JP2020124673A - 固液分離システムおよび固液分離方法 - Google Patents

固液分離システムおよび固液分離方法 Download PDF

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Abstract

【課題】下水処理場の多層式の最終沈殿池の各層への流入量を最適化し、最終沈殿池の処理能力を向上させることができる固液分離システム、および固液分離方法の提供。【解決手段】本発明の一実施形態である固液分離システムは、下水処理場の最終沈殿池Pを内部壁10で上層と下層に仕切ることで、上層流と下層流を形成する少なくとも二階層の沈殿池に分離しながら、最終沈殿池の上層および下層のそれぞれに設けられるトラフ(水路)および孔あき管の少なくとも一方を介して排水する多層式の固液分離システムにおいて、下層流の排水量を、上層流の排水量より多くする流量調整手段が設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、下水処理場の最終沈殿池で用いられる固液分離システムおよび固液分離方法に関し、特に下水の流量調整により最終沈殿池の処理能力を向上させる多層式の固液分離システムおよび固液分離方法に関する。
非特許文献1には、上層と下層を有する二階層式の沈殿池が開示されている。流入部の位置および形状はできるだけ上下層に下水が均等に流入するようにし、さらに、越流部の調整によって均等化を図れる構造とすることが記載されている。
「下水道施設計画・設計指針と解説 後編」社団法人日本下水道協会 1994年
下水処理場では環境負荷の軽減の観点から既存施設の高度処理化が求められており、それにともなって最終沈殿池の処理能力増強が求められている。既存施設の高度処理化等に伴う最終沈殿池の処理能力増強においては、地方自治体の財政状況を鑑みれば、多大な設備投資は難しい状況にあり、費用対効果の観点から既設の最終沈殿池の有効活用が求められる。さらに、改築などで一部停止が必要となった際に、最終沈殿池の不足能力を仮設で賄うことは容易ではないことから、短期間かつ比較的小規模の改修工事で対応できる手段が求められている。
非特許文献1には、下水処理場における二階層式の沈殿池では、上下各層に均等に下水が流入することが考慮すべき事項として挙げられている。一方、実際の下水処理場における二階層式の最終沈殿池では、下層への下水の流入量と上層への流入量を比較すると、主には水圧の影響から下層への流入量よりも上層への流入量の方が多くなるのが通常である。物理的な構造として下層の沈降面積は上層の沈降面積より大きいにも関わらず、下層への下水の流入量が上層への下水の流入量よりも少ないということは、下層は充分な処理能力を発揮できておらず、処理能力には余裕があることを意味している。すなわち、上下各層への下水の流入量を調整することで下層への流入量を増やせば、沈殿池の処理能力を最大化できると考えられる。しかしながら、非特許文献1に開示されている二階層式の沈殿池には、上下層への下水の流入量の調整に関しての具体的な方法、および下層への流入量を上層よりも多くするということは一切記載されていない。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、多層式の最終沈殿池の下層の処理量を増加させることによって、各層への流入量を最適化し、最終沈殿池の処理能力を最大化し得る固液分離システム、および固液分離方法を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態である固液分離システムは、下水処理場の最終沈殿池を上層と下層の多層構造とすることで上層流と下層流を形成する少なくとも二階層の沈殿池に分離しながら、前記最終沈殿池の前記上層および前記下層のそれぞれに設けられるトラフ(水路)および孔あき管の少なくとも一方を介して排水する多層式の固液分離システムにおいて、前記下層流の排水量を、前記上層流の排水量より多くする流量調整手段が設けられている。
前記上層流の排水量に対する前記下層流の排水量の比(一日当たりの下層流の排水量/一日当たりの上層流の排水量)が、1より大きく、4より小さいことが好ましく、前記上層流の排水量は一日当たり200t〜4500tであり、前記下層流の排水量は一日当たり550t〜8000tであり得る。
前記流量調整手段が、前記下層の前記トラフの側面に形成されたノッチの底部の位置に対する、前記上層の前記トラフの側面に形成されたノッチの底部の位置の変位、および、前記下層の前記トラフの側面に形成されたノッチの幅に対する、前記上層の前記トラフの側面に形成されたノッチの幅の変化のいずれかまたは両方であることが好ましく、前記下層の前記トラフの側面に形成されたノッチの底部が、前記上層の前記トラフの側面に形成されたノッチの底部より前記最終沈殿池の底面側になるように前記上層および下層のトラフが形成されていることがさらに好ましい。
また、前記上層または下層の前記トラフに、前記トラフの側面に形成された前記ノッチの底部の位置および前記ノッチの幅の少なくとも一方を変え得る調整板が可動式に取り付けられていてもよい。
