JP2020120794A - 電子機器 - Google Patents

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安島 弘美
Hiromi Yasujima
弘美 安島
大和田 靖彦
Yasuhiko Owada
靖彦 大和田
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Abstract

【課題】有用性を向上可能な電子機器を提供する。【解決手段】電子機器は、被検者の被検部位における脈動を検出可能なセンサと、被検部位側に付勢されるアームと、センサとアームとの間に介在する弾性部材と、アームを可動状態で支持するアーム支持部と、被検部位を含む身体部分が載置されるベース部と、身体部分のベース部における変位を制限するストッパと、を備える。アーム支持部は、ベース部に対して変位可能に構成され、アーム支持部をベース部に載置された身体部分から遠ざける向きの力に反作用を及ぼすように構成される。【選択図】図4

Description

本開示は、電子機器に関する。
従来、被検者の手首に装着された状態で、被検者の生体情報を取得する電子機器が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。また、被検者の頸動脈の状態を安定して推定しやすくする電子機器が開示されている(例えば、特許文献3)。
国際公開第2016/174839号 国際公開第2016/194308号 特開2018−460号公報
しかしながら、電子機器の装着状態によっては、生体情報を正確に取得しにくい場合がある。電子機器が、より正確に生体情報を取得しやすいように構成されていれば、被検者にとって有用性が向上する。
本開示の目的は、有用性を向上可能な電子機器を提供することにある。
一実施形態に係る電子機器は、センサと、アームと、弾性部材と、アーム支持部と、ベース部と、ストッパとを備える。
前記センサは、被検者の被検部位における脈動を検出可能に構成される。
前記アームは、前記被検部位側に付勢される。
前記弾性部材は、前記センサと前記アームとの間に介在する。
前記アーム支持部は、前記アームを可動状態で支持する。
前記ベース部は、前記被検部位を含む身体部分が載置される。
前記ストッパは、前記身体部分の前記ベース部における変位を制限する。
前記アーム支持部は、前記ベース部に対して変位可能に構成される。また、前記アーム支持部は、前記ベース部に載置された前記身体部分から当該アーム支持部を遠ざける方向の力に反作用を及ぼすように構成される。
本開示によれば、有用性を向上可能な電子機器を提供できる。
第1実施形態に係る電子機器の使用態様を示す外観斜視図である。 第1実施形態に係る電子機器の使用態様を示す他の外観斜視図である。 第1実施形態に係る電子機器を示す側面図である。 第1実施形態に係る電子機器を示す側面図である。 第1実施形態に係る電子機器を示す平面図である。 第1実施形態に係る電子機器の一部を拡大して示す平面図である。 第1実施形態に係る電子機器の一部を拡大した平面図である。 第1実施形態に係る電子機器のセンサの動き説明する図である。 第1実施形態に係る電子機器の概略構成を示す機能ブロック図である。 センサ部で取得された脈波の一例を示す図である。 算出されたAIの時間変動を示す図である。 算出されたAIと血糖値の測定結果を示す図である。 算出されたAIと血糖値の関係を示す図である。 算出されたAIと中性脂肪値の測定結果を示す図である。 血液の流動性並びに糖代謝及び脂質代謝の状態を推定する手順を示すフローである。 一実施形態に係るシステムの概略構成を示す模式図である。 第2実施形態に係る電子機器を示す側面図である。 第2実施形態に係る電子機器を示す側面図である。
以下、いくつかの実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1及び図2は、第1実施形態に係る電子機器の使用態様を説明する斜視図である。すなわち、図1及び図2は、第1実施形態に係る電子機器によって、被検者が生体情報を測定している様子を示す斜視図である。図1と図2とは、第1実施形態に係る電子機器を、それぞれ異なる視点から斜視した状態を示してある。また、図1及び図2において、被検者の手は、2点鎖線により透過的に示してある。
図1及び図2に示すように、第1実施形態に係る電子機器1は、例えば被検者の手首のような箇所を被検部位として、被検者の生体情報を測定することができる。第1実施形態に係る電子機器1において、被検者の生体情報が測定される被検部位は、例えば被検者の手首又は足首などとしてよい。第1実施形態に係る電子機器1において、被検者の生体情報が測定される被検部位は、被検者の四肢などの各部位としてよい。さらに、第1実施形態に係る電子機器1において、被検者の生体情報が測定される被検部位は、例えば動物の尾などとしてもよい。
図1及び図2に示す例において、電子機器1は、被検者の左手首を被検部位として、当該被検部位における生体情報を測定している状態にある。より詳細には、図1及び図2に示す例において、電子機器1は、被検者の左手の掌から肘側に向かう途中の手首部分を被検部位として、当該被検部位における生体情報を測定する。図1は、第1実施形態に係る電子機器1を、被検者の左手の掌側から見た状態を示す斜視図である。図2は、第1実施形態に係る電子機器1を、被検者の左手の甲側から見た状態を示す斜視図である。
図1及び図2に示すように、第1実施形態に係る電子機器1は、ベース部10A及び10B、アーム支持部20、並びにストッパ70を備えている。アーム支持部20は、アーム30を支持する。アーム30は、被検者の被検部位が位置する側に、弾性部材40を介して、センサ50を備えている。センサ50は、被検者の被検部位における脈動を検出することができる。また、センサ50は、被検者の被検部位が位置する側に、脈あて部60を備えている。
第1実施形態に係る電子機器1によって生体情報を測定する際、被検者は、自らの手首部分をベース部10A上に載置させた状態で、当該手首部分をストッパ70に当接させてよい。この状態で、脈あて部60が被検者の被検部位に当てられると、センサ50は、被検者の被検部位における脈動を検出することができる。したがって、第1実施形態に係る電子機器1によれば、生体情報の測定中に、被検者の被検部位を安定的に固定させることができる。
次に、第1実施形態に係る電子機器1の構成に基づく動作について、さらに説明する。以下、電子機器1の構成に基づく動作について重点的に説明するため、図3以降の図は、図1及び図2に示した電子機器1を部分的に簡略化又は省略して示す。特に、図3以降の図は、図1及び図2に示した電子機器1の外観上の細部などを、部分的に変更又は省略して示す。
図3及び図4は、図1及び図2に示した電子機器1を、X軸正方向に向く視点で示す側面図である。図3は、電子機器1が生体情報を測定する前、又は生体情報の測定を完了した後の状態を示す側面図としてよい。一方、図4は、電子機器1が生体情報を測定している最中、又は生体情報を測定する直前若しくは生体情報の測定を完了した直後の状態を示す側面図としてよい。また、図3及び図4において、被検者の手首及び橈骨動脈の断面は、模式的に示されている。
図3及び図4に示すように、電子機器1は、ベース部10A及び10B、アーム支持部20、並びにストッパ70を含んで構成される。
ベース部10A及び10Bは、電子機器1のベースを構成する部材である。ベース部10A及び10Bは、例えば、セラミック、鉄その他の金属、樹脂、硬質ゴム、プラスチック又はアルミのような、適度な強度を有する任意の材料によって形成されてよい。ベース部10A及び10Bの素材は特に限定されないが、電子機器1が測定装置としての機能を果たす程度の強度を有してよい。ベース部10A及び10Bは、電子機器1を卓上などの平らな面に据え置くことを可能にするとともに、電子機器1が生体情報の測定を安定して行うことを可能にする。
ベース部10Aは、少なくとも部分的に平面的な形状としてよい。例えば、ベース部10Aは、図3及び図4に示すように、被検者の身体部分(手首)が載置される部分を平面的な形状としてよい。また、ベース部10Aは、被検者の身体部分(手首)が載置される部分を、載置される被検者の手首の形状に合わせて、例えば湾曲させた形状などとしてもよい。また、ベース部10Aの被検者の身体部分が載置される部分には、例えばウレタンシートのような若干の柔軟性を有する部材を設けてもよい。
ベース部10Bは、図3及び図4に示すように、少なくとも部分的に、被検者の身体部分(手首)を受けるのに応じた形状としてよい。また、ベース部10Bは、受ける被検者の手首の形状に合わせて、例えば湾曲させた形状などとしてもよい。ベース部10Bは、アーム支持部20に接続可能な任意の形状としてよい。
ベース部10Aとベース部10Bとは、互いにスライド可能なように構成してもよい。すなわち、図3及び図4に示すように、ベース部10Bは、ベース部10A上において、Z軸の正方向及び負方向の少なくとも一方に変位可能なように構成してもよい。この場合、ベース部10A及び10Bは、図3及び図4に示すように、例えばスライドロック機構12を備えてもよい。
図3及び図4に示すスライドロック機構12は、例えばZ軸の正方向に引っ張られることによりスライドのロックが解除され、ベース部10Aとベース部10Bとのスライドによる変位を可能にしてよい。一方、スライドロック機構12は、例えばZ軸の負方向に押し込まれることによりスライドがロックされ、ベース部10Aとベース部10Bとのスライドによる変位を不可能にしてよい。スライドロック機構12は、被検者の手首の太さなどに応じて、ベース部10Aに対するベース部10Bの位置を決定可能にする。スライドロック機構12のように、スライドによる変位の可否を切り替え可能にする機構は既に知られているため、より詳細な説明は省略する。
一方、ベース部10A及びベース部10Bは、スライドロック機構12を備えずに、ベース部10Aとベース部10Bとが一体的に形成されたものとしてもよい。以下、ベース部10A及びベース部10Bを、適宜、まとめて「ベース部10」とも記す。すなわち、ベース部10は、ベース部10A及びベース部10Bの少なくとも一方を含むものとしてよい。上述のように、第1実施形態に係る電子機器1において、ベース部10は、例えば被検者の手首のような、被検者の被検部位を含む身体部分が載置される部材である。
