JP2020123274A - 不良要因分析方法、不良要因分析装置及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】不良の要因を迅速に解明するための不良要因分析方法、不良要因分析装置及びコンピュータプログラムを提供する。【解決手段】所定期間内に製造された複数の太陽電池セルの夫々について、各太陽電池セルに不良があるか否かと、各太陽電池セルが製造されたときの複数種類の製造条件の内容とを関連付けた良否データを取得し、太陽電池セルの不良の有無を目的変数とし、前記複数種類の製造条件を複数種類の説明変数とした決定木分析を行うことにより、不良の有無に対する影響が大きい製造条件の順に段階的に前記複数の太陽電池セルに係る良否データを各製造条件の内容に応じて分類した決定木を作成し、作成した決定木及び前記良否データの分類に用いた製造条件を含む、前記良否データの分類結果を表示する。【選択図】図4
Description
本発明は、製品の製造時に発生した不良の要因を分析する方法、不良要因分析装置及びコンピュータプログラムに関する。
太陽電池は、複数の工程を経て製造される。太陽電池の製造工程には、例えば、半導体セルへのマーキング、エッチング、アモルファスシリコンの製膜、透明導電膜の製膜、集電極の印刷、絶縁膜の製膜、及び集電極上へめっきを行う工程等が含まれる。製造された太陽電池には、不良が発生することがある。例えば、めっき後の洗浄が十分に行われておらず、めっき液が残留して汚れになる不良が発生することがある。以下、この不良をめっき汚れと言う。また、集電極以外の部分にめっきが付着する不良が発生することがある。以下、この不良をゴーストと言う。めっき汚れ又はゴースト等の不良が発生した際には、不良が発生した要因を分析し、不良の発生を抑制するように製造工程を改善することが望ましい。特許文献1には、太陽電池等の製品の不良の要因分析を行う技術が開示されている。
従来、太陽電池の製造時に不良が発生した場合、不良の要因の特定に時間を有しており、製造工程の改善を迅速に実行することができない。そこで、不良の要因を迅速に解明して早期に製造工程を改善することを可能にする技術が求められる。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、不良の要因を迅速に解明するための不良要因分析方法、不良要因分析装置及びコンピュータプログラムを提供することにある。
本発明に係る不良要因分析方法は、製造された太陽電池セルの不良の要因を分析する方法において、所定期間内に製造された複数の太陽電池セルの夫々について、各太陽電池セルに不良があるか否かと、各太陽電池セルが製造されたときの複数種類の製造条件の内容とを関連付けた良否データを取得し、太陽電池セルの不良の有無を目的変数とし、前記複数種類の製造条件を複数種類の説明変数とした決定木分析を行うことにより、不良の有無に対する影響が大きい製造条件の順に段階的に前記複数の太陽電池セルに係る良否データを各製造条件の内容に応じて分類した決定木を作成し、作成した決定木及び前記良否データの分類に用いた製造条件を含む、前記良否データの分類結果を表示することを特徴とする。
本発明に係る不良要因分析方法は、前記決定木分析では、前記複数種類の製造条件の夫々について、前記複数の太陽電池セルに係る良否データを各製造条件の内容に応じて分類したときの情報利得を計算し、情報利得が最大となるように前記良否データを分類し、分類後の前記良否データを各製造条件に応じて分類したときの情報利得の計算、及び情報利得が最大となる分類を繰り返すことを特徴とする。
本発明に係る不良要因分析方法は、前記分類結果を表示する際に、不良の有無に対する影響が最大の製造条件の内容に応じて前記複数の太陽電池セルに係る良否データを分類した第1段階の分類結果から、複数段階の分類結果を表示することを特徴とする。
本発明に係る不良要因分析方法は、前記複数の太陽電池セルに係る良否データの分類に用いた製造条件の内容と、前記製造条件が夫々の内容である場合に不良が発生した割合との関係を示したグラフを表示することを特徴とする。
本発明に係る不良要因分析方法は、前記複数の太陽電池セルに係る良否データの分類に用いた製造条件の内容の内、不良が発生した割合が分類前よりも高くなる内容を表示することを特徴とする。
本発明に係る不良要因分析方法は、不良はめっき汚れ又はゴーストであり、めっき汚れ及びゴーストの夫々について前記決定木分析を行うことを特徴とする。
本発明に係る不良要因分析方法は、不良はめっき汚れであり、不良の有無に対する影響が最大の製造条件が、めっき工程においてホルダに保持された太陽電池セルに対向して配置される蓋を識別する蓋IDである場合に、不良が発生した割合が高くなる蓋IDの値を表示することを特徴とする。
本発明に係る不良要因分析方法は、製造条件の内容をどのように変更したか及びいつ変更したかを表すデータを取得することを特徴とする。
本発明に係る不良要因分析方法は、製造された太陽電池セルに不良があるか否かを判定し、前記所定期間内に製造された太陽電池セルの不良率を計算し、計算した不良率が所定の条件を満たしている場合に、前記決定木分析を行うことを特徴とする。
本発明に係る不良要因分析装置は、製造された太陽電池セルの不良の要因を分析する装置において、所定期間内に製造された複数の太陽電池セルの夫々について、各太陽電池セルに不良があるか否かと、各太陽電池セルが製造されたときの複数種類の製造条件の内容とを関連付けた良否データを取得する良否データ取得部と、太陽電池セルの不良の有無を目的変数とし、前記複数種類の製造条件を複数種類の説明変数とした決定木分析を行うことにより、不良の有無に対する影響が大きい製造条件の順に段階的に前記複数の太陽電池セルに係る良否データを各製造条件の内容に応じて分類した決定木を作成する分析部と、作成した決定木及び前記良否データの分類に用いた製造条件を含む、前記良否データの分類結果を表示する分類結果表示部とを備えることを特徴とする。
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、製造された太陽電池セルの不良の要因を分析させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、所定期間内に製造された複数の太陽電池セルの夫々について、各太陽電池セルに不良があるか否かと、各太陽電池セルが製造されたときの複数種類の製造条件の内容とを関連付けた良否データを取得するステップと、太陽電池セルの不良の有無を目的変数とし、前記複数種類の製造条件を複数種類の説明変数とした決定木分析を行うことにより、不良の有無に対する影響が大きい製造条件の順に段階的に前記複数の太陽電池セルに係る良否データを各製造条件の内容に応じて分類した決定木を作成するステップと、作成した決定木及び前記良否データの分類に用いた製造条件を含む、前記良否データの分類結果を表示するステップとを含む処理を実行させることを特徴とする。