前記流量調整手段が、前記下層のトラフの近傍の水中に配され、排水路に通じる孔あき管であってよい。
また、前記流量調整手段が、前記下層のトラフの近傍の水中に配され、排水が入るように小孔が形成された孔あき管にポンプを接続して排水し得る構成であってもよい。
本発明の別の実施形態である固液分離方法は、下水処理場の最終沈殿池を上層と下層の多層構造とすることで上層流と下層流を形成する少なくとも二階層の沈殿池に分離しながら、前記最終沈殿池の前記上層および前記下層のそれぞれに設けられるトラフおよび孔あき管の少なくとも一方を介して排水する多層式の固液分離方法において、前記下層からの排水量と、前記上層からの排水量との比を調整しながら固液の分離を行うことを特徴とする。
本発明の実施形態によれば、上層と下層を有する少なくとも二階層式の最終沈殿池において、上下各層への下水の流入量を最適に調整することによって、下層の下水を処理する量が増加する。これによって、二階層式の最終沈殿池の処理能力を最大化することができる。その結果、既設の最終沈殿池の処理能力を最大限に活用できる効率的な固液分離システムおよび固液分離方法が提供される。
本発明の一実施形態の固液分離システムを模式的に示す図である。 本発明の一実施形態の固液分離システムに設けられている流量調整手段の一例を説明する図である。 本発明の一実施形態の固液分離システムに設けられている流量調整手段の一例を説明する図である。 本発明の一実施形態の固液分離システムに設けられている流量調整手段の一例である、トラフ側面に設けられた可動式の調整板を説明する図である。 本発明の一実施形態の固液分離システムに設けられている流量調整手段の一例である、トラフ側面に設けられた可動式の調整板の別の例を説明する図である。 本発明の一実施形態の固液分離システムに設けられている流量調整手段の別の例を説明する図である。 本発明の一実施形態の固液分離システムに設けられている流量調整手段の別の例を説明する図である。 本発明の一実施形態の固液分離システムに、傾斜板装置が備えられた状態を説明する図である。 傾斜板間の下水の流動および汚泥の挙動を説明する図である。 傾斜板の一例を示す図である。 図7Aの傾斜板の断面図である。 傾斜板の別の例を示す図である。 傾斜板の別の例を示す図である。 傾斜板の別の例の断面図である。 傾斜板の別の例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の固液分離システムが説明される。図1〜図4Bには、本発明の一実施形態の固液分離システム1が模式的に示されている。固液分離システム1は、下水処理場における最終沈殿池Pとして用いられる。
一般的な下水処理場では、下水管を流れてきた下水は沈砂池などを経て最初沈殿池に流入し、比較的比重の大きい汚泥が沈降分離された後、反応槽に流入し、反応槽で供給される活性汚泥中の微生物による有機物の分解やフロックの形成などを経て最終沈殿池に流入する。最終沈殿池でフロックなどの比較的比重の小さい汚泥が沈降分離された上澄水が、塩素混和池などを経て河川や海に放流される。
前述のように、非特許文献1には、処理水は、上層と下層とで均等に流入するように考慮することが記載されている。しかし、下層の方が上層よりも水流の経路が長くなる場合には、単位沈降面積当たりの流入量を等しくするには、下層の排水量を上層の排水量よりも多くする必要がある。一般的に上層と下層とを有する二階層式の沈殿池では、前述したように、下層の沈降面積の方が上層の沈降面積よりも大きくなる。そのため、下層の排水量を上層の排水量よりも多くしなければ、単位沈降面積当たりの流入量を等しくすることができない。本発明者らは、この知見に基づいて、下層の排水量を上層の排水量よりも多くすることによって、下層の単位沈降面積当たりにかかる処理量を上層と同程度にすることができ、結果的に沈殿池全体の処理能力を最大化させ得ることを見出した。
本発明者らは、下層の排水量を上層の排水量よりも多くするため、さらに鋭意検討を重ねた結果、上層の排水面の高さよりも下層の排水面の高さを低くしたり、下層の排水面近くに別途排水管を設けたり、その排水管からポンプによって排水したりするなどの流量調整手段を設けることによって、上述の課題を解決し得ることを見出した。
本発明の一実施形態の固液分離システム1を設けた最終沈殿池Pは、図1に概略図で示されるように、最終沈殿池Pが、上層と下層を仕切る内部壁10によって上層沈殿池PHと下層沈殿池PLとに仕切られている。最終沈殿池Pに流入した下水Wは、上層沈殿池PHまたは下層沈殿池PLへと分かれて流入し、上層流と下層流を形成する。上層沈殿池PHまたは下層沈殿池PLに流入した下水Wは、それぞれの沈殿池PH、PLにフロックなどを沈降させながら、流入部から流出部の水面に向かい、最終的に上層の沈殿層PHの水面WL1付近に設けられたトラフ(水路)11、および下層沈殿池PLの水面WL2付近に設けられたトラフ(水路)12へと流出して最終沈殿池Pの外へと排水される。
