JP2020115424A - 鉛蓄電池 - Google Patents

鉛蓄電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2020115424A
JP2020115424A JP2019006286A JP2019006286A JP2020115424A JP 2020115424 A JP2020115424 A JP 2020115424A JP 2019006286 A JP2019006286 A JP 2019006286A JP 2019006286 A JP2019006286 A JP 2019006286A JP 2020115424 A JP2020115424 A JP 2020115424A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon black
negative electrode
active material
electrode active
specific surface
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019006286A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7050015B2 (ja
Inventor
智史 柴田
Tomohito Shibata
智史 柴田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Furukawa Battery Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Battery Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Furukawa Battery Co Ltd filed Critical Furukawa Battery Co Ltd
Priority to JP2019006286A priority Critical patent/JP7050015B2/ja
Publication of JP2020115424A publication Critical patent/JP2020115424A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7050015B2 publication Critical patent/JP7050015B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

【課題】高い充電受入性と減水抑制性とを併せ持つ鉛蓄電池を提供する。【解決手段】鉛蓄電池は、正極活物質を有する正極板と、負極活物質を有する負極板とが、セパレータを介して複数枚交互に積層された極板群を備える。負極活物質は、比表面積が異なる複数種のカーボンブラックと、リグニンと、を含有する。複数種のカーボンブラックのうち比表面積が最大の第1カーボンブラックと比表面積が最小の第2カーボンブラックとでは、比表面積が10倍以上異なる。負極活物質中の第2カーボンブラックの含有量は、負極活物質中の第1カーボンブラックの含有量よりも多い。負極活物質中のリグニンの含有量Aと、負極活物質中の前記複数種のカーボンブラックの合計の含有量Bとの比A/Bは、0.25以上0.45以下である。複数種のカーボンブラック全体での導電率は15S/cm以上30S/cm以下である。【選択図】なし

