JP2020117548A - 小細胞肺がんの治療に使用するためのナノリポソームイリノテカン - Google Patents

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Abstract

【課題】小細胞肺がんの治療に使用するためのナノリポソームイリノテカンの提供【解決手段】小細胞肺がん(SCLC)の治療のための新規の療法は、2週毎に1回投与されるリポソームイリノテカンからなる抗新生物療法の投与を含み、任意選択で、イリノテカンリポソームの投与の前に患者へのコルチコステロイドおよび制吐剤の投与などのその他の非抗新生物剤の患者への投与を含む。一局面では、小細胞肺がん(SCLC)のための第一選択の白金ベースの療法にある間またはその後の疾患進行後にSCLCを有すると診断されたヒト患者を治療する方法が提供され、この方法は、2週毎に1回、上記ヒト患者に抗新生物療法を投与することを含み、上記抗新生物療法が、90mg/m2(遊離塩基)の用量のMM−398リポソームイリノテカンからなる。【選択図】なし

Description

関連出願への相互参照
この出願は、米国仮出願第62/337,961号(2016年5月18日出願)、米国仮出願第62/345,178号(2016年6月3日出願)、米国仮出願第62/362,735号(2016年7月15日出願)、米国仮出願第62/370,449号(2016年8月3日出願)、米国仮出願第62/394,870号(2016年9月15日出願)、米国仮出願第62/414,050号(2016年10月28日出願)、米国仮出願第62/415,821号(2016年11月1日出願)、米国仮出願第62/422,807号(2016年11月16日出願)、米国仮出願第62/433,925号(2016年12月14日出願)、米国仮出願第62/455,823号(2017年2月7日出願)、および米国仮出願第62/474,661号(2017年3月22日出願)(これらの各々は、それらの全体が参考として本明細書に援用される)の優先権の利益を主張する。
本発明は、白金ベースの療法での治療後に小細胞肺がん(SCLC)の疾患進行を伴う患者などのSCLCを有すると診断された患者の治療に関する。
小細胞肺がん(SCLC)は、他の身体部位にも生じ得るが最も一般には肺内に生じる高度に悪性のがんである。SCLCは、通常、中心に位置する気管気管支の気道より生じて縦隔に侵入する、迅速に進行する大きな病変となる。典型的に、患者は、咳もしくは呼吸困難、喘鳴、および/または胸部の疼痛を呈する。患者の3分の1までで体重減少、疲労、および食欲不振が起こる。診断時において、SCLC患者の3分の2は、1つまたは複数の臨床的に検出可能な遠隔転移を有する。
SCLCの初回(第一選択(first line))の治療は、エトポシドまたはイリノテカンと組み合わせた4〜6治療サイクルのシスプラチンまたはカルボプラチンなどの白金ベースの療法の投与を含むことがある。(Owonikoko,TKら、J Thorac Oncol. 2012年5月;7巻(5号):866〜72頁)によれば、SCLCの疾患進行(第一選択の療法後)に対する現行のその後(第二選択(second line))の療法は、約7.7ヶ月(感受性患者)および5.4ヶ月(無反応性患者)の全生存を提供すると報告されている。一つの第二選択の療法はトポテカンの投与(例えば、ハイカムチン、塩酸トポテカンの注射)であり、これはある特定のレジメンにおいて7.8ヶ月(感受性患者で9.9ヶ月、無反応性患者で5.7ヶ月)の全生存を提供すると報告されている(Owonikoko,TKら、J Thorac Oncol.
2012年5月;7巻(5号):866〜72頁)。例えば、3週間の治療サイクルにおける1〜5日目に1回投与される1.5mg/mのトポテカンによる第二選択のSCLCの治療は、約7〜24%の全奏効率、約3.1〜3.7ヶ月の無増悪生存(PFS)、および5.0〜8.9ヶ月の全生存(OS)を提供した(28〜88%のグレード3またはそれより高いグレードの好中球減少症率および約5%未満のグレード3またはそれより高いグレードの下痢を伴った)(PMID 16481389、17135646、17513814、9164222、10080612、25385727)。別の報告されたSCLCの第二選択の療法は、3週毎に1回の300mg/mの非リポソームのイリノテカンの投与であり、これは0〜33%の全奏効率、1.7〜2.8ヶ月のPFS、および4.6〜6.9ヶ月のOSの組み合わせを提供する(21〜23%のグレード3またはそれより高いグレードの好中球減少症率および約0〜13%未満のグレード3またはそれより高いグレードの下痢を伴う)(PMID 19100647、1321891)。
Owonikoko,TKら、J Thorac Oncol.(2012年5月)7巻(5号):866〜72頁
イリノテカンはSCLCの治療における活性剤であるが(例えば、NCCNおよびESMOのガイドラインに挙げられている)、米国またはEUにおいて承認されていない。さらには、それは第一選択のSCLCにおいて白金と組み合わせた第III相承認申請試験に失敗した(PMID:16648503)。患者の転帰の有意な改善に成功した標的化治療はこれまでに存在しない。したがって、この疾患に対する新規治療の研究が差し迫って必要とされている。
本開示は、治療有効量のリポソームイリノテカンを投与することによる、白金ベースの療法に引き続く疾患進行後の小細胞肺がんを有する患者を治療する方法を提供する。具体的には、白金ベースの療法に引き続く疾患進行後のSCLCを有すると診断された患者に2週毎に1回、MM−398(ONIVYDE)などのリポソームイリノテカンを投与することができる。一部の実施形態では、リポソームイリノテカンは、限局期(limited stage)または進展期(extensive stage)のSCLCの治療のための第一選択の白金ベースの化学療法(カルボプラチンまたはシスプラチン)、免疫療法、および/または白金ベースの化学療法を含む放射線化学療法にある間またはその後にSCLCの疾患進行を有すると診断された患者に投与され得る。
小細胞肺がん(SCLC)のための白金ベースの療法に引き続く疾患進行後のSCLCを有すると診断されたヒト患者は、イリノテカンリポソーム中にカプセル化された単回用量の90mg/mのイリノテカン(遊離塩基)からなる抗新生物療法により2週毎に1回治療され得る。別の実施形態では、UGT1A128対立遺伝子についてホモ接合であることが既知であり、かつ小細胞肺がん(SCLC)のための白金ベースの療法に引き続く疾患進行後のSCLCを有すると診断されたヒト患者は、2週毎に1回投与される、リポソーム中にカプセル化された減少させた単回用量(例えば、50〜70mg/m;50mg/mまたは70mg/mなど)のイリノテカン(遊離塩基)からなる抗新生物療法により治療され得る。別の実施形態では、小細胞肺がん(SCLC)を有すると診断された後にリポソームイリノテカンを与えられている間またはその後に、およびSCLCのための白金ベースの療法に引き続く疾患進行後にグレード3+の有害事象を以前に経験したヒト患者は、2週毎に1回投与される、リポソーム中にカプセル化された減少させた単回用量(例えば、50〜70mg/m;50mg/mまたは70mg/mなど)のイリノテカン(遊離塩基)からなる抗新生物療法により治療され得る。
リポソームイリノテカンは、リポソームイリノテカンなどの約100nmの直径を有する送達形態でイリノテカンを含む、イリノテカンの薬学的に許容されるリポソーム製剤であり得る(実施例1)。様々な好適なリポソームイリノテカン調製物を本明細書中に開示するようにして製造することができる(実施例8)。好ましくは、リポソームイリノテカンは、製品MM−398(ONIVYDE(登録商標))である(実施例9)。本開示中でMM−398はMM−398リポソームイリノテカンと交換可能に使用される。
図1は、SangerデータベースからのSN−38に対する薬物感受性データをSCLC、胃腸、および膵臓がんの細胞株についてプロットしたものを示すグラフである(実施例2)。
図2Aおよび図2Bは、様々なSN−38の濃度において88時間にわたってIncucyte機器上で得たDMS114およびNCI−H1048 SCLC細胞株の速度論的な増殖曲線である。
図3は、SCLCのDMS114異種移植モデルにおけるMM−398の抗腫瘍活性を示すグラフである。23日目に開始して4週間にわたって毎週与える10または20mg/kgの塩酸イリノテカン三水和物にてIVでMM−398を投与し、食塩水対照(黒丸)と比較した。
図4は、NAPOLI−1のMM−398+5FU/LVアームにおける閾値を上回る非カプセル化SN−38(uSN38)の時間の四分位数による全生存のカプランマイヤープロットである。Q1〜Q4は、閾値を上回るuSN38の時間の四分位数を表す。Q1は最短の時間を表し、Q4は最長の時間を表す。
図5は、NAPOLI−1のMM−398+5FU/LVアームについての最良奏効(best response)とuSN38>0.03ng/mLの継続時間との関連性を示すグラフである。
図6Aは、MM−398で治療した患者における非カプセル化SN−38のCmaxとグレード≧3の好中球減少症との関連性を示すグラフである。
図6Bは、MM−398で治療した患者における総イリノテカンのCmaxとグレード≧3の下痢との関連性を示すグラフである。
図7Aは、カルボキシルエステラーゼ(CES)の活性を示すグラフであり、腫瘍のSN−38レベルの増加は、SCLCマウス異種移植モデルにおける投与の24時間後の腫瘍CPT−11による評価で、腫瘍沈積の増加と関連していた。
図7Bは、カルボキシルエステラーゼ(CES)の活性を示すグラフであり、SCLCのPDX腫瘍は、イリノテカンが活性である他の適応症と同等にCES活性を有する。
図7Cは、細胞の感受性を示すグラフであり、Nal−IRIの腫瘍沈積は、H1048 SCLC細胞におけるSN−38感受性の範囲と合致している。
図7Dは、細胞の感受性を示すグラフであり、Topo1阻害剤の細胞毒性は曝露と共に増加する。
図7Eは、トポテカン投与は毒性によって著しく制限され、したがってOnivyde媒介性の長期のSN−38曝露と比べてtopo1の持続した阻害は制限されることを示すチャートである。
図8Aは、SCLCのDMS−53異種移植モデルにおけるMM−398の抗腫瘍活性を示す。
図8Bは、SCLCのHCl−H1048異種移植モデルにおけるMM−398の抗腫瘍活性を示す。
図8Cは、接種後の日において対照、Onivyde(30または50mg/kgの塩)、イリノテカン(25mg/kg)、またはトポテカン(4mg/kg)で治療されたSCLCのH841ラット同所異種移植モデルにおけるラットの生存パーセントを示す。
図9Aおよび図9Bは、MM−398および非リポソームのイリノテカンで治療されたSCLC異種移植モデルにおける腫瘍代謝物レベルを示すグラフである。注射の24時間後、腫瘍中の(図9A)CPT−11および(図9B)活性代謝物SN−38は、30mg/kg(塩)の非リポソームのイリノテカンと比べて16mg/kg(塩)のMM−398で治療されたマウスについて有意に高かった。 図9Aおよび図9Bは、MM−398および非リポソームのイリノテカンで治療されたSCLC異種移植モデルにおける腫瘍代謝物レベルを示すグラフである。注射の24時間後、腫瘍中の(図9A)CPT−11および(図9B)活性代謝物SN−38は、30mg/kg(塩)の非リポソームのイリノテカンと比べて16mg/kg(塩)のMM−398で治療されたマウスについて有意に高かった。
図10Aおよび図10Bは、治療ナイーブSCLC異種移植モデルにおける全ての比較用治療アームに対してNal−IRIが優れていることを示すグラフであり、図10Aは、治療ナイーブSCLCモデルNCl−H1048を示すグラフであり(Nal−IRI 16mg/kg BSAあたりの臨床的に同等の用量=1×約90mg/mのMM−398;トポテカン 0.83mg/kg/週、D1〜2、2週毎 BSAあたりの臨床的に同等の用量=1×約1.5mg/mのトポテカン、3週毎、D1〜5)、図10Bは完全奏効の数を示す(Nal−IRI)。NCI−H1048は化学的感受性モデルである(SCLCの胸水転移より確立)。全てのnal−IRI治療動物は2〜3用量後に完全奏効(CR)を有したが、用量応答は早い時点で観察される。IRI治療動物は、治療に最初に応答した後に進行するが、nal−IRI治療動物は今までCRのままである。
図11Aおよび図11Bは、カルボプラチン+エトポシドでの治療を通じて作製した2LのSCLC異種移植モデルを記載する。図11Cは、治療ナイーブSCLCモデルNCl−H1048を示すグラフであり(トポテカン 0.83mg/kg/週、D1〜2、2週毎 BSAあたり臨床的に同等の用量=1×約1.5mg/mのトポテカン、3週毎、D1〜5;1L エトポシド(25mg/kg)&カルボ(Carbo;30mg/kg)はBSAあたり臨床的に同等の用量=1×約100mg/mのエトポシド D1〜3+AUC6 カルボ D1、4週毎)、11Bは1Lおよび2Lの治療の図式である。1Lのレジメンは、臨床的に妥当な用量(BSA/BWの計算に基づく)でトポテカン治療と類似の抗腫瘍活性を生じさせる。3サイクルの1Lの治療後、さらなる2Lの治療のためにマウスを無作為化した。 図11Aおよび図11Bは、カルボプラチン+エトポシドでの治療を通じて作製した2LのSCLC異種移植モデルを記載する。図11Cは、治療ナイーブSCLCモデルNCl−H1048を示すグラフであり(トポテカン 0.83mg/kg/週、D1〜2、2週毎 BSAあたり臨床的に同等の用量=1×約1.5mg/mのトポテカン、3週毎、D1〜5;1L エトポシド(25mg/kg)&カルボ(Carbo;30mg/kg)はBSAあたり臨床的に同等の用量=1×約100mg/mのエトポシド D1〜3+AUC6 カルボ D1、4週毎)、11Bは1Lおよび2Lの治療の図式である。1Lのレジメンは、臨床的に妥当な用量(BSA/BWの計算に基づく)でトポテカン治療と類似の抗腫瘍活性を生じさせる。3サイクルの1Lの治療後、さらなる2Lの治療のためにマウスを無作為化した。
図12は、白金で治療したSCLC腫瘍においてNal−IRIは有効なままであり、トポテカンおよびイリノテカンより優れていることを示すグラフである:2LのSCLCモデル:NCl−H1048。白金で治療したSCLC腫瘍においてNal−IRIは活性のままであり、完全奏効に向かう傾向があり、IRIでの治療は活性であるが、3回目のサイクルの後に一部の腫瘍は再増殖の傾向があり、トポテカン(2×臨床的に妥当な用量)は1〜2サイクルの後に活性ではあるが3回目の用量後に迅速に進行するようであり、エトポシド+カルボプラチンは5回目のサイクルまで忍容できない。
図13Aおよび図13Bは、別のSCLC異種移植モデル(DMS−114)においてもNal−IRIがトポテカンおよびイリノテカンより優れていることを示すグラフであり、図13AはDMS−114 SCLCマウス異種移植(s.c.)を示すグラフであり、図13BはNal−IRI(74日目)の腫瘍体積変化を示すチャートである。Nal−IRIは、臨床的に妥当な用量でイリノテカンおよびトポテカンより優れている。SCLC腫瘍は初期にはイリノテカンに応答するが、2〜3サイクル後に応答性がより低くなる。 図13Aおよび図13Bは、別のSCLC異種移植モデル(DMS−114)においてもNal−IRIがトポテカンおよびイリノテカンより優れていることを示すグラフであり、図13AはDMS−114 SCLCマウス異種移植(s.c.)を示すグラフであり、図13BはNal−IRI(74日目)の腫瘍体積変化を示すチャートである。Nal−IRIは、臨床的に妥当な用量でイリノテカンおよびトポテカンより優れている。SCLC腫瘍は初期にはイリノテカンに応答するが、2〜3サイクル後に応答性がより低くなる。
図14A〜4Cは、TOP1阻害剤で治療されたSCLC腫瘍がnal−IRIに対して応答性のままであることを示すグラフである。図14A。DMS−114:治療ナイーブ;図14B。DMS−114:トポテカン治療;図14C。DMS−114:イリノテカン治療。トポテカンで治療されたDMS114腫瘍はnal−IRI(16mg/kg)に対して応答性であるが、イリノテカン(33mg/kg)に対しては応答性でない。 図14A〜4Cは、TOP1阻害剤で治療されたSCLC腫瘍がnal−IRIに対して応答性のままであることを示すグラフである。図14A。DMS−114:治療ナイーブ;図14B。DMS−114:トポテカン治療;図14C。DMS−114:イリノテカン治療。トポテカンで治療されたDMS114腫瘍はnal−IRI(16mg/kg)に対して応答性であるが、イリノテカン(33mg/kg)に対しては応答性でない。 図14A〜4Cは、TOP1阻害剤で治療されたSCLC腫瘍がnal−IRIに対して応答性のままであることを示すグラフである。図14A。DMS−114:治療ナイーブ;図14B。DMS−114:トポテカン治療;図14C。DMS−114:イリノテカン治療。トポテカンで治療されたDMS114腫瘍はnal−IRI(16mg/kg)に対して応答性であるが、イリノテカン(33mg/kg)に対しては応答性でない。
図15A〜15Cは、曝露の継続時間がTOP1阻害剤の活性にとって極めて重要である可能性を示すグラフである。図15AはDMS−114 SCLCマウス異種移植(s.c.)であり、図15Bは仮定される腫瘍曝露であり、図15CはNCl−H1048マウス異種移植である。同一の用量強度において、ボーラス(1日目に与えた)のトポテカンは、細分化したトポテカン(1日目および2日目)と比べて抗腫瘍活性が低い。イリノテカンはプロドラッグ(CPT−11)であり、活性代謝物SN−38はトポテカンより長い継続時間を有し得るので、治療閾値を上回るTOP1阻害剤の長期の曝露は高いCmaxよりも有益であることをこれは示し得る。 図15A〜15Cは、曝露の継続時間がTOP1阻害剤の活性にとって極めて重要である可能性を示すグラフである。図15AはDMS−114 SCLCマウス異種移植(s.c.)であり、図15Bは仮定される腫瘍曝露であり、図15CはNCl−H1048マウス異種移植である。同一の用量強度において、ボーラス(1日目に与えた)のトポテカンは、細分化したトポテカン(1日目および2日目)と比べて抗腫瘍活性が低い。イリノテカンはプロドラッグ(CPT−11)であり、活性代謝物SN−38はトポテカンより長い継続時間を有し得るので、治療閾値を上回るTOP1阻害剤の長期の曝露は高いCmaxよりも有益であることをこれは示し得る。
図16A〜16Dは、NCl−H1048 SCLCマウス異種移植(s.c.)を示す。図16A。腫瘍体積;図16B。生存;図16C。体重変化;図16D。98日目における応答。 図16A〜16Dは、NCl−H1048 SCLCマウス異種移植(s.c.)を示す。図16A。腫瘍体積;図16B。生存;図16C。体重変化;図16D。98日目における応答。 図16A〜16Dは、NCl−H1048 SCLCマウス異種移植(s.c.)を示す。図16A。腫瘍体積;図16B。生存;図16C。体重変化;図16D。98日目における応答。
図17A〜7Cは、NDMC−53 SCLCマウス異種移植(s.c.)を示す。図17A。腫瘍体積;図17B。生存;図17C 対照、NaI−IRI(16mg/kgの塩)、またはトポテカン(0.83mg/kg/週、D1〜2)の接種後98日目における応答。 図17A〜7Cは、NDMC−53 SCLCマウス異種移植(s.c.)を示す。図17A。腫瘍体積;図17B。生存;図17C 対照、NaI−IRI(16mg/kgの塩)、またはトポテカン(0.83mg/kg/週、D1〜2)の接種後98日目における応答。
