JP2020118563A - 卵巣腫瘍の評価用バイオマーカー - Google Patents

卵巣腫瘍の評価用バイオマーカー Download PDF

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Abstract

【課題】卵巣腫瘍の存在を精度よく検出及び評価できるバイオマーカー、及び該バイオマーカーを用いて卵巣腫瘍の存在や、該腫瘍が存在する場合にはその悪性度を評価する方法の提供。【解決手段】C−マンノシル化トリプトファンからなる、卵巣腫瘍の存在及び悪性度を評価するためのバイオマーカー。【選択図】なし

Description

本発明は、卵巣腫瘍を評価するためのバイオマーカーに関する。より詳しくは、C−マンノシル化トリプトファンからなる、卵巣腫瘍の存在及び悪性度を評価するためのバイオマーカーに関し、さらに当該バイオマーカーを用いて卵巣腫瘍の存在及び該腫瘍の悪性度の評価を補助する方法等に関する。
卵巣がんは、婦人科悪性腫瘍の中でも最も予後不良ながんであり、罹患率、死亡率共に上昇の一途をたどっている。2010年には、世界で約16万人が卵巣がんにより死亡している。2014年の統計データによると、女性の累積罹患リスクは全がん種で約46%(2人に1人ががんに罹患)であるのに対し、そのうち卵巣がんは約1%(87人に1人ががんに罹患)であった。また、女性の累積死亡リスクは全がん種で約16%(6人に1人ががんで死亡)であるのに対し、そのうち卵巣がんは約0.5%(188人に1人ががんで死亡)であった。このように、卵巣がんは罹患後の予後が悪いがんに分類され、早期発見の重要性が認識されている。初期の卵巣がんは自覚症状に乏しいことが多く、腫瘍が小さい段階でも遠隔転移やリンパ節にも転移しやすいことが、卵巣がんの予後が悪い原因として挙げられる。
そのため、卵巣がんの治療戦略として、有効な早期診断マーカーの確立が求められている。現在は、内診やエコー検査で発見された後、画像診断や血液腫瘍マーカーの測定により、良性と悪性の判定がなされる。使用される代表的な卵巣がん検査マーカーとしてCA125等が存在するが、初期の卵巣がんにおいては検出感度が約50%、特異性が約70%であるとされ、マーカー精度としては十分とは言い難い。特に、血清CA125は骨盤腔内腫瘤を患った患者において、卵巣がんの発症を予想するのを補助するために使用されるが、多くの良性婦人科及び非婦人科状態でもCA125は上昇し、初期卵巣がんの約半分においてCA125が正常値を示す(例えば、非特許文献1〜4)。
Einhorn et al., Hematol Oncol Clin North Am, 6(4):843-850 (1992) Campbell et al., Br J Obstet Gynaecol., 97(4):304-11 (1990) Jacobs et al., BMJ, 306(6884):1030-1034 (1993) DePriest et al., Gynecol Oncol, 51(2):205-209 (1993)
本発明は、卵巣腫瘍の存在を精度よく検出及び評価できるバイオマーカー、及び該バイオマーカーを用いて卵巣腫瘍の存在や、該腫瘍が存在する場合にはその悪性度を評価する方法を提供することを課題とする。
トリプトファンのC2原子にマンノースが炭素-炭素結合(C-C結合)したC−マンノシル化トリプトファン(以下では、C2-α-C-マンノシルピラノシル-L-トリプトファン、又はC-Man-Trpともいう)は、尿中へ含まれることが1994年にHoriuchiらによって初めて報告され(J. Biochem, 115:362-366 (1994))、その後同グループにより、血清中でのC-Man-Trpの濃度は、腎機能と相関することが報告された(Takahira et al., Am. J. Med., 110:192-197 (2001))。2010年代に入り、海外の複数のグループによる血清のメタボローム解析により、C-Man-Trpが、腎機能、老化、肺機能などと相関のある代謝物質として再度報告されるようになった(例えば、Menni et al., Int J Epidemiol, 42:1111-1119 (2013)、Niewczas et al., Kidney Int., 85:12214-12224、Solini et al., J. Clin Edocrinol Metab, 101(2):696-704 (2016))。
本発明者らは、C-Man-Trpと腎機能等との関連をさらに研究するため、まず、未変性のC-Man-Trpを収率よく単離できる方法の開発を進めた。上記報告では、C-Man-Trpを試料から抽出するために強酸による抽出が用いられているが、本発明者らの事前実験により、C-Man-Trpは強酸により変性されることが確認されたことから、強酸抽出では、C-Man-Trpの定量性への影響が懸念された。そこで、C-Man-Trpの変性を防ぐために、強酸溶媒ではなく有機溶媒を用いることに着想し、実際にC-Man-Trpを有機溶媒で抽出したところ、強酸で抽出した場合よりも、未変性のC-Man-Trpをより収率よく単離できることを見出した。しかも、この方法により単離したC-Man-Trpは、高価な液体クロマトグラフィー・質量分析計(LC-MS/MS)システムだけではなく、通常の実験施設に配置された安価な高速クロマトグラフィー(HPLC)や超高速クロマトグラフィー(UPLC)によっても測定が可能である。HPLCやUPLCを用いることで、簡便かつ安価なC-Man-Trp濃度の測定が可能となる。上記方法により、マウスの様々な組織からC-Man-Trpを抽出して濃度を測定したところ、C-Man-Trpは、意外にも卵巣及び子宮において高い濃度で存在することを突き止めた。この知見から、本発明者らは、卵巣腫瘍などの卵巣の疾患と、C-Man-Trp濃度とが関連するのではないかとの着想を得て、さらに研究を重ねた結果、卵巣がん患者において、健常者と比較して血中のC-Man-Trpの濃度が有意に高く、さらに非悪性卵巣腫瘍(即ち、良性卵巣腫瘍及び境界悪性卵巣腫瘍)患者群と、悪性卵巣腫瘍患者群においても、血中のC-Man-Trpの濃度が有意に異なることを見出した。そしてC-Man-Trpをバイオマーカーとして用いることで、既知の卵巣腫瘍マーカーを用いた場合よりも、精度よく卵巣腫瘍の存在を検出でき、また該腫瘍が存在する場合には、その悪性度を評価できること、しかも、他の卵巣腫瘍マーカーと併用することで、より精度よく卵巣腫瘍を検出できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] C−マンノシル化トリプトファンからなる、卵巣腫瘍の存在及び悪性度を評価するためのバイオマーカー。
