JP2020128817A - 伝動装置、駆動ユニット及び可動ユニット - Google Patents
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Abstract
Description
この種の減速機は、歯車を利用した構成だけでなく、例えばチェーン或いはベルト等を利用した構成等、多種多様な構成が知られている。例えば下記特許文献1には、歯状セグメントを利用した減速機が示されている。
カムディスクは、例えばモータの駆動によって軸線回りに回転し、この回転に伴って複数の歯状セグメントを、順番に径方向の外側に向けて移動させてリングギアの歯部に対して噛合させている。これにより、リングギアを軸線回りに回転させることが可能とされている。
なお、歯車、チェーン或いはベルト等を利用する減速機の場合には、これら歯車、チェーン或いはベルト等を設置するための設置スペースが多く必要となってしまうので、歯状セグメントを用いる場合よりも大径化し易い傾向にある。
D>R×(cosθ/tanθ)・・(1)
〔式(1)中、θは前記歯溝の開き角の半分の角度である。〕
なお、歯溝の深さDが、R×(cosθ/tanθ)以下の場合には、内歯部の歯溝内に可動体が十分に入り込むことができず、内歯部に対する噛み合いが浅くなってしまう。そのため、回転体に対する動力伝達効率が低下する傾向にある。
特に、ハウジングには傾斜面が形成されているので、例えば伝動装置の組み立てを行うにあたって、傾斜面を利用して可動体を収容孔側に誘導して、該収容孔内に案内することができる。これにより、可動体を収容孔内にスムーズに導入でき、収容孔内に留まらせることができる。そのため、その後に、収容孔内からの可動体の飛び出し等を生じさせることなく、回転体を組み合わせることができるので、組み立て作業を容易且つ効率良く行うことができる。
0°<θ1≦10°
25°≦θ2≦40°
特に第1接触角度θ1は、動力が伝達される偏心カムと可動体との接触角度であり、いわゆる入力側の接触角度に相当する。この接触角度に関しては、角度が小さくなるほど可動体を噛合位置に向けて効率良く押圧することができ、可動体を介して内歯部に動力を効率良く伝えることが可能となる。従って、第1接触角度θ1を上記角度範囲とすることで、偏心カムから可動体を介して内歯部に伝える動力の伝達効率(トルク増幅倍率)を高めることができる。
また第2接触角度θ2は、可動体と内歯部における歯面との接触角度であり、いわゆる出力側の接触角度に相当する。この接触角度に関しても、角度が小さくなるほど可動体から歯面に対して回転方向に力を伝え易く、内歯部を効率良く押圧することができる。従って、同様に可動体を介して内歯部に動力を効率良く伝えることが可能となる。しかしながらその反面、第2接触角度θ2を小さくしすぎると、歯溝の開き角が小さくなり、内歯部及び歯溝を精度良く形成することが難しくなるといった形成性の困難性を招いてしまう。従って、第2接触角度θ2を上記角度範囲とすることで、可動体を内歯部に伝える動力の伝達効率(トルク増幅倍率)を高めつつ、内歯部及び歯溝の形成性を維持することができる。
以下、本発明に係る第1実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、駆動ユニットをギアードモータに適用した場合を例に挙げて説明する。
減速機2及びステッピングモータ3は、互いに重なった状態で一体的に組み合わされている。本実施形態では、減速機2及びステッピングモータ3が重なった方向を上下方向という。また、上下方向のうち、ステッピングモータ3から減速機2に向かう方向を上方といい、その反対方向を下方という。
ステッピングモータ3は、ステータ10及びロータ11を備えている。
ステータ10は、有底筒状に形成されたステータハウジング12と、ステータハウジング12の内側に固定された図示しないステータコアと、を備えている。ステータコアは、コイルが巻回された図示しない複数のティースを有している。
なお、ステータハウジング12の上端部には、該ステータハウジング12を上方から閉塞するブラケット13が取り付けられている。