Description

本発明は鉛蓄電池に関する。
鉛蓄電池の負極活物質には、充電性能や放電性能などを高めるため、一般的にカーボンブラック、リグニン等の添加剤が添加されている。例えば特許文献1には、負極活物質の添加剤としてカーボンブラック及び合成リグニンを用いた鉛蓄電池が開示されている。
カーボンブラックは、鉛蓄電池の充電受入性を向上させる作用を有しており、高い充電受入性を必要とするアイドリングストップ車用の鉛蓄電池においては重要な成分である。ただし、負極活物質中のカーボンブラックの含有量が多いと、充電受入性は向上するものの、電解液の減水が生じやすいという問題があった。
一方、リグニンは、−15℃、−18℃等の低温環境下での始動性能(以下、「低温始動性能」と記す)を向上させる作用や負極活物質の収縮を抑制する作用などを有している。ただし、負極活物質中のリグニンの含有量が多いと、低温始動性能は向上するものの、充電受入性が低下するという問題があった。
特許第4396527号公報
上記のように、カーボンブラックとリグニンとはトレードオフの関係にあるが、アイドリングストップ車用の鉛蓄電池には、高い充電受入性と電解液の減水の生じにくさ(以下、「減水抑制性」と記す)との両立が要求されていた。特に、気温の高い高温地域や気温が高くなる高温時期において使用されても、高い減水抑制性を有することが求められていた。
本発明は、高い充電受入性と減水抑制性とを併せ持つ鉛蓄電池を提供することを課題とする。
本発明の一態様に係る鉛蓄電池は、正極活物質を有する正極板と、負極活物質を有する負極板とが、セパレータを介して複数枚交互に積層された極板群を備え、極板群が電解液に浸漬された鉛蓄電池であって、負極活物質は、比表面積が異なる複数種のカーボンブラックと、リグニンと、を含有し、複数種のカーボンブラックのうち、比表面積が最大の第1カーボンブラックと比表面積が最小の第2カーボンブラックとでは、比表面積が10倍以上異なり、負極活物質中の第2カーボンブラックの含有量は、負極活物質中の第1カーボンブラックの含有量よりも多く、負極活物質中のリグニンの含有量Aと、負極活物質中の複数種のカーボンブラックの合計の含有量Bとの比A/Bが0.25以上0.45以下であり、複数種のカーボンブラック全体での導電率が15S/cm以上30S/cm以下であることを要旨とする。
本発明に係る鉛蓄電池は、高い充電受入性と減水抑制性とを併せ持つ。
本発明の一実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態には種々の変更又は改良を加えることが可能であり、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。
本発明の一実施形態に係る鉛蓄電池は、正極板と負極板とがセパレータを介して複数枚交互に積層された極板群を備えている。この極板群は、その積層方向が水平方向に沿うように(すなわち、正極板及び負極板の板面が鉛直方向に沿うように)、電解液と共に電槽内に収容され、電槽内で電解液に浸漬されている。
正極板は、例えば、鉛合金からなる板状格子体の開口部に、二酸化鉛を含有する正極活物質を充填しつつ、鉛合金からなる板状格子体の両板面に、二酸化鉛を含有する正極活物質からなる活物質層を形成したものである。負極板は、例えば、鉛合金からなる板状格子体の開口部に、金属鉛を含有する負極活物質を充填しつつ、鉛合金からなる板状格子体の両板面に、金属鉛を含有する負極活物質からなる活物質層を形成したものである。正極板、負極板の基板である板状格子体は、鋳造法、打ち抜き法、エキスパンド方式で製造することができる。セパレータは、例えば、樹脂、ガラス等からなる多孔質の膜状体である。
正極板及び負極板の上端部には、それぞれ集電耳が形成されており、各正極板の集電耳は正極ストラップで連結され、同様に各負極板の集電耳は負極ストラップで連結されている。そして、正極ストラップは正極端子の一端に接続され、負極ストラップは負極端子の一端に接続されており、正極端子の他端及び負極端子の他端が、電槽の開口部を閉塞する蓋を貫通して、電槽と蓋からなる鉛蓄電池のケース体の外部に露出している。
このような構造を有する本実施形態に係る鉛蓄電池において、負極活物質は、比表面積が異なる複数種(例えば2種、3種)のカーボンブラックと、リグニンと、を添加剤として含有する。そして、比表面積が異なる複数種のカーボンブラックのうち、比表面積が最大の第1カーボンブラックと比表面積が最小の第2カーボンブラックとでは、比表面積が10倍以上異なる。
また、負極活物質中の第2カーボンブラックの含有量は、負極活物質中の第1カーボンブラックの含有量よりも多い。第1カーボンブラックの含有量と第2カーボンブラックの含有量との比は、1:9〜4:6の範囲内であることが好ましく、2:8〜3:7の範囲内であることがより好ましい。