本発明においては、製造された複数の太陽電池セルの夫々について不良の有無と複数種類の製造条件の内容とを関連付けた良否データを取得し、不良の有無を目的変数とし製造条件を説明変数とした決定木分析を行う。決定木分析により、不良の有無に対する影響が最も大きい製造条件の内容に応じて、良否データを分類し、次に影響が大きい製造条件の内容に応じて良否データを分類し、分類を繰り返して決定木を作成する。決定木を含む良否データの分類結果は、表示される。使用者は、分類結果を確認することにより、不良の発生の要因として、不良の有無に対する影響が大きい製造条件、及び不良の発生しやすい製造条件の内容を知ることができる。これにより、太陽電池セルを製造する際に不良が発生する要因が解明される。
また、本発明の一形態においては、決定木分析では、複数の太陽電池セルに係る良否データを各製造条件の内容に応じて分類したときの情報利得を各製造条件について計算する。情報利得が最大となった製造条件の内容に応じて、良否データを分類する。更に、情報利得の計算と分類とを繰り返す。情報利得が大きいほど、不良の有無に対する製造条件の影響が大きい。情報利得が大きくなる製造条件の内容に応じて良否データを分類することにより、不良の有無に対する影響の大きい製造条件の内容に応じて良否データを分類することができる。
また、本発明の一形態においては、良否データの分類結果は、不良の有無に対する影響が最大の製造条件の内容に応じた第1段階の分類結果から、複数段階に亘って表示される。良否データの分類結果が複数段階で表示されることにより、どのような複数種類の製造条件の組み合わせが不良の有無に対して大きく影響しているのかが明らかとなる。
また、本発明の一形態においては、良否データの分類に用いた製造条件の内容と、製造条件が夫々の内容である場合の不良割合との関係を示したグラフが表示される。使用者は、良否データの分類結果から、不良の有無に影響が大きい製造条件を知り、グラフから、製造条件の具体的にどのような内容が実際にどの程度不良を発生させているのかを確認することができる。
また、本発明の一形態においては、良否データの分類結果が表示される際に、良否データの分類に用いた製造条件の内容の内、不良が発生した割合が分類前よりも高くなる内容を表示する。これにより、不良の発生し易い製造条件の内容が明らかとなる。
また、本発明の一形態においては、分析対象になる不良は、太陽電池セルのめっき汚れ又はゴーストである。太陽電池セルが製造される代表的な不良であるめっき汚れ及びゴーストの夫々について決定木分析を行うことにより、めっき汚れ及びゴーストの夫々の要因が迅速に解明される。
また、本発明の一形態においては、不良がめっき汚れであり、不良の有無に対する影響が最大の製造条件が、めっき工程で用いられる蓋を識別する蓋IDである場合に、不良が発生した割合が高くなる蓋IDの値が表示される。これにより、めっき工程においてめっき汚れを発生させやすい蓋が識別される。
また、本発明の一形態においては、いつ、どの製造条件の内容をどのように変更したかが取得される。不良の要因の分析結果に応じて、不良の発生に対する対策として、どの製造条件の内容をどのように変更したかの具体的な内容、及びいつ変更を行ったかが記録される。
また、本発明の一形態においては、太陽電池セルに不良があるか否かを判定し、所定期間内に製造された太陽電池セルの不良率を計算し、不良率が所定の条件を満たしている場合に決定木分析を行う。例えば、不良率の値が閾値を超過している場合、又は不良率が所定回数連続して増加している場合に、決定木分析を行う。不良率が小さく抑えられている場合は、不良の要因を分析する必要は無い。不良率がある程度大きい場合、または増加を続けている場合は、不良の悪影響が大きくなるので、不良の要因を分析し、不良の発生を抑制するように製造条件を改善する必要がある。不良率が所定の条件を満たしている場合に決定木分析を行うことにより、必要時に不良の要因を分析し、製造条件を改善することができる。
本発明にあっては、太陽電池の製造時に発生する不良の要因が迅速に解明される。このため、不良の発生の要因を取り除くべく、太陽電池セルの製造工程を早期に改善することが可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
太陽電池セルの製造工程には、例えば、半導体セルへのマーキング、エッチング、アモルファスシリコンの製膜、透明導電膜の製膜、集電極の印刷、絶縁膜の製膜、及び集電極上へめっきを行う工程等、複数の工程が含まれる。以下、めっきを行う工程をめっき工程と言う。太陽電池セルの製造時には、めっき汚れ又はゴースト等の不良が発生することがある。めっき汚れは、めっき工程において発生する。ゴーストの発生には、複数の工程が影響し得る。本実施形態に係る不良要因分析方法は、太陽電池セルの製造時に不良が発生した場合に、不良の発生の要因は何であるかを解明し、不良の発生を抑制すべく太陽電池セルの製造工程を改善するための技術である。
太陽電池セルの製造工程には、例えば、半導体セルへのマーキング、エッチング、アモルファスシリコンの製膜、透明導電膜の製膜、集電極の印刷、絶縁膜の製膜、及び集電極上へめっきを行う工程等、複数の工程が含まれる。以下、めっきを行う工程をめっき工程と言う。太陽電池セルの製造時には、めっき汚れ又はゴースト等の不良が発生することがある。めっき汚れは、めっき工程において発生する。ゴーストの発生には、複数の工程が影響し得る。本実施形態に係る不良要因分析方法は、太陽電池セルの製造時に不良が発生した場合に、不良の発生の要因は何であるかを解明し、不良の発生を抑制すべく太陽電池セルの製造工程を改善するための技術である。
図1は、太陽電池セルの製造に用いられ、本実施形態に係る不良要因分析方法を実現するための不良要因分析システムの構成例を示す概念図である。製造工程に含まれる複数の工程を実現するために、複数の製造装置3が用いられる。例えば、製造装置3には、マーキングを行う構成で用いられる装置、エッチングを行う工程で用いられる装置、及びめっき工程で用いられるめっき装置等が含まれる。
図2は、めっき装置の構成例の一部を示す模式図である。めっき装置は、ホルダ31を備えている。ホルダ31は、矩形板状の形状を有している。ホルダ31の一面には、複数の太陽電池セル4が並んで配置され、複数の太陽電池セル4はホルダ31に保持される。図2には、太陽電池セル4を破線で示しており、ホルダ31が12個の太陽電池セル4を保持している例を示している。太陽電池セル4は矩形である。