図3及び図4に示すように、電子機器1は、アーム支持部20、及びアーム30を含んで構成される。
アーム支持部20は、図3及び図4に示すように、軸S1を中心とする回動機構14を介して、ベース部10Bに接続されている。回動機構14は、ベース部10Bに一体的に設けられてもよい。軸S1を中心とする回動機構14によって、アーム支持部20は、ベース部10Bに対して、図に示す矢印E1及び/又はE2の向きに回転運動することができる。例えば、図3に示すアーム支持部20を矢印E2の向きに回転させることで、アーム支持部20の位置を、図4に示すアーム支持部20の位置に変位させることができる。逆に、図4に示すアーム支持部20を矢印E1の向きに回転させることで、アーム支持部20の位置を、図3に示すアーム支持部20の位置に変位させることができる。
このように、第1実施形態に係る電子機器1において、アーム支持部20は、ベース部10に対して変位可能に構成される。特に、第1実施形態に係る電子機器1において、アーム支持部20は、ベース部10に対して、所定の軸S1を中心とする回転運動の一部として回転変位するように構成されてよい。このように、電子機器1におけるアーム支持部20の回転変位については、さらに後述する。
図3及び図4に示すように、アーム支持部20は、調整機構22及びアーム受け部24を備えている。
調整機構22は、アーム支持部20においてアーム受け部24の位置を調整可能にする機構である。例えば、調整機構22は、アーム支持部20に対するアーム受け部24の位置を、上下方向(例えば図4に示すY軸の正方向及び負方向)にスライド調節可能にする機構としてよい。また、調整機構22は、アーム支持部20に対するアーム受け部24の位置を、左右方向(例えば図4に示すX軸の正方向及び負方向)に回転調節可能にする機構としてもよい。調整機構22は、アーム支持部20に対するアーム受け部24の位置を調整可能にする機構であれば、任意の機構としてよい。
アーム受け部24は、図3及び図4に示すように、アーム支持部20においてアーム30を受ける機構である。また、アーム30は、電子機器1による生体情報の測定中に、センサ50を被検者の被検部位側に付勢する(例えば押しつける力を作用させる)部材である。この場合、アーム30は、アーム受け部24の軸S2を中心とする回動機構を介して、アーム受け部24に接続されてよい。すなわち、アーム30は、軸S2を共有することで、アーム受け部24に接続されてよい。アーム受け部24の軸S2を中心とする回動機構によって、アーム30は、アーム受け部24(又はアーム支持部20)に対して、図に示す矢印D1及び/又はD2の向きに回転運動することができる。
アーム30は、アーム受け部24との間に例えばスプリングなどのバネ部材を備えてよい。この場合、アーム30は、バネ部材の作用により、アーム受け部24から離れる方向の反発力を受ける。このため、例えば、図3及び図4に示すように、アーム30が図に示す矢印D1の向きに動かされると、バネ部材の反発力により、アーム30は図に示す矢印D2の向きに付勢される(力を受ける)。
一方、一実施形態において、アーム支持部20は、調整機構22及びアーム受け部24を備えなくてもよい。例えば、簡略化した構成において、アーム支持部20が、軸S2を中心とする回動機構を備えてもよい。この場合、アーム30は、アーム支持部20の軸S2を中心とする回動機構を介して、直接、アーム支持部20に接続されてよい。アーム支持部20の軸S2を中心とする回動機構によって、アーム30は、アーム支持部20に対して、図に示す矢印D1及び/又はD2の向きに回転運動することができる。
このように、第1実施形態に係る電子機器1において、アーム支持部20は、アーム30を可動状態で支持する。また、アーム支持部20は、バネ部材などの反発力により、アーム30を図に示す矢印D2の向きに付勢する。したがって、第1実施形態に係る電子機器1によって生体情報を測定している時など、アーム30は、被検者の被検部位側に付勢される。
以上説明した、アーム支持部20、調整機構22、アーム受け部24、及びアーム30などは、例えば、セラミック、鉄その他の金属、樹脂、硬質ゴム、プラスチック又はアルミのような、適度な強度を有する任意の材料によって形成されてよい。
図3及び図4に示すように、アーム30には弾性部材40が取り付けられる。弾性部材40には、センサ50が取り付けられる。センサ50には、被検者の被検部位に当接する脈あて部60が取り付けられてもよい。アーム30と弾性部材40との間、弾性部材40とセンサ50との間、及びセンサ50と脈あて部60との間は、それぞれ、例えば両面テープ又は接着剤のような適当な材料を用いて接着してよい。
センサ50は、例えば角速度センサを含み、被検部位から脈動を検出して脈波を取得する。すなわち、センサ50は、被検者の被検部位における脈動を検出することができる。センサ50は、被検者の脈波に基づく脈あて部60の変位を検出してもよい。また、センサ50は、例えば、加速度センサとしてもよいし、ジャイロセンサのようなセンサとしてもよい。また、センサ50は、角速度センサとしてもよい。センサ50については、さらに後述する。
センサ50(又はセンサ50に取り付けられた脈あて部60)が被検者の被検部位に載置されることにより、電子機器1は、当該被検部位における脈動を検出することができる。ここで、被検者の被検部位とは、例えば被検者の尺骨動脈又は橈骨動脈が皮下に存在する部位としてよい。また、被検者の被検部位とは、被検者の尺骨動脈又は橈骨動脈が皮下に存在する部位に限定されず、被検者の脈動が検出可能な部位であれば任意の部位としてもよい。図1、図2、及び図4は、被検者の手首の皮下において橈骨動脈が配置された部位を被検部位として、電子機器1の脈あて部60が当該被検部位に当接している状態を示している。
図3及び図4に示すように、脈あて部60は、センサ50に固定される。このため、脈あて部60の動きは、センサ50に伝達される。したがって、センサ50は、脈あて部を介して、被検者の被検部位における脈動を検出することができる。
脈あて部60は、被検者の被検部位に接触する部分である。脈あて部60は、例えば、セラミック、鉄その他の金属、樹脂、プラスチック又はアルミのような材料によって形成されてよい。脈あて部60は、硬質かつ軽量の材料によって形成されてよい。脈あて部60の素材は特に限定されない。脈あて部60の素材は測定装置としての機能を果たす程度の強度を有し、比較的軽量のものとしてよい。脈あて部60の形状は、図1乃至図4に示すようなものに限定されず、被検者の被検部位に適切に当接させることができる任意の形状としてよい。
脈あて部60は、上述のように、電子機器1によって被検者の生体情報を測定する際に、被検者の被検部位に適切に当接させる部材である。したがって、脈あて部60は、例えば被検者の尺骨動脈又は橈骨動脈が皮下に存在する部位に適切に当接するような大きさとしてよい。例えば、脈あて部60は、X軸方向の幅が1cm乃至1.5cm程度としてもよい。脈あて部60は、X軸方向の幅が1cm乃至1.5cm程度以外でもよい。
図3及び図4に示すように、電子機器1において、アーム30とセンサ50とは、弾性部材40によって互いに接続されている。すなわち、第1実施形態に係る電子機器1において、弾性部材40は、センサ50とアーム30との間に介在する。弾性部材40は、互いに直交する3つの軸(例えば、Y軸、Y軸、Z軸)のうちの少なくともいずれか1つの軸に沿って変形可能な弾性部材であるとしてよい。弾性部材40は、3次元で変形可能な部材である。したがって、弾性部材40は、センサ50をアーム30に対して3次元変形可能に構成することができる。
弾性部材40は、例えば、ばね、樹脂、又はスポンジ等のような、適度な弾性を有する任意の弾性体を含んで構成してよい。弾性部材40は、例えば、所定の弾性を有する所定の厚さのシリコンシートを形成したものとしてもよい。ここで、弾性部材40と、例えばアーム30及び/又はセンサ50のような他の部材との接着は、弾性部材40の変形に与える影響が少なくなるようにしてよい。すなわち、弾性部材40と他の部材とを接着したとしても、弾性部材40は適度に変形することができるように構成してよい。
図3及び図4に示すように、第1実施形態に係る電子機器1は、さらにストッパ70を備えている。ストッパ70は、例えば図3及び図4に示すように、ベース部10(ベース部10B)に設置されてよい。
電子機器1によって生体情報の測定を行う際、被検者は、まず、図3に示すベース部10Aにおいてストッパ70とベース部10Bとの間に、自らの手首部分を載置させてよい。次に、被検者は、ベース部10Aに載置させた自らの手首部分を、図4に示すようにストッパ70に当接させてよい。この場合、被検者は、自らの手首部分を、ベース部10Aに載置させた状態でZ軸の負方向に変位させようとすることにより、手首部分をストッパ70に当接させてよい。
第1実施形態に係る電子機器1によれば、被検者は、自らの手首部分のような身体部分を、ベース部10Aに載置させた状態で、ストッパ70に当接させることができる。したがって、第1実施形態に係る電子機器1によれば、生体情報の測定中に、被検者の被検部位を安定的に固定させることができる。このように、第1実施形態に係る電子機器1において、ストッパ70は、被検者の被検部位を含む身体部分のベース部10における変位を制限する。一実施形態において、ストッパ70は、被検者の被検部位を含む身体部分が、ベース部10においてZ軸の負方向に所定以上に変位することを制限することができる。このように、第1実施形態に係る電子機器1において、ストッパ70は、被検者の被検部位を含む身体部分によるストッパ70方向の変位を制限するように構成されてもよい。
また、ストッパ70は、被検者の手首部分のような身体部分が当接する位置において、例えばウレタンシートのような若干の柔軟性を有する部材を備えてもよい。このようにすれば、電子機器1によって生体情報を測定している被検者の手首部分のような身体部分が、ストッパ70に直接当接し続けることによる痛み又は違和感などを和らげることができる。また、被検者の手の甲側において、例えば尺骨の茎状突起のように、凸形状を有する部分が存在することもある。このため、ストッパ70に例えばウレタンシートのような部材を貼り付ける場合、被検者の手首部分のような身体部分が当接する部位の形状を考慮して、ウレタンシートのような部材の厚さを調整してもよい。例えば、ストッパ70において、例えば被検者の尺骨の茎状突起が当接する部位には、ウレタンシートを薄く形成するか又は除去してもよい。一方、ストッパ70において、例えば被検者の尺骨の茎状突起以外の部分が当接する部位には、ウレタンシートを比較的厚く形成してもよい。
