以下、本発明の樹脂組成物、樹脂シート、回路基板、及び半導体チップパッケージについて詳細に説明する。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、(A)分子内に、ポリブタジエン構造、ポリシロキサン構造、ポリ(メタ)アクリレート構造、ポリアルキレン構造、ポリアルキレンオキシ構造、ポリイソプレン構造、ポリイソブチレン構造、及びポリカーボネート構造から選択される1種以上の構造を有する樹脂、(B)芳香族構造を有するエポキシ樹脂、(C)カルボジイミド化合物、(D)ビフェニルアラルキル型樹脂(ただし、(B)成分に該当するものを除く)、及び(E)無機充填剤を含有する。
(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)成分を樹脂組成物に含有させることで、反りの発生が抑制され、低粗度であっても導体層との密着性に優れる絶縁層を得ることが可能となる。樹脂組成物は、必要に応じて、さらに(F)硬化促進剤、(G)硬化剤、および(H)難燃剤を含み得る。以下、樹脂組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
<(A)分子内に、ポリブタジエン構造、ポリシロキサン構造、ポリ(メタ)アクリレート構造、ポリアルキレン構造、ポリアルキレンオキシ構造、ポリイソプレン構造、ポリイソブチレン構造、及びポリカーボネート構造から選択される1種以上の構造を有する樹脂>
本発明の樹脂組成物は(A)成分として、分子内に、ポリブタジエン構造、ポリシロキサン構造、ポリ(メタ)アクリレート構造、ポリポリアルキレン構造、ポリアルキレンオキシ構造、ポリイソプレン構造、ポリイソブチレン構造、及びポリカーボネート構造から選択される1種以上の構造を有する樹脂を含む。(A)成分は、分子内に、ポリブタジエン構造、ポリシロキサン構造、ポリ(メタ)アクリレート構造、ポリアルキレン構造、ポリアルキレンオキシ構造、ポリイソプレン構造、ポリイソブチレン構造、及びポリカーボネート構造から選択される1種以上の構造を有することで柔軟性を示す。(A)成分のような柔軟な樹脂を含むことで絶縁層が低弾性率となり、反りの発生を抑制することがきる。なお、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレート及びアクリレートを指す。
より具体的には、(A)成分は、ポリブタジエン及び水添ポリブタジエン等のポリブタジエン構造、シリコーンゴム等のポリシロキサン構造、ポリ(メタ)アクリレート構造、ポリアルキレン構造、ポリアルキレンオキシ構造、ポリイソプレン構造、ポリイソブチレン構造、及びポリカーボネート構造から選択される1種または2種以上の構造を有することが好ましく、ポリブタジエン構造、ポリシロキサン構造、ポリ(メタ)アクリレート構造、ポリイソプレン構造、ポリイソブチレン構造、またはポリカーボネート構造から選択される1種または2種以上の構造を有することが好ましく、ポリブタジエン構造、及びポリ(メタ)アクリレート構造から選択される1以上の構造を有することがより好ましい。
ポリアルキレン構造としては、炭素原子数2〜15のポリアルキレン構造が好ましく、炭素原子数3〜10のポリアルキレン構造がより好ましく、炭素原子数5〜6のポリアルキレン構造がさらに好ましい。
ポリアルキレンオキシ構造としては、炭素原子数2〜15のポリアルキレンオキシ構造が好ましく、炭素原子数3〜10のポリアルキレンオキシ構造がより好ましく、炭素原子数5〜6のポリアルキレンオキシ構造がさらに好ましい。
(A)成分は柔軟性を示すために高分子量であることが好ましく、数平均分子量(Mn)は、好ましくは1,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜9,00,000である。数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を使用して測定されるポリスチレン換算の数平均分子量である。
(A)成分は柔軟性を示すために、ガラス転移温度(Tg)が25℃以下の樹脂、及び25℃で液状である樹脂から選択される1種以上の樹脂が好ましい。
ガラス転移温度(Tg)が25℃以下である樹脂のガラス転移温度は、好ましくは20℃以下、より好ましくは15℃以下である。ガラス転移温度の下限は特に限定されないが、通常−15℃以上とし得る。また、25℃で液状である樹脂としては、好ましくは20℃以下で液状である樹脂、より好ましくは15℃以下で液状である樹脂である。
(A)成分としては、硬化物の機械的強度を向上させる観点から、後述する(B)成分と反応し得る官能基を有することが好ましい。なお、(B)成分と反応し得る官能基としては、加熱によって現れる官能基も含めるものとする。
好適な一実施形態において、(B)成分と反応し得る官能基は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、酸無水物基、フェノール性水酸基、エポキシ基、イソシアネート基及びウレタン基からなる群から選択される1種以上の官能基である。中でも、当該官能基としては、ヒドロキシ基、酸無水物基、フェノール性水酸基、エポキシ基、イソシアネート基及びウレタン基が好ましく、ヒドロキシ基、酸無水物基、フェノール性水酸基、エポキシ基がより好ましく、フェノール性水酸基が特に好ましい。ただし、官能基としてエポキシ基を含む場合、(A)成分は芳香族構造を有さない。
(A)成分の好適な一実施形態は、ブタジエン樹脂である。ブタジエン樹脂としては25℃で液状またはガラス転移温度が25℃以下のブタジエン樹脂が好ましく、水素化ポリブタジエン骨格含有樹脂(例えば水素化ポリブタジエン骨格含有エポキシ樹脂)、ヒドロキシ基含有ブタジエン樹脂、フェノール性水酸基含有ブタジエン樹脂(ポリブタジエン構造を有し、かつフェノール性水酸基を有する樹脂)、カルボキシ基含有ブタジエン樹脂、酸無水物基含有ブタジエン樹脂、エポキシ基含有ブタジエン樹脂、イソシアネート基含有ブタジエン樹脂及びウレタン基含有ブタジエン樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂がより好ましく、フェノール性水酸基含有ブタジエン樹脂がさらに好ましい。ここで、「ブタジエン樹脂」とは、ブタジエン構造を含有する樹脂をいい、これらの樹脂においてブタジエン構造は主鎖に含まれていても側鎖に含まれていてもよい。ブタジエン構造は一部または全てが水素添加されていてもよい。ここで、「水素化ポリブタジエン骨格含有樹脂」とは、ポリブタジエン骨格の少なくとも一部が水素化された樹脂をいい、必ずしもポリブタジエン骨格が完全に水素化された樹脂である必要はない。
ブタジエン樹脂の数平均分子量(Mn)は、好ましくは1,000〜100,000、より好ましくは5,000〜50,000、より好ましくは7,500〜30,000、さらに好ましくは10,000〜15,000である。である。ここで、樹脂の数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を使用して測定されるポリスチレン換算の数平均分子量である。
ブタジエン樹脂が官能基を有する場合の官能基当量は、好ましくは100〜10000、より好ましくは200〜5000である。なお、官能基当量とは、1グラム当量の官能基を含む樹脂のグラム数である。例えば、エポキシ基当量は、JIS K7236に従って測定することができる。水酸基当量はJIS K1557−1に従って測定した水酸基価でKOHの分子量を割ることで算出することができる。
ブタジエン樹脂の具体例としては、クレイバレー社製の「Ricon 657」(エポキシ基含有ポリブタジエン)、「Ricon 130MA8」、「Ricon 130MA13」、「Ricon 130MA20」、「Ricon 131MA5」、「Ricon 131MA10」、「Ricon 131MA17」、「Ricon 131MA20」、「Ricon 184MA6」(酸無水物基含有ポリブタジエン)、日本曹達社製の「JP−100」、「JP−200」(エポキシ化ポリブタジエン)、「GQ−1000」(水酸基、カルボキシル基導入ポリブタジエン)、「G−1000」、「G−2000」、「G−3000」(両末端水酸基ポリブタジエン)、「GI−1000」、「GI−2000」、「GI−3000」(両末端水酸基水素化ポリブタジエン)、ダイセル社製の「PB3600」、「PB4700」(ポリブタジエン骨格エポキシ樹脂)、「エポフレンドA1005」、「エポフレンドA1010」、「エポフレンドA1020」(スチレンとブタジエンとスチレンブロック共重合体のエポキシ化物)、ナガセケムテックス社製の「FCA−061L」(水素化ポリブタジエン骨格エポキシ樹脂)、「R−45EPT」(ポリブタジエン骨格エポキシ樹脂)、等が挙げられる。
また(A)成分の他の好適な一実施形態として、イミド構造を有する樹脂を使用することもできる。このような(A)成分として、ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を原料とする線状ポリイミド(特開2006−37083号公報、国際公開第2008/153208号に記載のポリイミド)等が挙げられる。該ポリイミド樹脂のブタジエン構造の含有率は、好ましくは60質量%〜95質量%、より好ましくは75質量%〜85質量%である。該ポリイミド樹脂の詳細は、特開2006−37083号公報、国際公開第2008/153208号の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
(A)成分の他の好適な一実施形態は、アクリル樹脂である。アクリル樹脂としては、ガラス転移温度(Tg)が25℃以下のアクリル樹脂が好ましく、ヒドロキシ基含有アクリル樹脂、フェノール性水酸基含有アクリル樹脂、カルボキシ基含有アクリル樹脂、酸無水物基含有アクリル樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂、イソシアネート基含有アクリル樹脂及びウレタン基含有アクリル樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂がより好ましい。ここで、「アクリル樹脂」とは、(メタ)アクリレート構造を含有する樹脂をいい、これらの樹脂において(メタ)アクリレート構造は主鎖に含まれていても側鎖に含まれていてもよい。
アクリル樹脂の数平均分子量(Mn)は、好ましくは10,000〜1,000,000、より好ましくは30,000〜900,000である。ここで、樹脂の数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を使用して測定されるポリスチレン換算の数平均分子量である。
アクリル樹脂が官能基を有する場合の官能基当量は、好ましくは1000〜50000、より好ましくは2500〜30000である。
アクリル樹脂の具体例としては、ナガセケムテックス社製のテイサンレジン「SG−70L」、「SG−708−6」、「WS−023」、「SG−700AS」、「SG−280TEA」(カルボキシ基含有アクリル酸エステル共重合体樹脂、酸価5〜34mgKOH/g、重量平均分子量40万〜90万、Tg−30〜5℃)、「SG−80H」、「SG−80H-3」、「SG−P3」(エポキシ基含有アクリル酸エステル共重合体樹脂、エポキシ当量4761〜14285g/eq、重量平均分子量35万〜85万、Tg11〜12℃)、「SG−600TEA」、「SG−790」(ヒドロキシ基含有アクリル酸エステル共重合体樹脂、水酸基価20〜40mgKOH/g、重量平均分子量50万〜120万、Tg−37〜−32℃)、根上工業社製の「ME−2000」、「W−116.3」(カルボキシ基含有アクリル酸エステル共重合体樹脂)、「W−197C」(水酸基含有アクリル酸エステル共重合体樹脂)、「KG−25」、「KG−3000」(エポキシ基含有アクリル酸エステル共重合体樹脂)等が挙げられる。
また、(A)成分の好適な一実施形態は、カーボネート樹脂である。カーボネート樹脂としてはガラス転移温度が25℃以下のカーボネート樹脂が好ましく、ヒドロキシ基含有カーボネート樹脂、フェノール性水酸基含有カーボネート樹脂、カルボキシ基含有カーボネート樹脂、酸無水物基含有カーボネート樹脂、エポキシ基含有カーボネート樹脂、イソシアネート基含有カーボネート樹脂及びウレタン基含有カーボネート樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂が好ましい。ここで、「カーボネート樹脂」とは、カーボネート構造を含有する樹脂をいい、これらの樹脂においてカーボネート構造は主鎖に含まれていても側鎖に含まれていてもよい。
カーボネート樹脂の数平均分子量(Mn)、及び官能基当量はブタジエン樹脂と同様であり、好ましい範囲も同様である。
カーボネート樹脂の具体例としては、旭化成ケミカルズ社製の「T6002」、「T6001」(ポリカーボネートジオール)、クラレ社製の「C−1090」、「C−2090」、「C−3090」(ポリカーボネートジオール)等が挙げられる。
またヒドロキシル基末端ポリカーボネート、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を原料とする線状ポリイミド(PCT/JP2016/053609)を使用することもできる。該ポリイミド樹脂のカーボネート構造の含有率は、好ましくは60質量%〜95質量%、より好ましくは75質量%〜85質量%である。該ポリイミド樹脂の詳細は、PCT/JP2016/053609の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
また、さらなる(A)成分の好適な一実施形態は、ポリシロキサン樹脂、アルキレン樹脂、アルキレンオキシ樹脂、イソプレン樹脂、イソブチレン樹脂である。
ポリシロキサン樹脂の具体例としては信越シリコーン社製の「SMP−2006」、「SMP−2003PGMEA」、「SMP−5005PGMEA」、アミン基末端ポリシロキサン、四塩基酸無水物を原料とする線状ポリイミド(国際公開第2010/053185号)等が挙げられる。
アルキレン樹脂の具体例としては旭化成せんい社製の「PTXG−1000」、「PTXG−1800」、三菱化学社製の「YX−7180」(エーテル結合を有するアルキレン構造を含有する樹脂)等が挙げられる。
アルキレンオキシ樹脂の具体例としてはDIC Corporation社製「EXA−4850−150」「EXA−4816」「EXA−4822」ADEKA社製「EP−4000」、「EP−4003」、「EP−4010」、及び「EP−4011」、新日本理化社製「BEO−60E」「BPO−20E」ならびに三菱化学社製「YL7175」、及び「YL7410」等が挙げられる。
イソプレン樹脂の具体例としてはクラレ社製の「KL−610」、「KL613」等が挙げられる。
