以下、実施の形態を説明する。下記の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、一実施形態における、負荷測定システム10の一例の概略図である。負荷測定システム10は、ユーザ20に装着される負荷測定装置100、および、負荷測定装置100と通信可能な表示装置200を備える。負荷測定システム10は、負荷測定装置100によって取得される、ユーザの姿勢や動きの検出値から、任意の作業を行うユーザ20への負担の程度をあらわし、且つ、予め定められた範囲で規格化された指数を算出する。負荷測定システム10は、得られた情報を表示装置200からユーザ20へ知らせたり、負担が大きい場合には負荷測定装置100からユーザ20へ直接リアルタイムに知らせたりする。
負荷測定装置100は、本体部110と、本体部110に接続された上側センサ群160および下側センサ群170を含む検出部150と、本体部110および検出部150が取り付けられ、ユーザ20の上体に装着される着用部101とを備える。
図1を参照すると、任意の衣服15を着用したユーザ20が、自身の腰周りに衣服15の上から負荷測定装置100を装着している様子が、ユーザ20の背面の方向から示されている。負荷測定装置100は、着用部101によって、ユーザ20の上体に対して脱着可能である。
着用部101は、例えば腰ベルトであって、ユーザ20の背部(例、背中)から前部(例、腹部)へとユーザ20の腰に巻き付けられて、ユーザ20の腹部上で部分的に重ねられて固定される。着用部101は、例えば、負荷測定装置100の検出部150を腰部に密着させるために、伸縮性を有する布部(例、布製生地)を有する。着用部101の固定手段としては、例えば面ファスナ、フック、ボタンなどの任意のものを用いてよい。
検出部150は、人体の姿勢および動きの少なくとも一方を検出する。検出部150の上側センサ群160は、ユーザ20に向かう方向(例、ユーザ20に対向する方向)に弾性を有する結合部材によって本体部110に接続され、予め定められた位置、例えばユーザ20の脊椎の延在方向において本体部110から上側に離れた位置に配置される。検出部150の下側センサ群170も同様に、ユーザ20に向かう方向(例、ユーザ20に対向する方向)に弾性を有する結合部材によって本体部110に接続され、予め定められた位置、例えばユーザ20の脊椎の延在方向において本体部110から下側に離れた位置に配置される。上側センサ群160および下側センサ群170はそれぞれ、配線を介して本体部110に電気的に接続されており、検出した検出値を本体部110に出力する。なお、配線等による電気的な接続の代わりに、無線通信によって上側センサ群160および下側センサ群170のそれぞれは検出した検出値を本体部110に送信してもよい。
なお、上側センサ群160が配置される予め定められた位置は、ユーザ20(ユーザ20の衣服15を含む)に接触してユーザ20の姿勢を検出する位置、すなわち姿勢検出位置とも呼ばれ得る。姿勢検出位置には、ユーザ20の腰から脊椎の延在方向に離れた位置が含まれてもよく、本体部110から予め定められた方向に離れ、本体部110がユーザ20の腰に固定されたときにユーザ20の背中に相当する位置が含まれてもよい。また、下側センサ群170が配置される予め定められた位置には、ユーザ20の仙骨付近の位置が含まれてもよい。仙骨付近の位置とは、ユーザ20の表皮から伸ばした法線が仙骨に到達する、表皮上の位置を意味する。なお、上記の結合部材は、例えば形状記憶合金やSUS等の金属からなる線材や、プラスチック等の樹脂やばねを有する金属からなる線材であってもよい。
なお、着用部101がユーザ20によって着用された場合に、上側センサ群160および下側センサ群170のそれぞれがユーザ20の予め定められた位置に接触するように、着用部101、上側センサ群160および下側センサ群170の少なくともいずれかは、位置決め用の基準部材を備えていてもよい。当該基準部材を人体腰部の基準となる部分に合わせることで、上側センサ群160および下側センサ群170のそれぞれをユーザ20の予め定められた位置に再現性をもって接触させることができる。
上側センサ群160および下側センサ群170はそれぞれ、一例として、加速度センサ、角速度センサおよび地磁気センサを含む。加速度センサは、例えば3軸加速度センサであり、水平方向の変位による加速度の他、重力方向の加速度も検出して、検出した加速度を姿勢等の検出値として本体部110へ出力する。これにより、ユーザ20が水平移動したり上体をひねったりした場合に生じる腰の水平方向の変位に起因する加速度の他、ユーザ20が前後屈したり側屈したり場合に生じる腰の高さ方向の変位に起因する加速度も検出できる。
角速度センサは、例えば3軸ジャイロセンサであり、水平方向の変位による角速度の他、重力方向の角速度も検出して、検出した角速度を姿勢等の検出値として本体部110へ出力する。これにより、ユーザ20が水平移動したり上体をひねったりした場合に生じる腰の水平方向の変位に起因する角速度の他、ユーザ20が前後屈したり側屈したりした場合に生じる腰の高さ方向の変位に起因する角速度も検出でき、ユーザ20の体のひねり角などを取得できる。地磁気センサは、ユーザ20の体の方向を検出して、検出した方向を姿勢等の検出値として本体部110へ出力する。
負荷測定装置100は、ユーザ20の姿勢や動作を反映した物理量を検出部150によってリアルタイムに測定し、ユーザ20への負担の程度をあらわす指数をリアルタイムに算出する。当該物理量には、ユーザ20の上体の傾きや旋回等の姿勢を反映した物理量が含まれる。上体の傾きの姿勢を反映した物理量には、腰の屈曲等に伴う地面に対する脊椎の角度等が含まれる。地面に対する脊椎の角度は、冠状面と矢状面の交わる中心線を指標として測定することができ、簡易的にはユーザ20の背中に装着した加速度センサ等によって測定することができる。また、上体の旋回の姿勢を反映した物理量には、冠状面または矢状面の回転角等が含まれ、ユーザ20の背中に装着した加速度センサ等によって測定することができる。なお、負荷測定装置100には、繰り返し充電可能なバッテリが搭載されていてもよく、例えば本体部110に内蔵されていてもよい。
図2は、一実施形態における、負荷測定システム10が備える負荷測定装置100の一例のブロック図である。負荷測定装置100の本体部110は、制御部120と、警告部141と、通信部143とを有する。
制御部120は、算出部121と、推定部123と、環境提案部125と、順序提案部127と、比較部129と、補正部131と、第二の補正部133と、格納部135とを含む。制御部120は、検出部150によって随時検出される、ユーザ20の姿勢および動きの少なくとも一方の検出値が入力される。
算出部121は、少なくとも、上記の検出値に基づき、ユーザ20への負担の程度をあらわし、且つ、予め定められた範囲で規格化された負担指数を算出する。ユーザ20への負担の程度は、ユーザ20が一連の動作によって行う作業ごとに定まってもよい。一連の動作とは、例えば、人体が荷物を上げ下ろしする動作である。負担指数は、作業を行う人体の腰部への負担の程度をあらわすことを含んでもよい。算出部121は、算出した結果を格納部135に格納する。
推定部123は、上記の検出値に基づいて、ユーザ20の動作と、動作を伴う作業の作業環境との少なくとも一方を推定する。推定部123は、推定した結果を環境提案部125に出力する。
環境提案部125は、格納部135に格納されている、算出部121で算出された負担指数を参照し、推定部123で推定された動作および作業環境の少なくとも一方に基づき、動作を伴う作業について算出部121で算出された負担指数に対応するユーザ20への負担が小さくなるように、動作および作業環境の少なくとも一方の変更を提案する。環境提案部125は、提案した結果を格納部135に格納する。
順序提案部127は、格納部135に格納されている、算出部121で算出された疲労指数を参照し、ユーザ20が、特定の時間内に、一連の動作によって複数の作業を行う場合において、算出部121で算出された疲労指数に基づき、複数の作業の順序を提案する。順序提案部127は、提案した結果を格納部135に格納する。算出部121で算出される疲労指数については、後述する。
比較部129は、格納部135に格納されている、予め定められた基準および算出部121で算出された指数を参照し、算出部121で算出される指数に基づいて、ユーザ20への負担を当該基準と比較する。比較部129は、比較した結果を格納部135に格納する。比較部129はまた、比較した結果に応じて、警告部141に報知信号を出力する。
補正部131は、格納部135に格納されている、ユーザ20の身長、体重、年齢及び性別のうち少なくともいずれか1つを含む人体情報、および、算出部121で算出された指数を参照し、当該人体情報に応じて、算出部121で算出される指数を補正する。補正部131が補正する指数は、上述の負担指数であってもよく、算出部121によって算出される他の指数であってもよい。補正部131は、補正した結果を格納部135に格納する。
第二の補正部133は、検出値に基づいて、ユーザ20が行う動作を推定し、動作に応じて算出部で算出される指数を補正する。なお、第二の補正部133は、検出値に基づいてユーザ20が行う動作を推定せず、代わりに、推定部123によって推定されたユーザ20の動作の情報を取得してもよい。
制御部120は、上記の通り、算出部121等によって格納部135に格納されている各種データを、通信部143を介して表示装置200に送信する。例えば制御部120は、各種データを表示装置200に対して、予め定められた時間間隔で送信してもよく、ユーザ20が予め指定した時刻に送信してもよく、予め定められた条件を満たした場合に送信してもよい。
警告部141は、比較部129による比較結果に応じて警告を行う。警告部141は、例えばスピーカやLEDや圧電素子や電極であってもよく、比較部129から報知信号を入力された場合に、音声や光や振動や電気刺激を発してユーザ20に報知してもよい。
通信部143は、制御部120から入力される各種データを、例えばWi−Fiなどの通信規格を用いた無線通信によって、または、例えばUSBなどのインターフェースを用いた有線通信によって、表示装置200に送信する。
表示装置200は、例えば、スマートフォンやタブレットやノートパソコンやデスクトップ型パソコン等のディスプレイを備える通信デバイスであり、ユーザ20によって利用可能である。表示装置200は、少なくとも負荷測定装置100の算出部121で算出された指数を含む、負荷測定装置100から受信した情報を示す画像をディスプレイに表示可能である。なお、表示装置200は、本体部110と一体として設けられてもいてもよい。
なお、負荷測定装置100は、検出部150を別構成としてもよく、すなわち、検出部150を備えなくてもよい。この場合、負荷測定システム10は、互いに無線通信する負荷測定装置100と検出部150とを備える。また、この場合、負荷測定装置100は、着用部101を備えず且つユーザ20に装着されなくてもよく、または、着用部101と同様の構成を備え且つユーザ20の腰部以外の箇所に装着されてもよい。この場合の一例として、負荷測定装置100は、ユーザ20に装着された検出部150から検出値を示すデータを無線通信で受信する、パソコンやサーバや通信端末などの装置であってもよい。また、負荷測定装置100は、検出部150に代えて又は追加して、ユーザ20を静止画又は動画で撮影する撮像装置を備えてもよい。負荷測定装置100および撮像装置の何れかによって、撮影画像から、ユーザ20の姿勢や動作を反映した物理量を検出してもよい。当該撮像装置は、負荷測定装置100と直接接続されていてもよく、負荷測定装置100とは分離され、無線通信によって負荷測定装置100にデータを送信してもよい。負荷測定装置100はまた、警告部141および通信部143を別構成としてもよく、すなわち、警告部141および通信部143を備えなくてもよい。
また、負荷測定装置100の制御部120は、算出部121以外の処理部、例えば推定部123や環境提案部125等を含まなくてもよい。また、負荷測定装置100は、上述した制御部120の各機能を有さず、代わりに、表示装置200が当該各機能を有してもよく、この場合、負荷測定装置100は少なくとも、検出部150で検出した検出値を、通信部143を介して表示装置200に送信する。
なお、表示装置200は、ユーザ20によって操作される操作部(例、キーボード、マウス等)を備えてもよく、ユーザ20が操作部を操作することによって、ディスプレイの表示画面を切り替えてもよい。
図3は、NIOSHによるLIを算出する方法を説明する図であり、図4は、一実施形態によるLIを算出する方法の一例を説明する図である。本実施形態の負荷測定システム10による各指数の算出方法は、NIOSH Lifting Index(1981〜)(腰負担のための推奨重量限界の評価)の手法を基礎とする。当該手法の詳細は、以下のリンク先に記されている(https://wonder.cdc.gov/wonder/prevguid/p0000427/p0000427.asp)。なお、NIOSHとは、米国労働安全衛生研究所(National Institute for Occupational Safety and Health)の略称である。
図3を用いて、NIOSH Lifting Indexによる、腰負担のための推奨重量限界の評価手法を説明する。図3には、ユーザ20が、ある高さに置かれている荷物30を、異なる高さにまで持ち上げる作業を行う様子を示す。当該手法には、図3に示す複数の異なる指数が用いられ、すなわち、HMo:水平指数、VMo:垂直指数、DMo:距離指数、AMo:非対称指数、FMo:頻度指数、および、CMo:結合指数の6つの指数が用いられる。これらの指数は、何れも、人体への負担の程度をあらわし、且つ、予め定められた0〜1の範囲で規格化されている。何れの指数も、人体への負担の程度が大きくなるに連れて小さくなる。