図1〜図5に示すように、減速機2は、モータ軸線O回りに回転可能とされた偏心カム20と、偏心カム20の周囲に配置された複数のボール(本発明に係る可動体)30と、モータ軸線O回りに回転可能に配置され、複数の内歯部41を有する出力軸部材(本発明に係る回転体)40と、複数のボール30を保持する保持部材60と、保持部材60と出力軸部材40を一体的に組み合わせるハウジング70と、を備えている。
図4及び図6に示すように、ハウジング70は、有底筒状に形成され、モータ軸線Oと同軸に配置された状態でステッピングモータ3のブラケット13の上面に載置されている。ハウジング70は、ブラケット13の上面に載置された底壁部71と、出力軸部材40を径方向の外側から囲む外郭筒部72と、を備えている。
なお、底壁部71は、ブラケット13の上面に対して例えば接着等によって一体的に固定されている。ただし、この場合に限定されるものではなく、例えば溶着、融着や嵌合等によって、底壁部71をブラケット13の上面に一体的に固定しても構わない。
収容凹部75における底面には、上方に向かって突出した位置決め突起76が形成されている。位置決め突起76は、底壁部71の上面に達しない程度の突出量で突設されている。図示の例では、位置決め突起76は、周方向に一定の間隔をあけて2つ形成されている。これにより、2つの位置決め突起76は、モータ軸線Oを挟んで径方向に向かい合うように配置されている。ただし、位置決め突起76の数及び配置は、上述した場合に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
図示の例では、傾斜面77は周方向の全周に亘って延びるように環状に形成されている。この傾斜面77は、減速機2の組み立て時において、ボール30を後述するボール収容孔62内に案内する機能を果たしている。この点については、後に説明する。
外郭筒部72の内周面は、出力軸部材40を回転可能にガイドするガイド面として機能する。また外郭筒部72には、該外郭筒部72を上下に貫通する一対の挿通孔78が形成されている。なお、一対の挿通孔78は底壁部71も貫通している。従って、一対の挿通孔78は、ハウジング70の全体を上下方向に貫通するように形成されている。一対の挿通孔78は、モータ軸線Oを挟んで径方向に向かい合うように配置されている。
図2、図4、図5及び図7に示すように、偏心カム20は、ステッピングモータ3の駆動シャフト15に連結され、駆動シャフト15から伝達された動力によって、モータ軸線O回りに回転可能とされている。
偏心カム20は、所定の厚みを有するプレート状に形成され、中央部分には駆動シャフト15を挿通するための軸孔21がモータ軸線Oと同軸上に形成されている。偏心カム20は、軸孔21の内側に駆動シャフト15が例えば圧入等によって嵌合固定されることで、駆動シャフト15に対して一体的に連結されている。
なお、偏心カム20は、ステッピングモータ3のブラケット13との間に隙間をあけた状態で駆動シャフト15に連結されていると共に、駆動シャフト15の上端面と偏心カム20の上面とが略面一となるように連結されている。
なお、偏心カム20のうち軸孔21と突起部22との間には、偏心カム20を上下方向に貫通する第1位置決め孔23が形成されている。
ただし、偏心カム20の回転方向は上述した場合に限定されるものではなく、時計方向に回転するように構成しても構わない。
図4及び図5に示すように、複数のボール30は、偏心カム20よりも径方向の外側に配置されると共に、周方向に一定の間隔をあけて配置されている。本実施形態では、10個のボール30が周方向に一定の間隔をあけて配置されている。そのため、各ボール30は、モータ軸線Oと中心として、36°の角度毎に配置されている。これら複数のボール30は、保持部材60によって周方向への位置決めがされた状態で保持されている。
なお、ボール30の数は10個に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。また、本実施形態では、複数のボール30を周方向に一定の間隔をあけて配置した場合を例に挙げて説明するが、この場合に限定されるものではなく、周方向に隣り合うボール30同士の間隔は一定でなくとも良い。
