JP2020116688A - オネジ部材の製造方法 - Google Patents

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健二 磯部
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Abstract

【課題】スレッドワーリング加工のみでは加工形成できない高精度の特殊ネジを有するオネジ部材を、スレッドワーリング加工によるメリットを生かすため、それを活用しつつ、簡易、効率的に得る。【解決手段】旋盤を用いるスレッドワーリング加工にて、軸部材に仕上げ代105を残した未完のネジ103を加工形成する粗加工工程と、この仕上げ代105を、そのスレッドワーリング加工後に、該旋盤にてチェーシング加工によって切削して仕上げる仕上げ加工工程とを含む製造方法とした。スレッドワーリング加工のメリットを生かしながら、1つの同じ旋盤で、チェーシング加工による仕上を組み合わせたため、転造機等を要することもなく、工程の複雑化を招かず、精度の高いネジのオネジ部材を簡易、効率的に得られる。【選択図】図2

Description

本発明は、軸部材(丸棒)の外周面にネジを形成してオネジ部材を製造する方法に関し、詳しくは、ノコ歯形状や台形のように、通常の三角のネジ山ではない特殊なネジ山を有するオネジ部材を高精度に、効率的に加工、形成するのに好適なオネジ部材の製造方法に関する。
軸部材(丸棒)の外周面にネジ(オネジ)を形成する加工方法には、切削を伴う加工方法の他、切削を伴わない転造などの加工方法など、種々のものがある。切削を伴う加工方法の1つに旋盤を用いたスレッドワーリング加工方法がある(特許文献1)。この加工方法は、図4、図5に示したように、軸部材(素材)100の先端側において、その軸部材100の外周の1か所(図4の軸部材(素材)100の上端側の円軌道(刃回り径)Hkの1か所)で、ネジ山分の切り込みとなるよう、ワーリングカッタ200の内側に取付けられた1又は複数の切れ刃(切削インサート10の切れ刃21)を、その軸部材100の回りに、異なる回転中心で高速回転(例えば、2000〜4000rpm)させる。一方、この加工対象(ワーク)である軸部材100を、(切削インサート)10と同方向に低速回転(例えば、5〜10rpm)させ、その軸部材100の1回転で、形成するネジ(1条ネジ)の1リード(ピッチ)分を軸線方向に送る制御をして、軸部材100の外周の一か所において、回転する切れ刃21にてネジ溝部分を断続切削して、その軸部材の外周に、その先端(図5左端)から後端(図5右端)に向けて、ネジを螺旋状に連なるよう、加工、形成する、という加工方法である。
他の切削によるネジ加工方法の一つであるチェーシング加工(バイトによるネジ切り加工)では、複数回の横送り(切れ刃の相対的な横送り)が必要となるのに対し、同様、旋盤で行う、このスレッドワーリング加工方法によれば、軸部材を相対的にその軸方向に1回の送り(パス)をすることで、その先端から後方に向かう所定範囲にネジを切ることができるため、加工時間の短縮が図られる等のメリットがある。なお、この加工において使用されるワーリングカッタ200は、図5に示したように、ネジのリード角に対応する方向に断続切削が行われるよう、そのリード角分の傾斜が付けられた軸線Gk回りに回転するよう配置される。
このようなスレッドワーリング加工では、上記もしたが、1回の送り(1パス)で、ネジを軸線方向の所定範囲に形成できるため、1つの切削インサート(又はバイト)の切れ刃によって複数回の切り込み、及び、横送りを伴うことになるチェーシング加工(バイトによるネジ切り加工)に比べ、加工サイクルの短時間化を図ることができるし、刃物寿命の延長も図られる。このため、スレッドワーリング加工は、ネジのピッチが大きく、径に比べてネジ山が高く、ネジ長の長いネジの切削加工に好適とされる。特に、チタンやチタン合金などの難削材からなる医療用のボーンスクリュー(骨の固定、接続に使用されるオネジ部材)のように、それが連続切削に不向きなものの加工にも適するなどのメリットがあることから、近年、広く適用されている。
