったり、処理液でノズル面を擦ることでノズルの不吐出が発生するが、メンテナンス液の種類によっては、ワイピングでノズル回復できると推測される。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…インクジェット記録装置(記録装置)、2…記録媒体、6…プラテンローラー、7…搬送ローラー、10…搬送ユニット、20…キャリッジユニット、21…キャリッジ、22…キャリッジモーター、23…タイミングベルト、24…インクカートリッジ、25…ガイド軸、30…ヘッドユニット、31…ヘッド、32…ノズル、33…ノズル面、34…ノズルプレート、36,36a,36b…ノズル列、41,41a,41b…キャップ部材、42…吸引ポンプ、43…廃液タンク、47…縁部、50…キャップ昇降ユニット、51…インク吸収体、53…筐体、56…第1ロール、57…第2ロール、58…第1軸、59…第2軸、60…吸引ユニット、63…ディスペンサー、72…ワイピング機構、73…押圧ローラー、73a…遊転軸、90…検出器群、100…コントローラー、101…インターフェイス部、102…CPU、103…メモリー、104…ユニット制御回路、110…コンピューター、126…排出部、126a…排出通路(廃液流路)、127…排出チューブ、129…廃インク吸収材、D…インクの液滴。

Claims (13)

  1. キレート剤と、界面活性剤と、を含有し、
    前記界面活性剤はポリオキシアルキレン鎖を有し、長鎖アルキルエーテルまたは芳香族エーテルであり、
    前記キレート剤は、アミノ基とカルボキシル基とを分子中に有し、
    インク組成物と、凝集剤を含有する処理液と、を用いて記録を行う記録装置の洗浄に用いる、メンテナンス液。
  2. 前記界面活性剤は、ポリオキシアルキレン鎖を有し、長鎖アルキルエーテル、ナフチルエーテル、スチリルフェニルエーテルまたはトリベンジルフェニルエーテルの何れかである、請求項1に記載のメンテナンス液。
  3. 前記キレート剤は、アミノ基を分子中に1個有する、請求項1または請求項2に記載のメンテナンス液。
  4. 前記キレート剤の含有量は、前記メンテナンス液の全質量に対して0.1質量%以上10.0質量%以下である、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
  5. 前記界面活性剤の含有量は、前記メンテナンス液の全質量に対して0.1質量%以上10.0質量%以下である、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
  6. さらに、pH調整剤と、
    シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤の何れかの界面活性剤と、を含む、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
  7. 前記インク組成物が、顔料を含有する、請求項6に記載のメンテナンス液。
  8. 前記記録装置はインクジェットヘッドを備え、該インクジェットヘッドから前記インク組成物を吐出して前記記録を行う、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
  9. 前記インクジェットヘッドは、
    前記インク組成物を吐出するインク吐出ノズル群と、前記処理液を吐出する処理液吐出ノズル群と、を有し、
    前記インク吐出ノズル群と前記処理液吐出ノズル群とを主走査軸に沿って投影したときに、前記インク吐出ノズル群と前記処理液吐出ノズル群とは、前記主走査軸に交差する副走査軸に沿って重なる部分を有する、請求項8に記載のメンテナンス液。
  10. 前記記録装置は、前記インク組成物を吐出する前記インクジェットヘッドのノズル面をワイパー部材で払拭して洗浄を行うメンテナンス方法を行い、該メンテナンス方法に用いられる、請求項8または請求項9に記載のメンテナンス液。
  11. 前記記録装置は、前記インクジェットヘッドから排出した前記インク組成物を流通させる廃液流路、または前記インクジェットヘッドから排出した前記インク組成物を収容する廃液タンクを備え、
    前記廃液流路に前記メンテナンス液を流すことによりメンテナンスが行われるか、また
    は前記廃液タンクに前記メンテナンス液を収容することによりメンテナンスが行われる、請求項8ないし請求項10のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
  12. 前記記録装置は、前記インク組成物を流通させる前記廃液流路に前記処理液を流通させるか、または前記インク組成物を収容する前記廃液タンクに前記処理液を収容する、請求項11に記載のメンテナンス液。
  13. 請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載のメンテナンス液を用いて、前記記録装置の洗浄を行う、メンテナンス方法。
JP2019030633A 2019-02-22 2019-02-22 メンテナンス液及びメンテナンス方法 Pending JP2020131625A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022208702A1 (ja) 2021-03-31 2022-10-06 コニカミノルタ株式会社 インクジェット記録用インクセット、インクジェット記録方法、メンテナンス方法及びインクジェット記録装置

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