図18Aおよび図18Bは、Nal−IRIがBxPC−3マウス異種移植腫瘍においてイリノテカンおよびSN−38(活性代謝物)の曝露を増加させ、その送達を持続させることを示すグラフである:図18A。血漿;図18B。腫瘍。
図19は、Nal−IRIがSCLCの前臨床モデルにおいて腫瘍にイリノテカンを有効に送達することを示すグラフである。
図20Aおよび図20Bは、TOP1阻害剤で治療されたSCLC腫瘍がnal−IRIに対して応答性のままであることを示すグラフである:図20A。DMS−114:トポテカン治療;図20B。DMS−114:治療ナイーブ。トポテカンで治療されたDMS114腫瘍はnal−IRI(16mg/kg)に対して応答性であるが、イリノテカン(33mg/kg)に対して応答性でない。
図21Aおよび図21Bは、2LのSCLCモデル:NCl−H1048における白金で治療されたSCLC腫瘍においてNal−IRIは有効なままであり、トポテカンおよびイリノテカンよりも優れていることを示すグラフである。図21Aは腫瘍体積の変化を示し、図21Bは生存のグラフである。
図22A〜22Dは、MM−398がHT29 CRC異種移植モデルにおいて循環および腫瘍循環の改善を有することの前臨床のエビデンスを示すグラフである − MM−398 40mg/kg:図22A CPT−11血漿(持続した血漿レベル)、図22B。SN−38血漿(中等度に持続した血漿レベル)、図22C CPT−11腫瘍(持続した腫瘍内レベル)、および図22D SN−38腫瘍(SN38への増進された腫瘍内活性化)。 図22A〜22Dは、MM−398がHT29 CRC異種移植モデルにおいて循環および腫瘍循環の改善を有することの前臨床のエビデンスを示すグラフである − MM−398 40mg/kg:図22A CPT−11血漿(持続した血漿レベル)、図22B。SN−38血漿(中等度に持続した血漿レベル)、図22C CPT−11腫瘍(持続した腫瘍内レベル)、および図22D SN−38腫瘍(SN38への増進された腫瘍内活性化)。
図23A〜23Fは、Nal−IRIがイリノテカンおよびトポテカンより強い抗腫瘍活性を有することを示すグラフである。NOD/SCIDマウスは、皮下に(図23A)DMS−53、(図23B)DMS−114、または(図23C)NCI−H1048を有する。SCLC異種移植腫瘍をIVのnal−IRI(16mg/kg;三角)、IVのイリノテカン(33mg/kg;菱形)、IPのトポテカン(0.83mg/kg/週 1〜2日目;四角)、またはビヒクル対照(丸)で治療した。DMS−114およびNCI−H1048について全ての群はn=10;DMS−53についてn=4、5、そして対照、トポテカン、およびnal−IRIはそれぞれ5である。皮下に患者由来異種移植片(図23D)LUN−182、(図23E)LUN−081、および(図24F)LUN−164を持つBalb/cヌードマウスをIVのnal−IRI(16mg/kg;三角)、IVのイリノテカン(33mg/kg;菱形)、IPのトポテカン(0.83mg/kg/週 1〜2日目;四角)、またはビヒクル対照(丸)で治療した。全てのPDXモデルについて全ての群はn=5である。垂直方向の点線は週毎の投薬の開始を示し、エラーバーは平均の標準誤差を示す。 図23A〜23Fは、Nal−IRIがイリノテカンおよびトポテカンより強い抗腫瘍活性を有することを示すグラフである。NOD/SCIDマウスは、皮下に(図23A)DMS−53、(図23B)DMS−114、または(図23C)NCI−H1048を有する。SCLC異種移植腫瘍をIVのnal−IRI(16mg/kg;三角)、IVのイリノテカン(33mg/kg;菱形)、IPのトポテカン(0.83mg/kg/週 1〜2日目;四角)、またはビヒクル対照(丸)で治療した。DMS−114およびNCI−H1048について全ての群はn=10;DMS−53についてn=4、5、そして対照、トポテカン、およびnal−IRIはそれぞれ5である。皮下に患者由来異種移植片(図23D)LUN−182、(図23E)LUN−081、および(図24F)LUN−164を持つBalb/cヌードマウスをIVのnal−IRI(16mg/kg;三角)、IVのイリノテカン(33mg/kg;菱形)、IPのトポテカン(0.83mg/kg/週 1〜2日目;四角)、またはビヒクル対照(丸)で治療した。全てのPDXモデルについて全ての群はn=5である。垂直方向の点線は週毎の投薬の開始を示し、エラーバーは平均の標準誤差を示す。 図23A〜23Fは、Nal−IRIがイリノテカンおよびトポテカンより強い抗腫瘍活性を有することを示すグラフである。NOD/SCIDマウスは、皮下に(図23A)DMS−53、(図23B)DMS−114、または(図23C)NCI−H1048を有する。SCLC異種移植腫瘍をIVのnal−IRI(16mg/kg;三角)、IVのイリノテカン(33mg/kg;菱形)、IPのトポテカン(0.83mg/kg/週 1〜2日目;四角)、またはビヒクル対照(丸)で治療した。DMS−114およびNCI−H1048について全ての群はn=10;DMS−53についてn=4、5、そして対照、トポテカン、およびnal−IRIはそれぞれ5である。皮下に患者由来異種移植片(図23D)LUN−182、(図23E)LUN−081、および(図24F)LUN−164を持つBalb/cヌードマウスをIVのnal−IRI(16mg/kg;三角)、IVのイリノテカン(33mg/kg;菱形)、IPのトポテカン(0.83mg/kg/週 1〜2日目;四角)、またはビヒクル対照(丸)で治療した。全てのPDXモデルについて全ての群はn=5である。垂直方向の点線は週毎の投薬の開始を示し、エラーバーは平均の標準誤差を示す。
MM−398は、イリノテカンのリポソームでのカプセル化であり、これはSN−38の持続的な腫瘍曝露を提供し、したがって非リポソームのイリノテカンに優る特定の利点を提供する。膵臓がんを有する患者におけるMM−398の承認されたレジメンは、5−FU/LVと組み合わせたものである。しかしながら、5−FUはSCLCの治療において使用される活性剤ではない。今まで、MM−398でのSCLCを有する患者の治療は開示されていない。出願人は、本明細書中に開示する方法および使用などの、SCLCを有する患者におけるMM−398の単剤療法のある特定の方法および使用を発見した。
SCLCを有する患者における使用のためのMM−398のこれらの方法および使用の発見は、本明細書中に記載する前臨床データおよび臨床薬理学解析に部分的に基づくものであった。方法および使用は、効能の増加をより高い用量で予測される毒性の増加と均衡させるように設計されている。本明細書中の前臨床データは、SCLCのモデルにおけるMM−398の活性を説明する。臨床薬理学解析は、増加した用量での毒性の増加を支持し、具体的には90mg/mの用量の安全性プロファイルを支持する。最後に、ヒトにおける90mg/mに相当するマウス用量レベルでの前臨床効能データは、トポテカンよりも優れていることを示す。
小細胞肺がん(SCLC)のための白金ベースの療法に引き続く疾患進行後のSCLCを有すると診断されたヒト患者は、リポソーム中にカプセル化された単回用量の治療有効量のイリノテカンからなる抗新生物療法により治療され得る。リポソームイリノテカンは、PEG化リポソームなどのリポソームイリノテカン(実施例1)などの、約100nmの直径を有する送達形態でイリノテカンを含む、イリノテカンの薬学的に許容されるリポソーム製剤であり得る。様々な好適なリポソームイリノテカン調製物を本明細書中に開示するようにして製造することができる(実施例8)。好ましくは、リポソームイリノテカンは製品MM−398(ONIVYDE)である(実施例9)。
本明細書中で使用する場合、90mg/mのイリノテカンは、リポソーム中にカプセル化された遊離塩基(イリノテカン遊離塩基の量に基づく用量)を指し、100mg/mの塩酸イリノテカン無水塩に相当する。塩酸イリノテカン三水和物に基づく用量のイリノテカン遊離塩基に基づく用量への変換は、塩酸イリノテカン三水和物に基づく用量に、イリノテカン遊離塩基の分子量(586.68g/mol)対塩酸イリノテカン三水和物の分子量(677.19g/mol)の比を掛けることによって達成される。この比は0.87であり、これを変換係数として使用することができる。例えば、塩酸イリノテカン三水和物に基づく80mg/mの用量は、イリノテカン遊離塩基に基づく69.60mg/mの用量に相当する(80×0.87)。診療所ではこれを70mg/mに丸めて、任意の投薬過誤の可能性を最小化する。
一部の研究でのnal−IRIの用量は同等の用量の塩酸イリノテカン三水和物(塩)に基づいて計算されたが、本明細書では、別段の記載がなければ、用量は遊離塩基としてのイリノテカンに基づく。したがって、表1によれば、遊離塩基としてのイリノテカンに基づく50mg/mは塩酸塩三水和物としてのイリノテカンに基づく60mg/mに相当し、遊離塩基としてのイリノテカンに基づく70mg/mは塩酸塩三水和物としてのイリノテカンに基づく80mg/mに相当し、遊離塩基としてのイリノテカンに基づく90mg/mは塩酸塩三水和物としてのイリノテカンに基づく100mg/mに相当し、遊離塩基としてのイリノテカンに基づく100mg/mは塩酸塩三水和物としてのイリノテカンに基づく120mg/mに相当する。
単剤または併用化学療法の部分として90mg/mのMM−398の投与後の総イリノテカンおよび総SN−38の薬物動態のパラメーターを表2に提示する。
50〜150mg/mの用量範囲にわたって、総イリノテカンのCmaxおよびAUCは用量と共に増加する。さらに、総SN−38のCmaxは用量に比例して増加するが、総SN−38のAUCの増加は、用量に比例したものより小さい。より高い血漿のSN−38のCmaxは、好中球減少症を経験する可能性の増加に関連した。
SN−38のCmaxはリポソームイリノテカンの用量に比例して増加するが、SN−38のAUCの増加は用量に比例したものより小さく、投与量の調整の新たな方法を可能とする。例えば、有害作用に関連するパラメーター(Cmax)の値は、治療の有効性に関連するパラメーター(AUC)の値よりも比較的大きい程度で減少する。したがって、有害作用が見られる場合、Cmaxの減少とAUCの減少との差を最大化するリポソームイリノテカンの投薬の減少を実行することができる。治療レジメンにおいて、所与のSN−38のAUCを驚くべき低さのSN−38のCmaxで達成できることをこの発見は意味する。同様に、所与のSN−38のCmaxを驚くべき高さのSN−38のAUCで達成することができる。
イリノテカンリポソームの直接測定は、95%のイリノテカンがリポソームにカプセル化されたままであり、全ての形態対カプセル化形態の比は、用量後0〜169.5時間の時間と共に変化しないことを示した。
一部の実施形態では、リポソームイリノテカンは、表2中のパラメーターによって特徴付けることができる。一部の実施形態では、リポソームイリノテカンは、MM−398またはMM−398に生物学的に同等な製品であり得る。一部の実施形態では、リポソームイリノテカンは、表2中の対応する値の80〜125%であるCmax値および/またはAUC値などの、表3中のパラメーターによって特徴付けることができる。2週毎に1回、90mg/mのイリノテカン遊離塩基を投与する様々な代替的なリポソームイリノテカン製剤用の総イリノテカンの薬物動態のパラメーターを表3に提供する。
様々なSCLC細胞株に対するイリノテカンの活性代謝物SN−38の活性をin vitroでの増殖および生存度アッセイにおいて調べた(実施例2)。このデータの解析は、SCLC細胞株が膵臓および胃腸のがん細胞株と類似のSN−38への感受性を有することを示した(図1)。加えて、SN−38は、テストした4つのSCLC細胞株において90%を超える細胞生存度の減少を誘発し、IC50は不定で数桁に及んだ。図2Aおよび図2Bは、実施例2に記載するような、2つのSCLC細胞株におけるSN−38の細胞増殖阻害動態を示す。
単剤としてのMM−398の活性をSCLCの異種移植モデルにおいて調べた(実施例3)。図3に示す通り、DMS−114モデルにおいてテストした全ての用量レベルで抗腫瘍活性が見られた。
MM−398の曝露と効能との推定される関連性を膵臓がん患者において評価した(実施例4)。MM−398+5FU/LVについてのOSと時間(uSN38>0.03ng/mL)の四分位数との関係を図4に提供する。
実施例6および実施例7に記載する通り、薬学的に許容される注射形態のリポソームイリノテカンからなる抗新生物療法は、以前に抗新生物療法(例えば、単独でのまたは他の化学療法剤との以前の白金ベースの療法)を与えられた後に進行したSCLC疾患を有する患者に2週毎に1回投与され得る。リポソームイリノテカンの用量(例えば、イリノテカンリポソーム中にカプセル化された50〜90mg/mのイリノテカン(遊離塩基))およびリポソームイリノテカンの用量頻度(例えば、2週毎に1回)は、ある特定の患者について選択または変更することができる。用量は、実施例6に記載するようなグレード3またはそれより高いグレードの好中球減少症(図6A)および/または下痢(図6B)の許容可能に低いレベルを提供する用量などの、忍容性の患者用量を提供するように選択され得る。抗新生物療法の間、患者は、制吐剤などの抗新生物剤ではない他の薬剤を与えられてもよい。抗新生物療法は、トポテカン無しで投与され得る。
一部の実施形態では、本発明は、小細胞肺がん(SCLC)のための白金ベースの療法に引き続く疾患進行後のSCLCを有すると診断されたヒト患者を治療する方法であって、方法は、2週毎に1回、ヒト患者に抗新生物療法を投与することを含み、抗新生物療法は、イリノテカンリポソーム中にカプセル化された90mg/m(遊離塩基)のイリノテカンを提供する単回用量のリポソームイリノテカンからなる。一部の実施形態では、本発明は、小細胞肺がん(SCLC)のための白金ベースの療法に引き続く疾患進行後のSCLCを有すると診断されたヒト患者を治療する方法であって、方法は、2週毎に1回、ヒト患者に抗新生物療法を投与することを含み、抗新生物療法は、イリノテカンリポソーム中にカプセル化された70mg/m(遊離塩基)のイリノテカンを提供する単回用量のリポソームイリノテカンからなる。一部の実施形態では、本発明は、小細胞肺がん(SCLC)のための白金ベースの療法に引き続く疾患進行後のSCLCを有すると診断されたヒト患者を治療する方法であって、方法は、2週毎に1回、ヒト患者に抗新生物療法を投与することを含み、抗新生物療法は、イリノテカンリポソーム中にカプセル化された50mg/m(遊離塩基)のイリノテカンを提供する単回用量のリポソームイリノテカンからなる。
治療方法は、実施例7に特定する1つまたは複数の組み入れ基準(inclusion criteria)を患者が満たすかどうかを決定すること、および次いでリポソームイリノテカンからなる抗新生物療法を投与することを含み得る。例えば、抗新生物療法は、白金ベースの療法(例えば、単独でのまたはエトポシドと組み合わせたシスプラチンおよび/またはカルボプラチン)でのSCLCの治療を受けた患者に治療有効用量(例えば、リポソーム中にカプセル化された50〜90mg/mのイリノテカン(遊離塩基))および用量頻度(例えば、2週毎に1回)のリポソームイリノテカンを投与することからなり得る。
加えて、治療方法は、実施例7に特定する1つまたは複数の除外基準(exclusion criteria)を患者が満たすかどうかを決定すること、およびリポソームイリノテカンからなる抗新生物療法を投与しないことを含み得る。本明細書中に開示するSCLCを治療する方法は、実施例7における1つまたは複数の除外基準を満たさない患者に抗新生物療法を投与することを含み得る。例えば、抗新生物療法は、イリノテカンまたはトポテカンでのSCLCの治療を受けていない患者に治療有効用量(例えば、リポソーム中にカプセル化された50〜90mg/mのイリノテカン(遊離塩基))および用量頻度(例えば、2週毎に1回)のリポソームイリノテカンを投与することからなり得る。
ビリルビンのレベルがより高い患者またはUGT1A128 7/7ホモ接合対立遺伝子を有する患者などの、SCLCを有すると診断された患者のある特定のサブグループは、任意選択で、減少させた用量のリポソームイリノテカンで治療され得る。減少させた用量は、減少させた用量を与えられる患者への、2週毎に1回投与されるリポソーム中にカプセル化された90mg/m未満のイリノテカン(遊離塩基)の用量を指す。一部の例では、減少させた用量は、SCLCを有すると診断され、減少させた用量を与えられる患者に2週毎に1回投与されるイリノテカン(遊離塩基)の50〜90mg/mの用量(50mg/mの減少させた用量、60mg/mの減少させた用量、70mg/mの減少させた用量、または80mg/mの減少させた用量など)であり得る。70mg/mで開始した患者の場合、最初の用量減少は50mg/mへ、次いで43mg/mへとすべきである。適切な用量の正確な決定は、そのサブ集団において観察された薬物動態、効能、および安全性に依存する。
一部の例では、リポソームイリノテカンは、限局期または進展期のSCLCの治療のための免疫療法にある間もしくはその後に、および/または第一選択の白金ベースの化学療法(カルボプラチンまたはシスプラチン)もしくは白金ベースの化学療法を含む放射線化学療法の後にSCLCの疾患進行を有すると診断された患者に投与され得る。一部の例では、患者は、リポソームイリノテカンの投与の前に、SCLCのための何らかの形態の免疫療法を与えられてもよい。免疫療法の例としては、アテゾリズマブ、アベリムマブ(avelimumab)、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブ、トレメリムマブ、および/またはデュルバルマブを挙げることができる。一例では、患者は、本明細書中に開示するようなリポソームイリノテカンを与えられる前に、(例えば、NCT02481830の治療レジメンにしたがって)SCLCのためにニボルマブを与えられる。一例では、患者は、本明細書中に開示するようなリポソームイリノテカンを与えられる前に、(例えば、NCT01331525、NCT02046733、NCT01450761、NCT02538666、またはNCT01928394の治療レジメンにしたがって)SCLCのためにイピリムマブを与えられる。免疫療法は、下記の表4にある市販の化合物などのCTLA4、PDL1、PD1、41BB、および/またはOX40に結合する分子、あるいは同一のエピトープに結合するか、または同一もしくは類似の生物学的機能を有する他の化合物を含み得る。
リポソームイリノテカンと免疫療法との組み合わせの使用は、がんの治療において治療的に相乗的な量および投与スケジュールにおいて、それを必要とする宿主における前記がんの治療のために使用され得る。免疫療法は、アルファ−PDL1、アルファ−41BB、アルファ−CTLA4、アルファ−OX40、および/またはPD1に結合するおよび/または作用する抗体もしくは抗体の組み合わせであり得る。
一部の実施形態では、それを必要とする宿主におけるがんの治療は、ステロイドの投与を伴わずにMM−398を投与することを含む。