さらに、負極活物質中のリグニンの含有量Aと、負極活物質中の複数種のカーボンブラックの合計の含有量Bとの比A/Bは、0.25以上0.45以下である。これらカーボンブラックやリグニンの負極活物質中の含有量の単位は、質量%である。
さらに、比表面積が異なる複数種のカーボンブラック全体での導電率は、15S/cm以上30S/cm以下である。
このような本実施形態に係る鉛蓄電池は、高い充電受入性と減水抑制性とを併せ持つ。さらに、本実施形態に係る鉛蓄電池は、気温の高い高温地域や気温が高くなる高温時期において使用されても電解液の減水が生じにくいので、高温地域や高温時期での使用においても高い信頼性を有している。よって、本実施形態に係る鉛蓄電池は、アイドリングストップ車、充電制御車のような充電制御を行う車両に搭載され且つ主に部分充電状態で用いられる鉛蓄電池として好適である。なお、部分充電状態とは、充電状態が例えば70%超過100%未満の状態である。
本実施形態に係る鉛蓄電池は、液式鉛蓄電池、制御弁式(密閉式)鉛蓄電池として使用可能であり、車両の内燃機関を起動する電源としての用途のみならず、電動自動車、電動フォークリフト、電動バス、電動バイク、電動スクータ、小型電動モペッド、ゴルフ用カート、電気機関車等の動力電源としても使用可能である。また、ハイブリッド電気自動車(HEV)用の補機としても使用可能である。さらに、本実施形態に係る鉛蓄電池は、照明用電源、予備電源としても使用可能である。あるいは、太陽光発電、風力発電等により発電された電気エネルギーの蓄電装置としても使用可能である。
以下に、本実施形態に係る鉛蓄電池について、さらに詳細に説明する。
比表面積が大きい第1カーボンブラックは充電受入性の向上に寄与し、比表面積が小さい第2カーボンブラックは減水抑制性の向上に寄与する。充電受入性の向上のためには、第1カーボンブラックの比表面積は、1000m2/g以上1500m2/g以下であることが好ましい。また、減水抑制性の向上のためには、第2カーボンブラックの比表面積は、30m2/g以上70m2/g以下であることが好ましい。
そして、鉛蓄電池の高い充電受入性と減水抑制性とを両立させるためには、第1カーボンブラックと第2カーボンブラックとの比表面積の比率は、10倍以上であることが必要である。なお、カーボンブラックの比表面積は、物性上、概ね30m2/g〜1500m2/gの範囲内となるため、第1カーボンブラックと第2カーボンブラックとの比表面積の比率は、最大でも50倍程度となる。
また、負極活物質中の第1カーボンブラックの含有量が多過ぎると、負極からの水素の発生量が多くなって減水抑制性が低下し、負極活物質中の第2カーボンブラックの含有量が多過ぎると、充電受入性が低下する。よって、第1カーボンブラックと第2カーボンブラックとの含有量比を好適に設定する必要がある。
第1カーボンブラックと第2カーボンブラックとの含有量比については、前述したように、負極活物質中の第2カーボンブラックの含有量を負極活物質中の第1カーボンブラックの含有量よりも多くする必要があり、すなわち[負極活物質中の第1カーボンブラックの含有量]/[負極活物質中の第2カーボンブラックの含有量]は1未満とする必要がある。
なお、比表面積が異なる複数種のカーボンブラックが3種以上である場合は、第1カーボンブラック、第2カーボンブラック以外のカーボンブラック(以下、「その他のカーボンブラック」と記すこともある)の比表面積は、第1カーボンブラックの比表面積と第2カーボンブラックの比表面積との間の数値であるならば特に限定されるものではないが、第1カーボンブラックの比表面積と第2カーボンブラックの比表面積との中間あたりの数値よりも第2カーボンブラックの比表面積に近い比表面積であることが好ましい。
また、その他のカーボンブラックの負極活物質中の含有量は特に限定されるものではないが、その他のカーボンブラックの合計の含有量が全カーボンブラックの総量の5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、0質量%であることがさらに好ましい。すなわち、第1カーボンブラックと第2カーボンブラックとの合計の含有量が全カーボンブラックの総量の95質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることがさらに好ましい。
さらに、鉛蓄電池の充電受入性と減水抑制性とは、リグニンによっても影響を受ける。すなわち、負極活物質中のリグニンの含有量が多いと充電受入性が低下し、減水抑制性が向上する一方、負極活物質中のリグニンの含有量が少ないと充電受入性が向上し、減水抑制性が低下する。また、負極活物質中のリグニンにより、鉛蓄電池の低温始動性能が向上する。
そこで、負極活物質中のリグニンの含有量と、負極活物質中の複数種のカーボンブラックの合計の含有量との比を好適な範囲に設定すれば、高い充電受入性と減水抑制性との両立に寄与する。すなわち、負極活物質中のリグニンの含有量Aと、負極活物質中の複数種のカーボンブラックの合計の含有量Bとの比A/Bを、0.25以上0.45以下とする。これにより、高い充電受入性と減水抑制性とを両立させることができる。
