JP2020118444A - 膨張弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】高圧冷媒の影響による弁体の振動を抑制する防振ばねを備える膨張弁を提供する。【解決手段】冷媒を弁室に流入する入口孔及び、前記冷媒を前記弁室から流出する弁孔を有する弁本体と、前記弁孔を流れる冷媒の量を調節する弁体と、前記弁本体に取り付けられて弁棒を介して前記弁体を駆動するパワーエレメントと、前記弁室に設けられ、前記弁体の振動を防止する第1防振ばねと、前記弁棒に当接し、前記弁体の振動を防止する第2防振ばねと、を備える膨張弁。【選択図】図1

Description

本発明は、冷凍サイクルに用いられる感温機構内蔵型の膨張弁に関する。
従来、自動車に搭載される空調装置等に用いる冷凍サイクルについては、冷媒の通過量を温度に応じて調整する感温機構内蔵型の温度膨張弁が使用されている。このような膨張弁の弁本体は、高圧の冷媒が導入される入口ポートと入口ポートに連通する弁室とを有するとともに、弁本体の頂部には、パワーエレメントと称する弁体の駆動機構が装備される。
弁室内に配設される球状の弁体は、弁室に開口する弁孔の弁座に対向し配置される。弁体は、弁室内に配置された支持部材に支持され、弁本体に取り付けられた調整ねじと支持部材との間に設置されたコイルバネにより弁座方向へ付勢される。そして、弁体は、パワーエレメントにより駆動される弁棒により操作されて、弁座との間の絞り通路の開度を制御する。また、弁孔を通った冷媒は、出口ポートから蒸発器側へ送られる。
ここで、膨張弁の入口ポートに送り込まれる高圧冷媒は圧縮機の動作により圧力変動(脈動)が発生する場合があり、これにより弁体が振動し、異音を発生することがある。
このような振動を防止するため、従来、弁体の振動を抑制するための防振ばねを設けた構成が提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。
特許文献1記載の膨張弁は、弁室内に設けられた球状の弁体を支持する支持部材を複数の弾性体を用いて弁室内に弾性的に保持するもので、これにより弁体がその外側から弁座側に向けて(すなわち弁体の移動方向である上下方向と実質的に直交する方向に向けて)弾性的に押圧支持されるので、弁体の振動を効果的に抑制することが可能である。
また、特許文献2記載の膨張弁は、パワーエレメントの動作を球状の弁体に伝達させるための弁棒に対して所望の摺動抵抗を与える為に、弁棒が挿入される弁本体内の細孔内に防振ばねを配置し、このばねの先端を弁棒と接触させる構成としたもので、このような構成により弁棒の上下方向の無用な微細振動を抑えられ、これによっても弁体の振動を効果的に抑制することが可能である。
特開2005−156046号公報 特開2006−3056号公報
従来の膨張弁の構造は一定の防振効果を有するものの、以下のような問題点もあった。すなわち、自動車等の内部に配置される当該冷凍サイクルの小型軽量化と、その高機能・高効率化とを両立しようとすると、冷凍サイクル内に配置される膨張弁を含む各種機器にもその小型化及び高性能化が求められる。
しかし、膨張弁は従来より各種の研究開発が継続的に行われており、その小型化についてはほぼ限界に近づいているのが実情である。
このような膨張弁においては、特許文献1に開示されているような、弁室内の防振ばねの複数の脚部が弁室側壁に当接する構成であると、防振ばねの形状や材質等を種々調整しても、当該膨張弁の入口ポートに導入される高圧冷媒の圧力変動の程度(すなわち圧力差やその変動の周期の程度)によっては十分な弁体の振動抑制が得られない場合があった。
特許文献2に開示されているような、弁棒をリング防振ばねにより当接させる構造であっても同様である。
そこで、本発明の目的は、高圧冷媒の影響による弁体の振動を効果的に抑制することのできる膨張弁を提供することにある。
上記課題を解決するために、代表的な本発明の膨張弁の1つは、冷媒が弁室に流入する入口孔及び、前記冷媒が前記弁室から流出する弁孔を有する弁本体と、前記弁孔を流れる冷媒の量を調節する弁体と、前記弁体を支持する支持部材と、前記支持部材を介して前記弁体を閉弁方向に押圧するコイルバネと、前記弁本体に取り付けられて弁棒を介して前記弁体を駆動するパワーエレメントと、前記弁体の振動を防止する防振ばねと、を備え、前記支持部材は、前記コイルバネ内に嵌入する本体部を具備し、前記防振ばねは、前記支持部材と前記コイルバネとの間に配置される円環状の基部と、前記基部から放射状に延びる複数の脚部と、を有し、前記コイルバネの中心軸線に沿った方向において、前記脚部における前記入口孔側の端部と、前記支持部材の本体部における前記入口孔側の端部は、前記入口孔の前記弁孔側縁の近傍に位置する。