一方、スレッドワーリング加工では、切れ刃は、素材の外周の一か所で、ネジ山の高さ分の切り込みでの断続切削となることに起因して、そのネジの加工精度、仕上げ面精度は、バイトによるチェーシング加工で、形成されるネジに比べると低くなる。しかも、例えば、形成すべきネジが、前記したようなボーンスクリューであり、特に、ピッチが大きく、径に対してネジ山が高く、しかも、ノコ歯ネジのように、後端向きフランクが急斜面である場合や、角ネジのように圧力角(ネジ山の角度)が小さく、谷底がネジの軸線に平行な円筒形状を呈するようなネジで、その円筒の谷底と、ネジ山のフランクとの隅角に、R無(アールゼロ)の設定とか、R0.1mmといった微小Rの設定がなされるような加工条件(形成したいネジ形状)では、そのネジ加工ができないことがある。それは、1パスでネジ加工をするスレッドワーリング加工では、ネジの谷(山相互間の溝形状)に対応する形状の切れ刃で、そのネジ山の高さ分の切り込みで、切削をすることになるところ、このような隅角に対応するコーナを含む切れ刃で、そのネジ切り加工をする場合には、その切れ刃のコーナを含む部分及び近傍が、その隅角近傍のフランク(ネジ山面)の削り過ぎを招いてしまうためであり、スレッドワーリング加工における特有の課題といえる。
すなわち、オネジ(ネジ山)を軸部材の外周からその軸に直角に投影した時の外観においては、そのネジ山と谷は、図5中の拡大図に示したように、リード角に対応する直線とはならず、緩いS字カーブを呈する。しかも、ネジのリード角は、山の頂上より谷底の方が、径が小さい分、大きい。通常のチェーシング加工でネジ切り加工をする場合は、軸部材の回転と、回転しない切れ刃の横送りにより、切れ刃はネジに対応する螺旋で送られる切削となる。これに対し、スレッドワーリング加工において(図5の拡大図参照)、軸部材の外周からその軸に直角に投影した時の切れ刃21の進行方向は、そのリード角に対応した傾斜で付けられた軸線Gk回りに回転するため、加工すべきネジ山相互間の間を、上記したようなS字カーブではなく、直線で進行することになる上、軸部材には横送りがある。こうしたことから、例えば、ノコ歯形状のネジの加工のために、ネジの谷に対応する形状の切れ刃で、そのネジ山の高さ分の切り込みで、その隅角(隅肉R0)に対応するコーナを有する切れ刃で、スレッドワーリング加工をする場合には、その切れ刃のコーナを含む部分及び近傍が、設計上のネジ山における上記隅角近傍のフランクの削り過ぎを招くことがあるのである。
結果、このようなノコ歯形状のようなネジでは、仮に、これを1パスで加工形成する場合には、その分、ネジの精度の低下を招いてしまう。したがって、スレッドワーリング加工では、例えば、後端向きフランクと谷底との隅角が隅肉R0とか、微小隅肉Rとなるような場合には、そのようなネジを高精度に加工、形成することはできない、ことがある。なお、ノコ歯ネジ以外にも、角ネジや台形ネジ(ウォームネジ)でも、ネジ山(フランク)の高さが大きく、ネジ山の角度(圧力角)が小さく、フランクと谷底との隅肉の小ささとの関係等に基づき、スレッドワーリング加工のみでは、所望とする高精度のネジ加工ができない場合がある。
こうしたことから、従来、スレッドワーリング加工を活用して、上記したようなノコ歯ネジ、或いは、角ネジや台形ネジ(以下、特殊ネジともいう)を高精度に形成するためには、設計上のネジの谷(ネジ山相互間形状)に対応する形状、寸法の切れ刃よりも小さ目の切れ刃で、前加工としてスレッドワーリング加工をして、少なくとも、前記隅角に大きめの隅肉を付与するようにして、ネジ(未完のネジ)を粗削り加工(一次加工)で形成し、その後、その隅肉や、その隅肉を含む谷底及びフランクの表面を転造(バニシング転造加工)で形成、仕上げるということが行われていた。
国際公開第2011/078365号
上記したように、従来、スレッドワーリング加工を活用して特殊ネジを高精度に加工、形成する場合においては、旋盤で、一次加工(前加工)として、スレッドワーリング加工によって、粗削りし、その後、バニシング転造加工のために、バニシング転造機を用い、そのネジを設計上の形状、寸法に転造して仕上げていたため、その加工のための機械、設備として、旋盤に加え転造ダイスを含む転造機が必要であった。しかも、このようなバニシング転造加工を要することにより、従来のネジの加工、形成方法では、加工工程が複雑化するため、特殊ネジを簡易、効率的に製造することができないという課題があった。
