JP2020118518A - 複合素子及びセンサ - Google Patents

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【課題】厚みが薄くフレキシブル性に優れた複合素子及びセンサを提供する。【解決手段】複合素子10は、例えば、第1の導電層11と、絶縁層12と、第2の導電層13と、有機圧電材料を含んだ圧電層14と、第3の導電層15とをこの順に含んだ積層構造を有している。第1の導電層11、第2の導電層13、及び、第3の導電層15は、電気伝導性を持つ高分子化合物を繊維基材に付着させた構造を有している。各層の間には、例えば、接着剤層16が設けられていてもよい。第1の導電層11は静電誘導センサとして機能し、第2の導電層13、圧電層14、及び、第3の導電層15は圧電センサとして機能する。【選択図】図1

Description

本発明は、圧電シートを備えた複合素子及びそれを用いたセンサに関する。
近年、自動車には、衝突事故時の搭乗者への衝撃を緩和するために、衝突事故時に動作するエアバッグを有したエアバッグシステムが搭載されるようになっている。このエアバッグシステムは、着座している状態で動作するようになっており、そのために、自動車
の座席に人体検知センサを配置して、その人体検知センサにより、着座しているか否かを検知して、その検知結果をエアバッグシステムに出力するようにしている。例えば、特許文献1には、静電容量センサにより人の接近を検知して、更に押下するとスイッチの動作をする人体検知センサが記載されている。この人体検知センサでは、静電容量センサと、封止空間に荷重がかかることによる流体の圧力変化を検知する圧力センサとを組み合わせることにより、誤検出を防止することができる。
また、近年では、車両に搭載されているナビゲーション装置等の車載機器を操作するための操作スイッチをステアリングホイールに配置することも行われている。例えば、特許文献2には、ステアリングホイールの環状部に静電容量センサを装着し、静電容量センサは、第1検知電極と、この第1検知電極と対向する対向部と対向しない非対向部とから構成される第2検知電極と、第1検知電極を変位可能に支持し、押圧力に応じて第1及び第2検知電極の間隔を変化させる絶縁材とを備えた把持検出装置が記載されている。この把持検出装置では、運転者がステアリングホイールを把持(押圧接触)する前後で、静電容量検出回路から出力される検出値(静電容量値)に大きな差が生じるので、静電容量値のみで把持(押圧接触)の有無を判定することが可能となり、運転者の不用意な接触による誤検知を防止することができる。
更に、このようなスイッチは、車の座席やステアリングホイールに限らず、様々な装置・機器を操作するために使用されている。例えば、特許文献3には、人の指等が近接又は接触(タッチ)する操作部に検知電極を設け、その検知電極に生じる静電容量を計測することによって人の操作を検知するタッチスイッチ(タッチセンサ)が記載されている。
特開2003−121557号公報 特開2016−193668号公報 特開2015−26501号公報 特許第6035662号公報 特許第6324602号公報 特許第6086569号公報 特開2017−120850号公報 国際公開第2014/073628号
しかしながら、従来のセンサやスイッチは、誤検出を防止するための構造が複雑であり、大きさが大きく、フレキシブル性に欠けるという問題があった。例えば、ステアリングホイールに装着する場合には、例えば、ステアリングホイール本体とカバーとの間に設置するので、厚みが薄く、かつ、フレキシブルなものでなければならず、従来のものでは不十分であるという問題があった。
本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、厚みが薄くフレキシブル性に優れた複合素子及びセンサを提供することを目的とする。
本発明の複合素子は、第1の導電層と、第2の導電層、有機圧電材料を含んだ圧電層、及び、第3の導電層をこの順に含んだ圧電シートとを備え、第1の導電層、第2の導電層、及び、第3の導電層は、電気伝導性を持つ高分子化合物を繊維基材に付着させた構造を有するものである。
本発明のセンサは、本発明の複合素子と、第1の導電層と電気的に接続され、第1の導電層に生じる静電容量の変化を検出する第1の検出回路と、第2の導電層及び第3の導電層とそれぞれ電気的に接続され、第2の導電層と第3の導電層との間の電圧変化を検出する第2の検出回路とを備えたものである。
本発明によれば、第1の導電層、第2の導電層、及び、第3の導電層が、電気伝導性を持つ高分子化合物を繊維基材に付着させた構造を有するようにし、かつ、圧電層が有機圧電材料を含むようにしたので、厚みを薄く、かつ、フレキシブル性を高めることができる。また、第1の導電層を静電誘導センサとして機能させ、圧電シートを圧電センサとして機能させることができる。よって、簡単な構造で静電誘導センサと圧電センサとを組み合わせることができ、検知精度を高めることができる。
更に、第1の導電層と圧電シートとを積層するようにすれば、1つの素子で、厚みを薄く、フレキシブル性を高くし、かつ、静電誘導センサと圧電センサとしての機能を得ることができる。
加えて、高分子化合物をポリチオフェン系の導電性高分子化合物により構成するようにすれば、又は、有機圧電材料がポリアミノ酸、多糖類、ポリ乳酸、または、ポリフッ化ビニリデンを含むようにすれば、より高い効果を得ることができる。
本発明の一実施の形態に係る複合素子の構成を表す図である。 図1に示した複合素子を積層方向から見た構成を表わす概念図である。 図1に示した複合素子を用いたセンサの構成を表すブロック図である。 図2に示したセンサの回路図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
〔複合素子〕
図1は、本発明の一実施の形態に係る複合素子10の構成を表すものである。この複合素子10は、例えば、第1の導電層11と、絶縁層12と、第2の導電層13と、有機圧電材料を含んだ圧電層14と、第3の導電層15とをこの順に含んだ積層構造を有している。このうち、第1の導電層11は静電誘導センサとして機能し、第2の導電層13、圧電層14、及び、第3の導電層15は圧電センサとして機能する圧電シート10Aである。絶縁層12は、第1の導電層11と第2の導電層13とを電気的に絶縁し、静電誘導センサと圧電センサとを分離するものである。すなわち、第1の導電層11と、圧電シート10Aとを、絶縁層12を間に挟んで、積層したものである。
第1の導電層11、第2の導電層13、第3の導電層15は、電極層でありながら、支持体フィルムとしての役割も果たす。この複合素子10は、5層構造だけには限定されず、第1の導電層11、絶縁層12、第2の導電層13、圧電層14、第3の導電層15をこの順に含んでいればよい。各層の間には、例えば、接着剤層16が設けられていてもよく、また、電気絶縁層、支持層など、必要に応じた種々の機能層が含まれていてもよい。この複合素子10は、第1導電層11に生じる静電容量の変化を外部検出部で検出可能であるように構成され、また、圧電層14の一方の主面に発生した正の電荷と、他方の主面に発生した負の電荷が、それぞれ、第2の導電層13と、第3の導電層15とを通じて、外部検出部で検出可能であるように構成されていればよい。
〔第1、第2、第3の導電層〕
第1の導電層11、第2の導電層13、及び、第3の導電層15は、電気伝導性を持つ高分子化合物を繊維基材に付着させた構造を有している。繊維基材は、繊維を含むものであり、繊維基材を構成する材料としては、例えば、植物繊維(綿、麻など)や動物繊維(シルク、羊毛、他の獣毛(アルパカ、アンゴラ、カシミヤなど)などの天然繊維、又は、合成高分子材料(ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)よりなる合成繊維が挙げられる。また、紙あるいは木でもよい。これらは混合して用いられてもよい。中でも、シルク、綿、合成繊維、紙、及び、木材からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが好ましい。