この発明による膨張弁は、上記のように構成されているので、高圧冷媒の影響による弁体の振動を効果的に抑制することができる。
本発明による膨張弁の第1実施例を示す縦断面図である。 第1実施例の膨張弁の要部の縦断面図である。 第1実施例の第1防振ばねを示す斜視図である。 第1実施例の第1防振ばねを示す平面図である。 第1実施例の第1防振ばねを示す側面図である。 第1実施例の第2防振ばねを示す斜視図である。 第1実施例の第2防振ばねの部分説明図(a)及び要部側面図(b)である。 第1実施例の第2防振ばねに弁棒を装着した状態を示す平面図。 第2実施例の第1防振ばねを示す平面図である。 本発明による膨張弁の第3実施例を示す縦断面図である。 第3実施例の第2防振ばねを示す斜視図である。 本発明による膨張弁の第4実施例を示す縦断面図である。
<第1実施例>
図1は、本発明による膨張弁の第1実施例を示す縦断面図である。図2は、第1実施例の膨張弁の要部の縦断面図である。
図1に示すように、膨張弁10は、弁本体11、パワーエレメント70、弁体40、弁棒60、支持部材100、第1防振ばね140、コイルバネ44、調整ねじ120、第2防振ばね500を備えている。
弁本体11は、例えばアルミ合金製であって、例えば図1のX方向を押出方向として、アルミ合金等を押出成形し、これに機械加工を施すことによって得ることができる。この弁本体11は、上面部に形成されパワーエレメント70の雄ねじ72aに螺合してこれを固定する雌ねじであるパワーエレメント取付部12と、高圧の冷媒が導入される入口ポート20と、入口ポート20より流入した冷媒が流出する冷媒の出口ポート28と、冷媒の戻り通路30と、第2防振ばね500を取り付ける穴部33と、弁本体11の底面部に形成された雌ねじ11aと、弁本体11を図示されない蒸発器や他の部品等に取り付けるための取付穴(あるいは取付用雌ねじ)80等とを有する。
パワーエレメント取付部12は、弁本体11の上面に円形状に開口し、その内壁面に雌ねじを有する有底の円筒状穴として形成される。この穴の底部中央には戻り通路30に至る(連通する)開口32が形成されている。ここで、パワーエレメント取付部12の中心軸の方向は、戻り通路30内を通過する冷媒の通過方向(X方向)とほぼ直交する方向(Y方向)となっている。
雌ねじ11aは、弁本体11の下面に開口するように形成されており、その上部に挿入穴11bが形成されている。雌ねじ11aの開口部分を調整ねじ120で封鎖することにより弁本体11の内部に弁室24が形成される。弁室24は、円筒状の側壁面を備え、入口孔20aの上端より上方が上壁面24a、入口孔20aの下端より下方が下壁面24bである。上壁面24aは後述する第1防振ばね140が摺動するのに必要な上下方向の長さが確保されている。また、挿入穴11bの上端と入口孔20aの間の部分は、強度に必要な厚みを有していればよい。
入口ポート20は、弁室24の側方から入口ポート20より小径の入口孔20aを介して弁室24と連通して形成されている。また、出口ポート28の奥には出口ポート28よりも小径の狭窄部28aが設けられており、この狭窄部28aは、弁室24の上方に配置されている。この狭窄部28aは、オリフィスとなる弁孔26を介して弁室24の上端部に連通している。また、弁孔26の弁室24側には、弁座25が形成されている。弁本体11には戻り通路30と狭窄部28aとを連通するように上下方向(図1におけるY方向)に通し孔29が形成されている。そして、弁孔26と通し孔29と開口32と弁室24とは、それぞれの中心軸が同一直線上になるように配置されている。戻り通路30は、弁本体11における出口ポート28のさらに上方に形成され、弁本体11を横方向(図1におけるX方向)に貫通するように形成されている。また、戻り通路30の下側に、通し孔29と同軸で通し孔29よりも内径の大きい穴部33が形成されている。
なお、図1においては、入口ポート20及び出口ポート28は弁本体11の左右に開口し、同様に戻り通路30も弁本体11の左右を貫通するように形成されているが、これら入口ポート、出口ポート及び戻り通路の両開口は、当該膨張弁が配置される冷凍サイクルのレイアウトによって種々変更が可能である。例えば出口ポート28及び戻り通路30の左側開口は、図1の紙面手前側あるいは紙面奥側に開口するように(すなわち弁棒60の中心線から見た場合に入口ポート及び出口ポートが直交するように、同様に戻り通路の両開口も直交するように形成)しても良い。