[2] 被検動物由来の試料において、[1]に記載のバイオマーカーを検出又は定量する工程を含む、該被検動物に卵巣腫瘍が存在するか否か、又は存在する卵巣腫瘍の悪性度の評価を補助する方法。
[3] 被検動物由来の試料において、[1]に記載のバイオマーカーを検出又は定量する工程を含む、該被検動物における卵巣腫瘍、又は悪性卵巣腫瘍の存在の蓋然性を分析する方法。
[4] 以下の(i)〜(iii)の工程を含む、[2]又は[3]に記載の方法。
(i)被検動物由来の試料において、[1]に記載のバイオマーカーを定量する工程、
(ii)(i)で定量したバイオマーカーの量を基準値と比較する工程、及び
(iii)(ii)の結果に基づき、(i)で定量したバイオマーカーの量が基準値以上である場合に、該被検動物に卵巣腫瘍が存在する、又は該被検動物に悪性卵巣腫瘍が存在すると評価する工程
[5] さらに、被検動物由来の試料において、少なくとも1種の他の卵巣腫瘍マーカーの量を定量する工程を含む、[4]に記載の方法。
[6] 前記他の卵巣腫瘍マーカーが、CA125、CEA及びCA19-9からなる群からなる選択される、[5]に記載の方法。
[7] 前記試料が血漿である、[2]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8] 前記被検動物がヒトである、[2]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9] [1]に記載のバイオマーカーが、前記試料から有機溶媒を用いて抽出されることを特徴とする、[2]〜[8]に記載の方法。
[10] C−マンノシル化トリプトファンを特異的に認識する抗体を含む、卵巣腫瘍の存在及び悪性度を評価するための検査キット。
[11] さらに、他の卵巣腫瘍マーカーを特異的に認識する抗体を含む、[10]に記載のキット。
[12] 以下の(i)〜(iv)の工程を含む、卵巣腫瘍の治療方法。
(i)被検動物由来の試料における、[1]に記載のバイオマーカーを定量する工程、
(ii)(i)で定量したバイオマーカーの量を基準値と比較する工程、
(iii)(ii)の結果に基づき、(i)で定量したバイオマーカーの量が基準値以上である場合に、該被検動物に卵巣腫瘍が存在する、又は該被検動物に悪性卵巣腫瘍が存在すると評価する工程、及び
(iv)(iii)の結果に基づき、卵巣腫瘍が存在すると評価された被検動物に、卵巣腫瘍の治療薬を投与する工程
[13] 前記卵巣腫瘍の治療薬が、パクリタキセル、カルボプラチン、ベバシズマブ、オラパニブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アベルマブ、アテゾリズマブ、シスプラチン、エトポシド、ブレオマイシンからなる群より選択される、[12]に記載の方法。
[14] さらに、被検動物由来の試料において、少なくとも1種の他の卵巣腫瘍マーカーの量を定量する工程を含む、[12]又は[13]に記載の方法。
[15] 前記他の卵巣腫瘍マーカーが、CA125、CEA及びCA19-9からなる群からなる選択される、[14]に記載の方法。
C−マンノシル化トリプトファンは、必要に応じて他の卵巣腫瘍マーカーと併用することで、既知の卵巣腫瘍マーカーよりも精度よく卵巣腫瘍の存在を検出でき、また該腫瘍が存在する場合には、その悪性度を評価できるバイオマーカーとなり得る。
図1は、試料からC-Man-Trpを抽出、分離、検出及び定量する方法の概略図を示す。 図2は、C-Man-Trpの検出及び定量結果を示す。下記の実施例に記載した通りに、試料を有機溶媒抽出によって調製し、その後、遠心分離してUPLCに供した。(a) C-Man-Trpレベルを決定するための、HILICのアッセイのプロファイル。280 nmの吸光度(上図)、蛍光強度 (302 nmでの励起/350 nmでの発光)(中央の図)、及び367.15 [M+H]+のm/z値での質量存在量(mass abundance)(下図)を測定することによりモニターした、化学合成したC-Man-Trpのクロマトグラム。矢印は、C-Man-Trpに対応する保持時間を示す。(b) 化学合成したC-Man-Trpに基づく、C-Man-Trpレベルの検量線。下記の実施例に記載した通りに、蛍光強度(FLR)を測定することによりC-Man-Trpレベルを定量した。マウスの組織試料を調製し、UPLCに供した。マウスの脳(c)、肝臓(d)、血漿(e)及び尿(f)の試料において、HILICによりC-Man-Trpを測定した。 図3は、マウスの組織及び血漿におけるC-Man-Trpレベルを示す。下記の実施例に記載した通りに、オスマウス(n = 6)及びメスマウス(n = 6) (6週齢のC57BL/6マウス)に由来する組織試料において、C-Man-Trp濃度を測定した。表1のC-Man-Trp濃度のレベルを図示した。データは、平均±標準偏差(SD)を表す。 図4は、卵巣腫瘍患者の血漿におけるC-Man-Trpレベルおよび血清中のCA125レベルを示す。図中ではC-Man-TrpをCMWと表す。下記の実施例に記載した通りに、健常者7人、卵巣腫瘍患者49人(良性8人、境界悪性8人、悪性33人)の血漿において、C-Man-Trp濃度を測定した。健常者では148.1 nMの中央値を示し、良性卵巣腫瘍患者では174.9 nM、境界悪性腫瘍患者では208.5 nM、悪性卵巣癌患者では333.6 nMの値を示した。健常者と卵巣腫瘍患者の血漿中のC-Man-Trpは有意な差があるので、血漿中のC-Man-Trpの定量値から卵巣腫瘍の有無の判断ができる。さらに悪性卵巣癌の血漿中のC-Man-Trpは有意に高い値であるので、血漿中のC-Man-Trpの定量値から卵巣腫瘍の悪性の診断ができる。従来の卵巣癌マーカーであるCA125も各群で有意差を認めたが、良性や境界悪性の群でも高値を示す症例があり、悪性でも低い値を示す症例もあった。 図5は、卵巣腫瘍患者の血漿におけるC-Man-Trpレベルおよび血清中のCA125レベルを用い作成したROC(Receiver Operating Characteristic)曲線を示す。図中ではC-Man-TrpをCMWと表す。上記の卵巣腫瘍患者群のデータを用い、悪性卵巣癌の診断マーカーとしてのC-Man-Trpを従来の卵巣癌マーカーであるCA125と比較するためにROC曲線を作成した。悪性卵巣癌診断において、CA125の感度は72.4%、特異度は86.7%、AUC(Area Under the Curve)は0.831であった(カットオフ値190.3 U/mL)のに対し、C-Man-Trpの感度は93.1%、特異度は86.7%、AUCは0.915(カットオフ値223.5 nM)とより鋭敏なマーカーであった。さらに悪性卵巣癌診断において、C-Man-TrpとCA125を組み合わせた計算式(CMW+CA125; 0.022×CMW+0.0013×CA125-5.38, カットオフ値 0.645) を用いると、感度は93.1%、特異度は86.7%、AUCは0.931とさらに良い結果となった。血漿中のC-Man-Trpの定量値から卵巣腫瘍の悪性の診断ができるマーカーとしての精度が確認できた。
