JP2020115754A - 血管形成促進剤のスクリーニング方法、及び、製剤 - Google Patents

血管形成促進剤のスクリーニング方法、及び、製剤 Download PDF

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Eriko Inui
江梨子 乾
金澤 克彦
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克彦 金澤
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Abstract

【課題】血管形成促進の有無の確認に適した、血管形成促進剤のスクリーニング方法、及び、上記血管形成促進剤のスクリーニング方法により発見された血管形成促進剤を含む製剤を提供すること。【解決手段】血管内皮細胞と間葉系幹細胞とを含む共培養系を用いることを含む、血管形成促進剤のスクリーニング方法、及び、上記血管形成促進剤のスクリーニング方法により発見された血管形成促進剤を含む製剤。【選択図】なし

Description

本開示は、血管形成促進剤のスクリーニング方法、及び、製剤に関する。
血管新生は、既存の血管から新たな血管枝が分岐して血管網を構築する生理的現象である。血管新生では、新しい血管の形成に関与する血管内皮細胞が、血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor(VEGF))等の作用により、出芽・伸長・分岐・管腔形成などを繰り返しながら、二次元及び三次元の枝分かれ構造した血管が形成される。近年、血管新生及び血管発生を調節するための方法及び組成物等が開発されている。
例えば、特許文献1には、対象における血管新生を増大させるための方法であって、上記方法が、上記対象にSB623細胞の集団を投与することを含み;ここで、上記SB623細胞が、(a)間葉系幹細胞の培養物を準備し、(b)ステップ(a)の細胞培養物と、Notch細胞内ドメイン(NICD)をコードする配列を含むポリヌクレオチド、ここで上記ポリヌクレオチドがNotchタンパク質の全長をコードしない、を接触させ、(c)ステップ(b)のポリヌクレオチドを含む細胞を選択し、及び(d)ステップ(c)の選択した細胞を、選択なしでさらに培養することにより得られる、方法が開示されている。
また、特許文献2には、15〜35個のアミノ酸を有し且つ成長因子受容体に結合できる環状ペプチド又はその変異体若しくは類似体、又は環状ペプチド模倣体が開示されている。
非特許文献1には、血管形成及び成熟における壁細胞関連VEGFの役割に関して記載されている。
特許第6280180号公報 特開2018−525446号公報
Mural Cell Associated VEGF Is Required for Organotypic Vessel Formation, Lasse Evensen et al., PLoS One. 2009 Jun 4;4(6):e5798.
特許文献1及び2並びに非特許文献1には、いずれにおいても、血管新生の促進を評価する方法については記載されていない。
また、仮に、血管新生の抑制を評価する方法を、血管新生の促進を評価する方法に適用した場合、血管新生の促進の観察には適さない環境、条件等により、血管新生の促進作用を示す物質(以下、「血管新生促進剤」又は「血管形成促進剤」ともいう場合がある。)について適切な評価が行えない場合があった。そのため、血管新生(血管形成)の評価に適した、新規な血管形成促進剤のスクリーニング方法の開発が求められている。
本開示に係る一実施形態が解決しようとする課題は、血管形成促進の有無の確認に適した、血管形成促進剤のスクリーニング方法、又は、上記血管形成促進剤のスクリーニング方法により発見された血管形成促進剤を含む製剤を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 血管内皮細胞と間葉系幹細胞とを含む共培養系を用いることを含む、血管形成促進剤のスクリーニング方法。
<2> 上記共培養系において、上記血管内皮細胞の培養を開始する工程と、上記間葉系幹細胞の培養を開始する工程と、を含む、上記<1>に記載の血管形成促進剤のスクリーニング方法。
<3> 上記間葉系幹細胞の培養を開始する工程が、上記血管内皮細胞の培養を開始する工程より前の工程である、上記<1>又は<2>に記載の血管形成促進剤のスクリーニング方法。
<4> 上記共培養系において、被験物質を付与る工程を更に含む、上記<2>又は<3>に記載の血管形成促進剤のスクリーニング方法。
<5> 上記共培養系において、上記被験物質における血管形成促進の有無を判定する工程を更に含む、上記<4>に記載の血管形成促進剤のスクリーニング方法。
<6> 上記血管形成促進剤が、トリペプチドを含む、上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の血管形成促進剤のスクリーニング方法。
<7> 上記間葉系幹細胞の細胞数に対する上記血管内皮細胞の細胞数の比が、0.05以上5以下である、上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の血管形成促進剤のスクリーニング方法。
<8> 上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の血管形成促進剤のスクリーニング方法により発見された血管形成促進剤を含む、製剤。
本開示に係る一実施形態によれば、血管形成促進の有無の確認に適した、血管形成促進剤のスクリーニング方法、又は、上記血管形成促進剤のスクリーニング方法により発見された血管形成促進剤を含む製剤を提供することができる。