図1乃至図4に示した電子機器1を構成する各機能部は、必ずしも図示された比率の大きさに限定されるものではない。一実施形態に係る電子機器1を構成する各機能部の大きさは、例えば図3及び図4に示すような被検者の身体部分(手首)の大きさ(太さなど)に基づいて、適宜決定することができる。また、一実施形態に係る電子機器1を構成する各機能部は、図3及び図4に示す各機能部よりも大きく構成してもよいし、小さく構成してもよい。
次に、第1実施形態に係る電子機器1におけるアーム支持部20の回転変位について、さらに説明する。
上述のように、電子機器1において、アーム支持部20は、ベース部10(ベース部10B)に対して、所定の軸S1を中心とする回転運動の一部として、図3及び図4に示す矢印E1及び/又はE2の向きに回転変位するように構成される。このため、第1実施形態に係る電子機器1において、アーム支持部20は、軸S1を中心とする回動機構14を介して、ベース部10Bに接続されている。
一実施形態において、回動機構14は、例えばトルクヒンジのような部材を含んで構成されてよい。ここで、トルクヒンジとは、例えばヒンジの回転運動に所定の抗力が課される機構としてよい。このようなトルクヒンジは、例えば所定の抗力に満たない力をヒンジに課しても回転運動させることはできないが、所定の抗力以上の力をヒンジに課すことで回転運動させることができる。また、トルクヒンジは、ヒンジの回転運動を任意の位置で停止させて、当該位置における停止状態を保持することができるフリーストップ機能を有するものとしてよい。すなわち、所定の抗力以上の力を課してヒンジを回転運動させている最中に、その力を弱めて所定の抗力に満たない程度にすると、ヒンジの回転運動は停止して、当該停止状態が保持される。トルクヒンジとは、例えば、ノートパソコン(PC)のキーボードを含む本体部分の筐体と、ディスプレイ部分の筐体とを接続するヒンジのような部材としてよい。トルクヒンジは、従来知られた構造のものを利用することができるため、より詳細な説明は省略する。
以下、被検者が電子機器1による脈波の測定を開始する際の動作について説明する。まず、被検者は、図3に示すように、生体情報を測定する身体部分(手首)をベース部10に載置させる前に、アーム支持部20に所定以上の力をかけて、アーム支持部20を図に示す矢印E1の方向にある程度変位させる。次に、被検者は、生体情報を測定する身体部分(手首)をベース部10に適切に載置させたら、アーム支持部20に再び所定以上の力をかけて、アーム支持部20を図に示す矢印E2の方向にある程度変位させる。このようにして、被検者は、図4に示すように、生体情報を測定する身体部分(手首)をベース部10に載置させて、さらにセンサ50の脈あて部60を被検部位に適切に接触させることができる。この状態で、電子機器1は、例えば被検者の被検部位における脈波を検出することができる。
電子機器1による脈波の測定が終了した後は、被検者は、上述の動作と逆の動作によって、生体情報を測定した身体部分(手首)を電子機器1から簡単かつ容易にリリースすることができる。
このように、一実施形態に係る電子機器1において、アーム支持部20は、ベース部10に載置された身体部分からアーム支持部20を遠ざける向きの力に反作用を及ぼすように構成される。この場合、一実施形態に係る電子機器1において、アーム支持部20は、ベース部10にヒンジ(例えば回動機構14)によって接続されてもよい。このヒンジは、例えばトルクヒンジなどのように、所定値を超える力に応じて回転変位するように構成されてもよい。このようなトルクヒンジの回転運動に対する抗力によって、アーム支持部20は、ベース部10に載置された身体部分からアーム支持部20を遠ざける向きの力に反作用が及ぼされる。
図4に示すように、電子機器1において、アーム30は被検者の被検部位側に付勢され、センサ50及び脈あて部60は弾性部材40を介してアーム30に接続されている。このため、センサ50及び脈あて部60は、被検者の手首などの被検部位に接触するとともに、アーム30の付勢力及び弾性部材40の弾性力によって被検部位に適切な力によって押圧される。このようにして、電子機器1は、図1、図2、及び図4に示したような生体情報の測定時の状態になる。
電子機器1のセンサ50が被検者の手首などの被検部位に載置される際は、脈あて部60が被検者の被検部位に当接するように位置決めされてよい。この時、脈あて部60が、例えば被検者の尺骨動脈又は橈骨動脈が皮下に存在する部位に当接するように位置決めされてよい。
図4に示すように、アーム支持部20が回動機構14の反発力(反作用)によって被検者の被検部位側に付勢された状態において、脈あて部60は、被検者の被検部位、すなわち被検者の橈骨動脈上の皮膚に接触している。また、アーム30は、例えばアーム受け部24などに設けられたバネ部材などによって、被検部位側すなわち矢印D2の方向に押圧(付勢)される。さらに、アーム30とセンサ50との間に配置される弾性部材40の弾性力により、(脈あて部60とともに)センサ50は、被検者の被検部位側に付勢される。また、図4に示すように、弾性部材40の弾性力により付勢されるセンサ50及び脈あて部60は、被検者の橈骨動脈上の皮膚に接触している。この場合、脈あて部60は、被検者の橈骨動脈の動き、すなわち脈動に応じて変位する。このため、脈あて部60に連動するセンサ50も、被検者の橈骨動脈の動きすなわち脈動に応じて変位する。例えば、図4に示すように、アーム受け部24などに設けられたバネ部材などによってアーム30が矢印D2の方向に押圧(付勢)された状態で、脈あて部60及びセンサ50は、軸S2を中心として、矢印D1及びD2に示すような方向に変位することができる。
本実施形態において、脈あて部60に連動するセンサ50は、弾性部材40を介して接続されている。このため、センサ50は、弾性部材40の柔軟性によって、ある程度自由な可動域を与えられる。また、弾性部材40の柔軟性によって、センサ50の動きは妨げられにくくなる。さらに、弾性部材40は、適度な弾性を有することにより、被検者の被検部位における脈動に追従して変形する。したがって、本実施形態に係る電子機器1において、センサ50は、被検者の被検部位における脈動を敏感に検出することができる。さらに、本実施形態に係る電子機器1は、脈波に追従して変位することで、被検者のうっ血を無くし、苦痛を無くすことができる。このように、本実施形態では、弾性部材40は、被検者の被検部位における脈動に応じて変形可能であるようにしてよい。また、弾性部材40は、センサ50が被検者の被検部位における脈動を検出可能な程度に弾性変形するようにしてもよい。
以上説明したように、一実施形態に係る電子機器1は、小型かつ軽量な測定機器として機能し得る。一実施形態に係る電子機器1は、携帯性に優れるのみならず、被検者の生体情報を極めて簡単に測定することができる。また、一実施形態に係る電子機器1は、生体情報を測定する前後において、被検者の被検部位を含む身体部分の着脱を非常に容易にする。また、一実施形態に係る電子機器1は、生体情報を測定する際に、被検者の被検部位を含む身体部分を非常に安定的に保持及び/又は固定することができる。このため、一実施形態に係る電子機器1は、被検者の被検部位における生体情報を、非常に良好に測定することができる。また、一実施形態に係る電子機器1は、被検者の被検部位における生体情報を測定する際に、測定の再現性を高めることも期待できる。したがって、一実施形態に係る電子機器1によれば、有用性を著しく向上することができる。
本実施形態において、センサ50は、例えば、ジャイロセンサ(ジャイロスコープ)のような、物体の角度(傾き)、角速度、及び角加速度の少なくともいずれかを、複数の軸について検出するセンサとしてもよい。この場合、センサ50は、被検者の被検部位における脈動に基づく複雑な動きを、複数の軸についてのそれぞれのパラメータとして検出することができる。また、センサ50は、3軸のジャイロセンサと3軸の加速度センサとを組み合わせた6軸センサとしてもよい。
次に、上述した第1実施形態の変形例について説明する。
上述した第1実施形態において、回動機構14は、例えばトルクヒンジのような部材を含んで構成した。しかしながら、回動機構14は、トルクヒンジのような部材ではなく、例えばスプリング(バネ)ヒンジなどのような部材を含んで構成してもよい。
ここで、スプリング(バネ)ヒンジとは、例えばヒンジを回転運動させることにより、当該ヒンジに弾性力(抗力)を生じさせる機構としてよい。このようなスプリング(バネ)ヒンジは、例えばヒンジに所定の回転運動を課すことにより、当該回転運動が課される前の状態に戻す復元力を生じさせる。スプリング(バネ)ヒンジは、従来知られた構造のものを利用することができるため、より詳細な説明は省略する。
以下、被検者が第1実施形態の変形例に係る電子機器1による脈波の測定を開始する際の動作について説明する。まず、被検者は、図3に示すように、生体情報を測定する身体部分(手首)をベース部10に載置させる前に、アーム支持部20を動かすことにより、アーム支持部20を図に示す矢印E1の方向にある程度変位させる。この時、被検者は、アーム支持部20にかけている力をそのまま維持する(力を解除するとアーム支持部20が元の位置に戻ってしまうため)。次に、被検者は、生体情報を測定する身体部分(手首)をベース部10に適切に載置させたら、アーム支持部20にかけている力を抜く又は弱めることにより、アーム支持部20を図に示す矢印E2の方向に復元させる。このようにして、被検者は、図4に示すように、生体情報を測定する身体部分(手首)をベース部10に載置させて、さらにセンサ50の脈あて部60を被検部位に適切に接触させることができる。この状態で、電子機器1は、例えば被検者の被検部位における脈波を検出することができる。
電子機器1による脈波の測定が終了した後は、被検者は、上述の動作と逆の動作によって、生体情報を測定した身体部分(手首)を電子機器1から簡単かつ容易にリリースすることができる。