1.本発明のバイオマーカー
本発明は、該被検動物に卵巣腫瘍が存在するか否か、又は存在する場合には、その卵巣腫瘍の悪性度の評価するための、C−マンノシル化トリプトファン(以下「C-Man-Trp」と称することがある)(構造式を式1に示す)からなるバイオマーカー(以下「本発明のバイオマーカー」と称することがある)を提供する。なお、本明細書において、良性卵巣腫瘍、境界悪性卵巣腫瘍及び悪性卵巣腫瘍を纏めて「卵巣腫瘍」と称し、良性卵巣腫瘍及び境界悪性卵巣腫瘍を纏めて「非悪性卵巣腫瘍」と称し、境界悪性卵巣腫瘍及び悪性卵巣腫瘍を纏めて「卵巣がん」と称することがある。
下述の実施例で示す通り、悪性卵巣腫瘍の存在を判定するために、本発明のバイオマーカーと既知の卵巣腫瘍マーカーとを併用することで、より精度よく悪性卵巣腫瘍の存在を判定できることが実証された。かかる既知の卵巣腫瘍マーカーとしては、例えば、CA125、CEA、CA19-9などが挙げられる。
これらの既知の卵巣腫瘍バイオマーカーは、公知のタンパク質合成法、例えば、固相合成法、液相合成法等に従って製造することができる。得られたタンパク質は、公知の精製法、例えば、溶媒抽出、蒸留、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、再結晶、これらの組み合わせ等により精製単離することができる。また、自体公知の方法により、生体試料から単離、精製してもよい。
本発明のバイオマーカーにより判定又は評価される卵巣腫瘍としては、表層上皮性間質性腫瘍、性索間質性腫瘍、胚細胞腫瘍、その他の腫瘍が挙げられる。表層上皮性間質性腫瘍の非悪性卵巣腫瘍としては、漿液性嚢胞腺腫、粘液性嚢胞腺腫、類内膜腺腫、明細胞腺腫、明線維腫、表在性乳頭腫、ブレンナー腫瘍などが挙げられ、表層上皮性間質性腫瘍の悪性卵巣腫瘍としては、漿液性(嚢胞)腺癌、粘液性(嚢胞)腺癌、類内膜腺癌、明細胞腺癌、腺癌線維腫、腺肉腫、中胚葉性混合腫瘍(癌肉腫)、悪性ブレンナー腫瘍、移行上皮癌、未分化癌などが挙げられる。性索間質性腫瘍の良性卵巣腫瘍としては、莢膜細胞種、繊維腫、硬化性間質性腫瘍、セルトリ・間質細胞腫瘍(高分化型)、ライディク細胞種(門細胞種)、輪状細管を伴う性索腫瘍などが挙げられ、性索間質性腫瘍の境界悪性卵巣腫瘍としては、顆粒膜細胞腺、セルトリ・間質細胞腫瘍(中分化型)、ステロイド(脂質)細胞腫瘍、ギナンドロブラストーマなどが挙げられ、性索間質性腫瘍の悪性卵巣腫瘍としては、線維肉腫、セルトリ・間質細胞腫瘍(低分化型)などが挙げられる。胚細胞腫瘍の良性卵巣腫瘍としては、成熟嚢胞性奇形腫(皮様嚢胞腫)、成熟充実性奇形腫、卵巣甲状腺腫などが挙げられ、胚細胞腫瘍の境界悪性卵巣腫瘍としては、未熟奇形腫(G1,G2)、カルチノイド、甲状腺腫性カルチノイドなどが挙げられ、胚細胞腫瘍の悪性卵巣腫瘍としては、未分化胚細胞種、卵黄嚢腫瘍(内胚葉洞腫瘍)、胎芽性癌(胎児性癌)、多胎芽腫、絨毛癌、悪性転化を伴う成熟嚢胞性奇形腫、未熟奇形腫(G3)などが挙げられる。その他の良性卵巣腫瘍としては、非特異的軟部腫瘍、腺腫様腫瘍などが挙げられ、その他の境界悪性卵巣腫瘍としては、性腺芽腫(純粋型)などが挙げられ、その他の悪性卵巣腫瘍としては、癌腫、肉腫、悪性リンパ腫(原発性)、二次性(転移性)腫瘍などが挙げられる。卵巣腫瘍の悪性度の評価は、例えば、漿液性嚢胞腺腫が存在する被検動物を例に挙げれば、該動物中の本発明のバイオマーカーの濃度により、該漿液性嚢胞腺腫が良性若しくは境界悪性であるか、あるいは悪性(即ち、漿液性(嚢胞)腺癌)であるか評価することができる。
本発明のバイオマーカーにより判定又は評価される被検対象となり得る動物(即ち、被検動物)としては、特に制限されないが、好ましくは、卵巣腫瘍の存在が疑われる動物が挙げられる。動物の種類としては、例えば、哺乳動物(例:ヒト、サル、ウシ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、ハムスター、モルモット、マウス、ラット等)、鳥類(例:ニワトリ等)などが挙げられる。好ましくは、哺乳動物、より好ましくはヒトである。
2.卵巣腫瘍の検出及び評価方法
後述する実施例の通り、発明者らは、C-Man-Trpの血漿中の濃度が、卵巣腫瘍の悪性度に相関することを見出した。具体的には、C-Man-Trpの血漿中の濃度が、健常者群と、卵巣腫瘍者群とで有意に異なること、さらに、C-Man-Trpの血漿中の濃度が、非悪性卵巣腫瘍者群と、悪性卵巣腫瘍者群とで有意に異なることを見出した。従って、本発明は、被検動物由来の試料(即ち、被検動物から採取した試料)について、本発明のバイオマーカーを検出又は定量することを含む、該被検動物に卵巣腫瘍が存在するか否か、又は存在する卵巣腫瘍の悪性度を評価等(例:評価、分析、診断、判定、判断、検出)する方法、又は該評価等を補助する方法(以下では、これらを纏めて「本発明の評価方法」と称することがある)を提供する。あるいは、被検動物由来の試料について、本発明のバイオマーカーを検出又は定量することを含む、該被検動物における卵巣腫瘍、又は悪性卵巣腫瘍の存在の蓋然性を分析等(例:分析、評価、検出)する方法(以下「本発明の分析方法」と称する場合がある)を提供する。以下では、本発明の評価方法と本発明の分析方法をまとめて「本発明の方法」と称する場合がある。
本発明の方法は、具体的には、(i)被検動物由来の試料における本発明のバイオマーカーを定量する工程、(ii)(i)で定量したバイオマーカーの量を比較する工程、及び(iii)(ii)の結果に基づき、該被検動物に卵巣腫瘍が存在する、又は該被検動物に悪性卵巣腫瘍が存在すると評価等する工程、を含み得る。本発明において、「存在すると評価等する」には、存在している蓋然性が高いと評価等することも包含されるものとする。また、工程(iii)は、より具体的には、本発明のバイオマーカーの量が、あらかじめ設定した基準値以上の場合に、卵巣腫瘍が存在すると評価等すること、及び該バイオマーカーの量が、前記基準値とは異なる基準値以上の場合に、該卵巣腫瘍が悪性卵巣腫瘍であると評価等する工程が包含される。