高い充電受入性と減水抑制性とが両立するメカニズムは明らかではないが、比表面積が小さい第2カーボンブラックが負極板中に導電パスを形成し、且つ、比表面積が大きい第1カーボンブラックが負極での鉛と硫酸との反応を促進するため、充電受入性が向上すると推測される。また、比表面積が大きい第1カーボンブラックにリグニンが選択的に吸着されるため、負極の電位の変化が抑えられ、減水の増加が抑制されると考えられる。
さらに、本発明者の検討によれば、鉛蓄電池の充電受入性と減水抑制性とには、カーボンブラックの導電率が関係していると考えられる。本発明者が鋭意検討した結果、高い充電受入性と減水抑制性との両立のためには、比表面積が異なる複数種のカーボンブラック全体での導電率を15S/cm以上30S/cm以下とすることが重要であることを見出した。負極活物質中に含有される複数種のカーボンブラック全体での導電率(例えば、負極活物質中に含有される複数種のカーボンブラックが3種である場合は、3種のカーボンブラック全体での導電率)が15S/cm以上であれば、充電受入性が高くなり、30S/cm以下であれば、減水抑制性が高くなる。
なお、鉛蓄電池の充電受入性と減水抑制性とをより高くするためには、負極活物質中に添加する比表面積が異なる複数種のカーボンブラックの合計の含有量は、負極活物質に対して0.2質量%以上1.2質量%以下とすることが好ましい。負極活物質中に添加する比表面積が異なる複数種のカーボンブラックの合計の含有量が0.2質量%以上であれば、充電受入性が高くなり、1.2質量%以下であれば、減水抑制性が高くなる。
鉛蓄電池の充電受入性と減水抑制性とをより高くするためには、負極活物質中に含有されている複数種のカーボンブラックの表面積の総和を、負極板1枚当たり80m2以上270m2以下とすることが好ましい。負極活物質中に含有されている複数種のカーボンブラックの表面積の総和が80m2以上であれば、充電受入性が高くなり、270m2以下であれば、減水抑制性が高くなる。
複数種のカーボンブラックの表面積の総和は、以下のようにして算出することができる。すなわち、カーボンブラックが2種である場合は、負極活物質中の第1カーボンブラックの質量(単位はg)を第1カーボンブラックの比表面積(単位はm2/g)に乗算することにより、負極活物質中に含有される全ての第1カーボンブラックの表面積の合計量(単位はm2)を算出し、負極活物質中の第2カーボンブラックの質量(単位はg)を第2カーボンブラックの比表面積(単位はm2/g)に乗算することにより、負極活物質中に含有される全ての第2カーボンブラックの表面積の合計量(単位はm2)を算出する。そして、第1カーボンブラックの表面積の合計量と第2カーボンブラックの表面積の合計量とを足し合わせて、複数種のカーボンブラックの表面積の総和を算出する。
カーボンブラックが3種以上である場合は、その他のカーボンブラックについても、表面積の合計量をそれぞれ算出し、第1カーボンブラックの表面積の合計量と第2カーボンブラックの表面積の合計量とその他のカーボンブラックの表面積の合計量とを足し合わせて、複数種のカーボンブラックの表面積の総和を算出する。
〔各カーボンブラックについて〕
本実施形態に係る鉛蓄電池に使用可能なカーボンブラックの種類は、前述した比表面積及び導電率の条件を満たしているならば特に限定されるものではないが、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が挙げられる。
〔リグニンについて〕
本実施形態に係る鉛蓄電池に使用可能なリグニンの種類は特に限定されるものではないが、通常のリグニンの他、リグニンの誘導体を用いることができる。リグニンの誘導体としては、例えば、リグニンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸カリウム、リグニンスルホン酸カルシウム、リグニンスルホン酸マグネシウム等のリグニンスルホン酸塩が挙げられる。
〔電解液について〕
電解液の組成は特に限定されるものではなく、鉛蓄電池に使用される一般的な電解液を問題なく適用することができるが、鉛蓄電池の充電受入性を優れたものとするためには、電解液にアルミニウムイオンが含有されていることが好ましく、電解液中のアルミニウムイオンの含有量は0.01モル/L以上とすることが好ましい。ただし、電解液中のアルミニウムイオンの含有量が高いと、ガスが極板群から外部に排出されにくくなるため、電解液中のアルミニウムイオンの含有量は0.3モル/L以下とすることが好ましい。
また、電解液はナトリウムイオンを含有していてもよい。電解液中のナトリウムイオンの含有量は、0.002モル/L以上0.05モル/L以下とすることができる。