ホルダ31に保持された太陽電池セル4に対向して、蓋32が配置される。蓋32は、矩形板状の形状を有している。一つのホルダ31について複数の蓋32が用いられる。図2には、二つの太陽電池セル4に対向して一つの蓋32が配置され、一つのホルダ31について6個の蓋32が用いられる例を示している。蓋32と太陽電池セル4との間に電流が流され、太陽電池セル4中の集電極上へめっきが行われる。めっき工程では、複数のホルダ31が用いられる。ホルダ31には、個々のホルダ31を識別する情報であるホルダIDが付されている。また、蓋32には、個々の蓋32を識別する情報である蓋IDが付されている。
図1に示すように、不良要因分析システムには、製造条件取得装置21が含まれている。製造条件取得装置21は、製造される太陽電池セル4の夫々について、各製造装置3で夫々の太陽電池セル4を製造したときの製造条件の内容を取得する。製造条件の内容は、製造条件の具体的な内容であり、例えば、測定値等の数値である。製造条件取得装置21は、複数種類の製造条件の内容を取得する。複数種類の製造条件には、材料の成分、処理時間、製造装置3内での太陽電池セル4の位置、太陽電池セル4を扱った部品を識別する情報等が含まれ得る。製造条件取得装置21は、製造条件の内容を測定する各種のセンサ、製造条件の内容を設定する設定装置、又は設定された製造条件の内容を記憶する記憶装置を含み得る。又は、製造条件取得装置21は、センサ、設定装置、若しくは記憶装置から、製造条件の内容を取得する装置を含んでいてもよい。例えば、製造条件取得装置21は、複数の製造装置3に接続されている。
また、不良要因分析システムには、不良判定装置22が含まれている。不良判定装置22は、製造された夫々の太陽電池セル4に不良があるか否かを判定する。めっき汚れ又はゴースト等の不良が太陽電池セル4に発生している場合は、太陽電池セル4に不良があると判定され、太陽電池セル4は不良品とされる。不良が太陽電池セル4に発生していない場合は、太陽電池セル4に不良が無いと判定され、太陽電池セル4は良品とされる。また、不良判定装置22は、太陽電池セル4に不良がある場合に、不良の種類を判定する。例えば、不良判定装置22は、カメラを有しており、太陽電池セル4を撮像し、撮像画像に基づいて太陽電池セル4に不良があるか否かを判定し、不良の種類を判定する。不良判定装置22は、製造工程の最後に判定を行ってもよく、製造工程の途中で判定を行ってもよい。また、不良判定装置22は、製造された全ての太陽電池セル4について判定を行ってもよく、一部の太陽電池セル4について判定を行ってもよい。
製造条件取得装置21及び不良判定装置22には、不良要因分析装置1が接続されている。製造条件取得装置21は、取得した複数種類の製造条件の内容を表すデータを不良要因分析装置1へ入力する。不良判定装置22は、太陽電池セル4の不良の有無を示すデータ、及び不良の種類を示すデータを、不良要因分析装置1へ入力する。このため、不良要因分析装置1は、複数種類の製造条件の内容を表すデータを製造条件取得装置21から取得し、太陽電池セル4の不良の有無を示すデータ及び不良の種類を示すデータを不良判定装置22から取得する。
不良要因分析装置1は、取得したデータに基づいて、発生した不良の要因を分析する。めっき汚れはめっき工程において発生するので、個々の太陽電池セル4にめっき汚れが発生するか否かには、個々の太陽電池セル4についてのめっき工程での製造条件が影響している。めっき汚れの有無に影響し得る製造条件には、めっき工程での複数種類の製造条件が含まれる。例えば、百種類程度の製造条件がめっき汚れの有無に影響し得る。どのホルダ31が用いられたかを示すホルダID、どの蓋32が用いられたかを示す蓋ID、ホルダ31上で太陽電池セル4が配置された位置、電流の通電時間、及びめっき後の洗浄の時間等の製造条件が、めっき汚れの有無に影響し得る。
ゴーストの発生には複数の工程が影響し得るので、ゴーストの有無に影響し得る製造条件には、複数の工程での複数種類の製造条件が含まれる。ゴーストの有無に影響し得る製造条件の種類の数は、めっき汚れの有無に影響し得る製造条件の種類の数よりも多い。例えば、数百種類程度の製造条件がめっき汚れの有無に影響し得る。不良要因分析装置1は、めっき汚れ又はゴースト等の不良の発生の要因として、複数種類の製造条件の中から、不良の有無に対する影響が大きい製造条件を抽出するための処理を行う。
図3は、不良要因分析装置1の機能構成例を示すブロック図である。不良要因分析装置1は、サーバ装置等のコンピュータを用いて構成されている。不良要因分析装置1は、演算部11と、演算に伴って発生する一時的なデータを記憶するメモリ12と、光ディスク等の記録媒体10から情報を読み取るドライブ部13と、ハードディスク等の不揮発性の記憶部14とを備えている。演算部11は、例えばCPU(Central Processing Unit )である。メモリ12は、例えばRAM(Random Access Memory)である。
また、不良要因分析装置1は、使用者からの操作を受け付ける操作部15と、画像を表示する表示部16と、音声出力部17と、インタフェース部18とを備えている。操作部15は、使用者からの操作を受け付けることにより、テキスト等の情報を受け付ける。操作部15は、例えば、キーボード又はポインティングデバイスである。表示部16は、例えば液晶ディスプレイ又はELディスプレイ(Electroluminescenct Display)である。また、不良要因分析装置1は、通信部を備え、通信部を通じて、不良要因分析装置1外のスマートフォン等の操作部から情報を受け付け、不良要因分析装置1外のスマートフォン等の表示部に画像を表示する機能を有していてもよい。音声出力部17は、スピーカを用いて構成されており、音声を出力する。
演算部11は、記録媒体10に記録されたコンピュータプログラム141をドライブ部13に読み取らせ、読み取ったコンピュータプログラム141を記憶部14に記憶させる。演算部11は、必要に応じてコンピュータプログラム141を記憶部14からメモリ12へロードし、ロードしたコンピュータプログラム141に従って、不良要因分析装置1に必要な処理を実行する。なお、コンピュータプログラム141は、不良要因分析装置1の外部からダウンロードされてもよい。この場合は、不良要因分析装置1はドライブ部13を備えていなくてもよい。