治療スケジュールは、2週毎もしくは3週毎に1回または3週のうちの2週に、免疫療法と組み合わせて(例えば、アルファ−PDL1、PD1、アルファ−41BB、アルファ−CTLA4、および/またはアルファ−OX40に対する抗体と組み合わせて)、43、50、70、80、または90mg/mのリポソームイリノテカン(遊離塩基)にてMM−398を投与することを含むことができる。例えば、治療スケジュールは、SCLCを有すると診断されたヒト宿主に(例えば、28日の)治療サイクルを投与することを含むことができ、ここで治療サイクルは、2週毎に1回、合計で43、50、70、80、または90mg/mのリポソームイリノテカン(遊離塩基)を投与すること、その後に3mg/kgのニボルマブを投与すること、および進行または許容できない毒性が観察されるまで前記治療サイクルを繰り返すことを含む。別の例では、治療スケジュールは、SCLCを有すると診断されたヒト宿主に(例えば、28日の)治療サイクルを投与することを含むことができ、ここで治療サイクルは、2週毎もしくは3週毎に1回または3週のうちの2週に、合計で43、50、70、80、または90mg/mのリポソームイリノテカン(遊離塩基)を投与すること、その後に2週毎または3週毎に1回、2mg/kgのペムブロリズマブを投与すること(リポソームイリノテカンおよびペムブロリズマブの最初の用量は同日に与えられる)、および進行または許容できない毒性が観察されるまで前記治療サイクルを繰り返すことを含む。治療スケジュールは、2週毎に1回、90mg/mのリポソームイリノテカン(遊離塩基)にてMM−398を投与することを含むことができる。
小細胞肺がん(SCLC)のための白金ベースの療法に引き続く疾患進行後のSCLCを有すると診断されたヒト患者を治療する方法は、2週毎に1回、ヒト患者に抗新生物療法を投与することからなることができ、抗新生物療法は、イリノテカンリポソーム中にカプセル化された50、70、または90mg/m(遊離塩基)のイリノテカンを提供する単回用量のリポソームイリノテカンからなる。患者がUGT1A128対立遺伝子についてホモ接合であることが既知である場合、イリノテカンリポソームの各用量を減少させることができる(例えば、50または70mg/m)。患者がUGT1A128対立遺伝子についてホモ接合でなく、かつ他の点で減少されない場合、イリノテカンリポソームの各用量は90mg/mであり得る。方法は、イリノテカンリポソームの投与の前に患者にコルチコステロイドおよび制吐剤を投与することをさらに含むことができる。
UGT1A128対立遺伝子についてホモ接合でなく、かつ小細胞肺がん(SCLC)のための以前の療法に引き続く疾患進行後のSCLCを有すると診断されたヒト患者を治療する方法は、2週毎に1回、ヒト患者に抗新生物療法を投与することを含むことができ、抗新生物療法は、イリノテカンリポソーム中にカプセル化された90mg/mのイリノテカン(遊離塩基)を提供する単回用量のリポソームイリノテカンからなる。方法は、イリノテカンリポソームの投与の前に患者にコルチコステロイドおよび制吐剤を投与することをさらに含むことができる。
リポソームイリノテカンの抗新生物療法を与えられる前に、患者は、白金ベースのレジメンにおいて進行し、かつ維持または2Lの状況のいずれかにおいて単一ラインの免疫療法も(任意選択で)与えられた患者であり得る。患者は、リポソームイリノテカンの抗新生物療法を与えられる前に、SCLCのためのトポテカンでの治療を受けなかった患者であり得る。患者は、リポソームイリノテカンの投与の前に免疫療法誘導、それに続くおよび/またはそれに伴う1つまたは複数の維持用量の化学療法を以前に与えられていてもよい。
治療スケジュールは、免疫療法と組み合わせて(例えば、アルファ−PDL1、PD1、アルファ−41BB、アルファ−CTLA4、および/またはアルファ−OX40に対する抗体と組み合わせて)、3週毎に1回、100〜130mg/mのリポソームイリノテカン(遊離塩基)にてMM−398を投与することを含むことができる。例えば、治療スケジュールは、SCLCを有すると診断されたヒト宿主に治療サイクルを投与することを含むことができ、ここで治療サイクルは、3週毎に1回、合計で100、110、120、または130mg/mのリポソームイリノテカン(遊離塩基)を投与すること、その後に3mg/kgのニボルマブを投与すること、および進行または許容できない毒性が観察されるまで前記治療サイクルを繰り返すことを含む。治療スケジュールは、SCLCを有すると診断されたヒト宿主に治療サイクルを投与することを含むことができ、ここで治療サイクルは、2週毎または3週毎に1回の3mg/kgのニボルマブの投与と組み合わせて、3週毎に1回、合計で100、110、120、または130mg/mのリポソームイリノテカン(遊離塩基)を投与すること(リポソームイリノテカンおよびニボルマブの最初の用量は同日に与えられる)、および進行または許容できない毒性が観察されるまで前記治療サイクルを繰り返すことを含む。別の例では、治療スケジュールは、SCLCを有すると診断されたヒト宿主に治療サイクルを投与することを含むことができ、ここで治療サイクルは、3週毎に1回、合計で100、110、120、または130mg/mのリポソームイリノテカン(遊離塩基)を投与すること、その後に2mg/kgのペムブロリズマブを投与すること、および進行または許容できない毒性が観察されるまで前記治療サイクルを繰り返すことを含む。治療スケジュールは、SCLCを有すると診断されたヒト宿主に治療サイクルを投与することを含むことができ、ここで治療サイクルは、2週毎または3週毎に1回の2mg/kgのペムブロリズマブの投与と組み合わせて、3週毎に1回、合計で100、110、120、または130mg/mのリポソームイリノテカン(遊離塩基)を投与すること(リポソームイリノテカンおよびペムブロリズマブの最初の用量は同日に与えられる)、および進行または許容できない毒性が観察されるまで前記治療サイクルを繰り返すことを含む。治療スケジュールは、SCLCを有すると診断されたヒト宿主に治療サイクルを投与することを含むことができ、ここで治療サイクルは、2週毎または3週毎に1回の2mg/kgのペムブロリズマブの投与と組み合わせて、3週のうちの2週毎に1回、合計で100、110、120、または130mg/mのリポソームイリノテカン(遊離塩基)を投与すること(リポソームイリノテカンおよびペムブロリズマブの最初の用量は同日に与えられる)、および進行または許容できない毒性が観察されるまで前記治療サイクルを繰り返すことを含む。治療スケジュールは、治療有効量の免疫療法と組み合わせて(例えば、アルファ−PDL1、PD1、アルファ−41BB、アルファ−CTLA4、および/またはアルファ−OX40に対する抗体と組み合わせて)、3週毎に1回、110mg/mのリポソームイリノテカン(遊離塩基)にてMM−398を投与することを含むことができる。治療スケジュールは、治療有効量の免疫療法と組み合わせて(例えば、アルファ−PDL1、PD1、アルファ−41BB、アルファ−CTLA4、および/またはアルファ−OX40に対する抗体と組み合わせて)、3週毎に1回、100mg/mのリポソームイリノテカン(遊離塩基)にてMM−398を投与することを含むことができる。治療スケジュールは、治療有効量の免疫療法と組み合わせて(例えば、アルファ−PDL1、PD1、アルファ−41BB、アルファ−CTLA4、および/またはアルファ−OX40に対する抗体と組み合わせて)、3週毎に1回、120mg/mのリポソームイリノテカン(遊離塩基)にてMM−398を投与することを含むことができる。治療スケジュールは、治療有効量の免疫療法と組み合わせて(例えば、アルファ−PDL1、PD1、アルファ−41BB、アルファ−CTLA4、および/またはアルファ−OX40に対する抗体と組み合わせて)、3週毎に1回、130mg/mのリポソームイリノテカン(遊離塩基)にてMM−398を投与することを含むことができる。
一部の実施形態では、リポソームイリノテカンは、プレキサセルチブ(prexasertib)、アルドキソルビシン(aldoxorubicin)、ルルビネクテジン(lurbinectedin)、およびRova−Tのうちの1つまたは複数と組み合わせてSCLCのための白金ベースの療法に引き続く疾患進行の後に投与される。一部の実施形態では、リポソームイリノテカンは、SCLCのための第一選択(1L)の療法としてPD−1を対象とする治療薬(例えば、ニボルマブ、ペムブロリズマブ)、PD−L1を対象とする治療薬(例えば、アテゾリズマブまたはデュルバルマブ)、またはNotch ADC化合物(例えば、Rova−T)を以前に与えられた患者に投与され得る。一部の実施形態では、リポソームイリノテカンは、Chk1を対象とする治療薬(例えば、プレキサセルチブ)、Topo−2を対象とする治療薬(例えば、アルドキソルビシン(aldozurubicin))、DNA阻害剤(例えば、ルルビネクテジン)、またはNotch ADC化合物(例えば、Rova−T)と組み合わせて投与され得る。その他の実施形態では、リポソームイリノテカンは、Chk1を対象とする治療薬(例えば、プレキサセルチブ)、Topo−2を対象とする治療薬(例えば、アルドキソルビシン)、DNA阻害剤(例えば、ルルビネクテジン)、またはNotch ADC化合物(例えば、Rova−T)無しで(すなわち、伴わずに)投与され得る。一部の実施形態では、リポソームイリノテカンは、SCLCのためにシスプラチンまたはカルボプラチンを以前に与えられた患者に投与されてよく、かつリポソームイリノテカンは、(第二選択またはその次の選択の療法のために)シスプラチンまたはカルボプラチン無しで(すなわち、伴わずに)投与される。
一部の実施形態では、SCLCを治療する方法は、SCLCを有すると診断されたヒト宿主に治療サイクルを投与することを含むことができ、ここで治療サイクルは、リポソームイリノテカンの最初の投与と同じ日に開始する2週毎に1回の3mg/kgのニボルマブの投与と組み合わせて、3週毎に1回、合計で90mg/mのリポソームイリノテカン(遊離塩基)または120mg/mのリポソームイリノテカン(遊離塩基)を投与すること、および進行または許容できない毒性が観察されるまで前記治療サイクルを繰り返すことを含む。別の例では、治療スケジュールは、SCLCを有すると診断されたヒト宿主に治療サイクルを投与することを含むことができ、ここで治療サイクルは、リポソームイリノテカンの最初の投与と同じ日に開始する3週毎に1回の2mg/kgのペムブロリズマブの投与と組み合わせて、3週毎に1回、合計で90mg/mのリポソームイリノテカン(遊離塩基)または120mg/mのリポソームイリノテカン(遊離塩基)を投与すること、および進行または許容できない毒性が観察されるまで前記治療サイクルを繰り返すことを含む。
患者は、別の抗新生物剤の投与を伴わずに(例えば、トポテカンの投与を伴わずに)2週毎に1回、90mg/mのリポソームイリノテカンを含むSCLCの治療のための抗新生物療法を投与され得る。
好ましくは、以前に治療(例えば、第二選択)されたSCLCのための抗新生物療法は、1未満、好ましくは0.7、0.6、または0.5未満のハザード比(例えば、約0.6〜0.7のハザード比など)で、15週より長い(例えば、少なくとも約20〜25週;約21〜24週、約22〜24週、約23週、または約24週など)無増悪生存の、進行までの時間の中央値(median time to progression of progression free survival)、30週より長い(例えば、少なくとも約30〜50週;約40〜50週、約44〜48週、約45〜47週、約46週、または約47週など)全生存時間中央値(median overall survival)を提供する。好ましくは、抗新生物療法は、好中球減少症については50%未満(例えば、約10〜50%;約20%など)、血小板減少症については50%未満(例えば、10%未満;1〜10%、1〜5%、5%未満、ならびに約2%、約3%、および約4%など)、および貧血については30%未満(例えば、10%未満;1〜10%、1〜8%、8%未満、ならびに約5〜7%、約6%、および約5%など)の主要有害事象(グレード3+)が集団の5%より多くにおいて起こることを提供する。
小細胞肺がん(SCLC)のための白金ベースの療法に引き続く疾患進行後のSCLCを有すると診断されたヒト患者を治療する方法は、2週毎に1回、ヒト患者に抗新生物療法を投与することからなることができ、抗新生物療法は、イリノテカンリポソーム中にカプセル化された90mg/m(遊離塩基)のイリノテカン(または、以前のリポソームイリノテカンの投与の間またはその後に有害事象を経験した患者、および/またはUGT1A128対立遺伝子についてホモ接合であることが既知である患者に対して、リポソームイリノテカンとして減少させた用量の50〜70g/m(遊離塩基)のイリノテカン)を提供する単回用量のリポソームイリノテカンからなり、少なくとも300人の患者(例えば、約400〜450人の患者)の臨床治験において抗新生物療法は、少なくとも300人の患者(例えば、約400〜450人の患者)の臨床治験において抗新生物療法は、好中球減少症については50%未満(例えば、約10〜50%;約20%など)、血小板減少症については50%未満(例えば、10%未満;1〜10%、1〜5%、5%未満、ならびに約2%、約3%、および約4%など)、および貧血については30%未満(例えば、10%未満;1〜10%、1〜8%、8%未満、ならびに約5〜7%、約6%、および約5%など)の主要有害事象(グレード3+)が集団の5%より多くにおいて起こることをもたらす。
小細胞肺がん(SCLC)のための白金ベースの療法に引き続く疾患進行後のSCLCを有すると診断されたヒト患者を治療する方法は、2週毎に1回、ヒト患者に抗新生物療法を投与することからなることができ、抗新生物療法は、イリノテカンリポソーム中にカプセル化された90mg/m(遊離塩基)のイリノテカン(または、以前のリポソームイリノテカンの投与の間またはその後に有害事象を経験した患者、および/またはUGT1A128対立遺伝子についてホモ接合であることが既知である患者に対して、リポソームイリノテカンとして減少させた用量の50〜70g/m(遊離塩基)のイリノテカン)を提供する単回用量のリポソームイリノテカンからなり、少なくとも300人の患者(例えば、約400〜450人の患者)の臨床治験において抗新生物療法は、以下:1未満、好ましくは0.7、0.6、または0.5未満のハザード比(例えば、約0.6〜0.7のハザード比など)で、15週より長い(例えば、少なくとも約20〜25週、約21〜24週、約22〜24週、約23週、または約24週など)無増悪生存の、進行までの時間の中央値、30週より長い(例えば、少なくとも約30〜50週、約40〜50週、約44〜48週、約45〜47週、約46週、または約47週など)全生存時間中央値のうちの1つまたは複数を生じさせる。
患者がUGT1A128対立遺伝子についてホモ接合であることが既知である場合、イリノテカンリポソームの各用量を減少させることができる(例えば、50または70mg/m)。患者がUGT1A128対立遺伝子についてホモ接合でなく、かつ他の点で減少されない場合、イリノテカンリポソームの各用量を90mg/mとすることができる。方法は、イリノテカンリポソームの投与の前に患者にコルチコステロイドおよび制吐剤を投与することをさらに含むことができる。
一部の実施形態では、リポソームイリノテカンは、1つまたは複数のカンプトテシン化合物またはトポイソメラーゼI(Topo−1)阻害剤での治療に引き続いて小細胞肺がん(SCLC)の疾患進行を有すると診断された患者に投与され得る。カンプトテシン化合物またはトポイソメラーゼI(Topo−1)阻害剤の例としては、カンプトテシン、9−アミノカンプトテシン、7−エチルカンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトテシン、7−エチル10−ヒドロキシカンプトテシン、9−ニトロカンプトテシン、10,11−メチレンジオキシカンプトテシン、9−アミノ−10,11−メチレンジオキシカンプトテシン、9−クロロ−10,11−メチレンジオキシカンプトテシン、イリノテカン(CPT−11)、トポテカン、ルルトテカン、シラテカン(silatecan)、エチリノテカンペゴル(etirinotecan pegol)、ルビテカン(rubitecan)、エキサテカン(exatecan)、FL118、ベロテカン(belotecan)、ギマテカン(gimatecan)、インドテカン(indotecan)、インジミテカン(indimitecan)、(7−(4−メチルピペラジノメチレン)−10,11−エチレンジオキシ−20(S)−カンプトテシン、7−(4−メチルピペラジノメチレン)−10,11−メチレンジオキシ−20(S)−カンプトテシン、および7−(2−N−イソプロピルアミノ)エチル)−(20S)−カンプトテシンが挙げられるが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、リポソームイリノテカンは、イリノテカン(CPT−11)、トポテカン、または両方での治療後にSCLCの疾患進行を有すると診断された患者に投与され得る。一部の実施形態では、リポソームイリノテカンは、イリノテカン(CPT−11)での治療後にSCLCの疾患進行を有すると診断された患者に投与され得る。一部の実施形態では、リポソームイリノテカンは、トポテカンでの治療後にSCLCの疾患進行を有すると診断された患者に投与され得る。一部の実施形態では、リポソームイリノテカンは、非リポソームのイリノテカンでの治療後にSCLCの疾患進行を有すると診断された患者に投与され得る。
一部の実施形態では、白金ベースの療法がエトポシドまたは非リポソームのイリノテカンと組み合わせて投与される。一部の実施形態では、白金ベースの療法がエトポシドと組み合わせて投与される。一部の実施形態では、白金ベースの療法が非リポソームのイリノテカンと組み合わせて投与される。一実施形態は、小細胞肺がん(SCLC)のためのカンプトテシンベースの療法にある間またはその後の疾患進行後にSCLCを有すると診断されたヒト患者を治療する方法であって、方法は、2週毎に1回、ヒト患者に抗新生物療法を投与することを含み、抗新生物療法は、90mg/m(遊離塩基)の用量のMM−398リポソームイリノテカンからなる。一部の実施形態では、カンプトテシンベースの療法は、SCLCを有すると診断されたヒト患者を治療するためのトポテカンまたは非リポソームのイリノテカンの、以前の中止された投与を含む。一部の実施形態では、カンプトテシンベースの療法は、3週毎に1回、300mg/mの用量でヒト患者に投与された非リポソームのイリノテカンの、以前の中止された投与を含む。一部の実施形態では、カンプトテシンベースの療法は、3週間の治療サイクルにおける1、2、3、4、および5日目に1.5mg/mの用量のトポテカンにてヒト患者に投与された非リポソームのイリノテカンの、以前の中止された投与を含む。
一部の実施形態では、SCLCを有すると診断されたヒト患者は白金感受性である。一部の実施形態では、SCLCを有すると診断されたヒト患者は白金耐性である。
本開示の第1の態様は、小細胞肺がん(SCLC)のための第一選択の白金ベースの療法にある間またはその後の疾患進行後にSCLCを有すると診断されたヒト患者を治療する方法である。第1の態様の一実施形態は、小細胞肺がん(SCLC)のための第一選択の白金ベースの療法にある間またはその後の疾患進行後にSCLCを有すると診断されたヒト患者を治療する方法であって、方法は、2週毎に1回、ヒト患者に抗新生物療法を投与することを含み、抗新生物療法は、90mg/m2(遊離塩基)の用量のMM−398リポソームイリノテカンからなる。
