JP2020115754A - 血管形成促進剤のスクリーニング方法、及び、製剤 - Google Patents
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Abstract
Description
また、特許文献2には、15〜35個のアミノ酸を有し且つ成長因子受容体に結合できる環状ペプチド又はその変異体若しくは類似体、又は環状ペプチド模倣体が開示されている。
非特許文献1には、血管形成及び成熟における壁細胞関連VEGFの役割に関して記載されている。
また、仮に、血管新生の抑制を評価する方法を、血管新生の促進を評価する方法に適用した場合、血管新生の促進の観察には適さない環境、条件等により、血管新生の促進作用を示す物質(以下、「血管新生促進剤」又は「血管形成促進剤」ともいう場合がある。)について適切な評価が行えない場合があった。そのため、血管新生(血管形成)の評価に適した、新規な血管形成促進剤のスクリーニング方法の開発が求められている。
<1> 血管内皮細胞と間葉系幹細胞とを含む共培養系を用いることを含む、血管形成促進剤のスクリーニング方法。
<2> 上記共培養系において、上記血管内皮細胞の培養を開始する工程と、上記間葉系幹細胞の培養を開始する工程と、を含む、上記<1>に記載の血管形成促進剤のスクリーニング方法。
<3> 上記間葉系幹細胞の培養を開始する工程が、上記血管内皮細胞の培養を開始する工程より前の工程である、上記<1>又は<2>に記載の血管形成促進剤のスクリーニング方法。
<4> 上記共培養系において、被験物質を付与る工程を更に含む、上記<2>又は<3>に記載の血管形成促進剤のスクリーニング方法。
<5> 上記共培養系において、上記被験物質における血管形成促進の有無を判定する工程を更に含む、上記<4>に記載の血管形成促進剤のスクリーニング方法。
<6> 上記血管形成促進剤が、トリペプチドを含む、上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の血管形成促進剤のスクリーニング方法。
<7> 上記間葉系幹細胞の細胞数に対する上記血管内皮細胞の細胞数の比が、0.05以上5以下である、上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の血管形成促進剤のスクリーニング方法。
<8> 上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の血管形成促進剤のスクリーニング方法により発見された血管形成促進剤を含む、製剤。
本開示において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において、組成物の各成分の量は、各成分に該当する物質が層中に複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する上記複数の物質の合計量を意味する。
なお、本開示において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本明細書において「血管内皮細胞増殖因子(VEGF)」とは、血管内皮細胞の増殖、上記血管内皮細胞からの生理活性物質産生の誘導等を行う増殖因子であって、脈管形成及び血管新生のアクチベーターとして作用する。VEGFファミリーには、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGF−E、PLGF−1及びPLGF−2が含まれる。また、VEGF−A及びVEGF−Bには、アイソフォームが存在する。
本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法は、血管内皮細胞と間葉系幹細胞とを含む共培養系を用いた、血管形成促進剤のクリーニング方法である。
本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法は、血管形成促進の有無の確認に適した、血管形成促進剤のスクリーニング方法である。
また、血管新生を抑制する技術は悪性腫瘍等の治療に寄与するため、血管新生の抑制の評価方法は多くの検討がなされているが、血管形成の促進の評価方法は、ほとんど検討されておらず、簡便に血管形成の促進を評価する方法は確立されていなかった。
上記状況に鑑み、本発明者らが鋭意検討した結果、血管形成の促進を評価するスクリーニング方法において、血管内皮細胞と間葉系幹細胞とを含む共培養系を用いることにより、血管形成促進の有無の確認に適したスクリーニング方法を提供できることを見出し、本開示に係る方法を完成するに至った。