インタフェース部18には、製造条件取得装置21及び不良判定装置22が接続されている。インタフェース部18は、複数種類の製造条件の内容を表すデータを製造条件取得装置21から取得し、太陽電池セル4の不良の有無を示すデータ及び不良の種類を示すデータを不良判定装置22から取得する。演算部11は、取得したデータから、同一の太陽電池セル4についての複数種類の製造条件の内容、不良の有無及び不良の種類を互いに関連付けた良否データを作成する。記憶部14は、良否データを記録した良否データベース142を記憶している。演算部11は、複数の太陽電池セル4の夫々について、良否データを作成し、作成した良否データを良否データベース142に記録する。
なお、不良要因分析装置1は、複数の装置で構成されていてもよい。また、不良要因分析装置1は、処理に必要なデータの一部を不良要因分析装置1外に記憶していてもよい。例えば、良否データベース142は、不良要因分析装置1に接続された記憶装置に記憶されることにより、不良要因分析装置1の外部で記憶されており、必要に応じて不良要因分析装置1が良否データベース142に記録されたデータを読み出してもよい。
次に、不良要因分析装置1の処理を説明する。図4は、不良要因分析装置1が実行する処理の手順を示すフローチャートである。以下、ステップをSと略す。不良要因分析装置1の演算部11は、コンピュータプログラム141に従って以下の処理を実行する。太陽電池セル4が製造される都度、製造条件取得装置21は複数種類の製造条件の内容を取得し、不良判定装置22は不良の有無を判定する。演算部11は、インタフェース部18を通じて、製造された太陽電池セル4について、複数種類の製造条件の内容を表すデータを製造条件取得装置21から取得し、太陽電池セル4の不良の有無を示すデータ及び不良の種類を示すデータを不良判定装置22から取得する(S1)。演算部11は、良否データを作成し(S2)、作成した良否データを良否データベース142に記録する(S3)。S1〜S3の処理により、不良要因分析装置1は、良否データを取得する。S1〜S3の処理は、良否データ取得部に対応する。
演算部11は、処理を開始してから所定期間経過したか否かを判定する(S4)。演算部11は、経過時間を計測する。まだ所定期間が経過していない場合は(S4:NO)、演算部11は、処理をS1へ戻し、S1〜S4の処理を繰り返す。複数の製造装置3により太陽電池セル4が順次製造される間、演算部11はS1〜S4の処理を繰り返す。S1〜S4の処理は、所定期間繰り返し実行され、良否データベース142には、所定期間の間に製造された夫々の太陽電池セル4について良否データが記録される。所定期間は、ある程度まとまった量の太陽電池セル4が製造される期間である。例えば、所定期間は8時間である。
処理を開始してから所定期間経過した場合は(S4:YES)、演算部11は、所定期間の間に記録された良否データに基づいて、所定期間の間に製造された複数の太陽電池セル4に不良が発生した割合である不良率を計算する(S5)。S5では、演算部11は、所定期間の間に記録された良否データの中で不良が発生したことを示すデータをカウントすることにより、不良の発生回数を計測し、所定期間の間に記録された良否データの数で不良の発生回数を除することにより、不良率を計算する。演算部11は、これまでに計算した不良率の値の履歴を記録した不良率履歴143を記憶部14に記憶させる。
演算部11は、次に、計算した不良率が所定の条件を満たしているか否かを判定する(S6)。所定の条件は、予め定められており、記憶部14に予め記憶されているか、又はコンピュータプログラム141に含まれている。演算部11は、不良率の値が予め定められている閾値を超過している場合に、所定の条件を満たしているとする。例えば、不良率の閾値は5%である。所定の条件は不良率の値が閾値以上であることであってもよい。演算部11は、計算した不良率と予め定められている閾値とを比較し、判定を行う。更に、演算部11は、不良率の値が所定回数連続して増加している場合にも、所定の条件を満たしているとする。例えば、所定回数は2回である。演算部11は、不良率履歴143に記録された前回の不良率から今回の不良率への変化を計算し、過去の不良率の変化を参照し、判定を行う。過去の不良率の変化は不良率履歴143に記録されていてもよく、S6で計算されてもよい。不良率の閾値、又は不良率の値が連続して増加する回数は、変更可能な値であってもよい。
不良率が所定の条件を満たしていない場合は(S6:NO)、演算部11は、処理を終了する。不良率が所定の条件を満たしていない状態は、不良率が小さく抑えられており、不良率の連続した増加も見られない状態である。不良の発生が少なく、不良率の増加も見られないので、不良の要因を分析する必要は無く、不良要因分析装置1は、不良の要因の分析を行わない。以降、太陽電池セル4は、以前と同様の条件で製造が行われる。
不良率が所定の条件を満たしている場合は(S6:YES)、演算部11は、警報を出力する(S7)。不良率が所定の条件を満たしている状態は、不良率が大きいか、又は不良率が連続して増加している状態である。このため、不良の要因を分析し、不良の発生を抑制するように製造条件を改善する必要がある。S7では、演算部11は、音声出力部17に、警報音を出力させる。また、演算部11は、警報を示す画像を表示部16に表示させてもよい。例えば、演算部11は、不良率の履歴を表した画像を表示部16に表示する。複数の製造装置3は、警報の出力に応じて、太陽電池セル4の製造を停止してもよい。
図5は、不良率の履歴を表した画像の例を示す模式図である。図5には、不良率の変化を表したグラフを示しており、グラフの横軸は日時を示し、縦軸は不良率を示す。グラフ中には、各日時に計算された不良率が点で表されている。また、グラフ中には、不良率の閾値が破線で示されている。グラフ中にAで示した点は、最新の不良率の値を表す。不良率の値が2回連続して増加しており、不良率が所定の条件を満たしている状態になっている。また、グラフ中にBで示した点は、過去のある時点での不良率の値を表している。不良率の値が閾値を超過しており、この時点において不良率が所定の条件を満たす状態になっていたことになる。
演算部11は、次に、所定期間の間に良否データベース142に蓄積した良否データを用いて決定木分析処理を行う(S8)。S8では、演算部11は、不良の有無を目的変数とし、製造条件を説明変数とした決定木分析を行う。決定木分析により、演算部11は、所定期間の間に製造された夫々の太陽電池セル4についての良否データを、不良の有無に対する影響が大きい製造条件の順に、段階的に、各製造条件の内容に応じて分類する。
決定木分析では、所定期間の間に製造された夫々の太陽電池セル4についての良否データからなる良否データ群を、いずれか一種類の製造条件の内容に応じて、二つの良否データ群に分割する。このとき、分割後の一方の良否データ群には不良の発生していない良否データが偏り、他方の良否データ群には不良の発生している良否データが偏るように、製造条件の種類を選択する。分割前に比べて分割後に偏りが大きくなるほど、不良の有無に対する製造条件の影響が大きい。まず、良否データ群を、不良の有無に対する影響が最大になる製造条件の内容に応じて、二つの良否データ群に分割し、次に、分割後の夫々の良否データ群を同様に分割し、良否データ群の分割を繰り返す。このようにして、良否データを樹木状に分類するモデルである決定木が作成される。