第1の態様の一実施形態では、白金ベースの療法は、SCLCを有すると診断されたヒト患者を治療するためのシスプラチンまたはカルボプラチンの、以前の中止された投与を含む。別の実施形態では、ヒト患者は、MM−398リポソームイリノテカンの投与の前に、造血増殖因子の使用を伴わずに1,500細胞/マイクロリットルより多い血液ANCを有する。別の実施形態は、小細胞肺がん(SCLC)のための第一選択の白金ベースの療法にある間またはその後の疾患進行後にSCLCを有すると診断されたヒト患者を治療する方法である。また別の実施形態は、小細胞肺がん(SCLC)のための第一選択の白金ベースの療法にある間またはその後の疾患進行後にSCLCを有すると診断されたヒト患者を治療する方法であって、方法は、2週毎に1回、ヒト患者に抗新生物療法を投与することを含み、抗新生物療法は、90mg/m2(遊離塩基)の用量のMM−398リポソームイリノテカンからなり、ヒト患者は、MM−398リポソームイリノテカンの投与の前に100,000細胞/マイクロリットルより多い血液血小板数を有する。
第1の態様の一部の実施形態では、ヒト患者は、MM−398リポソームイリノテカンの投与の前に9g/dLより多い血液ヘモグロビンを有する。一部の実施形態では、ヒト患者は、MM−398リポソームイリノテカンの投与の前に、1.5×ULN未満のまたは1.5×ULNに等しい血清クレアチニンおよび40mL/分より大きいまたは40mL/分に等しいクレアチニンクリアランスを有する。
第1の態様の実施形態の一部では、ヒト患者は、MM−398リポソームイリノテカンの投与の前にトポイソメラーゼI阻害剤を与えられていない。第1の態様のさらに他の実施形態では、ヒト患者は、MM−398リポソームイリノテカンの投与の前に一つより多くの白金ベースの療法を与えられていない。
第1の態様の実施形態は、抗新生物療法が、(a)分散物1mLあたり4.3mgのイリノテカン遊離塩基を含有するMM−398リポソームイリノテカンの分散物を5%のデキストロース注射液(D5W)または0.9%の塩化ナトリウム注射液と合わせて、500mLの最終体積および90mg/m(遊離塩基)のMM−398リポソームイリノテカン(±5%)を有する薬学的に許容される注射用組成物を得ることによって、注射用組成物を調製するステップ、ならびに(b)MM−398イリノテカンリポソームを含有するステップ(a)の注射用組成物を90分の注入で患者に投与するステップを含む方法を含み得る。
第1の態様の任意の実施形態では、方法は、抗新生物療法の各投与の前にヒト患者にデキサメタゾンおよび5−HT3遮断薬を投与すること、および任意選択でヒト患者に制吐剤をさらに投与することをさらに含み得る。
本開示の第2の態様は、UTG1A128対立遺伝子についてホモ接合でなく、かつ小細胞肺がん(SCLC)のための第一選択の白金ベースの療法にある間またはその後の疾患進行後にSCLCを有すると診断されたヒト患者を治療する方法である。第2の態様の一実施形態は、UTG1A128対立遺伝子についてホモ接合でなく、かつ小細胞肺がん(SCLC)のための第一選択の白金ベースの療法にある間またはその後の疾患進行後にSCLCを有すると診断されたヒト患者を治療する方法であって、方法は、6週間のサイクルにおいて2週毎に1回、ヒト患者に抗新生物療法を投与することを含み、抗新生物療法は、90mg/m2(遊離塩基)の用量のMM−398リポソームイリノテカンからなる。
第2の態様の一部の実施形態では、白金ベースの療法は、SCLCを有すると診断されたヒト患者を治療するためのシスプラチンまたはカルボプラチンの、以前の中止された投与を含む。
第2の態様の一実施形態は、UTG1A128対立遺伝子についてホモ接合でなく、かつ小細胞肺がん(SCLC)のための第一選択の白金ベースの療法にある間またはその後の疾患進行後にSCLCを有すると診断されたヒト患者を治療する方法であって、方法は、6週間のサイクルにおいて2週毎に1回、ヒト患者に抗新生物療法を投与することを含み、抗新生物療法は、90mg/m2(遊離塩基)の用量のMM−398リポソームイリノテカンからなり、ヒト患者は、MM−398リポソームイリノテカンの投与の前に、以下:(a)造血増殖因子の使用を伴わずに1,500細胞/マイクロリットルより多い血液ANC、(b)100,000細胞/マイクロリットルより多い血液血小板数、(c)9g/dLより多い血液ヘモグロビン、および(d)1.5×ULN未満のまたは1.5×ULNに等しい血清クレアチニンおよび40mL/分より大きいまたは40mL/分に等しいクレアチニンクリアランスのうちの1つまたは複数を有する。
第2の態様の一部の実施形態では、ヒト患者は、MM−398リポソームイリノテカンの投与の前にトポイソメラーゼI阻害剤を与えられておらず、かつヒト患者は、MM−398リポソームイリノテカンの投与の前に1つより多くの白金ベースの療法を与えられていない。一部の実施形態では、方法は、少なくとも3回の6週間のサイクルにわたって抗新生物療法を投与することを含む。
第2の態様の一部の実施形態では、抗新生物療法は、(a)分散物1mLあたり4.3mgのイリノテカン遊離塩基を含有するMM−398リポソームイリノテカンの分散物を5%のデキストロース注射液(D5W)または0.9%の塩化ナトリウム注射液と合わせて、500mLの最終体積および90mg/m2(遊離塩基)のMM−398リポソームイリノテカン(±5%)を有する薬学的に許容される注射用組成物を得ることによって、注射用組成物を調製するステップ、ならびに(b)MM−398イリノテカンリポソームを含有するステップ(a)の注射用組成物を90分の注入で患者に投与するステップを含む。この実施形態は、抗新生物療法の各投与の前にヒト患者にデキサメタゾンおよび5−HT3遮断薬を投与すること、および任意選択でヒト患者に制吐剤をさらに投与することをさらに含み得る。
本開示の第3の態様は、シスプラチンまたはカルボプラチンからなる群より選択される小細胞肺がん(SCLC)のための第一選択の白金ベースの療法にある間またはその後の疾患進行後にSCLCを有すると診断されたヒト患者を治療する方法を提供する。第3の態様の一実施形態は、シスプラチンまたはカルボプラチンからなる群より選択される小細胞肺がん(SCLC)のための第一選択の白金ベースの療法にある間またはその後の疾患進行後にSCLCを有すると診断されたヒト患者を治療する方法であって、方法は、合計で少なくとも3回の6週間のサイクルにわたって2週毎に1回、ヒト患者に抗新生物療法を投与することを含み、抗新生物療法は、90mg/m2(遊離塩基)の用量のMM−398リポソームイリノテカンからなり、ヒト患者は、UTG1A128対立遺伝子についてホモ接合でなく、かつMM−398リポソームイリノテカンの各抗新生物療法の投与の前に、以下:(a)造血増殖因子の使用を伴わずに1,500細胞/マイクロリットルより多い血液ANC、(b)100,000細胞/マイクロリットルより多い血液血小板数、(c)9g/dLより多い血液ヘモグロビン、および(d)1.5×ULN未満のまたは1.5×ULNに等しい血清クレアチニンおよび40mL/分より大きいまたは40mL/分に等しいクレアチニンクリアランスを有する。第3の態様の一部の実施形態では、ヒト患者は、MM−398リポソームイリノテカンの投与の前にトポイソメラーゼI阻害剤を与えられておらず、かつMM−398リポソームイリノテカンの投与の前に1つより多くの白金ベースの療法を与えられておらず、かつ方法は、抗新生物療法の各投与の前にヒト患者にデキサメタゾンおよび5−HT3遮断薬を投与すること、および任意選択でヒト患者に制吐剤をさらに投与することをさらに含む。
第3の態様の一実施形態では、抗新生物療法は、(a)分散物1mLあたり4.3mgのイリノテカン遊離塩基を含有するMM−398リポソームイリノテカンの分散物を5%のデキストロース注射液(D5W)または0.9%の塩化ナトリウム注射液と合わせて、500mLの最終体積および90mg/m2(遊離塩基)のMM−398リポソームイリノテカン(±5%)を有する薬学的に許容される注射用組成物を得ることによって、注射用組成物を調製するステップ、ならびに(b)MM−398イリノテカンリポソームを含有するステップ(a)の注射用組成物を90分の注入で患者に投与するステップを含む。
実施例
(実施例1:リポソームイリノテカン)
リポソームイリノテカン組成物は、好ましくは、ホスファチジルコリン、コレステロール、およびポリエチレングリコール誘導体化ホスファチジル−エタノールアミンを含むまたはこれらからなる。リポソームイリノテカンは、イリノテカンスクロースオクタスルフェートをカプセル化しているホスファチジルコリンおよびコレステロールを含む単層脂質二重層の小胞を含み得る。リポソームイリノテカン組成物中のイリノテカンリポソームは、110nm(±20%)の直径を有する。リポソームイリノテカンは、単層脂質二重層の小胞を有するリポソーム中にカプセル化されたイリノテカンスクロースオクタスルフェートを含むことができ、小胞は概ね110nmの直径で、スクロースオクタスルフェート塩としてゲル化または沈殿した状態のイリノテカンを含有する水性空間をカプセル化しており、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC)(例えば、約6.8mg/mL)、コレステロール(例えば、約2.2mg/mL)、およびメトキシ末端ポリエチレングリコール(MW 2000)−ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(MPEG−2000−DSPE)(例えば、約0.1mg/mL)から構成される。各mLは、緩衝液として2−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]エタンスルホン酸(HEPES)(例えば、約4.1mg/mL)および等張試薬として塩化ナトリウム(例えば、約8.4mg/mL)も含有する。
リポソームイリノテカンの脂質膜は、好適なモル比のホスファチジルコリン、コレステロール、およびポリエチレングリコール誘導体化ホスファチジル−エタノールアミンから構成され得る(例えば、約3:2:0.015、および/または200個のリン脂質分子に対して概ね1個のポリエチレングリコール(PEG)分子の量)。ONIVYDE(登録商標)(本明細書中でMM−398またはnal−IRIとも称される)は好ましいリポソームイリノテカンであり、小さい単層脂質二重層の小胞(SUV)を含み、小胞は概ね110nmの直径で、スクロースオクタスルフェート塩(sucrosofate salt)としてゲル化または沈殿した状態のイリノテカンを含有する水性空間をカプセル化している。ONIVYDEリポソームイリノテカンは、単層脂質二重層の小胞を有するリポソーム中にカプセル化されたイリノテカンスクロースオクタスルフェートを含み、小胞は概ね110nmの直径で、スクロースオクタスルフェート塩としてゲル化または沈殿した状態のイリノテカンを含有する水性空間をカプセル化しており、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC)(6.8mg/mL)、コレステロール(2.2mg/mL)、およびメトキシ末端ポリエチレングリコール(MW 2000)−ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(MPEG−2000−DSPE)(0.1mg/mL)から構成される。各mLは、緩衝液として2−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]エタンスルホン酸(HEPES)(4.1mg/mL)および等張試薬として塩化ナトリウム(8.4mg/mL)も含有する。ONIVYDEは、無菌の白色からわずかに黄色の不透明な等張性リポソーム分散物である。
リポソームイリノテカンは、43mg/10mLのイリノテカン遊離塩基を含有する10mLの使い捨てのガラスバイアル中の無菌の白色からわずかに黄色の不透明なリポソーム分散物として供給され得る。バイアル中のリポソーム分散物は、90分にわたる静脈内注入の前に希釈され得る。
本開示は、2週毎(好ましくは、6週間のサイクル)の90分にわたるIVによるリポソーム中にカプセル化された90mg/mの合計用量のイリノテカン(遊離塩基)(イリノテカン遊離塩基量に基づく用量;100mg/mの塩酸イリノテカン無水塩に相当する)での2週毎に1回のSCLCの治療のための、リポソームイリノテカン(例えば、実施例9に記載するONIVYDE)の使用を提供する。UGT1A128対立遺伝子についてホモ接合であることが既知である患者におけるONIVYDEの推奨される開始用量は、90分にわたる静脈内注入により投与される50mg/m(遊離塩基)である。ONIVYDEの用量は、その後のサイクルにおいて忍容される場合、70mg/mまで増加させてもよい。正常の上限を上回る血清ビリルビンを有する患者にとっての推奨されるONIVYDEの用量はない。
(実施例2)
トポイソメラーゼI阻害は、広範ながん細胞株に対して強力な効果を有する。Wellcome Trust Sanger Instituteの「Genomics of Drug Sensitivity in Cancer」プロジェクトのデータベース中の参照データがSN−38への感受性についてスクリーニングされた663個のがん細胞株について利用可能である(URL www.cancerrxgene.org/translation/Drug/1003)。このデータの解析は、SCLC細胞株が膵臓および胃腸のがん細胞株と類似のSN−38への感受性を有することを示した(図1)。このデータセット内で、MM−398の有意なin vivoでの抗腫瘍効能が観察されている胃腸(HT−29、HCT−116、LoVo、MKN45)または膵臓(AsPC−1、BxPC3、CFPAC−1、MiaPaCa−2)起源のがん細胞株を黒丸で強調している。SCLC細胞株DMS114およびNCI−H1048(下記を参照)も黒丸で示している。
様々なSCLC細胞株に対するイリノテカンの活性代謝物SN−38の活性をin vitroでの増殖および生存度アッセイにおいて調べた。SN−38は、テストした4つのSCLC細胞株(DMS53、DMS114、NCI−H1048、SW1271)において90%を超える細胞生存度の減少を誘発し、IC50は不定かつ数桁に及んだ。図2Aおよび図2Bは、88時間の時間経過にわたってIncuCyte(登録商標)ZOOM Systemを使用した2つのSCLC細胞株(DMS−114およびNCI−H1048)におけるSN−38の細胞増殖阻害動態を示す。有効な細胞増殖阻害が1〜10nMの間で観察されたが、10nM以上の濃度における長くしたインキュベーション時間後に細胞殺傷が観察された。SN−38治療閾値のこの範囲は、MM−398投与の72時間後の患者腫瘍生検で測定されたSN−38の量と合致する(範囲:3〜163nM)。これらのデータは、MM−398の薬理学的特徴の結果として腫瘍中で長くなったSN−38の継続時間がSCLCにおいて有効な活性を提供することを示唆する。MM−398は腫瘍におけるSN−38の利用可能性を大きく増加させ、非リポソームのイリノテカンよりはるかに低い用量で用量依存的な抗腫瘍効能を示したことが前臨床実験により実証された。
(実施例3)
単剤としてのMM−398の活性をSCLCの異種移植モデルにおいて調べた。DMS114細胞をNCR nu/nuマウスの皮下に接種した。腫瘍が約300mmの体積に達した時に、4週間にわたる週毎の静脈内投与で10または20mg/kgのMM−398塩酸イリノテカンによりマウスを処置した。PKモデリングおよび臨床のPKデータとの比較に基づいて、臨床的に妥当なマウスでの用量と思われるものに対応する用量レベルを選択した。図3に示すように、DMS114モデルにおいてテストした全ての用量レベルにおいて抗腫瘍活性が見られた。10または20mg/kgを与えられた腫瘍を有する動物は腫瘍退縮を示し、これはMM−398の最後の用量後に概ね20〜27日間持続した(10および20mg/kgの用量でそれぞれ2/5および4/5の完全な退縮)。
(実施例4:曝露と効能との関連性)
MM−398への曝露と効能との関連性をSCLCにおいて研究するべきであるが、膵臓がん患者でのデータ解析は、SN−38への曝露の増加の利益を示す。NAPOLI−1のMM−398+5FU/LV治療アームにおいて、より長い全生存(OS)および無増悪生存(PFS)は、より長い時間のuSN38>0.03ng/mLならびにより高いtIRI、tSN38、およびuSN38のCavgに関連しており、最も高い関連性はuSN38>0.03ng/mLの場合での時間について観察された。tIRI、tSN38、またはuSN38のCmaxはOSを予測しない(P=0.81〜0.92)。MM−398+5FU/LVについてOSと時間(uSN38>0.03ng/mL)の四分位数との関係を図4に提供する。uSN38>0.03ng/mLのより長い継続時間は、MM−398+5FU/LVアームにおいて客観的奏効を達成するより高い確率に関連した(図5)。この関連性は、3週毎に100mg/m2で投薬したMM−398単剤療法アームにおいては観察されなかった(P=0.62)。単剤療法アームにおいて関連性が無いことは、用量間隔の差に部分的には帰せられ得る(単剤療法アームにおけるMM−398の用量は3週毎に100mg/m2であり、MM−398+5−FU/LVアームにおけるMM−398の用量は2週毎に70mg/m2である)。
(実施例5:MM−398での曝露と安全性との関連性)
曝露と安全性との関連性をOnivydeで治療された353人の患者のデータに基づいて評価した。より高い非カプセル化SN−38のCmaxは、治療下で発現した有害事象の好中球減少症の発生および重篤度の両方のより高い確率に関連した(図6A)。より高い総イリノテカンのCmaxは、グレード3+の下痢を観察するより高い確率に関連した(図6B)。さらに、グレード3+の好中球減少症を観察する異なる確率が5FU/LVの共投与を伴う場合および伴わない場合で見られた。これらの関連性を使用して、SCLCにおいてテストする代替的な用量レジメンでの予測される安全性を評価した。
(実施例6:90mg/mの用量についての安全性の予測)
好中球減少症(図6A)および下痢(図6B)についてのこれらの曝露と安全性との関連性に基づいて、グレード3+の好中球減少症および下痢の予測される率を表5に提供する。単剤療法としての70mg/m(遊離塩基)の用量と比べて、90mg/m(遊離塩基)の用量は、グレード3+の好中球減少症を8.4%から11.1%へ、および下痢を14.3%から20.0%へ増加させることが予測される。これらの率は、SCLCを有する患者と比べてより高い下痢のリスクを有し得る膵臓がん疾患を有する患者の大部分(73%)でのデータに基づいて導出した。
(実施例7:白金ベースの第一選択療法にある間またはその後に進行した小細胞肺がんを有する患者におけるnal−IRI(ONIVYDE(登録商標)またはMM−398)の無作為化第3相オープンラベル試験)
試験設計の概要。これは、白金ベースの第一選択療法にある間またはその後に進行した小細胞肺がんを有する患者におけるイリノテカンリポソーム注射剤 対 IVのトポテカンのオープンラベルの無作為化第3相試験である。試験は2つのパートで実行される。
パート1:
パート1a パート1aの目的は、1)2週毎に投与したイリノテカンリポソーム注射剤単剤療法の安全性および忍容性を記述すること、および2)この試験のパート1bおよびパート2のためにイリノテカンリポソーム注射剤単剤療法の用量(2週毎に投与した90mg/mまたは70mg/m)を決定することである。
パート1bは、イリノテカンリポソーム注射剤およびIVのトポテカンの予備的効能および安全性を特徴付ける目的のnal−IRI(N=25)およびIVのトポテカン(N=25)の並行試験である。パート1bの目的は、1)12週での無増悪生存率、2)客観的奏効率(ORR)、3)無増悪生存(PFS)、4)全生存(OS)、および5)安全性プロファイルを記述することである。