イソブチレン樹脂の具体例としてはカネカ社製の「SIBSTAR−073T」(スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体)、「SIBSTAR−042D」(スチレン−イソブチレンジブロック共重合体)等が挙げられる。
またさらなる(A)成分の好適な実施形態として、アクリルゴム粒子、ポリアミド微粒子、シリコーン粒子などが挙げられる。アクリルゴム粒子の具体例としては、アクリロニトリルブタジエンゴム、ブタジエンゴム、アクリルゴムなどのゴム弾性を示す樹脂に化学的架橋処理を施し、有機溶剤に不溶かつ不融とした樹脂の微粒子体が挙げられ、具体的には、XER−91(日本合成ゴム社製)、スタフィロイドAC3355、AC3816、AC3832、AC4030、AC3364、IM101(以上、ガンツ化成社製)、パラロイドEXL2655、EXL2602(以上、呉羽化学工業社製)等が挙げられる。ポリアミド微粒子の具体例としては、ナイロンのような脂肪族ポリアミド、さらには、ポリアミドイミド等柔軟な骨格であればどのようなものでも良く、具体的には、VESTOSINT 2070(ダイセルヒュルス社製)や、SP500(東レ社製)等が挙げられる。
樹脂組成物中の(A)成分の含有量は、柔軟性付与の観点から、(E)成分を除いた樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下、さらにより好ましくは73質量%以下である。また、下限は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、さらに好ましくは45質量%以上、さらにより好ましくは55質量%以上である。
<(B)芳香族構造を有するエポキシ樹脂>
本発明の樹脂組成物は、(B)成分として芳香族構造を有するエポキシ樹脂を含む。芳香族構造を有するエポキシ樹脂(以下、単に「エポキシ樹脂」ということがある。)は、芳香族構造を有していれば特に限定されない。芳香族構造とは、一般に芳香族と定義される化学構造であり、多環芳香族及び芳香族複素環をも含む。
芳香族構造を有するエポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert−ブチル−カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するグリシジルアミン型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するグリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、芳香族構造を有する線状脂肪族エポキシ樹脂、芳香族構造を有するブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、芳香族構造を有する脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、芳香族構造を有するスピロ環含有エポキシ樹脂、芳香族構造を有するシクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するトリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。(B)成分は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂から選択される1種以上であることが好ましい。
芳香族構造を有するエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。芳香族構造を有するエポキシ樹脂の不揮発成分を100質量%とした場合に、少なくとも50質量%以上は1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であるのが好ましい。中でも、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」という。)と、1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」という。)とを含むことが好ましい。芳香族構造を有するエポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用することで、優れた可撓性を有する樹脂組成物が得られる。また、樹脂組成物の硬化物の破断強度も向上する。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するグリシジルエステル型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するグリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するエステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、芳香族構造を有するシクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂及び芳香族構造を有するブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂がさらに好ましい。液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、三菱化学社製の「828US」、「jER828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER806」、「jER807」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、「630」、「630LSD」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品)、ナガセケムテックス社製の「EX−721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂)、ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂)、新日鐵化学社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4−グリシジルシクロヘキサン)が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂がより好ましく、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂がさらに好ましい。固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「HP−4700」、「HP−4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂)、「N−690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N−695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP−7200」、「HP−7200L」、「HP−7200HH」、「HP−7200H」、「HP−7200HHH」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「EXA7311」、「EXA7311−G3」、「EXA7311−G4」、「EXA7311−G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、日本化薬社製の「EPPN−502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学社製の「ESN475V」(ナフトール型エポキシ樹脂)、「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学社製の「YX4000H」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)、「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂)、「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂)、大阪ガスケミカル社製の「PG−100」、「CG−500」、三菱化学社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂)、三菱化学社製の「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)、「157S70」(ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学社製の「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)、「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂)、大阪ガスケミカル社製の「PG−100」、「CG−500」、三菱化学社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂)、三菱化学社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)成分として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用する場合、それらの量比(固体状エポキシ樹脂:液状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.1〜1:15の範囲が好ましい。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比を斯かる範囲とすることにより、i)樹脂シートの形態で使用する場合に適度な粘着性がもたらされる、ii)樹脂シートの形態で使用する場合に十分な可撓性が得られ、取り扱い性が向上する、並びにiii)十分な破断強度を有する硬化物を得ることができる等の効果が得られる。上記i)〜iii)の効果の観点から、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂の量比(固体状エポキシ樹脂:液状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.3〜1:10の範囲がより好ましく、1:0.6〜1:8の範囲がさらに好ましい。
樹脂組成物中の芳香族構造を有するエポキシ樹脂の含有量は、良好な機械強度、絶縁信頼性を示す絶縁層を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。芳香族構造を有するエポキシ樹脂の含有量の上限は、本発明の効果が奏される限りにおいて特に限定されないが、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
また、樹脂組成物中の芳香族構造を有するエポキシ樹脂の含有量は、良好な機械強度、絶縁信頼性を示す絶縁層を得る観点から、(E)成分を除いた樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。芳香族構造を有するエポキシ樹脂の含有量の上限は、本発明の効果が奏される限りにおいて特に限定されないが、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
芳香族構造を有するエポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50〜5000、より好ましくは50〜3000、さらに好ましくは80〜2000、さらにより好ましくは110〜1000である。この範囲となることで、硬化物の架橋密度が十分となり表面粗さの小さい絶縁層をもたらすことができる。なお、エポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができ、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量である。
芳香族構造を有するエポキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは100〜5000、より好ましくは250〜3000、さらに好ましくは400〜1500である。ここで、エポキシ樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<(C)カルボジイミド化合物>
本発明の樹脂組成物は、(C)成分として、カルボジイミド化合物を含む。カルボジイミド化合物は、1分子中にカルボジイミド基(−N=C=N−)を1個以上有する化合物であり、(C)成分を含有させることで導体層との密着性に優れる絶縁層をもたらすことができ、特に後述する(D)成分と組み合わせて使用することにより、耐熱性、レーザービア信頼性、及び導体層との密着性に優れる絶縁層をもたらすことができる。カルボジイミド化合物としては、1分子中にカルボジイミド基を2個以上有する化合物が好ましい。カルボジイミド化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一実施形態において、本発明の樹脂組成物に含まれるカルボジイミド化合物は、下記式(1)で表される構造を含有する。
(式中、Xは、アルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基を表し、これらは置換基を有していてもよい。pは1〜5の整数を表す。Xが複数存在する場合、それらは同一でも相異なってもよい。*は結合手を表す。)
Xで表されるアルキレン基の炭素原子数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜6、1〜4、又は1〜3である。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。該アルキレン基の好適な例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。
Xで表されるシクロアルキレン基の炭素原子数は、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜12、さらに好ましくは3〜6である。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。該シクロアルキレン基の好適な例としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基が挙げられる。