図4、図5及び図8に示すように、保持部材60は、偏心カム20と出力軸部材40との間にモータ軸線Oと同軸に配置された保持リング61と、保持リング61に形成され、各ボール30をそれぞれ収容する複数のボール収容孔(本発明に係る収容孔)62と、を備えている。
なお、本実施形態では、保持リング61とハウジング70とを別体に構成しているが、この場合に限定されるものではなく、例えば保持リング61とハウジング70とを一体形成しても良い。このようにすることで、部品点数を少なくすることができ、減速機2の生産効率の向上化に繋げることができる。
保持リング61は、位置決め凹部63内に位置決め突起76を嵌め込んだ状態で、収容凹部75内に組み込まれている。従って、保持部材60の全体は、周方向及び径方向に対して移動不能にハウジング70に組み合わされている。
なお、本実施形態では、ボール収容孔62を周方向に一定の間隔をあけて形成した場合を例に挙げて説明するが、この場合に限定されるものではない。例えば、先に述べたように、周方向に隣り合うボール30同士の間隔が一定でない場合は、それに対応してボール収容孔62の間隔を設定しても良い。
従って、傾斜面77はボール収容孔62よりも径方向の外側に位置すると共に、保持リング61の外周面に向かうにしたがって、保持リング61の下端部側に向けて傾斜するように配置されている。そのため、減速機2の組み立て時、傾斜面77を利用してボール収容孔62内に向けてボール30を誘導して、ボール収容孔62内にボール30が収容されるように案内することが可能とされている。
図5に示すように、各ボール30は、ボール収容孔62内に収容された状態において、保持リング61における内周面よりも径方向の内側に突出して偏心カム20の外周面に対して接触していると共に、保持リング61における外周面よりも径方向の外側に突出している。これにより、各ボール30は、偏心カム20の回転に伴って、ボール収容孔62内で径方向に移動可能とされている。具体的には、各ボール30は、偏心カム20の回転に伴って、後述する内歯部41の歯溝50内に入り込む噛合位置P1と、歯溝50から外れる離脱位置P2との間を径方向に沿って移動可能とされている。
図2、図4、図5、図9及び図10に示すように、出力軸部材40は、保持部材60及び複数のボール30を径方向の外側から囲む環状の内歯車42と、内歯車42の上端部に連設された天壁部43と、を備えた有頂筒状に形成され、モータ軸線Oと同軸上に配置されている。
出力軸部材40は、偏心カム20の回転に伴う各ボール30の径方向への移動によって、モータ軸線O回りを回転するように構成されている。具体的には、出力軸部材40は、偏心カム20の回転方向とは逆向きの時計方向に回転するように構成されている。
なお、本実施形態では、第1ガイド突起74をハウジング70における底壁部71の上面に形成したが、この場合に限定されるものではなく、例えば内歯車42の下端面から下方に向けて突出するように第1ガイド突起74を形成し、ハウジング70における底壁部71の上面に対して接触させても構わない。
第2ガイド突起44は、例えば断面視で半円形状に膨出するように形成されていると共に、上下方向に間隔をあけて2つ形成している。ただし、第2ガイド突起44の数は2つに限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
なお、本実施形態では、第2ガイド突起44を内歯車42の外周面に形成したが、この場合に限定されるものではなく、例えばハウジング70における外郭筒部72の内周面から径方向の内側に向かって突出するように第2ガイド突起44を形成し、内歯車42の外周面に対して接触させても構わない。
本実施形態では、図5に示すように、9歯の内歯部41が周方向に一定の間隔をあけて形成されている。そのため、ボール30と内歯部41とは、ボール30の個数(10個)の方が内歯部41の歯数(9歯)よりも多い関係とされている。
第1歯面41aは、歯先面41cのうち時計方向側に位置する周端から時計方向側に向かうにしたがって径方向の外側に向かって延びるように傾斜して、周方向に隣接する突起部22の第2歯面41bに対して連設されている。
第2歯面41bは、歯先面41cのうち反時計方向側に位置する周端から反時計方向側に向かうにしたがって径方向の外側に向かって延びるように傾斜して、周方向に隣接する突起部22の第1歯面41aに対して連設されている。
