JP2020111770A - 高強度冷延薄鋼板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】強度が高く、且つ、延性、穴広げ性及び抵抗溶接性に優れた高強度冷延薄鋼板、並びに、その製造方法を提供する。【解決手段】特定の組成と、体積率で、10%以上70%以下のフェライト、1%以上10%以下の残留オーステナイト、10%以上60%以下のベイナイト、及び、2%以上50%以下のマルテンサイトである鋼組織と、を有し、上記フェライトが、平均結晶粒径:6.0μm以下であり、上記残留オーステナイトが、平均結晶粒径:4.0μm以下であり、上記ベイナイトが、平均結晶粒径:6.0μm以下であり、上記マルテンサイトが、平均結晶粒径4.0μm以下であり、上記高強度冷延薄鋼板の全体におけるSiの平均濃度に対する、上記高強度冷延薄鋼板の表面から深さ方向に10μmまでの領域におけるSiの平均濃度の濃度比が、質量比で、1.00未満である、高強度冷延薄鋼板。【選択図】なし

Description

本発明は、980MPa以上の引張強度(TS)を有し、自動車部品用として好適な高強度冷延薄鋼板及びその製造方法に関する。
自動車分野において車体軽量化による燃費向上が課題となっている中で、自動車用部品の高強度鋼板適用による薄肉化が促進されており、引張強度(TS)が980MPa以上の高強度鋼板の適用が進んでいる。自動車の構造部材や補強部材には、成形性に優れることが要求され、複雑形状を有する部品の成形には、高い延性や伸びフランジ性(穴広げ性)の両立が優れている鋼板を製造することが求められる。また、自動車用鋼板は主に抵抗溶接(スポット溶接)により接合されるため、抵抗溶接性に優れる(抵抗溶接時に熱影響部でき裂が生じ難い)ことも要求される。
例えば、特許文献1の請求項1には、「質量%で、C:0.05〜0.2%、Si:0.5〜2.0%、Mn:1.5〜3.5%、P:0.001〜0.05%、S:0.0001〜0.005%、Al:0.005〜0.08%、N:0.001〜0.01%、および残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを熱間圧延後、冷間圧延して鋼板とし、前記鋼板を、連続焼鈍炉にて、700〜900℃の温度に加熱後、550〜800℃の温度から500℃/秒以上の冷却速度で急冷し、150〜500℃の温度で100〜1400秒間再加熱し、引き続き、0〜4のpHで、10〜100℃の温度で5〜150秒間酸洗処理後、10〜14のpHで、10〜100℃の温度で2〜50秒間アルカリ処理を行い、0.2〜1.5%の伸長率で調質圧延を行うことを特徴とする高延性で、化成処理性に優れる780MPa以上の引張強度を有する超高強度冷延鋼板の製造方法。」が開示され、特許文献1には、上記方法により高延性の冷延鋼板が得られる旨が記載されている。
また、特許文献2の請求項1には、
「化学組成が、質量%にて
C:0.015〜0.072%、Si:1.2%以下、Mn:0.5〜3.0%、
P:0.020%以下、S:0.030%以下、sol.Al:0.002〜1.20%、
Si、sol.Al、Mnの含有量が下記式の関係を満たし、
Si+sol.Al+0.4×Mn≦1.4%
残部がFeおよび不可避的不純物からなる、引張強度が450MPa以上の鋼板に亜鉛めっきを施した、抵抗溶接の際の耐表面割れ性に優れた高張力亜鉛めっき鋼板。」が開示され、特許文献2には、上記鋼板が抵抗溶接性に優れる旨が記載されている。
特開2007−9269号公報 特開2002−294398号公報
このようななか、本発明者らが特許文献1及び2を参考に冷延薄鋼板を製造したところ、その強度、延性、穴広げ性及び抵抗溶接性は昨今要求されている水準を必ずしも満たすものではないことが明らかになった。
そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、強度が高く、且つ、延性、穴広げ性及び抵抗溶接性に優れた高強度冷延薄鋼板、並びに、その製造方法を提供することを目的とする。
成形性に優れた高強度冷延鋼板として、軟質なフェライトと硬質なマルテンサイトが複合したDP鋼板や、残留オーステナイトを含有したTRIP鋼板が知られているが、本発明者らの検討から、これらの鋼板は、引張試験や穴広げ試験などにより塑性変形が進行すると、鋼板組織中のマルテンサイト、又は残留オーステナイトから加工誘起変態したマルテンサイトと、軟質なフェライトとの界面にボイドが発生し、連結することでき裂に成長することが分かっている。すなわち、硬質相と軟質相の体積分率や結晶粒子径などはボイドの発生や連結の挙動に影響を及ぼし、成形性と強い相関があるとの知見が得られている。
また、高強度冷延鋼板では優れた延性及び穴広げ性を両立するためにSi等の添加が必要であるが、本発明者らの検討から、鋼板表層部のSiの存在によって亜鉛等(亜鉛めっき層等に由来)の融点が上がらず、これらの金属が溶融して液体金属脆化が生じ、抵抗溶接近傍の鋼板に割れが生じる場合があることが明らかになっている。
本発明はこれらの知見に基づくものであり、具体的な構成は以下のとおりである。
(1) 質量%で、
C:0.04%以上0.16%以下、
Si:0.15%以上1.25%以下、
Mn:2.00%以上3.50%以下、
P:0.050%以下、
S:0.0050%以下、
N:0.0100%以下、
Al:0.010%以上2.000%以下、
Ti:0.005%以上0.075%以下、
Nb:0.005%以上0.075%以下、及び、
B:0.0002%以上0.0040%以下
を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成と、
体積率で、10%以上70%以下のフェライト、1%以上10%以下の残留オーステナイト、10%以上60%以下のベイナイト、及び、2%以上50%以下のマルテンサイトである鋼組織と、を有し、
上記フェライトが、平均結晶粒径:6.0μm以下であり、上記残留オーステナイトが、平均結晶粒径:4.0μm以下であり、上記ベイナイトが、平均結晶粒径:6.0μm以下であり、上記マルテンサイトが、平均結晶粒径4.0μm以下であり、
上記高強度冷延薄鋼板の全体におけるSiの平均濃度に対する、上記高強度冷延薄鋼板の表面から深さ方向に10μmまでの領域におけるSiの平均濃度の濃度比が、質量比で、1.00未満である、高強度冷延薄鋼板。
(2) さらに、質量%で、V:0.005%以上0.200%以下、Cr:0.05%以上0.20%以下、Mo:0.01%以上0.20%以下、Cu:0.05%以上0.20%以下、Ni:0.01%以上0.20%以下、Sb:0.002%以上0.100%以下、Sn:0.002%以上0.100%以下、Ca:0.0005%以上0.0050%以下、Mg:0.0005%以上0.0050%以下、REM:0.0005%以上0.0050%以下のうちから選ばれる少なくとも1種の元素を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる、上記(1)に記載の高強度冷延薄鋼板。