Xで表されるアリーレン基は、芳香族炭化水素から芳香環上の水素原子を2個除いた基である。該アリーレン基の炭素原子数は、好ましくは6〜24、より好ましくは6〜18、さらに好ましくは6〜14、さらにより好ましくは6〜10である。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。該アリーレン基の好適な例としては、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基が挙げられる。
(D)成分との組み合わせにおいて、耐熱性、レーザービア信頼性、及び導体層との密着性に一層優れる絶縁層を実現する観点から、Xは、アルキレン基又はシクロアルキレン基であることが好ましく、これらは置換基を有していてもよい。
Xで表されるアルキレン基、シクロアルキレン基又はアリール基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基及びアシルオキシ基が挙げられる。置換基として用いられるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。置換基として用いられるアルキル基、アルコキシ基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、その炭素原子数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜6、1〜4、又は1〜3である。置換基として用いられるシクロアルキル基、シクロアルキルオキシ基の炭素原子数は、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜12、さらに好ましくは3〜6である。置換基として用いられるアリール基は、芳香族炭化水素から芳香環上の水素原子を1個除いた基であり、その炭素原子数は、好ましくは6〜24、より好ましくは6〜18、さらに好ましくは6〜14、さらにより好ましくは6〜10である。置換基として用いられるアリールオキシ基の炭素原子数は、好ましくは6〜24、より好ましくは6〜18、さらに好ましくは6〜14、さらにより好ましくは6〜10である。置換基として用いられるアシル基は、式:−C(=O)−R1で表される基(式中、R1はアルキル基又はアリール基を表す。)をいう。R1で表されるアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、その炭素原子数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜6、1〜4、又は1〜3である。R1で表されるアリール基の炭素原子数は、好ましくは6〜24、より好ましくは6〜18、さらに好ましくは6〜14、さらにより好ましくは6〜10である。置換基として用いられるアシルオキシ基は、式:−O−C(=O)−R1で表される基(式中、R1は上記と同じ意味を表す。)をいう。中でも、置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、及びアシルオキシ基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
式(1)中、pは1〜5の整数を表す。(A)〜(B)及び(D)成分との組み合わせにおいて、耐熱性、レーザービア信頼性、及び導体層との密着性に一層優れる絶縁層を実現する観点から、pは、好ましくは1〜4、より好ましくは2〜4、さらに好ましくは2又は3である。
式(1)中、Xが複数存在する場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。好適な一実施形態において、少なくとも1つのXは、アルキレン基又はシクロアルキレン基であり、これらは置換基を有していてもよい。
好適な一実施形態において、カルボジイミド化合物は、カルボジイミド化合物の分子全体の質量を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらにより好ましくは80質量%以上又は90質量%以上にて、式(1)で表される構造を含有する。カルボジイミド化合物は、末端構造を除いて、式(1)で表される構造から実質的になってもよい。カルボジイミド化合物の末端構造としては、特に限定されないが、例えば、アルキル基、シクロアルキル基及びアリール基が挙げられ、これらは置換基を有していてもよい。末端構造として用いられるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基は、Xで表される基が有していてもよい置換基について説明したアルキル基、シクロアルキル基、アリール基と同じであってよい。また、末端構造として用いられる基が有していてもよい置換基は、Xで表される基が有していてもよい置換基と同じであってよい。
樹脂組成物を硬化する際のアウトガスの発生を抑制し得る観点から、カルボジイミド化合物の重量平均分子量は、好ましくは500以上、より好ましくは600以上、さらに好ましくは700以上、さらにより好ましくは800以上、特に好ましくは900以上又は1000以上である。また、良好な相溶性を得る観点から、カルボジイミド化合物の重量平均分子量の上限は、好ましくは5000以下、より好ましくは4500以下、さらに好ましくは4000以下、さらにより好ましくは3500以下、特に好ましくは3000以下である。カルボジイミド化合物の重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(ポリスチレンン換算)で測定することができる。
なお、カルボジイミド化合物は、その製法に由来して、分子中にイソシアネート基(−N=C=O)を含有する場合がある。良好な保存安定性を示す樹脂組成物を得る観点、ひいては所期の特性を示す絶縁層を実現する観点から、カルボジイミド化合物中のイソシアネート基の含有量(「NCO含有量」ともいう。)は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、さらにより好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1質量%以下又は0.5質量%以下である。
カルボジイミド化合物は、市販品を使用してもよい。市販のカルボジイミド化合物としては、例えば、日清紡ケミカル社製のカルボジライト(登録商標)V−02B、V−03、V−04K、V−07及びV−09、ラインケミー社製のスタバクゾール(登録商標)P、P400、及びハイカジル510が挙げられる。
(C)成分の含有量は、耐熱性、レーザービア信頼性、及び導体層との密着性のいずれの特性にも優れる絶縁層を得る観点から、(E)成分を除いた樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましい。カルボジイミド化合物の含有量の上限は特に限定されないが、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。
<(D)ビフェニルアラルキル型樹脂(ただし、(B)成分に該当するものを除く)>
本発明の樹脂組成物は、(D)成分としてビフェニルアラルキル型樹脂(ただし、(B)成分に該当するものを除く)を含む。(D)成分を含むことで導体層との密着性に優れる絶縁層をもたらすことができ、特に(C)成分と組み合わせて使用することにより、耐熱性、レーザービア信頼性、及び導体層との密着性に優れる絶縁層をもたらすことができる。また、一般に、ビフェニルアラルキル樹脂は、柔軟な樹脂に対する混和性が低く、相溶性が低い傾向があったが、上述した(A)成分に対しては特異的に良好な相溶性を示す。
(D)成分は、エポキシ基を有していないビフェニルアラルキル構造であれば特に限定されないが、下記式(2)で表される樹脂であることが好ましい。
(式中、R
1は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、又はフェニル基を表し、R
2は、それぞれ独立にマレイミド基、シアネート基、又はアミノ基を表し、nは平均値であり1<n≦5を表し、mはそれぞれ独立に1〜5の整数を表す。)
R1は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、又はフェニル基を表す。
炭素原子数1〜5のアルキル基は、炭素原子数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。炭素原子数1〜5のアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよいが、直鎖のアルキル基が好ましい。炭素原子数1〜5のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。
これらの中でも、R1は、導体層との密着性に優れる絶縁層をもたらす観点から、水素原子、メチル基、又はフェニル基を表すことが好ましい。
R2は、それぞれ独立にマレイミド基、シアネート基、又はアミド基を表し、導体層との密着性に優れる絶縁層をもたらす観点から、マレイミド基を有することがより好ましい。
mは、それぞれ独立に1〜5の整数を表す。mは、1〜4の整数を表すことが好ましく、1〜3の整数を表すことがより好ましく、1を表すことがさらに好ましい。
nは平均値であり1<n≦5を表す。nが5以下であると、溶剤溶解性が良好となる。nは、式(2)で表される樹脂の重量平均分子量の値から算出することができる。
式(2)で表される樹脂は、下記式(3)で表される樹脂であることが好ましい。
(式中、R
1及びnは、式(2)中のものと同じでよい。)
(D)成分は、市販品を使用してもよい。市販の(D)成分としては、例えば、日本化薬社製のMIR−3000、MIR−3000−70T等が挙げられる。
(D)成分の含有量は、耐熱性、レーザービア信頼性、及び導体層との密着性のいずれの特性にも優れる絶縁層を得る観点から、(E)成分を除いた樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、0.3質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。(D)成分の含有量の上限は特に限定されないが、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
<(E)無機充填材>
樹脂組成物は(E)無機充填材を含む。無機充填材の材料は特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でもシリカが特に好適である。またシリカとしては球形シリカが好ましい。無機充填材は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機充填材の平均粒径は、回路埋め込み性を向上させ、表面粗度の低い絶縁層を得る観点から、好ましくは5μm以下、より好ましくは2.5μm以下、さらに好ましくは2.2μm以下、より好ましくは2μm以下である。該平均粒径の下限は、特に限定されないが、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上である。このような平均粒径を有する無機充填材の市販品としては、例えば、アドマテックス社製「YC100C」、「YA050C」、「YA050C−MJE」、「YA010C」、電気化学工業社製「UFP−30」、トクヤマ社製「シルフィルNSS−3N」、「シルフィルNSS−4N」、「シルフィルNSS−5N」、アドマテックス社製「SC2500SQ」、「SO−C6」、「SO−C4」、「SO−C2」、「SO−C1」等が挙げられる。
無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置としては、堀場製作所社製「LA−500」等を使用することができる。
無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン化合物、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等の1種以上の表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ−31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM−4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)等が挙げられる。
樹脂組成物中の無機充填材の含有量は、熱膨張率が低い絶縁層を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは75質量%以上である。上限は、絶縁層の機械強度、特に伸びの観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下である。
<(F)硬化促進剤>
樹脂組成物は、(F)硬化促進剤を含み得る。硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられ、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤が好ましく、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤がより好ましい。硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4−メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられ、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩が好ましい。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン等が挙げられ、4−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセンが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられ、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三菱化学社製の「P200−H50」等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1−メチルグアニジン、1−エチルグアニジン、1−シクロヘキシルグアニジン、1−フェニルグアニジン、1−(o−トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1−メチルビグアニド、1−エチルビグアニド、1−n−ブチルビグアニド、1−n−オクタデシルビグアニド、1,1−ジメチルビグアニド、1,1−ジエチルビグアニド、1−シクロヘキシルビグアニド、1−アリルビグアニド、1−フェニルビグアニド、1−(o−トリル)ビグアニド等が挙げられ、ジシアンジアミド、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンが好ましい。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