従って、歯溝50は、周方向に隣り合う内歯部41同士において、一方の内歯部41における第1歯面41aと、他方の内歯部41における第2歯面41bと、の間に形成される。そのため、歯溝50における周方向に沿った幅は、径方向の外側に向かうにしたがって漸次狭くなるように形成されている。
本実施形態における噛合位置P1とは、図5に示すように、保持リング61から径方向の外側に向けてボール30が最も移動した状態で歯溝50内に入り込んだ位置であって、ボール30の外周面が第1歯面41a及び第2歯面41bの両方に対して接触した位置とされている。このとき、ボール30は、偏心カム20の突起部22によって径方向の外側に押圧された状態とされている。
また本実施形態における離脱位置P2とは、歯溝50内からボール30が抜け出た位置とされている。そのため、離脱位置P2に位置するボール30は、1つとは限られない。
上述のように構成された減速機2は、図1、図2及び図4に示すように、ハウジング70に対して上方から組み合わされるカバープレート90をさらに備えている。
カバープレート90は、中央部分に出力軸部材40における天壁部43の中央部分43bを挿通させるための挿通孔91が、該カバープレート90を上下方向に貫通するように形成されている。カバープレート90は、挿通孔91内に天壁部43の中央部分43bを挿通させた状態で、ハウジング70における外郭筒部72の上端面に対して上方から重なっている。
なお、第1位置決めピン80及び第2位置決めピン81の上端面は、カバープレート90の上面に対して面一とされている。
次に、上述のように構成されたギアードモータ1の減速機2について、ボール30、保持部材60、内歯部41及び歯溝50について、さらに詳細に説明する。
従って、各ボール30は、ステップ角度に対応して周方向に一定の間隔をあけて配置されている。つまり、各ボール30は、駆動シャフト15を4ステップ毎回転させたときのステップ角度36°に対応して配置されている。
なお、各ボール30は、周方向位置に関係なく保持リング61の外周面よりも径方向の外側に突出しているので、常に上記関係を満たしている。
D>R×(cosθ/tanθ)・・(1)
歯溝50の深さDとは、モータ軸線O方向から見た平面視で、第1交点S1と第2交点S2との間の径方向に沿った距離である。第1交点S1は、モータ軸線O方向から見た平面視で、第1歯面41aに沿って延びる第1仮想直線L1と、第2歯面41bに沿って延びる第2仮想直線L2との交点とされている。第2交点S2は、モータ軸線O方向から見た平面視で、第1交点S1とモータ軸線Oとを径方向に結ぶ第3仮想直線L3と、歯先面41cに沿って延びる仮想円弧線L4との交点である。
この場合において、距離d1及び距離d2は、以下の式(2)、式(3)で表すことができる。
・距離d1=d2×cosθ
・距離d2=R/tanθ
従って、上記式(2)及び式(3)により、距離d1は、以下の式(4)で表すことができる。
・距離d1=R×(cosθ/tanθ)
次に、上述のように構成されたギアードモータ1の組み立てについて簡単に説明する。
はじめに、図14に示すように、ステッピングモータ3における駆動シャフト15に対して偏心カム20を組み合わせ、軸孔21内に駆動シャフト15を圧入する。この際、駆動シャフト15の上端面が偏心カム20の上面に対して面一となるように圧入する。これにより、駆動シャフト15に対して偏心カム20を一体的に連結することができる。
特に、保持部材60を組み合わせる際、ハウジング70側の位置決め突起76を、保持部材60側の位置決め凹部63内には嵌め込むように組み合わせる。これにより、保持部材60を周方向及び径方向に移動不能にハウジング70に組み合わせることができる。
そして、ハウジング70を載置した後、図17に示すように、ハウジング70の挿通孔78内に第1位置決めピン80及び第2位置決めピン81をそれぞれ挿入して取り付ける。なお、第1位置決めピン80及び第2位置決めピン81については、挿通孔78の内側に固定して構わない。