本発明の方法において、本発明のバイオマーカーは、単独で用いてもよく、1種類以上の上記1.の既知の卵巣腫瘍マーカーと組み合わせて用いてもよい。例えば、2種類のバイオマーカー(即ち、本発明のバイオマーカー及び1種の既知の卵巣腫瘍マーカー)を組み合わせて用いる場合には、例えば、2種類のバイオマーカーを検出又は定量し、その結果に基づき(必要であれば計算式に当てはめる)、上記工程(iii)を行ってもよい。あるいは、まず1種類目のバイオマーカーを検出又は定量し、その結果に基づき、被検動物に卵巣腫瘍又は悪性卵巣腫瘍が存在しているか評価等し、その評価結果を踏まえ、さらに2種類目のバイオマーカーを検出又は定量し、その結果を用いて、上記工程(iii)を行ってもよい。3種類以上用いる場合にも、同様に判定することができる。2種以上を組み合わせて用いる場合の好ましい組合せとして、本発明のバイオマーカーとCA125との組み合わせが挙げられる。なお、本明細書において、本発明のバイオマーカーと、上記既知の卵巣腫瘍マーカーとを纏めて、単に「バイオマーカー」と省略することがある。
本発明の方法を行う被検動物の種類については、上記1.に記載の通りである。被検動物由来の試料は、本発明のバイオマーカーを含有し得る限り特に限定されないが、例えば、血液、血清、血漿、唾液、尿、涙、汗、乳汁、鼻汁、精液、胸水、消化管分泌液、脳脊髄液、組織間液、及びリンパ液などが挙げられ、好ましくは血清又は血漿であり、より好ましくは血漿である。これらの試料は、自体公知の方法により得ることができ、例えば、血清や血漿は、常法に従って被検動物から採血し、液性成分を分離することにより調製することができ、脳脊髄液は、脊椎穿刺等の公知の手段により採取することができる。
試料からC-Man-Trpの抽出は、自体公知の方法により行うことができ、例えば、例えば、Takahira et al., Am. J. Med., 110:192-197 (2001)やWO2014/046163に記載された、酸(例:塩酸、過塩素酸等)と、還元剤処理溶液(例:アスコルビン酸)を含む強酸溶媒により、試料からC-Man-Trpを抽出する方法が挙げられる。しかしながら、上述の通り、C-Man-Trpは強酸により変性されることが確認されたことから、精度の高い検出、定量の観点からは、有機溶媒を用いることが好ましい。かかる有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ベンゼン、アセトニトリル、アセトン、クロロホルムや、これらの組み合わせなどが挙げられる。前記有機溶媒には、他の成分、例えば、弱酸(例:ギ酸、炭酸、硫化水素、酢酸等)を含んでいてもよい。好ましい態様において、上記有機溶媒は、メタノール、アセトニトリル及びギ酸を(例えば、メタノール:アセトニトリル:ギ酸=80:19.9:0.1で)含む溶媒である。
このようにして抽出したC-Man-Trpは、自体公知の方法により検出又は測定することができる。例えば、Takahira et al., Am. J. Med., 110:192-197 (2001)に記載された、逆相カラムと蛍光検出を用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量分析を行う方法、WO99/09411に記載された、逆相クロマトグラフィーと蛍光検出によるHPLC法や、C-Man-Trpを特異的に認識する抗体を用いた検疫学的定量法、WO2014/046163に記載された、移動相にスルホン酸系のイオン対試薬を含む逆相クロマトグラフィーによるC-Man-Trpの測定方法、Sekula et al., Sci Rep, 7:17400 (2017)に記載された、HPLCによる分離とエレクトロスプレーイオン化トリプル四重極質量分析計による検出及び定量法、本発明者らが開発した、親水性相互作用クロマトグラフィーと蛍光検出を組み合わせたUPLC法などが挙げられるが、C-Man-Trpを検出又は測定できる限り、これらの方法に限定されない。
被検動物由来の試料におけるバイオマーカーの検出又は定量は、上記の方法以外にも、例えば、該試料からRNA(例:全RNA、mRNA)画分を調製し、該画分中に含まれるバイオマーカー転写産物を検出又は定量することにより行うことができる。従って、一実施態様において、本発明の方法は、バイオマーカー転写産物をそれぞれ特異的に認識し得る核酸プローブ又は核酸プライマーを用いて検出又は定量することを含む。
RNA画分の調製は、グアニジン−CsCl超遠心法、AGPC法など公知の手法を用いて行うことができ、市販のRNA抽出用キット(例:RNeasy Mini Kit;QIAGEN製等)を用いて、微量検体から迅速且つ簡便に高純度の全RNAを調製することもできる。RNA画分中のバイオマーカー転写産物を検出又は定量する手段としては、例えば、ハイブリダイゼーション(ノーザンブロット、ドットブロット等)を用いる方法、あるいはPCR(RT−PCR、競合PCR、リアルタイムPCR等)などを用いる方法などが挙げられる。微量試料から迅速且つ簡便に定量性よくバイオマーカーをコードする各遺伝子の発現変動を検出できる点で、競合PCRやリアルタイムPCRなどの定量的PCR法が好ましい。
上記核酸プローブ又は核酸プライマーは、バイオマーカーの遺伝子の転写産物の一部もしくは全部を増幅し得るプライマーセットを用い、被検動物の細胞由来のcDNA若しくはゲノムDNAを鋳型としてPCR法によって所望の長さの核酸を増幅するか、該cDNA若しくはゲノムDNAライブラリーから、コロニー若しくはプラークハイブリダイゼーション等により上記の遺伝子若しくはcDNAをクローニングし、必要に応じて制限酵素等を用いて適当な長さの断片とすることにより取得することができる。あるいは、市販のDNA/RNA自動合成機等を用いて化学的に合成することによっても得ることができる。
上記核酸プローブ又は核酸プライマーは、標的核酸の検出・定量を可能とするために、標識剤により標識されていることが好ましい。標識剤としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが用いられる。放射性同位元素としては、例えば、〔32P〕、〔3H〕、〔14C〕などが用いられる。酵素としては、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリホスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用いられる。蛍光物質としては、例えば、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが用いられる。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用いられる。さらに、プローブと標識剤との結合にビオチン−(ストレプト)アビジンを用いることもできる。