本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法が、血管形成促進の有無の確認に適する理由は定かではないが以下のように推察される。
本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法が用いる共培養系において、血管内皮細胞と間葉系幹細胞とを含むことで、(1)数個(2個又は3個程度)の血管内皮細胞に間葉系幹細胞が接着すること、(2)間葉系幹細胞が血管の基底膜を形成すること、(3)間葉系幹細胞が分化に寄与するような働きを有していること、等が考えられ、上記(1)〜(3)を満たすことで、血管内皮細胞において血管形成されやすくなるので、血管形成促進の有無の確認に適した血管形成促進剤のスクリーニング方法を提供できると推察される。
以下、本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法の詳細について説明する。
本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法は、血管内皮細胞と間葉系幹細胞とを含む共培養系を用いたスクリーニング方法である。
共培養系において、血管内皮細胞と間葉系幹細胞とを含む共培養系であれば特に制限はなく、血管内皮細胞及び間葉系幹細胞以外の細胞を含む共培養系であってもよい。
本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法は、血管内皮細胞と、間葉系幹細胞と、を含む共培養系を用いることを含む、スクリーニング方法である。
共培養系が含む血管内皮細胞は、血管の内皮に存在する細胞であり、血液が流れる内腔と接している扁平な細胞であり、血管内皮細胞としては、臍帯静脈、臍帯動脈、大動脈、冠状動脈、肺動脈、肺微小血管、皮膚微小血管などに由来する血管内皮細胞、多能性幹細胞から分化誘導した血管内皮細胞が挙げられる。
上記共培養系において、間葉系幹細胞を含む。
間葉系幹細胞としては、特に制限されず、骨髄、脂肪組織、胎盤組織、臍帯組織、歯髄等に由来する間葉系幹細胞が挙げられる。
入手容易性の観点から、本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法に用いられる間葉系幹細胞としては、胎盤組織(中でも羊水膜組織)、骨髄組織又は脂肪組織(中でも皮下脂肪組織)に由来する間葉系幹細胞であることが好ましく、骨髄組織又は脂肪組織に由来する間葉系幹細胞であることがより好ましく、ヒト骨髄組織又は皮下脂肪組織に由来する間葉系幹細胞であることが更に好ましい。
間葉系幹細胞が骨髄由来であることは、例えば、細胞免疫染色、フローサイトメーター、ウェスタンブロッティング等によって細胞のCD(Cluster of Differentiation)抗原を分析することにより判別することができる。
上記哺乳動物としては、ヒト、ラット、マウス、ハムスター、ウサギ、イヌ、サル、ウシ、ブタ、ヤギ等が挙げられる。これらの中でも、哺乳動物としては、ヒト、マウス又はラットであることが好ましく、ヒトであることがより好ましい。
本開示に係る共培養系は、それぞれの細胞同士が接触した状態で共培養される接触型共培養系であってもよく、それぞれの細胞同士は接触していない状態で共培養される非接触型共培養であってもよい。血管形成の促進をより迅速に評価する観点から、本開示に係る共培養系は、接触型共培養系であることが好ましい。
例えば、本開示に係る共培養系として、非接触型共培養系を適用した場合、メンブレン等の分離膜により直接細胞同士が接触していない培養環境であっても、細胞間での液性因子(シグナル)伝達を妨げない程度に分離された培養環境であれば、本開示に係る共培養系として適用してもよい。
上記共培養系が接触型共培養系である場合、血管内皮細胞と間葉系幹細胞とを同時に播種する共培養系であってもよく、血管内皮細胞及び間葉系幹細胞をそれぞれ単層に播種して単層培養を行ったのち、単層培養後の血管内皮細胞及び間葉系幹細胞を混合する共培養系であってもよい。
血管内皮細胞、又は、間葉系幹細胞の増殖における不具合の有無、並びに、血管形成促進の確認のしやすさの点から、上記共培養系において、上記血管内皮細胞の培養を開始する工程(以下、「血管内皮細胞培養工程」ともいう。)と、上記間葉系幹細胞の培養を開始する工程(以下、「間葉系幹細胞培養工程」ともいう。)と、を含むことが好ましい。