このように、第1実施形態の変形例においても、アーム支持部20は、ベース部10にヒンジ(例えば回動機構14)によって接続されてもよい。一方、第1実施形態の変形例において、前述のヒンジは、例えばスプリング(バネ)ヒンジなどのように、ベース部10に載置された被検者の身体部分の方向にアーム支持部20を付勢するように構成されてもよい。このような構成によっても、アーム支持部20は、ベース部10に載置された身体部分からアーム支持部20を遠ざける向きの力に反作用を及ぼすように構成される。
図5は、第1実施形態に係る電子機器1の平面図である。図5は、電子機器1を、上から見た視点、すなわち、Y軸負方向に向く視点で示す図である。
図5に示すように,一実施形態において、ストッパ70は、例えばその上面部分に、マーク72を有してもよい。マーク72は、被検者の被検部位において、センサ50(又は脈あて部60)が接触する位置を示す。例えば、被検者が、図5に示す電子機器1のベース部10Aにおいて自らの手首の位置決めに慣れていないことも想定される。このような場合、被検者は、例えば図5に示す電子機器1のベース部10Aに自らの左手首を載置させる前に、左手首の被検部位を右手の指によって触れて探ることで、脈動が強い部位を見つけることができる。脈動が強い部位を見つけたら、被検者は、脈動が強い部位に右手の指が触れた状態のまま、左手首をベース部10Aに載置させる。この時、被検者は、左手首の被検部位に触れている右手の指がストッパ70におけるマーク72の位置に合うように、左手首のX軸方向の位置を調整することができる。このようにして、被検者は、電子機器1のベース部10Aにおいて自らの手首を適切な位置に位置決めすることができる。
このように、第1実施形態に係る電子機器1において、ストッパ70は、被検者の被検部位における脈動がセンサ50によって検出される位置を示唆する表示(例えばマーク72)を備えてもよい。マーク72は、例えば、ストッパ70の上面部分に形成された浅い凹部としてもよい。しかしながら、マーク72は、凹部に限定されない。例えば、マーク72は、ストッパ70の上面部分に形成された浅い凸部などとして形成してもよい。また、マーク72は、例えば、ストッパ70の上面部分に塗料などでペイントされた単なるマークとしてもよい。マーク72は、電子機器1において、被検者の被検部位における脈動がセンサ50によって検出される位置を示唆するものであれば、任意に構成してよい。
また、図5に示すように、ストッパ70の平面図に示される形状は、ストッパ70に当接する被検者の身体部分の形状に応じて形成してよい。さらに、一実施形態において、ストッパ70を着脱可能にして、他の形状のストッパ70と交換可能に構成してもよい。図5に示すストッパ70は、被検者の右手の手首及び左手の手首のどちらでも測定可能なように、対称的な形状にしてある。すなわち、図5に示す電子機器1は、被検者の右手の手首をベース部10Aに載置させて脈波を測定することもできるし、被検者の左手の手首をベース部10Aに載置させて脈波を測定することもできる。一方、一実施形態において、図5に示すストッパ70は、他のストッパ70に交換可能にしてもよい。
図6及び図7は、ストッパ70の他の例を示す図である。図6及び図7は、図5におけるストッパ70の付近のみを示している。例えば、電子機器1において被検者の右手首の脈波を測定する際に、図5に示したストッパ70を、図6に示す右手首用のストッパ70Aに交換してもよい。また、ストッパ70Aは、図6に示すように、上面部分にマーク72Aを有してもよい。また、例えば、電子機器1において被検者の左手首の脈波を測定する際に、図5に示したストッパ70を、図7に示す左手首用のストッパ70Bに交換してもよい。また、ストッパ70Bは、図7に示すように、上面部分にマーク72Bを有してもよい。また、図6に示すストッパ70Aを左手首用として、図7に示すストッパ70Bを右手首用としてもよい。このように、第1実施形態に係る電子機器1において、ストッパ70は、例えば図6に示す70A又は図7に示す70Bのように、被検者の被検部位を含む身体部分であってストッパ70に当接する部分の形状に基づいて形成されてもよい。
次に、第1実施形態に係る電子機器1におけるセンサ50による脈波の検出について、さらに説明する。
図8は、電子機器1によって被検者の被検部位における脈波を検出する際のセンサ50の動きを説明する図である。図8においては、被検者の被検部位である左手の手首部分、及び、電子機器1のセンサ50のみを図示してある。
例えば、図8に示すように、電子機器1に搭載されたセンサ50は、α軸、β軸、及びγ軸の3軸のそれぞれを中心とする回転運動を検出してよい。α軸は、例えば、被検者の橈骨動脈にほぼ直交する方向に沿う軸としてよい。また、β軸は、例えば、被検者の橈骨動脈にほぼ平行な方向に沿う軸としてよい。また、γ軸は、例えば、α軸及びβ軸の双方にほぼ直交する方向に沿う軸としてよい。
このように、本実施形態では、センサ50は、被検者の被検部位における脈動を、所定の軸を中心とする回転運動の一部として検出してもよい。また、センサ50は、被検者の被検部位における脈動を、少なくとも2軸の回転運動として検出してもよく、3軸の回転運動として検出してもよい。本開示において、「回転運動」とは、必ずしも円の軌道上を1周以上変位するような運動でなくてもよい。例えば、本開示において、回転運動とは、例えば円の軌道上における1周に満たない部分的な変位(例えば弧に沿うような変位)としてもよい。
図8に示すように、本実施形態に係る電子機器1は、例えば3軸のそれぞれを中心とする回転運動を、センサ50によって検出することができる。したがって、本実施形態に係る電子機器1は、センサ50によって検出された複数の結果を合算するなどして合成することにより、被検者の脈波の検出感度を高めることができる。このような合算などの演算は、例えば制御部80によって行ってもよい。この場合、制御部80は、センサ50が検出した脈動に基づく脈波の指標を算出してよい。
例えば、図8に示す例において、α軸及びβ軸を中心とするセンサ50の回転運動に基づく信号強度の時間変化は、それぞれ被検者の脈波に基づく顕著なピークを有している。このため、制御部80は、例えばα軸、β軸、及びγ軸についての検出結果をそれぞれ合算することにより、被検者の脈波の検出精度を高めることができる。したがって、本実施形態に係る電子機器1によれば、被検者が脈波を測定する際の有用性を向上することができる。
一実施形態において、電子機器1の制御部80は、センサ50が検出した脈動に基づく脈波の指標を算出してもよい。この場合、制御部80は、センサ50が少なくとも2軸の回転運動(例えば3軸の回転運動)として検出した結果を合成(例えば合算)してもよい。本実施形態に係る電子機器1によれば、複数の方向の脈波信号を検出することができる。このため、本実施形態に係る電子機器1によれば、複数の軸についての検出結果を合成することで、1つの軸についての検出結果に比べて、信号強度が高まる。したがって、本実施形態に係る電子機器1によれば、SN比の良好な信号を検出することができ、検出感度を高めることができ、安定した測定が可能となる。
また、図8に示したγ軸についての検出結果において、被検者の脈波に基づくピークは、他のα軸又はβ軸についての検出結果に比べて顕著に現れないことも想定される。このように、γ軸についての検出結果のように信号レベルが低い検出結果を、他の軸についての検出結果に合算すると、SN比が低下することもあり得る。また、信号レベルが低い検出結果は、ほとんどがノイズ成分と見なせる場合もある。このような場合、信号レベルが低い検出結果は、良好な脈波成分を含んでいないこともある。そこで、本実施形態において、制御部80は、複数の軸についての検出結果のうち、検出結果が所定の閾値に満たない軸がある場合、その軸の検出結果を合算しなくてもよい。
例えば、ある被検者の脈動を、α軸、β軸、及びγ軸のそれぞれを中心とする回転運動として、センサ50によって検出した場合を想定する。この結果として、α軸、β軸、γ軸についての検出結果におけるピーク値は、それぞれ所定の閾値を超えているものとする。このような場合、制御部80は、α軸についての検出結果、β軸についての検出結果、及びγ軸についての検出結果の全てを合算したものを、センサ50が検出した脈動に基づく脈波の指標として算出してもよい。
一方、例えば、ある被検者の脈動を検出した結果として、α軸及びβ軸についての検出結果におけるピーク値は、それぞれ所定の閾値を超えているものとする。しかしながら、γ軸についての検出結果におけるピーク値は、所定の閾値を超えていないものとする。このような場合、制御部80は、α軸についての検出結果及びβ軸についての検出結果のみを合算したものを、センサ50が検出した脈動に基づく脈波の指標として算出してもよい。
このような処理を行う場合、制御部80は、各軸についての検出結果を合算に含むか否かの基準となる閾値は、それぞれの軸について別個に設定してもよいし、それぞれの軸について同じものを決定してもよい。いずれの場合も、各軸についての検出結果において、被検者の脈動がそれぞれ適切に検出されるような閾値を、適宜設定してよい。
このように、本実施形態に係る電子機器1において、制御部80は、センサ50が少なくとも2軸の回転運動として検出した結果のうち、所定の閾値以上の成分を有するもののみを合成してもよい。このため、本実施形態に係る電子機器1によれば、検出結果のSN比の低下を抑制することができる。したがって、本実施形態に係る電子機器1によれば、被検者が脈波を測定する際の有用性を向上することができる。
また、上述のように、複数の軸についての検出結果を合算する際に、それぞれの軸についての検出結果を単にこのまま合算すると、不都合が生じることも想定される。これは、被検者の脈動の向きと、センサ50との位置関係によって、センサ50による検出される結果の極性が整合しないことに起因すると想定される。例えば、センサ50を用いて被検者の右手の脈動を検出した場合と、左手の脈動を検出した場合とで、ある軸についての検出結果の極性が逆転することも想定される。
例えば、被検者の脈動を検出した場合、ある軸についての検出結果において、ほぼ周期的に上向きのピークが検出されるとする。しかしながら、同時に、他の軸についての検出結果において、逆に、ほぼ周期的に下向きのピークが検出されることも想定される。このように、複数の軸についての検出結果において極性が逆転する場合、このまま単に合算すると、ピークが打ち消し合って良好な結果が得られないことも想定される。