パート2:nal−IRI(N=210) 対 トポテカン(N=210)の無作為化効能試験。パート2の主目的は、イリノテカンリポソーム注射剤での治療後の全生存をIVのトポテカンでの治療後の全生存と比較することである。
パート2の副次的な目的は、治療アーム間で以下を比較することである:1)無増悪生存(PFS)、2)客観的奏効率(ORR)、3)European Organization for Research and Treatment of Cancer Quality of Life Questionnaire(EORTC QLQ−C30)およびLung Cancer 13(LC13)による測定で咳、呼吸困難、および疲労の症状の改善を伴う患者の割合、および4)安全性プロファイル。
探索的目的(パート1およびパート2)は、1)イリノテカンリポソーム注射剤での治療後のQTcFを記述すること(パート1のみ)、2)イリノテカンリポソーム注射剤での治療後の効能および安全性に関連するバイオマーカーを探索すること、3)UGT1A1遺伝子型、SN−38濃度(イリノテカンリポソーム注射剤で治療された患者のみ)、および安全性の間の関連性を記述すること、4)この患者集団におけるイリノテカンリポソーム注射剤の血漿薬物動態と効能および安全性との関係を評価すること、5)発生率/時間をCNS進行の発生および新たなCNS転移の発生と比較すること、6)治療アーム間で治療継続期間(time to treatment failure)(TTF)を比較すること、および7)EORTC−QLQ−C30、EORTC−QLQ−LC13、およびEQ−5D−5Lを使用して治療アーム間で患者報告転帰(PRO)を比較することを含む。
パート1およびパート2の両方は、スクリーニング相、治療/積極的フォローアップ相、および長期フォローアップ相の3相からなる。治療/積極的フォローアップ相は、試験薬物治療を恒久的に中止する決定までの試験薬物の最初の用量のための期間である。長期フォローアップ相は、全生存についての月毎のフォローアップである。
パート1a
パート1aの安全性の議論(run−in)に登録される患者の初期人数は、安全性について評価可能な6患者である。この初期患者コホートを2週毎に70mg/mのイリノテカンリポソーム注射剤で治療する。治療の最初の28日間(または治療遅延があれば試験治療の2回目の用量から14日後)に用量制限毒性(DLT)を評価して用量が忍容できるものであるかどうかを決定する。2週毎に70mg/mのイリノテカンリポソーム注射剤を与えられている2人またはそれより多くの患者がDLTを有する場合、用量は忍容できるものではないとされる。全てのその他の場合には、90mg/mで開始するイリノテカンリポソーム注射剤で治療される6患者の追加のコホートを登録する。90mg/mの用量がパート1の研究者およびスポンサーの評価において忍容できるものと合理的に予測するのに十分に安全であると、70mg/mのコホートにおいて治療された初期の6患者における全体的な経験が判断される場合にのみ、90mg/mのコホートを登録する。DLTの評価は最初のコホートと同じガイドラインに従う。2人またはそれより多くの患者が90mg/mの用量においてDLTを有する場合、その用量は最適な安全性および忍容性基準を超えていると考えられ、70mg/mをパート1bについての用量として指定し、パート1bを70mg/mのイリノテカンリポソーム注射剤の投与で開始する。90mg/mの用量で安全性評価期間内に0または1つのDLTである場合、パート1bのためにいずれの用量を使用するかの決定が、両コホートの安全性の経験全体に基づいてパート1の研究者およびスポンサーによって為される。
・試験薬物を与えられた全ての患者はDLTおよび安全性について評価可能である。治療の最初の28日間(またはセクション6.2にしたがって治療遅延がある場合、試験治療の2回目の投薬の14日後)にそれらが起こった場合、以下の有害事象をDLTと考えるべきであり、研究者によって試験治療に関するとみなされる:7日以内に消散しないグレード4の好中球減少症または血小板減少症および任意の継続時間のグレード4の貧血。
・薬物関連毒性により予定した日の14日以内にその後の治療過程を開始できないこと
・38.5℃以上の熱(すなわち、熱性好中球減少症)および/または感染症を併発するグレード3〜4の好中球減少症
・以下:
・2週間未満の疲労/無力症
・3日以下の継続時間続く吐き気および嘔吐(最適な制吐剤処置での治療の後72時間より長く続く場合のみ用量制限と考える)
・3日以下の継続時間の下痢(最適な下痢止めレジメンでの治療の後72時間より長く下痢が続く場合のみ用量制限と考える)
を例外とする任意のグレード4の非血液学的毒性
・以下:
・最適な医学的管理にもかかわらずグレード3の毒性が72時間より長く持続する場合のほか、任意の胃腸障害および脱水(関連する徴候および症状を有する)、
・最適な医学的管理にもかかわらずグレード3の毒性が持続する場合のほか、疼痛、
・疲労、熱、インフルエンザ様症状、感染症、および外寄生
・ステロイド準備投薬後に起こる場合のほか、注入反応(および関連する症状)
・最適な医学的管理にもかかわらず持続する場合、肝臓および腎臓機能の異常ならびに電解質異常
を例外とするグレード3の非血液学的毒性
有害事象がDLTと考えられるかどうかの決定は、研究者とスポンサーとの考察後に為され、安全性審査委員会(すなわち、パート1aの研究者およびスポンサーの医学的モニター)によって確認される。試験治療に関するとみなされるその他の有害事象もまた、安全性審査委員会の判断でDLT事象と考えることができる。研究者とスポンサーとの安全性審査会合を少なくとも毎月、または必要に応じてより頻繁な会合で試験のパート1aの間に定期的に行う。
パート1b
パート1aでのnal−IRIの用量の決定にしたがって、試験のパート1bを開始する。パート1bでは、実験アーム(アーム1a:2週毎に90mg/mのnal−IRI)と対照アーム(アーム1b:21日毎に5日間のIVでの1.5mg/m2のトポテカン)との比を1:1として概ね50人の適格患者を無作為化する。中央の施設にあるInteractive Web Response System(IWRS)を使用して患者を治療アームに無作為化する。パート2の無作為化における層化のために使用する予後因子に関する不均衡を減少させるため、パート1bでの無作為化ではパート2の層化因子を考慮する最小化手順を使用する。
白金耐性患者を、第一選択の白金含有療法にある間またはその完了の90日以内のいずれかに進行した疾患を有する患者と定義する。白金感受性患者を、第一選択の白金含有療法の完了の90日後に進行した疾患を有する患者と定義する。以前に公開された試験(von Pawel、2014年)による第一選択治療群に対する白金感受性の分布を保持するために、パート1bにおける白金感受性または白金耐性のいずれかの患者から30人以下の患者を無作為化する。
パート1bの安全性および効能の結果により、試験をパート2に進める(または進めない)かどうかを決定する。以下の両方の中止基準を満たす場合は試験を中止する:
イリノテカンリポソーム注射剤について12週でのPFS(研究者の評価に基づく)率が50%未満であり、かつIVのトポテカンについて12週でのPFS(研究者の評価に基づく)率がイリノテカンリポソーム注射剤のそれを少なくとも5パーセンテージポイント上回る。
中止基準を満たさない場合、パート2に進める最終決定は、試験のパート1での全ての利用可能な効能および安全性データの検討後に試験の学内運営委員会(academic steering committee)との相談においてスポンサーによって為される。
パート2:
パート1bの中止基準が満たされず、かつ試験のパート2に進める決定が為された場合、実験アーム(アーム2a:90mg/mのイリノテカンリポソーム注射剤)と対照アーム(アーム2b:IVのトポテカン)との比を1:1として概ね420人の適格患者を無作為化する。中央の施設にあるInteractive Web Response System(IWRS)を使用して患者を治療アームに無作為化する。以下の因子:
・診断時の疾患期(限局 対 進展)
・地域(北米 対 アジア 対 その他)
・白金感受性(感受性 対 耐性)
・パフォーマンスステータス(ECOG 0 対 1)
・以前の免疫療法(有り 対 無し)
に基づいて無作為化を層化する。
地域および白金感受性 対 耐性のみを効能解析のために使用する。
RECISTガイドライン(バージョン1.1)を使用することにより、6週毎(+/−1週)に腫瘍応答を測定し、記録する。ベースラインでの腫瘍評価は、造影CT(胸部/腹部が必要であり、臨床的に示される場合、骨盤)および脳の造影MRI(脳のCTが許容される)である。各フォローアップの腫瘍評価では、医療上の禁忌がなければ、ベースラインで行ったものと同じ評価を使用するべきである。全ての患者は、ベースラインおよび各評価において脳を画像化される。客観的疾患進行以外の理由で試験治療を中止する患者は、進行性疾患の放射線学的記録までフォローアップを継続すべきである。試験全体の全ての患者に対する全ての腫瘍測定画像をスポンサーは収集し、保管するが、地域の放射線科医および/またはPIの評価により疾患進行を決定する。スキャンの審査は、PFSおよび/またはORRの解析などの独立の解析についてスポンサーによって行われ得る。死亡または試験の終了のいずれか早い方まで、全ての患者は少なくとも毎月追跡される。
パート1bおよびパート2においてのみ、EORTC−QLQ−C30、EORTC−QLQ−LC13、およびEuroQoL five−dimension,five level health status questionnaire(EQ−5D−5L)を使用してクオリティオブライフの評価を行う。無作為化の前および治療の開始後の6週間隔での投薬前および治療中止時および30日のフォローアップ訪問において両方の手段(instrument)が施される。
国立がん研究所の有害事象共通用語規準バージョン4.03(CTCAE v4.03)にしたがって有害事象(AE)を評価する。AEの要約のために、最新のバージョンのMedDRA辞典を使用して事象をコード化する。
少なくとも333のOS事象が起こった時に一次解析を計画する。少なくとも100のOS事象が起こった後に、無益性(futility)についての中間解析が30%の情報時間(information time)で起こるように計画する。治験を続ける場合、少なくとも210のOS事象(63%の情報時間、予期される死亡の事象の50%)が起こった時に中間解析を実行して、実験治療レジメンの効能による早期の中止の可能性を評価する。
独立のデータモニタリング委員会(DMC)によって、安全性データの定期的な審査をパート2のために実行する。DMCは、スポンサーとは独立した腫瘍学および統計学の専門家からなる。DMCの最初の安全性審査は、30人目の患者が少なくとも1サイクルにわたり治療された後または30人目の患者が試験薬物を中止した後のいずれか早い方でパート2において行われる。その後のデータ審査のタイミングおよび詳細はDMCの許可で詳細化される。定期的に審査される項目には、安全性事象、PKテストの結果、および中央でのテストから得たUGT1A128遺伝子型が含まれ(しかし、これらに限定されない)、UGT1A128についてホモ接合の患者について任意の試験手順を改変する必要があるかどうかの決定に特に注目する。
薬物動態
PK用の血漿試料をサイクル1においてのみ以下の時点で収集する:
パート1a、およびパート1b、アーム1a(nal−IRIアーム;サイクル1のみ):
− 1日目:用量前
− 1日目:nal−IRI注入の終了時
− 2日目:注入終了から概ね24時間後
− 8日目:サイクル1、8日目(+/−1日)、一日の任意の時間
− 15日目:用量前
− 15日目:nal−IRI注入の終了時
パート1b、アーム1b(トポテカンアーム;サイクル1のみ):
− 1日目:用量前
− 1日目:トポテカン注入の終了時
− 1、2、または3日目:注入開始の1.5〜4時間後に2つの追加の試料。各試料は少なくとも1時間離して収集しなければならない。これらの試料を1日目に収集することが好ましいが、これらの2つの追加の試料を2日目または3日目に収集することができる。
パート2、アーム2a(イリノテカンリポソーム注射剤アーム;サイクル1のみ):
− 1日目:用量前
− 1日目:イリノテカンリポソーム注射剤の注入の終了時
− 1日目:注入開始の2.5〜6時間後
− 2〜6日目(任意選択):注入開始の1〜5日後の任意の時間
− 8日目:サイクル1の8日目(+/−1日)、一日の任意の時間。
試験集団
組み入れ基準
疾患特異的組み入れ基準 1)世界肺癌学会議(IASLC)の組織病理学的分類にしたがって組織病理学的または細胞学的に確認された小細胞肺がん。IASLCによる混合または複合のサブタイプは認めない;2)RECISTのv1.1ガイドラインによる定義で評価可能な疾患(非標的病変のみを有する患者は適格である)3)限局期または進展期のSCLCの治療のための第一選択の白金ベースの化学療法(カルボプラチンまたはシスプラチン)または白金ベースの化学療法を含む放射線化学療法にある間またはその後の進行;および4)任意の以前の化学療法、手術、放射線療法、またはその他の抗新生物療法の作用からの回復(グレード1またはより良好なグレードへの回復;脱毛症を例外とする)。
血液学的、生化学的、および臓器機能による組み入れ基準:
・造血増殖因子の使用を伴わずにANC>1,500細胞/μl、および
・血小板数>100,000細胞/μl、および
・ヘモグロビン>9g/dL;輸血が認められる
を証拠とする十分な骨髄の蓄積
・施設にとって正常範囲内の血清総ビリルビン
・アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)≦2.5×ULN(肝臓転移がある場合、≦5×ULNが許容される)
を証拠とする十分な肝臓機能
血清クレアチニン≦1.5×ULNおよびクレアチニンクリアランス≧40mL/分を証拠とする十分な腎臓機能。コッククロフト−ゴールトの式を使用してクレアチニンクリアランスを計算するために実際の体重を使用するべきである(ボディマス指数(BMI)>30kg/m2の患者を除く;この場合、代わりに除脂肪体重(lean body weight)を使用するべきである)。
式中、性別=男性については1、そして女性については0.85
任意の臨床的に有意な所見を伴わないECG
任意の以前の化学療法、手術、放射線療法、またはその他の抗新生物療法の作用からの回復
地方条例によって禁止されない限り、治験のトランスレーショナルリサーチの成分に参加し、保管した腫瘍組織(利用可能であれば)を提供することが必要とされる。
少なくとも18歳
インフォームドコンセントを理解し、署名することができる(またはそうすることができる法的代理人を有する)
患者は、上に挙げた全ての組み入れ基準を満たさなければならず、かつ以下の除外基準のいずれも満たしてはならない:
一般的除外基準
1)インフォームドコンセントに署名し、試験に協力し参加する患者の能力を妨げるまたは結果の解釈を妨げる可能性があると研究者によってみなされる任意の医学的または社会的状態
2)妊娠または授乳;子供を持つ可能性がある女性は、尿または血清による妊娠テストに基づいて登録時に妊娠について陰性であることをテストしなければならない。生殖の可能性のある患者は男女共に、試験の間および試験薬物の最後の用量後4ヶ月間、非常に有効な産児制限の方法を使用することに同意しなければならない。
疾患特異的除外基準
1)イリノテカン、トポテカン、または治験用トポイソメラーゼI阻害剤などの任意のその他のトポイソメラーゼI阻害剤での以前の治療レジメン、
2)大細胞神経内分泌癌を有する患者、
3)1つより多くの細胞毒性化学療法レジメンを以前に受けた患者
4)1つより多くのラインの免疫療法(例えば、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブ、アテゾリズマブ、トレメリムマブ、および/またはデュルバルマブ)。1ラインの免疫療法は以下の通りに定義される:単剤療法、あるいは(i)化学療法とその後の第一選択の状況での免疫療法維持の組み合わせ、(ii)第一選択の化学療法への応答後の維持としてのみ、または(iii)進行後の第二選択の治療として与えられる免疫療法のいずれかとして与えられる免疫療法剤の組み合わせ、
5)免疫療法誘発性大腸炎の病歴を有する患者、
6)上記したような1ラインの白金含有レジメンまたは免疫療法以外の任意の以前の全身治療、
7)以下のCNS転移を有する患者:
i)予防的および/または治療的な頭蓋照射(全脳定位照射)後に新たなまたは進行性の脳転移を発症した患者。
ii)症候性のCNS転移を有する患者(頭蓋放射線療法を与えられた脳転移を有する患者は、頭蓋放射線療法後2週間以上にわたって神経学的症状について非症候性であり、かつCNS転移の治療のためにコルチコステロイドを使っていない場合に、適格である。非症候性の脳転移を有する患者は試験に直接登録するのに適格である)。
iii)癌性髄膜炎を有する患者、
8)イリノテカンリポソーム注射剤の最初の用量を与えられる少なくとも1週間前に強いCYP3A4もしくはUGT1A1阻害剤または少なくとも2週間前に強いCYP3A4誘導剤の使用を中止することができない、
9)別の活動性悪性疾患の存在、または
10)この試験の最初の投薬予定日前の4週間以内または治験薬の少なくとも5半減期未満の時間間隔内のうちのいずれか短い方において治験的療法を投与された。
血液学的、生化学的、および臓器機能による除外基準
1)組み入れ前6ヶ月未満の重篤な動脈血栓塞栓事象(例えば、心筋梗塞、不安定狭心症、卒中)、2)NYHAクラスIIIまたはIVの鬱血性心不全、心室性不整脈、または血圧コントロール不良、3)研究者の見解において、患者が治験に参加するのに支障をきたすまたは試験の転帰に影響する可能性がある活動性感染症(例えば、急性細菌感染症、結核、活動性B型肝炎、または活動性HIV)、4)イリノテカンリポソーム注射剤、その他のリポソーム製品、もしくはトポテカンの成分のいずれかに対する既知の過敏症;または1より大きいグレードの肝臓障害、出血、炎症、閉塞、または下痢などの臨床的に重大な胃腸障害。
試験の長さ
疾患進行または許容できない毒性となるまで患者が治療されることが意図される。治療の中止後、患者は30日のフォローアップの訪問のために試験の現場へ戻って来る。この訪問後、死亡または試験の終了のいずれか早く起こる方まで、毎月1回の電話または試験の現場への訪問によって、患者に対して、全生存の状態についての追跡を続ける。
患者を治療群に割り当てる方法
パート1a:
全てのスクリーニング評価が完了し、最初の患者報告転帰の評価が完了した後、適格の患者はパート1aに入る。
パート1b:
パート1bはパート1aでの用量選択にしたがって開始される。
全てのスクリーニング評価が完了し、最初の患者報告転帰の評価が完了した後、適格の患者は、コンピュータによる対話式ウェブ応答システム(IWRS)を使用して1:1の比で以下の治療アームの一つに無作為化される:パート1bでの無作為化は、パート2の層化因子を考慮する最小化手順(McEntegart、2003年)を使用する。
アーム1a(実験アーム):イリノテカンリポソーム注射剤
アーム1b(対照アーム):IVのトポテカン
無作為化は計画した投薬の7日以内に行わなければならない。
パート2:
パート2は中止基準を通過した際に開始され、学内運営委員会との相談においてスポンサーの決定に基づく。