不良の有無に対する製造条件の影響は、製造条件の内容に応じて良否データ群を分割したときの情報利得を計算することにより判定する。良否データ群を第1の分類群と第2の分類群とに分割することとする。分割前の良否データ群に含まれる良否データの数をN0 とし、第1の分類群に含まれる良否データの数をN1 とし、第2の分類群に含まれる良否データの数をN2 とする。N0 =N1 +N2 である。情報利得をIGとする。情報利得IGは、下記の式(1)で表される。
IG=(分割前の良否データ群の不純度)−{(N1 /N0 )*(第1の分類群の不純度)+(N2 /N0 )*(第2の分類群の不純度)} …(1)
IG=(分割前の良否データ群の不純度)−{(N1 /N0 )*(第1の分類群の不純度)+(N2 /N0 )*(第2の分類群の不純度)} …(1)
不純度は、良否データ群に含まれる良否データの偏りを数値化したものである。具体的には、不純度として、ジニ不純度又はエントロピーを用いる。良否データ群に含まれる良否データの数をn0 とし、不良の発生していない良否データの数をn1 とし、不良の発生している良否データの数をn2 とする。n0 =n1 +n2 である。ジニ不純度をGiとし、エントロピーをEとする。ジニ不純度Giは下記の式(2)で表され、エントロピーEは下記の式(3)で表される。
Gi=1−{(n1 /n0 )2 +(n2 /n0 )2 } …(2)
E=−{(n1 /n0 )*log(n1 /n0 )+(n2 /n0 )*log(n2 /n0 ) …(3)
Gi=1−{(n1 /n0 )2 +(n2 /n0 )2 } …(2)
E=−{(n1 /n0 )*log(n1 /n0 )+(n2 /n0 )*log(n2 /n0 ) …(3)
ジニ不純度及びエントロピーの何れにおいても、良否データ群に含まれる良否データが不良の発生していない良否データ又は不良の発生している良否データの一方に偏る偏りが小さいほど、値が大きくなる。情報利得は、分割前の不純度と、分割後の不純度の加重平均との差を示す。情報利得は、分割前の偏りが小さく、分割後の偏りが大きいほど、値が大きくなる。このため、情報利得が大きいほど、不良の有無に対する製造条件の影響が大きい。情報利得が大きくなる製造条件を選択することにより、不良の有無に対する影響の大きい製造条件を選択することができる。
なお、情報利得の代わりに、情報利得の値にN0 を乗じた値であるimprove値を計算してもよい。情報利得と同様に、improve値が大きいほど、不良の有無に対する製造条件の影響が大きい。improve値をImpとすると、improve値Impは下記の(3)式で表される。
Imp=N1 *{(分割前の良否データ群の不純度)−(第1の分類群の不純度)}+N2 *{(分割前の良否データ群の不純度)−(第2の分類群の不純度)} …(4)
Imp=N1 *{(分割前の良否データ群の不純度)−(第1の分類群の不純度)}+N2 *{(分割前の良否データ群の不純度)−(第2の分類群の不純度)} …(4)
図6は、決定木分析処理の手順を示すフローチャートである。演算部11は、所定期間の間に製造された夫々の太陽電池セル4の良否データからなる良否データ群について、情報利得を総当たりで計算する(S21)。S21では、演算部11は、不良の有無に影響し得る全ての種類の製造条件について情報利得を計算する。例えば、ホルダID、蓋ID、太陽電池セル4の配置位置、電流の通電時間、及び洗浄時間が不良の有無に影響し得る場合、演算部11は、ホルダID、蓋ID、配置位置、通電時間及び洗浄時間の夫々の内容に応じて良否データ群を分割したときの情報利得を個別に計算する。
また、演算部11は、製造条件の内容に応じて良否データを分類する方法が複数通り可能である場合に、複数通りの分類方法の夫々について情報利得を計算する。例えば、蓋IDが1番、2番及び3番の三種類の値を取り得る場合、蓋IDが1番である良否データと蓋IDが2番又は3番である良否データとに分類する方法、蓋IDが1番又は2番である良否データと蓋IDが3番である良否データとに分類する方法、及び蓋IDが1番又は3番である良否データと蓋IDが2番である良否データとに分類する方法の三種類の分類方法が可能である。演算部11は、夫々の分類方法について情報利得を計算する。情報利得を計算すべき複数通りの分類方法は、製造条件の夫々について予め定められていてもよい。例えば、通電時間の値が閾値を超過するか否かに応じて良否データを分類することとし、予め定められている複数の閾値について情報利得が計算されてもよい。なお、演算部11は、情報利得の代わりにimprove値を計算してもよい。
演算部11は、次に、複数種類の製造条件の中から、良否データの分類に用いるための一つの種類の製造条件を選択する(S22)。S22では、演算部11は、計算した情報利得の中で最大の情報利得が得られる製造条件を選択する。また、演算部11は、製造条件の内容に応じた複数通りの分類方法の中から、最大の情報利得が得られる分類方法を選択する。なお、演算部11は、情報利得の代わりにimprove値を利用して選択を行ってもよい。演算部11は、次に、選択した製造条件の内容に応じて、良否データ群を二つの良否データ群に分割することにより、複数の良否データを分類する(S23)。S23では、演算部11は、S22で選択した分類方法に従って良否データを分類する。情報利得が最大になる製造条件の内容に応じて良否データを分類することにより、不良の有無に対する影響の大きい製造条件の順に、製造条件の内容に応じて良否データを分類する。
演算部11は、次に、複数の良否データ群の中に分類の終了条件を満たさない良否データ群があるか否かを判定する(S24)。分類の終了条件は、予め定められており、記憶部14に予め記憶されているか、又はコンピュータプログラム141に含まれている。分類の終了条件の一例は、分類回数が所定の回数に達したことである。分類の終了条件の他の例は、良否データ群の中で不良の発生していない良否データ又は不良の発生している良否データの割合が所定の割合を超過していることである。分類の終了条件の他の例は、良否データ群に含まれる良否データの数が所定数を下回っていることである。分類の終了条件の他の例は、良否データ群の数が所定の上限を超過していることである。