本明細書において、「血管内皮細胞の培養を開始」とは、血管内皮細胞を播種することを示し、「間葉系幹細胞の培養を開始」とは、間葉系幹細胞を播種することを示す。また、本明細書において、「血管内皮細胞培養工程」の後とは、血管内皮細胞を播種した後の工程を示し、「間葉系幹細胞培養工程」の後とは、間葉系幹細胞を播種した後の工程を示す。
以下、上記共培養系における各工程について説明する。
上記共培養系において、血管内皮細胞を培養する方法は、特に制限されず、公知の方法を採用することができる。
上記血管内皮細胞の培養に使用される培地としては、特に制限されず、血管内皮細胞の種類に応じて、既知の基本培地に必要に応じて添加剤を加えたものを用いることができる。なお、上記基本培地及び添加剤は、間葉系幹細胞培養における基本培地及び添加剤と同義である。
血管内皮細胞培養工程において使用される培地は、市販品を用いてもよく、例えば、血管内皮細胞用培地(EGM2培地、PromoCell社製)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM培地、LONZA社製)、間葉系幹細胞用培地(Mesenchymal Stem Cell Basal Medium、LONZA社製)等が挙げられる。血管内皮細胞培養工程において使用される培地は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記共培養系において、間葉系幹細胞培養工程を含む場合、血管内皮細胞の増殖性及び生存率をより高めることが可能となる。間葉系幹細胞培養工程において、間葉系幹細胞を培養する方法は、特に制限されず、公知の方法を採用することができる。
上記培地としては、基本培地、又は、基本培地に血清等の添加成分を含む培地が挙げられる。
基本培地は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記共培養系において、間葉系幹細胞の細胞数に対する血管内皮細胞の細胞数の比(以下、「血管内皮細胞/間葉系幹細胞の比」ともいう。)は、
血管形成促進の有無を確認しやすくする観点から、0.05以上5以下であることが好ましく、0.05以上2以下であることがより好ましく、0.05以上1以下であることが更に好ましく、0.05以上0.6以下であることが特に好ましい。
細胞数比は、上記各細胞の播種濃度により求められる。
上記共培養系において、被験物質を付与する工程(以下、「被験物質付与工程」ともいう。)を更に含むことが好ましい。
上記被験物質は、血管形成促進剤の候補として考えられる物質であり、例えば、後述の血管形成促進確認工程において血管形成の促進が確認される場合に、上記被験物質は血管形成促進剤として有用である可能性があると判断される。
また被験物質付与工程においては、被験物質を1種単独で付与してもよいし、2種以上を併用してもよい。
例えば、生体、組織等への塗布、上記共培養系における培地への添加等の方法が考えられる。共培養系における培地への添加時において、必要に応じてDMSO(ジメチルスルホキシド)等の溶剤を用いても添加してもよい。
被験物質の付与濃度、付与タイミング、付与方法等は、用いる被験物質の物性、被験物質の生体等への毒性、付与対象の種類等を考慮して適宜設定すればよい。
上記共培養系において、上記被験物質の血管形成促進の有無を判定する工程(以下、「血管形成促進確認工程」ともいう。)を更に含むことが好ましい。
血管形成促進確認工程は、例えば、上記血管内皮細胞及び間葉系幹細胞に対し、後述する被験物質の付与等を行い、血管形成の促進が確認される場合に、被験物質は血管形成促進能を有し、血管形成促進剤として有用であると判定することができる。または、血管形成の促進が確認されない場合に、被験物質(又は、被験物質の投与量等)は血管形成促進剤として不適当である可能性があると判定することができる。
また、上記血管形成促進能を確認する方法の別の一例としては、上記の血管内皮細胞を染色した後、光学顕微鏡又は蛍光顕微鏡で観察し、血管の長さ及び/又は血管の分岐数、画像処理ソフトウェア等を用いて測定(定量)する方法が挙げられる。
血管形成の定量解析に用いる画像処理ソフトウェアとしては、特に制限はないが、ImageJを好適に用いることができる。
なお、ImageJは、https://download.cnet.com/ImageJ-32-bit/3001-2192_4-75879102.htmlより入手することができる。
より具体的には、例えば、血管内皮細胞における血管の長さが、図2(A)、図3(A)、図4(A)及び図5(A)に示される血管増殖因子を含まない血管内皮細胞(以下、「コントロール血管内皮細胞」ともいう。)における血管の長さに対して、1.1倍以上である場合には、血管形成促進能を有すると判断してもよい。また、例えば、血管内皮細胞における血管の分岐数が、コントロール血管内皮細胞における血管の分岐数に対して、1.1倍以上ある場合には、血管形成促進能を有すると判断してもよい。