そこで、本実施形態において、制御部80は、複数の軸についての検出結果において極性が逆転する場合、少なくとも1つの軸についての検出結果の極性を反転させてから、他の軸についての検出結果と合算してもよい。例えば、制御部80は、2つの軸についての検出結果において極性が逆転する場合、一方の軸についての検出結果の極性を他方の軸に合わせて反転させてよい。
このように、本実施形態に係る電子機器1において、制御部80は、センサ50が少なくとも2軸の回転運動として検出した結果を、それぞれの極性が揃うようにしてから合成してもよい。本実施形態に係る電子機器1によれば、被検者の脈波の検出精度を高めることができる。したがって、本実施形態に係る電子機器1によれば、被検者が脈波を測定する際の有用性を向上することができる。
上述のように、少なくとも1つの軸についての検出結果の極性を反転させることにより、複数の軸についての検出結果の極性を揃える処理を行う場合、それぞれの検出結果における極性の向きを判定する必要がある。このような極性の向きの判定は、種々の手法で行うことができる。例えば、制御部80は、各軸についての検出結果のピークが信号強度の正方向側に向いているか、又は負方向側に向いているかを判定してもよい。また、例えば制御部80は、各軸についての検出結果のピークが、信号の平均値よりも大きいか小さいかを判定してもよい。また、少なくとも1つの軸についての検出結果の極性を反転させる際には、制御部80は、極性を反転させる検出結果にマイナス1を乗算してもよい。
さらに、制御部80は、上述のように検出結果の極性を適宜反転させた後、当該検出結果の全体に所定値を加減してから、他の軸についての検出結果に合算してもよい。また、制御部80は、複数の軸についての検出結果を合算する前に、それぞれの軸についての検出結果に適宜重み付けなどをしたり、それぞれの軸についての検出結果を適宜補正したりしてもよい。
図9は、電子機器1の概略構成を示す機能ブロック図である。
図9に示すように、電子機器1は、センサ50、制御部80、バッテリ82、記憶部84、通信部86、及び報知部88などを備えてよい。
センサ50については、既に説明したとおりである。
制御部80は、電子機器1の各機能ブロックをはじめとして、電子機器1の全体を制御及び管理するプロセッサである。また、制御部80は、取得された脈波から、脈波の伝播現象に基づく指標を算出するプロセッサである。制御部80は、制御手順を規定したプログラム及び脈波の伝播現象に基づく指標を算出するプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで構成され、かかるプログラムは、例えば記憶部84等の記憶媒体に格納される。また、制御部80は、算出した指標に基づいて、被検者の糖代謝又は脂質代謝等に関する状態を推定する。制御部80は、報知部88へのデータの報知を行ったりする。
バッテリ82は、電子機器1の各機能部に電力を供給する電力源である。バッテリ82は、例えばCR2032のようなボタン型電池(コイン型電池)など、任意の電源としてよい。また、バッテリ82は、例えば充電可能な蓄電池としてもよい。バッテリ82は、例えばリチウムイオン電池並びにその充電及び放電のための制御回路等を適宜備えてもよい。一実施形態において、電子機器1は、バッテリ82を備えずに、電子機器1の外部から電力を供給されるようにしてもよい。
記憶部84は、プログラム及びデータを記憶する。記憶部84は、半導体記憶媒体、及び磁気記憶媒体等の任意の非一過的(non-transitory)な記憶媒体を含んでよい。記憶部84は、複数の種類の記憶媒体を含んでよい。記憶部84は、メモリカード、光ディスク、又は光磁気ディスク等の可搬の記憶媒体と、記憶媒体の読み取り装置との組み合わせを含んでよい。記憶部84は、RAM(Random Access Memory)等の一時的な記憶領域として利用される記憶デバイスを含んでよい。記憶部84は、各種情報及び/又は電子機器1を動作させるためのプログラム等を記憶するとともに、ワークメモリとしても機能する。記憶部84は、例えばセンサ50により取得された脈波の測定結果を記憶してもよい。
通信部86は、外部装置と有線通信又は無線通信を行うことにより、各種データの送受信を行う。通信部86は、例えば、健康状態を管理するために被検者の生体情報を記憶する外部装置と通信を行い、電子機器1が測定した脈波の測定結果、及び/又は電子機器1が推定した健康状態を、当該外部装置に送信する。通信部86は、例えばBluetooth(登録商標)又はWi−Fiなどに対応した通信モジュールとしてもよい。
報知部88は、被検者などに例えば生体情報の測定結果などの情報を報知する。報知部88は、例えば発光ダイオード(LED)などによる発光部としてよい。また、報知部88は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro-Luminescence Display)、又は無機ELディスプレイ(IELD:Inorganic Electro-Luminescence Display)等の表示デバイスとしてもよい。これらのような表示デバイスを報知部88として採用すれば、例えば、被検者の糖代謝又は脂質代謝の状態のような、比較的詳細な情報を表示することもできる。
報知部88は、生体情報の測定結果などの情報のみならず、例えば電子機器1の電源のオン/オフ、又は、生体情報の測定中か否かなどのような情報を、被検者に報知してもよい。この時、報知部88は、例えば生体情報の測定結果などの情報を報知する際とは異なる態様の発光によって、電子機器1の電源のオン/オフ、又は、生体情報の測定中か否かなどのような情報を報知してもよい。
一実施形態において、報知部88は、発光部によって構成されていなくてもよい。例えば、報知部88は、スピーカ又はブザーのような音出力部によって構成されてもよい。この場合、報知部88は、各種の音又は音声などによって、被検者などに例えば生体情報の測定結果などの情報を報知してよい。
また、一実施形態において、報知部88は、例えばバイブレータ又は圧電素子のような触感呈示部によって構成されてもよい。この場合、報知部88は、各種の振動又は触感フィードバックなどによって、被検者などに例えば生体情報の測定結果などの情報を報知してよい。
図9に示したセンサ50以外の機能部、例えば、制御部80、バッテリ82、記憶部84、通信部86、及び報知部88は、電子機器1の任意の箇所に備えられてよい。また、図9に示したセンサ50以外の機能部、例えば、制御部80、バッテリ82、記憶部84、通信部86、及び報知部88は、電子機器1の外部に備えられてもよい。この場合、電子機器1は、電子機器1の外部に備えられる機能部を備えなくてもよい。
特に、電子機器1が外部機器と有線又は無線により接続される場合、例えば制御部80、記憶部84、通信部86、及び報知部88などの機能部の少なくともいずれかは、適宜、外部機器に備えてもよい。
次に、電子機器1を用いて取得された脈波について行う処理ついて説明する。
図10は、電子機器1を用いて手首で取得された脈波の一例を示す図である。図10は、脈動を検知するセンサ50として、角速度センサを用いた場合について示してある。図10は、角速度センサで取得された角速度を時間積分したものであり、横軸は時間、縦軸は角度を表す。取得された脈波は、例えば被検者の体動が原因のノイズを含む場合があるので、DC(Direct Current)成分を除去するフィルタによる補正を行い、脈動成分のみを抽出してもよい。
取得された脈波から、脈波に基づく指標を算出する方法を、図10を用いて説明する。脈波の伝播は、心臓から押し出された血液による拍動が、動脈の壁又は血液を伝わる現象である。心臓から押し出された血液による拍動は、前進波として手足の末梢まで届き、その一部は血管の分岐部、血管径の変化部等で反射され反射波として戻ってくる。脈波に基づく指標は、例えば、前進波の脈波伝播速度PWV(Pulse Wave Velocity)、脈波の反射波の大きさPR、脈波の前進波と反射波との時間差Δt、脈波の前進波と反射波との大きさの比で表されるAI(Augmentation Index)等である。
図10に示す脈波は、利用者のn回分の脈拍であり、nは1以上の整数である。脈波は、心臓からの血液の駆出により生じた前進波と、血管分岐又は血管径の変化部から生じた反射波とが重なりあった合成波である。図10において、脈拍毎の前進波による脈波のピークの大きさをPFn、脈拍毎の反射波による脈波のピークの大きさをPRn、脈拍毎の脈波の最小値をPSnで示す。また、図10において、脈拍のピークの間隔をTPRで示す。
脈波に基づく指標とは、脈波から得られる情報を定量化したものである。例えば、脈波に基づく指標の一つであるPWVは、上腕と足首等、2点の被検部位で測定された脈波の伝播時間差と2点間の距離とに基づいて算出される。具体的には、PWVは、動脈の2点における脈波(例えば上腕と足首)を同期させて取得し、2点の距離の差(L)を2点の脈波の時間差(PTT)で除して算出される。例えば、脈波に基づく指標の一つである反射波の大きさPRは、反射波による脈波のピークの大きさPRnを算出してもよいし、n回分を平均化したPRaveを算出してもよい。例えば、脈波に基づく指標の一つである脈波の前進波と反射波との時間差Δtは、所定の脈拍における時間差Δtnを算出してもよいし、n回分の時間差を平均化したΔtaveを算出してもよい。例えば、脈波に基づく指標の一つであるAIは、反射波の大きさを前進波の大きさで除したものであり、AIn=(PRn−PSn)/(PFn−PSn)で表わされる。AInは脈拍毎のAIである。AIは、例えば、脈波の測定を数秒間行い、脈拍毎のAIn(n=1〜nの整数)の平均値AIaveを算出し、脈波に基づく指標としてもよい。
脈波伝播速度PWV、反射波の大きさPR、前進波と反射波との時間差Δt、及びAIは、血管壁の硬さに依存して変化するため、動脈硬化の状態の推定に用いることができる。例えば、血管壁が硬いと、脈波伝播速度PWVは大きくなる。例えば、血管壁が硬いと、反射波の大きさPRは大きくなる。例えば、血管壁が硬いと、前進波と反射波との時間差Δtは小さくなる。例えば、血管壁が硬いと、AIは大きくなる。さらに、電子機器1は、これらの脈波に基づく指標を用いて、動脈硬化の状態を推定できると共に、血液の流動性(粘性)を推定することができる。特に、電子機器1は、同一被検者の同一被検部位、及び動脈硬化の状態がほぼ変化しない期間(例えば数日間内)において取得された脈波に基づく指標の変化から、血液の流動性の変化を推定することができる。ここで血液の流動性とは、血液の流れやすさを示し、例えば、血液の流動性が低いと、脈波伝播速度PWVは小さくなる。例えば、血液の流動性が低いと、反射波の大きさPRは小さくなる。例えば、血液の流動性が低いと、前進波と反射波との時間差Δtは大きくなる。例えば、血液の流動性が低いと、AIは小さくなる。