全てのスクリーニング評価が完了し、最初の患者報告転帰の評価が完了した後、適格の患者は、コンピュータによる対話式ウェブ応答システム(IWRS)を使用して1:1の比で以下の治療アームの一つに無作為化される:
アーム2a(実験アーム):イリノテカンリポソーム注射剤
アーム2b(対照アーム):IVのトポテカン
無作為化は計画した投薬の7日以内に行わなければならない。無作為化は、以下の予後因子に基づいて層化される:
− 地域(北米 対 アジア 対 その他)
− 白金感受性(感受性 対 耐性)
− 診断時の疾患期(限局 対 進展)
− パフォーマンスステータス(ECOG 0 対 1)
− 以前の免疫療法(有り 対 無し)
白金耐性患者を、第一選択の白金含有療法にある間またはその完了の90日以内のいずれかに進行した疾患を有する患者と定義する。白金感受性患者を、第一選択の白金含有療法の完了の90日後に進行した疾患を有する患者と定義する。
イリノテカンリポソーム注射剤の投与
パート1a:
6週間のサイクルで2週毎に90分にわたってIVで70mg/m2の用量(イリノテカン遊離塩基に基づいて表した強度;80mg/m2の無水塩に概ね相当する)のイリノテカンリポソーム注射剤を投与する。70mg/m2の用量が忍容できるとみなされ、かつ90mg/m2が探索されていれば、6週間のサイクルで2週毎に90分にわたってIVで90mg/m2(イリノテカン遊離塩基に基づいて表した強度;100mg/m2の無水塩に概ね相当する)のイリノテカンリポソーム注射剤を投与するべきである。
パート1bおよび2:
(パート1で許容できないとみなされていなければ)6週間のサイクルで2週毎に90分にわたってIVで90mg/m2の用量(イリノテカン遊離塩基に基づいて表した強度;100mg/m2の無水塩に概ね相当する)のイリノテカンリポソーム注射剤を投与する。
投与の前に、適切な用量のイリノテカンリポソーム注射剤を500mLの最終体積まで5%のデキストロース注射液(D5W)または0.9%の塩化ナトリウム注射液で希釈しなければならない。D5Wまたは0.9%の塩化ナトリウム以外のいかなる希釈剤も使用しないように注意するべきである。
UGT1A128のモニタリング
UGT1A128遺伝子型を全ての患者について収集し、中心的に評価する。結果を現場およびスポンサーに提供する。現場は、SAE報告形態でUGT1A128遺伝子型決定の結果を含めることも求められる。
UGT1A128遺伝子型の結果にかかわらず、イリノテカンリポソーム注射剤で治療する全ての患者をイリノテカンリポソーム注射剤の同じ開始用量で治療し、同じ用量減少ルールに従う。スポンサーの医学的モニターおよびDMC(パート2において)によって実行されるような試験の間の患者の定期的な安全性のモニタリングの間に、UGT1A128ホモ接合患者の安全性およびPKをUGT1A128についてホモ接合でない患者と比較して、任意の異なる投薬戦略(イリノテカンリポソーム注射剤についてより低い開始用量および/または異なる用量減少など)がUGT1A128についてホモ接合の患者にとって必要かどうかを決定する。30人目の患者が治療サイクルを1回完了したか、または治療を中止したかのいずれか早い方の後に、最初の安全性DMC会合を行う。UGT1A128と安全性との関連性はトポテカンで治療した患者において予測されない。
試験治療
イリノテカンリポソーム注射剤:
パート1a:(安全性の議論)
6週間のサイクルで2週毎に90分にわたってIVで70mg/m(イリノテカン遊離塩基として表した強度;80mg/mの無水塩に概ね相当する)のイリノテカンリポソーム注射剤、または6週間のサイクルで2週毎に90分にわたってIVで90mg/m(イリノテカン遊離塩基として表した強度;100mg/mの無水塩に概ね相当する)のイリノテカンリポソーム注射剤。
パート1bおよびパート2:
アーム1aおよび2a(実験アーム):
(パート1において許容できないとみなされていなければ)6週間のサイクルで2週毎に90分にわたってIVで90mg/m(イリノテカン遊離塩基として表した強度;100mg/mの無水塩に概ね相当する)のイリノテカンリポソーム注射剤。
アーム1bおよび2b(対照アーム):
6週間のサイクルで3週毎に5日連続で毎日30分にわたってIVで1.5mg/mのトポテカン。
イリノテカンリポソーム注射剤:
パート1a、パート1bのアーム1aおよびパート2のアーム2a:
支持療法措置はONIVYDE(登録商標)についての処方情報に概説されるガイドラインに従うべきである。毒性に関して、イリノテカンリポソーム注射剤の2回までの用量減少が許可される。イリノテカンリポソーム注射剤の2回目またはその後の用量と共に予防的G−CSFの使用(研究者の選好に基づいて、短い作用および長い作用の両方の増殖因子が許容される)が、研究者の判断に基づいて認められる。
トポテカン:
パート1bのアーム1bおよびパート2のアーム2b(IVのトポテカン)
トポテカンについて意図される用量は、3週毎に5日連続でIVで1.5mg/m2である。用量、投与、および用量減少は、IVのトポテカンについての処方情報に概説されるガイダンスに従うべきである。
トポテカンでの治療に無作為化された患者は、最後の用量の24時間後に開始する全てのサイクルにおける予防的G−CSFについて検討されるべきである(研究者の選好に基づいて、短い作用および長い作用の両方の増殖因子が許容される)。毒性に関して、患者あたり2回までのトポテカンの用量減少が許可される。用量遅延は治療関連毒性から回復させるために許可される。感染性合併症のリスクが高い患者のために予防的抗生物質が推奨される。
治験製品:
イリノテカンリポソーム注射剤(nal−IRI、PEG化リポソーム塩酸イリノテカン三水和物、MM−398、PEP02、BAX2398、およびONIVYDE(登録商標)としても公知である)は、無菌の白色からわずかに黄色の不透明な等張性リポソーム分散物である。各10mLの単回用量のバイアルは、4.3mg/mLの濃度で43mgのイリノテカン遊離塩基を含有する。リポソームは単層脂質二重層の小胞であり、小胞は概ね110nmの直径で、スクロースオクタスルフェート塩としてゲル化または沈殿した状態のイリノテカンを含有する水性空間をカプセル化している。それは、4.3mg/mLの濃度で43mgのイリノテカン遊離塩基を含有する無菌の使い捨てのバイアルとして供給される。イリノテカンリポソーム注射剤は、光から保護して冷蔵保管しなければならない(2〜8℃、36〜46°F)。凍らせない。
パート1a
DLTを有する患者数が6患者のコホートにおいて1を超えていなければ、用量はパート1bに進めるために許容されるものと決定される。このルールに基づいて、真のDLTの確率の関数として、ある用量でパート1bに進める確率を表6に示す。
パート1b
パート1bの目的は、無作為化した状況での安全性および効能データのパイロット試料を提供することである。パート1bのための試料サイズは、イリノテカンリポソーム注射剤が、ベネフィット/リスクに関してトポテカンに実質的に劣ることが観察された場合に試験を縮小することを可能にするという実際の目的のために選択した。
12週で観察されたPFS率に基づく効能ルールを正式な中止ルールとしてこのプロトコールにおいて実行するが、追加のデータも検討してパート2に進まないと決定することもある。パート1bでの試験設計を考慮した正式な中止ルールの運用上の特徴を以下に記載する。
二項分布を使用して対照群内の12週での無増悪患者の真の割合を0.55と近似および想定して、試験を中止する確率をイリノテカンリポソーム注射剤アームについての真の率の関数として表7に示す。
PFSの最終の治療比較は、腫瘍評価がパート1bにおいて全ての患者について完了した時にログランク検定を介して実行する。打切り率が10%と想定される場合、最終解析の時点で45の事象が起こったと予測される。PFSハザード比が0.64の場合(例えば、イリノテカンリポソーム注射剤は、3.5ヶ月から5.5ヶ月へとPFS中央値を伸ばす)、この解析は、片側水準0.20の検定で治療の差を検出する概ね75%の検出力を有する。
パート2
主要なエンドポイントは全生存(OS)である。
計420人の患者を2つの治療アームに1:1の比で無作為化する。2つの治療アームにわたって少なくとも333のOS事象が観察されるまでのフォローアップは、層化ログランク検定(地域(北米 対 アジア 対 その他)および白金感受性(感受性 対 耐性)により層化)を使用して、0.025の全体的な片側有意水準(中間解析のために調整)で0.714以下のHRの真のハザード比(mOS:7.5ヶ月 対 10.5ヶ月)を検出する少なくとも85%の検出力を提供する。
両治療アームにわたって1ヶ月あたり21患者の増加および5%の追跡不能率で25ヶ月にわたる登録を想定して、一次解析のタイミングは、39ヶ月と予測される。
OS事象の計画した最終的な数の概ね30%(すなわち、333のOS事象のうちの100)が、治療企図(intent−to−treat;ITT)集団において観察された時に、無益性のための中間解析を実行する。試験を進める場合、概ね210のOS事象(計画したOS事象の63%および試験集団全体で予測される事象の50%)が起こった時に、2回目の中間解析を行って無益性および効能の両方について評価する。
一般:
カテゴリーの変数は、頻度分布(患者の数およびパーセンテージ)によって要約され、連続的な変数は記述統計(平均、標準偏差、中央値、最小、最大)によって要約される。
パート1でのnal−IRIの効能および安全性は、パート2と同じ転帰の尺度を使用して記述的に報告される。加えて、試験のパート1で起こった有害事象が詳細に記載される。
パート1に登録して試験薬物で治療された患者は、パート1の安全性集団を構成する。これらの患者の安全性および効能が記述的に提示される。
パート2において無作為化された患者は治療企図(ITT)集団を構成する。これは、実験アームの効能を評価するために比較として評価される集団である。効能のITT解析において、各患者は、無作為化された治療割当てにしたがって検討される。任意の試験薬物の任意のパートを与えられた患者は、パート2の安全性集団を規定する。
層化解析のために、層化因子は、地域(北米、アジア、その他)および白金感受性(感受性、耐性)の無作為化層化因子である。層化因子の分類は無作為化にしたがう。
一次効能解析(パート2):
OSは、無作為化の日から死亡日までの月数として定義される。一次解析の時点で死亡が観察されない患者は、最後に記録された生存日にしたがって打ち切られたOSを有する。
一次解析は、0.025を有意とする片側水準で2つの治療アーム間のOSの差を比較する層化ログランク検定を使用して行う。層化因子は、無作為化層化因子を含み、分類は無作為化に従う。カプランマイヤー法を使用してOS中央値(95%の信頼区画)を推定し、OS時間をグラフで提示する。層化コックス比例ハザードモデルを使用してハザード比およびその対応する95%信頼区画を推定する。OSの感受性解析は統計解析計画(Statistical Analysis Plan;SAP)で記載する。
鍵となる二次解析(パート2):
鍵となる二次的なエンドポイントは、PFS、ORR、呼吸困難、咳、および疲労において症状が改善した患者の割合である。
鍵となる二次的なエンドポイントを1回だけ検定する。OSの一次的なエンドポイントが中間時に統計的に有意な場合、二次的なエンドポイントの検定を中間時に検定する。そうでなければ、OSが最終のOS解析で統計的に有意であると判明したら、二次的なエンドポイントをその解析で検定する。鍵となる二次的なエンドポイントの仮説検定を、ステージ毎の階層的様式で実行する(Glimm, Eら、Statistics in Medicine 2010年 29巻:219〜228頁)。
PFSの比較用の名目水準は、検定が中間時または計画した最終の解析で行われるのかどうかに依存し、OSのために使用されるものと類似のα消費関数(spending function)を組み込む。OSおよびPFSが共に有意であれば、4つの計画的比較(planned comparisons)の片側α水準検定のためにベンジャミニ・ホフバーグ修正(Benjamini−Hochberg correction;BenjaminiおよびHochberg、J. Royal Statistical Soc. B 2005年 57巻、289〜300頁)を使用して調整した各p値を用いて片側0.025の水準(PFSについて記載されるような消費関数に基づいて調整した名目α)でORRおよびEORTC−QLQ症状を検定する。FDRオプションを用いるSAS PROC MULTTESTまたは同等のアルゴリズムを使用して、調整されたp値を報告する。統計的に有意でないあらゆるパラメーターを記述的および探索的とみなす。
無増悪生存:
無増悪生存は、無作為化から、RECIST v1.1を使用する最初の記録される客観的疾患進行(PD)または任意の原因による死亡のうちのいずれか早い方までの時間である。PFSの決定は研究者の評価による。死亡も進行も観察されなければ、最後に観察された腫瘍評価の日でデータを打ち切る。無作為化時に有効な腫瘍応答評価のない患者は、無作為化の日に打ち切る。記録されるPDの前に新たな抗がん治療を開始した患者は、新たな治療の開始前の最後に観察された腫瘍評価の日で打ち切る。許容できない長い間隔(すなわち、2回またはそれより多くの徒過したまたは不定スケジュールの評価)の後で記録されたPDまたは死亡を伴う患者は、進行または死亡の前に最後に観察された非PD腫瘍評価の日の時点で打ち切る。
層化ログランク検定を使用して治療間のPFSの差を評価する。カプランマイヤー法を使用してPFS中央値(95%の信頼区画)を推定し、PFSの時間をグラフで提示する。層化コックス比例ハザードモデルを使用してPFSのハザード比およびその対応する95%信頼区画を推定する。
層化ログランク検定(地域および白金感受性によって層化)を使用して治療間のPFSの差を評価する。カプランマイヤー法を使用してPFS中央値(95%の信頼区画)を推定し、PFSの時間をグラフで提示する。層化コックス比例ハザードモデルを使用してPFSのハザード比およびその対応する95%信頼区画を推定する。PFSの感受性解析はSAPで記載する。
客観的奏効:
客観的奏効率(ORR)は、RECIST v1.1ガイドラインによる部分奏効または完全奏効を達成する患者の割合である。ORRおよびその95% CIの推定値を計算する。治療群間のORRの差をコクラン−マンテル−ヘンツェル法を使用して比較し、地域および白金感受性によって層化する。
肺がん症状の改善を伴う患者の割合:
この二次解析は、咳、呼吸困難、および疲労について患者が報告したEORTC−QLQ−LC13の症状スケールを検討する。なぜなら、改善を伴う患者の割合に関する治療の影響についてこれらが最も明確に疾患に関係しかつ評価可能であると考えられるためである。残りのEORTC−QLQ症状ドメインを探索的解析において評価する。
症状の改善は、ベースラインよりスケールにして少なくとも10パーセンテージポイント低い症状サブスケールスコア(0〜100のスケールに変換後)の達成および6週間の維持として定義される。奏効の分類は治療群によって表にされ、統計解析により所与の症状についてレスポンダーの割合を比較する。
各症状について改善を伴う患者の割合を正規近似に基づく95%の信頼区画で治療群によって表にする。症状の改善を伴う患者の割合の差を対応する95%の信頼区画で提示する。症状の改善を伴う患者の割合をコクラン−マンテル−ヘンツェル法を使用して治療レジメン間で比較し、地域および白金感受性によって層化する。
安全性解析:
任意の試験薬物を与えられた全ての患者として定義される安全性集団を使用して安全性解析(有害事象および試験室解析)を行う。治療割当ては与えられた実際の治療に従う。最新のMedDRA辞典を使用して有害事象をコード化する。NCI CTCAEバージョン4.03にしたがって重篤度をグレード化する。
治療下で発現した有害事象(TEAE)は、最初の試験薬物への曝露の日から、試験薬物への曝露の最終日から30日後までに報告された任意の有害事象として定義される。任意のグレードのTEAE、グレード3またはより高いグレードのTEAE、試験薬物に関係するTEAE、重篤なTEAE、用量改変に繋がるTEAE、および試験薬物の中止に繋がるTEAEについて、患者の頻度およびパーセンテージを要約する。器官別大分類(System Organ Class)および好ましい用語によって有害事象を要約する。全ての有害事象データを患者によってリストする。
試験室データは、パラメーターの種類にしたがって要約する。適用できる場合、試験室安全性パラメーターについての毒性のグレード化はNCI CTCAEバージョン4.03の基準に基づいて割り当てられる。
QTcF解析:
イリノテカンリポソーム注射剤治療によるQTcFの長期化の可能性を本研究のパート1においてイリノテカンリポソーム注射剤を与えられた患者において評価する。一次QTcF長期化解析のために、QTcFにおいて予測される変化を、混合作用(mixed effect)モデリングを使用する曝露−QTcF関係から得る。時点およびカテゴリー解析によって評価することにより、感受性解析を実行する。
EORTC−QLQの転帰
EORTCガイドライン(Fayers、2001年)にしたがってEORTC−QLQ−C30質問票の解析を行う。EORTC QLQ−C30およびQLQ−LC13のサブスケールを、EORTCのスコア付けマニュアルに基づいてスコア付けする。EORTC QLQ−C30またはQLQ−LC13でのより高いスコアがより高い(「より良好な」)レベルの機能および/またはより高い(「より悪い」)レベルの症状を表すようにスコアを標準化する。
症状の改善を伴う患者の割合についての解析方法は、鍵となる二次的解析(セクション11.5.2.3)に記載されている通りである。
治療群による頻度表を各QLQ−C30およびQLQ−LC13のサブスケールについて症状の改善を伴う患者の割合について報告する。追加のEORTC−QLQ解析の詳細をStatistical Analysis Planで提供する。
生の標準化したサブスケールスコアおよび経時的なベースラインからの変化を報告する。平均の変化スコアを治療群間で記述的に比較し、縦断的モデリング(longitudinal modeling)(すなわち、共変量解析および反復測定モデリング(repeated measures modeling))を介して探索され得る。
EQ−5D−5L:
生のスコアおよび経時的なベースラインからの変化を報告する。平均の変化スコアを治療群間で記述的に比較し、縦断的モデリング(すなわち、共変量解析および反復測定モデリング)を介して探索される。
CNS進行までの時間:
無作為化から、RANO−BM作業グループ(Linら Lancet Oncology 2015年)による定義でのCNS進行の発生までの時間として定義される。CNS進行までの時間をカプランマイヤー法により記載し、層化ログランク検定を使用して治療を比較する。
薬物動態(PK)および薬力学(PD)の解析:
総イリノテカン、SN−38、およびトポテカンの血漿薬物動態(PK)を非線形混合作用モデリングを使用して濃度試料から定量化する。初期PK解析では経験的ベイズ推定を使用するが、追加の共変量解析を行ってSCLCに特異的な代替的なベースライン因子を評価する。生じるPK推定値を使用してPKとPDとの関連性(効能および安全性のエンドポイント)を評価する。トポテカンのPKを使用して、PKの分布および本研究における効能/安全性へのPKの関連性を従来の値と比較することによって、パート1bからの結果を理解するための追加のデータを提供する。