血管密度(tol.meshi area)は、画像処理ソフトウェアを用いた画像処理後の画像全体(背景)の面積:Aに対する、血管(画像処理によって色がついている部分)の面積の比(B/A)として(tol.meshi area)求められる。
血管内皮細胞における血管密度は、上述した画像処理ソフトウェアを用いた解析により求められる。
なお、上記血管形成促進能の評価方法は、特に制限はないが、上記ImageJを用いて好適に評価することができる。
免疫染色法としては、特に制限はなく、公知の免疫染色法が挙げられる。
その他の工程としては、培地交換工程等が挙げられる。
培地交換工程としては、例えば、間葉系幹細胞用培地を血管内皮細胞用培地に交換する工程等が挙げられる。
本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法は、血管形成促進剤がトリペプチドを含むことが好ましい。すなわち、本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法によれば、血管形成促進剤として有用なトリペプチドを含む被験物質を発見することが可能となる。
血管形成促進剤は、1種のトリペプチドを含んでもよく、2種以上のトリペプチドを含んでもよい。
トリペプチドとしては、シスチン、テアニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、アラニン、プロリン、リジン、スレオニン、アスパラギン、フェニルアラニン、セリン、メチオニン、グリシン、チロシン及びヒスチジンからなる群より選択されてなる3つのアミノ酸がペプチド結合により連結してなる化合物であることが好ましく、グリシン、ヒスチジン及びリシンからなる群より選択される3つのアミノ酸がペプチド結合により連結してなる化合物であることがより好ましい。具体的な化合物としては、トリペプチド−1が挙げられる。
本開示に係る製剤は、本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法により発見された血管形成促進剤を含む。
本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法により発見された血管形成促進剤を含む製剤では、血流の改善により期待される効果、例えば、肌代謝の改善、バリア機能改善、くすみ、目の下のクマの改善、美白、抗シワ等の効果が記載され得る。
本開示に係る製剤としては、経口的又は非経口的に投与されるものが挙げられるが、非経口的に投与することが好ましく、経皮投与がより好ましい。
すなわち、本開示に係る製剤は、皮膚外用剤であることが好ましい。
また、本開示に係る製剤は、化粧料であることが好ましい。化粧料の形態には特に制限はなく、化粧水(ローション)、美容液(エッセンス)、クリーム、乳液などの化粧料を例示することができる。これらのいずれも公知の方法で調製することができ、たとえば乳液などの場合、水相および油相をそれぞれ加熱溶解し、乳化分散して冷却することで製造することができる。
上記他の成分は、組成物の形態、目的などに応じて適宜選択すればよく、例えば、機能性油性成分、乳化剤、その他の添加成分などが挙げられる。
機能性油性成分としては、水性媒体に溶解せず、油性媒体に溶解する油溶性成分であり、かつ、生体において所望の生理学的作用の発揮が期待され得る油性成分であれば、特に限定はなく、目的に応じた物性や機能性を有するものを適宜選択して使用することができる。機能性油性成分としては、上述の血管形成促進剤以外の成分であって、紫外線吸収剤、抗炎症剤、保湿剤、毛髪保護剤、細胞賦活剤、エモリエント剤、角質溶解剤、帯電防止剤、脂溶性ビタミン剤、メタボリックシンドローム改善剤、降圧剤、鎮静剤、美白剤などとして使用されている油性成分が挙げられる。
上記成分の他、医薬品、機能性食品、化粧品などの分野において通常用いられる添加成分を、組成物に、その形態に応じて適宜含有させてもよい。他の添加成分は、その特性を考慮し、油溶性又は水溶性の添加成分として、組成物に含有させることができる。
その他、pH調整剤、pH緩衝剤、防腐剤、香料、着色剤など、通常、その用途で使用される他の添加物を併用することができる。
本開示における製剤の設計方法は、上述の本開示に係る製剤における他の成分を更に製剤に含有させることを更に含んでもよい。