当該手法による水平指数HMoは、人の体から荷物までの距離に応じた指数である。水平指数HMoは、人の体から荷物までの距離が0から大きくなるに連れて、1から0へと小さくなる。従って、水平指数HMoが小さいほど、人の体から荷物までの距離が大きく、人体への負担の程度が大きいことをあらわす。なお、人が荷物を水平方向に移動させる場合、水平指数HMoは移動の前後で変化する。図3に示す態様では、人が荷物を紙面に向かって左側から右側に移動することで、水平指数HMoは小さくなる。
当該手法による垂直指数VMoは、人が上げ下ろししようとする荷物の初期高さに応じた指数である。垂直指数VMoは、荷物の初期高さが、腰を曲げずに手が届く高さから低くなるに連れて、1から0へと小さくなる。従って、垂直指数VMoが小さいほど、荷物の初期高さが低く、人体への負担の程度が大きいことをあらわす。
当該手法による距離指数DMoは、人が上げ下ろしする荷物の、初期高さからの上げ下ろし距離に応じた指数である。距離指数DMoは、荷物の初期高さからの上げ下ろし距離が長くなるに連れて、1から0へと小さくなる。従って、距離指数DMoが小さいほど、荷物の初期高さからの上げ下ろし距離が長く、人体への負担の程度が大きいことをあらわす。
当該手法による非対称指数AMoは、人が荷物を上げ下ろしする際に、上体をひねる程度に応じた指数である。非対称指数AMoは、上体のひねりの程度が大きくなるに連れて、1から0へと小さくなる。従って、非対称指数AMoが小さいほど、上体のひねりの程度が大きく、人体への負担の程度が大きいことをあらわす。
当該手法による頻度指数FMoは、人が1分間当たりに荷物を持ち上げる回数に応じた指数である。頻度指数FMoは、荷物を持ち上げる回数が多くなるに連れて、1から0へと小さくなる。従って、頻度指数FMoが小さいほど、荷物を持ち上げる回数が多く、人体への負担の程度が大きいことをあらわす。
当該手法による結合指数CMoは、人が上げ下ろしする荷物の持ち易さに応じた指数である。結合指数CMoは、荷物が持ち難くなるに連れて、1から0.9へと小さくなる。従って、結合指数CMoが小さいほど、荷物が持ち難く、人体への負担の程度が大きいことをあらわす。
当該手法は、負担が最も小さくなる姿勢(例、略直立)で人体が安全に取り扱うことができる目安重量と、上記6つの指数とを乗算することで、人体が一連の動作によって行う作業において推奨される物体重量の限界値をあらわす推奨重量限界(RWL: Recommended Weight Limit)を算出する。人体が安全に取り扱うことができる目安重量とは、例えば、人体が力を加えている物体の物体重量によって生じる人体への腰部への負担値が所定の値(例えば3400N)を超えない重量であってもよく、人体が腰痛を起こすことなく取り扱える重量であってもよい。なお、RWLoは乗算される指数が小さいほど小さな値となるため、上記6つの指数は減算係数と呼ばれる場合がある。なお、上記の目安重量の一例は、40歳以下の成人男性の場合に23kgである。
当該手法によると更に、人が上げ下ろしする荷物の実際の荷物重量を、推奨重量限界で除算することで、持ち上げ係数(LIo: Lifting Index)を算出する。そして、LIoが1.0以下の場合には、人体への負担が適正な範囲内であると判断し、LIoが1.0より大きい場合には、人体への負担が適正な範囲内ではないと判断する。
NIOSH Lifting Indexの手法では、例えば、荷物を上げ下ろしする人の動作を他の人が目視で観察し、上記6つの指数を算出すべく、一動作ごとに、人の体から荷物までの距離、荷物の初期高さ、荷物の初期高さからの上げ下ろし距離、上体のひねりの程度、荷物を持ち上げる回数、および、荷物の持ち易さを計測しており、多大な労力を必要とし、LIの精度も低かった。
これに対して、本実施形態の負荷測定システム10による各指数の算出方法は、上記で説明したNIOSH Lifting Indexの手法における各指数とは異なり、負荷測定装置100の検出部150で検出される、人体の姿勢等の検出値に基づいて算出可能な、独自の複数の異なる指数を用いる。しかしながら、本実施形態の負荷測定システム10による各指数の算出方法は、NIOSH Lifting Indexの手法のように、複数の異なる指数を互いに乗算することで、推奨される限界を算出し、両手法で同じ作業を行った場合に、本実施形態による算出手法によって、NIOSH Lifting Indexの手法で算出されるLIoと同様の値のLIが算出されるようにする。以降の説明では、本実施形態による独自の複数の異なる指数を総称して負担指数と呼ぶ場合がある。負担指数は、NIOSH Lifting Indexの手法で用いられる減算係数と同様に、人体への負担の程度をあらわし、且つ、予め定められた範囲、例えば0〜1の範囲で規格化されており、人体への負担の程度が大きくなるに連れて小さくなる。なお、規格化される範囲は0〜1に限らない。
図4を用いて、本実施形態による、負担指数を算出し、当該負担指数を用いて、作業を行う人体への負担の程度をあらわす作業負担指数を算出する方法を説明する。以降の説明では、作業負担指数をLIと呼ぶ場合がある。
図4には、図3と同様に、人が、ある高さに置かれている荷物30を、異なる高さにまで持ち上げる作業を行う様子を示す。図4に示す通り、本実施形態による負担指数は、VM:垂直指数、DM:距離指数、AM:非対称指数、FM:頻度指数、および、KM:保持指数のうち少なくともいずれか1つを含む。なお、本実施形態においては、NIOSH Lifting Indexの手法で用いるHMoおよびCMoは、何れも他の指数に比べて影響度が低いため用いない。より具体的には、HMoは、荷物と体(くるぶしの位置)との距離になり、これが25cmまでは係数1となり、その後、距離によって減少する。25cmは前腕の長さにほぼ等しく、上腕を鉛直方向に伸ばし、ひじを直角に曲げ、前腕を水平にした姿勢が想定される。実際の作業においては、(1)自然と楽な姿勢をとることから、上記姿勢、もしくはひじを伸ばし、荷物を体に密着させた姿勢となり、荷物が25cm以上離れない、および、(2)25cm以上離して荷物を把持しようとした場合、腰部よりも上腕および肩に負担がかかる、という理由から、発生頻度は低く、他の係数に比べ、腰部に対する影響度は低いと考えられる。CMoは、最悪値としても0.9なので、影響度が他の係数に比べ小さく、また、腰部の負担においては考慮する必要が無いと考えられる。
垂直指数VMは、人体が力を加えようとする物体の高さ、高さに位置している物体に人体が力を加えたときの上体の前後屈度合い、および、物体に力を加えることなく人体の上体が前後屈したときの前後屈度合いのうち少なくともいずれか1つをあらわす。ここで言う高さとは、例えばNIOSHによる垂直指数VMoのように、人体が力を加えようとする物体が置かれている初期高さであってもよく、複数の動作を含む一連の作業においては、各動作中に物体が位置する複数の高さの平均値であってもよい。
距離指数DMは、人体による物体の高さからの上げ下ろし距離、人体が物体を上げ下ろしすることで変化する上体の前後屈度合いの変化量、および、物体に力を加えることなく人体の上体が前後屈してから前後屈度合いを変化させて静止するまでの前後屈度合いの変化量のうち少なくともいずれか1つをあらわす。なお、人体が力を加えた物体が置かれていた初期高さと力を加えた後の高さの差であってもよく、複数の動作を含む一連の作業においては、各動作中の物体が移動した高さ方向の距離であてもよい。ここで言う高さとは、例えばNIOSHによる距離指数DMoのように、人体が力を加えようとする物体が置かれている初期高さであってもよく、複数の動作を含む一連の作業においては、各動作中に物体が位置する複数の高さの平均値であってもよい。
非対称指数AMは、人体の上体のひねり及び側屈を含む、上体を正面から見て左右非対称な上体動作の程度をあらわす。本実施形態の非対称指数AMは、ひねりの程度をあらわす非対称指数AM1と、側屈の程度をあらわす非対称指数AM2とを含む。
頻度指数FMは、人体が行う作業の発生頻度および複数の作業の総作業時間に対する作業の作業時間の割合の少なくとも一方をあらわす。
保持指数KMは、人体が特定の姿勢を保持する時間の程度をあらわす。
なお、検出部150の上側センサ群160および下側センサ群170に含まれる各種センサの出力値と、各指数を算出する際に用いる各種データとの関係性は、一般的なセンサによる姿勢検出と同様であってもよい。以下、一例を用いて、当該関係性の説明に寄与する定義等について説明する。
先ず、各指数と算出に用いるデータ値の関係の一例は、下記の通りである。
VM:上体の前後屈角度の最大・最小値から荷物の高さの最大・最小を推定。
DM:一回の前後屈動作における上体の前後屈角度の最大値と最小値の差から移動距離を推定。
AM1:上体の回旋角度から身長を考慮した非対称角度を推定。
AM2:本システムで独自に追加した係数。上体の側屈角度による負担を考慮。
上記データ値と各センサの姿勢値の関連の一例は、下記の通りである。
上体の前後屈角度:上側センサ群160の前後屈角度
上体の側屈角度:上側センサ群160の側屈角度
上体の回旋角度:下側センサ群170に対する上側センサ群160の回旋角度
また、姿勢値の定義の一例は、下記の通りである。
前後屈角度:上側センサ群160のY軸を矢状面上に投影した法線と、体の前額面とのなす角度
側屈角度:上側センサ群160のY軸と、上側センサ群160のY軸を矢状面上に投影した法線のなす角度
回旋角度:下側センサ群170の座標系に対する上側センサ群160の座標系の関係を示すオイラー角(y-z-x)を(α,β,γ)としたときのα
また、矢状面および前額面の定義の一例は、下記の通りである。
矢状面:下側センサ群170のYZ平面と水平面が交わる法線を含み、水平面に直行する平面
前額面:矢状面と水平面に直行する平面
ここで、各センサ群における軸の定義の一例は、下記の通りである。下記の方向は、直立時のユーザ20の体の前後左右上下と一致する。
X軸:センサの左右方向を示す軸で右側が正
Y軸:センサの上下方向を示す軸で上側が正
Z軸:センサの前後方向を示す軸で前側が正
負荷測定装置100の検出部150による姿勢検出の一例として、2つの相補フィルタを使用して鉛直方向と磁北方向を検出し、グローバル座標系の定義と各センサの姿勢値を算出してもよい。ここで、センサ姿勢とセンサ値の関係の一例は、以下の通りである。なお、下記の2つの相補フィルタの一方のセンサ値だけで値は取れるものの、精度が悪く、誤差が大きくなる。
鉛直方向:相補フィルタ(加速度センサ+角速度センサ)
磁北方向:相補フィルタ(磁気センサ+角速度センサ)
水平面の磁北方向:重力方向と磁北方向を含む平面と水平面が交差する交線
上記の各定義において、軸をセンサの座標系と対応させた場合の一例は、下記の通りとなる。
X軸:Y軸とZ軸に直交し、磁北方向に対して右が正
Y軸:鉛直方向と反対の向き
Z軸:磁北方向
本実施形態の負荷測定システム10によれば、負荷測定装置100の検出部150によって検出されるユーザ20の姿勢等の検出値から直接的に、非対称指数AM1、非対称指数AM2、頻度指数FMおよび保持指数KMを算出し、ユーザ20の姿勢等の検出値から、垂直指数VMおよび距離指数DMを推定することができる。そのため、NIOSH Lifting Indexの手法のように多大な労力を必要とすることもなく、本実施形態によるLIを高精度で算出できる。
更に、本実施形態の負荷測定システム10によれば、何れの指数もユーザ20の姿勢等の検出値から算出できるので、図4に示すように、ユーザ20が物体に力を加える作業を行う場合だけでなく、ユーザ20が物体に力を加えることなく作業を行う場合にも、本実施形態によるLIの算出が可能である。また、本実施形態の負荷測定システム10によれば、ユーザ20が物体に力を加える作業として、図4に示すように、ユーザ20が物体を上げ下ろしする作業だけでなく、例えば、物体を担いで運ぶ作業、物体を把持してその場で保持する作業、物体を把持して移動する作業、物体を押したり引いたりする作業などに対しても、LIを算出することができる。また、ユーザ20が物体に力を加えることのない作業として、例えば、任意の装置の検査を行うために、ユーザ20が当該装置を下方から覗き込む作業に対しても、LIを算出することができる。
より具体的には、負荷測定装置100の算出部121は、少なくとも、負担が最も小さくなる姿勢でユーザ20が安全に取り扱うことができる目安重量と、垂直指数および距離指数の少なくとも一方とに基づいて、ユーザ20が一連の動作によって行う作業において推奨される物体重量およびユーザ20への負荷の少なくとも一方の限界値をあらわす推奨限界値を算出する。より具体的には、推奨限界値は、目安重量と、垂直指数および距離指数の少なくとも一方とを乗算した乗算値に基づいて算出される。当該推奨限界値は、NIOSHによるRWLoと類似しているが、少なくとも、人体が一連の動作によって行う作業において推奨される物体重量の限界値だけでなく当該作業において推奨される人体への負荷の限界値もあらわす点で異なる。以降の説明では、推奨限界値をRWLと呼ぶ場合がある。
ユーザ20が物体に力を加える作業を行う場合には、推奨限界値は、人体が一連の動作によって行う作業において推奨される物体重量の限界値をあらわす。一方で、ユーザ20が物体に力を加えることなく作業を行う場合には、推奨限界値は、人体が一連の動作によって行う作業において推奨される人体への負荷の限界値をあらわすこととなる。なお、上記の目安重量は、NIOSH Lifting Indexの手法において用いられる目安重量と同じであってもよく、例えば40歳以下の成人男性の場合に23kgである。