用量改変
全ての用量改変は、最悪の先行する毒性に基づくべきである。
注射用のトポテカン
トポテカンは、1,500/mm3(1.5×109/L)より多いまたはそれに等しいベースラインの好中球数および100,000/mm(100×10/L)より多いまたはそれに等しい血小板数を有する患者においてのみ開始するべきである。
好中球数が1×10/l以上、血小板数が100×10/l以上、かつヘモグロビンレベルが9g/dl以上とならない限り(必要であれば輸血後)、その後のサイクルにおいてトポテカンを投与するべきではない。回復のための十分な時間を可能とするために治療を遅らせるべきであり、回復したら下記表9のガイドラインにしたがって治療を投与するべきである。
以下の毒性の場合にトポテカンの用量減少を行うべきである:
− グレード4の好中球減少症(ANC<500/mm3または<0.5×109/L);
− グレード4の血小板減少症(血小板数<25,000/mm3または<0.5×109/L)
− 吐き気および嘔吐以外のグレード3または4の非血液学的毒性。吐き気および嘔吐の場合、最適な医学的管理にもかかわらずグレード3または4の毒性が起こった場合に用量減少を行うべきである
用量減少の決定は最悪の先行する毒性に基づくべきである。用量レベル0から用量レベル2への移動は許可される。感染性合併症のリスクが高い患者のために予防的抗生物質が推奨される。
患者あたり2回までのトポテカンの用量減少が表9に示される毒性について許可される。毒性を管理するために3回目の用量減少が必要な場合、トポテカン治療を中止するべきである。
クレアチニンクリアランスが20〜39mL/分の間である場合、患者におけるトポテカンの用量を、5連続日にわたり0.75mg/m2/日に減少するべきである。
間質性肺疾患の新たな診断が確認された場合、トポテカンを中止するべきである。
(実施例8:リポソームイリノテカンの製造)
リポソームイリノテカンは複数ステップのプロセスで調製することができる。最初に、加熱したエタノール中に脂質を溶解する。脂質は、3:2:0.015のモル比で合わせたDSPC、コレステロール、およびMPEG−2000−DSPEを含むことができる。好ましくは、リポソームは、3:2:0.015のモル比で合わせたDSPC、コレステロール、およびMPEG−2000−DSPEからなる小胞中にカプセル化されたイリノテカンスクロースオクタスルフェート(SOS)をカプセル化することができる。溶解された脂質から形成された小胞内にカプセル化された置換アミン(アンモニウム形態)およびポリアニオンを含有する適切なサイズ(例えば、80〜120nm)の本質的に単層のリポソームを形成するのに有効な条件下で置換アミンおよびポリアニオンを含有する水性媒体中に、生じたエタノール−脂質溶液を分散する。分散は、例えば、脂質の転移温度より高い温度(例えば、60〜70℃)で置換アミンおよびポリアニオンを含有する水溶液とエタノール脂質溶液を混合し、生じた含水脂質懸濁物(多層リポソーム)を圧力下で、規定された孔径(例えば、50nm、80nm、100nm、または200nm)を有する1つまたは複数の飛跡をエッチングした(track−etched)例えばポリカーボネート膜のフィルターを通して押し出すことによって行うことができる。置換アミンはトリエチルアミン(TEA)であってよく、ポリアニオンは、約0.4〜0.5Nの濃度において化学量論比で合わせたスクロースオクタスルフェート(SOS)(例えば、TEA8SOS)であってよい。次いで、リポソームを離れるTEAと交換してイリノテカンがリポソームに入るのを可能とするのに有効な条件下でリポソームをイリノテカンと接触させる前に、全てのまたは実質的に全ての捕捉されていないTEAまたはSOSを(例えば、ゲル濾過、透析、または限外濾過によって)除去する。条件は、リポソームの外部媒体に浸透圧剤(osmotic agent)(例えば、5%デキストロース)を加えて、捕捉されたTEA−SOS溶液の質量オスモル濃度を均衡させるかつ/または負荷を行う間のリポソームの浸透圧による破裂を防止すること、pHを(例えば、6.5に)調整および/または選択して、負荷ステップの間の薬物および/または脂質の分解を減少させること、および温度をリポソーム脂質の転移温度より高い温度に(例えば、60〜70℃へ)上昇させて、膜を通じてのTEAおよびイリノテカンの交換を加速させることからなる群より選択される1つまたは複数の条件を含むことができる。リポソームを横切るTEAとの交換によるイリノテカンの負荷は、好ましくは、全てのまたは実質的に全てのTEAがリポソームから除去されて、リポソームを横切るその濃度勾配を使い果たすまで続けられる。好ましくは、イリノテカンリポソーム負荷プロセスは、スクロオクタスルフェート(sucrooctasulfate)に対するイリノテカンのグラム当量比が少なくとも0.9、少なくとも0.95、0.98、0.99、または1.0(または約0.9〜1.0、0.95〜1.0、0.98〜1.0、または0.99〜1.0の範囲)となるまで続けられる。好ましくは、イリノテカンリポソーム負荷プロセスは、TEAが、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、またはそれより多くのTEAがリポソーム内部から除去されるまで続けられる。イリノテカンは、約8:1のモル比のイリノテカンおよびスクロースオクタスルフェートなどの、イリノテカンスクロースオクタスルフェートをリポソーム内で形成することができる。次に、例えば、ゲル(サイズ排除)クロマトグラフィー、透析、イオン交換、または限外濾過法を使用して、あらゆる残っているリポソーム外イリノテカンおよびTEAを除去してイリノテカンリポソームを得る。リポソーム外部媒体を注射用の薬理学的に許容される流体(例えば、緩衝等張性食塩水)と交換する。最後に、リポソーム組成物を例えば0.2ミクロンの濾過によって滅菌し、用量バイアルに分注し、ラベルし、そして使用まで例えば2〜8℃の冷蔵で保管する。残っているリポソーム外イリノテカンおよびTEAを除去するのと同時に、リポソーム外部媒体を薬理学的に許容される流体と交換することができる。例えば、約6.5〜8.0のpH、またはその間の任意の好適なpH値(例えば、7.0〜8.0、および7.25など)の組成物を調製することによって、組成物のリポソーム外のpHを調整または他の方法で選択して、望ましい保管安定性特性(例えば、180日を超える4℃での保管の間にリポソーム内に溶解(lyso)PCが形成されるのを減少する)を提供することができる。リポソーム外のpH値、イリノテカン遊離塩基の濃度(mg/mL)、および様々な濃度のスクロースオクタスルフェートを有するイリノテカンリポソームを、本明細書に記載されるようにより詳細に提供する通りに調製することができる。
それぞれ3:2:0.015のモル比(例えば、1264mg/412.5mg/22.44mg)に対応する量でDSPC、コレステロール(Chol)、およびPEG−DSPEを秤量した。脂質をクロロホルム/メタノール(4/1v/v)中に溶解し、十分に混合し、4つのアリコート(A〜D)に分割した。60℃でロータリーエバポレーターを使用して、乾燥まで各試料を蒸発させた。室温で12時間真空(180μトル)下に置くことによって脂質から残留クロロホルムを除去した。乾燥した脂質を60℃のエタノール中に溶解し、適切な濃度の予備加温したTEA8SOSを加えて最終アルコール含有量を10%(v/v)とした。脂質濃度は75mMであった。Lipexサーモバレル押出機(Northern Lipids、Canada)を使用して2つ重ねた0.1μmのポリカーボネート膜(Nucleopore)を10回通して脂質分散物を約65℃で押し出して、95〜115nmの典型的な平均直径(準弾性光散乱(quasielastic light scattering)による決定)を有するリポソームを生成した。必要に応じて、押し出したリポソームのpHを1NのNaOHを用いてpH 6.5に調整した。イオン交換クロマトグラフィーとサイズ排除クロマトグラフィーとの組み合わせによってリポソームを精製した。最初に、Dowex(商標) IRA 910樹脂を1NのNaOHで処理した後、脱イオン水で3回洗浄し、3NのHCIで3回洗浄し、次いで水で複数回洗浄した。調製した樹脂にリポソームを通し、溶出した画分の導電率をフローセル導電率計(Pharmacia、Upsalla、Sweden)を使用することによって測定した。導電率が15μS/cm未満であれば、画分をさらに精製することが許容されるとみなした。次いで、脱イオン水で平衡化したSephadex G−75(Pharmacia)カラムにリポソーム溶出液を加え、収集したリポソーム画分の導電率(通常、1μS/cm未満)を測定した。5%(w/w)の最終濃度の40%デキストロース溶液、およびストック溶液(0.5M、pH 6.5)から加えた10mMの最終濃度の緩衝液(Hepes)を加えることによって、膜を横断する等張性を達成した。
各バッチの解析の証明書から得られる水含有量および不純物レベルを考慮に入れて、脱イオン水中のイリノテカンHCl三水和物の粉末を、15mg/mLの無水イリノテカンHClとなるように溶解することによってイリノテカンのストック溶液を調製した。リポソームリン脂質1molあたり500gのイリノテカンを加え、湯浴中で30分間60±0.1℃に加熱することによって薬物の負荷を開始させた。氷冷水中に浸すことによって、水浴からの除去の際に溶液を迅速に冷却した。平衡化したSephadex G75カラムを使用してリポソーム外の薬物をサイズ排除クロマトグラフィーによって除去し、Hepes緩衝食塩水(10mM Hepes、145mM NaC1、pH 6.5)を用いて溶出した。HPLCによってイリノテカン、バートレットの方法によってリン酸塩について(リン酸塩の決定を参照)、試料を解析した。保管のために試料を4mLのアリコートに分割し、1NのHC1または1NのNaOHを使用して結果に示す通りにpHを調整し、無菌条件下で滅菌濾過し、Teflon(登録商標)で裏打ちされたネジ式キャップを用いてアルゴン下で密封した無菌の透明ガラスバイアル中に充填し、サーモスタット制御された冷蔵庫中に4℃で置いた。定めた時点にアリコートを各試料から取り出し、外観、大きさ、薬物/脂質の比、ならびに薬物および脂質の化学的安定性についてテストした。90度の角度でCoulter Nano−Sizerを使用する動的光散乱によって希釈試料中でリポソームの大きさを決定し、キュムラントの方法によって得られる平均±標準偏差(nm)として提示した。
(実施例9:ONIVYDE(MM−398)リポソームイリノテカン)
本明細書中に記載する保管安定なリポソームイリノテカンの一つの好ましい例は、ONIVYDE(イリノテカンリポソーム注射剤)として市販される製品である。ONIVYDEは、静脈内使用のための、塩酸イリノテカン三水和物を用いてリポソーム分散物として製剤化されたトポイソメラーゼ阻害剤である。ONIVYDEは、ゲムシタビンベースの療法に引き続く疾患進行後の膵臓の転移性腺癌の治療について適応される。
ONIVYDEは、約7.25のpHを有する保管安定化されたリポソームである。ONIVYDE製品は、塩酸イリノテカン三水和物出発材料から得られる、リポソーム中にカプセル化されたイリノテカンスクロースオクタスルフェートを含有する。イリノテカンの化学名は、(S)−4,11−ジエチル−3,4,12,14−テトラヒドロ−4−ヒドロキシ−3,14−ジオキソ1H−ピラノ[3’,4’:6,7]−インドリジノ[1,2−b]キノリン−9−イル−[1,4’ビピペリジン]−1’−カルボキシレートである。ONIVYDEの投与量は、イリノテカンリポソームを調製するために使用された塩酸イリノテカン三水和物出発材料の当量またはリポソーム中のイリノテカンの量に基づいて計算することができる。1グラムの塩酸イリノテカン三水和物あたり約866mgのイリノテカンが存在する。例えば、塩酸イリノテカン三水和物出発材料の量に基づく80mgのONIVYDE用量は、最終生成物中に約0.866×(80mg)のイリノテカン遊離塩基を実際に含有する(すなわち、塩酸イリノテカン出発材料の重量に基づく80mg/mのONIVYDEの用量は、最終生成物中の約70mg/mのイリノテカン遊離塩基に相当する)。ONIVYDEは、無菌の、白色からわずかに黄色の不透明な等張性リポソーム分散物である。各10mLの単回用量バイアルは4.3mg/mLの濃度で43mgのイリノテカン遊離塩基を含有する。リポソームは単層脂質二重層の小胞であり、小胞は概ね110nmの直径で、スクロースオクタスルフェート塩としてゲル化または沈殿した状態のイリノテカンを含有する水性空間をカプセル化している。小胞は、6.81mg/mLの1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC)、2.22mg/mLのコレステロール、および0.12mg/mLのメトキシ末端ポリエチレングリコール(MW 2000)−ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(MPEG−2000−DSPE)から構成される。各mLは、緩衝液として4.05mg/mLの2−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]エタンスルホン酸(HEPES)、および等張試薬として8.42mg/mLの塩化ナトリウムも含有する。ONIVYDEの各バイアルは、単回用量バイアル中の白色からわずかに黄色の不透明なリポソーム分散物として43mg/10mLのイリノテカン遊離塩基を含有する。
一例では、ONIVYDEの単位剤形は、約90mg/mの総量のイリノテカン遊離塩基または100mg/mの塩酸イリノテカン三水和物に相当する量のイリノテカンを提供する量のリポソーム中にカプセル化されたイリノテカンを含む医薬組成物である。単位剤形は、注射可能な流体1mLあたり約4.3mgのイリノテカン遊離塩基の濃度での単位剤形(例えば、バイアル)を約500mLの総体積に希釈することによって得られる静脈内製剤であり得る。ONIVYDEは、以下の通りにバイアルから等張性リポソーム分散物を希釈することによって投与するために調製される:バイアルから計算された体積のONIVYDEを引く。ONIVYDEは、500mLの5%デキストロース注射液、USP、または0.9%の塩化ナトリウム注射液、USPに希釈され、穏やかに反転させることによって希釈溶液を混合し、光から希釈溶液を保護し、室温で保管した時には調製の4時間以内、または冷蔵条件[2℃〜8℃(36°F〜46°F)]下で保管した時には調製の24時間以内に希釈溶液を投与する。
実施例10:イリノテカンおよびSN−38を腫瘍に送達するNal−IRIの能力を、患者由来異種移植(PDX)モデル(CRC、SCLC、および膵臓)と比較してSCLC細胞株由来異種移植(CDX)モデル(NCI−H1048、DMS−114、H841)において評価した。異種移植腫瘍を持つマウスにイリノテカンリポソーム注射剤を静脈内投与した。投与の24時間後、マウスを屠殺し、腫瘍を回収した。腫瘍中のイリノテカンおよびSN−38を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定した。腫瘍重量あたりの注射した用量にデータを正規化した。図7Aは、腫瘍のSN−38レベルの増加は、SCLCマウス異種移植モデル(H841、H1048、およびDMS−53)における投与の24時間後の腫瘍CPT−11による評価で、腫瘍沈積の増加に関連したことを示す。図7Bは、CRC、SCLC、および膵臓のPDX腫瘍におけるカルボキシルエステラーゼ(CES)の活性を示し、これは、SCLCのPDX腫瘍が、イリノテカンが活性のその他の適応症と同等のCES活性を有することを示す。SN−38での治療は、SCLC細胞株(DMS114、NCI−H1048)において90%を超えて細胞生存度を減少させた。図7C(NCI−H1048細胞について)に示すように、有効な細胞増殖阻害が1〜10nMの間で観察され、88時間まで経時的に曝露時間を増加させることにより細胞の殺傷が増加した。細胞殺傷が起こり始めるSN−38の濃度範囲は、時間依存的なSN−38増殖阻害曲線(破線内の面積で示される)に重ね合わせた、イリノテカンリポソーム注射剤の投与の72時間後に様々な固形腫瘍を有する患者から採取した腫瘍生検で測定されたSN−38の量(範囲:3〜163nM;Ramanathanら、Eur. J. Cancer、2014年11月;50巻:87頁)に合致する。DMS−114細胞において類似の効果が見られた。細胞株におけるSN−38の細胞増殖阻害動態をIncuCyte(登録商標)ZOOM Systemを使用して決定した。図7Dは細胞の感受性を示すグラフであり、Topo1阻害剤の細胞毒性は曝露と共に増加する。図7Eは、トポテカン投与が毒性によって著しく制限され、したがってOnivyde媒介性の長期のSN−38曝露と比べてtopo1の持続的阻害は制限されることを示すチャートである。
(実施例11:小細胞肺がんを有する患者におけるイリノテカンリポソーム注射剤(nal−IRI、MM−398)の評価に対する前臨床での支持)
単剤療法としてのnal−IRIの抗腫瘍活性をDMS−53およびNCI−H1048異種移植モデルにおいて評価した。NOD−SCID マウスの右の脇腹に細胞を皮下移植し、腫瘍が概ね280mmに達した時に治療を開始した。Nal−IRIを16mg/kgの塩で1週毎に投薬し、これは90mg/mの遊離塩基での2週毎の提案される臨床用量に相当する。トポテカンを7日毎に1〜2日目に0.83mg/kg/週で投薬し、これは1.5mg/mの臨床的な用量強度(21日毎に1〜5日目)に近似する。以前に確立された高速液体クロマトグラフィー法を使用して、nal−IRIおよび非リポソームのイリノテカンの腫瘍代謝物レベルを注射の24時間後に測定した。DMS−53における単剤療法治療の結果を図8Aに示し、NCI−H1048における結果を図8Bに示す。図8Aおよび図8Bにおける垂直方向の点線は投薬の日を示し、奏効率は、ベースラインからの腫瘍体積変化に基づいて決定する:CR:腫瘍体積の変化(TV)<−95%;PR:−95%≦TVの変化<−30%;SD:−30%≦TVの変化<30%;PD:TVの変化≧30%。腫瘍増殖動態および全生存に基づいて、Nal−IRIはトポテカンより有意に大きい抗腫瘍活性を示した。さらには、トポテカンで治療した7匹のマウスのうちの0匹であったことと比べて、nal−IRIで治療したNCI−H1048モデルの7匹のマウス中の7匹が、4サイクルの治療後に完全な腫瘍退縮を経験し、最後の用量後に少なくとも50日間維持した。
SCLCモデルにおけるカルボキシルエステラーゼ活性およびSN−38に対する感受性は、nal−IRIまたはイリノテカンHClが臨床的に効能があると証明されている適応症(例えば、膵臓がん、結腸直腸がん)の場合と同等であった。Nal−IRIはSCLC腫瘍において腫瘍にイリノテカンをその他の腫瘍種と類似するかまたはより大きい程度で送達することが分かった。nal−IRI(16mg/kgの塩)の腫瘍イリノテカンおよびSN−38のレベルは、非リポソームのイリノテカン(30mg/kgの塩)よりもそれぞれ12〜57倍および5〜20倍高かった。制限された腫瘍増殖の制御を有するトポテカンと比べて、Nal−IRIは、臨床的に妥当な用量レベルでSCLCの両方の異種移植モデルにおいて抗腫瘍活性を実証し、4サイクルの治療後に完全または部分的な奏効を生じさせた。