本開示における製剤の設計方法は、上述の本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法を行うことを含んでもよいし、他者が行った本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法の結果を元に製剤を設計する設計方法であってもよい。
血管内皮細胞としては、HUVEC(ヒト臍帯静脈血管内皮細胞、PromoCell社製)を用いた。血管内皮細胞の培地としては、血管内皮細胞用培地(EGM2培地、PromoCell社製)を使用した。
48ウェルプレート(corning社製)に、初代細胞スターティング培地(製品名:MF−start、東洋紡績(株))を300μL/ウェル添加した後、MSCの播種密度が4万cells/cm2HUVECの播種密度が1.2万cells/cm2となるように48ウェルプレートにそれぞれ同時に播種し、MSC及びHUVECを播種した48ウェルプレートをインキュベーターに静置し、37℃で3日間培養した。
MSC及びHUVECを、増殖因子カクテル(Start supplement 東洋紡(株)製)を含まない初代細胞スターティング培地(MF−start培地)を用いて、48ウェルプレートに、表1に記載のMSCの播種密度となるよう播種し、インキュベーターで3日間培養し、実施例1のコントロールとした。
48ウェルプレート(コーニング社製)に、初代細胞スターティング培地(製品名:MF−start培地、東洋紡績(株))を300μL/ウェルとなるように添加した後、MSCの播種密度が2万cells/cm2となるように、MSCを播種した。MSCを播種した48ウェルプレートをCO2インキュベーターに静置し、37℃で3日間培養した。
培養後、各ウェルをEGM2培地で1回洗浄した後、上記HUVECの播種密度を1.2万cells/cm2となるよう播種し、MSC及びHUVECを含む48ウェルプレートをインキュベーターに静置し37℃で3日間培養した。3日間の培養後に、HUVECを検出するための細胞固定及び免疫染色は、実施例1と同様の条件で行った。
実施例2において、MSCの播種密度及びHUVECの播種密度を表1の記載の播種密度に変更した以外は、実施例2と同様の方法及び条件で培養を行った。
48ウェルプレート(コーニング社製)に、初代細胞スターティング培地(製品名:終濃度0.01ppmとなるようトリペプチド−1を添加したMF−start培地(東洋紡績(株)製)を300μL/ウェルとなるように添加した後、MSCの播種密度が5,000cells/cm2ウェルとなるように、MSCを播種した。
MSCを播種した48ウェルプレートをCO2インキュベーターに静置し、37℃で3日間培養した。
培養後、各ウェルをEGM2培地で1回洗浄した後、増殖因子カクテル抜きEGM2培地に最終濃度が0.01ppmとなるようにトリペプチド−1を添加し、次いで、上記HUVECの播種密度を1.2万cells/cm2ウェルとなるよう播種し、MSC及びHUVECを含む48ウェルプレートをインキュベーターに静置し37℃で3日間培養した。3日間の培養後に、HUVECを検出するための細胞固定及び免疫染色は、実施例1と同様の条件で行った。
可溶化基底膜調製品(Corning(登録商標)マトリゲル基底膜マトリックス グロースファクターリデュースト(GFR)、コーニングインターナショナル(株)製)を48ウェルプレートに130μL/ウェルを添加し、室温(25℃)で1時間静置した。
1%FBS(ウシ胎仔血清)添加DMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)で懸濁したHUVECの播種密度を4万cells/cm2となるように100μLづつ播種した。
なお、比較例1において、HUVECの播種時にポジティブコントロールとして、VEGF(血管内皮細胞増殖因子)50ng/mLをマトリゲルに添加し、インキュベーター37℃で3日間培養した。
48ウェルプレート(コーニング社製)に、EGM2培地を300μL/ウェルとなるように添加した後、HUVECの播種密度が1.2万cells/cm2となるように播種した。HUVECを播種した48ウェルプレートをインキュベーターに静置し、37℃で3日間培養した。
MSCを、初代細胞スターティング培地(MF−start培地)を用いて、48ウェルプレートに、表1に記載のMSCの播種密度(0.5万cells/cm2〜4万cells/cm2)となるよう播種した。
上記48ウェルプレートをインキュベーターで3日間培養した後、増殖因子カクテルを含まないEGM2培地を用い、HUVEC播種密度が1.2万cells/cm2となるよう播種し、インキュベーター37℃で3日間培養した。