樹脂組成物が(F)成分を含有する場合、樹脂組成物中の硬化促進剤の含有量は特に限定されないが、樹脂組成物の不揮発成分合計量を100質量%としたとき、0.01質量%〜3質量%が好ましく、0.03〜1.5質量%がより好ましく、0.05〜1質量%がさらに好ましい。
<(G)硬化剤>
樹脂組成物は(G)硬化剤を含み得る。硬化剤としては、(B)成分等の樹脂を硬化する機能を有する限り特に限定されず、例えば、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、及びシアネートエステル系硬化剤などが挙げられる。硬化剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。(G)成分は、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤から選択される1種以上であることが好ましく、フェノール系硬化剤、及び活性エステル系硬化剤から選択される1種以上であることが好ましい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤、又はノボラック構造を有するナフトール系硬化剤が好ましい。また、導体層との密着性の観点から、含窒素フェノール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤がより好ましい。中でも、耐熱性、耐水性、及び導体層との密着性を高度に満足させる観点から、トリアジン骨格含有フェノールノボラック硬化剤が好ましい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、明和化成社製の「MEH−7700」、「MEH−7810」、「MEH−7851」、日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、新日鉄住金社製の「SN170」、「SN180」、「SN190」、「SN475」、「SN485」、「SN495V」、「SN375」、「SN395」、DIC社製の「TD−2090」、「LA−7052」、「LA−7054」、「LA−1356」、「LA−3018−50P」、「EXB−9500」、「HPC−9500」、「KA−1160」、「KA−1163」、「KA−1165」、群栄化学社製の「GDP−6115L」、「GDP−6115H」等が挙げられる。
活性エステル系硬化剤としては、特に制限はないが、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
具体的には、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が好ましく、中でもナフタレン構造を含む活性エステル化合物、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物がより好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン−ジシクロペンチレン−フェニレンからなる2価の構造を表す。
活性エステル系硬化剤の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC−8000−65T」、「HPC−8000H−65TM」、「EXB−8000L−65TM」(DIC社製)、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「EXB9416−70BK」(DIC社製)、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として「DC808」(三菱化学社製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として「YLH1026」(三菱化学社製)、フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系硬化剤として「DC808」(三菱化学社製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル系硬化剤として「YLH1026」(三菱化学社製)、「YLH1030」(三菱化学社製)、「YLH1048」(三菱化学社製)等が挙げられる。
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、昭和高分子社製の「HFB2006M」、四国化成工業社製の「P−d」、「F−a」が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート、オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン社製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
樹脂組成物が(G)成分を含有する場合、樹脂組成物中の硬化剤の含有量は特に限定されないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。また、下限は特に制限はないが1質量%以上が好ましい。
<(H)難燃剤>
樹脂組成物は、(H)難燃剤を含み得る。難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
難燃剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三光社製の「HCA−HQ」等が挙げられる。
樹脂組成物が難燃剤を含有する場合、難燃剤の含有量は特に限定されないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは0.5質量%〜20質量%、より好ましくは0.5質量%〜15質量%、さらに好ましくは0.5質量%〜10質量%がさらに好ましい。
<(I)任意の添加剤>
樹脂組成物は、さらに必要に応じて、他の添加剤を含んでいてもよく、斯かる他の添加剤としては、例えば、有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物、並びに、バインダー、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、及び着色剤等の樹脂添加剤等が挙げられる。
<樹脂組成物の物性>
本発明の樹脂組成物を180℃で90分間熱硬化させた硬化物は、反りの発生を抑制するために、23℃における弾性率が17GPa以下であることが好ましく、16GPa以下、15GPa以下、14GPa以下、又は13GPa以下であることがより好ましい。下限については特に限定されないが、例えば、5GPa以上、6GPa以上、7GPa以上等とし得る。弾性率を17GPa以下とすることで硬化物の反りの発生を抑制された絶縁層を得ることができる。上記弾性率は、後述する<弾性率の測定及び1%重量減少温度の測定>に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の樹脂組成物を180℃で30分間熱硬化させた硬化物は、導体層との密着性、即ち導体層との引き剥がし強さ(ピール強度)に優れるという特性を示す。ピール強度としては、好ましくは0.4kgf/cm以上、より好ましくは0.45kgf/cm以上、さらに好ましくは0.5kgf/cm以上である。一方、ピール強度の上限値は特に限定されないが、1.5kgf/cm以下、1kgf/cm以下等とし得る。導体層との密着性の評価は、後述する<導体層との引き剥がし強さの測定及び評価>に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の樹脂組成物を180℃で90分間熱硬化させた硬化物は、1%重量減少温度が350℃以上であるという特性を示すことから、耐熱性に優れるという特性を示す。1%重量減少温度としては、好ましくは350℃以上、より好ましくは355℃以上、さらに好ましくは360℃以上である。1%重量減少温度の上限値は特に限定されないが、500℃以下等とし得る。1%重量減少温度の評価は、後述する<弾性率の測定及び1%重量減少温度の測定>に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の樹脂組成物を180℃で30分間熱硬化させた硬化物にビアホールを形成した際、ビアホール底部に有する硬化物の残渣長(スミア長)が短いという特性を示す。スミア長としては、好ましくは3μm未満、より好ましくは2.5μm以下、さらに好ましくは2μm以下である。下限は特に限定されないが0.1μm以上等とし得る。
本発明の樹脂組成物は、反りの発生が抑制され、耐熱性及び導体層との密着性に優れる絶縁層をもたらすことができ、また、(B)〜(D)成分を含むことから(A)成分の相溶性が良好である。したがって本発明の樹脂組成物は、半導体チップパッケージの絶縁層を形成するための樹脂組成物(半導体チップパッケージの絶縁層用樹脂組成物)、回路基板(プリント配線板を含む)の絶縁層を形成するための樹脂組成物(回路基板の絶縁層用樹脂組成物)として好適に使用することができ、その上にメッキにより導体層が形成される層間絶縁層を形成するための樹脂組成物(メッキにより導体層を形成する回路基板の層間絶縁層用樹脂組成物)としてさらに好適に使用することができる。
また、半導体チップを封止するための樹脂組成物(半導体チップ封止用樹脂組成物)、半導体チップに配線を形成するための樹脂組成物(半導体チップ配線形成用樹脂組成物)としても好適に使用することができる。
[樹脂シート]
本発明の樹脂シートは、支持体と、該支持体と接合している樹脂組成物層とを含んでなり、樹脂組成物層が本発明の樹脂組成物からなる。
樹脂組成物層の厚さは、薄型化の観点から、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下、80μm以下、60μm以下、50μm以下又は40μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、1μm以上、5μm以上、10μm以上等とし得る。
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理を施してあってもよい。
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック社製の「SK−1」、「AL−5」、「AL−7」、東レ社製「ルミラーT60」帝人社製の「ピューレックス」、ユニチカ社製の「ユニピール」等が挙げられる。
支持体の厚みとしては、特に限定されないが、5μm〜75μmの範囲が好ましく、10μm〜60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
樹脂シートは、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーター等を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN−メチルピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。有機溶剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%〜60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃〜150℃で3分間〜10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
樹脂シートにおいて、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)には、支持体に準じた保護フィルムをさらに積層することができる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm〜40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。樹脂シートが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
本発明の樹脂シートの代わりに、シート状繊維基材に本発明の樹脂組成物を含浸させて形成されたプリプレグを用いてもよい。
プリプレグに用いるシート状繊維基材は特に限定されず、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー不織布等のプリプレグ用基材として常用されているものを用いることができる。薄型化の観点から、シート状繊維基材の厚さは、好ましくは900μm以下であり、より好ましくは800μm以下、さらに好ましくは700μm以下、さらにより好ましくは600μm以下である。シート状繊維基材の厚さの下限は特に限定されないが、通常、1μm以上、1.5μm以上、2μm以上等とし得る。
プリプレグは、ホットメルト法、ソルベント法等の公知の方法により製造することができる。
プリプレグの厚さは、上述の樹脂シートにおける樹脂組成物層と同様の範囲とし得る。
本発明の樹脂シートは、半導体チップパッケージの製造において絶縁層を形成するため(半導体チップパッケージの絶縁用樹脂シート)に好適に使用することができる。例えば、本発明の樹脂シートは、回路基板の絶縁層を形成するため(回路基板の絶縁層用樹脂シート)に好適に使用することができ、その上にメッキにより導体層が形成される層間絶縁層を形成するため(メッキにより導体層を形成する回路基板の層間絶縁層用)にさらに好適に使用することができる。このような基板を使ったパッケージの例としては、FC−CSP、MIS−BGAパッケージ、ETS−BGAパッケージが挙げられる。
また本発明の樹脂シートは、半導体チップを封止するため(半導体チップ封止用樹脂シート)、または半導体チップに配線を形成するため(半導体チップ配線形成用樹脂シート)に好適に使用することができ、例えばFan−out型WLP(Wafer Level Package)、Fan−in型WLP、Fan−out型PLP(Panel Level Package)、Fan−in型PLP等に好適に使用することができる。また、半導体チップを基板に接続した後に用いるMUF(Molding Under Filling)材料等にも好適に使用することができる。