SCLCのH841ラット同所異種移植モデルにおけるMM−398(Onivyde)の抗腫瘍活性を図8Cに示す。図8Cは、対照、Onivyde(30または50mg/kgの塩)、イリノテカン(25mg/kg)、またはトポテカン(4mg/kg)で治療されたラットの生存パーセントを接種後の日数にわたり示したグラフである。30および50mg/kgの両方においてOnivydeで治療されたラットは、対照、イリノテカン、またはトポテカンで治療されたラットよりも長い生存時間を示した。MM−398は複数のSCLC異種移植モデルにおいて抗腫瘍活性を有する。臨床的に妥当な用量(16mg/kg/週のMM−398、0.8mg/kg/週のトポテカン)において、MM−398はトポテカンよりも大きい抗腫瘍活性および長期生存を有していた。
これらの研究は、SCLC前臨床モデルにおいて臨床的に妥当な用量でnal−IRIはトポテカンよりも活性であり、したがって以前の白金ベースの療法にある間に進行したSCLC患者において、nal−IRI 対 トポテカンの提案された無作為化3相治験を支持する。
(実施例12)
SCLC腫瘍を持つ異種移植モデルDMS−53およびNCI−H1048においてnal−IRIの腫瘍代謝物レベルを非リポソームのイリノテカンと比較した(図9Aおよび図9B)。身体−表面積投薬に基づいておよび体重に換算して、マウスにおけるnal−IRIおよび非リポソームのイリノテカンHClの臨床的に妥当な用量はそれぞれ概ね16mg/kg(塩)および30mg/kg(塩)である。16mg/kgの塩(1週毎)で投薬されるNal−IRIは、2週毎の90mg/mの遊離塩基の提案される臨床的な用量に相当する。1週毎に30mg/kgで投薬されるイリノテカンHClは、3週毎の300mg/mの臨床的な用量強度に近似し、これは第二選択のSCLC患者においてトポテカン(現在の標準治療)と類似の効能を生じさせた(Zhao ML、Bi Q、Ren HX、Tian Q、Bao ML、Clinical observation of irinotecan or topotecan as second−line chemotherapy on treating 43 patients with small−cell lung cancer。Chin Oncol. 2011年;21巻:156〜158頁)。
高速液体クロマトグラフィー法を使用して、CPT−11(図9A)および活性代謝物SN−38(図9B)の腫瘍レベルを(尾静脈を介した静脈内)注射の24時間後に測定した。両方のSCLCモデルにおいて、nal−IRIは非リポソームのイリノテカンHClよりも大きい程度で腫瘍にイリノテカンを送達した。nal−IRI(16mg/kgの塩)の腫瘍CPT−11およびSN−38レベルは、非リポソームのイリノテカン(30mg/kgの塩)よりそれぞれ12〜57倍および5〜20倍高かった。nal−IRIによって送達された増加した腫瘍CPT−11およびSN−38は、腫瘍におけるリポソームイリノテカンの局所的活性化に加えて、リポソームによるカプセル化の結果としての延長した循環に帰せられる(PMID 25273092:Preclinical activity of nanoliposomal irinotecan is governed by tumor deposition and intratumor prodrug conversion. Kalra AV1、Kim J1、Klinz SG1、Paz N1、Cain J1、Drummond DC1、Nielsen UB1、Fitzgerald JB)。
(実施例13:in vivoでのイリノテカンおよびSN−38のイリノテカンリポソーム注射剤媒介性の腫瘍送達)
イリノテカンおよびSN−38を腫瘍に送達するMM−398の能力を、SCLC細胞株由来異種移植(CDX)モデル(NCI−H1048、DMS−114、H841)においてその他の腫瘍種のCDXおよび患者由来異種移植(PDX)モデルと比較して評価した。異種移植腫瘍を持つマウスにイリノテカンリポソーム注射剤を静脈内投与した。投与の24時間後、マウスを屠殺し、腫瘍を回収した。腫瘍中のイリノテカンおよびSN−38を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定した。腫瘍重量あたりの注射した用量にデータを正規化した。図19に示すように、SCLC細胞株に由来する腫瘍は、イリノテカン含有量による評価で、その他の腫瘍種と比べて類似のまたはより高いレベルのイリノテカンリポソーム注射剤の沈積を有する。さらには、SN−38レベルの解析は、イリノテカン送達の増加はSN−38レベルの増加に関連したことを示す。これらの所見は、リポソーム沈積の提案される機序および腫瘍内でのSN−38へのイリノテカンの局所的転換に合致する。
(実施例14:第二選択のSCLCの前臨床モデルにおけるイリノテカンリポソーム注射剤、非リポソームのイリノテカン、およびトポテカンの抗腫瘍活性)
Nal−IRIは、非リポソームのイリノテカンと比べて延長した循環のために設計されており、かつ腫瘍への増進した薬物送達のために漏出性の腫瘍血管系を活用するように設計されている。腫瘍沈積後にnal−IRIは食細胞に取り込まれ、その後、イリノテカンを放出し、腫瘍中でその活性代謝物SN−38に転換される。SN−38送達の延長によるトポイソメラーゼ1(TOP1)の持続的な阻害は、従来のTOP1阻害剤と比べて優れた抗腫瘍活性を可能とすると仮定される。TOP1阻害剤であるトポテカンは現在、小細胞肺がん(SCLC)の第二選択の治療のための標準治療である。
以下に記載するように、SCLCにおける第一選択レジメンであるカルボプラチン+エトポシドでNCI−H1048 SCLC腫瘍を持つマウスを治療した。カルボプラチン+エトポシドによる増殖制御を腫瘍が免れたら、カルボプラチン+エトポシドでの治療の継続、またはイリノテカンリポソーム注射剤、非リポソームのイリノテカン、もしくはトポテカンでの第二選択の治療への切換えのいずれかにマウスを無作為化した。
NCIH1048 SCLC異種移植腫瘍を有するNOD/SCIDマウスを30mg/kgのカルボプラチンと25mg/kgのエトポシドとの組み合わせで毎週治療した。腫瘍が概ね1200mmに達した時に、マウスを無作為化して、トポテカン(1.66mg/kg/週を1日目および2日目に等しい画分でIP投与)、非リポソームのイリノテカン(33mg/kg/週を1日目にIV投与)、イリノテカンリポソーム注射剤(16mg/kg/週を1日目にIV投与)での治療を毎週与えるか、カルボプラチン+エトポシドでの治療を継続するか、またはビヒクル対照を与えた。垂直方向の点線は毎週の投薬の開始を示す。イリノテカンリポソーム注射剤の用量はイリノテカンHClに基づいて示す。腫瘍がカルボプラチン+エトポシドでの第一選択の治療で進行した後、イリノテカンリポソーム注射剤は、トポテカンおよびイリノテカン(トポテカンおよびイリノテカンについてそれぞれ70日目にp=0.0002および84日目にp=0.0002)と比べて有意な抗腫瘍活性を示した。カルボプラチン+エトポシドで治療されたSCLC腫瘍においてNal−IRIは活性のままであり、完全奏効に向かう傾向があり、非リポソームのイリノテカンでの治療は活性であるが、3回目のサイクルの後に一部の腫瘍は再増殖の傾向があり、トポテカン(2×臨床的に妥当な用量)は1〜2サイクルの後に活性ではあるが3回目の用量後に迅速に進行するようであり、カルボプラチン+エトポシドは5回目のサイクルまで忍容できない。図21Aに示すように、イリノテカンリポソーム注射剤は第二選択の状況において抗腫瘍活性を有し、さらには非リポソームのイリノテカンおよびトポテカンの両方よりも有意に大きい抗腫瘍活性を有していた。図21Bは、各治療におけるマウスの生存グラフである。
(実施例15:イリノテカンリポソーム注射剤はin vivoで非リポソームのイリノテカンHClおよびトポテカンと比べて改善した抗腫瘍活性を有する)
イリノテカンリポソーム注射剤、非リポソームのイリノテカン、およびトポテカンの活性を2つのCDXモデル(DMS−114およびNCI−H1048)において、およびイリノテカンリポソーム注射剤およびトポテカンの活性を1つのCDXモデル(DMS−53)において臨床的に妥当な用量で直接的に比較した。NCIガイドラインによる標準的な表面積対重量比の変換を使用することによって臨床的に妥当な用量を計算した。
図23は、イリノテカンリポソーム注射剤、トポテカン、および非リポソームのイリノテカン(3つのうちの2つ)で毎週治療されたSCLC異種移植腫瘍を持つマウスの腫瘍増殖動態を示す。DMS−114およびNCI−H1048モデルにおいて、イリノテカンリポソーム注射剤は、非リポソームのイリノテカンおよびトポテカンの両方よりも有意に大きい抗腫瘍活性を示した。DMS−53モデルにおいて、イリノテカンリポソーム注射剤は、トポテカンよりも有意に大きい抗腫瘍活性を示した。さらには、イリノテカンリポソーム注射剤で治療されたNCI−H1048モデルにおいて治療された10匹のマウスのうちの10匹が、トポテカンで治療された10匹のマウスのうち0匹であったのと比べて、腫瘍の完全な退縮を経験した。
図23は、皮下の(図23A)DMS−53、(図23B)DMS−114、または(図23C)NCI−H1048を有するNOD/SCIDマウスから得られたデータを示す。SCLC異種移植腫瘍をIVのnal−IRI(16mg/kg;三角)、IVのイリノテカン(33mg/kg;菱形)、IPのトポテカン(0.83mg/kg/週 1〜2日目;四角)またはビヒクル対照(丸)で治療した。DMS−114およびNCI−H1048について全ての群はn=10であり、DMS−53についてn=4、5、そして対照、トポテカン、およびnal−IRIについてそれぞれ5である。垂直方向の点線は週毎の投薬の開始を示し、エラーバーは平均の標準誤差を示す。イリノテカンリポソーム注射剤の用量はイリノテカンHClに基づいて示している。治療後、イリノテカンリポソーム注射剤は、トポテカン(DMS−114について52日目にp<0.0001およびNCI−H1048について59日目にp<0.0001;ノンパラメトリックt検定)およびイリノテカン(DMS−114について65日目にp<0.0001およびNCI−H1048について84日目にp<0.0001;ノンパラメトリックt検定)と比べて有意な抗腫瘍活性を示した。
CDXモデルに加えて、皮下の患者由来異種移植片を使用してPDXモデルも調べた。
皮下に患者由来異種移植片(図23D)LUN−182、(図23E)LUN−081、および(図24F)LUN−164を持つBalb/cヌードマウスをIVのnal−IRI(16mg/kg;三角)、IVのイリノテカン(33mg/kg;菱形)、IPのトポテカン(0.83mg/kg/週 1〜2日目;四角)、またはビヒクル対照(丸)で治療した。全てのPDXモデルについて全ての群はn=5である。垂直方向の点線は週毎の投薬の開始を示し、エラーバーは平均の標準誤差を示す。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
小細胞肺がん(SCLC)のための第一選択の白金ベースの療法にある間またはその後の疾患進行後にSCLCを有すると診断されたヒト患者を治療する方法であって、2週毎に1回、前記ヒト患者に抗新生物療法を投与することを含み、前記抗新生物療法が、90mg/m(遊離塩基)の用量のMM−398リポソームイリノテカンからなる、方法。
(項目2)
前記白金ベースの療法が、SCLCを有すると診断された前記ヒト患者を治療するためのシスプラチンまたはカルボプラチンの、以前の中止された投与を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記ヒト患者が、前記MM−398リポソームイリノテカンの前記投与の前に、造血増殖因子の使用を伴わずに1,500細胞/マイクロリットルより多い血液ANCを有する、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記ヒト患者が、前記MM−398リポソームイリノテカンの前記投与の前に100,000細胞/マイクロリットルより多い血液血小板数を有する、項目1から3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記ヒト患者が、前記MM−398リポソームイリノテカンの前記投与の前に9g/dLより多い血液ヘモグロビンを有する、項目1から3のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記ヒト患者が、前記MM−398リポソームイリノテカンの前記投与の前に、1.5×ULN未満のまたは1.5×ULNに等しい血清クレアチニンおよび40mL/分より大きいまたは40mL/分に等しいクレアチニンクリアランスを有する、項目1から3のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
前記ヒト患者が、前記MM−398リポソームイリノテカンの投与の前にトポイソメラーゼI阻害剤を与えられていない、項目1から7のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記ヒト患者が、前記MM−398リポソームイリノテカンの投与の前に1つより多くの白金ベースの療法を与えられていない、項目1から8のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記抗新生物療法が、
(a)分散物1mLあたり4.3mgのイリノテカン遊離塩基を含有するMM−398リポソームイリノテカンの分散物を5%のデキストロース注射液(D5W)または0.9%の塩化ナトリウム注射液と合わせて、500mLの最終体積および90mg/m2(遊離塩基)の前記MM−398リポソームイリノテカン(±5%)を有する薬学的に許容される注射用組成物を得ることによって、前記注射用組成物を調製するステップ、ならびに
(b)前記MM−398イリノテカンリポソームを含有するステップ(a)の前記注射用組成物を90分の注入で前記患者に投与するステップ
を含む、項目1から9のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記抗新生物療法の各投与の前に前記ヒト患者にデキサメタゾンおよび5−HT3遮断薬を投与すること、および任意選択で前記ヒト患者に制吐剤をさらに投与することをさらに含む、項目1から9のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
UTG1A128対立遺伝子についてホモ接合でなく、かつ小細胞肺がん(SCLC)のための第一選択の白金ベースの療法にある間またはその後の疾患進行後にSCLCを有すると診断されたヒト患者を治療する方法であって、6週間のサイクルにおいて2週毎に1回、前記ヒト患者に抗新生物療法を投与することを含み、前記抗新生物療法が、90mg/m(遊離塩基)の用量のMM−398リポソームイリノテカンからなる、方法。
(項目12)
前記白金ベースの療法が、SCLCを有すると診断された前記ヒト患者を治療するためのシスプラチンまたはカルボプラチンの、以前の中止された投与を含む、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記ヒト患者が、前記MM−398リポソームイリノテカンの前記投与の前に、以下:
(a)造血増殖因子の使用を伴わずに1,500細胞/マイクロリットルより多い血液ANC、
(b)100,000細胞/マイクロリットルより多い血液血小板数、
(c)9g/dLより多い血液ヘモグロビン、および
(d)1.5×ULN未満のまたは1.5×ULNに等しい血清クレアチニンおよび40mL/分より大きいまたは40mL/分に等しいクレアチニンクリアランス
のうちの1つまたは複数を有する、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記ヒト患者が、前記MM−398リポソームイリノテカンの投与の前にトポイソメラーゼI阻害剤を与えられておらず、かつ前記ヒト患者が、前記MM−398リポソームイリノテカンの投与の前に1つより多くの白金ベースの療法を与えられていない、項目13に記載の方法。
(項目15)
少なくとも3回の6週間のサイクルの間、前記抗新生物療法を投与することを含む、項目13に記載の方法。
(項目16)
前記抗新生物療法が、
(a)分散物1mLあたり4.3mgのイリノテカン遊離塩基を含有するMM−398リポソームイリノテカンの分散物を5%のデキストロース注射液(D5W)または0.9%の塩化ナトリウム注射液と合わせて、500mLの最終体積および90mg/m2(遊離塩基)の前記MM−398リポソームイリノテカン(±5%)を有する薬学的に許容される注射用組成物を得ることによって、前記注射用組成物を調製するステップ、ならびに
(b)前記MM−398イリノテカンリポソームを含有するステップ(a)の前記注射用組成物を90分の注入で前記患者に投与するステップ
を含む、項目11に記載の方法。
(項目17)
前記抗新生物療法の各投与の前に前記ヒト患者にデキサメタゾンおよび5−HT3遮断薬を投与すること、および任意選択で前記ヒト患者に制吐剤をさらに投与することをさらに含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
シスプラチンまたはカルボプラチンからなる群より選択される小細胞肺がん(SCLC)のための第一選択の白金ベースの療法にある間またはその後の疾患進行後にSCLCを有すると診断されたヒト患者を治療する方法であって、合計で少なくとも3回の6週間のサイクルにわたって2週毎に1回、前記ヒト患者に抗新生物療法を投与することを含み、前記抗新生物療法が、90mg/m(遊離塩基)の用量のMM−398リポソームイリノテカンからなり、
前記ヒト患者が、UTG1A128対立遺伝子についてホモ接合でなく、かつMM−398リポソームイリノテカンの各抗新生物療法の前記投与の前に、以下:
(a)造血増殖因子の使用を伴わずに1,500細胞/マイクロリットルより多い血液ANC、
(b)100,000細胞/マイクロリットルより多い血液血小板数、
(c)9g/dLより多い血液ヘモグロビン、および
(d)1.5×ULN未満のまたは1.5×ULNに等しい血清クレアチニンおよび40mL/分より大きいまたは40mL/分に等しいクレアチニンクリアランス
を有する、方法。
(項目19)
(a)前記ヒト患者が、前記MM−398リポソームイリノテカンの投与の前にトポイソメラーゼI阻害剤を与えられておらず、かつ前記MM−398リポソームイリノテカンの投与の前に1つより多くの白金ベースの療法を与えられておらず、かつ
(b)前記抗新生物療法の各投与の前に前記ヒト患者にデキサメタゾンおよび5−HT3遮断薬を投与すること、および任意選択で前記ヒト患者に制吐剤をさらに投与することをさらに含む、
項目18に記載の方法。
(項目20)
前記抗新生物療法が、
(a)分散物1mLあたり4.3mgのイリノテカン遊離塩基を含有するMM−398リポソームイリノテカンの分散物を5%のデキストロース注射液(D5W)または0.9%の塩化ナトリウム注射液と合わせて、500mLの最終体積および90mg/m2(遊離塩基)の前記MM−398リポソームイリノテカン(±5%)を有する薬学的に許容される注射用組成物を得ることによって、前記注射用組成物を調製するステップ、ならびに
(b)前記MM−398イリノテカンリポソームを含有するステップ(a)の前記注射用組成物を90分の注入で前記患者に投与するステップ
を含む、項目19に記載の方法。

Claims (1)

  1. 明細書に記載の発明。
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