(3) 上記高強度冷延薄鋼板の全体におけるMnの平均濃度に対する、上記高強度冷延薄鋼板の表面から深さ方向に10μmまでの領域におけるMnの平均濃度の濃度比が、質量比で、1.00未満である、上記(1)又は(2)に記載の高強度冷延薄鋼板。
(4) 表面に、溶融亜鉛めっき層、合金化溶融亜鉛めっき層、又は電気亜鉛めっき層のいずれかを有する、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の高強度冷延薄鋼板。
(5) 上記(1)又は(2)に記載の成分組成を有する鋼スラブを、熱間圧延開始温度1000℃以上1300℃以下、仕上げ圧延温度800℃以上1000℃以下、圧下率35%以上の圧延を1パス以上で熱間圧延し、次いで、700℃から冷却停止温度までの温度域で、平均冷却速度が5℃/s以上50℃/s以下の条件で600℃以下の冷却停止温度まで冷却した後に巻取温度350℃以上600℃以下で巻き取り、次いで酸洗した後、冷間圧延率30%以上で冷間圧延を施し、次いで焼鈍工程は、焼鈍温度750℃以上900℃以下で10秒以上300秒以下保持し、次いで、5℃/s以上の冷却速度で、300℃以上450℃以下の冷却停止温度まで冷却した後、冷却停止温度で10秒以上1800秒以下保持した後、酸洗することにより、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の高強度冷延薄鋼板を得る、高強度冷延薄鋼板の製造方法。
(6) 上記焼鈍工程後の酸洗に引き続き、溶融亜鉛めっき処理、溶融亜鉛めっき処理及び合金化処理、又は電気亜鉛めっき処理を施す、上記(5)に記載の高強度冷延薄鋼板の製造方法。
以下に示すように、本発明によれば、強度が高く、且つ、延性、穴広げ性及び抵抗溶接性に優れた高強度冷延薄鋼板、並びに、その製造方法を提供することができる。
以下に、本発明の高強度冷延薄鋼板及びその製造方法について説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
[高強度冷延薄鋼板]
本発明の高強度冷延薄鋼板(以下、「本発明の鋼板」とも言う)は、
質量%で、
C:0.04%以上0.16%以下、
Si:0.15%以上1.25%以下、
Mn:2.00%以上3.50%以下、
P:0.050%以下、
S:0.0050%以下、
N:0.0100%以下、
Al:0.010%以上2.000%以下、
Ti:0.005%以上0.075%以下、
Nb:0.005%以上0.075%以下、及び、
B:0.0002%以上0.0040%以下
を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成と、
体積率で、10%以上70%以下のフェライト、1%以上10%以下の残留オーステナイト、10%以上60%以下のベイナイト、及び、2%以上50%以下のマルテンサイトである鋼組織と、を有し、
上記フェライトが、平均結晶粒径:6.0μm以下であり、上記残留オーステナイトが、平均結晶粒径:4.0μm以下であり、上記ベイナイトが、平均結晶粒径:6.0μm以下であり、上記マルテンサイトが、平均結晶粒径4.0μm以下であり、
上記高強度冷延薄鋼板の全体におけるSiの平均濃度に対する、上記高強度冷延薄鋼板の表面から深さ方向に10μmまでの領域におけるSiの平均濃度の濃度比が、質量比で、1.00未満である、高強度冷延薄鋼板である。
〔成分組成〕
まず、本発明の鋼板の成分組成について説明する。成分組成における「%」表示は、特に断らない限り「質量%」を意味する。
<C:0.04%以上0.16%以下>
Cは、高い固溶強化能を有し、鋼板強度の増加に有効であるとともに、本発明における残留オーステナイト、ベイナイト、及びマルテンサイトの形成に寄与する。このような効果を得るためには、0.04%以上の含有を必要とする。Cが0.04%未満では、所望の残留オーステナイト及びマルテンサイトを得ることが困難になる。一方、0.16%超の含有は残留オーステナイト、ベイナイト、及びマルテンサイトが過剰に生成するため、延性と穴広げ性が低下し、更に、溶接性の低下を招く。したがって、Cは0.04%以上0.16%以下であり、980MPa級の場合、本発明の効果がより優れる理由から、Cは0.04%以上0.10%未満であることが好ましく、0.06%以上0.095%以下であることがより好ましく、1180MPa級の場合、本発明の効果がより優れる理由から、Cは0.10%以上0.16%以下であることが好ましく、0.12%以上0.15%以下であることがより好ましい。
なお、980MPa級とは、引張強度(TS)が980MPa以上1180MPa未満を意味し、1180MPa級とは、引張強度(TS)が1180MPa以上を意味する。
<Si:0.15%以上1.25%以下>
Siは、フェライト中で高い固溶強化能を有し、鋼板強度の増加に寄与するとともに、炭化物(セメンタイト)の生成を抑制し、残留オーステナイトの安定化に寄与する。また、フェライトに固溶したSiは、加工硬化能を向上させ、フェライト自身の延性向上に寄与する。このような効果を得るためには、0.15%以上の含有を必要とする。一方、Siが1.25%を超えると、残留オーステナイト安定化の寄与は飽和し、更に、溶接性の低下も招く。このため、Siは0.15%以上1.25%以下の範囲とする。なお、980MPa級の場合、本発明の効果がより優れる理由から、Siは0.25%以上1.15%以下であることが好ましく、1180MPa級の場合、本発明の効果がより優れる理由から、Siは0.30%以上1.25%以下であることが好ましく、0.4%以上1.15%以下であることがより好ましい。
<Mn:2.00%以上3.50%以下>
Mnは、固溶強化あるいは焼入れ性向上により、鋼板の強度増加に寄与するとともに、オーステナイト安定化元素であるため、所望の残留オーステナイト及びマルテンサイトの確保に必要不可欠な元素である。このような効果を得るためには2.00%以上の含有を必要とする。一方、3.50%を超える含有は、溶接性が低下する上、残留オーステナイト及びマルテンサイトが過剰に生成し、更に、穴広げ性の低下を招く。また、Mnの含有が過剰になるとMn偏析が生じ、鋼板表層のMn濃度が増加し溶接性が低下する。このため、Mnは2.00%以上3.50%以下の範囲とする。なお、980MPa級の場合、本発明の効果がより優れる理由から、Mnは2.20%以上3.30%以下であることが好ましく、1180MPa級の場合、本発明の効果がより優れる理由から、2.00%以上3.00%以下であることが好ましく、2.20%以上2.80%以下であることがより好ましい。