下水Wの最終沈殿池P外への排水は、トラフ11、12を介しての排水の他に、別の排水手段が用いられてもよい。例えば、孔あき管(図4A参照)120aがトラフ12付近に設けられ、この孔あき管120aを介して排水されてもよい。固液分離システム1には、詳しくは後述される、下層流の排水量を上層流の排水量よりも多くし得る流量調整手段が設けられており、トラフ11、12からの排水および/または、別の排水手段により、上層流および下層流の排水量が制御され、上層流の排水量に対する下層流の排水量の比が1よりも大きくなるように調整され得る。
最終沈殿池Pの上層沈殿池PHは、設置場所によって種々異なるが、一般的に、沈降面積は下層沈殿池PLよりも小さく、上層の沈殿池PHの体積は、たとえば、上層沈殿池PHと下層沈殿池PLの体積を合わせた体積の20〜45%を占める。本実施形態によって、下層沈殿池PLからの排水量を上層沈殿池PHからの排水量よりも多くすることによって、最終沈殿池Pには、一日当たり1000t〜10000tの下水Wが流入する場合、上層流の排水量は一日当たり200t〜4500tで、下層流の排水量は550t〜8000tになる。
下水Wが沈殿池PH、PLに流入した後、上層流および下層流がトラフ11、12に流出するまでの間、下水Wに含まれる汚泥は自重によって沈降し、沈殿池底部に堆積する。すなわち、汚泥が分離された上澄水がトラフ11、12に流出して最終沈殿池Pの外へと排水される。上層沈殿池PHおよび下層沈殿池PLにはそれぞれ汚泥掻き寄せ機131、132が装備されている。上下各層の沈殿池の底面に沈降して堆積している汚泥(図示せず)は、汚泥掻き寄せ機131、132が、図1上、時計回りに回転することで、堆積した汚泥が汚泥ピット13に集められる。汚泥ピットに集められた汚泥は図示されないポンプで抜き取られる。ポンプで抜き取られた汚泥は反応タンクに返送され、余剰な汚泥は最初沈殿池で抜き取られた泥と共に処理される。
上述のように、実際の下水処理場における従来の固液分離システムとして使用されている二階層式の最終沈殿池では、下層への下水の流入量と上層への流入量を比較すると、下層への流入量よりも上層への流入量の方が多く、下層は充分な処理能力を発揮できておらず、処理能力には余裕がある。従来の二階層式の最終沈殿池における上述の問題の原因は、下層における下水が流入する部分にかかる水圧が、上層の下水が流入する部分にかかる水圧よりも大きいことが主たる原因であると考えられる。また、下水にフロックなどが含まれている等の理由により、下水の粘性が高くなる傾向にあるため、流入しやすい上層に下水がより多く流入してしまうことも上述の問題の一因と考えられる。
そこで本発明者らは、下層から強制的に多くの下水を排水する流量調整手段を設けることによって、下層の単位沈降面積あたりの排水量を上層の単位沈降面積あたりの排水量とほぼ等しくすることを考えた。流量調整手段の一例である、トラフ11、12への下水の流出量の調整について、図1、図2Aおよび2Bを参照して説明される。
図1には、トラフ11、12の長手方向(紙面に対して垂直の方向)における断面が略U字型で示されている。汚泥と分離されて水面付近まで浮上した上澄水は、略U字型で図1に示されるトラフ11、12の鉛直に立ち上がる側面に形成されたVノッチ111、121(図2A〜2B参照)を越えてトラフ11、12の内側に流出し、トラフ11、12の内側の流路を経て排水される。ここで水面WL1と水面WL2はパスカルの原理によりほぼ等しい高さを有している。
図2A〜2Bには、図1の固液分離システム1における、上層沈殿池PHに設けられているトラフ11、および下層沈殿池PLに設けられているトラフ12の側面がそれぞれ示されている。図示される例では、トラフ11、12の側面には、一定の間隔でVノッチのVノッチ111および121が形成されている。水面がこのVノッチ111、121より高ければ、このVノッチ111、121からトラフ11、12の内側へと流出する。従って、上層と下層との水面が一定であれば、このトラフ11、12のVノッチ111、121の底部の位置を異ならせることによって、Vノッチ111、121の底部の低い方が排水量は多くなる。
トラフ11、12に使用される材質としては、たとえばポリ塩化ビニル(PVC)、ステンレス、繊維強化プラスティック(FRP)、圧延鋼材(SS材)、銅などがあげられる。使用環境を考慮すると耐水性、耐候性に優れた材質が好ましい。一実施形態の固液分離システム1が模式的に示された図1では、上層沈殿池PHに備えられたトラフ11は4本で、下層沈殿池PLに設けられたトラフ12は5本で示されているが、トラフの数はこれに限定されない。
一実施形態である固液分離システム1における、下層のトラフ12の側面に形成されたVノッチ121の底部121bの位置(Vノッチの深部の先端)を、上層のトラフ11の側面に形成されたVノッチ111の底部111bの位置に対して、例えば低くなるように変位させておくことによって下層の排水量を多くすることができる。図2Aおよび2Bに示される例では、上層のトラフ11の側面に形成されたVノッチ111の底部111bは、下層のトラフ12の側面に形成されたVノッチ121の底部121bよりも、最終沈殿池の底面側になるように(水面に対して深くなるように)形成されていることによって、下層の排水量が多くなる。