このような課題に対しては、最初から転造で、そのネジの形成を行えばよいとも考えられるが、転造では高寸法精度のネジ山の形成はできない。しかも、ネジ山が相対的に高く、そのネジ山の角度(圧力角)も小さいようなノコ歯ネジ等を転造で形成する場合には、その転造ダイスにおけるネジ山形成面もそれらに対応した形状になるため、割れ等の損傷を招き易い。また、素材が中空部を有し、しかも、その外径が小径、或いは薄肉であるようなオネジ部材の製造において、転造は困難である。そして、順次、切り込みを増し、横送りを繰り返すチェーシング加工では、転造におけるような課題はないが、加工時間が長くなり、刃物寿命の低下も早いという課題があるのは上記したとおりである。
本発明は、こうした課題に鑑みてなされたもので、スレッドワーリング加工のみではネジを高精度に加工、形成できない上記したような特殊ネジを有するオネジ部材を、スレッドワーリング加工を活用し、そのメリットを生かしつつ、簡易、効率的に、しかも、高精度に製造することのできる製造方法を提供することをその目的とする。
請求項1に記載の発明は、軸部材の外周面に、旋盤を用いたスレッドワーリング加工によって仕上げ代が付く未完のネジを加工形成する粗加工工程と、該旋盤を用いたチェーシング加工によってこの未完のネジを仕上げる仕上げ加工工程と、を含むことを特徴とする、オネジ部材の製造方法である。
請求項2に記載の発明は、前記チェーシング加工によって仕上げられるネジは、ネジの谷底が円筒面をなすノコ歯ネジであることを特徴とする請求項1に記載のオネジ部材の製造方法である。
請求項3に記載の発明は、前記チェーシング加工によって仕上げられるネジは、ネジの谷底が円筒面をなすノコ歯ネジであり、前記スレッドワーリング加工において付けられる前記仕上げ代が、該ネジ山の後端向きのフランクと該円筒面との隅角に、隅肉として付くよう前記未完のネジを加工形成することを特徴とする請求項1に記載のオネジ部材の製造方法である。
請求項4に記載の発明は、前記仕上げ代が、前記隅肉に加え、前記円筒面、及びネジ山の前記後端向きのフランクにも付くよう前記未完のネジを加工形成することを特徴とする請求項3に記載のオネジ部材の製造方法である。
請求項5に記載の発明は、前記チェーシング加工によって仕上げられるネジは、台形ネジ又は角ネジであり、そのネジの谷底が円筒面をなすものであることを特徴とする請求項1に記載のオネジ部材の製造方法である。
請求項6に記載の発明は、前記チェーシング加工に、さらい刃付き切れ刃を備えるバイトを使用することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のオネジ部材の製造方法である。
本発明は、粗加工(前加工)としてスレッドワーリング加工を活用して未完(未完成)のネジ(仕上げ代付きのネジ)を加工形成し、その後、当該旋盤にて、チェーシング加工を行って未完のネジの仕上げ加工を行うことによるオネジ部材の製造方法である。したがって、ピッチが大きく、径に対してネジ山が高く、しかも、ノコ歯ネジのように、ネジ山の後端向きのフランクが急斜面であったり、ネジ山の角度(圧力角)が小さく、谷底がネジの軸線に平行な円筒形状を呈するようなネジで、その円筒の谷底と、ネジ山の後端向きのフランクとの隅角が、R無(アールゼロ)とか、R0.1mmといった微小Rの設定がされるようなオネジ部材であり、そのようなオネジ部材であるため、1パスのスレッドワーリング加工では、高精度に加工できない場合でも、次のような効果が得られる。すなわち、1パスのスレッドワーリング加工では、チェーシング加工でそのネジを形成する場合に使用するような切れ刃を用いる時には、ネジ山のフランク等に削り過ぎを生じてしまうため、高精度に加工できない場合がある。このような場合でも、本発明では、そのスレッドワーリング加工では、そのような削り過ぎを生じないよう、そのフランク等の所定の箇所に仕上げ代を付くように切削し、その後、チェーシング加工でその仕上げ代を切削する(仕上げる)こととすればよいから、そのような特殊ネジであっても、これを高精度に、しかも、簡易、効率的に製造することができる。