3日間の培養後の上記実施例1〜6並びに比較例1及び2において、HUVECを検出するため、細胞固定及び免疫染色を行った。PBS(リン酸緩衝液)でウェルを2回洗浄した後、70%質量エタノールを100μL添加したのち、細胞を−30℃で10分間固定した。
ブロッキング剤(商品名;blocking one、ナカライテスク社製)を100μL添加し1時間ブロッキング反応させた後、PBSで1回洗浄した。一次抗体としてCD31抗体(JC70A、DAKO社製)を1:100となるように抗体希釈バッファーで希釈し、希釈した一次抗体を各ウェルに100μL添加した後、48ウェルプレートをインキュベーターに静置し、4℃でover-night culture(一晩培養)した。
その後、T−PBSで各ウェル3回洗浄し、二次抗体(anti fluor 488、アブカム社製)を抗体希釈バッファーで1:200となるよう希釈し、希釈した二次抗体を各ウェルに100μL添加した後、室温(25℃)に遮光して静置し、1時間反応させた。その後、T−PBSで各ウェルを2回洗浄し、蛍光顕微鏡(BZ−Xオールインワン、(株)キーエンス製)で10〜25倍率で観察した。
図1(B)は、VEGF(血管内皮細胞増殖因子)を添加して培養した後の血管内皮細胞を蛍光顕微鏡で観察した図を示したものであり、図2(B)、図3(B)、図4(B)及び図5(B)は、それぞれ、増殖因子カクテルを添加して培養した後の血管内皮細胞を蛍光顕微鏡で観察した図を示したものである。
また、図1(A)は、VEGF(血管内皮細胞増殖因子)を添加せずに培養した後の血管内皮細胞を蛍光顕微鏡で観察した写真を示したものである。図2(A)、図3(A)、図4(B)及び図5(B)は、それぞれ、増殖因子カクテルを添加せずに培養した後の血管内皮細胞を蛍光顕微鏡で観察した写真を示したものである。
上記の蛍光顕微鏡の写真から、血管形成の定量解析を行った。定量解析は、Image Jの“angiogenesis”モードで解析した。total length とNo. Junction(分岐数)とを指標に、血管形成能を下記の基準に基づき評価した。分岐数は、実施例1〜6及び比較例1のコントロールの分岐数に対する実施例1〜6及び比較例1より観察された分岐数との比率を表し、表1に示した。分岐数が多いほど、血管形成能に優れるといえる。
AA 分岐数が10以上である
A 分岐数が3以上10未満である
B 分岐数が1.5以上3未満である
C 分岐数が1以上1.5未満である
D 分岐数が1未満である
比」及び「血管形成分岐数の比」の欄の「−」は、該当する値がないことを意味する。また、表1中の「血管形成能」の欄の「−」は、血管形成が確認されなかったことを意味する。
Claims (8)
- 血管内皮細胞と間葉系幹細胞とを含む共培養系を用いることを含む、
血管形成促進剤のスクリーニング方法。 - 前記共培養系において、
前記血管内皮細胞の培養を開始する工程と、
前記間葉系幹細胞の培養を開始する工程と、
を含む、請求項1に記載の血管形成促進剤のスクリーニング方法。 - 前記間葉系幹細胞の培養を開始する工程が、前記血管内皮細胞の培養を開始する工程より前の工程である、請求項1又は請求項2に記載の血管形成促進剤のスクリーニング方法。
- 前記共培養系において、被験物質を付与する工程を更に含む、請求項2又は請求項3に記載の血管形成促進剤のスクリーニング方法。
- 前記共培養系において、前記被験物質による血管形成促進の有無を判定する工程を更に含む、請求項4に記載の血管形成促進剤のスクリーニング方法。
- 前記血管形成促進剤が、トリペプチドを含む、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の血管形成促進剤のスクリーニング方法。
- 前記間葉系幹細胞の細胞数に対する前記血管内皮細胞の細胞数の比が、0.05以上5以下である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の血管形成促進剤のスクリーニング方法。
- 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の血管形成促進剤のスクリーニング方法により発見された血管形成促進剤を含む、製剤。
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- 2019-01-18 JP JP2019007361A patent/JP2020115754A/ja active Pending
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