分類の終了条件を満たさない良否データ群がある場合は(S24:YES)、演算部11は、分類の終了条件を満たさない一つの良否データ群を選択する(S25)。演算部11は、次に、処理をS21へ戻して、選択した良否データ群に対してS21〜S23の処理を実行する。このようにして、演算部11は、S21〜S25の処理を繰り返すことにより、不良の有無に対する影響が大きい製造条件の順に、段階的に、良否データを製造条件の内容に応じて分類する。
分類の終了条件を満たさない良否データ群が無い場合(S24:NO)、演算部11は、複数の良否データを段階的に分類した決定木を作成し、作成した決定木を記憶部14に記憶する(S26)。演算部11は、決定木分析処理を終了し、処理をメインの処理へ戻す。S8の決定木分析処理は、分析部に対応する。
S8の決定木分析処理では、演算部11は、不良の種類が複数ある場合に、不良の種類別に決定木分析を行う。例えば、めっき汚れとゴーストとの2種類の不良が発生した場合は、演算部11は、めっき汚れとゴーストとの夫々についてS21〜S26の処理を実行する。また、演算部11は、決定木分析の説明変数を、複数種類の製造条件の内、夫々の種類の不良の有無に影響し得る製造条件に限定してもよい。例えば、めっき汚れについての決定木分析では、説明変数をめっき工程での複数種類の製造条件に限定する。
演算部11は、次に、S8の決定木分析処理による良否データの分類結果を表示部16に表示する(S9)。S9では、演算部11は、決定木分析によって作成した決定木、及び前記良否データの分類に用いた製造条件を含んだ分類結果を表示する。
図7は、良否データの分類結果の一例を示す模式図である。表示される分類結果には、決定木が含まれている。演算部11は、図7に示すごとく、第1段階の分類結果から、複数段階の分類結果を表示部16に表示する。図7には、不良がめっき汚れである場合の例を示している。図7中のノード51は、所定期間の間に製造された夫々の太陽電池セル4についての良否データからなる良否データ群に対応する。図7には、ノード51で示される良否データ群が、ノード52で示される良否データ群とノード53で示される良否データ群とに分割される例を示す。ノード51,52,53には、不良の発生していない良品の太陽電池セル4の数、及び不良の発生した不良品の太陽電池セル4の数、即ち良否データ群中の不良の発生していない良否データの数と不良の発生している良否データの数とが示されている。また、良否データ群中の不良の発生していない良否データの割合である不良割合と、良否データ群を分割するための説明変数である製造条件とが示されている。
ノード51で示される良否データ群を分割するための説明変数は、蓋IDである。蓋IDの内容に応じて、ノード51で示される良否データ群は、ノード52で示される良否データ群とノード53で示される良否データ群とに分割される。表示される分類結果には、製造条件の内容に応じて良否データを分類した分類方法も含まれる。特に、分類によって不良割合が増加する製造条件の内容が表示される。
図7の例では、蓋IDの値が(1)に区分される良否データがノード52で示される良否データ群に分類され、蓋IDの値が(2)に区分される良否データがノード53で示される良否データ群に分類される。(1)及び(2)の夫々に区分される蓋IDの値は、分類結果に含まれて表示される。ノード51で示される良否データ群に比べて、ノード52で示される良否データ群では不良割合が低下し、ノード53で示される良否データ群では不良割合が増加している。即ち、分割後の良否データ群では、不良の発生していない良否データ又は不良の発生している良否データがより偏っている。
図7の例では、ノード52で示される良否データ群は、更に、ノード54で示される良否データ群とノード55で示される良否データ群とに分割される。良否データ群を分割するための説明変数は蓋IDである。蓋IDの値が(3)に区分される良否データがノード54で示される良否データ群に分類され、蓋IDの値が(4)に区分される良否データがノード55で示される良否データ群に分類される。
ノード53で示される良否データ群は、更に、ノード56で示される良否データ群とノード57で示される良否データ群とに分割される。良否データ群を分割するための説明変数はめっき後の洗浄時間である。洗浄時間が558.5s未満である良否データがノード56で示される良否データ群に分類され、洗浄時間が558.5s以上である良否データがノード57で示される良否データ群に分類される。
図7に示すように、段階的に、不良の発生していない良否データ又は不良の発生している良否データの偏りが大きくなるように、複数の良否データが分類される。より初期の段階で分類に用いられる説明変数は、不良の有無に対する影響がより大きい製造条件である。特に、第1段階の分類に用いられる説明変数は、不良の有無に対する影響が最も大きい製造条件である。図7の例では、めっき汚れの有無に対する影響が最も大きい製造条件は、蓋IDである。
また、不良割合が高くなるように良否データを分類するために用いられた製造条件の内容は、不良の発生し易い製造条件の内容であり、不良割合が低くなるように良否データを分類するために用いられた製造条件の内容は、不良の発生し難い製造条件の内容である。例えば、蓋IDの値の内、(1)に区分される値は不良の発生し難い値であり、(2)に区分される値は不良の発生し易い値である。不良割合が高くなるように良否データを分類するために用いられた製造条件の内容が表示されることにより、不良の発生し易い製造条件の内容が明らかとなる。例えば、不良割合が高くなる蓋IDが表示されることにより、めっき汚れを発生させやすい蓋が識別される。
良否データの分類結果が複数段階で表示されることにより、どのような複数種類の製造条件の組み合わせが不良の有無に対して大きく影響しているのかが明らかとなる。複数段階の分類において不良割合の高い良否データを分類するために用いられた複数種類の製造条件の内容の組み合わせは、不良の発生しやすい製造条件の内容の組み合わせである。
太陽電池セル4を製造する際に不良が発生した原因は、不良の有無に対する影響の大きい製造条件が、不良の発生し易い内容になっていることである。決定木分析により、不良の有無に対する影響の大きい製造条件、及び不良の発生し易い製造条件の内容が、明らかとなる。このようにして、不良が発生した要因が解明される。例えば、めっき汚れが発生した要因が解明される。
図7には、二段階で良否データを分類した結果を示したが、三段階以上分類を行ってもよい。S9では、演算部11は、使用者が操作部15を操作することにより、何段階の分類結果まで表示するかの指定を受け付け、指定された段階まで分類結果を表示部16に表示してもよい。使用者は、表示された分類結果を確認して、どの種類の製造条件が不良の有無に影響が大きい製造条件であり、製造条件のどのような内容が不良の発生しやすい内容であるのを知ることができる。