比較例に係るスクリーニング方法において、コントロール(血管内皮細胞増殖因子を含まない)の血管内皮細胞の蛍光顕微鏡観察結果を示す写真である。 比較例に係るスクリーニング方法において、血管内皮細胞増殖因子を含む場合の血管内皮細胞の蛍光顕微鏡観察結果を示す写真である。 本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法において、増殖因子カクテルを含まないコントロールの血管内皮細胞の蛍光顕微鏡観察結果を示す写真である。 本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法において、増殖因子カクテルを含む場合の血管内皮細胞の蛍光顕微鏡観察結果を示す写真である。 本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法において、増殖因子カクテルを含まないコントロールの血管内皮細胞の蛍光顕微鏡観察結果を示す写真である。 本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法において、増殖因子カクテルを含む場合の血管内皮細胞の蛍光顕微鏡観察結果を示す写真である。 本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法において、増殖因子カクテルを含まないコントロールの血管内皮細胞の蛍光顕微鏡観察結果を示す写真である。 本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法において、増殖因子カクテルを含む場合の血管内皮細胞の蛍光顕微鏡観察結果を示す写真である。 本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法において、増殖因子カクテルを含まないコントロールの血管内皮細胞の蛍光顕微鏡観察結果を示す写真である。 本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法において、増殖因子カクテルを含む場合の血管内皮細胞の蛍光顕微鏡観察結果を示す写真である。
以下において、本開示の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
本開示において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において、組成物の各成分の量は、各成分に該当する物質が層中に複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する上記複数の物質の合計量を意味する。
なお、本開示において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本明細書において「血管新生」の語には、「血管形成」の語の内容も包含される。本明細書において「血管新生」とは、新たな血管が既存の血管から形成される現象を意味する。
本明細書において「血管内皮細胞増殖因子(VEGF)」とは、血管内皮細胞の増殖、上記血管内皮細胞からの生理活性物質産生の誘導等を行う増殖因子であって、脈管形成及び血管新生のアクチベーターとして作用する。VEGFファミリーには、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGF−E、PLGF−1及びPLGF−2が含まれる。また、VEGF−A及びVEGF−Bには、アイソフォームが存在する。
本明細書において、播種濃度(cells/cm)は、細胞濃度(cells/cm)と読み替えてもよい。
(血管形成促進剤のスクリーニング方法)
本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法は、血管内皮細胞と間葉系幹細胞とを含む共培養系を用いた、血管形成促進剤のクリーニング方法である。
本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法は、血管形成促進の有無の確認に適した、血管形成促進剤のスクリーニング方法である。
本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法は、血管内皮細胞と間葉系幹細胞とを含む共培養系を用いることに着目したものである。
一般的に、血管形成を観察するために評価としては、例えば、血管内皮細胞増殖因子等の血管新生の促進因子(増殖因子)の受容体を過剰発現させた系であるマウスEngelbreth-Holm-Swarm(EHS)肉腫細胞(以下、「マウス肉腫細胞」ともいう。)から調製したECM(Extracellular Matrix;細胞外マトリクス)を用いた評価(以下、「ECMを用いた評価」ともいう。)が知られている。
本発明者らが、上記ECMを用いた評価において、被験物質による血管形成促進の有無を観察したところ、特に、過剰な血管形成がなされた場合、細胞中の血管密度が高くなりすぎて、血管の僅かな分岐、伸長等の判別しにくい場合があった。また、一般的に用いられるECM評価系ではマウス肉腫細胞から調製された細胞外マトリックスを使用しているため細胞外マトリックスの性能にバラつきがあり、細胞培養がうまくいかない場合には、その原因の解明が困難な場合が多く、評価方法を改良することが困難であった。さらに、一般的に用いられている、細胞増殖因子を含む培地またはECMを用いて評価した場合、血管形成が進行しやすい条件となるため、被験物質による血管形成のしやすさを適切に評価することが難しい。従って、細胞増殖因子を除外した培地およびECMを用いて検討を行った場合でも、血管形成促進の有無を評価することができなかった。
また、血管新生を抑制する技術は悪性腫瘍等の治療に寄与するため、血管新生の抑制の評価方法は多くの検討がなされているが、血管形成の促進の評価方法は、ほとんど検討されておらず、簡便に血管形成の促進を評価する方法は確立されていなかった。
上記状況に鑑み、本発明者らが鋭意検討した結果、血管形成の促進を評価するスクリーニング方法において、血管内皮細胞と間葉系幹細胞とを含む共培養系を用いることにより、血管形成促進の有無の確認に適したスクリーニング方法を提供できることを見出し、本開示に係る方法を完成するに至った。
本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法が、血管形成促進の有無の確認に適する理由は定かではないが以下のように推察される。
本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法が用いる共培養系において、血管内皮細胞と間葉系幹細胞とを含むことで、(1)数個(2個又は3個程度)の血管内皮細胞に間葉系幹細胞が接着すること、(2)間葉系幹細胞が血管の基底膜を形成すること、(3)間葉系幹細胞が分化に寄与するような働きを有していること、等が考えられ、上記(1)〜(3)を満たすことで、血管内皮細胞において血管形成されやすくなるので、血管形成促進の有無の確認に適した血管形成促進剤のスクリーニング方法を提供できると推察される。