算出部121は更に、ユーザ20が物体に力を加える作業を行う場合には、ユーザ20が力を加える物体の物体重量と、推奨限界値とに基づき、LIを算出する。より具体的には、ユーザ20が物体に力を加える作業を行う場合、LIは、物体重量を推奨限界値で除算した除算値に基づいて算出される。ユーザ20が力を加える物体の物体重量は、例えば、負荷測定装置100の本体部110に設けられたインターフェースからユーザ20が手入力することによって特定されてもよく、ユーザ20の足裏に配置した荷重センサの検出値から特定されてもよい。
一方で、算出部121は、ユーザ20が物体に力を加えることなく作業を行う場合には、上記の物体重量の代わりとなる、予め定められた重量基準値と、推奨限界値とに基づき、LIを算出する。より具体的には、ユーザ20が物体に力を加えることなく作業を行う場合、LIは、重量基準値を推奨限界値で除算した除算値に基づいて算出される。重量基準値は、ユーザ20が何ら物体に力を加えないことを踏まえ、例えば1kgなどの小さな値に設定されてもよい。
更に、本実施形態による負荷測定システム10によれば、負荷測定装置100の比較部129が、算出部121で算出される指数に基づいて、ユーザ20への負担を予め定められた基準と比較し、警告部141が、比較部129による比較結果に応じてユーザ20に警告を行う。比較部129は、一例としてNIOSH Lifting Indexの手法と同様に、基準を1.0とし、LIが1.0以下の場合には人体への負担が適正な範囲内であると判断し、LIが1.0より大きい場合には人体への負担が適正な範囲内ではないと判断して報知信号を警告部141に出力する。
以下、図5〜17を用いて、NIOSH Lifting Indexの手法において用いられる指数を算出する方法と、本実施形態において用いる指数を算出する手法とを詳細に説明する。
図5は、NIOSHによる垂直指数VMoを算出する方法を説明するテーブルである。垂直指数VMoは、物体初期高さV[cm]に応じて定まり、Vの範囲が0≦V≦175cmの場合、VMo=1-(0.003|V-75|)で算出され、V>175cmの場合、VMo=0とする。これは、腰の高さを75cmと見做し、75cmでVMo=1、それ以上またはそれ以下でVMoが0に向かって減少することを意味する。
図6は、一実施形態による垂直指数VMを算出する方法の一例を説明するテーブルである。垂直指数VMは、ユーザ20の前屈角度Av[°]に応じて定まり、Avの範囲が90°<AvおよびAv<-10°の場合、VM=0とする。また、-10°≦Av<-5°の場合、VM=1〜0.7であって、Avが-10°から-5°に増えるに連れて、VMは0.7から1に線形に増加する。また、-5°≦Av<20°の場合、VM=1とする。また、20°≦Av≦90°の場合、VM=1〜0.775であって、Avが20°から90°に増えるに連れて、VMは1から0.775に線形に減少する。
図7は、一実施形態による垂直指数VMの一例とNIOSHによる垂直指数VMoとを比較するグラフである。グラフの横軸は、垂直指数VMoの算出で用いられる物体初期高さV[cm]を指し、グラフの縦軸は、垂直指数VMの算出で用いるユーザ20の前屈角度Av[°]と、両方の垂直指数VMo、VMとを指す。図7には、垂直指数VMoの推移のグラフと、垂直指数VMの推移のグラフとを示す。また、図7には、物体初期高さV=75cmを境界としてユーザ20の前屈角度Avが正負切り替わること、すなわち、物体初期高さVが75cm以下の場合にユーザ20が前屈し、物体初期高さVが75cmよりも大きい場合にユーザ20が後屈することを示している。2つのグラフの比較から、垂直指数VMは、垂直指数VMoと概ね一致していることが理解される。
図8は、NIOSHによる距離指数DMを算出する方法を説明するテーブルである。距離指数DMoは、物体の垂直方向の移動距離D[cm]に応じて定まり、Dの範囲がD≦25cmの場合、DMo=1とする。また、25<D≦175cmの場合、DMo=0.82+(0.45/D)で算出され、D>175cmの場合、DMo=0とする。
図9は、一実施形態による距離指数DMを算出する方法の一例を説明するテーブルである。距離指数DMは、ユーザ20の前屈角度の角度差Ad[°]に応じて定まり、Adの範囲が100°≦Adの場合、DM=0とする。また、0°≦Ad<100°の場合、DM=1〜0.82であって、Adが0°から100°に増えるに連れて、DMは1から0.82に線形に減少する。ここで用いるAdは、一例として、ユーザ20の前屈範囲の最大前屈値と、前屈範囲の開始時の前屈値および終了時の前屈値のうち最大前屈値との差が大きい方との間の角度差であってもよい。
図10は、一実施形態による距離指数DMの一例とNIOSHによる距離指数DMoとを比較するグラフである。グラフの横軸は、距離指数DMoの算出で用いられる物体の垂直方向の移動距離D[cm]を指し、グラフの縦軸は、垂直指数VMの算出で用いるユーザ20の前屈角度の角度差Ad[°]と、両方の距離指数DMo、DMとを指す。図10には、距離指数DMoの推移のグラフと、距離指数DMの推移のグラフとを示す。2つのグラフの比較から、距離指数DMは、距離指数DMoと完全に一致していることが理解される。
図11は、NIOSHによる非対称指数AMoを算出する方法を説明するテーブルである。非対称指数AMoは、体のひねり角度A[°]に応じて定まり、Aの範囲が0≦A≦135°の場合、AMo=1-(0.0032A)で算出され、135°<Aの場合、AMo=0とする。なお、非対称指数AMoの算出に用いる体のひねり角度Aは、水平面上における人体の非対称線と矢状線との間の角度であり、非対称線は、両足のくるぶし間を結ぶ線の中点と、人体が両手で把持している荷物の中心から床上へ真下に下した点とを結ぶ補助線である。
図12は、一実施形態による非対称指数AM1を算出する方法の一例を説明するテーブルであり、図13は、一実施形態による非対称指数AM1を算出する方法の一例を説明する図である。非対称指数AM1は、ユーザ20の体のひねり角度Am1[°]に応じて定まり、Am1の範囲が0°≦Am1≦45°の場合、AM1=1〜0.568であって、Am1が0°から45°に増えるに連れて、AM1は1から0.568に線形に減少する。また、45°<Am1の場合、AM1=0とする。ここで用いるAm1は、一例として、図13に示す通り、検出部150の上側センサ群160と下側センサ群170のそれぞれによって検出される検出値に基づいて算出される、両角度の差の絶対値であってもよい。
図14は、一実施形態による非対称指数AM2を算出する方法の一例を説明するテーブルである。非対称指数AM2は、ユーザ20の側屈角度Am2[°]の絶対値に応じて定まり、Am2の範囲が0≦|Am2|≦5°の場合にAM2=1とし、|Am2|>5°の場合にAM2=0とする。
図15は、一実施形態による頻度指数FMを算出する方法の一例を説明するテーブルである。頻度指数FMの算出方法は、頻度指数FMoの算出方法と同じであってもよい。頻度指数FMは、予め定められた時間、例えば1分間に何回前屈が発生するかをカウントした値に応じて定まり、一例として、前屈回数が1回から13回に増えるに連れて、頻度指数FMは1から0.37に減少し、前屈回数が14回以上でFM=0とする。なお、頻度指数FMの算出に用いる前屈回数は、他の方法によって算出されてもよい。例えば、指定時間内での前屈回数を指定時間で除算することで、1秒での前屈回数を算出し、60を乗算して、1分間での前屈回数を算出してもよい。なお、前屈としてカウントするための、前屈角度の閾値は、予め設定されていてもよく、ユーザ20によって指定されていてもよい。
図16は、一実施形態による保持指数KMを算出する方法の一例を説明するテーブルであり、図17は、一実施形態による保持指数KMを算出する方法の一例を説明するグラフである。保持指数KMは、ユーザ20が同一姿勢を保持する時間K[sec]によって定まり、Kの範囲が0秒≦K≦600秒の場合、KM=aKb(係数(a)=2.790636497、べき数(b)=-0.461527642)であって、図17に示す通り、Kが0秒から600秒に増えるに連れて、KMは1から二次曲線的に減少する。ただし、KMが1を超えた場合は、KM=1とする。また、600秒<Kの場合、図17に示す通り、KM=0とする。
図18は、一実施形態によるフローを説明する図である。当該フローは、一例として、負荷測定装置100がユーザ20に装着された状態で電源をオンにされ、負荷測定装置100の検出部150がユーザ20の姿勢等の検出値を検出し始めることにより開始する。
負荷測定装置100は、検出部150で検出した上記の検出値に基づき、負担指数を算出する(ステップS101)。当該負担指数は、垂直指数VM、距離指数DM、非対称指数AM1、非対称指数AM2、頻度指数FMおよび保持指数KMのうち少なくとも何れかを含み、好ましくは、垂直指数VMおよび距離指数DMの少なくとも一方を含む。
負荷測定装置100は、ユーザ20の身長等を含む人体情報に応じて、または、検出値から推定される動作に応じて、負担指数を補正する(ステップS103)。人体情報に応じて負担指数を補正する場合の一例は、同じ作業を行う場合でも年齢が高いユーザ20ほどユーザ20自身が感じる負担は大きく怪我のリスクも高まるため負担指数をより0に近付ける補正を行うことである。人体情報に応じて負担指数を補正する場合の他の一例は、比較的高い位置に配置された物体を床に下ろす作業を行う場合に身長が低いユーザ20ほどユーザ20自身が感じる負担は大きく怪我のリスクも高まるため負担指数をより0に近付ける補正を行うことである。また、検出値から推定される動作に応じて負担指数を補正する場合の一例は、ユーザ20が床に置かれた物体を持ち上げようとしてしゃがみ動作を行ったことが推定された場合に、ユーザ20への負担は高まり怪我のリスクも高まるため負担指数をより0に近付ける補正、または0にする補正を行うことである。
負荷測定装置100は、上記の目安重量および負担指数に基づいて、上記のRWLを算出する(ステップS105)。より具体的な一例として、負荷測定装置100の算出部121は、目安重量と、非対称指数AM1と、非対称指数AM2と、垂直指数VMおよび距離指数DMの少なくとも一方とに基づいて、RWLを算出する。他のより具体的な一例として、負荷測定装置100の算出部121は、目安重量と、垂直指数VMおよび距離指数DMの少なくとも一方とを乗算した乗算値に基づいて、RWLを算出する。他のより具体的な一例として、負荷測定装置100の算出部121は、目安重量と、非対称指数AM1と、非対称指数AM2と、垂直指数VMと、距離指数DMと、頻度指数FMと、保持指数KMとに基づいて、RWLを算出する。この場合、より具体的には、RWLは、目安重量と、非対称指数AM1と、非対称指数AM2と、垂直指数VMと、距離指数DMと、頻度指数FMと、保持指数KMとを乗算した乗算値に基づいて算出される。
負荷測定装置100は、物体重量または予め定められた重量基準値と、RWLとに基づいてLIを算出する(ステップS107)。より具体的には、ユーザ20が物体に力を加える場合には、負荷測定装置100の算出部121は、人体が力を加える物体の物体重量と、RWLとに基づき、負担指数とは異なる指数として、作業を行う人体への負担の程度をあらわすLIを算出する。この場合、より具体的には、LIは、物体重量をRWLで除算した除算値に基づいて算出される。また、ユーザ20が物体に力を加えない場合には、負荷測定装置100の算出部121は、重量基準値と、RWLとに基づき、負担指数とは異なる指数として、物体に力を加えることなく作業を行う人体への負担の程度をあらわすLIを算出する。この場合、より具体的には、LIは、重量基準値をRWLで除算した除算値に基づいて算出される。
負荷測定装置100は、LIに基づいて、ユーザ20への負担を予め定められた基準と比較する、すなわち、作業を行うユーザ20への負担の程度をあらわすLIが基準よりも大きいか否かを判断する(ステップS109)。LIが基準よりも大きい場合(ステップS109:YES)、負荷測定装置100はユーザ20に対して警告する(ステップS111)。LIが基準以下である場合(ステップS109:NO)、またはステップS111で警告した場合、負荷測定装置100は当該フローを開始してから一定時間、例えば1時間が経過したか否かを判断する(ステップS113)。経過していない場合(ステップS113:NO)、ステップS101に戻り、経過している場合(ステップS113:YES)、負荷測定装置100は各指数を含む算出結果の蓄積情報を表示装置200に送信し(ステップS115)、当該フローは終了する。当該フローは、負荷測定装置100がユーザ20に装着された状態で電源がオンのままである限り、繰り返される。
このような負荷測定システム10によれば、ユーザ20の腰部周りの姿勢および負担を、実作業を妨げることなく簡便に測定して解析し、その姿勢および負担の良不良等を容易に把握可能な指標をユーザ20に提示することができる。負荷測定システム10によれば更に、ユーザ20の作業姿勢の問題を可視化して改善方針の検討に寄与したり、改善前後のデータ比較によって改善効果の定量的な検証に寄与したり、作業姿勢や腰負担の違いをリアルタイムに知らせることで腰負担の少ない作業姿勢の習得に寄与したりすることもできる。
なお、負荷測定装置100の算出部121は、ユーザ20が物体に力を加える場合において、ユーザ20が力を加える物体の物体重量と、目安重量と、負担指数とに基づき、RWLを算出せずに直接、LIを算出してもよい。また、算出部121は、ユーザ20が物体に力を加えない場合には、重量基準値と、目安重量と、負担指数とに基づき、RWLを算出せずに直接、LIを算出してもよい。
図19および図20は、一実施形態によるVLIを算出する方法の一例を説明する図である。上記したNIOSH Lifting Indexの手法において、一連の動作によって複数の作業を行う場合に、これら複数の作業における推奨重量限界の総合的な評価を行うべく、CLI(Composite Lifting Index)という指数が用いられている。