<P:0.050%以下>
Pは、固溶強化により鋼板の強度増加に寄与する元素である。一方、0.050%を超える含有は、溶接性の低下を招くとともに、粒界偏析による粒界破壊を助長する。このため、Pは0.050%以下とする。
<S:0.0050%以下>
Sは、粒界に偏析して熱間加工時に鋼を脆化させるとともに、MnSなどの硫化物として鋼中に存在して局部変形能を低下させる元素であり、0.0050%を超える含有は穴広げ性の低下を招く。このため、Sは0.0050%以下に限定する。
<N:0.0100%以下>
Nは、窒化物として鋼中に存在して局部変形能を低下させる元素であり、0.0100%を超える含有は穴広げ性の低下を招く。このため、Nは0.0100%以下に限定する。
<Al:0.010%以上2.000%以下>
Alは、フェライト生成元素であり、Siと同様に炭化物(セメンタイト)の生成を抑制し、残留オーステナイトの安定化に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.010%以上含有する必要がある。一方、2.000%を超えると効果が飽和するため、Alは2.000%以下とする。
<Ti:0.005%以上0.075%以下>
Tiは、微細な炭化物や窒化物を形成するのみならず、結晶粒の粗大化を抑制し、加熱後の鋼板組織の微細化することにより、強度の上昇に寄与する元素である。更に、BをNと反応させないために、Tiの添加は有効である。このような効果を得るためには、0.005%以上含有する必要がある。一方、Tiが0.075%を超えると、炭化物や窒化物が過剰に生成し、延性の低下を招く。このため、Tiは0.005%以上0.075%以下の範囲とする。
<Nb:0.005%以上0.075%以下>
Nbは、微細な炭化物や窒化物を形成するのみならず、結晶粒の粗大化を抑制し、加熱後の鋼板組織の微細化することにより、強度の上昇に寄与する。このような効果を得るためには、0.005%以上含有する必要がある。一方、Nbが0.075%を超えると、炭化物や窒化物が過剰に生成し、延性の低下を招く。このため、Nbは0.005%以上0.075%以下の範囲とする。
<B:0.0002%以上0.0040%以下>
Bは、焼き入れ性を向上させ、強度の上昇に寄与する有効な元素である。このような効果を得るためには、0.0002%以上含有する必要がある。一方、0.0040%を超える含有は、マルテンサイトが過剰に生成するため、延性及び穴広げ性が低下する。このため、Bは0.0002%以上0.0040%以下の範囲とする。
<その他>
上記した成分が基本の成分であるが、本発明では基本の組成に加えてさらに、V:0.005%以上0.200%以下、Cr:0.05%以上0.20%以下、Mo:0.01%以上0.20%以下、Cu:0.05%以上0.20%以下、Ni:0.01%以上0.20%以下、Sb:0.002%以上0.100%以下、Sn:0.002%以上0.100%以下、Ca:0.0005%以上0.0050%以下、Mg:0.0005%以上0.0050%以下、REM:0.0005%以上0.0050%以下のうちから選ばれる少なくとも1種の元素を含有できる。
Vは、V系の析出物を生成することにより、鋼板の強化に寄与するとともに、鋼板組織の微細粒化、均一化に寄与する。このような効果を得るには、Vは0.005%以上含有を必要とする。一方、0.200%を超える含有はV系の析出物が過度に生成するため、延性が低下する場合がある。このため、含有する場合には、Vは0.005%以上0.200%以下の範囲に限定することが好ましい。
Crは、固溶強化により鋼板の強度増加に寄与するとともに、焼入れ性を向上させ、マルテンサイトの生成を促進することで強度増加に寄与する。このような効果を得るには、0.05%以上の含有を必要とする。一方、0.20%を超えて含有すると、マルテンサイトが過剰に生成し、延性や穴広げ性が低下する場合がある。このため、含有する場合には、Crは0.05%以上0.20%以下の範囲に限定することが好ましい。
Moは、固溶強化により鋼板の強度増加に寄与するとともに、焼入れ性を向上させ、マルテンサイトの生成を促進することで強度増加に寄与する。このような効果を得るには、0.01%以上の含有を必要とする。一方、0.20%を超えて含有すると、マルテンサイトが過剰に生成し、延性や穴広げ性が低下する場合がある。このため、含有する場合には、Moは0.01%以上0.20%以下の範囲に限定することが好ましい。
Cuは、固溶強化により鋼板の強度増加に寄与するとともに、焼入れ性を向上させ、マルテンサイトの生成を促進することで強度増加に寄与する。このような効果を得るためには、0.05%以上の含有を必要とする。一方、0.20%を超えて多量に含有すると、強度増加の効果が過度となり、延性や穴広げ性が低下する場合がある。このため、含有する場合には、Cuは0.05%以上0.20%以下の範囲に限定することが好ましい。
Niは、残留オーステナイトを安定化させる元素で、冷延薄鋼板の良好な延性の確保に有効であり、さらに、固溶強化により冷延薄鋼板にしたときの強度を上昇させる元素である。この添加効果を得る観点から、Ni量は、0.01%以上が好ましい。一方、Ni量が0.20%を超えると、硬質なマルテンサイトの面積率が過大となる場合がある。コストアップの要因にもなる。このため、Niを添加する場合、Ni量は0.01%以上0.20%以下が好ましい。
Sb及びSnは、鋼板表面の窒化や酸化によって生じる、鋼板表層(数10μm程度の領域)の脱炭を抑制する作用を有する。このような鋼板表層の窒化や酸化を抑制すれば、鋼板表面においてマルテンサイトの生成量が減少するのを防止でき、所望の鋼板強度の確保に有効となる。このような効果を得るためには、Sb、Snをそれぞれ0.002%以上含有させることを必要とする。一方、Sb、Snをそれぞれ、0.100%を超えるとその効果は飽和する。このため、含有する場合には、Sb、Snはそれぞれ0.002%以上0.100%以下の範囲に限定することが好ましい。
Ca、Mg及びREM(Rare Earth Metal)はいずれも、脱酸に用いる元素であるとともに、硫化物の形状を球状化し、硫化物の局部延性及び穴広げ性への悪影響を改善する作用を有する元素である。このような効果を得るためには、Ca、Mg、REMは、それぞれ0.0005%以上含有する必要がある。一方、0.0050%を超えて過剰に含有すると、介在物等の増加を招き、表面欠陥や内部欠陥を発生により、延性及び穴広げ性が低下する場合がある。このため、含有する場合には、Ca、Mg、REMは、それぞれ、0.0005%以上0.0050%以下の範囲に限定することが好ましい。
<残部>
上記した成分以外の残部は、Fe及び不可避的不純物である。
〔鋼組織〕
次に、本発明の鋼板の鋼組織(ミクロ組織)について説明する。