あるいは、被検動物由来の試料におけるバイオマーカーの検出又は定量は、該試料から、(修飾)アミノ酸又はペプチド(ペプチドにはタンパク質や修飾(例:糖鎖修飾)ペプチドも包含される)画分を調製し、該画分中に含まれる該遺伝子の翻訳産物を検出又は定量することにより調べることができる。これらのアミノ酸又はペプチドの検出又は定量は、各アミノ酸又はペプチドを特異的に認識する抗体を用いて、免疫学的測定法(例:CLEIA、ELISA、FIA、RIA、ウェスタンブロット等)によって行うことができる。従って、一実施態様において、本発明の方法は、バイオマーカーをそれぞれ特異的に認識し得る抗体を用いて、該バイオマーカーを検出又は定量することを含む。
バイオマーカーをそれぞれ特異的に認識し得る抗体は、バイオマーカータンパク質又はエピトープを有する部分ペプチド又はアミノ酸を免疫原として用い、既存の一般的な製造方法によって製造することができる。本明細書において、抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(mAb)等の天然型抗体、遺伝子組換技術を用いて製造され得るキメラ抗体、ヒト化抗体や一本鎖抗体、及びこれらの結合性断片などが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、抗体はポリクローナル抗体、モノクローナル抗体又はこれらの結合性断片である。結合性断片とは、特異的結合活性を有する前述の抗体の一部分の領域を意味し、具体的には例えばF(ab’)、Fab’、Fab、Fv、sFv、dsFv、sdAb等が挙げられる(Exp. Opin. Ther. Patents, Vol.6, No.5, p.441-456, 1996)。抗体のクラスは、特に限定されず、IgG、IgM、IgA、IgDあるいはIgE等のいずれのアイソタイプを有する抗体をも包含する。好ましくは、IgG又はIgMであり、精製の容易性等を考慮するとより好ましくはIgGである。また、本発明において、バイオマーカーをそれぞれ特異的に認識し得る抗体として、市販の抗体又は抗体を含むキット(例:AIA-パックCL(登録商標)(東ソー)等)やアレイ等を使用することもまた好ましい。
個々の免疫学的測定法を本発明の方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えてバイオマーカーの測定系を構築すればよい。これらの一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参照することができる。例えば、入江寛編「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和49年発行)、入江寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」Vol.70(Immunochemical Techniques(Part A))、同書Vol.73(Immunochemical Techniques(Part B))、同書Vol.74(Immunochemical Techniques(Part C))、同書Vol.84(Immunochemical Techniques(Part D:Selected Immunoassays))、同書Vol.92(Immunochemical Techniques(Part E:Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods))、同書Vol.121(Immunochemical Techniques(Part I:Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies))(以上、アカデミックプレス社発行)などを参照することができる。
また、バイオマーカーの検出又は定量は、ハイスループットなペプチドの検出又は定量解析が可能なiTRAQTM試薬(ABI社)及び質量分析計の組み合わせによりプロテオーム解析を用いて検出又は定量してもよい。
バイオマーカーの量の比較は、例えば、卵巣腫瘍が存在しない対照動物由来の試料、又は卵巣腫瘍が存在する対照動物由来の試料(以下「対照試料」と称する場合がある)、及び対象とする被検動物由来の試料におけるバイオマーカーの濃度を定量し、両者の濃度を比較することにより行うことができる。
あるいは、バイオマーカーの量を基準値と比較することにより行ってもよい。
本発明に用いる「基準値」としては、対照試料における本発明のバイオマーカーの量を用いてもよい。あるいは、対照試料におけるバイオマーカーの定量値からあらかじめ設定した値を用いてもよい。この場合、基準値として、例えば、複数個体を対照群として、複数個体の測定値の中央値、平均値や最頻値などを採用することもできる。
前記基準値は、カットオフ値であってもよい。「カットオフ値」は、その値を基準として疾患の判定をした場合に、高い診断感度(有病正診率)及び高い診断特異度(無病正診率)の両方を満足できる値である。例えば、卵巣腫瘍が存在する個体群で高い陽性率を示し、かつ、卵巣腫瘍が存在しない個体群で高い陰性率を示す値をカットオフ値として設定することができる。
カットオフ値の算出方法は、この分野において周知である。例えば、各対照試料(例:血漿)中の本発明のバイオマーカーの量をそれぞれ定量し、定量された値における診断感度及び診断特異度を求め、これらの値に基づき、市販の解析ソフトを使用してROC(Receiver Operating Characteristic)曲線を作成する。そして、診断感度と診断特異度が可能な限り100%に近いときの値を求めて、その値をカットオフ値とすることができる。バイオマーカーを2種類以上用いる場合には、各バイオマーカーの量を組み合わせて、ROC曲線を作成することもできる。具体的には、悪性卵巣癌診断において、CA125の感度は72.4%、特異度は86.7%、AUC(Area Under the Curve)は0.831であった(カットオフ値190.3 U/mL)のに対し、C-Man-Trpの感度は93.1%、特異度は86.7%、AUCは0.915(カットオフ値223.5 nM)とより鋭敏なマーカーであった。さらに悪性卵巣癌診断において、C-Man-TrpとCA125を組み合わせた計算式(CMW+CA125; 0.022×CMW+0.0013×CA125-5.38, カットオフ値 0.645) を用いると、感度は93.1%、特異度は86.7%、AUCは0.931とさらに良い結果となった。CMWとはC-Man-Trpの略号である。