〔極板群に負荷される群圧について〕
極板群を電槽内に収容した際には電槽の内壁面により極板群に群圧が負荷されるが、群圧が不十分であると、正極活物質の軟化や脱落が生じやすくなり、鉛蓄電池の性能や寿命が低下する場合がある。一方、群圧が高過ぎると、正極活物質中にガスが滞留して、鉛蓄電池の内部抵抗が上昇するおそれがある。よって、極板群に負荷される群圧は10kPa以下とすることが好ましい。
〔実施例〕
以下に実施例及び比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1〜12及び比較例1〜23)
一酸化鉛を主成分とする鉛粉を水と希硫酸とで混練し、さらに添加剤として2種のカーボンブラックと、リグニンスルホン酸ナトリウム(以下、実施例の項においては単に「リグニン」と記す。)とを混合し練り合わせて、負極活物質のペーストを製造した。上記の2種のカーボンブラックは、比表面積が約1200m2/gのカーボンブラック(比表面積が大きいカーボンブラック)と、比表面積が約70m2/gのカーボンブラック(比表面積が小さいカーボンブラック)とであり、両カーボンブラックの比表面積の比は17.1倍である。
次に、Pb−Ca−Sn系合金からなる板状格子体を鋳造し、該板状格子体に負極活物質のペーストを充填した。そして、熟成及び乾燥を行い、さらに、化成槽において化成を行って、極板の両板面に金属鉛を含有する負極活物質の活物質層が形成された即用式(化成済み)の負極板を得た。
上記のようにして作製した負極板と一般的な正極板とを、多孔質の合成樹脂からなるセパレータを介在させつつ交互に複数枚積層して、極板群を作製した。1つの極板群を構成する正極板及び負極板の枚数は、正極板は8枚、負極板は9枚とした。この極板群6個を電槽の各セル内に群圧が10kPa以下になるように収納し、さらに液口を有する蓋によって電槽の開口部を封口すると共に、両端の極板群に接続された極柱をブッシングに嵌め込み一体化して端子とした。さらに、液口から所定量の電解液を電槽内に注入した後に液口を液口栓で閉じて、電池サイズD26の鉛蓄電池を作製した。なお、電解液は、硫酸アルミニウムを0.1モル/Lの濃度で含有する希硫酸水溶液を使用した。
このとき、負極活物質中の比表面積が大きいカーボンブラック、比表面積が小さいカーボンブラック、及びリグニンの含有量を種々変更することにより、実施例1〜12及び比較例1〜23の各鉛蓄電池を作製した。
負極活物質中の比表面積が大きいカーボンブラックの含有量、比表面積が小さいカーボンブラックの含有量、両カーボンブラックの合計の含有量、及びリグニンの含有量を表1に示す。また、負極活物質中のリグニンの含有量Aと、負極活物質中の比表面積が大きいカーボンブラック及び比表面積が小さいカーボンブラックの合計の含有量B(すなわち、複数種のカーボンブラックの合計の含有量B)との比A/Bを表1に示す。さらに、両カーボンブラック全体での導電率及び両カーボンブラックの表面積の総和を表1に示す。
なお、カーボンブラックの比表面積は、以下のようにして求めることができる。まず、カーボンブラックに、真空中300℃で1時間加熱する前処理を施す。次に、マイクロメリティックス社製の高機能比表面積・細孔分布測定装置ASAP2020を用いて、以下の条件により、前処理したカーボンブラックのBET比表面積を求める。
吸着ガス:純度99.99%以上の窒素ガス
吸着温度:液体窒素沸点温度(77K)
BET比表面積の計算方法:JIS Z8830:2013の7.2に準拠
また、カーボンブラックの導電率は、以下のようにして測定することができる。すなわち、比表面積が大きいカーボンブラックと比表面積が小さいカーボンブラックとを所定の比で混合しサンプルとした後に、株式会社三菱ケミカルアナリテック製の粉体抵抗測定ユニットMCP−PD−51に上記サンプルを0.5g投入し、圧力10kNで圧縮して、固体状の試験片を作製する。そして、株式会社三菱ケミカルアナリテック製の抵抗率計ロレスタ−GP MCP−T610を用いて、試験片の導電率を測定することができる。
Figure 2020115424
(実施例13〜16及び比較例24〜26)
比表面積が大きいカーボンブラックの比表面積が約700m2/gである点以外は、上記した実施例1〜4及び比較例8〜10の場合と同様にして、鉛蓄電池を作製した(表2を参照)。なお、両カーボンブラックの比表面積の比は10.0倍である。
Figure 2020115424
(比較例27〜33)
比表面積が小さいカーボンブラックの比表面積が約700m2/gである点以外は、上記した実施例1〜4及び比較例8〜10の場合と同様にして、鉛蓄電池を作製した(表3を参照)。なお、両カーボンブラックの比表面積の比は1.7倍である。
Figure 2020115424
(比較例34〜40)