パワーエレメント70は、例えばステンレス鋼等で形成された上蓋部材71及び中央部に貫通口72bを備えた受け部材72と、これら上蓋部材71及び受け部材72の間に挟み込まれるダイアフラム73と、このダイアフラム73及び受け部材72の間に配置されたストッパ部材90等から構成されている。そして、上蓋部材71、ダイアフラム73及び受け部材72を重ね合わせた端部を周溶接することにより、これらは一体化されている。上蓋部材71とダイアフラム73との間には、圧力作動室75が形成され、この圧力作動室75内に作動ガスが封入された後、封止栓65で封止される。受け部材72の下部は円筒状でその周囲には雄ねじ72aが形成され、パッキン35を介してパワーエレメント取付部12の雌ねじ(弁本体11の上面に開口された雌ねじ)と螺合することにより、パワーエレメント70が弁本体11に取付けられている。
弁体40は、弁座25に対向するように配置された球状の部材であり、弁室24内に設けられている。弁棒60は、弁本体11の弁孔26、通し孔29及び開口32のそれぞれに挿通される態様で設けられており、弁棒60の上端は、パワーエレメント70のストッパ部材90の下側に設けられた受け部92に当接し、その下端は、弁体40と接触するように配置される。第2防振ばね500は穴部33に配置され、弁棒60を弾性的に支持する。この第2防振ばね500の詳細は後述する。
支持部材100は、弁体40を弁座25の方向(弁棒60の方向)に支持する部材である。弁体40は支持部材100に固着されているが、支持部材100は常にコイルばね44により弁座25及び弁棒60の方向に付勢されているので、支持部材100が弁体40に当接するだけの構成でもよい。支持部材100は、本体部103、上面部101、フランジ部102を備えている。円柱状の本体部103の上面は円錐状のくぼみを備えて弁体40の下面を支持する上面部101となっている。また、支持部材100は本体部103より側面(外周側に)に突出するフランジ部102を備えており、当該フランジ部102の下面が第1防振ばね140及びコイルバネ44の一端を受ける構造となっている。このときフランジ部102より下側の本体部103の外径はコイルバネ44の内径よりも小さく構成され、コイルバネ44の内側に入るようになっている。
コイルバネ44は、支持部材100に設けられたフランジ部102の下面と調整ねじ120に形成された凹部125との間に設置されている。このコイルバネ44の弾発力により、弁体40は支持部材100を介して弁座25に向けて付勢されている。フランジ部102の下面とコイルバネ44の間には、第1防振ばね140が設置されるがこの構成の詳細は後述する。
調整ねじ120は、本体部121、六角穴122、挿入部123、先端部124、凹部125を備えている。挿入部123は本体部121の上部に本体部121よりも外径が縮径して設けられ、先端部124は挿入部123の上部に挿入部123よりも外径が縮径して設けられている。また、本体部121の外周は弁本体11の下面に開口する雌ねじ11aに螺合するための雄ねじ部121aとなっている。さらに、調整ねじ120の上部には、上部が開口して円柱状の空間を有する凹部125が設けられている。凹部125は本体部121近辺まで達する深さに形成されている。また、凹部125の内径は、コイルバネ44が凹部125内に安定的に配置されるようにコイルバネ44の外径よりやや大きい内径となっている。また、調整ねじ120(本体部121)の下部には、該調整ねじ120を回すための図示されない六角レンチ挿入用の六角穴122が設けられている。
図3は、第1実施例の第1防振ばね140を示す斜視図である。図4は、第1実施例の第1防振ばね140を示す平面図である。図5は、第1実施例の第1防振ばねを示す側面図である。第1防振ばね140は、基部141と脚部142を備えている。第1防振ばね140は、ステンレス鋼、その合金等、弾性のある板材からプレス成形することができる。
基部141は、第1防振ばね140の上部を形成する円環状の板状の部材であり、中央に取付孔141aを有する。