本発明において、スレッドワーリング加工では、削り過ぎとならないよう、適度の仕上げ代が残存する未完のネジを加工形成すればよい。例えば、前記したようなノコ歯ネジを加工形成したい場合は、その後端向きのフランクの削り過ぎが生じないよう、それと谷底(円筒面)との隅角に設計上の隅角よりも大きい隅肉を仕上げ代として付けるようにするか、或いは、それに加えて、後端向きのフランクと谷底(円筒面)にも仕上げ代を付けて未完のネジを加工形成する。そして、後工程のチェーシング加工で、その仕上げ代の仕上げ加工をすればよい。仕上げ代は、スレッドワーリング加工で直接(1パスで)切削してネジを加工形成する場合に、削り過ぎとなる部分に、削り過ぎとならず、仕上げ代が付くように、形成すべきネジ(ネジ山の高さ、形状等)に応じて、設定すればよい。
すなわち、本発明では、ボーンスクリューのような特殊ネジで、その谷底である円筒面と後端向きのフランクとの隅角が、隅肉Rが0か、微小隅肉Rが付けられる設定のため、1パスのスレッドワーリング加工では、所望とする精度のネジを加工形成できないようなものでも、その加工をした旋盤にて、後工程としてチェーシング加工により未完のネジを仕上げるものであるから、所望とするオネジ部材を簡易、効率的に、しかも、高精度に製造することができる。そして、このような本発明では、スレッドワーリング加工を活用しているため、刃物の寿命の延長という同加工によるメリットを生かしつつ、後加工では従来におけるように、バニシング転造機械のような別の加工機械を使用するものでないから、簡易、効率的に高精度のオネジ部材を得ることができる。
なお、本発明において、スレッドワーリング加工では、ネジの削り過ぎとならず、適度の仕上げ代が残る切れ刃を用いて切削し、チェーシング加工では、その仕上げ代、すなわち、仕上げられるべきネジに対応する切削が得られる切れ刃を有するバイトを用いて、その仕上げ加工をすればよい。このチェーシング加工では、加工面に微小段差が発生するのを防ぐため、少なくとも、ネジ山の頂を除く全体(谷底及びその先後の両フランク)の表面を仕上げる(切削する)のが好ましい。そして、本発明において、チェーシング加工によって仕上げられるネジは、ノコ歯ネジに限られず、台形ネジ(ウォームネジ)又は角ネジのように、ネジの谷底が円筒面をなすものに広く適用できる。また、ネジ山の頂に角(かど)がある場合のバリの発生防止のため、チェーシング加工においては、その角をさらえることのできる、さらい刃付きの切れ刃を備えるバイトで仕上げ加工をするのが好ましい。
発明の実施の形態例で加工、形成するオネジ部材を説明する、その先端寄り部分の半断面図。 図1のオネジ部材を製造する前工程(スレッドワーリング工程)を説明する図であって、Aは、スレッドワーリング加工により、仕上げ代を残存させて加工形成した未完のネジの外観図、Bは、その中心軸線を通る断面図。 図2の未完のネジの仕上げ代を、チェーシング加工により、切削して仕上げる工程を説明する図であって、Aは、その仕上げ工程後の外観図、Bは、その中心軸線を通る断面図と、チェーシング加工における切れ刃の位置関係を示す図。 スレッドワーリング加工方法において断続切削をする切れ刃の回転軌跡を説明する、軸部材が送られて進む方を手前から見た模式図、及びその要部の拡大図。 スレッドワーリング加工方法において、ワーリングカッタをリード角に対応して傾斜させている状態を説明する図、及び、軸部材の外周からその軸に直角に投影した時において、切れ刃が、リード角に対応した傾斜で、加工すべきネジ山相互間の間を直線で進行する状態の説明図。
本発明のオネジ部材の製造方法を具体化した実施の形態例について、図1−図5を参照しながら説明する。ただし、本例では、図1に示したような、ノコ歯からなるオネジ部材(チタン製の1条ネジのボーンスクリュー)110を製造する場合とする。そして、そのネジを、図示しないCNC旋盤(コンピュータ数値制御旋盤)を用い、図2に示したように、スレッドワーリング加工(粗加工)をして未完のネジ(ネジ山)103を加工形成し、その加工において、残された仕上げ代105を、チェーシング加工で図3に示したように切削して(削り落として)仕上げるものとする。
本例において、チェーシング加工で仕上げるネジの寸法は次のようである(図1参照)。ネジ外径Do:8.5mm、谷径(ネジ底径)Di:5.5mm、ネジ山高さH:1.5mm、ピッチP:5.0mm(基準リード角:10.6度)、底幅(先後のフランクFa,Fb間の円筒の谷底の幅寸法)Wb:1.6mm、山の頂部の幅Wt:0.5mm。後端向きフランクFbは、ネジの軸に垂直で、後端向きフランクFbと谷底Boとの隅角Scは、隅肉無(隅肉R0(ゼロ))とする。そして、このようなネジは、スレッドワーリング加工のみにて、加工形成しようとする場合には、後端向きフランクFbの谷底Bo寄り部位を削り過ぎとなるため、それを高精度に加工形成することはできないものである。