<フェライト:体積率10%以上70%以下かつ、平均結晶粒径6.0μm以下>
フェライトは、延性(伸び)の向上に寄与する組織である。このような効果を得るためには、フェライトは、体積率で10%以上とする必要がある。しかし、体積率が70%を超えると、980MPa以上のTSを得ることが困難となるため、フェライトは、体積率で10%以上70%以下の範囲とする。なお、1180MPa級の場合、本発明の効果がより優れる理由から、フェライトの体積率は10%以上30%以下であることが好ましい。
また、フェライトの平均結晶粒径が6.0μmを超えると、穴広げ時の打ち抜き破面に生成したボイドが穴広げ中に連結しやすくなるため、良好な穴広げ性が得られない。このため、フェライトの平均結晶粒径は6.0μm以下の範囲とする。なお、1180MPa級の場合、本発明の効果がより優れる理由から、フェライトの平均結晶粒径は4.0μm以下であることが好ましい。
<残留オーステナイト:体積率1%以上10%以下かつ、平均結晶粒径4.0μm以下>
残留オーステナイトは、それ自体、延性に富む相であるが、歪誘起変態してさらに延性の向上に寄与する組織であり、延性の向上及び強度−延性バランスの向上に寄与する。このような効果を得るためには、残留オーステナイトは、体積率で1%以上とする必要がある。一方、10%を超えて多くなると、穴広げ性の低下を招く。このため、残留オーステナイトは、体積率で1%以上10%以下の範囲とする。
また、残留オーステナイトの平均結晶粒径が4.0μmを超えると、穴広げ試験時に生じたボイドの成長が起こりやすくなり、穴広げ性の低下を招く。このため、残留オーステナイトの平均結晶粒径は4.0μm以下の範囲とする。なお、1180MPa級の場合、本発明の効果がより優れる理由から、残留オーステナイトの平均結晶粒径は2.0μm以下であることが好ましい。
<ベイナイト:体積率10%以上60%以下かつ、平均結晶粒径6.0μm以下>
ベイナイトは、軟質なフェライトと、硬質なマルテンサイトとの硬度差を小さくし、穴広げ性の向上に寄与する。このため、組織中に体積率で10%以上60%以下の範囲とする。なお、1180MPa級の場合、本発明の効果がより優れる理由から、ベイナイトの体積率は20%以上60%以下であることが好ましい。
また、ベイナイトの平均結晶粒径が6.0μmを超えると、穴広げ時の打ち抜き破面近傍に生成したボイドが穴広げ中に連結しやすくなるため、良好な穴広げ性が得られない。このため、ベイナイトの平均結晶粒径は6.0μm以下の範囲とする。なお、1180MPa級の場合、本発明の効果がより優れる理由から、ベイナイトの平均結晶粒径は4.0μm以下であることが好ましい。
<マルテンサイト:体積率2%以上50%以下かつ、平均結晶粒径4.0μm以下>
マルテンサイトは、980MPa以上の引張強さを得るために、体積率で2%以上必要である。一方、50%を超えると、穴広げ試験時にフェライトとの界面にボイドが生じやすくなり、穴広げ率の低下を招く。このため、マルテンサイトは、体積率で2%以上50%以下の範囲とする。なお、980MPa級の場合、本発明の効果がより優れる理由から、マルテンサイトの体積率は2%以上40%以下であることが好ましい。
また、マルテンサイトの平均結晶粒径が4.0μmを超えると、穴広げ試験時に生じたボイドの成長が起こりやすくなり、穴広げ性の低下を招く。このため、マルテンサイトの平均結晶粒径は4.0μm以下の範囲とする。なお、1180MPa級の場合、本発明の効果がより優れる理由から、マルテンサイトの平均結晶粒径は3.0μm以下であることが好ましい。
また、上記した組織の他に、未再結晶フェライトやパーライト、セメンタイトが生成される場合があるが、上記に限定した組織が満足されれば、本発明の目的を達成できる。ただし、本発明の効果がより優れる理由から、体積率で、未再結晶フェライトは10%以下、パーライトは5%以下、セメンタイトは5%以下が好ましい。
〔好適な態様〕
本発明の鋼板は、本発明の効果がより優れる理由から、
Cの含有量が質量%で0.04%以上0.10%未満であり、
マルテンサイトの体積率が2%以上40%以下であるのが好ましい。
また、本発明の鋼板は、本発明の効果がより優れる理由から、
Cの含有量が質量%で0.10%以上0.16%以下であり、
Siの含有量が質量%で0.30%以上1.25%以下であり、
Mnの含有量が質量%で2.00%以上3.00%以下であり、
フェライトの体積率が10%以上30%以下であり、
ベイナイトの体積率が20%以上60%以下であり、
フェライトの平均結晶粒径が4.0μm以下であり、
残留オーステナイトの平均結晶粒径が2.0μm以下であり、
ベイナイトの平均結晶粒径が4.0μm以下であり、
マルテンサイトの平均結晶粒径が3.0μm以下であるのが好ましい。
〔濃度比〕
<Si濃度比>
上述のとおり、本発明の鋼板において、高強度冷延薄鋼板の全体におけるSiの平均濃度に対する、高強度冷延薄鋼板の表面から深さ方向に10μmまでの領域におけるSiの平均濃度の濃度比は質量比で1.00未満である。以下、上記濃度比を「Si濃度比」とも言う。
本発明の鋼板はSi濃度比が上述した範囲にあるため、液体金属脆化が起こり難く、結果として、優れた抵抗溶接性(抵抗溶接時にき裂が生じ難い)を示すものと考えられる。
上記Si濃度比は、本発明の効果がより優れる理由から、0.95以下であることが好ましく、0.90以下であることがより好ましい。Si濃度比の下限は、本発明の効果がより優れる理由から、0.70以上であることが好ましく、0.75以上であることがより好ましく、0.80以上であることがさらに好ましく、0.85以上であることが特に好ましい。
なお、高強度冷延薄鋼板の全体におけるSiの平均濃度とは、上述したSiの成分組成を指す。
<Mn濃度比>
本発明の鋼板において、高強度冷延薄鋼板の全体におけるMnの平均濃度に対する、高強度冷延薄鋼板の表面から深さ方向に10μmまでの領域におけるMnの平均濃度の濃度比は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、質量比で1.00未満であることが好ましい。以下、上記濃度比を「Mn濃度比」とも言う。
上記Mn濃度比は、本発明の効果がより優れる理由から、0.95以下であることが好ましく、0.90以下であることがより好ましい。Mn濃度比の下限は、本発明の効果がより優れる理由から、0.70以上であることが好ましく、0.75以上であることがより好ましく、0.80以上であることがさらに好ましく、0.85以上であることが特に好ましい。
なお、高強度冷延薄鋼板の全体におけるMnの平均濃度とは、上述したMnの成分組成を指す。
<Si濃度比/Mn濃度比>
上述したMn濃度比に対するSi濃度比の割合(Si濃度比/Mn濃度比)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、0.5〜2であることが好ましく、0.8〜1.2であることがより好ましく、0.9〜1.1であることがさらに好ましい。