本発明の樹脂シートはまた、高い絶縁信頼性が要求される他の広範な用途、例えば、プリント配線板等の回路基板の絶縁層を形成するために好適に使用することができる。
[回路基板]
本発明の回路基板は、本発明の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む。
本発明の回路基板の製造方法は、
(1)基材と、該基材の少なくとも一方の面に設けられた配線層とを有する配線層付き基材を準備する工程、
(2)本発明の樹脂シートを、配線層が樹脂組成物層に埋め込まれるように、配線層付き基材上に積層し、熱硬化させて絶縁層を形成する工程、
(3)配線層を層間接続する工程を含む。また、回路基板の製造方法は、(4)基材を除去する工程、を含んでいてもよい。
工程(3)は、配線層を層間接続することができれば特に限定されないが、絶縁層にビアホールを形成し、配線層を形成する工程、及び絶縁層を研磨又は研削し、配線層を露出させる工程の少なくともいずれかの工程であることが好ましい。
<工程(1)>
工程(1)は、基材と、該基材の少なくとも一方の面に設けられた配線層とを有する配線層付き基材を準備する工程である。通常、配線層付き基材は、基材の両面に基材の一部である第1金属層、第2金属層をそれぞれ有し、第2金属層の基材側の面とは反対側の面に配線層を有する。詳細は、基材上にドライフィルム(感光性レジストフィルム)を積層し、フォトマスクを用いて所定の条件で露光、現像しパターンドライフィルムを形成する。現像したパターンドライフィルムをめっきマスクとして電解めっき法により配線層を形成した後、パターンドライフィルムを剥離する。なお、第1金属層、第2金属層は有していなくてもよい。
基材としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板(ステンレスや冷間圧延鋼板(SPCC)など)、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板が挙げられ、基板表面に銅箔等の金属層が形成されていてもよい。また、表面に剥離可能な第1金属層及び第2金属層(例えば、三井金属社製のキャリア銅箔付極薄銅箔、商品名「Micro Thin」)等の金属層が形成されていてもよい。
ドライフィルムとしては、フォトレジスト組成物からなる感光性のドライフィルムである限り特に限定されず、例えば、ノボラック樹脂、アクリル樹脂等のドライフィルムを用いることができる。ドライフィルムは市販品を用いてもよい。
基材とドライフィルムとの積層条件は、後述する工程(2)の樹脂シートを配線層に埋め込まれるように積層させる際の条件と同様であり、好ましい範囲も同様である。
ドライフィルムを基材上に積層後、ドライフィルムに対して所望のパターンを形成するためにフォトマスクを用いて所定の条件で露光、現像を行う。
配線層のライン(回路幅)/スペース(回路間の幅)比は特に制限されないが、好ましくは20/20μm以下(即ちピッチが40μm以下)、より好ましくは10/10μm以下、さらに好ましくは5/5μm以下、よりさらに好ましくは1/1μm以下、特に好ましくは0.5/0.5μm以上である。ピッチは、配線層の全体にわたって同一である必要はない。配線層の最小ピッチは、40μm以下、36μm以下、又は30μm以下であってもよい。
ドライフィルムのパターンを形成後、配線層を形成し、ドライフィルムを剥離する。ここで、配線層の形成は、所望のパターンを形成したドライフィルムをめっきマスクとして使用し、めっき法により実施することができる。
配線層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、配線層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。配線層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成されたものが挙げられる。中でも、配線層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
配線層の厚みは、所望の配線板のデザインによるが、好ましくは3μm〜35μm、より好ましくは5μm〜30μm、さらに好ましくは10〜20μm、又は15μmである。工程(3)において絶縁層を研磨又は研削し、配線層を露出させて配線層を層間接続する工程を採用する場合は、層間接続する配線と、接続しない配線の厚みは異なっていることが好ましい。配線層の厚みは、前述のパターン形成を繰り返すことで調整することができる。各配線層のうち、最も厚みがある配線層(導電性ピラー)の厚みは、所望の配線板のデザインによるが、好ましくは100μm以下2μm以上である。また層間接続する配線は凸型となっていてもよい。
配線層を形成後、ドライフィルムを剥離する。ドライフィルムの剥離は、例えば、水酸化ナトリウム溶液等のアルカリ性の剥離液を使用して実施することができる。必要に応じて、不要な配線パターンをエッチング等により除去して、所望の配線パターンを形成することもできる。形成する配線層のピッチについては、先述のとおりである。
<工程(2)>
工程(2)は、本発明の樹脂シートを、配線層が樹脂組成物層に埋め込まれるように、配線層付き基材上に積層し、熱硬化させて絶縁層を形成する工程である。詳細は、前述の工程(1)で得られた配線層付き基材の配線層を、樹脂シートの樹脂組成物層に埋め込まれるように積層させ、樹脂シートの樹脂組成物層を熱硬化させ絶縁層を形成する。
配線層と樹脂シートの積層は、樹脂シートの保護フィルムを除去後、例えば、支持体側から樹脂シートを配線層に加熱圧着することにより行うことができる。樹脂シートを配線層に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、配線層の表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
配線層と樹脂シートの積層は、樹脂シートの保護フィルムを除去後、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃〜160℃、より好ましくは80℃〜140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa〜1.77MPa、より好ましくは0.29MPa〜1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間〜400秒間、より好ましくは30秒間〜300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力13hPa以下の減圧条件下で実施する。
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された樹脂シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
樹脂組成物層を、配線層が埋め込まれるように配線層付き基材上に積層した後、樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する。例えば、樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類等によっても異なるが、硬化温度は120℃〜240℃の範囲、硬化時間は5分間〜120分間の範囲とすることができる。樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。
樹脂シートの支持体は、配線層付き基材上に樹脂シートを積層し熱硬化した後に剥離してもよく、配線層付き基材上に樹脂シートを積層する前に支持体を剥離してもよい。また、後述する粗化処理工程の前に、支持体を剥離してもよい。
樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成した後、絶縁層表面を研磨してもよい。研磨方法は特に限定されず、公知の方法にて研磨すればよく、例えば平面研削盤を用いて絶縁層表面を研磨することができる。
研磨後の絶縁層表面の表面粗さ(Ra1)としては、好ましくは100nm以上、より好ましくは110nm以上、さらに好ましくは120nm以上である。上限は、好ましくは450nm以下、より好ましくは400nm以下、さらに好ましくは350nm以下である。上記研磨後の絶縁層表面の表面粗さ(Ra1)は、後述する<研磨切削後の絶縁層表面の表面粗さ(Ra1)、研磨切削後の絶縁層表面の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt1)、粗化処理後の絶縁層表面の表面粗さ(Ra2)、及び粗化処理後の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt2)の測定>に記載の方法に従って測定することができる。
研磨後の絶縁層表面の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt1)としては、好ましくは3000nm以上、より好ましくは3500nm以上、さらに好ましくは4000nm以上である。上限は、好ましくは7000nm以下、より好ましくは6500nm以下、さらに好ましくは6000nm以下である。上記研磨後の絶縁層表面の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt1)は、後述する<研磨切削後の絶縁層表面の表面粗さ(Ra1)、研磨切削後の絶縁層表面の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt1)、粗化処理後の絶縁層表面の表面粗さ(Ra2)、及び粗化処理後の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt2)の測定>に記載の方法に従って測定することができる。
<工程(3)>
工程(3)は、配線層を層間接続する工程である。詳細は、絶縁層にビアホールを形成し、導体層を形成して配線層を層間接続する工程である。または絶縁層を研磨又は研削し、配線層を露出させて配線層を層間接続する工程である。
絶縁層にビアホールを形成し、導体層を形成して配線層を層間接続する工程を採用する場合、ビアホールの形成は特に限定されないが、レーザー照射、エッチング、メカニカルドリリング等が挙げられるが、レーザー照射によって行われることが好ましい。このレーザー照射は、光源として炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー等を用いる任意好適なレーザー加工機を用いて行うことができる。詳細は、樹脂シートの支持体の面側からレーザー照射を行って、支持体及び絶縁層を貫通して配線層を露出させるビアホールを形成する。
レーザー照射の条件は特に限定されず、レーザー照射は選択された手段に応じた常法に従う任意好適な工程により実施することができる。
ビアホールの形状、すなわち延在方向でみたときの開口の輪郭の形状は特に限定されないが、一般的には円形(略円形)とされる。
ビアホール形成後、ビアホール内のスミア除去工程である、いわゆるデスミア工程を行なってもよい。後述する導体層の形成をめっき工程により行う場合には、ビアホールに対して、例えば湿式のデスミア処理を行ってもよく、導体層の形成をスパッタ工程により行う場合には、例えばプラズマ処理工程などのドライデスミア工程を行ってもよい。また、デスミア工程は粗化処理工程を兼ねていてもよい。
導体層を形成する前に、ビアホール及び絶縁層に対して粗化処理を行ってもよい。粗化処理は通常行われる公知の手順、条件を採用することができる。乾式の粗化処理の例としてはプラズマ処理等が挙げられ、湿式の粗化処理の例としては膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理及び中和液による中和処理をこの順に行う方法が挙げられる。
粗化処理後の絶縁層表面の表面粗さ(Ra2)としては、好ましくは350nm以上、より好ましくは400nm以上、さらに好ましくは450nm以上である。上限は、好ましくは700nm以下、より好ましくは650nm以下、さらに好ましくは600nm以下である。上記研磨後の絶縁層表面の表面粗さ(Ra2)は、後述する<研磨切削後の絶縁層表面の表面粗さ(Ra1)、研磨切削後の絶縁層表面の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt1)、粗化処理後の絶縁層表面の表面粗さ(Ra2)、及び粗化処理後の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt2)の測定>に記載の方法に従って測定することができる。
粗化処理後の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt2)としては、好ましくは7000nm以上、より好ましくは7500nm以上、さらに好ましくは8000nm以上である。上限は、好ましくは12000nm以下、より好ましくは11000nm以下、さらに好ましくは10000nm以下である。上記研磨後の絶縁層表面の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt2)は、後述する<研磨切削後の絶縁層表面の表面粗さ(Ra1)、研磨切削後の絶縁層表面の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt1)、粗化処理後の絶縁層表面の表面粗さ(Ra2)、及び粗化処理後の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt2)の測定>に記載の方法に従って測定することができる。
ビアホールを形成後、導体層を形成する。導体層を構成する導体材料は特に限定されず、導体層は、めっき、スパッタ、蒸着等従来公知の任意好適な方法により形成することができ、めっきにより形成することが好ましい。好適な一実施形態は、例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により絶縁層の表面にめっきして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。また、樹脂シートにおける支持体が金属箔である場合、サブトラクティブ法等の従来公知の技術により、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。導体層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。