繊維基材の形状としては、例えば、布状、シート状、又は、フィルム状が挙げられる。布の場合、織布でも、編布でも、不織布でもよい。織布は、(伸縮性や柔軟性、肌触りに加え、)高い引張強度や安価な点で好ましく、編布は、伸縮性や柔軟性、肌触りに加え、高いドレープ性を示す点で好ましく、不織布層は、伸縮性や柔軟性、肌触りに加え、厚み制御や引っ張り強度の異方性が低いなどの点で好ましく、これらの布を用途に応じて適宜選択してもよい。
織布や編布である場合、これらを構成する経糸、緯糸、編み糸の太さは、限定はされないが、柔軟性の点から、10〜30デニール程度が好ましく、18〜21程度がより好ましい。
〔第1、第2、第3の導電層の厚さ〕
第1の導電層11、第2の導電層13、及び、第3の導電層15の厚さは、限定はされないが、1nm〜10μm程度が汎用的であり、20nm〜5μmがより好ましい。第1の導電層11、第2の導電層13、及び、第3の導電層15の厚さは、互いに同一であってよいが、用途に応じて、互いに異なっていてもよい。
〔第1、第2、第3の導電層の外周形状やサイズ〕
第1の導電層11、第2の導電層13、及び、第3の導電層15の外周形状は、特に限定はされず、正方形、長方形、円形、楕円形、その他の多角形や異形、長尺の帯状(テープ状)など、用途に応じたものであってもよい。
第1の導電層11、第2の導電層13、及び、第3の導電層15の外周形状のサイズ(面積)もまた限定はされず、用途に応じたものであってよい。例えば、グローブ型センサやモーションセンサの用途では、1〜400mm程度が汎用的であり、10〜100mmがより好ましい。例えば、ロボットハンド用センサの用途では、10〜40000mm程度が汎用的であり、100〜10000mmがより好ましい。例えば、タッチパネルなどの入力デバイスの用途では、10〜100000mm程度が汎用的であり、100〜50000mmがより好ましい。
第1の導電層11、第2の導電層13、及び、第3の導電層15は、それぞれ単層により構成してもよいが、複数層を積層した積層体により構成してもよい。同一のものを複数積層してもよいが、繊維基材や電気伝導性を持つ高分子化合物が異なるものを複数積層してもよい。第1の導電層11、第2の導電層13、及び、第3の導電層15は、互いに同一の構成とされていてもよいが、異なっていてもよい。積層体とする場合、各層は、フレキシブル性や伸縮性が損なわれないように、フレキシブル性や伸縮性を持った接着剤によって貼り合わせられていてもよい。該接着剤は、導電性を有することが好ましいが、導電性を有しない接着剤であっても、該積層体を通じて圧電層の電荷を検出することは可能である。
第1の導電層11、第2の導電層13、及び、第3の導電層15は、それぞれ、対象物に接触する側と、外界に露出する側など、用途や使用状態に応じて、互いに異なる繊維基材が用いられたものであってもよい。
第1の導電層11、第2の導電層13、及び、第3の導電層15は、繊維基材を布により構成する場合には、繊維や糸(繊維によって構成される)に導電体が付与され(即ち、繊維や糸の製造段階で導電性が付与され)、それらが布となったものであってもよいし、導電性を有しない布を形成した後に該布に導電体が付与されたもの(即ち、布の段階で導電性が付与されたもの)であってもよく、これらを組み合わせたものであってもよい。
導電性を有しない布と圧電層を張り合わせた後、導電体を付与する場合、塗布プロセスでむらができ、2次元的に均一な導電性の実現に高い技術を要する可能性があるため、布の段階で導電性が付与される態様が好ましい。
導電体の付与が前記いずれの段階で行われても、結果物である第1の導電層11、第2の導電層13、及び、第3の導電層15を観察すると、繊維基材の一部または全部には導電体が付着しており、それが互いに接触し、電気的に導通している。
〔第1、第2、第3の導電層の導電体〕
第1の導電層11、第2の導電層13、及び、第3の導電層15の繊維基材に付着される電気伝導性を持つ高分子化合物は、特に限定はされないが、ポリチオフェン系の導電性高分子化合物が好ましい。高い電気伝導性を得ることができるからである。このような導電性高分子化合物としては、ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)が好ましく挙げられ、特に、酸化剤及びドーパントとしてp−トルエンスルホン酸の鉄塩(pTS)を添加したPEDOTは、導電性高分子の大きさがオリゴマーの点で好ましい。
〔第1、第2、第3の導電層の製造方法〕
繊維基材に、pTSをドーパントとして含有するPEDOTが導電体として付与された導電層の製造方法は、公知技術を参照することができる。
例えば、特許文献4には、PEDOT−PSSが記載されているが、より好ましい導電層の製造方法が記載されている。この製造方法は、導電性高分子を基材に付着した導電性高分子導電体の製造方法であって、(セリシンを塗布した繊維よりなる基材あるいは表面にセリシンを塗布した基材を加熱したのち、又は、加熱しつつ、前記基材に、前記導電性高分子の単量体を含む原料溶液を塗布する原料塗布工程)と、(前記基材に、前記原料溶液を塗布した後に、前記単量体の重合を促進させる酸化剤、前記導電性高分子に導電性を発現させるためのドーパント、及び、粘性を高めるための増粘剤を含む製造用溶液を塗布する製造用溶液塗布工程)とによって、導電性の布を形成するものである。ここで、前記導電性高分子として、PEDOTが好ましいものとして挙げられており、ドーパントとしてpTSが挙げられている。さらなる詳細は、特許文献4を参照してよい。
また、特許文献5には、シルク以外の繊維基材に導電性を付与する技術として、基材に導電性高分子を付着した導電性高分子導電体の製造方法が記載されている。該製造方法は、(シルク以外の繊維よりなる基礎部材にセリシンを含む定着層を形成し、基材を形成する基材形成工程)と、(基礎部材に定着層を形成した基材に導電性高分子を付着させる導電性高分子形成工程)とを含む。ここで、前記基材形成工程は、前記基礎部材にセリシンを付着させるセリシン付着工程を含み、該セリシン付着工程では、前記基礎部材に、セリシンを含みかつ尿素が添加されたセリシン水溶液を付着させている。ここでも、導電性高分子として、PEDOTが好ましいものとして挙げられており、ドーパントとしてpTSが挙げられている。さらなる詳細は、特許文献5を参照してよい。
また、特許文献6には、導電性高分子を繊維よりなる基材に付着した導電性高分子導電体の製造に用いる液体が記載されている。この液体は、(前記導電性高分子の単量体の重合を促進させる酸化剤、及び、前記導電性高分子に導電性を発現させるためのドーパントとしてpTSと、(粘性を高めるための増粘剤として、グルセロール及びエチレングリコールからなる群のうちの少なくとも1種)とを含んでいる。ここでも、導電性高分子としてPEDOTが好ましいものとして挙げられている。さらなる詳細は、特許文献6を参照してよい。
特許文献4〜6に記載された製造方法や製造用液によって得られる導電性高分子化合物は、結晶構造が非結晶であり、本発明の第1の導電層11、第2の導電層13、及び、第3の導電層15にとって特に好ましいものである。
〔絶縁層〕
絶縁層12は、例えば、アクリル樹脂材料、ポリエステル樹脂材料、ポリウレタン樹脂材料、ポリエーテル樹脂材料、ゴム材料、シリコーン樹脂材料、ポリアミド樹脂材料、フッ素樹脂材料、エポキシ樹脂材料など絶縁材料のベースとなる樹脂組成物により構成されることが好ましい。圧電層14のフレキシブル性を損なわないよう、フレキシブル性を持たせることができるためである。また、フィルム形状の膜を利用することにより均一な表面を形成することができるからである。絶縁層12の厚さは、例えば、40〜100μmが好ましく、60〜80μm程度がより好ましい。