本例では、外径:8.5mmの丸棒からなる軸部材を出発素材(図示せず)として、従来と同様の手法(図4、図5参照)で、スレッドワーリング加工をして、図2に示したような未完のネジ103を粗加工により、形成する。ただし、この加工においては、そのネジの谷底Boと後端向きフランクFbとの隅角Scに対応する部位に、仕上げ代105として、隅肉R:R1.5mmが残されるようコーナが付けられた切れ刃を有する切削インサートを用いる。ワーリングカッタは、このインサートを、適数個、固定したもので、その刃回り径Hkは、φ25(mm)として、スレッドワーリング加工にてネジ切り加工を開始し、図2に示したような、未完のネジ103を加工形成する。
すなわち、このスレッドワーリング加工に際しては、その前に、素材の先端を所定のテーパに旋削で仕上げ、次いで、従来と同様の手法(図4、図5参照)で、ワーリングカッタ200を所定回転数で高速回転させながら、旋盤のチャック(主軸)210に固定された上記素材(軸部材100)を、そのチャック210を所定の回転数で同方向に低速回転させ、その1回転で、軸部材100を1ピッチ分、チャックから送り出しながら、前加工として、その軸部材100の先端から後方に向かう所定長さ範囲にわたり、ネジ切り加工(仕上げ代105の残存する未完のネジを加工形成)する。
なお、この仕上げ代105付きの未完のネジ103の加工形成(粗加工工程)後は、チャック(主軸)210の回転を止めて、カッタ200を半径方向に移動して切れ刃の切り込みを外し、加工された未完のネジの部分(ワーク)をチャック210内に引き戻すと共に、カッタ210を移動して、次の仕上げ工程(チェーシング加工)にかかる。
チェーシング加工においては、仕上げられるべきオネジ部材110の後端向きフランクFb、ネジの谷底Bo、そして先端向きフランクFaに倣う、図3に示したような切れ刃31(隅角Scに対応するコーナR0)を備える切削インサート30をクランプしたバイト(図示しない)を用い、そのワークを所定回転数で回転させながら、チャック210から所定速度で所定量送り出(横送り)し、その仕上げ代105、すなわち、図2の未完のネジに103おけるネジ山の隅肉:R1.5mmの部分を切削する。このチェーシング加工におけるその切れ刃31の位置決め、主軸の回転数、横送り速度等は、コンピュータ制御によって、未完のネジ103を仕上げるようにすればよい。本例では、スレッドワーリング加工に続いてチェーシング加工を行うことになり、それにより、設計上のノコ歯ネジが加工、形成される。そして、その加工形成後は、仕上げられたネジの部分の後方の所定箇所において、軸部材を切断等することで、所望とする寸法精度を有するオネジ部材110が得られる。
本例では、上記した形状の切れ刃31を有するバイトを用いたが、このチェーシング加工による未完のネジの仕上代105の切削に使用する切れ刃は、谷底Boと後端向きフランクFbとの隅角につけられた仕上げ代(隅肉:R1.5mm)105の部分を削り取って、R0とすることができる切れ刃(切削インサート)を備えるものを使用すればよく、したがって、その隅角につけられた仕上げ代(隅肉:R1.5mm)105の部分のみを削り取るよう形成された切れ刃を用いることもできる。ただし、本例で使用した上記した形状の切れ刃31を用いる場合には、要求される精度にもよるが、仕上げ代として、この隅肉以外のネジの加工面(例えば、谷底と先後のフランク)にも極微量の仕上げ代を付けておき、そのチェーシング加工(仕上げ加工)において同時に仕上げるのが、加工面における段差の発生防止のために好ましい。すなわち、チェーシング加工において切削すべき(削り取るべき)仕上げ代は、上記したように、スレッドワーリング加工で直接(1パスで)切削してネジを加工形成する場合に、削り過ぎとなる部分に、削り過ぎとならず、仕上げ代が付くように、形成すべきネジ(ネジ山の高さ、形状等)に応じて、設定すればよいが、スレッドワーリング加工で直接(1パスで)切削してネジを加工形成する場合において、削り過ぎとならない部分にも、付与しておいてもよい。そして、このような切れ刃は、ネジ山の頂部の角におけるバリの発生防止のため、さらい刃付きのものとするのがよい。なお、チェーシング加工(横送り)は、加工時間の短縮の点からは1回とするのが好ましいが、仕上げ代の大きさや、加工精度等に応じて、複数回としてもよい。