上記したリンク先に記される当該手法の詳細(以降、NIOSH文書と言う。)において、「2.1.2 Rationale Multi-Task Analysis Procedure」という節がある。当該節における説明から、CLIは、あるタスクのLIに、新たに「追加された」タスクの寄与分を加算することで計算できること、および、当該寄与分は、追加するタスクの、頻度指数FMに依拠しないLIであるFILI(Frequency Independent Lifting Index)をもとに、追加による頻度の差を考慮することで算出できること、が解釈される。すなわち、CLIを算出するには、全タスクをいきなり同時に考えるのではなく、順次追加していく、ということである。
最も単純な具体例として、A,B二種類のタスクがある場合を考える。タスクA,BのそれぞれのSTLI(Single Task Lifting Index)をSTLI(A)、STLI(B)とし、STLI(A)>STLI(B)とする。なお、ここで言うSTLIとは、上記で説明した、一動作ごとのLIを指す。
この場合、CLIはLIが大きい方であるタスクAから初めて、CLI=STLI(A)+(タスクBの追加寄与分)となる。ここで、タスクAの頻度をFA、タスクBの頻度をFBとすると、上記の解釈から更に、タスクBの追加寄与分はSingle TaskとしてのタスクBにおいてその頻度がFAから(FA+FB)に増えたときのLIの増分である、と解釈できる。このように解釈すると、タスクBの追加寄与分は、以下の式1で導出される。
[式1]
(タスクBの追加寄与分)=STLI(B,FA+FB)-STLI(B,FA)
=L/STRWL(B,FA+FB)-L/STRWL(B,FA)
=L/(FM(B,FA+FB)*FIRWL(B))-L/(FM(B,FA)*FIRWL(B))
={L/FIRWL(B)}*{1/(FM(B,FA+FB))-1/(FM(B,FA))}
=FILI(B)*{1/(FM(B,FA+FB))-1/(FM(B,FA))}
ただし、上記の式1において、STLI(B,FA+FB)は、頻度が(FA+FB)のときのタスクBのSTLIを意味し、STLI(B,FA)は、頻度が(FA)のときのタスクBのSTLIを意味する。また、LはタスクBのLoad Weightを意味し、STRWL(B,FA+FB)は、頻度が(FA+FB)のときのタスクBのRWLを意味し、STRWL(B,FA)は、頻度が(FA)のときのタスクBのSTRWLを意味する。なお、ここで言うSTRWLとは、上記で説明した、一動作ごとのRWLを指す。
また、FM(B,FA+FB)は、タスクBの頻度(FA+FB)における頻度指数FMを意味し、FM(B,FA)は、タスクBの頻度FAにおける頻度指数FMを意味する。
式1を用いると、CLI=STLI(A)+ FILI(B)*{1/(FM(B,FA+FB))-1/(FM(B,FA))}となる。タスクが3つ以上の場合も、タスクを一つずつ順次加算していくという考え方で順次寄与分を計算していく。このCLIをΣの形でまとめて書くと、以下のリンク先に詳細が記されているVLI(Variable Lifting Index)の形になる(http://www.asl5.liguria.it/Portals/0/PSAL/The%20Variable%20Lifting%20Index-%20A%20Tool%20for%20Assessing%20ManuaL%20lifting%20jobs-%20PROCEEDINGS%20IEA%202009%20(2).pdf?ver=2016-06-06-165127-127)。ここで説明されるVLIは、上記で説明したCLIと同義と見做してもよい。
ここで、本実施形態の負荷測定システム10によるVLIの算出方法を説明する。上記で説明したLIは、一つの動作による一つの作業に対して算出される指数であるが、VLIは、一連の複数の動作による複数の作業に対する総合値として算出される指数である。以降の説明において、VLIを総合的な作業負担指数と呼ぶ場合がある。
ここでは、ユーザ20が、特定の時間内に、一連の動作によって複数の作業を行う場合を前提とする。負荷測定装置100の算出部121は、ユーザ20が、複数の作業の各作業において算出したLIと、頻度指数FMを少なくとも含まないFILIと、のいずれか一方に基づいて、複数の作業を行うユーザ20への負担の程度をあらわすVLIを算出する。
より具体的な一例として、算出部121は、複数の作業のうちの一作業について頻度指数FMを算出する。算出部121は、更に、複数の作業のうち少なくとも二つの作業の組み合わせである組み合わせ作業について、負担指数の一つとして、組み合わせ作業の発生頻度および総作業時間に対する組み合わせ作業の作業時間の割合の少なくとも一方をあらわす第二の頻度指数を算出する。算出部121は、更に、複数の作業の各作業について、少なくとも頻度指数FMを含まない負担指数を算出する。算出部121は、更に、一作業について算出した頻度指数FMと、組み合わせ作業について算出した第二の頻度指数と、少なくとも頻度指数FMを含まない負担指数とに基づいて、VLIを算出する。
更により具体的な一例として、ユーザ20が物体に力を加える場合には、算出部121は、各作業について、少なくとも頻度指数FMを含まない負担指数と、目安重量と、人体が力を加える物体の物体重量とに基づき、一連の動作によって作業を行う人体への負担をあらわす第二の作業負担指数を算出し、一作業について算出した頻度指数FMと、組み合わせ作業について算出した第二の頻度指数と、各作業について算出した第二の作業負担指数とに基づいて、VLIを算出する。この場合の第二の作業負担指数は、少なくとも頻度指数FMを含まない負担指数に基づいて算出されるため、FILIとなる。
図19および図20を用いて、更により詳細に説明する。図19に示す通り、算出部121は、先ず、一連の動作に含まれる複数の作業をk個の要素作業a, b, c, …, x, …, kに分解し、要素作業ごとに、物体重量を、目安重量と、頻度指数FMを除く負担指数とで除算してFILIを算出する。そして、算出部121は、k個の(要素)作業のそれぞれのFILIの大きさに基づいて複数のFILIを降順のいずれか一方で並び替える。なお、算出部121は、複数のFILIを昇順に並び替えてもよい。
続けて、図20に示す通り、算出部121は、並び替えた複数のFILIの先頭からn番目(k≧n≧2)のFILI(図20に示すFILInに対応する。)に対して、先頭からn番目までのn個のFILIに対応するn個の作業の組み合わせ作業の第二の頻度指数(図20に示すFM12…nに対応する。)の逆数と、先頭からn−1番目までのn−1個のFILIに対応するn−1個の作業の組み合わせ作業の第二の頻度指数(図20に示すFM12…n-1に対応する。)の逆数との差分値を乗算して乗算値(図20に示すΔLInに対応する。)を取得する。また、算出部121は、先頭の作業について、負担指数と、目安重量と、物体重量とに基づき、LIを算出する。
なお、図20においては、先頭の要素作業1について、要素作業1単体でのFILI1と頻度指数FM1の逆数とを乗算してSTLIを算出することを示しているが、これは、要素作業1を単体で行ったときの頻度指数FMを含むLIを算出していることと同義である。すなわち、算出部121は、先頭の作業について、(頻度指数FMを含む)負担指数と、目安重量と、物体重量とに基づき、LIを算出している。
そして、図20に示す通り、算出部121は、先頭の作業について算出したLIと、先頭の作業以外のk−1個の作業について取得したk−1個の乗算値(図20に示すk−1個のΔLInに対応する。)と、を加算した加算値に基づいて、VLIを算出する。
図19および図20では、ユーザ20が物体に力を加える場合において、負荷測定システム10によるVLIの算出方法を説明した。ユーザ20が物体に力を加えない場合には、算出部121は、各作業について、少なくとも頻度指数FMを含まない負担指数と、目安重量と、予め定められた重量基準値とに基づき、物体に力を加えることなく一連の動作によって作業を行う人体への負担の程度をあらわすFILIを算出し、頻度指数FMと、第二の頻度指数(FM12…n)と、FILIとに基づいて、VLIを算出する。
より具体的には、算出部121は、k個の作業のそれぞれのFILIの大きさに基づいて複数のFILIを昇順および降順のいずれか一方で並び替え、並び替えた複数のFILIの先頭からn番目(k≧n≧2)のFILIに対して、先頭からn番目までのn個のFILIに対応するn個の作業の組み合わせ作業の第二の頻度指数(FM12…n)の逆数と、先頭からn−1番目までのn−1個のFILIに対応するn−1個の作業の組み合わせ作業の第二の頻度指数(FM12…n-1)の逆数との差分値を乗算して乗算値(ΔLIn)を取得する。算出部121は更に、先頭の作業について、負担指数と、目安重量と、重量基準値とに基づき、物体に力を加えることなく一連の動作によって作業を行う人体への負担の程度をあらわすLIを算出し、当該LIと、先頭の作業以外のk−1個の作業について取得したk−1個の乗算値(k−1個のΔLIn)とを加算した加算値に基づいて、VLIを算出する。
このような負荷測定システム10によれば、ユーザ20が特定の時間内に一連の動作によって複数の作業を行う場合に、作業ごとのユーザ20への負担を個別に評価することも、当該一連の動作によるユーザ20への負担を総合的に評価することもできる。
なお、ユーザ20が、特定の時間内に、一連の動作によって複数の作業を行う場合において、上記の通り、負荷測定装置100の算出部121は、複数の作業の各作業において算出したLIに基づいて、複数の作業を行うユーザ20への負担の程度をあらわすVLIを算出してもよい。例えば、算出部121は、各作業について算出したLIを足し合わせ、その平均をVLIとしてもよい。また、算出部121は、各作業について算出したLIと、各作業における頻度指数FMとに基づいて、VLIを算出してもよい。
図21は、一実施形態によるフローを説明する図である。本実施形態における検出部150は、上述した加速度センサ、角速度センサおよび地磁気センサに追加して又は代えて、一組の筋硬度センサを含む。一組の筋硬度センサは、本体部110のユーザ20に接触する側における、ユーザ20の左右方向の両側に配置され、ユーザ20の筋肉の緊張度を検出する。
また、本実施形態における算出部121は、検出部150で検出した検出値と、ユーザ20が力を加えている物体の物体重量に応じた値との少なくとも一方に基づいて、ユーザ20にかかる負荷の値をあらわす腰部負担値を算出する。算出部121は更に、腰部負担値と、ユーザ20の身長、年齢等を含む人体情報およびユーザ20の姿勢の少なくとも一方に応じて定まる限界負担値とに基づいて、人体が行う作業における人体の腰への負担の程度をあらわす腰負担指数を算出する。より具体的には、算出部121は、腰部負担値を限界負担値で除算した除算値に基づいて腰負担指数を算出する。
腰負担指数は、上記で説明したLIに相当する指標である。また、ここで言う限界負担値は、少なくとも限界負担値を算出する際に目安重量を用いていない点で、上記で説明したRWLとは異なる値である。物体重量に応じた値は、一例として、検出部150の筋硬度センサを用いて検出される。また、検出部150は、上述した加速度センサ、角速度センサ、地磁気センサおよび筋硬度センサに追加して又は代えて、圧力を検出する圧力センサや荷重を検出する荷重センサを含んでもよく、圧力センサおよび荷重センサはユーザ20の足裏や手先等に配置されてもよい。また、この場合、物体重量に応じた値は、圧力センサまたは荷重センサを用いて検出されてもよい。物体重量に応じた値は、物体重量そのものであってもよく、この場合、例えば、負荷測定装置100の本体部110に設けられたインターフェースからユーザ20が物体重量を手入力してもよい。さらに、物体の撮影画像から当該物体の体積を推定し、ユーザがあらかじめ入力した物体を構成する材料種に基づいて算出される密度と体積から物体重量を推定してもよい。なお、腰部負担値は、上記で説明したLIにおける力を加えている物体の物体重量に相当する。なお、負荷測定装置100は、検出部150を別構成としてもよく、すなわち、検出部150を備えなくてもよい。この場合、負荷測定システム10は、互いに無線通信する負荷測定装置100と検出部150とを備える。 また、この場合、負荷測定装置100は、着用部101を備えず且つユーザ20に装着されなくてもよく、または、着用部101と同様の構成を備え且つユーザ20の腰部以外の箇所に装着されてもよい。この場合の一例として、負荷測定装置100は、ユーザ20に装着された検出部150から検出値を示すデータを無線通信で受信する、パソコンやサーバや通信端末などの装置であってもよい。
本実施形態による負荷測定装置100は、ユーザ20が荷物を持ち上げることで増加する上体の筋肉(例、背筋)の活動量(例、筋肉の緊張度)を反映した物理量を例えば筋硬度センサで測定し、当該物理量を、加速度センサ等で検出される、ユーザ20の上体の姿勢を反映した物理量と共に用いることで、腰部負担値を算出してもよい。
図21のフローは、一例として、図18のフローと同様に、負荷測定装置100がユーザ20に装着された状態で電源をオンにされ、負荷測定装置100の検出部150がユーザ20の姿勢等の検出値を検出し始めることにより開始する。