〔圧電層の厚さ、外周形状、サイズ〕
圧電層14の厚さは、必要とされる電位差に応じて、または、有機圧電材料の圧電特性に応じて、適宜に選択することができ、限定はされないが、1〜500μm程度が汎用的であり、2〜100μmがより好ましい。
圧電層14の外周形状やサイズは、特に限定はされないが、上記した第2の導電層13及び第3の導電層15の外周形状およびサイズと同様であってよい。
〔圧電層の圧電特性〕
圧電層14の圧電特性は、層厚方向に圧縮力を受けた場合に電荷が発生する特性(以下、「層厚方向の圧電特性」ともいう)であってもよいし、層拡張方向に引張り力や圧縮力を受けた場合に電荷が発生する特性(以下、「層拡張方向の圧電特性」ともいう)であってもよい。後述のとおり、グローブ型センサやモーションセンサ、ロボットハンド用センサ、タッチパネルなどの用途では、層拡張方向への引張り力を検出することが有用であり、また、第2の導電層13及び第3の導電層15は、電極層でありながら、層拡張方向に伸縮可能とすることができる。よって、前記の用途に好ましく対応し得、かつ、第2の導電層13及び第3の導電層15の伸縮特性を有効に利用する点から、層拡張方向の圧電特性を有する圧電層がより好ましい。
尚、圧電層14が層拡張方向の圧電特性を有するものであっても、当該複合素子10を、皮膚やクッションなどの柔軟な対象物上に配置した場合には、当該複合素子10の外側の主面に外部から局所的な層厚方向の力を加えると、該力の作用部分が皮膚内やクッション内に沈み込む。それにより、当該複合素子10内には該力の作用部分を中心として局所的に層拡張方向への引張り力が作用する。よって、層拡張方向の圧電特性が発現し、結果、層厚方向の力が検出される場合もある。
上記のような層拡張方向の圧電特性を有する圧電体としては、上記特許文献7に記載されたような、d14圧電定数が所定の数値以上となるように形成された圧電体(以下、「d14圧電体」ともいう)が挙げられる。
「d14圧電定数」とは、圧電テンソルの一つであり、フィルムとして形成された圧電層14にずり応力を印加したときに発生する電荷の量から求められる。単位ずり応力あたりの発生電荷量がd14圧電定数となる。「d14圧電定数の最高値」とは、ずり応力をかける方向を変えて測定した場合に得られるd14圧電定数のうちの最高値を意味するものとし、例えば、フィルム状である圧電層14に対するずり応力をかける方向を10°毎(好ましくは5°毎、より好ましくは1°毎)変更して測定することで決定することができる。ここでいう「ずり応力をかける方向」とはフィルム状である圧電層14の主面内に描かれる、主面の中心を通る仮想直線の方向であり、例えば、「10°毎変更する」とは、フィルム状である圧電層14の主面の中心を軸として回転角が10°相違する仮想直線を放射状に設定することを意味する。
d14圧電定数を有する圧電層14は、理論上、該圧電層14を構成する分子の配向方向に対して交差角度が45°となる方向から圧電層14に周期的な引張り応力を加えて圧電定数を測定する場合に最大の値が出る。従って、分子の配向方向に対する交差角が45°となる方向からずり応力を加えて発生する電荷の量を測定することでd14圧電定数の最高値を決定することができる
本発明において、圧電層14がd14圧電体である場合、d14圧電定数の最高値は、好ましくは3pC/N以上であり、より好ましくは4pC/N以上である。
d14圧電体は、層拡張方向の圧電特性を有する圧電体に属する好ましい態様の1つである。d14圧電体は、焦電効果を有さず、よって発生する電荷の値が周囲の温度変化の影響を受け難い。よって、d14圧電体を用いれば、室温など周囲の温度の変化に対してロバストな圧電センサを構成することが可能になり、d14圧電体と第2導電層13、第3導電層15との組合せによって、層拡張方向のロバストな圧電特性をより有効に利用した、好ましい圧電センサが提供できる。d14圧電体の製造方法については後述する。
〔圧電層に用いられる有機圧電材料〕
圧電層に用いられる有機圧電材料は、特に限定はされず、従来公知の圧電ポリマーを用いることができる。好ましい有機圧電材料として、ポリアミノ酸、ポリ乳酸、ポリフッ化ビニリデン、または、多糖類を主成分として含む材料が挙げられる。これらの材料は、層厚方向の圧電特性を有する圧電体の材料として用いることもできるが、層拡張方向の圧電特性を有する圧電体(とりわけ、d14圧電体)の材料として用いられることがより好ましい。
〔圧電層に用いられる有機圧電材料:ポリアミノ酸〕
ポリアミノ酸を含有する圧電体とその製造方法は、例えば、特許文献7,8など、公知技術を参照することができる。
ポリアミノ酸のなかでも、ポリα−アミノ酸が好ましいものとして挙げられる。ポリα−アミノ酸は、好ましくは、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、リジン、オルニチン、セリン、スレオニン、トリプトファン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシンおよびその誘導体から選択される1種以上の単位を含有するポリα−アミノ酸である。前記「1種以上の単位」に関して、例えば、グリシンの単位とは、グリシンに由来する単位を意味する。他のα−アミノ酸の単位も同様の意味である。また、前記「1種以上の単位を含有するポリα−アミノ酸」には、1種のみの前記α−アミノ酸の単位を含有するホモポリマー、および2種以上の前記α−アミノ酸の単位を含有するコポリマーが包含される。後述の「1種以上の単位」も同様の意味である。
好ましいポリα−アミノ酸としては、作製時の延伸配向プロセスが不要な点や信号の温度依存性を示さない点、熱安定性が高い点、安定的な圧電効果を示すという点から、化1に示したポリγ−ベンジル−L−グルタミン酸が例示される。
〔圧電層に用いられる有機圧電材料:多糖類〕
有機圧電材料として用いられる多糖類としては、セルロース誘導体を含むものが好ましいものとして挙げられる。セルロース誘導体は、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、モノアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、カルボキシメチルセルロースから選択される1種以上が挙げられる。詳細は後述する。これらの材料のなかでも、エチルセルロースは、作製時の延伸配向プロセスが不要な点、信号の温度依存性を示さない点、価格や安定的な圧電効果を示す点から、好ましい多糖類である。
〔圧電層に用いられる有機圧電材料:ポリ乳酸、ポリフッ化ビニリデン〕
有機圧電材料として用いられる高分子材としては、圧電性を示すポリ乳酸やポリフッ化ビニリデンから選択される1種以上が挙げられる。これらの材料のなかでも、ポリ乳酸は信号の温度依存性を示さず、分極処理を必要としない点から、好ましい高分子材である。
〔ポリ乳酸の圧電特性〕
乳酸モノマーはキラリティ(対掌性)を有し、分子構造同士が重ね合わせることのできない鏡像異性体を持つ。このような異性体をL体、D体と呼び、L体が重合したものをL型ポリ乳酸(PLLA)、D体が重合したものをD型ポリ乳酸(PDLA)と呼ぶ。前者は左巻き螺旋、後者は右巻き螺旋構造の高分子となる。これらのポリ乳酸(例えば、PLLA)からなるフィルムを一軸延伸して分子を配向すれば圧電性が発現する。PLLAの圧電定数(圧電d定数)は7〜12pC/N程度と小さいが、PLLAは比誘電率が約2.5と非常に低いため、圧電出力定数(=圧電g定数、g=d/εT)が大きな値となり、センシング感度は高くなる。ポリ乳酸は、ずり圧電特性を有しており、分子の配向方向により曲げ又はねじれを検出することができる。
〔圧電体の製造方法1〕