図8は、良否データの分類結果の他の例を示す模式図である。図8には、不良がゴーストである場合の例を示している。図7と同様に、表示される分類結果には、所定期間の間に製造された夫々の太陽電池セル4についての良否データを分類した決定木が含まれている。
図8の例では、第1段階の分類で良否データ群を分割するための説明変数はマーキングでのカセット位置である。太陽電池セル4を製造する際のマーキングの工程では、マーキングされた太陽電池セル4は上下方向に重ねられたカセットに保持される。カセット位置の値が大きいほど、太陽電池セル4は下側の位置で保持される。第2段階の分類で良否データ群を分類するための説明変数は、エッチングでのキャリア番号である。エッチングの工程では、太陽電池セル4はキャリアに保持されて処理が行われる。キャリア番号はキャリアを識別する情報である。
図8の例でも、段階的に、不良の発生していない良否データ又は不良の発生している良否データの偏りが大きくなるように、複数の良否データが分類される。第1段階の分類に用いられる説明変数は、不良の有無に対する影響が最も大きい製造条件である。図8の例では、ゴーストの有無に対する影響が最も大きい製造条件である。また、不良割合の高い良否データを分類するために用いられた複数種類の製造条件の内容の組み合わせは、ゴーストの発生しやすい製造条件の内容の組み合わせである。このようにして、ゴーストが発生した要因が解明される。
S9の処理では、演算部11は、不良の種類が複数ある場合に、不良の種類別に分類結果を表示してもよい。複数種類の不良に関する分類結果は、同時に表示されてもよく、切り替えて表示されてもよい。演算部11は、使用者が操作部15を操作することにより、不良の種類の指定を受け付け、指定された不良の分類結果を表示部16に表示してもよい。S9の処理は、分類結果表示部に対応する。
S9の処理の後、演算部11は、良否データの分類に用いた製造条件の内容と、製造条件が夫々の内容である場合の不良割合との関係を示したグラフを表示部16に表示する(S10)。S10では、演算部11は、良否データベース142に記録された複数の良否データに基づいてグラフを作成し、グラフを含んだ画像を表示部16に表示させる。
図9は、製造条件の内容と不良割合との関係を示したグラフの例を示す模式図である。横軸は蓋IDを示す。図9には複数の蓋IDの一部を示している。各蓋IDで識別される蓋を用いて処理をした太陽電池セル4の数を棒グラフで示し、夫々の蓋を用いて処理した太陽電池セル4の中で不良の発生した太陽電池セル4の割合である不良割合を、折れ線グラフで示している。図9に示す例では、蓋IDが262番である蓋は使用されていない。また、蓋IDが261番である蓋を用いた場合、及び蓋IDが265番である蓋を用いた場合は、他の蓋を用いた場合に比べて不良割合が高くなっている。
使用者は、表示されたグラフを確認して、不良の発生に影響している製造条件の具体的な内容を知り、製造条件の内容に応じて不良が具体的にどの程度発生しているのかを知ることができる。使用者は、S9の処理で表示された分類結果から、不良の有無に影響が大きい製造条件を知り、S10の処理で表示されたグラフから、製造条件の具体的にどのような内容が実際にどの程度不良を発生させているのかを確認する。
S9の処理で表示される分類結果と、S10の処理で表示されるグラフとは、同時に表示されてもよく、切り替えて表示されてもよい。S10の処理では、複数種類の製造条件について、製造条件の内容と不良割合との関係を示したグラフを表示してもよい。演算部11は、決定木分析の結果に基づいて、不良の有無に対する影響が大きい製造条件を選択し、S10では、選択した製造条件についてグラフを表示してもよい。また、演算部11は、使用者が操作部15を操作することにより、製造条件の種類の指定を受け付け、指定された製造条件に関するグラフを表示部16に表示してもよい。
更に、S10の処理では、演算部11は、不良の種類が複数ある場合に、不良の種類別にグラフを表示してもよい。複数種類の不良に関するグラフは、同時に表示されてもよく、切り替えて表示されてもよい。演算部11は、使用者が操作部15を操作することにより、不良の種類の指定を受け付け、指定された不良に関するグラフを表示部16に表示してもよい。
S10の処理の後、使用者は、S9及びS10の処理で表示された内容を参考にして、不良の発生に対する対策を実行する。具体的には、使用者は、不良の発生の要因を取り除くべく、製造条件の内容を変更するための作業を行う。より具体的には、使用者は、不良の有無に対する影響が大きい製造条件の内容が、不良の発生しやすい内容にならずに、不良の発生し難い内容になるように、製造工程を改善する。例えば、使用者は、不良の有無に対する影響が最大である製造条件の内容を変更するように、製造工程を改善する。例えば、分類結果が図7に示した例である場合に、使用者は、蓋IDが(1)に区分される蓋を使用し、蓋IDが(2)に区分される蓋は使用しないように、めっき工程を改善する。以降は、製造条件が不良の発生しやすい内容にならないように製造工程が実現され、不良の発生が抑制される。
使用者は、不良の発生に対する対策を実行した後、操作部15を操作して、実行した対策の内容を不良要因分析装置1へ入力する。演算部11は、使用者からの入力により、どの製造条件の内容をどのように変更したかの具体的な対策の内容、及び対策を行った日時を表すデータを取得し、取得した対策の内容及び日時を記録した改善データ144を記憶部14に記憶させる(S11)。改善データ144には、いつ、どの製造条件の内容をどのように変更したかが記録される。以上で、不良要因分析装置1は処理を終了する。
以降は、製造工程が改善された状態で、太陽電池セル4の製造が行われる。太陽電池セル4の製造に伴って、不良要因分析装置1は、S1〜S11の処理を繰り返し実行する。不良の有無に対する影響が大きい製造条件の内容が不良の発生し難い内容になるように製造工程が改善されていれば、不良の発生が抑制される。実際に不良の発生が抑制されれば、不良率が低下する。実際に不良の発生が抑制されなければ、S1〜S11の処理により不良要因分析が再度行われ、製造工程の改善が再度行われる。使用者は、不良の発生に対する対策を実行した後、実際に不良の発生が抑制されるか否かを確認する等、対策の効果を確認する作業を行ってもよい。S11の処理では、使用者は、操作部15を操作して、対策の効果を確認した結果を入力し、不良要因分析装置1は、対策の効果を確認した結果を表すデータを取得して記憶部14に記憶してもよい。