負荷測定装置100は、人体の姿勢等の検出値、または、ユーザ20が力を加えている物体の物体重量に応じた値に基づき、腰部負担値を算出し(ステップS201)、腰部負担値および限界負担値に基づいて腰負担指数を算出する(ステップS203)。負荷測定装置100は、ユーザ20の身長等を含む人体情報に応じて、または、検出値から推定される動作に応じて、腰負担指数を補正する(ステップS205)。人体情報に応じて腰負担指数を補正する場合の一例は、同じ作業を行う場合でも年齢が高いユーザ20ほどユーザ20自身が感じる負担は大きく怪我のリスクも高まるため腰負担指数をより大きくする補正を行うことである。人体情報に応じて腰負担指数を補正する場合の他の一例は、比較的低い位置に配置された物体を持ち上げる作業を行う場合に身長が高いユーザ20ほどユーザ20自身が感じる負担は大きく怪我のリスクも高まるため腰負担指数をより大きくする補正を行うことである。また、検出値から推定される動作に応じて腰負担指数を補正する場合の一例は、ユーザ20が頭より高い棚の上に置かれた物体を下そうとして背屈動作を行ったことが推定された場合に、ユーザ20への負担は高まり怪我のリスクも高まるため腰負担指数をより大きくする補正を行うことである。
負荷測定装置100は、腰負担指数に基づいて、ユーザ20への負担を予め定められた基準と比較する、すなわち、作業を行うユーザ20への負担の程度をあらわす腰負担指数が基準よりも大きいか否かを判断する(ステップS207)。腰負担指数が基準よりも大きい場合(ステップS207:YES)、負荷測定装置100はユーザ20に対して警告する(ステップS209)。腰負担指数が基準以下である場合(ステップS207:NO)、またはステップS209で警告した場合、負荷測定装置100は当該フローを開始してから一定時間、例えば1時間が経過したか否かを判断する(ステップS211)。経過していない場合(ステップS211:NO)、ステップS201に戻り、経過している場合(ステップS211:YES)、負荷測定装置100は各指数を含む算出結果の蓄積情報を表示装置200に送信し(ステップS213)、当該フローは終了する。当該フローは、負荷測定装置100がユーザ20に装着された状態で電源がオンのままである限り、繰り返される。
図22は、一実施形態による腰負担指数を算出する方法の一例を説明するグラフである。図22のグラフは、横軸が時間を指し、縦軸がユーザ20への負担[N]を指す。図22の一番上は、ユーザ20の年齢に応じて定まる限界負担値の推移を示すグラフであり、当該限界負担値はユーザ20の姿勢に依存しないため、時間に依らず一定である。なお、当該限界負担値は、40歳以下の成人男性における限界負担値3400[N]を示す。
図22の上から2番目は、ユーザ20の人体情報およびユーザ20の姿勢の両方に応じて定まる限界負担値の推移を示すグラフであり、当該限界負担値はユーザ20の姿勢に依存するため、時間と共に変動する。図22の一番下は、ユーザ20にかかる負荷の値をあらわす腰部負担値の推移を示すグラフである。図22のグラフにおいて、腰部負担値が限界負担値を上回る箇所で腰負担指数が1以上となることが見てわかる。
このような負荷測定システム10によれば、RWLを算出することなく、腰部負担値に基づいて腰負担指数を算出することができる。また、当該負荷測定システム10によれば、上記で説明した、負担指数および目安重量に基づいてRWLを算出し、物体重量およびRWLに基づいてLIを算出する負荷測定システム10と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施形態において、算出部121は、腰負担指数を算出することに代えて又は加えて、検出値に基づき、頻度指数FMおよび保持指数KMの少なくとも一方を算出し、腰部負担値と、限界負担値と、頻度指数FMおよび保持指数KMの少なくとも一方とに基づいて、人体が行う作業における人体への負担の程度をあらわす第二の腰負担指数を算出してもよい。より具体的には、算出部121は、腰部負担値を、限界負担値と、頻度指数FMおよび保持指数KMの少なくとも一方とで除算した除算値に基づいて第二の腰負担指数を算出してもよい。
図23は、一実施形態によるフローを説明する図である。本実施形態の説明においては、ユーザ20が、特定の時間内に、一連の動作によって複数の作業を行うことを前提とする。
本実施形態による負荷測定システム10によれば、負荷測定装置100の算出部121は、ユーザ20の疲労度が、複数の作業のうちの一の作業を行うことによって増加する程度をあらわす疲労増加度と、ユーザ20の疲労度が、一の作業を開始してから一の作業の次の作業を開始するまでに減少する程度をあらわす疲労回復度とに基づき、次の作業を開始するときのユーザ20の疲労の程度をあらわす疲労指数を算出する。一例として、疲労増加度は、一の作業の作業時間および一の作業のLIの少なくとも一方に基づいて決定されてもよい。また一例として、疲労回復度は、一の作業の作業時間、一の作業のLI、及び、一の作業を開始してから次の作業を開始するまでの待機時間のうち少なくともいずれか1つに基づいて決定されてもよい。
当該フローは、一例として、図18等のフローと同様に、負荷測定装置100がユーザ20に装着された状態で電源をオンにされ、負荷測定装置100の検出部150がユーザ20の姿勢等の検出値を検出し始めることにより開始する。
負荷測定装置100は、疲労増加度および疲労回復度に基づいて、次の作業を開始するときの疲労指数を算出し(ステップS301)、疲労指数に基づいて、複数の作業の順序を提案する(ステップS303)。より具体的な一例として、負荷測定装置100の順序提案部127は、特定の時間が終了するときの疲労指数、および、複数の作業の最中の疲労指数の少なくとも一方が予め定められた閾値を超えないように順序を提案する。
ここで、上記の疲労増加度、疲労回復度および疲労指数の算出方法について詳細に説明する。一例として、ユーザ20が、十分に長い作業時間内に、何回かの前屈動作を行う作業を考える。ここでは、疲労指数をPとし、全く疲労していないときはP=1、完全に疲労して全く労働できないときはP=0とする。
n回目の前屈による疲労指数の減少をPa(n)とする。また、n回目の前屈開始時の疲労指数をP_before(n)とする。この場合、P_before(1)=1である。また、n回目の前屈開始後、(n+1)回目の前屈開始時までの疲労回復度をq(n)とする。
n回目の前屈開始時の疲労指数と(n+1)回目の前屈開始時の疲労指数との関係は、P_before(n+1)=P_before(n)-Pa(n)+q(n)となる(式1)。また、前屈をn回行った後の疲労指数をP_after(n)とすると、P_after(n)=1-Σ{Pa(k)-q(k)}-Pa(n) (1≦k≦kn-1)となる(式2)。P_after(n)が予め定められた閾値P_limitを下回らないようにすることで、安全な作業計画を立てたり、現状の作業の危険度を解析および改善したりすることができる。
複数種類の個別作業のそれぞれの負荷度から長時間作業全体の適正度を判定する手法は多種提案されており、例えばNIOSHの定めた手法(1983, rev.1994)が有名である。だた、NIOSHは作業の時系列的な概念を採用せず、代わりに個別作業の頻度を計測し、頻度が疲労に与える影響を加味するというやり方で作業の負担度を算出している。
時系列的な概念を採用しない大きな理由は、一つ一つの動作を完全に別個のものとして扱うと、最終的な疲労度(1-P))算出までの計算が(少なくとも手計算レベルでは)非常に大変になることである。これを避けるため、一連の作業を時系列的に扱うことは避け、代わりに、作業を比較的少数のいくつかの要素に分類し、カテゴリごとの代表値使って疲労度を算出するという手順をとることで、計算の煩雑さから逃れている。
しかし、非時系列的解析にはいくつかの限界もある。例えば、(1)頻度情報だけでは、作業による疲労と、その後の休憩による回復の状況を細かく記述できない。言い換えれば、疲労回復の情報を疲労度判定に盛り込めない。また、(2)NIOSH法では、一連の作業全体に関する判定しかできない。つまり、一連の作業がすべて終了した段階で、全部の作業の累積としての疲労度が適正なものだったか、の判定しかできないが、実際には一連の作業の途中で限界を超えているかもしれない。
これに対し、時系列的な扱いをすれば、(I)前述のq(n)項によって疲労回復の記述が行え、(II)疲労が限界を超える時刻を特定でき、また、逆に、疲労が限界を超えないように作業順序を適正化することも可能になる。上記で説明した本実施形態の負荷測定システム10によれば、(I)および(II)の効果を得ることができ、NIOSH法に比べて、より精密で柔軟な疲労度解析が可能になる。また、NIOSH法における人間による計測および計算の手間を意識することなく、ユーザ20の一連の動作を含む複数作業の時系列的な解析が可能になる。
図24は、一実施形態によって作業順序を変更する前における疲労指数の推移の一例を説明するグラフである。グラフの横軸は時間を指し、縦軸は疲労指数を指す。なお、横軸上には、順に行われる作業名も記してある。
ここでは、三種類の作業A、作業Bおよび作業Cが複数回含まれる一連の作業を考える。ユーザ20が作業Aを行った場合の疲労増加度をPa(n)=0.3、疲労回復度をq(n)=0.15とし、作業Bを行った場合の疲労増加度をPa(n)=0.1、疲労回復度をq(n)=0.1とし、作業Cを行った場合の疲労増加度をPa(n)=0.1、疲労回復度をq(n)=0.05とする。
例として、全体作業にはこれら三種類の作業がそれぞれ3回ずつ含まれるとする。また、作業全体を通して、疲労指数PがP_limit=0.33を下回らないようにしたいとする。例えば、ABCABCABCの順序で作業すると、疲労指数Pの推移は図24に示すようになる。
疲労指数Pの推移から、ユーザ20が3順目の作業A3を行った後(P_after(7))に疲労指数がP=0.3となり、P_limit=0.33を下回っていることが見てわかる。なお、NIOSHなどの非時系列的解析では、全作業終了後に疲労指数がP=0.4になることしかわからないので、途中で作業が危険状態に陥っていることが検出できない。
図25は、一実施形態によって作業順序を変更する前後における疲労指数の推移の一例を比較するグラフである。本実施形態の負荷測定システム10によれば、負荷測定装置100は特定の時間が終了するときの疲労指数、および、複数の作業の最中の疲労指数の少なくとも一方が予め定められた閾値を超えないように順序を提案する。負荷測定装置100が提案する順序による疲労指数Pの推移を、元の順序による疲労指数Pの推移と共に、図25に示す。グラフの横軸は時間を指し、縦軸は疲労指数を指す。
図25において、負荷測定装置100は、元の順序ABCABCABCを、順序ABABCACBCに変更して提案する。負荷測定装置100が提案する作業順序によれば、全作業を通じて疲労指数PがP_limit=0.33を下回らないようにできることが見てわかる。
図26は、一実施形態により、Bernardの式を用いて作業順序を変更する前後における疲労指数の推移の一例を比較するグラフであり、図27は、一実施形態により、Bernardの式を用いて作業順序を変更する前後における疲労指数の推移の一例を説明するテーブルである。図26のグラフ上には、元の順序ABCABCABCによる疲労指数Pの推移と共に、本実施形態の負荷測定装置100が提案する2パターンの順序による疲労指数Pの推移をそれぞれ示す。グラフの横軸は時間を指し、縦軸は疲労指数を指す。なお、横軸上には、順に行われる作業の合計回数も記してある。図27は、図26に示す3つのグラフ上のプロットデータをテーブルに示す。
ここで、筋肉への負担量と持続限界時間との関係を明らかにするBernardの式が知られている。Bernardの式では、筋肉への負担量を%MVCとし、持続限界時間をT_endure (tend)とし、tend[min]40-100%=0.9[-1.5+2.1/(%MVC/100)-0.6/(%MVC/100)2+0.1/(%MVC/100)3]と定義している(式3)。詳細については、以下のリンク先に記されている(https://health.usf.edu/publichealth/eoh/tbernard/~/media/E768B04F723E4F53921200BD6E61B03F.ashx)。
%MVCは実測できればもちろん実測値を使えばよいが、実測できない場合には、代わりにLIを適用することが可能である。LIを用いることで、姿勢を考慮した負担量を使っての判定、という解釈も可能になる。以下の説明では、%MVCに代えてLIを用いる。
ここで、Ta(n)=(n回目の作業の動作時間)、LI(n)=(n回目の作業のLI)とし、これらと上記の式(3)とを元にして、n回目の作業による疲労指数の減少分Pa(n)を導く。例えば、作業持続時間に比例して疲労度が増加すると考えるならば、Pa(n) = Ta(n)/B1(LI(n)) …(4a)となる。また、作業時間に応じて加速度的に疲労度が増加すると考えるならば、Pa(n) = c1*exp{ c2*Ta(n)/B1(LI(n)) } …(4b)といった形も考えられる。ここでc1、c2は測定値から定められるべき定数である。
次に、BernardのRM (Recovery Multiplier)を使ってq(n)を導く。Bernardの式においては、RM=(必要とする回復時間)/(作業時間)と定義されており、%MAE を用いてRM = { 100 / exp(60 - 100*%MAE) } - 1 (0≦%MAE≦0.6)…(5)と算出される。%MAEは、実測できなければLIを適用でき、以下の説明では、%MAEに代えてLIを用いる。
また、n回目の作業実行後、(n+1)回目の実行までの時間を実回復時間と考え、これを T_rec(n) と書く。これらからq(n)を算出する。例えば、回復量が実回復時間に比例すると考えるなら、q(n) = T_rec(n) / (RM(n)*Ta(n))…(6a)とすればよい。また、回復時間中は最初急速に回復し、だんだん回復の度合いが緩やかになると考えるなら、q(n) = c3* { 1 - exp{ -T_rec(n) / (RM(n)*Ta(n))} }…(6b)のような形も考えられる。ここで、c3は実測値から定められる定数である。なお、RMの式は %MAE≦0.6 までしか valid でない。