〔d33圧電体の製造方法1〕
d33圧電体の製造方法としては、例えば、ポリフッ化ビニリデンを主成分として含有する材料などの未延伸のフィルムを一軸方向に延伸して高分子を配向させる方法が挙げられる。しかしながら、延伸により得られたフィルムは、延伸方向(高分子の配向方向)に直交する層拡張方向に力を加えた場合に裂け易い傾向がある。
〔d14圧電体の製造方法1〕
d14圧電体の製造方法としては、例えば、ポリ乳酸やポリアミノ酸などの未延伸のフィルムを一軸方向に延伸して高分子を配向させる方法が挙げられる。しかしながら、延伸により得られたフィルムは、延伸方向(高分子の配向方向)に直交する層拡張方向に力を加えた場合に裂け易い傾向がある。
〔d14圧電体の製造方法2〕
ポリアミノ酸を主成分として含有する材料よりなるd14圧電体の製造方法もまた、従来公知の製造方法を参照することができる。例えば、上記特許文献7には、ポリアミノ酸を含有し、d14圧電定数の最高値が3pC/N以上の圧電フィルムの製造方法として、(A)ポリアミノ酸および(C)有機液状媒体を含むポリアミノ酸組成物を支持体上に塗工する第1工程と、第1工程で得られたポリアミノ酸組成物層を乾燥してフィルムとする第2工程とを含む製造方法が記載されている。この製造方法によれば、圧電層の破断伸度の最低値が2%以上であり、かつd14圧電定数の最高値が3pC/N以上の好ましい圧電シートが得られる。この製造方法では、前記のポリアミノ酸組成物が、さらに(B)重量平均分子量が5,000以上のポリマーを含んでいてもよい。該ポリマーの好ましい重量平均分子量は、5,000以上、200,000以下のポリマーである。該ポリマーとしては、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂、およびポリウレタン樹脂から選択される1種以上のものが挙げられる。ポリアミノ酸を含有するd14圧電体およびその製造方法のさらなる詳細については、特許文献7を参照することができる。
〔d14圧電体の製造方法4〕
本発明では、好ましいd14圧電体の1例として、多糖類を主成分として含有する材料よりなるd14圧電体(d14圧電定数の最高値は1pC/N以上である)とその製造方法を提唱する。以下、「多糖類を主成分として含有する材料よりなるd14圧電体」を、「多糖類d14圧電体」ともいう。
多糖類d14圧電体の製造方法は、多糖類および液状媒体を含み、複屈折を有する多糖類組成物を支持体上に塗工する第1工程と、および、該第1工程で得られた多糖類組成物層を乾燥してフィルムとする第2工程とを含む。好ましい態様では、第2工程は磁場を作用させておらず、かつ、第2工程後に、フィルムの延伸工程を含まない。好ましい態様では、液状媒体が沸点40℃以上、250℃以下の液状媒体を1種以上含む。好ましい態様では、液状媒体が沸点40℃以上、210℃以下の液状媒体を1種以上含む。好ましい態様では、液状媒体が、メタノール、エタノール、水、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、ベンジルアルコール、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム、トリフルオロ酢酸から選択される1種以上である。好ましい態様では、多糖類のGPC法による数平均分子量が10,000以上である。好ましい態様では、多糖類がセルロースまたはその誘導体を含む。好ましい態様では、多糖類がセルロース誘導体であり、該セルロース誘導体が、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、モノアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、カルボキシメチルセルロースから選択される1種以上である。好ましい態様では、多糖類がキサンタンガムを含む。好ましい態様では、第1工程において、多糖類組成物の塗り厚が500μm以下となるように多糖類組成物を塗工する。好ましい態様では、多糖類組成物の固形分量が20重量%以上である。好ましい態様では、多糖類組成物の25℃における粘度が5,000mPa・s以上である。好ましい態様では、多糖類組成物の25℃における粘度が50,000mPa・s以上である。好ましい態様では、第2工程が多糖類組成物層を300℃以下の温度で乾燥することを含む。
前記多糖類d14圧電体の製造方法における多糖類組成物は、多糖類および液状媒体を含み、複屈折を有するものである。該多糖類組成物を用いることによってd14圧電定数の最高値が1pC/N以上の圧電層が得られる。好ましい態様では、液状媒体が、沸点40℃以上、250℃以下の液状媒体を1種以上含む。好ましい態様では、液状媒体が、沸点40℃以上、210℃以下の液状媒体を1種以上含む。好ましい態様では、液状媒体が、メタノール、エタノール、水、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、ベンジルアルコール、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム、トリフルオロ酢酸から選択される1種以上である。好ましい態様では、多糖類のGPC法による数平均分子量が10,000以上である。好ましい態様では、多糖類がセルロースまたはその誘導体を含む。好ましい態様では、多糖類がセルロース誘導体を含み、該セルロース誘導体がメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、モノアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、カルボキシメチルセルロースから選択される1種以上である。好ましい態様では、多糖類がキサンタンガムを含む。好ましい態様では、多糖類組成物の固形分量が20重量%以上である。好ましい態様では、多糖類組成物の25℃における粘度が5,000mPa・s以上である。好ましい態様では、多糖類組成物の25℃における粘度が50,000mPa・s以上である。
前記多糖類d14圧電体の製造方法では、従来のフィルムの延伸という手法を用いることなく、多糖類および液状媒体を含み多糖類組成物を支持体上に塗工する第1工程および該第1工程で得られた多糖類組成物層を乾燥してフィルムとする第2工程を含む方法によって、d14圧電定数の最高値が1pC/N以上のd14圧電フィルムを製造する。これは、多糖類が、支持体上に塗工するという操作のみで高度に配向し得、加熱を含む乾燥工程を経てもなお塗工後の配向状態を保持することを見出したことによる。すなわち、この製造方法では、フィルムを延伸する、あるいは、電磁場を用いて配向させることなく、多糖類分子が高度に配向して、d14圧電定数の最高値が1pC/N以上のd14圧電フィルムを製造することに成功している。このため、本発明の多糖類組成物から製造されるd14圧電フィルムは、未延伸フィルムでありながら、d14圧電定数の最高値が、1pC/N以上である。
前記多糖類d14圧電体の製造方法に用いられる多糖類組成物は、多糖類および液状媒体を少なくとも含む。