採取した血漿中の本発明のバイオマーカーの好適なカットオフ値として、223.5(nM)が挙げられ、CA125を組み合わせた場合には、例えば以下の計算式を用いた場合の0.645が挙げられるが、これらの数値は、サンプルサイズや他の条件により変動し得るものであり、この数値に限定されるものではない。
また、基準値は、決定木分析により設定される分岐点の基準値であってもよい。分岐点は、例えば、各対照試料において、本発明のバイオマーカーの量をそれぞれ決定し、決定木分析を行い、ジニ係数、エントロピー、カイ二乗統計量などの基準尺度で表されるデータの不純度を利用して、変数(例:試料中の本発明のバイオマーカーの濃度)とその基準値を作成し、決定することができる。決定木分析は、自体公知の方法、例えば、決定木分析用のソフトフェア(統計解析ソフトR及びrpartパッケージ)を用いた方法、などにより行うことができる。
上記本発明のバイオマーカーの量の比較の結果、例えば、被検動物由来の試料において、本発明のバイオマーカーが、対照試料に比べて、統計学的に有意に高い値として測定された場合、又は上記基準値以上である場合には、該被検動物に卵巣腫瘍又は悪性卵巣腫瘍が存在すると評価等することができ、本発明のバイオマーカーが、対照試料に比べて統計学的な有意差が認められない、若しくは統計学的に有意に低い値として測定された場合、又は上記基準値未満である場合には、該被検動物に卵巣腫瘍が存在しない(若しくは存在しない蓋然性が高い)か、又は非悪性卵巣腫瘍が存在する(若しくは存在する蓋然性が高い)と評価等することができる。
3.卵巣腫瘍の治療又は予防方法
上記2.で記載した本発明の方法の結果、被検動物に卵巣腫瘍又は悪性卵巣腫瘍が存在するとの評価等がされた場合、該評価等の結果に基づき、該被検動物に投与すべき卵巣腫瘍の治療薬又は予防薬(以下では纏めて「治療薬」と称する)を選択(又は決定)し、該被検動物に治療上又は予防上有効量の該治療薬を投与することにより、卵巣腫瘍を治療又は予防することができる。本明細書において、「治療薬」には、卵巣腫瘍の根治治療を目的とする医薬だけでなく、例えば、これらの疾患の進行抑制を目的とする医薬又は症状の軽減を目的する医薬も含まれるものとする。
かかる治療薬としては、例えば、タキサン製剤(例:パクリタキセル等)、プラチナ製剤(例:カルボプラチン等)、分子標的治療薬(例:ベバシズマブ、オラパニブ等)、免疫チェックポイント阻害薬(例:ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アベルマブ、アテゾリズマブ等)、その他の抗がん剤(例:シスプラチン、エトポシド、ブレオマイシン等)などが挙げられるが、これらに限定されない。上記治療薬は、患者の症状に合わせて、適宜組み合わせて使用してもよい。
上記治療薬は、有効成分をそのまま単独で、又は薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤等と混合し、適当な剤型の医薬組成物として経口的又は非経口的に投与してもよい。経口投与のための組成物としては、固体又は液体の剤形、具体的には錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を含む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等が挙げられる。一方、非経口投与のための組成物としては、例えば、注射剤、坐剤等が用いられ、注射剤は静脈注射剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤等の剤形を包含してもよい。また、治療薬の投与量は、化合物の種類、投与対象の症状、齢、体重、薬物受容性等の種々の条件により、適宜設定することができる。
4.本発明の検査キット
さらに本発明は、卵巣腫瘍の存在及び悪性度を評価するための検査キット(以下、本発明の検査キット)を提供する。本発明の検査キットには、C-Man-Trpを特異的に認識する抗体が含まれる。C-Man-Trpを特異的に認識する抗体としては、例えば、WO99/09411に記載の抗体などが挙げられる。また、本発明の検査キットには、上記1.の既知の卵巣腫瘍マーカーを特異的に認識する、上記2.に記載の抗体が含まれていてもよく、具体的には、例えばCEAを特異的に認識する抗体、CA19-9を特異的に認識する抗体、CA125を特異的にする抗体などが挙げられる。
本発明の検査キットには、上記抗体に加えて、本発明のバイオマーカーの発現を検出又は定量するための反応において必要な他の物質を含んでいてもよい。これらの他の物質は、反応に悪影響を及ぼさない限り、抗体等と共存状態で提供されてもよく、あるいは、別個の試薬とともに提供されてもよい。前記他の物質としては、例えば、反応緩衝液、competitor抗体、標識された二次抗体(例えば、一次抗体がウサギ抗体の場合、ペルオキシダーゼやアルカリホスファターゼ等で標識されたマウス抗ウサギIgGなど)、ブロッキング液、ELISA用プレートなどが挙げられる。また、本発明の検査キットには、キットや試薬の使用方法や、疾患の判定基準等の説明が記載された説明書を含んでいてもよい。また、上記検査キットには、例えばポジティブコントロールとして用いるため、本発明のバイオマーカー及び/又は上記既知の卵巣腫瘍マーカーを含んでいてもよい。
以下に、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではないことは明らかである。
後述の実施例では、以下のようにして実験を行った。
<試薬>
本研究において使用した試薬は、Sigma (St. Louis, MO)、Waters (Milford, MA)又はWako Pure Chemical Industries, Ltd. (Osaka, Japan)から購入した。
<C2-α-C-マンノシルピラノシル-L-トリプトファンの合成>