そして、式(4a),(4b),(6a),(6b)を上記の式(1)に代入すれば、P_before(n+1) の具体的な計算式が得られる。
Pa(n)、q(n)はともにLIの関数であるが、その時点での疲労度P_before(n)の関数でもある可能性がある。つまり、同じ負荷LI(または%MVC)の作業でも、まったく疲労していない時とすでにある程度疲労した時では、疲労度Pa(n)は異なり得る。同様にq(n)に関しても、同じ負荷LI(または%MAE)の作業後の場合でも、その時の疲労度 (P_before(n)+Pa(n)) に応じて回復の程度は異なり得る。これは、LIが疲労度に応じて見かけ上変化しているとすることで、モデルに取り込むことができる。つまり、疲労してくると感覚上のLIが実際のLIより大きくなると考え、感覚上のLIを現時点での疲労度の関数として表現したものを採用すればよい。
例えば、最も単純な例として、Pa(n) = LI(n)とする。図25で説明した3種類の作業の例に当てはめて言えば、作業AのLIが 0.3、作業Bと作業CのLIが共に 0.1だったということになる。これに対し、「その時点での疲労度の影響を考慮した」LIとして以下の二つを考える。
LI-l(n) = { k1*( 1-P_before(n) )+1 }*LI(n) (k1はある定数)
LI-e(n) = exp{ k2*( 1-P_before(n) ) }*LI(n) (k2はある定数)
上記式において、LI-l(n) は、その時点での疲労度 (1-P_before(n)) に比例して見かけ上のLIが増加する例、LI-e(n)は、その時点での疲労度 (1-P_before(n)) に対して見かけ上のLIが指数関数的に増加する例である。これらを使って、Pa(n) = LI-l(n)あるいはPa(n) = LI-e(n)を考えることができる。これらを上記の3種類の作業の例に当てはめたものを図26および図27に示す。作業順序は何れも、ABCABCABCである。また、上記式におけるk1およびk2をそれぞれ、k1 = 0.3、k2 = 0.55とする。図26および図27において、originalはPa(n) = LI(n)、linerはPa(n) = LI-l(n)、expはPa(n) = LI-e(n)をそれぞれ示す。
図26のグラフ上および図27のテーブルに示す通り、3順目の作業A(13)〜作業C(17)付近における疲労指数を比較するとモデルの差が判りやすい。なお、q(n)についても同様な方法により、回復に関してその時点での疲労度の影響を考慮したモデルを作成することができる。
図28は、一実施形態によるフローを説明する図である。当該フローは、一例として、図18等のフローと同様に、負荷測定装置100がユーザ20に装着された状態で電源をオンにされ、負荷測定装置100の検出部150がユーザ20の姿勢等の検出値を検出し始めることにより開始する。
負荷測定装置100は、検出部150による検出値に基づいて、ユーザ20の動作および動作を伴う作業の作業環境を推定する(ステップS401)。より具体的な一例として、負荷測定装置100の第二の補正部133は、検出値に基づき、動作として、ユーザ20のしゃがみ動作および高所へ物体を持ち上げる動作の少なくとも一方を推定する。なお、負荷測定装置100が推定する動作は、しゃがみ動作や高所への持ち上げ動作だけでなく、任意の動作を検出値から推定してもよい。
負荷測定装置100は、推定した動作および作業環境に基づき、動作を伴う作業について算出した負担指数に対応するユーザ20への負担が小さくなるように、動作および作業環境の変更を提案する(ステップS403)。変更を提案する作業環境の一例は、作業時間の割合を下げることであってもよい。
図29は、一実施形態による、高所へ物体を持ち上げる動作を検出する方法の一例を説明するグラフであり、図30は、一実施形態による、しゃがみ動作を検出する方法の一例を説明するグラフである。両グラフの横軸は時間を指し、縦軸は腰の角度[°]を指す。また、両グラフ上には、上側センサ群160によって検出される腰の角度の推移と、下側センサ群170によって検出される腰の角度の推移とを示す。なお、両グラフにおいて、腰の角度が0°であることは、ユーザ20の姿勢が略直立であることを意味し、腰の角度が正であることは、ユーザ20の姿勢が前屈状態であることを意味し、腰の角度が負であることは、ユーザ20の姿勢が後屈状態であることを意味する。
図29において、図中に丸で示す箇所は、上側センサ群160および下側センサ群170の両方で検出された腰の角度が負となっており、上側センサ群160については-10°を超える背屈傾向を示している。すなわち、当該箇所において、ユーザ20は、175cmを超える高さでの荷物の扱いを行っていると見做すことができ、この場合、負荷測定装置100の第二の補正部133は、垂直指数VMをVM=0としてもよい。
図30において、図中に丸で示す箇所は、上側センサ群160で検出された腰の角度が正となっている一方で、下側センサ群170で検出された腰の角度が負となっており、下側センサ群170については-10°を超える背屈傾向を示している。すなわち、当該箇所において、ユーザ20は、床の高さでの荷物の扱いを行っていると見做すことができ、この場合、負荷測定装置100の第二の補正部133は、垂直指数VMをVM=0としてもよい。
図31、図32、図33および図34はそれぞれ、一実施形態による表示装置200が表示する画面の一例を示す図である。本実施形態における表示装置200は、算出部121で算出される指数に基づき、予め定められた、人体への負担を大きくする原因および原因への対策を文章で表示可能である。表示装置200による、当該原因および原因への対策を文章で表示する画面の一例を図31に示す。図31の例では、5行×8列のマトリックス状のテーブルが示されており、一番上の行の左から順に垂直指数VM、距離指数DM、非対称指数AM1、非対称指数AM2、頻度指数FM、保持指数KMが記されている。上から2番目と3番目の行には、環境起因の原因とその対策の一例が、指数毎に記されている。上から4番目と5番目の行には、作業起因の原因とその対策の一例が、指数毎に記されている。
また一例として、表示装置200は、負荷測定装置100の算出部121で算出された指数に基づき、ユーザ20への負担を予め定められた基準と比較した比較結果に応じて、警告を表示可能である。当該警告の表示は、負荷測定装置100の警告部141による警告に代えて又は加えて、行ってもよい。表示装置200による、比較結果に応じて警告を表示する画面の一例を図32から図34に示す。
図32の画面上では、例えばユーザ20の作業現場に設置された定点カメラによって撮影される、ユーザ20の作業風景動画と、ユーザ20情報とに加えて、一連の動作による複数の作業のそれぞれについて、1〜3の3段階で作業姿勢を評価した評価値を棒グラフにより示している。
図33の画面上では、1時間の間(14:00-15:00)に検出された検出値に基づく評価結果を、複数に区分された前屈角度範囲ごとに色分けして、円グラフ上に示している。また、円グラフの中心には、前屈角度が危険と判断された作業時間の合計と、要改善と判断された作業時間の合計とを示している。また、前屈角度が大きかった動作については、順に、その時間と前屈角度とをテーブル上に示している。図34の画面上では、図33の画面上からの変更点として、円グラフを、外側から順に、腰負担の程度、前屈の程度、側屈の程度、体のひねりの程度を示すように、同心円の複数の円グラフに分けて表示している。
図32から図34の何れの表示例においても、ユーザ20は表示装置200の画面を確認することで、作業ごと、または時間帯ごとの、負担の程度を一見して把握することができる。特に負担の程度が大きい作業や時間帯については、視覚的に危険であると認識し易い色で表示することで、ユーザ20への注意喚起を効果的にできる。
また一例として、表示装置200は、算出部121で算出される負担指数に基づいて、人体への負担が小さくなるように変更した負担指数の改善例と、負担指数の改善例に基づいて算出されるLIの改善例とを表示可能である。また一例として、表示装置200は、算出部121で算出される、負担指数に基づくLIと、負担指数の改善例に基づくLIの改善例とを表示可能である。
図35は、一実施形態による総合負担指数を算出する方法の一例を説明する図である。総合負担指数とは、ユーザ20が、特定の時間内に、一連の動作によって複数の作業を行う場合において、当該複数の作業を行うユーザ20への負担の程度をあらわす指数である。総合負担指数は、負担指数と同様に、予め定められた範囲、例えば0.0〜1.0の範囲で規格化されており、人体への負担の程度が大きくなるに連れて小さくなる。なお、総合負担指数の規格化される範囲は、負担指数と同様、0.0〜1.0に限らない。
本実施形態による算出部121は、複数の作業の各作業において算出した負担指数と、各作業の作業時間とに基づいて、総合負担指数を算出する。総合負担指数は、上記の実施形態において説明した総合的な作業負担指数(VLI)とは異なる概念であって、ユーザ20が力を加える物体の物体重量、または、ユーザ20が物体に力を加えずに作業を行う場合に用いる重量基準値を加味せず、ユーザ20の姿勢のみに依存して算出される指数である。
図35には、一連の動作による複数の作業中に上側センサ群160および下側センサ群170の少なくとも一方によって検出される、ユーザ20の腰の角度の推移のグラフを示す。グラフの横軸は時間を指し、縦軸は腰の角度[°]を指す。
複数の作業は、ユーザ20の腰部への負担値が予め定められた閾値以上である過負担作業と、負担値が閾値よりも小さい小負担作業とを含んでもよい。過負担作業は、ユーザ20の上体のひねり及び側屈を含むユーザ20を正面から見て左右の非対称な上体動作、及び、ユーザ20の前後屈の動作の少なくともいずれか一方を含んでもよく、この場合の小負担作業は、過負担作業に含まれる動作を含まず、すなわち、非対称な上体動作及び前後屈の動作の当該少なくともいずれか一方を含まない。
本実施形態による算出部121は、小負担作業については、負担指数を規格化するための上記の範囲のうちの、予め定められた値を負担指数として算出する。より具体的な一例として、本実施形態による算出部121は、小負担作業については、負担指数が1.0〜0.0の範囲で規格化されている場合は、当該範囲のうちの最大値、例えば1.0を負担指数として算出する。
一方で、本実施形態による算出部121は、過負担作業については、上記の垂直指数VM、および、上記の距離指数DM、のうち少なくともいずれか1つを負担指数として算出する。なお、算出部121は、過負担作業については、上述した、(A)非対称指数AM1およびAM2、(B)垂直指数VM、(C)距離指数DM、(D)頻度指数FM、ならびに、(E)保持指数KMを負担指数として算出してもよい。
本実施形態の算出部121は、過負担作業と小負担作業とを、ユーザ20の腰部への負担値に比例する、ユーザ20の腰の角度に基づいて分別する。具体的な一例として、図35のグラフ上に直線状の破線で示す角度20°を閾値として、算出部121は、図35中に一点破線で囲んでいる、ユーザ20の腰の角度が20°以上の作業を過負担作業と判断し、その他の領域にある、ユーザ20の腰の角度が20°未満の作業を小負担作業と判断する。すなわち、算出部121は、図35中にそれぞれ作業時間T2、T4、T6、T8、T10およびT12で示される作業を過負担作業と判断し、それぞれ作業時間T1、T3、T5、T7、T9、T11およびT13で示される作業を小負担作業と判断する。なお、閾値は、ユーザ20が行う作業の種類に基づいて算出してもよい。
本実施形態による算出部121は更に、過負担作業について算出した垂直指数VMおよび距離指数DMの少なくともいずれか1つと過負担作業の作業時間との乗算値、及び、小負担作業について負担指数として算出した上記の範囲のうちの最大値と小負担作業の作業時間との乗算値、をそれぞれ算出し、複数の乗算値のそれぞれを加算した加算値に基づいて総合負担指数を算出する。より具体的な一例として、本実施形態による算出部121は、当該加算値を、上記の特定の時間で除算することによって総合負担指数を算出する。
図35に示す具体的な一例として、算出部121は、作業時間T2の作業について算出したVMおよびDMとT2との乗算値を算出し、作業時間T4、T6、T8、T10およびT12の各作業についても同様に乗算値を算出する。また、算出部121は、作業時間T1の作業について負担指数として算出した値1.0とT1との乗算値を算出し、作業時間T3、T5、T7、T9、T11およびT13の各作業についても同様に乗算値を算出する。そして、算出部121は、作業時間T1〜T13の全ての作業について算出した複数の乗算値のそれぞれを加算した加算値を、当該一連の複数の作業を開始してから終了するまでの総作業時間、すなわち作業時間T1〜T13の全ての総作業時間Tallで除算することによって、当該一連の複数の作業における総合負担指数を算出する。
なお、算出部121は、過負担作業について算出した垂直指数VMおよび距離指数DMの少なくともいずれか1つと、例えば23kgである上記の目安重量とを乗算することで上記の推奨限界値(RWL)を算出し、当該推奨限界値と過負担作業の作業時間とを乗算した乗算値を取得してもよい。この場合、算出部121は、小負担作業について負担指数として算出した上記の範囲のうちの最大値と上記の目安重量とを乗算することで上記の推奨限界値を算出し、当該推奨限界値と小負担作業の作業時間とを乗算した乗算値を取得してもよい。そして、算出部121は、作業時間T1〜T13の全ての作業について算出した複数の乗算値のそれぞれを加算した加算値を、総作業時間Tallで除算することによって、当該一連の複数の作業における平均許容取扱重量[kg]を算出してもよい。ただし、平均許容取扱重量[kg]は、ユーザ20が当該複数の作業を繰り返す場合に実際に取り扱ってもよい重量を直接あらわすものではなく、当該複数の作業を行うユーザ20への負担の程度の大小を評価するための指標値である。算出部121は更に、当該平均許容取扱重量を目安重量で除算することによって得られる値を、当該一連の複数の作業における総合負担指数としてもよい。