すなわち、本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法によれば、例えば、従来のECMを用いた評価に比べて、血管形成促進能に更に優れる血管形成促進剤を提供できる可能性がある。
以下、本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法の詳細について説明する。
<共培養系>
本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法は、血管内皮細胞と間葉系幹細胞とを含む共培養系を用いたスクリーニング方法である。
共培養系において、血管内皮細胞と間葉系幹細胞とを含む共培養系であれば特に制限はなく、血管内皮細胞及び間葉系幹細胞以外の細胞を含む共培養系であってもよい。
−血管内皮細胞−
本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法は、血管内皮細胞と、間葉系幹細胞と、を含む共培養系を用いることを含む、スクリーニング方法である。
共培養系が含む血管内皮細胞は、血管の内皮に存在する細胞であり、血液が流れる内腔と接している扁平な細胞であり、血管内皮細胞としては、臍帯静脈、臍帯動脈、大動脈、冠状動脈、肺動脈、肺微小血管、皮膚微小血管などに由来する血管内皮細胞、多能性幹細胞から分化誘導した血管内皮細胞が挙げられる。
血管内皮細胞としては、HBMEC(ヒト脳血管内皮細胞)、HCPEC(ヒト脳脈絡叢血管内皮細胞)、HIMEC(ヒト小腸血管内皮細胞)、HCMEC(ヒト心臓血管内皮細胞)、HAEC(ヒト大動脈血管内皮細胞)、HREC(ヒト網膜血管内皮細胞)、HUVEC(ヒト臍帯静脈血管内皮細胞)、HUAEC(ヒト臍帯動脈血管内皮細胞)、ヒト肺動脈内皮細胞(HPAEC)、ヒト伏在静脈内皮細胞(HSaVEC)等の市販品が好適に挙げられる。これらの中でも、本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法に用いられる血管内皮細胞としては、入手容易性の観点から、HUVEC(ヒト臍帯静脈血管内皮細胞)であることが好ましい。
−間葉系幹細胞−
上記共培養系において、間葉系幹細胞を含む。
間葉系幹細胞としては、特に制限されず、骨髄、脂肪組織、胎盤組織、臍帯組織、歯髄等に由来する間葉系幹細胞が挙げられる。
入手容易性の観点から、本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法に用いられる間葉系幹細胞としては、胎盤組織(中でも羊水膜組織)、骨髄組織又は脂肪組織(中でも皮下脂肪組織)に由来する間葉系幹細胞であることが好ましく、骨髄組織又は脂肪組織に由来する間葉系幹細胞であることがより好ましく、ヒト骨髄組織又は皮下脂肪組織に由来する間葉系幹細胞であることが更に好ましい。
ヒト骨髄組織に由来する間葉系幹細胞は、MSC(LONZA社製)、MSC(PromoCell社)等の市販品が挙げられる。
間葉系幹細胞が骨髄由来であることは、例えば、細胞免疫染色、フローサイトメーター、ウェスタンブロッティング等によって細胞のCD(Cluster of Differentiation)抗原を分析することにより判別することができる。
本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法に用いられる共培養系において、血管内皮細胞としてはHUVEC(ヒト臍帯静脈血管内皮細胞)であり、間葉系幹細胞としてはヒト骨髄組織又は皮下脂肪組織に由来する間葉系幹細胞であることが好ましい。
本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法に用いられる血管内皮細胞及び間葉系幹細胞としては、哺乳動物由来の細胞であることが好ましい。
上記哺乳動物としては、ヒト、ラット、マウス、ハムスター、ウサギ、イヌ、サル、ウシ、ブタ、ヤギ等が挙げられる。これらの中でも、哺乳動物としては、ヒト、マウス又はラットであることが好ましく、ヒトであることがより好ましい。
上記共培養系に含まれる、血管内皮細胞及び間葉系幹細胞としては、非不死化細胞であっても不死化細胞であってもよい。より生体環境に近い観点から、上記共培養系に含まれる細胞は、非不死化細胞であることが好ましい。
上記共培養系に含まれる、血管内皮細胞及び間葉系幹細胞としては、特に制限はなく、正常細胞である場合、初代培養細胞及び第2代以降の株細胞のいずれであってもよく、継代数については特に制限なく用いることができる。一般的には、継代数が15以下である株細胞であることが好ましく、血管形成の促進の効果をより詳細に評価する観点から継代数が10以下である株細胞であることがより好ましい。
本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法における共培養系は、血管内皮細胞と間葉系幹細胞とが共存した状態で培養された系であればよく、血管内皮細胞及び間葉系幹細胞以外の細胞を含む共培養系であってもよい。
本開示に係る共培養系は、それぞれの細胞同士が接触した状態で共培養される接触型共培養系であってもよく、それぞれの細胞同士は接触していない状態で共培養される非接触型共培養であってもよい。血管形成の促進をより迅速に評価する観点から、本開示に係る共培養系は、接触型共培養系であることが好ましい。
例えば、本開示に係る共培養系として、非接触型共培養系を適用した場合、メンブレン等の分離膜により直接細胞同士が接触していない培養環境であっても、細胞間での液性因子(シグナル)伝達を妨げない程度に分離された培養環境であれば、本開示に係る共培養系として適用してもよい。
非接触型共培養は、細胞培養容器を上下の層に区切り、上下の層をフィルター等で区切ったトランスウエルタイプ又はセルカルチャーインサートを用いた非接触型共培養の方法であってもよく、複数の細胞培養容器をそれぞれ水平方向に接続した非接触型共培養の方法であってもよい。