既報の方法(Manabe et al., J. Am Chem Soc, 121:9754 (1999))と同様にして、C2-α-C-マンノシルピラノシル-L-トリプトファン (C-Man-Trp)を合成した。1H NMR分光法及びマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)質量分析法により、最終産物の純度及び同一性を検証した。プロトン化学シフト及びカップリング定数は、既報のものと一致していた。MALDI質量分析法の質量は、正しい産物の予測された質量と一致していた。
<実験用マウス>
特に明記しない限り、C57BL/6マウスは、Kiwa Laboratory Animals Co., Ltd., Japanから購入した。全てのマウスを、オートクレーブしたケージに収容し、餌料と水を自由に摂取させて維持した。全ての実験手順は、和歌山県立医科大学の動物実験委員会の承認を得て、和歌山県立医科大学における動物実験等の実施に関する規程に従い実施した。
<生化学的及び代謝パラメーター>
血漿中及び尿中の他の生化学的パラメーターを、Nagahama Life Science Laboratory (Nagahama, Japan)により分析した。血漿中又は尿中のクレアチニンレベルを、対応する酵素キット(Wako Pure Chemical)を用いて測定した。酵素法(LusicaGA-L, Sekisui Medical Co., Ltd., Tokyo, Japan)により、血漿の糖化したアルブミンレベルを測定した。酵素結合免疫吸着アッセイキットAKRAL-121 (Shibayagi, Gunma, Japan)により、尿中のアルブミンレベルを測定した。
<試料の調製>
屠殺の前日に、尿検査のため、マウスを24時間代謝ケージに移した。イソフルランを用いてマウスを麻酔し、心臓から血液を採取した。頸椎脱臼措置の後、組織を摘出し、氷冷したリン酸緩衝生理食塩水 (PBS、pH7.2)で洗浄し、細かく刻んだ。試料を液体窒素中で凍結し、使用するまで-80℃で保存した。C-Man-Trpレベルの測定のために、凍結試料を抽出溶液 (メタノール:アセトニトリル:ギ酸=80:19.9:0.1)中でホモジェナイズし、12,000×gで15分間、4℃で遠心分離し、上清を回収した。液体試料(尿又は血漿)を、抽出溶液で希釈し、上清を同様に回収した。液体クロマトグラフィー分析の前に、全ての上清を、PVDFシリンジフィルター(0.45μm)を使用して更に濾過した。
<ヒト血漿からのC-Man-Trp試料の調製>
採取したヒト血液を、2,000×gで10分間、常温で遠心分離し、上清をヒト血漿として回収した。試料を液体窒素中で凍結し、使用するまで-80℃で保存した。C-Man-Trpレベルの測定のために、血漿に対し5倍量の抽出溶液 (メタノール:アセトニトリル:ギ酸=50:49.9:0.1) と混合し、12,000×gで15分間、4℃で遠心分離し、上清を回収した。液体クロマトグラフィー分析の前に、全ての上清を、PVDFシリンジフィルター(0.45μm)を使用して更に濾過した。
<UPLCの条件>
C-Man-Trpアッセイ用の試料を、フォトダイオードアレイ検出器、蛍光検出器、アイソクラティック溶媒マネージャー、及びエレクトロスプレーイオン化(ESI)を有するシングル四重極質量分析計(Waters H-Class QDa system)を備えるWaters Acquity UPLC(超高速液体クロマトグラフィー) H-Classシステム(Waters Corp., Milford, MA)に供した。40℃に維持したAquity UPLC BEH アミドカラム (2.1×100 mm、1.7 μm)上で分離を行った。溶媒A (水:アセトニトリル = 15:85)及び溶媒B (水:アセトニトリル = 45:55)はいずれも、0.025%のギ酸を含んでいた。0.5 ml/分の流速で、100%の溶媒Aで1分間、0〜100%の溶媒Bで5分間の直線勾配によりC-Man-Trpを溶出し、次の注入前に溶媒Aを用いて5分間、カラムを平衡化した。C-Man-Trpピークの検証のために、アイソクラティック溶媒マネージャーを用いて、溶出液を2つの流路に分けた。流路の一方を、後ろに蛍光検出器が続くフォトダイオードアレイ検出器に接続し、もう一方は、シングル四重極質量分析計に接続した。蛍光の検出(302 nmでの励起/350 nmでの発光)及び280 nmでの吸光の検出を用いてC-Man-Trpをモニターした。化合物の質量の検出は、次の条件で行った:陽イオン化モード;噴霧(N2)ガス流、20 L/分;プローブ温度、600°C;コーン電圧、15 V;C-Man-Trpに対してm/z値が367.15 [M+H]+で選択されたイオン記録モード。Empower 3ソフトウェアを使用してデータの補正及び処理を行った。
上記の通り、C-Man-Trpを化学的に合成し、アッセイにおける標準化合物として使用した。測定した蛍光強度及び質量存在量に基づくC-Man-Trpの検出限界は、それぞれ25 nM及び10 nMであった。組織 (脳及び肝臓)、血漿並びに尿に由来する検体を、濃度が既知であるC-Man-Trpを含む検体と比較することによって、抽出回収率を評価した。蛍光強度によって検出したC-Man-Trpの抽出回収率は、90.9% (血漿)〜100.2% (脳)であった。質量分析の検出による、抽出回収率は、100.7% (脳)〜101.3% (肝臓)であった。
<統計分析>
マウス試料の解析データを、平均±標準偏差として表した。対応の無い(unpaired) StudentのT検定を使用して、統計分析を行った(GraphPad Prism7;GraphPadソフトウェア)。P < 0.05を有意とみなした。ヒト血漿の解析データを中央値として表した。Mann-WhitneyのU検定およびROC解析を使用して、統計解析を行った(JMP Pro 13)。P < 0.05を有意とみなした。
実施例1:親水性相互作用液体クロマトグラフィー(HILIC)によるC-Man-Trpのアッセイ