脚部142は、基部141の外周側から周方向の接線に対して垂直方向に、換言すれば放射状に、複数延びている。第1実施例では同じ長さの8本の脚部142が等角度間隔で備えられている。脚部142は、上部142a、折り曲がり部142b、側部142c、突起部142dで構成されている。また、脚部142は、折り曲がり部142bにおいて下方に折り曲げられている。
上部142aは、基部141と略同一平面で形成されている。このため、各脚部142の根元の部分においては、基部141を有する面において、それぞれ所定形状の切欠145を確保している。図4では長さCが上部142aの長さとなる。脚部142が上部142aを備えることで、基部141と同一面において脚部142は折り曲がり部よりも基部141の中心側から形成されていることになる。また、上部142aの基部141への接続部の付近(脚部142の付け根付近)において、隣り合う上部142aの幅方向の側面の間に形成された切欠145は、上部142aの根本側面から同じ曲率で連続して結ぶことで円弧状に形成されており、これにより上部142a同士(脚部142同士)が滑らかに接続されている。もちろん、切欠145は、上部142aの根本側面から異なる曲率で結ぶことで円弧状以外の形状にて形成されても良い。
折り曲がり部142bは、上部142aから外側に連続して下方(コイルバネ44側)に向けて折り曲がり形成されている。折り曲がり部142bは、一定の曲率半径を伴っていてもよい。折り曲がり部142bは、(90−θ)度曲げ加工して形成される。
側部142cは、折り曲がり部142bの下方に連続して直線状に形成されている。側部142cの角度は、上下方向に対して下方外側に向けてθ度を有している。
突起部142dは、側部142c下端近傍に外側に向けて形成されている。例えば、突起部142dは半球状などの球表面、その他の曲面の一部等により形成できる。この突起部142dは、弁本体11内に装着されると入口孔20aの開口部上部の部分(上壁面24a)に弾発的に接触するが、弁体40が最下限位置となった場合でも突起部142dが入口孔20aの開口部に入り込まないように、各部の寸法が設定されている。
脚部142の上下方向の長さは、第1防振ばね140の上下移動の範囲内における最下端において、脚部142の下端部が入口孔20aの開口部内に落ちなければ適宜の長さで設定されることができるが、入口ポート20から導入される冷媒の流れを阻害しないように、そしてそれによる流量低下や乱流発生等が生じないように脚部142の下端部が入口孔20aの開口部に達しないようにすることが望ましい。また、本実施例においてはそれぞれの脚部142の幅は上部142a、折り曲がり部142b、側部142cのいずれも一定の幅で形成されているが、本発明においては特にそれのみに限定されることはなく、先端の幅を狭くしたり、逆に広くしたり、その他、弁体の振動抑制に最も相応しい形状に変更が可能である。また、脚部142の厚み(第1防振ばね140を1枚の弾性板材よりプレス加工して形成する場合には、第1防振ばね140の厚み)も弁体の振動抑制に相応しい厚さが採用される。
第1防振ばね140においては、隣り合う脚部142の間には冷媒が通過するための隙間D(図4)を有している。また、第1防振ばね140における突起部142d先端部で結ばれる外径は、弁室24内の上壁面24aの内径よりも大きくなっており、取り付けた際に弾性力が働き、弁室24の上壁面24aへ突起部142dが押圧するようになっている。また、脚部142の内側にコイルバネ44が配置される大きさが確保されている。
図1、2に示されるように、第1防振ばね140の装着に際しては、まず支持部材100の本体部103に、下側から第1防振ばね140の取付孔141aに通し、第1防振ばね140の基部141の上面を支持部材100のフランジ部102の下面に当接させる。次に、第1防振ばね140の下側からコイルバネ44を取り付ける。このとき、コイルバネ44の内側に支持部材100の本体部103が配置され、コイルバネ44の上面が第1防振ばね140の基部141下面に当接する。これにより、第1防振ばね140は、弁室24内に設置される。
第1防振ばね140を取り付けた膨張弁10において、第1防振ばね140の基部141は下側からコイルバネ44により付勢されているため、支持部材100のフランジ部102とコイルバネ44の間に所定の力で挟持されることにより取り付けられていることとなる。そして、第1防振ばね140は、脚部142の弾性力により突起部142dが弁室24の上壁面24aへ向けて所定の力で押され、弁体40の動きに応じて、摺動抵抗が発生する。