比表面積が大きいカーボンブラックの代わりに比表面積が約2300m2/gである活性炭を用いる点以外は、上記した実施例1〜4及び比較例8〜10の場合と同様にして、鉛蓄電池を作製した(表4を参照)。
なお、表4における全カーボンの合計量(B)は、負極活物質中の活性炭と比表面積が約70m2/gであるカーボンブラックとの合計の含有量であり、導電率は、活性炭と比表面積が約70m2/gであるカーボンブラックとの全体での導電率である。
活性炭の比表面積の測定方法は、前述したカーボンブラックの比表面積の測定方法と同様である。また、活性炭と比表面積が約70m2/gであるカーボンブラックとの全体での導電率の測定方法は、前述したカーボンブラックの導電率の測定方法と同様である。
Figure 2020115424
(実施例17〜19及び比較例41、42)
全カーボンブラックの合計の含有量Bが0.1質量%〜1.3質量%である点以外は、上記した実施例6の場合と同様にして、鉛蓄電池を作製した(表5を参照)。
Figure 2020115424
(実施例20〜23)
電解液中に含有されているアルミニウムイオンの含有量が0モル/L〜0.3モル/Lである点以外は、上記した実施例6の場合と同様にして、鉛蓄電池を作製した(表6を参照)。
Figure 2020115424
作製した実施例1〜23及び比較例1〜42の鉛蓄電池の充電受入性と減水抑制性とを評価した。その評価方法を以下に説明する。
<充電受入性の評価方法>
鉛蓄電池に対して完全充電を施し、一列に連続して並んだ6セルの極板群のうち連続方向中央に位置する3セル目又は4セル目の極板群の周辺の電解液の温度が23℃以上27℃以下の範囲内であることを確認した後に、5時間率電流で0.5時間放電した。次に、鉛蓄電池を23℃以上27℃以下の温度で20時間静置し、電解液の温度が23℃以上27℃以下の範囲内であることを確認した後に、23℃以上27℃以下の温度、13.9V以上14.1V以下の電圧、最大電流100Aとの条件で定電圧充電を行い、充電開始5秒後の充電電流を測定した。
充電電流の測定結果を表1〜6に示す。充電受入性の評価については、表1〜6においては、充電電流が90A以上100A以下である場合は合格(充電受入性が高い)と判定して○印で示し、充電電流が90A未満である場合は不合格(充電受入性が不十分)と判定して×印で示した。
<減水抑制性の評価方法>
水温を58℃以上62℃以下に設定した水槽に鉛蓄電池を入れ、制御電圧14.4V、最大電流50Aの条件で21日間定電圧充電を行った。充電終了後に鉛蓄電池の質量を測定し、充電開始前の質量から減った質量を減水量とした。減水量の測定結果を表1〜4に示す。なお、充電開始前の元の電解液の量は3600gである。
減水抑制性の評価については、表1〜6においては、減水量が280g以下である場合は合格(減水抑制性が高い)と判定して○印で示し、減水量が280g超過である場合は不合格(減水抑制性が不十分)と判定して×印で示した。
そして、充電受入性の評価結果と減水抑制性の評価結果とを総合して、鉛蓄電池の性能の総合判定を行った。すなわち、表1〜6においては、充電受入性の評価結果と減水抑制性の評価結果とが共に合格であった場合は総合判定を合格として○印で示し、それ以外の場合は総合判定を不合格として×印で示した。
実施例1〜23の鉛蓄電池は、比表面積が大きいカーボンブラックと比表面積が小さいカーボンブラックの比表面積の比が10倍以上であり、比表面積が小さいカーボンブラックの含有量は比表面積が大きいカーボンブラックの含有量よりも多く、リグニンの含有量Aと両カーボンブラックの合計の含有量Bとの比A/Bが0.25以上0.45以下であり、且つ、カーボンブラック全体での導電率が15S/cm以上30S/cm以下である。
また、実施例1〜12の鉛蓄電池は、両カーボンブラックの表面積の総和が負極板1枚当たり80m2以上270m2以下である。
そのため、実施例1〜23の鉛蓄電池は、表1、2、5、6に示すように、高い充電受入性と減水抑制性とを併せ持っており、総合判定が合格となった。
これに対して、比較例1〜33の鉛蓄電池は、上記要件のいずれかを満足しないので、充電受入性と減水抑制性の一方又は両方が不十分であった。
一方、比較例34〜40の鉛蓄電池は、比表面積が大きいカーボンブラックに代えて活性炭を用いているため、表4に示す結果から分かるように、充電受入性と減水抑制性の一方又は両方が不十分であった。
また、比較例41、42の鉛蓄電池は、負極活物質中の複数種のカーボンブラックの合計の含有量が負極活物質量に対して適正な範囲ではないため、表5に示す結果から分かるように、充電受入性と減水抑制性の一方が不十分であった。
また、実施例21〜23の鉛蓄電池は、電解液中に含有されているアルミニウムイオンの含有量が0.01モル/L以上0.3モル/L以下であるため、表6に示す結果から分かるように、アルミニウムイオンが含有されていない実施例20の鉛蓄電池と比べ、充電受入性がより向上した。