本実施例においては、上述した通りに、超高速液体クロマトグラフィー (UPLC)と、それに続くC-Man-Trpの蛍光強度又は質量存在量の検出を用いた、C-Man-Trpの新規アッセイ系を確立した。図2aに示す通り、化学合成したC-Man-Trp (矢印)をHILICによって分離し、280 nmでの吸光度(上図)及び蛍光強度(302 nmでの励起/350 nmでの発光) (中央の図)をモニターすることによって検出した。C-Man-Trpと考えられる目的のピークの質量を、m/z値が367.15 [M+H]+(C-Man-Trpに対応する)であるものとして、質量分析法によって確認し、その質量存在量も測定した(下図)。様々な濃度のC-Man-Trpの標準化合物を用いて、C-Man-Trpの蛍光強度(FLR)及び質量存在量 (QDa)を測定した。本実施例においては、図2bに示される検量線により、各試料についてC-Man-Trpの定量を行った。肝臓 (図2c)、脳 (図2d)、血漿 (図2e)及び尿(図2f)について、C-Man-Trpの典型的な溶出パターンが観察された。脳及び肝臓においては、C-Man-Trpは、3.9分の保持時間を伴う主な蛍光ピークとして検出された。血漿及び尿においては、C-Man-Trpは検出されたが、C-Man-Trpの保持時間に近い保持時間を有する他のピークが存在した。
実施例2:C57BL/6マウスの血漿及び組織におけるC-Man-Trpレベルの定量
上述の通りに、C57BL/6マウス(オス及びメス、6週齢)から、多くの組織及び器官の試料を調製した。UPLC-FLR分析によって、各試料について、C-Man-Trpレベルを調べ、定量した。図3及び表1に示す通り、調べた全ての試料においてC-Man-Trpが検出されたが、そのレベルは組織間で異なっていた。C-Man-Trpレベルは、特に卵巣及び子宮において高かった。高いC-Man-Trpレベルを有していた他の器官としては、脳、脾臓、肺、膀胱及び精巣が挙げられた。骨格筋においては、C-Man-Trpのレベルは低かった。更に、生殖器を除く、調べた組織及び器官においては、C-Man-Trpレベルは性別間で類似していた。これらの結果から、C-Man-Trpの産生又は代謝は、マウスの各組織及び器官において異なる様式で制御されていることが示唆される。
実施例3:ヒトの血漿中のC-Man-Trp濃度の定量
上述の通り、健常者(対照)7人、卵巣腫瘍患者49人(良性8人、境界悪性8人、悪性33人)のC-Man-Trp濃度を定量した。結果を図4に示す。図中ではC-Man-TrpをCMWと表す。図4に示す通り、C-Man-Trpの血漿中の濃度の中央値は、健常者では148.1 nMの中央値を示し、良性卵巣腫瘍患者では174.9 nM、境界悪性腫瘍患者では208.5 nM、悪性卵巣癌患者では333.6 nMの値を示した。健常者と卵巣腫瘍患者の血漿中のC-Man-Trpは有意な差があるので、血漿中のC-Man-Trpの定量値から卵巣腫瘍の有無の判断ができる。さらに悪性卵巣癌の血漿中のC-Man-Trpは有意に高い値であるので、血漿中のC-Man-Trpの定量値から卵巣腫瘍の悪性の診断が可能となる。従来の卵巣癌マーカーであるCA125についても、市販のキット(AIA-パックCL(登録商標)CA125(東ソー))及び全自動化学発光酵素免疫測定装置(AIA-CL2400:東ソー)を用いて、メーカーの説明書に従い血清中の濃度を測定したところ、各群で有意差を認めたが、良性や境界悪性の群でも高値を示す症例があり、悪性でも低い値を示す症例もあった。
実施例4:C-Man-Trpのバイオマーカーとしての精度評価
実施例3で得られた卵巣腫瘍患者群のデータを用いて、既知の卵巣腫瘍マーカーであるCA125と比較した、卵巣がんの診断マーカーとてのC-Man-Trpの精度を評価するため、上述のようにROC曲線を作成した。結果を図5に示す。図中ではC-Man-TrpをCMWと表す。CA125の感度は72.4%、特異度は86.7%、AUC(Area Under the Curve)は0.831であった(カットオフ値190.3 U/mL)のに対し、C-Man-Trpの感度は93.1%、特異度は86.7%、AUCは0.915(カットオフ値223.5 nM)とより鋭敏なマーカーであった。さらに悪性卵巣癌診断において、C-Man-TrpとCA125を組み合わせた計算式(CMW+CA125; 0.022×CMW+0.0013×CA125-5.38, カットオフ値 0.645)を用いると、感度は93.1%、特異度は86.7%、AUCは0.931とさらに良い結果となった。血漿中のC-Man-Trpの定量値から卵巣腫瘍の悪性の診断ができるマーカーとしての精度が確認された。
本発明のC−マンノシル化トリプトファンは、被検動物における卵巣腫瘍及び/又は卵巣がんの存在を判定するための精度の高いバイオマーカーとして有用である。

Claims (11)

  1. C−マンノシル化トリプトファンからなる、卵巣腫瘍の存在及び悪性度を評価するためのバイオマーカー。
  2. 被検動物由来の試料において、請求項1に記載のバイオマーカーを検出又は定量する工程を含む、該被検動物に卵巣腫瘍が存在するか否か、又は存在する卵巣腫瘍の悪性度の評価を補助する方法。
  3. 被検動物由来の試料において、請求項1に記載のバイオマーカーを検出又は定量する工程を含む、該被検動物における卵巣腫瘍、又は悪性卵巣腫瘍の存在の蓋然性を分析する方法。
  4. 以下の(i)〜(iii)の工程を含む、請求項2又は3に記載の方法。
    (i)被検動物由来の試料において、請求項1に記載のバイオマーカーを定量する工程、
    (ii)(i)で定量したバイオマーカーの量を基準値と比較する工程、及び
    (iii)(ii)の結果に基づき、(i)で定量したバイオマーカーの量が基準値以上である場合に、該被検動物に卵巣腫瘍が存在する、又は該被検動物に悪性卵巣腫瘍が存在すると評価する工程
  5. さらに、被検動物由来の試料において、少なくとも1種の他の卵巣腫瘍マーカーの量を定量する工程を含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記他の卵巣腫瘍マーカーが、CA125、CEA及びCA19-9からなる群からなる選択される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記試料が血漿である、請求項2〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記被検動物がヒトである、請求項2〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 請求項1に記載のバイオマーカーが、前記試料から有機溶媒を用いて抽出されることを特徴とする、請求項2〜8に記載の方法。
  10. C−マンノシル化トリプトファンを特異的に認識する抗体を含む、卵巣腫瘍の存在及び悪性度を評価するための検査キット。
  11. さらに、他の卵巣腫瘍マーカーを特異的に認識する抗体を含む、請求項10に記載のキット。
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