図6は、第1実施例の第2防振ばね500を示す斜視図である。図7は、第1実施例の第2防振ばねの展開要部正面図(a)及び要部断面図(b)である。図8は、第1実施例の第2防振ばねに弁棒を装着した状態を示す断面図である。第2防振ばね500は、板状の部材を図6に示されるように円筒形状に湾曲させ、かつ第1の弾性片520、第2の弾性片530及び第3の弾性片540を内側に折り曲げて構成される。
第1の弾性片520、第2の弾性片530、第3の弾性片540は内側に折り曲げられるが、第1の凸状当接部522、第2の凸状当接部532、第3の凸状当接部542は、円周を3等分した位置になるように設計されている。そして、第1の凸状当接部522、第2の凸状当接部532、第3の凸状当接部542の頂部を結ぶ円の直径寸法は、弁棒60の直径寸法より小さな寸法に形成される。
第2防振ばね500は、細長い弾性金属板からプレス加工により成形することができる。
弾性金属板の長手方向の一方の端部には舌片512を有し、他方の端部には、弾性金属板を円筒形状に湾曲させたときに舌片512を受け入れる舌片受け部514が形成される。凸部516は弾性金属板を円筒形状に湾曲加工するときなどに使用される。
図7は、第2の防振ばね500の第1の弾性片520の折り曲げ前の状態を示す部分説明図(a)及び要部側面図(b)である。この第2の防振ばね500は、弾性を有する帯状の金属板500aをコ字状の第1の切欠き部528を打ち抜き、これにより第1の弾性片520を形成し、かつその先端部に半球状の球面部である第1の凸状当接部522が形成されている。第2の弾性片530、第3の弾性片540も同様に第2の切欠き部538、第3の切欠き部548を形成することにより第2の弾性片530、第3の弾性片540を構成し、かつその先端部に半球状の球面部である第2の凸状当接部532、第3の凸状当接部542が形成されている。
そして、第1〜第3の弾性片520、530、540の根元を一方向から折り曲げ、その後、図6に示されるように、第1〜第3の凸状当接部522、532、542が内側を向くように、第1〜第3の弾性片520、530、540が根本より折曲される。
図8は、第1実施例の第2防振ばね500に弁棒60を装着した状態を示す平面図である。弁棒60はその周囲を3個所にて、3枚の弾性片の先端にそれぞれ形成されている凸状当接部が弁棒60の側周面に等間隔に接触して当接・支持される。なお、弾性片は2枚以上の適宜の枚数に設定することが可能である。
次に、作用について説明する。本発明の第1実施例の膨張弁10においては、圧縮機(図示せず)から吐出された高圧の冷媒は、入口ポート20から入口孔20aを通って弁室24内に流入し、弁孔26を通過して膨張され、出口ポート28から蒸発器(図示せず)へ送り出される。また、この蒸発器から送り出された冷媒は、戻り通路30の左側入口から入って右側出口に抜けるように通過し、圧縮機へ戻る。このとき、戻り通路30内を通過する冷媒の一部は開口32からパワーエレメント70の下部に流入する。そしてパワーエレメント70の下部に流入した冷媒の温度変化に応じて圧力作動室75内の作動ガスの圧力を変化させる。このとき、圧力作動室75における内圧の変動に応じて変形したダイアフラム73の動きを受け、ストッパ部材90が上下動する。そして、ストッパ部材90の移動が弁棒60を介して弁体40に伝達され、膨張される冷媒の流量が制御される。
弁体40が開閉方向(上下方向)へ動く場合、第1防振ばね140は、弁体40及び支持部材100と共に挙動する。このとき、第1防振ばね140は所定の力で弁本体11の弁室24の上壁面24aを押圧しているため、第1防振ばね140が摺動する際、脚部242の突起部142dと弁室24の上壁面24aの間で摩擦力が発生する。これにより、入口ポート20からの高圧冷媒の圧力変動に対して弁体40及び支持部材100が上下方向に敏感に反応することがなくなり、上下方向の振動を防止又は低減することができる。さらに、第1防振ばね140から弁室24の上壁面24aへ複数の脚部142により複数の箇所で押圧しているため、入口ポート20からの高圧冷媒の圧力変動に対して、弁体40及び支持部材100が押圧力に抗して横方向に簡単に動くことがなく、横方向の振動を防止する効果を発揮する。同時に、弁体40及び支持部材100の上下方向の動きをガイドする。