本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法における共培養系は、血管形成促進の有無の確認のしやすさの点から、接触型共培養系であることが好ましい。
上記共培養系が接触型共培養系である場合、血管内皮細胞と間葉系幹細胞とを同時に播種する共培養系であってもよく、血管内皮細胞及び間葉系幹細胞をそれぞれ単層に播種して単層培養を行ったのち、単層培養後の血管内皮細胞及び間葉系幹細胞を混合する共培養系であってもよい。
血管内皮細胞、又は、間葉系幹細胞の増殖における不具合の有無、並びに、血管形成促進の確認のしやすさの点から、上記共培養系において、上記血管内皮細胞の培養を開始する工程(以下、「血管内皮細胞培養工程」ともいう。)と、上記間葉系幹細胞の培養を開始する工程(以下、「間葉系幹細胞培養工程」ともいう。)と、を含むことが好ましい。
本明細書において、「血管内皮細胞の培養を開始」とは、血管内皮細胞を播種することを示し、「間葉系幹細胞の培養を開始」とは、間葉系幹細胞を播種することを示す。また、本明細書において、「血管内皮細胞培養工程」の後とは、血管内皮細胞を播種した後の工程を示し、「間葉系幹細胞培養工程」の後とは、間葉系幹細胞を播種した後の工程を示す。
以下、上記共培養系における各工程について説明する。
〔血管内皮細胞培養工程〕
上記共培養系において、血管内皮細胞を培養する方法は、特に制限されず、公知の方法を採用することができる。
血管内皮細胞培養工程において使用される培地は、特に制限されず、血管内皮細胞培養に使用される培地を適宜使用することができる。
上記血管内皮細胞の培養に使用される培地としては、特に制限されず、血管内皮細胞の種類に応じて、既知の基本培地に必要に応じて添加剤を加えたものを用いることができる。なお、上記基本培地及び添加剤は、間葉系幹細胞培養における基本培地及び添加剤と同義である。
血管内皮細胞培養工程において使用される培地は、市販品を用いてもよく、例えば、血管内皮細胞用培地(EGM2培地、PromoCell社製)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM培地、LONZA社製)、間葉系幹細胞用培地(Mesenchymal Stem Cell Basal Medium、LONZA社製)等が挙げられる。血管内皮細胞培養工程において使用される培地は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
血管内皮細胞の培養条件は、通常、血管内皮細胞培養に使用される条件(例えば、37℃、CO濃度5%)であれば、特に制限されるものではないが、上記観点から、25〜45℃(好ましくは35℃〜39℃)、CO濃度1%〜10%、O濃度0.05%〜10%条件下で、3日〜10日培養することが好ましい。
血管内皮細胞の培養方法は、公知の培養方法が挙げられ、例えば、細胞培養フラスコ、シャーレ、3次元培養容器、スピナーフラスコ、又は、公知の表面処理済の細胞培養容器等を用いて培養する方法が挙げられる。血管内皮細胞の培養容器は、必要に応じて、コラーゲン等の細胞外基質でコートされた容器を用いてもよい。
血管内皮細胞培養工程において、血管内皮細胞の播種濃度としては、血管内皮細胞に適した濃度(継代比率:Split Ratio)であれば特に制限はないが、血管形成促進の有無の確認のしやすさの観点から、間葉系幹細胞の細胞数よりも多いことが好ましく、1,000〜50,000cells/cmであることがより好ましく、3,000〜25,000cells/cmであることが更に好ましく、5,000〜20,000cells/cmであることがより更に好ましい。
血管内皮細胞若しくは間葉系幹細胞の播種濃度及び血管内皮細胞若しくは間葉系幹細胞の細胞数は、公知の細胞数測定方法により求められ、例えば、血球計算盤と同じ原理による測定であれば、特に制限なく用いて求めることができる。
〔間葉系幹細胞培養工程〕
上記共培養系において、間葉系幹細胞培養工程を含む場合、血管内皮細胞の増殖性及び生存率をより高めることが可能となる。間葉系幹細胞培養工程において、間葉系幹細胞を培養する方法は、特に制限されず、公知の方法を採用することができる。
間葉系幹細胞培養工程において使用される培地は、特に制限されず、間葉系幹細胞の種類に応じて、既知の基本培地に必要に応じて添加剤を加えたものを用いることができる。
上記培地としては、基本培地、又は、基本培地に血清等の添加成分を含む培地が挙げられる。
上記基本培地としては、例えば、DMEM(Dulbecco's Modified Eagle Medium)、EMEM(Eagle's Minimum Essential Medium)、MEMα(Minimum Essential Medium Alpha modification)、RPMI 1640(Roswell Park Memorial Institute 1640)培地、HamF12(Ham's F12)培地、間葉系幹細胞用培地(Mesenchymal Stem Cell Basal Medium、LONZA社製)、MF−start培地(東洋紡績(株)製)等が挙げられる。
基本培地は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記添加剤としては、例えば、血清(ウシ胎仔血清、ヒト血清、羊血清、ウマ血清等)、血清代替物(Knockout serum replacement(KSR)など)、ウシ血清アルブミン(BSA)、アミノ酸(L−グルタミン酸等)、抗生物質(ペニシリン、ストレプトマイシン等)、pH緩衝剤などを挙げることができ、細胞増殖に寄与する増殖因子カクテルが含まれていることが好ましい。増殖因子の種類には特に制限なく、販売メーカーが推奨するものを適宜選択して用いることができる
間葉系幹細胞培養工程において使用される培地は、市販品を用いてもよく、例えば、Mesenchymal Stem Cell Basal Medium(LONZA社製)等が挙げられる。
間葉系幹細胞の培養条件は、通常、間葉系幹細胞使用される条件(例えば、37℃、CO濃度5%)であれば、特に制限されないが、25〜45℃(好ましくは35℃〜39℃)、CO濃度1%〜10%、O濃度0.05%〜10%条件下で、3日〜10日培養することが好ましい。