ここで、多糖類(以下、「A成分」ともいう)は、アルドヘキソース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、リブロース、キシルロース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、デオキシリボース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース、フコース、フクロース、ラムノース等の単糖およびその誘導体から選択される1種以上の単位を含有するポリマー(すなわち、多糖類)であればよい。なお、多糖類の「誘導体」としては、天然の状態で誘導体化されて得られるものと多糖あるいはその誘導体として取り出した後にさらに有機合成反応を用いて誘導体化されているものが存在するが、いずれを用いてもよい。天然の状態で誘導体化されて得られるものの例としては、キサンタンガム、アルギン酸等が挙げられる。一方、有機合成反応を用いて誘導体化されているものの例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、モノアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ヒドロキシプロピルキサンタンガム、カルボキシル化プルラン等の非セルロースの誘導体が挙げられる。また、上記に挙げるセルロース誘導体がイソシアネートを用いたウレタン化、エポキシドを用いたヒドロキシアルキル化、酸塩化物等を用いたエステル化、アクリルニトリルを用いたシアノエチル化等で誘導体化されたものも、「セルロース誘導体」に含まれる。
グルコース、マンノース、ガラクトース、キシロース、フルクトースおよびその誘導体から選択される1種以上の単位を含有するポリマー(特に、グルコースおよびその誘導体から選択される1種以上の単位を含有するポリマー)は、多糖類組成物中での溶解性および分散性の点で好ましい。
ポリマー(多糖類)は、ホモポリマー、コポリマーのいずれであってもよい。好ましいホモポリマーの具体例としては、例えば、セルロース、プルラン、デキストラン等が挙げられる。中でもセルロースは価格や性能の面から好ましい。
好ましいコポリマーの具体例としては、キサンタンガム、グアガム、アルギン酸等が挙げられる。また、化学修飾された多糖類もホモポリマーとコポリマーという分類ではコポリマーと言え、中でもセルロース誘導体は価格や性能の面から好ましい。
前記多糖類はセルロースなどのように(分岐鎖が無いと言う意味での)直鎖型のポリマーであってもよく、キサンタンガムなどのように分岐鎖のある分岐型のポリマーであっても良いが、価格や種類の豊富さという観点から直鎖型のポリマーが好ましい。
前記多糖類は1種以上を使用できる。なかでも、セルロース、セルロース誘導体、キサンタンガムが好ましく、より好ましくは、セルロース誘導体、キサンタンガムであり、特に好ましくは、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、モノアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、カルボキシメチルセルロースから選択される1種以上であり、最も好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、トリアセチルセルロースである。
多糖類の分子量特性は特に制限はされないが、フィルムの破断伸度向上の観点から、数平均分子量が10,000以上であることが好ましく、30,000以上がより好ましい。また、多糖類組成物の取扱い性の観点から、数平均分子量が1,000,000以下であることが好ましく、800,000以下がより好ましい。ここでいう、数平均分子量は、GPC法(ゲル浸透クロマトグラフィー)によって測定されるポリスチレン換算値である。
前記多糖類d14圧電体の製造方法に用いられる液状媒体(以下、「B成分」ともいう)とは、それを媒体としてA成分が溶解乃至分散状態を形成し得る、25℃で液状の化合物であれば、特に制限なく使用できる。具対的には、水;クロロホルム、ジクロロメタン、塩化メチレン、トリクロロエチレン、二塩化エチレン、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼンなどのクロロ炭化水素系化合物;パーフルオロ−tert−ブタノール、ヘキサフルオロ−2−メチルイソプロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロアセトン等のフッ素含有分岐アルコール系又はケトン系化合物;ホルムアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ピリジン、アセトニトリルなどの含窒素極性化合物;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、シクロヘキサノンなどのアルキルケトン系化合物;安息香酸メチル、安息香酸エーテル、安息香酸ブチルなどの安息香酸エステル系化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、ソルベントナフサ、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、ナフタレンなどの芳香族炭化水素系化合物;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル系化合物;メチルセロソルブアセテート、メトキシプロピルアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテートなどのグリコールエステル系化合物;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、メチルt−ブチルエーテル、石油エーテルなどのエーテル系化合物;ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・スルホン系化合物;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン系化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、クレゾール、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコールなどのアルコール系化合物;ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ノルマルヘプタン、イソオクタン、ノルマルデカンなどの炭化水素系化合物;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン系化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル等のカルボン酸エステル系化合物;トリフルオロ酢酸、酢酸、ギ酸等のカルボン酸系化合物等が挙げられる。
これらの中でも、A成分との相溶性、および、支持体上の多糖類組成物層を乾燥してフィルム状の圧電層とする際の乾燥のしやすさ等の観点から、構成元素として、炭素および水素を含む化合物か、或いは、炭素および水素とともに酸素またはハロゲンを含む化合物であって、分子量が1000以下の化合物から選択される1種以上であることが好ましい。また、かかる好適な化合物は、アルコール系化合物、水、エーテル系化合物、含窒素極性化合物、ラクトン系化合物、クロロ炭化水素系化合物、カルボン酸系化合物から選択される1種以上であることがより好ましい。さらにこれらの中でも、A成分との相溶性、および、多糖類組成物層の乾燥過程での多糖類分子の配向状態の保持性の観点から、メタノール、エタノール、水、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、ベンジルアルコール、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム、トリフルオロ酢酸から選択される1種以上が特に好ましい。
B成分は1種以上を使用できるが、沸点が低すぎると安全性や塗工性の点で問題があり、沸点が高すぎると乾燥性や十分な圧電性が得られないという点で問題がある。従って、沸点40℃以上250℃以下の液状媒体を1種以上含む態様が好ましく、沸点40℃以上210℃以下の液状媒体を1種以上含む態様がより好ましい。また、液状媒体全体の50〜100重量%が、沸点40℃以上250℃以下の液状媒体であることが好ましく、沸点40℃以上210℃以下の液状媒体であることが好ましい。