本実施形態では、脈波に基づく指標の一例として、電子機器1が、脈波伝播速度PWV、反射波の大きさPR、前進波と反射波との時間差Δt、及びAIを算出する例を示したが、脈波に基づく指標はこれに限ることはない。例えば、電子機器1は、脈波に基づく指標として、後方収縮期血圧を用いてもよい。
図11は、算出されたAIの時間変動を示す図である。本実施の形態では、脈波は、角速度センサを備えた電子機器1を用いて約5秒間取得された。制御部80は、取得された脈波から脈拍毎のAIを算出し、さらにこれらの平均値AIaveを算出した。本実施の形態では、電子機器1は、食事前及び食事後の複数のタイミングで脈波を取得し、取得された脈波に基づく指標の一例としてAIの平均値(以降AIとする)を算出した。図11の横軸は、食事後の最初の測定時間を0として、時間の経過を示す。図11の縦軸は、その時間に取得された脈波から算出されたAIを示す。被検者は安静の状態で、脈波は橈骨動脈上で取得された。
電子機器1は、食事前、食事直後、及び食事後30分毎に脈波を取得し、それぞれの脈波に基づいて複数のAIを算出した。食事前に取得された脈波から算出されたAIは約0.8であった。食事前に比較して、食事直後のAIは小さくなり、食事後約1時間でAIは最小の極値となった。食事後3時間で測定を終了するまで、AIは徐々に大きくなった。
電子機器1は、算出されたAIの変化から、血液の流動性の変化を推定することができる。例えば血液中の赤血球、白血球、血小板が団子状に固まる、又は粘着力が大きくなると、血液の流動性は低くなる。例えば、血液中の血漿の含水率が小さくなると、血液の流動性は低くなる。これらの血液の流動性の変化は、例えば、後述する糖脂質状態、又は熱中症、脱水症、低体温等の被検者の健康状態によって変化する。被検者の健康状態が重篤化する前に、被検者は、本実施の形態の電子機器1を用いて、自らの血液の流動性の変化を知ることができる。図11に示す食事前後のAIの変化から、食事後に血液の流動性は低くなり、食事後約1時間で最も血液の流動性は低くなり、その後徐々に血液の流動性が高くなったことが推定できる。電子機器1は、血液の流動性が低い状態を「どろどろ」、血液の流動性が高い状態を「さらさら」と表現して報知してもよい。例えば、電子機器1は、「どろどろ」「さらさら」の判定を、被検者の実年齢におけるAIの平均値を基準にして行ってもよい。電子機器1は、算出されたAIが平均値より大きければ「さらさら」、算出されたAIが平均値より小さければ「どろどろ」と判定してもよい。電子機器1は、例えば、「どろどろ」「さらさら」の判定は、食事前のAIを基準にして判定してもよい。電子機器1は、食事後のAIを食事前のAIと比較して「どろどろ」度合いを推定してもよい。電子機器1は、例えば、食事前のAIすなわち空腹時のAIとして、被検者の血管年齢(血管の硬さ)の指標として用いることができる。電子機器1は、例えば、被検者の食事前のAIすなわち空腹時のAIを基準として、算出されたAIの変化量を算出すれば、被検者の血管年齢(血管の硬さ)による推定誤差を少なくすることができるので、血液の流動性の変化をより精度よく推定することができる。
図12は、算出されたAIと血糖値の測定結果を示す図である。脈波の取得方法及びAIの算出方法は、図11に示した実施の形態と同じである。図12の右縦軸は血中の血糖値を示し、左縦軸は算出されたAIを示す。図12の実線は、取得された脈波から算出されたAIを示し、点線は測定された血糖値を示す。血糖値は、脈波取得直後に測定された。血糖値は、テルモ社製の血糖測定器「メディセーフフィット」を用いて測定された。食事前の血糖値と比べて、食事直後の血糖値は約20mg/dl上昇している。食事後約1時間で血糖値は最大の極値となった。その後、測定を終了するまで、血糖値は徐々に小さくなり、食事後約3時間でほぼ食事前の血糖値と同じになった。
図12に示す通り、食前食後の血糖値は、脈波から算出されたAIと負の相関がある。血糖値が高くなると、血液中の糖により赤血球及び血小板が団子状に固まり、又は粘着力が強くなり、その結果血液の流動性は低くなることがある。血液の流動性が低くなると、脈波伝播速度PWVは小さくなることがある。脈波伝播速度PWVが小さくなると、前進波と反射波との時間差Δtは大きくなることがある。前進波と反射波との時間差Δtが大きくなると、前進波の大きさPFに対して反射波の大きさPRは小さくなることがある。前進波の大きさPFに対して反射波の大きさPRが小さくなると、AIは小さくなることがある。食事後数時間内(本実施の形態では3時間)のAIは、血糖値と相関があることから、AIの変動により、被検者の血糖値の変動を推定することができる。また、あらかじめ被検者の血糖値を測定し、AIとの相関を取得しておけば、電子機器1は、算出されたAIから被検者の血糖値を推定することができる。
食事後に最初に検出されるAIの最小極値であるAIPの発生時間に基づいて、電子機器1は被検者の糖代謝の状態を推定できる。電子機器1は、糖代謝の状態として、例えば血糖値を推定する。糖代謝の状態の推定例として、例えば食事後に最初に検出されるAIの最小極値AIPが所定時間以上(例えば食後約1.5時間以上)経ってから検出される場合、電子機器1は、被検者が糖代謝異常(糖尿病患者)であると推定できる。
食事前のAIであるAIBと、食事後に最初に検出されるAIの最小極値であるAIPとの差(AIB−AIP)に基づいて、電子機器1は被検者の糖代謝の状態を推定できる。糖代謝の状態の推定例として、例えば(AIB−AIP)が所定数値以上(例えば0.5以上)の場合、被検者は糖代謝異常(食後高血糖患者)であると推定できる。
図13は、算出されたAIと血糖値との関係を示す図である。算出されたAIと血糖値とは、血糖値の変動が大きい食事後1時間以内に取得されたものである。図13のデータは、同一被検者における異なる複数の食事後のデータを含む。図13に示す通り、算出されたAIと血糖値とは負の相関を示した。算出されたAIと血糖値との相関係数は0.9以上であり、非常に高い相関を示した。例えば、図13に示すような算出されたAIと血糖値との相関を、あらかじめ被検者毎に取得しておけば、電子機器1は、算出されたAIから被検者の血糖値を推定することもできる。
図14は、算出されたAIと中性脂肪値の測定結果を示す図である。脈波の取得方法及びAIの算出方法は、図11に示した実施形態と同じである。図14の右縦軸は血中の中性脂肪値を示し、左縦軸はAIを示す。図14の実線は、取得された脈波から算出されたAIを示し、点線は測定された中性脂肪値を示す。中性脂肪値は、脈波取得直後に測定した。中性脂肪値は、テクノメディカ社製の脂質測定装置「ポケットリピッド」を用いて測定された。食事前の中性脂肪値と比較して、食事後の中性脂肪値の最大極値は約30mg/dl上昇している。食事後約2時間後に中性脂肪は最大の極値となった。その後、測定を終了するまで、中性脂肪値は徐々に小さくなり、食事後約3.5時間でほぼ食事前の中性脂肪値と同じになった。
これに対し、算出されたAIの最小極値は、食事後約30分で第1の最小極値AIP1が検出され、食事後約2時間で第2の最小極値AIP2が検出された。食事後約30分で検出された第1の最小極値AIP1は、前述した食後の血糖値の影響によるものであると推定できる。食事後約2時間で検出された第2の最小極値AIP2は、食事後約2時間で検出された中性脂肪の最大極値とその発生時間がほぼ一致している。このことから、食事から所定時間以降に検出される第2の最小極値AIP2は中性脂肪の影響によるものであると推定できる。食前食後の中性脂肪値は、血糖値と同様に、脈波から算出されたAIと負の相関があることがわかった。特に食事から所定時間以降(本実施の形態では約1.5時間以降)に検出されるAIの最小極値AIP2は、中性脂肪値と相関があることから、AIの変動により、被検者の中性脂肪値の変動を推定することができる。また、あらかじめ被検者の中性脂肪値を測定し、AIとの相関を取得しておけば、電子機器1は、算出されたAIから被検者の中性脂肪値を推定することができる。
食事後所定時間以降に検出される第2の最小極値AIP2の発生時間に基づいて、電子機器1は被検者の脂質代謝の状態を推定できる。電子機器1は、脂質代謝の状態として、例えば脂質値を推定する。脂質代謝の状態の推定例として、例えば第2の最小極値AIP2が食事後所定時間以上(例えば4時間以上)経ってから検出される場合、電子機器1は、被検者が脂質代謝異常(高脂血症患者)であると推定できる。
食事前のAIであるAIBと、食事後所定時間以降に検出される第2の最小極値AIP2との差(AIB−AIP2)に基づいて、電子機器1は被検者の脂質代謝の状態を推定できる。脂質代謝異常の推定例として、例えば(AIB−AIP2)が0.5以上の場合、電子機器1は、被検者が脂質代謝異常(食後高脂血症患者)であると推定できる。
また、図12乃至図14で示した測定結果から、本実施の形態の電子機器1は、食事後に最も早く検出される第1の最小極値AIP1及びその発生時間に基づいて、被検者の糖代謝の状態を推定することができる。さらに、本実施の形態の電子機器1は、第1の最小極値AIP1の後で所定時間以降に検出される第2の最小極値AIP2及びその発生時間に基づいて、被検者の脂質代謝の状態を推定することができる。
本実施形態では脂質代謝の推定例として中性脂肪の場合を説明したが、脂質代謝の推定は中性脂肪に限られない。電子機器1が推定する脂質値は、例えば総コレステロール、善玉(HDL:High Density Lipoprotein)コレステロール及び悪玉(LDL:Low Density Lipoprotein)コレステロール等を含む。これらの脂質値も、上述の中性脂肪の場合と同様の傾向を示す。
図15は、AIに基づいて血液の流動性並びに糖代謝及び脂質代謝の状態を推定する手順を示すフロー図である。図15を用いて、実施の形態に係る電子機器1による血液の流動性、並びに糖代謝及び脂質代謝の状態の推定の流れを説明する。