間葉系幹細胞の培養方法は、公知の培養方法が挙げられ、例えば、培養フラスコ、ディッシュ3次元培養容器、スピナーフラスコ、又は、公知の表面処理済の細胞培養容器等を用いて培養する方法が挙げられる。
間葉系幹細胞培養工程において、間葉系幹細胞の播種濃度としては、間葉系幹細胞に適した濃度(継代比率:Split Ratio)であれば特に制限はないが、血管形成促進の確認のしやすさの観点から、血管内皮細胞の細胞数より少ないことが好ましく、1,000〜50,000cells/cmであることがより好ましく、1,500〜45,000cells/cmであることが更に好ましく、2,000〜45,000cells/cmであることがより更に好ましい。
−細胞数比−
上記共培養系において、間葉系幹細胞の細胞数に対する血管内皮細胞の細胞数の比(以下、「血管内皮細胞/間葉系幹細胞の比」ともいう。)は、
血管形成促進の有無を確認しやすくする観点から、0.05以上5以下であることが好ましく、0.05以上2以下であることがより好ましく、0.05以上1以下であることが更に好ましく、0.05以上0.6以下であることが特に好ましい。
細胞数比は、上記各細胞の播種濃度により求められる。
上記共培養系において、血管内皮細胞培養工程と間葉系幹細胞培養工程とを同時に行ってもよいが、血管内皮細胞の増殖性及び生存率を高める観点から、上記共培養系において、上記血管内皮細胞の培養を開始する工程が上記間葉系幹細胞の培養を開始する工程より前の工程であることが好ましい。
〔被験物質付与工程〕
上記共培養系において、被験物質を付与する工程(以下、「被験物質付与工程」ともいう。)を更に含むことが好ましい。
上記被験物質は、血管形成促進剤の候補として考えられる物質であり、例えば、後述の血管形成促進確認工程において血管形成の促進が確認される場合に、上記被験物質は血管形成促進剤として有用である可能性があると判断される。
また被験物質付与工程においては、被験物質を1種単独で付与してもよいし、2種以上を併用してもよい。
被験物質の付与方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いればよい。
例えば、生体、組織等への塗布、上記共培養系における培地への添加等の方法が考えられる。共培養系における培地への添加時において、必要に応じてDMSO(ジメチルスルホキシド)等の溶剤を用いても添加してもよい。
被験物質の付与濃度、付与タイミング、付与方法等は、用いる被験物質の物性、被験物質の生体等への毒性、付与対象の種類等を考慮して適宜設定すればよい。
上記共培養系において、被験物質を付与する工程を含む場合、血管形成促進の有無の確認のしやすさの観点から、上記間葉系幹細胞培養工程と同時に被験物質を付与する工程を含むことが好ましく、間葉系幹細胞培養工程において細胞を撒種する際に同時に被験物質を添加することがより好ましい。添加する被験物質の濃度に特に制限はないが、被験物質による細胞への影響を低減する観点から、例えば10ppm以下、好ましくは1ppm以下、より好ましくは0.1ppm以下を設定することができる。
本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法を、適切な付与濃度、付与タイミング、付与方法等を推定するために、付与濃度、付与タイミング、付与方法等を変更した複数の群を用いて行ってもよい。
〔血管形成促進確認工程〕
上記共培養系において、上記被験物質の血管形成促進の有無を判定する工程(以下、「血管形成促進確認工程」ともいう。)を更に含むことが好ましい。
血管形成促進確認工程は、例えば、上記血管内皮細胞及び間葉系幹細胞に対し、後述する被験物質の付与等を行い、血管形成の促進が確認される場合に、被験物質は血管形成促進能を有し、血管形成促進剤として有用であると判定することができる。または、血管形成の促進が確認されない場合に、被験物質(又は、被験物質の投与量等)は血管形成促進剤として不適当である可能性があると判定することができる。
上記血管形成促進能を確認する方法の一例としては、上記の血管内皮細胞を固定及び染色した後、光学顕微鏡又は蛍光顕微鏡で確認する方法が挙げられる。
また、上記血管形成促進能を確認する方法の別の一例としては、上記の血管内皮細胞を染色した後、光学顕微鏡又は蛍光顕微鏡で観察し、血管の長さ及び/又は血管の分岐数、画像処理ソフトウェア等を用いて測定(定量)する方法が挙げられる。
血管形成の定量解析に用いる画像処理ソフトウェアとしては、特に制限はないが、ImageJを好適に用いることができる。
なお、ImageJは、https://download.cnet.com/ImageJ-32-bit/3001-2192_4-75879102.htmlより入手することができる。
血管内皮細胞において形成された血管の長さ及び/又は血管の分岐数が多いほど、血管形成が促進されているといえ、血管形成促進剤として有用であると考えられる。血管形成が促進されている形態としては、例えば、図2(B)、図3(B)、図4(B)、及び、図5(B)に示される形態が挙げられる。
上記血管形成促進能は、例えば上記被験物質の付与後の上記血管内皮細胞の血管の長さ及び/又は血管の分岐数を基に評価することができ、上記被験物質の付与を行わない場合の、上記血管内皮細胞における血管の長さ及び/又は血管の分岐数と、上記被験物質の付与後の上記血管内皮細胞の血管の長さ及び/又は血管の分岐数と、を比較することにより評価することが好ましい。
より具体的には、例えば、血管内皮細胞における血管の長さが、図2(A)、図3(A)、図4(A)及び図5(A)に示される血管増殖因子を含まない血管内皮細胞(以下、「コントロール血管内皮細胞」ともいう。)における血管の長さに対して、1.1倍以上である場合には、血管形成促進能を有すると判断してもよい。また、例えば、血管内皮細胞における血管の分岐数が、コントロール血管内皮細胞における血管の分岐数に対して、1.1倍以上ある場合には、血管形成促進能を有すると判断してもよい。
また、上記血管形成促進能は、上記血管の長さ及び/又は血管の分岐数に加えて、例えば、血管内皮細胞における血管密度(tol.mesh area、単位:%)が、コントロール群に対して、1.1倍以上であり、かつ、上記血管の長さが1.1倍以上及び/又は上記血管の分岐数1.1倍以上である場合には、血管形成促進能を有すると判断してもよい。