A成分とB成分の重量比は特に限定はされないが、一般的には、A成分とB成分の重量比(A成分:B成分)が1:9〜7:3であり、好ましくは2:8〜6:4である。
[その他の成分]
多糖類組成物には、圧電層に求められる作用効果(すなわち、圧電層を構成する多糖類分子の配向)を大きく損なわない範囲内で、多糖類組成物の特性改善や圧電層の特性の改善を目的としてA、B成分以外の配合成分をさらに含有させることができる。かかる任意の配合成分としては、例えば、無機フィラー、有機フィラー、顔料、結晶核剤、消泡剤、酸化防止剤、増粘剤などの各種添加剤、多糖類以外のポリマーが挙げられる。これらの任意の配合成分の添加量は、少な過ぎると添加の効果を損なうが、多くなると樹脂組成物の特性(複屈折や粘度等)や圧電層の特性(圧電性等)を損なうおそれがある。このためA、B成分以外の任意の配合成分の含有量はA成分100重量部に対して、通常50重量部以下が好ましく、30重量部以下がより好ましく、10重量部以下がさらに好ましい。
多糖類組成物の形態は溶液でも分散液でもよいが、大きいd14圧電定数の発現の観点から、多糖類組成物の形態は溶液であることが好ましい。多糖類組成物は複屈折を有する必要があるが、一般的に多糖類溶液が複屈折を持つ場合、多糖類分子が何らかの規則構造を取っているが溶液全体で見ると多糖類分子の向きは等方的な状態である。このため、せん断力が加わると溶液全体の多糖類分子の向きが揃った規則構造になりやすく、溶液全体の多糖類分子の主鎖が配向して、より大きいd14圧電定数が得られやすい。複屈折を有しない場合はせん断力が加わっても複屈折を有する場合のようには高い配向が得られない。なお、多糖類組成物は、せん断時の多糖類分子の高い配向のために必ず高い粘度が必要である訳ではなく、前述のとおり、フィルム状の圧電層とする際の乾燥工程における塗工後の高度な配向状態を保持するためである。本発明において多糖類組成物が複屈折を有するとは、クロスニコルの状態の2枚の偏光板の間に多糖類組成物を静置して透過光で観察した場合に組成物全体が明るく、暗い部分を有しない場合をいう。
多糖類組成物は、特に制限はされないが、複屈折や粘度の観点から、また、圧電層の膜厚確保の観点から、固形分量が10重量%以上の組成物であることが好ましく、より好ましくは20重量%以上、さらに一層好ましくは30重量%以上である。
多糖類組成物は、公知の攪拌機や分散機を用いて調製することができる。すなわち、A成分およびB成分を、これら以外の任意の配合成分を含有させる場合は該任意の配合成分とともに、公知の攪拌機や分散機により混合することで調製される。
攪拌機や分散機の例としては、ディゾルバー、プラネタリミキサー、ロールミル、サンドミル、ボールミル、ビーズミル、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、アジホモミキサー、自転・公転ミキサーなどが挙げられる。
混合温度は特に限定されず、非加熱で混合しても、加熱下で混合してもよいが、加熱する場合、室温〜150℃程度が好ましい。また、混合時間も特に限定はされないが、例えば、自転・公転ミキサーを用いて混合する場合、混合時間は10分〜1時間程度が好ましい。
前記多糖類d14圧電体の製造方法のより具体的な例は、次のとおりである。
(多糖類組成物の調製)
支持体上に塗工する塗工液として、上記の多糖類組成物を調製する。
(多糖類組成物の塗工、乾燥)
多糖類組成物を支持体上に塗工し(第1工程)、得られた多糖類組成物層を乾燥する(第2工程)ことで、多糖類を含むフィルム(未延伸フィルム)が得られる。第1工程での多糖類組成物の塗工方法は、多糖類組成物に一方向にせん断力が作用し流動性をもつ樹脂組成物がフィルム状に変形、加工すれば良く、具体的な塗工手法としてはバーコート、カンマコート、ダイコート、スロットダイコート、ブレードコート、グラビアコート、グラビアオフセット印刷など公知の塗工方法が挙げられる。塗工に当たってコーターが動いても、支持体が動いても、両方動いても良い。塗工は、一方向にせん断力が作用していれば良く、バーコートなどのように支持体に対して所定の一方向に向けて多糖類組成物が塗り進められていても良く、ダイコートなどのようにせん断力が働いた多糖類組成物が支持体上にキャストされても良い。この所定の一方向に向けて多糖類組成物にせん断力が作用していく方向が多糖類分子の配向方向(すなわち、多糖類分子の主鎖の配向方向)になる。なお、「塗工方向」とは、この所定の一方向に向けて多糖類組成物にせん断が作用している方向のことである。
塗工(第1工程)と乾燥(第2工程)は、それぞれ一回だけ行ってもよいし(一回塗り)、塗工(第1工程)と乾燥(第2工程)をそれぞれ複数回繰り返してもよい(重ね塗り)。一回塗りの方がコスト的に優位だが、一回塗りの塗工における「塗り厚」が大きすぎると、多糖類組成物にせん断力が作用しにくくなり、多糖類分子が配向しにくくなる。このため、圧電層の膜厚を厚くしたい場合は重ね塗りが好ましい。
多糖類組成物の塗工における「塗り厚」とは、塗工によりせん断がかかる時の多糖類組成物層の厚さである。このため、塗工方法にも依るが「塗り厚」は支持体とコーターの間の最短距離、あるいはコーターの隙間の距離である。例えば、支持体上にバーコートにより塗工を行う場合、支持体とバーの最短距離である。例えば、バーが丸みを帯びるなどしてバー全体の高さが均一でない場合、支持体とバーの最短距離は、バーの支持体に最近接する部分と支持体の間の距離を指す。ダイコーターのように多糖類組成物が隙間から放出される場合はこの隙間の距離を指す。塗り厚が大きいと多糖類組成物に作用するせん断力が小さくなり、かつ塗工から乾燥後までに塗工直後の配向状態が保持されにくい傾向となる。これは、多糖類組成物層の厚さが大きくなると単に多糖類組成物層が乾燥されにくくなるだけでなく、基材との界面の効果が相対的に少なくなり多糖類組成物層内の棒状の多糖類分子の運動性が上がるためと考えられる。従って、塗り厚は1000μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましく、200μm以下が特に好ましい。なお、塗り厚が小さすぎると、均一に塗工することが困難になることや、乾燥後のフィルムの絶縁不良などの不具合があるため、塗り厚は0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。
通常、「塗り厚」と、乾燥して得られるフィルムの膜厚とは異なる。樹脂組成物に粘度があるため、塗工直後の樹脂組成物の膜厚は「塗り厚」の通りではなく薄くなる。「フィルムの膜厚」はさらに乾燥により、溶剤が抜けることによって膜減りしてさらに薄くなる。すなわち、乾燥して得られるフィルムの膜厚は「塗り厚」より小さい。このため、前述の通り塗り厚は薄い方が好ましいが、大きい膜厚のフィルムを得たい場合一回の塗工、乾燥によって得ることができない膜厚のフィルム(圧電フィルム)を得たいときは、500μm以下の塗り厚にて、2回以上の重ね塗りをして、所望の厚さのフィルム(多糖類d14圧電体)を製造するのが好ましい。
多糖類組成物が塗工される支持体は、塗工におけるせん断力に耐え得る機械強度と乾燥に耐え得る耐熱性があれば良く、絶縁体であっても導電体であっても良い。絶縁体の場合は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド等のプラスチックが挙げられる。導電体の場合、銅箔、銅箔付きポリイミド、ITOガラス、金属を蒸着あるいはスパッタしたPETなどが挙げられる。
(乾燥方法)
支持体上に形成された多糖類組成物層の乾燥方法は、塗工後の多糖類組成物層における多糖類分子の配向状態を保持しつつ液状媒体を除去できる方法であればどんな方法でも良く、常温、常圧での乾燥(自然乾燥)でも良いし、加熱乾燥でも減圧乾燥でも良い。加熱乾燥の場合、バッチオーブン、熱風乾燥炉、ベルト式連続炉、遠赤外線乾燥炉など公知の加熱機器を用いることが出来る。