Vノッチ111、121の底部111bと底部121bの位置の変位は、上層流の排水量および下層流の排水量を調整する手段として機能し得る。トラフ11、12の側面に形成されたVノッチ111、121の底部111b、121bの水面からの位置により、Vノッチ111、121を通じてトラフ11、12の内側へと流出する下水の流出量は変化する。
さらに、Vノッチ111、121の幅(開口部の広さ)を変化させることにより、上層および下層の排水量を調整することも可能である。Vノッチの幅が狭くなれば、下水のトラフへの流出は少なくなり排水量が減少し得る。Vノッチ111、121の幅は最大箇所で1cm〜50cmの範囲であることが好ましく、3cm〜30cmであることがさらに好ましい。当該範囲内でのVノッチ111、121の幅の調整により、下層の排水量を多く調整し得る。後述のように、トラフに取り付けられて横方向に可動な調整板をスライドさせて、Vノッチ111、121の幅を調整することも可能である(図3A参照)。なお、「ノッチ」は、厳密にV字形状のノッチ以外にも、平坦もしくは円弧状の底部を有するU字形状のノッチでもよい。また、「ノッチ」は、V字状またはU字状のノッチが連なった、全体として鋸歯状または凹凸形状のノッチであってもよい。
上述の流量調整手段を下水処理場における既設の最終沈殿池に適用する場合、トラフ側面に設けられているノッチの底部の位置や幅を、加工によって変更することが考えられるが、これには工事に時間と労力を要し、大きなコストが必要とされることが課題となる。施工性の観点から好ましくない。このような場合、図3Aに示されるような、ノッチの底部の位置と幅を変え得る可動式の調整板を上層のトラフ11および下層のトラフ12の少なくとも一方の側面に取り付けて、上下各層への流入量を調整し得る。
図3Aには、上層のトラフ11に調整板11Pが取り付けられている例が示されている。図3Aでは、調整板11Pは左右方向(矢印の方向)に可動なように設けられている。これによって、調整板11Pを左に移動させれば、Vノッチ111の幅が狭くなるとともに底部111bが上方に上がり、処理水の流出量が減少する。このような構造であれば、既存の設備であっても、場所の占有をほとんど必要とすることなく取り付けることができる。その結果、簡単に上層の排水量を調整し得る。
調整板11Pを左右方向に可動させる仕組みは、調整板11Pの位置を簡易に左右方向(横方向)に移動させ得るものであれば特に限定されない。たとえばトラフ11の側面に複数のアンカー(図示せず)が打設され、調整板11Pのアンカーに対応した位置に、左右方向に複数のアンカー取付け用の穴があけられ、調整板11Pが所望の位置でアンカーとナットによりトラフ側面へ固定されてもよい。
調整板11Pに用いられる材質はトラフ11と同様に、使用環境を考慮すると耐水性、耐候性に優れた材質が好ましい。たとえばポリ塩化ビニル(PVC)、ステンレス、繊維強化プラスティック(FRP)、圧延鋼材(SS材)、銅などが用いられ得る。特に銅が用いられた場合は防藻性を向上させ得る。調整板の板11Pの厚さは、水圧に対する強度の観点からトラフと同じ、もしくはそれ以上の厚みであることが好ましい。
図3Aには一枚の調整板11PがひとつのVノッチ111の一部分を閉塞し得るように取り付けられているが、この調整板11Pは、上層沈殿池PHのトラフ11のVノッチ111のすべてに取り付けられてもよく、任意の一部のVノッチ111にのみ取り付けられてもよい。
次に、図3Bを参照しながら、流量調整手段の一例である、トラフの側面に設けられた可動式の調整板のさらに別の例が説明される。図3Bには、Vノッチ111を部分的に閉塞し得る、上下方向に可動な調整板11Qが示されている。図3Bに示される例では、調整板11Qが上下方向、すなわち縦方向に移動することによって、Vノッチ111の底部111bが上下方向(水面に対して垂直方向)に移動する。これに伴って、Vノッチ111を通じたトラフ11内側への処理水の流出量は変化することになる。すなわち、調整板11Qが縦方向に移動することで、Vノッチ111からの処理水の流出量が制御され、上層流の排水量が調整され得る。
図3Aおよび図3Bには、調整板11P、11Qが上層のトラフ11の側面に取り付けられて可動する流量調整手段の例が示されているが、調整板は下層のトラフ12にも取り付けられ得る。下層のトラフ12の側面に取り付けられた調整板によって、下層のトラフ12のVノッチ121の底部121bを、上層のトラフ11のVノッチ111の底部111bよりも、最終沈殿池Pの底面側になるように調整することで、下層からの排水量を増やし、上下各層に流入する下水の流入バランスを調整し得る。また、上層のトラフ11に設けられた調整板11P、11Qにより上層流の排水量を下層流の排水量よりも減らすことによって、上下各層に流入する下水の流入バランスを調整してもよい。上層と下層の両方に流量調整手段が設けられることで上層流の排水量と下層流の排水量の微調整が可能となり、流量バランスを厳密に調整し得る。