〔めっき層〕
本発明の鋼板は、さらに表面に、耐食性向上のために、めっき層を有していてもよい。めっき層としては、溶融亜鉛めっき層、合金化溶融亜鉛めっき層、あるいは電気亜鉛めっき層のいずれかとすることが好ましい。溶融亜鉛めっき層、合金化溶融亜鉛めっき層、電気亜鉛めっき層は、公知の溶融亜鉛めっき層、合金化溶融亜鉛めっき層、電気亜鉛めっき層がいずれも好適である。
〔板厚〕
本発明の鋼板の板厚は特に限定されないが、例えば、0.1mm以上5.0mm以下であることが好ましく、0.5mm以上3.0mm以下であることがより好ましい。
[高強度冷延薄鋼板の製造方法]
次に、本発明の鋼板の好ましい製造方法(以下、「本発明の方法」とも言う)について説明する。
本発明の方法では、上記した組成の鋼素材に、熱間圧延工程と、冷間圧延工程と、焼鈍工程と、酸洗工程とを、順次施して、高強度冷延薄鋼板とする。上記酸洗工程によって、表面のSi、Mn等の酸化物等が除去される。Si濃度比は、例えば、酸洗工程の条件によって制御することができる。
〔熱間圧延工程〕
熱間圧延に供する鋼スラブは、転炉等の常用の溶製方法で上記した組成の溶鋼を溶製し、成分の偏析が生じにくいという点から、連続鋳造法で所定寸法のスラブ等の鋳片(鋼素材)とすることが好ましい。なお、造塊法や薄スラブ鋳造法で得られたものでもよい。
上記した組成の鋼素材に、熱間圧延工程を施し、熱延鋼板とする。
熱間圧延工程は、上記した組成の鋼素材を再加熱し、熱間圧延を施す方式の他に、鋳造された鋼スラブを冷却することなく温片のまま加熱炉に挿入し、再加熱して圧延する方式、鋼スラブを冷却することなく保熱を行った後に直ちに圧延する方式、鋼スラブを鋳造直後に圧延する方式なども適用できる。
<熱間圧延開始温度:1000℃以上1300℃以下>
熱間圧延開始温度が1000℃未満では圧延負荷が増大し、生産性が低下するだけでなく、スラブ中の元素偏析の解消が困難である。一方、1300℃以上では加熱コストが増大するだけである。したがって、熱間圧延開始温度は、1000℃以上1300℃以下の範囲とする。熱間圧延開始温度は、得られる鋼板について本発明の効果がより優れる理由から、1100℃以上1300℃以下であることが好ましい。なお、以下、「得られる鋼板について本発明の効果がより優れる」ことを単に「本発明の効果がより優れる」とも言う。
<圧下率:35%以上の圧延を1パス以上>
圧下率が35%未満では、鋼板のオーステナイト域における再結晶が不十分となるため、焼鈍工程後の鋼板組織が不均一となるばかりでなく、元素偏析を十分に解消できない。このため、圧下率35%以上の圧延を1パス以上経ることで、再結晶が均一に促進され、焼鈍工程後は均質な鋼板組織が得られる。一方、70%を超えるとその効果は飽和する。したがって、圧下率の上限は、70%以下とすることが好ましい。
<仕上げ圧延温度:800℃以上1000℃以下>
仕上げ圧延温度が800℃未満では、鋼板組織が不均一となり、焼鈍工程後の延性や穴広げ性が低下する。このため、仕上げ圧延温度を800℃以上とすることで、オーステナイト単相域で圧延が完了し、均質な鋼板組織が得られる。一方、1000℃を超えると熱延鋼板の組織が粗大となり、焼鈍工程後に所望の結晶粒径を有する組織が得られない。したがって、仕上げ圧延温度は800℃以上1000℃以下とする。
<熱間圧延後、700℃から冷却停止温度までの平均冷却速度:5℃/s以上50℃/s以下>
熱間圧延後、700℃から冷却停止温度までの平均冷却速度が5℃/s以上50℃/s以下とすることで、熱延鋼板はベイナイトを主体とする組織に制御される。5℃/s未満では、熱延鋼板の組織にフェライトもしくはパーライトが過剰に生成してしまう。一方、50℃/sを超えるとフェライトもしくはパーライトの生成を抑制する効果が飽和する。
<熱間圧延後の冷却停止温度:600℃以下>
熱間圧延後の冷却停止温度は600℃以下とする。なお、980MPa級の鋼板を製造する場合、本発明の効果がより優れる理由から、熱間圧延後の冷却停止温度は500℃以下であることが好ましい。
<熱間圧延後の巻き取り温度:350℃以上600℃以下>
熱間圧延後、上記の冷却条件と併せて、冷却停止温度及び巻き取り温度を600℃以下とすることにより、熱延鋼板はベイナイト主体の組織に均質化され、焼鈍工程後の鋼組織、特にフェライトやマルテンサイトが微細化する上、板幅方向の材質が均一となる。一方、600℃を超えると熱延鋼板の鋼組織にフェライトもしくはパーライトが過剰に生成するため、焼鈍工程後の鋼組織が不均質となり、所望の平均結晶粒径を有するフェライト又はマルテンサイトが得られない。また、熱間圧延後の巻き取り温度が350℃以下では、熱延鋼板の組織に硬質なマルテンサイトが過剰に生成し、冷間圧延時の圧延負荷が増大する。なお、980MPa級の鋼板を製造する場合、本発明の効果がより優れる理由から、巻き取り温度は350℃以上450℃以下であることが好ましい。また、1180MPa級の鋼板を製造する場合、本発明の効果がより優れる理由から、巻き取り温度は400℃以上600℃以下であることが好ましい。
<酸洗>
次いで、得られた熱延鋼板に酸洗を施し、鋼板表層のスケールを除去する。酸洗条件は、特に限定する必要はなく、塩酸、硫酸等を使用する常用の酸洗方法がいずれも適用できる。
〔冷間圧延工程〕
冷間圧延工程は、酸洗後の熱延鋼板に冷間圧延を施し、所定板厚の冷延薄鋼板とする工程である。
<冷間圧延率:30%以上>
冷間圧延では、鋼板に加工歪を導入することにより、次工程である焼鈍工程で、焼鈍温度域での再結晶を促進し、最終組織の結晶粒径を制御する。冷間圧延率は30%以上とする。冷間圧延率が30%未満では、鋼板に加わる加工歪が不足し、焼鈍工程で十分に再結晶しないため、最終組織の鋼組織は、未再結晶フェライトが過剰に得られるため、延性と穴広げ性が劣化する。なお、冷間圧延率の上限は特に制限はないが、60%を超えるとこれらの効果は飽和するため、好ましくは60%以下である。
〔焼鈍工程〕
得られた冷延薄鋼板は、次いで、焼鈍工程を施される。
焼鈍工程は、鋼板に所望のフェライト、残留オーステナイト、ベイナイト及びマルテンサイトを形成するために施され、これによって高延性、高穴広げ性を併せ持つ高強度冷延薄鋼板とする。この焼鈍工程では、焼鈍温度750℃以上900℃以下まで加熱した後、焼鈍温度から冷却停止温度まで5℃/s以上の冷却速度で、300℃以上450℃以下まで冷却し、保持する。
<焼鈍温度:750℃以上900℃以下>