詳細は、絶縁層の表面に、無電解めっきによりめっきシード層を形成する。次いで、形成されためっきシード層上に、所望の配線パターンに対応してめっきシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出しためっきシード層上に、電解めっきにより電解めっき層を形成する。その際、電解めっき層の形成とともに、ビアホールを電解めっきにより埋め込んでフィルドビアを形成してもよい。電解めっき層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なめっきシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。なお、導体層を形成する際、マスクパターンの形成に用いるドライフィルムは、上記ドライフィルムと同様である。
導体層は、線状の配線のみならず、例えば外部端子が搭載され得る電極パッド(ランド)なども含み得る。また導体層は、電極パッドのみから構成されていてもよい。
また、導体層は、めっきシード層形成後、マスクパターンを用いずに電解めっき層及びフィルドビアを形成し、その後、エッチングによるパターニングを行うことにより形成してもよい。
絶縁層を研磨又は研削し、配線層を露出させて配線層を層間接続する工程を採用する場合、絶縁層の研磨方法又は研削方法としては、配線層を露出させることができ、研磨又は研削面が水平であれば特に限定されず、従来公知の研磨方法又は研削方法を適用することができ、例えば、化学機械研磨装置による化学機械研磨方法、バフ等の機械研磨方法、砥石回転による平面研削方法等が挙げられる。絶縁層にビアホールを形成し、導体層を形成して配線層を層間接続する工程と同様に、スミア除去工程、粗化処理を行う工程を行ってもよく、導体層を形成してもよい。また、全ての配線層を露出させる必要はなく、配線層の一部を露出させてもよい。
<工程(4)>
工程(4)は、基材を除去し、本発明の回路基板を形成する工程である。基材の除去方法は特に限定されない。好適な一実施形態は、第1及び第2金属層の界面で回路基板から基材を剥離し、第2金属層を例えば塩化銅水溶液などでエッチング除去する。必要に応じて、導体層を保護フィルムで保護した状態で基材を剥離してもよい。
[半導体チップパッケージ]
本発明の半導体チップパッケージの第1の態様は、上記本発明の回路基板上に、半導体チップが搭載された、半導体チップパッケージである。上記本発明の回路基板に、半導体チップを接合することにより半導体チップパッケージを製造することができる。
半導体チップの端子電極が回路基板の回路配線と導体接続する限り、接合条件は特に限定されず、半導体チップのフリップチップ実装において使用される公知の条件を使用してよい。また、半導体チップと回路基板間に絶縁性の接着剤を介して接合してもよい。
好適な一実施形態は、半導体チップを回路基板に圧着する。圧着条件としては、例えば、圧着温度は120℃〜240℃の範囲(好ましくは130℃〜200℃の範囲、より好ましくは140℃〜180℃の範囲)、圧着時間は1秒間〜60秒間の範囲(好ましくは5秒間〜30秒間)とすることができる。
また、他の好適な一実施形態は、半導体チップを回路基板にリフローして接合する。リフロー条件としては、例えば、120℃〜300℃の範囲とすることができる。
半導体チップを回路基板に接合した後、例えば、半導体チップをモールドアンダーフィル材で充填することで半導体チップパッケージを得ることも可能である。モールドアンダーフィル材で充填する方法は公知の方法で実施することができる。本発明の樹脂組成物または樹脂シートはモールドアンダーフィル材としても使用することができる。
本発明の半導体チップパッケージの第2の態様は、例えば、図1に一例を示すような半導体チップパッケージ(Fan−out型WLP)である。図1に一例を示すような半導体チップパッケージ(Fan−out型WLP)100は、封止層120を、本発明の樹脂組成物または樹脂シートで製造した半導体チップパッケージである。半導体チップパッケージ100は、半導体チップ110、半導体チップ110の周囲を覆うように形成された封止層120、半導体チップ110の封止層に覆われている側とは反対側の面に再配線形成層(絶縁層)130、導体層(再配線層)140、ソルダーレジスト層150、及びバンプ160を備える。このような半導体チップパッケージの製造方法は、
(A)基材に仮固定フィルムを積層する工程、
(B)半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程、
(C)本発明の樹脂シートの樹脂組成物層を、半導体チップ上に積層、又は本発明の樹脂組成物を半導体チップ上に塗布し、熱硬化させて封止層を形成する工程、
(D)基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程、
(E)半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に再配線形成層(絶縁層)を形成する工程、
(F)再配線形成層(絶縁層)上に導体層(再配線層)を形成する工程、及び
(G)導体層上にソルダーレジスト層を形成する工程、を含む。また、半導体チップパッケージの製造方法は、(H)複数の半導体チップパッケージを個々の半導体チップパッケージにダイシングし、個片化する工程を含み得る。
<工程(A)>
工程(A)は、基材に仮固定フィルムを積層する工程である。基材と仮固定フィルムの積層条件は、回路基板の製造方法における工程(2)における配線層と樹脂シートとの積層条件と同様であり、好ましい範囲も同様である。
基材に使用する材料は特に限定されない。基材としては、シリコンウェハー;ガラスウェハー;ガラス基板;銅、チタン、ステンレス、冷間圧延鋼板(SPCC)等の金属基板;ガラス繊維にエポキシ樹脂等をしみこませ熱硬化処理した基板(例えばFR−4基板);ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)からなる基板などが挙げられる。
仮固定フィルムは、後述する工程(D)において半導体チップから剥離することができるとともに、半導体チップを仮固定することができれば材料は特に限定されない。仮固定フィルムは市販品を用いることができる。市販品としては、日東電工社製のリヴァアルファ等が挙げられる。
<工程(B)>
工程(B)は、半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程である。半導体チップの仮固定は、フリップチップボンダー、ダイボンダー等の公知の装置を用いて行うことができる。半導体チップの配置のレイアウト及び配置数は、仮固定フィルムの形状、大きさ、目的とする半導体パッケージの生産数等に応じて適宜設定することができ、例えば、複数行で、かつ複数列のマトリックス状に整列させて仮固定することができる。
<工程(C)>
工程(C)は、発明の樹脂シートの樹脂組成物層を、半導体チップ上に積層、又は本発明の樹脂組成物を半導体チップ上に塗布し、熱硬化させて封止層を形成する工程である。工程(C)では、本発明の樹脂シートの樹脂組成物層を、半導体チップ上に積層し、熱硬化させて封止層を形成することが好ましい。
半導体チップと樹脂シートの積層は、樹脂シートの保護フィルムを除去後、例えば、支持体側から樹脂シートを半導体チップに加熱圧着することにより行うことができる。樹脂シートを半導体チップに加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、半導体チップの表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
また、半導体チップと樹脂シートの積層は、樹脂シートの保護フィルムを除去後、真空ラミネート法により実施してもよい。真空ラミネート法における積層条件は、回路基板の製造方法における工程(2)における配線層と樹脂シートとの積層条件と同様であり、好ましい範囲も同様である。
樹脂シートの支持体は、半導体チップ上に樹脂シートを積層し熱硬化した後に剥離してもよく、半導体チップ上に樹脂シートを積層する前に支持体を剥離してもよい。
樹脂組成物の塗布条件としては、本発明の樹脂シートにおける樹脂組成物層を形成する際の塗布条件と同様であり、好ましい範囲も同様である。
<工程(D)>
工程(D)は、基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程である。剥離する方法は、仮固定フィルムの材質等に応じて適宜変更することができ、例えば、仮固定フィルムを加熱、発泡(又は膨張)させて剥離する方法、及び基材側から紫外線を照射させ、仮固定フィルムの粘着力を低下させ剥離する方法等が挙げられる。
仮固定フィルムを加熱、発泡(又は膨張)させて剥離する方法において、加熱条件は、通常、100℃〜250℃で1秒間〜90秒間又は5分間〜15分間である。また、基材側から紫外線を照射させ、仮固定フィルムの粘着力を低下させ剥離する方法において、紫外線の照射量は、通常、10mJ/cm2〜1000mJ/cm2である。
<工程(E)>
工程(E)は、半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に再配線形成層(絶縁層)を形成する工程である。
再配線形成層(絶縁層)を形成する材料は、再配線形成層(絶縁層)形成時に絶縁性を有していれば特に限定されず、半導体チップパッケージの製造のしやすさの観点から、感光性樹脂、熱硬化性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂としては、本発明の樹脂シートを形成するための樹脂組成物と同じ組成の樹脂組成物を用いてもよい。
再配線形成層(絶縁層)を形成後、半導体チップと後述する導体層を層間接続するために、再配線形成層(絶縁層)にビアホールを形成してもよい。
ビアホールを形成するにあたって、再配線形成層(絶縁層)を形成する材料が感光性樹脂である場合、まず、再配線形成層(絶縁層)の表面にマスクパターンを通して活性エネルギー線を照射し、照射部の最配線層を光硬化させる。
活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線、X線等が挙げられ、特に紫外線が好ましい。紫外線の照射量、照射時間は、感光性樹脂に応じて適宜変更することができる。露光方法としては、マスクパターンを再配線形成層(絶縁層)に密着させて露光する接触露光法と、マスクパターンを再配線形成層(絶縁層)に密着させずに平行光線を使用して露光する非接触露光法のいずれを用いてもよい。
次に、再配線形成層(絶縁層)を現像し、未露光部を除去することで、ビアホールを形成する。現像は、ウェット現像、ドライ現像のいずれも好適である。ウェット現像で用いる現像液は公知の現像液を用いることができる。
現像の方式としては、例えば、ディップ方式、パドル方式、スプレー方式、ブラッシング方式、スクラッピング方式等が挙げられ、解像性の観点から、パドル方式が好適である。
再配線形成層(絶縁層)を形成する材料が熱硬化性樹脂である場合、ビアホールの形成は特に限定されないが、レーザー照射、エッチング、メカニカルドリリング等が挙げられるが、レーザー照射によって行われることが好ましい。レーザー照射は、光源として炭酸ガスレーザー、UV−YAGレーザー、エキシマレーザー等を用いる任意好適なレーザー加工機を用いて行うことができる。
レーザー照射の条件は特に限定されず、レーザー照射は選択された手段に応じた常法に従う任意好適な工程により実施することができる。
ビアホールの形状、すなわち延在方向でみたときの開口の輪郭の形状は特に限定されないが、一般的には円形(略円形)とされる。ビアホールのトップ径(再配線形成層(絶縁層)表面の開口の直径)は、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。下限は特に限定されないが、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上である。
<工程(F)>
工程(F)は、再配線形成層(絶縁層)上に導体層(再配線層)を形成する工程である。再配線形成層(絶縁層)上に導体層を形成する方法は、回路基板の製造方法における工程(3)の絶縁層にビアホールを形成した後の導体層を形成する方法と同様であり、好ましい範囲も同様である。なお、工程(E)及び工程(F)を繰り返し行い、導体層(再配線層)及び再配線形成層(絶縁層)を交互に積み上げて(ビルドアップ)もよい。
<工程(G)>
工程(G)は、導体層上にソルダーレジスト層を形成する工程である。
ソルダーレジスト層を形成する材料は、ソルダーレジスト層形成時に絶縁性を有していれば特に限定されず、半導体チップパッケージの製造のしやすさの観点から、感光性樹脂、熱硬化性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂としては、本発明の樹脂シートを形成するための樹脂組成物と同じ組成の樹脂組成物を用いてもよい。
また、工程(G)では、必要に応じて、バンプを形成するバンピング加工を行ってもよい。バンピング加工は、半田ボール、半田めっきなど公知の方法で行うことができる。また、バンピング加工におけるビアホールの形成は工程(E)と同様に行うことができる。
<工程(H)>
半導体チップパッケージの製造方法は、工程(A)〜(G)以外に工程(H)を含んでいてもよい。工程(H)は、複数の半導体チップパッケージを個々の半導体チップパッケージにダイシングし、個片化する工程である。
半導体チップパッケージを個々の半導体チップパッケージにダイシングする方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
本発明の半導体チップパッケージの第3の態様は、例えば、図1に一例を示すような半導体チップパッケージ(Fan−out型WLP)における再配線形成層(絶縁層)130、ソルダーレジスト層150を本発明の樹脂組成物または樹脂シートで製造した半導体チップパッケージである。
[半導体装置]
本発明の半導体チップパッケージを実装することとなる半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、スマートフォン、タブレット型デバイス、ウェラブルデバイス、デジタルカメラ、医療機器、及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
<導体層との引き剥がし強さ及び表面粗さ(Ra値)測定用サンプルの調製>
(1)内層回路基板の下地処理
内層回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板厚み0.3mm、パナソニック社製R5715ES)の両面をメック社製CZ8100に浸漬して銅表面の粗化処理を行った。
(2)樹脂シートのラミネート