次に、流量調整手段の他の実施形態である、トラフ11、12への下水の流出量の調整手段が、図4Aおよび図4Bを参照して説明される。図4Aには、下層沈殿池PLのトラフ12の近傍の水中に、排水路120eに通じている孔あき管120aが配されている例が示されている。孔あき管120aには、その側面に下水を管内へ流出させるための複数の孔120bが形成されている。汚泥と分離されて水面付近まで上昇した上澄水は、この孔120bを通じて孔あき管120a内へと流出し、自然流出によって排水路120eへと処理水として排出される。なお、この孔あき管120aに流量調整バルブを取り付けて、その流量を調整することもできる。
図4Aに示される例では、処理水を自然流出させるために、孔あき管120aは最終沈殿池の外壁POを貫通して排水路120eへと接続されている。孔あき管120aが設けられることにより、下層流の排水量はトラフ12を介して排水される量に孔あき管120aから排水される量を加えたものになり、下層流の排水量は増加する。
孔あき管120aの材質はトラフ11と同様に、使用環境を考慮すると耐水性、耐候性に優れた材質が好ましく、たとえばポリ塩化ビニル(PVC)、ステンレス、繊維強化プラスティック(FRP)、圧延鋼材(SS材)、銅などが用いられ得る。また、孔あき管120aの断面形状および、側面に形成される孔120bの形状やサイズは特に限定されないが、下水中に含まれるきょう雑物による閉塞が予防され得る程度のものであることが好ましい。複数の孔のサイズ、および形状は、それぞれが異なっていてもよい。
図4Aに示される孔あき管120aは、トラフ12の下方の位置(水面に対して深い位置)に、トラフ12の長手方向に対して直交するように設置されているが、設置される位置および方向はこれに限定されない。複数のトラフ12の間に、トラフ12の長手方向と孔あき管の長手方向が平行になるように設置されてもよい。汚泥濃度が基準値を超える処理水を最終沈殿池の外へ排出させず、沈降汚泥の巻き上げを引き起こし得るような水流の乱れを引き起こしがたい位置に設置されることが好ましい。
図4Bには、下層沈殿池PLのトラフ12の近傍の水中に配された、小孔120dが複数形成された孔あき管120cにポンプPNが接続された下層流を排水し得る構成の流路調整手段の例が示されている。この例においては、上述の孔あき管120aを用いて下水を最終沈殿池の外へ自然流出させる場合とは異なり、設置に際して最終沈殿池の外壁POに対する加工を必要としない。下層流の排水量を増やす必要がある場合に迅速に対応することが可能となる。また、ポンプPNの動力の調整によって下層流の排水量を容易に制御することが可能となり得る。
孔あき管120cが設置される位置および方向は特に限定されないが、下水を孔あき管120aを通じて自然流出させる場合と同様に、汚泥濃度が基準値を超える処理水を最終沈殿池の外へ排出させず、沈降汚泥の巻き上げを引き起こし得るような水流の乱れを引き起こしがたい位置に設置されることが好ましい。なお、ポンプPNは、図4Aの排水路120eの途中に設けられて、自然流出を補助するために用いられてもよい。
図4Aおよび4Bに示される流量調整手段の主要部である、孔あき管120a、120cは、下層沈殿池PLに複数設置されて排水路120eに接続されてもよい。この場合、設置される孔あき管120a、120cの数は限定されない。
図3A〜4Bに示される流量調整手段を用いることによって、上層流の排水量と下層流の排水量のバランスを調整し、下層流の排水量を増やすことによって、上層流の排水量に対する下層流の排水量の比(上層への下水の流入量に対する下層への下水の流入量の比)を1以上にすることが可能となる。下層沈殿池PLの処理能力を有効に使用することができる。図3A、3B、4A、4Bに示される流量調整手段は、そのうちの一つが単独で固液分離システム1に設けられてもよいし、複数の流量調整手段が組み合わされて固液分離システム1に設けられてもよい。
本発明のさらに他の実施形態である固液分離方法は、上述の、固液分離システム1に設けられた流量調整手段のいずれかを用いて、下層流の排水量と上層流の排水量の比を調整しながら、最終沈殿池Pに流入した下水Wの固液の分離を行う。この固液分離方法によれば、上層流の排水量と下層流の排水量のバランスが最適に調整されることで、下層の処理量は増加する。
本発明の一実施形態の固液分離システム1である最終沈殿池Pでは、上層または下層、あるいはその両方に処理能力(固液分離効率)を向上させるための傾斜板装置が設けられてもよい。傾斜板装置は上層流もしくは下層流に対する抵抗となるので、例えば下層に傾斜板装置を設置した場合には、傾斜板装置の設置は下層流の排水量を減少させる方向に機能するが、前述の流量調整手段によって下層流の排水量が上層流の排水量よりも多く調整されつつ、理論上の沈降面積が増加し得るので下層へ流入した下水は、より効率的に処理される。
図5に示されるように、傾斜板装置122が、たとえば、最終沈殿池Pの下層沈殿池PLに設置される。傾斜板装置122は複数の傾斜板123が傾けて並置されている。傾斜板装置122は、水面WL2から所定の深さまで沈み、かつ、最終沈殿池Pの底面との間に所定の空間が確保されるように、たとえば、図示しない横架材などから吊り下げられるか、図示しない支持体上に載置される。