焼鈍温度が750℃未満では、焼鈍中にオーステナイトの体積分率が少なくなるため、フェライトが過剰に得られるだけでなく、再結晶も十分に進行しないため、未再結晶フェライトも過剰となり、穴広げ性が低下する。一方、焼鈍温度が900℃を超えると、焼鈍中にオーステナイト粒が過度に粗大化し、所望の結晶粒径を得ることが困難となる。このため、焼鈍温度は750℃以上900℃以下とする。焼鈍温度は、本発明の効果がより優れる理由から、770℃以上880℃以下であることが好ましい。
<焼鈍温度での保持時間:10秒以上300秒以下>
焼鈍温度での保持時間が10秒未満では、再結晶が十分に進行しないだけでなく、焼鈍中にオーステナイトが十分に生成せず、最終的に未再結晶フェライト及びフェライトが過剰に得られる。また、300秒を超えて保持しても、最終的に得られる鋼板組織や機械的特性に影響は現れず、Si,Mn等の酸化物の生成により鋼板表層にSiやMnが濃化しやすくなる。このため、焼鈍温度での保持時間は10秒以上300秒以下の範囲とする。
<焼鈍温度から冷却停止温度までの平均冷却速度:5℃/s以上>
焼鈍温度から冷却停止温度までの平均冷却速度が5℃/s未満では、冷却中にフェライトだけでなく、パーライトが過剰に生成する。なお、冷却は、ガス冷却が好ましいが、炉冷、ミスト冷却、ロール冷却、水冷などを組み合わせて行うことも可能である。
<冷却停止温度:300℃以上450℃以下>
冷却停止温度が300℃未満では、冷却停止時に多量のマルテンサイトが生成するため、延性が低下する。一方、冷却停止温度が450℃を超えると、最終的に得られるベイナイトが過剰となるだけでなく、マルテンサイトの生成が過小となり、十分な強度を得ることが困難となる。したがって、冷却停止温度は300℃以上450℃以下とする。
<冷却停止温度での保持時間:10秒以上1800秒以下>
冷却停止温度での保持時間が10秒未満では十分なベイナイト変態が起こらず、最終的に得られるマルテンサイトが過剰となり、穴広げ性が低下する。一方、1800秒を超えても鋼板組織に影響しない。このため、冷却停止温度での保持時間は10秒以上1800秒以下とした。
また、冷却停止温度での保持後の冷却は、とくに規定する必要がなく、放冷等の任意の方法で、室温等の所望の温度まで冷却することができる。
〔酸洗工程〕
酸洗工程は、焼鈍工程後の冷延薄鋼板に酸洗を施す工程である。これにより、鋼板表層のSi,Mn等の酸化物等が除去され、抵抗溶接性が改善される。なお、本明細書において、酸洗工程とは焼鈍工程後の酸洗を指すものとする。
酸洗条件は特に限定する必要はなく、塩酸、硫酸等を使用する常用の酸洗方法がいずれも適用できるが、本発明の効果がより優れる理由から、好ましくはpHが1.0以上4.0以下、温度が10℃以上100℃以下(特に、20℃以上50℃以下)、浸漬時間が5秒以上200秒以下(特に、5秒以上50秒以下)である。
<第1の好適な態様>
酸洗に用いる酸は、本発明の効果がより優れる理由から、塩酸又は硝酸を用いるのが好ましく、塩酸を用いるのがより好ましく、塩酸と硝酸を併用するのがさらに好ましい。
上記塩酸の濃度は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、1〜100g/Lであることが好ましく、10〜20g/Lであることがより好ましい。上記硝酸の濃度は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、1〜300g/Lであることが好ましく、100〜200g/Lであることがより好ましい。
塩酸と硝酸を併用する場合、本発明の効果がより優れる理由から、塩酸/硝酸(質量比)は0.01〜1.0であることが好ましい。
また、酸洗の温度は、本発明の効果がより優れる理由から、10℃以上100℃以下(特に、20℃以上50℃以下)であることが好ましい。
また、酸洗の時間は、本発明の効果がより優れる理由から、5秒以上200秒以下(特に、5秒以上50秒以下)であることが好ましい。
<第2の好適な態様>
酸洗工程は、本発明の効果がより優れる理由から、酸洗(1回目の酸洗)後に再酸性(2回目の酸性)を行うのが好ましい。
(1回目の酸洗)
1回目の酸洗の条件は特に制限されないが、好適な態様としては、例えば、上述した第1の好適な態様が挙げられる。
(2回目の酸洗)
2回目の酸洗に用いる酸は特に制限されないが、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、ピロリン酸、ギ酸、酢酸、クエン酸、弗酸、シュウ酸あるいはこれらを2種以上混合した酸等があり、いずれを用いてもよいが、本発明の効果がより優れる理由から、製鉄業で一般的に用いられている塩酸や硫酸であれば、好ましく用いることができる。中でも塩酸は、揮発性の酸であるため、硫酸のように水洗後の鋼板表面に硫酸根などの残留物が残存し難いこと、及び、塩化物イオンによる酸化物破壊効果が大きいことなどから、好適である。また、塩酸と硫酸を混合した酸を用いてもよい。
また、本発明の効果がより優れる理由から、塩酸を用いる場合には、塩酸濃度を0.1〜50g/Lとして、また、硫酸を用いる場合には、硫酸濃度を0.1〜150g/Lとして用いるのが好ましく、また、塩酸と硫酸を混合した酸を再酸洗に用いる場合は、塩酸濃度を0.1〜20g/L、硫酸濃度を0.1〜60g/Lとして混合した酸を用いるのが好ましい。また、本発明における再酸洗は、本発明の効果がより優れる理由から、上記のいずれの再酸洗液を用いる場合でも、再酸洗液の温度は20〜70℃(特に、30〜50℃)の範囲とし、処理時間を1〜30秒として行うのが好ましい。
〔その他の工程〕
本発明の方法では、調質圧延を施してもよい。この調質圧延での伸長率は特に規定しないが、過度の伸長は延性が低下するため、好ましくは0.1%以上2.0%以下である。
また、上述した酸洗工程後に、さらに、めっき処理を施し、表面にめっき層を形成してもよい。めっき処理としては、溶融亜鉛めっき処理、あるいは溶融亜鉛めっき処理及び合金化処理、又は電気亜鉛めっき処理とすることが好ましい。溶融亜鉛めっき処理、溶融亜鉛めっき処理及び合金化処理、電気亜鉛めっき処理は、いずれも公知の処理方法が好適である。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔高強度冷延薄鋼板の製造〕
下記表1に示す成分組成(残部はFe及び不可避的不純物からなる)の溶鋼を転炉で溶製し、連続鋳造法で230mm厚の鋼スラブを得た。得られた鋼スラブについて、表2に示す条件で熱間圧延を行い、熱延鋼板を得た。その後、酸洗(塩酸)を行い、次いで、表2に示す冷間圧延率で冷間圧延を行い、さらに、表2に示す条件で焼鈍を行った。そして、焼鈍工程後に、表2中の酸洗工程の欄に示す条件で酸洗を行った。このようにして、冷延薄鋼板を得た。なお、表2中の酸洗工程の欄に「無し」と記載されている例については、焼鈍工程後に酸洗を行わなかった。
<酸洗工程>
表2中の酸洗工程の欄については以下のとおりである。
(条件1)
下記条件で酸洗を行う。
酸:塩酸(濃度:15g/L)
温度:40℃
処理時間:10秒
