JP2020115424A - 鉛蓄電池 - Google Patents
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Abstract
Description
カーボンブラックは、鉛蓄電池の充電受入性を向上させる作用を有しており、高い充電受入性を必要とするアイドリングストップ車用の鉛蓄電池においては重要な成分である。ただし、負極活物質中のカーボンブラックの含有量が多いと、充電受入性は向上するものの、電解液の減水が生じやすいという問題があった。
一方、リグニンは、−15℃、−18℃等の低温環境下での始動性能(以下、「低温始動性能」と記す)を向上させる作用や負極活物質の収縮を抑制する作用などを有している。ただし、負極活物質中のリグニンの含有量が多いと、低温始動性能は向上するものの、充電受入性が低下するという問題があった。
本発明は、高い充電受入性と減水抑制性とを併せ持つ鉛蓄電池を提供することを課題とする。
さらに、比表面積が異なる複数種のカーボンブラック全体での導電率は、15S/cm以上30S/cm以下である。
比表面積が大きい第1カーボンブラックは充電受入性の向上に寄与し、比表面積が小さい第2カーボンブラックは減水抑制性の向上に寄与する。充電受入性の向上のためには、第1カーボンブラックの比表面積は、1000m2/g以上1500m2/g以下であることが好ましい。また、減水抑制性の向上のためには、第2カーボンブラックの比表面積は、30m2/g以上70m2/g以下であることが好ましい。
本実施形態に係る鉛蓄電池に使用可能なカーボンブラックの種類は、前述した比表面積及び導電率の条件を満たしているならば特に限定されるものではないが、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が挙げられる。
本実施形態に係る鉛蓄電池に使用可能なリグニンの種類は特に限定されるものではないが、通常のリグニンの他、リグニンの誘導体を用いることができる。リグニンの誘導体としては、例えば、リグニンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸カリウム、リグニンスルホン酸カルシウム、リグニンスルホン酸マグネシウム等のリグニンスルホン酸塩が挙げられる。
電解液の組成は特に限定されるものではなく、鉛蓄電池に使用される一般的な電解液を問題なく適用することができるが、鉛蓄電池の充電受入性を優れたものとするためには、電解液にアルミニウムイオンが含有されていることが好ましく、電解液中のアルミニウムイオンの含有量は0.01モル/L以上とすることが好ましい。ただし、電解液中のアルミニウムイオンの含有量が高いと、ガスが極板群から外部に排出されにくくなるため、電解液中のアルミニウムイオンの含有量は0.3モル/L以下とすることが好ましい。
また、電解液はナトリウムイオンを含有していてもよい。電解液中のナトリウムイオンの含有量は、0.002モル/L以上0.05モル/L以下とすることができる。
極板群を電槽内に収容した際には電槽の内壁面により極板群に群圧が負荷されるが、群圧が不十分であると、正極活物質の軟化や脱落が生じやすくなり、鉛蓄電池の性能や寿命が低下する場合がある。一方、群圧が高過ぎると、正極活物質中にガスが滞留して、鉛蓄電池の内部抵抗が上昇するおそれがある。よって、極板群に負荷される群圧は10kPa以下とすることが好ましい。
以下に実施例及び比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1〜12及び比較例1〜23)
一酸化鉛を主成分とする鉛粉を水と希硫酸とで混練し、さらに添加剤として2種のカーボンブラックと、リグニンスルホン酸ナトリウム(以下、実施例の項においては単に「リグニン」と記す。)とを混合し練り合わせて、負極活物質のペーストを製造した。上記の2種のカーボンブラックは、比表面積が約1200m2/gのカーボンブラック(比表面積が大きいカーボンブラック)と、比表面積が約70m2/gのカーボンブラック(比表面積が小さいカーボンブラック)とであり、両カーボンブラックの比表面積の比は17.1倍である。
このとき、負極活物質中の比表面積が大きいカーボンブラック、比表面積が小さいカーボンブラック、及びリグニンの含有量を種々変更することにより、実施例1〜12及び比較例1〜23の各鉛蓄電池を作製した。
吸着ガス:純度99.99%以上の窒素ガス
吸着温度:液体窒素沸点温度(77K)
BET比表面積の計算方法:JIS Z8830:2013の7.2に準拠
比表面積が大きいカーボンブラックの比表面積が約700m2/gである点以外は、上記した実施例1〜4及び比較例8〜10の場合と同様にして、鉛蓄電池を作製した(表2を参照)。なお、両カーボンブラックの比表面積の比は10.0倍である。
比表面積が小さいカーボンブラックの比表面積が約700m2/gである点以外は、上記した実施例1〜4及び比較例8〜10の場合と同様にして、鉛蓄電池を作製した(表3を参照)。なお、両カーボンブラックの比表面積の比は1.7倍である。
比表面積が大きいカーボンブラックの代わりに比表面積が約2300m2/gである活性炭を用いる点以外は、上記した実施例1〜4及び比較例8〜10の場合と同様にして、鉛蓄電池を作製した(表4を参照)。