また、第1防振ばね140は、弁室24における入口孔20aより上の上壁面24aで接しているため、脚部142が、入口孔20aにかかることがなく、冷媒流量や乱流の発生を抑制し冷媒の通過音を低減させることができる。また、第1防振ばね140は、放射状に延びた脚部142で構成されているため、弁本体11の底部に形成された雌ねじ11aの開口部から挿入するだけで容易に弁本体11内への取付ができる。さらに、第1防振ばね140は、基部141を有する面において一定の切欠深さ(切欠145)を有していることから、脚部142の長さを防振ばねの高さ以上に長くできる。このため、脚部142のバネ定数を小さくでき、脚部142の変形に対する力の変化を小さくでき、より安定した摺動抵抗を得ることができる。また、脚部142の幅を同じにすることで、バネ定数の計算、すなわち当該第1防振ばね140の設計が容易になる。また、脚部142が基部141の周方向の接線に対して垂直方向に(放射状に)形成されることで、基部141の円周方向のねじりの力をかけずに摺動抵抗を発生させることができる。
また、この実施例においては、第1防振ばね140に加えて、弁棒60を弾性的に支持する第2防振ばね500が配置されており、この第2防振ばね500が弁棒60の駆動方向に更に所定の摺動抵抗を付与するように構成されている。すなわち、第1防振ばね140だけでは弁体40の振動を抑制しきれない場合においても、この第2防振ばね500を配置する事より弁体40の振動を効果的に抑制することが可能である。
<第2実施例>
図9は、第2実施例の第1防振ばねを示す上面図である。第2実施例は、第1実施例の第1防振ばね140を第1防振ばね240に置き換えた構成であり、それ以外は第1実施例で示したものと共通であるので、共通の箇所は再度の説明を省略してある。
第1防振ばね240は、基部241と脚部242を備えている。第1防振ばね240は、ステンレス鋼、その合金等、弾性のある板材からプレス成形することができる。
基部241は、第1防振ばね240の上部を形成する円環状の板状の部材であり、中央に第1実施例と同様の取付孔141aを有する。
脚部242は、基部241の外周側から周方向の接線に対して垂直方向に、すなわち放射状に複数延びている。第2実施例では8本の脚部242が等角度間隔で備えてられている。脚部242は、上部242a、折り曲がり部142b、側部142c、突起部142dで構成され、折り曲がり部142b、側部142c、突起部142dは第1実施例と同様である。
ここで、第1実施例では円弧状の切欠145を有していたが、第2実施例では略三角状の切欠245となっている点で異なる。このため、第2実施例の上部242aの長さEは、第1実施例の上部142aの長さCよりも長い。そして、その分だけ第2実施例の脚部242の長さは、長くなる。また、第2実施例の基部241の外周は第1実施例の基部141の外周よりも小さくなっている。なお、隣り合う上部242aの幅方向の側面は、強度や応力集中を考慮して小さい円弧状部を形成してもよい。
第2実施例では、略三角状の切欠245を形成することで、第1防振ばね240の長さをさらに長くできる。このため、脚部242のバネ定数をより小さくでき、脚部242の変形に対する力の変化をより小さくでき、より安定した摺動抵抗とすることができる。
<第3実施例>
図10は、本発明による膨張弁の第3実施例を示す縦断面図である。図11は、第3実施例の第2防振ばねを示す斜視図である。第3実施例は、第1実施例の第2防振ばね500(弾性片3枚1段組)を第2防振ばね600(弾性片3枚2段組)に置き換えた構成であり、それ以外は第1実施例で示したものと共通であるので、共通の箇所は再度の説明を省略してある。
第2防振ばね600は、細長い弾性金属板からプレス加工により成形することができる。弾性金属板の長手方向の一方の端部には舌片612を有し、他方の端部には、弾性金属板を円筒形状に湾曲させたときに舌片612を受け入れる舌片受け部614が形成される。凸部616は弾性金属板を円筒形状に湾曲加工するときなどに使用される。
各弾性片(620、624、630、634、640、644)の先端部に半球状の球面部である各凸状当接部(622、626、632、636、642、646)が形成され、長手方向に切欠き部(628、638、648)が形成される。そして、各弾性片(620、624、630、634、640、644)を内側に折り曲げて構成される。
第3実施例では、合計6枚の弾性片(620、624、630、634、640、644)のばね力により更に強固にかつ安定的に支持され、第1防振ばねよる防振作用に加えて更に効果的な防振作用を発揮できる。