このように本例では、特殊ネジのオネジ部材であっても、簡易、効率的に、しかも、高精度に製造することができる。すなわち、スレッドワーリング加工後にバニシング転造で仕上げる場合には、機械や工程が複雑化する。また、最初からチェーシング加工で仕上げる場合には、上記したような特殊ネジのように、ピッチが大きく、ネジ山が高いものでは、その加工時間(横送り回数)が増大することや、切れ刃の寿命低下を招くといったデメリットがある。これに対し、スレッドワーリング加工に、チェーシング加工を組み合わせて仕上げるものとした本例では、同一機械(CNC旋盤)において、高精度の特殊ネジを加工形成できるため、そのようなデメリットもなく、高精度の特殊ネジのオネジ部材を簡易、効率的に得ることができる。
上記例では、谷底Boと後端向きフランクFbとの隅角Scが、隅肉R0(ゼロ)の場合で説明したが、例えば、隅肉Rが、0.1mmの設計であれば、チェーシング加工に使用する切れ刃を、そのR0.1mmに対応するコーナを有するものを使用すればよい。そして、使用する切れ刃を含め、加工条件は、製造すべきオネジ部材(被削材)の材質、ネジ山の高さ、ピッチ、リード角、ネジ山形状等に応じ、適宜に設定して具体化すればよい。また、上記例では、ノコ歯ネジの加工形成において説明したが、本発明は、角ネジや台形ネジ(ウォームネジ)など、1回のスレッドワーリング加工では、谷底とフランクとの隅角等の設定次第で、フランクを削り過ぎとなるような各種のネジ形状のオネジ部材の製造に広く適用できる。
上記例では1条ネジのオネジ部材を製造する場合で説明したが、本発明は、その条数に限らず、その要旨を逸脱しない範囲において適宜のものとして具体化できる。また、右ネジ、左ネジにかかわらず本発明が適用できることも明らかである。そして、本発明によれば、ネジの外径にくらべ、相対的にネジ山が高く、ピッチが大きく、谷の幅が大きいとしても、粗加工工程にスレッドワーリング加工を活用したことにより、切削の効率化が図られることに加え、その加工のみでは、精度の低下を招くようなネジであっても、その加工にチェーシング加工を組み合わせたことで、ネジ形状に係らず、広く高精度のオネジ部材の製造にも適用でき、その製造における簡易、効率化が期待される。
100 軸部材
103 未完のネジ
105 仕上げ代(隅肉)
110 オネジ部材
Bo 仕上げられるネジの谷底(円筒面)
Fb ネジ山の後端向きのフランク
Sc ネジ山の後端向きのフランクと円筒面との隅角

Claims (6)

  1. 軸部材の外周面に、旋盤を用いたスレッドワーリング加工によって仕上げ代が付く未完のネジを加工形成する粗加工工程と、該旋盤を用いたチェーシング加工によってこの未完のネジを仕上げる仕上げ加工工程と、を含むことを特徴とする、オネジ部材の製造方法。
  2. 前記チェーシング加工によって仕上げられるネジは、ネジの谷底が円筒面をなすノコ歯ネジであることを特徴とする請求項1に記載のオネジ部材の製造方法。
  3. 前記チェーシング加工によって仕上げられるネジは、ネジの谷底が円筒面をなすノコ歯ネジであり、前記スレッドワーリング加工において付けられる前記仕上げ代が、該ネジ山の後端向きのフランクと該円筒面との隅角に、隅肉として付くよう前記未完のネジを加工形成することを特徴とする請求項1に記載のオネジ部材の製造方法。
  4. 前記仕上げ代が、前記隅肉に加え、前記円筒面、及びネジ山の前記後端向きのフランクにも付くよう前記未完のネジを加工形成することを特徴とする請求項3に記載のオネジ部材の製造方法。
  5. 前記チェーシング加工によって仕上げられるネジは、台形ネジ又は角ネジであり、そのネジの谷底が円筒面をなすものであることを特徴とする請求項1に記載のオネジ部材の製造方法。
  6. 前記チェーシング加工に、さらい刃付き切れ刃を備えるバイトを使用することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のオネジ部材の製造方法。
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