以上詳述した如く、本実施形態においては、不良要因分析装置1は、決定木分析を行うことにより、太陽電池セル4を製造する際の複数種類の製造条件の中から、不良の有無に対する影響が大きい製造条件を抽出する。また、不良要因分析装置1は、決定木分析により、製造条件の内容の中から不良の発生し易い内容及び不良の発生し難い内容を特定する。この結果、不良の発生の要因として、不良の有無に対する影響が大きい製造条件、及び不良の発生しやすい製造条件の内容が明らかとなる。決定木分析によって、不良の発生の要因が迅速に解明される。不良の発生の要因が解明された後、使用者は、不良の発生の要因を取り除くべく、太陽電池セル4の製造工程を早期に改善することができる。これにより、太陽電池セル4を製造する際の不良の発生が抑制され、製造される太陽電池セル4の品質が向上する。
本発明は上述した実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。即ち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
1 不良要因分析装置
10 記録媒体
11 演算部
14 記憶部
141 コンピュータプログラム
142 良否データベース
15 操作部
16 表示部
18 インタフェース部
21 製造条件取得装置
22 不良判定装置
3 製造装置
4 太陽電池セル
10 記録媒体
11 演算部
14 記憶部
141 コンピュータプログラム
142 良否データベース
15 操作部
16 表示部
18 インタフェース部
21 製造条件取得装置
22 不良判定装置
3 製造装置
4 太陽電池セル
Claims (11)
- 製造された太陽電池セルの不良の要因を分析する方法において、
所定期間内に製造された複数の太陽電池セルの夫々について、各太陽電池セルに不良があるか否かと、各太陽電池セルが製造されたときの複数種類の製造条件の内容とを関連付けた良否データを取得し、
太陽電池セルの不良の有無を目的変数とし、前記複数種類の製造条件を複数種類の説明変数とした決定木分析を行うことにより、不良の有無に対する影響が大きい製造条件の順に段階的に前記複数の太陽電池セルに係る良否データを各製造条件の内容に応じて分類した決定木を作成し、
作成した決定木及び前記良否データの分類に用いた製造条件を含む、前記良否データの分類結果を表示すること
を特徴とする不良要因分析方法。 - 前記決定木分析では、
前記複数種類の製造条件の夫々について、前記複数の太陽電池セルに係る良否データを各製造条件の内容に応じて分類したときの情報利得を計算し、
情報利得が最大となるように前記良否データを分類し、
分類後の前記良否データを各製造条件に応じて分類したときの情報利得の計算、及び情報利得が最大となる分類を繰り返すこと
を特徴とする請求項1に記載の不良要因分析方法。 - 前記分類結果を表示する際に、不良の有無に対する影響が最大の製造条件の内容に応じて前記複数の太陽電池セルに係る良否データを分類した第1段階の分類結果から、複数段階の分類結果を表示すること
を特徴とする請求項1又は2に記載の不良要因分析方法。 - 前記複数の太陽電池セルに係る良否データの分類に用いた製造条件の内容と、前記製造条件が夫々の内容である場合に不良が発生した割合との関係を示したグラフを表示すること
を特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の不良要因分析方法。 - 前記複数の太陽電池セルに係る良否データの分類に用いた製造条件の内容の内、不良が発生した割合が分類前よりも高くなる内容を表示すること
を特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の不良要因分析方法。 - 不良はめっき汚れ又はゴーストであり、
めっき汚れ及びゴーストの夫々について前記決定木分析を行うこと
を特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の不良要因分析方法。 - 不良はめっき汚れであり、
不良の有無に対する影響が最大の製造条件が、めっき工程においてホルダに保持された太陽電池セルに対向して配置される蓋を識別する蓋IDである場合に、不良が発生した割合が高くなる蓋IDの値を表示すること
を特徴とする請求項6に記載の不良要因分析方法。 - 製造条件の内容をどのように変更したか及びいつ変更したかを表すデータを取得すること
を特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つに記載の不良要因分析方法。 - 製造された太陽電池セルに不良があるか否かを判定し、
前記所定期間内に製造された太陽電池セルの不良率を計算し、
計算した不良率が所定の条件を満たしている場合に、前記決定木分析を行うこと
を特徴とする請求項1乃至8のいずれか一つに記載の不良要因分析方法。 - 製造された太陽電池セルの不良の要因を分析する装置において、
所定期間内に製造された複数の太陽電池セルの夫々について、各太陽電池セルに不良があるか否かと、各太陽電池セルが製造されたときの複数種類の製造条件の内容とを関連付けた良否データを取得する良否データ取得部と、
太陽電池セルの不良の有無を目的変数とし、前記複数種類の製造条件を複数種類の説明変数とした決定木分析を行うことにより、不良の有無に対する影響が大きい製造条件の順に段階的に前記複数の太陽電池セルに係る良否データを各製造条件の内容に応じて分類した決定木を作成する分析部と、
作成した決定木及び前記良否データの分類に用いた製造条件を含む、前記良否データの分類結果を表示する分類結果表示部と
を備えることを特徴とする不良要因分析装置。 - コンピュータに、製造された太陽電池セルの不良の要因を分析させるコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータに、
所定期間内に製造された複数の太陽電池セルの夫々について、各太陽電池セルに不良があるか否かと、各太陽電池セルが製造されたときの複数種類の製造条件の内容とを関連付けた良否データを取得するステップと、
太陽電池セルの不良の有無を目的変数とし、前記複数種類の製造条件を複数種類の説明変数とした決定木分析を行うことにより、不良の有無に対する影響が大きい製造条件の順に段階的に前記複数の太陽電池セルに係る良否データを各製造条件の内容に応じて分類した決定木を作成するステップと、
作成した決定木及び前記良否データの分類に用いた製造条件を含む、前記良否データの分類結果を表示するステップと
を含む処理を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
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