図6には、沈殿池内に設置された、傾斜板装置122内の一部の傾斜板123が模式的に示されている。傾斜板装置122中、傾斜板123間の下水の流動および汚泥の沈降の挙動について、図6を参照して説明する。傾斜板123の下端側から傾斜板123の間に流入した汚泥Mは下水の上向流Fに乗って傾斜板123の間を上昇する。たとえば、図6上、右側の傾斜板123R寄りの点aに流入した汚泥は、上向流Fに対して沈降速度が十分であれば、左側の傾斜板123Lの表面上に沈降し、堆積に伴って自重で滑落する。しかしながら沈降速度が不十分な場合には、左側の傾斜板123Lの表面上に沈降する前に傾斜板123Rの上端部(たとえば点b)に達し、最終的に沈殿池から流出してしまうことになり得る。点aに流入した汚泥が流出しないためには、被処理水の上昇中に汚泥が沈降することにより、遅くとも傾斜板123R、123Lの上端に達するときには傾斜板123L上(点c)に汚泥が沈殿し、傾斜板123Lによりさらなる上昇を阻まれる必要がある。すなわち、汚泥Mの沈降終端速度は、被処理水が傾斜板の下端から上端まで流れる間に、少なくとも距離h2だけ沈降できる程度の速度を有することが好ましい。
下層沈殿池PLに傾斜板装置122として複数の傾斜板123が設けられることにより、傾斜板123が設けられている領域における汚泥Mの最大の沈降距離は、傾斜板123全体の重力(垂直)方向の長さh1から、各傾斜板123間の重力方向の間隔h2となるため、沈降効率がh1/h2倍向上する。
傾斜板123の一面(最終沈殿池の底部側に向いて設置される面)123sには、汚泥の捕捉処理がなされている。汚泥の捕捉処理としては、たとえば、図7Aに示されるように、一面123sに互いに平行な複数の溝123ssが形成される。下水中の汚泥が溝123ss内に入り込むことにより捕捉される。図7Bには、図7Aの7B−7B線での断面が拡大して示されている。傾斜板123の厚さの略10分の1から2分の1程度の深さおよび幅の複数の溝123ssが、溝123ssの幅と略同じ幅の間隔を空けて等間隔で形成されている。なお、傾斜板123の厚さは1mm〜50mmの範囲であることが好ましい。
傾斜板123は、一端部123c側が最終沈殿池の底面側となるように設置される。すなわち、溝123ssは、最終沈殿池の底面側から上昇する下水の流れに沿った方向に形成されている。溝123ssは、図7Cに示されるように、一端部123c側が最終沈殿池の底面側となるように設置されたときに、下水の上向きの流れに直交する方向に形成されてもよい。また、汚泥の捕捉処理として、傾斜板123の一面123sが粗くされることにより無数の微細な凹みが一面123sの略全表面に形成され、一面123sが所謂梨地状の表面にされてもよい。一面123sが粗くされることにより一面123sに沿って上昇する汚泥の動きが妨げられ、傾斜板123の一面123sに汚泥が捕捉される。
溝123ssまたは一面123sの略全表面に形成される微細な凹みの深さは、0.5mm〜10.0mmであることが好ましく、より好ましくは1.0mm〜5.0mmである。深さが0.5mmを下回ると、凹部の大きさが浮遊するフロックよりも小さくなり、フロックが捕捉されることなく点bを越えて流出する可能性が懸念される。対して、10.0mmを上回ると、捕捉され堆積した汚泥が剥離しにくくなるため好ましくない。また、溝123ssまたは凹みのピッチ間隔は0.5mm〜10.0mmであることが好ましく、3.0mm〜8.0mmであることがより好ましい。ピッチ間隔が0.5mmを下回ると、捕捉した汚泥による凹部の閉塞の弊害が懸念される。また、10.0mmを上回ると、汚泥を捕捉する凹部の箇所数が少なくなることにより汚泥捕捉機能が低下する弊害が懸念される。傾斜板123の一面123sになされる汚泥の捕捉処理では、上述したように、溝123ssまたは凹みの深さやピッチ間隔を調整することで、汚泥の捕捉機能と剥離性を適宜調整し、汚泥の捕捉効果をより発現しやすくしている。
本実施形態の傾斜板123の一面と反対側の面である他面123tは、凹凸の無い平坦面にされている。他面123tには汚泥が沈殿して堆積する。汚泥が他面123t上に長く滞留して厚く堆積すると、下水の流れを妨げるおそれがある。そのため、他面123tは、汚泥が滑落し易いように平坦な面であることが好ましい。
傾斜板123の材質は、たとえば、熱可塑性樹脂、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂、ポリカーボネート等のカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリプロピレンやポリエチレン等のオレフィン系樹脂、ABS等のスチレン系樹脂あるいはこれらの共重合体や混合樹脂であってもよいし、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂であってもよく、金属、セラミック、木材、ゴム等であってもよい。