血管密度(tol.meshi area)は、画像処理ソフトウェアを用いた画像処理後の画像全体(背景)の面積:Aに対する、血管(画像処理によって色がついている部分)の面積の比(B/A)として(tol.meshi area)求められる。
血管内皮細胞における血管密度は、上述した画像処理ソフトウェアを用いた解析により求められる。
なお、上記血管形成促進能の評価方法は、特に制限はないが、上記ImageJを用いて好適に評価することができる。
血管内皮細胞の染色方法としては特に制限はなく、適宜選択することができる。上記染色方法としては、免疫染色法、染色法等が挙げられる。観察のしやすさの観点から、遺伝子組換により蛍光タンパクを遺伝子導入し、細胞自体が蛍光発光可能な細胞を用いることが好ましい。そのような細胞としては、具体的には、GFP(Green Fluorescent Protein)−HUVEC等が挙げられる。
免疫染色法としては、特に制限はなく、公知の免疫染色法が挙げられる。
本開示に係る被験物質として、血管形成能を有することが一般的に知られていない物質、または、公知のスクリーニング方法を用いて血管形成能の有無が判断できない物質を用いてもよい。
本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法における共培養系において、上記血管内皮細胞培養工程、上記間葉系幹細胞培養工程、上記血管形成促進確認工程、及び、上記披見物質付与工程以外の工程(以下、「その他の工程」ともいう。)
その他の工程としては、培地交換工程等が挙げられる。
培地交換工程としては、例えば、間葉系幹細胞用培地を血管内皮細胞用培地に交換する工程等が挙げられる。
−トリペプチド−
本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法は、血管形成促進剤がトリペプチドを含むことが好ましい。すなわち、本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法によれば、血管形成促進剤として有用なトリペプチドを含む被験物質を発見することが可能となる。
血管形成促進剤は、1種のトリペプチドを含んでもよく、2種以上のトリペプチドを含んでもよい。
本開示において、「トリペプチド」とは、3つのアミノ酸がペプチド結合により連結してなる化合物の総称を示す。
トリペプチドとしては、シスチン、テアニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、アラニン、プロリン、リジン、スレオニン、アスパラギン、フェニルアラニン、セリン、メチオニン、グリシン、チロシン及びヒスチジンからなる群より選択されてなる3つのアミノ酸がペプチド結合により連結してなる化合物であることが好ましく、グリシン、ヒスチジン及びリシンからなる群より選択される3つのアミノ酸がペプチド結合により連結してなる化合物であることがより好ましい。具体的な化合物としては、トリペプチド−1が挙げられる。
(製剤、及び、製剤の設計方法)
本開示に係る製剤は、本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法により発見された血管形成促進剤を含む。
本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法により発見された血管形成促進剤を含む製剤では、血流の改善により期待される効果、例えば、肌代謝の改善、バリア機能改善、くすみ、目の下のクマの改善、美白、抗シワ等の効果が記載され得る。
本開示に係る製剤としては、経口的又は非経口的に投与されるものが挙げられるが、非経口的に投与することが好ましく、経皮投与がより好ましい。
すなわち、本開示に係る製剤は、皮膚外用剤であることが好ましい。
本開示に係る製剤の形態としては、上記血管形成促進剤を含む以外は特に限定されず、オイル組成物、乳化組成物、粉末組成物などが挙げられる。また本開示に係る製剤は、公知の方法に従い調製することができる。
また、本開示に係る製剤は、化粧料であることが好ましい。化粧料の形態には特に制限はなく、化粧水(ローション)、美容液(エッセンス)、クリーム、乳液などの化粧料を例示することができる。これらのいずれも公知の方法で調製することができ、たとえば乳液などの場合、水相および油相をそれぞれ加熱溶解し、乳化分散して冷却することで製造することができる。
本開示に係る製剤は、上記血管形成促進剤のほかに、他の成分を含むことができる。
上記他の成分は、組成物の形態、目的などに応じて適宜選択すればよく、例えば、機能性油性成分、乳化剤、その他の添加成分などが挙げられる。
また、本開示に係る製剤は、上記血管形成促進剤のスクリーニング方法以外の方法により発見された他の血管形成促進剤を更に含んでもよい。
<機能性油性成分>
機能性油性成分としては、水性媒体に溶解せず、油性媒体に溶解する油溶性成分であり、かつ、生体において所望の生理学的作用の発揮が期待され得る油性成分であれば、特に限定はなく、目的に応じた物性や機能性を有するものを適宜選択して使用することができる。機能性油性成分としては、上述の血管形成促進剤以外の成分であって、紫外線吸収剤、抗炎症剤、保湿剤、毛髪保護剤、細胞賦活剤、エモリエント剤、角質溶解剤、帯電防止剤、脂溶性ビタミン剤、メタボリックシンドローム改善剤、降圧剤、鎮静剤、美白剤などとして使用されている油性成分が挙げられる。
<その他の添加成分>
上記成分の他、医薬品、機能性食品、化粧品などの分野において通常用いられる添加成分を、組成物に、その形態に応じて適宜含有させてもよい。他の添加成分は、その特性を考慮し、油溶性又は水溶性の添加成分として、組成物に含有させることができる。