図36から図39はそれぞれ、一実施形態による表示装置200が表示する画面の一例を示す図である。図36に示す画面上では、ユーザ20が、特定の時間内に、一連の動作によって複数の作業を行う場合において、特定の時間内の推奨限界値(RWL)の推移を示すグラフ、ユーザ20の上体が前後屈するときの腰の角度の推移を示すグラフ、ユーザ20の上体が側屈するときの腰の角度の推移を示すグラフ、および、ユーザ20の上体がひねられるときの腰の角度の推移を示すグラフを画面上部から並べて示す。各グラフは、上側センサ群160および下側センサ群170の少なくとも何れか一方によって検出される検出値に基づく。各グラフの横軸は時間を指し、縦軸の左側は各負担指数を指し、縦軸の右側は各動作に対応する腰の角度[°](又は角度差[°])を指す。
より具体的には、前後屈のグラフ上では、実線であらわされる前後屈角度の推移と共に垂直指数VMおよび距離指数DMのデータがプロットされる。ここで、垂直指数VMおよび距離指数DMのそれぞれに対応する上記の前屈角度Av[°]および前後屈角度の角度差Ad[°]をグラフの縦軸の右側に示す。図36の画面上では、ユーザ20の上体が前後屈するときの腰の角度差[0]の推移を示すグラフを省略しているが、ユーザ20の上体が前後屈するときの腰の角度の推移を示すグラフに重ねて表示してもよく、表示装置200に対するユーザ入力によって、これらのグラフの表示を交互に切り替え可能であってもよい。
また、側屈のグラフ上では、実線であらわされる側屈角度の推移と共に非対称指数AM2のデータがプロットされる。ここで、非対称指数AM2に対応する上記の側屈角度Am2[°]をグラフの縦軸の右側に示す。また、ひねりのグラフ上では、実線であらわされるひねり角度の推移と共に非対称指数AM1のデータがプロットされる。ここで、非対称指数AM1に対応する上記のひねり角度Am1[°]をグラフの縦軸の右側に示す。なお、図36に示す、前後屈のグラフ、側屈のグラフおよびひねりのグラフのそれぞれでは、グラフの理解を容易にすべく、各指数について、任意の複数の代表値をプロットしてある。これに代えて、これら3つのグラフ上では、各指数について、図示している代表値の数よりも多く又は少なくプロットしてもよく、1つもプロットされなくてもよい。
また、図36に示す画面上では、これら3つのグラフと共に、算出部121によって算出される、当該特定の時間内の推奨限界値(RWL)の推移も画面最上部に並べて示す。本実施形態において、当該推奨限界値(RWL)は、1.0〜0.0までの範囲でそれぞれ規格化されている垂直指数VM、距離指数DM、非対称指数AM2および非対称指数AM1と、目安重量である23.0kgとを全て乗算することによって算出される。なお、上記の検出値に基づいて算出される他の負担指数が、当該乗算値に対して追加的に乗算されてもよい。
本実施形態において、各負担指数の算出方法は、上記の実施形態において説明した算出手法と同じとする。すなわち、以下の定義に従う。
90°<AvおよびAv<-10°:VM=0
-10°≦Av<-5°:VM=1〜0.7
-5°≦Av<20°:VM=1
20°≦Av≦90°:VM=1〜0.775
100°≦Ad:DM=0
0°≦Ad<100°:DM=1〜0.82
0≦|Am2|≦5°:AM2=1
|Am2|>5°:AM2=0
0°≦Am1≦45°:AM1=1〜0.568
45°<Am1:AM1=0
図36に示す、前後屈のグラフおよび側屈のグラフのそれぞれでは、距離指数DMを除く他の負担指数が1.0として算出される、ユーザ20の上体の角度領域を斜線で示す。なお、距離指数DMは、ユーザ20の前後屈角度の推移が時間変化しない作業について、すなわち前後屈角度の変化を伴わない作業について、1.0として算出される。
ユーザ20が特定の時間内に一連の動作によって複数の作業を行う場合に、算出部121は、総合的な作業負担指数(VLI)を算出してもよい。しかしながら、例えば図36の4つのグラフを横断する直線状の破線が位置する時点は、いずれかの負担指数が0.0となる時点であることから、RWLも0.0となる時点である。このように、複数の作業内にRWLが0.0となる作業が含まれる場合に、上述した算出方法によってVLIを算出すると、VLIが当該RWLの作業の影響を大きく受けることになる。そこで、算出部121は、総合的な作業負担指数(VLI)を算出することに代えて、総合負担指数を算出してもよい。また、算出部121は、ユーザ20が行う複数の作業のそれぞれに対してRWLを算出し、複数の作業の中にRWLが0.0となる作業が含まれていないと判断した場合にはRWLに基づいて総合的な作業負担指数(VLI)を算出し、複数の作業の中にRWLが0.0となる作業が1つ以上含まれていると判断した場合にはRWLに基づいて総合負担指数を算出してもよい。
図37に示す画面上には、ユーザ20が特定の時間内に一連の動作によって複数の作業を行う場合に、当該複数の作業について算出部121が算出する総合負担指数の一例(0.92)を表示する。当該画面上には更に、各作業の作業時間と、算出部121が算出するRWLとの関係を示すデータの分布を示す散布図の一例を表示する。当該画面上には更に、算出部121が算出する各作業の負担指数のレーダーチャートの一例を表示する。
図37に例示した散布図では、各作業の作業時間と、各作業の負担指数として算出される少なくとも二つの指数を積算した積算値に目安重量を乗算した値であるRWLとの関係を示すデータの分布を表示している。これに代えて、本実施形態における表示装置200は、各作業の作業時間と、各作業の負担指数として算出される少なくとも二つの指数を積算した積算値との関係を示すデータの分布を示す散布図を表示することも可能である。また、表示装置200は、追加的に又は代替的に、各作業の作業時間と負担指数との関係を示すデータの分布を示す散布図を表示可能であってもよい。
表示装置200は、負荷測定装置100から受信する、複数の作業のそれぞれの負担指数、作業時間およびRWLを示すデータに基づいて、自ら、散布図やレーダーチャートなどを作成して表示してもよく、負荷測定装置100によって作成された散布図等のデータを受信して表示してもよい。以降の図で説明される表示装置200の表示画面の例に示す散布図、レーダーチャート、グラフなどについても同様とし、重複する説明を省略する。
図37に示す散布図の横軸は各作業の作業時間[s]を指し、縦軸は各作業のRWL[kg]を指す。当該散布図上では、各作業の発生割合をマッピングしており、一例として、発生割合が5−10%の分布を右下斜め方向の斜線の領域で示し、発生割合が10−15%の分布を網目状の領域で示す。同様に、発生割合が15−20%の分布を左下斜め方向の斜線の領域で示し、発生割合が20−25%の分布をドット状の領域で示し、発生割合が25−30%の分布を縦縞の領域で示す。なお、当該散布図上では、発生割合が0−5%の分布を不図示としている。なお、当該散布図は、濃淡付き散布図、濃淡散布図などと呼ばれる場合がある。
当該散布図の例において、散布図上の左上側、すなわち作業時間が0−10[s]付近で且つRWLが0−5[kg]付近の領域にマッピングされる作業は、相対的に、ユーザ20の腰への負担が大きく作業時間が短いことを意味する。また、散布図上の右上側、すなわち作業時間が50−60[s]付近で且つRWLが0−5[kg]付近の領域にマッピングされる作業は、相対的に、ユーザ20の腰への負担が大きく作業時間が長いことを意味する。
同様に、散布図上の左下側、すなわち作業時間が0−10[s]付近で且つRWLが20−25[kg]付近の領域にマッピングされる作業は、相対的に、ユーザ20の腰への負担が小さく作業時間が短いことを意味する。また、散布図上の右下側、すなわち作業時間が50−60[s]付近で且つRWLが20−25[kg]付近の領域にマッピングされる作業は、相対的に、ユーザ20の腰への負担が小さく作業時間が長いことを意味する。
図37に示すレーダーチャートは、一例として、特定の時間内に行われる全作業について算出部121が算出する、ユーザ20の各動作等に対応する負担指数の最小値(一点鎖線)、最大値(太実線)および平均値(点線)を示す。図示の例では、当該負担指数は、しゃがみ動作に対応する垂直指数VM、前屈動作に対応する垂直指数VM、後屈動作に対応する垂直指数VM、ユーザ20による物体の移動距離に対応する距離指数DM、ひねり動作に対応する非対称指数AM1、側屈動作に対応する非対称指数AM2、作業の発生頻度に対応する頻度指数FM、および、同一の姿勢の保持時間に対応する保持指数KMの8項目である。
例えば、ユーザ20は、図示の0.92いう総合負担指数を見ることで、一連の複数の作業が全体として、相対的に負担が小さかったことを把握することができる。また、ユーザ20は、図示の散布図を見ることで、散布図上の左下側の領域にマッピングされる作業の割合が高いため、対応する一連の複数の作業には比較的腰への負担が小さな短時間作業が多く含まれていたことを把握することができる。また、ユーザ20は、図示のレーダーチャートを見ることで、後屈動作やしゃがみ動作による体への負担が大きかったことなどを把握することができる。
図38および図39に示す画面上には、図37に示した散布図と同様の散布図を表示する。図38では、それぞれが特定の時間内に一連の動作によって複数の作業を行う、AさんとBさんの両者の散布図を並べて表示する。例えばAさんおよびBさんの作業管理者であるユーザ20は、両者の散布図を比較することで、Aさんが行った一連の複数の作業にはBさんに比べて腰への負担が大きな短時間作業が多く含まれていたこと、および、Bさんが行った一連の複数の作業にはAさんに比べて腰への負担が小さな短時間作業が多く含まれていたことなどを把握することができる。この結果を基に作業管理者は、腰への負担の大きな作業を行っているAさんの腰への負担が軽減されるように作業内容の見直しを行うことで、作業環境の改善を図ることが可能になる。
図39では、特定の時間内に一連の動作によって複数の作業を行うユーザ20が、作業環境を変更した上で同じ複数の作業を繰り返した場合における、作業環境の変更前後の散布図を並べて表示する。例えばユーザ20は、2つの散布図を比較することで、作業環境を変更したことによって、腰への負担が大きな短時間作業の割合が減り、腰への負担が小さな短時間作業が増えたことを把握することができる。
図40から図42はそれぞれ、一実施形態による、ユーザ20への負担の程度を予め定められた基準値と比較する方法の一例を説明するグラフである。本実施形態における比較部129は、算出部121で算出される、複数の作業における総合負担指数および各作業における負担指数のうち少なくともいずれか一方に基づいて、ユーザ20への負担の程度を予め定められた基準値と比較する。
当該基準値は、(A)複数の作業を繰り返して行うことを許容するか否かの判断基準であって、複数の作業における総合負担指数および各作業における負担指数のうち少なくともいずれか一方の予め定められた閾値をあらわす繰り返し閾値、(B)予め定められた時間内での複数の作業を繰り返して行うこと、または、予め定められた時間内に限って各作業を行うこと、を許容するか否かの判断基準であって、複数の作業における総合負担指数および各作業における負担指数のうち少なくともいずれか一方の予め定められた閾値をあらわす時限付閾値、および、(C)各作業を行うことを許容しないか否かの判断基準であって、時限付閾値よりも小さい、各作業の負担指数の予め定められた閾値をあらわす底値、のうちの少なくともいずれか一つを含んでもよい。
図40には、複数の作業における総合負担指数に基づいて、ユーザ20への負担の程度を上記の基準(A)と比較する方法の一例を説明するグラフを示す。本実施形態では、比較部129は、基準(A)として、複数の作業における総合負担指数の閾値をあらわす繰り返し閾値1を用いる。
図40のグラフの横軸は時間を指し、縦軸の左側は総合負担指数を指し、縦軸の右側は負担指数と作業時間との乗算値を指す。当該グラフ上には、各作業の負担指数の積と作業時間とを乗算した乗算値を、複数の作業について加算した総和であるΣ(負担指数の積×作業時間)の推移を示す。また、当該グラフ上には、Σ(負担指数の積×作業時間)を総計測時間で除算した総合負担指数(=Σ(負担指数の積×作業時間)/総計測時間)の推移も示す。また、当該グラフ上には、繰り返し閾値1を、傾きが0である直線状の破線で示す。なお、当該グラフ上には、補足的に、複数の作業における各作業の負担指数に対する閾値をあらわす繰り返し閾値2を、正の傾きを有する直線状の破線で示しているが、繰り返し閾値2を示さなくてもよい。
本実施形態の算出部121は、図40のグラフに示す通り、一連の複数の作業における1つ目の作業が終了した時点から、Σ(負担指数の積×作業時間)および総合負担指数の算出を開始し、当該複数の作業における最後の作業が終了した時点で当該算出を終了する。図示の例では、作業時間がT1である作業1の終了時点に当該算出を開始し、作業時間がT9である作業9の終了時点に当該算出を終了する。
図示の通り、一連の複数の作業を行っている間に算出されるΣ(負担指数の積×作業時間)は、時間経過に伴って増大する値であり、一方で、総合負担指数は、時間経過に伴って増減する値である。また、「複数の作業」における総合負担指数は、作業9の終了時点で最終的に算出される値である。