図7D〜7Fには、傾斜板123の一面123sの汚泥の捕捉処理の他の例が示されている。図7Dに示されるように、溝123ssが直交する2つの方向それぞれに形成され、全体として格子模様をなすように形成されてもよい。また、その場合、図7Dの例のように四角形の傾斜板123の外周縁に平行な溝ではなく、外周縁に対して所定の角度、たとえば45度傾斜して互いに直交する2方向の溝が形成されてもよい。たとえば、ローレット加工により、直交する2方向の溝が形成されてよい。また、溝123ssの断面形状は、図7Bに示されるような方形ではなく、図7Eに示されるように溝の深部に向ってテーパーする形状であってよく、全体として鋸刃状の形状であってよい。溝123ssの形状は、図7A〜7Eに示される例に限定されず、任意の形状、数および間隔で設けられてよい。
図7Fには、汚泥の捕捉処理として、平面形状が円形の凹み123srが形成される例が示されている。凹み123srは、円筒状、または円錐状の凹みであってよく、球形の一部分の形状、所謂ディンプル状の凹みであってよい。図7Fの例では、凹み123srは、全体としてドットパターンを呈するように縦横いずれの方向にも等間隔に、一面123sの略全体に設けられている。凹み123srの平面形状は円形に限定されず、三角形や四角形などの多角形や楕円形であってよく、任意の形状であってよい。また、図7Fに示されるように規則的に配置されていなくてもよく、任意の配置パターン、かつ、任意の密度で形成されてよい。
汚泥の捕捉処理は、凹みでは無く凸状部であってよい。すなわち、図7A〜7Eに示されるような溝123ssが形成されるのでは無く、リブ状の凸状部が形成されてもよい。また、図7Fに示される凹み123srではなく、任意の平面形状の複数の凸状部が形成されてもよい。浮遊汚泥が、凸状部により上昇を阻まれることにより、傾斜板123の一面123s上に捕捉される。傾斜板123の一面123s上には、あらゆる平面形状や間隔(ピッチ)で凹凸が形成されてよく、そのような凹凸の形成が捕捉処理とされてよい。
傾斜板123の他面123tには、藻の付着を少なくする防藻処理が施されるのが好ましい。他面123tは日光に照らされるため、他面123tの周囲は、下水の温度や含有成分次第で藻の繁茂に適した環境となり得る。他面123t上の藻の繁茂は、堆積した汚泥の滑落性を低下させると考えられる。そのため、他面123tには、好ましくは防藻処理が施される。防藻処理としては、殺藻剤や抗菌剤、親水性素材のコーティング、或いはフッ素系塗料などの塗布が例示されるが、これらに限定されない。
本実施形態による流量調整手段(Vノッチの底部および幅の少なくとも一方の位置の調整が可能な調整板または孔あき管)を設けて、下層への流入量が上層への流入量よりも多くなるようにした固液分離システム(実施例1〜3)と、流量調整手段を設けないで、上下層への流入を自然に分配した固液分離システム(比較例1)について、流量が通常の場合(5490m3/日)と流量が多い場合(7440m3/日)に、それぞれの上層および下層への下水の流入量を流況解析シミュレーションによって調べた。そのシミュレーション条件と結果を表1にまとめた。なお、実施例1〜3および比較例1は、上層のサイズが、幅4.1m、長さ22.1m、深さ3.4mであり、下層のサイズが、幅4.1m、長さ31.0m、深さ3.4mである最終沈殿池Pにおいて実施した。表1から明らかなように、比較例1は、流量調整手段(調整板または孔あき管)が設けられていないため、上層の排水量と下層の排水量の比が1:0.6になり、その結果上層の滞留時間が2.2時間と短く、一方、下層の滞留時間が6.4時間と極端に長く、上層と下層の排水量バランスが非常に悪い。
実施例1は、最終沈殿池Pへの下水の流入量は比較例1と同じ条件であるが、上層の滞留時間は4.5時間、下層の滞留時間は3.5時間、上層流の排水量と下層流の排水量の比は1:2.3であり、比較例1と比較して上層の下水の排水量と下層の下水の排水量のバランスは改善されている。最終沈殿池Pへの下水の流入量を増加させても、上下層の排水量の比は比較例1(1:0.6)と比較して沈降面積比(1:1.4)に近い分配比に調整されるため、望ましい水質を維持しつつ処理し得る余裕が比較例に比べて多い。すなわち処理能力が向上している。
実施例2は、実施例1よりも最終沈殿池Pへの下水の流入量が多くなっているが、上層の滞留時間は3.3時間、下層の滞留時間は2.6時間で、上層流の排水量と下層流の排水量の比が1:2.3であり、比較例1(1:0.6)と比較して上層の下水の排水量と下層の下水の排水量のバランスは改善されている。実施例1と比較すると、最終沈殿池P全体としての下水の処理量(最終沈殿池Pへの下水流入量)は1.3倍以上になっており、かつ、上層流と下層流の排水量の比は望ましい範囲内に収まっている。すなわち流量調整手段(調整板または孔あき管)が最終沈殿池Pの処理能力の向上に大きく貢献していることが分かる。