Claims (4)

  1. 正極活物質を有する正極板と、負極活物質を有する負極板とが、セパレータを介して複数枚交互に積層された極板群を備え、前記極板群が電解液に浸漬された鉛蓄電池であって、
    前記負極活物質は、比表面積が異なる複数種のカーボンブラックと、リグニンと、を含有し、
    前記複数種のカーボンブラックのうち、比表面積が最大の第1カーボンブラックと比表面積が最小の第2カーボンブラックとでは、比表面積が10倍以上異なり、
    前記負極活物質中の前記第2カーボンブラックの含有量は、前記負極活物質中の前記第1カーボンブラックの含有量よりも多く、
    前記負極活物質中の前記リグニンの含有量Aと、前記負極活物質中の前記複数種のカーボンブラックの合計の含有量Bとの比A/Bが0.25以上0.45以下であり、
    前記複数種のカーボンブラック全体での導電率が15S/cm以上30S/cm以下である鉛蓄電池。
  2. 前記負極活物質中の前記複数種のカーボンブラックの合計の含有量Bが0.2質量%以上1.2質量%以下である請求項1に記載の鉛蓄電池。
  3. 前記負極活物質中に含有されている前記複数種のカーボンブラックの表面積の総和が、前記負極板1枚当たり80m2以上270m2以下である請求項1又は請求項2に記載の鉛蓄電池。
  4. 前記電解液中に含有されているアルミニウムイオンの含有量が0.01モル/L以上0.3モル/L以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の鉛蓄電池。
JP2019006286A 2019-01-17 2019-01-17 鉛蓄電池 Active JP7050015B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019006286A JP7050015B2 (ja) 2019-01-17 2019-01-17 鉛蓄電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019006286A JP7050015B2 (ja) 2019-01-17 2019-01-17 鉛蓄電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020115424A true JP2020115424A (ja) 2020-07-30
JP7050015B2 JP7050015B2 (ja) 2022-04-07