その他の添加成分としては、グリセリン、1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコール;グルコース、加糖、乳糖、麦芽糖、ショ糖、ペクチン、カッパーカラギーナン、ローカストビーンガム、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアガム、キサンタンガム、カラヤガム、タマリンド種子多糖、アラビアガム、トラガカントガム、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、デキストリンなどの単糖類又は多糖類;ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクトース、マルトトリイトール、キシリトールなどの糖アルコール;塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどの無機塩;カゼイン、アルブミン、メチル化コラーゲン、加水分解コラーゲン、水溶性コラーゲン、ゼラチンなどの分子量5000超のタンパク質;カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、酸化エチレン・酸化プロピレンブロック共重合体などの合成高分子;ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースなどの水溶性セルロース誘導体;などを挙げることができ、その機能に基づいて、たとえば機能性成分、賦形剤、粘度調整剤、ラジカル捕捉剤などとして含んでもよい。
その他、pH調整剤、pH緩衝剤、防腐剤、香料、着色剤など、通常、その用途で使用される他の添加物を併用することができる。
本開示における製剤の設計方法は、本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法により血管形成促進剤として選択された被験物質を製剤に含有させることを含む。
本開示における製剤の設計方法は、上述の本開示に係る製剤における他の成分を更に製剤に含有させることを更に含んでもよい。
本開示における製剤の設計方法は、上述の本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法を行うことを含んでもよいし、他者が行った本開示に係る血管形成促進剤のスクリーニング方法の結果を元に製剤を設計する設計方法であってもよい。
以下、実施例により本開示を詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本開示の実施形態の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本開示の実施形態の範囲は以下に示す具体例に限定されない。なお、本実施例において、「部」、「%」とは、特に断りのない限り、「質量部」、「質量%」を意味する。
間葉系幹細胞として、MSC(ヒト骨髄由来間葉系幹細胞、LONZA社製)を用いた。間葉系幹細胞の培地としては、間葉系幹細胞用培地(Mesenchymal Stem Cell Basal Medium、LONZA社製)を使用した。
血管内皮細胞としては、HUVEC(ヒト臍帯静脈血管内皮細胞、PromoCell社製)を用いた。血管内皮細胞の培地としては、血管内皮細胞用培地(EGM2培地、PromoCell社製)を使用した。
〔実施例1〕
48ウェルプレート(corning社製)に、初代細胞スターティング培地(製品名:MF−start、東洋紡績(株))を300μL/ウェル添加した後、MSCの播種密度が4万cells/cmHUVECの播種密度が1.2万cells/cmとなるように48ウェルプレートにそれぞれ同時に播種し、MSC及びHUVECを播種した48ウェルプレートをインキュベーターに静置し、37℃で3日間培養した。
なお、上記HUVEC播種時の初代細胞スターティング培地及びEGM2培地に増殖因子カクテル(Start supplement)を添加した。
〔実施例1のコントロールの作製〕
MSC及びHUVECを、増殖因子カクテル(Start supplement 東洋紡(株)製)を含まない初代細胞スターティング培地(MF−start培地)を用いて、48ウェルプレートに、表1に記載のMSCの播種密度となるよう播種し、インキュベーターで3日間培養し、実施例1のコントロールとした。
〔実施例2〕
48ウェルプレート(コーニング社製)に、初代細胞スターティング培地(製品名:MF−start培地、東洋紡績(株))を300μL/ウェルとなるように添加した後、MSCの播種密度が2万cells/cmとなるように、MSCを播種した。MSCを播種した48ウェルプレートをCOインキュベーターに静置し、37℃で3日間培養した。
培養後、各ウェルをEGM2培地で1回洗浄した後、上記HUVECの播種密度を1.2万cells/cmとなるよう播種し、MSC及びHUVECを含む48ウェルプレートをインキュベーターに静置し37℃で3日間培養した。3日間の培養後に、HUVECを検出するための細胞固定及び免疫染色は、実施例1と同様の条件で行った。
上記HUVEC播種時において、EGM2培地にポジティブコントロールとして、増殖因子カクテル;Endothelial Cell Growth Medium 2 SupplementMix(PromoCell社製)を上記増殖カクテルに添付された指示書に沿って添加した。
〔実施例3〜5〕
実施例2において、MSCの播種密度及びHUVECの播種密度を表1の記載の播種密度に変更した以外は、実施例2と同様の方法及び条件で培養を行った。
〔実施例6〕
48ウェルプレート(コーニング社製)に、初代細胞スターティング培地(製品名:終濃度0.01ppmとなるようトリペプチド−1を添加したMF−start培地(東洋紡績(株)製)を300μL/ウェルとなるように添加した後、MSCの播種密度が5,000cells/cmウェルとなるように、MSCを播種した。
MSCを播種した48ウェルプレートをCOインキュベーターに静置し、37℃で3日間培養した。
培養後、各ウェルをEGM2培地で1回洗浄した後、増殖因子カクテル抜きEGM2培地に最終濃度が0.01ppmとなるようにトリペプチド−1を添加し、次いで、上記HUVECの播種密度を1.2万cells/cmウェルとなるよう播種し、MSC及びHUVECを含む48ウェルプレートをインキュベーターに静置し37℃で3日間培養した。3日間の培養後に、HUVECを検出するための細胞固定及び免疫染色は、実施例1と同様の条件で行った。
〔比較例1〕
可溶化基底膜調製品(Corning(登録商標)マトリゲル基底膜マトリックス グロースファクターリデュースト(GFR)、コーニングインターナショナル(株)製)を48ウェルプレートに130μL/ウェルを添加し、室温(25℃)で1時間静置した。