ハウジング70の周方向位置の調整が終了した後(すなわち、第1位置決めピン80、第2位置決めピン81及び第3位置決めピン95が径方向に一直線に並んだ後)、ハウジング70における底壁部71をブラケット13の上面に対して例えば接着等により固定する。
これにより、ボール30をボール収容孔62内にスムーズに導入でき、ボール収容孔62内に留まらせることができる。
具体的には、出力軸部材40に形成された第2位置決め孔47内に第3位置決めピン95を挿入しながら、出力軸部材40を上方から組み合わせる。これにより、出力軸部材40は、内歯車42の下端面がハウジング70の第1ガイド突起74上に接触し、且つ第2ガイド突起44がハウジング70の外嵌筒部の内周面に対して接触した状態で組み合わされる。
以上のことにより、ギアードモータ1の組み立て作業を終了することができ、図1に示すギアードモータ1を得ることができる。
次に、上述のように組み立てられたギアードモータ1を作動させる場合について説明する。
この場合には、図1に示す接続端子14を介してステッピングモータ3のコイルを励磁して、駆動シャフト15を回転させる。これにより、図5に示すように、駆動シャフト15に伴って偏心カム20を反時計方向にモータ軸線O回りに回転させることができる。そのため、偏心カム20の回転に伴って複数のボール30を離脱位置P2と噛合位置P1との間で径方向に沿って移動させることができる。
例えば、図20に示すように、偏心カム20が反時計方向に回転することで、偏心カム20の突起部22が噛合位置P1に位置しているボール30に対して反時計方向側に隣接配置されているボール30に向けて移動する。そのため、このボール30を偏心カム20の回転に伴って、矢印F1に示す如く径方向の外側に向けて移動させて歯溝50内にさらに入り込ませることができる。
従って、偏心カム20の回転に伴って、1/9の減速比で減速しながら、出力軸部材40を偏心カム20とは逆向きに回転させることができる。
その結果、偏心カム20の回転に伴って、各ボール30を噛合位置P1と離脱位置P2との間で径方向に移動させることができると共に、順番に噛合位置P1に位置させることができる。これにより、偏心カム20の回転に伴って、1/9の減速比で減速しながら、出力軸部材40を偏心カム20とは逆向きに回転させることができる。
そのため、例えば保持リング61の外周面からボール30が径方向の外側に向けて最も突出した位置、すなわち噛合位置P1に位置した場合であっても、ボール30が保持リング61の外周面から、半径Rを超えて突出してしまうことを防止することができる。従って、噛合位置P1において、ボール30が周方向にがたついてしまうことを効果的に抑制することができると共に、噛合位置P1から径方向の内側に向けてスムーズに移動させることができる。
そのため、保持リング61の径方向に沿った厚みよりもボール30の直径を大きくすることができる。従って、保持リング61の内周面よりもボール30を径方向の内側に突出させて偏心カム20の外周面に適切に接触させることができると共に、保持リング61の外周面よりもボール30を径方向の外側に突出させて内歯部41の歯溝50内に入り込ませることができる。
D>R×(cosθ/tanθ)・・(1)
そのため、ボール30を噛合位置P1に位置させたときに、内歯部41の歯溝50内に適切にボール30を入り込ませて、内歯部41を時計方向に安定的に押圧することができる。そのため、内歯車42を適切に回転させることができる。
なお、歯溝50の深さDがR×(cosθ/tanθ)以下の場合には、内歯部41の歯溝50内にボール30が十分に入り込むことができず、内歯部41に対する噛み合いが浅くなる、或いは噛み合わなくなる。そのため、内歯車42に対する動力伝達効率が低下又は動作しない可能性がある。
そのため、ボール収容孔62の収容幅の最大値を、ボール30の直径の1.2倍よりも小さくすることができる。これにより、ボール収容孔62とボール30との間に適切な隙間を確保することができる。従って、周方向へのボール30のがたつきを抑制しながら、径方向へのボール30のスムーズな移動を可能とした状態で、ボール収容孔62内にボール30を収容することができる。
次に、本発明に係る第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