(条件2)
下記条件で酸洗を行う。
酸:塩酸(濃度:15g/L)+硝酸(濃度:150g/L)
温度:40℃
処理時間:10秒
(条件3)
下記条件(3−1)の条件で酸洗を行った後に、下記条件(3−2)の条件で再酸洗を行う。
・条件(3−1)
酸:塩酸(濃度:15g/L)+硝酸(濃度:150g/L)
温度:40℃
処理時間:10秒
・条件(3−2)
酸:塩酸(濃度:10g/L)
温度:40℃
処理時間:10秒
(条件4)
下記条件(4−1)の条件で酸洗を行った後に、下記条件(4−2)の条件で再酸洗を行う。なお、条件3との違いは再酸洗の温度のみである。
・条件(4−1)
酸:塩酸(濃度:15g/L)+硝酸(濃度:150g/L)
温度:40℃
処理時間:10秒
・条件(4−2)
酸:塩酸(濃度:10g/L)
温度:70℃
処理時間:10秒
<めっき処理>
なお、表3の「薄鋼板の種類」の欄に「GI」と記載されている例については、酸洗工程終了後、さらに、溶融亜鉛めっき処理を施し、表面に溶融亜鉛めっき層を形成し、溶融亜鉛めっき薄鋼板(GI)とした。溶融亜鉛めっき処理は、連続溶融亜鉛めっきラインを利用して、焼鈍を施された薄冷延焼鈍板を必要に応じて430〜480℃に範囲の温度に再加熱し、溶融亜鉛めっき浴(浴温:470℃)に浸漬し、めっき層付着量が片面あたり45g/mとなるように調整した。なお、浴組成をZn−0.18質量%Alとした。また、表3の「薄鋼板の種類」の欄に「GA」と記載されている例については、上記溶融亜鉛めっき処理において浴組成をZn−0.14質量%Alとし、めっき処理後、520℃で合金化処理を施し、合金化溶融亜鉛めっき薄鋼板(GA)とした。なお、めっき層中のFe濃度は9質量%以上、12質量%以下とした。
また、表3の「薄鋼板の種類」の欄に「EG」と記載されている例については、焼鈍工程終了後にさらに、電気亜鉛めっきラインを利用して、めっき付着量が片面あたり30g/mとなるように、電気亜鉛めっき処理を施し、電気亜鉛めっき薄鋼板(EG)とした。
表3の「薄鋼板の種類」の欄に「CR」と記載されている例は、めっき処理を施さなかった例である。
〔評価〕
得られた冷延薄鋼板(溶融亜鉛めっき薄鋼板、合金化溶融亜鉛めっき薄鋼板、電気亜鉛めっき薄鋼板を含む)から、試験片を採取し、組織観察、引張試験、穴広げ試験、溶接試験を実施した。試験方法は次のとおりとした。
<組織観察>
まず、得られた冷延薄鋼板の板幅中央部から組織観察用試験片を採取し、圧延方向断面(L断面)で板厚の1/4に相当する位置が観察面となるように、研磨し、腐食(3vol.%ナイタール液腐食)し、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて5000倍の倍率で観察し、得られたSEM画像を用いて、画像解析により各相の組織分率(面積率)を求め、その値を体積率として扱った。なお、画像解析では、解析ソフトとしてMedia Cybernetics社の「Image−Pro」(商品名)を使用した。なお、SEM画像では、フェライトは灰色、マルテンサイト、残留オーステナイト及びセメンタイトは白色を呈し、更に、ベイナイトは灰色と白色の中間色を呈するため、その色調から各相を判断した。また、フェライト中に残留オーステナイトやセメンタイトが微細な線状又は点状に観察される組織はベイナイトとした。また、得られたSEM画像を用いて、画像解析により、フェライト粒及びベイナイト粒の面積を求め、該面積から円相当直径を算出し、それらの値を算術平均して平均結晶粒径とした。
また、上記SEM画像と同視野の箇所をSEM−EBSD(後方散乱電子回折)で観察し、SEM画像で白色を呈する組織の内、Phase MapからFeのbcc構造に識別された組織をマルテンサイトとした。また、得られたSEM画像とPhase Mapを用いて、画像解析によりマルテンサイト粒の面積を求め、該面積から円相当直径を算出し、それらの値を算術平均して平均結晶粒径とした。
また、残留オーステナイト粒の平均結晶粒径はTEM(透過型電子顕微鏡)を用いて15000倍の倍率で観察し、得られたTEM画像から、画像解析により残留オーステナイト粒の面積を求め、該面積から円相当直径を算出し、それらの値を算術平均して平均結晶粒径とした。
また、得られた冷延薄鋼板からX線回折用試験片を採取し、板厚の1/4に相当する位置が測定面となるように、研削、及び研磨して、X線回折法により、回折X線強度から残留オーステナイト量を求めた。なお、入射X線は、CoKα線を用いた。残留オーステナイト量の計算に際しては、オーステナイトの{111}、{200}、{220}、{311}面と、フェライトの{110}、{200}、{211}面のピークの積分強度のすべての組み合わせについて強度比を計算し、それらの平均値を求め、当該鋼板の残留オーステナイト量(体積率)を算出した。
結果を表3に示す。
<表面から厚み10μmまでの元素濃度測定>
得られた冷延薄鋼板から鋼板表層部の元素濃度測定用のEPMA(電子線マイクロアナライザー)試料を採取し、圧延方向断面(L断面)で表面から深さ方向10μmまでの範囲でライン分析を3視野分実施し、表面から深さ方向に10μmまでの領域におけるSiの平均濃度を求めた。そして、鋼板全体におけるSiの平均濃度(表1中の成分組成)に対する、表面から深さ方向に10μmまでの領域におけるSiの平均濃度の濃度比(Si濃度比)を求めた。同様に、Mnについても、鋼板全体におけるMnの平均濃度(表1中の成分組成)に対する、表面から深さ方向に10μmまでの領域におけるMnの平均濃度の濃度比(Mn濃度比)を求めた。結果を表3に示す。
<引張試験>
得られた冷延薄鋼板から、引張方向が圧延方向と直角な方向(C方向)となるようにJIS 5号引張試験片を採取し、JIS Z 2241:2011の規定に準拠して、引張試験を実施し、引張特性(引張強度TS、破断伸びEl)を求めた。結果を表3に示す。
ここで、TS≧980MPaであれば、強度が高いと言える。
また、980MPa級ではEl≧15%、1180MPa級ではEl≧12%であれば、延性に優れると言える。
<穴広げ試験>
得られた冷延薄鋼板から、100mmW×100mmLサイズの試験片を採取し、JIS Z 2256:2010の規定に準拠して、クリアランス12.5%にて、10mmφの穴を打ち抜き、60°の円錐ポンチを上昇させ穴を広げた際に、き裂が板厚方向を貫通したところでポンチの上昇を止め、き裂貫通後の穴径と試験前の穴径から穴広げ率λ(%)を測定した。結果を表3に示す。λが20%以上である場合、穴広げ性に優れると言える。
<溶接試験>