乾燥により液状の多糖類組成物が、固形分量95重量%以上の固体のフィルムとなる。一般的には乾燥の条件は多糖類組成物のB成分の沸点、塗工の際の塗り厚、乾燥器内の風速と空気の循環量等により乾燥温度、乾燥時間等のパラメーターを調節する。本発明において乾燥の際に注意することは、乾燥時に塗工直後に実現されていた多糖類の高い配向状態が元に戻る場合があることである。乾燥条件の設定にはこの点に注意しながらパラメーターを選定する必要がある。乾燥工程での乾燥温度は一定でも良いし、100℃で加熱後、150℃で加熱のような不連続に温度を変える態様でも良いし、100℃から150℃へと徐々に昇温するような、連続的に温度を変える態様でも良い。乾燥温度はB成分の沸点、塗り厚、多糖類のガラス転移温度などにも依るが、多糖類の劣化防止の観点から300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、200℃以下がさらに好ましく、180℃以下が最も好ましい。
(アニール処理)
乾燥後の多糖類フィルムには適切な温度と時間のアニール処理を施しても良いし、しなくとも良い。
〔圧電シートと第1の導電層との積層関係〕
圧電シート10Aと第1の導電層11とは、積層方向から見た形状を同一として、圧電シート10Aの全体を第1の導電層11で覆うように、圧電シート10Aと第1の導電層11との全体を重ねるようにしてもよいが、例えば、圧電シート10Aと第1の導電層11との積層方向から見た形状を異ならせ、圧電シート10Aの一部を第1の導電層11で覆うようにしてもよい。例えば、図2に示したように、積層方向から見た形状を、第1の導電層11は三角形、圧電シート10Aは四角形とし、積層方向において、圧電シート10Aの一部に、第1の導電層11が重ならない非積層領域10Bを設けるようにしてもよい。図2は、複合素子10を積層方向において第1の導電層11の側から見た構造を概念的に表したものであり、理解を容易とするために、第1の導電層11には梨地を付して示している。
このように構成すれば、圧電シート10Aに対して力が加えられる位置に応じて、具体的には、第1の導電層11が積層されている領域と、積層されていない非積層領域10Bとで、第1の導電層11に生じる静電容量が異なるので、力が加えられた位置を検出することができる。なお、圧電シート10Aと第1の導電層11との積層関係において、圧電シート10Aの積層方向から見た形状というのは、第2の導電層13、圧電層14、及び、第3の導電層15が積層方向において重なる圧電領域の形状を意味し、非積層領域10Bというのは、圧電領域のうち積層方向において第1の導電層11が重ならない領域を意味している。
〔接着剤層〕
接着剤層16を構成する接着剤は、粘着剤をも意味する。接着剤層16は、第1の導電層11、絶縁層12、第2の導電層13、圧電層14、及び、第3の導電層15のフレキシブル性を損なわないよう、フレキシブル性を有するものであることが好ましい。接着剤層16が電気絶縁層であったとしても、圧電層14に生じる電荷は、第2の導電層13、第3の導電層15を通じて外部検出装置によって検出することができる。接着剤層16は、絶縁層12と同様に絶縁材料のベースとなる樹脂組成物を使用することができる。接着剤層16の厚さは、特に限定はされないが、0.1〜500μm程度が好ましく、1〜100μm程度がより好ましい。
〔複合素子の製造方法〕
有機圧電材料を含んだ圧電層14を、別の工程で圧電フィルムとして形成し、第1の導電層11、絶縁層12、第2の導電層13、圧電層14、及び、第3の導電層15をこの順に、直接的にまたは接着剤層16を介して積層することが好ましい。各層を接着剤層16なしで、直接的に積層する場合には、各層を積層して熱圧着、又は、縫製などにより固定することができる。
当該複合素子10の積層構造において、圧電層14が、別の工程で圧電フィルムとして形成されたものであるか、第2の導電層13、第3の導電層のいずれか一方の面上に原料液を塗布して形成されたものであるかは、圧電層14と第2の導電層13、第3の導電層15とのそれぞれの境界面を観察すれば明らかとなる。圧電層14が第2の導電層13、第3の導電層15に熱圧着されて、圧電層14の一部が溶解し第2の導電層13、第3の導電層15に浸み込んだものであっても、液体が布に浸み込んだ状態と、フィルムが布に圧着された上で溶け込んだ状態とでは、布の繊維の圧縮状態や圧電層の材料の溶け込み状態が互いに異なる。
〔センサの構成〕
この複合素子10は、例えば、センサ20として用いることができる。図3はセンサ20の構成を表すものであり、図4は具体的な回路構成を表わすものである。このセンサ20は、スイッチ又はタッチパネルとして用いられるものであり、指先等の人体Mの近接又は接触によって操作がされるものである。このセンサ20は、例えば、複合素子10と、複合素子10の第1の導電層11と電気的に接続され、第1の導電層11に生じる静電容量の変化を検出する第1の検出回路21と、複合素子10の第2の導電層13及び第3の導電層15とそれぞれ電気的に接続され、第2の導電層13と第3の導電層15との間の電圧変化を検出する第2の検出回路22とを備えている。
複合素子10の第1の導電層11は、人体Mが近接又は接触すると静電容量を生じ、それにより人体Mの近接又は接触を検出する静電誘導センサとして機能するものである。複合素子10は、第1の導電層11の側を人体Mが近接又は接触する方にして配設されることが好ましい。第1の導電層11の表面は、絶縁性のカバー部材(図示せず)で覆われていてもよく、そのまま露出されていてもよい。第1の導電層11への人体Mの「近接」とは、掌や手指等を第1の導電層11に近付ける形態の他、第1の導電層11の表面を覆うカバー部材(図示せず)を介して人体Mが接触する形態を意図している。また、「接触」は、第1の導電層11の表面に人体Mが接触する形態を意図している。
第1の検出回路21は、第1の導電層11に生じる静電容量の変化を検出するための回路である。第1の検出回路21は、例えば、矩形波の発振回路を第1の導電層11に接続し、矩形波の発振回路から出力された基準の矩形波と、第1の導電層11を接続した矩形波とを位相比較回路により比較するように構成する。第1の導電層11を接続した矩形波は、第1の導電層11に人体Mが近接又は接触すると、第1の導電層11の静電容量が変化して、例えば、図4の第1の検出回路21に示したように矩形波が変形(なまり)する。位相比較回路では、例えば、例えば、図4の第1の検出回路21に示したように、所定の位置における基準の矩形波からの変形量を検出する。図4の第1の検出回路21において、実線で示した波形が基準の矩形波であり、破線で示した部分が、変形部分である。なお、第1の検出回路21の構成、検出方式、第1の導電層11との接続方法等は特に限定されず、公知の構成、方式、方法を用いることができる。
複合素子10の第2の導電層13、圧電層14、及び、第3の導電層15は、人体Mにより圧力が加えられ、又は、屈曲されると、第2の導電層13と第3の導電層15との間に電圧を生じる圧電センサとして機能するものである。
第2の検出回路22は、第2の導電層13と第3の導電層15との間の電圧変化を検出するための回路である。第2の検出回路22は、例えば、第2の導電層13及び第3の導電層15に電圧により自己発振する発振回路を接続し、電圧の変化を発振周波数の変化として検出するように構成する。また、発振回路に矩形波に整形するシュミットトリガ等の波形整形回路を接続して周波数の変化をカウンタで検出するようにしてもよい。この場合、発振回路及び波形整形回路は、第1の検出回路21の矩形波発振回路として用いることができる。なお、第2の検出回路23の構成、検出方式、第2の導電層13及び第3の導電層15との接続方法等は特に限定されず、公知の構成、方式、方法を用いることができる。