活性炭の比表面積の測定方法は、前述したカーボンブラックの比表面積の測定方法と同様である。また、活性炭と比表面積が約70m2/gであるカーボンブラックとの全体での導電率の測定方法は、前述したカーボンブラックの導電率の測定方法と同様である。
全カーボンブラックの合計の含有量Bが0.1質量%〜1.3質量%である点以外は、上記した実施例6の場合と同様にして、鉛蓄電池を作製した(表5を参照)。
電解液中に含有されているアルミニウムイオンの含有量が0モル/L〜0.3モル/Lである点以外は、上記した実施例6の場合と同様にして、鉛蓄電池を作製した(表6を参照)。
<充電受入性の評価方法>
鉛蓄電池に対して完全充電を施し、一列に連続して並んだ6セルの極板群のうち連続方向中央に位置する3セル目又は4セル目の極板群の周辺の電解液の温度が23℃以上27℃以下の範囲内であることを確認した後に、5時間率電流で0.5時間放電した。次に、鉛蓄電池を23℃以上27℃以下の温度で20時間静置し、電解液の温度が23℃以上27℃以下の範囲内であることを確認した後に、23℃以上27℃以下の温度、13.9V以上14.1V以下の電圧、最大電流100Aとの条件で定電圧充電を行い、充電開始5秒後の充電電流を測定した。
水温を58℃以上62℃以下に設定した水槽に鉛蓄電池を入れ、制御電圧14.4V、最大電流50Aの条件で21日間定電圧充電を行った。充電終了後に鉛蓄電池の質量を測定し、充電開始前の質量から減った質量を減水量とした。減水量の測定結果を表1〜4に示す。なお、充電開始前の元の電解液の量は3600gである。
減水抑制性の評価については、表1〜6においては、減水量が280g以下である場合は合格(減水抑制性が高い)と判定して○印で示し、減水量が280g超過である場合は不合格(減水抑制性が不十分)と判定して×印で示した。
そのため、実施例1〜23の鉛蓄電池は、表1、2、5、6に示すように、高い充電受入性と減水抑制性とを併せ持っており、総合判定が合格となった。
一方、比較例34〜40の鉛蓄電池は、比表面積が大きいカーボンブラックに代えて活性炭を用いているため、表4に示す結果から分かるように、充電受入性と減水抑制性の一方又は両方が不十分であった。
また、実施例21〜23の鉛蓄電池は、電解液中に含有されているアルミニウムイオンの含有量が0.01モル/L以上0.3モル/L以下であるため、表6に示す結果から分かるように、アルミニウムイオンが含有されていない実施例20の鉛蓄電池と比べ、充電受入性がより向上した。
Claims (4)
- 正極活物質を有する正極板と、負極活物質を有する負極板とが、セパレータを介して複数枚交互に積層された極板群を備え、前記極板群が電解液に浸漬された鉛蓄電池であって、
前記負極活物質は、比表面積が異なる複数種のカーボンブラックと、リグニンと、を含有し、
前記複数種のカーボンブラックのうち、比表面積が最大の第1カーボンブラックと比表面積が最小の第2カーボンブラックとでは、比表面積が10倍以上異なり、
前記負極活物質中の前記第2カーボンブラックの含有量は、前記負極活物質中の前記第1カーボンブラックの含有量よりも多く、
前記負極活物質中の前記リグニンの含有量Aと、前記負極活物質中の前記複数種のカーボンブラックの合計の含有量Bとの比A/Bが0.25以上0.45以下であり、
前記複数種のカーボンブラック全体での導電率が15S/cm以上30S/cm以下である鉛蓄電池。 - 前記負極活物質中の前記複数種のカーボンブラックの合計の含有量Bが0.2質量%以上1.2質量%以下である請求項1に記載の鉛蓄電池。
- 前記負極活物質中に含有されている前記複数種のカーボンブラックの表面積の総和が、前記負極板1枚当たり80m2以上270m2以下である請求項1又は請求項2に記載の鉛蓄電池。
- 前記電解液中に含有されているアルミニウムイオンの含有量が0.01モル/L以上0.3モル/L以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の鉛蓄電池。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022113623A1 (ja) * | 2020-11-27 | 2022-06-02 | 株式会社Gsユアサ | 鉛蓄電池 |
US12030925B2 (en) | 2018-05-18 | 2024-07-09 | Bioverativ Therapeutics Inc. | Methods of treating hemophilia A |
Citations (2)
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JPH05174825A (ja) * | 1991-12-25 | 1993-07-13 | Shin Kobe Electric Mach Co Ltd | 鉛電池 |
WO2018199124A1 (ja) * | 2017-04-28 | 2018-11-01 | 株式会社Gsユアサ | 鉛蓄電池 |
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