実施例及び比較例で作製した樹脂ワニスをアルキド樹脂系離型剤(リンテック社製「AL−5」)で離型処理したPETフィルム(東レ社製「ルミラーR80」、厚み38μm、軟化点130℃、以下「離型PET」ということがある)上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚さが200μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80℃〜120℃(平均100℃)で10分間乾燥し樹脂シートを得た。この樹脂シートをバッチ式真空加圧ラミネーター(名機社製、MVLP−500)を用いて、内層回路基板の両面に樹脂組成物層が接するようにラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、100℃、圧力0.74MPaでプレスすることにより行った。
(3)樹脂組成物層の硬化
ラミネートされた樹脂シートから離型PETを剥離し、180℃、30分の硬化条件で樹脂組成物層を硬化し絶縁層を形成した。
(4)絶縁層の研磨
絶縁層を形成した内層回路基板の絶縁層を以下の条件にて平面研削盤にて研磨切削した。絶縁層を研磨切削した内層回路基板を評価用基板Aとした。
研磨切削の条件:砥石周速500m/min、テーブルスピード13m/min、1回の切り込み量3μm、全切削厚さ50μm、砥石番手#1000
(5)粗化処理
研磨切削した絶縁層を備える内層回路基板を、膨潤液である、アトテックジャパン社製のジエチレングリコールモノブチルエーテル含有のスエリングディップ・セキュリガンドPに60℃で5分間浸漬し、次に粗化液として、アトテックジャパン社製のコンセントレート・コンパクトP(KMnO4:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に80℃で15分間浸漬させ、最後に中和液として、アトテックジャパン社製のリダクションショリューシン・セキュリガントPに40℃で5分間浸漬した。
(6)セミアディティブ工法によるメッキ
絶縁層表面に回路を形成するために、内層回路基板を、PdCl2を含む無電解メッキ用溶液に浸漬し、次に無電解銅メッキ液に浸漬した。150℃にて30分間加熱してアニール処理を行った後に、エッチングレジストを形成し、エッチングによるパターン形成の後に、硫酸銅電解メッキを行い、30±5μmの厚さでメッキ導体層を形成した。次に、アニール処理を180℃にて60分間行った。この回路基板を評価用基板Bとした。
<研磨切削後の絶縁層表面の表面粗さ(Ra1)、研磨切削後の絶縁層表面の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt1)、粗化処理後の絶縁層表面の表面粗さ(Ra2)、及び粗化処理後の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt2)の測定>
評価用基板Aの絶縁層表面を、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製WYKO NT3300)を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定範囲を121μm×92μmとして測定して、研磨切削後の絶縁層表面の表面粗さ及び粗さ曲線の最大断面高さを求めた。それぞれ10点の平均値を求めることにより、Ra1及びRt1を測定した。
Ra2及びRt2は、評価用基板Aに粗化処理をした後の絶縁層表面の測定を、評価用基板Aの絶縁層表面と同様に行うことで測定した。
<導体層との引き剥がし強さの測定及び評価>
評価用基板Bの導体層に、幅10mm、長さ100mmの部分の切込みをいれ、この一端を剥がしてつかみ具で掴み、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重(kgf/cm)を測定した。ピール強度が0.40kgf/cm未満の場合を×とし、0.40kgf/cm以上0.45kgf/cm未満の場合を△とし、0.45kgf/cm以上の場合を○とした。
<ビアホール底部の樹脂残渣(レーザービア信頼性)の評価>
(1)内層回路基板の下地処理
内層回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板厚み0.3mm、パナソニック社製R1515F)の両面をメック社製CZ8100に浸漬して銅表面の粗化処理を行った。
(2)樹脂シートのラミネート
実施例及び比較例で作製した樹脂ワニスをアルキド樹脂系離型剤(リンテック社製「AL−5」)で離型処理したPETフィルム(東レ社製「ルミラーR80」、厚み38μm、軟化点130℃、以下「離型PET」ということがある)上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚さが30μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80℃〜120℃(平均100℃)で10分間乾燥し樹脂シートを得た。この樹脂シートをバッチ式真空加圧ラミネーター(名機社製、MVLP−500)を用いて、内層回路基板の両面に樹脂組成物層が接するようにラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、100℃、圧力0.74MPaでプレスすることにより行った。
(3)樹脂組成物の硬化
ラミネートされた樹脂シートを180℃、30分の硬化条件で樹脂組成物層を硬化し絶縁層を形成した。
(4)ビアホールの形成
CO2レーザー加工機(日立ビアメカニクス社製「LC−2E21B/1C」)を使用し、マスク径1.60mm、フォーカスオフセット値0.050、パルス幅25μs、パワー0.66W、アパーチャー13、ショット数2、バーストモードの条件で絶縁層を穴あけして、ビアホールを形成した。絶縁層表面におけるビアホールのトップ径(直径)は50μmであった。ビアホールの形性後、離型PETを剥離した。
(5)粗化処理
絶縁層を形成した回路基板を、膨潤液(アトテックジャパン社製「スエリングディップ・セキュリガントP」、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及び水酸化ナトリウムを含有する水溶液)に60℃で5分間、粗化液(アトテックジャパン社製「コンセントレート・コンパクトCP」、KMnO4:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に80℃で15分間、最後に中和液(アトテックジャパン社製「リダクションソリューション・セキュリガントP」、硫酸水溶液)に40℃で5分間浸漬した後、80℃で30分間乾燥した。
(6)ビアホール底部の樹脂残渣(レーザービア信頼性)の評価
ビアホール底部の周囲を走査電子顕微鏡(SEM)にて観察し、得られた画像からビアホール底部の壁面からの最大スミア長を測定した。評価基準を以下に示す。
評価基準:
○:最大スミア長が3μm未満
×:最大スミア長が3μm以上
<弾性率の測定及び1%重量減少温度の測定>
(1)評価用硬化物の作製
離型剤処理されたPETフィルム(リンテック社製「501010」、厚み38μm、240mm角)の離型剤未処理面に、ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(パナソニック社製「R5715ES」、厚み0.7mm、255mm角)を重ね四辺をポリイミド接着テープ(幅10mm)で固定した(以下、「固定PETフィルム」ということがある。)。
実施例及び比較例で作製した樹脂ワニスを上記「固定PETフィルム」の離型処理面上に乾燥後の樹脂組成物層の厚さが40μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80℃〜120℃(平均100℃)で10分間乾燥し樹脂シートを得た。
次いで、180℃のオーブンに投入後90分間の硬化条件で樹脂組成物層を熱硬化させた。
熱硬化後、ポリイミド接着テープを剥がし、硬化物をガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板から取り外し、更にPETフィルム(リンテック社製「501010」)も剥離して、シート状の硬化物を得た。得られた硬化物を「評価用硬化物」と称する。
(2)弾性率の測定
評価用硬化物をダンベル状1号形に切り出し、試験片を得た。該試験片を、オリエンテック社製引張試験機「RTC−1250A」を用いて引張強度測定を行い、23℃における弾性率を求めた。測定は、JIS K7127に準拠して実施した。この操作を3回行いその平均値を下記表に示した。
(3)1%重量減少温度の測定(耐熱性評価)
評価用硬化物を、示差熱熱重量測定装置(TG/DTA6200、セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、窒素を250m1/分でフローしながら、昇温速度10℃/分で25℃から400℃まで昇温させたときの熱重量測定を行い、1%重量減少温度を求めた。1%重量減少温度が350℃以上である場合を○とし、350℃未満である場合を×とした。
[合成例1]
反応容器に2官能性ヒドロキシ基末端ポリブタジエン(G−3000、日本曹達社製、数平均分子量=3000、ヒドロキシ基当量=1800g/eq.)69gと、イプゾール150(芳香族炭化水素系混合溶媒:出光石油化学社製)40g、ジブチル錫ラウレート0.005gを混合し均一に溶解させた。均一になったところで50℃に昇温し、更に撹拌しながら、イソホロンジイソシアネート(エボニックデグサジャパン社製、IPDI、イソシアネート基当量=113g/eq.)8gを添加し約3時間反応を行った。次いで、この反応物を室温まで冷却してから、これにクレゾールノボラック樹脂(KA−1160、DIC社製、水酸基当量=117g/eq.)23gと、エチルジグリコールアセテート(ダイセル社製)60gを添加し、攪拌しながら80℃まで昇温し、約4時間反応を行った。FT−IRより2250cm−1のNCOピークの消失の確認を行った。NCOピーク消失の確認をもって反応の終点とみなし、反応物を室温まで降温してから100メッシュの濾布で濾過して、ブタジエン構造及びフェノール性水酸基を有する合成例1の(A)成分(不揮発分50質量%)を得た。数平均分子量は5500であった。
[合成例2]
撹拌装置、温度計及びコンデンサーをつけたフラスコに、溶剤としてエチルジグリコールアセテートを292.09g、ソルベッソ150(芳香族系溶剤、エクソンモービル社製)を292.09g仕込み、ジフェニルメタンジイソシアネートを100.1g(0.4モル)とポリブタジエンジオール(水酸基価52.6KOH−mg/g、分子量2133)426.6g(0.2モル)を仕込んで70℃で4時間反応を行った。ついでノニルフェノールノボラック樹脂(水酸基当量229.4g/eq、平均4.27官能、平均計算分子量979.5g/モル)195.9g(0.2モル)とエチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート41.0g(0.1モル)とを仕込んで、2時間かけて150℃に昇温し、12時間反応させることで、ブタジエン構造及びフェノール性水酸基を有する合成例2の(A)成分(不揮発分55.2質量%)を得た。
[実施例1]
液状エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との1:1混合品(質量比)、エポキシ当量:169g/eq)10部、ナフタレン型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ESN475V」、エポキシ当量約330)20部、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(三菱化学社製「630LSD」、エポキシ当量:90〜105g/eq)10部、硬化促進剤(四国化成社製「1B2PZ」、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール)1部、合成例1の(A)成分(固形分50%、数平均分子量:5500)300部、ビフェニルアラルキル型マレイミド樹脂(日本化薬製「MIR−3000−70MT」、マレイミド基当量:275g/eq、不揮発分70%のMEK/トルエン混合溶液)28.5部、カルボジイミド樹脂(日清紡ケミカル社製「V−03」、カルボジイミド当量216、不揮発成分50質量%のトルエン溶液)14部、SO−C4(アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製、平均粒径1μm))950部、およびメチルエチルケトン60部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
[実施例2]
液状エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との1:1混合品(質量比)、エポキシ当量:169g/eq)10部、ナフトール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ESN475V」、エポキシ当量約330)20部、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(三菱化学社製「630LSD」、エポキシ当量:90〜105g/eq)10部、硬化促進剤(四国化成社製「1B2PZ」、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール)1部、合成例1の(A)成分(固形分50%、数平均分子量:5500)300部、ビフェニルアラルキル型マレイミド樹脂(日本化薬製「MIR−3000−70MT」、マレイミド基当量:275g/eq、不揮発分70%のMEK/トルエン混合溶液)28.5部、カルボジイミド樹脂(日清紡ケミカル社製「V−03」、カルボジイミド当量216、不揮発成分50質量%のトルエン溶液)14部、SO−C2(アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製、平均粒径0.5μm))950部、およびメチルエチルケトン60部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
[実施例3]