センサ20は、また、例えば、第1の検出回路21により検出された静電容量の変化と、第2の検出回路22により検出された電圧変化とに基づき、人体Mの近接又は接触によって操作がされたかどうかを判断する判断部23を備えている。判断部23は、例えば、静電容量の変化(例えば、矩形波の変形量)に応じて矩形波の幅が基準の閾値以上変化した場合に、誤接近・誤接触ではなく、人体Mの近接又は接触であると判断するように構成されている。第1の導電層11に近接又は接触するものの誘電率により第1の導電層11に生じる静電容量が異なることを利用して、近接又は接触したのが人体Mであるか否かを判断するものである。また、判断部23は、例えば、電圧変化(例えば、発振周波数)が基準の閾値以上(例えば、周波数が100Hz以上)変化した場合に、誤接近・誤接触ではなく、正しく操作されたと判断するように構成されている。力の大きさにより発生する電圧が異なることを利用して、正しく操作したのか、誤って接近又は接触したのかを判断するものである。更に、判断部23は、例えば、判断の結果を目的とする各種装置や機器に出力するように構成されている。
判断部23の処理は、ハードウェア、ソフトウェアのいずれによって実現されてもよく、好適には、図示しないCPU、メモリ(ROM、RAM等)、入出力回路等を備えるマイクロコントローラ(マイクロコンピュータ)を中心に、入出力インターフェース等周辺回路を備えることにより構成することができる。また、プログラム可能な論理回路、ゲートアレーその他の論理回路を用いて構成されてもよい。このマイクロコントローラ等に、第1の検出回路21又は第2の検出回路22が内蔵されていてもよい。
〔センサの動作〕
このセンサ20では、例えば、複合素子10が指先等の人体Mで押圧されると、第1の導電層11に人体Mが接近又は接触することにより静電容量が変化し、第1の検出回路21により例えば矩形波の変形として検出する。また、圧電層14に圧力が加えられ、又は、屈曲されることにより、第2の導電層13と第3の導電層15との間の電圧が変化し、第2の検出回路22により例えば発振周波数の変化として検出する。
判断部23では、例えば、静電容量の変化(例えば、矩形波の変形量)に応じて矩形波の幅が基準の閾値以上変化した場合に、誤接近・誤接触ではなく、人体Mの近接又は接触であると判断する。また、例えば、電圧変化(例えば、発振周波数)が基準の閾値以上(例えば、周波数が100Hz以上)変化した場合に、誤接近・誤接触ではなく、正しく操作されたと判断する。例えば、判断部23では、静電容量の変化に基づき人体Mの近接又は接触であると判断し、かつ、電圧変化に基づき正しく操作されたと判断した場合に、正しい操作として出力し、どちらか一方でも誤接近・誤接触であると判断した場合には、出力をしない。よって、人体M以外のものが接近又は接触しても誤接近・誤接触と判断し、人体Mが接近又は接触した場合でも、意図した操作ではなく、軽く触れた場合には、誤接近・誤接触と判断し、出力しない。このように、このセンサ20では、静電誘導センサと圧電センサとを組み合わせて判断するので、高い精度で検知することができる。
〔用途〕
スイッチ、タッチパネル、ウェアラブルデバイス、グローブ型入力デバイス、モーションセンサ、ロボットアーム用センサなどがあげられる。
このように本実施の形態によれば、第1の導電層11、第2の導電層13、及び、第3の導電層15が、電気伝導性を持つ高分子化合物を繊維基材に付着させた構造を有するようにし、かつ、圧電層14が有機圧電材料を含むようにしたので、厚みを薄く、かつ、フレキシブル性を高めることができる。また、第1の導電層11を静電誘導センサとして機能させ、圧電シート10Aを圧電センサとして機能させることができる。よって、簡単な構造で静電誘導センサと圧電センサとを組み合わせることができ、検知精度を高めることができる。更に、第1の導電層11と圧電シート10Aとを積層するようにしたので、1つの素子で、厚みを薄く、フレキシブル性を高くし、かつ、静電誘導センサと圧電センサとしての機能を得ることができる。
加えて、高分子化合物をポリチオフェン系の導電性高分子化合物により構成するようにすれば、又は、有機圧電材料がポリアミノ酸、多糖類、ポリ乳酸、または、ポリフッ化ビニリデンを含むようにすれば、より高い効果を得ることができる。
(変形例)
上記実施の形態では、第1の導電層11と、圧電シート10Aとを積層する場合について説明したが、第1の導電層11と圧電シート10Aとを積層せず分離して、配置するようにしてもよい。第1の導電層11と圧電シート10Aとは、隣接して並べてもよく、間を開けて配置してもよい。この場合、絶縁層12は設けなくてよい。このように構成しても、上記実施の形態と同様に厚みを薄く、かつ、フレキシブル性を高めることができる。また、静電誘導センサと圧電センサとを組み合わせることができ、検知精度を高めることができる。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、各構成要素についても具体的に説明したが、全ての構成要素を備えていなくてもよく、他の構成要素を備えていてもよい。また、上記実施の形態では、1つの複合素子10を用いる場合について説明したが、複数個を並べて用いてもよい。
10…複合素子、10A…圧電シート、11…第1の導電層、12…絶縁層、13…第2の導電層、14…圧電層、15…第3の電極層、16…接着層、20…センサ、21…第1の検出回路、22…第2の検出回路、23…判断部

Claims (7)

  1. 第1の導電層と、
    第2の導電層、有機圧電材料を含んだ圧電層、及び、第3の導電層をこの順に含んだ圧電シートとを備え、
    前記第1の導電層、前記第2の導電層、及び、前記第3の導電層は、電気伝導性を持つ高分子化合物を繊維基材に付着させた構造を有する
    ことを特徴とする複合素子。
  2. 前記第1の導電層と、前記圧電シートとは、絶縁層を間に挟んで、積層されていることを特徴とする請求項1記載の複合素子。
  3. 前記高分子化合物は、ポリチオフェン系の導電性高分子化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1に記載の複合素子。
  4. 前記繊維基材は、シルク、綿、合成繊維、紙、及び、木材からなる群のうちの少なくとも1種を含み、
    前記導電性高分子化合物は、酸化剤及びドーパントとしてp−トルエンスルホン酸の鉄塩を添加したポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンである
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1に記載の複合素子。
  5. 前記有機圧電材料は、ポリアミノ酸、多糖類、ポリ乳酸、または、ポリフッ化ビニリデンを含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1に記載の複合素子。
  6. 前記第1の導電層は静電誘導センサとして機能し、前記圧電シートは圧電センサとして機能することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1に記載の複合素子。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1に記載の複合素子と、
    前記第1の導電層と電気的に接続され、前記第1の導電層に生じる静電容量の変化を検出する第1の検出回路と、
    前記第2の導電層及び前記第3の導電層とそれぞれ電気的に接続され、前記第2の導電層と前記第3の導電層との間の電圧変化を検出する第2の検出回路と
    を備えたことを特徴とするセンサ。
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