Family

ID=71778641

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019006286A Active JP7050015B2 (ja) 2019-01-17 2019-01-17 鉛蓄電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7050015B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022113623A1 (ja) * 2020-11-27 2022-06-02 株式会社Gsユアサ 鉛蓄電池
US12030925B2 (en) 2018-05-18 2024-07-09 Bioverativ Therapeutics Inc. Methods of treating hemophilia A

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05174825A (ja) * 1991-12-25 1993-07-13 Shin Kobe Electric Mach Co Ltd 鉛電池
WO2018199124A1 (ja) * 2017-04-28 2018-11-01 株式会社Gsユアサ 鉛蓄電池

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05174825A (ja) * 1991-12-25 1993-07-13 Shin Kobe Electric Mach Co Ltd 鉛電池
WO2018199124A1 (ja) * 2017-04-28 2018-11-01 株式会社Gsユアサ 鉛蓄電池

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US12030925B2 (en) 2018-05-18 2024-07-09 Bioverativ Therapeutics Inc. Methods of treating hemophilia A
WO2022113623A1 (ja) * 2020-11-27 2022-06-02 株式会社Gsユアサ 鉛蓄電池

Also Published As

Publication number Publication date
JP7050015B2 (ja) 2022-04-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6597842B2 (ja) 鉛蓄電池
US7742279B2 (en) Energy conversion device
CN112582596B (zh) 二次电池及含有该二次电池的电池模组、电池包、装置
US20130099749A1 (en) Lead-acid battery
JP5598532B2 (ja) 鉛蓄電池
WO2011108056A1 (ja) 鉛蓄電池
KR20140021663A (ko) 납축전지
JP5858048B2 (ja) 鉛蓄電池
JPWO2005107004A1 (ja) 鉛蓄電池
WO2018227162A1 (en) Lead-acid battery
JP2007335360A (ja) リチウム二次電池
JP2016115396A (ja) 鉛蓄電池
WO2018229875A1 (ja) 液式鉛蓄電池
CN109103490A (zh) 一种高倍率磷酸铁锂聚合物电池
JP6043734B2 (ja) 鉛蓄電池
JP2013065443A (ja) 鉛蓄電池
JP7050015B2 (ja) 鉛蓄電池
JP2003123760A (ja) 鉛蓄電池用負極
JP2008243493A (ja) 鉛蓄電池
JP2008243489A (ja) 鉛蓄電池
JP2007165074A (ja) リチウム二次電池、それを用いた電気自動車及び電動工具
JP2013134957A (ja) 鉛蓄電池の製造方法と鉛蓄電池
CN112635824A (zh) 锂离子电池电解液及锂离子电池
JP2016162612A (ja) 制御弁式鉛蓄電池
JP2021111445A (ja) 鉛蓄電池

Legal Events

Date Code Title Description
A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20190123

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201116

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20211115

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211124

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211214

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220104

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220224

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220322

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220328

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7050015

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150