液状エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との1:1混合品(質量比)、エポキシ当量:169g/eq)10部、ナフトール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ESN475V」、エポキシ当量約330)10部、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(三菱化学社製「630LSD」、エポキシ当量:90〜105g/eq)10部、硬化促進剤(四国化成社製「1B2PZ」、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール)1部、合成例2の(A)成分(固形分55.2%)272部、ビフェニルアラルキル型マレイミド樹脂(日本化薬製「MIR−3000−70MT」、マレイミド基当量:275g/eq、不揮発分70%のMEK/トルエン混合溶液)28.5部、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(三菱化学社製「157S70」、エポキシ当量210g/eq)5部、カルボジイミド樹脂(日清紡ケミカル社製「V−03」、カルボジイミド当量216、不揮発成分50質量%のトルエン溶液)16部、SO−C2(アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製、平均粒径0.5μm))1080部、およびメチルエチルケトン90部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
[実施例4]
液状エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との1:1混合品(質量比)、エポキシ当量:169g/eq)10部、ナフトール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ESN475V」、エポキシ当量約330)20部、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(三菱化学社製「630LSD」、エポキシ当量:90〜105g/eq)10部、硬化促進剤(四国化成社製「1B2PZ」、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール)1部、合成例1の(A)成分(固形分50%、数平均分子量:5500)300部、ビフェニルアラルキル型マレイミド樹脂(日本化薬社製「MIR−3000−70MT」、マレイミド基当量:275g/eq、不揮発分70%のMEK/トルエン混合溶液)28.5部、カルボジイミド樹脂(日清紡ケミカル社製「V−03」、カルボジイミド当量216、不揮発成分50質量%のトルエン溶液)4部、SO−C2(アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製、平均粒径0.5μm))950部、およびメチルエチルケトン60部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
[実施例5]
液状エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との1:1混合品(質量比)、エポキシ当量:169g/eq)10部、ナフトール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ESN475V」、エポキシ当量約330)12部、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(三菱化学社製「630LSD」、エポキシ当量:90〜105g/eq)10部、硬化促進剤(四国化成社製「1B2PZ」、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール)1部、合成例1の(A)成分(固形分50%、数平均分子量:5500)300部、ビフェニルアラルキル型マレイミド樹脂(日本化薬社製「MIR−3000−70MT」、マレイミド基当量:275g/eq、不揮発分70%のMEK/トルエン混合溶液)40部、カルボジイミド樹脂(日清紡ケミカル社製「V−03」、カルボジイミド当量216、不揮発成分50質量%のトルエン溶液)14部、SO−C2(アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製、平均粒径0.5μm))950部、およびメチルエチルケトン60部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
[実施例6]
液状エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との1:1混合品(質量比)、エポキシ当量:169g/eq)17部、ナフトール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ESN475V」、エポキシ当量約330)10部、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(三菱化学社製「630LSD」、エポキシ当量:90〜105g/eq)16部、硬化促進剤(四国化成社製「1B2PZ」、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール)1部、合成例2の(A)成分(固形分55.2%)272部、ビフェニルアラルキル型マレイミド樹脂(日本化薬社製「MIR−3000−70MT」、マレイミド基当量:275g/eq、不揮発分70%のMEK/トルエン混合溶液)10部、カルボジイミド樹脂(日清紡ケミカル社製「V−03」、カルボジイミド当量216、不揮発成分50質量%のトルエン溶液)16部、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(三菱化学製「157S70」、エポキシ当量210g/eq)5部、SO−C2(アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製、平均粒径0.5μm))1080部、およびメチルエチルケトン90部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
[比較例1]
液状エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との1:1混合品(質量比)、エポキシ当量:169g/eq)10部、ナフトール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ESN475V」、エポキシ当量約330)10部、ポリアルキレンオキシ構造含有樹脂(三菱化学社製「YX7400」、エポキシ当量440g/eq)10部、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(三菱化学社製「630LSD」、エポキシ当量:90〜105g/eq)10部、硬化促進剤(四国化成社製「1B2PZ」、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール)1部、合成例2の(A)成分(固形分55.2%)272部、活性エステル系硬化剤(DIC社製「HPC−8000−65T」、活性基当量約225、不揮発成分65質量%のトルエン溶液)31部、SO−C4(アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製、平均粒径1.0μm))960部、およびメチルエチルケトン90部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
[比較例2]
液状エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との1:1混合品(質量比)、エポキシ当量:169g/eq)45部、ナフタレン型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ESN475V」、エポキシ当量約330)100部、ナフトール型エポキシ樹脂(DIC社製「HP4710」、エポキシ当量160〜180g/eq)32部、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(三菱化学社製「630LSD」、エポキシ当量:90〜105g/eq)35部、硬化促進剤(四国化成社製「1B2PZ」、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール)1部、活性エステル系硬化剤(DIC社製「HPC−8000−65T」、活性基当量約225、不揮発成分65質量%のトルエン溶液)35.4部、SO−C4(アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製、平均粒径1μm))1340部、ビフェニルアラルキル型マレイミド樹脂(日本化薬社製「MIR−3000−70MT」、マレイミド基当量:275g/eq、不揮発分70%のMEK/トルエン混合溶液)28.5部、カルボジイミド樹脂(日清紡ケミカル社製「V−03」、カルボジイミド当量216、不揮発成分50質量%のトルエン溶液)14部およびメチルエチルケトン250部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
[比較例3]
液状エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との1:1混合品(質量比)、エポキシ当量:169g/eq)14部、ナフトール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ESN475V」、エポキシ当量約330)20部、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(三菱化学社製「630LSD」、エポキシ当量:90〜105g/eq)13部、硬化促進剤(四国化成社製「1B2PZ」、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール)1部、合成例1の(A)成分(固形分50%、数平均分子量:5500)300部、ビフェニルアラルキル型マレイミド樹脂(日本化薬社製「MIR−3000−70MT」、マレイミド基当量:275g/eq、不揮発分70%のMEK/トルエン混合溶液)28.5部、SO−C2(アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製、平均粒径0.5μm))950部、およびメチルエチルケトン120部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
[比較例4]
液状エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との1:1混合品(質量比)、エポキシ当量:169g/eq)20部、ナフトール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ESN475V」、エポキシ当量約330)20部、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(三菱化学社製「630LSD」、エポキシ当量:90〜105g/eq)20部、硬化促進剤(四国化成社製「1B2PZ」、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール)1部、合成例1の(A)成分(固形分50%、数平均分子量:5500)300部、カルボジイミド樹脂(日清紡ケミカル社製「V−03」、カルボジイミド当量216、不揮発成分50質量%のトルエン溶液)14部、SO−C2(アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製、平均粒径0.5μm))950部、およびメチルエチルケトン120部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
下記表中の主な略語等は以下のとおりである。
合成例1:合成例1の(A)成分
合成例2:合成例2の(A)成分
YX7400:ポリアルキレンオキシ構造含有樹脂、三菱化学社製
ZX1059:ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との1:1混合品(質量比)、エポキシ当量:169g/eq、新日鉄住金化学社製
630LSD:グリシジルアミン型エポキシ樹脂、エポキシ当量:90〜105g/eq、三菱化学社製
ESN475V:ナフトール型エポキシ樹脂、エポキシ当量約330、新日鉄住金化学社製
157S70:ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量210g/eq、三菱化学社製
HP−4710:ナフタレン型エポキシ樹脂、エポキシ当量160〜180g/eq、DIC社製
V−03:カルボジイミド樹脂、カルボジイミド当量216、不揮発成分50質量%のトルエン溶液、日清紡ケミカル社製
MIR−3000−70MT:ビフェニルアラルキル型マレイミド樹脂、マレイミド基当量:275g/eq、不揮発分70%のMEK/トルエン混合溶液、日本化薬社製
SO−C4:アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製、平均粒径1μm)
SO−C2:アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製、平均粒径0.5μm)
1B2PZ:硬化促進剤、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、四国化成社製
HPC−8000−65T:活性エステル系硬化剤、活性基当量約225、不揮発成分65質量%のトルエン溶液、DIC社製
実施例1〜6の結果から、(A)〜(E)成分を含有する樹脂組成物から形成された絶縁層は、弾性率が17GPa以下と低いことから反りの発生が抑制される。また、ピール強度も好ましくは0.4kgf/cm以上を達成し、導体層との密着性に優れる。さらに1%重量減少温度も十分に高く耐熱性に優れ、ビアホール底部の樹脂残渣も抑えられていることからレーザービア信頼性にも優れることがわかる。さらに、研磨切削後の絶縁層表面の表面粗さ(Ra1)、研磨切削後の絶縁層表面の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt1)、粗化処理後の絶縁層表面の表面粗さ(Ra2)、及び粗化処理後の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt2)も優れることもわかる。一方、(C)及び/又は(D)成分を含有しない比較例1、3〜4は、実施例1〜6よりもピール強度、1%重量減少温度、及びビアホール底部の樹脂残渣のいずれかが劣ることがわかる。また、(A)成分を含有しない比較例2は、実施例1〜6よりも弾性率が高く、ピール強度、及びビアホール底部の樹脂残渣が劣ることがわかる。なお、比較例2は、Ra2及びRt2を測定しなかった。
なお、(F)成分を含有しない場合であっても、程度に差はあるものの上記実施例と同様の結果に帰着することを確認している。