本実施形態の比較部129は、作業9の終了時点で最終的に算出される総合負担指数を繰り返し閾値1と比較する。なお、総合負担指数は値が大きいほど腰への負担が小さいことは前述のとおりである。比較部129は、「複数の作業」における総合負担指数が繰り返し閾値1よりも大きいと判断し、すなわち、「複数の作業」を繰り返して行うことを許容すると判断する。なお、比較部129は、基準(A)を用いる場合、図示の例のように「複数の作業」の途中で算出される総合負担指数が繰り返し閾値を下回っていても、「複数の作業」が全て終了して最終的に算出される総合負担指数が繰り返し閾値を下回っていなければ、「複数の作業」を繰り返して行うことを許容すると判断する。
なお、比較部129は、追加的に又は代替的に、作業9の終了時点で最終的に算出されるΣ(負担指数の積×作業時間)を繰り返し閾値2と比較してもよい。図示の例では、比較部129は、「複数の作業」のΣ(負担指数の積×作業時間)が繰り返し閾値2よりも大きいと判断し、すなわち、「複数の作業」を繰り返して行うことを許容すると判断する。なお、比較部129は、複数の作業を行うユーザ20への負担の程度を評価するために、総合負担指数およびΣ(負担指数の積×作業時間)のうちのいずれを用いるのかを任意に選択してよい。
なお、基準(A)は、一例として、ひとまとまりの「複数の作業」が一日の中で繰り返される場合において、「複数の作業」を一日の中で繰り返してよいか否かの判断基準であってもよく、また、「複数の作業」が一日の中では一度のみ行われて繰り返されることはないが異なる日に繰り返される場合において、「複数の作業」を異なる日に繰り返してよいか否かの判断基準であってもよい。なお、上記の一日は、予め定められた時間、例えば8時間であってもよい。
図41には、複数の作業における総合負担指数に基づいて、ユーザ20への負担の程度を上記の基準(B)と比較する方法の一例を説明するグラフを示す。本実施形態では、比較部129は、基準(B)として、予め定められた時間内での複数の作業を繰り返して行うことを許容するか否かの判断基準であって、複数の作業における総合負担指数の閾値をあらわす時限付閾値を用いる。
図41のグラフの横軸は時間を指し、縦軸は総合負担指数を指す。当該グラフ上には、総合負担指数の推移を示す。また、当該グラフ上には、時限付閾値を直線状の破線で示す。
本実施形態の算出部121は、図40の実施形態と同様に、総合負担指数を算出する。本実施形態の比較部129は、作業1の開始時点から起算して一定の時間間隔Tth毎に、直近の当該時間間隔Tth内に含まれていた1つ又は複数の作業について算出される総合負担指数の推移を時限付閾値と比較する。なお、比較部129は、個々の作業終了時点がいずれの時間間隔Tth内に含まれるかに基づいて、時間間隔Tth内に含まれる1つ又は複数の作業を特定してもよい。ここで、Tthは例えば15分間である。
図示の例では、比較部129は、作業1の開始時点から起算して3つ目の時間間隔Tth内に作業終了時点が含まれている作業6および作業7について算出される総合負担指数の推移が時限付閾値よりも小さいと判断し、すなわち、当該時間間隔Tth内で作業6および作業7を繰り返して行うことを許容しないと判断する。また、他の実施の形態では、算出部121がTthの間の総合負担指数を刻々と算出し、比較部129が総合負担指数と時限付閾値とを比較して、総合負担指数が時限付閾値より小さいときの時間間隔Tthの間に行われた複数の作業を繰り返して行うことを許容しないと判断してもよい。時間間隔Tthの開始と終了時点で複数の作業のうちいずれかの作業が継続中の場合は、時間間隔Tthの間で複数の作業のすべてが完了するように時間間隔Tthを基準時間(例えば15分間)から増減させてもよく、また、増減に対応した所定の補正値で時間間隔Tthを補正してもよい。
図42には、複数の作業の各作業における負担指数に基づいて、ユーザ20への負担の程度を上記の基準(B)と比較する方法、および、複数の作業の各作業における負担指数に基づいて、ユーザ20への負担の程度を上記の基準(C)と比較する方法の一例を説明するグラフを示す。
本実施形態では、比較部129は、基準(B)として、予め定められた時間内に限って各作業を行うことを許容するか否かの判断基準であって、各作業における負担指数の閾値をあらわす時限付閾値を用いてもよい。また、本実施形態では、比較部129は、基準(C)として、各作業を行うことを許容しないか否かの判断基準であって、時限付閾値よりも小さい、各作業の負担指数の予め定められた閾値をあらわす底値を用いてもよい。なお、比較部129は、底値を用いる場合、作業時間の長短に拘わらずに各作業を判断する。
図42のグラフの横軸は時間を指し、縦軸は総合負担指数を指す。当該グラフ上には、総合負担指数の推移を示す。また、当該グラフ上には、時限付閾値および底値をそれぞれ、直線状の破線で示す。
本実施形態の算出部121は、各作業の負担指数を算出する。本実施形態の比較部129は、各作業について算出された負担指数を時限付閾値と比較し、更に、時限付閾値よりも小さな負担指数が算出された作業について、その作業時間を予め定められた時間Tthと比較してもよい。また、本実施形態の比較部129は、各作業について算出された負担指数を底値と比較してもよい。
図示の例では、比較部129は、作業2および作業5については、算出された負担指数が時限付閾値よりも小さいものの各作業時間T2、T5が時間Tthよりも短いと判断し、すなわち、時間Tth内に限って作業2および作業5を行うことを許容すると判断してもよい。また、比較部129は、作業9については、算出された負担指数が時限付閾値よりも小さく、且つ、作業時間T9が時間Tthよりも長いと判断し、すなわち、時間Tth内に限って作業9を行うことすら許容しないと判断してもよい。
これに代えて、比較部129は、作業1から9の何れの負担指数も底値より大きいと判断し、すなわち、作業1から9の何れの作業も行うことを許容すると判断してもよい。なお、比較部129は、一連の複数の作業の中に、負担指数が底値を下回る作業が存在する場合には、その「複数の作業」の全体を行うことを許容しないと判断してもよく、負担指数が底値を下回った作業を行うことのみを許容しないと判断してもよい。
なお、例えば、負担指数が1〜0の範囲で規格化される場合に、ユーザ20の体への負担の評価を「1−負担指数」の値を用いて行う場合には、上記の実施形態で説明した各閾値と、比較対象の指数などとの大小関係は逆になってもよい。
以上の複数の実施形態において、表示装置200は、複数の作業における総合負担指数、各作業における負担指数、および、各作業における負担指数として算出される少なくとも二つの指数を積算した積算値、のうち少なくともいずれか1つを表示可能であってもよい。例えば、表示装置200は、図36から図39に示す画面に示されるように、各作業における負担指数として算出される少なくとも二つの指数を積算した積算値の一例であるRWLを表示可能であってもよい。表示装置200はまた、複数の作業における総合負担指数や、各作業における負担指数として、図40から図42に示す各グラフを表示可能であってもよい。この場合、算出部121は、各作業における負担指数および積算値の少なくともいずれか一方を各作業の作業時間毎に算出し、表示装置200は、特定の時間における、複数の作業についてそれぞれの作業時間ごとに算出された複数の負担指数および複数の積算値の少なくともいずれか一方の時系列を示すグラフを表示可能である。また、この場合に、表示装置200はさらに、図40から図42を用いて説明した各基準値を実測値と共に表示可能である。さらに、総合負担指数、各作業における負担指数および積算値の少なくとも一方が、各基準値のうち時限付閾値または底値を下回る時点又はそのときの各作業をグラフ中にカラー等で表示してもよい。なお、表示装置200はさらに、一連の複数の作業を行うユーザ20を定点カメラなどで撮影した動画と組み合わせ、どの動作で基準を超えているかを表示可能であってもよい。
以上、主に図35を用いて説明した実施形態では、ユーザ20が、特定の時間内に、一連の動作によって複数の作業を行う場合に、一例として、算出部121は、予め定められた範囲で規格化された総合負担指数を算出する構成として説明した。これに代えて、ユーザ20が、特定の時間内に、一連の動作によって複数の作業を行う場合に、算出部121は、複数の作業の各作業において算出した負担指数と各作業の作業時間との乗算値を算出し、複数の乗算値のそれぞれを加算することによって、複数の作業を行う人体への負担の程度をあらわす総合負担指標を算出してもよい。総合負担指標とは、総合負担指数と異なり、予め定められた範囲で規格化されない値であるが、総合負担指数と同様に、ユーザ20が力を加える物体の物体重量、または、ユーザ20が物体に力を加えずに作業を行う場合に用いる重量基準値を加味せず、ユーザ20の姿勢のみに依存して算出される指標である。
本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
図43は、本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されうるコンピュータ1200の例を示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該装置の1又は複数の「部」として機能させ、又は当該オペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1200に、本発明の実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。このようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、グラフィックコントローラ1216、及びディスプレイデバイス1218を含み、これらはホストコントローラ1210によって相互に接続される。コンピュータ1200はまた、通信インターフェース1222、ハードディスクドライブ1224、DVD-ROMドライブ1226、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、これらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続される。コンピュータはまた、ROM1230及びキーボード1242のようなレガシの入出力ユニットを含み、これらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続される。
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、これにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又は当該グラフィックコントローラ1216自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示させる。
通信インターフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVD-ROMドライブ1226は、プログラム又はデータをDVD-ROM1201から読み取り、ハードディスクドライブ1224にRAM1214を介してプログラム又はデータを提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
ROM1230は、内部に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
プログラムが、DVD-ROM1201又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもあるハードディスクドライブ1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、ハードディスクドライブ1224、DVD-ROM1201、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
また、CPU1212は、ハードディスクドライブ1224、DVD-ROMドライブ1226(DVD-ROM1201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような、様々なタイプの情報が、情報処理されるべく、記録媒体に格納されてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、これにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
以上の説明によるプログラム又はソフトウェアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、これにより、プログラムをコンピュータ1200にネットワークを介して提供する。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
例えば、負荷測定装置100の算出部121は、検出部150で検出した検出値と、目安重量とに基づいて、負担指数を算出することなく、ユーザ20が一連の動作によって行う作業において推奨される物体重量およびユーザ20への負荷の少なくとも一方の限界値をあらわす推奨限界値を算出してもよい。
例えば、ユーザ20が物体に力を加える場合において、負荷測定装置100の算出部121は、検出部150で検出した検出値と、目安重量と、ユーザ20が力を加える物体の物体重量とに基づき、負担指数および推奨限界値を算出することなく、一連の動作によって作業を行う人体への負担をあらわす作業負担指数を算出してもよい。
例えば、ユーザ20が物体に力を加えない場合において、負荷測定装置100の算出部121は、検出部150で検出した検出値と、予め定められた重量基準値とに基づき、負担指数および推奨限界値を算出することなく、物体に力を加えることなく一連の動作によって作業を行う人体への負担の程度をあらわす作業負担指数を算出してもよい。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。