1%FBS(ウシ胎仔血清)添加DMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)で懸濁したHUVECの播種密度を4万cells/cmとなるように100μLづつ播種した。
なお、比較例1において、HUVECの播種時にポジティブコントロールとして、VEGF(血管内皮細胞増殖因子)50ng/mLをマトリゲルに添加し、インキュベーター37℃で3日間培養した。
〔比較例2〕
48ウェルプレート(コーニング社製)に、EGM2培地を300μL/ウェルとなるように添加した後、HUVECの播種密度が1.2万cells/cmとなるように播種した。HUVECを播種した48ウェルプレートをインキュベーターに静置し、37℃で3日間培養した。
〔実施例2〜5及び比較例1のコントロールの作製〕
MSCを、初代細胞スターティング培地(MF−start培地)を用いて、48ウェルプレートに、表1に記載のMSCの播種密度(0.5万cells/cm〜4万cells/cm)となるよう播種した。
上記48ウェルプレートをインキュベーターで3日間培養した後、増殖因子カクテルを含まないEGM2培地を用い、HUVEC播種密度が1.2万cells/cmとなるよう播種し、インキュベーター37℃で3日間培養した。
−細胞固定及び免疫染色−
3日間の培養後の上記実施例1〜6並びに比較例1及び2において、HUVECを検出するため、細胞固定及び免疫染色を行った。PBS(リン酸緩衝液)でウェルを2回洗浄した後、70%質量エタノールを100μL添加したのち、細胞を−30℃で10分間固定した。
ブロッキング剤(商品名;blocking one、ナカライテスク社製)を100μL添加し1時間ブロッキング反応させた後、PBSで1回洗浄した。一次抗体としてCD31抗体(JC70A、DAKO社製)を1:100となるように抗体希釈バッファーで希釈し、希釈した一次抗体を各ウェルに100μL添加した後、48ウェルプレートをインキュベーターに静置し、4℃でover-night culture(一晩培養)した。
その後、T−PBSで各ウェル3回洗浄し、二次抗体(anti fluor 488、アブカム社製)を抗体希釈バッファーで1:200となるよう希釈し、希釈した二次抗体を各ウェルに100μL添加した後、室温(25℃)に遮光して静置し、1時間反応させた。その後、T−PBSで各ウェルを2回洗浄し、蛍光顕微鏡(BZ−Xオールインワン、(株)キーエンス製)で10〜25倍率で観察した。
比較例1は、図1(A)及び(B)、実施例3は図2(A)及び(B)、実施例4は図3(A)及び(B)、実施例5は図4(A)及び(B)、並びに、実施例6は図5(A)及び(B)に、それぞれの染色後の血管内皮細胞を蛍光顕微鏡で観察した写真を示した。
図1(B)は、VEGF(血管内皮細胞増殖因子)を添加して培養した後の血管内皮細胞を蛍光顕微鏡で観察した図を示したものであり、図2(B)、図3(B)、図4(B)及び図5(B)は、それぞれ、増殖因子カクテルを添加して培養した後の血管内皮細胞を蛍光顕微鏡で観察した図を示したものである。
また、図1(A)は、VEGF(血管内皮細胞増殖因子)を添加せずに培養した後の血管内皮細胞を蛍光顕微鏡で観察した写真を示したものである。図2(A)、図3(A)、図4(B)及び図5(B)は、それぞれ、増殖因子カクテルを添加せずに培養した後の血管内皮細胞を蛍光顕微鏡で観察した写真を示したものである。
<<血管形成能の評価>>
上記の蛍光顕微鏡の写真から、血管形成の定量解析を行った。定量解析は、Image Jの“angiogenesis”モードで解析した。total length とNo. Junction(分岐数)とを指標に、血管形成能を下記の基準に基づき評価した。分岐数は、実施例1〜6及び比較例1のコントロールの分岐数に対する実施例1〜6及び比較例1より観察された分岐数との比率を表し、表1に示した。分岐数が多いほど、血管形成能に優れるといえる。
(評価基準)
AA 分岐数が10以上である
A 分岐数が3以上10未満である
B 分岐数が1.5以上3未満である
C 分岐数が1以上1.5未満である
D 分岐数が1未満である
表1中、「MSCの細胞数(cell/cm)に対するHUVECの細胞数(cell/cm)に対するの
比」及び「血管形成分岐数の比」の欄の「−」は、該当する値がないことを意味する。また、表1中の「血管形成能」の欄の「−」は、血管形成が確認されなかったことを意味する。
表1及び図2〜図5に示す結果から、本開示に係る実施形態によれば、血管形成促進の有無の確認に適した、血管形成促進剤のスクリーニング方法が提供されることが確認された。

Claims (8)

  1. 血管内皮細胞と間葉系幹細胞とを含む共培養系を用いることを含む、
    血管形成促進剤のスクリーニング方法。
  2. 前記共培養系において、
    前記血管内皮細胞の培養を開始する工程と、
    前記間葉系幹細胞の培養を開始する工程と、
    を含む、請求項1に記載の血管形成促進剤のスクリーニング方法。
  3. 前記間葉系幹細胞の培養を開始する工程が、前記血管内皮細胞の培養を開始する工程より前の工程である、請求項1又は請求項2に記載の血管形成促進剤のスクリーニング方法。
  4. 前記共培養系において、被験物質を付与する工程を更に含む、請求項2又は請求項3に記載の血管形成促進剤のスクリーニング方法。
  5. 前記共培養系において、前記被験物質による血管形成促進の有無を判定する工程を更に含む、請求項4に記載の血管形成促進剤のスクリーニング方法。
  6. 前記血管形成促進剤が、トリペプチドを含む、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の血管形成促進剤のスクリーニング方法。
  7. 前記間葉系幹細胞の細胞数に対する前記血管内皮細胞の細胞数の比が、0.05以上5以下である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の血管形成促進剤のスクリーニング方法。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の血管形成促進剤のスクリーニング方法により発見された血管形成促進剤を含む、製剤。
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