図15に示すように、電子機器1は、初期設定として、被検者のAI基準値を取得する(ステップS101)。AI基準値は、被検者の年齢から推定される平均的なAIを用いてもよいし、事前に取得された被検者の空腹時のAIを用いてもよい。また、電子機器1は、ステップS102〜S108において食前と判断されたAIをAI基準値としてもよいし、脈波測定直前に算出されたAIをAI基準値としてもよい。この場合、電子機器1は、ステップS102〜S108より後にステップS101を実行する。
続いて、電子機器1は、脈波を取得する(ステップS102)。例えば電子機器1は、所定の測定時間(例えば、5秒間)に取得された脈波について、所定の振幅以上が得られたか否かを判定する。取得された脈波について、所定の振幅以上が得られたら、ステップS103に進む。所定の振幅以上が得られなかったら、ステップS102を繰り返す(これらのステップは図示せず)。ステップS102において、例えば電子機器1は、所定の振幅以上の脈波を検出すると、自動で脈波を取得する。
電子機器1は、ステップS102で取得された脈波から、脈波に基づく指標としてAIを算出し記憶部84に記憶する(ステップS103)。電子機器1は、所定の脈拍数(例えば、3拍分)毎のAIn(n=1〜nの整数)から平均値AIaveを算出して、これをAIとしてもよい。あるいは、電子機器1は、特定の脈拍におけるAIを算出してもよい。
AIは、例えば脈拍数PR、脈圧(PF−PS)、体温、被検出部の温度等によって補正を行い算出してもよい。脈拍とAI及び脈圧とAIは共に負の相関があり、温度とAIとは正の相関があることが知られている。補正を行う際は、例えばステップS103において、電子機器1はAIに加え脈拍、脈圧を算出する。例えば、電子機器1は、センサ50に温度センサを搭載し、ステップS102における脈波の取得の際に、被検出部の温度を取得してもよい。事前に作成された補正式に、取得された脈拍、脈圧、温度等を代入することにより、AIは補正される。
続いて、電子機器1は、ステップS101で取得されたAI基準値とステップS103で算出されたAIとを比較して、被検者の血液の流動性を推定する(ステップS104)。算出されたAIがAI基準値より大きい場合(YESの場合)、血液の流動性は高いと推定され、電子機器1は例えば血液の流動性が高いことをと報知する(ステップS105)。算出されたAIがAI基準値より大きくない場合(NOの場合)、血液の流動性は低いと推定され、電子機器1は例えば血液の流動性が低いことを報知する(ステップS106)。
続いて、電子機器1は、糖代謝及び脂質代謝の状態を推定するか否かを被検者に確認する(ステップS107)。ステップS107で糖代謝及び脂質代謝を推定しない場合(NOの場合)、電子機器1は処理を終了する。ステップS107で糖代謝及び脂質代謝を推定する場合(YESの場合)、電子機器1は、算出されたAIが食前、食後いずれかに取得されたものかを確認する(ステップS108)。食後ではない(食前)場合(NOの場合)、ステップS102に戻り、次の脈波を取得する。食後の場合(YESの場合)、電子機器1は、算出されたAIに対応する脈波の取得時間を記憶する(ステップS109)。続いて脈波を取得する場合(ステップS110のNOの場合)、ステップS102に戻り、次の脈波を取得する。脈波測定を終了する場合(ステップS110のYESの場合)ステップS111以降に進み、電子機器1は被検者の糖代謝及び脂質代謝の状態の推定を行う。
続いて、電子機器1は、ステップS104で算出された複数のAIから、最小極値とその時間を抽出する(ステップS111)。例えば、図12の実線で示すようなAIが算出された場合、電子機器1は、食事後約30分の第1の最小極値AIP1、及び食事後約2時間の第2の最小極値AIP2を抽出する。
続いて、電子機器1は、第1の最小極値AIP1とその時間から、被検者の糖代謝の状態を推定する(ステップS112)。さらに、電子機器1は、第2の最小極値AIP2とその時間から、被検者の脂質代謝の状態を推定する(ステップS113)。被検者の糖代謝及び脂質代謝の状態の推定例は、前述の図14と同様であるので省略する。
続いて、電子機器1は、ステップS112及びステップS113の推定結果を報知し(ステップS114)、図15に示す処理を終了する。報知部88は、例えば「糖代謝は正常です」、「糖代謝異常が疑われます」、「脂質代謝は正常です」、「脂質代謝異常が疑われます」等の報知を行う。この場合、報知部88は、例えば発光部が点灯又は点滅することにより、前述のような報知を行ってもよい。また、報知部88は「病院で受診しましょう」、「食生活を見直しましょう」等のアドバイスを報知してもよい。そして、電子機器1は、図15に示す処理を終了する。
本実施形態において、電子機器1は、脈波に基づく指標から被検者の血液の流動性並びに糖代謝及び脂質代謝の状態を推定できる。このため、電子機器1は、非侵襲かつ短時間で被検者の血液の流動性並びに糖代謝及び脂質代謝の状態を推定できる。
本実施形態において、電子機器1は、脈波に基づく指標の極値とその時間から、糖代謝の状態の推定と、脂質代謝の状態の推定とを行うことができる。このため、電子機器1は、非侵襲かつ短時間で被検者の糖代謝及び脂質代謝の状態を推定できる。
本実施形態において、電子機器1は、例えば、食事前(空腹時)の脈波に基づく指標を基準にして、被検者の糖代謝及び脂質代謝の状態を推定できる。このため、短期的に変化しない血管径又は血管の硬さ等を考慮せずに、被検者の血液の流動性及び糖代謝及び脂質代謝の状態を正確に推定できる。
本実施形態において、電子機器1は、脈波に基づく指標と血糖値、脂質値とのキャリブレーションを取っておけば、被検者の血糖値、脂質値を非侵襲かつ短時間に推定することができる。
図16は、第1実施形態に係るシステムの概略構成を示す模式図である。図16に示したシステムは、電子機器1と、サーバ151と、携帯端末150と、通信ネットワークを含んで構成される。図16に示したように、電子機器1で算出された脈波に基づく指標は、通信ネットワークを通じてサーバ151に送信され、被検者の個人情報としてサーバ151に保存される。サーバ151では、被検者の過去の取得情報、及び/又は様々なデータベースと比較することにより、被検者の血液の流動性並びに糖代謝及び脂質代謝の状態を推定する。サーバ151はさらに被検者に最適なアドバイスを作成する。サーバ151は、被検者が所有する携帯端末150に推定結果及びアドバイスを返信する。携帯端末150は受信した推定結果及びアドバイスを携帯端末150の表示部から報知する、というシステムを構築することができる。電子機器1の通信機能を利用することで、サーバ151には複数の利用者からの情報を収集することができるため、さらに推定の精度が上がる。また、携帯端末150を報知手段として用いるため、電子機器1は報知部88が不要となり、さらに小型化される。また、被検者の血液の流動性並びに糖代謝及び脂質代謝の状態の推定をサーバ151で行うために、電子機器1の制御部80の演算負担を軽減できる。また、被検者の過去の取得情報をサーバ151で保存できるために、電子機器1の記憶部84の負担を軽減できる。そのため、電子機器1はさらに小型化、簡略化が可能となる。また、演算の処理速度も向上する。
本実施形態に係るシステムはサーバ151を介して、電子機器1と携帯端末150とを通信ネットワークで接続した構成を示したが、本発明に係るシステムはこれに限定されるものではない。サーバ151を用いずに、電子機器1と携帯端末150を直接通信ネットワークで接続して構成してもよい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る電子機器について説明する。
図17及び図18は、第2実施形態に係る電子機器を示す側面図である。図17及び図18に示すように、第2実施形態に係る電子機器2は、第1実施形態に係る電子機器1において、回動機構14をスライド機構16に変更したものである。すなわち、スライド機構16は、アーム支持部20とベース部10’とを接続し、アーム支持部20をベース部10’に対してスライドさせることを可能にする。また、第2実施形態に係る電子機器2は、第1実施形態に係る電子機器1におけるベース部10A及び10Bに代えて、ベース部10’を備えている。第2実施形態に係る電子機器2における他の特徴は、上述した第1実施形態に係る電子機器1における特徴と同様又は類似であるため、より詳細な説明は省略する。
第1実施形態に係る電子機器1において、回動機構14は、アーム支持部20のベース部10Bに対する回転変位を可能にした。同様に、第2実施形態に係る電子機器2において、スライド機構16は、アーム支持部20のベース部10’に対するスライド変位を可能にする。スライド機構16は、従来知られた構造の各種のスライド機構を利用することができるため、より詳細な説明は省略する。
次に、第2実施形態に係る電子機器2の動作について説明する。図17に示す第2実施形態に係る電子機器2は、図3に示した第1実施形態に係る電子機器1の状態に対応する。また、図18に示す第2実施形態に係る電子機器2は、図4に示した第1実施形態に係る電子機器1の状態に対応する。
一実施形態において、スライド機構16は、例えば摩擦による抗力を発生するスライド機構を含んで構成されてよい。このようなスライド機構16は、スライド機構のスライド運動に例えば摩擦による所定の抗力が課される機構としてよい。このようなスライド機構16において、例えば所定の抗力に満たない力を課してもスライド変位させることはできないが、所定の抗力以上の力を課すことでスライド変位させることができる。また、スライド機構16において、所定の抗力以上の力を課してスライド変位させている最中に、その力を弱めて所定の抗力に満たない程度にすると、スライド変位は停止して、当該停止状態が保持される。
以下、被検者が電子機器2による脈波の測定を開始する際の動作について説明する。まず、被検者は、図17に示すように、生体情報を測定する身体部分(手首)をベース部10に載置させる前に、アーム支持部20に所定以上の力をかけて、アーム支持部20を図に示す矢印F1の方向にある程度スライド変位させる。次に、被検者は、生体情報を測定する身体部分(手首)をベース部10に適切に載置させたら、アーム支持部20に再び所定以上の力をかけて、アーム支持部20を図に示す矢印F2の方向にある程度スライド変位させる。このようにして、被検者は、図18に示すように、生体情報を測定する身体部分(手首)をベース部10に載置させて、さらにセンサ50の脈あて部60を被検部位に適切に接触させることができる。この状態で、電子機器2は、例えば被検者の被検部位における脈波を検出することができる。