減速機110は、減速機2上に重なった状態で一体に組み合わされている。なお、上段の減速機110は、第1実施形態で説明した下段の減速機2と同様の構成とされているため、各構成品には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
上段側の減速機110における偏心カム20は、下段側の減速機2の出力軸46に対して一体的に連結されており、下段側の減速機2における出力軸46の回転に伴ってモータ軸線O回りに回転する。
なお、本実施形態では、減速機2、110を具備する2段構成にした場合を例に挙げて説明したが、2段に限定されるものではなく、例えば減速機を3段以上重ねた構成としても構わない。特に、減速機を多段に構成することで、減速比を容易に変更(調整)することが可能であるので、各種の用途に適用し易くなる。
ただし、ボール30を利用した場合には、偏心カム20の回転に伴って例えば適宜転動させる等して、より抵抗少なく径方向にスムーズに移動させることが可能となる。従って、出力軸部材40への動力伝達効率を向上させることができ、出力軸部材40を安定且つスムーズに回転させることができる。
例えば図24に示すように、ボール30の数を10個とし、内歯部41の歯数を11個とした減速機(本発明に係る伝動装置)120としても良い。
この場合、内歯部41及び歯溝50は、モータ軸線Oを中心として約32.73°の角度毎に配置される。従って、従って、モータ軸線Oを中心とした各ボール30の配置角度(36°)と、各歯溝50の配置角度(約32.73°)との間には、約3.27°の角度差がついている。
・0°<θ1≦10°
・25°≦θ2≦40°
第2接触角度θ2は、モータ軸線O方向から見た平面視で、上記第5仮想直線L5と、内歯部41における歯面のうち反時計方向側を向いた第2歯面41bとボール30との接触点M2における接線L8と、の間の角度である。
従って、第1接触角度θ1を上記角度範囲とすることで、偏心カム20からボール30を介して内歯部41に伝える動力の伝達効率(トルク増幅倍率)を高めることができる。なお、第1接触角度θ1が10°よりも大きくなる場合には、図26に示すように、第2接触角度θ2が上記範囲内を満たしている場合において、トルク増幅倍率が10前後よりも低くなってしまい、伝達効率の向上化に貢献し難くなる。
しかしながらその反面、第2接触角度θ2を小さくしすぎると、図25に示す歯溝50の開き角θAが小さくなってしまい、内歯部41及び歯溝50を精度良く形成することが難しくなるといった形成性の困難性を招いてしまう。従って、第2接触角度θ2を上記角度範囲とすることで、ボール30を内歯部41に伝える動力の伝達効率(トルク増幅倍率)を高めつつ、内歯部41及び歯溝50の形成性を維持することができる。
ただし、この場合に限定されるものではなく、先に述べたように、産業用ロボット、ロボットアーム、患者の動作をサポートする医療用サポート機器、家電機器、AV機器等の各種機器(可動ユニット)に適用しても構わない。
P1…噛合位置
P2…離脱位置
P3…動力伝達位置
θ1…第1接触角度
θ2…第2接触角度
1、100…ギアードモータ(駆動ユニット)
2、110、120…減速機(伝動装置)
3…ステッピングモータ(駆動装置)
20…偏心カム
30…ボール(可動体)
40…出力軸部材(回転体)
41…内歯部
60…保持部材
61…保持リング
62…ボール収容孔(収容孔)
70…ハウジング
77…傾斜面
130…ロボットハンド(可動ユニット)
131…フィンガー部(可動部)
140…ピック&プレース装置(可動ユニット)
144…可動アーム(可動部)
Claims (14)
- 伝達された動力によって軸線回りに回転可能とされた偏心カムと、
前記偏心カムよりも径方向の外側に配置されると共に、前記軸線回りを周回する周方向に間隔をあけて配置された複数の可動体と、
複数の前記可動体を前記径方向の外側から囲んだ状態で前記軸線回りに回転可能に配置されると共に、前記周方向に間隔をあけて形成された複数の内歯部を有する回転体と、
前記可動体のそれぞれを、前記周方向への移動を抑制しながら前記径方向に移動可能に保持する保持部材と、を備え、