実施例3は、実施例2における下層沈殿池に、傾斜板装置122を設置した例である。傾斜板装置122を挿入した場合には下層流は抵抗を受け、下層流の排水量は減少することになる。しかし実施例3では、流量調整手段によって、抵抗による減少を補うように排水量が調整されている。具体的には、流量調整手段がトラフに取り付けられた調整板である場合には、下層のトラフ12の側面に形成されたVノッチ121の底部121bの位置に対する上層のトラフ11の側面に形成されたVノッチ111の底部111bの位置の変位が、実施例2の場合よりも大きくなるように調整される。その結果、実施例2と同じく上層流の排水量と下層流の排水量の比が1:2.3に維持され、排水量のバランスがとれている。また実施例3では実施例2と同じく、上層の滞留時間は3.3時間で、下層の滞留時間は2.6時間であり、実施例2に傾斜板装置122を設置することで理論上の沈降面積を増加させ得ることができ、さらに処理能力を増強し得ることが分かる。
Figure 2020124673
実施形態の固液分離システムおよび、固液分離システムに設けられた流量調整手段は、各図面に例示される構造や、本明細書において例示された構造や材料を備えるものに限定されない。例えば、最終沈殿池Pは上層沈殿池PHおよび下層沈殿池PLの二階層構造以外の複数の任意の数の沈殿池を有していてもよく、流量調整手段は必要に応じた任意の沈殿池に設けられてよい。また、固液分離システムに設けられる傾斜板装置122および傾斜板123は、各図面を参照して説明された構造に限定されず、傾斜板装置122における傾斜板123の配置、傾斜板123のサイズ、形状、表面状態は、必要に応じて変更されてよい。
1 固液分離システム
10 内部壁
11、12 トラフ
11P、11Q 調整板
111、121 Vノッチ
111b、121b 底部
120a、120c 孔あき管
120b 孔
120d 小孔
120e 排水路
122 傾斜板装置
123 傾斜板
123s 一面
123t 他面
123ss 溝
123sr 凹み
123c 一端部
13 汚泥ピット
131、132 汚泥掻き寄せ機
F 上向流
M 汚泥
P 最終沈殿池
PH 上層沈殿池
PL 下層沈殿池
PO 外壁
PN ポンプ
WL1、WL2 水面
W 下水

Claims (9)

  1. 下水処理場の最終沈殿池を内部壁で上層と下層に仕切ることで、上層流と下層流を形成する少なくとも二階層の沈殿池に分離しながら、前記最終沈殿池の前記上層および前記下層のそれぞれに設けられるトラフおよび孔あき管の少なくとも一方を介して排水する多層式の固液分離システムにおいて、
    前記下層流の排水量を、前記上層流の排水量より多くする流量調整手段が設けられている、固液分離システム。
  2. 前記上層流の排水量に対する前記下層流の排水量の比が、1より大きいことを特徴とする、請求項1に記載の固液分離システム。
  3. 前記上層流の排水量が一日当たり200t〜4500tであり、前記下層流の排水量が一日当たり550t〜8000tであることを特徴とする、請求項1または2に記載の固液分離システム。
  4. 前記流量調整手段が、前記下層の前記トラフの側面に形成されたノッチの底部の位置に対する、前記上層の前記トラフの側面に形成されたノッチの底部の位置の変位、および、前記下層の前記トラフの側面に形成されたノッチの幅に対する、前記上層の前記トラフの側面に形成されたノッチの幅の変化のいずれかまたは両方である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固液分離システム。
  5. 前記下層の前記トラフの側面に形成されたノッチの底部が、前記上層の前記トラフの側面に形成されたノッチの底部より前記最終沈殿池の底面側になるように前記上層および下層のトラフが形成されている、請求項4に記載の固液分離システム。
  6. 前記上層または下層の前記トラフに、前記トラフの側面に形成された前記ノッチの底部の位置および前記ノッチの幅の少なくとも一方を変え得る調整板が可動式に取り付けられている、請求項4または5に記載の固液分離システム。
  7. 前記流量調整手段が、前記下層のトラフの近傍の水中に配された、排水路に通じる前記孔あき管である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固液分離システム。
  8. 前記流量調整手段が、前記下層のトラフの近傍の水中に配され、排水が入るように小孔が形成された前記孔あき管にポンプを接続して排水し得る構成である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固液分離システム。
  9. 下水処理場の最終沈殿池を内部壁で上層と下層に仕切ることで、上層流と下層流を形成する少なくとも二階層の沈殿池に分離しながら、前記最終沈殿池の前記上層および前記下層のそれぞれに設けられるトラフおよび孔あき管の少なくとも一方を介して排水する多層式の固液分離方法において、
    前記下層からの排水量と、前記上層からの排水量との比を調整しながら固液の分離を行う、固液分離方法。
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