このように、アーム支持部20は、ベース部10において被検者の身体部分が載置される面に沿ってスライドするように構成されてもよい。この場合、アーム支持部20は、ベース部10にスライド機構16によって接続されてもよい。さらに、スライド機構16は、所定値を超える力に応じてスライドするように構成されてもよい。すなわち、この場合、スライド機構16は、第1実施形態において説明したトルクヒンジの回転変位を、スライドによる直線状の変位として実現する機構としてよい。
次に、上述した第2実施形態の変形例について説明する。
上述した第2実施形態において、スライド機構16は、例えば摩擦による抗力を発生するスライド機構を含んで構成した。しかしながら、スライド機構16は、摩擦による抗力を発生するものではなく、例えばスプリング(バネ)などのような部材を含んで構成してもよい。
第2実施形態の変形例に係るスライド機構16は、例えばアーム支持部20をスライド変位させることにより、当該スライド機構16に弾性力(抗力)を生じさせる機構としてよい。このようなスライド機構16は、例えばヒンジに所定の回転運動を課すことにより、当該回転運動が課される前の状態に戻す復元力を生じさせる。
このようなスプリング(バネ)などのような部材を含んで構成されるスライド機構も、従来知られた構造のものを利用することができるため、より詳細な説明は省略する。
以下、被検者が第2実施形態の変形例に係る電子機器1による脈波の測定を開始する際の動作について説明する。
まず、被検者は、図17に示すように、生体情報を測定する身体部分(手首)をベース部10に載置させる前に、アーム支持部20を動かすことにより、アーム支持部20を図に示す矢印F1の方向にある程度スライド変位させる。この時、被検者は、アーム支持部20にかけている力をそのまま維持する(力を解除するとアーム支持部20が元の位置に戻ってしまうため)。次に、被検者は、生体情報を測定する身体部分(手首)をベース部10に適切に載置させたら、アーム支持部20にかけている力を抜く又は弱めることにより、アーム支持部20を図に示す矢印F2の方向に復元させる。このようにして、被検者は、図18に示すように、生体情報を測定する身体部分(手首)をベース部10に載置させて、さらにセンサ50の脈あて部60を被検部位に適切に接触させることができる。この状態で、電子機器1は、例えば被検者の被検部位における脈波を検出することができる。
電子機器2による脈波の測定が終了した後は、被検者は、上述の動作と逆の動作によって、生体情報を測定した身体部分(手首)を電子機器1から簡単かつ容易にリリースすることができる。
このように、第2実施形態の変形例においても、アーム支持部20は、ベース部10において被検者の身体部分が載置される面に沿ってスライドするように構成されてもよい。この場合、アーム支持部20は、ベース部10にスライド機構16によって接続されてもよい。一方、第2実施形態の変形例において、スライド機構16は、ベース部10に載置された被検者の身体部分の方向にアーム支持部20を付勢するように構成されてもよい。すなわち、この場合、スライド機構16は、第1実施形態において説明したスプリング(バネ)ヒンジのような付勢された回転変位を、スライドによる直線状の付勢された変位として実現する機構としてよい。このような構成によっても、アーム支持部20は、ベース部10に載置された身体部分からアーム支持部20を遠ざける向きの力に反作用を及ぼすように構成される。
本開示を完全かつ明瞭に開示するために特徴的な実施例に関し記載してきた。しかし、添付の請求項は、上記実施形態に限定されるべきものでなく、本明細書に示した基礎的事項の範囲内で当該技術分野の当業者が創作しうるすべての変形例及び代替可能な構成を具現化するように構成されるべきである。
例えば、上述の実施形態においては、センサ50として角速度センサ又はジャイロセンサを備える場合について説明したが、電子機器1の形態はこれに限ることはない。センサ50は、発光部と受光部を含む光学脈波センサを備えていてもよいし、圧力センサを備えていてもよい。また、電子機器1が生体情報を測定する被検部位は、被検者の手首に限らない。首、足首、太もも、耳等、動脈上にセンサ50が配置されていればよい。
例えば、上述の実施形態においては、脈波に基づく指標の第1の極値及び第2の極値とこれらの時間とに基づいて、被検者の糖代謝及び脂質代謝の状態を推定したが、電子機器1が実行する処理はこれに限ることはない。一方の極値しか表れない場合、極値が表れない場合もあり、電子機器1は、算出された脈波に基づく指標の時間変動の全体傾向(例えば積分値、フーリエ変換等)に基づいて、被検者の糖代謝及び脂質代謝の状態を推定してもよい。また、電子機器1は、脈波に基づく指標の極値を抽出するのではなく、脈波に基づく指標が所定の値以下になった時間範囲に基づいて、被検者の糖代謝及び脂質代謝の状態を推定してもよい。
例えば、上述の実施形態においては、食事前後の血液の流動性を推定する場合について説明したが、電子機器1が実行する処理はこれに限ることはない。電子機器1は、運動前後及び運動中の血液の流動性を推定してもよいし、入浴前後及び入浴中の血液の流動性を推定してもよい。
上述の実施形態において、電子機器1が脈波を測定すると説明したが、脈波は必ずしも電子機器1により測定されなくてもよい。例えば、電子機器1は、コンピュータ又は携帯電話機等の情報処理装置と有線又は無線で接続され、センサ50で取得された角速度の情報を情報処理装置に送信してもよい。この場合、情報処理装置が、角速度の情報に基づいて脈波を測定してもよい。情報処理装置は、糖代謝及び脂質代謝の推定処理等を実行してもよい。各種情報処理を電子機器1に接続された情報処理装置が実行する場合、電子機器1は、制御部80、記憶部84、報知部88等を備えていなくてもよい。また、電子機器1が有線により情報処理装置に接続されている場合、電子機器1は、バッテリ82を有さず、情報処理装置から電力が供給されてもよい。
また、電子機器1の制御部80は、脈波の指標から、糖脂質代謝、血糖値及び脂質値のうちの少なくともいずれか1つを推定するとしてよい。また、電子機器1は、被検者のダイエットの進行状況を監視するダイエットモニタ、及び、被検者の血糖値を監視する血糖計の少なくとも一方として機能してもよい。
1,2 電子機器
10(10A,10B),10’ ベース部
12 スライドロック機構
14 回動機構
16 スライド機構
20 アーム支持部
22 調整機構
24 アーム受け部
30 アーム
40 弾性部材
50 センサ
60 脈あて部
70 ストッパ
72 マーク
80 制御部
82 バッテリ
84 記憶部
86 通信部
88 報知部
150 携帯端末
151 サーバ

Claims (14)

  1. 被検者の被検部位における脈動を検出可能なセンサと、
    前記被検部位側に付勢されるアームと、
    前記センサと前記アームとの間に介在する弾性部材と、
    前記アームを可動状態で支持するアーム支持部と、
    前記被検部位を含む身体部分が載置されるベース部と、
    前記身体部分の前記ベース部における変位を制限するストッパと、
    を備える電子機器であって、
    前記アーム支持部は、前記ベース部に対して変位可能に構成され、前記ベース部に載置された前記身体部分から当該アーム支持部を遠ざける向きの力に反作用を及ぼすように構成される、電子機器。
  2. 前記アーム支持部は、前記ベース部に対して、所定の軸を中心とする回転運動の一部として回転変位するように構成される、請求項1に記載の電子機器。
  3. 前記アーム支持部は、前記ベース部にヒンジによって接続され、
    前記ヒンジは、所定値を超える力に応じて回転変位するように構成される、請求項2に記載の電子機器。
  4. 前記アーム支持部は、前記ベース部にヒンジによって接続され、
    前記ヒンジは、前記ベース部に載置された前記身体部分の方向に前記アーム支持部を付勢するように構成される、請求項2に記載の電子機器。
  5. 前記アーム支持部は、前記ベース部において前記身体部分が載置される面に沿ってスライドするように構成される、請求項1に記載の電子機器。
  6. 前記アーム支持部は、前記ベース部にスライド機構によって接続され、
    前記スライド機構は、所定値を超える力に応じてスライドするように構成される、請求項5に記載の電子機器。
  7. 前記アーム支持部は、前記ベース部にスライド機構によって接続され、
    前記スライド機構は、前記ベース部に載置された前記身体部分の方向に前記アーム支持部を付勢するように構成される、請求項5に記載の電子機器。
  8. 前記ストッパは、前記身体部分による当該ストッパ方向の変位を制限するように構成される、請求項1から7のいずれかに記載の電子機器。
  9. 前記ストッパは、前記被検部位における脈動が前記センサによって検出される位置を示唆する表示を備える、請求項1から8のいずれかに記載の電子機器。
  10. 前記ストッパは、前記身体部分であって当該ストッパに当接する部分の形状に基づいて形成される、請求項1から9のいずれかに記載の電子機器。
  11. 前記弾性部材は、前記センサを前記アームに対して3次元変形可能にする、請求項1から10のいずれかに記載に電子機器。
  12. 前記センサはジャイロセンサである、請求項1から11のいずれかに記載に電子機器。
  13. 前記センサから出力された値に基づいて脈波を算出する制御部を備え、
    前記制御部は、前記脈波の指標から、糖脂質代謝、血糖値及び脂質値のうちの少なくともいずれか1つを推定する、請求項1から12のいずれかに記載の電子機器。
  14. 前記電子機器は、被験者のダイエットの進行状況を監視するダイエットモニタ、及び、被験者の血糖値を監視する血糖計の少なくとも一方として機能する、請求項1から13のいずれかに記載の電子機器。
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