前記可動体は、前記軸線方向から見た平面視で円形の外形を有するように形成されると共に、前記偏心カムの回転に伴って、前記内歯部の歯溝内に入り込む噛合位置と前記歯溝から外れる離脱位置との間を前記径方向に沿って移動可能とされ、
前記可動体は、前記偏心カムの回転に伴って順番に前記噛合位置に向けて移動すると共に、前記噛合位置への移動に伴って前記内歯部を周方向に押圧することを特徴とする伝動装置。 - 請求項1に記載の伝動装置において、
前記可動体は、ボールである、伝動装置。 - 請求項1又は2に記載の伝動装置において、
前記保持部材は、
前記偏心カムと前記回転体との間に配置された保持リングと、
複数の前記可動体に対応して前記周方向に間隔をあけて前記保持リングに形成され、前記可動体をそれぞれ収容する複数の収容孔と、を備え、
前記収容孔は、前記保持リングを前記径方向に貫通するように形成され、前記可動体を前記周方向への移動を抑制しながら前記径方向に移動可能に収容し、
前記可動体は、前記保持リングにおける内周面よりも前記径方向の内側に突出して前記偏心カムに接触していると共に、少なくとも前記噛合位置に位置したときに、前記保持リングにおける外周面よりも前記径方向の外側に突出する、伝動装置。 - 請求項3に記載の伝動装置において、
前記軸線方向から見た平面視で、前記可動体の半径R(mm)と、前記保持リングにおける前記外周面からの前記径方向の外側に向けた前記可動体の突出量M(mm)とは、R≧Mの関係を満たしている、伝動装置。 - 請求項3又は4に記載の伝動装置において、
前記軸線方向から見た平面視で、前記可動体の半径R(mm)と、前記保持リングの前記径方向に沿った厚みT(mm)とは、R>0.5×Tの関係を満たしている、伝動装置。 - 請求項3から5のいずれか1項に記載の伝動装置において、
前記軸線方向から見た平面視で、前記可動体の半径R(mm)と、前記歯溝の深さD(mm)とは、下記式(1)の関係を満たしている、伝動装置。
D>R×(cosθ/tanθ)・・(1)
〔式(1)中、θは前記歯溝の開き角の半分の角度である。〕 - 請求項3から6のいずれか1項に記載の伝動装置において、
前記軸線方向から見た平面視で、前記収容孔は一定の収容幅で前記径方向に沿って形成され、
前記軸線方向から見た平面視で、前記可動体の半径R(mm)と、前記収容孔の前記収容幅W(mm)とは、W<1.2×(2×R)の関係を満たしている、伝動装置。 - 請求項3から7のいずれか1項に記載の伝動装置において、
前記保持部材を前記周方向及び前記径方向に移動不能に支持すると共に、前記回転体を回転可能にガイドした状態で、前記保持部材及び前記回転体に対して一体的に組み合わされたハウジングを備え、
前記ハウジングには、前記収容孔よりも前記径方向の外側に位置すると共に、前記保持リングにおける前記外周面側に向かうにしたがって、前記保持リングの下端部側に向けて延びる傾斜面が形成されている、伝動装置。 - 請求項1から8のいずれか1項に記載の伝動装置において、
前記可動体の数は、前記内歯部の歯数よりも多い、伝動装置。 - 請求項8又は9に記載の伝動装置において、
前記保持部材と前記ハウジングとが、一体形成されている、伝動装置。 - 請求項1から10のいずれか1項に記載の伝動装置において、
前記可動体は、前記偏心カムの回転に伴って前記離脱位置から前記噛合位置に移動するまでの間に、前記可動体と前記偏心カムとの第1接触角度θ1、及び前記可動体と前記内歯部との第2接触角度θ2が下記の角度範囲を満たす動力伝達位置を経由して前記噛合位置に移行する、伝動装置。
0°<θ1≦10°
25°≦θ2≦40° - 請求項1から11のいずれか1項に記載の伝動装置と、
前記偏心カムに対して動力を伝える駆動装置と、を備えることを特徴とする駆動ユニット。 - 請求項12に記載の駆動ユニットにおいて、
前記駆動装置は、ステッピングモータとされ、
複数の前記可動体は、前記ステッピングモータのステップ角度に対応して前記周方向に間隔をあけて配置されている、駆動ユニット。 - 請求項12又は13に記載の駆動ユニットと、
前記回転体の回転に伴って可動する可動部と、を備えることを特徴とする可動ユニット。
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