得られた冷延薄鋼板から採取した150mmW×50mmLサイズの試験片を1枚用い、もう1枚は590MPa級溶融亜鉛めっき鋼板を用いて抵抗溶接(スポット溶接)を実施した。溶接機は2枚の鋼板を重ねた板組について、溶接ガンに取付けられたサーボモータ加圧式で単相交流(50Hz)の抵抗溶接機を用いて板組を3°傾けた状態で抵抗スポット溶接を実施した。溶接条件は加圧力を4.0kN、ホールドタイムは0.2秒とした。溶接電流と溶接時間はナゲット径が4√t mm(t:冷延薄鋼板の板厚)になるように調整した。溶接後は試験片を半切して、断面を光学顕微鏡で観察し、以下の評価基準に基づき、抵抗溶接性を評価した。結果を表3に示す。実用上、◎、○又は△であることが好ましく、◎又は○であることがより好ましく、◎であることがさらに好ましい。
◎:0.05mm以上のき裂が認められない。
○:0.1mm以上のき裂が認められない。
△:0.2mm以上のき裂が認められない。
×:0.2mm以上のき裂が認められる。
Figure 2020111770
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上記表1及び3中、下線部は、本発明の範囲外を示す。
また、平均冷却速度*1は、700℃から冷却停止温度までの平均冷却速度を指し、平均冷却速度*2は、焼鈍温度での保持後、冷却停止温度までの平均冷却速度を指す。
表3−1(980MPa級)から分かるように、特定の成分組成と特定の鋼組織とを有するとともに、上述したSi濃度比が1.00未満である本発明例は、高い強度、並びに、優れた延性、穴広げ性及び抵抗溶接性を示した。なかでも、Si濃度比が0.95以下であるNo.1−1〜1−13、1−33、1−34、1−37及び1−38は、より優れた抵抗溶接性を示した。そのなかでも、Si濃度比が0.90以下であるNo.1−1〜1−13、1−34及び1−38は、さらに優れた抵抗溶接性を示した。
No.1−1及びNo.1−32〜1−34の対比(Si濃度比及びMn濃度比のみが異なる態様同士の対比)から、Si濃度比が0.85以上であるNo.1−1及びNo.1−32〜1−33は、より優れた穴広げ性を示した。なかでも、Si濃度比が0.95以下であるNo.1−1及びNo.1−33は、さらに優れた穴広げ性を示した。そのなかでも、Si濃度比が0.90以下であるNo.1−1は、特に優れた穴広げ性を示した。
同様に、No.1−2及びNo.1−36〜1−38の対比(Si濃度比及びMn濃度比のみが異なる態様同士の対比)から、Si濃度比が0.85以上であるNo.1−2及びNo.1−36〜1−37は、より優れた穴広げ性を示した。なかでも、Si濃度比が0.95以下であるNo.1−2及びNo.1−37は、さらに優れた穴広げ性を示した。そのなかでも、Si濃度比が0.90以下であるNo.1−2は、特に優れた穴広げ性を示した。
一方、成分組成が特定の範囲から外れるNo.1−14〜1−22、鋼組織が特定の範囲から外れるNo.1−23〜1−30、並びに、Si濃度比が1.00以上であるNo.1−31及び1−35は、強度、延性、穴広げ性及び抵抗溶接性の少なくとも1つが不十分であった。
表3−2(1180MPa級)から分かるように、1180MPa級においても、表3−1(980MPa級)と同様の傾向が見られた。

Claims (6)

  1. 質量%で、
    C:0.04%以上0.16%以下、
    Si:0.15%以上1.25%以下、
    Mn:2.00%以上3.50%以下、
    P:0.050%以下、
    S:0.0050%以下、
    N:0.0100%以下、
    Al:0.010%以上2.000%以下、
    Ti:0.005%以上0.075%以下、
    Nb:0.005%以上0.075%以下、及び、
    B:0.0002%以上0.0040%以下
    を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成と、
    体積率で、10%以上70%以下のフェライト、1%以上10%以下の残留オーステナイト、10%以上60%以下のベイナイト、及び、2%以上50%以下のマルテンサイトである鋼組織と、を有し、
    前記フェライトが、平均結晶粒径:6.0μm以下であり、前記残留オーステナイトが、平均結晶粒径:4.0μm以下であり、前記ベイナイトが、平均結晶粒径:6.0μm以下であり、前記マルテンサイトが、平均結晶粒径4.0μm以下であり、
    前記高強度冷延薄鋼板の全体におけるSiの平均濃度に対する、前記高強度冷延薄鋼板の表面から深さ方向に10μmまでの領域におけるSiの平均濃度の濃度比が、質量比で、1.00未満である、高強度冷延薄鋼板。
  2. さらに、質量%で、V:0.005%以上0.200%以下、Cr:0.05%以上0.20%以下、Mo:0.01%以上0.20%以下、Cu:0.05%以上0.20%以下、Ni:0.01%以上0.20%以下、Sb:0.002%以上0.100%以下、Sn:0.002%以上0.100%以下、Ca:0.0005%以上0.0050%以下、Mg:0.0005%以上0.0050%以下、REM:0.0005%以上0.0050%以下のうちから選ばれる少なくとも1種の元素を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる、請求項1に記載の高強度冷延薄鋼板。
  3. 前記高強度冷延薄鋼板の全体におけるMnの平均濃度に対する、前記高強度冷延薄鋼板の表面から深さ方向に10μmまでの領域におけるMnの平均濃度の濃度比が、質量比で、1.00未満である、請求項1又は2に記載の高強度冷延薄鋼板。
  4. 表面に、溶融亜鉛めっき層、合金化溶融亜鉛めっき層、又は電気亜鉛めっき層のいずれかを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の高強度冷延薄鋼板。
  5. 請求項1又は2に記載の成分組成を有する鋼スラブを、熱間圧延開始温度1000℃以上1300℃以下、仕上げ圧延温度800℃以上1000℃以下、圧下率35%以上の圧延を1パス以上で熱間圧延し、次いで、700℃から冷却停止温度までの温度域で、平均冷却速度が5℃/s以上50℃/s以下の条件で600℃以下の冷却停止温度まで冷却した後に巻取温度350℃以上600℃以下で巻き取り、次いで酸洗した後、冷間圧延率30%以上で冷間圧延を施し、次いで焼鈍工程は、焼鈍温度750℃以上900℃以下で10秒以上300秒以下保持し、次いで、5℃/s以上の冷却速度で、300℃以上450℃以下の冷却停止温度まで冷却した後、冷却停止温度で10秒以上1800秒以下保持した後、酸洗することにより、請求項1〜4のいずれか1項に記載の高強度冷延薄鋼板を得る、高強度冷延薄鋼板の製造方法。
  6. 前記焼鈍工程後の酸洗に引き続き、溶融亜鉛めっき処理、溶融亜鉛めっき処理及び合金化処理、又は電気亜鉛めっき処理を施す、請求項5に記載の高強度冷延薄鋼板の製造方法。
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