なお、上述した実施例においては、3枚の弾性片を2段組にした例を示したが、各段の複数の弾性片が弁棒60の側周面に等間隔に配置されれば、弾性片の枚数は2枚以上の適宜の数に選択できる。また、3段組以上の多段にしてもよい。
<第4実施例>
図12は、本発明による膨張弁の第4実施例を示す縦断面図である。第4実施例は、第1実施例の第1防振ばね140を第1防振ばね740に置き換えた構成であり、それ以外は第1実施例の図1で示したものと共通であるので、共通の箇所は再度の説明を省略してある。
第1防振ばね740は、第1防振ばね140と同様、基部と、同じ長さの8本の脚部を備えているが、この脚部が第1防振ばね140より長い。すなわち、第1防振ばね140の脚部は、弁室24における入口孔20aより上の上壁面24aに接しているが、第1防振ばね740の脚部は、下壁面24bに接している。そして、第1防振ばね740は、脚部の弾性力により突起部が弁室24の下壁面24bへ向けて、一定の力で押され、弁体40の動きに応じて、摺動抵抗が発生する。
下壁面24bの上下方向の長さは、挿入穴11bの上部と入口孔20aの間の強度に必要な厚さの長さ、および、第1防振ばね740が摺動するのに必要な上下方向の長さが確保されていればよい。
なお、上述した実施例においては、第1防振ばね740の8本の脚部全てが下壁面24bに接している例を示したが、脚部の長さは長いものと短いものが交互であってもよい。すなわち、下壁面24bに接している長いものと、上壁面24aに接している短いものが例えば交互にあってもよい。
以上の様に、本発明の実施形態について第1実施例、第2実施例、第3実施例、第4実施例を示してきたが、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例に設けられた全ての構成(構造)を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を削除したり、他の実施例の構成に置き換えたり、あるいはまた、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
例えば、上記実施例では、脚部142、242は、同じ長さの8本の脚部142が等角度間隔で備えていることを示した。脚部142、242の本数が8本であれば挙動の安定性と摺動抵抗を確保でき、脚部間の隙間のバランスも保たれるが、これに限られるものではない。例えば、脚部は2本以上であれば良く、また、同じ長さ、等角度間隔に限らなくても良い。また、上記実施例で示した脚部の幅が途中で変わるものであっても採用することは可能である。
また、上記実施例で示したパワーエレメント70は、ねじによる取り付けを示しているが、これ以外に、弁本体上部に形成された円筒部を設け、この円筒部の内側にパワーエレメント70を挿入し、該円筒部を内側カシメ加工することにより、該パワーエレメント70を取り付ける構成でも良い。
10 膨張弁
11 弁本体
20 入口ポート
20a 入口孔
24 弁室
24a 上壁面
25 弁座
26 弁孔
28 出口ポート
30 戻り通路
40 弁体
44 コイルバネ
60 弁棒
70 パワーエレメント
100 支持部材
120 調整ねじ
140、240、740 第1防振ばね
141、241 基部
142、242 脚部
500、600 第2防振ばね

Claims (2)

  1. 冷媒が弁室に流入する入口孔及び、前記冷媒が前記弁室から流出する弁孔を有する弁本体と、
    前記弁孔を流れる冷媒の量を調節する弁体と、
    前記弁体を支持する支持部材と、
    前記支持部材を介して前記弁体を閉弁方向に押圧するコイルバネと、
    前記弁本体に取り付けられて弁棒を介して前記弁体を駆動するパワーエレメントと、
    前記弁体の振動を防止する防振ばねと、を備え、
    前記支持部材は、前記コイルバネ内に嵌入する本体部を具備し、
    前記防振ばねは、前記支持部材と前記コイルバネとの間に配置される円環状の基部と、前記基部から放射状に延びる複数の脚部と、を有し、
    前記コイルバネの中心軸線に沿った方向において、前記脚部における前記入口孔側の端部と、前記支持部材の本体部における前記入口孔側の端部は、前記入口孔の前記弁孔側縁の近傍に位置する膨張弁。
  2. 前記脚部の少なくとも1つは、前記コイルバネを挟んで前記入口孔とは反対側に配置される、
    請求項1に記載の膨張弁。

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